(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】分散物
(51)【国際特許分類】
C01B 32/194 20170101AFI20220915BHJP
C01B 32/21 20170101ALI20220915BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20220915BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20220915BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220915BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C01B32/194
C01B32/21
C09K23/52
C09D17/00
C09D7/61
C09D201/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501207
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 GB2020051646
(87)【国際公開番号】W WO2021005368
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010901
【氏名又は名称】アプライド グラフィーン マテリアルズ ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チコシャ リン
(72)【発明者】
【氏名】フラマー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アップルヤード エス
(72)【発明者】
【氏名】ウェデル アール
【テーマコード(参考)】
4G146
4J037
4J038
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA02
4G146AB07
4G146CB09
4G146CB10
4G146CB35
4J037AA01
4J037AA08
4J037CB04
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4J037CC13
4J037CC17
4J037CC22
4J037EE28
4J037EE29
4J038HA036
4J038HA066
4J038HA476
4J038KA08
4J038KA09
(57)【要約】
2D材料/黒鉛ナノプレートレットの液体分散物を形成する方法が開示される。この方法は、(1)分散媒体を作製するステップと、(2)分散媒体に2D材料/黒鉛ナノプレートレットを混合するステップと、(3)2D材料/黒鉛ナノプレートレットの粒度を低減させるために十分な剪断力およびまたは破砕力を2D材料/黒鉛ナノプレートレットに受けさせるステップとを含む。液体分散物は2D材料/黒鉛ナノプレートレットと、少なくとも1つの粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2D材料/黒鉛ナノプレートレットの液体分散物を形成する方法であって、前記方法は、
(1)分散媒体を作製するステップと、
(2)前記分散媒体に前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットを混合するステップと、
(3)前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットの粒度を低減させるために十分な剪断力およびまたは破砕力を前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットに受けさせるステップとを含み、
前記液体分散物は、前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットと、少なくとも1つの粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットはグラフェンナノプレートレット、黒鉛ナノプレートレット、および2D材料ナノプレートレットのうちの1つ以上を含み、前記グラフェンナノプレートレットはグラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層還元型酸化グラフェンナノプレート、三層グラフェンナノプレート、三層還元型酸化グラフェンナノプレート、数層のグラフェンナノプレート、数層の還元型酸化グラフェンナノプレート、および6~10層の炭素原子のグラフェンナノプレートのうちの1つ以上を含み、前記黒鉛プレートレットは少なくとも10層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートを含み、前記黒鉛プレートレットは10~20層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~14層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~30層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、20~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、または20~40層の炭素原子を有する黒鉛フラック(flak)ナノプレートエス(es)のうちの1つ以上を含み、前記2D材料ナノプレートレットは六方晶窒化ホウ素(hBN)、二硫化モリブデン(MoS
