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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】血糖制御システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/40 20180101AFI20220915BHJP
【FI】
G16H40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022502591
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020042269
(87)【国際公開番号】W WO2021011738
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/874,928
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,934
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,950
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,954
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,959
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,964
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,968
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,972
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,975
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,977
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/910,970
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,017
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,143
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/987,842
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/037,472
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/042195
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/042198
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519243732
【氏名又は名称】ベータ バイオニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハティブ,フィラース,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーノ,エドワード,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ラスキン,エドワード,ビー.
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
グルコース値制御システムは、制御パラメータに対する異なる値の効果の比較に基づいて、対象に提供される療法を自律的に修正することができる。システムは、制御パラメータの第1の値を使用して第1の療法期間中に対象に療法を送達し、対象における血糖の血糖制御を分析することによって第1の療法に対する対応する第1の効果を決定することができる。システムは、制御パラメータの第2の値を自律的に生成し、第2の値を使用して第2の期間中に提供される第2の療法に対応する第2の効果を決定することができる。2つの療法期間の効果を比較することによって、改善された血糖値管理を提供する制御パラメータの値を決定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともインスリン療法を対象に送達するように構成された薬剤ポンプを使用して、前記対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
少なくともインスリン療法を前記対象に送達するように構成された前記薬剤ポンプのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記対象のグルコース値を受信することと、
前記グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定することであって、前記トリガイベントが、前記対象に低血糖の切迫性リスクが存在すること、又は前記対象に低血糖のエピソードが存在することを含む、判定することと、
拮抗調節剤の量を決定して、前記低血糖の切迫性リスク又は前記低血糖のエピソードに応答することと、
前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、糖質療法の投与量を決定することと、
複数の低血糖リスクイベント又は低血糖エピソードを含む期間にわたって、糖質療法の決定された投与量を追跡して、前記期間にわたる前記総糖質療法の指標を生成することと、
前記総糖質療法の指標を出力することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記低血糖の切迫性リスク又は前記低血糖のエピソードに応答して、前記対象に前記拮抗調節剤の前記量を提供することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
閾値グルコース値を満たすか又はそれを下回る前記グルコース値に応答して、前記対象に前記拮抗調節剤の前記量を提供することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記閾値グルコース値が、低血糖イベントに対する前記対象のリスク許容度に基づいて設定される、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記総糖質療法の指標が、前記対象によって消費される糖質の減少に対応する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記総糖質療法の指標が、前記拮抗調節剤の利用可能性によって達成可能な糖質の減少に対応する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記総糖質療法の指標が、糖質の代替物として前記対象に提供される拮抗調節剤の量に対応する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記総糖質療法の指標が、糖質の範囲の指標を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記糖質療法の投与量を決定することが、
前記拮抗調節剤と糖質との間のマッピングにアクセスすることと、
前記マッピング及び前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、前記糖質療法の投与量を決定することと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記マッピングが、前記糖質の種類に少なくとも部分的に基づいている、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記マッピングが、前記拮抗調節剤と前記糖質との臨床比較に基づいて生成される、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記マッピングが、前記対象の生理学的特性に少なくとも部分的に基づいている、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記マッピングが、前記拮抗調節剤の種類に少なくとも部分的に基づいている、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記マッピングが、前記拮抗調節剤を前記糖質に関連付ける数式を含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記マッピングは、前記薬剤ポンプが前記対象に拮抗調節剤療法を送達するように構成されたバイホルモン性ポンプを含む場合の第1のマッピングを含み、前記マッピングは、前記薬剤ポンプが前記対象に前記拮抗調節剤療法を送達するように構成されていない場合の第2のマッピングを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記総糖質療法の指標が、カロリーの指標、糖質の指標、糖の測定値の指標、食物の量の指標、又は前記糖質療法に起因する前記対象の体重の指標のうちの1又は複数を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するように構成された自動血糖制御システムであって、前記自動血糖制御システムが、
前記対象に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースであって、前記薬剤が、少なくともインスリンを含む、薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記対象のグルコース値を受信することと、
前記グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定することであって、前記トリガイベントが、前記対象に低血糖の切迫性リスクが存在すること、又は前記対象に低血糖のエピソードが存在することを含む、判定することと、
拮抗調節剤の量を決定して、前記低血糖の切迫性リスク又は前記低血糖のエピソードに応答することと、
前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、糖質療法の投与量を決定することと、
複数の低血糖リスクイベント又は低血糖エピソードを含む期間にわたって、糖質療法の決定された投与量を追跡して、前記期間にわたる前記総糖質療法の指標を生成することと、
前記総糖質療法の指標を出力することと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む、自動血糖制御システム。
【請求項18】
前記ハードウェアプロセッサが、前記グルコース値が前記トリガイベントに対応する閾値を満たさないことを示す、前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサから受
信したグルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて、前記薬剤ポンプを動作させて前記対象における血糖値を制御するように構成された拮抗調節剤投薬信号の自動生成のための制御アルゴリズムを動作させるように更に構成されている、請求項17に記載の自動血糖制御システム。
【請求項19】
前記メモリが、前記拮抗調節剤と前記糖質との間のマッピングを記憶するように更に構成され、前記ハードウェアプロセッサが、
前記メモリから前記マッピングにアクセスすることと、
前記マッピング及び前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、前記糖質療法の投与量を決定することと、
を行うように更に構成されている、請求項17に記載の自動血糖制御システム。
【請求項20】
前記マッピングが、前記拮抗調節剤を前記糖質に関連付けるアルゴリズムを含む、請求項19に記載の自動血糖制御システム。
【請求項21】
自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成された自動血糖制御システムであって、前記自動血糖制御システムが、
前記対象に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、
前記グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて前記対象の血糖を制御する目的で、前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、
前記自動血糖制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記対象に施されるインスリン療法を追跡することであって、前記インスリン療法を追跡することが、前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を、基礎インスリン、インスリンの補正ボーラス、又はインスリンの食事時ボーラスとして記憶することを含む、追跡することと、
前記追跡期間にわたって前記対象に施された前記インスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法の指示を含む、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成することと、
前記自動血糖制御システムが前記対象に療法を提供していないとき、ディスプレイ上に、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つを出力して、前記自動血糖制御システムによって決定されたレートで療法が維持されることを可能にすることと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む、自動血糖制御システム。
【請求項22】
前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の前記指標を前記メモリに記憶するように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項23】
前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記自動血糖制御システムとは別個の外部コンピューティングシステムとの通信チャネルを確立することと、
前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の前記指標を前記外部コンピューティングシステムに送信することと、
を行うように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項24】
前記外部コンピューティングシステムが、データセンターのコンピューティングシステムであり、前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、広域ネットワークを介して前記外部コンピューティングシステムと通信することができる無線機を制御するように更に構成されている、請求項23に記載の自動血糖制御システム。
【請求項25】
前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって1日当たり前記対象に提供される平均総基礎インスリンに少なくとも部分的に基づいて長時間作用型インスリン単位の数を少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコルを生成するように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項26】
前記追跡期間のうちの各日が、複数のサブ期間に分割され、前記ハードウェアプロセッサが、前記複数のサブ期間のうちの各サブ期間について1時間ごとの基礎レートを少なくとも決定することによって、前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項27】
前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって1日当たり前記対象に提供される平均補正ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項28】
前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間中に前記対象に補正ボーラスとして提供されるインスリンの単位に少なくとも部分的に起因する血糖の平均変化を少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項29】
前記ハードウェアプロセッサが、1日当たり複数の食事時間のうちの各食事時間について、前記追跡期間にわたって前記対象に提供されるインスリンの平均食事時ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項30】
前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記追跡期間にわたって前記対象に施される拮抗調節剤療法を追跡することであって、前記拮抗調節剤療法を追跡することが、前記グルコース値信号に応答して前記対象に送達される自律的に決定された拮抗調節剤の投与量の指標を記憶することを含む、追跡することと、
前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つにおいて、前記追跡期間にわたって前記対象に提供された総拮抗調節剤及び/又は毎日の拮抗調節剤の指標を含むことと、
を行うように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項31】
前記制御アルゴリズムが、前記グルコース値信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能である制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖を制御する目的で前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように更に構成され、前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することであって、前記ユーザ修正を追跡することは、前記ユーザ修正の各々が、記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの増加又は減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正の各々が発生した時間とを療法ログに記憶することを含む、追跡することと、
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成することであって、前記レポートが、前記記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含み、前記レポートが、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つに含まれる、生成することと、
を行うように更に構成されている、請求項21に記載の自動血糖制御システム。
【請求項32】
自動血糖制御システムによって決定された、自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記自動血糖制御システムのハードウェアプロセッサによって、
前記対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、
前記グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて前記対象の血糖を制御する目的で、前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、
前記自動血糖制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記対象に施されるインスリン療法を追跡することであって、前記インスリン療法を追跡することが、前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を記憶することを含む、追跡することと、
前記追跡期間にわたって前記対象に施された前記インスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法の指示を含む、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成することと、
前記自動血糖制御システムが前記対象に療法を提供していないとき、ディスプレイ上に、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つを出力して、前記自動血糖制御システムによって決定されたレートで療法が維持されることを可能にすることと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記自律的に決定されたインスリンの投与量が、基礎インスリン投与量、インスリンの補正ボーラス、又はインスリンの食事時ボーラスのうちの1又は複数を含む、請求項32に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項34】
自動血糖制御システムであって、前記自動血糖制御システムのユーザによって行われた療法プロトコル修正のレポートを生成するように構成され、前記自動血糖制御がシステムが、
対象に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令、記憶された制御パラメータ値、及び療法ログを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、
前記グルコース値信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能である制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖を制御する目的で前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、
少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することであって、前記ユーザ修正を追跡することは、前記ユーザ修正の各々が、前記記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの増加又は減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正の各々が発生した時間とを前記療法ログに記憶することを含む、追跡することと、
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成することであって、前記レポートが、前記記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含む、生成することと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む、自動血糖制御システム。
【請求項35】
前記レポートが、前記追跡期間にわたって前記記憶された制御パラメータ値よりも高い又は低いユーザ修正の割合を更に含む、請求項34に記載の自動血糖制御システム。
【請求項36】
前記レポートが、前記追跡期間にわたってインスリンの注入が中断される回数を更に含む、請求項34に記載の自動血糖制御システム。
【請求項37】
前記レポートが、前記追跡期間にわたって前記記憶された制御パラメータがユーザによって修正されない時間の割合を更に含む、請求項34に記載の自動血糖制御システム。
【請求項38】
前記追跡期間が、複数のサブ期間に分割され、前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間のうちの各サブ期間について前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するように更に構成され、前記レポートが、前記追跡期間の各サブ期間について前記記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含む、請求項34に記載の自動血糖制御システム。
【請求項39】
前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が、前記制御パラメータの第1の値に関連付けられ、前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が、前記制御パラメータの第2の値に関連付けられ、前記ハードウェアプロセッサが、前記第1のサブ期間について前記制御パラメータの前記第1の値に対するユーザ修正を追跡し、前記第2のサブ期間について前記制御パラメータの前記第2の値に対するユーザ修正を追跡するように更に構成されている、請求項38に記載の自動血糖制御システム。
【請求項40】
前記ハードウェアプロセッサが、前記制御パラメータに対する前記ユーザ修正に関連付けられたユーザ活動を追跡するように更に構成され、前記制御パラメータに対するユーザ修正の前記レポートが、前記制御パラメータに対するユーザ修正の間に生じるユーザ活動の識別情報を含む、請求項34に記載の自動血糖制御システム。
【請求項41】
血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記血糖制御システムのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することと、
第1の療法期間中に前記血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることであって、前記第1の療法が、前記投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが、前記対象におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それにより、前記グルコース値信号によって示される前記対象における血糖エクスカーションに対する前記制御アルゴリズムのインスリン投与応答を制御する、送達させることと、
前記第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することであって、前記第1の効果を決定することが、前記グルコース値信号によって示される前記対象における血糖の血糖制御を分析することを含む、決定することと、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成することであって、前記自律的に生成された第2の値が、前記第1の値及び前記第1の効果に基づく関数として決定される、生成することと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に修正することと、
第2の療法期間中に前記血糖制御システムによって前記対象に第2の療法を送達させることであって、前記第2の療法が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記対象に提供される前記療法を修正する、送達させることと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記ハードウェアプロセッサによって、
前記第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値又は前記制御パラメータの前記第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することと、
前記アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に前記対象に療法を提供するように前記血糖制御システムを構成することであって、前記アクティブ制御パラメータ値の前記選択が、前記対象に提供される前記療法を修正する、構成することと、
を更に含む、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項43】
前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記制御アルゴリズムによる前記対象におけるインスリンの蓄積の計算において使用される少なくとも1つの時定数に関連している、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項44】
前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記対象におけるインスリン減少レートに対応する、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項45】
前記第1の療法期間が、療法の複数のインスタンスの投与に対応する期間を含み、前記第1の療法が、前記療法の複数のインスタンスを含む、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項46】
前記制御パラメータを前記第2の値に修正することが、前記第2の療法期間中に投与されるインスリンのタイミング又は投与量サイズのうちの1又は複数を修正する、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項47】
前記制御パラメータの前記第1の値が、前記第1の療法期間より前の期間中に送達される療法、臨床値、又は前記対象の体格のうちの1又は複数に基づいている、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項48】
前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記対象の血漿中のインスリンがインスリン投与量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項49】
血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記血糖制御システムのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
第1の療法期間中に前記血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることであって、前記第1の療法が、前記投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、送達させることと、
前記第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することであって、前記第1の効果を決定することが、前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含む、決定することと、
前記制御パラメータのベースライン値及び前記対象の血糖制御に基づいて定義された関数の出力に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成することであって、前記グルコース値信号が、前記第1の療法期間中の前記対象の前記血糖制御の指標を含む、生成することと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に修正することと、
第2の療法期間中に前記血糖制御システムによって前記対象に第2の療法を送達させることであって、前記第2の療法が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記対象に提供される前記療法を修正する、送達させることと、
を含む、方法。
【請求項50】
前記ハードウェアプロセッサによって、
前記第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値又は前記制御パラメータの前記第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することと、
前記アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に前記対象に療法を提供するように前記血糖制御システムを構成することであって、前記アクティブ制御パラメータ値の前記選択が、前記対象に提供される前記療法を修正する、構成することと、
を更に含む、請求項49に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項51】
前記第1の療法が、前記第1の療法期間にわたって施される療法の複数のインスタンスを含む、請求項49に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項52】
前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記対象の血液中のインスリンがインスリン投与量の投与に起因する特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、請求項49に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項53】
血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記血糖制御システムのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
第1の療法期間中に前記血糖制御システムによって第1の療法を対象に送達させることであって、前記第1の療法が、前記投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムに
よって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、送達させることと、
前記第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することであって、前記第1の効果を決定することが、前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含む、決定することと、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成することであって、前記自律的に生成された第2の値が、ベースライン値に少なくとも部分的に基づく関数として決定される、生成することと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に修正することと、
第2の療法期間中に前記血糖制御システムによって前記対象に第2の療法を送達させることであって、前記第2の療法が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記対象に提供される前記療法を修正する、送達させることと、
前記第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較をヒトの行動なしに自律的に行うことと、
前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値又は前記制御パラメータの前記第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することと、
前記アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に前記対象に療法を提供するように前記血糖制御システムを構成することであって、前記アクティブ制御パラメータ値の前記選択が、前記対象に提供される前記療法を修正する、構成することと、
