(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】オートバイ制動装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20220915BHJP
B60T 7/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T7/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502291
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 AU2020050729
(87)【国際公開番号】W WO2021007617
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522015043
【氏名又は名称】トムソン,ジェイ リロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,ジェイ リロイ
【テーマコード(参考)】
3D124
3D246
【Fターム(参考)】
3D124AA13
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3D124BB17
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3D246HC03
3D246KA19
3D246LA02Z
3D246LA03Z
3D246LA15Z
3D246MA38
(57)【要約】
提供されるのは、ライダーが第1のアナログ信号を生成するために圧力をかけることができるそれぞれ把持面又は踏面(14)と、該面(14)の上及び/又は中に取り付けられ、第2のアナログ信号を生成するように構成された力覚抵抗器(FSR)を画定するブレーキレバー(10)(及び/又はブレーキペダル)、を備えるオートバイ制動装置(18)である。このようにして、把持面(14)に圧力がかけられると、該第1の信号及び該第2の信号が同時に生成され、それによってコントローラ(20)が、第2の信号を第1の信号と電子的に相互に関連させるように構成される。また、装置(18)は、コントローラ(20)と信号通信して配置され、第1の信号と第2の信号との間の相関に従ってオートバイ(26)のブレーキ(24)を作動させるように構成されたサーボ機構(22)も含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイ制動装置であって、
ライダーが、第1のアナログ信号を生成するために圧力をかけることができるそれぞれ把持面又は踏面と、前記表面の上及び/又は中に取り付けられ、第2のアナログ信号を生成するように構成された力覚抵抗器(FSR)を画定し、が、、かけられた圧力により、前記第1の信号及び前記第2の信号が同時に生成される、ブレーキレバー及び/又はブレーキペダルと、
所定の方法で前記第2の信号を前記第1の信号に電子的に相互に関連させるように構成されたコントローラと、
前記コントローラと信号通信して配置され、前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記相関に従って、前記オートバイのブレーキを作動させるように構成された少なくとも1つのサーボ機構と
を備える、オートバイ制動装置。
【請求項2】
前記コントローラと信号通信して配置された調整装置を含み、前記調整装置が、前記コントローラが前記第2の信号を前記第1の信号と相互に関連させる比率及び/又は方法を調整するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記調整装置が、前記FSRの感度を調整し、それによって前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記相関比を間接的に調整するように構成された感度調整装置を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラと信号通信して配置された少なくとも1つのセンサを含み、前記センサが、前記オートバイの動作特性を検知するように構成され、前記コントローラが、前記第2の信号が、そのような検知された各動作特性に従って前記第1の信号と相互に関連する前記比率を自動的に調整するように構成された、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記オートバイの前記動作特性が、前記オートバイの速度、前記オートバイのリーン角、前記オートバイの長手方向配向、前記オートバイの載荷重、前記オートバイに近接する物体の存在、前記オートバイのイモビライザのセキュリティ状態、及び前記オートバイのエンジン状態から成る包括的ではないグループから選択される