2)、二セレン化タングステン(WSe
2)、シリセン(Si)、ゲルマネン(Ge)、グラフィン(C)、ボロフェン(B)、ホスホレン(P)、または前述の前記材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの粉砕媒体は、粉砕樹脂、強力なアンカー基で修飾されたポリマー、アルデヒド樹脂、またはこうした媒体の2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの非水性溶剤は、有機溶剤、酢酸ブチル、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブタノール、2ブトキシエタノール、その他のグリコールエーテル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸メチル、パラクロロベンゾトリフルオリド、酢酸tert-ブチル、炭酸プロピレン、および(1R)-7,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オン、またはこれらの溶剤の2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記分散媒体は前記少なくとも1つの粉砕媒体と、前記少なくとも1つの非水性溶剤とを含み、前記分散媒体を作製するステップは、
(i)前記少なくとも1つの粉砕媒体を前記少なくとも1つの溶剤に溶解させるステップと、
(ii)前記粉砕媒体溶液を実質的に均質になるまで混合するステップとを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
(iii)ステップ(ii)の完了後に、前記分散媒体に前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットを加えるステップと、
(iv)前記2D材料/黒鉛プレートレットが前記分散媒体中に分散されるまで、前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットおよび前記分散媒体を機械的に混合するステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットおよび分散媒体の混合物に剪断力およびまたは破砕力を受けさせるステップ(3)は、溶解機、ビーズミル、または3ロールミルの1つ以上を用いて行われる、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
2D材料/黒鉛ナノプレートレットと、少なくとも1つの粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含む、液体分散物。
【請求項9】
前記2D材料/黒鉛ナノプレートレットはグラフェンナノプレートレット、黒鉛ナノプレートレット、および2D材料ナノプレートレットのうちの1つ以上を含み、前記グラフェンナノプレートレットはグラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層還元型酸化グラフェンナノプレート、三層グラフェンナノプレート、三層還元型酸化グラフェンナノプレート、数層のグラフェンナノプレート、数層の還元型酸化グラフェンナノプレート、および6~10層の炭素原子のグラフェンナノプレートのうちの1つ以上を含み、前記黒鉛プレートレットは少なくとも10層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートを含み、前記黒鉛プレートレットは10~20層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~14層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~30層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、20~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、または20~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートのうちの1つ以上を含み、前記2D材料ナノプレートレットは六方晶窒化ホウ素(hBN)、二硫化モリブデン(MoS
2)、二セレン化タングステン(WSe
