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特表2022-541413ハイブリッド整合回路網のトポロジー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド整合回路網のトポロジー
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/40 20060101AFI20220915BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H03H7/40
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501172
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020038899
(87)【国際公開番号】W WO2021007017
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】16/506,373
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520190366
【氏名又は名称】コメット テクノロジーズ ユーエスエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】アントニー オリベティ
(72)【発明者】
【氏名】ティグラン ポゴシャン
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB22
2G084CC08
2G084DD53
2G084DD57
2G084HH08
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH27
2G084HH29
2G084HH43
(57)【要約】
本開示は、半導体加工のためにプラズマを利用するプラズマ発生システムに関連する。ここに開示されたプラズマ発生システムは、ハイブリッド整合回路網を採用する。プラズマ発生システムは、RF発生器及び整合回路網を含む。整合回路網は、インピーダンスの高速変動の間に低Qインピーダンス変換を実行するための第1段を含む。整合回路網は、高Qインピーダンス変換に対してインピーダンス整合を実行するための第2段を含む。整合回路網は、第1段及び第2段と結合したセンサをさらに含み、第1段及び第2段を連結するために使用される信号を計算する。整合回路網は、変調されたRF波形内の各状態を調節するのに十分機敏な第1段回路網と、RF変調波形内の単一の状態を調節するための第2段回路網とを含む。プラズマ発生システムは、整合回路網と結合しているプラズマチャンバーも含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピーダンスの高速変動の間に低Qインピーダンス変換を実行するための第1段整合回路網であって、
前記高速変動は、第2段整合回路網と関連する制御ループ帯域幅を超えるインピーダンスの変化として定義される、第1段整合回路網と、
高Qインピーダンス変換に対してインピーダンス整合を実行するための第2段整合回路網と、
前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網と結合しているセンサ素子であって、信号を検出し、前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網と連結するために使用される計算をする、センサ素子と、
を備える、整合回路網。
【請求項2】
前記第1段整合回路網は、切換式整合回路網を含み、
前記第2段整合回路網は、機械調節式整合回路網を含む、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項3】
前記第1段整合回路網は、固定コンデンサ及び電子装置の少なくとも1つを使用し、
前記スイッチは、一組のPINダイオード、SiCFET(silicon-carbide field effect transistor)、MOSFET(metal oxide field effect transistor)、IGBT(insulated gate bipolar transistor)、又はBJT(bipolar junction transistor)の少なくとも1つであってよく、
前記第2段整合回路網は、一組の真空可変コンデンサ又は空気可変コンデンサの少なくとも1つ、及び、一組のステッピングモータ、ブラシ付きDC(direct current)モータ、ブラシレスDCモータ又はACモータの少なくとも1つであってよい、請求項2に記載の整合回路網。
【請求項4】
前記第1段整合回路網は、連続的に可変なリアクタンス同調素子を含む、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項5】
前記センサ素子は、電圧及び電流を測定し、両方の位相、大きさ及びインピーダンスにおいて、前記測定された電圧と電流との間の関係を計算する、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項6】
前記センサ素子は、スイッチアクチュエータを動作させて前記第1段整合回路網を連結する、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項7】
前記インピーダンス変成器は、集中素子、π回路網を含む、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項8】