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の信号が前記オートバイのある車輪でブレーキを作動させるように構成され、前記サーボ機構が、前記相関に従って別の車輪でブレーキを作動させるように構成された、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記サーボ機構が、前記オートバイの既存のブレーキシステムと係合するように構成される、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記サーボ機構が、前記ブレーキシステムの通常の手動作動との干渉を最小限に抑えるために、引張接合を介して前記既存のブレーキシステムを作動させるように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記サーボ機構が、前記ブレーキシステムを作動させるために、前記サーボ機構の部分の回転が並進力に変換される前記ブレーキシステムへの偏心引張接合を含む、請求項7又は8のどちらかに記載の装置。
【請求項10】
前記サーボ機構が、前記オートバイのブレーキキャリパー及び/ブレーキパッドを直接的に作動又は係合させるように構成される、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラが、前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記相関に従って、ブレーキライトなど、前記オートバイの制動インジケータを作動させるように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記第2の信号の大きさ及び/又は前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記相関に従って、前記オートバイのクラッチを切るように構成される、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記サーボ機構が、前記コントローラと無線信号通信して配置される、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記FSRが、要件に従ってライダー-カスタム化を可能にするために前記面上で選択的に移動可能であるように構成される、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに係る前記制動装置を含むオートバイ。
【請求項16】
オートバイブレーキレバーであって、
ライダーが第1のアナログ信号を生成するために少なくとも1つの指で動作可能なように圧力をかけることができる、把持面を画定するレバー本体と、
前記把持面の上及び/又は中に取り付けられた力覚抵抗器(FSR)であって、第2のアナログ信号を生成するように構成された前記FSRと
を備え、
かけられた圧力により、前記第1の信号及び前記第2の信号が同時に生成され、前記第2の信号が前記第1の信号と電子的に相互に関連可能な
オートバイブレーキレバー。
【請求項17】
オートバイブレーキペダルであって、
ライダーが、第1のアナログ信号を生成するために足で動作可能なように圧力をかけることができる、踏面を画定するペダル本体と、
前記踏面の上及び/又は中に取り付けられた力覚抵抗器(FSR)であって、第2のアナログ信号を生成するように構成された前記FSRと
を備え、
かけられた圧力により、前記第1の信号及び前記第2の信号が同時に生成され、前記第2の信号が前記第1の信号と電子的に相互に関連可能な
オートバイブレーキペダル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にオートバイの制動に関し、より詳細にはオートバイブレーキレバー/ペダル、オートバイ制動装置、及びそのような制動装置を含むオートバイに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の以下の説明は、本発明の理解を促進することのみを目的とする。説明は、参照される資料のいずれも本願の優先日において共通の一般的な知識の一部である又は一部であったことの承認又は容認ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
オートバイ制動システムは、オートバイがエンジンが取り付けられた自転車から、350km/時を超える速度を可能にする高出力エンジンのレーシングマシンへ進化するにつれ、経時的に変化してきた。大部分のシステムは、摩擦により運動エネルギーを熱エネルギー(熱)に変換することによって機能する。オートバイでは、制動作用力の約70%が、フロントブレーキによって実行される。ただし、これは個々のオートバイについて変化する可能性がある。クルーザー及びツアラーなど、より多くの重量が後方に偏っている、ホイールベースがより長いタイプでは、リアブレーキによってかけられる作用力の方がより大きい場合がある。対照的に、ホイールベースがより短く、フォーク形状がより垂直のスポーツバイクは、より高い前部制動負荷に耐えることができる。これらの理由から、オートバイは、リアブレーキと比較して非常により強力なフロントブレーキを有する傾向がある。
