(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】フッ素樹脂支持膜
(51)【国際特許分類】
B01D 63/00 20060101AFI20220915BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B01D63/00 510
B01D63/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502049
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2020040941
(87)【国際公開番号】W WO2021011217
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521518057
【氏名又は名称】エスヴェーエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】プラット アンドリュー ジー
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】トロイナル ジョエル パトリック
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA41
4D006JA04A
4D006JA04B
4D006JA04C
4D006MA03
(57)【要約】
本開示は、ポリマー材料、並びに相対する外面と、相対する外面の少なくとも1つから外側に延びる離隔したリブとを有する連続的な基部で形成された支持シートを含むフィルタ用の支持膜に関する。離隔したリブは、隣接する離隔したリブで境界された連続的な流路を画定している。リブの高さと連続的な基部の高さの比は約2:1~約5:1の範囲である。リブと基層のアスペクト比が比較的高いと、フィルタの性能が向上し、膜を通ってろ過される流体のクロスフロー圧力降下が減少する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ用の支持膜であって、
ポリマー材料で形成され、且つ相対する外面を有する実質的に平面状の基部と、互いに離隔しており前記相対する外面の少なくとも1つから外側に延びる複数のリブとを含む支持シートを含み、前記リブが、前記リブで境界された連続的な流路を画定し、
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約2:1~約5:1の範囲である、支持膜。
【請求項2】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約1.0PSI以下である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項3】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約0.5PSI以下である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項4】
前記支持シートの厚さが約0.06~約0.19mm(約2.5~約7.5ミル)の範囲である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項5】
前記リブの高さが約0.05~約0.15mm(約2~約6ミル)の範囲である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項6】
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約4:1である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項7】
前記リブが、第1の端部から第2の端部に延びる連続的な外面を有し、前記第1の端部及び第2の端部が、前記相対する外面の少なくとも1つと接触しており、各リブの前記連続的な外面が、前記相対する外面の少なくとも1つに対して実質的に垂直な相対する側面を形成し有する、請求項1に記載の支持膜。
【請求項8】
各リブの前記連続的な外面が、前記2つの側面をつなぐ曲面を形成している、請求項7に記載の支持膜。
【請求項9】
各リブの前記連続的な外面が実質的にD字型である、請求項7に記載の支持膜。
【請求項10】
前記支持膜がパーフルオロアルコキシポリマーで作られている、請求項1に記載の支持膜。
【請求項11】
前記支持シートが多孔性である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項12】
前記支持シートの多孔度が少なくとも0.8である、請求項1に記載の支持膜。
【請求項13】
フィルタ用の支持膜であって、
ポリマー材料で形成され、且つ相対する外面を有する実質的に平面状の基部と、互いに離隔しており前記相対する外面の少なくとも1つから外側に延びる複数のリブとを含む支持シートを含み、前記リブが、前記リブで境界された連続的な流路を画定し、