前記スイッチ端子の前半は、前記π回路網の第1側に配置され、
前記スイッチ端子の後半は、前記π回路網の第2側に配置される、請求項7に記載の整合回路網。
【請求項9】
前記第1段整合回路網の調節可能範囲は、前記スイッチ端子の少なくとも1つを無効にすることによって変更され得る、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項10】
前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網は、変調されたRF波形の同一の又は異なる部分でインピーダンス整合を実行する、請求項1に記載の整合回路網。
【請求項11】
高周波発生器と、
前記高周波発生器と結合し、インピーダンス整合した出力を発生させる整合回路網であって、
インピーダンスの高速変動の間に低Qインピーダンス変換を実行するための第1段整合回路網であって、
前記高速変動は、第2段整合回路網と関連する制御ループ帯域幅を超えるインピーダンスの変化として定義される、第1段整合回路網と、
高Qインピーダンス変換に対してインピーダンス整合を実行するための第2段整合回路網であって、
前記高Qインピーダンス変換は、2より大きなQ値を有し、
前記低Qインピーダンス変換は、2より小さなQ値を有する、第2段整合回路網と、
前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網と結合しているセンサ素子であって、信号を検出し、前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網と連結するために使用される計算をする、センサ素子と、を備える、整合回路網と、
前記整合回路網と結合して、前記整合回路網からインピーダンス整合した出力を受信するプラズマチャンバーと、
を備える、プラズマ発生システム。
【請求項12】
前記高周波発生器は、変調されたRF波形を発生し、
前記第1段整合回路網は、前記変調されたRF波形のそれぞれの状態を連結し、前記第2段整合回路網は、変調されたRF波形の単一の状態上で連結することができる、請求項11に記載のプラズマ発生システム。
【請求項13】
前記センサ素子は、プラズマチャンバーインピーダンスの高速変動を検出し、前記高速変動によって引き起こされるインピーダンスの変化を使用して前記第1段整合回路網を連結する、請求項11に記載のプラズマ発生システム。
【請求項14】
前記第1段整合回路網は、複数のRFスイッチを含む、請求項11に記載のプラズマ発生システム。
【請求項15】
第1の規定の閾値を超えるRF波の存在を決定することと、
電圧及び電流の大きさ及び位相の関係を計算して、ハイブリッド整合回路網の第2段整合回路網の調節を指示し、前記計算された前記電圧及び電流の大きさ及び位相の関係からインピーダンスを計算して、前記ハイブリッド整合回路網の第1段整合回路網の前記調節を指示することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網と関連する、並行制御ループの同時実行を可能にすることをさらに含み、それは、最短システム調節時間を達成するように前記ハイブリッド整合回路網の前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網を指示する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1段整合回路網が開放されるとき、前記第1段整合回路網は、フィルタとして機能する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1段整合回路網を連結することは、複数のスイッチ端子の状態を、前記第1段整合回路網内に設定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1段整合回路網は、前記第2段整合回路網への入力インピーダンスが前記第1段整合回路網の調節可能範囲に入るときに連結される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1段整合回路網及び前記第2段整合回路網の動作は、独立して、同時に又は順次に起こる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2019年7月9日に出願された米国特許出願第16/506,373号の優先権を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、プラズマ処理チャンバーは、高周波(RF(radio frequency))電力を利用してプラズマを発生させる。プラズマは、通常はRF周波数で交替する電流によって生成され、維持され、それは、プラズマチャンバー内で使用される原料ガスを励起し、イオン化する。プラズマ処理チャンバーは、半導体製作プロセスの間に、材料の表面処理又はプラズマエッチングのような工業プロセスのために使用されることがあるが、これらに限られるものではない。RF発生器とプラズマ負荷との間の効率的な電力伝達を達成するために、インピーダンス整合回路網は、一般に、負荷インピーダンスをソースインピーダンス(例えば50オーム)に整合させるために使用される。
【発明の概要】
【0003】