【0004】
いわゆる連結制動システムが存在し、多くの場合、フロントブレーキとリアブレーキとの間で共通の油圧連結を共用しているが、大部分の従来のオートバイでは、フロントブレーキ及びリアブレーキは、ハンドグリップに近接するフロントブレーキレバー及びフットレストに近接して取り付けられたリアブレーキペダルを用いて、個々に制御される。
【0005】
一般的に、フロントブレーキはこの2つのブレーキのうちで最も効果的であり、表面の状態に付随して、オートバイの阻止能の大部分を提供する。ブレーキがかけられるとき、オートバイ及びライダーの重量の大部分は、前輪及びサスペンションの上に前方に転移される。オートバイに対する制動中に起こる重量転移は、フロントフォークを圧縮し、次いでフロントタイヤを押し下げ、接触面を拡大し、それにより吸着力を強める。重量の大部分が制動中の前輪に転移すると、後輪は制動中に軽くなる傾向があり、このため、必要以上にかけられた場合、後輪はきわめて容易にロックする可能性がある。後輪がロックすると、それによりオートバイは横滑りし、後に制御不能に陥る場合がある。
【0006】
このため、多くのライダーは、後輪をロックし、横滑りの危険を冒すことの恐れからリアブレーキを正しく使用していない。しかしながら、リアブレーキを正しくかけることは、より良いコントロール及び総合的な制動性能の改善を可能にするためにオートバイを低くするのに役立つ可能性がある。
【0007】
同様に、多くのオフロードライダーは、特にライダーがフットレスト上に立っているときに足がコントロールを維持することを必要とされるので、特定の条件下ではリアブレーキを全く使用しない。そのような状況では、リアブレーキをかけることはきわめて有益である可能性があるが、一般に、より良いコントロールを維持する必要性から、行われていない。
【0008】
さらに、ライダーはすでに一般に、例えばフロントブレーキ、リアブレーキ、スロットル、クラッチなど、通常、四肢ごとに1つ、つまり手と足ごとにそれぞれ1つ、複数のコントロールを課せられているので、オートバイに乗っている間に別のコントロールを作動することは危険である可能性がある。したがって、当該技術では、特に人間工学、つまりライダー-オートバイの直感的な相互作用に関して、改善されたオートバイ制動装置の必要性が存在する。
【0009】
出願人は、オートバイの制動に対する初期の油圧改善策を開発し(例えば、PCT/AU2019/050032を参照)、オートバイ制動の技術における追加の欠点を特定してきた。本発明は、これらの欠点を念頭に考えられた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当業者は、本明細書のオートバイに対する参照が、包括的ではなく、自転車、三輪車、又は同様の車両など、任意の適切な車両に対する参照を含むことを理解すべきである。
【0011】
さらに、本明細書のサーボ機構に対する参照は、一般に、エラー検知ネガティブフィードバックを使用して機構の動作を訂正する自動装置を参照することも理解されるべきである。そのようなサーボ機構は、出力が所望の効果を達成していることを確実にするために、通常、内蔵エンコーダ又は他の位置フィードバック機構を含む。フィードバック信号若しくはエラー訂正信号、又はそのようなフィードバックは、通常、必要に応じて、機械的位置、速度、又は他のパラメータを制御するのに役立つ。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、
ライダーが第1のアナログ信号を生成するために少なくとも1つの指で動作可能なように圧力をかけることができる、把持面を画定するレバー本体と、
該把持面の上及び/又は中に取り付けられた力覚抵抗器(FSR)であって、第2のアナログ信号を生成するように構成された該FSRと
を含み、
かけられた圧力により、該第1の信号及び該第2の信号が同時に生成され、第2の信号が第1の信号と電子的に相関可能な
オートバイブレーキレバーが提供される。
【0013】
通常、FSRは、要件に従ってライダー-カスタム化を可能にするために、把持面上で選択的に移動可能であるように構成される。
【0014】
第2の信号が、通常、電子信号であるのに対し、第1の信号が、通常、機械的信号であることを理解されたい。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、
ライダーが第1のアナログ信号を生成するために足で圧力を動作可能にかけることができる、踏面を画定するペダル本体と、
