IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベータ バイオニクス,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】血糖制御システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/40 20180101AFI20220915BHJP
【FI】
G16H40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022502592
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020042195
(87)【国際公開番号】W WO2021011697
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/874,934
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,950
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/874,968
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/910,970
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,017
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,143
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/987,842
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/037,472
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519243732
【氏名又は名称】ベータ バイオニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーノ,エドワード,アール.
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハティブ,フィラース,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ロシンコ,マイケル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジャスティン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リム,デビッド チ-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ノーデル,ブライアン デール
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヒマーンシュ
(72)【発明者】
【氏名】コスティック,ジョン,アール.
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
血糖制御システムおよび血糖制御などの治療を被験者に提供する携帯型医療機器が開示される。開示されるシステムおよび機器は、治療の送達の中断を回避するソフトウェア更新技術、ジェスチャに基づく治療送達の制御、ユーザが開始した休止後の治療の自動再開、改良されたアラーム管理、自律的に計算された投与推奨の表示、広域ネットワーク接続性、およびセキュリティ機能など、ユーザ体験を改善する1つまたは複数の機能を実装することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションを更新するコンピュータ実装方法であって、
携帯型医療機器のハードウェアプロセッサによって、
前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションへの更新を含むアプリケーション更新が利用可能であるという指標を受信することと、
前記アプリケーション更新をホストするように構成されたホストコンピューティングシステムへの通信接続を確立することと、
前記ホストコンピューティングシステムから前記アプリケーション更新をダウンロードすることと、
前記アプリケーション更新のダウンロードされたコピーが完全であることを確認することと、
前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーが破損していないことを確認することと、
前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーを前記携帯型医療機器にインストールするインストールプロセスのインストール時間を判定することと、
前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーをインストールするトリガを受信することと、
前記トリガに応答して、前記携帯型医療機器によって被験者に治療を送達することに関連付けられた次の治療送達時間を判定することと、
前記インストールプロセスが前記次の治療送達時間前に完了すると判定することと、
前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される治療を中断することなく、前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーの前記インストールプロセスを開始することと、
を含む、方法。
【請求項2】
携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションを更新するコンピュータ実装方法であって、
携帯型医療機器のハードウェアプロセッサによって、
前記携帯型医療機器で実行される第1のアプリケーションへの更新を含むアプリケーション更新が利用可能であるという指標を受信することと、
前記アプリケーション更新をホストするように構成されたホストコンピューティングシステムへの通信接続を確立することと、
前記アプリケーション更新を含む前記第1のアプリケーションのバージョンである、第2のアプリケーションを前記ホストコンピューティングシステムからダウンロードすることと、
前記携帯型医療機器での前記第1のアプリケーションの実行を維持しながら、前記第2のアプリケーションをインストールすることと、
前記携帯型医療機器で前記第2のアプリケーションのインストールの成功を確認することと、
前記第1のアプリケーションの代わりに前記第2のアプリケーションを実行するトリガを受信することと、
前記トリガに応答して、前記携帯型医療機器によって被験者に治療を送達することに関連付けられた次の治療送達時間を判定することと、
前記次の治療送達時間までの時間量が閾値期間を満たしたと判定したことに応答して、前記第2のアプリケーションの実行を開始し、かつ前記第1のアプリケーションの実行を停止することと、
を含む、方法。
【請求項3】
前記次の治療送達時間は、予定された治療送達に基づいて判定される、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記次の治療送達時間は、前記被験者の医学的状態に基づいて判定される、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションを更新するコンピュータ実装方法であって、
携帯型医療機器のハードウェアプロセッサによって、
前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションへの更新を含むアプリケーション更新が利用可能であるという指標を受信すること、
前記アプリケーション更新をホストするように構成されたホストコンピューティングシステムへの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することであって、前記直接的なエンドツーエンドデータ接続は、無線広域ネットワークを介して確立される、確立することと、
前記直接的なエンドツーエンドデータ接続経由で前記ホストコンピューティングシステムから前記アプリケーション更新をダウンロードすることと、
前記アプリケーション更新のダウンロードされたコピーが完全であることを確認することと、
前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーが破損していないことを確認することと、
前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーをインストールするトリガを受信することと、
前記トリガに応答して、前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される治療を中断することなく、前記アプリケーション更新の前記ダウンロードされたコピーのインストールプロセスを開始することと、
を含む、方法。
【請求項6】
アプリケーション更新が利用可能であるという前記指標は、遠隔電子機器に接続するように構成された電子通信インターフェースを介して受信される、請求項1、2、または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
アプリケーション更新が利用可能であるという前記指標は、前記携帯型医療機器がネットワークへの接続を確立したときに受信される、請求項1、2、または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
アプリケーション更新が利用可能であるという前記指標は、更新要求に応答して受信される、請求項1、2、または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記アプリケーション更新は、前記アプリケーションの新しいバージョンである、請求項1、2、または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記アプリケーション更新は、置換アプリケーションである、請求項1、2、または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記アプリケーション更新は、前記アプリケーションへのパッチである、請求項1、2、または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記ホストコンピューティングシステムへの前記通信接続は、広域ネットワーク(WAN)経由の直接的なエンドツーエンド無線接続である、請求項1、2、または5に記載の
コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記ダウンロードされたアプリケーション更新のサイズは、前記ダウンロードされたアプリケーション更新が破損していないことを確認するために使用される、請求項1または5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
携帯型医療機器で実行されるアプリケーションのアプリケーション障害の発生中に前記携帯型医療機器によって提供される治療を維持するコンピュータ実装方法であって、
携帯型医療機器のハードウェアプロセッサによって、
前記携帯型医療機器で実行される第1のアプリケーションに関連付けられたアプリケーション障害を検出することであって、前記第1のアプリケーションは、前記携帯型医療機器によって提供される治療を制御するように構成される、検出することと、
前記アプリケーション障害を検出したことに応答して、
前記携帯型医療機器で第2のアプリケーションの実行を開始することであって、前記第2のアプリケーションは、前記携帯型医療機器によって提供される治療を制御するように構成され、前記第2のアプリケーションは、前記第1のアプリケーションのより古いバージョンを含む、開始することと、
前記第1のアプリケーションから前記第2のアプリケーションに前記携帯型医療機器の制御を切り替えることと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記携帯型医療機器の製造者または保守サービスのコンピューティング機器に前記アプリケーション障害の指標を送信することをさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記アプリケーション障害の発生をユーザに警告することをさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
第3のアプリケーションが利用可能であるという指標を受信することであって、前記第3のアプリケーションは、前記携帯型医療機器によって提供される治療を制御するように構成される、受信することと、
第3の更新をホストするように構成されたホストコンピューティングシステムへの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することであって、前記直接的なエンドツーエンドデータ接続は、無線広域ネットワークを介して確立される、確立することと、
前記直接的なエンドツーエンドデータ接続経由で前記ホストコンピューティングシステムから前記第3のアプリケーションをダウンロードすることと、
前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される治療を中断することなく、前記第3のアプリケーションのダウンロードされたコピーのインストールプロセスを開始することと、
前記第2のアプリケーションから前記第3のアプリケーションに前記携帯型医療機器の制御を切り替えることと、
をさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記第3のアプリケーションは、前記アプリケーション障害に対処する前記第1のアプリケーションへの更新を含む、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションを更新するコンピュータ実装方法であって、
携帯型医療機器のハードウェアプロセッサによって、
前記携帯型医療機器で実行される第1のアプリケーションへの更新を含むアプリケーシ
ョン更新が利用可能であるという指標を受信することと、
前記アプリケーション更新を含む第2のアプリケーションをホストするように構成されたホストコンピューティングシステムへの通信接続を確立することと、
前記ホストコンピューティングシステムから前記第2のアプリケーションをダウンロードすることと、
前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される治療を中断することなく、前記第2のアプリケーションのダウンロードされたコピーのインストールプロセスを開始することと、
前記第2のアプリケーションを実行することと、
動作条件の最小セットが満たされることを判定することであって、前記動作条件の最小セットは、前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される治療の維持に関する、判定することと、
前記動作条件の最小セットが満たされたと判定したことに応答して、前記第1のアプリケーションから前記第2のアプリケーションに前記携帯型医療機器の制御を切り替えることと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記動作条件の最小セットが満たされたと判定することは、前記携帯型医療機器が現在薬剤を投与していないと判定することを含む、請求項19に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションを更新するコンピュータ実装方法であって、
携帯型医療機器のハードウェアプロセッサによって、
前記携帯型医療機器で実行されるアプリケーションへの更新を含むアプリケーション更新が利用可能であるという指標を受信することであって、前記アプリケーションは、第1の特徴セットを含む第1のアプリケーションバージョンまたは第2の特徴セットを含む第2のアプリケーションバージョンのうちの1つを含む、受信することと、
前記アプリケーション更新をホストするように構成されたホストコンピューティングシステムへの通信接続を確立することと、
前記ホストコンピューティングシステムから、前記アプリケーション更新に対応するアプリケーション更新イメージをダウンロードすることであって、前記アプリケーション更新イメージは、前記第1のアプリケーションバージョンに対応する第1のアプリケーション更新イメージまたは前記第2のアプリケーションバージョンに対応する第2のアプリケーション更新イメージのうちの1つである、ダウンロードすることと、
前記アプリケーション更新イメージが正常にダウンロードされたことを確認することと、
前記アプリケーション更新イメージが正常にダウンロードされたことを確認することに少なくとも部分的に応答して、前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される治療を中断することなく、前記アプリケーション更新イメージをインストールするインストールプロセスを開始することと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記アプリケーション更新が利用可能であるという前記指標は、前記アプリケーション更新が前記第1のアプリケーションバージョンまたは前記第2のアプリケーションバージョンに対応するかどうかのインジケータを含む、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記第1の特徴セットは、前記第2の特徴セットのサブセットを含む、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記第1の特徴セットは、前記第2の特徴セットと部分的に重複する特徴セットを含む、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
前記アプリケーションのアプリケーションバージョンを判定することと、
前記アプリケーションの前記アプリケーションバージョンに少なくとも部分的に基づいて、前記アプリケーション更新イメージをダウンロードすることと、
をさらに含む、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記アプリケーション更新イメージが正常にダウンロードされたことを確認することは、前記アプリケーション更新イメージが破損していないと判定することを含む、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記第1のアプリケーション更新イメージは、グルカゴン用量制御信号を生成するための命令を含み、前記第2のアプリケーション更新イメージは、グルカゴン用量制御信号を生成するための命令がない、請求項21に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
携帯型機器のデータアクセスを管理するコンピュータ実装方法であって、
ネットワーク化されたコンピューティング環境のコンピューティングシステムによって、
無線広域ネットワークを介して携帯型医療機器への直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することと、
前記携帯型医療機器から公開鍵を受信することであって、前記公開鍵、および前記コンピューティングシステムに記憶された秘密鍵は、前記コンピューティングシステムが前記携帯型医療機器によって送信されたデータ通信を復号することを可能にする、受信することと、
前記携帯型医療機器から、前記無線広域ネットワークを介して前記直接的なエンドツーエンドデータ接続経由で前記コンピューティングシステムに、前記携帯型医療機器に記憶されたデータを転送する要求を受信することと、
前記携帯型医療機器に記憶されたデータを前記コンピューティングシステムに転送する前記要求を受信したことに応答して、
前記直接的なエンドツーエンドデータ接続を介して、前記携帯型医療機器から暗号化されたデータを受信することと、
前記暗号化されたデータを復号して、前記携帯型医療機器によって被験者に送達される治療に関する治療データを取得することと、
前記治療データに少なくとも部分的に基づいて、特定の期間にわたって前記携帯型医療機器によって送達された前記治療に関する時系列治療データを含む、治療レポートを生成することと、
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境とは別個の表示システムから前記治療レポートにアクセスする要求を受信することであって、前記要求は、前記要求を生成したユーザに関連付けられたアカウント識別子を含む、受信することと、
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境で前記被験者によって変更された許可に基づいて、前記アカウント識別子に関連付けられたアカウントが前記治療レポートを閲覧することを許可されるかどうかを判定することと、
前記アカウントが前記治療レポートを閲覧することを許可されると判定したことに応答して、暗号化された通信チャネル経由で前記表示システムに前記治療レポートを送信することと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記要求は、前記携帯型医療機器に関連付けられた機器識別子を含み、前記機器識別子
は、前記携帯型医療機器に固有の一意の識別子である、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
前記機器識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記携帯型医療機器が前記コンピューティングシステムにデータを転送することを許可されるかどうかを判定することをさらに含む、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項31】
前記機器識別子は、前記携帯型医療機器を前記被験者に提供する前に、前記ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供される、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項32】
前記機器識別子は、前記携帯型医療機器を製造するための製造プロセスの一部として、前記ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供される、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項33】
前記機器識別子は、インターネットプロトコル(IP)アドレスを含む、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項34】
前記機器識別子は、メディアアクセス制御(MAC)アドレスを含む、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項35】
前記機器識別子は、シリアル番号を含む、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項36】
前記機器識別子は、被験者識別子を含む、請求項29に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項37】
前記直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することは、
前記携帯型医療機器に関連付けられた機器識別子を受信することであって、前記機器識別子は、前記携帯型医療機器に固有の一意の識別子である、受信することと、
前記機器識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記携帯型医療機器が前記コンピューティングシステムと通信することを許可されると判定することと、
を含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項38】
前記機器識別子は、前記携帯型医療機器を前記被験者に提供する前に、前記ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供される、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項39】
前記機器識別子は、前記携帯型医療機器を製造するための製造プロセスの一部として、前記ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供される、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項40】
前記機器識別子は、インターネットプロトコル(IP)アドレスを含む、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項41】
前記機器識別子は、メディアアクセス制御(MAC)アドレスを含む、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項42】
前記機器識別子は、シリアル番号を含む、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項43】
前記機器識別子は、被験者識別子を含む、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項44】
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境のストレージにおいて前記治療データを前記アカウント識別子に関連付けることをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項45】
前記公開鍵および前記秘密鍵に少なくとも部分的に基づいて共有秘密を生成することをさらに含み、前記暗号化されたデータを復号することは、前記共有秘密を使用して前記暗号化されたデータを復号することを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項46】
前記コンピューティングシステムのストレージに前記治療データを記憶することをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項47】
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境のストレージに前記治療データを記憶することをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項48】
前記コンピューティングシステムは、前記ネットワーク化されたコンピューティング環境の少なくともいくつかのコンピューティングシステムをホストするデータセンタに配置される、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項49】
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境は、クラウドコンピューティング環境を含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項50】
前記携帯型医療機器は、薬剤ポンプを備える、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項51】
前記薬剤ポンプは、インスリンポンプを含む、請求項50に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項52】
前記携帯型医療機器は、ペースメーカを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項53】
前記携帯型医療機器は、トランシーバを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項54】
前記トランシーバは、低電力広域ネットワーク(LPWAN)通信規格を使用する通信をサポートする、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項55】
前記トランシーバは、前記無線広域ネットワークとの狭帯域ロングタームエボリューション(NB-LTE)、狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)、またはロングタームエボリューションマシンタイプ通信(LTE-MTC)の通信接続を介した通信をサポートする、請求項53に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項56】
前記治療データは、前記携帯型医療機器によって前記被験者に提供される薬剤の1つまたは複数の用量に対応する用量データを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項57】
前記治療データは、前記携帯型医療機器によって判定された前記被験者の医学的または生理学的状態に対応する被験者データを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項58】
前記暗号化されたデータは、前記携帯型医療機器の動作に対応する動作データをさらに
含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項59】
前記暗号化されたデータは、前記携帯型医療機器の動作におけるエラーに対応するエラーデータをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項60】
前記直接的なエンドツーエンドデータ接続は、中継コンピューティング機器と通信することなく、前記携帯型医療機器との通信を可能にする、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項61】
前記アカウント識別子は、前記被験者に関連付けられた一意の識別子を含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項62】
前記アカウント識別子は、前記治療レポートにアクセスすることを許可されるユーザに関連付けられた一意の識別子を含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項63】
追加の暗号化されたデータが、前記携帯型医療機器から断続的に受信される、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項64】
追加の暗号化されたデータが、定期的な予定で前記携帯型医療機器から受信される、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項65】
追加の暗号化されたデータが、少なくとも一定期間にわたって連続的に前記携帯型医療機器から受信される、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項66】
前記表示システムは、医療提供者のコンピューティングシステムを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項67】
前記表示システムは、前記被験者の保護者のコンピューティングシステムを含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項68】
前記治療データがアラート閾値を満たすと判定することをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項69】
前記治療データが前記アラート閾値を満たしたことに応答してアラートを生成することをさらに含む、請求項68に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項70】
医療従事者のユーザ機器に前記アラートを出力することをさらに含む、請求項69に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項71】
前記携帯型医療機器に前記アラートを出力することをさらに含む、請求項69に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項72】
緊急サービス提供者のユーザ機器に前記アラートを出力することをさらに含む、請求項69に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項73】
前記被験者のユーザ機器に前記アラートを出力することをさらに含む、請求項69に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項74】
前記被験者に関連付けられた許可されたユーザのユーザ機器に前記アラートを出力することをさらに含む、請求項69に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項75】
ネットワーク化されたコンピューティング環境内に含まれるコンピューティングシステムであって、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
無線広域ネットワークを介して携帯型医療機器への直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立し、
前記携帯型医療機器から公開鍵を受信し、前記公開鍵、および前記コンピューティングシステムに記憶された秘密鍵は、前記コンピューティングシステムが前記携帯型医療機器によって送信されたデータ通信を復号することを可能にし、
前記携帯型医療機器から、前記無線広域ネットワークを介して前記直接的なエンドツーエンドデータ接続経由で、前記携帯型医療機器に記憶されたデータを前記コンピューティングシステムに転送する要求を受信するように構成され、
前記携帯型医療機器に記憶されたデータを前記コンピューティングシステムに転送する前記要求を受信したことに応答して、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記直接的なエンドツーエンドデータ接続を介して、前記携帯型医療機器から暗号化されたデータを受信し、
前記暗号化されたデータを復号して、前記携帯型医療機器によって被験者に送達された治療に関する治療データを取得し、
前記治療データに少なくとも部分的に基づいて、特定の期間にわたって前記携帯型医療機器によって送達された前記治療に関する時系列治療データを含む、治療レポートを生成し、
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境とは別個の表示システムから前記治療レポートにアクセスする要求を受信し、前記要求は、前記要求を生成したユーザに関連付けられたアカウント識別子を含み、
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境で前記被験者により変更された許可に基づいて、前記アカウント識別子に関連付けられたアカウントが前記治療レポートを閲覧することを許可されるかどうかを判定し、
前記アカウントが前記治療レポートを閲覧することを許可されると判定したことに応答して、暗号化された通信チャネル経由で前記表示システムに前記治療レポートを送信するようにさらに構成される、
コンピューティングシステム。
【請求項76】
被験者に治療を提供し、前記治療に関する治療データをネットワーク化されたコンピューティング環境と共有するように構成された携帯型医療機器であって、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記携帯型医療機器のメモリに記憶される、1つまたは複数の許可されたコンピューティングシステムのホワイトリストに基づいてネットワーク化されたコンピューティング環境のコンピューティングシステムを識別し、
前記ホワイトリストから前記コンピューティングシステムのアドレスを取得し、
前記アドレスを使用して無線広域ネットワークを介して前記ネットワーク化されたコンピューティング環境の前記コンピューティングシステムへの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立し、
前記ネットワーク化されたコンピューティング環境の前記コンピューティングシステムから公開鍵を受信し、前記公開鍵、および前記携帯型医療機器に記憶された秘密鍵は、前記携帯型医療機器が前記携帯型医療機器によって前記コンピューティングシステムに送信
されたデータ通信を暗号化することを可能にし、
前記携帯型医療機器によって前記被験者に送達された治療に関する治療データを暗号化して、暗号化された治療データを取得し、
前記直接的なエンドツーエンド接続経由で前記コンピューティングシステムに前記暗号化された治療データを送信するように構成される、
携帯型医療機器。
【請求項77】
被験者に薬剤を送達するための用量制御信号を生成するように構成された携帯型薬剤機器であって、
前記携帯型薬剤機器の状態に関する機器情報または前記被験者の状態に関する被験者情報のうちの少なくとも1つを含む、ステータス情報を受信するように構成された監視システムインターフェースと、
前記用量制御信号を受信したことに応答して、前記被験者に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
タッチスクリーン上にユーザインターフェース画面を生成するように構成された表示信号を出力し、前記タッチスクリーンとのユーザ対話に対応するユーザ入力信号を受信するように構成されたタッチスクリーンコントローラと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記監視システムインターフェースを介して前記ステータス情報を受信し、
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器または前記被験者のアラーム状態を満たすと判定し、
前記携帯型薬剤機器がスリープ状態にあるときにウェイクインターフェース要素とのウェイク対話に応答して、前記携帯型薬剤機器が前記スリープ状態にあるときに前記タッチスクリーンコントローラがユーザ入力信号を受信せず、
タッチスクリーンロック画面インターフェースの表示を生成し、
前記タッチスクリーンロック画面インターフェースに、前記アラーム状態に対応する1つまたは複数のアラームステータスインジケータを表示するように構成される、
携帯型薬剤機器。
【請求項78】
前記タッチスクリーンロック画面インターフェースとのロック解除ジェスチャ対話に応答して、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、
前記携帯型薬剤機器の治療制御要素へのアクセスを可能にし、前記治療制御要素は、用量制御信号を生成するための制御アルゴリズムで使用される制御パラメータをユーザが変更することを可能にし、
前記治療制御要素への変更の指標を受信し、
前記指標を受信したことに応答して、
前記指標に基づいて前記制御パラメータを変更して、変更された制御パラメータを取得し、
前記変更された制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記用量制御信号を生成し、
前記薬剤送達インターフェースを介して、前記薬剤ポンプに前記用量制御信号を提供するようにさらに構成される、
請求項77に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項79】
前記ウェイクインターフェース要素は、運動センサを含み、前記ウェイク対話は、前記携帯型薬剤機器の動きを含む、請求項77に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項80】
前記運動センサは、加速度計を含む、請求項79に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項81】
前記携帯型薬剤機器の前記動きは、特定の運動に対応する、請求項79に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項82】
前記特定の運動は、前記ユーザの視界範囲内で前記携帯型薬剤機器を前記ユーザが動かすことを示す、請求項81に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項83】
前記ウェイク対話は、生体入力を受信することをさらに含む、請求項79に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項84】
被験者への薬剤の送達のための用量制御信号を生成し、ユーザによって開始された薬剤送達の変更を取り消すように構成された携帯型薬剤機器であって、
前記用量制御信号を受信したことに応答して前記被験者に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
タッチスクリーン上にユーザインターフェース画面を生成するように構成された表示信号を出力し、前記タッチスクリーンとのユーザ対話に対応するユーザ入力信号を受信するように構成されたタッチスクリーンコントローラと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記タッチスクリーン上に治療制御要素の表示を生成し、前記治療制御要素は、用量制御信号を生成するための制御アルゴリズムで使用される第1の設定を有する制御パラメータをユーザが変更することを可能にし、
前記治療制御要素への変更の指標を受信し、
前記指標を受信したことに応答して、前記治療制御要素への前記変更の前記指標に基づいて、第1の時間において前記制御パラメータを第1の設定から第2の設定に変更し、
第2の時間において前記タッチスクリーン上で、前記制御パラメータが前記第1の設定に復元されることを示し、かつユーザによって実行されるスワイプジェスチャを含む、復元ジェスチャを受信し、
前記復元ジェスチャを受信したことに応答して、前記制御パラメータを前記第1の設定に復元するように構成される、
携帯型薬剤機器。
【請求項85】
前記スワイプジェスチャは、前記治療制御要素によって占有される前記タッチスクリーンの領域で少なくとも部分的に実行される、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項86】
前記スワイプジェスチャは、スワイプ開始位置から、前記スワイプ開始位置よりも前記タッチスクリーンの左端の近くに位置するスワイプ終了位置まで実行される、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項87】
前記復元ジェスチャは、前記治療制御要素を提示するユーザインターフェース画面上で受信される、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項88】
前記復元ジェスチャは、前記治療制御要素を提示するユーザインターフェース画面とは異なるユーザインターフェース画面上で受信される、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項89】
前記復元ジェスチャは、前記治療制御要素への前記変更を確認する治療変更確認ジェスチャの反対方向に実行される、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項90】
前記第2の時間は、前記第1の時間よりも後である、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項91】
前記第2の時間は、1つまたは複数の用量制御信号が前記薬剤ポンプに提供された後である、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項92】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記治療制御要素への第2の変更の第2の指標を受信し、
前記第2の指標を受信したことに応答して、第3の時間において、前記治療制御要素への前記第2の変更の前記第2の指標に基づいて、前記制御パラメータを前記第2の設定から第3の設定に変更するようにさらに構成される、
請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項93】
前記第3の時間は、前記第1の時間の後であるが、前記第2の時間の前である、請求項92に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項94】
前記第1の設定は、デフォルト設定または指定された復元設定を含む、請求項92に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項95】
前記第1の設定は、前記第2の設定の直前の設定を含む、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項96】
前記第1の設定は、デフォルト設定または指定された復元設定を含む、請求項84に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項97】
被験者への薬剤送達を中断するように構成された携帯型薬剤機器であって、
用量制御信号を受信するように構成された薬剤ポンプであって、前記用量制御信号は、前記薬剤ポンプにより前記被験者に薬剤を送達させるように構成される、薬剤ポンプと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記薬剤の送達が中断される時間の長さに関連付けられた一時的な中断期間の指標を含む、前記被験者への前記薬剤の前記送達を一時的に中断する要求を受信し、
前記被験者への前記薬剤の送達を中断し、前記薬剤の送達を中断することは、前記中断期間中に用量制御信号を生成しないことを含み、
前記一時的な中断期間中に再開状態が発生したと判定し、前記再開状態は、前記再開状態をトリガするユーザアクションを必要とせず、
前記再開状態の発生後に用量制御信号を生成し、それにより前記一時的な中断を中止し、
前記薬剤ポンプに前記用量制御信号を提供するように構成される、
携帯型薬剤機器。
【請求項98】
前記再開状態は、前記一時的な中断期間中に発生する、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項99】
前記再開状態は、前記一時的な中断期間の満了を含む、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項100】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記用量制御信号を生成する前に、前記一時的な中断期間が終了したことを示すアラートを少なくとも生成するようにさらに構成される、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項101】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記再開状態が発生したことを判定すると、前記一時的な中断期間が終了したことを示すアラートを少なくとも生成するようにさらに構成される、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項102】
前記要求を受信することは、第1のユーザ対話を受信することを含む、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項103】
前記要求を受信することは、確認を受信することを含む、請求項102に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項104】
前記確認を受信することは、第2のユーザ対話を受信することを含む、請求項103に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項105】
前記第1のユーザ対話は、前記携帯型薬剤機器のタッチスクリーンディスプレイ上で実行されるジェスチャを含む、請求項102に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項106】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記薬剤の前記被験者への送達を中断する前に、前記薬剤の前記送達が中断される時間を示すアラートを少なくとも生成するようにさらに構成される、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項107】
前記再開状態は、前記被験者の医学的状態が閾値条件を満たすと判定したことに応答して発生する、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項108】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、再開状態が発生したことを示すアラートを少なくとも生成するようにさらに構成される、請求項107に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項109】
前記再開状態は、ユーザまたは前記被験者から一時的な中断を中止するトリガを受信したことに応答して発生する、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項110】
前記薬剤ポンプは、インスリンポンプを含む、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項111】
前記薬剤ポンプは、インスリンポンプおよびグルコン酸塩ポンプを含む、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項112】
要求を受信することは、前記被験者またはユーザから、前記薬剤の前記被験者への送達を中断する中断時間を受信することを含む、請求項97に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項113】
前記薬剤の前記被験者への前記送達は、前記中断時間に中断される、請求項112に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項114】
前記薬剤の前記被験者への前記送達は、前記被験者の医学的状態が閾値条件を満たす場合、中断されない、請求項113に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項115】
前記用量制御信号は、前記再開状態に続く再開期間が経過した後に生成される、請求項97または109に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項116】
前記用量制御信号は、前記再開状態が発生した直後に生成される、請求項107に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項117】
被験者への薬剤の送達のための用量制御信号を生成するように構成された携帯型薬剤機器であって、前記携帯型薬剤機器のユーザインターフェースの少なくともいくつかの機能性を確保するように構成された携帯型薬剤機器であって、
前記被験者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
表示機器上にユーザインターフェース画面を生成するように構成された表示信号を出力するように構成された表示インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令、パスコード設定プロセス中にユーザによって選択されるユーザ生成パスコード、および前記ユーザによって選択されないオーバーライドパスコードを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
制御パラメータを採用する制御アルゴリズムを使用して前記用量制御信号を生成し、少なくとも1つの制御パラメータは、前記ユーザインターフェース画面のうちの少なくとも1つを介して表示されるパラメータ制御要素とのユーザ対話によって変更することができ、前記携帯型薬剤機器は、前記携帯型薬剤機器がロック状態にあるときは、前記パラメータ制御要素を介した前記少なくとも1つの制御パラメータの変更を許可せず、
前記携帯型薬剤機器が前記ロック状態にあるときに前記携帯型薬剤機器のユーザ入力要素とのユーザ対話に応答して、ユーザ選択可能な文字、数字、記号、またはこれらの組み合わせを含み、セキュリティコードユーザ入力を受け付けるように構成された、キーパッドのパスコード表示を生成し、
前記セキュリティコードが前記ユーザ生成パスコードまたは前記オーバーライドパスコードと一致することを確認することによって、前記ユーザが前記携帯型薬剤機器の前記ロック状態を変更することを許可されたことを確認するために前記セキュリティコードの有効性を確認し、
前記セキュリティコードの有効性を確認したことに応答して、前記携帯型薬剤機器をロック解除状態に入らせ、前記携帯型薬剤機器が前記ロック解除状態にあるときに、前記携帯型薬剤機器が前記パラメータ制御要素を介して前記少なくとも1つの制御パラメータの変更を許可するように構成される、
携帯型薬剤機器。
【請求項118】
被験者への薬剤の送達のための用量制御信号を生成するように構成された携帯型薬剤機器であって、前記携帯型薬剤機器のユーザインターフェースの少なくともいくつかの機能性を確保するように構成された携帯型薬剤機器であって、
