(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ATOインジェクタを含む燃料電池システムとその作動方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220915BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20220915BHJP
H01M 8/0668 20160101ALI20220915BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20220915BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04014
H01M8/0668
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502142
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020042035
(87)【国際公開番号】W WO2021011591
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドモンストン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガートナー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ペトルチャ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハータナ,アイヴァン
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA32
5H127BA34
5H127BA37
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB19
5H127BB24
5H127BB27
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE24
5H127EE29
5H127EE30
(57)【要約】
燃料電池システムは、燃料電池スタック、アノードテールガス酸化器(ATO)、燃料電池スタックからのアノード排気の第1の部分を燃料電池スタックからのカソード排気と混合し、アノード排気の第1の部分とカソード排気との混合物をATOへ供給するように構成されたATOインジェクタ、アノード排気の第1の部分をATOインジェクタに供給するように構成されたアノード排気導管、及び、燃料電池スタックからのカソード排気の少なくとも一部をATOインジェクタへ供給するように構成されたカソード排気導管を含む。ATOインジェクタは、注入管又は注入開口を含む。
【選択図】
図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックからアノード排気を受け入れるように構成されたアノード復熱式熱交換器と、
前記アノード復熱式熱交換器から前記アノード排気を受け入れるように構成されたアノード排気導管と、
前記燃料電池スタックからカソード排気を受け入れるように構成されたカソード排気導管と、
前記アノード復熱式熱交換器を包囲し、前記カソード排気導管から前記カソード排気を受け入れるように構成されアノードテールガス酸化器(ATO)と、
前記ATOと前記アノード排気導管との間に配置されたATOインジェクタと、を備える燃料電池システムであって、前記ATOインジェクタは、
前記カソード排気導管から供給された前記カソード排気を旋回させるように構成された羽根と、
前記アノード排気導管と前記ATOとの間に配置された弧状体であって、前記アノード排気の少なくとも一部が前記弧状体を通って前記アノード排気導管から流れるように構成されており、前記弧状体は、前記アノード排気の少なくとも一部を前記ATOへ流れる前記旋回カソード排気に注入するように構成された注入開口を備える弧状体とを含む、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記弧状体は、該弧状体の外面に沿って約130°から約180°の円弧寸法を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記弧状体はトロイダル導管を含み、該トロイダル導管は、トロイダル導管の外面に沿って360°の円弧寸法を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記トロイダル導管は、前記アノード排気導管からの前記アノード排気の前記一部を前記トロイダル導管内に向かわせるように構成された内側開口をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記内側開口は前記注入開口よりも大きい、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アノード排気導管からの前記アノード排気を前記トロイダル導管の内部に供給するように構成された供給管と、
前記供給管を通る前記アノード排気流を制御するように構成された弁と
をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記弁は、前記アノード復熱式熱交換器と、前記アノード排気導管と、前記ATOと、前記ATOインジェクタとを含むホットボックスの外側に配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アノード排気導管及び前記供給管に流体接続された二酸化炭素分離器をさらに備え、前記二酸化炭素分離器は、前記アノード排気から二酸化炭素を分離するように構成された、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記二酸化炭素分離器は電気化学的二酸化炭素分離器を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記アノード排気を使用して空気吸入流を加熱するように構成されたアノード排気冷却式熱交換器と、
前記アノード排気の一部を、前記アノード復熱式熱交換器に流れる燃料吸入流と混合するように構成された混合器と
をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記アノード排気導管は迂回して前記トロイダル導管に直接的には流体接続されておらず、
前記トロイダル導管の内側表面は、前記アノード排気導管に露出される開口部を有しておらず、
前記二酸化炭素分離器は、前記アノード排気の経路において前記アノード排気冷却式熱交換器と前記混合器との間に配置されており、
前記アノード排気導管は、前記アノード排気冷却式熱交換器の出口を前記二酸化炭素分離器の入口に接続している、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記二酸化炭素分離器の第1の出口に接続された精製後アノード排気導管と、
前記二酸化炭素分離器の第2の出口に接続された二酸化炭素出口導管と、
前記精製後アノード排気導管に流体接続されたスプリッタと、
前記スプリッタを前記混合器に流体接続している混合器導管と
をさらに備え、
前記供給管は、前記スプリッタを前記トロイダル導管に流体接続している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記燃料電池スタックは固体酸化物形燃料電池スタックを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
燃料電池スタックからのカソード排気の少なくとも一部をアノードテールガス酸化器(ATO)インジェクタに供給するステップと、
羽根を使用して前記ATOインジェクタ内の前記カソード排気を旋回させるステップと、
前記燃料電池スタックからのアノード排気の少なくとも第1の部分を、注入開口を備える弧状体を含む前記ATOインジェクタを通して供給するステップと、
前記アノード排気の少なくとも前記第1の部分を、前記弧状体から、前記注入開口を通して、前記旋回カソード排気に注入するステップと、
前記アノード排気の前記少なくとも前記第1の部分と前記旋回カソード排気との混合物をアノードテールガス酸化器(ATO)に供給するステップと、を含む、燃料電池システムを作動させる方法。
【請求項15】
前記アノード排気の少なくとも第2の部分を、前記弧状体を通り越して通過させるステップと、
前記アノード排気の前記第2の部分を、前記燃料電池スタックに供給される燃料吸入流に再循環させるステップと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記燃料電池スタックからの前記アノード排気をアノード復熱式熱交換器に供給するステップと、
前記アノード排気を前記第1の部分と前記第2の部分に分割する前に、前記アノード排気と前記燃料吸入流との間で熱交換するステップと、
前記アノード復熱式熱交換器からの前記アノード排気を前記ATOインジェクタへ供給するステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記燃料吸入流は、純粋な水素燃料吸入流又は炭化水素燃料吸入流を含み、