を含む、方法。
【請求項54】
前記制御パラメータの前記第2の値が、前記グルコース値信号によって示される血糖制御に少なくとも部分的に基づいている、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項55】
前記ベースライン値が、前記制御パラメータの前記第1の値を含む、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項56】
前記制御パラメータの前記第1の値が、前記ベースライン値に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項57】
前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行することを更に含み、前記比較が、前記第2の効果の決定に応答して実質的にリアルタイムで実行される、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項58】
前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行することを更に含み、前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較が、前記第1の効果と前記第2の効果との統計的比較を実行することを含む、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項59】
前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行することを更に含み、前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較が、少なくとも前記第1の効果及び前記第2の効果の回帰分析を実行することを含む、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項60】
前記制御パラメータの前記第2の値は、皮下投与されたインスリンが前記対象の血液中に吸収される時間と血糖制御機能との間の回帰分析の実行に基づいて選択することができ、前記血糖制御機能が、前記グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいている、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先出願への参照による援用
本出願は、2020年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987,842号、2020年6月10日に出願された同第63/037,472号、2019年7月16日に出願された同第62/874,928号、2019年7月16日に出願された同第62/874,934号、2019年7月16日に出願された同第62/874,950号、2019年7月16日に出願された同第62/874,954号、2019年7月16日に出願された同第62/874,959号、2019年7月16日に出願された同第62/874,964号、2019年7月16日に出願された同第62/874,968号、2019年7月16日に出願された同第62/874,972号、2019年7月16日に出願された同第62/874,975号、2019年7月16日に出願された同第62/874,977号、2019年10月4日に出願された同第62/910,970号、2019年10月4日に出願された同第62/911,017号、及び2019年10月4日に出願された同第62/911,143号の利益を主張する。更に、本出願は、2020年7月15日に出願された国際特許出願第PCT/US2020/042198号及び2020年7月15日に出願された国際特許出願第PCT/US2020/042195号の優先権の利益を主張する。本段落で参照される各出願の全内容は、参照により本明細書に援用され、本明細書の一部をなす。本出願と共に出願された出願データシートにおいて外国又は国内の優先権主張が特定される任意の及び全ての出願は、37CFR1.57の下で参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、対象に療法を提供する血糖制御システムなどの携帯型医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
持続送達型のポンプ駆動式薬剤注射デバイスには、概して、注入部位において患者の皮膚を介して皮下的に取り付けられた送達カニューレが含まれる。ポンプは、リザーバから薬剤を引き込み、カニューレを介して薬剤を患者に送達する。注射デバイスには、通常、入口ポートから送達カニューレに薬剤を伝達するチャネルが含まれており、これにより、送達カニューレが終端する皮下組織層への送達を得られる。一部の注入デバイスは、1つの薬剤を患者に送達するように構成されているが、他の注入デバイスは、複数の薬剤を患者に送達するように構成されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、及びデバイスは各々、複数の革新的な態様を有し、それらのうちの単一の態様が、本明細書で開示する望ましい属性の全てを単独で担うとは限らない。本明細書に記載されている主題の1又は複数の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。
【0005】
本明細書に開示される特定の実施形態は、少なくともインスリン療法を対象に送達するように構成された薬剤ポンプを使用して、対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、少なくともインスリン療法を対象に送達するように構成された薬剤ポンプのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実行することができる。本方法は、対象のグルコース値を受信することと、グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定することと、を含み得る。トリガイベントには、対象に低血糖の切迫性リスクが存在すること、又は対象に低血糖のエピソードが存在することを判定することが含まれ得る。本方法は、拮抗調節剤の量を決定して、低
血糖の切迫性リスク又は低血糖のエピソードに応答することを更に含み得る。更に、本方法は、拮抗調節剤の量に少なくとも部分的に基づいて糖質療法の投与量を決定することを含み得る。更に、本方法は、複数の低血糖リスクイベント又は低血糖エピソードを含む期間にわたって、糖質療法の決定された投与量を追跡して、期間にわたる総糖質療法の指標を生成することを含み得る。本方法は、総糖質療法の指標を出力することを含み得る。
【0006】
本開示の追加の実施形態は、対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するように構成された自動血糖制御システムに関する。自動血糖制御システムは、対象に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースを含み得る。薬剤は、少なくともインスリンを含み得る。更に、自動血糖制御システムは、特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、対象のグルコース値を受信することと、グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定することであって、トリガイベントが、対象に低血糖の切迫性リスクが存在すること、又は対象に低血糖のエピソードが存在することを含む、判定することと、拮抗調節剤の量を決定して、低血糖の切迫性リスク又は低血糖のエピソードに応答することと、拮抗調節剤の量に少なくとも部分的に基づいて、糖質療法の投与量を決定することと、複数の低血糖リスクイベント又は低血糖エピソードを含む期間にわたって、糖質療法の決定された投与量を追跡して、期間にわたる総糖質療法の指標を生成することと、総糖質療法の指標を出力することと、を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、を含み得る。
【0007】
本開示の特定の実施形態は、自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成された自動血糖制御システムに関する。自動血糖制御システムは、対象に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースを含み得る。更に、自動血糖制御システムは、特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて対象の血糖を制御する目的で、対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、自動血糖制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって対象に施されるインスリン療法を追跡することであって、インスリン療法を追跡することが、対象に送達される自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を、基礎インスリン、インスリンの補正ボーラス、又はインスリンの食事時ボーラスとして記憶することを含む、追跡することと、追跡期間にわたって対象に施されたインスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法の指示を含む、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成することと、自動血糖制御システムが対象に療法を提供していないとき、ディスプレイ上に、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを出力して、自動血糖制御システムによって決定されたレートで療法が維持されることを可能にすることと、を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、を含み得る。
【0008】
本開示の追加の実施形態は、自動血糖制御システムによって決定された、自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、自動血糖制御システムのハードウェアプロセッサによって実行することができる。本方法は、対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて対象の血糖を制御する目的で、
対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、を含み得る。更に、本方法は、自動血糖制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって対象に施されるインスリン療法を追跡することを含み得る。インスリン療法を追跡することは、対象に送達される自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を記憶することを含み得る。更に、本方法は、追跡期間にわたって対象に施されたインスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法の指示を含む、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成することを含み得る。更に、本方法は、自動血糖制御システムが対象に療法を提供していないとき、ディスプレイ上に、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを出力して、自動血糖制御システムによって決定されたレートで療法が維持されることを可能にすることを含み得る。
【0009】
本開示の一部の実施形態は、自動血糖制御システムのユーザによって行われた療法プロトコル修正のレポートを生成するように構成された自動血糖制御システムに関する。自動血糖制御システムは、対象に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースを含み得る。更に、自動血糖制御システムは、特定のコンピュータ実行可能命令、記憶された制御パラメータ値、及び療法ログを記憶するように構成されたメモリを含み得る。更に、自動血糖制御システムは、メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、グルコース値信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能である制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、対象の血糖を制御する目的で対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、少なくとも1日を含む追跡期間にわたって制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することであって、ユーザ修正を追跡することは、ユーザ修正の各々が、記憶された制御パラメータ値からの制御パラメータの増加又は減少を含むかどうかと、ユーザ修正の各々が発生した時間とを療法ログに記憶することを含む、追跡することと、制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成することであって、レポートが、記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含む、生成することと、を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、を含み得る。
【0010】
本開示の特定の実施形態は、血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、血糖制御システムの投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実行することができる。更に、本方法は、対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含み得る。更に、本方法は、第1の療法期間中に血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることであって、第1の療法が、投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、送達させることを含み得る。制御パラメータは、対象におけるインスリンの蓄積を考慮するために制御アルゴリズムによって使用され得、それにより、グルコース値信号によって示される対象における血糖エクスカーションに対する制御アルゴリズムのインスリン投与応答を制御する。更に、本方法は、第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することを含み得る。第1の効果を決定することは、グルコース値信号によって示される対象における血糖の血糖制御を分析することを含み得る。更に、本方法は、制御パラメータの第2の値を自律的に生成することを含み得る。自律的に生成された第2の値は、第1の値及び第1の効果に基づく関数として決定され得る。更に、本方法は、制御パラメータを第1の値から第2の値に修正し、第2の療法期間中に血糖制御システムによって対象に第2の療法を送達させることを含み得る。第2の療法は、
制御パラメータの第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され得る。更に、制御パラメータを変更することにより、対象に提供される療法を修正することができる。
【0011】
本開示の追加の実施形態は、血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、血糖制御システムの投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実行することができる。本方法は、第1の療法期間中に、血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることを含み得る。第1の療法は、投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され得る。本方法は、第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することを更に含み得る。第1の効果を決定することは、対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含み得る。更に、本方法は、制御パラメータのベースライン値及び対象の血糖制御に基づいて定義された関数の出力に少なくとも部分的に基づいて、制御パラメータの第2の値を自律的に生成することを含み得る。グルコース値信号は、第1の療法期間中の対象の血糖制御の指標を含み得る。更に、本方法は、制御パラメータを第1の値から第2の値に修正し、第2の療法期間中に血糖制御システムによって対象に第2の療法を送達させることを含み得る。第2の療法は、制御パラメータの第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され得る。制御パラメータの変更には、対象に提供される療法を修正することが含まれ得る。
【0012】
本開示の一部の実施形態は、血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、血糖制御システムの投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実装することができる。本方法は、第1の療法期間中に、血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることを含み得る。第1の療法は、投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され得る。本方法は、第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することを更に含み得る。第1の効果を決定することは、対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含み得る。更に、本方法は、制御パラメータの第2の値を自律的に生成することを含み得る。自律的に生成された第2の値は、ベースライン値に少なくとも部分的に基づく関数として決定され得る。更に、本方法は、制御パラメータを第1の値から第2の値に修正することを含み得る。本方法は、第2の療法期間中に、血糖制御システムによって対象に第2の療法を送達させることを更に含み得る。第2の療法は、制御パラメータの第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され得る。更に、制御パラメータの変更には、対象に提供される療法を修正することが含まれ得る。本方法は、第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、第1の効果と第2の効果との比較をヒトの行動なしに自律的に行うことと、を含み得る。更に、本方法は、第1の効果と第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、制御パラメータの第1の値又は制御パラメータの第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することを含み得る。更に、本方法は、アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に対象に療法を提供するように血糖制御システムを構成することを含み得る。アクティブ制御パラメータ値の選択は、対象に提供される療法を修正し得る。
【0013】
更に、前述の実施形態のいずれかを組み合わせることができる。例えば、単一の自動血糖制御システムは、前述の実施形態のうちの1又は複数を実装するように構成され得る。
【0014】
図面全体を通して、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再利用される。図面は、本明細書に記載の主題の特定の態様を説明するために提供されており、その範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1Aは、携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する血糖制御システムの例を示す。図1Bは、携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する別の血糖制御システムの例を示す。図1Cは、携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する更なる血糖制御システムの例を示す。
図2図2Aは、血糖制御システムの例のブロック図を示す。図2Bは、別の血糖制御システムの例のブロック図を示す。図2Cは、別の血糖制御システムの例のブロック図を示す。図2Dは、別の血糖制御システムの例のブロック図を示す。
図3】電子通信インターフェースを含む例示的なグルコース制御システムの概略図である。
図4図4Aは、オンライン動作モードでの血糖制御システムの例のブロック図を示す。図4Bは、オフライン動作モードでの血糖制御システムの例のブロック図を示す。
図5】特定の実施形態によるグルコース制御システムのブロック図を示す。
図6】特定の実施形態によるコントローラシステムのブロック図を示す。
図7】特定の実施形態による糖質療法の等価度追跡プロセスの例のフローチャートを提示する。
図8】特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコル生成プロセスのフローチャートを提示する。
図9】特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正追跡プロセスのフローチャートを提示する。
図10】特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコルを示す。
図11】特定の実施形態による制御パラメータ修正レポートの例を示す。
図12】特定の実施形態による、図11の制御パラメータ修正レポートの一部の実装形態の一部として含まれ得る、例示的な食事選択レポートを示す。
図13】特定の実施形態による例示的な自動血糖制御改良プロセスのフローチャートを提示する。
図14A】Tmaxを65分に設定した対象の血糖制御のシミュレーションを示す。
図14B】Tmaxを15分に設定した対象の血糖制御のシミュレーションを示す。
図14C】Tmaxを130分に設定した対象の血糖制御のシミュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載の一部の実施形態は、1又は複数の薬剤用の薬剤注入システム及びかかるシステムの構成要素(例えば、注入ポンプ、薬剤カートリッジ、カートリッジコネクタ、管腔アセンブリ、注入コネクタ、注入セットなど)に関する。一部の実施形態は、注入システム及びその構成要素を製造する方法に関する。一部の実施形態は、1又は複数の薬剤(例えば、医薬品、ホルモンなど)を患者に注入するために前述のシステム又は構成要素のいずれかを使用する方法に関する。例示的な例として、注入システムは、注入ポンプを含んでもよく、注入ポンプは、1又は複数の薬剤カートリッジを含み得るか、又は薬剤の一体型リザーバを有し得る。注入システムには、薬剤カートリッジ及びカートリッジコネクタが含まれ得るが、ポンプは含まれない。注入システムには、カートリッジコネクタ及び注入ポンプが含まれ得るが、薬剤カートリッジは含まれない。注入システムには、注入コネクタ、管腔アセンブリ、カートリッジコネクタ、注入ポンプが含まれ得るが、薬剤カートリッジ又は注入セットは含まれない。血糖制御システムは、注入システムと連動して動作して、1又は複数の薬剤を対象に注入することができ、これには、少なくとも1つの血糖制御剤が含まれる。本明細書の任意の実施形態で説明及び/又は図示される任意の特徴、構造、構成要素、材料、工程、又は方法は、本明細書の任意の他の実施形態で説明
及び/又は図示される任意の特徴、構造、構成要素、材料、工程、又は方法と共に、又はその代わりに使用することができる。加えて、一実施形態で説明及び/又は図示される任意の特徴、構造、構成要素、材料、工程、又は方法は、別の実施形態には存在しなくてもよい。
【0017】
血糖制御システムの概要
血糖制御システムは、対象の血糖値を制御するために使用される。血糖制御システムは、対象に注入され得る1又は複数のグルコース制御剤の投与量制御信号を生成するように構成されたコントローラを含み得る。グルコース制御剤には、インスリン及びインスリン類似体などの血糖値を低下させる傾向がある調節剤、及びグルカゴン又はデキストロースなどの血糖値を上昇させる傾向がある拮抗調節剤が含まれる。2つ以上のグルコース制御剤と共に使用されるように構成された血糖制御システムは、薬剤の各々の投与量制御信号を生成することができる。一部の実施形態では、薬剤が、対象に接続された薬剤ポンプを介して投薬に利用できない場合でも、血糖制御システムは、薬剤の投与量制御信号を生成することができる。
【0018】
グルコース制御剤は、皮下注射、静脈内注射、又は別の適切な送達方法を介して対象に送達することができる。携帯型薬剤ポンプによる血糖制御療法の場合、皮下注射が最も一般的である。携帯型薬剤ポンプ100は、一種の携帯型医療機器であり、本明細書では、携帯型装置、携帯型薬剤装置、移動式携帯型装置、又はAMDと称されることもある。携帯型医療機器には、対象によって持ち運ばれ、対象に療法を送達するように構成された携帯型薬剤ポンプ及び他のデバイスが含まれる。
【0019】
一部の例では、携帯型医療機器(AMD)は、電気刺激装置であり、療法の送達には、対象に電気刺激を提供することが含まれる。電気刺激装置の例は、心臓ペースメーカーである。心臓ペースメーカーは、心筋の電気刺激を生成して、心臓のリズムを制御する。電気刺激装置の別の例は、パーキンソン病又は運動障害を治療するための脳深部刺激装置である。
【0020】
図1A図1Cは、対象に接続された携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する血糖制御システムの例を示している。図1Aでは、薬剤ポンプ100は、注入セット104を使用して注入部位102に接続されている。薬剤ポンプは、ポンプ制御部106aと一体化されており、これにより、ユーザは、ポンプ制御部106aとのユーザインタラクションを介して、ポンプデータを表示し、治療設定を変更することができる。グルコース値センサ110は、血糖制御システムによって受信されるグルコース値信号を生成する。
【0021】
図1Bでは、薬剤ポンプ100は、無線データ接続を介して外部電子デバイス108(例えば、スマートフォンなど)と通信している。ポンプ制御部106a及び106bの少なくとも一部は、外部電子デバイス108のユーザインターフェース要素とのユーザインタラクションを介して操作することができる。グルコース値センサ110はまた、無線データ接続を介して薬剤ポンプ100と通信することができる。
【0022】
図1Cでは、薬剤ポンプ100は、別個の注入セットなしで注入部位102に挿入される一体型カニューレを含む。ポンプ制御部106bの少なくとも一部は、外部電子デバイス108のユーザインターフェース要素とのユーザインタラクションを介して操作することができる。一部の事例では、ポンプ制御部は、直接的又は間接的な電子データ接続を介して薬剤ポンプ100に接続する、例えば、クラウドコンピューティングサービス等のリモートコンピューティング環境(図示せず)によって生成されるユーザインターフェース要素とのユーザインタラクションを介して操作され得る。
【0023】
グルコース制御システムは、通常、ユーザインターフェースを含んでおり、当該ユーザインターフェースは、治療情報、グルコース値情報、及び/又はインターフェース制御とのユーザインタラクションを介して治療設定を変更し得る治療制御要素のうちの1又は複数を提供するように構成されている。ユーザインターフェースは、ディスプレイ及び1又は複数のボタン、スイッチ、ダイヤル、静電容量式タッチインターフェース、又はタッチスクリーンインターフェースを含む電子デバイスを介して実装され得る。一部の実施形態では、ユーザインターフェースの少なくとも一部分は、注入セットを介して対象の身体に繋ぐことができる携帯型薬剤ポンプと一体化されており、当該注入セットは、1又は複数のグルコース制御剤の皮下注射を容易にするように構成されている。特定の実施形態では、ユーザインターフェースの少なくとも一部分は、スマートフォンなどの携帯型薬剤ポンプとは別の電子デバイスを介して実装される。
【0024】
図2A図2Dは、グルコース制御システム200の構成例を示すブロック図を示している。図2Aに示すように、グルコース制御システム200aは、電子プロセッサ204aと、プロセッサ204aによって実行可能な命令208aを記憶するメモリ210aとを有するコントローラ202aを含み得る。コントローラ202a及びポンプ212は、携帯型医療機器(AMD)100に一体化することができる。AMD100は、外部電子デバイスとの無線デジタルデータ通信のためのトランシーバ214aを含み得る。メモリ210aに記憶された命令208aが電子プロセッサ204aによって実行されると、コントローラ202aは、制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装し得、当該制御アルゴリズムにより、対象の時間変動グルコース値及び1又は複数の制御パラメータに基づいて、1又は複数のグルコース制御剤のための投与量制御信号を生成する。投与量制御信号は、ポンプ212に送達されると、対象の血糖を制御する投薬操作をもたらす。
【0025】
図2Bに示すように、グルコース制御システム200bは、携帯型医療機器100とは別の電子デバイス108の電子プロセッサ204bによる命令208bの実行を介して少なくとも部分的に動作し得る。電子デバイス108は、AMD100への無線デジタルデータ接続を確立し得るトランシーバ214bを含むことができ、コントローラ202bは、メモリ210bに記憶された命令208bの実行を介して制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装し得る。メモリ210bに記憶された命令208bが電子プロセッサ204bによって実行されると、コントローラ202bは、制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装し得、当該制御アルゴリズムにより、対象の時間変動グルコース値及び1又は複数の制御パラメータに基づいて、1又は複数のグルコース制御剤のための投与量制御信号を生成する。投与量制御信号は、ポンプ212に送達されると、対象の血糖を制御する投薬操作をもたらす。一部の実施形態では、投与量制御信号は、短距離無線データ接続216を介してデバイストランシーバ214bからAMDトランシーバ214aに送信される。AMD100は、投与量制御信号を受信し、投薬操作のためにそれらをポンプ212に渡す。
【0026】
図2Cに示すように、グルコース制御システム200cは、例えば、クラウドサービスなどのリモートコンピュータ206と一体化された電子プロセッサ204c上で命令208cの実行を介して、少なくとも部分的に動作し得る。メモリ210cに記憶された命令208cが電子プロセッサ204cによって実行されると、コントローラ202cは、対象の時間変動グルコース値及び1又は複数の制御パラメータに基づいて、1又は複数のグルコース制御剤のための投与量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装し得る。投与量制御信号は、ポンプ212に送達されると、対象の血糖を制御する投薬操作をもたらす。一部の実施形態では、投与量制御信号は、リモートコンピュータWAN接続インターフェース220cから、エンドツーエンド無線データ接続218を介してAMD WAN接続インターフェース220aに送信される。AMD100は、投与量制御信号を受信し、投薬操作のためにそれらをポンプ212に渡す。
【0027】
図2Dに示すように、グルコース制御システム200dは、2つ以上のコントローラ202a、202b、202cを有し得、これらは、協働してポンプ212による投薬操作のための投与量制御信号を生成する。リモートコンピュータ206は、WAN無線データ接続218を介してWAN接続インターフェース220cを通過したデータ又は命令を、電子デバイス108のWAN接続インターフェース220bに送信又は受信することができる。電子デバイス108は、短距離無線データ接続216を介してトランシーバ214bを通過したデータ又は命令を、AMD100のトランシーバ214aに送信又は受信することができる。一部の実施形態では、電子デバイスを省略でき、AMD100のコントローラ202a、202cとリモートコンピュータ206が協働して、ポンプ212に渡される投与量制御信号を生成する。かかる実施形態では、AMD100は、それ自体のWAN接続インターフェース220aを有し得、リモートコンピュータ206への直接のエンドツーエンド無線データ接続をサポートする。
【0028】
図3に示すように、一部の実施形態では、グルコース制御システム200は、1又は複数の電子デバイスから電子データを送受信するように構成された電子通信インターフェース(ECI)302を実装する回路を含む。ECIは、連続グルコースモニタ(CGM)などのセンサ110からグルコース値信号を受信するように構成されたセンサインターフェース304を含む。一部のCGMは、固定の測定間隔、例えば5分間隔でグルコース値信号を生成する。センサ110は、対象の血糖推定値又は血糖測定値に対応するグルコース値信号を生成するために、対象に動作可能に接続し得る。グルコース値信号は、コントローラ202によって使用されて、投与量制御信号を生成し得る。投与量制御信号は、ポンプインターフェース306を介してポンプ212に提供され得る。一部の実施形態では、センサインターフェース304は、短距離無線接続308を介してセンサ110に接続する。一部の実施形態では、ポンプインターフェース306は、短距離無線接続310を介してポンプ212に接続する。他の実施形態では、ポンプインターフェース306は、コントローラ202、ECI306、及びポンプ212がAMD100に一体化されている場合など、ローカルデータバスを介してポンプ212に接続する。
【0029】
コントローラは、基礎投与量、補正投与量、及び/又は食事投与量のうちの少なくとも1つを生成する制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成するように構成することができる。これらの投与量を生成するために使用され得る制御アルゴリズムの例は、米国特許出願公開第2008/0208113号、同第2013/0245547号、同第2016/0331898号、及び同第2018/0220942号(本明細書において「コントローラ開示」と称される)に開示されており、その内容全体は、参照により本明細書に援用され、本明細書の一部をなす。補正投与量には、調節剤又は拮抗調節剤が含まれ得、コントローラ開示において開示されているものなどのモデル予測制御(MPC)アルゴリズムを使用して生成することができる。基礎投与量には、調節剤が含まれ得、コントローラ開示において開示されているものなどの基礎制御アルゴリズムを使用して生成することができる。食事投与量には、調節剤が含まれ得、コントローラ開示において開示されているものなどの食事制御アルゴリズムを使用して生成することができる。これらのコントローラの少なくとも一部の追加の態様及び改善が本明細書に開示されている。投与量制御信号は、ECI302を介して注入モータ306に送信することができ、又はコントローラ202aが注入モータ306と同じハウジングに一体化されている場合、導電体を介して注入モータ306に送信することができる。