2)、シリセン(Si)、ゲルマネン(Ge)、グラフィン(C)、ボロフェン(B)、ホスホレン(P)、または前述の前記材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造のうちの1つ以上を含む、請求項8に記載の液体分散物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの粉砕媒体は、粉砕樹脂、強力なアンカー基で修飾されたポリマー、アルデヒド樹脂、またはこうした媒体の2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含む、請求項8または9に記載の液体分散物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非水性溶剤は、有機溶剤、酢酸ブチル、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブタノール、2ブトキシエタノール、その他のグリコールエーテル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸メチル、パラクロロベンゾトリフルオリド、酢酸tert-ブチル、炭酸プロピレン、および(1R)-7,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オン、またはこれらの溶剤の2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含む、請求項8~10のいずれかに記載の液体分散物。
【請求項12】
請求項1~7のいずれかに記載の方法を用いて製造される、請求項8~11のいずれかに記載の液体分散物。
【請求項13】
請求項8~12のいずれかに記載の液体分散物を含む、液体コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散物に関し、特に2次元(2D:two-dimensional)材料を含む分散物およびその分散物を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において参照される2D材料は、1つ以上の公知の2D材料、およびまたは少なくとも1つのナノスケール次元を有する黒鉛フレーク、またはその混合物を含む。それらの2D材料は、本明細書において集合的に「2D材料/黒鉛ナノプレートレット」または「2D材料/黒鉛ナノプレート」と呼ばれる。
【0003】
2D材料(単層材料と呼ばれることもある)は、原子の単層または最大で数層からなる結晶材料である。積層2D材料は、弱く積重ねられるか、または結合されて3次元構造を形成する2D層からなる。2D材料のナノプレートはナノスケール以下の厚さを有し、他の2つの次元は一般的にナノスケールよりも大きいスケールである。
【0004】
公知の2Dナノ材料は、グラフェン(C)、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、六方晶窒化ホウ素(hBN)、二硫化モリブデン(MoS2)、二セレン化タングステン(WSe2)、シリセン(Si)、ゲルマネン(Ge)、グラフィン(C)、ボロフェン(B)、ホスホレン(P)、または前述の材料のうち2つの2D垂直もしくは面内ヘテロ構造を含むが、それに限定されない。
【0005】
少なくとも1つのナノスケール次元を有する黒鉛ナノプレートは、10~40層の炭素原子を含み、かつ約100nm~100μmの範囲の側方寸法を有する。
【0006】
2D材料/黒鉛ナノプレートレット、ならびに特にグラフェンおよび六方晶窒化ホウ素は、物質界において興味深い多くの特性を有し、さらに多くの特性が発見されている。こうした材料およびそれらの特性の利用に対する大きな課題は、商業的プロセスで作製でき、かつ商業的に魅力的な、こうした材料が分散された組成物を製造することである。特にこうした組成物は、物質が販売され、既知の期間以内で貯蔵されてから使用されるために十分な貯蔵可能期間/寿命を有する必要がある。さらに、こうした組成物はユーザおよび/または環境にとって有害であってはならず、または少なくともあらゆる有害性は許容限度内である必要がある。
【0007】
2D材料/黒鉛ナノプレートレットに関連して直面する特定の問題は、水性および非水性溶剤における分散性が低いこと、および一旦分散されると、こうした分散物の安定性が低いことである。たとえば、1つのナノスケール次元を有するグラフェンナノプレートおよび/または黒鉛ナノプレートは、水性および非水性溶剤においてこの問題に直面する。六方晶窒化ホウ素ナノプレートも同じ問題に直面する。
【0008】
有害であることが公知であるか、またはその疑いがある2D材料/黒鉛ナノプレートレットにとって、特にそれが他の材料に封入されていないときは、分散物におけるそれらの2D材料/黒鉛ナノプレートレットの安定性が特に重要である。なぜなら、それらの2D材料/黒鉛ナノプレートレットが非空中浮遊物質に結合または封入されていないときに分散物の外に分離して乾燥すると、容易に空中浮遊するようになるからである。少なくとも1つのナノスケール次元を有する空中浮遊グラフェンナノプレートおよびまたは黒鉛ナノプレートは、もし肺に取り込まれればヒトおよび動物の健康に損害を与え得ると考えられる。他の2D材料/黒鉛プレートレットの有害性はなおも評価中であるが、他の2D材料/黒鉛ナノプレートレットも同様の有害性を示すだろうと想定することが賢明であると考えられる。
【0009】
2D材料/黒鉛ナノプレートレットは、表面積が大きく、かつ機能性が低く、その結果として湿潤させること、およびまたは溶液内に分散させることが困難であることが歴史的に証明されている。さらに、一旦分散された2D材料/黒鉛ナノプレートレットの凝集を防ぐことは非常に困難であることが公知である。
【0010】
湿潤および分散安定性の達成の方法の改善は、2D材料/黒鉛ナノプレートレットおよびそれらの特性の発見以来、熱心な研究対象となっている。
【0011】
