(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】コンプライアント端子を備える表面実装薄膜ヒューズ
(51)【国際特許分類】
H01H 85/143 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
H01H85/143
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564744
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020028752
(87)【国際公開番号】W WO2020223045
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ロズブロイ,ダン
(72)【発明者】
【氏名】シードマン,イェフダー
(72)【発明者】
【氏名】オニール,エイリノア
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BA08
5G502BB13
5G502BC07
5G502BC08
5G502CC04
(57)【要約】
上面、第1の端部と、第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する基板を備えることができる、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素が開示されている。薄膜構成要素は、基板の上面の上に形成されるヒューズ層を備えることができる。ヒューズ層は、薄膜ヒューズトラックを備えることができる。外部端子は、基板の第1の端部に沿って配置され、薄膜ヒューズトラックと電気的に接続され得る。外部端子は、導電性高分子組成物を含むコンライアント層を備えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、第1の端部と、前記第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する基板と、
前記基板の前記上面の上に形成されたヒューズ層であって、前記ヒューズ層が、薄膜ヒューズトラックを備えるヒューズ層と、
前記基板の前記第1の端部に沿って配置され、前記ヒューズ層と接続されている外部端子であって、前記外部端子が、導電性高分子組成物を含むコンプライアント層を備える、外部端子と、
を備える、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項2】
前記導電性高分子組成物がエポキシを含む、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項3】
前記導電性高分子組成物が導電性粒子を含む、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項4】
前記導電性粒子が銀を含む、請求項3に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項5】
前記ヒューズ層が、前記基板の前記上面に垂直なZ方向にヒューズ層の厚さを有し、
前記コンプライアント層が、前記長手方向にコンプライアント層の最大厚を有し、かつ
前記ヒューズ層の厚さの、前記コンプライアント層の前記最大厚との比が、約0.25から約100の範囲である、
請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項6】
前記薄膜ヒューズトラックが約40ミクロン未満のZ方向の厚さを有し、前記Z方向が前記基板の前記上面に垂直である、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項7】
前記ヒューズ層が、前記薄膜ヒューズトラックと電気的に接続された接点パッドをさらに備え、前記接点パッドが、前記基板の前記第1の端部または前記第2の端部の一方まで延在し、かつ前記第1の端部で前記外部端子うちの一方に電気的に接続されている、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項8】
前記外部端子が、前記基板の前記第1の端部の上に形成され、前記接点パッドと電気的に接触する第1の層を備え、かつ前記コンプライアント層が、前記第1の層の上に形成される、請求項7に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項9】
前記第1の層が銅を含む、請求項8に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項10】
前記外部端子が、前記コンプライアント層を覆うめっき層を備える、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項11】