プラズマチャンバーは、大きく且つ急速に変わることがある電気的インピーダンスを引き起こす。インピーダンスが整合しないときに起こり得る、RF電力発生器の出力電気回路への電力の反射の被害を避けるために、RF電力発生器の出力インピーダンスがプラズマチャンバーの急速に変わる負荷インピーダンスにぴったりと整合することは重要である。インピーダンス整合装置(例えば整合回路網)は、プラズマ処理チャンバーの負荷インピーダンスをRF電力発生器の出力インピーダンスに整合させるために使用される。急速に変わる負荷インピーダンスに対して、整合回路網は、それに応じてインピーダンスを動的に整合させなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示のより完全な理解のために、ここに記載されたさまざまな特徴に合致する例は、同様な参照数字が同様な構造要素を指定する添付の図面と併用される以下の詳細な記述を参照して、より容易に理解されるだろう。
【0005】
図1】本開示のシステム及び方法に従った、ハイブリッド整合回路網のブロック図である。
図2】本開示のシステム及び方法に従った、ハイブリッド整合回路網のトポロジーの図である。
図3】8つのスイッチ端子を備える第1段整合回路網を備えるハイブリッド整合回路網に対する調節可能範囲を表示するスミスチャートである。このスミスチャートで説明される調節可能範囲は、図2のハイブリッド整合回路網のトポロジーに対応する。
図4】6つのスイッチ端子を備える第1段整合回路網を備えるハイブリッド整合回路網に対する調節可能範囲を表示するスミスチャートである。
図5】10個のスイッチ端子を備える第1段整合回路網を備えるハイブリッド整合回路網に対する調節可能範囲を表示するスミスチャートである。
図6】本開示のシステム及び方法に従った、負荷インピーダンスをソースインピーダンスに調節するインピーダンス変換を説明するスミスチャートである。
図7】本開示のシステム及び方法に従った、負荷インピーダンスをターゲットインピーダンスに整合させるインピーダンス変換を説明するスミスチャートである。
図8】本開示のシステム及び方法に従った、インピーダンス整合を実行する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
異なる有利な実装の記述は、例示の目的で提示され、網羅的であること又は開示された形式の実装に制限されることを意図していない。多くの変更及び変形(variation)は、当業者にとって明白であろう。さらに、実装は、他の実装と比較して異なる長所を提供することができる。選ばれた1つ又は複数の実装は、実装の原理、実際の用途を最も明確にするために、及び、期待された特定の使用に適したさまざまな変更を伴うさまざまな実装のための開示を当業者が理解できるようにするために、選択され、記述される。
【0007】
本開示が詳細に記述される前に、別段の指示がない限り、この開示は、記述されているか否かに関わらず具体的な手順又は物品に限定されないことが理解されるべきである。ここに使用されている専門用語は、特定の実装を記述することのみを意図し、本開示の範囲を制限することを意図していないことを、さらに理解すべきである。
【0008】
プラズマ処理の間、高周波(RF(radio frequency))発生器は、RF伝送線路及び回路網を介して、RF交流(AC(alternating current))波をプラズマ処理チャンバーに伝送する。RF発生器からプラズマ処理チャンバーへの電力の効率的な伝達を提供するために、整合回路網は、採用され、プラズマチャンバーによって引き起こされる、時間とともに変わるインピーダンスをRF発生器の最適な負荷インピーダンスに変換する。
【0009】
多くのRF整合回路網は、可変コンデンサ(capacitor)と、可変コンデンサの静電容量の値を制御するためのマイクロプロセッサを備える制御回路とを有する。RF整合回路網の様々な設定が存在してよい。ここに、真空可変コンデンサは、互いに関連して動かされ静電容量を変化させる2つの同心の金属リングを有する電気機械装置(electro-mechanical device)として定義されてよい。RF整合回路網内の可変コンデンサの値及びサイズは、プラズマ処理チャンバーの電力処理能力、動作周波数、及びインピーダンス範囲によって決定されてよい。
【0010】
パルス周波数変調は、プラズマ処理システムにおいて電力を供給するために一般に使用される技術である。ここに、パルス周波数変調は、あるデューティサイクルを有するある周波数において、少なくとも2つの別々の電力レベルの間で搬送波波形の振幅(amplitude)が変わる変調方法である。そのため、パルス波形内で供給される電力は、プラズマの特性に影響を与えることができ、それは、したがって、プラズマチャンバーの電気的インピーダンスを各パルス波形によって変化させることができる。各パルスの始めに、反射電力内のスパイクが生じ得る。
【0011】
多くのRFプラズマ発生システムは、さまざまな異なる電力状態に対する複数レベルのパルシングを採用する。プラズマチャンバーに供給される電力に基づいてプラズマの特性が変化することがあるので、各電力状態は、特有のインピーダンスと関連することがある。プラズマ処理の間、プラズマの変化は、非常に急速に(例えば、最大何十万ヘルツまでの速度で)起こる。真空可変コンデンサを有するような、多くの整合回路網は、一般に、およそ数百又は数千ミリ秒のオーダーで反応する。
【0012】
その結果、これらの整合回路網の多くは、複数レベルの電力状態の1つ(例えば高又は低振幅)を手に入れる(latch on to)ことに限定される。例えば、2つのレベルパルシングに対して、整合回路網は、高振幅又はより低い振幅の状態を手に入れ、他の状態の期間の間、位置を維持することができる。これは、システムが1つの状態の間は最適に、他の状態の間は準最適にふるまうであろうことを意味する。