該踏面の上及び/又は中に取り付けられた力覚抵抗器(FSR)であって、第2のアナログ信号を生成するように構成された該FSRと
を含み、
かけられた圧力により、該第1の信号及び該第2の信号が同時に生成され、第2の信号が第1の信号と電子的に相関可能な
オートバイブレーキペダルが提供される。
【0016】
通常、FSRは、要件に従ってライダー-カスタム化を可能にするために、踏面上で選択的に移動可能であるように構成される。
【0017】
当業者は、ブレーキレバーに対して参照されているが、本発明がクラッチレバーなどにも適用可能であることを理解すべきである。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、
ライダーが第1のアナログ信号を生成するために圧力をかけることができる、それぞれ、把持面又は踏表面と該表面の上及び/又は中に取り付けられ、第2のアナログ信号を生成するように構成された力覚抵抗器(FSR)を画定するブレーキレバー及び/又はブレーキペダルであって、が、かけられた圧力により、該第1の信号及び該第2の信号が同時に生成される、ブレーキレバー及び/又はブレーキペダルと、
所定の方法で第2の信号を第1の信号に電子的に相互に関連させるように構成されたコントローラと、
コントローラと信号通信して配置され、第1の信号と第2の信号との間の相関に従って、オートバイのブレーキを作動させるように構成された少なくとも1つのサーボ機構と
を含む、オートバイ制動装置が提供される。
【0019】
通常、装置は、コントローラと信号通信して配置された調整装置を含み、該調整装置は、コントローラが第2の信号を第1の信号と相互に関連させる比率及び/又は方法を調整するように構成される。
【0020】
通常、調整装置は、FSRの感度を調整し、それにより第1の信号と第2の信号との間の相関比を間接的に調整するように構成された感度調整装置を含む。
【0021】
通常、装置は、コントローラと信号通信して配置された少なくとも1つのセンサを含み、該センサはオートバイの動作特性を検知し、コントローラが、そのような検知された動作特性に従って第2の信号を第1の信号と相互に関連させる比率を調整するように構成される。
【0022】
通常、オートバイの動作特性は、オートバイの速度、オートバイのリーン角、オートバイの長手方向配向、オートバイの載荷重、オートバイに近接する物体の存在、オートバイのイモビライザのセキュリティ状態、オートバイのエンジン状態などから成る包括的ではないグループから選択される。
【0023】
通常、制動装置は、第1の信号が1つの車輪でブレーキを作動させるように構成され、サーボ機構は、該相関に従って別の車輪でブレーキを作動させるように構成される。つまり、前記相関に従って、第1の信号がフロントブレーキを作動させ、サーボ機構がリアブレーキを作動させる、又はその逆である。
【0024】
一実施形態では、サーボ機構は、オートバイの既存のブレーキシステムと係合するように構成される。
【0025】
そのような実施形態では、サーボ機構は、ブレーキシステムの通常の手動作動との干渉を最小限に抑えるために(圧縮よりむしろ)引張接合を介して該既存のブレーキシステムを作動させるように構成され得る。
【0026】
一実施形態では、サーボ機構は、ブレーキシステムを作動させるために、サーボ機構の部分の回転が並進力に変換されるブレーキシステムに対する偏心引張接合を含む。
【0027】
別の実施形態では、サーボ機構は、オートバイのブレーキキャリパー及び/ブレーキパッドを直接的に作動又は係合させるように構成される。
【0028】
一実施形態では、コントローラは、第1の信号と第2の信号との間の相関に従って、ブレーキライトなど、オートバイの制動インジケータを作動させるように構成される。
【0029】
一実施形態では、サーボ機構は、コントローラと無線信号通信して配置される。
【0030】
一実施形態では、コントローラは、第2の信号の大きさ、及び/又は第1の信号と第2の信号との間の相関に従ってオートバイのクラッチを切るように構成される。
【0031】
通常、FSRは、要件に従って、ライダー-カスタム化を可能にするために、表面上で選択的に移動可能であるように構成される。
【0032】
本発明の第4の態様によると、
ライダーが第1のアナログ信号を生成するために圧力をかけることができるそれぞれ把持面又は踏表面と、該表面の上及び/又は中に取り付けられ、第2のアナログ信号を生成するように構成された力覚抵抗器(FSR)を画定し、が、、かけられた圧力により、該第1の信号及び該第2の信号が同時に生成される、ブレーキレバー及び/又はブレーキペダルと、
第2の信号を第1の信号に電子的に関連させるように構成されたコントローラと、
コントローラと信号通信して配置され、第1の信号と第2の信号との間の相関に従って、オートバイのブレーキを作動させるように構成された少なくとも1つのサーボ機構と
を備え、
前記第1の信号がある車輪でブレーキを作動させ、サーボ機構が、該相関に従って、別の車輪でブレーキを作動させるように構成される