【0030】
図4Aに示すように、コントローラ400は、コントローラがセンサ110からグルコース値信号402を受信する期間中に「オンラインモード」で動作するように構成することができる。オンラインモードでは、制御アルゴリズムは、投与量制御信号404を生成し、これにより、グルコース値信号402の値及び制御アルゴリズムの制御パラメータに
基づいて周期的な補正投与量を実装する。ポンプ212は、コントローラ400がオンラインモードを維持している間、実質的なユーザの介入なしに、少なくとも補正投与量及び基礎投与量を対象に送達するように構成される。
【0031】
図4Bに示すように、コントローラ400は、コントローラがセンサ110からグルコース値信号402を受信しない期間中、少なくともグルコース値信号402が予想されるが受信されない期間中、「オフラインモード」で動作するように構成することができる。オフラインモードでは、制御アルゴリズムは、投与量制御信号404を生成し、これにより、分離グルコース測定値406(例えば、グルコース試験ストリップを使用して対象から得られた測定値など)に応答して、制御アルゴリズムの制御パラメータに基づく補正投与量を実装する。ポンプ212は、実質的なユーザ介入なしに基礎投与量を対象に送達するように構成され、コントローラ400がオフラインモードを維持している間に、分離グルコース測定値406に応答して補正投与量を対象に送達することができる。
【0032】
グルコース制御システムの例示的な実装形態
図5は、ヒトであり得る動物対象(対象)512の血糖値を調節するための自動グルコース制御システム510を示している。自動グルコース制御システム510は、薬剤注入システムの例であり、薬剤注入システムに関して前述した実施形態のいずれかを含み得る。
【0033】
対象512は、1又は複数の送達装置514、例えば、カテーテル(複数可)によって対象512の皮下空間に結合された注入ポンプ(複数可)からインスリンの投与量を受け取ることができる。以下に説明するように、送達装置514はまた、特定の状況下で血糖値を制御するために、拮抗調節剤又はグルカゴン又はデキストロースなどの高血糖剤を送達することができる。インスリン及び拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)の両方を送達するため、送達装置514は、それぞれインスリン用及び拮抗調節剤用の二重カートリッジを有する機械的に駆動される注入機構であり得る。本明細書では、特にグルカゴンに言及しているが、これは便宜上のものに過ぎず、他の拮抗調節剤(例えば、デキストロース)が使用され得ることを理解されたい。同様に、本明細書における「インスリン」という用語は、天然のヒト又は動物のインスリン、並びに種々の形態のいずれかの合成インスリン(概して「インスリン類似体」と称される)を含む、全ての形態のインスリン様物質を包含すると理解されるべきである。
【0034】
オンライン動作又は自律型動作の場合、グルコースセンサ516は、対象512に動作可能に結合されて、対象512のグルコース値を継続的にサンプリングする。一部の場合では、グルコースセンサ516は、連続グルコースモニタリング(CGM)センサと称され得、これは、対象512の血糖値を少なくとも一定期間連続的又は周期的に測定又はセンシングし得る。センシングは、概して、対象512とグルコースセンサ516との間の何らかの形態の物理的結合部521を含む種々の方法で達成することができる。コントローラ518は、グルコースセンサ516からのグルコース値信号519の関数として、かつ対象512、対象512の親若しくは保護者、又は医療提供者(例えば、臨床医若しくは医師)などのユーザによって提供され得るプログラム入力パラメータ(PARAMS)520に従って、送達装置(複数可)514の動作を制御し得る。自動動作のための1つの入力パラメータには、対象512の体重が含まれ得る。一部の場合では、グルコース制御システム510は、対象512が摂取した食事又は他の「フィードフォワード」情報のいずれかに関する明示的な情報を受信することなく、効果的な自動制御を提供することができ、これは、コントローラ518の動作への適合的態様によって部分的に達成される。他の場合では、グルコース制御システム510は、対象が摂取したか、又は摂取する予定の食事に関する受信情報、又は他の「フィードフォワード」情報を使用して、血糖の制御及び/又はインスリン若しくは拮抗調節剤の送達を修正することができる。
【0035】
コントローラ518は、本明細書で説明される動作機能を提供する制御回路を備えた電気デバイスである。一実施形態では、コントローラ518は、それぞれがコンピュータ命令のそれぞれのセットを含む1又は複数のコンピュータプログラムを実行するコンピュータ命令処理回路を有するコンピュータ化されたデバイス(例えば、ハードウェアプロセッサ)として実現され得る。一部の場合では、処理回路は、概して、プロセッサ(複数可)530に結合されたか、又はプロセッサ(複数可)530と通信するメモリ540及び入力/出力回路532と共に1又は複数のプロセッサ530を含み、メモリ540は、コンピュータプログラム命令及びデータを記憶し、入力/出力回路532は、グルコースセンサ516及び送達装置(複数可)514などの外部装置へのインターフェース(複数可)を提供することができる。一部の場合では、入力/出力回路532は、ユーザインターフェースを提供してもよく、又はユーザインターフェースをユーザ(例えば、対象512、親若しくは保護者、又は臨床医)に提供するために、1又は複数のプロセッサ(例えば、コントローラ518、又はグルコース制御システム510若しくはスマートフォン、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートウォッチなどの別個のコンピュータシステムに含まれる別個のプロセッサ530)と共に動作し得る。一部の場合では、入力/出力回路532は、タッチスクリーン(図示せず)を制御するように構成されたタッチスクリーン及び/又はタッチスクリーンコントローラ538を含み得る。
【0036】
一部の場合では、コントローラ518は、グルコース値制御システム510の全ての機能を実行することができる。かかる場合、プロセッサ530は、任意選択であるか、又は省略され得る。他の場合では、コントローラ518は、対象512の少なくとも自動血糖制御を実行することができ、1又は複数の別個のプロセッサ530は、高血糖イベント若しくは低血糖イベント又はリスクイベントの発生を追跡すること、ユーザにデータを出力すること、別のコンピューティングシステムとの通信を制御若しくは開始すること、グルコース値制御システム510へのアクセスを調整すること、又は薬剤ポンプ若しくは送達装置514の動作に関係しない他の動作など、血糖制御システム510(又は薬剤ポンプ)の1又は複数の追加の動作を実行することができる。
【0037】
入力/出力回路532は、1又は複数の他のコンピューティングシステム及び/又はユーザとの通信を制御することができる。一部の場合では、入力/出力回路532は、ユーザインタラクション及び/又は通信を容易にするために、1又は複数の別個のインターフェース回路又はコントローラを含み得る。例えば、入力/出力回路532は、ユーザインターフェース回路534、ネットワークインターフェース回路536、及び/又はタッチスクリーンコントローラ538を含んでもよい。
【0038】
ユーザインターフェース回路534は、ユーザインターフェースをユーザに出力し、かつ/又はユーザインターフェースを介してユーザからユーザ入力を受信し得る任意の回路又はプロセッサを含み得る。ユーザインターフェース回路534は、ユーザインターフェースに対応するプロセッサ530から1又は複数の信号を受信することができる。ユーザインターフェース回路534は、プロセッサ530から受信された1又は複数の信号に基づいてユーザインターフェースをユーザに提示するようにディスプレイを制御することができる。更に、ユーザインターフェース回路534は、ユーザによるユーザインターフェースとのインタラクションに対応する信号を受信し得る任意の回路であって、更なる処理のために信号をプロセッサ530及び/又はコントローラ518に提供し得る任意の回路を含み得る。一部の場合では、ユーザインターフェース回路は、タッチスクリーンインターフェースを制御し得るタッチスクリーンコントローラ538によって置き換えられ得る。他の場合では、タッチスクリーンコントローラ538は、ユーザインターフェース回路534に追加され得る。
【0039】
ネットワークインターフェース回路536は、有線ネットワーク又は無線ネットワークとの通信を可能にする任意の回路を含み得る。ネットワークインターフェース回路536は、1又は複数のネットワークインターフェースカード及び/又はワイヤレス無線機(例えば、ブルートゥース無線機、ブルートゥースローエナジー(BLE)無線機、4g LTE無線機、5G無線機、ND-LTE無線機など)を含み得る。
【0040】
メモリ540は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、フラッシュメモリ又はソリッドステートメモリを含み得る。
【0041】
制御システム510はまた、センサ516によってレポートされたグルコース値の受信とは無関係に、又は受信せずに、インスリン(並びに潜在的にグルカゴン)の送達を提供するために使用されるオフライン方式で動作し得る。例えば、センサ516を交換する必要がある場合、対象512に適切に接続されていない場合、又は欠陥がある場合、グルコース制御システム510は、センサ516からの入力なしにオフラインで動作してもよい。したがって、全体的な動作は、グルコース信号(値)519が利用可能であるときの一連のサンプリング間隔をそれぞれ含むオンライン期間と、グルコース信号(値)519が完全に又は断続的に利用不可能であるときの一連のサンプリング間隔をそれぞれ含むオフライン期間との間で分割され得る。以下の説明では、これらの期間に「オンライン」及び「オフライン」という用語を使用している。また、オフライン動作は、グルコース値信号519が使用のために利用可能であっても、何らかの理由でユーザ選択され得る。
【0042】
ユーザ制御入力(USER CNTL523)は、ある種のローカル又はリモートのユーザインターフェースを介して提供することができる。一部の実施形態では、ユーザインターフェースは、例えば、ボーラスの送達を命令するための制御ボタン及びおそらくは小型ディスプレイを含むことによって、従来のインスリンポンプ又は同様のデバイスのものに類似し得る。他の実施形態では、システムは、スマートフォン、スマートウォッチ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、クラウドコンピューティングサービス、又は他のウェアラブルデバイス若しくはコンピューティングデバイスなど、より充実した機能のユーザインターフェースを組み込み得るリモートデバイスへの有線インターフェース又は無線インターフェースを有し得る。一部の場合では、無線インターフェースは、個人のホームネットワーク、会社のネットワークなどのローカルエリアネットワークへのアクセスを提供し得る。あるいは、又は加えて、無線インターフェースは、(例えば、ブルートゥース又は他の近距離無線通信技術を介して)ユーザが利用可能なローカルデバイス間の直接接続を提供することができる。一部の場合では、無線インターフェースは、インターネットなどの広域ネットワークへのアクセスを提供し得るが、これに限定されない。例えば、無線インターフェースには、4G又は5Gセルラー接続を介したネットワークへのアクセスを許可するセルラーインターフェースが含まれてもよい。一部の場合では、セルラーインターフェースは、ナローバンドLTE又はその他のモノのインターネット(IoT)インターフェースなどの低電力インターフェースであり得る。
【0043】
オフラインモードでは、グルコースセンサ516は、存在しないか、機能していないか、又は対象512に結合されていなくてもよい。したがって、オフラインモードでは、血糖信号519は、自動動作を制御するために利用できない場合がある。一部の場合では、ユーザは、制御システム510の自動動作を容易にするために、制御システム510に1又は複数の血糖測定値を提供し得る。これらの測定値は、特定の期間にわたって提供され得る。あるいは、又は加えて、グルコース制御システム510は、治療履歴及び/又は過去の血糖制御測定の履歴を使用して、少なくとも特定の期間の制御システム510の自動動作を容易にすることができる。
【0044】
本明細書の説明は、ユーザ制御入力523のソースとしての「ユーザ」に言及している
。本明細書で使用される「ユーザ」は、対象512、対象512の親若しくは保護者、医療提供者(例えば、臨床医、医師、又は対象に医療を提供し得る他の人)、又は対象512の療法の管理を支援することを許可され得る任意の他のユーザであり得る。特定の実装形態では、グルコース値制御システム510は、継続的なグルコース制御のために対象512が着用する個人用デバイスである。一部のかかる実装形態では、ユーザ及び対象512は同じ人物であり得る。他の実装形態では、対象512のケアに関与し、制御入力を提供する別の人がいる場合があり、かかる実装形態では、その別の人がユーザの役割を有する。
【0045】
血糖制御システムの例示的なコントローラ
図6は、特定の実施形態によるコントローラ518の例示的な構造を示している。図6に示されるコントローラ518は、異なるコントローラ若しくはプロセッサを備えた物理的構造、又は1又は複数の物理的プロセッサによって実装される論理構造を表し得る。換言すれば、図6に示すコントローラの各々を実装するために単一のプロセッサが使用されてもよく、各コントローラはそれ自体のプロセッサによって実装されてもよく、又は特定のプロセッサは、コントローラ518の一部として図6に示すコントローラの必ずしも全てではないが複数を実装してもよい。更に、図6のコントローラは、コントローラ518の一部として示されているが、一部の実装形態では、1又は複数のコントローラは、コントローラ518から分離され得る。
【0046】
コントローラ518は、4つの別個のコントローラ、すなわち、グルカゴン(又は拮抗調節剤)コントローラ622、基礎インスリンコントローラ624、補正インスリンコントローラ626、及びプライミングインスリンコントローラ628を含み得る。基礎インスリンコントローラ624は、名目レートコントローラ630及び調節コントローラ632を含む。図示のように、グルカゴンコントローラ622は、グルカゴン送達装置514-1に提供されるグルカゴン投与量制御信号634を生成する。コントローラ624~628からのそれぞれの出力636~640を組み合わせて、インスリン送達装置(複数可)514-2に提供される全体的なインスリン投与量制御信号642を形成することができる。図示のように、基礎インスリンコントローラ624からの出力信号636は、名目レートコントローラ630及び調節コントローラ632のそれぞれの出力の組み合わせによって形成され得る。インスリン送達装置(複数可)514-2は、異なる種類及び/又は量のインスリンを送達するように調整された装置を含み得、正確な構成は、コントローラ624~628に認識され、かつ/又はその制御下にあり得る。説明を容易にするために、1又は複数のインスリン送達装置514-2の集合は、以下では、単数形でインスリン送達装置514-2と称される。
【0047】
図6には、グルコース値信号519、パラメータ520、及びユーザ入力523、並びにコントローラ間信号644のセットを含む、種々のコントローラの入力/出力信号も示されている。コントローラ間信号644は、情報が開発又は生成される1つのコントローラから、そのコントローラの制御機能のために情報が使用され得る別のコントローラへの情報の通信を可能にする。
【0048】
コントローラ622~628は、オンラインモード/自動モード又はオフラインモードのいずれかで動作し得る。自動モードでは、補正コントローラ626は、米国特許第7,806,854号に記載されているような制御スキームを使用してグルコース値を調節しており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。基礎コントローラ624及びプライミングインスリンコントローラ628は、国際公開第WO2012/058694A2号に記載されている適合自動制御を実行することができ、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。コントローラ622~628は、概して、レポートされたグルコース値と数学的に組み合わされて出力値を生成する制御パラメータを含
む制御方法又はアルゴリズムを使用しており、この出力値は、(直接又は追加の調整を介して)投与量制御信号634、642に変換される。例えば、米国特許第7,806,854号に記載されている制御方式は、種々の制御パラメータを組み込んだ一般化予測制御(GPC)法を含む。制御アルゴリズムは、概して、適合的である。これは、制御パラメータが動作中に動的に調整されて変化する動作状況及び「学習」態様を反映することを意味しており、アルゴリズムは、それ自体の動作を監視することによって、その動作を個々のユーザに合わせてより具体的に調整し、アルゴリズムの有効性を高め、ユーザに関する追加の明示的な入力情報の必要性を低減又は回避する。入力パラメータ520は、制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの一部を形成し得ることに留意されたい。他の制御パラメータは、アルゴリズムの詳細に応じた内部パラメータであり、それらの内部制御パラメータのうちの選択されたパラメータは、制御アルゴリズムの適合を実現するために動的に調整される。
【0049】
動作の特徴の1つは、コントローラが最近の過去のオンライン動作の期間から学習し、その学習をオフライン動作中に使用できることである。米国特許第10,543,313号(その内容全体が参照により本明細書に本明細書に援用される)は、オフライン動作で独立して又は一緒に使用され得る2つの方法を記載している。第1の方法では、分離グルコース測定値を受信した際にインスリンの補正ボーラスの正しいサイズが自動的に計算され、次に、補正ボーラスが、ユーザ制御入力に応答してシステムによって投与される。第2の方法では、インスリンの食事ボーラスの正しいサイズが自動的に計算され、ユーザ制御入力に応じてそれが投与される。どちらの方法も、オンライン動作の過去の期間中に得られた情報を利用して正しい値を自動的に計算し、ユーザが計算を行う必要性又は補正係数を提供する必要性をなくしている。
【0050】
糖質療法の等価度追跡
高血糖とは、血中の糖又はグルコースのレベルが特定のレベル(例えば、180mg/dL)を超えた場合に発生する症状である。この症状は糖尿病患者において発生し得る。高血糖の発生を低減するのを助けるために、対象は、薬剤ポンプを使用してインスリンを対象に自動的に提供し得る自動血糖制御システムを使用することができる。投与されたインスリンは、対象においてグルコースを消費することにより、対象の血糖値を制御するのに役立ち得る。
【0051】
低血糖とは、血中の糖又はグルコースのレベルが特定のレベル(例えば、70mg/dL)を下回った場合に発生する症状である。この症状は、意識の喪失、発作、及び死亡を含む悪影響をもたらし得る。高血糖及び低血糖をもたらす血糖のレベルは、患者ごとに異なり得る。低血糖のリスクを減らすために、対象は、糖質を消費して血糖値を上昇させることができる。低血糖イベントは重篤な結果に関連しているため、対象は通常、代謝の速い糖質を消費する。これらの糖質はしばしば不健康であるが、低血糖イベントの発生よりも好ましいものである。例えば、糖質には、精製糖を多く含むキャンディバーが含まれてもよい。
【0052】
バイホルモン性グルコース制御システムは、インスリンに加えて、血糖値が低くなりすぎた場合(例えば、50mg/dL未満)に対象に投与され得る拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)を含めることによって、低血糖の発生のリスクを低減することができる。バイホルモン性グルコース制御システムを有しない対象にとって、バイホルモン性グルコース制御システムに切り替えることによって達成され得る、低血糖イベント又は潜在的な低血糖イベントに対処するための糖質療法又は糖質の消費の減少を理解することが、有用であり得る。更に、バイホルモン性グルコース制御システムを有することで得られる、糖質療法における減少を理解することは、バイホルモン性グルコース制御システムを有する対象にとって有用であり得る。例えば、消費又は回避された糖質療法の量を理解することは、
対象の栄養摂取量を監視する上で重要になり得る。摂取中の栄養を監視することは全ての人にとって重要であるが、これは、糖尿病患者にとっては特に重要である。糖尿病患者は、健康的な食事及び血糖値を特定の範囲内に維持してバランスをとり、高血糖及び低血糖の両方を回避する必要があるためである。
【0053】
本開示は、少なくともインスリン療法を対象に送達するように構成された薬剤ポンプを使用して、対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するコンピュータ実装方法を実行し得るシステムに関する。システムは、投与量制御信号を決定して薬剤ポンプ(例えば、送達装置514)を提供するためのハードウェアプロセッサ(例えば、コントローラ518)を含む自動血糖制御システム(例えば、グルコース値制御システム510)であり得る。一部の場合では、薬剤ポンプは、インスリン療法と拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)療法との両方を送達するように構成され得る。あるいは、システムは、血糖制御システムから分離されていてもよいが、血糖制御システムから血糖情報を受信してもよい。例えば、システムは、血糖制御システムから血糖情報を受信し得るパーソナルコンピューティングシステム又はクラウドコンピューティングシステムであってもよい。
【0054】
システムは、対象(例えば、対象512)のグルコース値を受信又は決定することができる。対象のグルコース値は、対象のグルコース値に対応する連続グルコースモニタリング(CGM)センサ(例えば、グルコースセンサ516)から受信された信号(例えば、グルコース値信号)に基づいて決定され得る。一部の場合では、グルコース値は、分離グルコース測定値、例えば、グルコース測定キット及び/又はグルコース紙を使用して得られる測定値から決定され得る。
【0055】
システムは、少なくとも対象のグルコース値を使用して、対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したかどうかを判定することができる。トリガイベントとしては、特定の期間内における低血糖イベントの発生又はリスク閾値を超える低血糖イベントの発生のリスクを示す血糖値が挙げられる。低血糖イベントのリスクは、対象のグルコース値がグルコース閾値を下回った場合に判定され得る。このグルコース閾値は、対象ごとに異なっていてもよく、一部の場合では、対象又は介護者(例えば、医療提供者、親、又は保護者)によって指定され得る。したがって、一部の場合では、低血糖の発生に対する対象のリスク許容度、又は対象に存在する血糖量に対する可能な異なる選好に基づいて、異なるトリガイベントを定義することができる。対象によっては、例えば、異なる対象における活動レベル又は代謝の違いにより、血糖を異なるレベルに維持することを好むか、又は維持しようと試み得る。低血糖イベントの発生のリスクを判定することには、グルコースセンサから低血糖のリスクの指標又は将来のグルコース値の予測を受信することが含まれ得る。例えば、低血糖の切迫リスクの判定には、今後5~15分以内に対象の血糖値が60mg/dl未満と予想されるという判定が含まれてもよい。
【0056】
トリガイベントに応答して、システムは、投与する拮抗調節剤の量、又は血糖制御システムが拮抗調節剤を投与する能力を含む場合に投与される拮抗調節剤の量を決定することができる。一部の場合では、拮抗調節剤は、例えば、自動血糖制御システムによって投与される。その他の場合、拮抗調節剤は投与されない。例えば、自動血糖制御システムは、拮抗調節剤を送達できなくてもよい。別の例として、自動血糖制御システムは、拮抗調節剤を送達し得る場合があり、利用可能な拮抗調節剤の投与量を有さない場合がある。
【0057】
システムは、投与されるか、又は投与されるであろう拮抗調節剤の指標を使用して、対応する糖質の量を決定することができる。対応する糖質の量は、低血糖イベントを防止するために消費され、低血糖イベントのリスクを低減するために消費され、又は低血糖イベントの発生に応答して消費された糖質の量を示し得る。あるいは、又は加えて、対応する量の糖質は、拮抗調節剤が利用できなかった場合に消費されたであろう糖質の量を示し得
る。
【0058】
対応する量の糖質は、拮抗調節剤の量と糖質の量との間のマッピングから得ることができる。一部の場合では、マッピングは、糖質と拮抗調節剤との間で測定された等価度に基づき得る。あるいは、又は加えて、マッピングは、決定された拮抗調節剤の量と、低血糖イベントが生じ得ると判定する場合に対象が通常消費することを示す糖質の量との間のマッピングであり得る。
【0059】
このマッピングは、異なる量の拮抗調節剤を異なる対応する量の糖質にマッピングするルックアップテーブルによって実装することができる。一部の場合では、消費される糖質の種類(例えば、単純な糖質及び複雑な糖質、又は消費されるキャンディバーの種類など)に応じて、単一量の拮抗調節剤が、異なる量の糖質にマッピングされ得る。あるいは、マッピングは、拮抗調節剤の量と糖質の量との間の対応に基づき拮抗調節剤の量を糖質の量に変換する数式に基づいてもよい。拮抗調節剤と糖質との間の関係は、糖質と拮抗調節剤(例えば、グルカゴン、デキストロースなど)とを比較する臨床試験に基づいて決定され得る。更に、マッピングは、少なくとも部分的に、対象の好ましい糖質源及び/又は対象の特性(例えば、体重)に基づき得る。
【0060】
一部の場合では、システムは、特定の期間内の低血糖イベントの切迫性リスクを示す低血糖イベントの数又はトリガの発生の数を追跡することができる。この期間は、数日間、数週間、数ヶ月間、数年間、又は拮抗調節剤の利用可能性の欠如若しくは拮抗調節剤の利用可能性に基づいて、消費された糖質若しくは回避された糖質の間の関係を決定することが望ましい任意の他の期間であり得る。一部の場合では、糖質療法の追跡は、この期間の代わりに、又はこの期間に加えて、低血糖イベント又は低血糖リスクイベントの数に基づき得る。
【0061】
低血糖イベントの発生又は低血糖イベントの切迫性リスクを示すトリガの発生ごとに、システムは、節約されたか、又は拮抗療法剤へのアクセスを有することによって節約されたであろう糖質療法の推定値を決定することができる。システムは、期間の、節約された総糖質、又は拮抗調節剤へのアクセスによって節約されたであることを示すレポートを生成できる。このレポートは、期間中に必要とされるか又は節約された糖質療法の総計又は合計を含み得る。この期間は、数日、数週間、数ヶ月、数年、又は(例えば、対象がシステムの使用を開始してから)特定の時間以降であり得る。更に、レポートは、低血糖イベント又は切迫性低血糖イベントのリスクに応答する際に対象によって通常消費される糖質の種類を示し得る。このレポートは、対象、医療提供者、及び/又は対象の親又は保護者に提示され得る。医療提供者は、このレポートを使用して、対象のケアに役立てることができる。例えば、医療提供者は、レポートを使用し、血糖値を望ましい範囲又は設定値範囲内に維持するために消費される糖質を考慮して、対象の栄養計画を作成することができる。
【0062】
レポートには、低血糖イベントのリスクに対処するために回避又は消費される可能性が高い糖質療法の範囲を含み得る。更に、レポートには、糖質療法の代わりに拮抗調節剤の消費に基づいて、節約されたか、又は消費されなかったカロリーの量、回避された砂糖の量、消費されなかった食物の量、回避された可能性のある体重増加などが含まれ得る。
【0063】
糖質療法の等価度追跡プロセス
図7は、特定の実施形態による、例示的な糖質療法の等価度追跡プロセス700のフローチャートを提示している。プロセス700は、経時的に対象のグルコース値を追跡し、低血糖イベント、又は低血糖イベントのリスクが閾値を満たす場合(例えば、低血糖イベントのリスクが特定の確率と一致するか又はそれを上回る場合)の発生を特定し得る任意
のシステムによって実行され得る。例えば、プロセス700は、グルコース値制御システム510の1又は複数の要素によって実行されてもよい。一部の場合では、プロセス700の少なくとも特定の動作は、グルコース値制御システム510からの対象512の血糖値の指標及び/又は低血糖イベントの指標(又は閾値を超える低血糖リスクイベントと特定される指標)を受信する別個のコンピューティングシステムによって実行され得る。1又は複数の異なるシステムがプロセス700の1又は複数の動作を実行することができるが、議論を単純化し、本開示を限定しないために、プロセス700は特定のシステムに関して説明される。
【0064】
プロセス700は、グルコース値制御システム510が対象512のグルコース値を受信するブロック702から開始する。グルコース値を受信することには、対象のグルコース値に対応するグルコース値信号を受信することが含まれ得る。グルコース値信号は、グルコースセンサ516(例えば、CGMセンサ)から受信され得る。あるいは、又は加えて、グルコース値は、タッチスクリーンコントローラ538によってタッチスクリーン上に出力され得る、プロセッサ530によって生成されるユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介して、グルコース値制御システム510にグルコース値を提供するユーザから受信され得る。ユーザから受信されるグルコース値は、グルコースセンサ516の代わりに使用され得る代替のセンサ又は測定機構(例えば、糖尿病測定ストリップ)を使用して測定されたグルコース値であり得る。
【0065】
ブロック704では、グルコース値制御システム510は、グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、対象512の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定する。トリガイベントには、低血糖イベント又は低血糖のエピソードが対象512内に存在するか、又は発生しているという判定が含まれ得る。あるいは、又は加えて、トリガイベントには、対象512において低血糖の切迫性リスクがあるという判定、又は対象512において特定の時間内に低血糖イベントが発生する切迫性リスクがあるという判定が含まれ得る。低血糖イベント又は低血糖イベントが発生するリスクの判定は、対象のグルコース値をグルコース閾値と比較することによって判定され得る。あるいは、又は加えて、低血糖イベント又は低血糖イベントが発生するリスクの判定は、グルコース値の傾向及び/又は変化率(例えば、減少率)を閾値と比較することによって判定され得る。一部の場合では、特定の血糖値と血糖値の傾向とを組み合わせて、低血糖のリスクを判定することができる。例えば、グルコース値が低い(例えば、60mg/dL等の特定の閾値を下回る)が、グルコース値の判定された傾向が上向きである場合、低血糖のリスクは、グルコース値が閾値を上回るが、グルコース値の判定された傾向が閾値に向かって下向きである場合よりも低くなってもよい。一部の場合では、低血糖イベントが発生しているかどうかを判定するため、又は低血糖の発生の閾値を上回るリスクがあると判定するために使用される閾値(複数可)は、対象512の生理学的特性に基づいて変動し得る。この生理学的特性は、患者のグループ間で関連付けられるか又は共有される生理学的特性(例えば、性別、年齢、体重)に基づき得るか、又は特定の対象512に特有であり得る。例えば、低血糖のリスクに関連する閾値は、グルコース値制御システム510により決定された低血糖の過去の発生中の対象512の決定されたグルコース値に基づいて、又は対象512に固有の臨床データに基づいて決定されてもよい。
【0066】
ブロック704でのトリガイベントに応答して、グルコース値制御システム510は、ブロック706において拮抗調節剤の量を決定する。グルコース値制御システム510は、少なくとも部分的に、対象512の血糖値、低血糖が発生するリスクの量又は割合(例えば、低血糖のリスク又は確率が99%であると、低血糖のリスク又は確率が75%である場合よりも多くの拮抗調節剤の投与量がトリガされ得る)、対象512の生理学的特性、対象512の血糖値の傾向、又は拮抗調節剤の種類に基づいて、拮抗調節剤の量を決定し得る。
【0067】
一部の場合では、グルコース値制御システム510は、送達装置514-1を使用して、決定された量の拮抗調節剤を対象512に送達することができる。拮抗調節剤は、低血糖の切迫性リスク又は低血糖のエピソードに応答して、かつ/又は閾値グルコース値を満たすか又はそれを下回るグルコース値に応答して、対象512に送達され得る。閾値グルコース値又は拮抗調節剤を送達するかどうかの判定は、対象512の生理学的特性及び/又は低血糖イベントに対する対象512のリスク耐性に基づき得る。本明細書では、リスク許容度は概して、ユーザの主観的なリスクの傾向を指しているのではないことを理解されたい。代わりに、リスク許容度は、通常、対象512の血糖値が特定のレベルにある場合に、対象512が低血糖イベントを有する可能性がどの程度であるか、又は低血糖の症状が生じる可能性がどの程度であるかの客観的な判定値である。このリスク許容度は、特定の血糖値での対象512における低血糖の病歴又はその欠如に基づいて、かつ/又は対象512について得られた臨床データに基づいて決定することができる。
【0068】
他の場合では、グルコース値制御システム510は、例えば、グルコース制御システム510が拮抗調節剤を送達することができない場合があるため、又は拮抗調節剤を保持するカートリッジが空であるか、若しくは閾値量未満の拮抗調節剤しか残っていない場合があるため、対象512に拮抗調節剤を送達しなくてもよい。
【0069】
ブロック708では、グルコース値制御システム510は、拮抗調節剤に少なくとも部分的に基づいて糖質療法の投与量を決定する。糖質療法とは、低血糖の発生を予防するか又はそれに応答するために消費される糖質を指す場合がある。糖質には、対象512が低血糖の発生を予防するか又はそれに応答するために消費し得る任意の種類の糖質が含まれ得、通常、人体において糖に容易に変換される糖質食品を含み得る速効型糖質が含まれ得る。例えば、糖質は、キャンディバー、ソーダ、フルーツジュース、又は砂糖又は精製糖を多く含み得るその他の食品であってもよい。
【0070】
糖質療法の投与量を決定することには、拮抗調節剤と糖質との間のマッピングにアクセスすることが含まれ得る。このマッピングは、メモリ540に記憶され、そこからアクセスされ得、かつ/又は別のコンピューティングデバイスからアクセスされ得る。グルコース値制御システム510は、マッピング及び拮抗調節剤の量に少なくとも部分的に基づいて、糖質療法の投与量を決定することができる。一部の場合では、マッピングは、拮抗調節剤の種類及び/又は糖質の種類に基づいて変動し得る。拮抗調節剤の種類は、ユーザによって特定され得るか、又はグルコース値制御システム510に設置若しくは挿入された薬剤カートリッジに基づいて自動的に決定され得る。更に、糖質の種類には、ユーザによって指定され得、低血糖の発生又は発生のリスクに応答するときに対象512によって通常消費される糖質の種類の識別情報が含まれ得る。例えば、ユーザは、ユーザインターフェースを介して、対象が通常キャンディバー又はフルーツジュースを消費するかどうか、又は低血糖の発生若しくは発生のリスクに応答する際に通常消費される糖質のサイズを指定してもよい。
【0071】
一部の場合では、拮抗調節剤と糖質との間のマッピングは、拮抗調節剤と糖質との臨床比較に基づいて生成され得る。あるいは、又は加えて、マッピングは、対象512の生理学的特性に少なくとも部分的に基づき得る。
【0072】