【0013】
本開示は、インピーダンス変動の間に全てのインピーダンス状態に反応して低反射係数を維持することによって、全ての状態に整合させるメカニズムを提供する。有利には、本開示は、整合回路網内の調節時間を減少させる。ここに、調節時間は、整合回路網システムが調節されていない状態から調節された状態に達するまでにかかる時間の量として定義される。
【0014】
図1は、本開示のシステム及び方法に従った、ハイブリッド整合回路網100のブロック図である。有利には、ここに開示されたハイブリッド整合回路網100は、2段で調節可能な整合回路網を採用する。示されたように、ハイブリッド整合回路網100は、そのRF入力を、全て1つ以上の伝送線路105~108と結合しているRF入力109、第1段整合回路網101(例えばスイッチ回路網)、第2段整合回路網103(例えば機械調節式(mechanically-tuned)整合回路網)、センサ素子102、及びプラズマチャンバー104(例えば負荷)でRF発生器から受信する。ここに、ハイブリッド整合回路網100は、負荷インピーダンスをターゲット(例えばソース)インピーダンスに調整するために同時に又は順番に動作することができる、複数段の整合回路網として定義されてよい。
【0015】
第1段整合回路網101は、RF波形の異なる段の間のインピーダンスの高速変動に整合させることを担当し、第2段整合回路網103は、高Qインピーダンス変換を担当することができる。その結果、本開示のいくつかの実装において、インピーダンス調節の大部分は、第2段整合回路網103によって高Q変換に対して実行され、第1段整合回路網101は、パルス波形、チャンバー状態の変化、又は他の要因から生じる低Q変換に対するシステムインピーダンスを調節するために使用され得る。ここに、高速変動は、第2段整合回路網と関連する制御ループ帯域幅を超えるインピーダンスの変化として定義される。
【0016】
第1段整合回路網は、固定コンデンサ、及び、PINダイオード、SiCFET(silicon-carbide field effect transistor)、MOSFET(metal oxide field effect transistor)、IGBT(insulated gate bipolar transistor)又はBJT(bipolar junction transistor)電子スイッチを含んでよく、第2段整合回路網は、真空可変コンデンサ又は空気可変コンデンサと、ステッピングモータ、ブラシ付きDC(direct current)モータ、ブラシレスDCモータ又はACモータと、を含んでよい。
【0017】
有利には、ここに開示されたハイブリッド整合システムは、高速の、二次的な(secondary)整合回路網(例えば第1段整合回路網103)のストレスを減少させることができ、整合回路網を合わせる(dialing in)ことを援助してプラズマシステムをターゲットインピーダンスに調節することができる。
【0018】
ここに、高Q又は低Qは、高い又は低い品質係数(quality factor)を指す。Q値(Q factor)は、システムに蓄えられたエネルギーとシステム内で散逸したエネルギーの量との比として定義される。Q値は、無次元の単位であり、単一の素子に対して、素子のリアクタンスとその抵抗との比として表現される。整合回路網において、最小のQ値は、遂行される変換に対してエネルギーの最小の量が蓄えられる設定である。
【0019】
いくつかの実装において、高Qインピーダンス変換は、2より大きいQ値を有するものであり、一方、低Qインピーダンス変換は、2より小さいQ値を有するものである。
【0020】
図2は、本開示のシステム及び方法に従った、ハイブリッド整合回路網200のトポロジーの図である。ハイブリッド整合回路網200のトポロジーは、第1段整合回路網201、第2段整合回路網202、及びそこに結合しているセンサ素子203を説明する。いくつかの実装において、調節の大部分は、第2段整合回路網202によって実行され、一方、第1段整合回路網201は、低レベル及び高速のインピーダンス変動に対する「粗同調(coarse tuning)」を実装するために採用され得る。
【0021】
第1段整合回路網201の出力(例えばノード209/215)で感知された電圧及び電流は、それらが独立して作動するので、両方の段に同時に指示するために使用され得る。RF電力は、RF発生器によってシステム入力ノード208に供給され、それは、ハイブリッド整合回路網200経由でプラズマチャンバー(不図示)に供給される。
【0022】
示された実装において、第1段整合回路網201は、インピーダンス変成器217の2つの側にスイッチ端子210(例えばスイッチトキャパシタ)のバンク205、206を備えるインピーダンス変成器217を含む。まとめると、インピーダンス変成器217及びスイッチ端子210(例えばスイッチトキャパシタ)のバンク205、206は、規定された範囲内で、インピーダンスを整合させるための適応性を第1段整合回路網201に提供する。インピーダンス変成器217は、所望のインピーダンス変換を達成するために、集中素子π回路網、又は伝送線路のような分散した回路網を含むことができる。例えば、インピーダンス変成器217は、ターゲットインピーダンスを調節するための逓増及びステップダウンインピーダンス変換の両方を実行するためにπ回路網セクションを含むことができる。
【0023】