オートバイが提供される。
【0033】
通常、オートバイは、コントローラと信号通信して配置された調整装置を含み、該調整装置は、コントローラが第2の信号を第1の信号と相互に関連させる比率及び/又は方法を調整するように構成される。
【0034】
通常、調整装置は、FSRの感度を調整し、それにより第1の信号と第2の信号との間の相関比を間接的に調整するように構成された感度調整装置を含む。
【0035】
通常、オートバイは、制御装置と信号通信して配置された少なくとも1つのセンサを含み、該センサは、オートバイの動作特性を検知し、コントローラが、そのような検知された動作特性に従って第2の信号を第1の信号と相互に関連させる比率を調整するように構成される。
【0036】
通常、オートバイの動作特性は、オートバイの速度、オートバイのリーン角、オートバイの長手方向配向、オートバイの載荷重、オートバイに近接する物体の存在、オートバイのイモビライザのセキュリティ状態、オートバイのエンジン状態などから成る包括的ではないグループから選択される。
【0037】
一実施形態では、サーボ機構は、オートバイの既存のブレーキシステムと係合するように構成される。
【0038】
そのような実施形態では、サーボ機構は、ブレーキシステムの通常の手動作動との干渉を最小限に抑えるために(圧縮よりむしろ)引張接合を介して該既存のブレーキシステムを作動させるように構成され得る。
【0039】
別の実施形態では、サーボ機構は、オートバイのブレーキキャリパー及び/ブレーキパッドを直接的に作動又は係合させるように構成される。
【0040】
一実施形態では、コントローラは、第1の信号と第2の信号との間の相関に従ってオートバイのアナログ制動インジケータを作動させるように構成される。
【0041】
一実施形態では、コントローラは、第2の信号の大きさ、及び/又は第1の信号と第2の信号との間の相関に従ってオートバイのクラッチを切るように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
説明は、添付図面を参照して行われる。
【
図1】本発明に係る、オートバイ制動装置の一実施形態の構成部分の略図である。
【
図2】
図1のオートバイ制動装置の態様を示すオートバイハンドルバーのライダー視界の略図である。
【
図3】
図1のオートバイ制動装置の一実施形態を示すオートバイの略側面図である。
【
図4】
図1のオートバイ制動装置の追加の実施形態を示すオートバイの略側面図である。
【
図5】本発明の態様に係るオートバイブレーキレバーの略斜視図である。
【
図6】
図5のブレーキレバーに取り付け可能な力覚抵抗器(FSR)の一実施形態の略斜視図である。
【
図7】
図5のブレーキレバーに取り付け可能な力覚抵抗器(FSR)の別の実施形態の略斜視図である。
【
図8】
図1のオートバイ制動装置のサーボ機構の一実施形態の略図である。
【
図9】
図1のオートバイ制動装置のサーボ機構の一実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の追加の特徴は、本発明のいくつかの非制限的な実施形態の以下の説明でより完全に説明される。本説明は、本発明を当業者に例示する目的のためだけに含まれている。本説明は、上記に提示された本発明の広義の要約、開示、又は説明に対する制限として理解されるべきではない。例示的な1つ又は複数の実施形態の特徴を示すために組み込まれた図中、類似した数詞は、類似した部分を通して識別するために使用される。
【0044】
当業者は、データが、ゼロ及び1など、離散値によって表されるデジタル表現と対照的に、本明細書のアナログ信号に対する参照が、一般に、連続的尺度に沿って任意の値を表すことができる1つ以上の物理的特性による基準又は表現データを参照するために使用されることを理解するべきである。例えば、従来のオートバイブレーキレバー又はブレーキペダルは、一般に、制動力のアナログ制御を可能にする油圧制動システムの一部のとき、機械的アナログ信号を生成する。
【0045】
最初に添付図面の
図5から
図7を参照すると、レバー本体12及び力覚抵抗器(FSR)16を大まかに含む、本発明に係るオートバイブレーキレバー10の一実施形態が示されている。レバー本体12は、一般に把持面14を画定し、それによりライダーは第1のアナログ信号を生成するために少なくとも1つの指で動作可能なように圧力をかけることができ、力覚抵抗器(FSR)16は、該把持面14の上及び/又は中に取り付けられ、該FSR16は、第2のアナログ信号を生成するように構成される。
【0046】
このようにして、圧力がブレーキレバー10の把持面14にかけられると、該第1のアナログ信号及び第2のアナログ信号は、単一の圧力入力を介して同時に生成され、第2の信号は第1の信号と電子的に相関している。第2の信号が、通常、電子信号、つまりFSR16により生成される電子的なアナログ信号であるのに対し、第1の信号は、通常、機械的信号、つまりブレーキレバー12からの従来の入力であることを理解されたい。
