(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】フォトニックチップ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20220915BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20220915BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20220915BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G02F1/035
G02B6/12 363
G02B6/12 371
G02B6/125 301
G02B6/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503400
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2019096361
(87)【国際公開番号】W WO2021007806
(87)【国際公開日】2021-01-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521242370
【氏名又は名称】中国科学院半▲導▼体研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・シャンリン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・レイ
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147AB11
2H147AB17
2H147AC01
2H147BB02
2H147BB10
2H147BD03
2H147BE01
2H147BE04
2H147BE15
2H147CA01
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2H147CD02
2H147DA08
2H147EA05A
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147FA06
2H147FC03
2K102AA22
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
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2K102EA03
2K102EA08
2K102EA16
2K102EB01
2K102EB29
(57)【要約】
フォトニックチップ及びその製造方法であって、チップはニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ(1)、第一光結合アレイ(2)及びシリカ導波路波長分割多重化装置(3)を含み、ここでは、ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ(1)は、一つ以上のニオブ酸リチウム薄膜変調器で構成され、光信号を変調するために用いられる;第一光結合アレイ(2)は、一つ以上の第一光結合構造で構成され、第一光結合構造の一端は、対応するニオブ酸リチウム薄膜変調器に接続され、かつその他端はシリカ導波路波長分割多重化装置(3)に接続され、変調された光信号をシリカ導波路波長分割多重化装置(3)に伝送するために用いられる;シリカ導波路波長分割多重化装置(3)は変調された光信号に波長多重化を行うために用いられる。シート上のニオブ酸リチウム薄膜変調器とシート上の波長分割多重化構造の単一チップの集積を実現し、かつデバイスの集積度を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ(1)、第一光結合アレイ(2)及びシリカ導波路波長分割多重化装置(3)を含み、
前記ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ(1)は、一つ以上のニオブ酸リチウム薄膜変調器で構成され、光信号を変調するために用いられ、
前記第一光結合アレイ(2)は、一つ以上の第一光結合構造で構成され、前記第一光結合構造の一端が、対応するニオブ酸リチウム薄膜変調器に接続され、かつその他端が前記シリカ導波路波長分割多重化装置(3)に接続され、それにより前記変調された光信号を前記シリカ導波路波長分割多重化装置(3)に伝送し、
前記シリカ導波路波長分割多重化装置(3)は、前記変調された光信号に波長分割多重化を行うために用いられる
フォトニックチップ。
【請求項2】
前記ニオブ酸リチウム薄膜変調器は、
第一基底(4)と、
前記第一基底(4)に設置される第一埋め込み層シリカ(5)と、
第一所定の形状に応じて前記第一埋め込み層シリカ(5)に設置される第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)と、
前記第一ニオブ酸リチウム薄膜導波層(6)の両側に設置される金属電極(7)と、
前記第一埋め込み層シリカ(5)、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)及び金属電極(7)に被覆され、かつ貫通孔が設置されて前記金属電極(7)を露出させる第一キャップ層シリカ(8)と、
前記貫通孔により前記金属電極(7)に接続される終端抵抗(9)と、
前記貫通孔により前記金属電極(7)に接続される金属リード線(10)と、
前記第一キャップ層シリカ(8)及び終端抵抗(9)に被覆される第一トップ層シリカ(11)と、を含む
