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特表2022-541390移動装置のエネルギー蓄積器を充電する基板およびコンタクトシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】移動装置のエネルギー蓄積器を充電する基板およびコンタクトシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220915BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20220915BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20220915BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20220915BHJP
   B60L 5/36 20060101ALI20220915BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L53/66
B60M7/00 U
B60L5/36
B64D27/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577883
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2020056675
(87)【国際公開番号】W WO2021009699
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019000012207
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521566874
【氏名又は名称】スカイチャージ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】プイアッティ,レオ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H105BA09
5H105BB07
5H105CC05
5H105CC20
5H105DD03
5H105DD06
5H105EE15
5H105GG04
5H125AA11
5H125AC01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125CC06
5H125EE51
5H125FF12
5H125FF16
(57)【要約】
2つの導電性を有する2次端子(802)を備えるエネルギー吸収型移動装置(900;1000)に、電気エネルギーを供給するシステムであって、前記システムは、導電1次端子(101)を備える電源基板(100)と、供給制御サブシステム(700)と、を備える。導電1次端子(101)は、移動装置(900;1000)が基板(100)上に位置する際、2つの2次端子(802)と接触して配置されるのに適している。供給制御サブシステム(700)は、1次端子(101)に接続される出力線(701)を有するラインセレクタ(702)と、エネルギーを供給する整流器およびプログラム制御された電源(703)と、ラインセレクタ(702)および整流器およびプログラム制御された電源(703)に接続されるミニプロセッサ(704)と、を備える。ラインセレクタ(702)は、0より大きい電圧差が生じる2本の入力線(705)を有し、ミニプロセッサ(704)から受信した指令に基づいて、出力線(701)からなる、可能性のある全ての対に、電圧差を周期的に印加するよう構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの導電性を有する2次端子(802)を備えるエネルギー吸収型移動装置(900;1000)に、電気エネルギーを供給するシステムであって、前記システムは、
電源基板(100)と、
供給制御サブシステム(700)と、
を備え、
前記電源基板(100)は、前記基板(100)の上面に位置し、非導電材料(102)によって離間される複数の導電1次端子(101)を備え、前記1次端子(101)は、前記移動装置(900;1000)が前記基板(100)上に位置する際、前記2つの2次端子(802)と接触して配置されるのに適しており、
前記供給制御サブシステム(700)は、前記1次端子(101)に接続される出力線(701)を有するラインセレクタ(702)と、エネルギーを供給する整流器およびプログラム制御された電源(703)と、前記ラインセレクタ(702)および前記整流器およびプログラム制御された電源(703)に接続され、データおよびコマンドを送受信するミニプロセッサ(704)と、を備え、
前記ラインセレクタ(702)は、0より大きい電圧差が生じる2本の入力線(705)を有し、前記ミニプロセッサ(704)から受信した前記指令に基づいて、前記出力線(701)からなる、可能性のある全ての対、ひいては、それらに対応する前記1次端子(703)の対に、前記電圧差を周期的に印加するよう構成されている、ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記ミニプロセッサ(704)は、前記1次端子(101)からなる対のうちの1組間の電気回路が閉じたことを検知すると、前記電源(703)を操作して、前記電圧差の極性を逆にするよう構成される、ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記供給制御サブシステム(700)は、