前記めっき層がスズまたはニッケルのうちの少なくとも一方を含む、請求項10に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項12】
前記表面実装可能な構成要素が、前記ヒューズ層の上に形成された保護層を備える、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項13】
前記保護層がガラスを含む、請求項12に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項14】
前記基板がガラスを含む、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項15】
前記ヒューズ構成要素が、約0.1Aから約4Aの範囲の最大電流に曝された場合に溶断するよう設計されている、請求項1に記載の表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素。
【請求項16】
表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素を形成する方法であって、前記方法が、
第1の端部と、前記第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する基板を設けるステップと、
前記基板の上面の上に形成されるヒューズ層を堆積するステップであって、前記ヒューズ層が薄膜ヒューズトラックを備える、ヒューズ層を堆積するステップと、
前記基板の前記第1の端部に沿って、前記ヒューズ層と接続される外部端子を形成するステップであって、前記外部端子が、導電性高分子組成物を含むコンプライアント層を備える、外部端子を形成するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年5月2日の出願日を有する米国仮特許出願第62/841,917号の出願利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本主題は、概ね、表面実装薄膜構成要素、詳細には、コンプライアント端子を備える表面実装薄膜ヒューズに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
表面実装は、回路板組立体に好ましい技法となっている。その結果、事実上すべての種類の電子構成要素が、表面実装(すなわち、リードなし)の実施形態または用途向けに再設計されたか、または再設計されている。表面実装デバイス(SMD:surface mount device)をすべての種類の電子回路に迅速に組み込むことが、SMDヒューズについて対応するニーズを生み出した。
【0004】
ヒューズは、多くの回路板で不可欠な機能を供する。回路、選択された2次回路、および/または特定の個々の構成要素でさえもヒューズを飛ばすことにより、さもなければただ1つの局所構成要素の破損に起因する可能性のあるシステム全体への損傷を、防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表面実装ヒューズは、断続的な電流サージを受けることが多く、かなりの熱を発生させる可能性がある。その結果、ヒューズは、熱サイクルおよび熱応力を受ける可能性がある。熱応力は、表面実装ヒューズが取り付けられている表面からの、剛性の終端の望ましからざる剥離を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の一実施形態によれば、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素は、上面と、第1の端部と、第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する基板を備えることができる。薄膜構成要素は、基板の上面の上に形成されるヒューズ層を備えることができる。ヒューズ層は、薄膜ヒューズトラックを備えることができる。外部端子は、基板の第1の端部に沿って配置され、薄膜ヒューズトラックと電気的に接続され得る。外部端子は、導電性高分子組成物を含むコンプライアント層を備えることができる。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素を形成する方法が開示されている。この方法は、第1の端部と、第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する、基板を設けるステップを含むことができる。この方法は、基板の上面の上に形成される、ヒューズ層を堆積するステップを含むことができる。ヒューズ層は、薄膜ヒューズトラックを備えることができる。この方法は、基板の第1の端部に沿って、ヒューズ層と接続される外部端子を形成するステップを含むことができる。外部端子は、導電性高分子組成物を含むコンプライアント層を備えることができる。
【0008】