前記被験者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令、パスコード設定プロセス中にユーザによって選択されるユーザ生成パスコード、および前記ユーザによって選択されないオーバーライドパスコードを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
制御パラメータを採用する制御アルゴリズムを使用して前記用量制御信号を生成し、少なくとも1つの制御パラメータは、パラメータ制御要素とのユーザ対話によって変更することができ、前記携帯型薬剤機器は、前記携帯型薬剤機器がロック状態にあるときは、前
記パラメータ制御要素を介した前記少なくとも1つの制御パラメータの変更を許可せず、
前記携帯型薬剤機器をロック解除するためにコンピューティングシステムとの直接的なエンドツーエンド接続経由で前記コンピューティングシステムから、セキュリティコードを含む要求を受信し、
前記セキュリティコードが前記ユーザ生成パスコードまたは前記オーバーライドパスコードと一致することを確認することによって、前記ユーザが前記携帯型薬剤機器の前記ロック状態を変更することを許可されたことを確認するために前記セキュリティコードの有効性を確認し、
前記セキュリティコードの有効性を確認したことに応答して、前記携帯型薬剤機器をロック解除状態に入らせ、前記携帯型薬剤機器が前記ロック解除状態にあるときに、前記携帯型薬剤機器が前記パラメータ制御要素を介して前記少なくとも1つの制御パラメータの変更を許可するように構成される、
携帯型薬剤機器。
【請求項119】
前記パラメータ制御要素は、前記直接的なエンドツーエンド接続経由で前記コンピューティングシステムを介してアクセスされる、請求項118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項120】
前記直接的なエンドツーエンド接続は、広域ネットワーク経由で確立される、請求項118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項121】
前記ユーザインターフェースの少なくともいくつかの機能性へのアクセスは、前記セキュリティコードの有効性を確認することなく許可される、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項122】
前記パスコード表示は、前記被験者の経時的なグルコースレベルのグラフを含む、請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項123】
インスリンポンプを含む、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項124】
前記セキュリティコードは、数字コード、英数字コード、形状、質問に対する回答、タッチ感知面とのジェスチャ対話、または生体識別子のうちの少なくとも1つを含む、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項125】
前記入力要素は、タッチスクリーンディスプレイ上に表示される要素を含む、請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項126】
前記入力要素は、1つまたは複数の視覚的証印を含むタッチ感知面を含む、請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項127】
治療送達に関連付けられた少なくともいくつかの情報は、前記ロック状態にある前記ユーザにアクセス可能である、請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項128】
前記オーバーライドパスコードは、周期的な間隔で変化する、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項129】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、
詳細設定セキュリティコードが詳細設定パスコードと一致することを確認することによって、前記ユーザが前記携帯型薬剤機器の詳細設定を変更することを許可されたことを確認するために前記詳細設定セキュリティコードの有効性を確認し、
前記詳細設定セキュリティコードの有効性を確認したことに応答して、前記携帯型薬剤
機器を詳細設定状態に入らせ、前記携帯型薬剤機器は、前記携帯型薬剤機器が前記詳細設定状態にあるときに、詳細パラメータ制御要素を介して少なくとも1つの詳細制御パラメータの変更を許可するように構成される、
請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項130】
前記詳細設定セキュリティコードは、所定の期間後に失効する、請求項129に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項131】
前記詳細設定セキュリティコードは、少なくとも週に1回失効する、請求項130に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項132】
前記セキュリティコードは、タッチスクリーンディスプレイとのジェスチャ対話を含む、請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項133】
前記セキュリティコードが所定回数のセキュリティコード入力試行の後に有効性が確認され得ない場合、さらなるセキュリティコード入力試行が一定期間拒否される、請求項117に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項134】
前記オーバーライドパスコードは、製造プロセス中に固定される、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項135】
前記オーバーライドパスコードは、少なくともいくつかの他の携帯型薬剤機器に対して有効である、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項136】
前記オーバーライドパスコードの満了時に、新しいオーバーライドパスコードがアルゴリズム的に生成される、請求項117または118に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項137】
薬剤ポンプに薬剤を被験者に注入させるように構成された用量制御信号を生成するように構成された携帯型薬剤機器であって、
前記携帯型薬剤機器の状態に関する機器情報または前記被験者の状態に関する被験者情報のうちの少なくとも1つを含む、ステータス情報を受信するように構成された監視システムインターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令と、保留中のアラーム状態のリストとを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記監視システムインターフェースを介して第1のステータス情報を受信し、
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器または前記被験者のアラーム状態を満たすと判定し、かつ前記アラーム状態が前記保留中のアラーム状態のリストにまだ存在しないと判定したことに応答して、前記アラーム状態に基づいて前記保留中のアラーム状態のリストを変更し、
複数の重大度レベルのうちの1つである、前記アラーム状態の重大度レベルを判定し、
前記薬剤ポンプまたは前記被験者の前記アラーム状態の前記重大度レベルに基づいて選択される、1つまたは複数の報知パターンを使用して、前記アラーム状態を報知し、
前記アラーム状態が解決するまで、前記保留中のアラーム状態のリスト上の前記アラーム状態を維持するように構成される、
携帯型薬剤機器。
【請求項138】
インスリンポンプを含む、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項139】
拮抗剤ポンプを含む、請求項137または138に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項140】
前記複数の重大度レベルの各重大度レベルは、前記複数の報知パターンのうちの一意の報知パターンに関連付けられる、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項141】
前記保留中のアラーム状態のリストは、前記アラーム状態の重大度レベルに従ってソートされる、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項142】
前記保留中のアラーム状態のリストは、前記携帯型薬剤機器のユーザインターフェース上に表示される、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項143】
前記保留中のアラーム状態のリストは、前記携帯型薬剤機器がロック状態にあるときに利用可能である、請求項142に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項144】
前記携帯型薬剤機器を遠隔電子機器に接続するように構成された無線電子通信インターフェースをさらに備え、前記携帯型薬剤機器は、前記無線電子通信インターフェースを介してアラーム信号を送信して、前記遠隔電子機器に前記アラーム状態を報知するように構成される、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項145】
前記保留中のアラーム状態のリストを前記遠隔電子機器に送信する、請求項144に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項146】
前記保留中のアラーム状態のリスト上のアラーム状態のカウントの視覚的指標を含むアラーム状態アイコンの表示を生成する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項147】
前記監視システムインターフェースを介して第2のステータス情報を受信し、
前記第2のステータス情報が前記携帯型薬剤機器または前記被験者のアラーム状態を満たすと判定し、かつ前記アラーム状態が前記保留中のアラーム状態のリストに既に存在すると判定したことに応答して、前記携帯型は、前記アラーム状態を告知するために以前に使用された前記1つまたは複数の報知パターンを変更する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項148】
ステータス情報は、前記携帯型薬剤機器の特性を測定する1つまたは複数のセンサから受信される、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項149】
ステータス情報は、前記被験者の健康状態を測定する1つまたは複数のセンサから受信される、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項150】
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器または前記被験者のアラーム状態を満たすと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、医療介護提供者に連絡する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項151】
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器のアラーム状態を満たすと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、前記携帯型薬剤機器の製造者に連絡する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項152】
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器の低い薬剤アラーム状態を満たすと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、前記低い薬剤アラーム状態に関連付けられた薬剤の提供者に連絡し、前記薬剤を注文する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項153】
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器のアラーム状態を満たすと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、前記携帯型薬剤機器のユーザインターフェース上に修理命令を表示する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項154】
前記報知パターンは、前記アラーム状態に関するテキスト情報を含む、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項155】
前記報知パターンは、可聴アラームを含む、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項156】
前記報知パターンは、視覚的アラームを含む、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項157】
前記報知パターンは、触覚アラームを含む、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項158】
前記ステータス情報がアラーム状態を満たすと判定し、かつ前記アラーム状態が前記保留中のアラーム状態のリスト内に既に存在すると判定したことに応答して、前記携帯型機器は、
前記アラーム状態の重大度レベルを高い重大度レベルに変更し、
前記高い重大度レベルに基づいて前記アラーム状態の前記報知パターンを変更する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項159】
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器のアラーム状態を満たすと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、前記アラーム状態の重大度レベルを判定し、前記アラーム状態の前記重大度レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記被験者への前記薬剤の前記送達を中断する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項160】
前記ステータス情報が前記携帯型薬剤機器のアラーム状態を満たすと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、前記アラーム状態の重大度レベルを判定し、前記アラーム状態の前記重大度レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記被験者への前記薬剤の前記送達を継続する、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項161】
前記報知パターンは、前記携帯型薬剤機器がロック状態にあるときにユーザによって知覚可能である、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項162】
前記携帯型薬剤機器は、ユーザが前記アラーム状態を認知することを可能にする制御要素を備える、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項163】
前記携帯型薬剤機器は、ユーザがアラームを却下することを可能にする制御要素を備える、請求項137に記載の携帯型薬剤機器。
【請求項164】
携帯型医療機器内の機器誤作動アラートの優先順位付けのコンピュータ実装方法であって、
前記携帯型医療機器のプロセッサによって、
前記携帯型医療機器の機器状態を検出することと、
前記機器状態が前記携帯型医療機器の通常動作パラメータのセットを満たさないと判定することと、
前記機器状態が最小動作パラメータのセットを満たすと判定することであって、前記最小動作パラメータは、前記携帯型医療機器による治療の被験者への送達を可能にするのに十分である、判定することと、
前記機器状態が前記最小動作パラメータのセットを満たすと判定したことに応答して、
前記携帯型医療機器による治療の前記被験者への前記送達を維持することと、
前記機器状態に少なくとも部分的に基づいてユーザアラートを生成することであって、前記ユーザアラートは、ユーザが前記携帯型医療機器の前記機器状態を判定することを可能にし、前記ユーザアラートは、前記ユーザによって却下可能であり、前記ユーザアラートは、アラート変更状態が発生するまで特定の予定で繰り返すように予定される、生成することと、
を含む、方法。
【請求項165】
前記携帯型医療機器は、薬剤ポンプである、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項166】
前記薬剤ポンプは、インスリンポンプまたは拮抗剤ポンプの少なくとも1つを含む、請求項165に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項167】
前記最小動作パラメータのうちの少なくともいくつかは、前記携帯型医療機器の製造者によって提供される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項168】
前記通常動作パラメータのうちの少なくともいくつかは、医療介護提供者によって提供される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項169】
前記最小動作パラメータまたは前記通常動作パラメータのうちの少なくともいくつかは、前記被験者または許可されたユーザによって提供される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項170】
所与の時間における前記ユーザアラートの種類および頻度は、前記ユーザアラートの前記生成をトリガした前記検出された機器状態および/または前記所与の時間の前に前記ユーザアラートが生成された回数に依存する、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項171】
前記治療送達は、前記検出された機器状態に少なくとも部分的に基づいて停止される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項172】
前記ユーザアラートは、固定された静的期間で繰り返される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項173】
前記ユーザアラートは、徐々に増加する期間で繰り返される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項174】
前記ユーザアラートは、時刻に基づいて日中に変化する期間において繰り返される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項175】
前記アラート変更状態は、前記携帯型薬剤機器の前記検出された状態の変化を含む、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項176】
ユーザアラートを生成することは、製造業者に連絡することを含む、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項177】
ユーザアラートを生成することは、医療介護提供者に連絡することを含む、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項178】
ユーザアラートを生成することは、薬剤を注文することを含む、請求項164に記載の
コンピュータ実装方法。
【請求項179】
ユーザアラートを生成することは、前記携帯型薬剤機器の前記検出された状態を固定するための命令を提供することを含む、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項180】
前記機器状態が前記携帯型医療機器の通常動作パラメータのセットを満たさないと判定したことに応答して、前記携帯型医療機器による前記被験者への前記治療の送達は、通常の速度で維持される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項181】
前記機器状態が前記携帯型医療機器の通常動作パラメータのセットを満たさないと判定したことに応答して、前記携帯型医療機器による前記被験者への前記治療の送達は、最小速度で維持される、請求項164に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項182】
被験者に治療を提供するように構成された携帯型医療機器であって、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記携帯型医療機器の機器状態を検出し、
前記機器状態が前記携帯型医療機器の通常動作パラメータのセットを満たさないと判定し、
前記携帯型医療機器による被験者への治療の送達を可能にするのに十分である、最小動作パラメータのセットを前記機器状態が満たすことを判定するように構成され、
前記機器状態が前記最小動作パラメータのセットを満たすと判定したことに応答して、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記携帯型医療機器による前記被験者への前記治療の送達を維持し、
前記機器状態に少なくとも部分的に基づいてユーザアラートを生成するようにさらに構成され、前記ユーザアラートは、ユーザが前記携帯型医療機器の前記機器状態を判定することを可能にし、前記ユーザアラートは、前記ユーザによって却下可能であり、前記ユーザアラートは、アラート変更状態が発生するまで特定の予定で繰り返すように予定される、
携帯型医療機器。
【請求項183】
薬剤ポンプを備える、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項184】
前記薬剤ポンプは、インスリンポンプまたは拮抗剤ポンプの少なくとも1つを含む、請求項183に記載の携帯型医療機器。
【請求項185】
前記最小動作パラメータおよび/または通常動作パラメータは、前記携帯型医療機器の製造者によって提供される、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項186】
前記最小動作パラメータおよび/または通常動作パラメータは、医療介護提供者によって提供される、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項187】
前記最小動作パラメータおよび/または通常動作パラメータは、前記被験者または許可されたユーザによって提供される、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項188】
所与の時間における前記ユーザアラートの種類および頻度は、前記生成ユーザアラートをトリガした前記検出された機器状態および/または前記所与の時間の前に前記ユーザアラートが生成された回数に依存する、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項189】
前記携帯型薬剤機器は、前記検出された機器状態に少なくとも部分的に基づいて前記治療送達を停止する、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項190】
携帯型薬剤機器は、一定の間隔で前記ユーザアラートを繰り返す、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項191】
携帯型薬剤機器は、時間とともに変化する間隔で前記ユーザアラートを繰り返す、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項192】
携帯型薬剤機器は、時刻に基づいて変化する間隔で前記ユーザアラートを繰り返す、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項193】
前記アラート変更状態は、前記携帯型薬剤機器の前記検出された状態の変化を含む、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項194】
ユーザアラートを生成することは、製造者に連絡することを含む、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項195】
ユーザアラートを生成することは、医療介護提供者に連絡することを含む、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項196】
ユーザアラートを生成することは、薬剤を注文することを含む、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項197】
ユーザアラートを生成することは、前記検出された状態を解決するための命令の表示を生成することを含む、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項198】
前記機器状態が前記携帯型医療機器の通常動作パラメータのセットを満たさないと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、通常の速度で前記被験者への前記治療の送達を維持する、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項199】
前記機器状態が前記携帯型医療機器の通常動作パラメータのセットを満たさないと判定したことに応答して、前記携帯型薬剤機器は、低減された速度で前記被験者への前記治療の送達を維持する、請求項182に記載の携帯型医療機器。
【請求項200】
被験者へのグルコース制御治療の自動送達を提供し、前記被験者に提供された手動グルコース制御治療についての情報を受信するように構成された自動化された血糖制御システムであって、
前記被験者に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
ユーザインターフェースとのユーザ対話に対応する入力信号を受信するように構成されたユーザインターフェースコントローラと、
特定のコンピュータ実行可能命令および治療ログを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被験者における血糖値を制御するように構成された制御アルゴリズムにより薬剤のボーラスの量の指標を生成し、前記薬剤のボーラスは、薬剤の食事ボーラスまたは薬剤の補正ボーラスに対応し、前記薬剤のボーラスの前記量は、前記被験者における血糖制御の
先行する期間に少なくとも部分的に基づいて前記制御アルゴリズムによって選択され、
手動ボーラス制御要素と、前記制御アルゴリズムによって生成された前記薬剤のボーラスの前記量の前記指標を含むボーラス推奨とを含む手動ボーラス画面の表示を生成し、
前記手動ボーラス制御要素とのユーザ対話を介して、薬剤の手動ボーラスの量の指標を受信し、
前記治療ログに、前記被験者に供給された前記薬剤の手動ボーラスの前記量の前記指標と、前記薬剤の手動ボーラスが前記被験者に供給された時間の指標とを記憶し、
前記手動ボーラスに少なくとも部分的に基づいて前記被験者における前記薬剤の経時的な減少をモデル化し、
前記被験者に動作可能に接続されたグルコースレベルセンサから受信したグルコースレベル信号と、前記薬剤の有限利用率に起因する前記被験者における前記薬剤の活性の時間経過とに少なくとも部分的に基づいて、前記被験者における血糖値を制御するために前記薬剤ポンプを動作させるように構成されたインスリン投与信号の自動生成のための前記制御アルゴリズムを動作させるように構成される、
自動化された血糖制御システム。
【請求項201】
請求項200に記載の自動化された血糖制御システムと、薬剤ポンプとを備える、携帯型医療機器。
【請求項202】
前記薬剤ポンプは、インスリンポンプまたは拮抗剤ポンプの少なくとも1つを含む、請求項201に記載の携帯型医療機器。
【請求項203】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記薬剤の皮下注入後の前記被験者の血液中の前記薬剤の前記手動ボーラスの蓄積を少なくともモデル化するようにさらに構成される、請求項200に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項204】
前記薬剤ポンプから離れた電子機器から前記薬剤の手動ボーラスの前記量の前記指標を受信するように構成された無線電子通信インターフェースをさらに備える、請求項200に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項205】
前記薬剤の手動ボーラスの前記量の前記指標を受信することは、ユーザによって行われたジェスチャ対話を検出することを含む、請求項200に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項206】
前記ユーザによって行われた前記ジェスチャ対話を検出することは、前記ジェスチャ対話が前記手動ボーラスの入力に必要とされる特定のジェスチャ対話と一致することを確認することを含む、請求項205に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項207】
前記薬剤の手動ボーラスの前記量の前記指標を受信することは、前記被験者によって摂取される食事の大きさの推定値または炭水化物の数の推定値を受信することを含む、請求項200に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項208】
前記薬剤の手動ボーラスの前記量の前記指標を受信することは、前記被験者によって従事される運動の強度の推定値を受信することを含む、請求項200に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項209】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記薬剤の手動ボーラスの前記量の前記指標に少なくとも部分的に基づいて用量制御信号を少なくとも生成するようにさらに構成される、請求項200に記載の自動化された血糖制
御システム。
【請求項210】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記用量制御信号を前記薬剤ポンプに少なくとも提供するようにさらに構成される、請求項209に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項211】
前記手動ボーラスは、注射治療またはポンプ治療を通して注入される、請求項209に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項212】
前記被験者における前記薬剤の経時的な前記減少をモデル化することは、前記被験者に以前に注入された薬剤の将来の効果の推定を可能にする、請求項209に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項213】
被験者へのグルコース制御治療の自動送達を提供し、前記被験者に提供された手動グルコース制御治療についての情報を受信するように構成された自動化された血糖制御システムであって、
周期的な測定間隔で前記被験者のグルコースレベルを判定するように動作可能なセンサからグルコースレベル信号を受信するように動作可能なグルコースセンサインターフェースと、
前記被験者にインスリンの用量を送達するように動作可能な薬剤ポンプに、インスリン用量制御信号を送信するように構成された送達機器インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
ユーザインターフェースからインスリンの手動ボーラスの量の指標を受信し、
前記グルコースレベル信号、インスリンの有限利用率による前記被験者におけるインスリンの蓄積、前記被験者の体重に対応する入力パラメータ、前記手動ボーラスの前記量の前記指標、および前記インスリンの手動ボーラスが前記被験者に供給された時間の指標に少なくとも部分的に基づいて、前記インスリン用量制御信号を自動的に生成するように構成される、
自動化された血糖制御システム。
【請求項214】
前記入力パラメータは、体重の測定値、体格値、または体格指数値を含む、請求項213に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項215】
前記インスリン用量制御信号は、前記手動ボーラスの前記量に基づいて自動的に調整される、請求項213に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項216】
前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記手動ボーラスの前記量の前記指標に少なくとも部分的に基づいて、グルカゴン用量制御信号を少なくとも生成するようにさらに構成される、請求項213に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項217】
被験者へのグルコース制御治療の自動送達を提供し、前記被験者に提供された手動グルコース制御治療についての情報を受信するように構成された自動化された血糖制御システムであって、
前記被験者に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
ユーザインターフェースとのユーザ対話に対応する入力信号を受信するように構成されたユーザインターフェースコントローラと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するハードウェアプロセッサと、を備え、前記ハードウェアプロセッサは、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記ユーザインターフェースとの前記ユーザ対話に応答して、前記被験者によって摂取された、または摂取されるべき食事の大きさの指標を含む食事告知をユーザから受信し、
前記食事告知に少なくとも部分的に基づいて前記被験者に投与するインスリンの食事ボーラスを判定し、前記食事ボーラスは、前記食事に起因する血糖の変化を補償するために前記被験者に投与するインスリンの量を含み、
前記食事ボーラスの指標を表示するために出力し、
前記食事ボーラスへの要求された変更の指標を前記ユーザから受信し、
前記被験者のグルコースレベルおよび前記食事ボーラスへの前記変更に少なくとも部分的に基づいて、前記被験者における血糖値を制御するために前記薬剤ポンプを動作させるように構成されたインスリン投与信号の自動生成のための制御アルゴリズムを動作させるように構成される、
自動化された血糖制御システム。
【請求項218】
前記ユーザは、前記被験者または前記被験者の介護者である、請求項217に記載の自動化された血糖制御システム。
【請求項219】
前記食事告知は、遠隔電子機器に接続するように構成された無線電子通信インターフェースを介して受信される、請求項217に記載の自動化された血糖制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先出願に対する参照による取り込み
本出願は、2020年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987,842号、2020年6月10日に出願された同第63/037,472号、2019年7月16日に出願された同第62/874,934号、2019年7月16日に出願された同第62/874,950号、2019年7月16日に出願された同第62/874,968号、2019年10月4日に出願された同第62/910,970号、2019年10月4日に出願された同第62/911,017号、および2019年10月4日に出願された同第62/911,143号の利益を主張する。この段落で参照される各出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部とされる。
【0002】
本開示は、血糖制御システム、および被験者に治療を提供する携帯型医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
持続的な送達ポンプ駆動式薬剤注射機器は一般に、注入部位において被験者の皮膚を通して皮下様式で取り付けられた送達カニューレを含む。ポンプは、リザーバから薬剤を引き込み、薬剤をカニューレを介して被験者に送達する。注射機器は、典型的には、注入口から送達カニューレに薬剤を伝達し、その結果、送達カニューレが終端する皮下組織層への送達をもたらすチャネルを含む。いくつかの注入機器は、1つの薬剤を被験者に送達するように構成されるが、他の機器は、複数の薬剤を被験者に送達するように構成される。
【発明の概要】
【0004】
血糖制御システムおよび血糖制御などの治療を被験者に提供する携帯型医療機器が開示される。開示されるシステムおよび機器は、治療の送達の中断を回避するソフトウェア更新技術、ジェスチャに基づく治療送達の制御、ユーザが開始した休止後の治療の自動再開、改良されたアラーム管理、自律的に計算された投与推奨の表示、広域ネットワーク接続性、およびセキュリティ機能など、ユーザ体験を改善する1つまたは複数の機能を実装することができる。
【0005】
本開示のシステム、方法、および機器はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有しており、そのうちの単一の態様が本明細書に開示する望ましい属性のすべてに対して単独で役割を果たさない。本明細書に記載する主題の1つまたは複数の実装形態の詳細が、添付の図面および以下の説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1Aは、携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する、例示的な血糖制御システムを示す。図1Bは、携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する、別の例示的な血糖制御システムを示す。図1Cは、携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する、さらなる例示的な血糖制御システムを示す。
図2図2Aは、例示的な血糖制御システムのブロック図を示す。図2Bは、別の例示的な血糖制御システムのブロック図を示す。図2Cは、別の例示的な血糖制御システムのブロック図を示す。図2Dは、別の例示的な血糖制御システムのブロック図を示す。
図3】電子通信インターフェースを含む例示的なグルコース制御システムの概略図である。
図4図4Aは、オンライン動作モードにおける例示的な血糖制御システムのブロック図を示す。図4Bは、オフライン動作モードにおける例示的な血糖制御システムのブロック図を示す。
図5図5Aは、例示的な携帯型医療機器の斜視図を示す。図5Bは、図5Aに示す携帯型医療機器の断面図を示す。
図6】例示的な携帯型医療機器に含まれ得る様々なモジュールを示す。
図7】AMDがホストコンピューティングシステムとの接続を確立することができる様々な方法およびリンクを示す。
図8】アプリケーション更新を検出およびダウンロードするためにAMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。
図9】被験者に提供される治療を中断することなく、ダウンロードされたアプリケーション更新をインストールするためにAMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。
図10】被験者に提供される治療を中断することなく、ホストコンピューティングシステムからダウンロードされた第2の更新をインストールし、AMDの制御を第1のアプリケーションから第2のアプリケーションに切り替えるためにAMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。
図11】第2のアプリケーションが動作条件の最小セットを満たす場合にのみ、被験者に提供される治療を中断することなく、ホストコンピューティングシステムからダウンロードされた第2のアプリケーションをインストールし、検証し、AMDの制御を第1のアプリケーションから第2のアプリケーションに切り替えるためにAMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。
図12】アプリケーションの第1のバージョンの実行中にアプリケーション障害の検出に応答し、AMDの制御をAMDにインストールされたアプリケーションの第2のバージョンに切り替えるために使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。
図13】アプリケーションの第1のバージョンの実行中にアプリケーション障害の検出に応答し、AMDの制御をAMDにインストールされたアプリケーションの第2のバージョンに切り替え、および/またはアプリケーションの第3のバージョンをダウンロードするために使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。
図14】AMDがコンピューティングシステムに直接接続され、コンピューティングシステムが1つまたは複数の表示システムおよびAMDと治療レポートを共有する、例示的なネットワーク構成を示すブロック図である。
図15】AMDから受信された暗号化された治療データに基づいて治療レポートを生成および共有するためにコンピューティングシステムによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図16】AMDがコンピューティングシステムに直接接続され、コンピューティングシステムがアラートを生成して1つまたは複数の表示システムおよびAMDに送信する、例示的なネットワークおよびデータフロー構成を示すブロック図である。
図17】アラートを生成して1つまたは複数の許可された機器に送信するためにコンピューティングシステムによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図18】治療変更要求の受信、受け付け、および/または取り消しに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャの間の相互接続を示す。
図19】ユーザがタッチスクリーンのユーザインターフェースを使用して携帯型薬剤機器の構成を変更することを可能にするためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図20図20Aは、ユーザのウェイクアクションによってタッチスクリーンがウェイク/ロック解除された後であって、第1のユーザジェスチャが受信される前の例示的なAMDのタッチスクリーンディスプレイの図である。図20Bは、第1のジェスチャまたは第2のジェスチャのための所定の一連の入力を入力するようにユーザに促すことができる例示的なタッチスクリーンディスプレイの図である。図20Cは、例示的な治療変更ユーザインターフェースの図である。図20Dは、タッチスクリーンディスプレイ上の別の治療変更ユーザインターフェースの図である。
図21】アラームステータスインジケータを生成するためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図22】タッチスクリーンインターフェースを使用して治療変更を取り消すために使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図23図23Aは、1つまたは複数の薬剤の送達が生じることをユーザに警告するタッチスクリーンディスプレイの図である。図23Bは、薬剤がユーザに送達されていることを示すタッチスクリーンディスプレイの図である。
図24】治療中断要求の受信、受け付け、および/または取り消しに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャの間の相互接続を示すブロック図である。
図25】AMDによって実施され得る中断要求を受信して実施するための例示的な方法を示すフロー図である。
図26】ユーザが治療を休止するときに携帯型医療機器が表示し得る複数の画面を示す。
図27】AMDによって実施され得る中断された治療を再開する例示的な方法を示すフロー図である。
図28】ユーザが治療を再開するときに携帯型医療機器が表示し得る複数の画面を示す。
図29】AMDの設定を変更することに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャの間の相互接続を示すブロック図である。
図30】ユーザがユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを使用してAMDの設定を変更することを可能にするためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図31】ユーザがユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを使用してAMDの設定を変更することを可能にするためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。
図32】AMDおよび/または被験者のステータスを監視し、アラーム状態が満たされたときにアラームを生成することに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャの間の相互接続を示す概略図である。
図33】アラーム状態を満たすステータス情報を受信したときに、アラーム状態を報知するためにAMDのアラームシステムによって使用され得る例示的な手順を示すフロー図である。
図34】AMDの状態を監視し、機器の誤動作が検出されたときにアラートを生成することに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャの間の相互接続を示すブロック図である。
図35】AMDの動作を監視し、機器の誤動作が検出されたときにアラートを生成するためにAMDのアラートシステムによって使用され得る例示的な手順を示すフロー図である。
図36】薬剤を提供するための様々なオプションをユーザに提供する携帯型医療機器を示す概略図である。
図37】携帯型機器上の食事量選択のためのオプションを提供するためのプロセスのフロー図である。
図38】携帯型機器上の食事量選択のためのオプションを提供するためのプロセスの別のフロー図である。
図39】携帯型機器上でユーザが食事量の起動を開始することを示す一連の画面表示である。
図40】携帯型機器上でユーザが食事量を起動することを示す一連の画面表示である。
図41】携帯型機器上でユーザが食事告知を起動することを示す一連の画面表示である。
図42】携帯型機器上でユーザが総単位数を入力することを示す一連の画面表示である。
図43】携帯型医療機器がこの単位を送達し、この単位の送達を取り消すことを示す一連の画面表示である。
図44】説明した主題の様々な実施形態において実装することができるコンピュータシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、1つまたは複数の薬剤のための薬剤注入システム、およびそのようなシステムのコンポーネント(例えば、注入ポンプ、薬剤カートリッジ、カートリッジコネクタ、管腔アセンブリ、注入コネクタ、注入セットなど)に関する。いくつかの実施形態は、注入システムおよびそのコンポーネントを製造する方法に関する。いくつかの実施形態は、1つまたは複数の薬剤(例えば、医薬品、ホルモンなど)を被験者に注入するための前述のシステムまたはコンポーネントのうちのいずれかを使用する方法に関する。例示的な説明として、注入システムは、1つまたは複数の薬剤カートリッジを含むことができるか、または薬剤の一体化されたリザーバを有することができる注入ポンプを含み得る。注入システムは、薬剤カートリッジおよびカートリッジコネクタを含み得るが、ポンプは含まない。注入システムは、カートリッジコネクタおよび注入ポンプを含み得るが、薬剤カートリッジは含まない。注入システムは、注入コネクタ、管腔アセンブリ、カートリッジコネクタ、注入ポンプを含み得るが、薬剤カートリッジまたは注入セットは含まない。血糖制御システムは、少なくとも1つの血糖制御剤を含む1つまたは複数の薬剤を被験者に注入するために、注入システムとともに動作することができる。本明細書のいずれかの実施形態で記載および/または説明される、いずれかの機能、構造、コンポーネント、材料、ステップ、または方法は、本明細書のいずれかの他の実施形態で記載および/または説明される、いずれかの特徴、構造、コンポーネント、材料、ステップ、または方法とともに、またはこれらの代わりに使用することができる。加えて、一実施形態で記載および/または説明される、いずれかの特徴、構造、コンポーネント、材料、ステップ、または方法は、別の実施形態には存在しなくてもよい。
【0008】
血糖制御システムの概要
血糖制御システム(BGCS)は、被験者における血糖値を制御するために使用される。血糖制御システムは、被験者に注入することができる1つまたは複数のグルコース制御剤の用量制御信号を生成するように構成されたコントローラを含むことができる。グルコース制御剤には、インスリンおよびインスリン類似体などの血糖値を低下させる傾向がある調節剤、ならびにグルカゴンまたはデキストロースなどの血糖値を上昇させる傾向がある拮抗剤が含まれる。2つ以上のグルコース制御剤とともに使用されるように構成された血糖制御システムは、各薬剤の用量制御信号を生成することができる。いくつかの実施形態では、血糖制御システムは、薬剤が被験者に接続された薬剤ポンプを介した投与に利用可能ではない場合であっても、薬剤のための用量制御信号を生成することができる。
【0009】
グルコース制御剤は、皮下注射、静脈内注射、または別の適切な送達方法によって、被験者に送達することができる。携帯型薬剤ポンプによる血糖制御治療の場合、皮下注射が最も一般的である。携帯型薬剤ポンプ100は、携帯型医療機器の一種であり、本明細書では、携帯型機器、携帯型薬剤機器、移動式携帯型機器、またはAMDと呼ばれることもある。携帯型医療機器は、携帯型薬剤ポンプと、被験者によって運ばれ、被験者に治療を送達するように構成された他の機器とを含む。
【0010】
いくつかの例では、携帯型医療機器(AMD)は電気刺激機器であり、治療送達は被験者に電気刺激を提供することを含む。電気刺激機器の一例は心臓ペースメーカである。心臓ペースメーカは、心筋に電気刺激を発生させて心拍を制御する。電気刺激機器の別の例
は、パーキンソン病または運動障害を治療するための脳深部刺激器である。
【0011】
図1A図1Cは、被験者に接続された携帯型薬剤ポンプを介して血糖制御を提供する、血糖制御システムの例を示す。図1Aでは、薬剤ポンプ100は、注入セット104を使用して注入部位102に接続される。薬剤ポンプは、ポンプ制御部106aとのユーザ対話を介して、ユーザがポンプデータを閲覧し、治療設定を変更することを可能にする、統合されたポンプ制御部106aを有する。グルコースレベルセンサ110は、血糖制御システムによって受信されるグルコースレベル信号を生成する。
【0012】
図1Bでは、薬剤ポンプ100は、無線データ接続を介して外部電子機器108(例えば、スマートフォンなど)と通信する。ポンプ制御部106aおよび106bのうちの少なくともいくつかは、外部電子機器108のユーザインターフェース要素とのユーザ対話を介して操作することができる。グルコースレベルセンサ110はまた、無線データ接続を介して薬剤ポンプ100と通信することができる。
【0013】
図1Cでは、薬剤ポンプ100は、別個の注入セットなしで注入部位102内に挿入する一体型カニューレを含む。ポンプ制御部106bのうちの少なくともいくつかは、外部電子機器108のユーザインターフェース要素とのユーザ対話を介して操作することができる。場合によっては、ポンプ制御部は、直接的または間接的な電子データ接続を介して薬剤ポンプ100に接続する、例えば、クラウドコンピューティングサービスなどの遠隔コンピューティング環境(図示せず)によって生成されたユーザインターフェース要素とのユーザ対話を介して操作することができる。
【0014】
グルコース制御システムは、典型的には、治療情報、グルコースレベル情報、および/またはインターフェース制御部とのユーザ対話を介して治療設定を変更することができる治療制御要素のうちの1つまたは複数を提供するように構成されたユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、ディスプレイと、1つまたは複数のボタン、スイッチ、ダイヤル、静電容量性タッチインターフェース、またはタッチスクリーンインターフェースとを含む電子機器を介して実装することができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースの少なくとも一部分は、1つまたは複数のグルコース制御剤の皮下注射を容易にするように構成された注入セットを介して被験者の身体に繋ぐことができる携帯型薬剤ポンプと一体化される。特定の実施形態では、ユーザインターフェースの少なくとも一部分は、スマートフォンなどの、携帯型薬剤ポンプとは別個の電子機器を介して実装される。