対応する組の前記2つの1次端子(101)が、前記2つの2次端子(802)に接続され、識別されたことが検知されるまで、前記出力線(701)の対に前記電圧差を印加し、
前記電圧差とは異なる使用電圧を、前記2つの1次端子(101)に印加するよう、構成される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記供給制御サブシステム(700)は、前記2つの1次端子(101)が識別されてから、所定の遅延をもって、前記使用電圧を印加するよう構成される、ことを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1次端子(101)は、複数のセット(A乃至I)にグループ化され、1次端子(101)の複数のセット(A乃至I)は、互いに並列に接続され、前記ラインセレクタ(702)の前記出力線(701)と接続される、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記移動装置(900;1000)と、
前記移動装置(900;1000)に搭載されたコンタクトおよび識別サブシステム(800)と、
を備え、
前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)は、エネルギーアブソーバ(804)および前記2つの2次端子(802)を備え、
前記移動装置(900;1000)は、前記基板(100)の面上での位置に関わりなく、前記基板(100)上に配置されつつ、エネルギーを吸収するのに適する、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)は、検知回路(803)を備え、
前記ラインセレクタ(702)は、前記出力線(701)が、前記2つの2次端子(802)と電気的に接触する前記1次端子(101)の対に接続された際、前記ラインセレクタ(702)が電流を測定できるよう、前記検知回路(803)に向けて、電気回路を閉じ、
前記検知回路(803)は、入口側で使用電圧が検知され、前記エネルギーアブソーバ(804)にエネルギーが転送され始めると、前記エネルギーアブソーバ(804)側に向けて接続を構築するよう構成され、これにより、前記検知回路(803)の前記入口側で前記使用電圧が存在しない場合に、前記2次端子(802)がテンション下におかれることが回避される、ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)は、極性制御装置を備え、
前記極性制御装置は、前記電圧差の極性を決定するように構成され、前記極性が前記エネルギーアブソーバ(804)に供給する際に適した極性と一致しない場合、前記2次端子(802)および前記エネルギーアブソーバ(804)間の接続を入れ替えるよう構成される、ことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記2次端子(802)のそれぞれは、支持部(601)を有し、前記支持部(601)は、互いに隣接する2つの1次端子(101)間の非導電空間よりも大きい寸法を有する、ことを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
同じ前記1次端子(101)のセット(A乃至I)に属する前記1次端子(101)に同時に接触することを防ぐため、前記2次端子(802)は、前記1次端子(101)と寸法的な相関関係を有する、ことを特徴とする、請求項5と組み合わせた、請求項6乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記供給制御サブシステム(700)は、前記2次端子(802)と電気的に接触する前記1次端子(101)の対を識別し、前記2次端子(802)に印加する電圧の極性を識別するよう、前記検知回路(803)と通信可能に構成される、ことを特徴とする、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)は、識別のための固有識別子を有する識別回路を備え、
前記供給制御サブシステム(700)は、前記基板(100)および前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)間に構築された電気接続を通して、または、無線通信によって、前記識別回路から、前記固有識別子を取得するよう構成される、ことを特徴とする、請求項6乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記供給制御サブシステム(700)は、前記移動装置(900;1000)に、エネルギーを供給するよう構成され、その電圧および電流の値は、予め定められているか、前記識別回路から取得した前記固有識別子に紐づけられている、ことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項6乃至13のいずれか一項に記載のシステムを操作する方法であって、前記方法は、
前記ラインセレクタ(702)の、前記出力線(701)からなる可能性のある全ての対のそれぞれ、ひいては、対応する前記1次端子(703)の対に、0より大きい電圧差を印加することにより、前記出力線(701)の対に、周期的スキャンを実施する動作と、