当業者に向けられた、現在開示されている主題の最良のモードを含む完全かつ有効な説明が、本明細書に記載されており、以下の添付の図を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の態様による、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素の実施形態の断面斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の態様による、
図1の表面実装可能なヒューズ構成要素の実施形態の側部立面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の態様による、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素の実施形態の一部の斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の態様による、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素を形成する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面全体を通して、参照符号を繰り返し使用することは、本技術の同一または類似の特徴、ステップ、または他の要素を表すことが意図されている。
【0011】
代表的な実施形態の詳細な説明
当業者には、本開示が例示的実施形態の説明にすぎず、また本主題のより広義の態様を制限することは意図されておらず、より広義の態様が、例示的な構造で具現化されていることを理解されたい。
【0012】
本開示は、全般的に、コンプライアント層を備える少なくとも1つの外部端子を備える、表面実装可能な(SMD:surface-mountable)ヒューズに関する。薄膜ヒューズは、電流サージによってもたらされる熱サイクルを受けることが多い。かかる熱サイクルの間、コンプライアント層は、外部端子が装着されている取付け面からの終端の破壊または剥離を防ぐことができる。
【0013】
薄膜ヒューズ構成要素は、第1の端部と、第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する基板を備えることができる。薄膜ヒューズトラックを備えるヒューズ層は、基板の上面の上に形成され得る。第1の外部端子は、基板の第1の端部に沿って配置され、薄膜ヒューズトラックと接続され得る。第2の外部端子は、基板の第2の端部に沿って配置され、薄膜ヒューズトラックと接続され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「の上に形成された」は、別の層と直接接触している層を指すことができる。しかし、中間層もまたその間に形成されてもよい。さらに、「の上に形成された」は、底面を基準にして使用される場合、構成要素の外面に対して使用され得る。したがって、底面「の上に形成された」層は、これが上に形成される層よりも、構成要素の外面に近いところにあり得る。
【0015】
1つまたは複数の外部端子は、導電性高分子組成物を含むコンプライアント層を備えることができる。導電性高分子組成物は、1つまたは複数の好適なポリマー材料を含むことができる。一例として、コンプライアント層は、エポキシ、ポリイミド、アミドアミン、フェノール、および/またはシロキサンエポキシを含むことができる。ポリマーは、熱硬化性または熱可塑性樹脂を含むことができる。
【0016】
導電性高分子組成物は、ポリマー内に分散され得(たとえば、ポリマーマトリックスとして)、コンプライアント層の電気的な導電性を向上させることができる、導電性粒子を含むことができる。導電性粒子は、銀、金、銅などの金属であるか、または上記金属を含むことができる。たとえば、導電性粒子は、銀、銅、金、ニッケル、スズ、チタン、もしくは他の導電性金属であるか、または上記導電性金属を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、コンプライアント層は、銀充填ポリマー、ニッケル充填ポリマー、銅充填ポリマーなどを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の導電性粒子は、ベース材料の上に形成される導電性材料の層を備えることができる。たとえば、1つまたは複数の導電性粒子は、卑金属(たとえば、銅)の上に貴金属(たとえば、銀、金など)の層を備えることができる。
【0018】
コンプライアント層は、ASTM D638-14にしたがって約23℃および20%相対湿度で試験される場合、約20GPa未満、いくつかの実施形態では約10GPa未満、いくつかの実施形態では約5GPa未満、またいくつかの実施形態では約3GPa未満のヤング率を有することができる。
【0019】
コンプライアント層は、低い電気抵抗を示すことができる。たとえば、コンプライアント層は、ASTM B193-16にしたがって試験され、約0.01オームセンチメートル未満、いくつかの実施形態では約0.001オームセンチメートル未満、またいくつかの実施形態では約0.0001オームセンチメートル以下である、体積抵抗率を示すことができる。