良好な分散物を作製するためのパラメータはコロイド科学の分野で十分に確立されており、任意のコロイド系の自由エネルギーは、界面面積および界面張力の両方によって定められる。グラフェンの単層の理論上の表面積は約2590m2g-1であり、結果としてこれを分散させ得る条件の範囲は限られており、通常これらの条件は超音波処理および極性非プロトン性溶剤を含んでいた。
【0012】
グラフェン/黒鉛プレートレット(ここで黒鉛ナノプレートレットとは、ナノスケール次元と、10~20層と、約100nm~100μmの範囲の側方寸法とを有する黒鉛ナノプレートである)が分散されたときに分散物におけるそれらの安定性を維持するためには、それらのナノプレートレットの凝集を防ぐためのエネルギー障壁の生成が必要である。これは、静電または立体反発力のいずれかによって達成され得る。もしエネルギー障壁が十分に高ければ、ブラウン運動が分散物を維持するだろう。これは、以下のとおりに特徴付けられ得る1つ以上のアプローチを用いることによって達成されてきた。
a.溶剤の選択、
b.グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの化学的(共有結合)修飾、および
c.グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの非共有結合修飾。
【0013】
a.溶剤の選択
いくつかの溶剤、特にN-メチル-2-ピロリドン(NMP:N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(DMSO:Dimethyl sulfoxide)、およびジメチルホルムアミド(DMF:Dimethylformamide)は、グラフェン/黒鉛プレートレットの分散に特に良好であるとして同定されている。これらの溶剤は健康および安全性の問題を有しており、これらの溶剤は用いないことが望ましい。
【0014】
溶剤の相互作用は、表面エネルギーおよびハンセン(Hansen)溶解度パラメータの使用の両方によって合理的に説明されてきた。ハンセン溶解度パラメータを用いることによって、いくつかの溶剤が潜在的担体媒体として同定されたが、それらの有効性は、グラフェン/黒鉛プレートレットの機能性、分散のモード、分散からの時間、および/または分散物の温度に依存する。
【0015】
ハンセン溶解度パラメータを用いて分散の改善が達成されたとき、これはグラフェン/黒鉛プレートレットの表面に溶剤の層が発達したことによるものと考えられた。しかし通常、生じるエネルギー障壁は立体相互作用によって生じた小さいものであるため、こうした分散物は製造から数日以内に凝集する。
【0016】
b.グラフェン/黒鉛プレートレットの化学的(共有結合)修飾
グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの機能化は、官能基の可用性のレベルに顕著に依存する。(たとえば還元型酸化グラフェンなどにおいて)酸素が存在するとき、最も一般的な経路の1つは、ジアゾニウム塩を用いて機能性を導入することである。
【0017】
代替的に、機能性がない(純グラフェンまたは黒鉛)か、または機能性が非常に低いときは、機能性を導入するためにプラズマ修飾が用いられてもよい。これらのグラフェン/黒鉛ナノプレートレットをその後さらに処理して、新たな機能性の種を生成してもよい。プラズマ処理に対する最も重要な処理パラメータはプロセスガスである。なぜならプロセスガスは導入される化学基を定めるからであり、一方で使用されるプロセス時間および電力は、導入される官能基の濃度に影響する。
【0018】
グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの化学的機能化によってその分散性を改善できるが、その化学的機能化によって自身の欠陥も増加させてその特性に悪影響を与え得ることが観察された。これは明らかに望ましくない結果である。
【0019】
c.グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの非共有結合修飾
グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの非共有結合修飾は、付加的な化学ステップを伴わず、プレートレット内のsp2ドメインの損傷が回避されるという点で、共有結合修飾に対するいくつかの利点を有する。さまざまな相互作用が可能であり、その原則はπ-π、カチオン-π、および界面活性剤の使用である。
【0020】
π-π結合は、分散型または静電相互作用のいずれかを通じて達成されてもよい。たとえば多環芳香族炭化水素(PAH:polyaromatic hydrocarbons)、ピレン、およびポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)など、広範囲の芳香族ベースの系がグラフェンと相互作用することが示されている。
【0021】
カチオン-π結合は、金属または有機カチオンのいずれかを用いてもよい。一般的に有機カチオンが好ましく、イミダゾリウムカチオンは、それらのカチオンが平面的な芳香族構造であるために好ましい。
【0022】
多様な界面活性剤が商業的に入手可能であるため、界面活性剤は広く使用されている。通常、界面活性剤は最初にナノプレートの基部端縁に吸着され、次いで表面に吸着される。π-π相互作用の能力と、溶媒和が可能な平面状のテールとが存在するとき、吸着が促進される。グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの基部端縁および表面の機能性と、グラフェン/黒鉛ナノプレートレットが分散される媒体とに基づいて、非イオン性およびイオン性界面活性剤の両方が有効であることが示されている。