前記弧状体は、トロイダル導管を含み、該トロイダル導管はトロイダル導管の外面に沿って360°の円弧寸法を有し、
前記ATOは前記アノード復熱式熱交換器を囲み、
前記ATOインジェクタは、前記ATO及び前記アノード復熱式熱交換器の上側に配置され、
前記弧状体は前記ATOの上側に配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アノード復熱式熱交換器からのすべてのアノード排気を、前記弧状体を通り越して通過させて、二酸化炭素分離器に通し、前記アノード排気から二酸化炭素を分離するステップと、
前記アノード排気の前記第1の部分を、前記二酸化炭素分離器から前記トロイダル導管へ通すステップと、
前記アノード排気の前記第2の部分を、前記二酸化炭素分離器から前記燃料電池スタックに供給される燃料吸入流に再循環させるステップと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックからアノード排気を受け入れるように構成されたアノード復熱式熱交換器と、
前記アノード復熱式熱交換器から前記アノード排気を受け入れるように構成されたアノード排気導管と、
前記燃料電池スタックからカソード排気を受け入れるように構成されたカソード排気導管と、
前記アノード復熱式熱交換器を包囲し、前記カソード排気導管から前記カソード排気を受け入れるように構成されたアノードテールガス酸化器(ATO)と、
前記ATOと前記アノード排気導管との間に配置されたATOインジェクタと、
前記アノード排気導管と前記ATOインジェクタとに流体接続されている二酸化炭素分離器と
を備える燃料電池システムであって、
前記二酸化炭素分離器は、前記アノード排気から二酸化炭素を分離するように構成されており、
前記アノード排気導管は迂回して前記ATOインジェクタに直接的には流体接続されていない、燃料電池システム。
【請求項20】
前記アノード排気を使用して空気吸入流を加熱するように構成されたアノード排気冷却式熱交換器と、
前記アノード排気の一部を、前記アノード復熱式熱交換器に流れる燃料吸入流と混合するように構成された混合器と、
前記二酸化炭素分離器の第1の出口に接続されている精製後アノード排気導管と、
前記二酸化炭素分離器の第2の出口に接続されている二酸化炭素出口導管と、
前記精製後アノード排気導管に流体接続されているスプリッタと、
前記スプリッタを前記混合器に流体接続している混合器導管と、
前記スプリッタを前記ATOインジェクタに流体接続している供給管とをさらに備え、
前記二酸化炭素分離器は、前記アノード排気の経路において、前記アノード排気冷却式熱交換器と前記混合器との間に配置され、
前記アノード排気導管は、前記アノード排気冷却式熱交換器の出口を前記二酸化炭素分離器の入口に接続している、請求項19のシステム。
【請求項21】
燃料電池スタックと、
アノードテールガス酸化器(ATO)と、
前記燃料電池スタックからのアノード排気の第1の部分を前記燃料電池スタックからのカソード排気と混合し、前記アノード排気の前記第1の部分と前記カソード排気との混合物を前記ATOに供給するように構成されたATOインジェクタと、
前記アノード排気の前記第1の部分を前記ATOインジェクタに供給するように構成されたアノード排気導管と、
前記燃料電池スタックからの前記カソード排気の少なくとも一部を前記ATOインジェクタに供給するように構成されたカソード排気導管と
を備える燃料電池システムであって、
前記ATOインジェクタは、
中空円筒体と、
前記中空円筒体の外面から延び、前記アノード排気の前記第1の部分を旋回させた前記カソード排気に注入するように構成された注入管と
を備える、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、アノードテールガス酸化器(ATO)インジェクタ及びそれを含む燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池等の燃料電池は、燃料に蓄えられたエネルギーを電気エネルギーに高効率で変換できる電気化学装置である。高温燃料電池には、固体酸化物形燃料電池と溶融炭酸塩形燃料電池が含まれる。これらの燃料電池は、水素及び/又は炭化水素燃料を使用して作動することができる。燃料電池には、固体酸化物形再生燃料電池など、逆の動作も可能な部類があり、供給電気エネルギーを使用して、酸化された燃料を還元して未酸化燃料に戻すことができる。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態によると、燃料電池システムは、燃料電池スタック、アノードテールガス酸化器(ATO)、燃料電池スタックからのアノード排気の第1の部分を燃料電池スタックからのカソード排気と混合して、アノード排気の第1の部分とカソード排気との混合物をATOに供給するように構成されたATOインジェクタ、アノード排気の第1の部分をATOインジェクタに供給するように構成されたアノード排気導管、及び、燃料電池スタックからのカソード排気の少なくとも一部をATOインジェクタに供給するように構成されたカソード排気導管を含む。ATOインジェクタは、中空円筒体と、中空円筒体の外面から延び、アノード排気の第1の部分を、旋回カソード排気に注入するように構成された注入管とを含む。
【0004】
本開示の様々な実施形態によると、燃料電池システムを作動させる方法は、燃料電池スタックからのアノード排気を、アノードテールガス酸化器(ATO)インジェクタの中空円筒体の外面から延びる注入管を通して該アノード排気の第1の部分を供給することによって分割するステップ、燃料電池スタックからのカソード排気の少なくとも一部をATOインジェクタに供給するステップ、前記中空円筒体の外面に配置された羽根を使用してATOインジェクタ内のカソード排気を旋回させるステップ、旋回カソード排気をアノード排気の第1の部分と混合するステップ、アノード排気の第1の部分と旋回カソード排気との混合物をアノードテールガス酸化器(ATO)に供給するステップ、アノード排気の第2の部分を、注入管を通り越して通過させるステップ、及び、アノード排気の第2の部分を燃料電池スタックに供給される燃料吸入流に再循環させるステップを含む。
【0005】
一実施形態において、上記方法はまた、燃料電池スタックからのアノード排気をアノード復熱式熱交換器に供給するステップ、アノード排気を第1の部分と第2の部分に分割する前に、アノード排気と燃料吸入流との間で熱交換するステップ、及び、アノード復熱式熱交換器からのアノード排気をATOインジェクタに供給するステップを含む。
【0006】
本開示の様々な実施形態によれば、燃料電池システムを作動させる方法は、燃料電池スタックからのカソード排気の少なくとも一部をアノードテールガス酸化器(ATO)インジェクタに供給するステップ、羽根を使用してATOインジェクタ内のカソード排気を旋回させるステップ、燃料電池スタックからのアノード排気の少なくとも第1の部分を、注入開口を備える弧状体を含むATOインジェクタを通して供給するステップ、アノード排気の少なくとも第1の部分を弧状体から注入開口を通して前記旋回カソード排気に注入するステップ、及び、アノード排気の少なくとも前記第1の部分と前記旋回カソード排気との混合物をアノードテールガス酸化器(ATO)に供給するステップを含む。
【0007】
本開示の様々な実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料電池スタック、燃料電池スタックからアノード排気を受け入れるように構成されたアノード復熱式熱交換器、アノード復熱器からアノード排気を受け入れるように構成されたアノード排気導管、燃料電池スタックからカソード排気を受け入れるように構成されたカソード排気導管、アノード復熱器を包囲し、カソード排気導管からカソード排気を受け入れるように構成されたアノードテールガス酸化器(ATO)、ATOとアノード排気導管との間に配置されたATOインジェクタ、アノード排気導管とATOインジェクタとに流体接続される二酸化炭素分離器を含む。前記二酸化炭素分離器は、アノード排気から二酸化炭素を分離するように構成され、アノード排気導管は迂回してATOインジェクタに直接的には流体接続されない。
【0008】
本開示の様々な実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料電池スタック、燃料電池スタックからアノード排気を受け入れるように構成されたアノード復熱式熱交換器、アノード復熱器からアノード排気を受け入れるように構成されたアノード排気導管、燃料電池スタックからカソード排気を受け入れるように構成されたカソード排気導管、アノード復熱器を包囲し、カソード排気導管からカソード排気を受け入れるように構成されたアノードテールガス酸化器(ATO)、及び、ATOとアノード排気導管との間に配置されたATOインジェクタを含む。ATOインジェクタは、カソード排気導管から供給されたカソード排気を旋回させるように構成された羽根、及び、アノード排気導管とATOとの間に配置された弧状体を含み、該弧状体を通って、アノード排気の少なくとも一部がアノード排気導管から流れるように構成され、該弧状体は、アノード排気の少なくとも一部をATOへ流れる旋回カソード排気に注入するように構成された注入開口を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示の実施形態を示し、上記の全体的な説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【0010】