マッピングは、種々の糖質と拮抗調節剤との間の関係を記憶できるルックアップテーブル又は他のデータ構造に記憶され得る。マッピングは、異なる量及び/又は種類の糖質と、異なる量及び/又は種類の拮抗調節剤との間のマッピングであり得る。あるいは、又は加えて、マッピングは、糖質を拮抗調節剤に、又はその逆に関連付ける数式であり得る。例えば、グルコース値制御システム510は、糖質の対応する量を決定するためのルック
アップテーブルへのインデックスとして、決定された量の拮抗調節剤を使用してもよい。あるいは、グルコース制御システム510は、決定された量の拮抗調節剤を数式に適用して、対応する量の糖質を計算してもよい。この数式は、拮抗調節剤及び/又は糖質の種類、ユーザの生理学的特性、及び/又は臨床データに基づいて生成することができる。
【0073】
一部の場合では、マッピングは、グルコース値制御システム510に基づいて変動し得る。例えば、グルコース値制御システム510(又はその薬剤ポンプ)がインスリン及び拮抗調節剤療法を対象に送達するように構成されたバイホルモン性ポンプである場合、グルコース値制御システム510は、第1のマッピングを含んでもよく、グルコース値制御システム510が拮抗調節剤療法を対象512に送達するように構成されていない場合、第2のマッピングを含んでもよい。一部の場合では、グルコース値制御システム510は、両方のマッピングをメモリ540に記憶することができる。例えば、グルコース値制御システム510は、拮抗調節剤が利用可能である場合に第1のマッピングを使用してもよく、拮抗調節剤が利用可能でない場合に第2のマッピングを使用してもよい。マッピングは、複数の理由により変動し得る。これには、対象が消費し得る糖質の頻度及び種類を変更し得る拮抗調節剤の利用可能性に起因して、バイホルモン性グルコース値制御システム510が、低血糖イベントの発生をより正確に制御し得ることが含まれる。
【0074】
ブロック710では、グルコース値制御システム510は、糖質療法の投与量の指標を出力する。糖質療法の投与量の指標を出力することには、ユーザに提示するためにディスプレイ上に糖質療法の投与量の指標を出力することが含まれ得る。更に、糖質療法の投与量の指標は、対象512のケアを管理するのを助けるために臨床医によって使用される療法データなど、対象512に関連する他の療法データを表示するか、又はそれらを集約するために、別のコンピューティングシステムに送信され得る。一部の場合では、糖質療法の投与量の指標は、対象512のケアに対応するレポートに含まれ得る。
【0075】
特定の実施形態では、プロセス700の動作は、一定期間にわたって実行されるか、又は繰り返される。例えば、ブロック702~708に関連する動作は、一定期間にわたって1回又は複数回繰り返されてもよい。かかる場合、糖質療法の決定された投与量は、一定期間にわたって集約され得、一定期間の総糖質療法が決定される。更に、ブロック710には、糖質療法の投与量が決定される個々の時間ごとの糖質療法の投与量の指標を出力すること、及び/又は一定期間の糖質療法の合計の決定された投与量を出力することが含まれ得る。この一定期間は、任意の期間であり得る。例えば、この一定期間は、1日、1週間、1カ月、1年、対象512がグルコース値制御システム510の使用を開始してから、ユーザが拮抗調節剤へのアクセスを得てから、若しくはアクセスを得なくなってから、又は任意の他の期間であり得る。一部の場合では、一定期間は、低血糖イベントの発生又は閾値を満たす低血糖のリスクの発生によって定義される。例えば、一定期間は、5、10、15、100、又は他の回数の低血糖イベント又は閾値を満たす低血糖のリスクの発生に関連する時間であってもよい。
【0076】
総糖質療法の指標は、例えば、グルコース値制御システム510、ひいては対象514に拮抗調節剤が利用可能であることによる、対象512により消費される糖質の減少に対応し得る。したがって、総糖質療法の指標は、拮抗調節剤が対象512に利用可能であることによって達成可能な糖質の減少に対応し得る。更に、総糖質療法の指標は、糖質の代替物として対象に提供されるか又は提供され得る拮抗調節剤の量に対応し得る。
【0077】
各対象によって消費されるか、又は各低血糖イベントの間に消費される特定の糖質又は消費される糖質の量は、変動し得る。例えば、対象512は、測定された対象512の血糖値が低すぎる場合、又は血糖値が低い可能性が高いと対象が感じる(例えば、幾らかの低血糖効果を感じ始める)場合に、特定のキャンディバーを消費してもよい。対象はキャ
ンディバー全部を消費してもよく、一部分を消費してもよい。キャンディバーの一部は、対象から失われる(例えば、地面に落ちる)場合がある。他の場合では、対象は、異なる低血糖イベントの間に、利用可能な異なるキャンディバー、又は他の精製糖源を有し得る。したがって、糖質と拮抗調節剤との間に客観的マッピングが存在し得るとしても、拮抗調節剤の利用可能性に起因して消費又は回避される糖質の量は、低血糖イベントごとに変動し得る。したがって、回避されたか、又は拮抗調節剤が利用可能である場合に回避され得る総糖質療法の指標は、拮抗調節剤の利用可能性によって潜在的に置き換えられ得る糖質の範囲を示し得る。
【0078】
一部の場合では、糖質療法又は総糖質療法の指標は、カロリーの指標、糖質の指標、糖の測定値の指標、食物の量の指標、又は糖質療法に起因する対象の体重の指標のうちの1又は複数を含み得る。指標は、拮抗調節剤の欠如のために消費されるもの、又は拮抗調節剤の利用可能性に基づいて回避されるものと関連付けられ得る。例えば、カロリーの指標は、拮抗調節剤の存在により消費されなかったカロリーの量であってもよい。有利には、糖質療法又は回避された糖質療法に関連する治療情報が利用可能であることにより、患者のケアを支援することができる。例えば、対象は、健康に多大な影響を与える可能性のある精製糖の消費を低減することができる。更に、医療提供者は、糖質情報に基づいて対象が自身の体重を制御するのをよりよく助けることができる。
【0079】
糖質療法の指標は、任意の提示可能な形態でユーザに提示することができる。例えば、糖質療法の指標は、特定の対象512について、拮抗調節剤の存在によって達成されるか又は拮抗調節剤の使用によって達成され得る、経時的な糖質の減少を示すための表、チャート、グラフ、ヒストグラム、又は他のデータ提示ツールとして提示されてもよい。糖質療法データの指標は、ユーザの生理学的特性の違い、各ユーザの糖尿病の違い、各ユーザのライフスタイルの違いなどの要因により、ユーザごとに異なり得ることを理解されたい。有利には、グルコース値制御システム510を使用して、対象512の糖質療法を追跡するか、又は拮抗調節剤に関連して回避されるか若しくは回避可能な糖質療法を決定することにより、対象512の血糖値の管理をパーソナライズすることができる。
【0080】
追加の糖質療法の等価度追跡の実施形態
糖尿病患者は、低血糖を治療又は予防する目的で経口糖質を消費することが多い。かかる余分な糖質は不健康な結果をもたらす可能性があり、その1つとして、体重増加がある。低血糖の頻度、程度、及び期間を減らすために拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)を注入するバイホルモン性グルコース制御システムを有することで、低血糖を治療又は予防するために「医学的に」必要とされる経口糖質の量を大幅に減らすことができる。
【0081】
本開示の特定の実施形態は、自律性グルコース制御システムによって計算されたオンライン拮抗調節投薬の量(例えば、グルカゴン)を、拮抗調節投薬によってユーザには必要でないと推定される糖質の量、又はユーザが拮抗調節剤にアクセスした場合にユーザには必要でない糖質の量に変換する方法に関する。インスリン及び拮抗調節剤/ホルモンの両方を注入するバイホルモン自律性グルコース制御システムにおいて、本方法は、低グルコース値を治療又は予防するために送達されたオンライン拮抗調節投薬と、(拮抗調節投薬が送達されなかった場合に)同等の安全な制御状況を達成するために別様に必要とされたと推定される経口糖質との間のマッピングを含み得る。拮抗調節剤/ホルモンの投与量が送達されないが、依然としてオンラインで計算されるインスリン専用の自律性グルコース制御システムにおいて、本方法は、計算されたオンライン拮抗調節投薬と、拮抗調節剤が利用可能であり、その投与量が実際に送達された場合に低グルコース値を治療又は予防するために対象が消費する必要性から免れる可能性が高い経口糖質の推定量との間のマッピングを含み得る。
【0082】
一般性を失うことなく、本明細書に開示される実施形態は、拮抗調節剤が特にグルカゴンである自律性グルコース制御システムを含む。ただし、他の薬剤及び/又は拮抗調節剤を利用することができる。本方法は、計算されたオンライングルカゴン投薬を、インスリン専用構成における実際の使用で(例えば、臨床研究中に)観察された、低グルコース値の治療又は予防のために消費される経口糖質(「治療用糖質」)と関連付けること、及び拮抗調節剤と糖質との間の関係を、送達されたオンライングルカゴン投与量(又は他の拮抗調節剤)と、バイホルモン(インスリン-グルカゴン)構成において同様に消費された経口糖質との間の同様の関係に関連付けることを含み得る。
【0083】
実際の使用(例えば、臨床研究)から収集されたデータを使用して、インスリン専用構成における消費された治療用糖質Cioと、オンラインで計算された(送達されていない)グルカゴン投薬Gcとの間の関係は、関係Cio=Rio(x)*Gcによって記述することができる。式中、Rio(x)は、関連性因子であり得、ベクトルxに含まれる複数の依存関係の関数であり得る。かかる依存関係は、使用されている特定のインスリン及び/若しくはグルカゴン(例えば、それらの臨床特性)、並びに/又はインスリン及び/若しくはグルカゴンに関して制御システムによって想定される薬物動態学的設定を含み得る。この依存関係には、ユーザの体格、及びグルコース制御システムによって使用されるグルコースターゲットも含まれ得る。一部の実施形態では、(例えば、効果が制限されているか、関連する依存関係の変動が制限されているか、又はまったく存在しないことに起因して)CioとGとの間の関係の限定された変動を示すシステムの場合、Rio(x)は、定数であるか、又はRio(x)≡Rioであり得る。
【0084】
インスリン専用構成と同様に、実際のデータから、バイホルモン(インスリン-グルカゴン)構成で消費された治療用糖質Cbhと、オンラインで送達されるグルカゴン投薬Gとの関係は、Cbh=Rbh(x)*Gの関係で記述することができる。式中、Rbh(x)は上記のRio(x)と同様の方法で記述することができる。一部の場合では、Cio、G、Cbh、及びGの量は、使用の一定期間(例えば、1週間)にわたって平均された1日の量を指し得る。一部の場合では、Cio、G、Cbh、及びGの量は、ユーザの体格当たりの1日の平均量を指し、この場合、体格への依存性はxから排除できる。
【0085】
が計算されるものの、グルカゴンがインスリン専用のシステムにおいて実際に送達されない場合、Gは、低グルコース値を治療又は予防する限りにおいて、グルコースに対して効果を及ぼさず、これは、次に、一般に、更なる計算されたグルカゴン投薬を引き起こす(例えば、所与の状況についてGの大きさを増加させる方向に進む)ことが予想される。対照的に、Gは、バイホルモンシステムで送達されるので、低グルコース値の頻度、程度、又は持続時間を防止又は低減する効果を有することが予想され、これにより、グルカゴン投薬の全体的な大きさが制限される(例えば、所与の状況についてGを制限する)ことが予想される。そのため、所与の依存関係のセットでは、概して、2つのシステム構成間でG>Gとなることが予想される。同様に、Gは低グルコース値に対抗する効果を有さないが、Gはかかる効果を有するので、2つのシステム構成を比較すると、治療用糖質はCio>Cbhであることが予想される。
【0086】
Gcを使用したインスリン専用システムの所与の実際の使用例について、計算されたオンライングルカゴン投薬が実際にGとして送達された場合の、同じ実使用シナリオに対する対応するCioを理想的に関連付けることができる場合、代わりに、グルカゴンが送達されたであろうバイホルモンシステム(同じインスリンコントローラを使用)を使用していれば、ユーザが「Cio-Cbh」だけ少ない治療用糖質を必要とした(例えば、それだけ節約できたはずである)という推定を予測することができる。逆に、Gを有するバイホルモンシステムの所与の実際の使用例について、送達されるオンライングルカゴン
投薬が送達されず、Gとして計算されるだけの場合の、同じ実際の使用シナリオに対する対応するCbhを理想的に関連付けることができる場合、代わりに、グルカゴンが送達されていないインスリン専用システム(同じインスリンコントローラを使用)を使用していれば、ユーザが「Cio-Cbh」の追加の治療用糖質を摂取する必要性を実際に回避していたであろうという推定を予測することができる。実際には、かかる理想的な関係を得るために過去の実際のシナリオを再実行することは不可能であるため、上記の計算は理想的な状況での推定値であることを理解されたい。
【0087】
実際の実装形態では、グルカゴンが送達されると想定されるバイホルモンシステムが利用可能であると想定しながら、インスリン専用システムが使用された実際の使用例を再シミュレートできる。制御システムは、後続の近傍のグルカゴン投与量を発行するときに送達投与量を考慮に入れることができるので、シミュレートされたグルカゴン投薬は、インスリン専用システムの元のGに対して減少を示すことができる。しかしながら、グルコースプロファイルがシミュレーションにおいて変更されないままであると、シミュレーションは、想定される送達されたグルカゴン投薬に応答して生じるグルコースエクスカーションを反映しない場合がある。シミュレーションは、グルコースエクスカーションが実際に送達されたグルカゴンから恩恵を受けた場合に観察されたであろう、Gまでのグルカゴン投薬の完全な減少を反映していない可能性がある。したがって、シミュレーションで観察されたグルカゴン投薬の減少、疑似送達グルカゴン
【数1】
は、「実際のG」であったものに比べて大きさが誇張されている可能性がある。上記のように、過去の分析に基づいて、Gは、インスリン専用構成で対応する量のCioにマッピングされ得、
【数2】
は、バイホルモン構成で対応する量の
【数3】
にマッピングされ得る。したがって、シミュレーション結果は、低減量「
【数4】
」を、ユーザがバイホルモンシステムを使用している場合に保存できる治療用糖質の推定値「
【数5】
」にマッピングすることができる。この推定値は、保守的な推定値であり得る。実際に観察されたGの範囲に及ぶ種々の実際のユースケースにわたってシミュレーション分析を繰り返すことで、それらと、ユーザがバイホルモンシステムを使用していた場合に消費する必要がない可能性が高い治療用糖質の(一部の場合に保守的な)推定値「
【数6】
」の関連範囲との間のグローバルマッピングが得られる。逆に、マッピングは、バイホルモンシステムが使用されているときに利用でき、ここで、観測された投薬Gは、疑似計
算されたグルカゴン
【数7】
にマッピングされ、結果として生じる関連する差異「
【数8】
」は、バイホルモンシステムを使用しているためにユーザが節約した可能性が高い治療用糖質の(一部の場合に保守的な)推定値を提供する。
【0088】
特定の実施形態には、対象の血糖値を自動制御するためのコントローラを含むシステムが含まれる。コントローラは、経時的なグルコース値信号によって表される、対象の時間変動グルコース値に基づいてインスリン投与量制御信号を生成するように動作し得る。グルコース値信号は、対象のグルコース値を継続的にセンシングするように動作するグルコースセンサによって生成することができる。インスリン投与量制御信号は、送達装置によるインスリンの投与量の送達を制御することができる。更に、コントローラは、一定の頻度で動作して、対象のグルコース値を調節するためのインスリン投与量制御信号を生成することができる。オンライン動作中、コントローラは、グルカゴン投薬信号を生成する制御アルゴリズムを使用でき、これは、関連する量の経口糖質にマッピングされ得る。
【0089】
経口糖質は、低グルコース値の予防又は治療に関連し得る。更に、グルカゴン投薬信号と経口糖質との間のマッピングは、臨床データの分析から導出され得る。グルカゴン投薬信号は計算できるが、インスリン専用システム構成では送達されない。対照的に、グルカゴン投薬信号は計算でき、かつグルカゴンはインスリン-グルカゴンシステム構成で送達できる。インスリン専用システム構成で計算されたグルカゴン投薬は、インスリン-グルカゴンシステム構成が代わりに使用された場合にグルカゴン投薬が送達された際に節約されたと推定される経口糖質の量にマッピングできる。インスリン-グルカゴンシステム構成で送達されるグルカゴン投薬は、インスリン専用システム構成が代わりに使用された場合に節約されたと推定される経口糖質の量にマッピングすることができる。マッピングは、使用されているインスリン及びグルカゴンの臨床特性、並びにインスリン及びグルカゴンの作用及び効果に関連する制御システムの設定に依存し得る。更に、マッピングは、対象の体格に依存し得る。
【0090】
バックアップ療法プロトコルの生成
血糖制御システム(例えば、インスリンポンプ又はインスリン及び拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)の組み合わせのポンプ)などの携帯型薬剤装置は、対象にパーソナライズされた療法を提供することができる。換言すれば、携帯型薬剤装置は、対象の生理学的状態、症状、活動などに固有の薬剤を提供することができる。更に、一部の携帯型薬剤装置は、対象の症状を監視して、いつ療法を提供するか、どの種類の療法(例えば、インスリン又は拮抗調節剤療法)を提供するか、及び/又はどの程度の療法を提供するかを判定する。携帯型薬剤装置によって提供される療法は、継続的療法であってもよく、一部の場合では、救命療法であってもよい。したがって、携帯型薬剤装置が中断されることなく機能することが重要である。
【0091】
しかし、最善の努力にもかかわらず、携帯型薬剤装置による療法が中断される場合がある。例えば、携帯型薬剤装置は、破損する可能性があり、対象が、必要な使い捨て品(例えば、交換用インスリンカートリッジ、携帯型薬剤装置の部位を変更するための部位キット、交換用電池など)を使い果たすか又はそれにアクセスできない可能性があり、あるいは対象が携帯型薬剤装置の電池を充電することを忘れるか、又は携帯型薬剤装置を充電す
るために電源が利用可能な場所にない可能性がある。したがって、携帯型薬剤装置が利用できない場合、又は交換を必要とする場合がある。
【0092】
携帯型薬剤装置が利用できない場合、又は代替の(一時的又は永続的な)携帯型薬剤装置が使用されている場合、携帯型薬剤装置から治療設定の指標を得ることが望ましい場合がある。例えば、ユーザ(例えば、対象、医療提供者、親、又は保護者)が、携帯型薬剤装置の実施中に代替療法(例えば、注射療法)を提供している場合、特定の状況下又は特定の時間に提供する療法の量を知る必要があり得る。
【0093】
一部の場合では、医療提供者は、例えば臨床試験によって過去に決定された可能性のある治療情報にアクセスすることができる。この治療情報には、特定の時間又は特定の条件下で対象に提供する療法を決定するために使用され得る任意の種類の情報が含まれ得る。例えば、治療情報は、対象のための設定インスリン範囲、グルコース値を調節するためにユーザに提供するインスリンの量、インスリンが対象において最大濃度に達する時間量、又は薬剤の投薬のタイミング若しくは量に影響を及ぼし得る任意の他の情報を示してもよい。
【0094】
ただし、医療提供者が利用できる治療情報が不十分な場合がある。例えば、対象は、情報が必要とされる時点で、治療情報を入手するために医療提供者に連絡することができない場合がある。更に、一部の場合では、例えば、携帯型薬剤装置により経時的に療法が改良される可能性があるため、情報が古くなっている可能性がある。改良が最近が行われたのであれば、交換用の携帯型薬剤装置が元の携帯型薬剤装置の改良プロセスを繰り返すことができるまで、医療提供者の古い値で十分である場合がある。しかしながら、他の場合では、例えば、臨床試験が最後に実施されて以来、改良が有意なものであったか、又は対象に生理学的変化(例えば、体重増加若しくは体重減少、又は代謝変化)が生じた可能性があるため、古い治療情報では不十分であり得る。古い治療情報を使用すると、効果が低下し、対象に不快感を与えるか、又は害を及ぼす可能性がある。
【0095】
本明細書に開示されるシステムの特定の実施形態は、バックアップ療法データを生成することができる。バックアップ療法データを使用して、対象(又はユーザ)は、対象の現在のデバイスが誤動作した場合でも、注射療法を実行するか、又は交換用の携帯型薬剤装置を構成することができる。バックアップ療法データを使用することにより、対象は、利用可能であるが古いものであり得る臨床データよりも、携帯型薬剤装置によって提供されていたものと一致するか、より厳密に一致する治療ケアのレベルを維持できる。
【0096】
システムは、自動血糖制御システム(例えば、グルコース値制御システム510)を含み得、当該自動血糖制御システムは、自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成されている。通常の動作中、システムは、対象のグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することができる。センサは、グルコース値を決定し得る任意の種類のセンサを含み得る。例えば、センサは、連続グルコースモニタリング(CGM)センサであってもよい。
【0097】
決定されたグルコース値を使用して、システムは、制御アルゴリズムを用いて、投与量制御信号を自律的に決定及び/又は生成することができる。投与量制御システムの決定及び/又は生成は、ユーザの操作又は血糖制御信号とのインタラクションなしに実行することができる。一部の場合では、ユーザの操作又は血糖制御システムとのインタラクションの欠如は、意識的な行動を指しており、対象の生理学的特性のセンサ測定は除外され得る。制御アルゴリズムは、グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて対象の血糖を制御する目的で、対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定することができる。
制御アルゴリズムは、任意の種類の制御アルゴリズムを含み得る。
【0098】
例えば、制御アルゴリズムは、対象の血漿中のインスリン投与量の蓄積をモデル化する双指数薬物動態(PK)モデルであってもよい。自動血糖システムは、双指数PKモデル及び対象の1又は複数の血糖測定に基づいて、インスリン又は拮抗調節剤の送達又は投与を制御することができる。双指数PKモデルは、皮下投与されたインスリンの血中への吸収及び/又は血中のグルコースの減少率をモデル化することができる。経時的な双指数PKモデルは、次の数式で表すことができる。
【数9】
式中、Uは単位(U)で表した皮下投与量、Kはスケーリング定数、α及びαは時定数である。
【0099】
代替の例として、制御アルゴリズムは、線形減少率に基づいて、対象におけるグルコースの減少又はグルコースの蓄積をモデル化する線形アルゴリズムを含み得る。例えば、制御アルゴリズムは、インスリンの特定の投与量Dが対象に投与されることを決定してもよい。次に、制御アルゴリズムは、4時間かけて1時間当たり0.25*Dのインスリンが血漿に吸収されると推定し得る。同様に、制御アルゴリズムは、インスリンが血漿内で最大濃度に達すると、インスリンが、3時間かけて1時間当たり0.33*Dの割合で減少すると推定し得る。
【0100】
使用される制御アルゴリズムに関係なく、自動血糖制御システムは、特定の期間にわたって1回又は複数回、インスリン、及び一部の場合では拮抗調節剤を投与することができる。自動血糖制御システムがインスリンを供給する原因となる複数の理由及び/又はトリガが存在し得る。例えば、自動血糖制御システムは、対象の血漿中の安定した血糖値を維持する試みにおいて、周期的に基礎投与量のインスリンを提供してもよい。別の例として、自動血糖制御システムは、食事の一部として消費されるグルコースの予想量を考慮して、インスリンの食事時ボーラスを供給してもよい。食事時ボーラスは、ユーザによって指定された量であり得るか、又は対象による食事サイズの指標に応答して投与されたインスリンの量であり得る。食事のサイズのこの指標は主観的であり得る。一部の場合では、特定された食事サイズに対するインスリンのボーラスのサイズは、固定値又は一定値であり得る。他の一部の場合では、特定された食事サイズに対するインスリンのボーラスのサイズは、自動血糖制御システムが、対象の血糖を目標設定値内に保つために対象に投与するインスリンの量を学習又は改良するにつれて、経時的に変動し得る。自動血糖制御システムは、対象(又は他のユーザ)が食事量の主観的な特定を行うとき、実際の血糖値測定値に対する予想血糖値測定値の比較に基づいて、投与すべき最適なインスリンを学習又は改良することができる。インスリンの基礎及び食事時ボーラスに加えて、自動血糖制御システムはまた、グルコース値信号に基づいて対象に補正投与量のインスリンを供給することができる。インスリンの補正投与量は、血糖値の測定値に基づいて、ユーザのインスリンのレベルが将来の一定期間に閾値を下回ると予想されることを決定又は推定するモデル予測コントローラ(MPC)に応答して供給され得る。MPCは、制御信号の攻撃性及び局所的なインスリン蓄積の両方を同時に最小化しながら、グルコース濃度を基準設定値に調節し得る制御アルゴリズムを実行することができる。投与されたインスリンの皮下蓄積を記述する数学的な定式化は、対象におけるインスリンの薬物動態に関連する名目上の時間的値に基づいて導出され得る。数学的な定式化は、インスリン吸収率、ピークインスリン吸収時間、及び/又はインスリン(又は他の薬剤)の全体的な作用時間に関するものであり得る。本開示の実施形態と共に使用され得るMPCコントローラの例は、2010年10月5日に発行された米国特許第7,806,854号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0101】
自動血糖制御システムは、追跡期間にわたって対象に施されるインスリン療法を追跡することができる。追跡期間は、長さが限定されず、概して任意の期間であり得るが、通常、追跡期間は、特定の条件下で(例えば、特定の血糖値が検出されたとき、又は特定の食事量が特定されたとき)、自動血糖制御システムが対象に投与する薬剤(例えば、インスリン)の量を学習又は改良するのに十分な少なくとも最小の期間である。例えば、自動血糖制御システムは、まず昼食に6単位のインスリンを投与し、夕食に10単位のインスリンを投与してもよい。これらの初期値は、例えば、対象の臨床データに基づいて、医療提供者及び/又は対象に設定することができる。しかしながら、経時的に(例えば、3~5日)、自動血糖制御システムは、昼食用の7単位のインスリン及び夕食用の8単位のインスリンを提供することで、初期構成よりも設定値範囲の中央値の近くに対象の血糖値が維持されると判定し得る。そのようなものとして限定されないが、一般に、インスリンの各単位は、100分の1ミリリットルのインスリンである。
【0102】
示されるように、追跡期間は任意の長さの時間であり得る。例えば、追跡期間は1日、3日、5日、7日、又はその間の任意の期間、又はそれ以上であってもよい。通常、追跡期間は、対象のための自動血糖制御システムの初期設定を学習又は改良するのに十分な時間を提供するのに少なくとも十分な長さである。一部の場合では、追跡期間は1日又は2日であり得る。他の場合、追跡期間は特定の期間から現在の期間までであり得る。例えば、追跡期間は、療法の開始から現在の時点までであってもよい。他の場合では、追跡期間は移動ウィンドウ又はシフトウィンドウであり得る。例えば、追跡期間は、最短1週間、2週間、1ヶ月、又は1年であってもよい。更に、非血糖システムの場合、追跡期間は、対象の薬剤制御値を決定又は改良するのに十分な時間の量に基づいて異なり得る。一部の場合では、追跡期間は、特定の長さのウィンドウであり得る。このウィンドウは、移動ウィンドウであり得る。例えば、ウィンドウは過去7日間であってもよい。経時的に、ウィンドウは移動して過去7日間を包含し続ける。
【0103】
インスリン療法を追跡することには、対象に送達される自律的に決定されたインスリンの投与量を記憶することが含まれ得る。これらの自律的に決定されたインスリンの投与量は、基礎インスリン投与量、食事時インスリンボーラス、又は補正インスリン投与量のうちの1又は複数を含み得る。更に、インスリン療法の追跡には、使用されるインスリンの種類の追跡が含まれる場合がある。インスリンの種類として、速効型インスリン(例えば、リスプロ、アスプロ、又はグルリジン)、速効型又は短時間作用型インスリン(例:ヒューマリンR、ノボリンR、又はヴェロスリンR)、中間作用型インスリン(例:ヒューマリンN、ノボリンN、ReliOn)、長時間作用型インスリン(例:デテミル(レベミール)、グラルギン(バサグラル、ランタス))、あるいは超長時間作用型インスリン(例:デグルデク(トレシバ)、グラルギンu-300(トウジョ))などの任意の種類のインスリンが挙げられる。更に、インスリン療法の追跡には、拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)療法を追跡することが含まれ得る。
【0104】
一部の場合では、インスリン療法の追跡には、一定期間(例えば、追跡ウィンドウ全体)にわたって提供される平均療法を計算することが含まれ得る。例えば、インスリン療法の追跡は、各投与間隔中の過去7日間の名目基礎投与量の移動平均を決定することを含んでもよい。基礎療法が5分ごとに提供されると仮定すると、移動平均は、過去の288回の投与量(例えば、1日間)又は2016回の投与量(例えば、7日間)に基づいて計算できる。この計算を使用して、バックアップ療法の基礎レートプロファイルを取得できる。一部の場合では、期間が異なる時間セグメントに分割され、時間セグメントは、異なる治療率に関連付けられ得る。例えば、4つの基礎療法期間(例えば、午後10時~午前4時、午前4時~午前10時、午前10時~午後4時、及び午後4時~午後10時)が存在してもよい。したがって、1日にわたる、又は他の一定期間(例えば、7日間)にわたる
基礎療法期間の各々について、別個の移動平均を計算することができる。計算された平均を使用して、自動グルコース制御システムをプログラムするために使用され得るバックアップ基礎レートを計算することができる。更に、基礎レートプロファイルには、1日にわたる投与量を集約して、注射療法に使用され得る長時間作用型インスリンの投与量を決定することが含まれ得る。
【0105】
基礎療法と同様に、補正投与量の移動平均を計算し、ポンプ療法又は注射療法を介して、供給するインスリンの補正ボーラスを決定することができる。あるいは、又は加えて、経時的な対象の血糖の測定値と組み合わせた補正投与量の移動平均を使用して、補正療法中に提供されるインスリンの単位から血糖の変化率を決定することができる。
【0106】
食事時ボーラスは、移動平均を使用して計算することもできる。更に、一定期間(例えば、食事時間の前の7日間)にわたる各食事(例えば、朝食、昼食、及び夕食)の投与量について、別個の移動平均を計算することができる。一部の場合では、移動平均の各々は、異なるウィンドウ関数を使用して計算され得る。例えば、移動平均は、ハンウィンドウ又はハミングウィンドウを使用して計算されてもよい。一部の場合では、異なる食事サイズに対して異なるレベルの投薬が決定され得、異なる食事に対して異なる投与量が決定され得る。一部の場合では、例えば、起床時及び通常の昼食時の対象の血糖値の差異に起因して、又は朝食及び昼食時に消費される食物の種類の差異に起因して、サイズが類似していても、異なる食事(例えば、朝食対昼食)において投与量が異なる場合がある。更に、一部の場合では、異なる対象における代謝の違いにより、異なる食事時ボーラスが生じ得る。
【0107】
インスリン療法は、療法ログ又は他の種類のデータ構造に記憶することができる。更に、インスリン療法は、自動血糖システムのメモリ内、コンパニオンデバイス上、対象又はユーザのコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップ又はデスクトップ)上、クラウドコンピューティング環境内、又は自動血糖制御システムからインスリン療法情報を受信することが可能な任意の他のストレージシステム内に記憶され得る。
【0108】
療法ログ又は追跡されたインスリンデータ、自動血糖システム、又は療法ログ又は追跡されたインスリンデータにアクセスできるコンピューティングシステムを使用して、バックアップインスリン療法プロトコルを生成することができる。バックアップインスリン療法プロトコルは、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルを含み得る。バックアップ注射療法プロトコルは、注射療法(例えば、手動で提供されるショット)を1回以上使用して投与する1又は複数の量のインスリン(又は他の薬剤)を含んでおり、これは、対象の状態を正常又は所望の生理学的範囲又は状態内に維持するのに役立ち得る。バックアップポンプ療法プロトコルは、対象に療法を供給するための同じ種類又は異なる種類の交換用の薬剤ポンプのデータ及び/又は指示を含み得る。交換用の薬剤ポンプは、恒久的な交換又は一時的な交換であり得る。
【0109】
バックアップポンプ療法プロトコルは、バックアップ注射療法プロトコルと同じであり得、かつ/又はバックアップ注射療法プロトコルと同じ種類の情報を含み得る。あるいは、又は加えて、バックアップポンプ療法プロトコルは、バックアップ注射療法プロトコルとは異なる値を含み得る。例えば、バックアップポンプ療法プロトコルは、比較的短い増分で周期的に(例えば、5分ごと、30分ごと、毎時など)提供する基礎療法の指標を含んでもよい。インスリンポンプは自動的にインスリンを投与し得るため、安定した又は周期的なインスリンの滴下を提供することが可能である。しかし、注射療法を使用している対象が、同様の短い増分でインスリンを手動で投与することは実用的ではない。代わりに、ユーザは、あまり規則的でない基準で(例えば、およそ4~5時間又は6~8時間ごとに1回など)療法を施すことができる。したがって、ポンプ用及び注射用のバックアップ
療法プロトコルは異なり得る。更に、バックアッププロトコルで使用又は特定されるインスリンの種類は異なり得る。
【0110】
一部の場合では、バックアップポンプ療法プロトコルを使用して、対象が使用する交換用血糖制御システムのポンプ設定を手動で改良することができる。他の場合では、代替血糖制御システムは、バックアップ療法プロトコルに基づいてそれ自体を自動的に構成することができる。例えば、ユーザは、バックアップ療法プロトコルを代替血糖制御システムに提供させてもよく、これは、情報を使用して自己較正されてもよい。
【0111】
バックアッププロトコルが生成されるか必要であるかに関係なく、自動血糖制御システムによって提供される療法のための療法データを収集及び分析することは、対象の状態の管理を支援するのに有用であり得る。例えば、療法データは、対象が自動血糖制御システムによって提供される療法に満足しているか否か、又は血糖制御システムが対象のライフスタイル若しくは好み(主観的又はその他)の療法に最も良く適合するように構成されているか否かを判定するのに有用であってもよい。血糖制御システムが所望の療法又は所望のレートでの療法を提供しているかどうかを判定する1つの方法は、自動血糖制御システムによって提供される療法に対して、対象又は対象の療法を管理するのに役立ち得る他のユーザによって行われる修正の頻度及び/又は大きさを判定することである。
【0112】