【0020】
外部終端のコンプライアント層は、モノリシック本体を導電性高分子組成物溶液に浸漬し、導電性高分子組成物の厚膜層を形成することによって、形成され得る。
【0021】
薄膜要素を備えることができるヒューズ層は、様々な好適な技法を使用して形成され得る。使用され得る技法の例は、化学蒸着(たとえば、化学気相蒸着)、物理蒸着(たとえば、スパッタリング)、または薄膜要素を形成するための他の任意の好適な蒸着技法を含む。さらなる例は、任意の好適なパターン形成技法(たとえば、フォトリソグラフィ)、エッチング、および薄膜要素を形成するための他の任意の好適なサブトラクティブ技法(subtractive technique)を含む。
【0022】
薄膜要素を備えることができるヒューズ層は、様々な好適な材料であるか、または様々な好適な材料を含むことができる。たとえば、高い導電性および延性を有する、銅を含む様々な金属が使用され得る。いくつかの実施形態では、薄膜要素は、ニッケル(Ni)であるか、またはニッケル(Ni)を含むことができる。
【0023】
ヒューズ層の厚さは、いろいろであり得る。ヒューズ層の厚さは、たとえば、いくつかの実施形態では、約0.05ミクロンから約40ミクロン、いくつかの実施形態では約0.1ミクロンから約30ミクロン、いくつかの実施形態では約0.5ミクロンから約10ミクロンの範囲であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヒューズトラックは、概ね真っ直ぐであり得る。たとえば、さらなる長さが必要であるか、または望ましい場合、他の構成が可能であることも理解されたい。例として、いくつかの実施形態では、ヒューズトラックは、湾曲していてもよく、ジグザグであってもよく、または正弦波の形状を有していてもよい。
【0025】
ヒューズトラックは、特定された時間内に最大電流を超える電流がヒューズトラックを流れるときに、「破損する」か、または「溶断する」(たとえば、端子同士の電気的接続を停止する)よう構成され得る。最大電流は、ヒューズ構成要素の定格電流に関連し得る。閾値電流は、たとえば、ヒューズが5秒以内に溶断するように、定格電流の250%であり得る。
【0026】
他の実施形態では、ヒューズは、約0.1アンペアから約4アンペア、またはそれを超える範囲の、またいくつかの実施形態では、約0.25アンペアから約2アンペアの範囲の最大電流を有することができる。しかし、他の実施形態では、ヒューズは、超低電流ヒューズとして構成され得る。かかる実施形態では、ヒューズの最大電流は、約5ミリアンペア(mA:milliampere)から約100mA、いくつかの実施形態では約10mAから約75mA、またいくつかの実施形態では約20mAから約50mAの範囲であり得る。
【0027】
薄膜ヒューズ構成要素は、少なくとも1つの端子を備えることができる。いくつかの実施形態では、構成要素は、一対の端子を備えることができる。しかし、他の実施形態では、構成要素は、3つ以上の端子を備えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、端子の数は、2から12、またはそれを超える範囲、いくつかの実施形態では2から10の範囲、またいくつかの実施形態では2から8の範囲であり得る。端子は、長手方向の中心線、横方向の中心線、またはその両方に関して対称に配置され得る。たとえば、構成要素は、両側に2つの端子、両側に3つの端子、両側に4つの端子、またはそれを超える端子を備えることができる。
【0028】
端子は、複数の層を備えることができる。層は、浸漬、スクリーン印刷、電気めっき、化学蒸着(たとえば、化学気相蒸着)、物理蒸着(たとえば、スパッタリング)、または他の任意の好適な技法などの、様々な技法を使用して形成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、端子は、基板の第1の端部の上に形成され、薄膜ヒューズトラックと電気的に接触している第1の層を備えることができる。導電性材料の第1の層は、銅であるか、または銅を含むことができる(たとえば、導電性ペーストの浸漬または印刷を使用して形成される)。他の実施形態では、導電性材料の第1の層は、金、銀、白金、ニッケル、銅、鋼、またはそれらの組合せなどの、他の様々な好適な材料であるか、または他の様々な好適な材料を含むことができる。コンプライアント層は、第1の層の上に形成され得る。ただし、コンプライアント層と基板との間に複数の層が形成されてもよいことを理解されたい。
【0030】