【
図1A】
図1Aは、本開示の実施形態による、SOFC燃料電池システムの概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の実施形態による、SOFC燃料電池システムの概略図である。
【
図1C】
図1Cは、本開示の実施形態による、SOFC燃料電池システムの概略図である。
【
図1D】
図1Dは、本開示の実施形態による、SOFC燃料電池システムの概略図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aのシステムの中央カラムの三次元切欠き図である。
【
図2D】
図2Dは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aの中央カラムの下に配置されたアノードハブ構造の斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aの中央カラムを通る燃料及び空気の流れを示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aの中央カラムを通る燃料及び空気の流れを示す断面図である。
【
図3C】
図3Cは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aの中央カラムを通る燃料及び空気の流れを示す断面図である。
【
図4】
図4は、従来のATOインジェクタの部分斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による、
図2Aの中央カラムに含まれるATOインジェクタの部分斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の代替の実施形態による、
図5のATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの部分斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の代替の実施形態による、
図5のATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの部分斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の代替の実施形態による、
図5のATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの部分斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の代替の実施形態による、
図5のATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの部分斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の代替の実施形態による、
図5のATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの部分斜視図である。
【
図9C】
図9Cは、
図9AのATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの平面図である。
【
図9F】
図9Fは、
図9AのATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの平面図である。
【
図9G】
図9Gは、
図9AのATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの平面図である。
【
図9H】
図9Hは、
図9AのATOインジェクタに含まれ得る代替のインジェクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照して、様々な実施形態を詳細に説明する。同じ又は同様の部品への言及には、可能な限り、図面全体で同じ参照番号を使用する。特定の実施例及び実施形態への言及は、例示を目的とするものであり、本発明又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0012】
図1Aは、本開示の一実施形態による、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム10の概略図である。
図1Aを参照すると、システム10は、ホットボックス100と、その中に又はそれに隣接して配置された各種構成要素を含む。
【0013】
ホットボックス100は、固体酸化物形燃料電池スタック(ここでは、スタックの1つの固体酸化物形燃料電池は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)又はスカンジア安定化ジルコニア(SSZ)などのセラミック電解質と、ニッケル-YSZ又はニッケル-SSZサーメットなどのアノード電極と、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などのカソード電極とを含む)などの燃料電池スタック102を含むことができる。スタック102は、互いの上に重ねて複数の列に配置することができる。
【0014】
ホットボックス100はまた、アノード復熱器110、カソード復熱器120、アノードテールガス酸化器(ATO)130、アノード排気冷却器140、スプリッタ510とボルテックスジェネレータ550とを含むATO混合器/インジェクタ(簡潔のため本明細書ではATOインジェクタと呼ぶ)500、及び、蒸気発生器160を含むことができる。システム10はまた、接触部分酸化(CPOx)反応器200、混合器210、CPOxブロワ204(例えば、エアブロワ)、システムブロワ208(例えばエアブロワ)、及び、アノードリサイクルブロワ212を含むことができ、これらは、ホットボックス100の外側に配置することができる。しかしながら、本開示は、ホットボックス100に対する各構成要素の位置を特定の位置に限定するものではない。
【0015】
CPOx反応器200は、燃料導管300Aを介して、燃料入口300から燃料吸入流を受け入れる。燃料入口300は、CPOx反応器200に供給される燃料の量を制御するための弁を含むユーティリティガスラインであってよい。CPOxブロワ204は、システム10の起動時にCPOx反応器200に空気を供給し、その後、燃料電池スタック102が750~900℃等の700℃を超える定常状態動作温度に達する定常状態動作モード中には、停止することができる。定常状態での燃料及び/又は起動時の燃料と空気の混合物は、燃料導管300Bによって混合器210に供給することができる。燃料は、混合器210から燃料導管300Cを通ってアノード復熱器110に流れる。燃料は、アノード復熱器110から燃料導管300Dを通ってスタック102に流れる。システム10はまた、アノード復熱器110内の1つ又は複数の燃料改質触媒112、114、及び116を含み得る。
【0016】
メインエアブロワ208は、空気流(例えば、空気吸入流)を、空気導管302Aを介してアノード排気冷却器140に供給するように構成され得る。空気は、アノード排気冷却器140から空気導管302Bを通ってカソード復熱器120へと流れる。空気は、カソード復熱器120から空気導管302Cを通ってスタック102へと流れる。
【0017】
スタック102で発生したアノード排気(すなわち、燃料排気)は、アノード排気出口導管308Aを通ってアノード復熱器110に供給される。アノード排気には未反応の燃料が含まれ得る。アノード排気は、本明細書では燃料排気と呼ぶこともある。アノード排気は、アノード復熱器110からアノード排気導管308Bによってスプリッタ510に供給することができる。アノード排気の第1の部分は、スプリッタ510からアノード排気出口導管308Dを介してATO130に供給され得る。アノード排気の第2の部分は、スプリッタ510から第1のアノード排気リサイクル導管308Cによってアノード排気冷却器140に供給され得る。アノード排気は、第2のアノード排気リサイクル導管308Eによって、アノード排気冷却器140から混合器210に供給され得る。アノードリサイクルブロワ212は、以下で論じられるように、アノード排気を、第2のアノード排気リサイクル導管308Eを通って移動させるように構成することができる。
【0018】