第1段の規定された範囲は、所与の周波数及び電力レベルにおける装置の用途及び利用可能性に基づいて成され得る設計上の選択である。狭い範囲を選択することは、所与の周波数及び電力レベルに対する第1段でのストレスを制限することができるが、それが使われ得る用途をも制限する。広い範囲を選択することは、反対の効果を有する。どちらの場合でも、システムは、同様に機能することができる。
【0024】
その結果、本開示は、インピーダンスを調節するために、スイッチ端子210(例えばスイッチトキャパシタ)のバンク205、206とともに使用されるインピーダンス変成器217を提供する。インピーダンス変成器217は、適切な電気長及び独特なインピーダンスを有する伝送線路の一部を挿入することによって実現され得る。例えば、4分の1波長インピーダンス変成器は、実インピーダンスを整合させるために使用され得る。しかしながら、直列又はシャントリアクタンス成分を加えることによって、複素負荷インピーダンスを実インピーダンスに変換することもできる。特に、4分の1波長変成器は、変換の品質係数Q及び用途次第で、特定の動作周波数における整合、及び1オクターブ以下の帯域幅にわたって許容できる整合を提供することができる。
【0025】
図2に示す実装において、インピーダンス変成器217は、集中素子π回路網を含む。インピーダンス変成器217は、伝送経路又は導波路と同じインピーダンス変換を実行し、より低い周波数においてさらにコンパクトにされ得るが、より制限された帯域幅を提供する。1つの実装において、集中素子のインピーダンス変成器217は、直列分岐(series branch)内のインダクタ216に加えて、シャント回路網分岐内のコンデンサ213、214で構成される。
【0026】
スイッチ212のバンク205、206は、個々の(例えばRF)スイッチ端子210を(スイッチ212のそれぞれの個別のバンク205、206内に)それぞれ含み、それは、第1段がいろいろな負荷インピーダンスを整合させることを可能にするスイッチ212及びリアクタンス同調素子221を含む。いくつかの実装においては、第1段の出力インピーダンスを第2段整合回路網の計算された入力インピーダンスの複素共役に共同で調節するスイッチ212の状態を決定するために、ハイブリッド整合回路網200のメモリ素子(不図示)内に記憶されるルックアップテーブルが参照されてよい。図2に示された実装において、バンク205、206は、スイッチ212の4つのスイッチ端子210をそれぞれ含み、したがって、8つのスイッチ端子210は、インピーダンス調節をもたらす。図3及び図4に関してより詳細に記述されるように、スイッチ端子210の数は、第1段整合回路網201の調節の正確さに影響を与えることができる。
【0027】
加えて、スイッチアクチュエータ204は、スイッチ端子210の各バンク205、206のために各スイッチ端子210と結合している。ここに、スイッチアクチュエータは、スイッチ端子210内のスイッチ212を連結(engaging)する(例えば閉じる)又は開放する(例えば開く)ことによってそのスイッチ端子210を回路に持ち込む又は回路から取り出すことを担当するシステムの一部として定義される。スイッチアクチュエータ204は、電気的、磁気的、光学的又は機械的な方法でスイッチ端子210のバンク205、206と結合することができる。示された実装において、スイッチアクチュエータ204は、スイッチ端子210のバンク205、206内の8つのスイッチ212と結合している。加えて、スイッチアクチュエータ204は、センサ素子203と結合している。センサ素子203は、スイッチアクチュエータ204を動作させて第1段整合回路網を連結する(engage)ことができる。
【0028】
スイッチ端子210のバンク205、206のスイッチ212の状態は、バイナリ形式で表現され得る。例えば、バンク205のスイッチ212が全て閉であり、バンク206のスイッチ212が開である第1段整合回路網201は、[1111 0000]で表現されてよい。同じく、バンク205、206のスイッチ212の前半が開であり、バンク205、206のスイッチ212の後半が閉である第1段整合回路網201は、[0011 0011]で表現されてよい。1つの実装において、スイッチ端子210の正確な設定状態をセンサ素子203からの測定値と関係させるために、ルックアップテーブルが使用されてよい。この場合、センサデータが受信され、処理された後に、スイッチ端子210を、第1段の入力208における反射係数(例えばガンマ)を最小化する状態の組に作動させることができる。
【0029】
センサ素子203は、示されたように、第2段整合回路網202の入力215と結合している。センサ素子203は、電圧及び電流、又は前進波と反射波との結合波(forward and reflected coupled waves)を検出することができる。センサ素子203は、電圧及び電流センサ、又は電圧、電流、前進若しくは反射波形を検出する双方向性結合器であってよい。特に、センサ素子203は、電圧及び電流を測定し、位相及び大きさ(magnitude)の両方において、測定された電圧と電流との間の関係を計算する。さらに、センサ素子203は、プラズマチャンバーインピーダンスの高速変動を検出することができ、高速変動によって引き起こされるインピーダンスの変化を使用して、第1段整合回路網201を連結することができる。
【0030】