本明細書に開示される自動血糖制御システムは、追跡期間にわたって制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することができる。追跡期間は、バックアッププロトコルを生成するための追跡療法のための上記の任意の期間を含み得る。更に、制御パラメータは、療法を施すことに影響を及ぼし得る任意の種類の制御パラメータを含み得る。例えば、制御パラメータは、他の制御パラメータの中でも、療法の量、送達される療法のタイミング、療法が送達されるレート、又はいつ療法を送達するかどうかのトリガに関連していてもよい。更に、制御パラメータは、療法の送達に直接影響を及ぼし得る(例えば、薬剤を送達する時間又は送達する薬剤の量を指定する)か、又は療法に間接的に影響を及ぼし得る(例えば、設定値範囲を調整して、療法を施すための制御アルゴリズムを修正するために使用され得る、対象における血糖又はインスリン蓄積レートを維持する)。
【0113】
ユーザ修正には、自動血糖制御システムの制御パラメータ又は設定の任意の変更が含まれ得る。例えば、自動血糖制御システムは、各インスタンス及び/又はユーザが制御パラメータ(例えば、投与されたインスリンの量)を減少又は増加させる回数又は割合を追跡してもよい。更に、制御パラメータへの変更を追跡することには、ユーザが療法を中断するか、又は目標血糖範囲を一時的に調整する頻度、又は他の制御パラメータを追跡することが含まれ得る。更に、制御パラメータへの変更を追跡することには、ユーザが制御パラメータに変更を加えたときを追跡することが含まれ得る。例えば、ユーザは通常、夜間に制御パラメータを修正するが、昼間のパラメータは変更しないでおくか、又はその逆を行ってもよい。一部の場合では、自動血糖制御システムは、対象の体重を経時的に追跡し得る。体重は、ユーザによって提供され得、血糖制御に影響を及ぼし得る(例えば、投与されるインスリンの量は、対象の体重に関連していてもよい)。
【0114】
自動血糖制御システムは、制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するレポートを生成し得る。このレポートには、記憶されている制御パラメータ値からの増減の頻度の測定値が含まれ得る。更に、レポートには、追跡期間にわたって、自動血糖制御システムの記憶された制御パラメータ値よりも高い制御パラメータ又は低い制御パラメータをユーザが修正した回数の割合の指標が含まれ得る。一部の場合では、レポートは、追跡期間中にインスリンの注入が中断された回数、又はインスリンが対象に送達されるレート(例えば、攻撃性)を示している。
【0115】
このレポートを使用して、臨床医又は他の医療提供者は、対象の療法をより適切に管理するために制御パラメータに修正を加える必要があるかどうかを判定することができる。例えば、対象が、夕方の時間又は夜間に、週に4~5回、血糖目標レベルを上昇させていると判定したる場合、臨床医は、ユーザが自動血糖制御システムによって提供される療法、又は療法のための制御パラメータ設定を手動で調整する発生回数を低減させるように、夕方の目標設定値が調節されるべきであると判断してもよい。一部の場合では、対象は、主観的な理由に基づいて療法を調整され得る。一部のかかる場合において、治療レポートは、臨床医又は医療提供者が対象の病気を制御することについて対象を訓練することを可能にし得る。他の場合では、臨床医は、対象が、最初に決定された又は平均的な対象とは異なる血糖に対する耐性を有すると判断し、それに応じて自動血糖制御システムの1又は複数の制御パラメータを調整し得る。
【0116】
一部の実装形態では、自動血糖制御システムは、レポートに基づいて、経時的に1又は複数の制御パラメータを自動的に調整することができる。例えば、自動血糖制御システムが1か月の間に、対象が30日のうち20日の日中の目標グルコース範囲を低く調整したと判定した場合、自動血糖制御システムは、制御パラメータを修正して設定値範囲を低くしてもよい。一部の場合では、自動血糖制御システムは、対象、親又は保護者、又は医療提供者などのユーザに変更を通知することができる。
【0117】
例示的なバックアップ療法プロトコル生成プロセス
図8は、特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコル生成プロセス800のフローチャートを提示している。プロセス800は、経時的に対象に提供される薬剤療法(例えば、インスリン療法)を追跡し、グルコース値制御システム510が利用できなくなった場合に使用され得るバックアップ療法プロトコルを生成することができる任意のシステムによって実行され得る。例えば、プロセス800は、グルコース値制御システム510の1又は複数の要素によって実行されてもよい。一部の場合では、プロセス800の少なくとも特定の動作は、グルコース値制御システム510から対象512に提供される薬剤療法の指標を受信する別個のコンピューティングシステムによって実行され得る。1又は複数の異なるシステムがプロセス800の1又は複数の動作を実行することができるが、議論を単純化し、本開示を限定しないために、プロセス800は特定のシステムに関して説明される。
【0118】
プロセス800は、グルコース値制御システム510が対象512のグルコース値を受信するブロック802から開始する。グルコース値を受信することには、対象のグルコース値に対応するグルコース値信号を受信及び/又は決定することが含まれ得る。グルコース値信号は、グルコースセンサ516(例えば、CGMセンサ)から受信され得る。あるいは、又は加えて、グルコース値は、タッチスクリーンコントローラ538によってタッチスクリーン上に出力され得る、プロセッサ530によって生成されるユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介して、グルコース値制御システム510にグルコース値を提供するユーザから受信され得る。ユーザから受信されるグルコース値は、グルコースセンサ516の代わりに使用され得る代替のセンサ又は測定機構(例えば、糖尿病測定ストリップ)を使用して測定されたグルコース値であり得る。
【0119】
ブロック804では、グルコース値制御システム510は、グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいてインスリン投与量制御信号を生成する。一部の場合では、インスリン投与量制御信号は、薬剤(例えば、インスリン、拮抗調節剤、又は他の薬剤)を対象512に投与するための薬剤ポンプを制御するように構成された薬剤制御信号であり得る。投与量制御信号は、ブロック802で決定されたグルコース値又はグルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて対象の血糖を制御する目的で、対象に投与又は注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して生成さ
れ得る。
【0120】
ブロック806では、グルコース値制御システム510は、追跡期間にわたって対象512に施されるインスリン療法を追跡する。追跡期間は通常、少なくとも1日であり、それより長くてもよい。例えば、追跡期間は、1日、2日、1週間、1か月、数か月、1年、前述の例の間の任意の長さ、又はそれ以上であってもよい。一部の場合では、追跡期間は、追跡が開始された時点から連続していてもよい。例えば、追跡期間は、対象512によるグルコース値制御システム510の全使用寿命を包含してもよい。追跡期間が(プロセス800の異なる反復のために修正され得る)定義された期間中に設定される場合、プロセス800は、等しい長さ又は異なる長さの新しい追跡期間を使用して、要求に応じて、又はトリガイベントに応じて、周期的に繰り返され得る。トリガイベントには、過去に生成されたバックアップ療法プロトコルを潜在的に古いものにし得る任意のイベントが含まれ得る。例えば、トリガイベントには、薬剤の種類(例えば、異なるインスリン又は拮抗調節剤製剤)の変化、対象512の生理学的特性の変化(例えば、体重又は異なるグルコース値若しくは薬剤に対する感受性の変化)、又は対象512の平均活動レベルの変化が含まれてもよい。
【0121】
追跡期間は、通常、少なくとも1日であり、グルコース値制御システム510が、グルコース値制御システム510の使用の全サイクル(例えば、起床及び睡眠時間)からのデータに基づいてバックアッププロトコルを決定することを可能にするが、一部の場合では、追跡期間は、少なくとも最初は1日未満であってもよい。例えば、初期のバックアップ療法プロトコルは、半日の活動の後に生成されてもよい。この初期のバックアップ療法プロトコルは、グルコース値制御システム510の終日(及び一部の場合では翌日)の使用を通してより多くのデータが利用可能になるにつれて、更新され得る。
【0122】
一部の場合では、追跡期間は、特定の回数のインスリン投与イベントによって、又はそれに基づいて定義され得る。例えば、追跡期間は、グルコース値信号に基づいてインスリン投与量を生成する少なくとも10回のインスタンスによって定義されてもよい。別の例として、追跡期間は、食事イベント、補正投与量イベント、及び/又は基礎投与量イベントの最小回数によって定義されてもよい。例えば、追跡期間は、3回の食事、又は各食事型の3回の食事、2回の補正投与量、及び/又は100回の基礎投与量を必要とし得る。前述の投与回数は、単なる一例であり、追跡期間はより多い投与量又はより少ない投与量を含み得ることを理解されたい。更に、追跡期間は、時間とインスリンの特定の投与回数の発生との組み合わせとして定義又は指定することができる。
【0123】
一部の場合では、追跡期間は変動し得る。例えば、グルコース値制御システム510が、(例えば、一貫性のない運動又は食習慣に起因して)インスリン投与量療法が追跡期間にわたって一貫性がないか、又は不安定であると判定した場合、追跡期間は延長されてもよい。
【0124】
インスリン療法を追跡することには、ブロック804でのグルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて生成されたインスリン投与量制御信号を記憶することが含まれ得る。あるいは、又は加えて、インスリン療法を追跡することには、インスリン(又は他の薬剤)の投与量制御信号に対応するインスリン(又は他の薬剤)の量の指標を記憶することが含まれ得る。インスリン投与量制御信号及び/又はインスリン量の指標は、基礎インスリン投与量、インスリンの補正ボーラス、及び/又はインスリンの食事時ボーラスとして対象512に送達されるインスリンの投与量に対応し得る。
【0125】
インスリン投与量制御信号及び/又はインスリンの量の指標を記憶することには、インスリン投与量制御信号及び/又はインスリンの量の指標を療法ログ又は任意の他の種類の
データ構造においてグルコース値制御システム510のメモリ540に記憶することが含まれ得る。あるいは、又は加えて、グルコース値制御システム510は、インスリン投与量制御信号及び/又はインスリンの量の指標をリモートデータストアに記憶することができる。このリモートデータストアは、グルコース値制御システム510が通信し得るローカルコンピューティングシステム(例えば、対象512又はユーザのラップトップ、デスクトップ、スマートフォン、又は他のコンピューティングデバイス)であり得る。グルコース制御システム510は、ブルートゥース(登録商標)又は他の近距離無線通信サービスを介して、又はローカルネットワークを介して、インスリン投与量制御信号データ又はインスリンの量の指標をローカルコンピューティングシステムに提供することができる。あるいは、又は加えて、リモートデータストアは、グルコース値制御システム510が、無線エリアネットワーク、IoTベースの通信技術を使用するセルラーネットワーク、セルラー通信技術、又は任意の他の通信ネットワーク等の広域ネットワークを経由して通信し得る、リモートコンピューティングシステムであり得る。一部の場合では、広域ネットワークには、インターネットが含まれ得る。グルコース値制御システム510は、それがローカル又はリモートコンピューティングシステムと通信することを可能にするワイヤレス無線機を含み得る。更に、リモートコンピューティングシステムは、データセンターのコンピューティングシステム又はクラウドコンピューティング環境であり得る。
【0126】
ローカルコンピューティングシステムであろうとリモートコンピューティングシステムであろうと、グルコース値制御システム510は、コンピューティングシステムとの通信チャネルを確立することができる。この通信チャネルは、暗号化されたチャネルであり得る。更に、通信チャネルは、グルコース値制御システム510とコンピューティングシステムとの間の直接のエンドツーエンド接続であり得る。通信チャネルが確立されると、グルコース値制御システム510は、インスリン投与量制御信号データ又はインスリンの量の指標をコンピューティングシステムに送信することができる。
【0127】
概して、ブロック802~806に関連する操作は、追跡期間の過程を通して複数回繰り返され得る。例えば、一部の場合では、基礎インスリンに関連するインスリン投与量制御システムが、1日288回まで生成されてもよい。したがって、インスリン療法を追跡することには、追跡期間全体にわたって対象512に注入された複数の自律的に決定されたインスリンの投与量について、インスリン制御信号及び/又はインスリンの量の対応する指標を記憶することが含まれ得る。
【0128】
概して、拮抗調節剤療法は、低血糖のリスク又は発生がある場合に、拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)を投与することを含む。通常、拮抗調節剤は、周期的又は毎日供給されるものではない。しかしながら、拮抗調節剤が対象512に投与される量及び頻度を理解することは有用であり得る。例えば、それは、医療従事者又はユーザが対象512のケアをガイド又は調整するのに役立ち得る。更に、拮抗調節剤の使用を追跡することは、バイホルモン性ポンプ又は注射療法のいずれかにおいて、対象512がアクセス可能であるべき拮抗調節剤の最小量を決定するのに役立ち得る。一部の場合では、ブロック806は、追跡期間中に投与された拮抗調節剤を追跡することを含み得る。拮抗調節剤療法を追跡することには、ブロック802で得られたグルコース値信号に応答して対象512に送達される拮抗調節剤の自律的に決定された投与量の指標を記憶することが含まれ得る。
【0129】
ブロック808では、グルコース値制御システム510は、追跡されたインスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、バックアップ療法プロトコルを生成する。バックアップ療法プロトコルは、追跡期間中、追跡期間のうちの様々な部分(例えば、朝食、昼食、及び夕食、又は起床及び睡眠時間等)にわたって、又は特定のイベント(例えば、食事時、血糖値が閾値レベルを超えるとき等)に応答して、ユーザに投与されるインスリンの平均量又はレートに基づいて決定され得る。バックアップ療法プロトコルは、バックアップ注
射プロトコル及び/又はバックアップポンプ療法プロトコルを含み得る。バックアップ注射プロトコルは、注射を介して対象512に投与され得る量のインスリンをユーザ(例えば、対象512、親若しくは保護者、又は対象512の他の介護者)に提供し得る。更に、バックアップ注射療法は、インスリンが投与され得る時間を示し得る。例えば、バックアップ注射療法は、特定の食事時間に投与されるインスリンの量を示してもよい。更に、バックアップ注射療法は、対象512のグルコース値が高すぎる(例えば、所望の設定値範囲を上回る)ことを血糖読み取り値が示すときに、対象512にどれだけのインスリンを投与すべきかをユーザが計算できるように、インスリンの単位が対象512に及ぼし得る効果を示し得る。
【0130】
バックアップ注射療法プロトコルと同様に、バックアップポンプ療法プロトコルは、薬剤ポンプを介して対象512に投与され得るインスリンの量をユーザ(例えば、対象512、親若しくは保護者、又は対象512の他の介護者)に提供し得る。バックアップポンプ療法プロトコルを使用して、ユーザは、特定された量のインスリンを投与するように薬剤ポンプを構成することができる。バックアップポンプ療法プロトコルは、CGMセンサへのアクセスが利用できない場合(例えば、対象512がCGMセンサを所有していないか、又は薬剤ポンプ又はCGMセンサに障害がある場合など)に薬剤ポンプを構成するために使用され得る。更に、バックアップポンプ療法プロトコルは、交換用のグルコース値制御システムに初期構成を提供するために有用であり得る。
【0131】
一部の場合では、バックアップ注射療法プロトコルとバックアップポンプ療法プロトコルとは、同じであり得る。ただし、多くの場合、少なくとも推奨される基礎療法の設定が異なり得る。インスリンが注射療法を介して1日に数回を超えて対象512に投与されることは、概して実用的ではない。したがって、バックアップ注射療法プロトコルは、限定的に(例えば、1日1回又は2回)投与され得る長時間作用型インスリン単位又は投与量を特定し得る。しかしながら、薬剤ポンプは、限定された基準(例えば、毎時、30分ごと、5分ごとなど)よりも容易にインスリンを投与することができる。したがって、バックアップポンプ療法プロトコルは、単位時間ごとに1回(例えば、1時間当たり1回又は15分当たり1回又は5分当たり1回)、あるいは単位時間当たり(例えば、1時間当たり)特定のレート(例えば、0.5又は0.6単位)で連続的に投与され得るインスリンの基礎レートを特定することができる。更に、バックアップポンプ療法プロトコルは、1日のうちの様々な部分について異なるレート(例えば、対象について、1日の半分ごとに1回のレート、1日の四分の一ごとに1回のレート、又は通常の起床時間中に1回のレート及び通常の睡眠時間中に1回のレートなど)を特定し得る。
【0132】
一部の場合では、初期のバックアップ療法プロトコルがブロック808で生成され得る。初期のバックアップ療法プロトコルは、追加のインスリン療法データが取得されるにつれて、経時的に更新され得る。
【0133】
バックアップ療法プロトコルを生成することには、追跡期間にわたって1日当たり対象512に提供される平均総基礎インスリンに少なくとも部分的に基づいて、長時間作用型インスリン単位の数を決定することが含まれ得る。1日当たりに提供される平均総基礎インスリンは、1日を通して対象512の基礎インスリンレベルを維持するのを助けるように構成された長時間作用型インスリンの単回投与量として、バックアップ注射療法プロトコルに含まれ得る。一部の場合では、1日当たりに提供される平均総基礎インスリンが、インスリンの複数回投与量(例えば、1日に2回又は3回の投与量)としてバックアップ注射療法プロトコルに含まれ得る。
【0134】
あるいは、又は加えて、基礎インスリンは、1日を通して基礎インスリンのレートを提供するためにポンプに供給され得る投与量のレートとして、バックアップポンプ療法プロ
トコルなどのバックアップ療法プロトコルに含まれ得る。更に、一部の場合では、追跡期間のうちの各日は、複数のサブ期間に分割され得る。例えば、追跡期間のうちの各日は、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の期間、あるいはそれに等しいか又は異なる長さに分割されてもよい。一部のかかる場合において、バックアップ療法プロトコルを生成することには、複数のサブ期間のうちの各サブ期間の時間当たりの基礎レートを決定することが含まれ得る。この1時間ごとの基礎レートは、追跡期間のうちの各日の対応するサブ期間を平均することによって決定され得る。例えば、追跡期間のうちの各日が2つのサブ期間(例えば、正午から真夜中、及び真夜中から正午)に分割される場合、追跡期間全体の第1のサブ期間中に供給される基礎レートが平均化され、追跡期間全体の第2のサブ期間中に供給される基礎レートが平均化されて、バックアップ療法プロトコルに含めるための2つの基礎レートを決定してもよい。基礎レートは、時間レート又はその他の期間に基づいて決定され得る。あるいは、基礎レートは、特定の量(例えば、1単位)のインスリンが、バックアップ療法プロトコルの一部として対象512に投与されることが推奨される時間の量に基づいて決定され得る。例えば、グルコース値制御システム510が、対象512が1.125時間ごとに1単位のインスリンを受け取っていると判定した場合、バックアップ療法プロトコルは、基礎レートが1.125時間ごとに1単位であることを示してもよい。あるいは、又は加えて、バックアップ療法プロトコルは、1時間当たり0.89単位の基礎レートを示してもよい。
【0135】
更に、バックアップ療法プロトコルを生成することには、追跡期間にわたって1日当たりに対象に提供される平均補正ボーラスを決定することが含まれ得る。平均補正ボーラスは、各データに投与された補正投与量の合計量を加算し、追跡期間の日数で除算することによって決定され得る。平均補正ボーラスは、ユーザへのガイダンスとしてバックアップ療法プロトコルに含まれ得る。しかしながら、概して、補正ボーラスは、対象の血糖値がスパイク又は閾値を超えているという判定に応答して供給され、必ずしもインスリンの1日投与量として供給されるとは限らない。したがって、平均補正ボーラスは、ユーザが平均的な日中に必要とされる可能性が高いインスリンの量を理解することを容易にするために、バックアップ療法プロトコルの一部として含まれてもよく、これは、ユーザ(例えば、対象)が、例えば、注射療法において使用するためにどれだけのインスリンがアクセス可能であるかを判断するのに有用であり得る。一部の場合では、平均補正ボーラスを決定するときに、追跡期間のうちの1又は複数の日又は期間が省略されてもよい。これは、例えば、1又は複数の日又は期間が外れ値であると判定される場合があるためである。平均的なインスリンの必要量又は消費量をより正確に理解するために、外れ値は省略され得る。
【0136】
一部の実装形態では、グルコース値制御システム510は、追跡期間中に対象に補正ボーラスとして提供されるインスリンの単位に少なくとも部分的に起因する血糖の平均変化を決定することができる。一部の場合では、グルコース値制御システム510は、追跡期間中に適用された各補正ボーラスを、対象512の血糖値の変化と相関させることができる。
【0137】
バックアップ療法プロトコルを生成することには、1日当たり複数の食事時間のうちの各食事時間について、追跡期間にわたって対象に提供されたインスリンの平均食事時ボーラスを決定することが含まれ得る。一部の場合では、特定の食事(朝食、昼食、夕食など)の平均食事時ボーラスが決定され、他の食事摂取期間(軽食又はティータイムなど)は省略又は無視され得る。更に、平均食事時ボーラスは、ユーザによって特定された特定の食事サイズに関連付けられ得る。例えば、グルコース値制御システム510は、少量及び多量の食事、又は少量、中量、及び多量の食事の平均食事時ボーラスを決定してもよい。平均食事時ボーラスは、各食事時間及び特定された食事サイズについて、グルコース値制御システム510の制御アルゴリズムを使用して、グルコース値制御システム510が対
象512に投与されるべきであると決定するインスリンの量を平均することによって決定され得る。
【0138】
一部の場合では、バックアップ療法プロトコルには、拮抗調節剤の投与に関連するデータが含まれ得る。例えば、バックアップ療法プロトコルは、追跡期間にわたって対象に提供される総拮抗調節剤及び/又は毎日の拮抗調節剤の指標を含んでもよい。
【0139】
ブロック810では、グルコース値制御システム510は、バックアップ療法プロトコルを出力する。バックアップ療法プロトコルを出力することには、ユーザがバックアップ療法プロトコルを実装することを可能にするディスプレイ上にバックアップ療法プロトコルを表示することが含まれ得る。あるいは、又は加えて、バックアップ療法プロトコルを出力することには、バックアップ療法プロトコルを、表示及び/又は記憶のためにユーザのコンピューティングデバイスに送信することが含まれ得る。一部の場合では、バックアップ療法プロトコルは、グルコース値制御システム510に記憶され得、そしてグルコース値制御システム510のユーザインターフェースとのユーザインタラクションに応答してアクセスされ得る。
【0140】
一部の場合では、プロセス800は、少なくとも部分的に、以下に記載されるプロセス900と組み合わせることができる。したがって、一部の場合では、バックアップ療法プロトコルは、対象に注入又は投与されるインスリンの投与量を自律的に決定するために、グルコース値制御システム510の制御アルゴリズムによって使用される1又は複数の制御パラメータに対するユーザ修正の記録を更に含み得る。このユーザ修正の記録は、制御パラメータに対するユーザ修正のインスタンスの識別情報、並びに/又は追跡期間のうちの各日の間及び/若しくは追跡期間全体の間にユーザが制御パラメータを修正した回数の割合を含み得る。
【0141】
図9は、特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正追跡プロセス900のフローチャートを提示している。プロセス900は、グルコース値制御システム510とのユーザインタラクション、より具体的には、対象512への薬剤送達の制御を支援するためにグルコース値制御システム510によって使用される制御パラメータをユーザが修正することの発生を追跡し得る任意のシステムによって実行され得る。例えば、プロセス900は、グルコース値制御システム510の1又は複数の要素によって実行されてもよい。一部の場合では、プロセス900の少なくとも特定の動作は、修正をグルコース値制御システム510に送信する前に、グルコース値制御システム510から、かつ/又は別個のコンピューティングシステムでのユーザインターフェースとのユーザインタラクションから、グルコース値制御システム510の制御パラメータ設定への変更の指標を受信する別個のコンピューティングシステムによって実行され得る。1又は複数の異なるシステムがプロセス900の1又は複数の動作を実行可能であるが、議論を単純化し、本開示を限定しないために、プロセス900は特定のシステムに関して説明される。
【0142】
プロセス900は、グルコース値制御システム510が対象512のグルコース値を受信するブロック902から開始する。ブロック902は、ブロック802に関して前述した実施形態のうちの1又は複数を含み得る。
【0143】
ブロック904では、グルコース値制御システム510は、少なくとも部分的にグルコース値信号及び制御パラメータに基づいてインスリン投与量制御信号を生成する。インスリン投与量制御信号は、グルコース値制御システム510が、対象の血糖値を制御するために対象に注入又は投与されるインスリンの投与量を自律的に決定することを可能にする制御アルゴリズムに基づいて生成され得る。制御アルゴリズムは、少なくとも部分的に制御パラメータに基づいてインスリンの投与量を決定することができる。制御パラメータは
、制御アルゴリズムの動作若しくは出力、又はグルコース値制御システム510の動作に影響を及ぼすことができ、ユーザ(例えば、対象512又は対象512のケアに少なくとも部分的に関与するユーザ(例えば、親又は保護者))によって修正可能な任意のパラメータを含み得る。一部の場合では、制御パラメータは、対象512のグルコース値の目標設定値であるか、又はそれに対応し得る。他の場合では、制御パラメータは、グルコース値制御システム510が少なくとも一定期間インスリン投与量制御信号を生成するかどうかに対応し得る。例えば、制御パラメータは、グルコース値制御システム510の少なくとも一部の動作が中断されているか、又はアクティブであるかどうかに関係していてもよい。ブロック904は、ブロック804に関して前述した実施形態のうちの1又は複数を含み得る。
【0144】
ブロック906では、グルコース値制御システム510は、追跡期間にわたって、制御パラメータに対する1又は複数のユーザ修正を追跡する。追跡期間は、1日、1日未満であってもよく、又は1日より長くてもよい(例えば、2日、3日、1週間、1か月など)。更に、追跡期間は、プロセス800に関して前述したように、1又は複数の期間を含み得る。ユーザは、対象512、又はグルコース値制御システム510の制御パラメータを修正することを許可され得る任意の他のユーザ(例えば、親又は保護者、又は医療提供者)であり得る。
【0145】
ユーザは、グルコース値制御システム510によって生成及び/又は出力され得るユーザインターフェースを使用して、制御パラメータを修正することができる。あるいは、又は加えて、ユーザインターフェースは、グルコース値制御システム510で制御パラメータと通信及び/又は修正し得るコンピューティングシステムによって生成及び/又は出力され得る。例えば、コンピューティングシステムは、スマートフォン、スマートウォッチ、ラップトップ、又はデスクトップコンピュータ、又はグルコース値制御システム510を構成するために使用され得る任意の他の種類のコンピューティングデバイスであってもよい。ユーザインターフェースは、ユーザが制御パラメータを修正するためのインターフェースを有し得るタッチスクリーンに出力することができる。ユーザは、制御パラメータ選択要素又は他のユーザインターフェース要素と対話して、制御パラメータを選択及び/又は修正することができる。一部の場合では、ユーザは、グルコース値制御システム510によってサポートされる任意の値を制御パラメータに提供することができる。他の場合では、ユーザは、制御パラメータの特定の値を選択することに限定されてもよく、それは、グルコース値制御システム510のサポートされる能力未満、又は他のユーザが選択することを許可されるもの未満であってもよい。例えば、臨床医は、制御パラメータを修正するために、親よりも広い修正範囲を付与されてもよい。
【0146】
1又は複数のユーザ修正を追跡することには、1又は複数のユーザ修正を療法ログ、データベース、又は他のデータ構造に記憶することが含まれ得る。更に、1又は複数のユーザ修正を追跡することには、ユーザ修正の各々が制御パラメータの増加又は減少を含むかどうかを追跡又は記憶することが含まれ得る。制御パラメータが増加又は減少したかどうかの判定は、制御パラメータの値が基準値に対して増加又は減少したかどうかに基づいて判定され得る。基準値は、制御パラメータの現在の値、デフォルト値、グルコース値制御システム510に供給される臨床値、及び/又はグルコース値制御システム510によって決定される値を含み得る。更に、1又は複数のユーザ修正を追跡することには、制御パラメータが修正される時間及び/又は1又は複数の条件を記憶することが含まれ得る。例えば、グルコース値制御システム510は、時刻、1又は複数の生理学的センサから決定された、及び/又はユーザによって特定された対象512の活動レベル、消費済みの食事又は未消費の食事などを記憶してもよい。更に、インスリン療法を追跡することには、対象512に送達又は投与される自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を記憶することが含まれ得る。
【0147】
一部の場合では、追跡期間を複数のサブ期間に分割することができる。サブ期間は、追跡期間内の1日のうちの様々な部分に対応し得る。例えば、追跡期間のうちの各日は、おおよそ昼と夜に対応する2つの等しい半分に分割されてもよく、又はその日の特定の時間数に対応する3つ又は4つの異なる期間に分割されてもよい。サブ期間は、長さが等しくても等しくなくてもよい。1又は複数のユーザ修正を追跡することには、追跡期間のうちのサブ期間内の制御パラメータへの修正の発生を追跡することが含まれ得る。更に、追跡期間内の1日のサブ期間内の修正の発生は、追跡期間内の別の日の対応するサブ期間内の修正の発生と組み合わせることができる。換言すれば、9:00~21:00に定義されたサブ期間における制御パラメータの修正の各発生は、追跡期間の日数全体にわたって集約され得る。
【0148】
一部の場合では、サブ期間ごとに制御パラメータに対して異なる基準値が決定され得る。一部のかかる場合において、1又は複数のユーザ修正を追跡することには、サブ期間の基準値に関して制御パラメータ値への修正を追跡することが含まれ得る。
【0149】
ブロック908で、グルコース値制御システム510は、制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成する。あるいは、又は加えて、レポートは、グルコース値制御システム510から受信されるデータ(例えば、制御パラメータ値のユーザ修正の発生)に基づいて、クラウドコンピューティングシステム又は医療提供者のコンピューティングシステム等の別のコンピューティングシステムによって生成され得る。
【0150】
レポートには、記憶されている制御パラメータ値からの増減の頻度の測定値が含まれ得る。更に、レポートは、グルコース値制御システム510の1又は複数の特徴の動作が中断又は中止された回数、又はグルコース値制御システム510の1又は複数の特徴の動作が中断又は中止された追跡期間の割合を示し得る。更に、レポートは、全体的に、かつ/又は平均して、各発生についての各制御パラメータに対する修正の大きさを示し得る。一部の場合では、レポートには、追跡期間中の基準値よりも高いか、又は低いユーザ修正の割合が示され得る。更に、追跡期間、又は追跡期間のうちの各日がサブ期間に分割される場合、レポートは、追跡期間のうちのサブ期間ごとの制御パラメータの基準値からの増加及び減少の頻度の測定値を含み得る。一部の場合では、レポートは、制御パラメータの値に対するユーザ修正の際、又は閾値時間期間内に発生したユーザ活動の識別情報を含み得る。例えば、レポートは、ユーザが制御パラメータ値を修正したときに、ユーザが運動していたかどうか(例えば、水泳、ランニング、ダンスなど)を特定してもよい。
【0151】
一部の実施形態では、ブロック908は、生成されたレポートをグルコース値制御システム510(例えば、メモリ540内)及び/又は別のコンピューティングデバイスのストレージに記憶することを含み得る。一部の場合では、コンピューティングデバイスは、対象512(又は親又は保護者)のコンピューティングデバイスであり得る。更に、コンピューティングデバイスは、医療提供者のコンピューティングデバイスであり得る。一部の場合では、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングサービスのコンピューティングデバイスであり得る。
【0152】
レポートは、有線接続(例えば、USBケーブル)によってグルコース値制御システム510から取得することができる。あるいは、又は加えて、レポートは、グルコース値制御システム510への無線接続を介して取得され得る。例えば、グルコース値制御システム510は、医療提供者のコンピューティングシステムへの暗号化された接続を確立してもよく、コンピューティングシステムは、グルコース値制御システム510からのレポートを受信してもよい。あるいは、又は加えて、グルコース値制御システム510は、グルコース値制御システム510からのレポートを受信し得るクラウドコンピューティングプ
ロバイダとの暗号化された通信チャネルを確立することができる。このレポートには、許可されたユーザがアクセスできる。
【0153】
有利には、特定の実施形態では、医療提供者は、レポートを使用して、対象512のケアを管理するのに役立てることができる。例えば、ユーザが閾値回数を超えて又は特定の期間中に制御パラメータを修正していると医療提供者が判断した場合、医療提供者は、この情報を使用して、対象512に提供されているケアを修正し、かつ/又は最適なケアについて対象512を教育してもよい。例えば、療法のレートを修正する必要があるか、又はインスリンの量が低すぎて対象が快適に過ごせない場合がある。例えば、一部の場合では、対象512は、平均的なユーザとは異なる血糖値に対する耐性を有し得、ユーザに設定値範囲を修正させてもよい。この情報を理解することは、医療提供者が対象512のケアを管理する(例えば、初期設定値範囲を調整するか、又は処方されたインスリンの種類を修正する)のに役立ち得る。
【0154】
更に、上記に示したように、プロセス900は、プロセス800と組み合わせることができる。換言すれば、バックアップ療法プロトコルと、ユーザがグルコース値制御システム510の1又は複数の制御パラメータに修正し得る回数の記録との両方を含むレポートが生成され得る。他の場合では、プロセス800及び900は、独立してトリガ及び/又は実行され得る。
【0155】
例示的なバックアップ療法レポート