前記電圧差が印加された前記1次端子(101)に電気的に接続される、前記ラインセレクタ(702)の前記出力線(701)の対の間にある回路が閉じられたことによって、第1電流を検知する動作と、
前記第1電流を分析し、前記第1電流の値が、前記2次端子(802)の回路が閉じられたことを示す特徴値範囲内にあるかどうかを判定し、前記2次端子(802)と接触する前記1次端子(101)からなる対を識別する動作と、
識別された前記1次端子(101)に使用電圧を印加する動作と、
前記2次端子(802)の入力側で電圧差が検知され、前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)が正確に識別された際に、エネルギーを前記移動装置(900;1000)に供給するため、前記エネルギーアブソーバ(804)を前記2次端子(802)に接続させる動作と、を含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項15】
第2電流を得るために、前記周期的スキャンを実施する動作時に印加する電圧差とは反対の符号を有する電圧差を、識別された前記1次端子(101)の対に印加し、前記第2電流の値を前記第1電流の値と比較して、前記使用電圧に適した極性を識別する動作をさらに含む、ことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1電流、または、必要であれば、前記第2電流が特徴値範囲にない場合、あるいは、補助センサがアラームを検知した場合、異常を知らせ、可能であれば、前記スキャン動作を中止する動作をさらに含む、ことを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記システムは、請求項12または13に記載されたシステムであり、
前記使用電圧を前記識別された前記1次端子(101)の対に印加する動作は、
前記2つの1次端子(101)および前記2次端子(802)間に構築された電気接続を通して、または、無線通信によって、前記識別回路(803)から、前記固有識別子を取得するサブ動作と、
所定のパラメータまたは前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)の識別に紐づいたパラメータに基づいて、前記使用電圧および電力を供給することにより、前記基板(101)から前記移動装置(900;1000)へ前記電力を供給するサブ動作と、を含む、ことを特徴とする、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記電圧差を前記1次端子(101)の対のそれぞれに印加した後、前記周期的スキャンを実施する動作は、前記供給制御サブシステム(700)によって、データパケット前記コンタクトおよび識別サブシステム(800)の識別に適したデータパケットが前記検知回路(803)から送信されるのを、所定の時間、待つ動作を含む、ことを特徴とする、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ミニプロセッサ(704)によって設けられた標準的なインターフェイスを通して、データおよび指令の送受信を外部システムに対して行う動作をさらに含む、ことを特徴とする、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1電流を分析する動作は、前記第1電流の値が、開回路、ショート、または誤接触のいずれを示しているのかを判定する動作を含む、ことを特徴とする、請求項14乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1電流、および、必要であれば、前記第2電流を分析する動作は、所定のシーケンスに準じて、前記ラインセレクタ(702)の、前記出力線(701)からなる可能性のある全ての対に対して、前記周期的スキャンを実施する動作を行ったあとに、実施される、ことを特徴とする、請求項14乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上車両や航空機といった移動装置のエネルギー蓄積器を充電するためのシステムに関連した分野に属する。
【背景技術】
【0002】
人の手を介することなく、あるいは、機械的な可動部品を使用することなく、自律走行型移動装置を駆動させるためのバッテリを接続・充電させる需要が高まっている。この需要は、種々の車両および蓄積器に適した多機能装置で、機構や部品を動かすことなく、自動で移動車両を充電できることを意味する。
【0003】
今日、移動装置のバッテリの充電において、いくつかの方法が知られているが、それらは、主に、充電バッテリを有する特定の装置用に設計されたシステムに依存するものである。
【0004】
今日利用されている主な方法は以下の通りである。
・手動あるいは自動の供給ケーブル接続
・移動装置の可能な機械的位置決めによる、バッテリ交換の自動化
・固定された充電用コンタクトに対する移動装置の移動
・移動装置に対する充電用コンタクトの移動
・移動装置に対する単一充電用コンタクトの移動
・強制ガイドによる移動装置の位置決めシステム
・移動装置の支持基板上の導電面および複数の電気接触による充電
・磁気誘導による充電
【0005】
今日利用さている技術における、主な限界は以下の通りである。
・コンタクト接続またはバッテリ交換自動化における電気機械的複雑性
・移動装置およびコンタクトシステムを正確に空間配置することの必要性
・移送できるエネルギー量の限界