スタック102で発生したカソード排気(例えば、空気排気)は、カソード排気導管304Aを通ってATO130へと流れる。カソード排気は、本明細書において空気排気と呼ばれることもある。ボルテックスジェネレータ550は、カソード排気導管304A内に配置することができ、カソード排気を旋回させるように構成することができる。導管308Dは、カソード排気導管304Aに、ボルテックスジェネレータ550の下流側で流体接続され得る。ボルテックスジェネレータ550を出る旋回カソード排気は、ATO130に供給される前に、スプリッタ510によって供給されるアノード排気と混合することができる。この混合物は、ATO130内で酸化されてATO排気を生成し得る。ATO排気は、ATO130から排気導管304Bを通ってカソード復熱器120へと流れる。排気は、カソード復熱器120から排気導管304Cを通って蒸気発生器160へと流れる。排気は、蒸気発生器160から排気導管304Dを通ってホットボックス100の外へと流れ出る。
【0019】
水は、水タンク又は水道管などの水源206から、水導管306Aを通って蒸気発生器160に流れる。蒸気発生器160は、この水を、排気導管304Cによって供給されるATO排気からの熱を使用して蒸気に変換する。蒸気は、蒸気発生器160から水導管306Bを通って混合器210に供給される。あるいは、必要に応じて、蒸気を燃料吸入流に直接供給することができ、及び/又は、アノード排気流を燃料吸入流に直接供給し、続いて、混合された燃料流を加湿することができる。混合器210は、蒸気をアノード排気及び燃料と混合するように構成されている。次に、この燃料混合物は、スタック102に供給される前に、アノード復熱器110内で加熱され得る。
【0020】
システム10はさらに、システム10の各種要素(例えば、ブロワ208及び212、及び燃料制御弁)を制御するように構成されたシステムコントローラ225を備えることができる。コントローラ225は、記憶された命令を実行するように構成された中央処理装置を含み得る。例えば、コントローラ225は、燃料組成データに従って、システム10を通る燃料及び/又は空気の流れを制御するように構成することができる。
【0021】
図1Bは、本開示の別の実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム10の概略図である。
図1Aのシステム10の要素と同じ
図1Bのシステム10の要素については、簡潔のため再度説明はしない。
【0022】
図1Bのシステム10は、天然ガス、メタン、ペンタン、ブタン、バイオガスなどの炭化水素燃料と共に使用することができる。
図1Bのシステム10は、アノード排気経路内のアノード排気冷却器140と混合器210との間に配置された追加の二酸化炭素分離器170、第2の混合器610、及び追加の導管308F、308G、309及び544を含む。導管544は、任意選択の弁546を含み得る。この実施形態では、ATOインジェクタ500は、以下でより詳細に説明される
図8Bに示されるインジェクタ540を含むことができる。さらに、この実施形態では、導管308Bは迂回してインジェクタ540に直接的には流体接続されない。具体的には、導管308B及び308Cは、迂回してインジェクタ540に直接的には流体接続されないアノード排気導管(これはまた、アノード排気冷却器140から下流側に配置された導管308Eも含む)の単一の連続部分に統合される。
【0023】
二酸化炭素分離器170は、二酸化炭素をアノード排気の他の成分(例えば、水素、メタン、一酸化炭素など)から分離することができる任意の機械的(例えば、キャニスタートラップ)、吸着的(例えば、1つ又は選択的吸着床)又は電気化学的分離器を含むことができる。好ましくは、二酸化炭素分離器170は、2015年11月17日に発行され、参照により本明細書にその全体が組み込まれる、米国特許第9,190,658 B2号に記載されるような、プロトン交換膜(PEM)セル又はPEMセルのスタックなどの電気化学的分離器を含む。
【0024】
二酸化炭素分離器170のアノード排気入口は、導管308Eに接続される。二酸化炭素分離器170は、任意選択で、スイープガス入口(例えば、空気入口、明示的には示されない)をも含み得る。二酸化炭素分離器170は、精製後アノード排気導管308F及び二酸化炭素出口導管309を含む。
【0025】
図1Bのシステム10は、次のように作動する。アノード排気導管(308B、308C及び308E)は迂回してインジェクタ540に直接的には流体接続されないため、アノード排気流全体(すなわち、100%)が、インジェクタ540を通って流れずに、アノード復熱器110からアノード排気冷却器140に供給される。アノード排気は、アノード排気冷却器140から、導管308Eを通って二酸化炭素分離器170のアノード排気入口に、アノードリサイクルブロワ212によって供給される。一実施形態では、導管308E内のアノード排気が、アノードリサイクルブロワ212又は二酸化炭素分離器170にとってまだ熱すぎる場合には、空気又は水などの任意の外部冷却流体を使用する追加の冷却器を、必要に応じてアノードリサイクルブロワ212の前又は後の、導管308E内に配置して、アノード排気を適切な温度に冷却することができる。二酸化炭素は、二酸化炭素分離器170内でアノード排気から分離される。分離された二酸化炭素は、システム10の外部での貯蔵又は工業的使用(例えば、化学又は工業プロセスにおいて)のために、導管309を介して二酸化炭素分離器170から除去される。二酸化炭素の全部又は一部が除去された精製後アノード排気は、二酸化炭素分離器170から、精製後アノード排気導管308Fに供給される。
【0026】
一実施形態では、精製後アノード排気導管308Fは、第2のスプリッタ610で終端する。第2のスプリッタ610は、T字形導管(例えば、パイプ)接続部又は別のタイプのスプリッタであってよい。精製後アノード排気の第1の部分は、精製後アノード排気導管308Fから、第2のスプリッタ610を通って混合器導管308Gに供給される。この精製後アノード排気は、その後、混合器導管308Gから、混合器210に供給され、そこで、
図1Aに関して上述したように、燃料吸入流と混合される。
【0027】
精製後アノード排気の第2の部分は、精製後アノード排気導管308Fから、第2のスプリッタ610を通って導管544に供給される。弁546は、導管544を通って流れる精製後アノード排気の量を制御するために、導管544上に配置することができる。弁546は、システムコントローラ225によって制御されるコンピュータ制御弁であってよい。この精製後アノード排気は、導管544からインジェクタ540に供給され、これについては、
図8A及び
図8Bに関して以下でより詳細に説明する。このプロセスは、その後、
図1Aに関して上述したものと同じように進む。
【0028】
図1Cは、本開示の別の実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム10の概略図である。
図1Aのシステム10の要素と同じ
図1Cのシステム10の要素については、簡潔のため再度説明はしない。
【0029】
図1Cのシステム10は、炭化水素燃料ではなく、純粋な水素燃料と共に使用できる。この実施形態では、水源206、蒸気発生器160、CPOx反応器200、CPOxブロワ204及び導管306Bを排除することができる。あるいは、電力調整システムの接触器を閉じて電力調整システム構成要素に電流を流すことを可能とする目的で開回路電圧を下げるために、CPOxブロワ204を、短期間燃料電池のアノード側に少量の空気を加えるように保持することができる。あるいは、接触器を閉じる目的で開回路電圧を下げるために、水を導管308E及び/又は導管308Cに注入することができる。この実施形態では、導管300A及び300Bは、単一の導管に統合される。同様に、導管304C及び304Dは単一の導管に統合される。
図1Cのシステム10は、燃料入口300からの水素燃料吸入流がCPOx反応器200を通過せず、蒸気発生器160及び導管306Bが排除されるために意図的に加湿されないことを除いて、
図1Aのシステム10と同じように作動する。
【0030】
図1Dは、本開示の別の実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム10の概略図である。
図1Cのシステム10の要素と同じ
図1Dのシステム10の要素については、簡潔のため再度説明はしない。
【0031】
図1Dのシステム10は、炭化水素燃料ではなく、純粋な水素燃料とともに使用できる。この実施形態では、アノード排気冷却器140、アノードリサイクルブロワ212、混合器210、及び導管308Eを排除することができる。この実施形態では、導管300A、300B、及び300Cは、単一の導管に統合される。さらに、
図7及び
図9Aに関して以下でより詳細に説明するように、アノード排気導管308Cは排除されてもよいし、又はキャップ310で終端になっていてもよい。
【0032】
図1Dのシステム10は、混合器210の排除により、燃料吸入流へと再循環されるアノード排気流が一部たりともないことを除いて、
図1Cのシステム10と同じように作動する。代わりに、アノード排気流のすべて(すなわち、100%)が、アノード復熱器110からATO130に、導管308B、308D及びスプリッタ(例えば、スプリッタ510)を介して供給される。さらに、アノード排気流は、アノード排気冷却器140の排除により、空気吸入流と熱交換しない。
【0033】
図2A~