図10図12は、本明細書に開示される1又は複数の実施形態を使用して生成され得る、バックアップ療法レポート又は一連のレポートの1つの非限定的な例を示している。換言すれば、図10図12のレポートは、グルコース値制御システム510によって生成された単一のレポートの一部であってもよく、又は同時に生成された若しくは異なるデータに基づいて及び/又は異なる追跡期間にわたって生成された別個のレポートであり得る。レポートは、自動血糖制御システム510によって、又は自動血糖制御システムから療法データを受信し得る別のコンピューティングシステムによって生成され得る。更に、図10図12は、生成される可能性のあるレポート又は一連のレポートの1つの非限定的な例を表している。より多くの又はより少ないデータを含む他のレポートが生成されることが可能である。例えば、図10に図示されるバックアップ注射療法プロトコル及びバックアップポンプ療法プロトコルは、別々に生成及び/又はアクセスされ得る2つの別個のレポートに分離されてもよい。
【0156】
図10は、特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコルレポート1000を示している。種々の関係及び/又は条件の下で推奨されるインスリンの量は、単位で表示され得る。一部の場合では、レポート1000は、1単位に含まれるインスリンの量及び/又はインスリンの種類を特定することができる。更に、一部の場合では、レポート1000は、ユーザがインスリンの種類又はインスリンの単位のサイズを修正することを可能にする対話型レポートであり得る。一部のかかる場合、表1002は、インスリンの種類及び/又は選択されたインスリンの単位のサイズに基づいて、特定の時間又は条件下で投与するためのインスリンの推奨単位数を更新し得る。
【0157】
レポート1000は、バックアップ療法プロトコルを決定するために使用される追跡期間1006の長さを特定し得る。更に、レポート1000は、追跡期間1006が発生した時間又は日付範囲1008を特定し得る。有利には、追跡期間1006を知ることは、バックアップ療法プロトコルに含まれる推奨に対する信頼度を決定するのに役立ち得る。追跡期間が長いほど、推奨が正確である可能性が高くなる。例えば、追跡期間は、対象の典型的な状態又は活動レベルの外れ値であるより多くの日数を含む可能性があるため、追跡期間が短いほど、推奨の精度が低くなりやすくなる。例えば、対象が通常の食事よりも
多く消費したり、通常よりも大幅に運動したりした日に発生する1日の追跡期間では、対象の典型的なライフスタイルと一致しないバックアップ療法の推奨をもたらし得る。更に、追跡期間がいつ発生したかを知ることは、その推奨がどれほど最新であるか、及びそれらが対象が投与すべきインスリンの量の信頼できる指標であるかどうかを判定するのに役立ち得る。例えば、追跡期間1006の日付範囲1008が1年前のものであり、対象が1年間で大幅に体重が増加又は減少した場合、バックアップ療法プロトコルはもはや推奨される注射療法の信頼できる指標とはならない可能性がある。かかる場合、ユーザは、この推奨を調整し、かつ/又はプロセス800の新たな発生をトリガすることができる。
【0158】
表1002は、例示的なバックアップ注射療法プロトコルを示しており、これは、注射療法を使用して種々の時間に、又は種々の条件下で対象512に投与され得る種々のインスリン投与量を示し得る。表1002は、朝食、昼食、又は夕食に通常サイズの食事を消費する場合に対象512が注射し得るインスリンの量を特定している。通常サイズの食事は、特定の対象512が通常消費するか、又は医療提供者によって消費するように勧奨された食事のサイズを指し得る。指定されるインスリンの単位は、ユーザが特定された通常サイズの食事を消費するときに、自動血糖制御システム510が平均して対象512に提供するインスリンの量を指し得る。一部の場合では、表1002は、異なるサイズの食事に対する推奨インスリン投与量を更に含み得る。例えば、各朝食は、通常の朝食より軽いか、又は少量の朝食、通常サイズの朝食、及び通常サイズの朝食より重いか、又は多量の朝食に対応する3つの異なる値(例えば、5単位、6単位、及び8単位)を示し得る。
【0159】
送達されるインスリンの量は、経時的に、かつ/又は特定の時間における患者の状態に基づいて変動し得ることを理解されたい。したがって、レポート1000の上部に示されているように、バックアップ療法プロトコルの推奨は、特定の時間(例えば、図示の例では最大72時間)の一時的な使用のために提案されている。推奨が有効である時間量は、対象512、収集された履歴データの量(例えば、追跡期間のサイズ)、対象の血糖値の毎日の変動量、又はバックアップ療法プロトコルが安全に従うことができる時間量に影響を及ぼし得る任意の数の他の要因に基づいて変動し得る。
【0160】
表1002に示すように、バックアップ注射療法プロトコルは、対象512が毎日(又は1日中の特定の時間に)投与することが推奨される長期持続性インスリンの量を更に特定することができる。この長期持続性インスリンは、グルコース値制御システム510が周期的に提供し得る基礎インスリンの代わりに使用され得る。
【0161】
更に、表1002は、1単位のインスリンに起因するグルコース値の低下を特定している。例えば、表1002に示すように、自動血糖制御システム510は、1単位のインスリン(例えば、100分の1ミリリットルのインスリン)が対象512の血糖値を9mg/dL低下させる可能性があると判定している。したがって、注射療法を実装するユーザは、対象512の血糖値を測定し、測定された血糖値と所望の設定値又は閾値グルコース値との間の差を決定し、その差を9で除算して補正投与量が保証される(例えば、血糖が所望の設定値範囲外である)という判定に応答して、注射すべきインスリンの単位数を決定することができる。
【0162】
レポート1000の表1004は、バックアップポンプ療法プロトコルの例を提供している。図示のように、バックアップポンプ療法プロトコルは、食事時間及び補正係数について、バックアップ注射療法プロトコルと同じ治療情報を有し得る。しかしながら、ポンプが周期的な基礎療法を提供し得ることから、注射療法の長時間作用型インスリン単位は、バックアップ又は交換ポンプが対象にインスリンを投与するレートを示す基礎レートに置き換えることができる。示されているように、基礎レートは経時的に変動し得る。図示の例では、基礎レートは、1日24時間を構成する4つの異なる期間にわたって供給され
ている。しかしながら、基礎レートは、より少ない(例えば、2つの12時間ブロック)又はより多い(例えば、4時間ごと)数の期間に分割されてもよく、各期間は、自動血糖制御システムによって提供される履歴療法データに基づいて決定されるように、潜在的に異なる基礎レートを有する。
【0163】
一部の場合では、レポート1000は、追跡期間にわたって追跡され得る追加のデータを含み得る。この追加のデータは、対象512のケア及び/又は自動グルコース値制御システム510の維持を容易にし得る任意のデータを含み得る。例えば、プロセス800又は900を使用して追跡され、レポートに含まれ得る追加のデータの一部の非限定的な例が、レポート1000のチャート1010に示されている。例えば、チャート1010に示すように、レポートは、追跡期間にわたる対象512の平均血糖値及び/又は対応する推定A1C割合を含んでもよい。更に、レポート1000は、対象の血糖値が所望の設定値範囲内にあり、かつ/又は所望の設定値範囲を超えている時間の量又は割合を示し得る。同様に、レポート1000は、対象の血糖値が閾値血糖値を下回っている時間の量又は割合を示し得る。
【0164】
更に、レポート1000は、1日当たりの平均食事告知回数を示し得る。チャート1010に示すように、例示的なレポート1000が生成された対象512は、平均で4.2回の食事告知を行い、平均して、対象は1日に3回を超える食事を消費したことを示している。一部の場合では、レポートは、告知された食事の種類(例えば、2回の朝食、1回の昼食、及び1回の夕食)を更に示し得る。2回目の朝食は、対象の少量の朝食とサイズがほぼ等しい多量の軽食であり得る。したがって、対象は追加の朝食の食事告知を行い得る。一部の場合では、自動グルコース値制御システム510は、別個の軽食又は他の食事告知オプションをサポートし得る。
【0165】
レポート1000は更に、対象に1日当たりに投与されるインスリンの総量、及び/又は対象に1日当たりに投与される拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)の総量を含み得る。加えて、レポート1000は、自動グルコース値制御システム510が追跡期間中にCGMセンサと接続又は通信し得る時間の割合の量を示してもよく、これは、自動グルコース値制御システム510が追跡期間中にオンラインモードで機能する時間の量に対応していてもよい。
【0166】
図11は、特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正レポート1100を示している。上述したように、レポート1100は、例えば、プロセス900を使用して生成された別個のレポートであってもよい。又は、レポート1100は、レポート1000内の第2のレポートとして含まれ得る。
【0167】
レポート1100は、概して、追跡期間中にユーザが自動グルコース値制御システム510の1又は複数の制御パラメータを修正した回数又は割合の指標を提供し得る。更に、レポート1000と同様に、レポート1100は、追跡期間1006が発生した時間又は日付範囲1008を特定し得る。一部の場合では、ユーザは、レポート1100と対話して、追跡期間のサブセットの間にユーザが1又は複数の制御パラメータを修正した回数の割合の数を決定することができる。同様に、ユーザは、日付範囲をフィルタリングするか、又は狭めて、追跡期間のサブセット(例えば、選択されたデータ範囲)について本明細書に記載されている他のデータを表示することができる。
【0168】
レポート1100は、追跡期間中の1日にわたる所望の目標設定値範囲に関する対象の血糖値を示すグラフ1102を含み得る。この1日は、追跡期間中の各日について取得された値の平均にすることも、特定の選択された日を示すこともできる。
【0169】
更に、レポート1100は、ユーザが特定の期間中に血糖目標を修正した回数の割合を示す表1104を含み得る。非限定的な例のレポート1100の表1102は、2つの期間、すなわち昼間及び夜間を示している。しかしながら、表1104は、より少ない期間又はより多い期間を示し得ることを理解されたい。更に、期間は、特定の時刻の期間(例えば、9:00~21:00及び21:00~9:00)を示し得る。
【0170】
図示のように、表1104は、ユーザがグルコース目標設定値を増加させた回数又は減少させた回数の割合を示し得る。更に、レポートには、ユーザがグルコース目標設定値を修正しなかった回数、又は通常どおりに留めた回数の割合が示され得る。表1104に示されるこの目標設定値は、単一の目標値(例えば、110mg/dL、125mg/dL、130mg/dLなど)を指してもよく、又は目標設定値範囲(例えば、70~180mg/dL)を指してもよい。
【0171】
更に、レポート1100は、追跡期間中にユーザが一時的なグルコース目標を設定した回数(一時的な目標のカウント1106)又は選択されたデータ範囲を示し得る。レポートはまた、追跡期間中にユーザが療法を中断した回数(例えば、中断されたインスリン療法のカウント1108)及び/又は選択された日付範囲を示し得る。
【0172】
対象の血糖は、対象の体重によって影響を受ける可能性がある。したがって、対象は、自動血糖制御システムに体重の更新を提供することができる。一部のかかる場合、レポートは、体重変化と、体重パラメータが修正されたときを示し得る(例えば、体重データ1110)。一部の場合では、レポート1100は、フィルタリングされて、体重変化の前後のデータを別々に表示し得る。体重データは、医療提供者が、例えば、体重の変化が少なくとも部分的に、目標血糖値へのユーザ修正の基礎になっている可能性があるかどうかを判定するのに役立ち得る。概して、(例えば、血糖測定値を使用して)自動グルコース値制御システム510は、体重変化が血糖制御に及ぼす可能性のある影響を自動的に考慮する。ただし、対象512はこれと異なった感想を有する場合がある。自動グルコース値制御システム510のユーザの修正に関する修正データを収集し、データを体重変化と相関させる能力は、例えば、自動グルコース値制御システム510の設定を調整すること、インスリン処方を変更すること、対象512を教育すること、又は対象512のケアを改善し得る任意の他のアクションによって、医療提供者が対象512をより良好に治療するのを支援することができる。
【0173】
一部の場合では、レポートにおいて、閾値を下回る血糖の目標設定の変更は省略され得る。換言すれば、統計的ノイズであり得る小さな変更は無視され得る。更に、一部の場合では、レポートは、(例えば、就寝時、夕食などの特定の食事に関する)制御パラメータがいつ修正されるかを示し得る。一部の場合では、レポートには、グルコース目標設定値又は他の制御パラメータへの変更の期間も示され得る。
【0174】
図12は、特定の実施形態による、図11の制御パラメータ修正レポート1100の一部の実装形態の一部として含まれ得る、例示的な食事選択レポート1200を示している。レポート1200は、表1202を含み得、表1202は、ユーザ(例えば、対象512)が各食事型を告知する1日当たりの平均回数を特定している。通常、ユーザは1日に0回又は1回、食事を告知する。しかしながら、一部の場合では、ユーザは、例えば、特定の食事とサイズが類似し得る多量の軽食を考慮して、1回を上回って特定の食事時間を告知してもよい。少量の軽食は、多くの場合、食事告知なしに、自動グルコース値制御システム510の制御アルゴリズムによって(例えば、補正インスリンコントローラ626によって)処理され得る。
【0175】
更に、表1202は、特定のサイズの食事がユーザによって告知される、追跡期間中の
回数、又は追跡期間内の選択された期間を特定し得る。例えば、表102は、通常サイズの食事が告知される回数、通常サイズよりも少量の食事が告知される回数、又は通常サイズよりも多量の食事が告知される回数を示してもよい。
【0176】
自動血糖制御の改良
自動血糖制御システム(例えば、グルコース値制御システム510)は、インスリン及び/又は拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)を対象512に自動的に提供し、これは、対象512の血糖値を制御するのに役立ち得る。概して、制御アルゴリズムは、自動血糖値制御システム510によって実装され、インスリンを送達する時期及び対象に提供するインスリンの量を決定し得る。更に、制御アルゴリズムは、インスリンの継続的又は周期的な送達(例えば、基礎投与量)、及び対象の血糖値を所望の範囲内に調整するために提供され得る補正ボーラスの両方を制御し得る。制御アルゴリズムは、対象から自動血糖測定値を取得する連続グルコースモニタリング(CGM)センサなどのセンサから取得した血糖値レベルの読み取り値を使用し得る。更に、一部の場合では、制御アルゴリズムは、対象512によって消費される食事又は消費されている食事の指標に応答して、インスリンのボーラスを送達することができる。
【0177】
インスリンは、対象512の血液に皮下投与することができる。インスリンが提供されてから、対象の血漿中のインスリンの量が最大濃度に達するまでの間には、しばしば遅延が存在する。この時間は、インスリンの種類及び/又は特定の対象の生理学的状態に基づいて変動し得る。例えば、速効型インスリンの場合、インスリンのボーラスが1人の対象の血漿中の最大濃度に達するまでに約65分を要する場合があるが、別の対象では60、64、又は70分を要する場合がある。他の種類のインスリンの場合、対象の血漿中の最大濃度に達するまでに3~5時間を要する場合がある。したがって、血糖制御システムは、経時的な対象の血漿中のインスリン投与量の蓄積をモデル化する双指数薬物動態(PK)モデルを実装する予測アルゴリズムを実装し得る。血糖制御システムは、インスリンの種類、1又は複数の血糖測定値、及び/又は対象の生理学的特性に基づいてその予測を修正することができる。この生理学的特性には、集団の大部分の間で共有される特徴(例えば、体重、性別、年齢など)、並びに対象に固有若しくは特異的であり得るか、又は少数の人々の間で共有され得る特徴(例えば、遺伝学に関連する特徴)が含まれ得る。
【0178】
異なる対象における生理学的状態の違いにより、各対象、又は複数の対象のうちの一部の対象の最適な血糖の範囲に違いが生じる可能性がある。更に、生理学的状態の違いは、血漿へのインスリンの吸収にも影響を与える可能性がある。換言すれば、異なる対象の異なる生理学的状態は、異なる対象に対して異なる時間を要するインスリン吸収をもたらす可能性がある。したがって、血漿中のグルコースの最大濃度は、ある対象では速効型インスリンのボーラス投与後65分であり得るが、別の対象では60分又は70分であり得る。
【0179】
上述したように、自動血糖システムなどの血糖システムは、双指数PKモデル及び対象の1又は複数の血糖測定に基づいて、インスリン又は拮抗調節剤の送達又は投与を制御することができる。双指数PKモデルは、皮下投与されたインスリンの血中への吸収及び/又は血中のグルコースの減少率をモデル化することができる。経時的な双指数PKモデルは、次の数式で表すことができる。
【数10】
式中、Uは単位(U)で表した皮下投与量、Kはスケーリング定数、α及びαは時定数である。インスリン吸収のピーク時間は、Tmaxと称され、次の数式に基づいて決定され得る。
【数11】
【0180】
多くの場合、血糖制御システムは、対象の血糖を特定の範囲内に維持するように構成される。血糖が上昇又は下降するにつれて、血糖制御システムは、対象の血糖値を所望の範囲内に戻すか、又は所望の設定値により近づけるために、特定の量のインスリン又は拮抗調節剤を対象に投与し得る。上述したように、薬剤が対象の血流に吸収されるまでには、ある程度の時間を要する場合がある。したがって、双指数PKモデルを使用して、投与するインスリン又は拮抗調節剤の量を決定することができる。双指数PKモデルは、インスリン又は拮抗調節剤が投与される際に、経時的に対象の血糖値を予測することができる。双指数PKモデルのパラメータ値は、臨床試験を通して得られたデフォルト値に基づいて、かつ/又は対象の臨床試験に基づいて決定され得る対象の個別の治療計画に基づいて、かつ/又は対象の試験に基づいて決定され得る対象の医療提供者の評価に基づいて、医療提供者によって設定され得る。
【0181】
ただし、前述したように、対象はそれぞれ異なり得る。したがって、臨床データは、1又は複数の試験を通じて平均的な対象の最適値又は推奨値を決定し得るが、決定されたデータは特定の対象に最適ではない場合がある。更に、個別の治療計画は通常、特定の時点の測定値に基づいている。これらの特定の時点の測定値は、療法の優れたガイドラインを提供し得るが、対象に対する最適なパラメータ値は、様々な活動に起因して、生涯にわたる対象の変化に起因して、又は任意の他の複数の理由に起因して、1日の異なる時間において変動し得る。
【0182】
本開示のグルコース値制御システム510は、グルコース値制御システム510を使用して対象に提供される療法を修正するために、制御アルゴリズムの1又は複数の制御パラメータを自律的及び/又は自動的に修正する方法又はプロセスを実装することができる。本方法は、療法を施すことを制御するハードウェアプロセッサ530及び/又はコントローラ518によって実行され得る。システムは、対象の血糖値の決定に応答して、対象に療法(例えば、インスリン)を提供することができる。血糖値は、対象に動作可能に接続されているグルコース値センサから得られるグルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。療法の決定(例えば、インスリン又は拮抗調節剤の量)は、少なくとも部分的に、血糖値及び/又は双指数モデルに基づき得る。更に、療法の決定は、血糖制御システムの1又は複数の制御パラメータの値又は設定に少なくとも部分的に基づき得る。1又は複数の制御パラメータは、双指数PKモデル、又は対象へ療法を施すことを制御するために使用される任意の他のモデル若しくは制御アルゴリズムの1又は複数のパラメータであり得るか、又はそれに対応し得る。
【0183】
システム510は、1又は複数の制御パラメータの値又は設定に基づいて療法を提供することができる。1又は複数の制御パラメータの値又は設定は、医療提供者、対象、又は他のユーザによる血糖制御システム510の初期構成に基づき得る。更に、初期構成は、臨床データ又は得られた対象に固有データに基づき得る。一部の場合では、制御パラメータは、血糖制御システムの制御アルゴリズムによって使用される時定数であり得る。この時定数は、制御アルゴリズムによる対象におけるインスリンの蓄積の計算に使用することができる。更に、制御パラメータを使用して、グルコース値センサから得られたグルコース値信号によって示されるような対象の血糖エクスカーションに対する制御アルゴリズムのインスリン投与応答を制御することができる。一部の場合では、制御パラメータはTmaxであるか、又はTmaxに関連し得る。例えば、制御パラメータは、Tmaxの推定値又はTmaxの一部(例えば、0.5)であってもよい。前述したように、Tmaxは、インスリン吸収のピーク時間、又はインスリン投与量からのインスリン濃度が対象の血
液中の最大濃度に達するまでの時間であり得る。
【0184】
更に、制御パラメータは、設定値又は目標血糖値、あるいは血糖範囲に関連付けられ得る。例えば、制御パラメータは、「残存インスリン(insulin on board)」の推定量(例えば、対象におけるインスリン蓄積及び/又は利用のモデルによって決定される対象におけるインスリンの量)が閾値を下回る時点に関連していてもよい。別の例として、制御パラメータは、インスリンボーラスのクリアランス時間(例えば、投与されたインスリンボーラスが対象によって利用される時間量の推定値)であってもよい。一部の場合では、制御パラメータは、血漿中のインスリン濃度が血漿中の最大濃度の半分に達する時間に対応するT1/2に関連し得る。一部の場合では、制御パラメータは、Tmax又はT1/2を計算するために使用され得るパラメータであり得る。
【0185】
システムは、供給された療法の効果を決定することができる。この効果は、グルコース値信号から受信したグルコース値信号によって示される対象における血糖の血糖制御を分析することによって決定することができる。一部の場合では、システムは、供給された療法の効果を経時的に測定又は決定することができる。更に、一部の場合では、システムは、複数の療法送達時間又はインスタンスにわたって対象に療法を供給し続けてもよく、複数の療法送達時間又はインスタンスにわたって療法の測定又は決定された効果を平均化又は別様で集約してもよい。
【0186】
提供された療法及び当該療法の決定された効果(例えば、療法に起因する血糖値の変化)に少なくとも部分的に基づいて、システム510は、1又は複数の制御パラメータへの修正を自律的に決定することができる。例えば、システムは、対象を提供するためのインスリン療法を決定するために、血糖制御システムによって使用されるTmax値を修正してもよい。制御パラメータ値の方向性の修正(例えば、増加又は減少)は、制御パラメータの初期又は前の制御パラメータ値の決定された効果に依存し得る。更に、制御パラメータ値の方向性の修正は、血糖療法の効果と血糖療法の予想される効果との間の差に依存し得る。
【0187】
修正された制御パラメータを使用して、システム510は、療法送達時間において対象512に送達する療法を決定することができる。初期制御パラメータと同様に、療法は、修正された制御パラメータに基づいて、1又は複数の療法送達時間中に送達され得る。システムは、初期制御パラメータを使用して送達される療法に関して前述した1又は複数の実施形態を使用して、修正された制御パラメータに基づいて送達される療法の効果を決定することができる。
【0188】
システムは、初期制御パラメータを使用して送達された療法と、修正された制御パラメータを使用して送達された療法との測定又は決定された効果を比較することができる。この比較に基づいて、システムはどの制御パラメータ値が対象に適しているかを判定できる。比較は、リアルタイムで、又は実質的にリアルタイムで実行することができる。更に、比較は、ユーザの操作なしにシステム510によって実行され得る。好ましい制御パラメータ値は、概して、対象の血糖値を対象の所望の範囲又は設定値に近づける制御パラメータである。一部の場合では、比較は統計分析又は回帰ベースの分析に基づき得る。システムは、制御パラメータを設定又は維持して、その後の療法のために対象の所望の範囲又は設定値により近い血糖値を生成する値を有し得る。
【0189】
一部の場合では、システム510は、様々な制御パラメータ値に対してプロセスを繰り返すことができ、システムが経時的に対象の血糖制御を改良することを可能にする。プロセスのその後の実行において、初期制御パラメータ値は、初期値でなくてもよいが、制御パラメータの決定された効果に基づいて制御パラメータのために最後に選択された値であ
ってもよい。
【0190】
一部の場合では、制御パラメータの第2の値又は修正された値の決定、又は制御パラメータの修正は、閾値を満たさない対象のグルコース値に基づいてトリガされ得る。代替として、又は加えて、制御パラメータ値を修正するプロセスは、閾値を上回る、対象の予想されるグルコース値と療法を施した後の対象の予想されるグルコース値との間の差異に基づいてトリガされ得る。
【0191】
本明細書に記載の実施形態を使用して、制御パラメータの値は、対象又はユーザが血糖制御システムと対話することなく自律的に修正することができる。換言すれば、血糖制御システムは、対象の血糖制御のための制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータを自動的に調整及び/又は改良することができる。
【0192】
前述のように、血糖制御システムは、対象にインスリン療法及び拮抗調節剤療法の両方を提供することができる。一部の場合では、血糖制御システムはインスリン療法のみを提供することができる。一部のかかる場合において、血糖制御システムは、対象の検出された状態に基づいて対象に投与され得るか、又は投与されるべき拮抗調節剤の量の指標を出力し得る。
【0193】
制御パラメータによって使用されるアクティブ制御パラメータ値は、その後の療法修正プロセスの発生までアクティブのままであり得る。一部の場合では、療法修正プロセスの実行は、過去の制御パラメータ値の決定された効果に少なくとも部分的に基づいて修正される制御パラメータ値を用いて継続的に実行される。他の場合では、療法の決定された効果が所望の閾値を満たす(例えば、検出された血糖値が設定値又は中央値設定値の閾値内にあるとき)まで、療法修正プロセスが実行される。一部の場合では、療法修正プロセスが設定された回数実行され、最良の結果を提供する(例えば、所望の血糖値に近い)制御パラメータ値が、その後の療法のためのアクティブ制御パラメータとして設定される。一部の場合では、対象上の異なる部位(例えば、背中、胃、脚、又は腕)は、異なる血糖吸収率をもたらし得る。したがって、一部のかかる場合において、血糖制御システムが対象の異なる部位に移動されるたびに、療法修正プロセスが実行され得る。
【0194】
例示的な自動血糖制御改良プロセス
図13は、特定の実施形態による例示的な自動血糖制御改良プロセスのフローチャートを提示している。プロセス1300は、対象512に施される療法に関する(例えば、血糖信号からの)フィードバックに基づいて、制御アルゴリズム及び/又は制御アルゴリズムの実行に影響を及ぼす制御パラメータを自律的及び/又は自動的に修正することができる任意のシステムによって実行することができる。例えば、プロセス1300は、グルコース値制御システム510の1又は複数の要素によって実行されてもよい。一部の場合では、プロセス1300の少なくとも特定の動作は、グルコース値制御システム510から血糖データを受信する別個のコンピューティングシステムによって実行され得る。1又は複数の異なるシステムがプロセス1300の1又は複数の動作を実行することができるが、議論を単純化し、本開示を限定しないために、プロセス1300は特定のシステムに関して説明される。
【0195】
プロセス1300は、自動的に、そしてユーザインタラクションなしに実行され得る。一部の場合では、ユーザは、コマンド又はユーザインターフェースとの対話を介してプロセス1300をトリガすることができる。ただし、プロセス1300がトリガされると、プロセス1300は自動的に実行され得る。更に、プロセス1300は、連続的に、周期的に、又はトリガに応答して実行され得る。トリガは、時間ベースであり得、かつ/又は対象のグルコース値の測定に基づき得る。例えば、トリガは、対象のグルコース値が、薬
剤の投与に基づいてグルコース値制御アルゴリズムによって予測される、予測グルコース値から閾値を超えて異なるという判定に対応してもよい。更に、トリガは、対象512によるグルコース値制御システム510の起動又は初回の使用に基づき得る。
【0196】
プロセス1300は、ブロック1302から開始し、ここで、グルコース値制御システム510は、対象512のグルコース値に対応するグルコース値信号を受信する。グルコース値信号は、対象の血中のグルコースの値を測定し得るグルコースセンサから受信することができる。例えば、センサは、連続グルコースモニタリング(CGM)センサであってもよい。ブロック1302は、ブロック802又は902に関して前述した実施形態のうちの1又は複数を含み得る。
【0197】
ブロック1304では、グルコース値制御システム510は、第1の療法期間中に対象512に第1の療法を提供する。第1の療法は、少なくとも部分的に、グルコース値信号及び制御パラメータの第1の値に基づき得る。制御パラメータは、グルコース値制御システム510の動作及び/又はグルコース値制御システム510の制御アルゴリズムの性能に影響を与える任意の制御パラメータを含み得る。制御アルゴリズムは、対象512に投与する薬剤(例えば、インスリン)の投与量を決定するために使用される任意の制御アルゴリズムを含み得る。換言すれば、コントローラ518又はプロセッサ530は、制御アルゴリズムを使用して、制御パラメータの値(例えば、ブロック1304の第1の値)に少なくとも部分的に基づいて投与量制御信号を生成して、送達装置514にインスリン又は他の薬剤の投与量を投与させることができる。
【0198】
一部の場合では、制御アルゴリズムはPKモデルに基づき得る(数式2)。更に、一部の場合では、制御パラメータは、数式3を使用して計算され得るTmaxであり得る。他の場合では、制御パラメータはT1/2であり得、これは、血流中のインスリンの投与量が、対象512に投与された投与量に起因する血中の最大濃度の半分に低下する時間の量に関連し得る。一部の場合では、制御パラメータは、対象の血漿中のインスリンが、インスリン投与量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する。更に、一部の場合では、制御パラメータは、Tmaxの決定に影響を与えるパラメータ、例えば時定数α及びαのうちの1又は複数であり得る。一部の実装形態では、制御パラメータは、対象512におけるインスリン(又は他の薬剤)の蓄積及び/又は対象512におけるインスリン(又は他の薬剤)のレートの減少を考慮及び/又は決定するために、制御アルゴリズムによって使用され得る。一部の場合では、制御パラメータを使用して、ブロック1302で受信されたグルコース値信号によって示されるような対象の血糖エクスカーションに対する制御アルゴリズムのインスリン投与応答を制御することができる。
【0199】
一部の事例では、制御パラメータは、Tmaxの計算に使用され得る時定数α及びαのうちの1又は複数などの、制御アルゴリズムによる対象におけるインスリンの蓄積の計算において使用される少なくとも1つの時定数に関連し得る。一部の場合では、制御パラメータは、対象512におけるインスリンの減少レートに対応し得る。一部の場合では、制御パラメータは、対象512の血糖値を維持するため、又は維持の試みのための目標設定値又は目標設定値範囲に関連し得る。
【0200】
第1の療法は、対象512へのインスリンの単回投与に対応し得る。このインスリンの単回投与は、任意の理由で投与される任意の種類のインスリンであり得る。例えば、インスリン投与量は、基礎インスリン投与量、プライミング投与量、食事告知に応答して供給される投与量、又はインスリンの補正投与量であってもよい。更に、第1の療法は、拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)などのインスリン以外の薬剤であり得る。一部の場合では、第1の療法は、第1の療法期間にわたって対象512に供給又は投与される複数の薬剤(例えば、インスリン及び/又は拮抗調節剤)の投与量であり得る。更に、複数の薬剤投
与量は、1又は複数の基礎投与量、1又は複数の食事告知に関連する1又は複数の食事投与量、1又は複数の補正投与量などの種々のタイプの薬剤投与量を含み得る。
【0201】
第1の療法期間は、単一の薬剤投与量に対応する期間であり得る。あるいは、第1の療法期間は、複数の薬剤投与量を含む期間であり得る。更に、時間の第1の療法期間は、定義された時間の長さに関連する期間であり得る。あるいは、又は加えて、第1の療法期間は、複数の薬剤期間に基づいて定義され得る。換言すれば、期間は、(任意の種類又は特定の種類の)指定された数の投与量の薬剤を送達又は投与するのに要する時間の量に基づいて変動し得る。
【0202】
第1の値は、プロセス1300の過去の療法又は過去の実施に基づいて選択され得る。一部の場合では、第1の値は、ベースライン値に基づいて選択される。ベースライン値は、臨床データに関連付けられ得るか、又はプロセス1300の実行前の一定期間のグルコース値制御システム510の初期動作に基づいて決定され得る。あるいは、又は加えて、第1の値は、対象512の臨床データ又は特定の処方に基づいて選択され得る。一部の場合では、第1の値は、平均的なユーザ又は特定の生理学的データを対象512と共有する平均的なユーザの臨床データに基づき得る。一部の場合では、第1の値は、対象512の医療提供者の評価に基づいて決定される。更に、第1の値は、グルコース値制御システム510の注入部位(例えば、背中、胃、脚など)に基づいて決定され得る。一部の場合では、第1の値は、対象512の人口統計又は特性に基づいて選択され得る。例えば、第1の値は、対象の512の性別、体重、体格、又は年齢に基づいてもよい。
【0203】
ブロック1306では、グルコース値制御システム510は、第1の療法に少なくとも部分的に対応するか、又は起因する第1の効果を決定する。第1の効果を決定することには、対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することが含まれ得る。このグルコース値信号は、ブロック1302で受信されたグルコース値信号よりも新しい、後続の又は更新されたグルコース読み取り値であり得る。ブロック1302で受信されたグルコース値信号は、対象512に施される療法を決定するために使用され得、ブロック1306で受信されたグルコース値信号は、施された療法の結果を決定するために使用され得る。グルコース値信号は、継続的又は周期的に受信され得、施される療法を決定するため、かつ施された療法の効果を決定するための両方に使用できることを理解されたい。
【0204】
一部の場合では、第1の効果を決定することには、グルコース値信号によって示される対象における血糖の血糖制御を分析することが含まれ得る。対象における血糖の血糖制御を分析することには、対象512の血糖値を経時的に追跡することが含まれ得る。更に、対象における血糖の血糖制御を分析することには、対象512の経時的な血糖値を、制御パラメータの選択された値を使用する制御アルゴリズムに基づいて予測される対象512の経時的な予測血糖と比較することが含まれ得る。対象512の血糖値を経時的に予測血糖値と比較することには、CGMセンサから得られた血糖値信号に基づいて、インスリン(又は他の薬剤)の蓄積及び/又は減少がインスリン(又は他の薬剤)の予測蓄積又は減少と一致するかどうか、又はどの程度一致するかを判定することが含まれ得る。
【0205】