前記リブが、第1の端部から第2の端部に延びる連続的な外面を有し、前記第1の端部及び第2の端部が、前記相対する外面の少なくとも1つと接触しており、各リブの前記連続的な外面が、前記相対する外面の少なくとも1つに対して実質的に垂直な相対する側面を形成し有する、支持膜。
【請求項14】
各リブの前記連続的な外面が、前記2つの側面をつなぐ曲面を形成している、請求項12に記載の支持膜。
【請求項15】
各リブの前記連続的な外面が実質的にD字型である、請求項12に記載の支持膜。
【請求項16】
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約2:1~約5:1の範囲である、請求項12に記載の支持膜。
【請求項17】
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約4:1である、請求項16に記載の支持膜。
【請求項18】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約1.0PSI以下である、請求項12に記載の支持膜。
【請求項19】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約0.5PSI以下である、請求項12に記載の支持膜。
【請求項20】
前記支持シートが多孔性である、請求項12に記載の支持膜。
【請求項21】
前記支持シートの多孔度が少なくとも0.8である、請求項12に記載の支持膜。
【請求項22】
フィルタであって、
ろ材、並びに
前記ろ材の表面に固定された支持シートであって、ポリマー材料で形成され、且つ相対する外面を有する実質的に平面状の基部と、互いに離隔しており前記相対する外面の少なくとも1つから外側に延びる複数のリブとを含み、前記リブが、前記隣接する離隔したリブで境界された連続的な流路を画定している支持シート
を含み、
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約2:1~約5:1の範囲であるフィルタ。
【請求項23】
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約4:1である、請求項22に記載のフィルタ。
【請求項24】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約1.0PSI以下である、請求項22に記載のフィルタ。
【請求項25】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約0.5PSI以下である、請求項22に記載のフィルタ。
【請求項26】
前記リブが、第1の端部から第2の端部に延びる連続的な外面を有し、前記第1の端部及び第2の端部が、前記相対する外面の少なくとも1つと接触しており、各リブの前記連続的な外面が、前記相対する外面の少なくとも1つに対して実質的に垂直な相対する側面を形成し有する、請求項22に記載のフィルタ。
【請求項27】
各リブの前記連続的な外面が、前記2つの側面をつなぐ曲面を形成している、請求項26に記載のフィルタ。
【請求項28】
各リブの前記連続的な外面が実質的にD字型である、請求項26に記載のフィルタ。
【請求項29】
前記支持シートが多孔性である、請求項22に記載のフィルタ。
【請求項30】
前記支持シートの多孔度が少なくとも0.8である、請求項22に記載のフィルタ。
【請求項31】
ハウジングを含むろ過カートリッジであって、
前記ハウジングが、
そこを通して流れる流体から汚染物質をろ過するよう構成されたフィルタ層と、
前記ハウジング全体に広がる少なくとも1つの支持シート層とを含み、前記少なくとも1つの支持シートが、ポリマー材料で形成され、且つ相対する外面を有する実質的に平面状の基部と、互いに離隔しており前記相対する外面の少なくとも1つから外側に延びるリブとを含み、前記リブが、前記隣接する離隔したリブで境界された連続的な流路を画定しており、
前記リブの高さと前記連続的な基部の高さの比が約2:1~約5:1の範囲であるろ過カートリッジ。
【請求項32】
前記リブの高さと前記基部の高さの比が約4:1である、請求項31に記載のろ過カートリッジ。
【請求項33】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約1.0PSI以下である、請求項31に記載のろ過カートリッジ。
【請求項34】
40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約0.5PSI以下である、請求項31に記載のろ過カートリッジ。
【請求項35】
前記リブが、第1の端部から第2の端部に延びる連続的な外面を有し、前記第1の端部及び第2の端部が、前記相対する外面の少なくとも1つと接触しており、各リブの前記連続的な外面が、前記相対する外面の少なくとも1つに対して実質的に垂直な相対する側面を形成し有する、請求項31に記載のろ過カートリッジ。
【請求項36】