【0047】
このため、従来のブレーキレバーは、単一の入力からの複数のアナログ出力を生成するために使用することができ、そのような出力は有用な結果を生じさせるために相関している。本例では、第1の信号は、オートバイ16の従来のフロントブレーキを作動させるために使用され、第1の信号と電子的に且つ調整可能に相関しているFSR16からの第2のアナログ信号は、ライダーからの単一の入力からオートバイ26のリアブレーキ24を作動させるために使用される。
【0048】
異なる実施形態では、FSR16は、要件に従ってライダー-カスタム化を可能にするために把持面14で選択的に移動可能であるように構成できる。例えば、
図6及び
図7は、使用できる異なるFSR設計を示す。また、レバー本体12などの適切な開口の中にFSR16を取り付けることができることは言うまでもない。当業者は、本明細書の変形形態が可能であり、本発明の範囲内であることを理解する。例えば、FSRは、レバー又はペダルから移動され、グリップ上、ハンドレバー上など、オートバイで必要とされるどこへでも設置され得る。
【0049】
1つの例では、FSRは、ライダーがどこでFSRを必要とするのかに従って設置することができる「貼り付け式の」タイプである場合がある。例えば、一部のライダーはブレーキレバーを引くために人差し指と中指を使用するため、1つの例では、FSRは、薬指又は小指で作動可能であるように位置付けることができるなどである。再び、変形形態がこのことに関して予想され、本発明の範囲内である。FSRは、オフロードオートバイ向けのより厚い本体、又は道路走行オートバイ向けのより薄い本体など、要件に応じて異なる形状をとり得る。
【0050】
同様に、ブレーキレバー10が本明細書で具現化されているが、当業者は、通常、ライダーが第1のアナログ信号を生成するために足で動作可能なように圧力をかけることができる、踏面を画定するペダル本体と、該踏面の上及び/又は中に取り付けられた力覚抵抗器(FSR)であって、第2のアナログ信号を生成するように構成された該FSRとを備えるオートバイブレーキペダル構成が適切であり、かけられた圧力により、該第1の信号及び該第2の信号が同時に生成され、第2の信号が第1の信号と電子的に相関していることを理解する。
【0051】
例えば、ブレーキペダル構成がクルーザー様式のオートバイなどにより適している場合があるのに対し、本明細書に説明されるブレーキレバー構成は、レーシングオートバイにより適している場合がある。同様に、オートバイには、ブレーキレバー構成とフットペダル構成の両方が取り付けられ得る、左右される要件。本明細書ではブレーキレバーが参照されるが、当業者は、クラッチレバー又はギアレバーも適切であり、同様に構成され得ることも理解する。
【0052】
ここで添付図面の
図1から
図4を参照すると、所定の方法で第2の信号を第1の信号と電子的に相互に関連させるように構成されたコントローラ20とともに、上述のように、ブレーキレバー10(及び/又はブレーキペダル)を含む、本発明の一態様に係るオートバイ制動装置18が示されている。また、装置18は、コントローラ20と信号通信して配置され、第1の信号と第2の信号との間の相関に従ってオートバイ26のブレーキ24を作動させるように構成された、少なくとも1つのサーボ機構22も含む。
【0053】
サーボ機構22は、コントローラ20と無線及び/又は有線信号通信して配置され得る。例えば、サーボ機構22は、適切な無線周波数などを介して、コントローラ20と有線信号通信して配置され得る。また、サーボ機構22及びコントローラ20は、冗長性などのために有線接続を含んでもよい。
【0054】
通常、制動装置18は、第1の信号がある車輪上のブレーキを作動するように構成され、サーボ機構22が、該相関に従って別の車輪でブレーキを作動させるように構成され、つまり第1の信号がフロントブレーキを作動させ、前記相関に従って、サーボ機構がリアブレーキを作動させる、又はその逆である。
【0055】
通常、装置18は、コントローラ20と信号通信して配置され、コントローラ20が、第2の信号を第1の信号と相互に関連させる比率及び/又は方法を調整するように構成された調整装置28を含む。例えば、一実施形態では、調整装置は、ポテンショメータなどであってよい。このようにして、調整装置28は、FSR16の感度を調整し、それにより第1の信号と第2の信号との間の相関比を間接的に調整するように構成された、ポテンショメータなどの感度調整装置を含む。調整装置28は、通常、手動で調整可能であるが、以下に説明されるように、センサ入力に応えて、コントローラ20を介して自動的に調整可能であってもよい。
【0056】