ブロック1308では、グルコース値制御システム510は、制御パラメータの第2の値を生成する。この第2の値は自律的に決定され得る。更に、一部の場合では、第2の値は自動的に決定され得る。一部の場合では、第2の値は、少なくとも部分的に、血糖制御改良プロセス1300をトリガするユーザに基づいて決定される。第2の値は、第1の値と比較した制御パラメータの増加又は減少であり得る。第2の値は、第1の値からの特定の最大変化に制限され得る。更に、第2の値は、第1の効果に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。例えば、第1の値に対応する第1の効果が、設定値範囲の上側範囲に近
い血糖をもたらす場合、第2の値は、設定値範囲の中央により近い血糖値であるように選択されてもよい。更に、第2の値は、対象512の特性、例えば、年齢、体重、性別、又は血糖管理に影響を及ぼし得る他の任意の特性に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。一部の場合では、第2の値は、第1の値又は第1の効果に関する対象512の評価又は入力に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。例えば、対象512が、第1の療法期間中に、ふらつき、めまい、立ち眩み、吐き気、又は不快感を覚えた場合、対象512は、例えば、グルコース値制御システム510のユーザインターフェースを介して、対象512がどのように感じているかを示してもよい。第2の値は、対象512によって知覚される症状を軽減する試みにおいて、対象512によって提供される評価に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。
【0206】
一部の場合では、制御パラメータの第2の値は、制御パラメータのベースライン値及び対象の血糖制御に基づいて定義された関数の出力に少なくとも部分的に基づいて生成され得る。グルコース値信号は、第1の療法期間中の対象の血糖制御の指標を表し得る。制御パラメータのベースライン値は、ブロック1304で療法を提供するために使用される第1の値に対応し得る。このベースライン値は、対象に対する任意の変化(例えば、体重、インスリン型の変化、又は代謝変化など)の前の対象についての最後の既知の最適値であり得る。あるいは、又は加えて、ベースライン値は、医療提供者によって決定された値であり得る。一部の場合では、制御パラメータの第2の値は、グルコース値信号によって示される血糖制御に少なくとも部分的に基づいている。
【0207】
制御パラメータの第2の値は、皮下投与されたインスリンが対象の血液へ吸収される時間と血糖制御機能との間の回帰分析の実行に基づいて選択され得る。血糖制御機能は、少なくとも部分的にグルコース値信号に基づき得る。一部の場合では、回帰分析は、Tmax又はT1/2と時定数α及びαのうちの1又は複数との間で実行され得る。
【0208】
ブロック1310では、グルコース値制御システム510は、制御パラメータを第2の値に変更する。制御パラメータを第2の値に変更すると、制御アルゴリズムの動作又は実行が変更される。この制御アルゴリズムの実行における変更は、対象512への療法の提供に関連する1又は複数の要因の変更をもたらし得る。例えば、制御アルゴリズムの実行における変更は、送達される薬剤の量、薬剤の送達のタイミング、薬剤の投与量が対象512に送達されるレート、対象の血糖の標的設定値又は標的範囲、薬剤を送達するかどうかを決定する際に使用される閾値(例えば、標的設定値からの閾値差)、又は対象512に送達される療法に影響を及ぼし得る任意の他の要因の変更をもたらしてもよい。一部の場合では、第2の値はTmax又はT1/2の修正であり得る。Tmax及び/又はT1/2は、対象512の生理学的状態又は生化学的状態に少なくとも部分的に基づき得ることを理解されたい。したがって、第1の値及び第2の値の設定のためのTmax又はT1/2のいずれかの設定は、Tmax及び/又はT1/2を表すか又はそれに対応する制御アルゴリズムのパラメータを設定することを指し得る。例えば、第1の値及び第2の値の設定は、制御パラメータを、対象512についてTmax及び/又はT1/2であると決定又は推定された値に設定することを含んでもよい。ただし、設定値は、対象512の実際のTmax及び/又はT1/2とは異なり得る。更に、Tmax及び/又はT1/2は対象ごとに異なり得るため、対象のTmax及び/又はT1/2を明示的に設定又は決定し得るとは限らない。代わりに、Tmax及び/又はT1/2は、少なくとも部分的にTmax及び/又はT1/2に対応する異なる制御パラメータ値に対して決定された効果及び/又は血糖値を比較することによって、推定又は決定され得る。プロセス1300を使用して、制御パラメータは、対象512の実際のTmax及び/又はT1/2に、又は対象512の実際のTmax及び/又はT1/2の閾値内に反復的に接近し得る。あるいは、プロセス1300を使用して、制御パラメータ(時定数α及びαのうちの1又は複数など)は、対象512の実際のTmax及び/又はT1/2に対応する値に反復的に接
近し得る。
【0209】
ブロック1312では、グルコース値制御システム510は、第2の療法期間中に対象512に第2の療法を提供する。第2の療法は、更新された制御パラメータに少なくとも部分的に基づいており、当該パラメータは、ブロック1310で、第2の値に更新される。第1の療法と同様に、第2の療法は、1又は複数の薬剤投与量を指し得る。更に、第2の療法期間は、特定の時間、特定の数の薬剤投与量を送達するための時間、又は特定の数の薬剤投与量を指し得る。一部の場合では、ブロック1312は、ブロック1304に関して説明された実施形態のうちの1又は複数を含み得、第2の療法期間にわたって制御パラメータに第2の値を使用する。
【0210】
ブロック1314では、グルコース値制御システム510は、少なくとも部分的に第2の療法に対応する第2の効果を決定する。ブロック1314は、ブロック1306に関して記載されている実施形態のうちの1又は複数を含み得るが、第2の療法に関する。
【0211】
ブロック1316において、グルコース値制御システム510は、第1の効果と第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、第1の値又は第2の値のうちの1つを選択する。第1の効果と第2の効果との比較は、ユーザによる操作なしに自律的に実行され得る。グルコース値制御システム510は、第1の値又は第2の値のうちの1つを、第1の効果又は第2の効果が対象512の改善されたケア(例えば、より長い期間にわたって所望の設定値により近く、又は血糖値の変動がより低く、又は医療提供者が糖尿病管理の成功を評価するために使用し得る任意の他の要因)をもたらすかどうかに基づいて、制御パラメータの現在値又はアクティブ値となるように選択し得る。一部の場合では、グルコース値制御システム510は、制御パラメータの現在の値又はアクティブな値に対して第3の値を選択する。第3の値は、第1の効果と第2の効果との比較に基づいて選択することができる。例えば、第1の効果が第2の効果よりも好ましいと判定された場合、第3の値は、第2の値を取得するために第1の値に加えられた変更とは反対方向の第1の値への変更に基づいて選択されてもよい。例えば、第1の効果が第2の効果よりも好ましいと判定された先の例において、第1の値が60分のTmaxに対応し、第2の値がより長い期間(例えば、65分又は70分)のTmaxに対応するように選択された場合、第3の値は、より短い期間(例えば、50分又は55分)のTmaxに対応するように選択されてもよい。
【0212】
第1の効果と第2の効果とを比較することには、第1の値又は第2の値が対象512のグルコース値を目標設定値に近づけたか、かつ/又は対象512のグルコース値をより長期間目標範囲内に維持したかどうかを判定することが含まれ得る。一部の場合では、第1の効果と第2の効果とを比較することには、第1の値又は第2の値が対象512のより安定した血糖値又は対象512の血糖値のより低い変動をもたらしたかどうかを判定することが含まれ得る。一部の場合では、第1の効果と第2の効果とを比較することには、第1の値又は第2の値が、目標血糖範囲からの対象512の血糖値のより多くのエクスカーション及び/又はより大きなエクスカーションをもたらしたかどうかを判定することが含まれ得る。
【0213】
第1の効果と第2の効果との比較は、ハードウェアプロセッサ530又はグルコース値制御システム510の処理レートを考慮して、リアルタイムで又は実質的にリアルタイムで実行され得る。したがって、一部の場合では、第1の効果と第2の効果との比較は、第2の効果の決定時に実行され得る。
【0214】
一部の実施形態では、第1の効果と第2の効果の比較は、第1の効果と第2の効果との統計的比較又は統計的分析を含み得る。統計的比較には、少なくとも第1の効果と第2の
効果との回帰分析の実行が含まれ得る。一部の場合では、第1の効果と第2の効果との比較には、第2の療法が第1の療法と比較して統計的に有意な療法(例えば、血糖制御)の改善をもたらしたかどうかの判定が含まれ得る。統計的に有意な改善は、対象又は対象の状態によって異なり得る。この比較には、第1の療法期間と比較して第2の療法期間中にリスク因子(例えば、低血糖)の統計的に有意な増加があったかどうかの判定も含めることができる。
【0215】
一部の場合では、対象の512の血糖をより適切に管理する値が、ユーザ(例えば、対象又は親)に出力され得る。次に、ユーザは、選択された制御パラメータ値に基づいて、グルコース値制御システム510を構成することができる。あるいは、又は加えて、グルコース値制御システム510は、制御パラメータの値を自動的に修正することができる。一部の場合では、ユーザに修正を確認する機会が提供され得る。その他の場合、修正は確認なしに自動的に行われ得る。ただし、修正は、ユーザ(例えば、対象又は医療提供者)に提示され、かつ/又は療法ログに記録され得る。
【0216】
一部の場合では、比較は、グルコース値制御システム510と通信している別のコンピューティングシステムによって実行される。例えば、グルコース値制御システム510は、グルコース値信号又は血糖制御の効果を示すグルコース値信号から決定されたデータを、ローカルコンピューティングシステム、スマートフォン、又はクラウドベースのコンピューティングシステムなどの別のコンピューティングシステムに送信してもよい。更に、グルコース値制御システム510は、制御パラメータ値及び対象512への薬剤の投与に関連するデータをコンピューティングシステムに送信することができる。コンピューティングシステムは、対象512の血糖値をよりよく管理する制御パラメータの値を決定することができる。コンピューティングシステムは、選択された値でグルコース値制御システム510を構成することができる。あるいは、又は加えて、選択された値は、選択された値を用いてグルコース値制御システム510を構成し得るユーザに出力され得る。
【0217】
ブロック1318では、グルコース値制御システム510は、ブロック1316で選択された制御パラメータの選択された値に基づいて、対象512に療法を提供する。ブロック1318で提供される療法は、第1及び第2の療法期間の後のある時点である、第3の療法期間中に提供され得る。したがって、最初の2つの期間中、第1の値及び第2の値をそれぞれ制御パラメータに使用して、対象512のより良い結果又は改善されたケアをもたらす値を決定することができる。その後の期間中に、対象512のより良い結果をもたらした値を使用して、対象512の将来のケアを提供することができる。あるいは、第1の値でも第2の値でもない新しい値を使用して、対象512に対してより良好な又は改善されたレベルのケア(例えば、より長い期間にわたって所望の目標グルコース値により近い)を提供し得る制御パラメータの値を見出す試みにおいて、後続のケアを提供することができる。
【0218】
選択された値に基づいて対象512に療法を提供することには、アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に対象512に療法を提供するようにグルコース値制御システム510を構成することが含まれ得る。一部の場合では、アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて対象512に療法を提供するようにグルコース値制御システム510を構成することにより、プロセス1300を終了することができる。他の場合では、プロセス1300を繰り返すことができる。プロセス1300を繰り返すことには、ブロック1304に関連する操作を実行するとき、選択された値(例えば、プロセス1300の前の反復からの第1の又は第2の値)を第1の値として使用することが含まれ得る。ブロック1308で生成された第2の値は、プロセス1300の前の反復中に使用されなかった新しい値であり得る。
【0219】
プロセス1300は、第1の効果と第2の効果との間の差が閾値の差より小さくなるまで繰り返され得る。あるいは、又は加えて、プロセス1300は、コマンドに応答して、又は対象512の血糖が特定の時間中、特定の閾値を満たさないと判定したことに応答して、特定の回数の反復が周期的に繰り返され得る。
【0220】
説明したように、プロセス1300を使用して、インスリンの送達に影響を与える1又は複数の制御パラメータを修正することができる。しかしながら、プロセス1300は、それ自体に限定されず、拮抗調節剤(例えば、グルカゴン)などの他の薬剤の送達に影響を与える1又は複数の制御パラメータを修正するために使用され得る。一部の場合では、プロセス1300を使用して、送達を修正することなく、インスリン及び/又は拮抗調節剤の送達における変更を推奨することができる。これは、拮抗調節剤をサポートしない、又は拮抗調節剤の使用をサポートするが、利用可能な拮抗調節剤を有さない、非バイホルモングルコース値制御システム510における拮抗調節剤に関する推奨を生成するために有利であり得る。
【0221】
更に、プロセス1300を使用して複数の制御パラメータを修正する場合、少なくとも2つ以上の制御パラメータが互いに関連し得る。例えば、制御パラメータに時定数α及びαが含まれている場合、αとαとの間に関係性が存在し、αを修正するとαが修正されてもよい。例えば、αはαの1.5倍に等しくてもよい。
【0222】
ブロック1316でアクティブパラメータとして設定された制御パラメータの値(例えば、第1の値又は第2の値)は、特定の期間にわたって、又はプロセス1300が繰り返されるまで、対象512に療法を提供するために制御アルゴリズムによって使用され得る。前述したように、一部の場合では、プロセス1300は、周期的に、かつ/又は一定期間にわたる血糖値若しくは平均血糖値などのトリガ、又はグルコース値制御システム510の対象512への接続のための部位変化の指標に応答して繰り返され得る。
【0223】
例示的なケーススタディ
前述のように、インスリン吸収のピーク時間はTmaxと称され得る。インスリンの種類が異なれば、対象の血液への吸収のピークまでの時間が生じ得、又は対象ごとに異なる時間が生じ得る。例えば、1つの例示的なケーススタディにおいて、速効型インスリンであるヒューマログ及びノボログについての対象間の総Tmaxは、約65分であると決定され、一方、ノボログと活性成分を共有するが、ピーク吸収までの時間を減少させるための異なる処方を有する超速効型インスリであるフィアスプについての対象間の総Tmaxは、約40分のTmaxを有すると判定された。しかし、Tmaxに対応する制御パラメータが65分に設定された自動血糖値制御システム(グルコース値制御システム510など)を使用した場合、速効型インスリン又は超速効型インスリンを使用した場合、平均グルコース値又は低血糖の頻度に統計的な改善はなかった。
【0224】
ただし、自動血糖値制御システムの制御パラメータの値を調整して、異なるTmax設定を使用すると、あるケーススタディでは、超速効型インスリンであるフィアスプを使用したときにTmaxを下げると、平均グルコース値が低下することが示された。ケーススタディでは、それぞれ8人の3つのコホートを使用して、フィアスプを薬剤として使用した血糖制御システムを使用した場合のTmaxの修正の効果を試験した。第1のコホートは、1週間に65分のTmax、次いで1週間に50分のTmaxで構成された血糖値制御システムを使用した。第2のコホートは、第1の週について65分のTmaxを第2の週について40分のTmaxと比較した。第3のコホートは、1週間で65分のTmaxを1週間で30分のTmaxと比較した。各コホート内及びコホート間でのTmaxの変化の比較により、Tmaxが低下した場合に平均グルコース値が低下し、平均して低血糖の統計的に有意な増加又は減少がなかったことが実証された。
【0225】
しかし、Tmaxが生理的インスリン吸収より短い場合、血糖値制御システムは、ある期間内にインスリンの複数の投与量を重ねるか、又は投与し得るので、低血糖のリスクが増加する。これは、Tmaxが実際のピークインスリン吸収時間よりも低く設定されている場合、血糖値制御システムが低血糖濃度を最大血糖値濃度として誤って特定する可能性があるために生じ得る。
【0226】
自己回帰の使用と組み合わせてプロセス1300を使用して、種々のTmax設定の効果を比較することにより、対象及び/又は特定の種類のインスリンのTmax設定を最適化することができる。自己回帰は、対象の平均グルコース値を比較し、前の評価期間とは異なるTmax値を使用して、後の期間の平均グルコース値に有意差があるかどうかを判定することによって実行できる。Tmaxに使用される後続の値又はより新しい値が改善された効果をもたらす場合、Tmaxに対応する血糖値制御システム510の制御パラメータは、より新しい値に設定され得る。一定期間、Tmaxのデフォルト値又は過去の値において対象512のグルコース信号を収集した後、Tmaxの値は、初期のTmaxから有意な量だけ低下(例えば、10分の減少)し得る。自己回帰プロセスは、過去の時間に関連する対象からの血糖データを収集することを含み得る。システムは、Tmaxデータが大きい過去のデータセットとTmaxデータが小さい現在のデータセットの間でリアルタイム回帰分析を実行できる。血糖値制御システムのコントローラが、低血糖イベント又はリスクイベントの増加がほとんどないか、又は全くない対象の平均グルコース値に統計的に有意な改善(例えば、閾値を超える改善)があると判定した場合、システムは、より低いTmax値を好ましいTmaxとして採用又は推奨することができる。このプロセスは、Tmaxの更なる低減を用いて繰り返すことができる。一部の場合では、Tmaxの各低減は、前の低減よりも小さい可能性がある。更に、対象の平均グルコース値に改善がないと判定された場合、及び/又は低血糖又は低血糖のリスクイベントが増加した場合、システムは過去のTmaxを使用してもよく、又は新しいTmaxと過去のTmaxとの間のTmaxを選択してもよい。したがって、プロセス1300を使用して、システムは、Tmaxを反復的に修正して、対象及び/又は選択されたインスリンの種類に最適な値を見つけることができる。更に、自己回帰プロセスをリアルタイムで実行することにより、臨床試験中に発生する可能性のある遅延分析と比較して、対象の糖尿病の維持をより迅速かつ正確に改善することができる。対象の生理学的変化がリアルタイムで捕捉されない場合があるため、臨床試験の精度が低下する場合がある。
【0227】
一部の場合では、上記のリアルタイム自己回帰プロセスを使用して、医療機器の1又は複数のセンサによって取得された他の種類の生物医学データを分析できる。更に、自己回帰分析を使用して、対象に追加の推奨を行うことができる。例えば、特定のインスリンの実際のTmaxが対象の予想よりも高いと判定された場合、対象は特定の方法で食事を修正することが推奨されてもよい。
【0228】
更に、上述したように、自己回帰は、CGMから得ることができる対象のグルコース値測定に基づき得る。しかしながら、本開示はそれ自体に限定されない。一部の場合では、自動回帰は、スマートウォッチ(血圧、心拍数など)、体重センサ、又はその他の種類の生物医学センサから受信したデータなど、追加の生物医学データに対して実行され得る。プロセス1300を他のデータの自己回帰を実行するように適合させることにより、バイオメトリックデータの定量的に客観的な分析を実行することが可能であり、これは、医療提供者が対象をケアするために使用することができる。
【0229】
例示的なシミュレーション
本開示の実施形態と共に使用するために適合され得る自動グルコース値制御システム510の実施形態は、2015年8月6日に公開された国際公開第WO2015/1165
24号、2017年12月5日に発行された米国特許第9,833,570号、及び2010年10月5日に発行された米国特許第7,806,854号に記載されており、その各々の開示は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0230】
自動グルコース値制御システム510は、インスリンの利用率が有限であることから、インスリン投与量を自律的に投与し、インスリン投与量(「残存インスリン」)のオンライン蓄積を考慮することができる。インスリン投与量の活動の時間経過、ひいては蓄積は、事前設定された時定数を使用して数式2で表される双指数薬物動態(PK)モデルによってモデル化できる。PKモデルに関連して重要な臨床的重要性は、インスリン投与量(例えば、皮下投与)が血中の存在又は効果でピークに達するのに要する時間である。ピーク時間はTmaxと称される。事実上、PKモデルの時定数の設定は、モデルによって本質的に想定されるTmaxを設定するために使用され得、逆に、Tmaxを設定すると、PKモデルの時定数が設定され得る。時定数の値は、制御システムによるインスリンの蓄積のオンライン計算を決定するために使用され得るため、時定数の値は、結果として、所与のグルコースエクスカーションに対する制御システムのインスリン投与応答を制御し得る。そのため、Tmax(したがって時定数)を変動させることは、制御システムのインスリン投与量の(例えば、積極的又は保守的な)大きさをオンラインで制御する設定ノブと見なすことができる。
【0231】
特定の実施形態では、制御システムは、制御システムのPKモデルのTmax(したがって時定数)設定をオンラインで適合させる方法を実装する。本方法は、Tmaxの修正の推奨を生成するオンライン評価と計算を周期的に行う制御システムによって、又はTmaxをオンラインで自律的に調節する制御システムによって実行できる。いずれの場合も、計算は、一定の時間範囲又は一定期間にわたる制御システムの性能に基づき得る。自律的に発生するか、又は推奨として発行されるかにかかわらず、オンラインでのTmaxへの適合は、グルコース値、平均グルコース値、又は低グルコース値(低血糖)及び/若しくは高グルコース値(高血糖)発生の程度及び/若しくは持続時間における傾向を含む、ある時間間隔にわたる制御システムによるグルコース制御性能に基づき得る。あるいは、この計算は、拮抗調節剤の使用に基づき得、拮抗調節剤の他の意図される使用は、(例えば、インスリン専用システムにおいて、又は拮抗調節剤若しくはその送達チャネルが一時的に利用不可能である場合に)利用可能なものであった。本方法では、Tmaxが変動し得る範囲に上限及び/又は下限(静的又は動的)を課すことができる。所与の状況に対するTmaxの適合の程度は、例えば、制御システムによって投与されている特定のインスリンに応じて異なっていてもよい。
【0232】
説明した方法は、(入力グルコース信号を制御システムに提供し得る)連続グルコースモニタがオンラインであるかオフラインであるかにかかわらず等しく適用され得る。例えば、本明細書に開示される方法は、国際公開第WO2015/116524号に記載されているシステムに適用されてもよい。更に、説明した方法は、例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される、2017年2月16日に公開された国際公開第WO2017/027459号に記載されるシステムにおけるように、システムによって自動的に適合されるグルコース標的を有することなどであるが、これに限定されない、活性化されているか又は活性化されていないシステムの他の態様と共存することができる。
【0233】
前述したように、皮下投与されたインスリンの血液への吸収は、数式2の双指数PKモデルによって支配され得る。PKモデルにおける時定数の設定は、皮下投与された投与量中のインスリンの蓄積量の保留効果の測定値を設定することができ、それは、総面積(
【数12】
投与量Uによる経時的な総作用の測定値を記述し得る)と、Uの消費部分の測定値を表し得る
【数13】
との間の差であると解釈することができる。インスリン投与量の血液への吸収のピーク時間Tmaxは、数式3で与えることができる。したがって、Tmaxを設定すると、PKモデルの時定数を設定でき、これにより、所与のグルコースプロファイルに対する制御システムのオンラインインスリン投与応答の(例えば、積極的又は保守的な)大きさを直接制御できる。そのように限定されるわけではないが、簡単にするために、αとαとが関連しており、例えば、α=1.5αと仮定する。
【0234】
図14A図14Cは、Tmax設定、又はTmaxに対応する制御パラメータの値を増加又は減少させることが、所与のグルコースプロファイルに対するグルコース値制御システムの510オンラインインスリン投与応答に及ぼす可能性がある効果を示すシミュレーションを示している。
【0235】
図14Aは、Tmaxを65分に設定した対象の血糖制御のシミュレーションを示している。グラフ1402Aは、24時間にわたる対象の血糖値を示している。範囲1404は、対象の血糖値の所望の目標設定値範囲(例えば、70~120mg/dL)を示している。更に、範囲1406は、低血糖又は低血糖のリスクに関連する対象のグルコース値の範囲(例えば、60mg/dL未満)を示している。グラフ1410Bは、グラフ1402Aに示される血糖値に少なくとも部分的に基づいて、グラフ1402Aと同じ24時間の期間にわたる対象への薬剤(インスリン又はグルカゴン)の投与を示している。
【0236】
図14Bは、Tmaxを15分に設定した対象の血糖制御のシミュレーションを示している。グラフ1410Bはグラフ1410Aに対応しているが、Tmaxが65分ではなく15分に設定されている。グラフ1410Bを1410Aと比較することによって示されるように、Tmaxを15分に減らすことは、インスリン投与の増加をもたらし得る。
【0237】
図14Cは、Tmaxを130分に設定した対象の血糖制御のシミュレーションを示している。グラフと1410Cはグラフ1410Aに対応するが、Tmaxが65分ではなく130分に設定されている。グラフ1410Cを1410Aと比較することによって示されるように、Tmaxを130分に増加させることは、インスリン投与の減少をもたらし得る。インスリン(又は拮抗調節剤)の投薬の増加又は減少は、対象512のケアに影響を及ぼし得、対象が経験する症状(例えば、めまい、悪心など)が対象の糖尿病の維持に起因するかどうかに影響を及ぼし得る。
【0238】
図14A図14Cに示されているシミュレーションは、制御パラメータを修正する1つの非限定的な例を示している。一部の場合では、異なる投与量がその後異なるCGMエクスカーションにつながる可能性があり、それが次にインスリン-グルカゴン投与量を変動させる可能性がある。それにもかかわらず、これらのシミュレーションは、グルコース値制御システム510による投薬を決定する際の設定としてTmaxの能力を実証している。
【0239】
一部の実装形態では、Tmaxの値は、後退時間窓内の血糖制御に基づいて、オンラインで自動的に変動され得る。例えば、Tmaxは、数式
【数14】
を使用して記述できる。式中、
【数15】
はベースライン値であり、f(y,g)はグルコース信号y、及び/又は制御システム(送達されているかどうかに関係なく)によって計算された拮抗調節投与量gの血糖制御に基づく関数である。f(y,g)の評価は、時間範囲N(例えば、1週間)に及び得る。例えば、
【数16】
である。関数f(y,g)は、Tmax(k)を
【数17】
と比較して増加させ、yのNにわたる低血糖(重症度及び期間)の増加又は切迫性低血糖を引き起こす可能性があり、逆に、Nにわたるyの高血糖(重症度及び期間)の増加に対して、
【数18】
と比較してTmax(k)の減少を引き起こす可能性がある。更に、f(y,g)は、gがNにわたって増加又は減少するために、それぞれ
【数19】
と比較してTmax(k)の増加又は減少を引き起こす可能性がある。f(y,g)からTmax(k)への調整は、個別の時間に評価及び実行でき、これは、事前に指定された周期的な間隔(例えば、24時間に1回、3日に1回、週に1回など)であり得る。あるいは、又は加えて、一部のメトリックが閾値を満たしているか、又は現在の計算ウィンドウ内の特定の基準(例えば、1週間、1か月など)を満たしている場合、調整をオンラインで評価して実行できる。この基準には、yの低血糖が特定の閾値に到達又は超過した場合、又はgの拮抗調節投与のレベルが特定の閾値に到達又は超過した場合が含まれる。あるいは、又は加えて、現在の計算ウィンドウのグルコース信号y(例えば、平均値)に関連する何らかの評価が、先行する計算ウィンドウ(例えば、1週間前)内のその評価から統計的に有意な差を達成した後に調整が行われ得る。これらの説明された実装形態は、Tmax(k)がいつ調整されるか、及び/又はそれが調整される大きさに関して、オンラインで数学的に決定される動的インスタンスを有することを可能にする。
【0240】
例示的な実施形態
本開示の実施形態は、以下の条項を考慮して説明することができる。
条項1.少なくともインスリン療法を対象に送達するように構成された薬剤ポンプを使用して、前記対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
少なくともインスリン療法を前記対象に送達するように構成された前記薬剤ポンプのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記対象のグルコース値を受信することと、
前記グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定することであって、前記トリガイベントが、前記対象に低血糖の切迫性リスクが存在すること、又は前記対象に低血糖のエピソードが存在することを含む、判定することと、
拮抗調節剤の量を決定して、前記低血糖の切迫性リスク又は前記低血糖のエピソードに応答することと、
前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、糖質療法の投与量を決定することと、
複数の低血糖リスクイベント又は低血糖エピソードを含む期間にわたって、糖質療法の決定された投与量を追跡して、前記期間にわたる前記総糖質療法の指標を生成することと、
前記総糖質療法の指標を出力することと、
を含む、方法。
条項2.前記低血糖の切迫性リスク又は前記低血糖のエピソードに応答して、前記対象に前記拮抗調節剤の前記量を提供することを更に含む、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項3.閾値グルコース値を満たすか又はそれを下回る前記グルコース値に応答して、前記対象に前記拮抗調節剤の前記量を提供することを更に含む、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項4.前記閾値グルコース値が、低血糖イベントに対する前記対象のリスク許容度に基づいて設定される、条項3に記載のコンピュータ実装方法。
条項5.前記総糖質療法の指標が、前記対象によって消費される糖質の減少に対応する、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項6.前記総糖質療法の指標が、前記拮抗調節剤の利用可能性によって達成可能な糖質の減少に対応する、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項7.前記総糖質療法の指標が、糖質の代替物として前記対象に提供される拮抗調節剤の量に対応する、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項8.前記総糖質療法の指標が、糖質の範囲の指標を含む、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項9.前記糖質療法の投与量を決定することが、
前記拮抗調節剤と糖質との間のマッピングにアクセスすることと、
前記マッピング及び前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、前記糖質療法の投与量を決定することと、
を含む、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項10.前記マッピングが、前記糖質の種類に少なくとも部分的に基づいている、条項9に記載のコンピュータ実装方法。
条項11.前記マッピングが、前記拮抗調節剤と前記糖質との臨床比較に基づいて生成される、条項9に記載のコンピュータ実装方法。
条項12.前記マッピングが、前記対象の生理学的特性に少なくとも部分的に基づいている、条項9に記載のコンピュータ実装方法。
条項13.前記マッピングが、前記拮抗調節剤の種類に少なくとも部分的に基づいている、条項9に記載のコンピュータ実装方法。
条項14.前記マッピングが、前記拮抗調節剤を前記糖質に関連付ける数式を含む、条項9に記載のコンピュータ実装方法。
条項15.前記マッピングは、前記薬剤ポンプが前記対象に拮抗調節剤療法を送達するように構成されたバイホルモン性ポンプを含む場合の第1のマッピングを含み、前記マッピングは、前記薬剤ポンプが前記対象に前記拮抗調節剤療法を送達するように構成されて
いない場合の第2のマッピングを含む、条項9に記載のコンピュータ実装方法。
条項16.前記総糖質療法の指標が、カロリーの指標、糖質の指標、糖の測定値の指標、食物の量の指標、又は前記糖質療法に起因する前記対象の体重の指標のうちの1又は複数を含む、条項1に記載のコンピュータ実装方法。
条項17.対象においてある期間にわたる総糖質療法の指標を生成するように構成された自動血糖制御システムであって、前記自動血糖制御システムが、
前記対象に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースであって、前記薬剤が、少なくともインスリンを含む、薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記対象のグルコース値を受信することと、
前記グルコース値に少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖値を上昇させるためのトリガイベントが発生したと判定することであって、前記トリガイベントが、前記対象に低血糖の切迫性リスクが存在すること、又は前記対象に低血糖のエピソードが存在することを含む、判定することと、
拮抗調節剤の量を決定して、前記低血糖の切迫性リスク又は前記低血糖のエピソードに応答することと、
前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、糖質療法の投与量を決定することと、
複数の低血糖リスクイベント又は低血糖エピソードを含む期間にわたって、糖質療法の決定された投与量を追跡して、前記期間にわたる前記総糖質療法の指標を生成することと、
前記総糖質療法の指標を出力することと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む、自動血糖制御システム。
条項18.前記ハードウェアプロセッサは、前記グルコース値が前記トリガイベントに対応する閾値を満たさないことを示す、前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサから受信したグルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて、前記薬剤ポンプを動作させて前記対象における血糖値を制御するように構成された拮抗調節剤投薬信号の自動生成のための制御アルゴリズムを動作させるように更に構成されている、条項17に記載の自動血糖制御システム。
条項19.前記メモリが、前記拮抗調節剤と前記糖質との間のマッピングを記憶するように更に構成され、前記ハードウェアプロセッサが、