図2D及び
図3A~
図3Cは、
図1A~
図1Dのシステム10のホットボックス100の構成要素を示すが、但し、
図2A、
図2B、
図2C、
図3A及び
図3Bには、
図1A~
図1Dに関して上述した本開示の実施形態のスプリッタ510及びボルテックスジェネレータ550を含むATOインジェクタ500(これについては
図5~
図9Hに関して以下でより詳細に説明する)の代わりに、
図4の従来技術のスプリッタ511とボルテックスジェネレータ551を含む従来技術のATOインジェクタ501が示されている。
図2Aは、
図1Aのシステム10のホットボックス100の構成要素を示す断面図であり、
図2Bは、
図2Aの拡大部分を示す。
図2Cは、本開示の様々な実施形態による、システム10の中央カラム400の三次元切欠き図であり、
図2Dは、カラム400を上に配置することができるホットボックスベース101に配置されたアノードハブ構造600の斜視図である。
【0034】
図2A~
図2Dを参照すると、燃料電池スタック102は、ホットボックス100内のカラム400の周囲に配置され得る。例えば、スタック102は、中央カラム400の周囲にリング状の構成で配置することができ、ホットボックスベース101上に置くことができる。カラム400は、中央プレナム401、アノード復熱器110、ATO130、及びアノード排気冷却器140を含むことができる。特に、アノード復熱器110は、ATO130の半径方向内側に配置され、アノード排気冷却器140は、アノード復熱器110及びATO130の上方に取り付けられる。酸化触媒112及び/又は水素化触媒114は、アノード復熱器110内に配置され得る。アノード復熱器110の底部に、水蒸気メタン改質(SMR)インサートとして、改質触媒116を配置することもできる。
【0035】
ATO130は、内側ATO断熱材130B/アノード復熱器110の外壁の周囲に配置された外側円筒130Aを備える。任意選択で、断熱材130Bは、内側ATO円筒130Cによって囲まれてもよい。したがって、断熱材130Bは、アノード復熱器110とATO130との間に配置することができる。外側円筒130AとATO断熱材130Bとの間の空間に、ATO酸化触媒を配置することができる。アノード排気冷却器140を通ってATO130の上部まで、ATO熱電対フィードスルー1601が延在する。それにより、このフィードスルー1601を通して1つ又は複数の熱電対(図示せず)を挿入することによって、ATO130の温度を監視することができる。
【0036】
アノードハブ構造600は、アノード復熱器110及びATO130の下で、ホットボックスベース101の上方に配置することができる。アノードハブ構造600は、ATOスカート1603によって覆われる。ボルテックスジェネレータ551及びアノード排気スプリッタ511を含むATOインジェクタ501は、アノード復熱器110及びATO130の上方で、アノード冷却器140の下に配置される。ATOグロープラグ1602は、起動時にATO内のスタックアノード排気の酸化を開始するが、ATO130の底部近くに配置することができる。
【0037】
アノードハブ構造600は、中央プレナムから中央カラム400の周囲に配置された燃料電池スタックに、燃料を均一に分配するために使用される。アノード流ハブ構造600は、溝付きキャストベース602、及び、燃料入口導管300Dと流出導管308Aからなる「スパイダー」ハブを含む。導管の各対300D、308Aは、燃料電池スタックに接続する。次に、アノード側円筒(例えば、アノード復熱器110の内側及び外側円筒ならびにATO外側円筒130A)が、ベース602の溝に溶接又はろう付けされ、以下で説明する流れ分布のための均一な体積断面を作り出す。
【0038】
図2Cに示されるように、ホットボックスベース101の下に、昇降台1604が配置される。一実施形態では、昇降台1604は2つの中空アームを含み、修理又は整備のためにキャビネット(図示せず)から燃料電池ユニットを取り外すようなときに、中空アームを用いてフォークリフトのフォークを挿入し、燃料電池ユニットを持ち上げて移動させることができる。
【0039】
図2A及び
図2Bの矢印で示されるように、空気はホットボックス100の上部に入り、その後カソード復熱器120へと流れて、そこでスタック102からのカソード排気によって加熱される。加熱された空気は、その後、入口121を通ってカソード復熱器120内部を流れる。空気は、次に、スタック102を通って流れ、アノードハブ構造600から供給される燃料と反応する。カソード排気は、出口123を通ってスタック102から流れる。次に、空気排気は、ボルテックスジェネレータ551の羽根を通り、ATO130に入る前に旋回される。
【0040】
スプリッタ511は、アノード復熱器110の上部を出るアノード排気の一部を旋回空気排気へと向かわせることができる。アノード排気とカソード排気は、ATO130に入る前に、ATOインジェクタ501内で混合することができる。
【0041】
図3A及び
図3Bは、中央カラム400を通る流れ分布を示す垂直断面図であり、
図3Cは、アノード復熱器110の水平断面図である。
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Cを参照すると、アノード復熱器110は、内側円筒110A、波形プレート110B、及びATO断熱材130Bで被覆され得る外側円筒110Cを含む。燃料導管300Cからの燃料は、中央カラム400の上部に入る。次に、燃料は、アノード冷却器140の、中空コアを通って流れることによってアノード冷却器140を迂回し、次に、アノード復熱器110の外側円筒110Cと波形プレート110Bとの間を通って流れる。その後、燃料は、アノードハブ構造600(
図3B)のハブベース602及び導管300Dを通ってスタック102に流れる。
【0042】
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bを参照すると、アノード排気は、スタック102から導管308Aを通ってハブベース602に流れ込み、ハブベース602からアノード復熱器110の、内筒110Aと波形プレート110Bとの間を通り、導管308Bを通ってスプリッタ511へと流れる。アノード排気の一部分が、スプリッタ511から導管308Cを通ってアノード冷却器140へ流れる一方で、別の部分は、スプリッタ511から導管308Dを通ってATO130に流れる(
図1A参照)。導管308Cは、
図3A及び
図3Cに示されるように、アノード冷却器140とボルテックスジェネレータ551との間に配置されたベローズ852及び支持円筒854によって少なくとも部分的に画定され得る。燃料導管300Cと導管308Cとの間に、アノード冷却器内部コア断熱材140Aが配置され得る。この断熱材は、アノード冷却器140に向かう途中の導管308C内のアノード排気流からの熱移動及び熱損失を最小限に抑える。断熱材140Aはまた、導管300C内の燃料吸入流とアノード冷却器140内の流れとの間での熱移動を回避するために、導管300Cとアノード冷却器140との間に配置することもできる。ベローズ852と支持円筒854は、アノード冷却器140とスプリッタ511の間に配置することができる。
【0043】
図3Bはまた、空気導管302Aからアノード冷却器140(ここで、空気はアノード排気流と熱交換する)へと流れ、導管302Bに入ってカソード復熱器120へと流れる空気を示す。
図2A及び
図3Bに示されるように、アノード排気は、アノード復熱器110を出て、導管308Bを通ってスプリッタ511に供給される。スプリッタ511は、アノード排気を第1及び第2のアノード排気流に分割する。第1の流れは、導管308Dを通ってATO130に供給される。第2の流れは、導管308Cを通ってアノード冷却器140に供給される。
【0044】
ATO130及びアノード排気冷却器140に供給されるアノード排気の相対量は、アノードリサイクルブロワ212によって制御される。ブロワ212の速度が速いほど、アノード排気流のより多くの部分が導管308Cへと供給され、アノード排気流のより少ない部分がATO130に供給される。ブロワ212の速度が遅い場合は、この逆となる。ATO130に供給されるアノード排気流は、カソード排気によって酸化され、導管304Bを通ってカソード復熱器120に供給され得る。
【0045】
図4は、一体化されたスプリッタ511とボルテックスジェネレータ551を含む従来のATOインジェクタ501の部分斜視図である。従来のATOインジェクタ501は、スプリッタ511及びボルテックスジェネレータ551が一体化されて単一の部分になるように、鋼等の金属材料を鋳造することによって成形される。したがって、鋳造ATOインジェクタ501は製造するのが高価で時間がかかる。
【0046】
図5は、本開示の一実施形態のATOインジェクタ500の部分斜視図であり、これは、
図2A、
図2C、
図3A及び
図3Bの中央カラム400内に、従来技術のATOインジェクタ501の代わりに設けられる。
図5を参照すると、ATOインジェクタ500は、スプリッタ510及びボルテックスジェネレータ550を含む。スプリッタ510は、環状形状を有する弧状体512を含み得る。この環状形状は、水平面に位置する環状軸を中心とする曲率半径を有することができる(