【0015】
図2A図2Dは、グルコース制御システム200の例示的な構成を示すブロック図を示す。図2Aに示すように、グルコース制御システム200aは、電子プロセッサ204aと、プロセッサ204aによって実行可能な命令208aを記憶するメモリ210aとを有するコントローラ202aを含むことができる。コントローラ202aおよびポンプ212は、携帯型医療機器(AMD)100と一体化することができる。AMD100は、外部電子機器との無線デジタルデータ通信のためのトランシーバ214aを含むことができる。メモリ210aに記憶された命令208aが電子プロセッサ204aによって実行されると、コントローラ202aは、被験者の時間変動グルコースレベルおよび1つまたは複数の制御パラメータに基づいて、1つまたは複数のグルコース制御剤に対する用量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装することができる。用量制御信号は、ポンプ212に送達されると、被験者の血糖を制御する投与動作をもたらす。
【0016】
図2Bに示すように、グルコース制御システム200bは、携帯型医療機器100とは別個の電子機器108の電子プロセッサ204bによる命令208bの実行を介して少な
くとも部分的に動作することができる。電子機器108は、AMD100への無線デジタルデータ接続を確立することができるトランシーバ214bを含むことができ、コントローラ202bは、メモリ210bに記憶された命令208bの実行を介して制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装することができる。メモリ210bに記憶された命令208bが電子プロセッサ204bによって実行されると、コントローラ202bは、被験者の時間変動グルコースレベルおよび1つまたは複数の制御パラメータに基づいて、1つまたは複数のグルコース制御剤に対する用量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装することができる。用量制御信号は、ポンプ212に送達されると、被験者の血糖を制御する投与動作をもたらす。いくつかの実施形態では、用量制御信号は、短距離無線データ接続216経由で機器のトランシーバ214bからAMDのトランシーバ214aに送信される。AMD100は、用量制御信号を受信し、この信号を投与動作のためにポンプ212に渡す。
【0017】
図2Cに示すように、グルコース制御システム200cは、例えば、クラウドサービスなどの遠隔コンピュータ206と統合された電子プロセッサ204c上の命令208cの実行を介して少なくとも部分的に動作することができる。メモリ210cに記憶された命令208cが電子プロセッサ204cによって実行されると、コントローラ202cは、被験者の時間変動グルコースレベルおよび1つまたは複数の制御パラメータに基づいて、1つまたは複数のグルコース制御剤に対する用量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部分を実装することができる。用量制御信号は、ポンプ212に送達されると、被験者の血糖を制御する投与動作をもたらす。いくつかの実施形態では、用量制御信号は、エンドツーエンド無線データ接続218経由で遠隔コンピュータのWAN接続インターフェース220cからAMDのWAN接続インターフェース220aに送信される。AMD100は、用量制御信号を受信し、この信号を投与動作のためにポンプ212に渡す。
【0018】
図2Dに示すように、グルコース制御システム200dは、ポンプ212による投与動作に対する用量制御信号を生成するために協働する2つ以上のコントローラ202a、202b、202cを有することができる。遠隔コンピュータ206は、WAN接続インターフェース220cを通過したデータまたは命令を、WAN無線データ接続218を介して電子機器108のWAN接続インターフェース220bに送信または受信することができる。電子機器108は、トランシーバ214bを通過したデータまたは命令を、短距離無線データ接続216を介してAMD100のトランシーバ214aに送信または受信することができる。いくつかの実施形態では、電子機器を省略することができ、AMD100のコントローラ202aおよび遠隔コンピュータ206のコントローラ202cは、ポンプ212に渡される用量制御信号を生成するために協働する。このような実施形態では、AMD100は、遠隔コンピュータ206への直接的なエンドツーエンド無線データ接続をサポートするために、独自のWAN接続インターフェース220aを有することができる。
【0019】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、グルコース制御システム200は、1つまたは複数の電子機器から電子データを送受信するように構成された電子通信インターフェース(ECI)302を実装する回路を含む。ECIは、連続グルコースモニタ(CGM)などのセンサ110からグルコースレベル信号を受信するように構成されたセンサインターフェース304を含む。いくつかのCGMは、5分間隔などの固定された測定間隔でグルコースレベル信号を生成する。センサ110は、被験者の血糖推定値または測定値に対応するグルコースレベル信号を生成するために、被験者に動作可能に接続することができる。グルコースレベル信号は、用量制御信号を生成するためにコントローラ202によって使用することができる。用量制御信号は、ポンプインターフェース306を介してポンプ212に提供することができる。いくつかの実施形態では、センサインターフェー
ス304は、短距離無線接続308を介してセンサ110に接続する。いくつかの実施形態では、ポンプインターフェース306は、短距離無線接続310を介してポンプ212に接続する。他の実施形態では、ポンプインターフェース306は、コントローラ202、ECI306、およびポンプ212がAMD100に一体化されているときなど、ローカルデータバスを介してポンプ212に接続する。
【0020】
コントローラは、基礎用量、補正用量、および/または食事用量のうちの少なくとも1つを生成する制御アルゴリズムを使用して、用量制御信号を生成するように構成することができる。これらの用量を生成するために使用することができる制御アルゴリズムの例は、米国特許出願公開第2008/0208113号、同第2013/0245547号、同第2016/0331898号、および同第2018/0220942号(本明細書において「コントローラの開示」として参照される)に開示されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。補正用量は、調節剤または拮抗剤を含むことができ、コントローラの開示において開示されているものなどのモデル予測制御(MPC)アルゴリズムを使用して生成することができる。基礎用量は、調節剤を含むことができ、コントローラの開示において開示されているような基礎制御アルゴリズムを使用して生成することができる。食事用量は、調節剤を含むことができ、コントローラの開示において開示されているような食事制御アルゴリズムを使用して生成することができる。これらのコントローラのうちの少なくともいくつかについての追加の態様および改良が本明細書に開示される。用量制御信号は、ECI302を介して注入モータ306に送信することができ、またはコントローラ202aが注入モータ306と同じハウジング内に一体化されている場合には、導電体を介して注入モータ306に送信することができる。
【0021】
図4Aに示すように、コントローラ400は、コントローラがセンサ110からグルコースレベル信号402を受信する期間の間、「オンラインモード」で動作するように構成することができる。オンラインモードでは、制御アルゴリズムは、グルコースレベル信号402の値および制御アルゴリズムの制御パラメータに基づいて規則的な補正用量を実施する用量制御信号404を生成する。ポンプ212は、コントローラ400がオンラインモードのままである間、実質的なユーザ介入なしに、少なくとも補正用量および基礎用量を被験者に送達するように構成される。
【0022】
図4Bに示すように、コントローラ400は、コントローラがセンサ110からグルコースレベル信号402を受信しない期間中、少なくともグルコースレベル信号402が予想されるが受信されない期間中、「オフラインモード」で動作するように構成することができる。オフラインモードでは、制御アルゴリズムは、分離グルコース測定値406(例えば、グルコース試験片を使用して被験者から得られた測定値など)に応答して、かつ制御アルゴリズムの制御パラメータに基づいて、補正用量を実施する用量制御信号404を生成する。ポンプ212は、実質的なユーザ介入なしに基礎用量を被験者に送達するように構成され、コントローラ400がオフラインモードのままである間に、分離グルコース測定値406に応答して補正用量を被験者に送達することができる。
【0023】
例示的な携帯型医療機器
いくつかの実施形態では、携帯型薬剤機器(AMD)は、1つまたは複数の薬剤(例えば、インスリンおよび/またはグルカゴン)を被験者または被験体に送達することによって、被験者または被験体に救命治療を提供する移動式または装着型機器であり得る。いくつかのAMDは、センサを使用して被験者の健康状態を連続的に監視し、被験者の状態に基づいて1つまたは複数の薬剤を送達することができる。特定の携帯型薬剤機器は、被験者の健康状態の連続的な監視を可能にし、かつ必要に応じて薬剤を送達するために、被験者が常時(例えば、終日)、または1日の大部分(例えば、起きている時間の間、睡眠時
間中、水泳をしていないときなど)の間、装着され得る。
【0024】
図5Aは、ウェイクボタン506およびタッチスクリーンディスプレイ504を有するハウジング502を備える例示的な携帯型医療機器500の三次元(3D)の図を示す。図5Bは、Aの図に示す携帯型医療機器500の断面図である。この例では、すべての電子モジュール508は、例えば、単一の集積電子基板としてハウジング内に含まれる。ウェイクボタン506は、ウェイクボタン506とのユーザ対話によって生成された入力を登録してウェイク信号を生成する任意の種類のボタン(例えば、静電容量性、機械的)であってもよい。いくつかの実施形態では、ウェイク信号は、センサ(例えば、指紋リーダまたは網膜スキャナなどの生体センサ、光学式またはRF近接センサなど)によって生成される。様々な実施形態では、ウェイク信号は、タッチスクリーンディスプレイ50または英数字パッド(図示せず)とのユーザ対話によって生成されてもよい。いくつかの他の例では、ウェイク信号は、顔認識または他の生体証印に基づいて生成されてもよい。さらに他の例では、ウェイク信号は、RFIDもしくはBluetooth信号などの無線信号によって、または加速度計などの1つもしくは複数の運動センサを使用した動きの検出によって生成されてもよい。ウェイクボタン506は、タッチされた場合、押された場合、または一定時間保持された場合、タッチスクリーンディスプレイ504を起動するウェイク信号を生成することができる。いくつかの例では、ウェイクボタンがタッチスクリーンディスプレイを起動するまでタッチスクリーンディスプレイ504上でのタッチは登録されない。いくつかのこのような例では、AMDは、タッチスクリーンディスプレイ504がウェイクボタン506によって起動された後、ジェスチャ(例えば、本明細書で開示された実施形態のいずれかを参照して記載されたジェスチャ対話のいずれかなど)が受信されるまで、少なくとも特定の種類のユーザ対話または設定変更を受け付けることができないようにロックされたままである。
【0025】
図6は、例示的なAMD500に含まれ得る様々なモジュールを示す。いくつかの例では、すべてのこれらのモジュールは、(図5Bに示すように)単一のハウジング内に一体化されてもよい。いくつかの他の例では、1つまたは複数のモジュールは、有線または無線通信リンク(例えば、Bluetooth)を介してメインユニットと通信する別個のハウジング内に収容された個々のモジュールであってもよい。AMDに含まれるモジュールは、通信モジュール602、信号処理モジュール604、治療送達モジュール606、ユーザインターフェースモジュール608、ならびに制御およびコンピューティングモジュール610を含むことができる。
【0026】
制御およびコンピューティングモジュール610は、1つまたは複数のプロセッサ614と、メインメモリ616と、1つまたは複数の非一時的メモリを備え得るストレージ618と、制御およびコンピューティングモジュール610内のコンポーネント間のデータおよび信号通信ならびに制御およびコンピューティングモジュールとAMDのすべての他のモジュールとの間の通信を可能にするインターフェース612とを含むことができる。メインメモリおよびストレージはそれぞれ、2つ以上のメモリ位置またはセグメントに分割することができる。メインメモリ616は、インターフェース612を介して、制御およびコンピューティングモジュール610の他のコンポーネントならびに他のモジュールと通信することができる。命令は、メインメモリに(例えば、ストレージから)送信することができ、プロセッサ614は、メインメモリ616を介してプロセッサに通信される命令を実行する。ストレージ618は、制御およびコンピューティングシステム610が電力供給されている間または電力供給されていない間、データを記憶することができる。ストレージ618は、直接またはインターフェース612を介してメインメモリとデータを交換することができる。メインメモリ616は、命令を記憶し、この命令をプロセッサ614に通信し、プロセッサ614から実行された命令を受信することができる任意の種類のメモリであり得る。メインメモリの種類には、ランダムアクセスメモリ(「RAM」
)および読み出し専用メモリ(「ROM」)が含まれるが、これらに限定されない。プロセッサ614は、任意の種類の汎用中央処理装置(「CPU」)であってもよい。いくつかの実施形態では、制御およびコンピューティングモジュールは、複合プログラマブル論理デバイス(「CPLD」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)などを含むがこれらに限定されない任意の種類の2つ以上のプロセッサを含むことができる。ストレージ618は、データを受信し、データを記憶し、メインメモリ616および場合によってはAMDの他のモジュールにデータを送信することができる任意の種類のコンピュータストレージであり得る。制御およびコンピューティングシステム610において使用することができるストレージ618の種類は、磁気ディスクメモリ、光ディスクメモリ、フラッシュメモリなどを含むが、これらに限定されない。インターフェース612は、制御およびコンピューティングシステム610内の様々なコンポーネント間のデータ交換をサポートするように構成されたデータ転送バスおよび電子回路を含むことができる。いくつかの例では、インターフェース612はまた、他のモジュール間のデータおよび信号交換、ならびにモジュールのいずれかと制御およびコンピューティングモジュール610との間のデータ交換をサポートすることができる。
【0027】
信号処理モジュール604は、様々なモジュール間の通信およびデータ交換をサポートするように構成された、信号調整および信号変換(例えば、AからDおよびDからAへの変換)のための複数の相互接続された電子モジュールを含むことができる。例えば、信号処理604モジュールは、通信モジュール602から受信されたアナログ信号を変換し、この信号を、(例えば、インターフェース612を介して)制御およびコンピューティングモジュール610に送信され得るデジタル信号に変換することができる。別の例として、信号処理モジュールは、制御およびコンピューティングモジュール610からデジタル制御信号を受信し、この信号を、例えば、1つまたは複数のポンプを制御するために、治療送達モジュール506に送信され得るアナログ信号に変換することができる。
【0028】
治療送達モジュール606は、1つまたは複数の薬剤を被験者に送達するように構成された1つまたは複数の注入ポンプを含んでもよい。薬剤は、治療モジュール606内に収容された1つまたは複数の薬剤カートリッジ内に保管されてもよい。いくつかの例では、治療送達モジュールは、(例えば、信号処理モジュール604を介して)制御およびコンピューティングモジュール610から受信された信号に基づいて注入ポンプを制御するように構成された電子的および機械的コンポーネントを含んでもよい。
【0029】
ユーザインターフェースモジュール608は、AMD、薬剤の種類および送達予定、ソフトウェアステータスなどに関する様々な情報を示すディスプレイを含むことができる。グラフィック画像およびテキストは、OLED、LCDまたはe-inkを含むがこれらに限定されない任意のディスプレイ技術によって表示することができる。いくつかの実施形態では、AMDは、ユーザが情報を入力したり、AMDと対話してAMDの設定を変更したり、特定のアクション(すなわち、ソフトウェアのインストール)に対する要求に応答したりすることなどを許可するユーザインターフェース(例えば、英数字パッド)を含んでもよい。英数字パッドは、数字、アルファベット、および記号文字を有する多数のキーを含むことができる。英数字パッドのキーは、静電容量性または機械的であってもよい。ユーザは、薬剤または治療を受ける被験者であってもよく、臨床医もしくは医療介護提供者、または被験者の親もしくは保護者など、別のユーザであってもよい。いくつかの他の実施形態では、AMDは、出力を生成し、ユーザとAMDとの間の双方向対話を可能にする入力も受け付けるタッチスクリーンディスプレイを含むことができる。タッチスクリーンディスプレイは、グラフィック画像およびテキストを表示し、入力面上のタッチの位置も登録する任意の入力面であってもよい。タッチスクリーンディスプレイは、静電容量性タッチ、抵抗性タッチ、または他のタッチ技術による入力を受け付けてもよい。タッチ
スクリーンディスプレイの入力面は、表面上のタッチの位置を登録することができる。いくつかの例では、タッチスクリーンディスプレイは、一度に複数のタッチを登録することができる。いくつかの実施形態では、英数字パッドは、タッチスクリーンディスプレイ上に表示される。タッチスクリーンは、ユーザが携帯型薬剤機器の1つまたは複数の治療設定を変更することを可能にする、1つまたは複数のユーザインターフェース画面をユーザに提示してもよい。
【0030】
通信モジュール602は、1つまたは複数の無線トランシーバ、1つまたは複数のアンテナ、および複数の電子モジュールを含むことができる。各トランシーバは、アンテナ(例えば、アンテナチップ)を介して、異なる無線規格に基づいて異なる種類の信号を受信または送信するように構成されてもよい。トランシーバは、低電力広域ネットワーク(LPWAN)通信規格を使用する通信をサポートすることができる。いくつかの例では、トランシーバは、3G、4G、4G-LTE、または5Gを可能にするセルラーネットワークトランシーバなどの広域ネットワークとの通信をサポートすることができる。さらに、トランシーバは、無線広域ネットワークとの狭帯域ロングタームエボリューション(NB-LTE)、狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)、またはロングタームエボリューションマシンタイプ通信(LTE-MTC)通信接続を介した通信をサポートすることができる。さらに他の場合には、トランシーバは、Wi-Fi(登録商標)通信をサポートすることができる。いくつかの例では、トランシーバは、キャリア信号との間でベースバンドまたはデータ信号をダウンコンバートおよびアップコンバートすることが可能であってもよい。いくつかの例では、通信モジュールは、携帯型医療システム(例えば、センサ)、移動式機器(例えば、スマートフォン)、Wi-Fiネットワーク、WLAN、無線ルータ、セルラータワー、Bluetooth機器などの他のコンポーネント間でデータを無線で交換することができる。アンテナチップは、Bluetooth、LTE、または3Gを含むがこれらに限定されない様々な種類の無線信号を送受信することができる。いくつかの例では、通信モジュールは、AMDとサーバまたはクラウドネットワークとの間の直接通信をサポートすることができる。いくつかの他の例では、AMDは、中継機器(例えば、スマートフォン)と通信することができる。いくつかの実施形態では、AMDは、移動体加入者を識別して認証するのに必要な情報のすべてを記憶するeSIMカードを含むことができる。eSIMカードは、携帯型機器が非常に安価なIOT機器ベースでデータを送信することを可能にする。他の実施形態では、携帯型医療機器は、2GまたはEDGEなどの狭帯域通信プロトコルでデータを送信するように構成されてもよい。セルラー接続を使用して、携帯型医療機器は、開始時に移動式機器とペアリングされ、医療介護提供者による携帯型医療機器へのリアルタイムデータアクセスを可能にすることができる。特定の実装形態では、携帯型医療機器は、全地球測位システム(GPS)レシーバなどの位置情報レシーバまたはトランシーバを含むことができる。
【0031】
例示的なAMDの動作
いくつかの実施形態では、AMDは、被験者の健康状態と相関する1つまたは複数のパラメータ(例えば、グルコースレベル、グルコース傾向、心拍数、身体運動証印など)に関する情報を連続的に、周期的に、または断続的に受信することができる。この情報は、有線または無線リンク(例えば、Bluetooth)を介してメインユニット600に接続された被験者センサ620(例えば、間質液中の検体を測定した装着型センサ)によってAMDに提供される信号に符号化されてもよい。いくつかの例では、センサによって送信された信号は、通信モジュール602によって受信され、信号を機械可読信号(例えば、デジタル信号)に変換する信号処理モジュール604に送信され得る。信号プロセッサモジュール604によって処理された信号は、制御およびコンピューティングモジュール610に送信されてもよく、そこで、薬剤が被験者に送達されるべきかどうかを判定するために分析される。薬剤が必要であると判定された場合、薬剤の量の制御およびコンピューティングモジュールは、被験者センサ620から受信された情報に基づいて必要な投
与量を計算し、治療モジュールに(例えば、信号処理モジュールを介して)信号を送信して、被験者への薬剤送達プロセスを開始することができる。
【0032】
制御および処理モジュール610内のすべてのプロシージャは、制御およびコンピューティングモジュール610のメモリ(例えば、メインメモリ)のうちの1つにインストールされた1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションによって提供される命令に基づいて、プロセッサ614(または複数のプロセッサ)によって実行される。これらのプロシージャは、薬剤を送達する必要性を判定すること、薬剤の種類および必要な用量を判定すること、治療セッション中の送達速度を判定すること、ユーザインターフェースモジュール108を介して情報(例えば、機器ステータス、次回の送達時間、被験者の血液中の特定の検体のレベルなど)を提供すること、ユーザインターフェース608を介して被験者センサ620から受信された情報を処理することなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1のソフトウェアアプリケーションは、AMDを制御することができ、メインメモリ616にインストールされてもよいが、第2のソフトウェアアプリケーション(例えば、異なるバージョン)は、ストレージ618に記憶されてもよい。いくつかの例では、第1および第2のソフトウェアアプリケーションは両方とも、メインメモリ616にインストールされるが、異なる位置またはセグメントにインストールされてもよい。これらの例では、必要に応じて、機器の制御を第1のソフトウェアアプリケーションから第2のソフトウェアアプリケーションに切り替えることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、携帯型医療機器600は、ユーザまたは制御およびコンピューティングモジュール610によって選択可能な複数の種類の治療を送達することができる。例えば、携帯型医療機器600は、インスリンをユーザに注入する治療を送達することができ、グルカゴンをユーザに注入する治療を送達することもできる。いくつかの例では、ユーザインターフェースは、インスリン、グルカゴン、またはインスリンとグルカゴンの両方の注入をユーザが選択するためのオプションを含むことができる。他の実施形態では、他のホルモン、液体または治療を送達することができる。いくつかの例では、制御およびコンピューティングモジュール610によって実行されるソフトウェアアプリケーションは、センサ620から受信された情報に少なくとも部分的に基づいて、送達される必要があるホルモンの種類を判定することができる。
【0034】
通信およびネットワーク化
図7は、アプリケーション更新を取得するために、AMD702がホストコンピューティングシステム704との接続を確立するために使用することができる様々な方法およびリンクを示す。ホストコンピューティングシステム704は、クラウドコンピューティングネットワーク708または他のネットワーク化されたコンピューティング環境内のサーバ706またはコンピューティングシステムであってもよい。ホストコンピューティングシステム704は、データセンタ(例えば、医療介護提供者のデータセンタ)の一部であってもよい。
【0035】
アプリケーション更新を取得するために、AMDは、デスクトップコンピュータ、移動式機器(例えば、スマートフォン、ラップトップなど)などの中継機器710を介して、ホストコンピューティングシステムとの接続を(例えば、AMDの通信モジュールを使用して)確立することができる。いくつかのこのような例では、AMDは、アプリケーション更新のコピーをホストコンピューティングシステムから直接またはインターネット714を介して取得したユーザのローカル機器712(例えば、臨床用コンピュータ、被験者の家庭用コンピュータ、スマートフォンなど)からアプリケーション更新を受信することができる。いくつかの他の例では、AMDは、Wi-Fi接続を介してローカルエリアネットワーク(LAN)を通じてホストコンピューティングシステム704と通信することができる。あるいは、または加えて、携帯型医療機器は、広域ネットワーク716を介し
てホストコンピューティングシステム704への接続を確立することができるさらに、携帯型医療機器とクラウドコンピューティングサービスとの間に確立された通信接続は、暗号化されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、携帯型医療機器は、広域ネットワーク716(例えば、セルラーネットワーク)経由でホストコンピューティングシステム704と直接的なエンドツーエンド接続を確立することができる。本方法は、携帯型医療機器から公開鍵を受信することを含み得る。公開鍵、およびホストコンピューティングシステム704に記憶された秘密鍵は、ホストコンピューティングシステム704が携帯型医療機器によって送信されたデータ通信を復号することを可能にするために使用され得る。いくつかの実装形態では、直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することは、携帯型医療機器に関連付けられた機器識別子を受信することを含む。機器識別子は、携帯型医療機器に固有の一意の識別子であってもよい。さらに、直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することは、少なくとも部分的に機器識別子に基づいて、携帯型医療機器がコンピューティングシステムと通信することを許可されることを判定することを含み得る。機器識別子は、携帯型医療機器を被験者に提供する前に、ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供されてもよい。例えば、機器識別子は、携帯型医療機器を製造するための製造プロセスの一部として、ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供されてもよい。機器識別子は、携帯型医療機器から治療を受ける被験者のインターネットプロトコル(IP)アドレス、メディアアクセス制御(MAC)アドレス、シリアル番号、または被験者識別子のうちの1つまたは複数を含んでもよく、またはこれらに基づいてもよい。場合によっては、被験者またはユーザは、コンピューティングシステムとの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立するか、または確立を開始する。他の場合では、直接的なエンドツーエンドデータ接続は、被験者またはユーザによるアクションなしに開始または確立され得る。例えば、直接的なエンドツーエンドデータ接続は、特定の時間に、または携帯型医療機器が特定の場所にあるときに自動的に行われ得る。この自動接続は、製造時、出荷時、販売時、または被験者への処方時に携帯型医療機器に供給される情報を使用して行われ得る。場合によっては、広域ネットワークは、インターネット714を含んでもよく、またはインターネットと通信してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、携帯型医療機器は、製造中または被験者に提供される前に、広域ネットワークを介して通信するように構成されてもよい。例えば、製造業者は、携帯型医療機器を無線広域ネットワークプロバイダ(例えば、T-MobileまたはVerizon)に登録し、携帯型医療機器の国際移動体機器識別(IMEI)番号またはシリアル番号をネットワークプロバイダに提供することができる。さらに、製造業者とネットワークプロバイダとの間で、または被験者の健康保険とネットワークプロバイダとの間で、任意の料金が交渉されるか、または支払われ得る。したがって、被験者の携帯型医療機器は、被験者によるいかなるアクションもなしに、ネットワークプロバイダのネットワークを介して通信するように構成されてもよい。
【0038】
いくつかの他の例では、携帯型医療機器は、製造プロセスの一部として、または携帯型医療機器が被験者に提供される前に、クラウドサービスプロバイダのコンピューティングネットワークに事前登録または認証されてもよい。これにより、携帯型医療機器は、被験者による構成なしに、または最小限の構成で、初日からクラウドサービスプロバイダのコンピューティングシステムと広域ネットワーク経由で通信することができる。場合によっては、医療介護提供者などのユーザは、クラウドサービスプロバイダのコンピューティングネットワークにおいて、携帯型医療機器を被験者に登録または関連付けることができる。
【0039】
セキュリティを強化するために、携帯型医療機器は、クラウドコンピューティングシス
テムの許可されたクラウドサーバまたはコンピューティングシステムを一意の識別子を介して(例えば、IPアドレス、MACアドレス、またはURLを介して)識別するホワイトリストを使用することができる。さらに、クラウドコンピューティングサービスは、一意の識別子を使用して、クラウドコンピューティングシステムと通信することが許可される携帯型医療機器および/または他のコンピューティングシステム(例えば、遠隔表示システム)を指定するホワイトリストを有してもよい。
【0040】
セキュリティを強化するために、携帯型医療機器は、クラウドコンピューティングシステムの許可されたクラウドサーバまたはコンピューティングシステムを一意の識別子を介して(例えば、IPアドレス、MACアドレス、またはURLを介して)識別するホワイトリストを使用することができる。さらに、クラウドコンピューティングサービスは、一意の識別子を使用して、クラウドコンピューティングシステムと通信することが許可される携帯型医療機器および/または他のコンピューティングシステム(例えば、遠隔表示システム)を指定するホワイトリストを有してもよい。ホワイトリストは、携帯型医療機器のメモリに記憶されてもよい。さらに、ホワイトリストは、携帯型医療機器の製造中に構成されてもよい。例えば、ホワイトリストは、ネットワーク化されたコンピューティング環境の1つまたは複数のコンピューティングシステムとの通信を確立するための接続情報で構成されてもよい。さらに、携帯型医療機器は、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、ホワイトリストからコンピューティングシステムのアドレスを少なくとも取得し、このアドレスを使用して無線広域ネットワークを介してネットワーク化されたコンピューティング環境のコンピューティングシステムへの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立するように構成されてもよい。さらに、携帯型医療機器は、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、ネットワーク化されたコンピューティング環境のコンピューティングシステムから公開鍵を少なくとも受信するように構成されてもよい。
【0041】
携帯型医療機器のソフトウェア更新
コンピュータのアプリケーションは、リリースされた後に更新されることが多い。場合によっては、アプリケーションは、バグまたは脆弱性を修正するために更新される。他の場合には、新しい機能を導入するか、または既存の機能を改善するために、アプリケーションが更新されるか、または新しいバージョンに置き換えられる。理由にかかわらず、アプリケーションが更新されている間、アプリケーションはシャットダウンされているか、または実行されていない場合が多い。ほとんどのアプリケーションに関して、アプリケーションが更新されるかまたは他の方法で置き換えられている間に、アプリケーションをシャットダウンするかまたは実行しないことにおける害は、最小であるかまたは全くない。例えば、ビデオゲーム、ワードプロセッシング、またはエデュテインメントのアプリケーションが更新されている間に実行されていないことは重要ではない。
【0042】
しかし、携帯型医療機器上のアプリケーションが更新されるかまたは新しいバージョンのアプリケーションに置き換えられている間に、携帯型医療機器上のアプリケーションの実行を停止させることは、不便であり、有害であり、または場合によっては生命を脅かす可能性がある。携帯型医療機器から治療を受けている被験者または被験体が、携帯型医療機器のアプリケーションまたは制御ソフトウェアが更新または置き換えられている間に、治療が所望される状態または必要とされる状態に入る場合、被験者に害が生じ得る。例えば、携帯型医療機器が、1型糖尿病患者によって使用され得るものなど、インスリンポンプであると仮定する。被験者の血糖値が設定値または目標範囲を超えたときに発生するソフトウェア更新プロセスによりインスリンポンプが動作不能になった場合、ユーザは携帯型医療機器から必要なインスリンボーラスを受けることができない。したがって、携帯型医療機器の制御ソフトウェアなどのアプリケーションを更新する際に、被験者の介護または治療の中断を低減または排除することが望ましい。
【0043】
いくつかの実施形態では、携帯型医療機器は、携帯型医療機器によって被験者または被験体に提供される治療を中断することなく、または最小限の中断を引き起こしながら、携帯型医療機器で実行されるアプリケーションを更新するコンピュータ実装方法を含む。本方法は、一般に、携帯型医療機器に含まれるハードウェアプロセッサ(例えば、コントローラなど)によって、例えば、AMDの非一時的メモリに記憶され得る命令のセットに基づいて実行され得る。アプリケーション更新は、アプリケーションの新しいバージョン、置換もしくは代替アプリケーション、またはアプリケーションパッチであり得る。いくつかの例では、アプリケーションは、閾値期間を超えて携帯型医療機器のインスタンスによって使用され、閾値数未満の障害を経験したアプリケーションの古いバージョンであってもよい。アプリケーション更新は、1つまたは複数のホストコンピューティングシステムに記憶することができる。アプリケーション更新は、携帯型医療機器を管理または製造する会社、または機器の製造業者またはライセンシによって認可された他のソフトウェア会社によって、ホストコンピューティングシステムにプッシュされてもよい。
【0044】
図8は、アプリケーション更新のコピーが記憶されるホストコンピューティングシステムまたは他のコンピュータ可読媒体からアプリケーション更新を検出し、ダウンロードするために、AMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。特定の態様では、薬剤送達機器または薬剤ポンプなどの携帯型医療機器は、携帯型医療機器の動作を制御または容易にする制御ソフトウェアまたは他のソフトウェアなどのアプリケーションに対して更新が利用可能であるという指標を受信する(802)ことができる。ソフトウェアの更新は、携帯型医療機器の様々なプロセッサ用のバイナリ実行可能ファイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、指標は、AMDの携帯型医療機器に含まれるソフトウェアまたはハードウェアモジュールによって行われる判定であってもよい。例えば、AMDは、特定のホストコンピューティングシステムに(例えば、AMDの通信モジュールを使用して)アクセスして、AMDのメモリに記憶された更新トリガ条件のセットに基づいて、更新が利用可能であるかどうかを判定することができる。更新トリガ条件のセットは、ユーザによって定義/変更されてもよく、および/またはAMDによってホストコンピューティングシステムから受信されてもよい。例えば、トリガ条件は、ユーザによって設定されるか、またはホストコンピューティングシステムから受信される時間間隔で更新を定期的に検索するようにAMDをプッシュすることができる。あるいは、または加えて、トリガ(ユーザコマンド、携帯型医療機器内での薬剤の交換、特定のネットワークへの接続、または特定の通信トランシーバ(例えば、Wi-Fi)を使用するネットワークへの接続など)に応答して、携帯型医療機器は、特定のホストコンピューティングシステムにアクセスし、更新がAMD上にインストールされたアプリケーションに利用可能であるかどうかを判定することができる。AMD上で更新されるソフトウェアは、携帯型医療機器で現在実行されているか、または将来実行される場合もある。
【0045】
いくつかの実施形態では、指標は、AMDにアクセスしてソフトウェアバージョンおよびハードウェア構成(および保証)を読み出して比較し、ソフトウェアアップグレードに対する携帯型医療機器の適格性を判定することができる、ホストコンピューティングシステムから受信されたクエリであってもよい。シリアル番号、モデル番号、および/またはソフトウェアバージョンは、ソフトウェアアップグレード適格性を判定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、適格性は、機器の地理的位置、および/または機器がローカルエリアネットワーク(例えば、Wi-Fiネットワークなど)もしくは広域ネットワーク(例えば、セルラーネットワークなど)に接続されているかどうかに基づいて判定され得る。様々な実施形態では、携帯型医療機器は、GPS、テキストまたは画像メッセージング、電話通話、およびデータ転送機能を機器に提供するアンテナを有することができる。ソフトウェア更新は、例えば、1~100、1~1000、または1~10000などの様々なサイズの検査群を用いて、制限されたリリースで提供され得る。ソフトウェア更新の公開という段階がある場合がある。いくつかの実施形態では、AMDは、第1
のソフトウェアのバージョン、または携帯型医療機器のモデル識別情報、または携帯型医療機器の製造日で、アップグレード適格性要求に応答することができる。
【0046】
更新が携帯型医療機器で実行されるアプリケーションに利用可能であると判定された場合、携帯型医療機器は、アプリケーションへの更新をホストするホストコンピューティングシステムへの接続を確立する(804)ことができる。このような接続は、図7を参照して上述した1つまたは複数のリンクまたは方法を介して確立することができる。
【0047】
接続が確立されると、携帯型医療機器は、接続経由でホストコンピューティングシステムからアプリケーション更新またはアプリケーション更新をダウンロードする(806)ことができる。いくつかの例では、携帯型医療機器は、ホストコンピューティングシステムからアプリケーション更新のイメージをダウンロードすることができる。アプリケーション更新がダウンロードされている間、携帯型医療機器上のアプリケーションの既存のバージョンは、実行し続けることができる。したがって、アプリケーション更新が携帯型医療機器によって取得されている間、携帯型医療機器によって提供される治療に対する中断はほとんどまたは全くない。
【0048】
アプリケーション更新が取得されると、携帯型医療機器は(機器の制御およびコンピューティングモジュールを使用して)1つまたは複数の動作を実行して、アプリケーション更新がアプリケーションホストシステムから正常にダウンロードされたこと、およびダウンロードが破損していない(808)ことを確認することができる。例えば、携帯型医療機器は、ダウンロードされたアプリケーション更新からハッシュ値またはチェックサム値を計算することができる。このハッシュ値またはチェックサム値は、アプリケーションホストシステムから受信したものと比較されてもよい。計算されたハッシュ値またはチェックサム値が、受信したハッシュ値またはチェックサム値と一致する場合、ダウンロードが完全であり、破損していないと判定され得る。さらに、携帯型医療機器は、チェックサム、タグ、ペイロードサイズ、または任意の他の方法を使用して、アプリケーション更新のダウンロードが完全であり、破損していないことを確認することができる。ダウンロードが破損していると判定された場合、AMDは破損したコピーを破棄し、更新の別のコピーをダウンロードする。ダウンロードが完全であり、破損していないと判定された場合、AMDはインストールステップに進むことができ、そこで、進行中または今後の治療セッションを中断することなく、アプリケーション更新をAMDにインストールすることができる。
【0049】
図9図11は、被験者に提供される治療を中断することなく、ダウンロードされたアプリケーション更新をインストールするためにAMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の例を示すフロー図である。
【0050】
図9に示す例示的な方法では、(例えば、図8を参照して上述した手順を使用して)アプリケーションの更新の破損していないコピーが正常にダウンロードされたことが検証された場合(902)、AMDの制御および計算モジュール(CCM)は、アプリケーション更新をインストールするのに必要な時間量を判定し(904)、トリガ信号がインストールプロセスを開始するのを待つ(906)ことができる。いくつかの例では、CCMは、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を介して、更新がインストールの準備ができていることをユーザに通知する(908)ことができる。通知には、インストール時間および更新に関する情報が含まれる場合がある。このような例では、トリガが受信されない場合、CCMは、新しい更新がインストールの準備ができていることを示す1つまたは複数の通知をユーザに送信することができる。いくつかの例では、トリガは、アプリケーションが正常にダウンロードされたという確認であり得る。あるいは、または加えて、トリガは、携帯型医療機器の一部であるか、または携帯型医療機器
と通信するユーザインターフェースとのユーザまたは被験者による対話に基づいて受信されるユーザコマンドであってもよい。
【0051】
インストール時間は、ダウンロードされたアプリケーション更新とともに提供されるデータまたはメタデータに基づいてCCMによって判定されてもよい。例えば、アプリケーション更新は、インストール時間を含むファイル(例えば、テキストファイルまたは構成ファイル)を含み得る。インストール時間は、携帯型医療機器の製造業者またはアプリケーション更新の発行者によって判定されてもよい。例えば、ソフトウェア更新の開発者は、ソフトウェア更新とともに提供されるインストール時間メタデータを判定するために、いくつかの検査機器にわたってインストール時間を平均することができる。汎用コンピュータは、多種多様な構成を有し、汎用コンピュータの性能は、特定の時間に実行されるアプリケーションに応じて変動し得る。したがって、テスト機器上のインストール時間の測定に基づくアプリケーションのインストール時間の判定は、一般に信頼性に欠ける。しかし、携帯型医療機器は、特定の機能を実行する(例えば、被験者にインスリンを提供する)ように設計された専用機器であることが多いので、製造業者によって試験中に判定されるインストール時間は、多くの場合、被験者の携帯型医療機器におけるインストール時間の信頼できる判定であり得る。製造業者によるテストに基づいてインストール時間を判定することの代替として、またはそれに加えて、アプリケーション更新のインストール時間は、アプリケーション更新のサイズに基づいて判定または推定され得る。場合によっては、提供または推定されたインストール時間はバッファを含み得る。換言すれば、携帯型医療機器の動作条件の変動または推定されたインストール時間の不正確さを考慮するために、追加の時間量がインストール時間に追加されてもよい。
【0052】
トリガが受信された場合(906)、CCMは、任意の進行中の治療セッションを確認する(910)ことができる。治療が現在施されていない場合、CCMは、次の治療時間(または次の治療セッションまでの残り時間)を判定する(914)。治療が現在施されている場合、インストールは、治療セッションがコンピートするまで遅延される(912)。現在の治療セッションが完了すると、CCMは、次の治療セッションまでの残り時間(例えば、インスリンなどの薬剤が被験者に送達される間)を判定する(914)ことができる。
【0053】
場合によっては、治療が次に送達される時間の判定は、治療の過去の送達、被験者の現在の状態(例えば、被験者のグルコースレベルが所望の範囲の中心にある場合、次の治療送達時間は、グルコースレベルが所望の範囲の端にある場合よりも遠く離れていると推定され得る)、および/またはユーザもしくは被験者によって提供される指標(例えば、ユーザが食事を取ること、運動すること、もしくは睡眠に入ることを計画していることの指標)に基づく推定値であり得る。あるいは、または加えて、治療が次に送達される時間の判定は、治療の予定された送達(例えば、5分ごとまたは1時間ごと)に基づいてもよい。
【0054】
前述のように、アプリケーション更新プロセス中の治療の中断を防止することが望ましい。したがって、次の治療時間が判定された後(914)、推定されたインストール時間を、判定または推定された次の治療送達時間と比較して(916)、被験者への次の治療送達の前にアプリケーション更新のインストールを完了することができるかどうかを判定することができる。次の治療セッションまでの残り時間が、インストールを完了するために判定された時間よりも十分に長いと判定された場合、更新されたアプリケーションのインストールを開始する(918)ことができる。いくつかの例では、次の治療セッションまでの判定された時間は、判定されたインストール時間よりも閾値だけ長くなければならない。このような閾値は、異なるアプリケーション更新および/または次の治療セッションの種類に対して異なり得る。次の治療送達の前にアプリケーションインストールを完了
することができない(または次の治療までの残り時間がその推定インストール時間よりも閾値だけ大きくない)と判定された場合、トリガの受信にかかわらず、アプリケーションのインストールが遅延され得る。この場合、CCMは、次の治療が完了するのを待った後、新しい治療時間を判定する(914)ことができる。このプロセスは、CCMが、携帯型医療機器による予測または予定された治療を中断することなく、更新をインストールすることができると判定するまで繰り返されてもよい。いくつかの例では、次の治療の完了前に新たな判定を行って、次の治療時間の後の後続の治療時間の前にインストールを完了することができるかどうかを判定することができる。
【0055】
場合によっては、治療を中断せずにアプリケーションをインストールすることができる時間が特定されないことがある。いくつかのこのような場合、ユーザ(例えば、臨床医もしくは他の医療提供者、または被験者)は、アプリケーション更新が利用可能であること、および/または治療を中断せずにアプリケーション更新をインストールすることができないことのアラートを提供されてもよい。ユーザには、更新を許可するかどうか、および/またはアプリケーション更新をいつインストールするかに関するオプションが提供されてもよい。オプションは、治療の中断が最小であり得るとき、または代替治療源(例えば、注射治療)が利用され得るときに、ユーザがアプリケーション更新を予定に入れることを可能にする推定インストール時間をユーザに提示することを含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、アプリケーションの更新の破損していないコピーが正常にダウンロードされたことが検証されると(902)、AMDの制御およびコンピューティングモジュール(CCM)は、ユーザに通知し、インストール時間を判定する前にトリガ信号を待つことができる。トリガが受信されると、CCMは、携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、アプリケーション更新のダウンロードされたコピーのインストールプロセスを開始する。このような実施形態では、アプリケーション更新は、元のアプリケーションがインストールされ実行されるメモリ位置とは異なるメモリ位置にインストールされてもよい。
【0057】
図10は、被験者に提供される治療を中断することなく、携帯型医療機器で実行される第1のアプリケーションへの更新である第2のアプリケーションをインストールするために、AMDによって使用され得るコンピュータ実装方法の一例を示すフロー図である。この例では、(例えば、図8を参照して上述した手順を使用して)AMDの制御およびコンピューティングモジュール(CCM)が、第2のアプリケーションの破損していないコピーが正常にダウンロードされたことを検証すると(1002)、CCMは、第1のアプリケーションの実行を中断することなく、第2のアプリケーションのインストールプロセスを開始する(1004)ことができる。CCMは、第2のアプリケーションのインストールが成功したことを確認し(1006)、第1のアプリケーションの代わりに第2のアプリケーションの実行を開始するためにトリガ信号を待つ(1010)ことができる。いくつかの例では、第2のアプリケーションのインストールは、AMDのユーザインターフェースを介してユーザに通知を送信する(1008)ことによって確認され得る。いくつかの例では、CCMは、AMDの制御を第1のアプリケーションから第2のアプリケーションに切り替えるために必要な時間量を判定することができる通知は、更新に関する情報およびアプリケーション間の切り替えに必要な時間を含むことができる。いくつかの例では、トリガは、携帯型医療機器の一部であるかまたは携帯型医療機器と通信するユーザインターフェースとのユーザまたは被験者による対話に基づいて受信されるユーザコマンドであってもよい。このような例では、トリガが受信されない場合、AMDは、新しい更新がインストールの準備ができていることを示す1つまたは複数の通知をユーザに送信することができる。トリガが受信された場合、CCMは、任意の進行中の治療セッションを確認する(1012)ことができる。治療が現在施されていない場合、CCMは、次の治療時間(または次の治療セッションまでの残り時間)を判定する(1016)。治療が現在施
されている場合、インストールは、治療セッションがコンピートするまで遅延される(1014)。現在の治療セッションが完了すると、CCMは、次の治療セッションまでの残り時間を判定する(1016)ことができる。推定された次の治療送達時間は、設定された閾値時間と比較されて、次の治療セッションを妨げることなく第1のアプリケーションから第2のアプリケーションへの切り替えが行われ得るかどうかを判定することができる。次の治療セッションまでの残り時間が設定された閾値時間よりも長いと判定された場合、第2のアプリケーションの実行が開始され、第1のアプリケーションの実行が停止される(1020)。いくつかの例では、設定された閾値時間は、第2のアプリケーションを実行し、かつ第1のアプリケーションを停止するのに必要な時間に少なくとも部分的に基づいて、CCMによって判定され得る。いくつかの他の例では、設定された閾値時間は、ホストコンピューティングシステムから受信することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、AMDの制御をアプリケーション更新に切り替える前に、アプリケーション更新の性能を試験することができる。図11は、このような実施形態によって使用され得る例示的な方法を示す。まず、AMDは、(例えば、図8を参照して上述した手順を使用して)第1のアプリケーションの更新の破損していないコピーが正常にダウンロードされたことを検証する(1102)。次に、AMDは、第1のアプリケーションの実行、ひいては携帯型医療機器によって被験者に提供され得る治療を中断することなく、第2のアプリケーションのダウンロードされたコピーをインストールし1104、実行する(1106)ことができる。いくつかの例では、第2のアプリケーション更新は、第1のアプリケーションがインストールされ、実行されている部分とは別の部分(例えば、別個の実行空間または別個のメモリ)にインストールされ得る。AMDの制御およびコンピューティングモジュール(CCM)は、動作条件の最小セットが第2のアプリケーションによって満たされる(1110)ことを判定することができ、この動作条件の最小セットは、携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を維持することに関連する。動作条件の最小セットが第2のアプリケーションによって満たされないと判定された場合、AMDは、第3のアプリケーションが利用可能であるという指標を待ち、第3のアプリケーションの性能を評価するために上述の手順を繰り返すことができる。動作条件の最小セットが第2のアプリケーションによって満たされると判定された場合、AMDは、進行中の治療セッションを確認する(1114)ことができる。被験者に現在治療が提供されていないと判定された場合、CCMは、携帯型医療機器の制御を第1のアプリケーションから第2のアプリケーションに切り替える(1118)ことができる。被験者に現在治療が提供されている場合、CCMは、治療セッションがコンピートするまで待機し(1116)、次いで、AMDの制御を第1のアプリケーションから第2のアプリケーションに切り替えることができる。