いくつかの実施形態では、端子は、第1の層の上に形成され得るコンプライアント層の上に形成され得る、1つまたは複数のさらなる導電層を備えることができる。たとえば、第2の層が、コンプライアント層の上に形成され得る。したがって、コンプライアント層は、第1の層と第2の層との間に形成され得る。いくつかの実施形態において、第3の層が、第2の層の上に形成され得る。第2および/または第3の層は、はんだづけ可能な導電性材料を含むことができる。たとえば、第2の層は、ニッケルであるか、またはニッケルを含むことができる。第3の層は、スズであるか、またはスズを含むことができる。別法として、第2および/または第3の層は、スズ、ニッケル、鉛、もしくはそれらの混合物であるか、または上記を含むことができることを理解されたい。
【0031】
端子の第1の層の厚さは、約10ミクロンから約200ミクロン、いくつかの実施形態では約15ミクロンから約100ミクロン、いくつかの実施形態では約15ミクロンから約80ミクロン、またいくつかの実施形態では約20ミクロンから約60ミクロンの範囲であり得る。
【0032】
端子のコンプライアント層の最大厚は、約10ミクロンから約200ミクロン、いくつかの実施形態では約15ミクロンから約100ミクロン、いくつかの実施形態では約15ミクロンから約80ミクロン、またいくつかの実施形態では約20ミクロンから約60ミクロンの範囲であり得る。
【0033】
コンプライアント層の最大厚の、ヒューズ層の厚さとの比は、約0.25から約100、いくつかの実施形態では約0.3から約50、いくつかの実施形態では約0.5から約30、いくつかの実施形態では約1から約20、いくつかの実施形態では約2から約10、またいくつかの実施形態では約3から約8の範囲であり得る。たとえば、比較的小さい接点領域(薄いヒューズ層に対応する)を有するヒューズは、ヒューズ層と外部端子との間の接点領域での熱応力を低減する、比較的厚いコンプライアント層の恩恵を受けることができる。したがって、上記の比は、ヒューズ層と外部端子との間のより堅牢で信頼性の高い接続を実現し、それによってヒューズを、より堅牢で信頼性の高いものにすることができる。
【0034】
端子の第2の層の厚さは、約1ミクロンから約30ミクロンの範囲、いくつかの実施形態では約2ミクロンから約20ミクロンの範囲、いくつかの実施形態では約3ミクロンから約15ミクロンの範囲、いくつかの実施形態では約4ミクロンから約10ミクロンの範囲、たとえば約7ミクロンであり得る。
【0035】
端子の全体的な厚さ(たとえば、第1の層と、存在する場合は、続く任意の層との両方を含む)は、好ましくは、約15ミクロンから約60ミクロン、またいくつかの実施形態では、約20ミクロンから約40ミクロンの範囲であり得る。
【0036】
ヒューズ層は、薄膜ヒューズトラックに接続された1つまたは複数の接点パッドを備えることができる。第1の接点パッドが、薄膜要素と電気的に接続され得、接点パッドは、基板の第1の端部または第2の端部の一方まで延在し、かつ第1の端部で外部端子うちの一方に電気的に接続されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、構成要素は、ヒューズ層の上および/または下に形成された、少なくとも1つの接着層を備えることができる。接着層は、ヒューズ層と隣接する層との間の接着力を向上させるのに好適な様々な材料であるか、または様々な材料を含むことができる。接着層は、たとえば、Ta、Cr、TaN、TiW、Ti、またはTiNのうちの少なくとも1つを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、接着層は、タンタル(Ta)(たとえば、タンタルまたはタンタルの酸化物もしくは窒化物)であるか、またはタンタルを含むことができ、接着力を向上させるために、ヒューズ層と基板との間に形成され得る。別の例として、いくつかの実施形態では、接着層は、ヒューズ層の上およびパッシベーション層の下に形成され得、これは、以下でより詳細に説明される。接着層の材料は、理論に縛られることなく、格子不整合および残留応力などの現象を排するように選択され得る。
【0038】
接着層は、様々な好適な厚さを有することができる。接着層の厚さは、たとえば、いくつかの実施形態では、約100オングストロームから約2000オングストローム、いくつかの実施形態では約200オングストロームから約800オングストローム、いくつかの実施形態では約400オングストロームから約600オングストロームの範囲であり得る。
【0039】
代替の実施形態では、薄膜ヒューズ構成要素は、ヒューズ層の少なくとも一部の上に形成された1つまたは複数のパッシベーション層を備えることができる。パッシベーション層は、ヒューズ層の上に付着され得る。パッシベーション層は、薄膜ヒューズを覆い、端子を形成するために使用される堆積処理(たとえば、電気めっき)から保護することができる。パッシベーション層は、ポリマー材料を含む様々な好適な材料で形成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、パッシベーション層は、ポリイミドであるか、またはポリイミドを含むことができる。いくつかの実施形態では、パッシベーション層は、酸窒化ケイ素、Al2O3、SiO2、Si3N4、ベンゾシクロブテン、またはガラスのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、保護層は、パッシベーション層(存在する場合)の上に、またはヒューズ層の上に直接付着され得る。保護層は、約3ミクロンから約25ミクロン、いくつかの実施形態では約5ミクロンから約20ミクロン、またいくつかの実施形態では約7ミクロンから約15ミクロンの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、複数の保護層が使用され得る。