一実施形態では、装置18は、コントローラ20と信号通信して配置され、オートバイ26の動作特性を検知し、コントローラ20が、そのような検知された動作特性に従って第2の信号を第1の信号と相互に関連させる比率を自動的に調整するように構成された少なくとも1つのセンサ30も含む。センサ30とコントローラ20との間のそのような信号通信は、有線及び/又は無線であってよい。
【0057】
例えば、オートバイ26の動作特性は、オートバイの速度、オートバイのリーン角、オートバイの長手方向配向又は傾き、オートバイの載荷重、オートバイに近接する物体の存在、オートバイのイモビライザのセキュリティ状態、オートバイのエンジン状態などを含み得る。当業者は、センサ30が、オートバイ26の種々の動作特性のいずれかを検知し、コントローラ20が、相応して第2の信号を第1の信号と自動的に相互に関連させる比率を調整するように構成され得ることを理解する。
【0058】
例えば、センサ30は、オートバイ26の速度を検知し得、コントローラ20は、第1の信号と第2の信号との間の比率の相関を自動的に調整し得、その結果、リアブレーキを作動させるサーボ機構に対するフロントブレーキの作動は、オートバイ26が特定の速度、つまり30km/時を超えて移動するとき70:30の比率で行われ、したがって制動の配分は、前部で70%で、及び後部で30%で行われる。しかしながら、オートバイ26が20km/時以下で移動していると、相関比は、コントローラ20によって50:50などに自動的に調整され得、後輪がロックし、横滑りを引き起こす可能性はより低くなり、それによりより低速での改善された制動性能につながる。
【0059】
同様に、センサ30は、オートバイ26の載荷重を検知し得、負荷が所定の重量を超えると、相関比は、サーボ機構によりかけられるより多くの制動をリアブレーキに移して、制動性能を改善するためにコントローラ20によって調整され得る。追加の例では、オートバイの長手方向配向又は傾きを検知するセンサ30が見られ得、「後輪走行」又は「車輪起立(wheel‐stand)」状態が検知される場合、コントローラ20は、後輪走行などを実行するときにいかなる制御不能も回避するために、万一フロントブレーキレバー10が引かれた場合も、リアブレーキがまったく作動しないように、フロントブレーキとリアブレーキとの間の相関比を調整し得る。同様に、センサ30がオートバイのイモビライザがアクティブであることを示す、オートバイのイモビライザのセキュリティ状態を検知した場合、コントローラ20は、オートバイがより移動するのが難しくなるようになど、ブレーキを完全に作動させ得る。
【0060】
当業者は、他の態様が本発明の他の部分を形成することを理解するべきである。例えば、一実施形態では、コントローラ20は、第2の信号の大きさ及び/又は第1の信号と第2の信号との間の相関などに従って、オートバイ26のクラッチを切るように構成され得る。例えば、センサ30が、オートバイが横倒しになっていることを検知した場合、クラッチは自動的に切られ得、後輪はロックされ得、つまり、第1の信号入力がない状態でリアブレーキは100%かけられるなどである。装置18は、通常、既存のオートバイの電気系統に結線されるので、装置18は、図示されるように、通常、オートバイのバッテリの消耗を防ぐためにオン/オフスイッチ38を組み込む。
【0061】
図3に示される実施形態では、サーボ機構22は、オートバイ26の既存のブレーキシステム24と係合するように構成される。そのような実施形態では、サーボ機構22は、従来のリアブレーキペダルと相互作用するケーブル32など、(圧縮よりむしろ)引張接合を介して該既存のブレーキシステムを作動させるように構成されて、ブレーキシステムの通常の手動作動との干渉を最小限に抑え得る。例えば、曲げられるケーブルに、必要に応じてレバーを「引かせて」、油圧ブレーキシステムを作動させることによって、ライダーは、依然として、張力をかけられたケーブル32からの干渉なしに正常にリアブレーキを操作できる。
【0062】
図3に示される実施形態のサーボ機構22は、図示されるように、例えばブレーキペダルを引いてブレーキシステムを作動させるために、サーボ機構の回転が並進力に変換される偏心接続40も含む。接続40は、ケーブルの遊びに起因するブレーキレバーの通常の移動での制約を低減するためにさらに役立つ。出願人は、JX Servo Technology(商標)によるJX Servo WP45サーボ機構が本願に適しているが、他のサーボ機構が使用され得ることに気付いた。
【0063】
図4に示される別の実施形態では、サーボ機構22は、オートバイ26のブレーキキャリパー34及び/ブレーキディスク36を直接的に作動又は係合させるように構成される。このようにして、オートバイ26の従来の油圧制動システム全体を、「ブレーキバイワイヤ」システムに置き換えることができる。別の実施形態では、サーボ機構は、オートバイ26の既存の油圧システムと係合するように構成され得、センサは、動作特性などとして油圧を検知する。
【0064】