【0059】
場合によっては、携帯型医療機器は、更新(またはダウングレード)して、携帯型医療機器に機能を追加(またはこの機器から除去)してもよい。例えば、携帯型医療機器は、最初はインスリン治療のみを提供してもよい。ある時点で、携帯型医療機器は、バイホルモン制御を含むように(例えば、インスリン治療および拮抗剤(例えば、グルカゴン)治療の両方を提供するように)アップグレードされてもよい。アップグレードは、新たに利用可能な機能に基づいてもよく、および/またはユーザが追加の機能を購入するかもしくは他の方法で取得する決定に基づいてもよい。同様に、ユーザは、治療をバイホルモン治療からインスリン単独治療にダウングレードすることを選択することができる。あるいは、アップグレードまたはダウングレードは、薬剤の入手可能性に基づいて行われてもよい。いくつかの例では、第1の更新は、(例えば、インスリン治療を提供する)第1の特徴セットを含む第1のアプリケーションバージョンであり得、第2の更新は、(例えば、インスリン治療とグルカゴン治療の両方を提供する)第2の特徴セットを含む第2のアプリケーションバージョンであり得る。いくつかのこのような例では、第1の特徴セットは、第2の特徴セットのサブセットを含み得る。いくつかの他の例では、第1の特徴セットは
、第2の特徴セットと部分的に重複する特徴のセットを含み得る。
【0060】
いくつかの例では、携帯型医療機器で実行されるアプリケーションへの更新を検出し、ダウンロードし、インストールするためにAMDによって使用され得るコンピュータ実装方法であって、該アプリケーションは、第1の特徴セットを含む第1のアプリケーションバージョンまたは第2の特徴セットを含む第2のアプリケーションバージョンのうちの1つを含む。いくつかの例では、第1の特徴セットは、第2の特徴セットと部分的に重複する特徴のセットを含み得る。いくつかの他の例では、第1の特徴セットは、第2の特徴セットと部分的に重複する特徴のセットを含み得る。AMDは、アプリケーション更新の利用可能性の指標を受信し、アプリケーション更新をダウンロードし、(例えば、図8を参照して上述した手順を使用して)アプリケーション更新の破損していないイメージが正常にダウンロードされたことを検証することができる。次に、AMDの制御およびコンピューティングモジュール(CMM)は、アプリケーションの実行を中断することなく、アプリケーション更新イメージのインストールプロセスを開始することができる。いくつかの例では、AMDによって受信された指標(802)(図8を参照)は、第1のアプリケーションバージョンまたは第2のアプリケーションバージョンへの更新であるアプリケーション更新に関する情報を含み得る。いくつかのこのような例では、CCMは、アプリケーション更新のバージョンを判定し、判定されたバージョンに基づいてアプリケーション更新イメージをダウンロードすることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、任意のダウンロードされたアプリケーション更新は、アプリケーションの現在実行中のバージョンとは別の部分(例えば、別個の実行空間または別個のメモリ)にインストールされてもよい。アプリケーションのインストールが完了し、アプリケーションが正常にインストールされていることが検証されると、アプリケーションのアクティブなバージョンを切り替えることができる。例えば、携帯型医療機器の制御を更新されたアプリケーションに提供することができ、以前に実行していたアプリケーションを中止または停止することができる。次に、古いアプリケーションを削除するか、またはバックアップとして保持することができる。アプリケーションのどのバージョンがアクティブであるかをいつ切り替えるべきかを判定することは、次の治療送達時間を識別し、携帯型医療機器によって提供される治療に中断がないときにアプリケーションのアクティブなバージョンを切り替える時間を選択するために、前述したものと同様のプロセスに従うことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、携帯型医療機器は、アプリケーション(例えば、携帯型医療機器制御ソフトウェア)の複数のインスタンスを記憶するように構成されてもよい。例えば、携帯型医療機器は、第1のメモリ位置(例えば、メインメモリ616)にインストールされ、例えば、被験者によって提供される治療を制御するために実行されているアプリケーションの現在または第1のバージョンを有し得る。さらに、携帯型医療機器は、第2のメモリ位置(例えば、メインメモリ616)にインストールされたアプリケーションの更新された、または第2のバージョンを含むことができる。第2のバージョンの更新は、(例えば、障害の検出の前に)ダウンロードされてインストールされていてもよい。このような実施形態では、アプリケーションの第1のバージョンの実行中に障害が検出されると、携帯型医療機器は、アプリケーションの第2のバージョンの実行を開始し、その後、AMDの制御をアプリケーションの第2のバージョンに切り替えて、被験者への治療を維持することができる。
【0063】
いくつかの例では、AMDにインストールされたアプリケーションの第2のバージョンは、第1のバージョンよりも古いバージョン、または安定性および信頼性の記録を追跡していない可能性があるバージョンであり得る。図12は、このような例のフロー図である。第1のバージョンの実行中にアプリケーション障害が検出されると(1202)、AM
Dの制御およびコンピューティングモジュール(CMM)は、第3の更新をホストし、かつ第3の更新をダウンロードする(1206)ように構成されたホストコンピューティングシステムとの接続を確立しながら、AMDの制御をアプリケーションの第2のバージョンに切り替える(1204)ことができる。アプリケーションの第3のバージョンは、新しいバージョン、第1のバージョンより前のバージョン、検出されたアプリケーション障害に対処する第1のアプリケーションへの更新、または「安全なバージョン」として分類されるべき条件(例えば、最小期間にわたる障害の閾値数または割合未満)を満たす古いバージョンであり得る。(機器にインストールされた)第2のバージョンは、治療を中断することなく、第3のバージョンがダウンロードされインストールされている間(1208)、AMDを制御することができる。第3のバージョンのダウンロードが完了すると、CCMは、第3のアプリケーションのダウンロードされたコピーのインストールプロセスを開始し、携帯型医療機器によって被験者に提供される治療を中断することなく、携帯型医療機器の制御を第2のアプリケーションから第3のアプリケーションに切り替える(1210)ことができる。
【0064】
さらに他の実施形態では、アプリケーションの「安全なバージョン」が、障害の検出前に携帯型医療機器にインストールされていてもよい。アプリケーションの安全なバージョンは、閾値期間を超えて携帯型医療機器のインスタンスによって使用され、閾値数未満の障害を経験したアプリケーションのバージョンを含んでもよい。例えば、アプリケーションの安全なバージョンは、2年の期間にわたって発生する障害の閾値数未満であったことが実証可能なアプリケーションの2年前のバージョンであってもよい。アプリケーションのこの安全なバージョンは、アプリケーションの第1または第2のバージョンよりも少ない機能を有し得る。しかし、アプリケーションの第1または第2のバージョンの実行中に障害が検出されると、携帯型医療機器は、機器の制御をアプリケーションの安全なバージョンに切り替えて、被験者への治療を維持することができる。
【0065】
場合によっては、アプリケーションの更新されたバージョンをインストールする問題がある場合、携帯型医療機器は、AMDにインストールされた現在のバージョンまたは安全なバージョンに戻ることができる。
【0066】
いくつかの他の例では、AMDは、第1のバージョンの実行中に障害が検出されると、ホストコンピューティングシステムとの接続を確立し、第2のバージョンを検索するようにトリガされ得る。これらの例では、携帯型医療機器は、治療を中断することなく第2のバージョンをダウンロードしてインストールしながら、(機器にインストールされた)安全なバージョンに戻ることができる。
【0067】
図13は、AMDによる障害検出に応答する方法のさらに別の例を示すフロー図である。この例では、アプリケーションの第1のバージョンの実行中にアプリケーション障害が検出されると(1302)、AMDの制御およびコンピューティングモジュール(CMM)は、メインメモリまたはストレージ内のアプリケーションの第2のバージョンを探す(1304)ことができる。第2のバージョンが既にダウンロードされていると判定された場合、CCMは、アプリケーションの第2のバージョンがメモリ位置にインストールされ、実行される準備ができているかどうかを判定する(1306)。アプリケーションの第2のバージョンがインストールされていると判定された場合、AMDの制御は、アプリケーションの第2のバージョンに切り替えられる。ブロック1306を参照すると、CCMが、第2のバージョンがメモリ内に存在するがインストールされていないと判定した場合、CCMは、AMDの制御を、既にインストールされている可能性がある安全なバージョンに切り替え、次いで第2のバージョンのインストール(1318)を開始する。第2のバージョンのインストールが完了すると、CCMは、AMDの制御をアプリケーションの安全なバージョンからアプリケーションの第2のバージョンに切り替えることができる。
いくつかの実施形態では、AMDの制御がアプリケーションの第2のバージョンに切り替えられた後、CCMは、以前にダウンロードされた第2のバージョンへの更新であり得るアプリケーションの第3のバージョンを検索する(1310)ことができる。第3のバージョンが見つかった場合、CCMは、第3のバージョンをダウンロードしてインストールし(1312)、AMDの制御を第3のバージョンに切り替える(1314)ことができる。ブロック1304を参照すると、CCMがメモリまたはストレージ位置においてアプリケーションの第2のバージョンを見つけることができない場合、CCMは、AMDの制御を、メモリ位置(例えば、メインメモリまたはストレージ)にインストールされ得るアプリケーションの安全なバージョンに切り替え(1320)、次いで、アプリケーションの第3のバージョンを検索する(1310)。第3のバージョンが見つかった場合、システムは、第3のバージョンをダウンロードしてインストールし(1312)、機器の制御を第3のバージョンに切り替える(1314)ことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、携帯型医療機器で実行されているアプリケーションのアプリケーション障害が検出されると、AMDは、携帯型医療機器の製造業者または保守サービスのホストコンピューティングシステムにアプリケーション障害の指標を送信することができる。いくつかの他の実施形態では、AMDは、AMDのユーザインターフェースまたはAMDと通信するユーザインターフェースを介して、アプリケーション障害が発生したときにユーザに通知することができる。
【0069】
ネットワークに直接接続された医療機器の通信および遠隔閲覧
携帯型医療機器、例えば、携帯型薬剤機器(例えば、血糖制御システム(例えば、インスリンポンプ、またはインスリンおよび拮抗剤を含むバイホルモンのポンプ)、ペースメーカ、または被験者に治療を提供するために被験者に接続され得る任意の種類の医療機器は、被験者に提供される治療に関連する有意な量のデータ(治療データ)を生成することができる。この治療データは、被験者、医療介護提供者、または他のユーザ(例えば、親または保護者)が被験者の健康状態を能動的に管理するのに有用であり得る。例えば、治療データは、治療への変更が望ましいかどうかを判定するために、または意図された治療が適切な時間に実施されていることを確認するために有用であり得る。他の例では、データは、被験者の健康状態に関して即時の注意が必要とされることを治療データが示すときに、被験者の健康状態に関するアラートを生成するために使用され得る。
【0070】
AMDのメモリに記憶された治療データまたは他の種類のデータにアクセスする様々な態様は、許可されたユーザに対して中断されない安全で容易なアクセスを提供するために適切な管理を必要とする。上述のように、データ転送管理に関連付けられたものを含む、AMDによって実行されるプロシージャおよびタスクは、AMD600の制御およびコンピューティングモジュール610によって記憶および実行される特定のコンピュータ実行可能命令に関連付けられてもよい。したがって、様々なデータ転送管理タスクのために使用される様々なAMD構成は、AMD600の制御およびコンピューティングモジュール610の構成であってもよい。
【0071】
携帯型医療機器からデータにアクセスすることは、場合によっては問題となり得る。例えば、データにアクセスするには、ユーザが携帯型医療機器をコンピュータに接続してデータをアップロードする必要がある場合がある。これは、携帯型医療機器を接続することを忘れないようにするユーザの負担となる。さらに、機器がコンピュータに接続されている期間中、被験者は携帯型医療機器から治療を受けていない場合がある。場合によっては、被験者は、機器をコンピュータに接続することができない場合があり(例えば、AMDがローカル機器の範囲内にない場合)、被験者を支援することができる人がいない場合がある。したがって、許可されたユーザとデータ(例えば、治療データ)を安全に共有することができるコンピューティングシステム(例えば、医療介護提供者のコンピューティン
グシステム)への直接的なエンドツーエンド接続は、データ管理およびアクセスを容易にすることができる。
【0072】
図14は、AMD1402がコンピューティングシステム1404に直接接続されている例示的なネットワーク構成を示すブロック図である。コンピューティングシステム1404は、ネットワーク化されたコンピューティング環境1408(例えば、データセンタ、ネットワーク化されたコンピューティングシステム)の一部であってもよく、クラウドネットワーク1406またはクラウドサービスプロバイダのクラウドコンピューティングシステムであってもよい。コンピューティングシステムは、1つまたは複数の非遷移メモリと、1つまたは複数の非遷移メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つまたは複数のハードウェアプロセッサとを含むことができる。いくつかのこのような例では、コンピューティングシステムによって実行されるプロシージャは、コンピューティングシステムのハードウェアプロセッサによってコンピューティングシステムのメモリに記憶された、ある特定のコンピュータ実行可能命令の実行に関連付けられ得る。
【0073】
いくつかの例では、直接的なエンドツーエンドデータ接続は、AMDの通信モジュール602内の1つまたは複数のトランシーバによってサポートされ得る。例えば、直接接続は、様々な無線規格および技術(例えば、4G、5Gなど)を使用する中継システムを使用せずに、広域ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)経由でAMD1402とコンピューティングシステム1404との間に確立することができる。いくつかの例では、トランシーバは、低電力広域ネットワーク(LPWAN)、狭帯域ロングタームエボリューション(NB-LTE)、狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)、またはロングタームエボリューションマシンタイプ通信(LTE-MTC)を含むがこれらに限定されない、通信規格を介した通信をサポートすることができる。場合によっては、トランシーバは常にオンであり、他の場合には、データ転送が予定され、要求され、または起動されるときにトランシーバが起動され得る。場合によっては、コンピューティングシステムと通信する携帯型医療機器1402の能力は、製造中または被験者に機器を提供する前に起動され得る。
【0074】
場合によっては、被験者またはユーザは、コンピューティングシステムとの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立するか、または確立を開始する。例えば、被験者は、携帯型医療機器にクラウドコンピューティングサービスと通信させるためにユーザインターフェースと対話することができる。他の場合では、直接的なエンドツーエンドデータ接続は、被験者またはユーザによるアクションなしに開始または確立され得る。例えば、直接的なエンドツーエンドデータ接続は、特定の時間に、または携帯型医療機器が特定の場所にあるときに自動的に行われ得る。この自動接続は、製造時、出荷時、販売時、または被験者への処方時に携帯型医療機器に供給される情報を使用して行われ得る。さらに、場合によっては、携帯型医療機器は、wifiネットワークまたはローカルエリアネットワーク(LAN)にアクセスすることなく、コンピューティングシステムと通信することができる。例えば、携帯型医療機器は、セルラーまたは他の広域ネットワークを使用して通信することができる。さらに、場合によっては、ユーザによる携帯型医療機器との対話は、従来のネットワーク通信と比較して比較的最小または単純であってもよい。例えば、ユーザは、単一のボタン(例えば、「アップロード」ボタン)を押して、クラウドコンピューティングサービスとの接続の確立をトリガし、携帯型医療機器からクラウドコンピューティングサービスにデータを提供させることができる。
【0075】
場合によっては、携帯型医療機器は、製造時に、または被験者に提供される前に、電源が入れられ、無線広域ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)とペアリングされ得る。さらに、携帯型医療機器は、製造プロセスの一部としてネットワーク化されたコン
ピューティング環境で認証されてもよい。
【0076】
さらに、直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することは、少なくとも部分的に機器識別子に基づいて、携帯型医療機器がコンピューティングシステムと通信することを許可されることを判定することを含み得る。
【0077】
いくつかの実装形態では、直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することは、携帯型医療機器に関連付けられた機器識別子に少なくとも部分的に基づいて、携帯型医療機器がコンピューティングシステムと通信することを許可されることを判定することを含み得る。機器識別子は、携帯型医療機器に固有の一意の識別子であってもよい。機器識別子は、携帯型医療機器から治療を受ける被験者のインターネットプロトコル(IP)アドレス、メディアアクセス制御(MAC)アドレス、シリアル番号、または被験者識別子のうちの1つまたは複数を含んでもよく、またはこれらに基づいてもよい。
【0078】
さらに、直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立することは、少なくとも部分的に機器識別子に基づいて、携帯型医療機器がコンピューティングシステムと通信することを許可されることを判定することを含み得る。機器識別子は、携帯型医療機器を被験者に提供する前に、ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供されてもよい。例えば、機器識別子は、携帯型医療機器を製造するための製造プロセスの一部として、ネットワーク化されたコンピューティング環境に最初に提供されてもよい。要求は、携帯型医療機器に関連付けられた機器識別子を含み得る。
【0079】
携帯型医療機器は、1つまたは複数の承認されたコンピューティングシステムのホワイトリストに基づいて、ネットワーク化されたコンピューティング環境1408のコンピューティングシステム1404を少なくとも識別するように構成され得る。ホワイトリストは、携帯型医療機器1402のメモリ(例えば、AMDの制御およびコンピューティングモジュール内のメモリ)に記憶されてもよい。さらに、ホワイトリストは、携帯型医療機器の製造中に構成されてもよい。例えば、ホワイトリストは、ネットワーク化されたコンピューティング環境の1つまたは複数のコンピューティングシステムとの通信を確立するための接続情報で構成されてもよい。さらに、携帯型医療機器は、ホワイトリストからコンピューティングシステムのアドレスを少なくとも取得し、このアドレスを使用して無線広域ネットワークを介してネットワーク化されたコンピューティング環境のコンピューティングシステムへの直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立するように構成されてもよい。ホワイトリストは、クラウドサービスプロバイダのコンピューティングシステムに関連付けられたMACアドレスまたは静的IPアドレスなど、一意の識別子を含み得る。
【0080】
セキュリティを強化するために、携帯型医療機器は、ネットワーク化されたコンピューティング環境において許可されたクラウドサーバまたはコンピューティングシステムを、一意の識別子を介して(例えば、IPアドレス、MACアドレス、またはURLを介して)識別するホワイトリストを使用することができる。さらに、クラウドコンピューティングサービスは、一意の識別子を使用して、クラウドコンピューティングシステムと通信することが許可される携帯型医療機器および/または他のコンピューティングシステム(例えば、遠隔表示システム)を指定するホワイトリストを有してもよい。
【0081】
AMDがネットワーク経由でデータを通信する場合、データ漏洩のリスクがある。したがって、セキュリティを向上させるために、携帯型医療機器とコンピューティングとの間のすべての通信は、安全なデータ伝送方法に基づいてもよい。例えば、携帯型医療機器は、非対称鍵を使用してすべてのデータを暗号化してもよい。
【0082】
いくつかの例では、治療データは、コンピューティングシステムに転送される前に暗号
化されてもよい。これらの例では、AMDは、AMDのメモリのうちの1つに記憶された公開鍵および秘密鍵を有することができ、AMDが、携帯型医療機器によってコンピューティングシステムに送信されるデータ通信を暗号化することを可能にする。これらの例では、AMDは、治療データとともに公開鍵をコンピューティングシステムに送信することができる。AMDによって提供される公開鍵およびコンピューティングシステムに記憶される秘密鍵は、コンピューティングシステムが携帯型医療機器から受信したデータを復号することを可能にし得る。いくつかのこのような場合、公開鍵はタイムアウトしてもよく、新たな公開鍵が携帯型医療機器から取得され、携帯型医療機器からのその後の通信の復号を容易にすることができる。場合によっては、公開鍵は有効期間(TTL)値に関連付けられてもよい。いくつかのこのような場合、公開鍵はタイムアウトしてもよく、新たな公開鍵が携帯型医療機器から取得され、携帯型医療機器からのその後の通信の復号を容易にすることができる。
【0083】
さらに、安全なデータ送信は、公開鍵および秘密鍵に少なくとも部分的に基づいて共有秘密を生成することを含み得る。いくつかのこのような場合、暗号化されたデータを復号することは、共有秘密を使用して暗号化されたデータを復号することを含む。いくつかの例では、共有秘密は、公開鍵交換アルゴリズム(例えば、Diffie-Hellman鍵交換アルゴリズム)を使用して確立され得る。
【0084】
場合によっては、コンピューティングシステムは、無線広域ネットワークを介した直接的なエンドツーエンドデータ接続経由で携帯型医療機器に記憶されたデータをコンピューティングシステムに転送する要求を受信した後に、データを転送するように構成されてもよい。携帯型医療機器に記憶されたデータをコンピューティングシステムに転送する要求を受信することに応答して、コンピューティングシステムは、直接的なエンドツーエンドデータ接続を介して受信するように構成されてもよい。
【0085】
接続が確立され、治療データがコンピューティングシステムに転送されると、コンピューティングシステムは、携帯型医療機器から受信した治療データを分析し、治療レポートを生成することができる。さらに、コンピューティングシステムは、治療データ分析に基づいてアラーム状態を検出し、被験者である許可されたユーザ(例えば、医療介護提供者)に提供され得るアラームを生成することができる。場合によっては、治療データは、コンピューティングシステムによる自動応答をトリガすることができる。例えば、AMDは、受信されたデータに基づいて、薬剤または別の使い捨て品が少なくなっていると判定することができ、薬剤または使い捨て品を自動的に再注文することができる。
【0086】
場合によっては、コンピューティングシステムは、定期的な予定に基づいて携帯型医療機器からデータを定期的に受信することができる。あるいは、または加えて、データは、コマンドに応答するか、または携帯型医療機器が特定の位置内にあると判定したときに受信されてもよい。例えば、携帯型医療機器が、ローカルエリアネットワーク接続に基づいて、または位置情報システム(例えば、全地球測位システム(GPS))に基づいて、被験者の自宅または医療介護提供者の診療所にあると判定した場合である。いくつかの実装形態では、追加の暗号化されたデータが、携帯型医療機器から断続的に受信される。あるいは、または加えて、追加の暗号化されたデータが、少なくともある期間に連続的に携帯型医療機器から受信される。携帯型医療機器は、データが生成されるときに、またはデータ生成の直後に(例えば、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで(例えば、生成されているデータの数ミリ秒、数秒、もしくは数分以内に))、または指定された期間に大量にデータを送信するように構成されてもよい。特定の期間に大量のデータを送信することは、バッテリ寿命が長くなるが、最新の分析が得られない可能性がある。データは、トランシーバを常にオンに保つことによってオンデマンドで利用可能にされ得るが、これはより多くの電力を消費し得る。したがって、データ転送のスケジューリングは、(1)電力消
費、および(2)許可されたユーザまたはシステムと情報を共有する必要性など、様々な考慮事項に基づいてバランスを取ることができる。
【0087】
場合によっては、コンピューティングシステムは、携帯型医療機器のバックアップとして使用されてもよい。例えば、携帯型医療機器は、毎晩、充電しているとき、または自宅もしくは診療所(例えば、被験者が待合室にいるとき、機器は、医師がアクセスできるデータをアップロードすることができる)の近くにあるとき、コンピューティングシステムにデータをバックアップすることができる。さらに、携帯型医療機器が交換された場合(例えば、新しいモデルのために、または損傷した機器を交換するために)、機器はコンピューティングシステムと自動的に同期して、被験者固有の構成または治療制御データを取得することができる。
【0088】
治療データおよび治療レポート
いくつかの例では、治療データは、携帯型医療機器によって被験者に提供される薬剤の1つまたは複数の用量に対応する用量または投与量データを含む。さらに、治療データは、携帯型医療機器によって判定された被験者の医学的または生理学的状態に対応する被験者データを含むことができる。
【0089】
他の例では、コンピューティングシステムに提供されるデータは、携帯型医療機器によって測定または取得され得る任意の種類のデータを含むことができ、携帯型医療機器によって提供される治療の記録を含むことができる。例えば、データは、治療が提供された時間、治療の一部として提供された薬剤の量、被験者の1つまたは複数のバイタルサインの基準、被験者の異なる時間における血糖値の基準、被験者の位置などを含むことができる。
【0090】
場合によっては、治療データは、インスリンもしくは他の薬剤、またはインスリンポンプ部位キットなど、使い捨て品の使用を追跡するために使用することができる。場合によっては、コンピューティングシステムは、使い捨て品の使用を追跡することに基づいて、特定の時間に使い捨て品を自動的に注文または再注文することができる。あるいは、または加えて、使い捨て品の再注文は、(例えば、無線広域ネットワークを介して、または別個の電子機器を介したローカル接続を介して)携帯型医療機器から開始または実施されてもよい。
【0091】
場合によっては、コンピューティングシステムに転送されるデータは、携帯型医療機器の動作に対応する動作データを含むことができる。あるいは、または加えて、データは、携帯型医療機器の動作におけるエラーに対応するエラーデータをさらに含むことができる。
【0092】
いくつかの例では、データ、治療データおよび/または治療レポートは、コンピューティングシステムのメモリおよび/またはネットワーク化されたコンピューティング環境のストレージに記憶されてもよい。
【0093】
場合によっては、本方法は、治療データをある形式から別の形式に変換することを含むことができる。例えば、本方法は、治療データを、携帯型医療機器上にデータを記憶および/または提示するために使用される形式から、コンピューティングシステム上で記憶または処理され得る形式に変換することを含み得る。場合によっては、治療データは、機械可読形式から人間可読形式に変換される。データは、異なる種類のユーザによって理解され得る、より容易に解釈される形式で記憶され得る。例えば、データは、医療介護提供者のための1つの形式(例えば、センサ読取値)、被験者または被験者の親のための簡略化された形式、異なる種類のユーザにデータを表示するための他のデータ形式で提示されて
もよい。
【0094】
いくつかの例では、複数の被験者に関連付けられた異なるAMDから収集された治療データは、施設または組織(例えば、診療所、保険会社など)とのこれらの被験者の関連付けに基づいて、被験者の群について集約されてもよい。
【0095】
いくつかの他の例では、治療データに少なくとも部分的に基づく治療レポートが、コンピューティングシステムによって生成され得る。治療レポートは、特定の期間にわたって携帯型医療機器によって送達された治療に関する時系列治療データを含むことができる。
【0096】
いくつかの例では、治療レポートはAMDに送信されてもよく、被験者はユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を介してレポートを見ることができる。
【0097】
場合によっては、携帯型機器データおよび/または携帯型機器データに基づいてコンピューティングシステムによって生成されたデータは、コンピューティングシステムから二次的表示システム上で閲覧することができる。例えば、臨床医または親は、彼らの個人用の機器からデータにアクセスすることができる。コンピューティングシステムと閲覧機器との間の通信は暗号化されてもよい。さらに、「フォロワー」(例えば、家族)または臨床医とエンドユーザデータを共有するための許可は、エンドユーザ(例えば、被験者または保護者)によって付与または制御され得る。
【0098】
被験者、診療所、および/または携帯型医療機器の間の関連付けは、携帯型医療機器の機器シリアル番号と被験者および/または診療所との関連付けによって行われてもよい。さらに、ユーザ(例えば、被験者、臨床医、または親)は、携帯型医療機器(例えば、インスリンポンプ)またはCGMセンサのいずれかが機能しない場合、クラウドを介して治療推奨にアクセスすることができる。
【0099】
場合によっては、コンピューティングシステムは、ネットワーク化されたコンピューティング環境とは別個の1つまたは複数の表示システム1410から要求を少なくとも受信して、AMDによって受信されるかまたはAMDに記憶された治療レポート、治療データまたは他のデータにアクセスするように構成されてもよい。場合によっては、表示システムは、医療従事者1414(例えば、医師、看護師など)、被験者の保護者1416(例えば、被験者の両親)、許可されたユーザ1418(例えば、配偶者、親戚、友人など、被験者によって許可されたユーザ)、医療介護提供者1410、または被験者の機器1412(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、タブレットなど)のコンピューティングシステムであってもよい。
【0100】
いくつかの例では、表示システムは、特定の種類の健康問題と関連付けられる治療データ(例えば、糖尿病を管理することと関連付けられるデータ)を分析し、対応する疾患を監視および管理するために、有用な情報を被験者または許可されたユーザに提供する、治療データ管理システムであり得る。
【0101】
要求は、要求を生成したユーザに関連付けられたアカウント識別子を含むことができる。いくつかの例では、アカウント識別子は、被験者に関連付けられた一意の識別子を含むことができる。あるいは、または加えて、アカウント識別子は、治療レポートにアクセスすることを許可されるユーザと関連付けられた一意の識別子を含む。ユーザは被験者であってもなくてもよい。本開示のいくつかの態様では、本方法は、ネットワーク化されたコンピューティング環境のストレージにおいて治療データをアカウント識別子に関連付けることをさらに含み得る。さらに、コンピューティングシステムは、アカウント識別子に関
連付けられたアカウントが治療レポートを閲覧することを許可されているかどうかを判定するように構成されてもよい。いくつかの例では、アカウント許可は、被験者によって付与および/または変更されてもよい。例えば、被験者は、ネットワーク化されたコンピューティング環境1408、例えば、被験者に関連付けられたクラウドサービスプロバイダにおけるアカウントにアクセスすることができ、1人または複数の他のユーザに関連付けられた1つまたは複数の識別子を提供して、コンピューティングシステム上に記憶された被験者の治療データまたはレポートにアクセスする許可を与えることができる。
【0102】
アカウントが治療レポートを閲覧することを許可されていると判定することに応答して、ハードウェアプロセッサは、暗号化された通信チャネル経由で治療レポートを表示システムに送信するように構成することができる。
【0103】
場合によっては、本方法は、ネットワーク化されたコンピューティング環境に記憶された治療データにアクセスすることを許可された1人または複数のユーザの身元または識別情報を受信することを含むことができる。例えば、ユーザまたは被験者は、臨床医もしくは他の医療介護提供者、親もしくは保護者、または被験者が治療データへのアクセスを望む他のユーザを許可することができる。1人または複数のユーザの身元情報は、ユーザを識別するか、またはユーザが認証されることを可能にし得る任意の種類の情報を含むことができる。例えば、身元情報は、名前、一意の識別子(例えば、社会保障番号)、電子メール、住所、電話番号、ネットワーク化されたコンピューティング環境におけるユーザのアカウント情報、または任意の他の識別情報を含み得る。
【0104】
図15は、AMD1402から受信した暗号化された治療データに基づいて治療レポートを生成および共有するためにコンピューティングシステム1404によって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。いくつかの例では、AMD1402は、公開鍵および秘密鍵を使用して暗号化された治療データを生成することができる。本方法は、例えば、AMD1402に含まれる狭帯域ロングタームエボリューション(NB-LTE)トランシーバを使用する無線広域ネットワーク(WAN)を介して、携帯型医療機器への直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立すること(1502)を含むことができる。AMD1402とコンピューティングシステム1404との間の直接的なエンドツーエンドデータ接続が確立されると、コンピューティングシステムは、確立された接続経由でAMD1402から(例えば、暗号化されたデータに関連付けられた)公開鍵を受信する(1504)ことができる。次に、コンピューティングシステムは、携帯型医療機器1402に記憶されたデータ(例えば、治療データ)を直接的なエンドツーエンドデータ接続経由でコンピューティングシステム1404に転送する要求をAMDから受信する(1506)ことができる。いくつかの例では、コンピューティングシステム1404は、AMD1402に関連付けられた機器IDを使用して、AMD1402がデータをコンピューティングシステム1504に転送することを許可されているかどうかを判定することができる。機器IDに基づいて、AMD1402がコンピューティングシステムにデータを転送することを許可されていると判定された場合、暗号化された治療データがコンピューティングシステムに転送され得る(1512)。機器IDに基づいて、AMD1402がコンピューティングシステムにデータを転送することを許可されていないと判定された場合、要求は拒否され得る(1510)。コンピューティングシステムは、(例えば、コンピューティングシステムのメモリに記憶された)秘密鍵およびAMD1402から受信した公開鍵を使用して、暗号化された治療データを復号する(1514)ことができる。いくつかの例では、治療データを使用して、治療レポートを生成する(1516)ことができる。いくつかの例では、復号された治療データおよび/または治療レポートは、コンピューティングシステム1404のメモリに記憶されてもよい。
【0105】
例示的な方法は、ネットワーク化されたコンピューティング環境とは別個の表示システ
ム1410から、治療レポートにアクセスするための要求を受信する(1518)ことをさらに含むことができる。要求は、要求を生成したユーザに関連付けられたアカウント識別子を含むことができる。本方法は、アカウント識別子を使用して、アカウント識別子に関連付けられたアカウントが治療レポートを閲覧することを許可されているかどうかを判定することを含むことができる。コンピューティングシステムは、受信したアカウント識別子に関連付けられたアカウントが必要な許可を有していないと判定し、要求は拒否される(1524)。アカウントが治療レポートを閲覧することを許可されていると判定することに応答して、本方法は、暗号化された通信チャネル経由で治療レポートを表示システムに送信することを含むことができる。
【0106】
特定の実装形態では、本方法は、AMDから受信した治療データまたは他のデータがアラート閾値条件を満たすと判定することをさらに含むことができる。これらの実装形態では、AMDから受信した治療データまたは他のデータがアラート閾値条件を満たすと判定され、コンピューティングシステムは、コンピューティングシステムからアラートを受信するように指定された1つまたは複数の表示システムにアラートを送信することができる。
【0107】
いくつかの例では、アラート閾値条件は、被験者の健康状態と関連付けられてもよい。例えば、アラート閾値条件は、被験者の血糖値が設定値(高血糖または低血糖)より上または下であることを含み得る。いくつかの他の例では、アラート閾値条件は、AMDの動作に関連付けられてもよい。例えば、アラート閾値条件は、治療の速度(例えば、インスリンが被験者に提供される速度)が設定値を上回るまたは下回ることを含むことができる。
【0108】
いくつかの他の例では、アラート閾値条件は、ある期間にわたる治療データの時間的挙動に関連付けられてもよい。例えば、アラート閾値条件は、被験者の血糖値の高低または変動が設定値を上回ることを含むことができる。
【0109】
いくつかの例では、アラート閾値条件は、医療提供者によって定義または設定されてもよい。いくつかのこのような例では、医療提供者は、被験者の健康状態に基づいて、1つまたは複数のアラート閾値条件を変更することができる。
【0110】
図16は、コンピューティングシステム1604(例えば、クラウドネットワーク1606内のコンピューティングシステム)に直接接続されているAMD1602が、AMDから受信したデータ1607が閾値条件を満たすと判定すると、アラート1619(例えば、アラートメッセージ、アラート信号など)を生成して送信することができる、例示的なネットワークおよびデータフロー構成を示すブロック図である。コンピューティングシステム1604は、ネットワーク化されたコンピューティング環境1608(例えば、データセンタ、ネットワーク化されたコンピューティングシステム)の一部であってもよく、クラウドネットワーク1606またはクラウドサービスプロバイダのクラウドコンピューティングシステムであってもよい。コンピューティングシステムは、1つまたは複数の非遷移メモリと、1つまたは複数の非遷移メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つまたは複数のハードウェアプロセッサとを含むことができる。AMDは、1つもしくは複数の医療センサ1605(例えば、検体センサ、温度センサ、心拍センサなど)および/または1つもしくは複数の環境センサ(例えば、位置情報レシーバ、運動センサ、加速度計など)からデータを受信することができる。これらのセンサは、AMDユニットに含まれてもよく、または有線もしくは無線リンクを介してAMDに接続されてもよい。
【0111】
場合によっては、アラート1611を受信する表示システムは、コンピューティングシ
ステム1604から治療レポートを既に受信している表示システムであってもよい。他の例では、表示システムの群は、アラート1611を受信するために、AMDから治療を受けている被験者によって選択および許可されてもよい。AMDからアラート1611を受信することができる表示システムは、医療従事者1614(例えば、医師、看護師など)、被験者の保護者1616(例えば、被験者の両親)、緊急サービス提供者1618、許可されたユーザ1420(例えば、配偶者、親戚、友人など、被験者によって許可されたユーザ)、医療介護提供者1622、または被験者の機器1612(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、タブレットなど)を含むことができる。いくつかの例では、AMDが閾値条件を満たす受信したデータ1607と判定された場合、1つまたは複数の表示システム1610にアラートを送信することに加えて、コンピューティングシステム1604は、AMD1602にアラート1609を送信することができる。
【0112】
いくつかの例では、AMD1602は、所定の期間(例えば、被験者によってAMDに提供される)にわたって生成され、かつアラート閾値条件を満たす任意のデータを捕捉するために、その期間にわたってコンピューティングシステム1604への連続的なデータ転送をサポートする接続を確立するように構成されてもよい。例えば、被験者は、ハイキング中に健康状態が悪化した場合に、許可された表示システムにアラートが送信されることを確実にするために、単独でハイキングに行くときにAMDとコンピューティングシステムとの間の連続的な接続を要求することができる。
【0113】
いくつかの例では、位置情報センサ(例えば、全地球測位システム(GPS)レシーバ)および/または近接センサを使用して、特定の位置におけるデータの自動アップロードなどの位置によって作動する機能を可能にすることができる。
【0114】
場合によっては、携帯型医療機器は、加速度計または位置情報システムを含んでもよく、またはそれらに接続されてもよい。携帯型医療機器のこの速度は、加速度計または位置情報システムに少なくとも部分的に基づいて判定されてもよい。位置および/または速度情報を含む携帯型医療機器1602から取得されたデータ1607を使用して、コンピューティングシステム1604は、インテリジェントアラートを提供することができる。例えば、データが、ユーザが高速度で移動しており(例えば、車で移動している可能性が高い)、ユーザの血糖値が低い(例えば、55mg/dl未満)ことを示す場合、コンピューティングシステムは、被験者が低血糖の危険性があり、運転している可能性があることを救急サービス1618に自動的に警告することができる。さらに、コンピューティングシステムは、被験者の位置を緊急サービス提供者1618に提供することができる。
【0115】
いくつかの例では、コンピューティングシステムは、集約された治療データの傾向に基づいて、または集約された治療データに対する外れ値もしくは治療データの時間ベースの平均に対する外れ値である治療データに基づいて、アラートを生成することができる。
【0116】
さらに、位置情報センサおよび/または運動センサ(例えば、加速度計)を使用して、被験者の速度を検出し、インテリジェントな動き感知アラートを可能にすることができる。例えば、被験者が時速60マイルで移動しており、低血糖を経験している場合、システムは、運転アラートのセットを有効にし、場合によっては将来の治療を予定することができる。運転アラートは、低血糖イベントの危険性により、直ちに停車するよう被験者に通知することができる。さらに、位置情報センサから取得された情報に基づいて、緊急応答者に被験者の位置を通知することができる。被験者が時速6~7マイルで移動している場合、例えば、運動を休止するようにユーザに警告し、低血糖に注意するように、運動アラートを有効にすることができる。被験者が3時間動いておらず、血糖が低い場合、システムは緊急サービスへの自動通知を可能にすることができる。さらに、被験者の動きの判定は、設定点を自動的に調整する(例えば、運動中に設定点を上げる)ために使用すること
ができる。被験者の活動レベルを感知し、アラートおよび治療を改善するために使用することができる。
【0117】
加えて、クラウドサーバは、治療データがアラート閾値を満たす場合に、テキストメッセージまたは通話をフォロワーおよび/またはエンドユーザの電話またはスマート機器に送信することができる。これらのメッセージは、携帯型医療機器上でデータプランのローミングまたは無効化が発生した場合(例えば、利用可能なTCP/IPがない場合)、クラウドコンピューティングシステムから第三者機器に提供され得る。さらに、クラウドコンピューティングサービスは、緊急事態が検出された場合に、テキストメッセージを送信するか、または911に電話をかけることができる。クラウドサーバは、例えば、GPSを介して、エンドユーザの最新の位置を追跡し、その情報をフォロワーおよび/または緊急要員と共有することができる。さらに、クラウドコンピューティングシステムは、エンドユーザが閲覧機器から医療用品を直接注文および再注文することを可能にし得る。
【0118】
さらに、コンピューティングシステムは、通知を生成する(例えば、低血糖の危険性があるときにメッセージを生成する)ことができる。さらに、クラウドにおけるより詳細な処理によって、推奨事項(例えば、Tmax、設定点、または他の制御パラメータ)が改善される可能性がある。
【0119】
図17は、アラート(例えば、アラートメッセージ、アラート信号など)を生成し、1つまたは複数の許可された機器およびAMDに送信するために、コンピューティングシステム1604によって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。本方法は、例えば、AMD1602に含まれる狭帯域ロングタームエボリューション(NB-LTE)トランシーバを使用する無線広域ネットワーク(WAN)を介して、携帯型医療機器への直接的なエンドツーエンドデータ接続を確立すること(1702)を含むことができる。いくつかの例では、直接的なエンドツーエンド接続は、被験者または許可されたユーザ(例えば、被験者の保護者)によって設定された所定の期間、確立され得る。AMD1602とコンピューティングシステム1604との間の直接的なエンドツーエンドデータ接続が確立されると、コンピューティングシステムは、確立された接続経由でAMD1602から公開鍵を受信する(1704)ことができる。次に、コンピューティングシステムは、携帯型医療機器1602によって生成されたデータ(例えば、治療データ、医療センサデータまたは環境センサデータ)をコンピューティングシステム1604に直接的なエンドツーエンドデータ接続経由で転送する要求をAMDから受信する(1706)ことができる。場合によっては、要求は、AMDがAMD1602によって生成された、または1つまたは複数のセンサ(例えば、医療センサ1603または環境センサ1605)から取得された任意のデータをコンピューティングシステム1604に連続的に送信する期間を含み得る。いくつかのこのような場合、AMD1602からコンピューティングシステム1604への連続的なデータ転送のための期間は、AMDの被験者または被験者の保護者によって提供され得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム1604は、AMD1602に関連付けられた機器IDを使用して、AMD1602がコンピューティングシステム1604にデータを転送することを許可されているかどうかを判定することができる。機器IDに基づいて、AMD1602がコンピューティングシステム1604にデータを転送することを許可されていると判定された場合、暗号化された治療データは、コンピューティングシステム1604に転送され得る(1712)。機器IDに基づいて、AMD1602がコンピューティングシステムにデータを転送することを許可されていないと判定された場合、要求は拒否され得る(1610)。コンピューティングシステム1604は、(例えば、コンピューティングシステム1604のメモリに記憶された)秘密鍵と、AMD1602から受信された(1702)公開鍵とを使用して、受信されたデータを復号する(1714)ことができる。いくつかの例では、コンピューティングシステム1604は、受信されたデータ(例えば、治療データ、医療センサデータ、または環境
センサデータ)が閾値条件を満たすかどうかを判定する(1716)ことができる。場合によっては、閾値条件は、被験者または許可されたユーザ(例えば、被験者の保護者)によってAMDに提供され得る。いくつかの他の例では、閾値条件は、医療介護提供者によって提供されてもよい。いくつかのこのような例では、閾値条件はAMDのメモリに記憶され得る。データが閾値条件を満たすと判定された場合、アラートが生成され、アラートを受信することが(例えば、被験者または被験者の保護者によって)許可された1つまたは複数の表示システム1610に送信され得る(1718)。いくつかの例では、被験者または保護者は、1つまたは複数の表示システムのアカウントIDをコンピューティングシステム1604またはネットワーク化されたコンピューティング環境1608に提供することによって、1つまたは複数の表示システム1610がアラートを受信することを許可することができる。
【0120】
不注意による治療変更の防止
上述のように、携帯型薬剤機器は、1つまたは複数のユーザインターフェース画面をユーザに提示することができるユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンインターフェースまたは非タッチスクリーンインターフェース)を含むことができ、このユーザインターフェースは、条件が満たされたときに送達される薬剤の量、または被験者への薬剤の送達をトリガする条件など、携帯型薬剤機器の1つまたは複数の治療設定をユーザが変更することを可能にする。ユーザは、薬剤または治療を受ける被験者であってもよく、臨床医もしくは医療介護提供者、または親もしくは保護者など、別のユーザであってもよい。ユーザインターフェースを含む携帯型薬剤機器では、設定が誤って変更されるか、または自身の行動を十分に理解していないユーザ(例えば、子供または精神的能力が低下したユーザ)によって(意図的または非意図的に)変更される危険性がある。さらに、携帯型薬剤機器は、携帯型薬剤機器が被験者の身体に装着されたときに起こり得るような、ユーザインターフェースとの不注意による対話によって誤って変更された設定を有する場合がある。
【0121】
本項は、例えば、AMDの設定がユーザによって誤って変更された場合、またはユーザインターフェースとの不注意による対話の場合に、薬剤送達における不注意による変更を防止するための携帯型薬剤機器(AMD)に関する。
【0122】
上述のように、いくつかの実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェースを使用して、AMDの制御または構成を変更することができる。AMDの制御または構成がユーザインターフェースによって誤って変更される可能性がある。例えば、ユーザが携帯型医療機器を移動させ得る場合のとき、ユーザは、(例えば、ユーザのジャケットポケットに配置され得る携帯型医療機器に圧力を加えることによって)治療変更入力を開始する携帯型医療機器の入力を不注意に起動する危険性がある。
【0123】