【0041】
基板、パッシベーション層、および/または保護層は、ガラス、セラミック、またはガラス-セラミック混合物などの、様々な無機材料で形成され得る。基板は、概ね、約10W/(m・K)未満、いくつかの実施形態では約5W/(m・K)未満、いくつかの実施形態では約3W/(m・K)未満、いくつかの実施形態では約2W/(m・K)未満、またいくつかの実施形態では約1W/(m・K)未満、またいくつかの実施形態では約0.1W/(m・K)を超えるなど、低い熱伝導率を有することができる。しかし、他の実施形態では、基板は、10W/(m・K)を超える熱伝導率を有することができる。たとえば基板は、酸窒化ケイ素、酸化ケイ素、ケイ素、アルミナ、サファイア、および/または別の好適な材料を含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、パッシベーション層および/または保護層は、ペースト(たとえば、ガラスペースト、ガラス-セラミックペーストなど)を堆積させることにより、またその後に続く焼成ステップにより形成され得る。しかし、任意の好適な処理が、パッシベーション層および/または保護層を形成するために使用され得る。
【0043】
図1は、本開示の態様による、薄膜ヒューズ構成要素100の一実施形態の斜視図である。
図2は、コンプライアント層を備える外部端子を示す、
図1の薄膜ヒューズ構成要素100の側部立面図である。
図1および
図2を参照すると、構成要素100は、基板102を備えることができる。基板102は、上面104、第1の端部106、および第1の端部106から長手方向110に離間された第2の端部108(
図1)を有することができる。
【0044】
ヒューズ層112は、基板102の上面104の上に形成され得る。ヒューズ層112は、薄膜ヒューズトラック114を備えることができる。ヒューズ層112は、約40ミクロン未満であるZ方向115の厚さ113を有することができる。ヒューズトラック114は、たとえば、
図1に示されているように、ほぼ真っ直ぐであり得る。たとえば、さらなる長さが必要であるか、または望ましい場合、他の構成が可能であることも理解されたい。例として、いくつかの実施形態では、ヒューズトラック114は、湾曲していてもよく、ジグザグであってもよく、または正弦波の形状を有していてもよい。
【0045】
ヒューズトラック114は、特定された時間(たとえば5秒)内に最大電流を超える電流がヒューズトラック114を流れるときに、「破損する」か、または「溶断する」(たとえば、端子同士の電気的接続を停止する)よう構成され得る。最大電流は、ヒューズ構成要素の定格電流に関連し得る。閾値電流は、たとえば、ヒューズが5秒以内に溶断するように、定格電流の250%であり得る。
【0046】
ヒューズ層112は、基板102の第1の端部106まで延在する第1の接点パッド116と、基板102の第2の端部108まで延在する第2の接点パッド118(
図2)とを備えることができる。接点パッド116、118は、ヒューズ層112の形成中に、ヒューズトラック204と一体的に形成され得る。第2の接点パッド118は、概ね、第1の接点パッド116と同様であり得る。たとえば、接点パッド116、118は、横方向の中心線120(
図2)に対して対称であり得る。ただし、接点パッド116、118は、4角の正方形、三角形、円形などを含む、任意の好適な形状を有することができることを理解されたい。
【0047】
表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素100は、薄膜ヒューズ層112の上に形成された1つまたは複数のパッシベーション層を備えることができる。たとえば、第1のパッシベーション層122は、薄膜ヒューズ層112の上に形成され得る。第2のパッシベーション層124は、第1のパッシベーション層122の上に形成され得る。
【0048】
表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素100は、基板102の第1の端部106に沿って配置され、ヒューズ層112の第1の接点パッド116に接続された、第1の外部端子140を備えることができる。ヒューズ構成要素100は、基板102の第2の端部108に沿って配置され、第2の接点パッド118に接続された、第2の外部端子142を備えることができる。
【0049】