整合回路網内の特定のノードにおける電圧及び電流の波形の、大きさの比と位相関係とが、自動整合回路網内の調節可能素子を指示するために使用され得ることは、本開示の利益を有する当業者によって理解されるべきである。この場合、注目に値する態様は、センサの位置と、それが収集する情報の種類である。このシステム内のセンサ素子203が存在するノードにおけるこれらの量の大きさの比と位相関係は、我々が回路網を整合させる第2段整合回路網(second-stage matching network matching network)を駆動することを可能にし、同時に第1段整合回路網内のスイッチ端子210を作動させることを可能にする。この実装において、大きさ及び位相は、回路網を整合させる第2段整合回路網内の調節可能素子を駆動するために使用され、これらの同じ値は、第2段整合回路網への入力インピーダンスを計算するために使用され、それは、第1段整合回路網に対する負荷インピーダンスである。このインピーダンスが算出されるとき、スイッチ端子210は、第1段の出力インピーダンスが、計算された負荷インピーダンスの負荷共役であるように作動する。これらの動作は、同時に独立して起こる。第2段整合回路網がその調節可能素子を自動調整して、その入力215を調査する(looking into)ガンマの最小化を達成するので、それは、第1段への入力においていくらかの負荷を常に引き起こす。したがって、ノード215を調査するインピーダンスがおおよそスイッチ端子210の使用できる設定の1つの複素共役であるどのような場合でも、第1段は、ノード208を調査するガンマを最小化することができ、それは、ハイブリッド整合システムへの入力である。第2段整合回路網がノード215で最小ガンマに向けて連続的に駆動するので、第1段は、スイッチ端子210を作動させ続けて、ノード208においてもっとも最適な(most optimal)インピーダンス整合を維持することができる。
【0031】
図2は、第2段整合回路網202の図も示す。いくつかの実装において、第2段整合回路網202は、従来型の整合回路網と同様に設定され得る。例えば、第2段整合回路網202は、1つ又は複数の可変コンデンサ218、219と、インダクタ220とを含んでよい。可変コンデンサ218、219は、例えば、機械的手段内の親ねじ(不図示)によって(例えばモータ211を使用して)、プラズマチャンバー(不図示)によって引き起こされるインピーダンスを変換するように調整され、ターゲットインピーダンス(例えばソースインピーダンス、通常は50オーム)を整合させることができる。
【0032】
図3は、8つのスイッチ端子210を含むハイブリッド整合回路網の第1段(図2参照)に対する調節可能範囲を表示するスミスチャート300である。このスミスチャートで説明される調節可能範囲は、図2のハイブリッド整合回路網のトポロジーの第1段整合回路網に対応する。特に、スミスチャート300は、第1段整合回路網201が8つのスイッチ端子210を有する、図2で説明されたハイブリッド整合回路網200のトポロジーを反映する。図3において説明される調節可能範囲302は、第1段整合回路網がターゲットインピーダンス(例えばこの例では50オーム)に変換することができる(例えば負荷)インピーダンスの範囲の共役である。
【0033】
いくつかの実装において、調節可能範囲301の外形(例えば輪郭)は、この例と異なり得る。調節可能範囲302の外形は、第1段整合回路網のトポロジーとリアクタンス同調素子の値とによって決定されてよい。この例において、スイッチ端子210内のリアクタンス同調素子221の値と、図2に示されたインピーダンス変成器217内のリアクタンス素子213、214、216の値は、調節可能範囲302の外形を決定することができる。
【0034】
特に、第1段整合回路網が有限の数の設定を伴う別々のシステムなので、ハイブリッド整合回路網の第1段整合回路網内のスイッチ端子210(図2参照)の数は、調節可能範囲302の密集度を決定する。その結果、第1段整合回路網内のスイッチ端子の数が多いほど、結果として生じる調節可能範囲302の密集度が大きくなる。いくつかの実装においては、8つのスイッチ端子は、ハイブリッド整合システムの入力における少ないガンマの量を容認し得る用途のために十分であるかもしれない。そのため、第1段整合回路網のために設計されたスイッチ端子の数は、ターゲットVSWRの主要因であるかもしれない。
【0035】
調節可能範囲302は、直交する弧307、308のインピーダンスグリッド306を含む。それぞれの一連の弧は、それぞれスイッチバンク205及び206(図2参照)内のリアクタンスの合計値の1つの増加を表す。307及び308の交点の1つの共役値である負荷インピーダンスは、ターゲットインピーダンスに正確に変換され得る。インピーダンスポイント305のように、これらの交点の間に落ちる負荷インピーダンスは、その負荷インピーダンスの共役を最も近く表すスイッチ設定を選択することによって、ターゲットインピーダンスに極めて近く変換され得る。
【0036】
例えば、調節可能範囲302内のインピーダンスポイント303は、水平及び垂直インピーダンスの弧307、308のまさに交点にある。その結果、第1段整合回路網は、この負荷インピーダンスを調節して、ソースインピーダンスを高度な正確さ(例えば50オームのソースインピーダンスに対して50+0.3jオーム)で整合させることができる。対照的に、第1段整合回路網は、中くらいから高い正確さ(例えば50.5-2.4jオーム)で負荷インピーダンスポイント305をソースインピーダンスに調節することができる。
【0037】
加えて、ハイブリッド整合回路網の第1段整合回路網は、VSWR301の外側だが調節可能範囲302内の負荷インピーダンスを調節することができる。例えば、特に水平及び垂直インピーダンスの弧307、308のまさに交点にあるインピーダンスポイント304により表される負荷インピーダンスは、高い正確さでソースインピーダンスに直接調節され得る。その結果、インピーダンスグリッド306の弧307、308の真上の負荷インピーダンスは、ソースインピーダンスから負荷インピーダンスへの距離にかかわらず、ソースインピーダンスに直接調節され得る。