図4に示される従来のATOインジェクタ501の垂直軸を中心とする曲率半径とは対照的に)。いくつかの実施形態では、スプリッタ510は、金属管を切断して弧を形成し、弧を曲げて環状形状にし、その対向する端部を接続することによって形成することができる。他の実施形態では、複数の弧を切断し、曲げて、端部と端部を接続して、スプリッタ510の弧状体512を形成することができる。弧状体512の外面(すなわち、中央カラム400の中心軸に面していない側の表面)は、弧状体512の外面とATO130の外側円筒130Aとの間の最小距離が、ATO130の内側円筒130Cと外側円筒130Aとの間の最小距離よりも小さくなるように、凸状であってよい。
【0047】
様々な実施形態では、弧状体512は、約180°以下、例えば、約180°~約130°、約175°~約150°、又は約170°~約160°の円弧寸法(弧状体512の外側表面に沿って計った)を有し得る。したがって、スプリッタ510のATO130への突出を、カソード排気の流れへの妨害を最小限にするように制御して、それにより、再循環ゾーンの生成を低減及び/又は排除し、中の圧力損失を最小限にすることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、スプリッタ510は、任意選択で、弧状体512を強化するように構成された支持円弧518を含むことができる。特に、支持円弧518は、弧状体512を形成するために用いられる管の未切断部分から形成されてもよい。例えば、弧状体512を形成するために用いられる管の長さの約10%から約30%、例えば約20%を、未切断のままにして支持円弧518を形成することができる。言い換えれば、支持円弧518と弧状体512を足すと、360°の円弧寸法と等しくなり得る。
【0049】
弧状体512の上縁は、支持円筒854に取り付けることができ、弧状体512の下縁は、ATO130の内側ATO円筒130Cに取り付けることができる。例えば、弧状体512は、内側ATO円筒130Cの一部に溶接することができる。いくつかの実施形態では、弧状体512は、隅肉溶接516を用いて、支持円筒854及び内側ATO円筒130Cに接続することができる。
【0050】
スプリッタ510は、弧状体512を穿孔するとともに、カソード排気導管304AからATO130に流入するカソード排気にアノード排気を注入するように構成された、注入開口514を含むことができる。注入開口514は、スプリッタ510に沿ってほぼ等間隔に配置され得る。いくつかの実施形態では、注入開口514は、例えば、レーザー又はウォータージェットを使用して切断され得る。注入開口514は、各開口514の周囲が、弧状体512の外面でよりも内面で大きくなるように、傾斜カットされ得る。開口514は、アノード排気流を内側ATO円筒130の軸(すなわち、中央垂直軸)に垂直に注入することができ、又は、アノード排気流をATO130へのカソード排気流の方向へ下向きの角度(例えば、30~60度等の1~89度の角度)で注入できる。
【0051】
ボルテックスジェネレータ550は、溶接等によってスプリッタ510の外面に取り付けられた複数の羽根552を含むことができる。
図5には示されていないが、羽根552は、スプリッタ510の周囲に環状構成で配置することができる。羽根552は、アノード及び/又はカソード排気など、そのそばを流れる流体を旋回させる(例えば、中に渦を発生させる)ように構成することができる。したがって、羽根552は、アノード排気とカソード排気との混合を増加させるように構成することができる。他の実施形態では、羽根552は、内側円筒130C又は支持円筒854の外面に取り付けることができる。
【0052】
図6及び
図7は、本開示の代替の実施形態による、スプリッタ510の代わりに
図5のATOインジェクタ500に含まれ得る代替のスプリッタ520を含む中央カラム400の、異なる角度で見た部分透視図である。
図6及び
図7を参照すると、スプリッタ520は、トロイダル導管(例えば、パイプなどの管状体)522であってよい。いくつかの実施形態において、スプリッタ520は、パイプ522を円形に曲げて、その対向する端部を溶接等で接続することによって形成することができる。したがって、この実施形態では、スプリッタ520は、その全周の周りに、360°の円弧寸法を有する。トロイダル導管の垂直中心軸は、中央カラム400の垂直中心軸に平行である。さらに、トロイダル導管の外側凸面は、垂直中心軸に垂直な水平軸を中心に湾曲している。
【0053】
スプリッタ520は、アノード排気をスプリッタ520の内部に注入するように構成された内側注入開口524と、アノード排気をスプリッタ520の内部からATO130に注入するように構成された外側注入開口514とを含むことができる。注入開口514、524は、スプリッタ520のそれぞれ内側部分及び外側部分に沿ってほぼ等間隔に配置することができ、例えば、レーザー又はウォータージェットを使用して切断することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、注入開口514、524は、ほぼ同じサイズであってよい。しかしながら、他の実施形態では、スプリッタ520へのアノード排気の注入を容易にするために、内側注入開口524は、外側注入開口514よりも大きく(例えば、高さがより大きい)てもよい。いくつかの実施形態では、内側注入開口524及び/又は外側注入開口514は、上記のように傾斜カットされ得る。
【0055】
図1D及び
図7に示される一実施形態において、導管308Cは、キャップ310でふたすることができる。水素燃料で作動する場合、キャップ310は、ガスが導管308Cを通過するのを遮断する固体金属プレートを含むことができる。
【0056】
図8Aは、本開示の別の代替の実施形態による、スプリッタ510の代わりに
図5のATOインジェクタ500内に含まれ得る代替のインジェクタ540を含む中央カラム400Aの部分斜視図である。
図8Aを参照すると、インジェクタ540はトロイダル導管を含むことができる。いくつかの実施形態では、インジェクタ540は、パイプを円形に曲げ、その対向する端部を溶接等によって接続することによって形成することができる。
【0057】
インジェクタ540は、その外側表面に配置され且つインジェクタ540を穿孔する注入開口514を含むことができる。注入開口514は、インジェクタ540の内部からATO130にアノード排気を注入するように構成することができる。インジェクタ540のトロイダル導管522の内側表面には、開口は配置されない。
【0058】
少なくとも1つの導管(例えば、供給管)544が、中央カラム400Aの内部に配置され、インジェクタ540に流体接続され得る。弁546が、供給管544上に配置され得る。供給管544は、燃料導管300Cに沿って延在することができる。供給管544は、導管(例えば、マニホールド)308Cに露出し、導管308Cを介してアノード排気冷却器140の内部からアノード排気を受け入れるように構成された開放第1端部と、トロイダル(例えば、管状)導管522に流体接続される第2端部とを有し得る。したがって、供給管544は、インジェクタ540の内部にアノード排気を供給するように構成することができる。
【0059】
弁546は、供給管544を通ってインジェクタ540に入るアノード排気流を制御するように構成され得る。したがって、弁546はまた、注入開口514を通ってATO130に入るアノード排気流を制御することができる。弁546は、ホットボックス100の外側に延在する中央カラム400Aの一部の表面で露出される供給管544の一部分の上に配置され得る。したがって、弁546は、ホットボックス内部の高温への露出から保護され得る。弁546の1つの目的は、アノード及びカソード排気流を分離することであり、これは、システム組立プロセス中の接合部及び/又は溶接部の漏れのチェックに有用である。別の目的は、任意選択で、アノード排気流から燃料供給を分離させることである。
図8Aには、1つの供給管544と1つの弁546だけが示されているが、代替の実施形態では、単一の弁546又は複数の弁546に対し、共にマニホールド化された複数の入口管及び/又は出口管544などの複数の管があってよい。例えば、2つの供給管544を、トロイダル本体522の対向する両側に接続することができる。
【0060】
図8Bは、中央カラム400Bの代替の実施形態の部分斜視図である。
図8Bの中央カラム400Bの要素は、
図8Aの中央カラム400Aの要素と同じであり、簡潔のために再度説明しない。
図8Bの中央カラム400Bは、
図1Bの固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム10と共に使用することができる。
【0061】