第1の外部端子140は、たとえば、基板102の第1の端部106の上に形成され、第1の接点パッド116と電気的に接続された、第1のベース層146を備えることができる。第2の外部端子142は、基板102の第2の端部108の上に形成され、第2の接点パッド118と電気的に接続された、第2のベース層148を備えることができる。ベース層146、148は、基板102の端部106、108を浸漬して、銅、銀、金などの導電性材料の厚膜層を形成することによって、形成され得る。しかし、他の実施形態では、ベース層146、148は、めっき(たとえば、電解めっき、もしくは無電解めっき、またはその組合せ)などの、他の好適な技法を使用して形成され得る。
【0050】
第1の外部端末140は、第1のベース層146の上に形成された第1のコンプライアント層150を備えることができる。第2の外部端末142は、第2のベース層148の上に形成された第2のコンプライアント層152を備えることができる。コンプライアント層150、152は、導電性高分子組成物を含むことができる。たとえば、導電性高分子組成物は、たとえば上記のように、高分子材料(たとえば、エポキシ)および導電性粒子を含むことができる。
【0051】
コンプライアント層150、152は、長手方向110に、それぞれの最大厚153、155を有することができる。コンプライアント層150、152の最大厚153、155の、ヒューズ層112の厚さ113との比は、約0.25から約4の範囲であり得る。
【0052】
外部端子140、142は、コンプライアント層150、152の上に形成された、1つまたは複数のめっき層を備えることができる。第1の外部端末140は、たとえば、第1のコンプライアント層150の上に形成された第1のめっき層154を備えることができる。第2の外部端子142は、第2のコンプライアント層152の上に形成された第1のめっき層156を備えることができる。いくつかの実施形態では、任意選択で、第2のめっき層158、160がそれぞれ、第1のめっき層154、156の上に形成され得る。
【0053】
めっき層154、156、158、160は、種々の好適な金属で形成され得る。一実施形態では、第1のめっき層154、156はニッケルを含むことができる。第2のめっき層158、160は、スズを含むことができる。しかし、導電性材料の任意の好適な組合せが、第1のめっき層154、156、および/または第2のめっき層158、160に使用され得る。ただし、他の実施形態では、端子140、142は、相異なるめっき構成を有することができる(たとえば、第1のめっき層154、156および/または第2のめっき層158、160のうちの1つまたは複数がない)。
【0054】
いくつかの実施形態では、保護層が、ヒューズ100の外面に沿って露出され得る(たとえば、パッシベーション層122、124および/または基板102の底面157を覆って付着される)。保護層は、約5ミクロンから約25ミクロンの範囲の厚さを有することができる。保護層は、例として、ガラス、セラミック、またはガラス-セラミック混合物を含むことができる。
【0055】
パッシベーション層122、124は、一例として、ガラスもしくはガラス-セラミック混合物であるか、またはガラスもしくはガラス-セラミック混合物を含むことができる。保護層は、第2のパッシベーション層124の上に形成され得、ガラスもしくはガラス-セラミック混合物であるか、またはガラスもしくはガラス-セラミック混合物を含むことができる。
【0056】
図3Aは、本開示の態様による、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素200の別の実施形態の斜視図を示している。
図3Bは、
図3Aの表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素200の一部の斜視図を示している。薄膜ヒューズ200は、
図1を参照して以前に説明されたのと実質的に同じやり方で、ガラス、セラミック、またはガラス-セラミック基板層202から始めて、いくつかの層を備えるように構築され得る。ヒューズ層204は、たとえば、
図1を参照して上記で説明されたように、ヒューズ層の両端に一体的な接点パッド206を備えた、ヒューズトラック204を備えることができる。ヒューズ層204は、導電性材料を基板202上にスパッタリングすることにより、次いでヒューズトラック204および接点パッド206をパターン化することにより、形成され得る。ヒューズ層204は、銅またはニッケルを含むことができる。1つまたは複数の接着層が、ヒューズ層204の下および/またはヒューズ層204の上に形成され、ヒューズ層と隣接する層(たとえば、基板202および/または第1のパッシベーション層208)との間の接着力を向上させることができる。
【0057】