【0038】
先述のように、調節可能範囲302の外形は、スイッチ端子210及びインピーダンス変成器の中のリアクタンス同調素子221(図2参照)の合計値によって決定され得る。パルシング又はプラズマチャンバー若しくは個々のプロセスの動作パラメータに起因するインピーダンスシフトの方向が知られていてよく特徴づけられている具体的な用途のために、一方向又は他方向に傾斜する第1段整合回路網の範囲を有することは、有利なことがある。
【0039】
図4及び図5は、第1段整合回路網の2つの考えられる実装に対する調節可能範囲を示す。これら2つの実装の間の違いは、スイッチ端子の数である。図4において、スイッチ端子の数は6つ、又はバンク毎に3つであり、それは、調節可能範囲401をもたらす。図5において、スイッチ端子210の数は10個、又はバンク毎に5つであり、それは、スミスチャート500上の調節可能範囲501をもたらす。別々のスイッチ設定の間の間隔は、図4において図5より大きい。したがって、最悪の場合のインピーダンス整合は、6つのスイッチ端子を備えるシステムにおいて10個のスイッチ端子を備えるシステムより深刻でないことがあり得る。
【0040】
図6は、本開示のシステム及び方法に従った、53-j30オームの負荷インピーダンス(インピーダンスポイント601)をターゲットインピーダンス(この場合50オーム)に調節するインピーダンス変換を説明するスミスチャート600である。示された例において、ハイブリッド整合回路網の第1段整合回路網は、負荷インピーダンスをターゲットVSWR606内に(例えばインピーダンスポイント602に)調節するために採用された。
【0041】
図6は、ハイブリッド整合回路網の第1段整合部品を介した電圧及び電流の位相及び大きさの変換を表すインピーダンス曲線603~605をさらに説明する。示された例において、インピーダンス曲線603は、スイッチの第1バンクと(例えばインピーダンス変成器の第1端で)関連し、一方、インピーダンス曲線605は、スイッチの第2バンクと(例えばインピーダンス変成器の第2端で)関連する。さらに、インピーダンス曲線604は、インピーダンス変成器のインダクタ素子と関連する。まとめると、曲線603~605は、単一のステップ内で負荷インピーダンスをターゲット(例えばソース)インピーダンス(例えばインピーダンスポイント602)に調節するために第1段整合回路網が受けるインピーダンス変換の経路を示す。先述のように、第1段整合回路網は、さまざまな実装において高い正確さで負荷インピーダンスをターゲットインピーダンスに調節することができる。例えば、インピーダンスポイント602は、50オームのターゲットインピーダンスに対して50オームに近接する(例えば48.4-2.8jオーム)。
【0042】
図7は、本開示のシステム及び方法に従った、負荷インピーダンス701をターゲットインピーダンス709に整合させるインピーダンス変換を説明するスミスチャート700である。この例は、開示されたようなセンサ配置を伴うハイブリッド整合回路網を使用することによって得られる長所をさらにはっきり示すために与えられる。どちらの段の回路網の調節の目標も完全に独立であってよいので、両方の制御ループは、不必要な相互作用が一切なく同時に動作することができる。示された例において、ハイブリッド整合回路網は、1-j31オームの負荷インピーダンス701を50オームのターゲットインピーダンス709に調節するために採用された。図7は、スミスチャート700と、ハイブリッド整合回路網の第1及び第2段整合回路網を介して負荷インピーダンス701をターゲットインピーダンス709に変換するためにとられる進路を表すインピーダンス曲線702~707を描く。
【0043】
示された例において、インピーダンス曲線702~704は、ハイブリッド整合回路網の第2段整合回路網の装置素子に起因するインピーダンス変換と関連する。同様に、インピーダンス曲線705~707は、ハイブリッド整合回路網の第1段整合回路網の装置素子に起因するインピーダンス変換と関連する。例えば、インピーダンス曲線705~707は、ハイブリッド整合回路網の第1段整合回路網の、スイッチ端子の第1バンク内のコンデンサ(例えば曲線707)、インピーダンス変成器のインダクタ装置素子(例えば曲線705)、及びスイッチ端子の第2バンク内のコンデンサ(例えば曲線706)に起因するインピーダンス変換と関連する。この例は、図2で選択されたトポロジーを使用し、ここで、第1段整合回路網201(図2参照)は、スイッチ端子210の2つのバンク205、206を備えるπ回路網であり、第2段整合回路網202(図2参照)は、可変シャントコンデンサ、可変直列コンデンサ及び固定直列インダクタを含むステップダウンL回路網である。このハイブリッド整合システムが第1段整合回路網及び第2段整合回路網に対する代わりの回路網のトポロジーを採用することができることは、そうすることが本開示の精神及び範囲から離れない限りにおいて、本解除の利益を有する当業者にとって明らかであるべきである。
【0044】