各リブの前記連続的な外面が、前記2つの側面をつなぐ曲面を形成している、請求項35に記載のろ過カートリッジ。
【請求項37】
各リブの前記連続的な外面が実質的にD字型である、請求項35に記載のろ過カートリッジ。
【請求項38】
前記支持シートが多孔性である、請求項31に記載のろ過カートリッジ。
【請求項39】
前記支持シートの多孔度が少なくとも0.8である、請求項31に記載のろ過カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/873,374号の利益を主張するものであり、全ての目的のためその開示全体が参照により本明細書に援用される。
本開示の分野はフィルタに関し、具体的には、フィルタ基材又はカートリッジ用のポリマー支持膜に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタは、粒子を捕捉しながら流体を通過させる多孔質ろ材に流体を通過させることによって流体から粒子や汚染物質を分離するのに用いられることが多い。そのような流体ろ過は、半導体部品、超伝導体、ポリマー製品、医薬品、鉱物及び冶金処理、石油精製、浄水、排出抑制、並びに食品・飲料の調製に広く用いられている。
高速で効率的な半導体チップの製造業者は、より純度の高い処理材を求めている。ほこりなどの不純物や、金属の個々の分子及びイオンは、現在汚染物質とみなされている。半導体製造工程で用いる流体の超高純度ろ過では、フィルタ構造に金属を使用することを諦めざるを得ない。現在主にフィルタは、テフロン(登録商標)の類似体で、今日製造されている最も清浄で不活性なポリマーの1つであるパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)で作られている。実際、半導体市場で使用するために特別に設計されたPFAにはいくつかの等級がある。これらの樹脂は、金属や重合の副生成物を最低限度に抑えて製造及び洗浄されている。
半導体部品の洗浄に使用するフィルタ部材は、通常、フッ素樹脂材で作られた支持シート又は膜を含んでいる。これらのシートは、ろ液がシートを通過して下層のろ材に入り込めるよう、大抵は開口が設けられている。場合によっては、支持シートは互いに離隔したリブを備え、リブで境界された連続的な流路が設けられている。フィルタ基材用のそのような支持シートの一例は、本発明の譲受人に譲渡された欧州特許第3,177,447号明細書に記載されており、同特許の完全な開示は、全ての目的のためその全体が参照により本明細書に援用される。
支持シート又は膜は、フィルタ層を構造的に支持するためにフィルタ内に用いられることが多い。通常、所定の流量でろ過する際、支持膜にわたってクロスフロー圧力降下が認められることがあり、これはフィルタに流体を通過させるのに必要な力の量が増加することを示している。所定の支持膜にわたるクロスフロー圧力降下を最小限に抑えると、ろ過の運用コストを削減できる。
従って、望ましい流量でろ過する際に圧力降下を最小限に抑えるフィルタのための支持膜を製造することが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
以下に、クレームされた主題の一部の態様の基本的な理解を与えるために、クレームされた主題の簡略化した要約を示す。この要約はクレームされた主題の広範な概説ではない。クレームされた主題の主要又は重要な要素を特定することも、クレームされた主題の範囲を叙述することも意図していない。その唯一の目的は、後に示す詳細な説明の前置きとして、クレームされた主題の一部の概念を簡略化した形で提示することである。
【0004】
本開示は、ポリマー材料で形成された支持シートを含むフィルタ用の支持膜に関し、支持シートは、相対する外面を有する実質的に平面状の基部と、互いに離隔し、且つ相対する外面の少なくとも1つから外側に延びる複数のリブとを含む。リブは、隣接するリブ間に境界された連続的な流路を画定している。リブの高さと基部の高さの比は約2:1~約5:1の範囲、好ましくは約4:1である。リブと基部のアスペクト比が比較的高いと、フィルタの全体的な性能が向上し、支持膜を通ってろ過される流体のクロスフロー圧力降下が減少する。
特定の実施形態では、支持膜は、40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約1.0PSI以下、好ましくは約0.5PSI以下となるよう構成されている。支持膜にわたるクロスフロー圧力降下を最小限に抑えると、ろ過の運用コストが削減される。
特定の実施形態では、リブも含めた支持シートの厚さは約0.06~約0.19mm(約2.5~約7.5ミル)、好ましくは約0.08~約0.18mm(約3~7ミル)であり、基層上方のリブの高さは約0.05~約0.15mm(約2~約6ミル)の範囲である。
リブは、好ましくは第1の端部から第2の端部に延びる連続的な外面を有し、基部の外面と接触している。各リブの連続的な外面は、基部の外面に対して実質的に垂直な相対する側面を含み、リブ間の流路の大きさ又は容積を増加させる。例示的な実施形態では、各リブの連続的な外面は実質的にD字型である。