図1Bに関して上で論じたように、アノード排気導管(308B、308C、308E)は、インジェクタ540のトロイダル導管522の内側表面が、アノード排気導管(例えば、導管308B及び308C)へ露出される開口部(例えば開口)を有しないため、インジェクタ540を迂回して直接的には流体接続されない。アノード排気導管の下部となる導管308B及び308Cは、燃料導管300Cの外壁とATO内側円筒130C及び支持円筒854の内壁との間に位置する内側プレナム又はマニホールドを含む。アノード排気導管の上部は、アノード排気冷却器140と二酸化炭素分離器170との間に延在する導管308Eを含む。したがって、アノード排気流全体(すなわち、100%)は、インジェクタ540を通って流れずに、導管308B及び308Cを介して、アノード復熱器110からアノード排気冷却器140へ供給される。アノード排気は、アノード排気冷却器内の空気吸入流と熱交換する。アノード排気は、アノード排気冷却器140から、導管(例えば、パイプ)308Eを通って二酸化炭素分離器170のアノード排気入口に供給される。二酸化炭素は、二酸化炭素分離器170でアノード排気から分離される。分離された二酸化炭素は、システム10の外部で貯蔵又は工業的使用(例えば、化学又は工業プロセス)のために、導管309を介して二酸化炭素分離器170から除去される。二酸化炭素の全部又は一部が除去された精製後アノード排気は、二酸化炭素分離器170から精製後アノード排気導管308Fに供給される。
【0062】
一実施形態では、精製後アノード排気導管308Fは、導管308F、308G、及び544の交差点のT字形導管(例えば、パイプ)接続部であり得る第2のスプリッタ610で終端する。この精製後アノード排気の第1の部分は、精製後アノード排気導管308Fから第2のスプリッタ610を通って混合器導管308Gに供給される。次に、精製後アノード排気は、混合器導管308Gから混合器210に供給され、そこで、
図1A及び
図1Bに関して上で述べたように、燃料吸入流と混合される。
【0063】
精製後アノード排気の第2の部分は、精製後アノード排気導管308Fから第2のスプリッタ610を通って導管544に供給される。導管544上に位置する弁546は、導管544を通ってインジェクタ540のトロイダル導管522に流入する精製後アノード排気の量を制御する。精製後アノード排気は、導管544からインジェクタ540に供給される。アノード排気は、その後、インジェクタ540から、インジェクタ540のトロイダル導管522内の開口541を介して、そしてボルテックスジェネレータ550を介して、ATO130に供給される。
【0064】
したがって、
図5~
図8Bの実施形態において、燃料電池システム10は、燃料電池スタック102、燃料電池スタック102からアノード排気を受け入れるように構成されたアノード復熱式熱交換器110、アノード復熱器110からアノード排気を受け入れるように構成されたアノード排気導管308B、燃料電池スタックからカソード排気を受け入れるように構成されたカソード排気導管304A、アノード復熱器110を包囲し、カソード排気導管304Aからカソード排気を受け入れるように構成されたアノードテールガス酸化器(ATO)130、及び、ATO130とアノード排気導管308Bとの間に配置されたATOインジェクタ500を含む。ATOインジェクタ500は、カソード排気導管から供給されたカソード排気を旋回させるように構成されたボルテックスジェネレータ550の羽根552と、アノード排気導管308BとATO130との間に配置された弧状体512又は522とを含み、この弧状体を通って、アノード排気の少なくとも一部がアノード排気導管から流れるように構成され、前記弧状体は、アノード排気の少なくとも一部をATO130へ流れる旋回カソード排気に注入するように構成された注入開口514を備える。
【0065】
図5に示される一実施形態では、弧状体512は、弧状体の外面に沿って、約130°から約180°の円弧寸法を有する。
図6~
図8Bに示される他の実施形態では、弧状体522はトロイダル導管を含み、トロイダル導管の外面に沿って360°の円弧寸法を有する。
【0066】
図6及び
図7に示される実施形態では、トロイダル導管522は、アノード排気導管308Bからのアノード排気の第1の部分をトロイダル導管に向かわせるように構成された内側開口524をさらに備える。一実施形態では、内側開口524は、注入開口514よりも大きい。
【0067】
図8A及び
図8Bに示される実施形態では、システム10はまた、アノード排気導管308Bからのアノード排気をトロイダル導管522の内部に供給するように構成された供給管544と、供給管544を通るアノード排気流を制御するように構成された弁546とを含む。弁546は、アノード復熱式熱交換器110、アノード排気導管308B、ATO130、及びATOインジェクタ500を含むホットボックス100の外側に配置することができる。
【0068】
図8Bの実施形態では、二酸化炭素分離器170は、二酸化炭素分離器170が、アノード排気から二酸化炭素を分離するように構成されるように、アノード排気導管(308B、308C、308F)及び供給管544に流体接続される。一実施形態では、二酸化炭素分離器170は、電気化学的二酸化炭素分離器を含む。
【0069】
一実施形態では、
図1B及び
図8Bのシステム10はまた、アノード排気導管内のアノード排気を使用して空気ブロワ208からの空気吸入流を加熱するように構成されたアノード排気冷却式熱交換器140、及び、アノード排気の一部を、燃料導管300C内をアノード復熱式熱交換器110へと流れる燃料吸入流と混合するように構成された混合器210を含む。
【0070】
一実施形態では、アノード排気導管(308B、308C、308E)は迂回してインジェクタ540のトロイダル導管522に直接的には流体接続されない。トロイダル導管522の内側表面は、アノード排気導管(308B、308C、308E)に露出される開口部を有さない。二酸化炭素分離器170は、アノード排気の経路において、アノード排気冷却式熱交換器140と混合器210との間に配置される。アノード排気導管(例えば、導管308B、308C、308Eのうち308Eの部分)は、アノード排気冷却式熱交換器140の出口を二酸化炭素分離器170の入口に接続する。
【0071】
一実施形態では、
図1B及び
図8Bのシステムはまた、二酸化炭素分離器170の第1の出口に接続される精製後アノード排気導管308Fと、二酸化炭素分離器170の第2の出口に接続される二酸化炭素出口導管309とを含む。二酸化炭素排出導管308Fには、スプリッタ(すなわち、第2のスプリッタ)610が流体接続される。混合器導管308Gが、スプリッタ610を混合器210に流体接続し、一方、導管(すなわち、供給管)544が、スプリッタ610をトロイダル導管522に流体接続する。
【0072】
図9Aは、本開示の別の代替の実施形態による、スプリッタ510の代わりに
図5のATOインジェクタ500内に含まれ得る代替のスプリッタ560を含む、400Cの中央カラムの部分斜視図である。
図9Bは、
図9AのATOインジェクタ500の外面を示す写真である。
図9A及び
図9Bを参照すると、ATOインジェクタ500は、上縁が支持円筒854に取り付けられ(例えば、溶接され)、下縁がATO130の内側円筒130C(
図8Aに示す)に取り付けられる(例えば、溶接される)か、内側円筒130Cの上部を含むことのできる中空円筒体562を含むスプリッタ560を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、円筒体562は、金属管から切り取られてもよく、又は平らな金属薄板を曲げて溶接して中空の円筒形に形成されてもよい。例えば、円筒体562は、垂直方向に延在することができ、水平方向に単一の曲率半径を有することができる。言い換えれば、円筒体562は、一貫した水平断面及び/又は円周を有し得、内側円筒130Cを通り越えて内側円筒130Aに向かって延びる凸状の弧状体を有さない。
【0074】
スプリッタ560は、円筒体562を通り抜けて延びる(先の実施形態のスリットの代わりに)注入管564を含む。注入管564は、円筒体562の内側からのアノード排気を、円筒体562の外側をATO130へと流れるカソード排気に注入するように構成され得る。特に、注入管564は、約0.5cmから約3cmの範囲の距離、例えば、約1cmから約2.5cm、又は約1.25cmから約2.25cmの距離、円筒体562の外面から延在することができる。したがって、注入管564は、円筒体562と外側円筒130Aとの間に形成される環状空間にアノード排気を注入するように構成され得る。
【0075】
図9A及び
図9Bは、軸(すなわち、円筒体562の中心垂直軸)に垂直な注入管を示す。代替の実施形態では、注入管は、カソード排気流の方向に(例えば、ATOの方向に)下へと傾斜させることができる。下向きの角度は、円筒体562の軸の垂直方向に対して1~89度、例えば、30~60度であってよい。
図9Bは、任意選択の羽根552の最下部と同じ水平面にある注入管564を示す。代替の構成では、注入管564は、羽根552の最下部水平面の下側に配置され得る。
【0076】
図1D及び
図9Aに示される一実施形態において、導管308Cは、キャップ310でふたすることができる。キャップ310は、システム10が水素燃料で作動される場合に、ガスが導管308Cを通過するのを遮断する固体金属板を含み得る。
【0077】
図9A及び