・非絶縁かつ恒常的にテンション下にある導電面の存在
・露出しテンション下にある、移動装置のバッテリ端末の存在
・意図しない接触またはショートからの保護
・異なる電圧および電力を異なる移動装置に供給するための特定のレイアウトの必要性
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、動作性を改善しつつ、可動部品なしで、現行の方法における上述の問題点を解決すること、そして、幅広い移動装置に対するエネルギー供給を、効率的で確実、かつ安価な方法で実現すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、請求項1に記載のシステムおよび請求項14に記載の対応する方法によって、実現される。本発明のさらなる詳細は、対応する従属項において特定される。
【0008】
システムは、平面上に載置され、互いに電気的に絶縁状態にある導電1次端子のセットを備える導電基板と、1次端子に接続される供給制御サブシステムと、エネルギー吸収型移動装置に搭載されるサブシステム(以下、「コンタクトキット」とも称する)と、を備える。前記サブシステムは、2次端子と、識別回路と、可能であれば、バッテリを制御する回路と、を備える。
基板は、以下の条件がすべて満たされている場合に、エネルギーを供給する。
・移動装置が、基板上に載置され、2次端子が1次端子と電気接触状態にある場合
・供給制御サブシステムにより、移動装置のコンタクトキットを通して、移動装置が検知された場合
・供給制御サブシステムを介して、エネルギーを移動装置に供給するための、予め設定された制御条件が満たされている場合
【0009】
基板上面に配置された1次端子は、非導電材料によって、互いに絶縁された状態にあり、供給制御サブシステムと接続される。2次端子および1次端子は、移動装置に搭載された全ての2次端子が、同時に、基板上の一つのコンタクトに接触することを防ぐような、所定の相互的幾何関係を有する。さらに、移動装置に搭載の2次端子は、1次端子を電気的に解離させる非導電材料よりも、大きな寸法を有するコンタクトを有する。
【0010】
電気エネルギーの交換は、1次端子を介して行われるが、その1次端子は、移動装置が基板上に載置され、移動装置の2次端子が1次端子に接触した際に、識別される。2次端子に接触した1次端子の識別は、移動装置に搭載された識別装置および基板のラインセレクタ部品によって行われる。ラインセレクタ部品は、1次端子からなる、可能性のある全ての対に、電圧差を周期的に印加し、テンション下にある1次端子の対間の閉回路の可能性を検知する。閉回路によって、所定の値または所定の閾値範囲の特徴電流が検知されると、1次端子が識別されたとみなされる。1次端子の識別後、ラインセレクタは、識別された1次端子に、以前の電流とは符号が逆の電圧を印加する。これにより、所定の閾値範囲内の場合、次いで実施されるエネルギー転送時に、移動装置に供給される正しい極性を識別することができ、その極性を有する電流を生成することができる。
【0011】
例えば、外部の導電体により、テンション下にある2つの1次端子間に閉回路がある場合、検知された電流は、期待される特徴閾値範囲になく、よって、システムは異常を報告する。移動装置における検知およびその後の識別に続いて、基板は、供給制御サブシステム内に構築された制御基準に準じて、識別された1次端子を介し、電気エネルギーを移動装置に移動させる。
【0012】
本発明は、形状、寸法、および1次端子間の電気的絶縁形の異なる、複数の実施形態に利用可能である。
【0013】
さらなる実施形態において、基板から出ている導体の数を制限する目的において、1次端子は、グループ化される。それぞれのグループには、隣り合う1次端子が、同じ数だけ含まれており、グループ内の各端末は、他のグループに属する、対応する端末と、並列に接続されている。これにより、並列に接続された1次端子は、供給制御サブシステムに接続される。
【0014】
ここで、基板から出ている導体の数を制限が制限され、また、基板を構成する1次端子の合計数に依存せずに、導体の数を変更しなくてもすむ。こうした利点により、製造時の複雑さや、それに伴うコストを抑えつつ、1次端子の数を自由に増やすことができる。この場合、移動装置の2次端子間および基板の幾何的関係性は、移動装置が基板上に載置された際、移動装置に搭載された2次端子が、互いに並列に接続された1次端子に同時に接触することがないよう、設計される。1次端子の識別は、前述の通り、移動装置に搭載された識別装置およびラインセレクタ部品によって実行され、ラインセレクタ部品は、1次端子からなる、全ての可能性のある対に、周期的に電圧差を印加し、所定の特徴電流を有する、あるいは所定の閾値を有する、可能性のある閉回路を検知する。
【0015】
別の実施形態において、移動装置のコンタクトキットおよび供給制御サブシステム間の固有識別子のやりとりによって、移動装置の2次端子を識別してもよい。本実施形態において、コンタクトキットは、構成データを有する不揮発性メモリを備えたマイクロプロセッサを、それ自体に備えている。
【0016】
別の実施形態において、1次および2次コンタクト間の異なる幾何的関係性を有する、複数の2次コンタクトを、前述したものと同様の検知および識別技術を用いて、使用してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の主な利点として、以下の事項が挙げられる。
・基板平面上において移動装置を自由に載置できる点