特定の実施形態では、支持シートは実質的に多孔性であり、多孔度が少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.8、及びより好ましくは約0.86である。この高い多孔度により、支持シートを通る流体の流れが増加し、フィルタの動作が向上する。
【0005】
別の態様では、本開示は、ろ材の層と、ろ材の層に固定された少なくとも1つの支持シート層とを含むフィルタに関する。支持シート層はポリマー材料で形成されており、相対する外面を有する平面状で連続的な基部と、相対する外面の少なくとも1つから外側に延びる離隔したリブとを含む。離隔したリブは、リブが延びる外面と協働して、隣接するリブ間に外面セグメントを設け、隣接する離隔したリブで境界された連続的な流路を画定している。リブの高さと連続的な基部の高さの比は約2:1~約5:1の範囲、好ましくは約4:1である。
特定の実施形態では、支持シート層は、40mL/分の流量で流体をろ過した場合のクロスフロー圧力降下が約1.0PSI以下、好ましくは約0.5PSI以下となるよう構成されている。
特定の実施形態では、リブも含めた支持シート層の厚さは約0.06~約0.19mm(約2.5~約7.5ミル)、好ましくは約0.08~約0.18mm(約3~7ミル)であり、基層上方のリブの高さは約0.05~約0.15mm(約2~約6ミル)の範囲である。
リブは、好ましくは第1の端部から第2の端部に延びる連続的な外面を有し、基部の外面と接触している。各リブの連続的な外面は、基部の外面に対して実質的に垂直な相対する側面を含み、リブ間の流路の大きさ又は容積を増加させる。例示的な実施形態では、各リブの連続的な外面は実質的にD字型である。
特定の実施形態では、少なくとも支持シート層の基部は実質的に多孔性であり、多孔度が少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.8、及びより好ましくは約0.86である。この高い多孔度により、支持シートを通る流体の流れが増加し、フィルタの動作が向上する。
【0006】
別の態様では、ハウジングを含む半導体部品用のろ過カートリッジが提供される。ハウジングは、そこを通って流れる流体から汚染物質をろ過するよう構成されたフィルタ層と、ハウジング全体に広がる少なくとも1つの支持シート層とを含む。支持シートは、ポリマー材料で形成され、相対する外面を有する実質的に平面状の基部と、互いに離隔し、且つ相対する外面の少なくとも1つから外側に延びるリブとを含む。リブは、隣接する離隔したリブで境界された連続的な流路を画定している。リブの高さと連続的な基部の高さの比は約2:1~約5:1の範囲、好ましくは約4:1である。
前述の全般的な説明と以下の詳細な説明は、いずれも例示的で説明的なものに過ぎず、本開示を制限するものではないことを理解されたい。本開示の追加的な特徴は、以下の説明で部分的に示されるか、又は本開示の実施によって教示され得る。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を示し、説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】フィルタ基材が2枚の支持シートに挟まれた3層フィルタを示す概略等角図である。
【
図2A】形成の中間段階にある支持シートの実施形態の等角図である。
【
図2B】形成の中間段階にある支持シートの別の実施形態の等角図である。
【
図2C】形成の中間段階にある支持シートの更に別の実施形態の等角図である。
【
図3】本開示に従った支持シート用のリブの1つの断面図。
【
図4A】シートを引き伸ばしていない状態での構造のリブ及び開口の配置を示した、本開示の支持膜の平面図である。
【
図4B】支持膜を形成の縦方向に引き伸ばし、開口を伸長させた後の本開示の支持膜の平面図である。
【
図5A】
図2Aの支持膜の実施形態を形成するための、支持膜のリブ構造を変化させるポケット配列を有する協働パターンロールを示す。
【
図5B】
図2Bの支持膜の実施形態を形成するための、支持膜のリブ構造を変化させるポケット配列を有する協働パターンロールを示す。
【
図5C】
図2Cの支持膜の実施形態を形成するための、支持膜のリブ構造を変化させるポケット配列を有する協働パターンロールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本説明及び添付の図面は例示的な実施形態を示しており、限定とみなされるべきではなく、特許請求の範囲は、等価物を含む本開示の範囲を定義するものである。様々な機械的、構成的、構造的、及び動作的な変更が、等価物を含む本明細書及び特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく行われ得る。いくつかの例において、周知の構造及び技術は、本開示を不明瞭にしないよう詳細に例証又は説明されていない。2つ以上の図にある同じ番号は、同一又は類似の要素を表す。