図18を参照すると、いくつかのこのような実施形態では、AMDの制御およびコンピューティングモジュール(CCM)は、不注意による治療変更入力1829を防止するために実装された治療変更プロシージャ1828のセットを含み得る。治療変更プロシージャ1828は、CCMのメモリ(例えば、メインメモリ616)に記憶され、かつプロセッサ614によって実行される命令として実装され得る。ユーザ1827から受信される治療変更入力1829は、携帯型医療機器600が治療変更送達1807を提供する前に、治療変更プロシージャ1828によって検証されてもよい。ユーザインターフェースモジュール1808とのすべてのユーザ対話は、1つまたは複数の治療変更プロシージャ1828を介して、制御およびコンピューティングモジュール(CCM)610によって制御および分析され得る。
【0124】
これらの実施形態では、ユーザ1827は、ウェイクインターフェース1822と対話
することによってAMDをウェイクまたはロック解除することができる。ウェイクインターフェース1822は、予め設定されたユーザ対話を検出したときにCCMへのウェイク入力を生成するように構成された、上述の追加のユーザインターフェースのいずれであってもよい。
【0125】
治療変更入力1829は、ユーザ1827に現在送達されている治療を変更するためにユーザ1827によって提供される入力であり得る。いくつかの実施形態では、治療変更入力1829は、インスリンまたはグルカゴン注入ポンプに、ある量のインスリンまたはグルカゴンのユーザ1827への注入を開始させることができる。あるいは、治療変更入力1829は、ユーザ1827へのインスリンまたはグルカゴンの注入速度を変更することができる。治療変更入力1829はまた、インスリンまたはグルカゴン注入ポンプからユーザ1827へのインスリンまたはグルカゴン注入を取り消すことができる。
【0126】
ウェイクインターフェース1822によってウェイクアクションが検出されると、ウェイク入力が制御およびコンピューティングモジュール610に送信され、そこで、ウェイク入力は、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)をウェイク/ロック解除するためのウェイク信号を生成するウェイク制御プロシージャ1834を模倣する。
【0127】
ウェイク状態および/またはロック解除状態にあるとき、ユーザは、タッチスクリーン1824、英数字パー1826、またはユーザインターフェースモジュール1808に含まれ得る他の種類のユーザインターフェースと対話して、治療変更ユーザインターフェースへのアクセスを得ることができる。
【0128】
治療変更ユーザインターフェースは、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ1824)との第1のユーザ対話によって起動されてもよい。第1のユーザ対話が検出されると、ユーザインターフェースモジュール1808は、制御およびコンピューティングモジュール610に入力信号を送信し、入力信号は、治療変更制御プロシージャ1836によって分析される。第1のユーザ対話が所定の状態のセットを満たすと判定された場合、治療変更制御プロシージャ1836は、治療変更ユーザインターフェースを起動するためにユーザインターフェースモジュール1808への信号を生成する。
【0129】
いくつかの実施形態では、治療変更ユーザインターフェースは、第1のユーザ対話に基づいて制限されてもよい。例えば、治療変更制御プロシージャ1836は、2つの信号のうちの1つをユーザインターフェースモジュール1808に送信することができる。治療変更ユーザインターフェースは、次いで、ユーザ1827のための治療変更選択の異なるオプションをもたらす、2つの異なる治療変更ユーザインターフェースのうちの1つをロック解除することができる。この例の実装形態では、インスリンまたはグルカゴン注入速度を劇的に増加させるなど、有意な治療変更を行うための治療変更選択は、通常の速度または所定の速度でのインスリンまたはグルカゴン注入に必要とされる第1のユーザ対話とは異なる第1のユーザ対話を必要とする。いくつかの例では、第1のユーザ対話は、限定された治療変更選択で治療変更ユーザインターフェースをロック解除する単純な対話(例えば、単純なジェスチャ)であってもよい。別の第1のユーザ対話は、制限のない治療変更選択で治療変更ユーザインターフェースをロック解除する複雑な対話(例えば、一連の複雑なジェスチャ)であってもよい。この実装形態の一例は、子供ユーザに有用であり得る。子供ユーザは、一連の単純な入力からなる第1のジェスチャを実行して、制限された治療変更選択をロック解除することができる。大人ユーザは、一連の複雑な入力からなる第1のジェスチャを実行して、制限のない治療変更選択で治療変更ユーザインターフェースをロック解除することができる。
【0130】
起動されると、治療変更ユーザインターフェースは、ユーザが携帯型薬剤機器の制御または構成を変更することを可能にする1つまたは複数の制御要素または構成要素を提供することができる。制御要素または構成要素は、ユーザが携帯型薬剤機器の構成を変更することを可能にするかまたは可能となる、タッチスクリーン上の任意の種類のユーザインターフェース画面、または非タッチスクリーンのコンテキストにおける他の種類のユーザインターフェースを含むことができる。携帯型薬剤機器の構成のこの変化は、提供される治療の変化、または被験者に治療(例えば、薬剤)を提供させるトリガイベントの検出の変化に関連し得る。例えば、構成の変化は、ユーザの血糖値を調節する1つまたは複数のホルモン(例えば、インスリンまたはグルカゴン)、ユーザの血糖値を調節する1つまたは複数のホルモンの量の間の選択を含んでもよい。
【0131】
場合によっては、携帯型薬剤機器の構成の変化は、携帯型薬剤機器によって自動的におよび/または即時に認識または実施され、および/または携帯型薬剤機器に送信される。他の場合では、変更が携帯型薬剤機器によって実施されるか、または携帯型薬剤機器に送信される前に、変更の確認が必要とされ得る。
【0132】
この確認は、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ1824)との第2のユーザ対話に基づいて入力することができる。第2のユーザ対話が検出されると、ユーザインターフェースモジュール1808は、入力信号を制御およびコンピューティングモジュール2110に送信し、入力信号は治療変更制御プロシージャ1836によって分析される。第2のユーザ対話が所定の状態のセットを満たすと判定された場合、治療変更制御プロシージャ1836は、AMDの構成に対する変更を実施する。
【0133】
第1および/または第2のユーザ対話は、アイコンの選択、一連のタップもしくは入力、1つもしくは複数のジェスチャ(例えば、タッチスクリーンにわたる線形スワイプ、円弧状スワイプ、円形スワイプ、または他の単純もしくは複雑な動き)、タッチスクリーン上でのパターンもしくはシーケンスの実行(例えば、画像の描画)、マルチタッチもしくはマルチ入力対話、前述のものの組み合わせ、またはタッチスクリーンとの任意の他の種類の対話、あるいはこれらの一部を含み得る。一連の入力は、タッチ動作、タッチ点、数字、アルファベット文字、および他の記号の任意の組み合わせであってもよい。ジェスチャ対話は、AMD上に表示または印刷された視覚的証印によって誘導することができる。いくつかの実施形態では、視覚的証印は、タッチスクリーンとのユーザ対話を提案または誘導するアニメーションを含むことができる。例えば、第1のユーザ対話は、略円形のアイコンまたはロゴの少なくとも一部分の周りの円弧状スワイプを含むことができる。いくつかの例では、第1および/または第2のユーザ対話は、数字またはアルファベット入力の所定のシーケンスを含むことができる。いくつかの例では、一連の複数の入力、入力のためのパラメータの範囲は、一連において他の入力に依存し得る。例えば、タッチ動作の要求される開始位置は、前のタッチ動作の位置に依存し得る。一連の入力が入力される時間もまた、パラメータの範囲の一部であってもよい。例えば、一連の入力は、3秒以上、または3秒超、および15秒以下、または15秒未満で入力される必要があり得る。
【0134】
さらに、対話の1つまたは複数は、光学センサ(例えば、可視光またはIRセンサ)、生体センサ(例えば、指紋または網膜スキャナ)、近接センサ、ジャイロスコープ、または加速度計とジャイロスコープとの組み合わせなどのセンサとの対話を含み得る。また、例示的な実施形態では、第2のユーザ対話は、RFIDまたはBluetoothなどの無線信号を介して行うことができる。いくつかの実施形態では、第2のユーザ対話は、インスリンまたはグルカゴンのいずれかに対応するインジケータボックスの選択を受信することと、治療変更選択を送達するために、数値入力の所定のシーケンスを受信することとを含み得る。
【0135】
タッチスクリーンをロック解除し、構成画面へのアクセスを提供し、および/または携帯型薬剤機器の構成の変更を確認するユーザ対話の種類は、同じであっても異なっていてもよい。
【0136】
例示的な実施形態では、システムは、設定された時間の間に対話が生じない場合にユーザインターフェースがオフになり、治療変更要求プロセスを再び開始しなければならないようなタイムアウトを有することができる。タイムアウトの一実装形態では、第2のユーザ対話がユーザインターフェースによって受信される前に、システムがウェイク/ロック解除された後、30秒を超えて対話が生じない場合、ユーザインターフェースは動作停止される。
【0137】
構成変更が確認、実施、または送信されると、携帯型薬剤機器は、変更された構成で動作を開始することができる。
【0138】
この動作は、新しい構成に基づいて治療をトリガすること、または新しい構成に基づいて治療を提供することを含み得る。例えば、携帯型薬剤機器は、変更された構成または制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて用量制御信号を生成してもよく、または治療の提供につながる変更された構成または制御パラメータに少なくとも部分的に基づいてトリガを検出してもよい。
【0139】
図18を参照すると、いくつかの実施形態では、治療変更ユーザインターフェースを通して行われた変更は、CCMに送信され、CCM内の治療制御変更プロシージャ1836は、この変更を機器および被験者監視プロシージャ1832に転送する。機器および被験者監視プロシージャ1832は、AMDのステータス(例えば、治療送達構成)およびユーザ1827(または被験者)の健康状態を監視するために、CCM610内に実装され得る。例えば、被験者監視プロシージャ1832は、ユーザインターフェース(タッチスクリーンディスプレイ1824または英数字パッド1826)を介してユーザ1827によって要求された治療変更に関する情報または被験者センサ1820からの被験者の血液中のグルコースレベルに関する情報を受信することができる。その後、機器および被験者監視プロシージャ1832は、被験者の健康状態および/またはAMD構成に関する情報を薬剤用量制御プロシージャ1830に送信することができる。いくつかの例では、薬剤用量制御プロシージャ1830におけるパラメータは、機器および被験者監視プロシージャ1832によって捕捉された変化および/または情報に基づいて調整され得る。薬剤用量制御プロシージャ1830は、薬剤用量信号を提供することによって薬剤送達インターフェース1806を制御する。薬剤ダズ制御は、検出された被験者の状態または生理学的特性(例えば、被験者センサ1820の読み取り値によって提供される)に基づいて、および治療変更制御プロシージャ1836から受信されたパラメータ値に従って生成され得る。薬剤送達インターフェース1806は、機器および被験者監視プロシージャ1832によって受信された情報に従って、ユーザに治療変更送達を提供することができる。
【0140】
いくつかの例では、用量制御信号は、時間(例えば、薬剤が定期的に送達され得る)、1つまたは複数のコマンド、被験者が特定の活動(例えば、食事を取ること、運動すること、睡眠すること、絶食することなど)に従事することを計画している、もしくは従事していることの指標、または治療(例えば、薬剤送達)のトリガに関連し得る、もしくはそれを引き起こし得る任意の他の要因に基づいて生成されてもよい。
【0141】
図19は、ユーザがタッチスクリーンユーザインターフェースを使用して携帯型薬剤機器の構成を変更することを可能にするためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。ユーザは、ウェイクアクションを使用してタッチスクリーンをウェイク/ロック解除することによって構成変更プロセスを開始することができる。ウェイク
インターフェースによってウェイクアクションが受信されると(1902)、ウェイクインターフェースはウェイク入力をCCMに送信する(1904)。CCM内では、ウェイクプロシージャは、ウェイク信号を生成し(1906)、これがタッチスクリーンをロック解除する(1908)。次に、ユーザによる第1のジェスチャを受信する(1910)ことに応答して、治療変更ユーザインターフェースがロック解除される(1912)。治療変更ユーザインターフェースに提供される1つまたは複数の治療制御要素または構成要素を使用して、ユーザは、治療構成を変更する(1914)ことができる。ユーザは、タッチスクリーン上に第2のジェスチャを提供することによって、行われた変更を確認する(1916)ことができる。確認が受信されると(1916)、要求された変更が実施され、携帯型薬剤機器は、変更された構成で動作を開始することができる。いくつかの例では、ユーザが行われた変更を確認すると、被験者への治療変更送達をトリガする用量制御信号が薬剤送達インターフェース1806に送信され得る。
【0142】
場合によっては、携帯型薬剤機器、またはユーザが携帯型薬剤機器の構成を変更することを可能にする制御機器は、タイムアウト機能を有することができる。タイムアウト機能は、携帯型薬剤機器または制御機器を、ユーザによる非活動時間後にスリープ状態またはロック状態にすることができる。場合によっては、タイムアウト機能は、ユーザが携帯型薬剤機器または制御機器と対話しているかどうかにかかわらず、携帯型薬剤機器または制御機器を特定の時間後にスリープ状態またはロック状態にすることができる。したがって、ユーザは、携帯型薬剤機器の構成を変更するために限られた期間を有することができる。
【0143】
いくつかの例では、ユーザによって行われる治療変更は、ユーザによって受信され確認された治療変更に従って薬剤の送達をトリガすることができる。この治療変更送達は、確認を受信してからの期間から設定された時間後に行われてもよい。
【0144】
AMDのいくつかの実施形態では、アラームステータスインジケータが、ユーザインターフェースを介してユーザに提示され得る。アラームステータスインジケータは、アラートメッセージまたはアラート記号であり得る。アラームステータスインジケータは、ユーザによって行われた構成変更、ユーザ入力に関連しないAMDのステータスの変化、または(例えば、被験者センサによって検出された)被験者の状態に関連し得る。
【0145】
図20Aは、ユーザのウェイクアクションによってタッチスクリーンがウェイク/ロック解除された後で、第1のユーザジェスチャが受信される前の、例示的なAMDのタッチスクリーンディスプレイ2000の図である。タッチスクリーンディスプレイがロックされている間であっても、タッチスクリーンディスプレイ2000は、任意の画像、アニメーション、テキスト、または他のグラフィックスを表示することができる。第1のジェスチャプロンプト2005は、治療変更ユーザインターフェースをロック解除するのに必要な入力をユーザ1827に表示する。ここで、第1のジェスチャプロンプト2005は、大なり記号で開始し、「ロック解除」テキストを横切って右に移動するタッチ動作が受け付け可能な第1のジェスチャであることをユーザ1827に示している。第1のジェスチャプロンプトに加えて、携帯型医療機器600の再充填ステータスがグラフィック表示2010に示される。ここで、グラフィック表示2010は、携帯型医療機器600内のインスリンカートリッジがほぼ満杯であることを示している。現在の血糖値2015が、タッチスクリーンディスプレイ2000の上部に示されており、これにより、血糖値を調節するホルモンの必要性をユーザ1827に知らせることができる。タッチスクリーンディスプレイ2000はまた、グルカゴンのカートリッジのグラフィック表示2020を示す。タッチスクリーンディスプレイ2000におけるアラーム2025のグラフィック表示は、アラートが携帯型医療機器600に設定されていることを示す。
【0146】
図20Bは、第1のジェスチャまたは第2のジェスチャのための所定の一連の入力を入力するようにユーザに促すことができる例示的なタッチスクリーンディスプレイ2050の図である。図20Bに示す実施形態などの様々な実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ2050は、タッチ可能な数字キー2055を表示することができる。様々な実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ2050は、第1のジェスチャまたは第2のジェスチャを完了する一連の入力を入力するようにユーザ1827に促す。コード入力というテキスト2060は、第1のジェスチャまたは第2のジェスチャの一部として所定のまたは事前選択された数列を入力するようにユーザ1827に促す。ユーザ1827によってタイプされている数列は、ユーザ1827に対する補助として入力されると、フィールド2065に表示される。タッチスクリーンディスプレイ2050の入力2070は、第1のジェスチャまたは第2のジェスチャのための所定の一連の入力を完了するために、画面の下部を右に横切るスワイプのタッチ動作が必要とされることを示している。Bluetooth接続記号2075は、携帯型医療機器600が別の電子機器とペアリングされているか、またはペアリング可能であることを示す。
【0147】
図20Cは、例示的な治療変更ユーザインターフェース(この場合、タッチスクリーンディスプレイ2002)の図である。タッチスクリーンディスプレイは、血糖値を調節するホルモンを選択するようにユーザ1827に促すことができる。タッチスクリーンディスプレイ2002は、2つのホルモンの間で選択するオプションをユーザ1827に提示する。タッチスクリーンディスプレイ2002は、ユーザ1827の選択2008を示すことによってユーザ1827を手助けする。選択されたホルモンは「インスリンのみ」2008である。ユーザ1827はまた、血糖値を調節するために、ホルモングルカゴンのみボタン2012、またはインスリンおよびグルカゴン両方のボタン2004を選択するオプションを与えられる。ユーザ1827が血糖値を調節する1つまたは複数のホルモンを選択すると。次へボタン2014は、治療変更選択を完了するか、または追加のオプションを選択するように選択され得る。一実施形態では、追加のオプションを選択するために、治療変更ユーザインターフェースは、ユーザ1827の血糖値を調節する1つまたは複数のホルモンの量を選択するようにユーザ1827に促す。他の実施形態では、ユーザ1827は、血糖値を選択するように促されてもよく、携帯型医療機器200は、ホルモンおよびホルモンの量を選択してもよい。
【0148】
図20Dは、タッチスクリーンディスプレイ2016上の別の治療変更ユーザインターフェースの図である。ここで、ユーザ1827には多数のオプションが与えられる。治療変更ユーザインターフェースにおける1つまたは複数のオプションにより、ユーザ1827は治療変更選択を行うことができる。他のオプションは、治療変更選択に関連する。ホルモン送達ボタン2030により、ユーザ1827は血糖を調節するホルモンをユーザ1827に送達する治療変更を選択することができる。血糖検査ボタン2018により、ユーザ1827はユーザ1827の血糖値を検査することができる。レポート生成ボタン2020は、ユーザ1827に送達された治療変更を報告する文書を生成する。カートリッジ再充填ボタン2022により、ユーザ1827は携帯型医療機器600内のカートリッジに薬剤を充填することができる。クラウドへのアップロードボタン2026により、ユーザ1827は治療変更情報をクラウドベースのサーバに送信することができる。音声制御ボタン2024により、ユーザ1827は携帯型医療機器600によって発せられる音声を制御することができる。設定ボタン2028により、ユーザ1827は携帯型医療機器600の他の設定を操作することができる。
【0149】
上述のように、AMDのいくつかの実施形態では、AMD構成において行われたか、または生じた変更についてユーザに警告するために、ユーザインターフェースを介してユーザにアラームステータスインジケータが提示され得る。
【0150】
例えば、図18を参照すると、ユーザ1827は、ユーザインターフェースを使用し、図19に示す手順に基づいて、治療変更1829を行うことができる。治療変更プロシージャ1836が治療変更を実施すると、AMDは、治療変更が実施されることをユーザに警告することができる。アラートメッセージまたは記号は、治療変更送達1807の前および/またはその間にユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)上に提示されてもよい。例えば、アラームインジケータは、治療変更が発生しようとしていることをユーザ1827に知らせてもよい。治療変更の任意の数の詳細が、アラートメッセージまたは記号の一部として表示されてもよい。場合によっては、アラームステータスインジケータは、ユーザがウェイクアクションを使用してユーザインターフェースをロック解除またはウェイクした後に現れてもよい。
【0151】
図21は、アラームステータスインジケータを生成するためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。いくつかの実施形態では、機器および被験者監視プロシージャ(CCM内では除外される)は、AMDのステータス(例えば、ユーザインターフェース、AMDの様々なモジュールなど)ならびに被験者の健康状態を(例えば、検体センサなどの様々な被験者センサを使用して)連続的に監視することができる。ステータス情報が受信されると(2104)、機器および被験者監視プロシージャは、受信されたステータス情報がアラーム状態を満たすかどうかを判定する(2106)ことができる。受信されたステータス情報がアラーム状態を満たさない場合、カチオンが取られず、機器および被験者監視プロシージャは、AMDおよび被験者を連続的に監視する。受信されたステータス情報がアラーム状態を満たすと判定された場合、システムはウェイク信号を検索する(2108)。ウェイク信号が検出されない場合、システムは、ウェイク信号が受信されるのを待つ(2110)。1つまたは複数のユーザインターフェースまたはセンサを介してウェイク信号が受信されると、CCMは、タッチスクリーンロック画面インターフェースの表示を生成し(2112)、検出されたアラーム状態に対応する1つまたは複数のアラームステータスインジケータをロック画面上に表示することができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、AMDは、ユーザが治療変更を提供し、次いで治療変更を取り消すことを可能にし得る。図22は、タッチスクリーンインターフェースを使用して治療変更を取り消すために使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。ユーザは、ウェイクアクションを使用してタッチスクリーンディスプレイをロック解除し(2202)、1つまたは複数の治療制御要素を表示することができる治療変更ユーザインターフェースに(例えば、第1のジェスチャを使用して)アクセスする(2204)ことができる。次に、治療制御要素への変更の指標が、ユーザインターフェースによって受信され(2206)、続いて、行われた変更(例えば、第2のジェスチャ)の確認が行われ得る(2208)。治療制御要素への変更の指標および確認を受信することに応答して、対応する制御パラメータは、第1の設定から第2の設定に変更され得る(2210)。いくつかの例では、変更が実施されると(2210)、ユーザは、例えば、要求された変更が誤りであることを認識した後に、変更を取り消すことを決定することができる。これらの例では、ユーザは、タッチスクリーン上に第3のジェスチャを提供する(2212)ことができる。第3のジェスチャをユーザインターフェースから受信することに応答して、治療変更プロシージャは、変更された制御パラメータを第1の設定に復元する(2214)ことができる。いくつかの例では、第3のジェスチャは復元ジェスチャであってもよい。場合によっては、復元ジェスチャはスワイプジェスチャであってもよい。いくつかの例では、スワイプジェスチャは、治療制御要素によって占有される治療変更ユーザインターフェースの領域の近くまたはその領域内で実行されてもよい。復元スワイプジェスチャの一例は、スワイプ開始位置から、スワイプ開始位置よりもタッチスクリーンの左端の近くに位置するスワイプ終了位置まで実行することができる。いくつかの実施形態では、復元ジェスチャは、1つまたは複数の治療制御要素が提供される治療変更ユーザインターフェースとは異なるユーザインターフェース画面上で受信される。様々な例では、復元ジェスチャは、治
療制御要素への変更を確認する治療変更確認ジェスチャの反対方向に実行される。
【0153】
いくつかの例では、治療変更要求を取り消すために、復元ジェスチャは、確認ジェスチャがユーザインターフェースによって受信された後、設定された期間内に提供されなければならない。いくつかのこのような例では、設定された期間中に、1つまたは複数の用量制御信号が薬剤送達インターフェースに提供されて、1つまたは複数の治療変更送達をもたらすことができる。
【0154】
場合によっては、システムは、ユーザが確認前に治療変更を変更することを可能にし得る。これらの場合、ユーザは、第2の時間に対する治療制御要素を変更して、対応する制御パラメータを第2の設定から第3の設定に変更することができる。
【0155】
いくつかの例では、第3の設定は第1の設定と同じであってもよい。場合によっては、第1の設定または第3の設定は、デフォルト設定であってもよい。いくつかの他の場合、第1の設定または第3の設定は、復元設定であってもよい。
【0156】
図23Aは、1つまたは複数の薬剤の送達が行われることをユーザに警告するタッチスクリーンディスプレイ2300の図である。アラートは、音または振動効果を伴ってもよい。ここで、アラートは、薬剤の送達が2秒後に行われる(2305)ことをユーザ1827に知らせる。タッチスクリーンディスプレイ2300はさらに、ユーザ1827が治療変更を取り消すためのジェスチャを実行することを可能にする。送達を取り消すためのジェスチャは、小なり記号2310で開始し、「取り消し」テキストを左にスワイプするタッチ動作である。図23Aに示す実施形態では、ユーザ1827による単一のジェスチャが治療変更を取り消すことができる。例示的な実施形態では、ウェイク信号の入力、第1のジェスチャ、治療変更選択、および第2のジェスチャはすべて、送達されている治療を取り消すために必要とされる。
【0157】
いくつかの例では、ユーザは、ユーザによって行われた治療変更に基づいてトリガされた治療変更送達を取り消すことができる。これらの例では、ユーザは、ウェイクアクションを使用してユーザインターフェースにアクセスし、治療変更送達に対応する進行中の治療を取り消すためのジェスチャを提供することができる。
【0158】
図23Bは、薬剤がユーザ1827に送達されていることを示すタッチスクリーンディスプレイ2350の図である。送達中テキスト2355は、薬剤が現在ユーザ1827に送達されていることをユーザ1827に通知する。プログレスバー2360は、送達の進捗をグラフィック表示したものである。図23Bに示すように、送達は開始されたばかりであり、進捗が0である。タッチスクリーンディスプレイ2350は、ユーザ1827が、送達が既に開始されているがまだ完了していない場合に、送達を中断および中止することを含む、送達を取り消すためのジェスチャを実行することを可能にしている。送達を取り消すためのジェスチャは、小なり記号2365で開始し、「取り消し」テキストを左にスワイプするタッチ動作である。図23Bに示す例示的実施形態では、治療変更送達1807は、ユーザ1827による入力によって取り消されてもよい。治療変更送達1807を取り消すための入力は、ウェイク信号入力などの任意の入力、またはジェスチャなどの一連のタッチ入力であってもよい。
【0159】
本開示の1つまたは複数の実施形態と組み合わせることができる携帯型薬剤機器と対話することに関する追加の実施形態は、2019年7月16日に出願された「PREVENTING INADVERTENT THERAPY CHANGES ON AN AMBULATORY MEDICAL DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/874,950号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照
により本明細書に組み込まれ、および2019年7月16日に出願された「CAPACITIVE TOUCH WAKE BUTTON FOR AN AMBULATORY
MEDICAL DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/874,954号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
手動中断後の薬剤送達の自動再開
場合によっては、携帯型薬剤機器の動作を中断するか、または携帯型薬剤機器による薬剤の送達を一定期間少なくとも中断することが望ましい場合がある。例えば、携帯型薬剤機器内の薬剤リザーバまたはカートリッジが空であるか、または交換を必要とする場合、薬剤の送達に関連する動作を中断することが望ましい場合がある。別の例として、携帯型薬剤機器が取り外されるか、または被験者の別の部位に移動されているときに、薬剤の送達を中断することが望ましい場合がある。さらに別の例では、被験者が、携帯型薬剤機器によって提供される薬剤に禁忌をもたらし得る別の薬剤を服用または摂取しているときに、薬剤の送達を中断することが望ましい場合がある。場合によっては、被験者が医療機器によって送達される処置を中断したとき、被験者は、医療機器によって送達される処置を再開することを忘れる場合がある。他の場合では、被験者の健康状態は、中断期間中に悪化し、中断期間の終了前に治療送達を必要とする場合がある。したがって、被験者が一時的に処置を安全に中断することを可能にするAMDが必要とされている。
【0161】
いくつかの実施形態では、AMDは、ユーザがユーザによって定義された期間にすべての治療または治療のサブセットを中断することを可能にする治療中断および再開手順、ならびに要求された中断期間の終了時または閾値条件(例えば、被験者の健康状態に関連する閾値条件)が満たされたときの1つまたは複数の治療の自動再開をサポートすることができる。
【0162】
治療中断をサポートするAMDでは、不注意による起動および/または治療送達の再開は危険であり得る(例えば、AMDがインスリンおよび/またはグルカゴン注入機器である場合)。この危険性を軽減するためのいくつかの例では、AMDは、治療の不注意による中断または再開を回避するように構成され得る。例えば、薬剤送達の中断の不注意による起動は、携帯型医療機器上で中断を起動するためにユーザがジェスチャを実行することを要求することによって防止され得る。ジェスチャは、治療中断を起動するために特定のプロンプトで入力されなければならない。
【0163】
AMDにおける自動再開機能を有する治療中断の1つの特定の用途は、糖尿病薬物送達の分野であり得る。例えば、血糖低下効果がある運動のような状況で、インスリンの送達を中断する能力を必要とする場合がある。インスリン送達の中断は、被験者が重篤な合併症を伴う低血糖状態(極度の低血糖)に入るのを防ぐことができる。治療が中断されると、ユーザは、運動後に薬物送達を再起動することを忘れた場合、高血糖状態(糖尿病性ケトアシドーシスまたは神経血管合併症などの合併症をもたらし得る高血糖)に入る危険性がある。さらに、被験者の血糖値は、運動期間中に危険なレベルより上または下に上昇し得る。これらの状況では、自動薬剤送達再開は、被験者の健康を改善することができる。
【0164】
特定の場合では、AMDは、治療(例えば、薬剤の送達)が中断されるという指標を受信したときに、1つまたは複数の治療送達を中断することができる。治療が中断されるという指標は、ユーザからのコマンドであってもよい。多くの場合、ユーザは被験者であるが、ユーザはまた、被験者の世話に対して発言権または関心を有し得る他のユーザを含み得る。例えば、ユーザは、臨床医もしくは他の医療介護提供者、または親もしくは保護者であり得る。
【0165】
いくつかの例では、治療または薬剤送達が中断されるという指標は、携帯型薬剤機器のインターフェースを介して、または薬剤送達が中断されることを要求するインターフェースをユーザに提供する別の機器から受信されるコマンドであってもよい。例えば、機器は、スマートウォッチ、スマートフォン、ラップトップもしくはデスクトップ、または有線もしくは無線接続を介して携帯型医療機器と通信することができる他の制御機器であってもよい。
【0166】
場合によっては、治療または薬剤送達が中断されるという指標は、携帯型薬剤機器自体から受信されてもよい。例えば、携帯型薬剤機器に利用可能な薬剤の量が閾値を下回った場合(例えば、カートリッジもしくはリザーバが空であるか、または最小投与量を下回った場合)、薬剤送達を中断するための信号が生成されてもよい。いくつかの実施形態では、治療の中断は、グルコースレベル信号の損失などのセンサ信号の損失に基づいて生じる。
【0167】
図24は、例示的なAMDにおいて、治療中断要求を受信、受け付け、および/または取り消しに関与するモジュールおよびプロシージャ間の相互接続を示す。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の治療(例えば、被験者への1つまたは複数の薬剤の送達)を中断するための要求は、ユーザインターフェースモジュール2408によって提供される治療中断ユーザインターフェースを通して、入力2429(例えば、治療中断の開始および停止時間、中断されるべき治療の種類の選択など)を提供することによって、ユーザ2427によって行われることができる。治療中断ユーザインターフェースは、対応する情報とともに中断要求をCCMに送信し、CCMにおいて実装された中断制御プロシージャ2436は、治療中断信号を処理し、機器および被験者監視プロシージャ2432に送信する。不注意による治療中断要求入力2429を防止するために、治療中断制御プロシージャは、治療中断要求を検証するための治療中断要求検証プロシージャを含むことができる。
【0168】
機器および被験者監視プロシージャ2432は、AMDのステータス(例えば、治療送達構成)およびユーザ2427(または被験者)の健康状態を監視するために、CCM210に実装されてもよい。例えば、被験者監視プロシージャ2432は、治療中断の要求を受信すると、ユーザ2427による期間要求中に薬剤送達インターフェース2406にダズ制御信号を送信すべきではないことを示す信号を薬剤用量制御プロシージャ2430に送信することができる。場合によっては、中断期間中に特定の予め設定された条件が満たされる場合、機器および被験者監視プロシージャ2432は、薬剤用量制御2430に信号を送信することによって治療送達を自動的に再開する。例えば、中断期間中に、被験者センサ2420が、設定された閾値を超える被験者の血液および/または間質液中の1つまたは複数の検体のレベルの上昇を検出した場合、機器および被験者監視プロシージャは、用量制御信号を薬剤送達インターフェース2406に送信することによって、被験者2427への薬剤送達を再開することができる。
【0169】
中断の不注意による起動を防止するために、ユーザは、ユーザインターフェースモジュール2408を起動するウェイクアクション(例えば、ウェイクインターフェース2422によって受信され、ウェイク制御プロシージャ2434によって処理される)で開始する治療中断要求を開始することができる。ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との第1の対話を使用して、ユーザは、治療中断に関する情報が提供される治療中断ユーザインターフェースをロック解除することができる。次に、ユーザは、ユーザインターフェースとの第2の対話を使用して、要求された治療中断を確認することができる。いくつかの例では、システムは、ユーザインターフェースとの第1および第2の対話が治療中断制御プロシージャ2436によって検証された場合にのみ、治療中断ユーザインターフェースへのアクセスを許可し、中断要求を受け付けることができる。
【0170】
いくつかの例では、治療中断制御プロシージャ2436は、(例えば、通信モジュールを介して)携帯型医療機器600に接続された別の機器から中断の要求および中断情報を受信することができる。
【0171】
ユーザによって提供される中断情報は、中断に必要なパラメータのセットを含むことができる。例えば、中断情報は、治療中断を開始および終了するための日付および/または時刻、治療送達の早期再開をトリガし得る閾値条件を定義するために必要とされる閾値などを含み得る。いくつかの他の例では、中断情報は、治療の中断が、特定の時間に、または特定のイベント後(例えば、薬剤の次の用量が送達された後、または被験者の状態が、所望の血糖範囲の中間などの特定の状態に達した後)に起こるべきであることを示してもよい。いくつかの例では、閾値は、被験者センサ2420またはユーザ2427の健康状態に関連付けられた1つまたは複数のパラメータを監視するために使用され得る他の種類のセンサによって提供される入力に関連付けられ得る。
【0172】
中断のパラメータは、中断の開始状態および停止状態を含み得る。中断の開始状態は、満たされたときに中断を起動する状態であってもよい。いくつかのこのような例では、開始状態は、タイマが切れたときに満たされる。同様に、停止状態は、満たされたときに中断を終了する状態である。一例では、停止状態は、タイマが切れたときに満たされる。別の例では、停止状態は、閾値が満たされたときに満たされる。閾値は、ユーザの血液のグルコース濃度など、携帯型医療機器によって(例えば、被験者センサ2420によって)取られる測定値に関連し得る。閾値は、グルコース濃度が設定濃度を上回る、下回る、または一致する場合に満たされてもよい。複数の状態が、中断要求インターフェースコンポーネントによって設定され得る。例えば、時間条件および閾値条件が同時に設定されてもよい。ユーザは、中断が設定時間後に終了するように指定することができる。しかし、ユーザのグルコース濃度が閾値を満たす場合、中断は設定時間よりも早く終了し得る。
【0173】
場合によっては、治療を中断するための要求は、無期限の中断期間を含み得る。換言すれば、要求は、ユーザによって指定された期間または再開状態の識別を含まなくてもよい。いくつかの他の場合では、指標は、定義された期間の間、またはさらなる対話もしくはイベントが生じるまで、治療の送達を一時的に中断するための要求を含み得る。したがって、再開状態は、時間の満了またはアクティブなイベント(例えば、コマンドまたは被験者の判定された状態)を含み得る。さらに、中断される治療は、任意の種類の治療を含み得る。例えば、中断される治療は、インスリン、拮抗剤(例えば、グルカゴン)、またはインスリンおよび拮抗剤の両方を含み得る薬剤の送達の中断であってもよい。場合によっては、携帯型薬剤機器は、複数の薬剤(例えば、インスリンおよび拮抗剤の両方)を投与することができ、かつ/または投与するように構成されてもよい。いくつかのこのような場合、治療を中断するための要求は、これらの薬剤のうちの1つ(例えば、インスリンまたは拮抗剤)または両方を中断するための要求を含み得る。
【0174】
ユーザインターフェースとの対話は、アイコンの選択、一連のタップもしくは入力、1つもしくは複数のジェスチャ(例えば、タッチスクリーンを横切るスワイプまたは他の単純もしくは複雑な動き)、タッチスクリーン上でパターンもしくはシーケンスを実行すること(例えば、画像を描画すること)、マルチタッチもしくはマルチ入力対話、前述のものの組み合わせ、またはタッチスクリーンとの任意の他の種類の対話、あるいはこれらの一部を含み得る。一連の入力は、タッチ動作、タッチ点、数字、アルファベット文字、および他の記号の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの例では、第1および/または第2のユーザ対話は、数字またはアルファベット入力の所定のシーケンスを含むことができる。いくつかの例では、一連の複数の入力、入力のためのパラメータの範囲は、一連において他の入力に依存し得る。例えば、タッチ動作の要求される開始位置は、前のタッ
チ動作の位置に依存し得る。一連の入力が入力される時間もまた、パラメータの範囲の一部であってもよい。例えば、一連の入力は、3秒以上、または3秒超、および15秒以下、または15秒未満で入力される必要があり得る。場合によっては、視覚的なガイドが、ユーザ対話を生成する際にユーザを支援することができる。例えば、1つまたは複数の矢印または画像をユーザに提示して、治療の送達を中断するコマンドを提供する際にユーザを誘導することができる。
【0175】
さらに、対話の1つまたは複数は、光学センサ(例えば、可視光またはIRセンサ)、生体センサ(例えば、指紋または網膜スキャナ)、近接センサ、ジャイロスコープ、または加速度計とジャイロスコープとの組み合わせなどのセンサとの対話を含み得る。また、例示的な実施形態では、第2のユーザ対話は、RFIDまたはBluetoothなどの無線信号を介して行うことができる。いくつかの実施形態では、第2のユーザ対話は、インスリンまたはグルカゴンのいずれかに対応するインジケータボックスの選択を受信することと、治療変更選択を送達するために、数値入力の所定のシーケンスを受信することとを含み得る。
【0176】
タッチスクリーンをロック解除し、治療中断ユーザインターフェースへのアクセスを提供し、または中断要求を確認するユーザ対話の種類は、同一であってもよく、または異なってもよい。
【0177】
例示的な実施形態では、システムは、治療中断要求プロセス中の各ステップにおいて設定された時間の間に対話が生じない場合にユーザインターフェースがオフになり、治療中断要求プロセスを再び開始しなければならないようなタイムアウトを有することができる。タイムアウトの一実装形態では、第2のユーザ対話がユーザインターフェースによって受信される前に、システムがウェイク/ロック解除された後、30秒を超えて対話が生じない場合、ユーザインターフェースは動作停止される。
【0178】
図25は、AMDによって実施され得る中断要求を受信して実施するための例示的な方法を示すフロー図である。この例では、ユーザは、タッチスクリーンインターフェースを使用して、治療中断を要求し、確認することができる。ユーザがウェイクアクションを使用してタッチスクリーンを起動すると(2502)、AMDは、タッチスクリーン上での第1のジェスチャを待つことができる。ユーザが第1のジェスチャを提供し、ジェスチャが治療中断制御プロシージャ2436によって検証された後、治療ユーザインターフェースが起動されてもよく(2506)、ユーザは、治療中断を要求し、中断情報(例えば、開始日/時間および停止日/時間ならびに/または再開状態)を提供する(2508)ことができる。次に、AMDは、ユーザインターフェース上で第2のジェスチャを待つ(2510)ことができる。第2のジェスチャが受信され、治療中断制御プロシージャ2436によって検証された場合、治療送達は中断される(2512)。第2のジェスチャが治療中断制御プロシージャ2436によって受信されないか、または検証されない場合、治療中断制御プロシージャ2436は、治療中断要求を受信してから設定時間が経過しているかどうかを判定する(2514)ことができる。治療中断要求を受信してから設定時間が経過したと判定された場合、要求は取り消され、タッチスクリーンはロックされる(2516)。治療中断を受信してからの時間が設定時間未満であると判定された場合、AMDは、第2のジェスチャが受信されるのを待つことができる。
【0179】
いくつかの例では、ウェイクアクションが受信されると(2502)、AMDは、第1のジェスチャを必要とすることなく(2504)、治療中断ユーザインターフェースを自動的に起動する(2506)ことができる。これらの例では、治療中断の要求が受信されると(2508)、要求を検証するためにジェスチャ(例えば、第1のジェスチャ)が必要とされ得る。いくつかのこのような例では、治療送達が中断されると、第2のジェスチ
ャは、停止パラメータの状態のいずれかが満たされる前に中断を停止することができる。これにより、ユーザは起動された中断を変更することができる融通性を得ることができる。
【0180】
図26は、ユーザが治療中断ユーザインターフェースを起動したときに携帯型医療機器が表示することができる複数の画面の図2600である。画面2602は、携帯型医療機器がユーザ2427に表示することができるユーザインターフェースを示す。ディスプレイは、第1および第2のジェスチャを含む入力を受け付けることができるタッチスクリーンディスプレイ2424であってもよい。治療中断システム600は、図26に示すディスプレイに限定されない。様々なディスプレイが、図26に示す同じ情報をユーザ2427に伝達することができる。画面2602により、ユーザ2427は様々な機能を選択することができる。画面2602上に示す休止ボタン2603は、ユーザ2427への薬剤の送達を中断する機能である。休止ボタン2603が選択されると、ユーザ2427は、休止画面2604に迎えられる。休止画面2604により、ユーザ2427は薬剤中断の継続時間を選択することができる。携帯型医療機器600は、ユーザ2427が薬剤中断の継続時間を選択することができるように様々なインターフェースを表示してもよい。休止画面2604は、ユーザ2427に2つの継続時間オプションのうちの1つを与える単純なインターフェースを示す。
【0181】
ユーザ2427が休止画面2604上で継続時間を選択したとき、休止画面2606は、ユーザ2427が選択した継続時間2607(例えば、図ではユーザ2427が1時間を選択した。したがって、中断開始後1時間は薬剤送達が中断される)をユーザ2427に示す。休止画面2606は、薬剤中断が開始する前に、要求された中断を確認するためのジェスチャをユーザが行うためのプロンプト2608を有する。プロンプト2608によって示されるように、ユーザ2427は、画面の下部を右にスワイプするように促されている。ユーザ2427が薬剤中断を開始するジェスチャを実行すると、中断画面2610がタッチスクリーン上に表示される。中断画面2610は、薬剤が休止されることをユーザ2427に通知する。ユーザ2427は、携帯型医療機器をロック解除するために別のジェスチャを実行するオプションを有する。ユーザ2427が機器をロック解除するためのプロンプト2612は、携帯型医療機器600上でより多くの機能を実行するために、ユーザに別のスワイプを実行させる。
【0182】
薬剤送達を中断することは、1回分の薬剤を送達するための用量制御信号を生成しないことによって起こり得る。あるいは、または加えて、薬剤送達を中断することは、治療または薬剤を被験者に提供することを中止する信号を薬剤ポンプに送信することによって行われてもよい。
【0183】
場合によっては、携帯型薬剤機器は、治療を中断するためのコマンドを受信するとすぐに治療を中断しない場合がある。例えば、携帯型薬剤機器が薬剤を送達する過程にある場合、または被験者の状態(例えば、血糖)を特定の状態(例えば、所望の血糖範囲内)に維持するために薬剤がすぐに必要とされ得ることを被験者の状態が示すと判定した場合、治療の中断は、少なくとも薬剤が送達されていない時間が中断期間中に必要とされないと予測されるまで、または次の治療が送達されるまで、遅延され得る。いくつかのこのような場合、携帯型薬剤機器は、治療の中断が遅延していることをユーザに通知することができる。さらに、携帯型薬剤機器は、遅延の理由を示してもよい。場合によっては、ユーザは、遅延を無効にし、治療の即時中断を要求することができる場合がある。例えば、ユーザが薬剤カートリッジを交換している場合、ユーザは、治療の中断を遅延させるべきであるという指標を無効にすることができる。場合によっては、要求された開始時間は、判定された被験者の状態によって無効にされ得る。
【0184】
治療の中断または薬剤の送達の中断は、再開状態が生じるまで継続することができる。特定の場合では、再開状態が満たされると、中断期間は、ユーザまたは被験者によるアクションなしに自動的に終了する場合がある。
【0185】
再開状態は、期間の満了、ユーザ(例えば、被験者)からのコマンド、携帯型薬剤機器が状態を満たすこと(例えば、薬剤が再充填されたこと)の検出、被験者の状態が特定の基準を満たすこと(例えば、被験者の血糖値が閾値範囲を下回るかまたは閾値範囲を超えて上昇すること)の検出、または治療の中断の理由を満たし得るかもしくは治療の中断の要求を無効にする任意の他の状態を含み得る。例えば、薬物送達機器は、グルコース閾値に達するか、またはそれを超えるとき、薬物送達を自動的に再開するように構成され得る。この閾値は、例えば300mg/dlに設定することができる。再開状態は、低血糖もしくは高血糖の差し迫った危険性、または低血糖もしくは高血糖イベントの検出を含み得る。さらに、再開状態は、食事告知、または「運動終了告知」、動作感知イベント、他の投与された薬剤の休止、定義されていない中断長さの終了(例えば、カートリッジ交換中)、速度ベースの再開イベント、位置ベースの再開、緊急事態(例えば、介護者管理ソフトウェアまたは臨床医から命じられる)の場合の遠隔再開、または任意の他の種類の再開イベントを含み得る。場合によっては、再開状態は、基準の組み合わせを含むことができる。
【0186】
場合によっては、治療を自動的に再開することは、中断期間の満了前に治療の中断を中止することを含み得る。例えば、治療を中断させた状態が中断期間の満了前に解決された場合、治療が再開されてもよい。
【0187】
場合によっては、再開状態(ユーザによって提供される)が満たされたとき、携帯型薬剤機器は、治療が再開される前に携帯型薬剤機器の1つまたは複数の追加の状態が満たされていることを確認することができる。例えば、携帯型薬剤機器が、薬剤が再充填されていないと判定した場合、または再充填に問題がある(例えば、カートリッジが誤って取り付けられている)場合、携帯型薬剤機器は、治療を再開するためのトリガにもかかわらず、治療の中断を維持し続けることができる。
【0188】
いくつかの例では、治療中断は、ユーザインターフェースとの第3の対話(例えば、ジェスチャ)が検出される場合、終了されてもよい。第3のユーザインターフェース対話は、ユーザインターフェースモジュール2408によって検出され、治療中断プロシージャ2436に送信されてもよい。治療中断プロシージャ2436が、ユーザインターフェースとの第3の対話が所定の第3のユーザインターフェース対話であることを検証した場合、治療中断プロシージャは、薬剤用量プロシージャ2430を起動するために機器および被験者監視プロシージャ2432に信号を送信することができる。これにより、ユーザは確認(ユーザインターフェースとの第2のインターフェース)前にユーザが設定した中断期間において、起動していた中断を終了することができる融通性を得ることができる。場合によっては、ユーザは、現在の治療中断の起動前に設定された1つまたは複数の中断状態を変更するために、治療中断を終了することを決定することができる。いくつかの他の例では、ユーザは、現在の治療中断を起動する前に提供される1つまたは複数の治療再開状態に含まれないユーザの健康状態の変化により、治療中断を終了することを決定することができる。
【0189】
図27は、AMDによって実施され得る中断された治療を再開する例示的な方法を示すフロー図である。治療中断がユーザによって要求され、確認されると(例えば、図10に示す手順を使用して)(2702)、AMDは、中断情報の一部として受信された中断開始時に、中断のために選択された1つまたは複数の治療を中断する。例えば、治療中断制御モジュール2436は、機器および被験者監視プロシージャ2432を使用して、薬剤
用量制御プロシージャ2430を動作停止する。中断期間中、治療中断制御モジュール2436は、システムクロックならびに被験者および機器状態を(例えば、薬剤用量制御プロシージャ2430を使用して)継続的に監視する。
【0190】
治療中断制御モジュール2436が、中断開始から経過した時間が要求された中断期間未満であると判定し(2706)、再開のための状態が何も満たされていないと判定した(2708)場合、治療中断は継続する。
【0191】
治療中断制御モジュール2436が、中断開始から経過した時間が要求された中断期間に等しいと判定する(2706)か、または1つもしくは複数の再開状態が満たされていると判定した(2708)場合、治療中断制御モジュールは、治療送達を安全に再開することができるかどうかを判定する(2710)ために、他のAMDまたは被験者状態(治療中断情報に含まれない)を確認することができる。治療送達を安全に再開することができないと判定された場合、このような判定の理由について通知するために、アラートメッセージがユーザインターフェースに送信される。治療送達を安全に再開することができると判定された場合、1つまたは複数の中断された治療が再開される。
【0192】