【0023】
上記の考察をまとめると、グラフェン/黒鉛ナノプレートレットの乾燥粉末を液体調合物中で用いるために湿潤、分散、および安定化させるために、高度に特定化された添加剤が必要とされる。他の2D材料/黒鉛ナノプレートレットに関しても同じことが当てはまることが理解される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の態様によると、2D材料/黒鉛ナノプレートレットの液体分散物を形成する方法が提供され、この方法は、
(1)分散媒体を作製するステップと、
(2)分散媒体に2D材料/黒鉛ナノプレートレットを混合するステップと、
(3)機械的手段を用いて、2D材料/黒鉛ナノプレートレットの粒度を低減させるために十分な剪断力およびまたは破砕力を2D材料/黒鉛ナノプレートレットに受けさせるステップとを含み、
この2D材料/黒鉛ナノプレートレットおよび分散媒体の混合物は、2D材料/黒鉛ナノプレートレットと、少なくとも1つの粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の第2の態様によると、2D材料/黒鉛ナノプレートレットと、少なくとも1つの粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含む液体分散物が提供される。
【0026】
本発明の第3の態様によると、本発明の第2の態様による液体分散物を含む液体コーティング系が提供される。
【0027】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、2D材料/黒鉛ナノプレートレットは1つ以上のグラフェンまたは黒鉛ナノプレートレットを含み、ここでグラフェンナノプレートレットはグラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層還元型酸化グラフェンナノプレート、三層グラフェンナノプレート、三層還元型酸化グラフェンナノプレート、数層のグラフェンナノプレート、数層の還元型酸化グラフェンナノプレート、および6~10層の炭素原子のグラフェンナノプレートのうちの1つ以上を含み、黒鉛ナノプレートレットは少なくとも10層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートを含む。
【0028】
いくつかの実施形態の本発明において、グラフェンナノプレートレットおよび黒鉛ナノプレートレットの一方または両方は、約100nm~100μmの範囲の側方寸法を有する。
【0029】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、2D材料/黒鉛ナノプレートレットは1つ以上の黒鉛ナノプレートレットを含み、ここで黒鉛ナノプレートレットは、10~20層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~14層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~30層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、20~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、または20~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートである。
【0030】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、2D材料/黒鉛ナノプレートレットは1つ以上の2D材料ナノプレートレットを含み、ここで2D材料ナノプレートレットは、六方晶窒化ホウ素(hBN)、二硫化モリブデン(MoS2)、二セレン化タングステン(WSe2)、シリセン(Si)、ゲルマネン(Ge)、グラフィン(C)、ボロフェン(B)、ホスホレン(P)、または前述の材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造のうちの1つ以上を含む。
【0031】
数層のグラフェン/還元型酸化グラフェンナノプレートは、4~10層の炭素原子を有し、ここで単層は0.035nmの厚さと、0.14nmの典型的な層間距離とを有する。
【0032】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、2D材料/黒鉛ナノプレートレットは、グラフェン/黒鉛ナノプレートレットを含む。
【0033】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの粉砕媒体は(粉末を含む)固体であり、分散媒体は少なくとも1つの固体粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含み、分散媒体を作製するステップは、
(i)少なくとも1つの固体粉砕媒体を少なくとも1つの溶剤に溶解させるステップと、
(ii)粉砕媒体溶液を実質的に均質になるまで混合するステップとを含む。