更に、一実施形態に関して詳細に説明されている要素及びそれらに関連する態様は、実際的な場合は常に、それらが具体的に例証又は説明されていない他の実施形態に含まれ得る。例えば、ある要素が、一実施形態に関して詳細に説明され、第2の実施形態に関して説明されていない場合、それにもかかわらず、その要素は第2の実施形態に含まれるとして請求され得る。加えて、本明細書における描写は説明のみを目的としており、必ずしもシステム又は例証する構成要素の実際の形状、サイズ、又は寸法を反映していない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形の「a」、「an」、及び「the」、並びに任意の単語の単数形の使用は、明示的且つ明白に1つの参照語に限定していない限り、複数の参照語を含むことに留意する。本明細書で使用する用語「含む」及びその文法的変形は非限定的であることを意図しており、リストに列挙した項目は、代用可能な、又はリストに記載された項目に追加できる他の同様の項目を除外するものではない。
【0009】
以下の開示は、半導体製造のための流体ろ過に使用する支持膜に関して提示されているが、本発明の半透膜は、少なくとも1つの支持膜を有するフィルタを用いる任意の種類のろ過工程における使用に容易に適合し得ることを理解すべきである。
特許請求の範囲を含む本願全体にわたる、開口が「支持シートの構造に影響されない所定パターンで」これらの厚さ全体にわたって打ち抜かれているという言及は、支持シートがエンボス加工されていないこと、又はその他の方法で、開口が作成又は形成される領域を構成するための脆弱領域若しくはスリットが設けられていないことを意味する。本発明の支持膜における開口の所定パターンは、リブ付きシートの構造によって設定、選択、又は決定される可能性が非常に高いが、リブ付きシートの構造は、開口の所定パターンの提供又は確立に関与しない。いくつかの実施形態では、開口の所定パターンは、リブ付きシートに開口を作成するために使用するパンチプレスにおけるパンチ部材の所定パターンによってもたらされる。
本願全体にわたる、「ろ材」又は「フィルタ基材」が本開示のフィルタ部材の構成要素であるという言及では、所望のろ過動作を実行するために、どのような所望の構成又は構成要素があってもよい。例えば、限定するものではないが、ろ材は単層又は多層構造のいずれであってもよく、メルトブローン層、スパンボンド層、他の不織布層、及びこれらの組み合わせから形成できる。例示的なろ材は、例えば米国特許第9,457,322号明細書に記載されており、同特許の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0010】
図1では、本開示の実施形態の複合フィルタ部材14は、内部フィルタ基材12及び1つ又は複数のフィルタ支持部材又は膜10を含む。支持部材10は、押出可能なフッ素樹脂材から、いくつかの実施形態では、コモノマーのポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルで作られたパーフルオロアルコキシ(PFA)コポリマーなどの熱可塑性ポリマー材料の押出シートから形成し得る。しかしながら、フッ素樹脂など他のポリマー材料、例えばエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE);ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)が本発明で使用可能であり得る。
PFAなどのフッ素樹脂材は、半導体部品を洗浄するためのフィルタに使用するのに、また極めて高い清浄度が要求され、汚染の可能性が最小限に抑えられたその他の環境で使用するのに非常に望ましい。更に本開示の支持膜は、好ましくは、ろ過する流体がこれらの表面に沿って移動し、且つ構造を通って下層のフィルタ基材に入り込み、望ましくない微粒子をろ液から除去するよう設計されている。
図示するように、支持部材10は複合フィルタ部材14の外側に配置されたリブ22を含む。しかしながら、必要に応じて、支持部材10を裏返して、リブ22が内部フィルタ基材12に係合するよう配置することができる。
【0011】
図2Aは、形成の中間段階にある支持部材10の一実施形態を示す。対向するロール30、32によって設けられたニップを通過した後であり、一方のロール、例えば30は、その周面に円周方向に延びて軸方向に離隔したポケット34を有し、平滑面を持つ対向するロール32と協働している(
図5A参照)。その後に支持部材10は更に加工される。
リブ22は、平面状で連続的な基層16の外面24から外側に延びている。連続的な基層16は、相対する外面18、20を有する。リブ22は外側先端部26及び内側近位端部28を有する。隣接するリブ22と連続的な基層16の外面22とで境界された領域は、流体が移動する連続的な流路40を画定している。特定の実施形態では、支持部材10のアスペクト比は比較的高く設計されており(即ち、基層16が比較的薄いのに対してリブ22が比較的高い)、これによりフィルタの全体的な性能が向上する。例示的な実施形態では、リブ22の高さと連続的な基層16の高さの比は約2:1~約5:1の範囲、好ましくは約4:1であり得る。