・移動装置の種類に依存しない点
・転送可能な電流および印加可能な電圧に制限がないため、効率的にエネルギーを転送できる点
・寸法におけるスケーラビリティおよび特定の要求に合わせた異なる形態に対応可能な柔軟性
・操作上の安全性
・可動部品がなく、低コストで製造できる点
【0018】
以下に、「発明を実施するための形態」で参照する図面について説明する。図面で示される移動装置は、無人陸上車両(UGV)および垂直離陸航空機であるが、異なる種類の移動装置であってもよい。添付の図面において、非制限的な例として示される、好ましい実践的な形態を参照して、本発明の特徴および利点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、基板の斜視図を示す。
図2図2は、基板の上面を上から見た図を示す。
図3図3は、基板の上面を上から見た図であり、1次端子のセットを示す。
図4図4は、1次端子を、供給制御サブシステムのラインセレクタ部品に接続した様子を示す。
図5図5は、基板の上面を上から見た図であり、移動装置の2次端子および1次端子間の寸法関係性を示す。
図6図6は、1次端子の一部の詳細図であり、1次端子間の絶縁空隙に対する、移動装置の2次端子のコンタクトの寸法を示す。
図7図7は、基板の供給制御サブシステムを示す。
図8図8は、移動装置に搭載されたサブシステムの部品を示す。
図9A図9Aは、2次端子を腹部に搭載した、無人陸上車両を構成する移動装置の側面図である。
図9B図9Bは、2次端子を腹部に搭載した、無人陸上車両を構成する移動装置の正面図である。
図10図10は、2次端子を支持脚部に搭載した、垂直離陸航空機を構成する移動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面内の要素は、本文の理解を容易にするために示されており、実際の寸法を必ずしも表しているわけではない。例えば、本発明による異なる実施形態をより理解するため、図面内の一部の要素の寸法や相対位置は、他の要素と比較して誇張して示されている場合がある。さらに、本技術における、工業的製造で必要とされる既知の要素については、本発明の内容をより平易かつ明らかなものとするため、開示あるいは提示をしない場合がある。当業者にとって明らかなように、特定の動作または工程を、特定の順序で開示あるいは提示する場合がある。ここで用いられる用語および表現は、特に明記されない限りは、当業者が用いる、当技術において一般的な意味を持つものとする。
【0021】
ここに示す本発明は、導電基板およびエネルギー吸収型移動装置間の電気接続システムと、基板からエネルギー吸収型移動装置への電気エネルギー供給制御と、に関する。
【0022】
本システムを構成するものとして、以下の要素を説明する。
A)コンタクト基板
B)供給制御サブシステム
C)移動装置に搭載されたコンタクトおよび識別サブシステム
【0023】
A)コンタクト基板
図1および図2に示すコンタクト基板100は、互いに電気的に絶縁状態にあり、非導電材料からなる基板の上面に配列された1次端子101のセットを備える。
【0024】
図1および図2に示す実施形態において、1次端子101は、電気的に導電性を有する素材からなる四角形のタイル状に形成されており、非導電材料102により、互いに解離している。図3および図4を参照すると、1次端子は、並列の導体401を介して、互いに並列して接続する1次端子からなる、複数のセットにグループ化されている。これにより、1次端子は、マルチプレクサと呼ばれるラインセレクタ部品702の出力線701に接続される。図3は、9つの1次端子がグループ化された、1次端子101の配置を示す。ここで、各1次端子は、セット「A」、セット「B」、…セット「I」と称するセットに属する。セット内の全ての1次端子は、ケーブル401の下側またはプリント回路のトラックに接続され、互いに並列に配置されている。1次端子からなる各グループの並列は、したがって、図4に模式的に示すように、ラインセレクタ702が有する、9つの出力線701のうちの一つに接続される。利点として上述したように、基板から出る導体の数は、1次端子からなるセットの数と同じであり、本実施形態では、9つである。これにより、基板を供給制御サブシステムに接続する導体の数を制限しながら、複数あるいは多数の1次端子を有する基板を形成することができる。
【0025】
さらなる可能性を有する実施形態において、1次端子からなるグループの数および1次端子の形状は、変更してもよい。例えば、1次端子が六角形を有する場合、1次端子のグループは7組であり、ひいては、ラインセレクタと接続する基板から出る導体も同様である。あるいは、1次端子のグループが単一のコンタクトを備え、前記コンタクトは、ラインセレクタのラインと直接接続されている。後者の場合、ラインセレクタの数は、1次端子の数と同じである。上述した範囲内であれば、さらに別の構成および形状も可能である。
【0026】
B)供給制御サブシステム
図7に示す供給制御サブシステム700は、ラインセレクタ部品702と、プログラム制御されたAC/DC電源供給ステージ703と、ミニプロセッサ704と、を備える。ミニプロセッサ704には、適切なソフトウエア、およびデータやシステム構成を格納する不揮発性メモリが設けられている。こうした構成要素は、図7の模式図によれば、データ接続707を介して、外部データ接続706とともに、ネットワークまたはその他プロセッサに向かって、相互に接続される。図4に示すように、マルチプレクサ702は、2つの直流供給入口705を出口701に接続し、出口701は、反対に、1次端子からなる、セット「A」、セット「B」、…セット「I」の9つのセットに接続される。供給ステージは、交流および直流の電力を変換する。さらに、データ接続707により、マイクロプロセッサ704からの指令を通して、電圧および出力直流をプログラミングする可能性を有する。