図28は、ユーザ2427が中断された治療を再開するときに、例えばタッチスクリーンディスプレイ上に表示され得る複数の画面の図2800である。画面2802は、薬剤の送達が現在、中断モードにあることをユーザに通知する。画面2803はまた、ユーザ2427の血液の現在のグルコース濃度をユーザ2427に示す。携帯型医療機器600は、ユーザ2427に有用な様々なバイタル測定値を表示することができる。一実装形態では、薬剤中断は、ユーザの血液のグルコース濃度が閾値を満たすかまたはそれを超える場合に終了する。
【0193】
インターフェース画面2804により、ユーザ2427は携帯型医療機器600上で様々な機能を選択して実行することができる。再開ボタン2805は、薬剤中断を終了させる機能である。再開ボタン2805が選択されると、携帯型医療機器600は再開画面2806を表示する。再開画面2806は、ユーザ2427にジェスチャを実行するよう促すプロンプト2807を有する。図示の例では、ユーザ2427は、再開画面2807において、再開画面2806の下部を右にスワイプするように促されている。薬剤送達を再開するためのジェスチャを実行する要件は、ユーザ2427が携帯型医療機器600において薬剤送達を不注意に再開することを防止する。
【0194】
ユーザ2427が薬剤送達を再開するためのジェスチャを実行すると、薬剤中断は終了する。再開画面2808は、通常の薬剤送達が再開されたことをユーザ2427に示す。中断が終了していることをユーザ2427に通知するのに十分な時間、再開画面2808がユーザ2427に表示されると、携帯型医療機器600はロック画面2810を表示することができる。ロック画面2810は、ユーザ2427が携帯型医療機器600上でより多くの機能を不注意に実行することを防止する。
【0195】
一実施形態では、携帯型医療機器600は、中断を終了するための1つまたは複数の状態が満たされる前に、中断を終了するための第2のジェスチャを受信しなければならない。第2のジェスチャの目的は、ユーザ2427が不注意に中断を終了しないことを確実にすることである。第1のジェスチャと同様に、第2のジェスチャは単純であっても複雑であってもよい。
【0196】
図24を参照すると、AMD機器が治療を再開するように指示され、および/または治療が再開されると判定すると、携帯型薬剤機器は、被験者への薬剤の供給を制御するために携帯型薬剤機器によって使用される制御アルゴリズムに基づいて、ユーザに1用量の薬
剤が供給されるべきかどうかを判定することができる。例えば、治療中断プロシージャ2436は、再開状態が満たされたと判定するか、または治療中断を終了すべきであることを示すユーザ入力(ユーザインターフェースとの第3の対話)をユーザインターフェースモジュール2408から受信することができる。続いて、治療中断制御プロシージャ2436は、薬剤用量プロシージャ2430を起動するために機器および被験者監視プロシージャ2432に信号を送信することができる。薬剤が供給される場合、薬剤ダズ制御は、用量制御信号を生成して薬剤送達インターフェース2406に送信することができる。
【0197】
場合によっては、携帯型薬剤機器は、治療が再開されていることをユーザおよび/または被験者に警告することができる。このアラートは、用量制御信号を生成する前、および/または再開状態が満たされた(例えば、中断時間が満了した)後に発生し得る。場合によっては、ユーザは、治療の中断が早期に終了することを要求することができる。ユーザは、治療の早期再開を、前述の対話方法(例えば、ジェスチャまたはタップ)のうちの1つまたは複数を使用して、前述のユーザインターフェースと対話して要求することができる。
【0198】
本開示の1つまたは複数の実施形態と組み合わせることができる、被験者への薬剤送達を中断することに関する追加の実施形態は、2019年10月4日に出願された「METHOD FOR SU SPENDING DELIVERY OF A DRUG INFUSION DEVICE WITH AUTOMATIC RESUMPTION
OF DELIVERY」と題する米国仮特許出願第62/910,970号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
セキュリティ機能性を有するAMD
被験者の状態に基づいて被験者または複数の被験体に救命処置を提供する、インスリンポンプなどであるがこれに限定されない携帯型薬剤機器(AMD)は、ユーザが携帯型薬剤機器の設定を変更することを許可するユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を含むことができる。設定は、被験者への薬剤の送達をトリガする状態、状態が満たされたときに送達される薬剤の量、薬剤の種類などを含むことができるが、これらに限定されない。設定はまた、薬剤送達に直接関係しない場合があるAMDの特徴(例えば、画面の明るさ、アラーム音など)を含み得る。いくつかの例では、AMDの中断されない適切な動作に必要であり得る変更を可能にしながら、不注意な変更を回避するために、AMDの様々な設定へのアクセスを管理することが望ましい。例えば、他の許可されたユーザ(例えば、被験者、被験者の保護者または親)のいくつかの他の設定へのアクセスを可能にしながら、いくつかの設定へのアクセスを特定の許可されたユーザ(例えば、医療介護提供者)に制限することが望ましい場合がある。
【0200】
多くの場合、医療介護提供者は、携帯型薬剤機器の設定を変更することができる。しかし、非医療介護提供者が携帯型薬剤機器の少なくともいくつかの設定を変更することが望ましい場合が多い。例えば、携帯型薬剤機器が閾値量の薬剤を使い果たした場合、または閾値量未満の薬剤を有する場合、ユーザが医療介護提供者を訪問することなく薬剤カートリッジを再充填または交換することができることが望ましい場合が多い。場合によっては、薬剤カートリッジを交換することは、携帯型薬剤機器のユーザインターフェースおよび/または1つもしくは複数の設定と対話することを含み得る。非医療介護ユーザ(例えば、被験者、親、または保護者)が携帯型薬剤機器の設定を変更することが望ましい場合の別の例は、携帯型薬剤機器の初期設定が所望の効果を提供していない場合(例えば、十分な薬剤、多すぎる薬剤、遅すぎるまたは速すぎる薬剤の提供など)である。場合によっては、携帯型薬剤機器および/または被験者の通常の保守には、携帯型薬剤機器の設定および/または制御との対話が必要となり得る。例えば、閾値期間(例えば、2~3日、5日
間、1週間など)を超えて、携帯型薬剤機器が同じ部位で被験者に接続されたままである場合に、負の結果が生じ得る。したがって、携帯型薬剤機器は、被験者のある部位から被験者の別の部位へ(例えば、左側から右側へ、腕から脚へ、胃から背中へなど)定期的に移動させる必要があり得る。部位位置の変化は、携帯型薬剤機器の設定との対話(例えば、部位変更が完了するまで動作を休止すること)を必要とし得る。
【0201】
上記で説明したように、医療介護提供者以外のユーザ(例えば、治療を受ける被験者、親、または保護者)が携帯型薬剤機器の少なくともいくつかのユーザ設定にアクセスできるようにすることが望ましい理由がいくつかあるが、携帯型薬剤機器設定の少なくともいくつかへのアクセスを規制することも望ましい。例えば、子供(被験者またはその他)または特定の年齢未満のユーザが、変更された場合に被験者に害を引き起こし得る携帯型薬剤機器設定にアクセスすることは一般的に望ましくない。さらに、年齢にかかわらず精神能力が低下している特定の被験者が、少なくともいくつかの携帯用薬剤設定にアクセスすることは望ましくない場合がある。
【0202】
ユーザは、薬剤または治療を受ける被験者であってもよく、臨床医もしくは医療介護提供者、または被験者の親もしくは保護者など、別のユーザであってもよい。いくつかの例では、中継機器を介して1つまたは複数の設定を変更するために必要なパスコードは、AMDのユーザインターフェースを直接使用して同じ設定を変更するために必要なパスコードとは異なる場合がある。
【0203】
携帯型薬剤機器の設定へのアクセスを規制する1つの解決策は、ユーザが制御パラメータなどのAMDの設定を変更することを許可される前に、ユーザがパスコード、パスコード、または他の情報を提供することを要求するロック機能を実装することである。説明を簡略化するために、本開示ではパスコードを使用して説明する。しかし、パスコードは、パスコードまたは任意の他の種類の秘密もしくは半秘密情報と置き換えることができることを理解されたい。いくつかの例では、AMDがロック状態にある場合、AMDは、ロック解除状態と同じ速度で被験者に治療を送達し続けることができる。
【0204】
ロック機能は、デフォルトで起動されてもよく、またはユーザによって起動されてもよい。いくつかの例では、ロック機能は、ユーザインターフェース(すなわち、タッチスクリーンディスプレイ)上に提供されるAMD機器の制御メニュー内の設定を通して有効にすることができる。設定は、オン/オフのトグル(例えば、ソフトウェアインターフェース要素またはハードウェアインターフェース要素)を含み得るので、トグルがオンであるとき、パスコード(例えば、4~8桁の数字)が必要とされ得る。場合によっては、ロック機能がオンである場合、パスコード(例えば、4~8桁の数字コード)が、ロック機能をオフにするために必要とされ得る。ロック機能が起動されると、ユーザは、ユーザによって選択されたユーザパスコードで携帯型薬剤機器をプログラムすることができる。あるいは、または加えて、ユーザパスコードは、パスコード変更要求に応答して設定されてもよい。場合によっては、ユーザパスコードが失効することがある。このような場合、ユーザは、以前のパスコードが失効した後、または以前のパスコードが失効することを許可される前に、新しいパスコードを生成することが必要になる場合がある。他の場合では、携帯型薬剤機器は、新しいパスコード(例えば、オーバーライドパスコード)を定期的に生成してもよく、またはユーザがパスコードを供給するときにパスコードを生成してもよい。
【0205】
場合によっては、AMDの1つまたは複数の設定を変更することを可能にするユーザインターフェースにアクセスするために使用されるユーザインターフェース要素は、その設定に関連付けられた制御パラメータを変更するためのユーザインターフェースとは異なり得る。例えば、キーパッドを使用して、制御パラメータを変更するためにユーザインター
フェースをロック解除するためのパスコードを入力することができ、タッチスクリーンを使用して、制御パラメータを変更することができる。
【0206】
ロック機能が有効にされると、ユーザインターフェース画面は、ロック機能が有効にされなかったかのように見え、同じように機能することができる。ロック機能が有効にされている場合、機器をロック解除するための視覚的ガイド(例えば、線形ロック解除スライダ、弓形ロック解除スライダ、または別のロック解除ユーザインターフェース要素など)が起動されると、パスコード入力インターフェース(例えば、キーパッドユーザインターフェース要素)が表示され得る。ユーザパスコードまたはグローバルオーバーライドパスコードのいずれかが入力された場合、ユーザインターフェースは通常通りに進むことができる。そうでない場合、ユーザインターフェースは元のロック画面に戻る場合がある。
【0207】
いくつかの例では、ユーザがAMDの1つまたは複数の設定を変更することを可能にするユーザアクションは、ユーザインターフェースを起動するウェイクアクションとは異なり得る。例えば、ウェイクアクションは、複数のユーザ選択可能要素を表示することができるタッチスクリーンディスプレイを起動するために使用されてもよく、これらの要素のうちのいくつかは、パスコードなしでアクセス可能であってもよい。このような例では、ユーザ選択可能要素のサブセット、例えば、ユーザが治療制御パラメータを変更することを可能にするものは、パスコードを必要とし得る。場合によっては、各ユーザパラメータ制御要素へのアクセスは、異なるパスコードを必要とし得る。いくつかの他の例では、ロック状態にあるAMDにパスコードを提供することにより、制御パラメータ要素のサブセットへのアクセスを直接可能にすることができる。
【0208】
パスコードを思い出すのを助けるために、パスコードはユーザによって設定されてもよく、ユーザが覚えやすいパスコードをユーザが選択することを可能にする。しかし、誰がパスコードを設定したかにかかわらず、ユーザがパスコードを覚えていない恐れがある。機器(例えば、救命処置を提供し得る機器)の性質により、特定のユーザが、携帯型薬剤機器の特定の設定にアクセスすることを制限されず、必要なときに特定の設定へのアクセスを迅速に(例えば、数秒以内、数分以内、次の治療イベントの前、または被験者に害が生じ得る前に)得ることができることが望ましい。したがって、いくつかの非医療機器は、悪意のあるユーザが機器のパスコードを力ずくで特定しようとすることを防止するためにロックアウト期間または他の制限を実装することができるが、このような機能は一般に、携帯型薬剤機器に望ましくない。したがって、本明細書に開示の実施形態は、ユーザパスコードが提供されるかどうかにかかわらず、携帯型薬剤機器へのアクセス(またはこの制御設定)を可能にするオーバーライドパスコードを含む携帯型薬剤機器を含む。
【0209】
いくつかの例では、パスコードまたはオーバーライドパスコードは、一連のタップ、一連の入力、複雑または単純なジェスチャ(例えば、タッチスクリーンを横切るスワイプまたは他の動き)であり得る。一連の入力は、タッチの動き、タッチ点、数字、アルファベット文字、および他の記号の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの例では、一連の入力が入力される時間もまた、パラメータの範囲の一部であってもよい。例えば、一連の入力は、3秒以上、または3秒超、および15秒以下、または15秒未満で入力される必要があり得る。複雑なジェスチャの一例はスワイプである。
【0210】
いくつかの他の例では、パスコードまたはオーバーライドパスコードは、複雑なまたは単純なジェスチャ(例えば、タッチスクリーンを横切るスワイプまたは他の動き)、タッチスクリーン上でパターンもしくはシーケンスを実行すること(例えば、画像を描画すること)、マルチタッチ対話、前述のものの組み合わせ、またはタッチスクリーンとの任意の他の種類の対話、あるいはその一部であり得る。複雑なジェスチャの別の例は、所定の一連のタッチを入力することである。場合によっては、パスコードは、クイズまたは一連
の質問を含み得る。
【0211】
いくつかの例では、携帯型薬剤機器は、通信接続を介して中継機器から治療設定または治療設定の変更を受信するように構成されてもよい。場合によっては、この機能は、AMDのユーザインターフェースを用いて1つまたは複数の設定を変更するオプションをユーザに提供することに加えてサポートされ得る。中継機器とAMDとの間の通信接続は、例えば、Bluetooth(登録商標)を介した直接接続、またはローカルエリアネットワークもしくは広域ネットワークなどのネットワークを介した接続であってもよい。いくつかのこのような場合、携帯型薬剤機器は、NB-LTEトランシーバ、Wi-Fiトランシーバ、またはBluetoothトランシーバなどの無線トランシーバを含み得る。AMDの設定を変更するためのユーザインターフェースをユーザに提供する中継機器は、携帯型薬剤機器と通信することができる任意の種類の機器(例えば、コンピューティング機器)を含む。例えば、中継機器は、携帯型薬剤機器と対話するように構成され得る、ラップトップもしくはデスクトップコンピュータ、スマートウォッチ、スマートフォン、またはハードウェア制御機器であってもよい。本明細書に開示の実施形態は、治療設定または携帯型薬剤機器の構成を変更するためのユーザインターフェースが、携帯型薬剤機器によって生成されるか、またはユーザに提示されるか、もしくは別の機器を介して提示されるかにかかわらず適用可能である。いくつかのこのような場合、ユーザは、コンピューティング機器のインターフェースを介して、ユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを提供することができる。次いで、コンピューティング機器は、機器間のネットワーク接続を介して、ユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを携帯型薬剤機器に提供することができる。
【0212】
いくつかの例では、AMDがロック状態にある場合であっても、特定の中継機器は、AMDの1つまたは複数の設定(例えば、治療設定)を変更するために使用され得るユーザインターフェースにアクセスすることができる。例えば、被験者の保護者または親のスマートフォンは、AMDがロック状態にある間にAMDの1つまたは複数の設定を変更するために使用され得る。
【0213】
いくつかの例では、AMDは、コンピューティングシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)から、またはコンピューティングシステムを介してパスコードを受信するように構成され得る。これらの例では、AMDは、コンピューティングシステムと確立された直接的なエンドツーエンド接続(例えば、広域ネットワーク経由の無線接続)を通じてパスコードを受信することができる。いくつかのこのような例では、コンピューティングシステムに接続された別のコンピューティング機器(例えば、スマートフォン、ラップトップ、パーソナルコンピュータなど)は、パスコードをAMDに送信することができ、パスコードがAMDによって有効性が確認された場合、AMDの1つまたは複数の設定を変更することができる。
【0214】
ユーザがユーザパスコードを思い出すことができない場合、ユーザは、オーバーライドパスコードを供給することによって制御パラメータの変更を可能にするユーザインターフェースへのアクセスを得ることができる。いくつかの例では、オーバーライドパスコードは、ユーザ設定パスコードの代わりに使用することができる一般的な固定パスコード(例えば、8桁のオーバーライドパスコード)であってもよい。オーバーライドパスコードは、製造時に携帯型薬剤機器に記憶することができ、複数の携帯型薬剤機器間で共有されてもよく(例えば、グローバルオーバーライドパスコード)、または特定の携帯型薬剤機器に固有であってもよい。オーバーライドパスコードは、製造業者または第三者サービスによって管理され得る。オーバーライドパスコードを取得するために、ユーザは、製造業者またはパスコード管理サービスに連絡することができる。一般に、パスコードを有効にすることは、精神的能力が低下したユーザ(例えば、子供)が携帯型薬剤機器の設定を変更
することを防止するために存在し得る。したがって、セキュリティはそれほど問題にならない可能性があり、どのユーザもオーバーライドパスコードを取得するために製造業者またはパスコード管理サービスに連絡することができる。いくつかのこのような場合、製造業者によって製造されたすべての機器に対して単一のグローバルオーバーライドが使用され得る。しかし、場合によっては、あるレベルのセキュリティが望まれることがある。いくつかのこのような場合、ユーザが自分自身を認証することが必要であり得る。さらに、ユーザは、携帯型薬剤機器のシリアル番号を提供することが必要となり得る。場合によっては、携帯型薬剤機器の各モデルまたは各ユニットは、異なるオーバーライドパスコードを有し得る。ユーザは、オーバーライドパスコードを取得するために、許可情報および携帯型薬剤機器のシリアル番号を製造業者またはパスコード管理サービスに提供することができる。
【0215】
いくつかの例では、新しいオーバーライドパスコードを定期的に生成することができ、またはユーザがパスコードを供給するときにオーバーライドパスコードを生成することができる。これらの例では、携帯型薬剤機器は、別の機器が使用することができるのと同じパラメトリック値を使用してオーバーライドパスコードを生成することができ、それによってオーバーライドパスコード間の一致を保証することができる。場合によっては、オーバーライドパスコードを生成するアルゴリズムを使用することによって、ユーザが製造業者または他のパスコード管理サービスに連絡することができるかどうかにかかわらず、オーバーライドパスコードを取得することができることが有利である。場合によっては、ユーザは、例えば、携帯型薬剤機器として共通のパラメータ値にアクセスすることができるコンピューティング機器を使用して、ネットワークまたは電話にアクセスすることなく、オーバーライドパスコードを生成することができる。
【0216】
場合によっては、オーバーライドパスコードは時間とともに変化することができ、または回転するパスコードであってもよい。例えば、場合によっては、オーバーライドパスコードは、30秒ごと、1分ごと、1時間ごとなどに変更することができる。いくつかのこのような場合、オーバーライドパスコードは、アプリケーションによって実行されるアルゴリズムから判定され得る。携帯型薬剤機器は、携帯型薬剤機器のメモリにアルゴリズムのコピーを記憶することができ、アルゴリズムを実行して現在有効なオーバーライドパスコードを判定することができる。アルゴリズムのコピーは、ユーザによってアクセス可能な別のコンピューティング機器によって実行されてもよい。アルゴリズムの出力は、携帯型薬剤機器によって一般的にアクセス可能な値、およびコンピューティング機器によってアクセス可能なアルゴリズムのコピーに基づいてもよい。例えば、アルゴリズムの出力は、時間、ユーザ識別子、提供された値、または同じ出力を繰り返し生成するために使用され得る任意の他の要因に基づいて生成され得る。場合によっては、オーバーライドパスコードは、要因の組み合わせに基づいて計算されてもよい。例えば、オーバーライドパスコードは、携帯型薬剤機器のシリアル番号またはモデル番号の一部分および時間に基づいて計算することができる。オーバーライドパスコードの判定は、携帯型薬剤機器、コンピュータサーバ、および/またはユーザ機器上のアプリケーションによって計算することができる。
【0217】
場合によっては、オーバーライドコードは、携帯型薬剤機器によって自動的に受信され得る。したがって、ユーザは、オーバーライドコードを見たり入力したりする必要がない場合がある。場合によっては、オーバーライドコードは、ユーザの別の機器(例えば、スマートフォンまたはラップトップ)に送信されてもよい。例えば、オーバーライドコードをユーザのスマートフォンにテキストで送信することができる。場合によっては、オーバーライドコードは、精神的能力が低下した子供またはユーザによって理解できない可能性があるコード化された方法で受信されてもよい。
【0218】
場合によっては、オーバーライドパスコードは、位置にリンクされてもよい。例えば、オーバーライドパスコードは、医療介護提供者の診療所または被験者の居住地においてのみ入力可能であってもよい。携帯型薬剤機器の位置の判定は、携帯型薬剤機器に利用可能な位置情報システム(例えば、全地球測位システム(GPS))に基づいてもよい。
【0219】
いくつかの例では、少なくとも治療設定のサブセットについて、パスコードは、治療設定を変更し、かつ/または治療設定に対して行われた変更を受け付けるために使用され得るユーザインターフェースとの他の対話(例えば、タッチスクリーンディスプレイ上の第1および第2のジェスチャ)に加えて、第2のレベルのセキュリティを提供することができる。いくつかの他の例では、少なくとも設定のサブセットについて、パスコードは、ユーザインターフェース(上述)との他の対話の代わりに使用されてもよい。
【0220】
上述のように、ユーザインターフェースと対話することにより、携帯型薬剤機器、または携帯型薬剤機器の制御を変更することができる他の機器が、パスコード入力画面をユーザに提示することができる。ユーザは、パスコードを入力して、例えば、ユーザが携帯型薬剤機器の少なくとも1つの制御パラメータを変更することを可能にするユーザインターフェースを含む追加のユーザインターフェース機能をロック解除することができる。制御パラメータは、ユーザインターフェースのパラメータ制御要素との対話に基づいて変更することができる。さらに、制御パラメータの変更は、制御パラメータに少なくとも部分的に基づいた制御アルゴリズムによって生成される用量制御信号の生成の変更を引き起こすことができる。
【0221】
いくつかの実施形態では、携帯型薬剤機器は、医療介護提供者または他のユーザが携帯型薬剤機器によって提供される治療に関する追加の詳細を取得することを可能にする詳細な治療画面または他のユーザインターフェースを有してもよい。詳細な治療画面は、一般に、臨床医などの知識のあるユーザを対象とし得るが、場合によっては、任意のユーザが、詳細な治療画面へのアクセスを取得することができる。詳細な治療画面は、医療介護提供者が、他のユーザによって変更可能ではない場合がある制御パラメータを変更することを可能にし得る。例えば、医療介護提供者は、インスリン蓄積速度、被験者の血液中でインスリンが減少する速度、グルコース設定点の設定、被験者のグルコースレベルが設定点範囲外であるとき、またはインスリンが被験者の血液中で最大濃度点(例えば、Tmax)に達したときに提供されるインスリンの量に関連する攻撃性レベルまたは治療因子の計算に関連するパラメータを制御することができる。
【0222】
詳細な治療画面へのアクセスは、パスコードの要件によって制限されてもよく、このパスコードは、ユーザ生成パスコードおよび/またはオーバーライドパスコードと区別するために臨床医パスコードと呼ばれてもよい。この臨床医パスコードは、ユーザ生成であってもなくてもよい。しかし、臨床医パスコードは、非詳細な治療画面インターフェースへのアクセスを可能にするユーザ生成パスコードとは別のパスコードであってもよい。さらに、臨床医パスコードは、非詳細な治療画面インターフェースへのアクセスを得るためにユーザがユーザ生成パスコードをオーバーライドすることを可能にするオーバーライドパスコードとは別個であってもよい。場合によっては、臨床医パスコードは、オーバーライドパスコードとして使用されてもよい。いくつかの例では、臨床医パスコードは、ある期間有効であり(例えば、被験者または被験者の保護者もしくは後継者などの別の許可されたユーザによって設定され)得る。例えば、臨床医パスコードは、1日、1週間、または1ヶ月間有効であり得る。いくつかの例では、AMDは、特定の許可されたユーザがいつでも臨床医アクセスを終了することを可能にすることができる。
【0223】
場合によっては、詳細な治療画面へのアクセスは、特定の期間に限定されてもよい。この期間が満了した後、携帯型薬剤機器は、詳細な治療画面へのアクセスを自動的に制限す
ることができる。場合によっては、アクセスのウィンドウが拡張されてもよい。例えば、医療介護提供者が詳細な治療画面と対話し続ける場合、画面はアクセス可能なままであり得る。
【0224】
場合によっては、詳細な治療画面は、追加の機能を提供することができる。例えば、ユーザは、食事のために、または補正因子として提供されるインスリンの量をより多くまたはより少なくすべきであることを示すことができるが、医療介護提供者は、インスリンの量を具体的に調節することができる。さらに、例えば、要求が閾値を超えるか、または血糖が設定点範囲を満たさない場合に応じて、ユーザの指示に従っても従わなくてもよいが、それにかかわらず詳細な治療画面を介して提供される指標に従ってもよく、または命令に従うかどうかを制御し得る、より広い範囲または異なる閾値を有してもよい。さらに、詳細な治療画面は、治療を一時的に休止するために使用されてもよく、および/または被験者アクセスを防止してもよい。
【0225】
場合によっては、携帯型薬剤機器の製造者は、携帯型薬剤機器および/または携帯型薬剤機器の詳細な治療画面へのアクセスをロック解除するために使用され得る遠隔ロック解除信号を提供することができる。
【0226】
上述のように、パスコードは、特定のユーザが携帯型薬剤機器の特定の制御パラメータを不注意に変更することを防止するために所望され得る。しかし、治療に影響を及ぼさない携帯型薬剤機器の機能は、携帯型薬剤機器がロック状態にあるときにユーザにアクセス可能なままであり得る。例えば、ユーザは、治療履歴、画面輝度設定もしくは色、または特定の方法で変更された場合に被験者に害を及ぼす可能性が低い任意の他の機能にアクセスすることができる。さらに、パスコード機能は一般に制御パラメータ変更を防止するためのものであるので、携帯型薬剤機器は治療を提供し、携帯型薬剤機器がロックされているかロック解除されているかにかかわらず、同じ速度および同じ状態で治療を提供し続けることができる。
【0227】
携帯型薬剤機器がユーザパスコードまたはオーバーライドパスコードを受信すると、携帯型薬剤機器はパスコードの有効性を確認する。パスコードは、受信したパスコードを携帯型薬剤機器のメモリに記憶されたパスコードまたは携帯型薬剤機器によって生成されたパスコードと比較することによって有効性を確認することができる。ユーザから受信したパスコードが正常に有効性が確認された場合、ユーザは、1つまたは複数の制御パラメータを変更するためにユーザインターフェースへのアクセスが許可され得る。場合によっては、ユーザは、制御パラメータへの変更を確認するためにパスコードを再入力するように要求されてもよい。いくつかの他の例では、ユーザは、制御パラメータへの変更を確認するためにタッチスクリーン上でジェスチャを提供するように要求されてもよい。
【0228】
パスコードの有効性が確認されない場合、携帯型薬剤機器、または携帯型薬剤機器の制御パラメータへのアクセスを提供することができる他の制御機器は、1つまたは複数の制御パラメータを変更するためのユーザインターフェースへのアクセスを防止することができる。場合によっては、パスコードを入力する能力をユーザに提示するユーザインターフェースは、ユーザパスコードを入力するために特定の試行回数、または特定の期間内の特定の試行回数をユーザに許可することができる。正しいユーザパスコードが、提供された試行回数内または特定の期間内に入力されない場合、ユーザインターフェースは、ロック状態に入り(例えば、画面がオフにされ)、少なくともある期間の間、パスコードを入力するさらなる試行を防止することができる。場合によっては、ユーザパスコードオプションは、無期限にロックまたはブロックされる場合がある。いくつかのこのような場合、携帯型医療機器の制御パラメータは、オーバーライドパスコードが提供される場合にのみアクセス可能であり得る。あるいは、または加えて、異なるユーザのユーザパスコードが、
携帯型医療機器の制御パラメータへのアクセスを提供するために使用され得る。いくつかの例では、提供された試行回数内または特定の期間内に正しいオーバーライドパスコードが入力されない場合、ユーザインターフェースは、少なくともある期間オーバーライドパスコードを変更するあらゆる試行を阻止することができる。
【0229】
場合によっては、パスコードが正常に入力されるかまたは有効性が確認されると、ユーザは、携帯型薬剤機器のパスコード機能を動作停止することができる。パスコード機能を動作停止することは、ユーザパスコードに加えて別のパスコードまたはオーバーライドパスコードの使用を必要とする場合がある。
【0230】
場合によっては、パスコードは、携帯型薬剤機器に接続されたコンピューティング機器に基づいて、任意であってもよく、または省略されてもよい。例えば、特定のユーザ(例えば、被験者の親)に登録されたスマートフォン間でエンドツーエンド接続が確立された場合、携帯型薬剤機器は、パスコードを必要とせずに自動的にロック解除してもよい。他の場合では、スマートフォンまたは他のコンピューティング機器は、接続を確立すると、ユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを携帯型薬剤機器に自動的に提供することができる。場合によっては、携帯型薬剤機器は、充電器に接続されたとき、または特定の地理的領域内にあるとき、自動的にロック解除され得る。例えば、ジオフェンスは、被験者の家または臨床医の診療所などの1つまたは複数の場所に構成されてもよい。携帯型薬剤機器がジオフェンス内にあると判定すると、携帯型薬剤機器は自動的にロック解除され得る。同様に、携帯型薬剤機器がジオフェンス領域内にないと判定すると、携帯型薬剤機器は自動的にロックされ得る。携帯型薬剤機器の位置の判定は、全地球測位システム(GPS)などのジオロケーションシステムに基づいて行うことができる。
【0231】
場合によっては、一定数の失敗したパスコードが入力された後(例えば、5回の試行後)、ユーザインターフェース画面はオフにされてもよく、またはグローバルオーバーライドパスコードのみを受け付けてもよい。
【0232】
セキュリティコードを有する例示的なAMD
図29は、AMDの設定を変更することに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャ間の相互接続を示すブロック図である。場合によっては、AMDの1つまたは複数の設定は、ユーザインターフェースモジュール2908によって提供される1つまたは複数の設定制御画面2940/2942/2944上に提示されるもう1つのパラメータ制御要素2941/2943/2945を使用して変更され得る。いくつかの例では、ロック機能が起動されると、1つもしくは複数の設定制御画面2940/2942/2944および/または1つもしくは複数のパラメータ制御要素2941/2943/2945へのアクセスは、パスコードによって保護され得る。制御パラメータ2941/2943/2945のために、ユーザは、ユーザインターフェースモジュール2908を介して(例えば、タッチスクリーンディスプレイ2924または英数字パッド2926を使用して)、パスコード2933(例えば、ユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコード)を提供することができる。あるいは、または加えて、ユーザ2927は、(例えば、無線リンクを介して)AMDに接続された中継機器(例えば、ラップトップ、スマートフォンなど)を使用してパスコード2946を提供することができる。いくつかの例では、1つまたは複数の設定制御画面2940/2942/2944および/またはパラメータ制御要素2941/2943/2945へのアクセスは、AMDのCCM内のメモリに記憶された設定変更プロシージャ2928によって管理することができる。ハードプロセッサは、設定変更プロシージャ2928に関連付けられた機械可読命令を実行することができる。
【0233】
いくつかの例では、パスコードを提供するオプションは、ユーザ2927がウェイクイ
ンターフェース2922上でウェイクアクションを実行するときに利用可能になり得る。これらの例では、CCMのウェイク制御モジュール2934は、有効なウェイクアクションが実行されると判定した場合、設定制御画面2940/2942/2944に関連付けられた選択可能な要素を、例えば、タッチスクリーンディスプレイ上に提示することができる。いくつかの他の例では、タッチスクリーンディスプレイ上に提示された第1の画面は、AMDの設定を変更するための要素を含む他の選択可能な要素を提供することができる。このような例では、設定変更に関連付けられた要素を選択することにより、設定制御画面2940/2942/2944に関連付けられた選択可能な要素を提示する第2の画面を起動することができる。ロック機能が起動されると、設定制御画面2940/2942/2944および/またはパラメータ制御要素2941/2943/2945のいずれかへのアクセスは、パスコードを必要とし得る。いくつかの例では、制御画面2940/2942/2944および/またはパラメータ制御要素2941/2943/2945の各々は、異なるパスコードを必要とし得る。いくつかの他の例では、1つまたは複数の制御画面2940/2942/2944および/またはパラメータ制御要素2941/2943/2945は、パスコードを必要としなくてもよい。例えば、第1の画面2940へのアクセスは第1のパスコードを必要としてもよく、第2の画面2942へのアクセスは第2のパスコードを必要としてもよく、第3の画面2944へのアクセスはパスコードを必要としなくてもよい。さらに別の例では、すべての制御画面2940/2942/2944は、パスコードを提供する必要なく提示されてもよいが、制御画面内の1つまたは複数の制御要素へのアクセスは、パスコードを必要としてもよい。例えば、ユーザは、パスコードを入力することなく第2の画面2942を選択することができるが、この画面上の1つまたは複数のパラメータ制御要素2943を選択するために、ユーザは、1つまたは複数のパスコードを入力する必要があり得る。
【0234】
いくつかの例では、中継機器2922またはインターフェースモジュール2908からパスコードまたはオーバーライドパスコードが受信されたパスコードは、AMDの制御およびコンピューティングユニットに送信され得、ここで、設定変更制御プロシージャ2935は、このパスコードをCCMのメモリに記憶された1つまたは複数のユーザ生成パスコード2939またはオーバーライドパスコード2937と比較することによって、パスコードの有効性を判定する。
【0235】
図30は、ユーザがユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを使用してAMDの設定を変更することを可能にするためにAMDによって使用され得る例示的な方法を示すフロー図である。AMD(例えば、CCMにおけるウェイクアクションプロシージャ)が有効なウェイクアクションを受信すると(3002)、ユーザインターフェースが起動され得る。いくつかの例では、ウェイクアクションは、設定変更インターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ上に提示される設定変更画面)を直接起動する(3004)ことができる。いくつかの例では、特定のウェイクアクションが設定変更インターフェースを起動することができる。設定変更インターフェースにおいて(3006)、AMD(例えば、CCMにおける設定変更プロシージャ)は、(例えば、パスコードを入力するためのウィンドウを提示することによって)パスコードを要求することができる。パスコードが受信されると、AMD(例えば、CCMにおける設定変更プロシージャ)は、パスコードがユーザ生成パスコードと一致するかどうかを判定する(3008)ことができる。パスコードがユーザ生成パスコードと一致すると判定された場合、AMDは、受信したパスコードに関連付けられた1つまたは複数の制御パラメータ要素へのアクセスを提供する(3010)ことができる。受信したパスコードが記憶されたユーザ生成パスコードのいずれとも一致しない場合、AMDは、パスコードがオーバーライドパスコードと一致するか否かを判定することができる。パスコードがAMDのメモリまたは許可されたコンピューティング機器のメモリに記憶されたオーバーライドパスコードと一致すると判定された場合、AMDは、受信したオーバーライドパスコードに関連付けられた1つ
または複数の制御パラメータ要素へのアクセスを提供する(3014)ことができる。パスコードがオーバーライドパスコードと一致しないと判定された場合、AMDは、1つまたは複数のパスコード保護制御要素へのアクセスを拒否する。
【0236】
図31は、ユーザがユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードを使用してAMDの設定を変更することを可能にするためにAMDによって使用され得る別の例示的な方法を示すフロー図である。AMD(例えば、CCMにおけるウェイクアクションプロシージャ)が有効なウェイクアクションを受信すると(3102)、AMDは、ユーザが設定変更インターフェースまたは画面を起動するための第1のジェスチャを提供することができるユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を提供することができる。第1のジェスチャがユーザまたは被験者から受信されると(3104)、AMDは、設定変更インターフェースまたは画面を起動することができる。いくつかの例では、設定変更インターフェースまたは画面は、AMDの1つまたは複数の設定に関連付けられた1つまたは複数のパラメータ制御要素を含むことができる。いくつかの他の例では、設定変更インターフェースまたは画面は、1つまたは複数の制御パラメータを含み得る設定変更画面(例えば、タッチスクリーンディスプレイ上に提供される画面)にそれぞれ関連付けられた1つまたは複数の選択可能な要素を含むことができる。設定変更の要求が受信されると(3108)、AMDは、要求された設定変更がパスコード保護されているか否かを判定することができる。いくつかの例では、設定変更の要求は、パラメータ制御要素を選択することを含むことができる。いくつかの他の例では、設定変更の要求は、(例えば、タッチスクリーンディスプレイ上に提供される別の画面に含まれる)パラメータ制御要素のリストを選択することを含むことができる。
【0237】
AMDは、要求された設定変更がパスコードによって保護されていないと判定した場合、要求された設定変更に関連付けられた1つまたは複数のパラメータ制御要素へのアクセスを許可する(3112)ことができる。いくつかの例では、パラメータ制御要素を介して変更が受信されると(3114)、ユーザは、行われた変更を確認するためにユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)上で第2のジェスチャを提供する必要があり得る。第2のジェスチャを受信したこと(3116)に応答して、AMDは、要求され、かつ確認された変更に従って1つまたは複数の設定を変更することができる。
【0238】
AMDは、要求された設定変更がパスコードによって保護されていると判定した場合、(例えば、タッチスクリーンディスプレイ上に提供される)パスコード表示を介してパスコードを要求する(3120)ことができる。いくつかの例では、パスコードの要求はディスプレイ上に提示され得るが、パスコードは物理的なキーパッドを介して受信され得る。パスコードがユーザまたは被験者から受信されると(3122)、AMDは、このパスコードを1つまたは複数のユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードと比較することによってパスコードの有効性を確認する(3124)ことができる。パスコードがユーザ生成パスコードまたはオーバーライドパスコードと一致すると判定された場合、AMDは、要求された設定変更に関連付けられた1つまたは複数のパラメータ制御要素を起動する(3126)ことができる。続いて、AMDは、選択された制御パラメータ要素を介して設定変更を受信する(3128)ことができる。いくつかの例では、ユーザは、行われた変更を確認するためにユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)上で第2のジェスチャを提供する必要があり得る。第2のジェスチャを受信したこと(3130)に応答して、AMDは、要求され、かつ確認された変更に従って1つまたは複数の設定を変更する(3132)ことができる。
【0239】
アラームシステムを有するAMD
場合によっては、携帯型薬剤機器の動作に影響を与える状態が生じ得る。この状態は、
製造業者、携帯型薬剤機器から治療を受ける被験者、および/またはユーザ(例えば、被験者の医療介護提供者、親、または保護者)によって意図されたように動作する携帯型薬剤機器の能力に関連し得る。場合によっては、携帯型薬剤機器は、意図されたように動作し得るが、被験者の状態は、所望の健康レベルを満たさない場合がある。いずれの場合にも、被験者および/または1人または複数のユーザに、携帯型薬剤機器および/または被験者の状態を通知するためにアラームを生成することが一般に望ましい。さらに、アラームを引き起こした状態が解決されるまでアラームを追跡することが望ましい。さらに、被験者またはユーザがアラームをトリガした状態の重大度を容易に区別することを可能にするために、異なる状態に対して異なる種類のアラームを発することが望ましい。ユーザは、薬剤または治療を受ける被験者であってもよく、臨床医もしくは医療介護提供者、または親もしくは保護者など、別のユーザであってもよい。
【0240】
本開示の本項は、インスリンポンプまたはインスリンと拮抗剤(例えば、グルカゴン)との組み合わせポンプなどの携帯型薬剤機器に関し、薬剤ポンプに薬剤を被験者に注入させるように構成された用量制御信号を生成するように構成される。さらに、本開示は、携帯型薬剤機器および/または被験者の状態を検出し、検出された状態がアラーム状態を満たすと判定された場合にアラームを生成するように構成された携帯型薬剤機器に関する。
【0241】
上述のように、携帯型薬剤機器は、携帯型薬剤機器および/または被験者を監視し、アラーム状態を満たす状態が検出されたと判定された場合にアラームを生成するように構成されたアラームシステムを含むことができる。いくつかの例では、アラームのリストを編成し、これらのアラームをユーザに通知し、ユーザがアラームを認知することを可能することができるアラームシステム。
【0242】
いくつかの実施形態では、アラームシステムは、AMDまたは被験者を監視する複数のセンサと、センサからデータを受信する監視システムインターフェースと、受信されたデータを処理し、アラーム状態が満たされる場合にアラームを生成するアラーム生成モジュールとを含むことができる。いくつかの例では、監視システムインターフェースおよびアラーム生成モジュールは、1つまたは複数のハードウェアプロセッサおよび機械可読を使用して実装される。いくつかの他の例では、監視システムインターフェースおよびアラーム生成モジュールは、別のハードウェアモジュールである。
【0243】
図32を参照すると、いくつかの実施形態では、アラーム制御システム3222は、AMDの制御およびコンピューティングモジュール210(CCM)においてアラーム制御プロシージャを実装する。アラーム制御システム3222は、CCMのメモリ(例えば、メインメモリ216)に記憶され、ハードウェアプロセッサ214によって実行されて、携帯型薬剤機器および/または被験者の状態の検出時にアラームを生成する命令として実装することができる。場合によっては、監視システムのハードウェアプロセッサは、薬剤送達を制御する携帯型薬剤機器のハードウェアプロセッサである。他の場合では、監視システムのハードウェアプロセッサは、別個のハードウェアプロセッサであってもよい。
【0244】
いくつかの例では、アラーム制御システム3222は、監視システム3226およびアラーム報知システム3228を含む。監視システム3226は、機器センサ3224のセットおよび被験者センサ3220のセットから受信された信号またはステータス値に少なくとも部分的に基づいて、AMDおよび/または被験者の状態またはステータスを監視する。いくつかの例では、機器センサは、携帯型薬剤機器のコンポーネントまたは要素のステータスを追跡するように構成されてもよく、被験者センサは、被験者の1つまたは複数の生理学的特性の測定値を取得するように構成され得る。
【0245】
いくつかの例では、機器センサ3224は、AMDのモジュール、インターフェース、
アクセサリ、使い捨て品の状態に関連付けられた信号またはステータス値を生成するセンサである。いくつかの例では、機器センサ3224は、モジュールまたはインターフェース内のコンポーネントに関連付けられたパラメータに対応する信号を生成することができる。例えば、一方の機器センサは、バッテリの電圧を記録することができ、他方の機器センサは、薬剤送達インターフェース3206のポンプの追従速度を記録することができる。
【0246】
いくつかの例では、被験者センサ3220は、被験者の1つまたは複数の生理学的インジケータ(またはパラメータ)(例えば、心拍数、血圧、体温、血糖値、様々なホルモンまたは他の検体の血清レベル)に関連付けられた信号またはステータス値を生成する任意のセンサであってもよい。機器および被験者監視システム3226は、携帯型薬剤機器、被験者、センサ、および/または他のアクセサリの状態を判定するために、機器センサ3224および被験者センサ3206から受信した信号を連続的に受信および分析することを含むことができる。
【0247】
場合によっては、単一のセンサを使用して、被験者および携帯型薬剤機器の両方の状態、またはAMDに接続されたアクセサリおよびセンサを監視することができる。例えば、連続グルコース監視CGMセンサは、被験者の状態を監視するために使用されてもよく、また、CGMの状態がアラーム状態を満たすかどうかを判定するために(例えば、CGMが交換されるべきであることをユーザに警報を発するために)監視されてもよい。
【0248】
携帯型薬剤機器のセンサとして記載されているが、1つまたは複数のセンサは、携帯型薬剤機器の一部であってもなくてもよいが、携帯型薬剤機器と通信することができるアクセサリであってもよい。
【0249】
いくつかの例では、アラーム処理システム3222は、ユーザまたは被験者がアラーム設定を変更することを可能にし、および/またはユーザインターフェース3208を介してアラーム報知を認知するためのプロシージャを実装する。いくつかの例では、ユーザは、AMDがロック状態であっても、ユーザインターフェース上で報知された1つまたは複数のアラーム(例えば、アラームのリストとして)を見ることができる。これらの例では、ユーザは、AMDがロック状態にあるときにアラームに対して認知または応答することができない場合がある。
【0250】
いくつかのこのような例では、ユーザまたは被験者は、(例えば、タッチスクリーンディスプレイ上で)ウェイク信号および第1のジェスチャを提供することによって、アラーム設定画面にアクセスするか、またはアラーム報知を認知することができる。場合によっては、第1のジェスチャは、英数字パッド上に所定の文字を入力することによって作成されてもよい。いくつかのこのような例では、アラーム制御システム3222は、意図的なアラーム制御入力から不注意なアラーム制御入力を区別する。不注意によるアラーム制御入力は、携帯型医療機器600がユーザに送達しているアラームを認知するというユーザの意図なしに行われたアラーム認知入力である。
【0251】
いくつかの例では、アラーム制御システム3222は、監視システム3226を通して受信された情報に従って、アラーム状態の重大度レベル(例えば、0~5の重大度レベル)に基づくアラーム状態の判定および分類のためのプロセスを実装する。
【0252】
いくつかの他の例では、アラーム制御システム3222は、ユーザインターフェースモジュール3208を介してアラーム状態の報知を、少なくとも部分的にアラーム状態の重大度レベルに基づいて、制御するためのプロシージャを実装する。いくつかのこのような例では、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)は、アラー
ムが送達されている問題または障害にユーザが直接移動することを可能にするように構成され得る。この機能は、アラームを引き起こす障害に対処するためのアクセスをユーザに提供するので、障害が修正され、それによってアラームを停止することができる。
【0253】
アラーム状態
いくつかの例では、機器および被験者監視モジュール3226は、機器センサ3224および/または被験者センサ3220から受信されたステータス情報をアラーム報知システム3228に提供することができる。いくつかの例では、ステータス情報は、1つまたは複数のステータス値を含むことができる。いくつかのこのような例では、アラーム生成システム3228は、被験者監視モジュール3226から受信されたステータス情報に少なくとも部分的に基づいて、アラーム状態が満たされるかどうかを判定するように構成される。
【0254】
アラーム状態が満たされているかどうかを判定することは、携帯型薬剤機器および/または被験者に関連付けられた1つまたは複数のステータス値を1つまたは複数のアラーム閾値またはアラーム状態と比較することを含むことができる。場合によっては、各アラーム閾値またはアラーム状態は、アラームプロファイルと関連付けられてもよい。いくつかのこのような場合、アラーム状態が満たされるかどうかを判定することは、ステータス情報を、1つまたは複数のアラームプロファイルに含まれる1つまたは複数のアラーム閾値またはアラーム状態と比較することを含むことができる。いくつかの例では、アラームプロファイルは、CCM210のストレージ218に記憶され得る。いくつかのこのような例では、アラームプロファイルのうちの少なくともいくつかは、ユーザインターフェースを介して許可されたユーザもしくは被験者によってCCMに提供され得るか、または別の機器からストレージに(例えば、USBドライブ、ラップトップ、スマートフォン、PCなどから)直接転送され得る。いくつかの他の例では、アラームプロファイルのうちの少なくともいくつかは、製造時にストレージ218に記憶され得る。
【0255】
アラームプロファイルの各々は、アラームプロファイルに対応するアラームをトリガする携帯型薬剤機器および/または被験者の特性またはステータスを示すことができる。例えば、少なくともいくつかのアラームプロファイルは、アラームがトリガされるべき上の下にステータス閾値を示してもよい。例えば、1つのアラームプロファイルは、被験者の血糖値が特定の閾値を超えたとき、特定のアラームが生成および/または報知されることを示すことができる。別の例として、アラームプロファイルは、利用可能な薬剤の量が特定の閾値未満であるとき、特定のアラームが生成および/または報知されることを示すことができる。薬剤レベルに関連付けられたアラームの種類および/またはアラーム周波数もしくは強度は、血糖値に基づいてトリガされるアラームとは異なり得る。前の例は、単一のアラームプロファイルに関連付けられた単一の状態を説明したが、複数の状態がアラームプロファイルに関連付けられ得ることを理解されたい。例えば、上限閾値を超えるかまたは下限閾値未満の血糖値は、異なるアラームプロファイルまたは同じアラームプロファイルに関連付けられてもよい。別の例として、上限閾値を超える血糖値、またはインスリンを供給することができない薬剤ポンプが、同じアラームプロファイルに関連付けられてもよい。一方、空のインスリンカートリッジによりインスリンを供給することができない薬剤ポンプは、薬剤ポンプへの損傷により薬剤ポンプがインスリンを供給することができない場合とは異なるアラームプロファイルに関連付けられ得る。