図9Bに示される構成では、ATOインジェクタ500は、ボルテックスジェネレータ550の任意選択の羽根552を含む。
図9C、
図9D及び
図9Eに示される代替の構成では、羽根552を省くことができ、渦は、円筒体562に対して注入管564を半径方向に角度付けすることによって形成され得る。例えば、
図9Cに示されるように、注入管564は、円筒体の外面に垂直な仮想線「N」とそれぞれの注入管564のそれぞれの長手方向軸「A」との間の角度αがゼロでない角度で円筒体562から延びる。角度αは、すべての注入管564に対して同じであってもよいし、又は、同じATOインジェクタ500の異なる注入管564に対して異なっていてもよい。例えば、角度αは1と75度の間の範囲、例えば30~60度など、とすることができる。任意選択で、注入管564は、
図9C~
図9Eに示されるように半径方向に角度を付けて、同時に上記のように下向きに傾斜させてもよい。別の任意選択の構成では、
図9C~
図9EのATOインジェクタ500に、羽根552が含まれてもよい。
【0078】
図9C~
図9EのATOインジェクタ500の1つの任意選択の態様において、注入管564は、
図9Eに示されるように、及び、
図9C及び
図9Dの1つの注入管564の一部切欠き図に示されるように、それらの周囲に開口部566(例えば、円筒形の開口部又は細長いスリット)を含むことができる。したがって、ATOインジェクタ500は、シャワーヘッドタイプのインジェクタを含む。開口部566は、注入管564の円周の下半分(例えば、90度と270度の間)など、注入管564の円周の下側部分に設けることができる。例えば、開口部566は、ATO130へと真っ直ぐ下向きにすることができ(例えば、円周上の180度に対応する6時の位置に)、又は、注入管564の円周上の5時又は7時の位置に、及び/又はその間に配置することができる。
【0079】
図9Cに示される1つの任意選択の構成では、注入管564の端部はキャップ568でふたすることができる。この構成では、アノード排気流は、円筒体562から離れる水平方向よりむしろ、ATO130へと下向きに向けられる。開口部566及び/又はキャップ568はまた、任意選択で、
図9A及び
図9Bに示される注入管564上に形成することもできる。
【0080】
他の代替の実施形態では、円筒体562を穿孔する注入管564がより少なくなるように、上述の注入管564のいずれかを「フラクタル化」して円筒体562への穿孔を最小限に抑えることができる。これらの実施形態では、注入管964は、注入管964の長手方向軸「A」からゼロでない角度で離れて延びる少なくとも1つの分岐(964T、964H、964C)を含む。
図9Fに示される1つの代替の実施形態では、単一の注入管を使用する代わりに、2つの管964、964Tが「T」字形を形成する。
図9Gに示される別の代替の実施形態では、単一の管964が、「H」形の組になった管964Hの真ん中の管に、管964Hと同じ水平面から、又は上から管964Hの真ん中の管へと下向きに向けられて、接続され得る。管964T及び964Hの端部は、キャップ968でふたすることができ、管964T及び964Hは、それらの円周の下部に開口部966を含むことができる。
【0081】
図9Hに示されるさらに別の代替の実施形態では、少数の注入管964(例えば、2~10本、4~6本等の管)が、開口部966(
図9Hの平面図には示されない)がその円周の下部に配置されたトロイダル管(例えば、円筒)964Cに接続される。注入管964、964T、964H、964Cは、円形の断面形状を有する(すなわち、円筒形を有する)として示されるが、これら管は、楕円形又は多角形(例えば、長方形)の断面形状など、別の断面形状を有してもよい。
【0082】
言い換えれば、
図9A~
図9Hの上記構成のすべてにおいて、注入管564は、先の実施形態の円筒体に直接形成される注入開口又は穿孔と比較して、円筒体562の外面からさらに遠くにアノード排気を注入するように、円筒体562から半径方向外向きに延びる。結果として、比較的高温のアノード排気は、円筒体562の外面に接触する前に比較的低温のカソード排気と混合される。したがって、円筒体562は、注入開口が使用された場合よりも低い温度に維持され得る。したがって、円筒体562及び隣接する支持円筒854及び内側円筒130Cは、システム作動中、実質的に同じ温度に維持することができ、熱膨張変動からの応力を最小限に抑える又は防ぐことができる。
【0083】
さらに、注入管564の延長部はまた、アノード排気を、ボルテックスジェネレータ550の任意選択の羽根552によって形成される渦の中により深く注入する。
図9Bに示されるように、渦を発生させ、及び/又はアノード排気とカソード排気の混合を増加させるために、羽根552は、そこに供給されるカソード排気の流れ方向に対して(例えば、中央カラム400Cの垂直軸に対して)、約30°から約60°まで、例えば、約35°から約55°まで、又は約40°から約50°までの範囲の角度で配置することができる。
【0084】
さらに、
図5~
図8Bに示される湾曲した弧又は円筒などの2つの曲率半径を含む設計と比較して、円筒体562は、単一の曲率半径のみを含む。結果として、スプリッタ560は、製造するのがより安価となり得る。さらに、円筒体562がATO130の上の環状空間に突出しないので、スプリッタ560によって発生するカソード排気の圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0085】
図9A~
図9Hに示される実施形態では、燃料電池システム10は、燃料電池スタック102、アノードテールガス酸化器(ATO)130、燃料電池スタック102からのアノード排気の第1の部分を燃料電池スタックからのカソード排気と混合し、アノード排気の第1の部分とカソード排気との混合物をATO130に供給するように構成されたATOインジェクタ500、アノード排気の第1の部分をATOインジェクタ500に供給するように構成されたアノード排気導管308B、及び、燃料電池スタック102からのカソード排気の少なくとも一部をATOインジェクタ500に供給するように構成されたカソード排気導管304Aを含む。ATOインジェクタ500は、中空円筒体562と、中空円筒体562の外面から延び、アノード排気の第1の部分を旋回カソード排気に注入するように構成された注入管564とを含む。
【0086】
一実施形態では、システム10はまた、アノード排気と燃料吸入流との間で熱交換するように構成されたアノード復熱式熱交換器110、及び、燃料電池セルスタック102からのアノード排気をアノード復熱式熱交換器110に供給するように構成されたアノード排気出口導管308Aを含むことができ、アノード排気導管308Bは、アノード復熱式熱交換器110からのアノード排気をATOインジェクタ500に供給するように構成されている。
【0087】
一実施形態では、羽根552が、中空円筒体562の外面に配置され、カソード排気を旋回するように構成され、ATO130は、アノード復熱式熱交換器110を包囲し、ATOインジェクタ500は、ATO130の上流側(例えば、トップダウン流れの上方)及びアノード復熱式熱交換器110の下流側(及び上側)に配置され、中空円筒体562は、カソード排気導管304Aの内側表面と、アノード排気導管308Bの外側表面とを含み、注入管564は、ATO130の上流側(例えば、トップダウン流れの上方)及び羽根552とカソード排気導管304Aの下流側(例えば、下側)に配置される。一実施形態では、羽根522は、カソード排気導管304A内のカソード排気の流れ方向に対して約30°から約60°までの範囲の角度で配置される。
【0088】
一実施形態では、システム10はまた、アノード排気導管308B、ATOインジェクタ500及びアノード復熱式熱交換器110の上側に配置された第1のアノード排気リサイクル導管308Cと、第1のアノード排気リサイクル導管308Cの上側に配置され、第1のアノード排気リサイクル導管から供給されるアノード排気の第2の部分を用いて燃料電池スタック102に供給される空気吸入流を加熱するように構成されたアノード冷却式熱交換器140と、アノード冷却式熱交換器140からのアノード排気の第2の部分を燃料吸入流へと再循環させるように構成された第2のアノード排気リサイクル導管308Eとを含む。
【0089】
一実施形態では、注入管564は、中空円筒体562の外面から約0.5cmから約3cmまでの範囲の距離だけ半径方向に延び、注入管564は、アノード排気を第1の部分と第2の部分とに分割するように構成されたスプリッタ510を備える。円筒体562は、アノード排気導管308BとATO130との間に垂直に延び、水平方向に単一の曲率半径を有する。ATO130は、カソード排気とアノード排気の第1の部分との混合物を酸化するように構成された燃料酸化触媒を含む。
【0090】
開示された態様の前述の説明は、当業者が本発明を作成又は使用することを可能にするために提供される。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示される態様に限定されることを意図されるものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【国際調査報告】