【0027】
マイクロプロセッサ704は、ラインセレクタ702および移動装置に搭載されたコンタクトおよび識別サブシステム800と通信して、データを取得し、エネルギー伝送をモニタリングし、業界標準のプロトコルに従って、有線あるいは無線で指令を送信する。
【0028】
C)コンタクトおよび識別サブシステム
図8に示す、移動装置に搭載されたコンタクトおよび識別サブシステム800は、検知・識別・保護の目的を有する検知回路803と、2つの2次端子802を有するサポート801と、を有する。図8はまた、エネルギーアブソーバ804および制御回路805を示す。これにより、同図において、非制限的な例として模式的に示されるように、バランスケーブル806およびパワーケーブル807を介して、バッテリ804と接続するバッテリ管理システム(BMS)からなる電力アブソーバが制御される。図9Aおよび図9Bにおいて、移動装置の側面図および正面図が示される。ここで、移動装置は、2次端子802用のサポート801が搭載された無人陸上車両(UGV)である。図10において、移動装置として、2次端子802用サポート801が、支持脚部のうちの一つに搭載されている垂直離陸航空機1000が示されている。
【0029】
図5および図6を参照すると、移動装置に搭載された2つの2次端子802の寸法、つまり、その相互距離と、単一コンタクト802のコンタクト領域601の直径とは、基板の1次端子101の寸法および形状と、基板の1次端子101間に介在する電気的絶縁体102の寸法と、に幾何学的な相関関係にある。図5および図6に示す例では、1次端子が四角形を有している。これにより、移動装置の2次端子間に存在する距離の最小寸法501および最大寸法502、さらには、単一2次コンタクトのコンタクト領域601の最小寸法が示される。図6に示す通り、移動装置に搭載されたコンタクトキットの単一2次コンタクト802の寸法は、コンタクト面601を有する。コンタクト面601は、絶縁体102よりも大きな直径を有していることが好ましい。
【0030】
上述した実施形態において、1次端子が四角形を有する図5および図6をさらに参照すると、移動装置に搭載されたコンタクトキットの2次端子802間の距離は、以下の条件を満たすことが好ましい。
図5で501として示すように、1次端子の対角線および絶縁体の対角線の2倍の合計よりも大きいか、同等の距離
図5で502として示すように、1次端子101の辺の長さおよび絶縁体102の合計の2倍よりも小さいか、同等の距離
【0031】
筒状または球状の頭部を有するばねの圧力、導電性を有するリング、錫めっきを施した銅線、グラファイト、またはその他の形状および材料によって、移動装置の2次端子802を形成してもよく、これにより、充分な電気コンタクトや必要とされる電流を確保することができる。2次端子802は、それぞれ、一つあるいは複数のコンタクトポイントからなるものであってもよい。サポート801または2次端子802は、それぞれ、強固な、あるいは、弾性的なサポート、または制御可能な可動操作アームのどちらかによって、移動装置に搭載されてもよい。2次端子802間の距離、移動装置のコンタクト領域601の寸法、そして、1次端子の対応する幾何的関係性は、1次端子の形状や、1次端子間に介在する電気的絶縁体の距離に応じて、上述したものと異なるものであってもかまわない。
【0032】
動作
移動装置1000または900が基板100上に載置された際、基板の1次端子101および移動装置の2次端子802間の寸法関係により、移動装置に搭載された2次端子802は、1次端子からなる異なるセットに属する、基板の2つ以上の1次端子101と、電気的に接続する。ラインセレクタ部品は、周期的に、1次端子の異なるセットに接続し、1次端子101からなる、可能性のある全ての対に対して、スキャンを実施する。1次端子の第1対が、2次端子802と電気的に接続された場合、検知回路803に対し、電気回路を閉じ、電流を測定する。測定された電流が、所定の閾値の範囲内である場合、2次端子802と接触する基板の1次端子101が識別される。
【0033】
これにより、供給制御サブシステム700は、移動装置の2次端子802に接続された1次端子101を識別する。好ましくは、続いての識別フェーズにおいて、印加電圧の極性を入れ替えることにより、供給制御サブシステム700は、第2電流を測定する。これら2つの電流の異なる値を利用して、次のエネルギー伝送において1次端子101に印加する極性をシステムに示す。
【0034】
別の実施形態では、前述したその後識別フェーズを実施せず、最初のスキャンフェーズで検知された電流の値から、直接、正しい極性を推論する。
【0035】
1次端子101および移動装置に印加する電圧の極性方向の識別を実行した後、供給・制御システムは、使用電圧を、2次端子802および検知回路803内の導体809に接続された、識別された1次端子に印加する。入口電圧を検知する際、検知回路803は、エネルギーアブソーバ側の接続を開く。これにより、入力ケーブル809を出力ケーブル808に接続し、予め設定されたパラメータを有するエネルギー伝送を介しする。