表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素200は、基板202の第1の端部250に沿って配置され、ヒューズ層204の第1の接点パッド206に接続された、第1の外部端子242を備えることができる。ヒューズ構成要素200は、基板202の第2の端部252に沿って配置され、第2の接点パッド254に接続された、第2の外部端子244を備えることができる。
【0058】
より具体的には、
図3Bを参照すると、薄膜ヒューズ200は、接点パッド206の導電層226(たとえば、ニッケル)を覆う第1の接着層216を備えることができる。薄膜ヒューズ200は、接点パッド206の導電層226の上に形成された第2の接着層236を備えることができる。この例では、導電層226および接着層216、236(存在する場合)は、約0.1ミクロンから約10ミクロン厚の範囲の総厚を有することができる。接着層216、236および導電層226は、基板202の上に連続的にスパッタリングされ得る(
図3A)。代替の実施形態では、Ni、Co、Fe、もしくはそれらの合金などの磁性金属、または適切な抵抗値/融点を有する銅などの他の金属が使用され得る。上記で論じられたように、他の材料および構成もまた使用され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、電極材料246が、導電層226(たとえば、ニッケルまたは銅を含む)の上に設けられ、かつ導電層226と接触状態にあり得る。電極材料246は、電極材料246が第1の外部端子242(
図3A)に接触するように、基板202(
図3A)の縁まで延在することができる。したがって、電極材料246は、ヒューズ層206と第1の外部端子242との間の接点領域を増加させて、ヒューズ層と第1の外部端子との間により堅牢な接続を形成することができる。その結果、ヒューズは、熱サイクルおよび熱応力に対して、より強靱であり得る。
【0060】
例示的な構成では、電極材料446は、銅(Cu)であり得、第1のパッシベーション層216の上に電気めっきされ得る。当業者に認識されるように、電極材料246を堆積する他の方法もまた使用され得る。電極材料246は、銅以外の導電性材料で製作され得ることも理解されたい。加えて、いくつかの実施形態では、ヒューズ構成要素200は、この追加の電極材料246がない場合があることを理解されたい。
【0061】
再び
図3Aを参照すると、電極材料246を配置することに続いて、酸窒化ケイ素(SiNO)の第1のパッシベーション層208が、ヒューズ層204上に形成され得る。第2のパッシベーション層210(または保護封止層)は、パッシベーション層208の上に形成され得る。最後に、ガラスカバー212、または別法として、他の絶縁材料が付着され得る。終端242、244は、コンプライアント層を備えることができ、概ね、
図2を参照して上記のように構成され得る。
【0062】
図4は、本開示の態様による、表面実装可能な薄膜ヒューズ構成要素を形成する方法400の流れ図である。概ね、
図1から
図3Bを参照して上記で説明された薄膜ヒューズ100、200を参照して、方法400について本明細書で説明することにする。しかし、開示される方法400は、任意の好適な薄膜ヒューズで実施され得ることを理解されたい。加えて、
図4は、例示および考察する目的で、特定の順序で実行されるステップを示しているが、本明細書で論じられる方法は、どんな特定の順序または配置にも限定されるものではない。当業者は、本明細書で提示される開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される方法の様々なステップが、様々なやり方で省略、再配置、組合せ、および/または適合され得ることを理解されよう。
【0063】
方法400は、(402)において、たとえば、
図1から
図3Bを参照して上記で説明されたように、第1の端部と、第1の端部から長手方向に離間された第2の端部とを有する基板を設けるステップを含むことができる。
【0064】
方法400は、(404)で、基板の上面の上に形成される、ヒューズ層を堆積するステップを含むことができる。ヒューズ層は、たとえば、
図1から
図3Bを参照して上記で説明されたように、薄膜ヒューズトラックを備えることができる。
【0065】
方法400は、(406)において、たとえば、
図1から
図3Bを参照して上記で説明されたように、基板の第1の端部に沿って、ヒューズ層と接続される外部端子を形成するステップを含むことができる。外部端子は、導電性高分子組成物を含むことができる、コンプライアント層を備えることができる。
【0066】
本主題は、本主題の特定の実施形態に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の理解に達すると、かかる実施形態の変更形態、変形形態、および同等物を容易に製造できることが理解されよう。したがって、本開示の範囲は、限定するためではなく例示するためのものであり、本開示は、当業者に容易に明らかとなるような本主題へのかかる修正形態、変形形態、および/または追加形態を含めることを、排除するものではない。
【国際調査報告】