【0034】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの粉砕媒体は液体であり、分散媒体は少なくとも1つの液体粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含み、分散媒体を作製するステップは、
(i)粉砕媒体溶液を少なくとも1つの非水性溶剤中で実質的に均質になるまで混合するステップを含む。
【0035】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、この方法は、
(iii)固体の少なくとも1つの粉砕媒体に対するステップ(ii)または液体の少なくとも1つの粉砕媒体に対する(i)の完了後に、少なくとも1つの粉砕媒体溶液に2D材料/黒鉛ナノプレートレットを加えるステップと、
(iv)2D材料/黒鉛ナノプレートレットが粉砕媒体溶液中に実質的に分散されるまで、2D材料/黒鉛ナノプレートレットおよび少なくとも1つの粉砕媒体溶液の混合物を機械的に混合するステップとをさらに含む。
【0036】
好ましい粉砕媒体は、粉砕樹脂、強力なアンカー基で修飾されたポリマー、アルデヒド樹脂、およびアルデヒド樹脂であるLaropal(商標)A81を含むが、それに限定されない。Laropal A81はBASF、ディスパージョン&レジン事業部(Dispersions & Resins Division)、北米(North America)より商業的に入手可能である。
【0037】
本発明において使用するために好ましい非水性溶剤は有機溶剤を含むが、それに限定されない。好ましい溶剤は、酢酸ブチル、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブタノール、2ブトキシエタノール、その他のグリコールエーテル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸メチル、パラクロロベンゾトリフルオリド、酢酸tert-ブチル、炭酸プロピレン、および(1R)-7,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オン、もしくはこれらの溶剤の2つ以上の混合物であるか、またはそれを含む。(1R)-7,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オンは、Cyrene(商標)としてメルク(Merck)KGaA、独国(Germany)より商業的に入手可能である。
【0038】
いくつかの実施形態において、溶剤の添加は、分散手段の予め定められた動作期間の後に行われる。
【0039】
たとえばグラフェン/黒鉛ナノプレートレットなどの、乾燥2D材料/黒鉛ナノプレートレットは通常、一次粒子またはナノプレートレットの凝集体またはアグリゲートでできている。分散プロセスの際に、それらの凝集体またはアグリゲートは可能な限り破壊されて、2D材料/黒鉛ナノプレートレットの意図される適用のために好適なサイズの一次粒子またはナノプレートレットになる必要がある。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、分散手段とは、2D材料/黒鉛ナノプレートレットが分散媒体と混合されている間に、それらの材料に破砕作用および機械的剪断力の両方を加えるために好適な手段である。これを達成するために好適な装置は、たとえば溶解機、ビーズミル、または3ロールミルなどの、公知の粉砕またはミリング装置である。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、凝集体またはアグリゲートは破壊されて、それ以上破壊できないほどの粒度の粒子またはナノプレートレットにされることが好ましい。使用前の2D材料/黒鉛ナノプレートレットの製造および貯蔵は、しばしば2D材料/黒鉛ナノプレートレット分散物に対して望まれるよりも大きい粒子の形で行われるため、このことは有益である。
【0042】
2D材料/黒鉛ナノプレートレットの凝集体またはアグリゲートが縮小されて、より小さい粒子またはナノプレートレットになったとき、凝集体またはアグリゲートのサイズ縮小の結果もたらされた新たに形成された表面を迅速に安定化することによって、それらの粒子またはナノプレートレットの再凝集または再アグリゲートを防止することが助けられる。
【0043】
たとえば溶剤を含む分散媒体などの分散媒体と、2D材料/黒鉛ナノプレートレットとの間の界面張力が高いほど、界面面積を低減しようとする力が強くなることが見出されているため、本発明の方法は特に有益である。言い換えると、2D材料/黒鉛ナノプレートレットを再凝集もしくは再アグリゲートさせるか、または凝結体を形成しようとする力が強くなる。分散媒体と2D材料/黒鉛ナノプレートレットとの間の界面張力の制御を達成するために、一般的に湿潤剤が用いられる。この方式で、湿潤剤は新たに形成された表面を安定化して、2D材料/黒鉛ナノプレートレットの凝集、アグリゲート、およびまたは凝結を防止することを助ける。
【0044】
新たに形成された表面を安定化して、2D材料/黒鉛ナノプレートレットの凝集、アグリゲート、およびまたは凝結を防止する湿潤剤の作用は有益であるが、以下の悪い結果をもたらすことが見出された。
a)2D材料/黒鉛ナノプレートレットの特徴は、他の化合物と比べて大きい表面積を有することである。この大きい表面積は、2D材料/黒鉛ナノプレートレットが分散媒体中のすべての湿潤剤と有効に結合するという結果をもたらす。このことは、分散媒体中の他の化合物が望ましい速度よりも迅速に分散物から沈降することが見出されるという影響をもたらすだろう。