【0036】
以下では、供給制御サブシステム700の状態を参照しながら、動作手法を詳細に説明する。
【0037】
スキャン状態
供給制御サブシステム700は、テスト電圧を印加することで、異なるセットの1次端子と接続された1次端子101からなる、全ての対に対し、周期的にスキャンする。1次端子101の異なるセットに属する、1次端子101の対の電気回路が開いている場合、供給制御サブシステム700は、続けて、次の1次端子101の対を対象とする。
【0038】
このフェーズでは、対象の1次端子101に対し、スキャンの間(数ミリ秒)だけ、電圧が印加される。さらに、安全上の理由から、印加電圧は、非常に低く(数ボルト)、供給する電力は限定される。異なるセットに属する1次端子101の対の電気回路が閉じられていた場合、結果的に、供給制御サブシステム700に分析されながら電流は通過し、必要であれば、状態が変化する。
【0039】
好ましくは、供給制御サブシステム700は、スキャンを停止して、1次端子101の対にショート状態が検知されるとすぐに、直接次のフェーズに移る。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、次のフェーズに移る前に、供給制御サブシステム700は、前述した1次端子101からなる全ての対に対して、スキャンを実施し、各対で検知された電流または対応する回路状況を保存する。
【0041】
スキャンされた1次端子101の対のシーケンスは、1次端子101からなる、全ての可能性のある対を含むように組まれる。ここで、各対は、逆の順序で2回使用される。したがって、こうしたシーケンスは、明らかであるように、N×(N-1)で表される濃度を有する、1次端子101のセットのうち2つの要素を繰り返すことなく、組合わせのセットと一致する。ここで、Nは、1次端子101の数を示す。これにより、1次端子101の各対は、シーケンスの中で2回選択され、それぞれが、異なる極性のもとに選択される。
【0042】
別の実施形態において、1次端子101の対を対象としたシーケンスは、1次端子101からなる、可能性のある全ての対を有するように組まれる。ただし、上述の順序の逆転は含まれない。こうしたシーケンスは、明らかであるように、前述の実施形態と比較すると、半分の濃度を有する、1次端子101のセットのうち2つの要素を繰り返すことなく、組合わせのセットと一致する。本実施形態では、印加される適切な極性は、2次端子802に接続された1次端子101の対が識別された後に、後述される事項に基づいて、決定される。有利な点として、本実施形態によれば、前述した実施形態と比較すると、より短い時間でスキャンの実施が可能となる。
【0043】
明らかなように、上述のセットA乃至Iを形成するため、1次端子101が並列で接続されている場合、。以上に開示した事項は、スキャンの各パスにおいて、1次端子101のセットA乃至Iが、単一1次端子101の代わりに選択されるよう、変更がなされる。
【0044】
異常が発生した状態
電流の値が検知され、例えば、導電または一部導電性を有する異物の存在により、その値が期待される閾値を上回る、あるいは、下回る場合、システムは、異常を示すステータスに切り替わり、一時的にスキャンを止める。
【0045】
軌道前の状態
電流の値が検知され、その値が予め設定された閾値の範囲内である場合、1次端子101は、正確に識別されている。
【0046】
識別状態
前段階で識別された1次端子101に対し、極性を逆転させた電圧を印加する。これにより、逆側の電流が印加されると、検知回路803の異なるインピーダンスにより、異なる値を有する電流が生成される。また、この値が、予め設定された閾値の範囲内である場合、システムは、1次端子101に印加される適切な極性を決定することができ、これにより、コンタクトキットおよびそれを搭載する移動装置を識別することができる。
【0047】
本発明の別の実施形態によれば、1次端子101における上述の極性の入れ替えは行われず、適切な極性は、前述の値が電流の第1インターバルの範囲にあるかどうかによって、検知された電流の値より推察される。この場合、適切な極性は、第1極性として識別される。また、値が電流の第2インターバルの範囲にある場合は、適切な極性は、第1の極性とは反対の極性として識別される。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態によれば、極性の入れ替えの可能性は、1次端子101のレベルでは行われず、むしろ、移動装置1000のコンタクトおよび識別サブシステム800のレベルで行われる。サブシステムは、図示しない、既知の極性制御装置を備え、前記装置は、例えば、検知回路803に一体化されるか、または、2次端子802およびエネルギーアブソーバ804の間に介在する。こうした極性制御装置は、2つの識別された1次端子101との接続により2次端子802に存在する電圧差の極性を判定するよう構成され、上記の極性がエネルギーアブソーバ804の供給に適したものと一致しない場合は、2次端子802およびエネルギーアブソーバ804間の接続を入れ替えるよう、構成される。
【0049】
供給前の状態
識別フェーズが終了し、所定の時間のインターバルが終了すると、適切な極性を有する使用電圧が、コンタクトキットに印加される。時間をあけて印加することで、エネルギーアブソーバを冷却することができる。また、移動装置に送信される温度を示す信号に対しても、相関性を有する。
【0050】
供給状態