支持部材10とリブ22とを合わせた厚さは約0.06~約0.19mm(約2.5~約7.5ミル)、好ましくは約0.08~約0.18mm(約3~7ミル)の範囲であり得る。基層16の厚さは約0.01~約0.04mm(0.5ミル~約1.5ミル)の範囲であり得、基層16上方のリブ22の高さは約0.05~約0.15mm(約2~約6ミル)の範囲である。
図2B及び2Cでは、支持部材10Aの代替的な実施形態は、リブ22とは反対側に、支持部材10Aの外側に配置された、離隔したリブ22Aを含む。リブ22Aは、リブ22と垂直方向に整列していても(
図2Bに示す)、リブ22に対して横方向にオフセットされていてもよい(
図2Cに示す)。リブ22Aの配列は、
図5B及び5Cに示すパターンロール30A、32A、及び30B、32Bを使用して形成されることに留意すべきである。
他の配列も提供できる。例えば、限定するものではないが、特別に設計したパターンロールのセット(図示せず)のニップにシートを通すことにより、リブ22及び/又はリブ22Aを、シートにわたって斜行パターンで形成できる。
リブ付きフィルタ支持部材10、10A、及び10B、並びに本発明の範囲内の他のリブ付き支持部材は、突起と相補的な形状の下部凹部を含む突起を有するプリーツ構造ではないことに留意すべきである。実際に、リブ付き構造10、10A、及び10Bは全て、連続的な平面状の基部を有する。またこれらのリブ付き構造は、その後にそこに形成される開口の位置又はパターンに影響を与える所定パターンの脆弱領域又はスリットを、最初に形成されたシートに備えていない。
【0012】
図4に関して、リブ22及び22Aは好ましくは実質的にD字型断面を有し、基層16の表面20に対して実質的に垂直である側壁42、44を有する。この構成により、流路40の領域が増大し、流路40の長さは、約0.64~約1.40mm(約0.025~約0.055インチ)、好ましくは約0.64~約1.02mm(約0.025~約0.040インチ)であり得る。
【0013】
図4A及び4Bに示すように、流路40は複数の開口28を含み得る。開口は、好ましくは円形であるが、正方形、長方形、三角形など他の形状が可能であることが理解されよう。押出基材にリブ22、22Aを形成した後、好ましくは縦方向にも横方向にも引き伸ばさずに基材をセットする。この鋳造基材は、次いで巻いてロールにし、続いて巻きを解いてから移動させてパンチプレスに通し、所望の所定パターンでZ方向を通る開口28を形成することができる(
図4A)。別法として、シートは、セット後に連続動作で移動させてパンチプレスに通し、そこに所定パターンの開口28を形成することができる。この所定パターンは、所望により、流路部分、例えば基材の24と、リブ付き部分、例えば基材の22の両方を通って延びる開口28を設けることができる。
図4Bでは、開口形成後、両矢印40で示すように、フィルタ支持部材を縦方向に引き伸ばし、開口28を伸長して、ろ材又は基材12でろ過する流体が通過する開口面積を広げることができる。これにより開口面積が広がっているのは、
図3Aに示す未伸長のフィルタ支持部材と
図3Bを比較すると明らかである。
代替的な実施形態では、支持膜10は多孔性であり得る(即ち、開口28ではなく、又は開口28に加えて)。この実施形態では、実質的に多孔性の支持膜を用いて、さらに多くの流体を流すことができる。例示的な実施形態では、支持膜の多孔度は少なくとも0.5又は50%、好ましくは少なくとも0.8又は80%、及びより好ましくは約0.86又は86%である。多孔度は、材料の総体積に占める非固体又は細孔の体積の割合と定義される。
本発明のフィルタ用支持膜は、当業者に既知の任意の方法によって作成し得る。例えば本開示の支持膜は、熱可塑性のフッ素樹脂材を押し出してシートを形成し、次いで、ローラ対向させて設けられたニップ領域にシートを通過させることによって製造し得、ローラの少なくとも1つは、外面に座ぐり溝(counter-sunk groove)を有する。一方のローラの座ぐり溝と他方のローラの外面又は座ぐり溝とをニップ領域で合わせ、シートの少なくとも1つの表面からリブが直立するリブ付きシートを形成する。別法として、リブは押出工程又は既知のエンボス加工方法で形成し得る。リブを形成したら、支持膜を巻いてロールにし、続いて巻きを解いてから移動させてプレスに通し、所望の所定パターンでこれらのZ方向を通る開口を形成し得る。別法として、支持膜は、セット後に連続動作で移動させてパンチプレスに通し、
図4Aからわかるように、そこに所定パターンの開口を形成することができる。任意で、支持膜は縦方向(
図4Bに両矢印で示す)に引き伸ばし、開口を伸長して、例えばフィルタ層又は基材でろ過する流体が通過する開口面積を広げることができる。
【0014】