この例において、1-31jの負荷インピーダンス701は、第2段整合回路網によって28.4+8.2jに変換される。センサ203(図2参照)が第1段整合回路網の調節可能範囲内でインピーダンスを計算するとき、第1段整合回路網は、活動状態になることができる。スイッチ212(図2参照)は、計算された負荷インピーダンスの共役と最も近く整合する設定に作動することができる。スイッチ212(図2参照)が正しく作動した瞬間から、システムの入力における反射係数は、最小化されることがある。第2段整合回路網は、その入力215(図2参照)における反射係数を最小化するために駆動し続けることができる。ノード215(図2参照)を調査するインピーダンスが調節可能素子の動きとプラズマチャンバーによって引き起こされた負荷とによって変化するとき、もしノード215(図2参照)を調査するインピーダンスがまだその調節可能範囲内にあるなら、第1段整合回路網は、まだ活動状態であってよい。それらの動作が継続するとしても、システム全体の観点から、調節の目標は、すでに達成されている。
【0045】
さらに図7を参照すると、インピーダンス曲線707は、スイッチの第1バンクと(例えばインピーダンス変成器の第1端で)関連し、一方、インピーダンス曲線706は、スイッチの第2バンクと(例えばインピーダンス変成器の第2端で)関連する。さらに、インピーダンス曲線705は、インピーダンス変成器のインダクタ素子と関連する。まとめると、曲線705~707は、付加インピーダンスをターゲット(例えばソース)インピーダンス(例えばインピーダンスポイント709)に調節するために第1段整合回路網が受けるインピーダンス変換の経路を示す。先述のように、第1段整合回路網は、さまざまな実装において高い正確さで負荷インピーダンスをターゲットインピーダンスに調節することができる。例えば、インピーダンスポイント709は、50オームのターゲットインピーダンスに対して50オームに近接する(例えば50.2-0.4jオーム)。
【0046】
図8は、本開示のシステム及び方法に従った、インピーダンス整合を実行する方法のフローチャート800である。フローチャート800は、RF信号を検出すること(ブロック801)で始まる。RF信号は、ハイブリッド整合回路網の部品であるセンサ素子によって検出されてよい。検出されたRF信号が、振幅において、用途に従って定義される既定の閾値より大きい場合、センサは、調節手順を始めるために必要な計算(例えば位相誤差(phase error)、大きさ誤差(magnitude error)及びインピーダンス)を実行する(ブロック805)。位相及び大きさ誤差の振幅が規定の閾値より高くなく、計算されたインピーダンスが第1段整合回路網の調節可能範囲の内側でない場合、両方の段は、それらの予め設定された位置を維持する(ブロック802、804)。これらの予め設定された位置は、用途に依存し、回路網内の調節可能素子の使用可能な範囲内のどこにでも存在することができる。
【0047】
加えて、電圧及び電流の大きさ及び位相の関係を比較することによって発生する誤差信号がある閾値を上回る場合、それらは、第2段整合回路網内の可変素子を調節するために使用され得る(ブロック808)。電圧及び電流の大きさ及び位相の関係の違いから計算されるノード215(図2参照)の入力インピーダンスが第1段の調節可能範囲内にある場合(ブロック807)、スイッチ端子は、第1段の出力インピーダンスを計算された負荷インピーダンスの複素共役に整合させる設定に作動することができる(ブロック809)。RFが十分なレベルで検出されたが、位相及び大きさに由来する誤差信号がある閾値より小さい場合、第2段整合回路網内の調節可能素子は、調節目標が達成されたので、それらの現在の位置に残ることができる(ブロック802)。第1段整合回路網は、計算されたノードへの入力インピーダンスを連続的に監視し、その設定を変化させてその入力に見られる反射係数を最小化することができる。
【0048】
本開示は詳細に記述されたが、さまざまな変化、代替及び変更が、本開示の精神及び範囲から離れない限りにおいてなされ得ることは、本解除の利益を有する当業者によって理解されるべきである。開示の特徴に関する「又は(or)」及び「及び(and)」という単語の全ての使用は、与えられた状況で適切な(as is appropriate given the context)、リストされた特徴の任意の組合せを例が含むことができることを示す。
【0049】
ここに、用途の理解を助ける実装が詳細に記述されたが、先行技術によって制限されることを除いて、発明の概念が別な方法で、さまざまに具体化され採用されてよいことと、添付の特許請求の範囲がそのような変動を含むと理解されることを意図していることは、理解されるだろう。
【0050】
本明細書のいたるところでの「1つの実装(one implementation)」又は「実装(implementation)」への参照は、実装と関連して記述された特定の特徴、構造又は特性が本開示の少なくとも1つの実装に含まれることを意味する。したがって、本明細書のいたるところの様々な場所における「1つの実装において」又は「いくつかの実装において」という文言の出現は、必ずしもすべてが同じ実装を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実装における任意のふさわしい方法で結び付けられてよい。
【0051】
前述の明細書において、詳細な記述は、具体的な典型的な実装を参照して与えられた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記述されているような開示のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び変化がそこになされ得ることは、明白であろう。明細書及び図面は、その結果、制限的な意味というよりむしろ理解を助ける意味とみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】