前記メモリから前記マッピングにアクセスすることと、
前記マッピング及び前記拮抗調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて、前記糖質療法の投与量を決定することと、
を行うように更に構成されている、条項17に記載の自動血糖制御システム。
条項20.前記マッピングが、前記拮抗調節剤を前記糖質に関連付けるアルゴリズムを含む、条項19に記載の自動血糖制御システム。
【0241】
本開示の追加の実施形態は、以下の条項を考慮して説明することができる。
条項21.自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成された自動血糖制御システムであって、前記自動血糖制御システムが、
前記対象に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、前記特定のコンピュータ実行
可能命令を実行して、少なくとも、
前記対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、
前記グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて前記対象の血糖を制御する目的で、前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、
前記自動血糖制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記対象に施されるインスリン療法を追跡することであって、前記インスリン療法を追跡することが、前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を、基礎インスリン、インスリンの補正ボーラス、又はインスリンの食事時ボーラスとして記憶することを含む、追跡することと、
前記追跡期間にわたって前記対象に施された前記インスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法の指示を含む、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成することと、
前記自動血糖制御システムが前記対象に療法を提供していないとき、ディスプレイ上に、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つを出力して、前記自動血糖制御システムによって決定されたレートで療法が維持されることを可能にすることと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む、自動血糖制御システム。
条項22.前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の前記指標を前記メモリに記憶するように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項23.前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記自動血糖制御システムとは別個の外部コンピューティングシステムとの通信チャネルを確立することと、
前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の前記指標を前記外部コンピューティングシステムに送信することと、
を行うように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項24.前記外部コンピューティングシステムが、データセンターのコンピューティングシステムであり、
前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、広域ネットワークを介して前記外部コンピューティングシステムと通信することができる無線機を制御するように更に構成されている、条項23に記載の自動血糖制御システム。
条項25.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって1日当たり前記対象に提供される平均総基礎インスリンに少なくとも部分的に基づいて長時間作用型インスリン単位の数を少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコルを生成するように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項26.前記追跡期間のうちの各日が、複数のサブ期間に分割され、前記ハードウェアプロセッサが、前記複数のサブ期間のうちの各サブ期間について1時間ごとの基礎レートを少なくとも決定することによって、前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項27.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって1日当たり前記対象に提供される平均補正ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項28.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間中に前記対象に補正ボーラス
として提供されるインスリンの単位に少なくとも部分的に起因する血糖の平均変化を少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項29.前記ハードウェアプロセッサが、1日当たり複数の食事時間のうちの各食事時間について、前記追跡期間にわたって前記対象に提供されるインスリンの平均食事時ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項30.前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記追跡期間にわたって前記対象に施される拮抗調節剤療法を追跡することであって、前記拮抗調節剤療法を追跡することが、前記グルコース値信号に応答して前記対象に送達される自律的に決定された拮抗調節剤の投与量の指標を記憶することを含む、追跡することと、
前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つにおいて、前記追跡期間にわたって前記対象に提供された総拮抗調節剤及び/又は毎日の拮抗調節剤の指標を含むことと、
を行うように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項31.前記制御アルゴリズムが、前記グルコース値信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能である制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖を制御する目的で前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように更に構成され、前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することであって、前記ユーザ修正を追跡することは、前記ユーザ修正の各々が、記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの増加又は減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正の各々が発生した時間とを療法ログに記憶することを含む、追跡することと、
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成することであって、前記レポートが、前記記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含み、前記レポートが、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つに含まれる、生成することと、
を行うように更に構成されている、条項21に記載の自動血糖制御システム。
条項32.自動血糖制御システムによって決定された、自律的に決定されたインスリンの投与量から導出されるインスリン療法の指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記自動血糖制御システムのハードウェアプロセッサによって、
前記対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、
前記グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいて前記対象の血糖を制御する目的で、前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、
前記自動血糖制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記対象に施されるインスリン療法を追跡することであって、前記インスリン療法を追跡することが、前記対象に送達される前記自律的に決定されたインスリンの投与量の指標を記憶することを含む、追跡することと、
前記追跡期間にわたって前記対象に施された前記インスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法の指示を含む、バックアップ注射療法プロトコル又はバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成することと、
前記自動血糖制御システムが前記対象に療法を提供していないとき、ディスプレイ上に
、前記バックアップ注射療法プロトコル又は前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つを出力して、前記自動血糖制御システムによって決定されたレートで療法が維持されることを可能にすることと、
を含む、方法。
条項33.前記自律的に決定されたインスリンの投与量が、基礎インスリン投与量、インスリンの補正ボーラス、又はインスリンの食事時ボーラスのうちの1又は複数を含む、条項32に記載のコンピュータ実装方法。
条項34.自動血糖制御システムであって、前記自動血糖制御システムのユーザによって行われた療法プロトコル修正のレポートを生成するように構成され、前記自動血糖制御がシステムが、
対象に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令、記憶された制御パラメータ値、及び療法ログを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサであって、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記対象におけるグルコース値を決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコース値信号を受信することと、
前記グルコース値信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能である制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、前記対象の血糖を制御する目的で前記対象に注入されるインスリンの投与量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、投与量制御信号を生成することと、
少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することであって、前記ユーザ修正を追跡することは、前記ユーザ修正の各々が、前記記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの増加又は減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正の各々が発生した時間とを前記療法ログに記憶することを含む、追跡することと、
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成することであって、前記レポートが、前記記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含む、生成することと、
を行うように構成されたハードウェアプロセッサと、
を含む、自動血糖制御システム。
条項35.前記レポートが、前記追跡期間にわたって前記記憶された制御パラメータ値よりも高い又は低いユーザ修正の割合を更に含む、条項34に記載の自動血糖制御システム。
条項36.前記レポートが、前記追跡期間にわたってインスリンの注入が中断される回数を更に含む、条項34に記載の自動血糖制御システム。
条項37.前記レポートが、前記追跡期間にわたって前記記憶された制御パラメータがユーザによって修正されない時間の割合を更に含む、条項34に記載の自動血糖制御システム。
条項38.前記追跡期間が、複数のサブ期間に分割され、前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間のうちの各サブ期間について前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するように更に構成され、前記レポートが、前記追跡期間の各サブ期間について前記記憶された制御パラメータ値からの増加及び減少の頻度の測定値を含む、条項34に記載の自動血糖制御システム。
条項39.前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が、前記制御パラメータの第1の値に関連付けられ、前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が、前記制御パラメータの第2の値に関連付けられ、前記ハードウェアプロセッサが、前記第1のサブ期間について前記制御パラメータの前記第1の値に対するユーザ修正を追跡し、前記第2のサブ期間について前記制御パラメータの前記第2の値に対するユーザ修正
を追跡するように更に構成されている、条項38に記載の自動血糖制御システム。
条項40.前記ハードウェアプロセッサが、前記制御パラメータに対する前記ユーザ修正に関連付けられたユーザ活動を追跡するように更に構成され、前記制御パラメータに対するユーザ修正の前記レポートが、前記制御パラメータに対するユーザ修正の間に生じるユーザ活動の識別情報を含む、条項34に記載の自動血糖制御システム。
【0242】
本開示の追加の実施形態は、以下の条項を考慮して説明することができる。
条項41.血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記血糖制御システムのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することと、
第1の療法期間中に前記血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることであって、前記第1の療法が、前記投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが、前記対象におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それにより、前記グルコース値信号によって示される前記対象における血糖エクスカーションに対する前記制御アルゴリズムのインスリン投与応答を制御する、送達させることと、
前記第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することであって、前記第1の効果を決定することが、前記グルコース値信号によって示される前記対象における血糖の血糖制御を分析することを含む、決定することと、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成することであって、前記自律的に生成された第2の値が、前記第1の値及び前記第1の効果に基づく関数として決定される、生成することと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に修正することと、
第2の療法期間中に前記血糖制御システムによって前記対象に第2の療法を送達させることであって、前記第2の療法が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記対象に提供される前記療法を修正する、送達させることと、
を含む、方法。
条項42.前記ハードウェアプロセッサによって、
前記第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値又は前記制御パラメータの前記第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することと、
前記アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に前記対象に療法を提供するように前記血糖制御システムを構成することであって、前記アクティブ制御パラメータ値の前記選択が、前記対象に提供される前記療法を修正する、構成することと、
を更に含む、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項43.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記制御アルゴリズムによる前記対象におけるインスリンの蓄積の計算において使用される少なくとも1つの時定数に関連している、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項44.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記対象におけるインスリン減少レートに対応する、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項45.前記第1の療法期間が、療法の複数のインスタンスの投与に対応する期間を含み、前記第1の療法が、前記療法の複数のインスタンスを含む、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項46.前記制御パラメータを前記第2の値に修正することが、前記第2の療法期間中に投与されるインスリンのタイミング又は投与量サイズのうちの1又は複数を修正する、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項47.前記制御パラメータの前記第1の値が、前記第1の療法期間より前の期間中に送達される療法、臨床値、又は前記対象の体格のうちの1又は複数に基づいている、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項48.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記対象の血漿中のインスリンがインスリン投与量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、条項41に記載のコンピュータ実装方法。
条項49.血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記血糖制御システムのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
第1の療法期間中に前記血糖制御システムによって対象に第1の療法を送達させることであって、前記第1の療法が、前記投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、送達させることと、
前記第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することであって、前記第1の効果を決定することが、前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含む、決定することと、
前記制御パラメータのベースライン値及び前記対象の血糖制御に基づいて定義された関数の出力に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成することであって、前記グルコース値信号が、前記第1の療法期間中の前記対象の前記血糖制御の指標を含む、生成することと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に修正することと、
第2の療法期間中に前記血糖制御システムによって前記対象に第2の療法を送達させることであって、前記第2の療法が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記対象に提供される前記療法を修正する、送達させることと、
を含む、方法。
条項50.前記ハードウェアプロセッサによって、
前記第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値又は前記制御パラメータの前記第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することと、
前記アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に前記対象に療法を提供するように前記血糖制御システムを構成することであって、前記アクティブ制御パラメータ値の前記選択が、前記対象に提供される前記療法を修正する、構成することと、
を更に含む、条項49に記載のコンピュータ実装方法。
条項51.前記第1の療法が、前記第1の療法期間にわたって施される療法の複数のインスタンスを含む、条項49に記載のコンピュータ実装方法。
条項52.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記対象の血液中のインスリンがインスリン投与量の投与に起因する特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、条項49に記載のコンピュータ実装方法。
条項53.血糖制御システムを使用して対象に提供される療法を修正するコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
前記血糖制御システムのための投与量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
第1の療法期間中に前記血糖制御システムによって第1の療法を対象に送達させること
であって、前記第1の療法が、前記投与量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、送達させることと、
前記第1の療法に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することであって、前記第1の効果を決定することが、前記対象に動作可能に接続されたグルコース値センサからグルコース値信号を受信することを含む、決定することと、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成することであって、前記自律的に生成された第2の値が、ベースライン値に少なくとも部分的に基づく関数として決定される、生成することと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に修正することと、
第2の療法期間中に前記血糖制御システムによって前記対象に第2の療法を送達させることであって、前記第2の療法が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記対象に提供される前記療法を修正する、送達させることと、
前記第2の療法に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定することと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較をヒトの行動なしに自律的に行うことと、
前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値又は前記制御パラメータの前記第2の値のうちの1つをアクティブ制御パラメータ値として選択することと、
前記アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の療法期間中に前記対象に療法を提供するように前記血糖制御システムを構成することであって、前記アクティブ制御パラメータ値の前記選択が、前記対象に提供される前記療法を修正する、構成することと、
を含む、方法。
条項54.前記制御パラメータの前記第2の値が、前記グルコース値信号によって示される血糖制御に少なくとも部分的に基づいている、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
条項55.前記ベースライン値が、前記制御パラメータの前記第1の値を含む、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
条項56.前記制御パラメータの前記第1の値が、前記ベースライン値に少なくとも部分的に基づいて決定される、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
条項57.前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行することを更に含み、前記比較が、前記第2の効果の決定に応答して実質的にリアルタイムで実行される、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
条項58.前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行することを更に含み、前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較が、前記第1の効果と前記第2の効果との統計的比較を実行することを含む、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
条項59.前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行することを更に含み、前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較が、少なくとも前記第1の効果及び前記第2の効果の回帰分析を実行することを含む、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
条項60.前記制御パラメータの前記第2の値は、皮下投与されたインスリンが前記対象の血液中に吸収される時間と血糖制御機能との間の回帰分析の実行に基づいて選択することができ、前記血糖制御機能が、前記グルコース値信号に少なくとも部分的に基づいている、条項53に記載のコンピュータ実装方法。
【0243】
用語
本明細書に記載の特定の実施形態による、必ずしも全ての目的又は利点が達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、特定の実施形態が、本明細書で教示又は示唆され得る他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点又は利点の群を達成又は最適化する方法で動作するように構成
され得ることを認識するであろう。
【0244】
本明細書で説明される全てのプロセスは、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサを含むコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコードモジュールで具現化され、それを介して完全に自動化され得る。コードモジュールは、任意の種類の非一時的なコンピュータ可読媒体又は他のコンピュータ記憶装置に記憶することができる。一部又は全ての方法は、専用のコンピュータハードウェアで具現化することができる。更に、コンピューティングシステムは、自動血糖システム、携帯型薬剤システム、又は携帯型医療機器を含み、その一部として実装され、又はそれらと通信することができる。
【0245】
本明細書に記載されているもの以外の多くの変形が、本開示から明らかになるであろう。例えば、実施形態に応じて、本明細書に記載されるアルゴリズムのいずれかの特定の動作、イベント、又は機能は、異なる順序で実行されてもよく、追加されてもよく、統合されてもよく、又は完全に除外されてもよい(例えば、記載される動作又はイベントの全てがアルゴリズムの実施に必要なわけではない)。更に、特定の実施形態では、動作又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、複数のプロセッサ又はプロセッサコアを介して、又は他の並列アーキテクチャ上で、順次ではなく同時に実行することができる。更に、種々のタスク又はプロセスを、一緒に機能し得る異なるマシン及び/又はコンピューティングシステムによって実行できる。
【0246】
本明細書で開示される実施形態に関して説明する種々の例示的な論理ブロック及びモジュールは、処理ユニット若しくはプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又は本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせなどの機械によって実装又は実行され得る。プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシン、それらの組み合わせなどであり得る。プロセッサは、コンピュータで実行可能な命令を処理するように構成された電気回路を含み得る。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行するFPGA又は他のプログラム可能なデバイスを含む。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1又は複数のマイクロプロセッサ、又は任意の他のかかる構成として実装され得る。本明細書では主にデジタル技術に関して説明されているが、プロセッサはまた、主にアナログ部品を含み得る。コンピューティング環境は、限定はしないが、幾つか例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又はアプライアンス内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含む、任意の種類のコンピュータシステムを含み得る。
【0247】
特に別段の指定がない限り、とりわけ「can」、「could」、「might」、又は「may」などの条件付き言語は、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は工程を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えるために一般に使用される文脈内で理解される。したがって、かかる条件付き言語は、一般に、特徴、要素、及び/又は工程が何らかの形で1又は複数の実施形態に必要とされること、あるいは1又は複数の実施形態が、ユーザ入力又はプロンプトを用いて又は用いずに、これらの特徴、要素、及び/又は工程が任意の特定の実施形態に含まれるか又は実行されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを暗示することを意図するものではない。
【0248】
「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ」という句などの選言的言語は、別段に具体
的に述べられていない限り、項目、用語などがX、Y、若しくはZ、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、及び/又はZ)のいずれかであり得ることを提示するために一般に使用される文脈で理解される。したがって、かかる選言的言語は、概して、特定の実施形態がそれぞれ存在するためにXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、又はZの少なくとも1つを必要とすることを意味することを意図せず、また意味するべきではない。
【0249】
本明細書で説明される及び/又は添付の図面に示されるフロー図における任意のプロセス説明、要素又はブロックは、プロセスにおいて特定の論理機能又は要素を実装するための1又は複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を潜在的に表すものとして理解されるべきである。当業者によって理解されるように、関与する機能に応じて、実質的に同時又は逆の順序を含む、要素又は機能が削除され、示された順序とは異なる順序で実行され、又は議論され得る代替実装形態が、本明細書で説明される実施形態の範囲内に含まれる。
【0250】
別段明記しない限り、「a」又は「an」などの冠詞は、一般に、1又は複数の記載された項目を含むと解釈されるべきである。したがって、「ように構成された装置(a device configured to)」などの句は、1又は複数の列挙された装置を含むものとする。かかる1又は複数の列挙されたデバイスはまた、述べられた列挙を実行するように集合的に構成され得る。例えば、「列挙A、B、及びCを実行するように構成されたプロセッサ」は、列挙B及びCを実行するように構成された第2のプロセッサと共に動作する、列挙Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含んでもよい。
【0251】
上述の実施形態に対して多くの変形及び修正を行うことができ、その要素は他の許容可能な例の中にあるものとして理解されるべきであることが強調されるべきである。かかる全ての修正及び変形は、本開示の範囲内に本明細書に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって付与された契約番号DK120234の下で米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
任意の優先出願への参照による援用
本出願は、2020年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987,842号、2020年6月10日に出願された同第63/037,472号、2019年7月16日に出願された同第62/874,928号、2019年7月16日に出願された同第62/874,934号、2019年7月16日に出願された同第62/874,950号、2019年7月16日に出願された同第62/874,954号、2019年7月16日に出願された同第62/874,959号、2019年7月16日に出願された同第62/874,964号、2019年7月16日に出願された同第62/874,968号、2019年7月16日に出願された同第62/874,972号、2019年7月16日に出願された同第62/874,975号、2019年7月16日に出願された同第62/874,977号、2019年10月4日に出願された同第62/910,970号、2019年10月4日に出願された同第62/911,017号、及び2019年10月4日に出願された同第62/911,143号の利益を主張する。更に、本出願は、2020年7月15日に出願された国際特許出願第PCT/US2020/042198号及び2020年7月15日に出願された国際特許出願第PCT/US2020/042195号の優先権の利益を主張する。本段落で参照される各出願の全内容は、参照により本明細書に援用され、本明細書の一部をなす。本出願と共に出願された出願データシートにおいて外国又は国内の優先権主張が特定される任意の及び全ての出願は、37CFR1.57の下で参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】