図5Aに示す一実施形態では、フィルタ支持部材10用の基材は、溶融状態で従来の押出機から押し出されて実質的に平面状のシートになり、30、32で概略的且つ断片的に図示した対向するロールのニップを通過させることで、その平面状の基部16から外側に突出したリブ22が形成される。
ロールは、座ぐり溝34がロールの周面に円周方向に連続し、且つロールの軸方向範囲に沿って互いに離隔したパターン付きロールである。しかしながら、溝又はポケットは、円周全体に不連続に形成することもでき、及び/又は、ロールの回転軸に対して鋭角に、例えば斜めに配置することもできる。
図5Aは、基部の片側のみにリブ22を形成する場合の、協働ロール30、32の配置を示す。見てわかるように、ロール30と向かい合うロール32は、ポケット、突起などの3次元のパターンがない連続的な周面34Aを有する。
図5Bは、支持部材10A(
図2Bに示す)の相対する表面20、18から延び、互いに整合したリブ22及び22Aを形成するための協働ロール30A、32Aの配置を示す。見てわかるように、対向するロール30A、32Aは、リブ22、22Aを形成するために、互いに軸方向に整合した円周方向の座ぐり溝34、36を有する。
別法として、ロール32Bの溝36は、
図5Cに示すようにロール30Bの溝34に対して軸方向に位置をずらし、リブ22Aに対して軸方向にずれたリブ22(
図2Cに示す)を設けることができる。
【0015】
好ましい非限定的な実施形態では、支持部材10は、片面に10cm当たり約10~236本のリブ(即ち、2.54cm(1インチ)当り4~60本のリブ)、より好ましくは10cm当たり約40~118本のリブ(2.54cm(1インチ)当り10~30本のリブ)、及びより好ましくは10cm当たり約79本のリブ(2.54cm(1インチ)当り20本のリブ)を含む。リブの間隔は、所望により非対称であってよい。
本開示による支持膜は、そこを流れる流体から汚染物質をろ過するよう構成されたフィルタカートリッジ内に使用し得る。通常、フィルタカートリッジは、フィルタ層の片側又は両側に支持シート又は支持膜を有するろ材を収容するフィルタハウジングを含む。図aは、内部ろ材12を支持して複合フィルタ14を形成する、本開示による2枚の支持膜10を表している。例示的なフィルタカートリッジは、例えば米国特許第7,347,937号明細書に示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0016】
当業者の範囲内の技術を用いて、本開示に従った例示的な支持膜に沿ったクロスフロー圧力降下の試験を実施することができる。
【実施例】
【0017】
実施例1
実質的にD字型であるリブを有する支持膜を、ポリ(ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル/テトラフルオロエチレン)のPFA共重合体組成物を用いて、上述した方法に従って調製した。支持膜のリブの高さは約0.14mm(約5.5ミル)であった。40mL/分での支持膜に沿ったクロスフロー圧力降下は1.0PSIであった。
【0018】
実施例2
実施例1の支持膜と実質的に同様の特性を有する第2の支持膜を製造し、パンチプレスを用いて支持膜に穿孔し、膜全体に多数の開口を形成した。40mL/分での支持膜に沿ったクロスフロー圧力降下は0.5PSIであった。
これにより、本明細書で言及されている全ての交付済み特許、公開済み特許出願、及び非特許出版物は、個々の交付済み特許、公開済み特許出願、又は非特許出版物が参照により援用されるよう具体的且つ個別に示されている場合と同程度に、全ての目的のためその開示全体が参照により本明細書に援用される。
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示がこれらに限定されることは意図しておらず、本開示は、当該技術が許す限り広範であり、本明細書が同様に読まれることが意図されている。従って上記の説明は、限定的に解釈されるべきではなく、単に、現在開示されている実施形態の例示として解釈されるべきである。故に、実施形態の範囲は、提示する例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びその法的等価物によって決定されるべきである。
当業者であれば、本明細書に具体的に記載され、また添付の図面に示された装置及び方法が非限定的な例示的実施形態であることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例証又は説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせ得る。本開示から逸脱することなく、当業者は様々な代案及び改変を考案し得る。従って本開示は、そのような代案、改変、及び変形を全て包含することを意図している。同様に、当業者は、上述した実施形態に基づく本開示の更なる特徴及び利点を理解するであろう。従って本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に図示及び説明されたものによって限定されるものではない。
【国際調査報告】