【0256】
アラームプロファイルに関連付けられ得る携帯型薬剤機器または被験者の状態のいくつかの非限定的な例は、バッテリ容量(例えば、閾値充電容量未満または特定の動作時間量(例えば、1日)に関連付けられた容量未満)、バッテリ状態(例えば、高温または低電圧)、薬剤または薬物送達状態(例えば、薬剤が空または閾値未満である、モータが停止している、カテーテルが閉塞されているなど)、被験者センサ状態(例えば、血糖センサ
の期限が切れている、または信号がセンサから受信されていない)、較正失敗、高または低グルコースレベル、ネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)またはBN-LTE)通信エラー、触覚インターフェースエラー(例えば、モータ非応答性)、スピーカエラー(例えば、ノイズまたは低音量)、薬剤カートリッジエラー(例えば、空カートリッジ、カートリッジ検出エラーなど)などに関する状態を含む。以下に説明するように、これらのエラーまたは状態の各々は、異なるアラームの報知を引き起こす異なる重大度レベルに関連付けられ得る。
【0257】
場合によっては、各アラームプロファイルは、アラームの重大度レベルに関連付けられ得る。重大度レベルは、アラームをトリガした状態がどの程度緊急に対処または解決されるべきかに関連付けられ得る。さらに、重大度レベルは、アラームをトリガした状態が解決されないか、または特定の期間内に解決されない場合に、被験者に引き起こされ得る害の量に関連付けられ得る。重大度レベルの数は、携帯型薬剤機器の種類に基づいて変化し得る。一般に、重大度レベルの数に制限はない。しかし、重大度レベルの数が特定の数を超えると、例えば、ユーザが異なる数の重大度レベルを区別すること、または特定のアラームがどの重大度レベルに関連付けられているかを識別することが困難であり得るため、収穫逓減点があり得る。したがって、重大度レベルの数は、3、5、6、9、またはこれらの間にある数など、特定の数に限定され得る。しかし、9を超える重大度レベルがあることも可能である。
【0258】
重大度レベルに関連付けられた複数のアラームプロファイルがあり得る。または、同じ重大度レベルに関連付けられる携帯型薬剤機器および/または被験者の各状態は、同じアラームプロファイルに関連付けられ得る。
【0259】
携帯型薬剤機器は、携帯型薬剤機器および/またはアラーム状態を引き起こした被験者の状態に基づいて、アラーム状態の重大度を判定することができる。場合によっては、携帯型薬剤機器は、アラーム状態に関連付けられたアラームプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、アラーム状態の重大度を判定することができる。
【0260】
一般に、アラーム状態が、携帯型薬剤機器が治療を提供することを妨げない場合、携帯型薬剤機器は治療を提供し続けることができる。しかし、アラーム状態が治療の送達を妨げる場合、携帯型薬剤機器の動作は、中断されるか、または部分的に中断され得る。一般に、治療の提供を妨げるアラーム状態は、より高い重大度レベルに関連付けられ得る。しかし、治療の提供を妨げるいくつかのアラーム状態は、より低い重大度レベルに関連付けられ得る。例えば、携帯型薬剤機器がインスリンを供給することができないという判定は、通常、最高重大度アラームに関連付けられ得る。しかし、部位位置が現在変更中であることをユーザが示す場合、アラーム状態は、より低い重大度レベルに関連付けられ得る(例えば、部位変更中にインスリンを送達することができないことをユーザに思い出させる情報アラーム)。
【0261】
アラーム報知
アラーム報知システム3228は、アラーム状態が満たされるかどうかにかかわらず、監視インターフェース3226によって生成され、この監視インターフェースから受信されるステータス情報に少なくとも部分的に基づいて選択された報知パターンを実装することができる。アラーム状態が満たされているかどうかを判定することは、携帯型薬剤機器および/または被験者に関連付けられた1つまたは複数のステータス値を、アラームプロファイルに関連付けられた1つまたは複数のアラーム閾値またはアラーム状態と比較することを含むことができる。
【0262】
アラームプロファイルに関連付けられたアラーム状態が満たされることを検証すると、
アラーム報知システム3228はアラーム状態を報知する。
【0263】
いくつかの例では、アラームシステムは、保留中のアラーム状態のリストを生成し、このリストをAMDのメモリ(例えば、CCM210内のストレージ218)に記憶することができる。これらの例では、アラームプロファイルに関連付けられたアラーム状態が満たされるときはいつでも、アラームシステムは、新しいアラーム状態を保留中のアラーム状態のリストに追加することによって、保留中のアラーム状態のリストを更新することができる。
【0264】
いくつかの例では、保留中のアラーム状態のリストは、アラーム状態に関連付けられた重大度レベルに従ってソートされ得る。
【0265】
いくつかの例では、アラームシステムは、AMD600のユーザインターフェースモジュール3208を介してアラーム状態を報知することができる。例えば、アラーム状態は、1つまたは複数のユーザインターフェース(例えば、ディスプレイ、スピーカなど)を介して報知されてもよい。いくつかのこのような例では、アラームは、音声アラーム、テキストメッセージ、グラフィカルメッセージ、音声を伴うテキストまたはグラフィカルメッセージ、振動、点滅光、およびこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0266】
いくつかの他の例では、アラーム状態は、例えば、許可されたユーザ(例えば、被験者の保護者または両親)、被験者、または緊急プロバイダがアラーム状態を閲覧することができるAMDの通信モジュール3202を介して、他の機器に送信され得る。さらに他の例では、アラーム報知システム3228は、通信モジュール3202を使用してコンピューティングシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)との直接的なエンドツーエンド接続を確立し、エンドツーエンド接続を介してコンピューティングシステムにアラーム状態を送信することができる。
【0267】
アラーム状態の重大度および/またはアラーム状態に対応するアラームプロファイルに基づいて、アラーム状態の重大度および/またはアラーム状態の種類に関連付けられたアラームが生成および/または報知され得る。異なるアラーム状態および/またはアラームプロファイルは、異なる種類のアラームまたは異なるアラームの報知をもたらし得る。例えば、最も高い重大度レベルに関連付けられたアラームは、特定のデシベルレベル(例えば、70または80デシベル超)を超えるラウドネスを有する可聴アラーム、特定の輝度値(例えば、10または10カンデラごと平方メートルの間の輝度)を超える輝度を有する可視アラーム(例えば、点滅または定常光)、および/または振動アラームを含むことができる。さらに、最も高い重大度レベルに関連付けられたアラームはスヌーズされたり、却下されたりされ得ない。あるいは、最も高い重大度レベルに関連付けられたアラームは、より低い重大度レベルのアラームよりも短い時間(例えば、5分間、10分間など)スヌーズされ得る。最高重大度レベルとは異なる重大度レベルに関連付けられたアラームは、可聴アラーム、可視アラーム、および振動アラームの異なる組み合わせを含むことができる。可聴アラーム、可視アラーム、および振動アラームの存在は、異なる重大度レベルに対して異なるだけでなく、各アラームタイプの特性も異なる。例えば、可聴アラームは、異なる音パターン、ラウドネス、周波数などを有することができる。可視アラームは、異なる強度、色、パターンなどであってもよい。振動アラームは、異なるパターン、強度などであってもよい。さらに、最高重大度レベルとは異なる重大度レベルを有するアラームは、スヌーズされたり、却下されたりすること、またはより長い時間スヌーズされることが許容され得る。いくつかの例では、アラーム状態の重大度は、生成されるアラームの種類の種類(例えば、オーディオ、テキスト、グラフィック、またはこれらの任意の組み合わせ)を判定することができる。
【0268】
さらに、ユーザインターフェース上のアラーム状態の表示は、アラーム状態の種類ごとにアイコンを含むことができる。ユーザインターフェースは、アラーム状態の数および/または特定の種類もしくは重大度レベルのアラーム状態の数を表示することができる。場合によっては、重複アラームは、アラームのリストから省略されてもよい。他の場合では、重複アラームを反映するようにアラームの発生数が増加され得る。場合によっては、重複アラームは、重複アラームの報知をもたらし得る。他の場合では、重複アラームは無視される。場合によっては、重複アラームの発生は、既存のアラームのエスカレーションを引き起こすことがある。例えば、第1の重大度レベルを有するアラームの報知を引き起こすアラーム状態が、2回目に発生しているものとして検出された場合、アラームは、第1の重大度レベルよりも大きい重大度を示す第2の重大度レベルで報知され得る。アラーム状態が解決された後に発生するアラームは、重複アラームと見なされなくてもよいが、代わりに、アラーム状態の再発および/またはアラーム状態の解決が失敗した(例えば、インスリンカートリッジ交換が不完全であるか、または空である)というインジケータであってもよいことを理解されたい。
【0269】
場合によっては、アラームのリストは、携帯型薬剤機器がロックされているときにアクセスされ得る。さらに、アラームに関する詳細は、携帯型薬剤機器がロックされているときにアクセス可能であり得る。
【0270】
アラーム状態の各々またはそれに関連付けられた情報は、ユーザによってアクセスされ得るインジケータまたはユーザインターフェース(例えば、リスト、または他のデータ構造もしくはユーザインターフェース要素)に追加され得る。このユーザインターフェースは、アラーム状態が解決されるまで、ユーザインターフェース上でアラーム状態を維持することができる。さらに、アラーム状態は、アラーム状態の重大度レベル、アラーム状態が発生した時間、アラーム状態が被験者または携帯型薬剤機器に関連するかどうか、前述の任意の組み合わせ、またはアラーム状態をソートもしくはランク付けするための任意の他の要因に基づいて、ソートまたはランク付けされ得る。
【0271】
アラームがディスプレイ上に提示されるいくつかの場合では、表示される情報は、アラームを引き起こしたもの、アラームの重大度、アラームに応答する方法もしくは対処する方法についての詳細、またはアラームが生成された理由および/もしくはアラームに応答する方法に関する情報となり得る任意の他の情報を含み得る。場合によっては、情報は、アラームに応答する方法に関するワークフローまたは命令を提供することができる。命令は、薬剤または部位変更キットを提供する事業体など、携帯型薬剤機器または別の事業体の製造業者によって提供されるワークフローへのリンクを含み得る。
【0272】
場合によっては、アラームの異なる閲覧またはアラームに関連付けられた異なる情報が、アラームを閲覧するユーザの身元またはユーザの役割に基づいて提供され得る。例えば、子供は、アラームに対処するために親に連絡するように指示される場合がある。しかし、親には、アラームを解決するための情報が提供される場合がある。親は、何がアラームを引き起こしたかについての簡略化された情報(例えば、血糖値が高い)を受信することができるが、医療介護提供者は、医療介護提供者が被験者を介護することを容易にするアラームに関するより詳細な情報(例えば、内部制御パラメータ値、インスリン流速、インスリン減少の曲率予測など)を受信することができる。
【0273】
アラーム状態は、携帯型薬剤機器のディスプレイ上に表示されてもよい。あるいは、または加えて、アラーム状態は、携帯型薬剤機器とは別個の遠隔ディスプレイ上に表示されてもよい。遠隔ディスプレイは、認証され、またはコンピューティング機器に関連付けられたディスプレイであってもよく、このコンピューティング機器は携帯型薬剤機器からのアラーム状態などのデータにアクセスするために認証される。場合によっては、アラーム
のリストは、移動式機器(例えば、スマートウォッチまたはスマートフォン)、または携帯型薬剤機器から直接的または間接的にデータを取得することができるコンピューティング機器(例えば、ラップトップまたはデスクトップ)上に提示されてもよい。
【0274】
場合によっては、アラームを報知することは、製造業者および/またはユーザ(例えば、医療介護従事者、親もしくは保護者、または他の登録されたユーザ)に連絡することを含み得る。さらに、アラームは、携帯型薬剤機器を修理することに関する、および/またはアラーム状態に対処することに関する命令を含み得る。例えば、アラームは、インスリンカートリッジを交換するための命令およびインスリンカートリッジを交換する方法をユーザに提供することができる。別の例として、アラームは、機器のバッテリを変更する方法、またはインスリンポンプが被験者に接続する部位を変更する方法についての命令を提供することができる。場合によっては、アラームは、アラームに関連付けられた1つまたは複数の動作を含み得る。例えば、アラームは、インスリンの再注文をトリガしてもよく、またはインスリンを再注文するための再注文要求をユーザが確認することを要求してもよい。
【0275】
ユーザは、アラームを認知および/またはスヌーズすることができる。情報アラームなどの特定のアラームは却下することができる。しかし、一般に、アラームは、アラームを引き起こした状態が解決されるまで、アラームリスト上に残り得る。
【0276】
アラームを解決することは、アラームを生成させた状態に対処する任意のアクションを含むことができる。例えば、アラームを解決することは、インスリンカートリッジを交換すること、携帯型薬剤機器が被験者に接続されている部位を変更すること、携帯型薬剤機器のバッテリを充電すること、被験者および/もしくは携帯型薬剤機器にインスリンもしくは拮抗剤を提供すること、またはアラーム状態に対処するために行われ得る任意の他のアクションを含み得る。場合によっては、解決アクションは、アラームを認知している場合がある。例えば、アラームが情報的である(例えば、より多くのインスリンが注文されたことをユーザに通知する)場合、アラームを認知することは、十分な解決アクションであり得る。
【0277】
場合によっては、アラーム状態が解決されるかどうかは、ユーザの身元に依存し得る。例えば、子供がインスリンの再注文に関連するアラームと対話する場合、アラームは、親または保護者がアラームを認知するまで残り得る。しかし、子供はアラームをスヌーズすることができる。場合によっては、アラームを表示するユーザインターフェースは、誰がアラームを閲覧しているかに基づいて異なり得る。例えば、子供はアラームを閲覧することができるが、アラームと対話することはできない場合がある。しかし、親または保護者は、アラームをスヌーズまたは却下することができる。さらに、子供は、アラームに対処するために機器を親または大人に持って行くように指示されてもよい。場合によっては、子供は、どの程度緊急に親に連絡する(例えば、直ちに、1日以内、1週間以内などで親に連絡する)べきかを知らされ得る。さらに、指定された成人は、(例えば、テキストまたは電子メールアラームを介して)個別に警告されてもよい。親または保護者は、子供または被験者に提供されない追加情報(例えば、修復命令へのリンクまたはアラーム状態に対処するためのワークフロー)を受信することができる。
【0278】
場合によっては、特定の状態が時間とともに自己解決することがある。例えば、低バッテリアラームは、バッテリが充電されると解決し得る。このような場合、バッテリ充電レベルが特定の閾値を超えると、アラームは自動的に取り消され得る。さらに、場合によっては、1つまたは複数のアラームおよび/またはアラームリストは、アラームを表示するために指定されたユーザインターフェース画面に加えて、ホーム画面、メイン画面、または他の非アラームベースのユーザインターフェース画面上で閲覧および/またはアクセス
することができる。アラームリストは、携帯型薬剤機器および/または携帯型薬剤機器と通信するコンピューティングシステムからアクセスされ得る。
【0279】
しかし、場合によっては、アラーム状態は、携帯型薬剤機器がロックされているときに解決可能であってもなくてもよい。
【0280】
ユーザは、アラーム状態に基づいて生成されたアラームと対話することができる。場合によっては、ユーザは、携帯型薬剤機器がロック解除されているときにのみ、アラームと対話することができる。他の場合では、ユーザはアラームと対話してアラームをスヌーズするか、またはさらなる情報を取得することができる。しかし、ユーザは、携帯型薬剤機器をロック解除せずにアラームを却下することはできない。アラームと対話することは、ユーザがアラームと対話することに応答して、アラームに関連付けられた情報をユーザに提供すること、またはアラームを表すインジケータを提供することを含み得る。
【0281】
アラーム管理システムを有する例示的なAMD
図33は、アラーム状態を満たすステータス情報を受信したときに、アラーム状態を報知するためにAMDのアラームシステムによって使用され得る例示的な手順を示すフロー図を示す。いくつかの例では、アラーム報知システム3228は、AMDのCCM内のプロセッサによる命令の実行によって報知プロセスを実装し、命令は、メインメモリ、AMDのストレージ、または接続された電子機器もしくはコンピューティングシステムのメモリに記憶され得る。
【0282】
アラームシステムは、機器および被験者監視インターフェース3226、1つまたは複数の機器センサ、および/または1つまたは複数の被験者センサを使用して、ステータス情報を受信する(3302)ことができる。いくつかの例では、アラーム報知システム3228は、受信されたステータス情報がアラーム状態を満たすかどうかを判定する。いくつかの例では、アラーム状態は、アラームプロファイルにおけるアラーム状態であり得る。受信されたステータス情報がアラーム状態を満たさない場合、何も行われない(3306)。受信されたステータス情報がアラーム状態を満たす場合、アラームシステムは、アラーム状態が保留中のアラーム状態のリストに既に存在するか否かを判定する(3308)ことができる。アラーム状態が保留中のアラーム状態のリストに存在しない場合、アラームシステムは、アラーム状態を保留中のアラーム状態のリストに追加する(3310)ことができる。次に、アラームシステムは、アラーム状態の重大度を判定する(3312)ことができる。判定された重大度のレベルに基づいて、アラーム報知システム3228は、報知パターンを選択し(3314)、選択された報知パターンを使用してアラーム状態を報知することができる。アラーム状態が保留中のアラーム状態のリストに存在する場合、アラームシステムは、報知パターンを選択し、選択された報知パターンを使用してアラーム状態を報知することができる。いくつかの例では、ブロック3318で選択される報知パターンは、アラーム状態に対して以前に使用された報知パターンとは異なる報知パターンであり得る。いくつかのこのような例では、ブロック3318で選択される報知パターンは、受信されたステータス情報によって同じアラーム状態が満たされる回数に基づいて選択され得る。アラーム検出および制御機能のプロセスは、携帯型医療機器が使用中である限り、各処理サイクルを繰り返すことができる。いくつかの例では、アラームが報知された後、アラームシステムは、アラームのユーザ認知を待つことができる。ユーザがアラームを認知すると、システムはアラーム処理を実行するように進む。しかし、ユーザがアラームを認知しなかった場合、報知は継続し、アラームのレベルによってはエスカレートする場合がある。
【0283】
上述したように、アラーム状態は、アラーム状態の重大度レベルに基づいて分類され、報知され得る。いくつかの例では、アラームは、最高優先順位の障害がリストの最上部に
表示された降順で数値的に分類される。
【0284】
いくつかの例では、レベル0の重大度は、ユーザによるいかなるアクションも必要としないためアラーム通知を保証しない些細な障害に対するものであり得る。いくつかの他の例では、レベル1の重大度は、ユーザによって認知されてリセットされるまで特定の頻度で(例えば、30分ごとに)繰り返される情報タイプ通知であり得る。報知には、例えば、短い振動およびビープ音が含まれ得る。いくつかの例では、レベル2の重大度は、システム機能の切迫した喪失に関係するものであり得る。したがって、このような報知は、例えば、2つの短い振動および2つのビープ音を含み、特定の頻度で(例えば、30分ごとに)繰り返すことができる。したがって、ユーザは、依然として、障害を引き起こす状況に対処して、報知を完全に停止する必要がある。いくつかの他の例では、レベル3の障害は、システムがもはや完全に機能していないため問題を修正するためにユーザ介入を必要とするときのものであり得る。報知は、例えば、3回の短い振動および3回の音声ビープ音を伴う基本レベル強度で開始し、特定の頻度で(例えば、5分ごとに)繰り返すことができる。報知は、第2の頻度で、例えば30分ごとに最大強度レベルまでエスカレートする。エスカレーションは、例えば、振動強度および/または音声レベルの変化であってもよい。エスカレーションは、ユーザが障害を認知したときに基本レベルにクリアされ得るが、基礎となる状態が持続する場合には基本アラームが残る。したがって、ユーザは、依然として、障害を引き起こす状況に対処して、報知を完全に停止する必要がある。いくつかの例では、レベル4の重大度は、システムがもはや機能しておらず、ユーザによって修正可能でないときのものであり得る。報知は、例えば3回の音声ビープ音による基本レベルの強度で開始し、特定の頻度で(例えば5分ごとに)繰り返すことができる。報知は、第2の頻度で、例えば30分ごとに最大強度レベルまでエスカレートする。エスカレーションは、例えば、音声レベルの変化であってもよい。エスカレーションは、ユーザが障害を認知したときにクリアされ得るが、基礎となる状態が持続するので、基本アラームは残る。いくつかの他の例では、レベル5の重大度は、IEC 60601-1-8に準拠した高優先度アラームに対するものであり得る。起動したときの報知は、根底にある問題が解決されたとき、例えばグルコースレベルが上昇したときにのみクリアされ得る。
【0285】
本開示の1つまたは複数の実施形態と組み合わせることができる、アラーム状態の重大度を判定すること、およびアラーム状態の重大度に少なくとも部分的に基づいてアラームを報知することに関する追加の実施形態は、2019年10月4日に出願された「ALARM SYSTEM AND METHOD IN A DRUG INFUSION DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/911,017号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0286】
重大でないAMD状態管理
場合によっては、携帯型薬剤機器の動作に影響を与える状態が生じ得る。この状態は、製造業者、携帯型薬剤機器から治療を受ける被験者、および/またはユーザ(例えば、被験者の医療介護提供者、親、または保護者)によって意図されたように動作する携帯型薬剤機器の能力に関連し得る。場合によっては、携帯型医療機器の状態または誤動作は、携帯型医療機器が被験者に治療を提供することを妨げる場合がある。他の場合では、状態または誤動作は、少なくとも一定期間にわたって、携帯型医療機器が被験者に少なくとも部分的な治療を提供し続けることを可能にし得る。いずれの場合も、一般に、被験者および/または1人もしくは複数のユーザに携帯型医療機器および/または被験者の状態を通知するための警告を生成することが望ましい。さらに、アラートを引き起こした状態が解決されるまでアラートを追跡することが望ましい。さらに、被験者またはユーザがアラートをトリガした状態の重大度を容易に区別することを可能にするために、異なる状態に対して異なる種類のアラートを発行することが望ましい。
【0287】
多くの場合、アラートの性質が重要でない場合、治療を中止するよりも、基礎となる治療を継続し、ユーザに状態を通知することが安全であり得る。いくつかのこのような場合、被験者のための機器の問題に対する最良の応答は、機器の製造業者、または問題に対処することができる他のユーザに通知することであるが、被験者は、交換機器を入手することができるかまたは修復を行うことができるまで治療を受け続ける。
【0288】
加えて、アラート疲労は、必ずしもユーザ対話を必要としない過度のアラートに起因する医療機器の問題であり得る。アラート疲労は、深刻なアラートまたは短期間のアクションを必要とするアラートをユーザに無視させる可能性があるため、危険であり得る。
【0289】
本明細書に記載の方法は、AMDのための機器誤動作を検出するためにAMDによって(例えば、AMDの1つまたは複数のプロセッサによって)実行されてもよく、本方法は、携帯型医療機器に対応するアラートを生成し、アラートに優先順位を付けて、被験者またはユーザが、機器誤動作が治療に影響を与えるかどうか、短期間(例えば、直ちに、1~2時間以内、1日以内など)で対処されるべきか、および/または被験者の都合で(例えば、1ヶ月以内またはそれ以上)対処され得るかどうかを迅速かつ容易に判定することを可能にすることができる。場合によっては、本方法は他のシステムによって使用されてもよい。
【0290】
特定の実施形態では、本明細書に開示のシステムは、携帯型医療機器が製造業者の仕様を満たさない状態(例えば、触覚報知器の故障、Bluetooth(登録商標)無線の誤動作、グルカゴンまたはインスリンの枯渇、薬剤送達の誤動作、タッチスクリーンの故障など)を検出することができる。場合によっては、重大なおよび/または重大でない障害のいくつかの層が存在し得る。根底にある状態が治療を停止するのに十分でない(例えば、インスリンの送達が停止されない)と判定された場合、障害は重大ではないと見なされ得る。場合によっては、障害は、機器の障害ではない場合があるが、必要とされる保守(例えば、バッテリインジケータを再充電すること、より多くの薬剤インジケータを注文することなど)を示す場合がある。状態は、障害または問題に対処するための適切な命令(例えば、交換薬剤または部品について製造業者に連絡する)とともにユーザに報知され得る。
【0291】
報知が認知された後、アラートは、後日リマインダとして再報知され得る(例えば、アラートは、毎日午後4:00または土曜日の正午に再報知され得る)。報知の間隔は、障害の重大度に依存し得る。場合によっては、再報知はユーザによって停止することができないが、基礎となる状態が解決された場合にのみ停止することができる。
【0292】
本方法は、携帯型医療機器の状態を検出することを含むことができる。携帯型医療機器の状態は、携帯型医療機器の1つまたは複数のセンサによって判定され得る。さらに、携帯型医療機器の状態は、携帯型医療機器の1つまたは複数の機能を実行する際の1つまたは複数のエラーの有無によって判定され得る。例えば、携帯型医療機器が制御システムまたはデータ記憶システムとの通信接続を確立することに失敗した場合、携帯型医療機器に誤動作の可能性があると判定され得る。別の例として、携帯型医療機器が薬剤を送達することに失敗した場合、または薬剤を送達することを試行する際にエラーを検出した場合、薬剤ポンプに誤動作があり得る。場合によっては、携帯型医療機器の状態は、通常の動作範囲外にある1つまたは複数の構成値に基づいて判定され得る。例えば、薬剤の送達速度が、構成された動作範囲よりも速いまたは遅い場合、薬剤ポンプまたは薬剤送達チューブ(例えば、カテーテル)との接続に誤動作があると判定され得る。
【0293】
本方法は、携帯型医療機器の検出された状態を通常動作パラメータのセットと比較することを含むことができる。通常動作パラメータのセットは、携帯型医療機器が製造業者に
よって意図されたように動作しているときに製造業者によって設定された仕様であってもよい。場合によっては、通常動作パラメータは、値の範囲に関連付けられ得る。例えば、薬剤送達の速度についての動作パラメータは、速度の範囲と関連付けられてもよく、これは、他のパラメータの中でも特に、ユーザ設定、薬剤タイプ、薬剤送達の部位位置、または製造公差に基づいて変化させてもよい。携帯型医療機器の検出された状態を通常動作パラメータのセットと比較することは、仕様における各動作パラメータを携帯型医療機器の対応する検出された動作パラメータと比較することを含むことができる。携帯型医療機器は、携帯型医療機器の判定された状態に基づいてユーザアラートを生成することができる。例えば、AMDは、携帯型医療機器の検出された状態が通常動作パラメータのセットを満たさない場合にアラートを生成することができる。
【0294】
本方法は、検出された状態が動作パラメータの最小セットを満たすかどうかを判定することをさらに含むことができる。場合によっては、動作パラメータの最小セットは、通常動作パラメータと一致し得る。しかし、典型的には、動作パラメータの最小セットは、通常動作パラメータとは異なる。最小動作パラメータは、被験者に治療を提供することを維持または継続するために携帯型医療機器によって必要とされる最小仕様、最小パラメータ、または最小条件を含むことができる。換言すれば、最小動作パラメータは、治療を提供するのに十分な動作パラメータである。しかし、最小動作パラメータは、携帯型医療機器のすべての機能を可能にするのに十分でない場合がある。例えば、最小動作パラメータは、携帯型医療機器が被験者にインスリンを送達することを可能にし得るが、特定の携帯型医療機器に対して通常の送達速度でインスリンを送達するのに十分ではない場合がある。別の例として、最小動作パラメータは、治療の送達を可能にし得るが、治療のログを追跡するか、または治療ログを別のコンピューティングシステムに送信するのに十分ではない場合がある。場合によっては、通常動作パラメータおよび/または最小動作パラメータは、被験者または医療介護提供者によって指定され得る(例えば、各ボーラスで提供される薬剤の最小量は、医療介護提供者によって指定され得る)。場合によっては、通常動作パラメータまたは最小動作パラメータは変更され得る。
【0295】
携帯型医療機器の状態が少なくとも最小動作パラメータを満たすと判定された場合、携帯型医療機器は、被験者への治療の送達を維持するように構成され得る。治療の送達を維持することは、同じ速度で、低下した速度で(例えば、基礎治療および食事告知に応答する治療のみを提供する)、または最小維持速度で(例えば、基礎インスリンのみを提供する)治療を維持することを含むことができる。有利なことに、動作パラメータの最小セットと動作パラメータの通常セットとを区別する携帯型医療機器の能力は、故障した携帯型医療機器が、携帯型医療機器を修理することができるまで、または機器の状態が最小動作パラメータを維持することができない点まで悪化するまで、救命処置を含むことがある治療を被験者に提供し続けることを可能にする。場合によっては、携帯型医療機器は、治療の送達を一時的に維持することができる。治療を一時的に維持することは、被験者が治療へのアクセスを失う前に携帯型医療機器が通常動作パラメータを満たさない原因となった問題に対処するための時間を被験者に提供することができる。場合によっては、携帯型医療機器は、機器状態が治療を維持することを不可能にするまで、治療を一時的に維持する。
【0296】
図34は、AMDの状態を監視し、機器誤動作が検出されたときにアラートを生成することに関与するAMDにおけるモジュールおよびプロシージャ間の相互接続を示すブロック図である。いくつかの例では、AMDの状態は、AMDのモジュールおよびコンポーネントのステータスならびに/またはAMDのモジュールおよびプロシージャの動作を含み得る。いくつかの実施形態では、アラートシステムは、AMDの制御およびコンピューティングモジュール610(CCM)におけるアラート制御プロシージャ3422のセットとして実装されてもよい。アラート制御プロシージャ3422は、CCMのメモリ(例え
ば、メインメモリ616)に記憶された命令として実装され、ハードウェアプロセッサ614によって実行されて、携帯型薬剤機器の誤動作の検出時にアラートを生成することができる。場合によっては、ハードウェアプロセッサは、薬剤送達を制御する携帯型薬剤機器のハードウェアプロセッサであってもよい。他の場合では、監視システムのハードウェアプロセッサは、別個のハードウェアプロセッサであってもよい。
【0297】
いくつかの例では、アラート制御プロシージャ3422は、監視インターフェース3426、動作モニタプロシージャ3425、およびアラート生成プロシージャ3428を含むことができる。監視インターフェース3426は、動作監視プロシージャ3425および機器センサ3424から受信された情報に少なくとも部分的に基づいて、AMDおよび/または被験者の状態を監視および評価することができる。いくつかの例では、機器センサは、携帯型薬剤機器のコンポーネントまたはモジュールのステータスを追跡するように構成されてもよく、動作監視プロシージャ3425は、モジュールおよび他のプロシージャの動作を監視するように構成されてもよい。いくつかの例では、AMDの検出は、アラート生成プロシージャ監視インターフェースに提供され得る。アラート生成プロシージャ3428は、検出されたAMDの状態を通常動作パラメータのセットと比較することができる。いくつかの例では、アラート生成プロシージャはまた、検出されたAMDの状態が動作パラメータの最小セットを満たすかどうかを判定することができる。いくつかの例では、AMDの検出状態が通常動作パラメータを満たさないと判定された場合、アラート生成プロシージャはアラートを生成することができる。いくつかの例では、アラートは、ユーザインターフェースモジュール3408に送信され、AMDのディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)に表示され得る。いくつかの他の例では、アラートが生成されると、AMDは、別の機器との接続(例えば、無線接続)を確立することができる。この他の機器は、ローカル機器(例えば、ユーザのラップトップ、スマートフォンまたはスマートウォッチ)またはクラウドベースのサービスのコンピューティングシステムを含むことができる。いくつかのこのような例では、アラートは、通信モジュール3402によってコンピューティングシステムに送信されてもよく、コンピューティングシステムに関連付けられたユーザインターフェース上に表示されてもよい。場合によっては、追加の機器は、携帯型医療機器からデータを受信して、携帯型医療機器の状態を監視することを可能にすることができる。
【0298】
アラートの種類、およびアラートが繰り返される頻度、またはアラートが却下可能か否かは、検出されたAMDの状態およびAMDのメモリに記憶されたアラート情報に基づいて、アラート生成プロシージャによって判定され得る。いくつかの例では、アラート情報は、被験者、許可されたユーザ、または医療介護提供者によって提供され得る。いくつかの他の例では、アラート情報は、製造時にAMDに記憶され得る。
【0299】
いくつかの例では、検出されたAMD状態が通常動作パラメータのセットを満たさないと判定されると、アラート生成プロシージャは、薬剤送達インターフェース606に、治療送達を停止させるか、または1つもしくは複数の送達パラメータ(例えば、治療送達速度)を変更させることができる。いくつかの例では、検出されたAMD状態が通常動作パラメータのセットを満たさないが、最小動作パラメータのセットを満たすと判定されると、治療送達は正常速度で維持され得る。
【0300】
アラートは、任意の種類のアラートを含むことができる。例えば、アラートは、視覚的アラート(例えば、光または変化する光)、可聴アラート(例えば、ビープ音または一連のビープ音)、触覚もしくは振動アラート、電子メールアラート、テキストアラート、または任意の他の種類のアラートであってもよい。異なる機器状態は、異なるアラートに関連付けられてもよく、または異なるアラートをトリガしてもよい。したがって、ユーザアラートは、ユーザがアラートに基づいて携帯型医療機器の機器状態を判定することを可能
にすることができる。例えば、携帯型医療機器が薬剤を送達することに失敗したという指標は、1つの種類のアラートをトリガすることができるが、携帯型医療機器が利用可能な特定のレベル未満の薬剤を有するという指標は、異なるアラートをトリガすることができる。場合によっては、ユーザユーザアラートは、却下可能であり、および/またはユーザによってスヌーズされ得る。携帯型医療機器が最小動作パラメータのセットを満たすことができない場合など、他の場合では、ユーザアラートは却下可能ではない場合があるか、またはスヌーズされ得ない。
【0301】
却下可能なアラートは、アラート変更状態が発生するまで、特定の予定で繰り返すように予定され得る。却下可能なアラートが繰り返される頻度は、状態の重大度、または通常動作パラメータもしくは最小動作パラメータを満たさない特定の動作パラメータに依存し得る。より緊急の機器状態では、より頻繁にアラートが繰り返され得る。さらに、アラートは、いつ状態が検出されたか、時刻、または被験者の検出された活動(例えば、睡眠、異常な活動、または運動などの意気盛んな活動)に基づいて変化し得る。同様に、スヌーズのオプションは、異なるアラートまたは前述の状態のいずれかに対して変化し得る。場合によっては、携帯型医療機器は、携帯型医療機器の状態がより重大になったことを検出した場合、アラートをエスカレートする場合がある。
【0302】
アラート頻度は、静的な期間(例えば、5時間ごと)であってもよく、またはより高い頻度(例えば、5時間ごとに1~3回のリマインダ、4時間ごとに3~6回のリマインダなど)に向かって増加してもよく、または時刻(例えば、睡眠時間中に緊急でないアラートをスヌーズする)などに基づいて変化してもよい。
【0303】
アラート変更状態は、携帯型医療機器の動作パラメータを通常動作パラメータに戻す任意のアクションを含むことができる。例えば、アラート変更状態は、故障したコンポーネントの修理または交換であり得る。場合によっては、アラート変更状態は、アラートの認知を含むことができる。他の場合では、アラート変更状態は、携帯型医療機器状態の悪化を含むことができる。このような場合、アラートに対する変更は、携帯型医療機器の異なる状態またはより深刻な状態を示す異なるアラートへのアラートの置換を含み得る。例えば、検出された誤動作が特定の数のアラートを生成した後に対処される場合、緊急状態が重大になる場合がある。緊急状態が重大になると、異なるアラートの種類(例えば、より大きな音、またはより明るい画像)および/またはアラート頻度のエスカレーションをトリガする場合がある。例えば、可聴アラートは、より大きくなってもよく、触覚報知器からの振動アラートと組み合わされてもよい。さらに、状態が危機的状態に達した場合、携帯型医療機器は、被験者への治療の提供を停止することができる。
【0304】
場合によっては、アラートを生成することは、製造業者および/または医療介護提供者(例えば、臨床医)に連絡することをさらに含むことができる。さらに、アラートを生成することは、交換部品を注文することを含むことができる。場合によっては、アラートは、携帯型医療機器の修理方法を被験者またはユーザに指示することができる。
【0305】
誤動作が対処され、携帯型医療機器が修理され、またはアラートを引き起こした状態が解決されると、ユーザは、恒久的に(または次に機器状態がアラートをトリガするまで)アラートを却下することができる。あるいは、または加えて、携帯型医療機器は、アラートを引き起こした機器状態が解決されたことを感知した場合、アラートを自動的に却下することができる。場合によっては、携帯型医療機器は、機器状態を定期的に再チェックして、アラート状態が解決されたかどうかを判定することができる。
【0306】
場合によっては、製造業者または医療介護提供者は、例えば、NB-LTE接続を使用して、アラートを遠隔でクリアまたは停止することができる。場合によっては、製造業者
および/または医療介護提供者のみが、アラートをクリアまたは停止することができる。さらに、場合によっては、製造業者および/または医療介護提供者は、携帯型医療機器に関する問題または差し迫った問題をユーザ(例えば、被験者、または親もしくは保護者)に通知することができる。通知は、NB-LTE接続を介して携帯型医療機器によって受信され得る。あるいは、または加えて、通知は、スマートフォンまたはラップトップなどのコンピューティング機器を介して受信されてもよい。
【0307】
図35は、AMDの動作を監視し、機器誤動作が検出されたときにアラートを生成するためにAMDのアラートシステムによって使用され得る例示的な手順を示すフロー図である。いくつかの例では、アラートシステムは、AMDに関連付けられたすべてのモジュールおよびコンポーネントのステータス、ならびにAMDのすべてのモジュールおよびプロシージャの動作を連続的に監視する。機器状態が検出されると(3502)、アラートシステムは、検出された機器状態が通常動作パラメータのセットを満たすかどうかを判定する(3504)ことができる。検出された機器状態が通常動作パラメータのセットを満たすと判定された場合、アラートシステムは何もせず、AMDを継続的に監視する。機器状態が通常動作パラメータのセットを満たさないと判定された場合、アラートシステムは、検出された機器状態が最小動作パラメータのセットを満たすかどうかを判定する。ブロック3508において、機器状態が最小動作パラメータのセットを満たさないと判定された場合、アラートシステムは、治療送達モジュールに信号を送信して、被験者への治療の送達を停止し(3509)、即時のアクションが必要であることを示す重大なユーザアラートを直ちに生成する(3511)ことができる。いくつかの例では、重大なアラートを生成すると、AMDのアラームシステムは、医療介護提供者または認証されたユーザ(例えば、被験者の親または保護者)に連絡し、また、医療介護提供者または認証されたユーザの1つまたは複数のコンピューティング機器(例えば、ラップトップ、携帯電話、パーソナルコンピュータなど)に重大なアラートを送信することができる。ブロック3508において、機器状態が最小動作パラメータのセットを満たすと判定された場合、アラートシステムは、被験者への治療の送達を維持し(3510)、ユーザアラートを生成する(3512)ことができる。いくつかのこのような例では、アラートシステムは、アラート変更状態が検出される(3514)まで、AMDの検出された状態に関連付けられた速度(例えば、通常速度または最小維持速度)で治療の送達を維持することができる。アラート変更状態を検出すると(3514)、アラートシステムは、新しい機器状態が通常の設定パラメータを満たすかどうかを判定する(3516)ことができる。ブロック3516において、新しい機器状態が通常動作パラメータのセットを満たすと判定された場合、アラートシステムは、AMDの通常動作を再開する(3518)(例えば、通常速度で治療を送達する)ことができる。ブロック3516において、新しい機器状態が通常動作パラメータのセットを満たさないと判定された場合、アラートシステムは、新しい機器状態が最小設定パラメータを満たすかどうかを判定する(3520)ことができる。ブロック3520において、新しい機器状態が最小動作パラメータのセットを満たすと判定された場合。アラートシステムは、新しい機器状態に従って治療送達の速度を維持または変更し(3522)、新しい機器状態に従うことに従ってユーザアラートを生成する(3524)ことができる。ブロック3520において、新しい機器状態が最小動作パラメータのセットを満たさないと判定された場合、アラートシステムは、治療送達モジュールに信号を送信して、被験者への治療の送達を停止し(3509)、即時のアクションが必要とされることを示す重大なユーザアラートを直ちに生成する(3511)ことができる。いくつかの例では、重大なアラートを生成すると、AMDのアラームシステムは、医療介護提供者または認証されたユーザ(例えば、被験者の親または保護者)に連絡し、また、医療介護提供者または認証されたユーザの1つまたは複数のコンピューティング機器(例えば、ラップトップ、携帯電話、パーソナルコンピュータなど)に重大なアラートを送信することができる。
【0308】
グルコース制御剤の用量管理
携帯型医療機器は、被験者が移動しながら自身で自由に治療することを可能にする。自己管理された医学的処置は、被験者に固有の危険性を伴う。
【0309】
自動化された血糖制御システムは、被験者の血糖値の制御を補助するためにインスリンおよび/または拮抗剤(例えば、グルカゴン)を被験者に自動的に提供することができる。一般に、制御アルゴリズムは、1つまたは複数のグルコース制御剤をいつ送達するか、およびどれだけの薬剤を被験者に提供するかを判定するために自動化された血糖制御システム(BGCS)によって実装される。さらに、制御アルゴリズムは、インスリンの継続的または定期的な送達(例えば、基礎用量)と、被験者の血糖値を所望の範囲内に調節するために提供され得る補正ボーラスとの両方を制御することができる。制御アルゴリズムは、被験者から自動血糖測定値を取得した連続グルコース監視(CGM)センサなどのセンサから取得された血糖値読み取り値を使用することができる。さらに、場合によっては、制御アルゴリズムは、被験者によって摂取されるべき食事または摂取されている食事の指標に応答して、インスリンのボーラスを送達することができる。
【0310】
インスリンは、被験者の血液中に皮下投与され得る。インスリンが提供されてから、被験者の血漿中のインスリンの量が最大濃度に達するまでの間にはしばしば遅延が生じる。この時間は、インスリンの種類および特定の被験者の生理機能に基づいて変動し得る。例えば、速効型インスリンでは、インスリンのボーラスが被験者の血漿中の最大濃度に達するのに約65分かかることがある。いくつかの他の種類のインスリンでは、被験者の血漿中の最大濃度に達するのに3~5時間かかる場合がある。したがって、血糖制御システムは、被験者の血漿中のインスリン用量の蓄積をモデル化する双指数関数的薬物動態(PK)モデルを実装する予測アルゴリズムを実装することができる。血糖制御システムは、インスリンの種類、1つまたは複数の血糖読み取り値、および/または被験者の特性に基づいてその予測を修正することができる。
【0311】
場合によっては、被験者は、インスリンまたは薬剤の手動ボーラスを受けることができる。例えば、ユーザ(例えば、医療介護提供者、親、または保護者)または被験者は、ある用量のインスリンを被験者に注射することができる。別の例として、ユーザまたは被験者は、インスリンのボーラスを被験者に提供するように自動化された血糖制御システムに手動で指示することができる。
【0312】
インスリンを過剰に使用することは一般に望ましくない。過剰なインスリンは、低血糖をもたらし得る。上述したように、インスリンが被験者の血漿中の最大濃度に達するには時間がかかる場合がある。したがって、センサからの血糖値の読み取り値は、直ちに、または特定の期間後でさえ、被験者内のインスリンの量を反映しない場合がある。したがって、インスリンの手動ボーラスは、自動化された血糖制御システムによって検出されない場合がある。結果として、自動化された血糖制御システムが、手動ボーラスの送達中に作動しているか、または被験者に対する手動ボーラスの効果を反映する血糖値の読み取りの前に被験者に対して作動するように構成されている場合、自動化された血糖制御システムは、低血糖をもたらす可能性がある被験者に追加のインスリンを不必要に投与する場合がある。
【0313】
本開示は、被験者にグルコース制御治療の自動送達を提供し、被験者に提供される手動グルコース制御治療に関する情報を受信するように構成された自動化された血糖制御システムに関する。手動グルコース治療に関する受信された情報を使用して、自動化された血糖制御システムは、インスリン(または抗治療剤)の手動投与を考慮するように血糖制御アルゴリズムを調整することができる。手動グルコース制御治療は、注射治療によって提供されてもよく、またはインスリンポンプによって提供されてもよい。
【0314】
場合によっては、自動化された血糖制御システムは、インスリンの自動的に計算された用量の代わりに、被験者に投与するためのインスリンまたは薬剤の指標を受信することができる。例えば、自動化された血糖制御システムは、被験者が食事を摂取しているか、または摂取するであろうという指標を受信することができる。指標は、摂取される食事の種類(例えば、朝食、昼食、または夕食)、および摂取される食物または炭水化物の量の推定値(例えば、通常より少ない、通常の量、通常より多い、30~40グラムの炭水化物、45~60グラムの炭水化物など)を含み得る。指標または食事告知に基づいて、自動化された血糖制御システムは、被験者に投与するインスリンの量を計算することができる。計算は、臨床医によって提供される、および/または自動化された血糖制御システムによって判定されるインスリン対炭水化物比に基づいてもよい。さらに、計算は、特定の食事を摂取するときの被験者の血糖値測定の履歴に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0315】
ユーザによって告知された食事に対するインスリンの計算された量は、ユーザに提示され得る。ユーザ(例えば、被験者)は、投与するインスリンの量を変更することができる。例えば、ユーザは、被験者が摂取しているか、または摂取することを計画しているサイズの食事に対して、より多いインスリンまたはより少ないインスリンが投与されるべきであると判定することができる。このような場合、ユーザは、投与すべきインスリンの量のユーザの判定に一致するように、計算されたインスリン投与量を変更することができる。場合によっては、自動化された血糖制御システムは、ユーザの入力に基づいてその制御アルゴリズムを変更することができる。したがって、将来の食事告知は、被験者のインスリン必要性および/または選好を満たすインスリンの計算をもたらし得る。
【0316】
場合によっては、手動ボーラスの量の指標は、インスリンを投与することに関連付けられた数値(例えば、インスリンの量、炭水化物の数、または別の計算)を入力するユーザによって受信され得る。上述したように、自動化された血糖制御システムは、インスリンの食事用量を自動的に計算し、ユーザが手動ボーラス情報を入力することができるユーザインターフェースを介してこの食事用量をユーザに提示することができる。食事告知を行う時点で、ユーザは、手動ボーラスを入力するオプションを有することができる。血糖ポンプの食事コントローラは、オンライン操作の以前の履歴または推奨を行うための基礎がある場合、手動入力に対する推奨を提供することができる。
【0317】
情報は、ユーザインターフェースを介してユーザから受信することができる。このユーザインターフェースは、自動化された血糖制御システムによって提供されてもよい。あるいは、または加えて、ユーザインターフェースは、ラップトップもしくはデスクトップ、スマートフォン、スマートウォッチ、または有線もしくは無線通信を介して自動化された血糖制御システムと通信することができる任意の他のコンピューティング機器など、別の機器によって生成されてもよい。情報は、手動ボーラス(例えば、注射治療による)の送達の指標、手動ボーラスの量、インスリン(または他の薬剤)の種類、手動ボーラスが送達された時間、手動ボーラスが被験者に投与された一般的な位置(例えば、背中、胃、腕、脚など)、手動ボーラスの理由(例えば、食事、維持用量、血糖値の読み取り値、運動前など)、および被験者の血糖値を制御する際に血糖制御システムによって使用可能であり得る任意の他の情報のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0318】
有利には、特定の実施形態では、手動投与情報を自動化された血糖制御システムに提供することは、血糖制御システムの自動化された機能がアクティブまたは動作可能であるとき、血糖制御システムが被験者の血糖値を所望の範囲内に維持するのを助けることができる。例えば、自動化された血糖制御システムが、CGMセンサ読み取り値から、被験者の血糖値が高いと判定した場合、自動化された血糖制御システムは、通常、インスリンのボーラスを投与し得る。しかし、自動化された血糖制御システムが、インスリンの手動ボー
ラスが最近(例えば、過去30分以内に)投与されたという指標を受信した場合、自動化された血糖制御システムは、インスリンのボーラスを低減させるか、または投与せず、それによって低血糖イベントを防止することができる。いくつかのこのような場合では、自動化された血糖制御システムは、被験者の血糖値を監視し続けることができ、血糖値読み取り値が、報告されたインスリンの手動ボーラスに基づいて予想される血糖値を反映していない場合、後で追加のインスリンを投与することができる。
【0319】
場合によっては、例えば、ユーザが、自動化された血糖制御システムに手動ボーラスを提供させることができるため、手動ボーラスの指標を受信することは不要である場合がある。このような場合、自動化された血糖制御システムは、送達されたインスリンの量およびボーラス投与のタイミングを追跡することができる。手動ボーラスを追跡するために、自動化された血糖制御システムは、手動ボーラスに関連付けられた情報を治療ログに記憶することができる。したがって、自動化された血糖制御システムが自動モードで動作しているとき、自動化された血糖制御システムは、治療ログにアクセスして、手動ボーラスが投与されたかどうかを判定し、投与された場合、手動ボーラスのタイミングおよび量を判定することができる。
【0320】