供給制御サブシステム700は、2次端子に接続された1次端子に使用電圧を印加し、それにより、テンション下にあるにある検知回路803の入口導体809を待機させる。検知回路803が電圧と検知すると、エネルギーアブソーバに向かう電気接続が開かれ、これにより、電流の吸収が開始される。 供給制御サブシステム700は電流を検知し、供給状態に切り替わる。続いて、電気回路が開いた場合、供給制御サブシステム700は、スキャン状態に戻る。
【0051】
供給後の状態
バッテリの充電が完了したとみなされた場合、供給制御サブシステムは、エネルギー供給および続くスキャンフェーズを、所定の時間間隔(任意に設定可能)だけ、一時停止させる。これにより、バッテリの寿命を最適化させる狙いがある。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、試験電圧および使用電圧は、同じ電源703によって供給されない。電源703は、マイクロプロセッサ704によって制御される。これにより、必要な場合に、2つの電圧のそれぞれを供給する。
【0053】
本発明の別の実施形態によれば、図示しないが、前述の2つの電圧は、2つの異なる電力源によって供給されてもよく、その両方が、マイクロプロセッサ704によって制御される。
【0054】
さらなる実施形態では、特徴電流値のかわりに、移動装置の検知・識別や、モニタリングの実行、指令や予め設定されたインストラクションの送信に適したデジタル信号を利用して、上述の動作を実行してもよい。この場合、移動装置に搭載された検知回路803は、マイクロプロセッサと、ソフトウエアプログラムや固有識別子を含むパラメータを格納するのに適した不揮発性メモリと、を有する。
【0055】
前述の識別フェーズは、識別回路803との通信を構築し、その固有識別子を取得することにより、供給制御サブシステムによって実行されてもよい。
【0056】
スキャン状態にある場合、制御・供給サブシステムは、上述したように、周期的に1次端子の対を接続し、各接続において、所定の時間、待機して、検知回路803からデータパケットが送信されるのを待つ。検知回路803は、1次端子の識別および移動装置に搭載されたコンタクトキットの識別を実行する役割を担う。こうした動作モードにより、起こり得る異常、例えば、2つの1次端子間のショートなどが報告され、障害となることなく、スキャンが継続されて、データパケットを提供する、可能性の高い1次端子の対が探索される。これにより、続くエネルギー交換が可能になる。上述の動作モードにより、移動装置に紐づいた識別子とリンクした、特定のパラメータを有するエネルギー供給が可能となる。例えば、基板上に載置された特定の移動装置の役割として、時折、電圧および起動電力の値を設定することができ、移動装置より供給制御サブシステム700に送信されるパラメータを検知することができる。
【0057】
供給制御サブシステム700は、ミニプロセッサ704によって、全ての動作パラメータを制御し設定する指令を実現することができる。安全性の観点および装置の完成度の観点から、1次端子101間に、導電材料や部分的に導電性を有する材料が存在すること、または、例えば、基板上の外部の導電材料によってショートが引き起こされていること等の、想定される異常な導電事象を検知するために、供給されたエネルギーをモニタリングする。供給されたエネルギーをモニタリングすることにより、蓄積器の充電状態および充電の完了を判断することができ、実際に伝送されたエネルギーを見積もることができ、充電シーケンスの履歴分析や、蓄積器の内部インピーダンスの間接的測定等によって、蓄積器が正常に機能できる状態かどうかを判断することができる。
【0058】
可動機構や部品を設けないことにより、また、スキャンフェーズにおける、非常に短い時間インターバルのみで印加される低電圧および制限されたエネルギーにより、基板の動作は、本質的に安全性が担保されている。さらに、移動装置に搭載されたサブシステムにより、検知回路803の入口側において、使用電圧が存在しない場合に、移動装置の2次端子802がテンション下にある状態を回避する。例えば、バッテリによって構成されるエネルギーアブソーバの場合、移動装置が基板上に載置されていない場合、従来であれば、露出する危険性のある2次端子802に対して、本発明の利点により、バッテリ電圧安全にもたらされる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の傑出した側面として、以下の事項が挙げられる。
・移動装置を基板平面に対して、自由に載置できる点
・コンタクトシステムが移動車両等から独立している点
・転送電力または印加電圧に制限がないため、効率的にエネルギーを転送できる点
・移動車両および充電ステーション間の接触の構築から、エネルギー転送までを、遠隔操作およびモニタリングで、完全自動で行える点
・操作上の安全性
・寸法におけるスケーラビリティおよび特定の要求に合わせた異なる形態に対応可能な柔軟性
・可動部品がなく、低コストで製造できる点
【0060】
移動装置の充電蓄積器に電気エネルギーに電気エネルギーを供給する本システムは、その産業上の利用として、蓄積器による電源で動く多数の装置に、容易かつ低コストで応用可能である。以下に、そうした装置の例を挙げる。
・陸上車両(例えば、UGV)
・航空機
・ロボット
・産業用操作システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-A】
図9-B】
図10
【国際調査報告】