他の実施形態では、コントローラ20は、第1の信号と第2の信号との間の相関に従って、オートバイの制動インジケータを作動させるように構成され得る。例えば、段階的ブレーキライトシステムは、従来のオン/オフブレーキライトインジケータよりむしろ、使用されるブレーキのレベルを示す際に役立つ場合がある、FSR16にかけられる圧力の量を示すために使用できる。
【0065】
出願人は、本発明が、説明されるように、実装時、通常、人間工学的な驚くべきオートバイ制御結果につながる、本明細書に説明される装置を介して相互に関連する「アナログ-オンーアナログ」信号の生成を提供することを特に有利だと考える。例えば、協調したブレーキパッドの設計及び置換が可能であるようになど、フロントブレーキとリアブレーキとの間の特定のブレーキ相関を構成できる。
【0066】
本明細書に説明される方法で、装置18は、ライダーが、あるブレーキを作動させて、オートバイ26の別のブレーキを自動的に作動させるための、ブレーキペダル又はブレーキレバーにかけられる圧力間の相関を、調整装置28を介して調整することを可能にする、又はあるブレーキを作動させて、オートバイ26の別のブレーキを自動的に作動させるための、ブレーキペダル又はブレーキレバーにかけられる圧力間の相関をセンサ30を介して自動的に調整するようにコントローラ20を構成することを可能にする。単一のアナログ入力は2つの別個のアナログ信号を生成し、一方はサーボ機構22を操作するためにコントローラ20によって相互に関連付けられるので、両方の信号を用いたアナログ制御を達成することができ、要件に応じて両方のブレーキに均等に制動力をかけることができることを意味する。
【0067】
そのような装置は、道路走行オートバイでの適切なリアブレーキの使用を確実にするうえで特に役立ち、ライダーの足を使用する必要することなく、リアブレーキを制御できるオフロードオートバイで特に応用され、これはオートバイを制御するために代わりに使用できる。
【0068】
本発明の任意選択の実施形態も、部分、要素、又は特徴のうちの2つ以上の任意の又はすべての組合せにおいて、個別に又は集合的に、本明細書で言及される又は示される部分、要素、及び特徴から大まかに構成されると言い得、本発明が関係する技術で既知の均等物を有する特定の整数がここで言及され、そのような既知の均等物は、あたかも個々に説明されたかのように、本明細書に組み込まれると見なされる。例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、そのようなものは当業者により容易に理解されるので、詳細に説明されていない。
【0069】
様々な実施形態を説明する文脈での(特に、特許請求されている主題の文脈での)用語「1つの」、「1つの」、「前記の」、「前記の」、及び/又は類似する指示対象は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈により明確に矛盾しない限り、単数形又は複数形の両方を含めると解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、及び「含む」は、特に断りのない限りオープンエンド用語(つまり、「含むが、これらに限定されるものではない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書で使用されると、用語「及び/又は」は、関連付けられ、示される項目の1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。明細書中の言語は、特許請求される主題の実施に必須として、任意の特許請求されていない主題を示すと解釈されるべきではない。
【0070】
本発明の「1つの例」若しくは「一例」、又は本明細書の類似する例示的な言語(例えば、「など」)に対する参照は、排他的な意味で行われないことが理解されるべきである。特許請求される主題の様々な実質的に及び具体的に実用的且つ有用な例示的な実施形態は、特許請求される主題を実施するために、原文通りに及び/又は図を使って本明細書に説明される。
【0071】
したがって、1つの例は、本発明の特定の態様を例示し得る。一方、他の態様は、異なる例で例示される。これらの例は、当業者が、本発明を実行するのを支援することを目的とし、文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、本発明の全体的な範囲をいかなる方法によっても制限することを目的としていない。本明細書に説明される1つ以上の実施形態の変形形態(例えば、変更形態及び/又は拡張)は、本願を読むと当業者に明らかになる可能性がある。本発明者(複数の場合がある)は、当業者が、そのような変形形態を必要に応じて用いることを期待し、本発明者(複数の場合がある)は、特許請求される主題が、本明細書に具体的に説明される以外に実施されることを意図する。
【国際調査報告】