b)分散媒体中の湿潤剤の割合が増加することによって、最終的にすべての成分が懸濁されたままの分散物がもたらされることがある。しかし、分散物を形成するこのアプローチは、この分散物から形成されるコーティングが高度の水溶性を有することになるという問題を有する。これはコーティングの急速な破損をもたらすため、非常に望ましくないことである。
【0045】
本発明によると、粉砕媒体および溶剤溶液中の2D材料/黒鉛ナノプレートレットの混合物に対して分散手段が破砕作用およびまたは機械的剪断力を加えることによって、分散が改善される。
【0046】
本発明の方法の利点は、2D材料/黒鉛ナノプレートレットに対して作用するときの分散手段のミリング性能が、ミリングされる混合物中の粉砕媒体の存在によってさらに改善されることである。その改善は、より高速のミリング、ミリングプロセスにおける熱生成の低下、分散物における粒度がより均一になること、分散物におけるD50粒度が小さくなること、分散物の粘度の低下、公知の短い保存可能期間の分散物と比べて貯蔵安定性が高くなること、および分散物の単純な攪拌によって分散物から沈降していた任意の組み合わせの粉砕樹脂/2D材料/黒鉛ナノプレートレット粒子を再分散できることによって示される。
【0047】
本発明の第2の態様によると、2D材料/黒鉛ナノプレートレットと、少なくとも1つの粉砕媒体と、少なくとも1つの非水性溶剤とを含む液体分散物が提供される。
【0048】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態において、2D材料/黒鉛ナノプレートレットはグラフェンナノプレートレット、黒鉛ナノプレートレット、および2D材料ナノプレートレットのうちの1つ以上を含み、グラフェンナノプレートレットはグラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層還元型酸化グラフェンナノプレート、三層グラフェンナノプレート、三層還元型酸化グラフェンナノプレート、数層のグラフェンナノプレート、数層の還元型酸化グラフェンナノプレート、および6~10層の炭素原子のグラフェンナノプレートのうちの1つ以上を含み、黒鉛ナノプレートレットは少なくとも10層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートを含み、黒鉛ナノプレートレットは10~20層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~14層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、10~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~30層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、25~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、20~35層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレート、または20~40層の炭素原子を有する黒鉛ナノプレートのうちの1つ以上を含み、2D材料ナノプレートレットは六方晶窒化ホウ素(hBN)、二硫化モリブデン(MoS2)、二セレン化タングステン(Wse2)、シリセン(Si)、ゲルマネン(Ge)、グラフィン(C)、ボロフェン(B)、ホスホレン(P)、または前述の材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造のうちの1つ以上を含む。
【0049】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの粉砕媒体は粉砕樹脂、強力なアンカー基で修飾されたポリマー、アルデヒド樹脂、または2つ以上のこうした媒体の混合物のうちの1つ以上を含む。好ましい粉砕媒体は、BASF、ディスパージョン&レジン事業部(Dispersions & Resins Division)、北米(North America)より商業的に入手可能なアルデヒド樹脂であるLaropal(商標)A81を含むが、それに限定されない。
【0050】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの非水性溶剤は有機溶剤、酢酸ブチル、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブタノール、2ブトキシエタノール、その他のグリコールエーテル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸メチル、パラクロロベンゾトリフルオリド、酢酸tert-ブチル、炭酸プロピレン、および(1R)-7,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オン、または2つ以上のこれらの溶剤の混合物のうちの1つ以上を含む。(1R)-7,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オンは、Cyrene(商標)としてメルク(Merck)KGaA、独国(Germany)より商業的に入手可能である。