場合によっては、自動化された血糖制御システムは、手動ボーラスに関連付けられた情報に基づいて、経時的な血漿中のインスリンまたは他の薬剤の減少をモデル化することができる。経時的な薬剤の減少をモデル化することは、以前に投与された薬剤の将来の効果を推定するために使用され得る。場合によっては、モデルは、自動化された血糖制御システムによって以前に投与された薬剤を考慮することができる。さらに、場合によっては、モデルは、被験者の体重または被験者の体重に関連する入力パラメータ(例えば、体格指数)など、被験者の生理学的特性を考慮することができる。さらに、モデルは、皮下注入部位から被験者の血漿中への薬剤ボーラスの経時的な灌流を考慮することができる。さらに、自動化された血糖制御システムは、インスリンの蓄積をモデル化し、インスリンの活性の時間経過をモデル化し、またはインスリンの有限利用率をモデル化することができる。
【0321】
モデルに基づいて、自動化された血糖制御システムは、自動モードで動作するときに、インスリンまたは他の薬剤の自動投与を調整することができる。さらに、自動化された血糖制御システムは、被験者のグルコースレベルおよび被験者における薬剤のモデル化された濃度に基づいて、(例えば、薬剤ポンプを制御することによって)薬剤の投与を操作することができる。
【0322】
場合によっては、自動化された血糖制御システムは、手動ボーラスが被験者に送達されたことを確認することができる。確認は、CGMセンサによる血糖値の読み取り値が手動投与情報に基づいて自動化された血糖制御システムによって予測される閾値レベルと一致するか、または閾値レベルの範囲内であるかどうかに少なくとも部分的に基づいて判定することができる。あるいは、または加えて、自動化された血糖制御システムは、ユーザインターフェースを介して、手動ボーラスが送達されたことをユーザが確認するように要求することができる。自動化された血糖制御システムによって送達される手動ボーラスの場合、ユーザは、自動化された血糖制御システムまたは自動化された血糖制御システムと通信する機器(例えば、ラップトップまたはスマートフォンなど)のユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーン)との特定のジェスチャまたは一連の対話を使用することによって、手動ボーラスの投与を確認するように要求されてもよい。
【0323】
前述のように、場合によっては、手動ボーラスに関する情報は、インスリンの量および手動ボーラスが投与された理由(例えば、特定の大きさの食事のために)を含み得る。いくつかのこのような場合、自動化された血糖制御システムは、手動ボーラスが供給されて
いない場合、手動投与情報に基づいて自動化された血糖制御システムが自動動作モードで投与するであろうインスリンの量を判定することができる。自動化された血糖制御システムが、異なる量の薬剤を供給したであろうと判定した場合、かつその差が閾値を超えた場合、自動化された血糖制御システムは、その差を考慮するために血糖制御アルゴリズムを調整することができる。例えば、自動化された血糖制御システムは、自動化された血糖制御システムが被験者において維持しようとするインスリンの動作設定点または範囲を変更することができる。別の例として、自動化された血糖制御システムは、インスリンの過少投与を考慮するために追加のインスリンで手動ボーラスを補充することができ、またはインスリンの過剰投与を考慮するためにインスリンの後続の投与量を低減することができる。
【0324】
前述のように、自動化された血糖制御システムは、手動インスリン治療の治療ログを維持することができる。この治療ログは、手動ボーラスを提供するための自動化された血糖制御システムの使用に基づいて、またはインスリンの手動投与(例えば、注射による)に基づいてユーザによって提供される情報に基づいて維持され得る。手動ボーラスは、自動化された血糖制御システムが動作していない、自動モードで動作していない、または被験者に接続されていないときに供給されてもよい。自動化された血糖制御システムが被験者に接続され、自動モードで構成されると、自動化された血糖制御システムは、治療ログと自動化された血糖制御システムによって実施されるグルコース制御アルゴリズムとの組み合わせに基づいて、被験者に提供する治療があれば、その治療を判定することができる。
【0325】
自動化された血糖制御システムは、判定された治療に基づいて用量制御信号を生成することができる。この用量制御信号は、被験者への薬剤(例えば、インスリン)の送達を制御することができる薬剤ポンプに供給され得る。
【0326】
場合によっては、ユーザは、自動化された血糖制御システムまたは自動化された血糖制御システムと通信する機器のユーザインターフェースと対話することによって、自動化された血糖制御システムが手動モードで動作しているか自動モードで動作しているかを制御することができる。ユーザ対話は、ユーザインターフェースとの任意の種類のユーザ対話を含むことができる。例えば、ユーザ対話は、物理的なボタンのための対話、またはタッチスクリーン上のジェスチャもしくはタップを含むタッチスクリーンとの対話を含むことができる。
【0327】
本開示の1つまたは複数の実施形態と組み合わせることができる食事薬剤用量および手動投与を管理することに関する追加の実施形態は、2019年10月4日に出願された「SYSTEM AND METHOD OF MANAGING MEAL DOSES
IN AN AMBULATORY MEDICAL DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/911,143号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0328】
1つまたは複数のコンピュータのシステムは、動作中にシステムにアクションを実行させる、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わせをシステムにインストールすることによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成することができる。1つまたは複数のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されるときに装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成することができる。1つの一般的な態様は、手動送達コンポーネントまたは自動化された送達システムを使用して薬剤を受け取ることを選択するオプションをユーザに提供することを含む方法を含む。本方法はまた、自動化された送達システムによって、血糖値を変化させ得る活動または動作に関する主観的情報を受信することを含む。本方法はまた、手動送達コンポーネントによって、注入される薬剤
の量を受け取ることを含む。本方法はまた、時間と、血糖値を制御する自動化された送達システムに注入される薬剤の量とを記憶することを含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、および1つまたは複数のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラムを含み、それぞれが本方法のアクションを実行するように構成される。
【0329】
実装形態は、以下の機能の1つまたは複数を含み得る。自動化された送達システムが、手動送達コンポーネントまたは自動化された送達システムのいずれかから受け取った薬剤の時間および量に基づいて薬剤送達を変更する方法。手動送達コンポーネントが、ユーザが所望の薬剤の投与量を打ち込むことを可能にするキーパッドを含む方法。選択するオプションを提供することが、血糖値を変化させ得る活動をユーザが行う前に提供される方法。血糖値を変化させ得る活動が、食物を摂取することまたは運動することを含む方法。食物を摂取する活動に関する主観的情報が、消化される食物のおおよその相対的大きさを含む方法。食物のおおよその相対的大きさがユーザに対して推奨される食事用量と比較され、おおよその相対的大きさが推奨される用量と同じであるか、より大きいか、またはより小さいかに応じて、モデル予測制御コンポーネントが、血液のグルコースレベルを調節するために必要とされる動作を判定することができる方法。運動の活動に関する主観的情報が、運動の強度および持続時間を含む方法。運動の強度および持続時間が推奨される強度および持続時間と比較され、推奨される強度および持続時間と同じであるか、より大きいか、またはより小さいかに応じて、自動化された送達システムは、血液のグルコースレベルを調節するために必要とされる動作を判定することができる方法。記載した技術の実装形態は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータアクセス可能媒体上のコンピュータソフトウェアを含むことができる。
【0330】
1つの一般的な態様は、手動送達コンポーネントまたは自動化された送達システムを使用して薬剤を受け取ることを選択するオプションをユーザに提供するように構成された医療機器を有するシステムを含む。本システムはまた、血糖値を変化させ得る活動に関する主観的情報を受信するように構成された自動化された送達システムを含む。本システムはまた、注入される薬剤の量を受け取るように構成された手動送達コンポーネントを含む。本システムはまた、医療機器が、時間と、血糖値を制御する自動化された送達システムに注入される薬剤の量とを記憶する場合を含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、および1つまたは複数のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラムを含み、それぞれが本方法のアクションを実行するように構成される。
【0331】
治療変更を要求するために携帯型医療機器を利用すると、ユーザは異なる選好を有することがある。したがって、現代の技術、特に携帯型医療機器には、選択性機能を備えることが望ましい。これらの選択性機能は、ユーザおよび被験者の異なる選好を満たすことができる。選択性機能は、ユーザが治療変更をより厳密に制御することを可能にすることができ、ユーザが携帯型医療機器の医療支援により従事することを可能にすることができる。
【0332】
様々な選好を満たすために、携帯型医療機器は、ユーザが所望の薬剤の量を手動で要求するか、またはさらなる支援なしに適切な時間に適切な量の薬剤を自動的に送達する自動化された送達システムを選択することを可能にするオプションを提供する必要がある。手動コンポーネントでは、ユーザは、医療機器によって提供されるキーパッド上で所望の量を個人的に入力することができる。医療機器はさらに、要求された薬剤を確認して送達する。薬剤が手動送達コンポーネントを通して注入された後、データは、血糖値を制御および調節するためにさらに使用されるモデル予測制御コンポーネントに記憶される。しかし、ユーザが自動化された送達システムを使用することを決定する場合、ユーザは、血糖値
を変化させ得る活動または動作に関する主観的情報を提供しなければならない。例えば、血糖値を変化させる活動が食物を摂取することである場合、ユーザは、消化されることになる食物の時間および投与量を提供しなければならない。この情報は自動化された送達システムに結び付けられ、主観的情報はさらにモデル予測制御コンポーネントに記憶される。
【0333】
本明細書に記載の実施形態は、ユーザに投与されるインスリンまたはグルカゴンの用量をユーザが打ち込むことを可能にするキーパッドを有する携帯型医療機器を含む。ユーザは、食物を摂取する前にインスリンの単回用量を受け取り、どれだけのインスリンを投与する必要があるかを決定することを望む場合がある。他の実施形態では、ユーザは、身体活動のための低血糖によるグルカゴンのバーストを受けることを選択することができる。実施形態は、薬剤の手動入力および薬剤の自動化された送達システムのためのオプションを含み得る。様々な実装形態では、薬剤の自動化された送達システムは、血糖値または関連する傾向によって駆動される。本明細書の実施形態は、ユーザが手動用量を受け取ったばかりであり、自動化された送達システムをオンにしたときに生じ得る問題に対処する。このような場合、自動化された送達システムは、すべての手動薬剤注入量およびこのような注入のタイミングを認識することができる。したがって、手動送達コンポーネントは、任意の薬剤を送達すると、送達された薬剤の種類、薬剤の量、および送達された薬剤のタイミングを自動化された送達システムに知らせることができる。上記の情報を有することによって、自動化された送達システムは、ユーザの血流である薬剤の量を判定し、薬剤の自動化された送達および自動化された送達のタイミングを調整することができる。したがって、実施形態は、手動送達コンポーネントおよび自動化された送達システムからのリスクのない移行を可能にすることを対象とする。
【0334】
他のシステムとの相違は、手動送達が自動化された送達システムに結び付けられてもよく、次いで、ユーザからの用量入力が、食事送達アルゴリズムの代わりにMPCアルゴリズム(モデル予測制御)に記憶され、MPCアルゴリズムによって処理されることを含み得る。他の実施形態は、相対論的アルゴリズム的に調整された値を有することができる選択を含むことができる。他の実施形態は、通常の大きさの食事、またはより大きい大きさの食事、または小さい大きさの食事を含む学習アルゴリズムを含むことができる。実施形態は、手動入力を、食事の大きさがどのくらいであったかをユーザに尋ねることと、インスリンがユーザにどのように影響するかを学習することとに関連付けることを含み得る。実施形態は、手動入力を、ユーザがどのような活動を行ったかをユーザに尋ねることと、グルカゴンが特定の活動に対してユーザにどのように影響するかを学習することとに関連付けることを含み得る。
【0335】
手動用量管理を有するBGCS
図36は、ユーザが薬剤の手動送達または薬剤の自動化された送達を受ける選択を可能にする携帯型医療機器3602における治療変更送達システム3600の概略図を示す。さらに、治療変更送達システム3600により、ユーザは手動モードと自動モードとの間で容易に移行することができる。治療変更送達システム3600は、携帯型医療機器3602、信号処理コンポーネント3603、ユーザ3604、治療送達コンポーネント3605、治療変更入力3606、入力コンポーネント3607、活動変更コンポーネント3608、および治療変更送達3610を含む。ユーザが携帯型医療機器3602から治療を受けようとするとき、ユーザ3604は、手動または自動化された薬剤を要求するために治療変更入力3606を開始することができる。
【0336】
携帯型医療機器3602は、ユーザ3604が携帯し、医療専門家の承認を得て使用することができる任意の医療機器である。多くの異なる種類の携帯型医療機器3602がある。一実施形態では、携帯型医療機器3602は、I型糖尿病を有するユーザ3604用
のインスリンおよび/またはグルカゴン注入機器である。携帯型医療機器3602により、ユーザ3604はいかなる状況でも自分自身の都合に合わせて自由に医療を受けることができる。しかし、携帯型医療機器3602を使用することの欠点は、ユーザが医療専門家から離れているときにユーザ3604が間違うことである。1つの可能性のある問題は、自動送達モードがユーザの血流中の薬剤の量を判定することができないときに、ユーザ3604が手動送達モードから自動送達モードに切り替えることに起因し得る。実施形態は、ユーザの血流中の現在および将来の薬剤に基づいて自動化された薬剤送達システムの動作を調整することができるように、手動薬剤送達情報が自動化された薬剤送達システムに提供されることを対象とする。携帯型医療機器3602がインスリンおよび/またはグルカゴン注入機器である実施形態など、いくつかの場合では、薬剤の自動送達を行うことは問題となり得る。
【0337】
携帯型医療機器3602は、信号処理コンポーネント3603、治療送達コンポーネント3605、および入力コンポーネント3607を含む。信号処理コンポーネント3603、治療送達コンポーネント3605、および入力コンポーネント3607は、物理的に接続されるか、無線で接続されるか、クラウドベースのコンピュータシステムを介して接続されるか、または任意の他の方法で接続されてもよい。
【0338】
信号処理コンポーネント3603は、携帯型医療機器3602のためのコンピューティング機能を実行するコンピューティングシステムである。信号処理コンポーネント3603は、プロセッサ、メモリ、およびストレージを含む。信号処理コンポーネント3603は、単一のコンピューティングシステムであってもよく、またはいくつかのコンピューティングシステムから構成されてもよい。信号処理コンポーネント3603は、単一の携帯型医療機器3602または多数の携帯型医療機器3602のためのコンピューティング機能を実行することができる。信号処理コンポーネント3603は、治療送達コンポーネント3605および入力コンポーネント3607から信号を受信する。信号処理コンポーネント3603はまた、治療送達コンポーネント3605および入力コンポーネント3607に信号を送信する。治療変更入力3606、治療変更送達3610、および3608のすべてのステップの信号は、信号処理コンポーネント3603によって受信または送信することができる。
【0339】
ユーザ3604は、携帯型医療機器3602を使用する任意の個人である。一実施形態では、ユーザ3604は、健康な血糖値を維持するためにインスリンまたはグルカゴンの定期的な注入を必要とする糖尿病を有する個人である。様々な実施形態では、携帯型医療機器3602は、インスリンまたはグルカゴンをユーザ3604に注入する。ユーザ3604は、携帯型医療機器3602を搬送することができる。したがって、ユーザ3604が動き回ると、ユーザ3604が治療変更入力3606を開始する携帯型医療機器3602内の入力を不注意に起動する危険性がある。
【0340】
治療送達コンポーネント3605は、ユーザ3604に薬剤を提供する。信号処理コンポーネント3603から受信された信号は、治療の開始、変更、または停止などの治療を変更するために、治療送達コンポーネント3605によって実行される。治療送達コンポーネント3605は、信号処理コンポーネント3603からの命令を解釈および実行するためのコンピューティングコンポーネントを有することができる。したがって、治療送達コンポーネント3605は、信号処理コンポーネント3603によって制御されるプログラムに従うことができる。一実施形態では、治療送達コンポーネント3605は、1つまたは複数の注入ポンプである。注入ポンプは、ユーザ3604に様々な速度で流体を送達することができる。注入ポンプは、薬剤を含むあらゆる流体を送達することができる。注入ポンプは、任意の手段を介してユーザ3604に接続され得る。一実施例では、注入ポンプは、カニューレを介して身体に接続される。例示的な実施形態では、治療送達コンポ
ーネント3605はインスリン注入ポンプである。また、例示的な実施形態では、治療送達コンポーネント3605は、インスリンおよびグルカゴン注入ポンプである。信号処理コンポーネント3603から受信された信号は、インスリンおよびグルカゴンポンプによって解釈されて、ユーザ3604に送達されるインスリンおよびグルカゴンの速度を開始、停止、または変更することができる。
【0341】
例示的な実施形態では、治療送達コンポーネント3605は電気刺激機器である。電気刺激機器の一例は心臓ペースメーカである。心臓ペースメーカは、心筋を刺激して心拍を制御する。信号処理コンポーネント3603から受信された命令は、心臓ペースメーカによって解釈されて、心筋の刺激を開始し、心筋の刺激を停止し、または心筋の刺激の速度を変更することができる。電気刺激機器の別の例は、パーキンソン病または運動障害を治療するための脳深部刺激器である。信号処理コンポーネント3603から受信された命令は、脳深部刺激器によって解釈されて、脳の刺激を開始、停止、または変更することができる。
【0342】
治療変更入力3606は、ユーザ3604に現在送達されている治療を変更するためにユーザ3604によって提供される入力である。治療の変更は、治療の開始、治療の変更、または治療の取り消しであり得る。多くの種類の可能性のある治療変更があり、治療変更の種類は携帯型医療機器3602の種類に依存する。一実施形態では、携帯型医療機器3602はインスリンまたはグルカゴン注入機器である。しかし、開示された主題についての携帯型医療機器3602の多くの可能な実施形態がある。インスリンまたはグルカゴン注入機器における治療変更入力3606は、実行されると、インスリンまたはグルカゴン注入機器に、ある量のインスリンまたはグルカゴンをユーザ3604に注入することを開始させる指標であってもよい。あるいは、治療変更入力3606は、ユーザ3604へのインスリンまたはグルカゴン注入の速度を変更する指標であってもよい。治療変更入力3606はまた、インスリンまたはグルカゴン注入機器からユーザ3604へのインスリンまたはグルカゴン注入を取り消す命令であってもよい。例示的な実施形態では、携帯型医療機器3602は、操作されると身体の一部を刺激する電気インプラントである。一例は、パーキンソン病を有するユーザ3604または疼痛管理のための電気脳インプラントである。治療変更の実施は、身体への電気刺激の速度を変更することであり得る。
【0343】
治療変更送達3610は、携帯型医療機器3602による、3608によって検証された治療変更入力3606の性能である。治療変更送達3610によって送達される治療変更は、ユーザ3604によって行われた治療変更選択に対応する。一実施形態では、携帯型医療機器3602は、治療変更送達3610を実行していることをユーザ3604に警告する。様々な実施形態の一例では、携帯型医療機器3602は、治療変更送達3610中に治療変更を表示する。治療変更送達3610中に、治療変更の任意の数の詳細が表示されてもよい。図43Bに示すように、「送達中」という単純なメッセージが、治療変更送達3610中に表示されてもよい。あるいは、「2単位のインスリンを送達中」または「毎分2単位でインスリンを送達中」などのより正確な詳細が表示されてもよい。別の例では、携帯型医療機器3602は、治療変更送達3610中に音響効果を再生する。図43Bに示す例示的な実施形態では、治療変更送達3610は、ユーザ3604による入力によって取り消されてもよい。治療変更送達3610を取り消すための入力は、ウェイク信号入力などの任意の入力、またはジェスチャなどの一連のタッチ入力であってもよい。
【0344】
入力コンポーネント3607により、ユーザ3604は携帯型医療機器3602と対話して制御することができる。ユーザ3604が有する制御の量は、携帯型医療機器3602およびユーザ3604のタイプに基づいて変化し得る。例えば、鎮痛薬を送達する携帯型医療機器3602は、ユーザが、心拍を制御する携帯型医療機器3602よりも多くの制御を可能にすることができる。別の例では、幼い子供(約10、11、または12歳未
満)であるユーザ3604は、10代または成人であるユーザ3604よりも、携帯型医療機器3602に対して少ない制御をすることができる。入力コンポーネント3607は、ウェイクボタン3620、タッチスクリーンディスプレイ3622、および英数字パッド3624を含む。
【0345】
ウェイクボタン3620は、ユーザ3604によって起動されて、携帯型医療機器3602をロック解除するためのウェイク信号入力を生成する。ウェイクボタン3620は、任意の入力ボタンであってもよい。一実施形態では、ウェイクボタン3620は、静電容量の変化を検出する静電容量ボタンである。ウェイクボタン3620は、信号処理コンポーネント3603からの命令を解釈して実行するためのコンピューティングコンポーネントを有することができる。したがって、ウェイクボタン3620は、信号処理コンポーネント3603によって指示されるプログラムに従うことができる。
【0346】
タッチスクリーンディスプレイ3622は、ユーザ3604のための治療変更ユーザインターフェースを表示し、タッチスクリーンディスプレイ3622の入力面上でユーザ3604の入力を受信することができる。タッチスクリーンディスプレイ3622上の入力は、静電容量性および抵抗性感知を含むがこれらに限定されない任意のタッチ技術によって登録され得る。タッチスクリーンディスプレイ3622は、携帯電話、タブレット、ラップトップ、コンピュータなどの移動式コンピューティング機器の一部であってもよい。タッチスクリーンディスプレイ3622は、信号処理コンポーネント3603からの命令を解釈して実行するためのコンピューティングコンポーネントを有することができる。。したがって、タッチスクリーンディスプレイ3622は、信号処理コンポーネント3603によって指示される命令に従うことができる。入力を受信するために、タッチスクリーンディスプレイ3622は、ボタン、英数字、記号、グラフィカル画像、アニメーション、または映像を表示することができる。タッチスクリーンディスプレイ3622は、携帯型医療機器3602がロックされているかまたはタッチスクリーンディスプレイ3622を介してアクセスできないときを示す画像を表示することができる。タッチスクリーンディスプレイは、第1のジェスチャおよび第2のジェスチャを構成する一連の入力を受信することができる。
【0347】
英数字パッド3624は、数字入力、アルファベット入力、および記号入力を登録する。英数字パッド3624は、数字入力、アルファベット入力、および記号入力に対応する多数のキーを含む。英数字パッド3624は、信号処理コンポーネント3603からの命令を解釈して実行するためのコンピューティングコンポーネントを有することができる。したがって、英数字パッド3624は、信号処理コンポーネント3603によって指示される命令に従うことができる。英数字パッド3624は、そのキーから触覚フィードバックを提供するように構成されてもよい。1つまたは複数の英数字パッド3624は、任意の数のキーおよび任意の数の文字を有することができ、ユーザ3604が探している文字のすべてを見つけるために切り替えることができる複数の画面にまたがることができる。一実施形態では、ウェイクボタン3620は英数字パッド3624に組み込まれる。様々な実施形態では、ウェイクボタン3620は、英数字パッド3624の任意の1つまたは複数のキーであってもよい。例示的な実施形態では、英数字パッド3624は、タッチスクリーンディスプレイ3622の一部として表示される。英数字パッド3624からの文字は、ウェイク信号入力、第1のジェスチャ、治療変更選択、および第2のジェスチャのための入力として使用され得る。例示的な実施形態では、第1のジェスチャおよび/または第2のジェスチャは、英数字パッド3624上に所定の文字を入力することによって作成される。
【0348】
活動変更コンポーネント3608は、携帯型医療機器上で実行される専用ソフトウェアの一部であってもよく、または本明細書に記載の様々な機能を実行する専用ハードウェア
を含んでもよい。活動変更コンポーネント3608は、ユーザの血糖を変化させる活動をユーザが行おうとしている天候に関するユーザからの入力を受信することができる。例えば、ユーザは、入力コンポーネント3607を使用して、ユーザの血糖を下げることができる運動を実行しようとしているか、またはユーザの血糖を上げる食事を食べようとしているという入力を提供することができる。入力コンポーネント3607から活動変更を受信すると、活動変更コンポーネント3608は、モードコントローラ3613を介して、自動化された送達システム3612または手動送達コンポーネント3614のいずれかを選択するオプションをユーザに提供する。図36に示すように、手動化された送達システムは、インスリンまたはグルカゴンのあらゆる手動薬剤送達に関して、自動化された送達システム3612およびモデル予測制御コンポーネント3616に知らせることができる。
【0349】
様々な実施形態では、ユーザは、投与量、薬物の種類(インスリンまたはグルカゴン、速効性または遅効性)、および送達の時間を選択することができ、手動送達コンポーネント3614は、このような情報を受信し、それに応じて薬剤を送達することができる。一実施形態では、手動送達コンポーネント3614は、自動化された送達システム3612およびモデル予測制御コンポーネント3616に、薬物の種類(インスリンまたはグルカゴン、速効性または遅効性)、および送達の時間に関して通知することができる。
【0350】
ユーザが自動化された送達システム3612を起動すると、以前の手動薬剤注入からのデータを容易に利用することができるので、自動化された送達システム3612は、どれだけの量の薬剤が依然としてユーザの血流中にあるかを判定することができる。自動化された送達システム3612は、自動化された送達システム3612に報告された任意の手動薬剤注入の時間および量に基づいて、被験者による注入インスリンの有限利用率を追跡することによって、その判定を行うことができる。
【0351】
図37は、例示的な実施形態による、薬剤選択プロセスを詳述するプロセス3700のフローチャートである。ステップ3710では、医療機器は、手動送達コンポーネントまたは自動化された送達システムを使用して薬剤を受け取ることを選択するオプションをユーザに提供する。モードコントローラ113を使用することによって、ユーザは、手動送達コンポーネントと自動化された送達システムとの間で治療変更要求のための方法を選択することができる。
【0352】
ステップ3720では、医療機器は、血糖値を変化させ得る活動または動作に関する主観的情報を受信することができる。主観的情報は、食事の大きさおよび/または身体活動の種類を含むことができる。ステップ3730では、手動送達コンポーネントは、注入される薬剤の量を受け取ることができる。薬剤は、グルカゴンまたはインスリンを含むがこれらに限定されない複数のホルモンであってもよい。ステップ3740では、医療機器は、時間と、血糖値を制御する自動化された送達コンポーネントに注入された薬剤の量とを記憶することができる。図36に開示されるシステムは、ステップ3710、3720、3730、および3740からのあらゆるステップを達成するために利用される。
【0353】
図38は、携帯型機器上のユーザの食事量選択または身体活動のためのオプションを提供するためのプロセス3800の別のフロー図である。本明細書に記載の実施形態は、ユーザに投与されるインスリンまたはグルカゴンの用量をユーザが打ち込むことを可能にするキーパッドを有する携帯型医療機器を含む。ユーザは、食物を摂取する前にインスリンの単回用量を受け取り、どれだけのインスリンを投与する必要があるかを決定することを望む場合がある。他の実施形態では、ユーザは、身体活動のための低血糖によるグルカゴンのバーストを受けることを選択することができる。実施形態は、薬剤の手動入力および薬剤の自動化された送達システムのためのオプションを含み得る。様々な実装形態では、
薬剤の自動化された送達システムは、血糖値または関連する傾向によって駆動される。本明細書の実施形態は、ユーザが手動用量を受け取ったばかりであり、自動化された送達システムをオンにしたときに生じ得る問題に対処する。このような場合、自動化された送達システムは、すべての手動薬剤注入量およびこのような注入のタイミングを認識することができる。したがって、手動送達コンポーネントは、任意の薬剤を送達すると、送達された薬剤の種類、薬剤の量、および送達された薬剤のタイミングを自動化された送達システムに知らせることができる。上記の情報を有することによって、自動化された送達システムは、ユーザの血流である薬剤の量を判定し、薬剤の自動化された送達および自動化された送達のタイミングを調整することができる。したがって、実施形態は、手動送達コンポーネントおよび自動化された送達システムからのリスクのない移行を可能にすることを対象とする。
【0354】
ブロック3810では、ユーザは、ユーザの血糖値を変化させ得る活動にユーザが従事しようとしていることを活動変更コンポーネント108に通知することができる。モードコントローラ108は、決定ブロック3820で起動され、ユーザが手動送達コンポーネント3830または自動化されたシステム3850を使用することを望むかどうかを尋ねることができる。ユーザが手動送達コンポーネント3830を使用することを選択し、ユーザが薬剤を注入するための入力を提供する場合、携帯型機器3602は、ユーザに薬剤を送達することができる。手動送達プロセスが完了すると、手動送達コンポーネント3830は、薬剤のタイプ、薬剤の量、および薬剤が送達された時間に関して、モデル予測制御コンポーネント3840および自動化された送達システム3850のうちの少なくとも1つに通知することができる。予測制御コンポーネント3840および自動化された送達システム3850は、薬剤のこれらの手動注入を追跡し、薬剤の減衰速度または半減期に基づいて、特定の時間または期間にユーザの血流中に残る薬剤の総量を判定することができる。したがって、自動化された送達システム3850がユーザによって起動されると、自動送達システム3850は、ユーザによる手動注入後にユーザの血流中に残る薬剤に基づいて、その薬剤注入を変更することができる。
【0355】
他のシステムとの相違は、手動送達が自動化された送達システムに結び付けられてもよく、次いで、ユーザからの用量入力が、食事送達アルゴリズムの代わりにMPCアルゴリズム(モデル予測制御)に記憶され、MPCアルゴリズムによって処理されることを含み得る。他の実施形態は、相対論的アルゴリズム的に調整された値を有することができる選択を含むことができる。他の実施形態は、通常の大きさの食事、またはより大きい大きさの食事、または小さい大きさの平均を含む学習アルゴリズムを含むことができる。実施形態は、手動入力を、食事の大きさがどのくらいであったかをユーザに尋ねることと、インスリンがユーザにどのように影響するかを学習することとに関連付けることを含み得る。実施形態は、手動入力を、ユーザがどのような活動を行ったかをユーザに尋ねることと、グルカゴンが特定の活動に対してユーザにどのように影響するかを学習することとに関連付けることを含み得る。
【0356】
図39は、携帯型医療機器102によって生成され得る複数の画面3900を示す。複数の画面3900は、食事用量を入力するために取ることができるプロセスを説明する。モードコントローラ3608が起動されると、食事用量入力画面3910が表示され得る。画面3910が表示されると、安全性を確保するために警告テキストがユーザに表示されてもよい。警告テキストは、用量を入力することが安全でない可能性があり、機器がその食事用量を適合させないことを述べる。この警告テキストは、携帯型医療機器3602を使用するプロセスに関与し得る危険性をユーザに警告する。ユーザが警告サインを認知し、続行を選択した後、パスワード画面3920が表示され得る。パスワード画面3920が表示されると、ユーザが携帯型医療機器3602の実際の登録ユーザであることを保証するために、ユーザが所定の一連の数字を入力するためのキーパッドが提供される。携
帯型医療機器3602がユーザから正しい所定のパスワードを受信すると、食事用量入力公式画面3930および食事用量公式画面3940が表示され得る。ユーザは、詳細画面3960にアクセスすることを決定することができ、そうする際に、詳細画面3960により、ユーザはCGMインスリンレベルを二重にチェックし、インスリンポンプの速度を変更することができる。画面3930および画面3940では、ユーザは、食事キーパッドをオンまたはオフにするオプションを提供される。ユーザがキーパッドをオンにすることを選択した場合、ユーザが最大用量限度を選択するためのオプションが提供され得る。ユーザが最大用量限度を選択することを決定した場合、公式の最大用量限度画面3950が表示され、ユーザは最大10単位の用量を入力することができる。次いで、提供された単位数は、血糖値のさらなる調節のために、モデル予測制御コンポーネント116に記憶される。
【0357】
図40は、携帯型医療機器3602によって生成され得る複数の画面4000を示す。携帯型医療機器102を起動すると、初期メニュー画面4010が表示され得る。メニュー画面4010では、携帯型医療機器3602の機能性に関するオプションが提供される。機能性のリストは、携帯型医療機器3602のすべての態様を包含することができる。ユーザは、設定オプションを選択することによって機器の多くの態様にアクセスして制御することができる。設定オプションにより、ユーザは携帯型医療機器3602の調整可能な機能性をさらに評価して調整することができる。設定オプションを選択すると、設定画面4020が表示され、ユーザは詳細設定オプションを選択することができる。詳細オプションを選択すると、詳細設定画面4030が表示され、ユーザには、CGMインスリンレベルを二重にチェックし、インスリンポンプの速度を変更するオプションが提供される。ユーザは、モデル予測制御コンポーネント3616によって提供される調整統計に応じて、プロセスを高速化するか、またはプロセスを低速化してもよい。
【0358】
図41は、携帯型医療機器3602によって生成され得る複数の画面4100を示す。複数の画面4100は、食事告知を入力するためにユーザが取ることができるプロセスである。ホーム画面610は、携帯型医療機器3602のカートリッジに関する情報および統計を提供する。ユーザは、新しいカートリッジの取り付けの有無にかかわらず、食事ボタンを選択することができる。ユーザが新しいカートリッジを取り付けることなく食事ボタンを選択した場合、携帯型機器3602は警告画面4130を表示し、ユーザはインスリンカートリッジが空であることを警告され、機器はさらにユーザにカートリッジを交換するよう助言する。しかし、新しいカートリッジが既に取り付けられており、食物ボタンが押されている場合、携帯型医療機器3602は炭水化物画面4120を表示し、ユーザには食事用量オプションを選択するオプションが提供される。炭水化物画面4120により、ユーザは消化される食物に関する主観的情報を提供することができる。ユーザによって提供されるこの主観的データは、血糖値のさらなる調節のために、モデル予測制御コンポーネント3616にさらに記憶される。
【0359】
図42は、携帯型医療機器3602によって生成され得る複数の画面4200を示す。複数の画面4200は、空のカートリッジについて警告され、カートリッジを交換し、さらに食事用量を入力するオプションを有するユーザのプロセスを説明する。警告画面4210は、インスリンカートリッジが空であること、およびインスリンカートリッジを交換する必要があるという事実をユーザに警告する。カートリッジを交換すると、画面4220および4230が表示される。画面4220が最初に表示され、ユーザは、数字パッド上で食事ごとに指定された用量を入力することができる。数値的に指定された用量を書き込むと、画面4230が表示され、ユーザが治療変更をさらに完了するための次のボタンが提供される。数値的に指定された用量は、血糖値のさらなる調節のために、モデル予測制御コンポーネント3616にさらに記憶される。
【0360】
図43は、携帯型医療機器3602によって生成され得る複数の画面4300を示す。送達要求を選択すると、ユーザは、送達の完了前に薬剤の送達を取り消すことができる。携帯型医療機器3602は、送達前にカウントダウンを表示する。最初のカウントダウン画面4310は、二次的カウントダウン画面4330に先行する。これらのカウントダウン画面の間、ユーザが治療変更を取り消すための取り消しボタンが提供される。最初のカウントダウン画面4310または二次的カウントダウン画面4330の間、ユーザはいつでも送達を取り消すことができる。取り消しボタンをスワイプすることによって、ユーザは、治療変更の送達を正式に停止することができる。ユーザが取り消さない場合、治療変更は送達に成功することができる。さらに、治療変更送達の時間および量は、血糖値のさらなる調節のために、モデル予測制御コンポーネント3616に記憶される。しかし、ユーザが送達を取り消すことを決定した場合、送達は取り消され、画面4320が提供される。送達取り消しが要求され、画面4320が表示された時点でokボタンを押すと、携帯型医療機器3602は、ロック画面4340を表示して治療変更要求を正式に取り消す時間を取る。
【0361】
図44は、説明した主題における様々な実施形態において実装され得るコンピュータシステム4400を示すブロック図である。コンピュータシステム4400は、プロセッサ4402、メインメモリ4404、ストレージ4406、バス4408、および入力4410を含む。プロセッサ4402は、1つまたは複数のプロセッサであってもよい。プロセッサ4402は、メインメモリ4404を介してプロセッサに通信される命令を実行する。メインメモリ4404は、プロセッサ4402に命令を送る。メインメモリ4404はまた、バス4408に接続されている。メインメモリ4404は、バス4408を介してコンピュータシステムの他のコンポーネントと通信することができる。コンピュータシステム4400に対する命令は、バス4408を介してメインメモリ4404に送信される。これらの命令はプロセッサ4402によって実行されてもよい。実行された命令は、メインメモリ4404に戻され、コンピュータシステム4400の他のコンポーネントに配布され得る。ストレージ4406は、大量のデータを保持し、コンピュータシステム4400に電力が供給されていない間、そのデータを保持することができる。ストレージ4406は、バス4408に接続されており、ストレージが保持するデータを、バス4408を介してメインメモリ4404に通信することができる。
【0362】
プロセッサ4402は、中央処理装置(「CPU」)、グラフィックス処理装置(「GPU」)、コンプレックスプログラマブル論理デバイス(「CPLD」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、または特定用途向け集積回路(「ASIC」)を含むがこれらに限定されない任意の種類の汎用プロセッサであってもよい。携帯型医療機器102におけるコンピュータシステム4400の一実施形態は、プロセッサ4402としてCPUを特徴とする。しかし、他の種類のプロセッサ4402を組み込む携帯型医療機器102のコンピュータシステムの実施形態が想定されてもよい。
【0363】
メインメモリ4404は、プロセッサ4402に命令を通信し、実行された命令をプロセッサ4402から受信することができる任意の種類のメインメモリであり得る。メインメモリ4404の種類には、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)および読み出し専用メモリ(「ROM」)が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、コンピュータシステム4400は、命令をプロセッサ4402に通信し、実行された命令をプロセッサ4402から受信するために、メインメモリ4404の形態としてRAMを組み込む。コンピュータシステム4400に他の種類のメインメモリ4404を組み込む他の実施形態を想定することができる。
【0364】
ストレージ4406は、データを受信し、データを記憶し、バス4408を介してデータをメインメモリ4404に送信することができる任意の種類のコンピュータストレージ
であり得る。コンピュータシステム4400において使用することができるストレージ4406の種類は、磁気ディスクメモリ、光ディスクメモリ、およびフラッシュメモリを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、携帯型医療機器102のコンピュータシステム4400におけるストレージ4406としてフラッシュメモリが使用される。コンピュータシステム4400のために他の種類のストレージ4406を使用する他の実施形態が想定されてもよい。
【0365】
バス4408は、コンピュータシステム4400の内部コンポーネントを接続する。バス4408は、コンピュータシステム4400のコンポーネントに接続された多数のワイヤを含むことができる。バス4408のワイヤは、バス4408が接続するコンピュータシステム4400のコンポーネントに基づいて異なってもよい。様々な実施形態では、バス4408は、プロセッサ4402をメインメモリ4404に接続する。様々な実施形態では、プロセッサ4402は、メインメモリ4404に直接接続される。
【0366】
コンピュータシステム4400の入力4410は、タッチスクリーンディスプレイ4412、英数字パッド4414、およびボタン4416を含む。タッチスクリーンディスプレイ4412は、出力を生成するとともに入力を受け付ける。バス4408は、視覚的出力を生成するためにタッチスクリーンディスプレイ4412に結合され得る。タッチスクリーンディスプレイ4412は、静電容量性タッチ、抵抗性タッチ、または他のタッチ技術による入力も受け付けてもよい。タッチスクリーンディスプレイ4412の入力表面は、表面上のタッチの位置を登録することができる。いくつかの種類のタッチスクリーンディスプレイ4412は、一度に複数のタッチを登録することができる。英数字パッド4414は、数字、アルファベット、および記号文字を有する多数のキーを含む。英数字パッド4414からの信号は、バス4408によってメインメモリ4404に通信される。英数字パッド4414のキーは、静電容量性または機械的であってもよい。いくつかの実施形態では、英数字パッド4414は、タッチスクリーンディスプレイ4412上に表示される。ウェイクボタン120などのボタン4416は、静電容量性、機械的、または他の種類の入力ボタンであってもよい。
【0367】
用語
必ずしもすべての目的または利点が、本明細書に記載される任意の特定の実施形態に従って達成され得るとは限らないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、特定の実施形態が、本明細書で教示または示唆され得る他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点または利点群を達成または最適化する方法で動作するように構成され得ることを認識するであろう。
【0368】
本明細書で説明するプロセスのすべては、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサを含むコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコードモジュールにおいて具現化され、それを介して完全に自動化され得る。コードモジュールは、任意の種類の非一時的コンピュータ可読媒体または他のコンピュータストレージデバイスに記憶され得る。これらの方法のいくつかまたはすべては、専用のコンピュータハードウェアで具現化され得る。さらに、コンピューティングシステムは、自動化された血糖システム、携帯型薬剤システム、または携帯型医療機器を含むか、これらの一部として実装されるか、またはこれらと通信することができる。
【0369】
本明細書で説明するもの以外の多くの変形例が本開示から明らかであろう。例えば、実施形態に応じて、本明細書で説明するアルゴリズムのいずれかの特定の動作、イベント、または機能は、異なる順序で実行され、追加され、統合され、または一緒に省略されてもよい(例えば、説明したすべての動作またはイベントがアルゴリズムの実行に必要なわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作またはイベントは、順次ではなく、例え
ば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを介して、あるいは他の並列アーキテクチャ上で、同時に実行され得る。加えて、異なるタスクまたはプロセスが、一緒に機能することができる異なる機械および/またはコンピューティングシステムによって実行され得る。
【0370】
本明細書で開示する実施形態に関連して説明した様々な例示的論理ブロックおよびモジュールは、処理ユニットもしくはプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲートもしくはトランジスタロジック、離散ハードウェアコンポーネント、または本明細書で説明する機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせなど、機械によって実装または実行することができる。プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械、これらの組み合わせなどであり得る。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行するFPGAまたは他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサはまた、コンピューティング機器の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサと、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のこのような構成の組み合わせとして実装することができる。本明細書では主にデジタル技術に関連して説明したが、プロセッサは主にアナログコンポーネントを含んでもよい。コンピューティング環境は、いくつかを挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、移動式コンピューティング機器、機器コントローラ、または電化製品内の演算エンジンに基づくコンピュータシステムを含むがこれらに限定されない任意の種類のコンピュータシステムを含むことができる。
【0371】
特に明記しない限り、とりわけ「できる(can)」、「できた「could」、「かもしれない「might」、または「してもよい(may)」などの条件付き文言は、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、他の実施形態は含まないことを伝達するために一般に使用されるものとして文脈内で理解される。したがって、このような条件付き文言は、一般に、特徴、要素、および/もしくはステップが1つもしくは複数の実施形態でいかなる場合でも必要とされ、または1つもしくは複数の実施形態がユーザによる入力もしくはプロンプトを用い、もしくは用いることなくこれらの特徴、要素、および/もしくはステップが含まれるか否か、または任意の特定の実施形態で実行するか否かを決定するロジックを必ず含むことを暗示することを全体として意図するものではない。
【0372】
特に明記しない限り、選言的文言、例えば「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という言い回しは、項目、用語などがX、Y、もしくはZのいずれか、またはこれらの組み合わせ(例えば、X、Y、および/またはZ)であってもよいことを示すために一般に用いられるものとして文脈で理解される。したがって、このような選言的文言は、一般に、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを特定の実施形態が必要とすることを暗示することを全体として意図せず、かつ暗示すべきではない。
【0373】
本明細書で説明し、および/または添付の図面に示したフロー図における任意のプロセスの説明、要素、またはブロックは、プロセスに特定の論理機能または論理要素を実装する1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、または一部を潜在的に表すものとして理解されるべきである。本明細書で説明した実施形態の範囲内に、要素または機能を取り除き、当業者が理解するように、含まれる機能性に応じて、実質的に同時または反対の順序を含む、示しまたは考察したものでなく順不同で実行すること
ができる代替的実装形態が含まれる。
【0374】
別途明示的に記載しない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの冠詞は、記載される1つまたは複数の項目を含むものと一般的に解釈されるべきである。したがって、「ように構成される機器」などの言い回しは、1つまたは複数の列挙された機器が含まれることを意図する。このような1つまたは複数の列挙された機器はまた、記載される列挙項目を実行するように集合的に構成することができる。例えば、「列挙項目A、B、およびCを実行するように構成されたプロセッサ」は、列挙項目BおよびCを実行するように構成された第2のプロセッサと連動して動作する、列挙項目Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含むことができる。
【0375】
上記の実施形態に対して多くの変形および改変を行うことができ、それらの要素が他の受け入れ可能な例に含まれるものとして理解されるべきである。すべてのこのような改変および変形が本明細書において本開示の範囲内に含まれることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与された契約第DK120234号に基づく米国政府の支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
任意の優先出願に対する参照による取り込み
本出願は、2020年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987,842号、2020年6月10日に出願された同第63/037,472号、2019年7月16日に出願された同第62/874,934号、2019年7月16日に出願された同第62/874,950号、2019年7月16日に出願された同第62/874,968号、2019年10月4日に出願された同第62/910,970号、2019年10月4日に出願された同第62/911,017号、および2019年10月4日に出願された同第62/911,143号の利益を主張する。この段落で参照される各出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部とされる。
【国際調査報告】