【0051】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態において、液体分散物は、本発明の第1の態様による方法を用いて製造される。
【0052】
詳細な説明を理解するために有用なさまざまな実施例をより良く理解するために、ここで単なる例として添付の図面を参照することとする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】表1のサンプルBA1~BA3に対する粘度と剪断速度との関係を示すグラフを提供する図である。
【
図2】表6のサンプルMEK1~MEK3に対する粘度と剪断速度との関係を示すグラフを提供する図である。
【
図3】表11のサンプルX1~X3に対する粘度と剪断速度との関係を示すグラフを提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0054】
本発明の方法を用いてグラフェン/黒鉛材料の分散物を製造し、他の技術を用いて比較サンプルを作製した。
【0055】
すべての分散物を水平ビーズミルにおいて製造した。分散物を最大速度の再循環モードにて15分間ミリングした。
【0056】
分散物の特徴付け
マスターサイザー(Mastersizer)3000において粒度を測定して、デアグロメレーションおよび粒度低減に対する粉砕樹脂および分散剤の有効性を定めた。
【0057】
分散物のレオロジー特性の理解を助けるために、粘度を測定した。キネクサスレオメータ(Kinexus Rheometer)を用いてこれを行った。
【0058】
タービスキャン・スタビリティ・アナライザ(Turbiscan Stability Analyser)を使用することによって、貯蔵安定性を定めた。タービスキャン・スタビリティ・インデックス(TSI:Turbiscan stability index)は、複数のサンプルの比較を可能にする安定性の相対的尺度である。それは相対的尺度として密接に関係する調合物の定量化可能な評価を可能にする。
【実施例1】
【0059】
実施例1:黒鉛材料A-GNP10の酢酸ブチル分散物
表1に示されるとおりの黒鉛材料A-GNP10および酢酸ブチルを含む、BA1~BA3として参照される分散物のサンプルを作製した。
【0060】
【0061】
黒鉛材料A-GNP10は、アプライド・グラフェン・マテリアルズUKリミテッド(Applied Graphene Materials UK Limited)、UKより商業的に入手可能であり、25~35原子層の厚さの黒鉛ナノプレートレットを含む。黒鉛ナノプレートレットは粉末として供給され、一般的に凝集されてナノプレートレットの塊にされる。
【0062】
サンプルBA1~BA3の各々は、以下のステップを用いて作製された。
1 サンプル中に存在する任意の粉砕樹脂およびまたは湿潤剤を酢酸ブチルに加えた。あらゆる固体が溶解して混合物が実質的に均質になるまで、これを攪拌した。
2 10wt%のAGNP-10を酢酸ブチルの重量に基づいて算出して混合物に加え、粉末が混合物に均一に分散されるまで攪拌した。
3 ビーズを用いたビーズミル内の15分間の再循環によって、混合物のビーズミルを行った。
【0063】
【0064】
【0065】
図1は、表1のサンプルBA1~BA3に対する粘度と剪断速度との関係を示すグラフを提供する。
【0066】
【0067】
【0068】
湿潤剤の使用によって、酢酸ブチル中のグラフェン分散にわずかな改善が提供される。粉砕樹脂の使用によって堆積およびシネレイシス(synereisis)が顕著に減少する一方で、最終的な性能特徴には影響しない。
【実施例2】
【0069】
実施例2:黒鉛材料A-GNP10のメチルエチルケトン分散物
表6に示されるとおりの黒鉛材料A-GNP10およびメチルエチルケトンを含む、MEK1~MEK3として参照される分散物のサンプルを作製した。
【0070】
【0071】
サンプルMEK1~MEK3の各々は、上記に示したサンプルBA1~BA3に関連して用いられたものと同じステップを用いて作製された。
【0072】
【0073】
【0074】
図2は、表6のサンプルMEK1~MEK3に対する粘度と剪断速度との関係を示すグラフを提供する。
【0075】
【0076】
【0077】
湿潤剤の使用によって、メチルエチルケトン中のグラフェン分散に改善が提供される。しかし、粉砕樹脂の使用では、結果として得られたTSIおよび顕著な不安定化がないことが示すとおり、分散安定性が顕著に改善される。最終的な性能特徴に対する影響は観察されなかった。
【実施例3】
【0078】
実施例3:黒鉛材料A-GNP10のキシレン分散物
表11に示されるとおりの黒鉛材料A-GNP10およびキシレンを含む、X1~X3として参照される分散物のサンプルを作製した。
【0079】
【0080】
サンプルX1~X3の各々は、上記に示したサンプルBA1~BA3に関連して用いられたものと同じステップを用いて作製された。
【0081】
【0082】
【0083】
図3は、表11のサンプルX1~X3に対する粘度と剪断速度との関係を示すグラフを提供する。
【0084】
【0085】
【0086】
湿潤剤の使用によって、キシレン中のグラフェン分散にわずかな改善が提供される。しかし、示されるとおりに粉砕樹脂の使用によって堆積およびシネレイシス(synereisis)が顕著に減少する一方で、結果として得られるTSIは顕著な不安定化を示さない。最終的な性能特徴に対する影響は観察されなかった。
【国際調査報告】