請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項3】
前記第一光結合構造は、
第二基底(4’)と、
前記第二基底(4’)に設置される第二埋め込み層シリカ(5’)と、
前記第二埋め込み層シリカ(5’)に設置され、その形状が錐状構造であり、かつ断面積が大きい一端が前記第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)に接続され、断面積の小さい一端が前記シリカ導波路波長分割多重化装置(3)に接続される第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6’)と、
前記第二埋め込み層シリカ(5’)及び第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6’)に被覆される第二キャップ層シリカ(8’)と、
前記第二キャップ層シリカ(8’)に被覆される第二トップ層シリカ(11’)と、を含む
請求項2に記載のフォトニックチップ。
【請求項4】
前記シリカ導波路波長分割多重化装置(3)は、
第三基底(4’’)と、
前記第三基底(4’)に設置される第三埋め込み層シリカ(5’’)と、
第二所定の形状に応じて前記第三埋め込み層のシリカ(5’)に設置され、かつ前記第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6’)の断面積の小さい一端に接続されるシリカ導波路(12)と、
前記シリカ導波路(12)に被覆される第三トップ層シリカ(11’’)と、を含む
請求項3に記載のフォトニックチップ。
【請求項5】
前記第一埋め込み層シリカ(5)、第二埋め込み層シリカ(5’)又は第三埋め込み層シリカ(5’’)は、単層シリカ又は二層シリカであり、前記単層シリカの屈折率は前記第一基底(4)、第二基底(4’)又は第三基底(4’’)の屈折率より高く、前記二層シリカの屈折率は前記第一基底(4)、第二基底(4’)又は第三基底(4’’)の屈折率より低く、かつ該二層シリカにおける下層シリカの屈折率は上層シリカの屈折率より低い
請求項4に記載のフォトニックチップ。
【請求項6】
前記第一キャップ層シリカ(8)、第二キャップ層シリカ(8’)又はシリカ導波路(12)の屈折率と前記第一埋め込み層シリカ(5)、第二埋め込み層シリカ(5’)又は第三埋め込み層シリカ(5’’)の屈折率との差は、第一所定値より小さい
請求項4に記載のフォトニックチップ。
【請求項7】
前記第一トップ層シリカ(11)、第二トップ層シリカ(11’)及び第三トップ層シリカ(11’’)の屈折率と前記第一基底(4)、第二基底(4’)及び第三基底(4’’)の屈折率との差は第二所定値より小さい
請求項4に記載のフォトニックチップ。
【請求項8】
前記第一埋め込み層シリカ(5)、第二埋め込み層シリカ(5’)又は第三埋め込み層シリカ(5’’)の屈折率と前記第一基底(4)、第二基底(4’)及び第三基底(4’’)の屈折率との差は第三所定値より大きく、前記第一キャップ層シリカ(8)、第二キャップ層シリカ(8’)又はシリカ導波路(12)の屈折率と前記第一トップ層シリカ(11)、第二トップ層シリカ(11’)及び第三トップ層シリカ(11’’)の屈折率との差は前記第三所定値より大きい
請求項4に記載のフォトニックチップ。
【請求項9】
第一基底(4)、第二基底(4’)及び第三基底(4’’)を含む基底を製造するS1と、
前記基底に埋め込み層シリカを製造し、前記埋め込み層シリカが第一埋め込み層シリカ(5)、第二埋め込み層シリカ(5’)及び第三埋め込み層シリカ(5’’)を含むS2と、
前記第一埋め込み層シリカ(5)に第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)を製造し、前記第二埋め込み層シリカ(5’)に錐状の第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6’)を製造するS3と、
前記第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)の両側に金属電極(7)を製造するS4と、
前記第一埋め込み層シリカ(5)、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)及び金属電極(7)に第一キャップ層シリカ(8)を製造し、かつ前記第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6’)に第二キャップ層シリカ(8’)を製造し、前記第三埋め込み層シリカ(5’’)にシリカ導波路(12)を製造するS5と、
前記第一キャップ層シリカ(8)に終端抵抗(9)及び金属リード線(10)を製造し、かつ前記第一キャップ層シリカ(8)における貫通孔を介して前記金属電極(7)に接続するS6と、
前記第一キャップ層シリカ(8)及び終端抵抗(9)に第一トップ層シリカ(11)を製造し、かつ前記第二キャップ層シリカ(8’)に第二トップ層シリカ(11’)を製造し、前記シリカ導波路(12)に第三トップ層シリカ(11’’)を製造するS7と、を含む
フォトニックチップの製造方法。
【請求項10】
前記第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6’)の断面積が大きい一端は、前記第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路(6)に接続され、断面積の小さい一端は、前記シリカ導波管(12)に接続される
請求項9に記載のフォトニックチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバ通信及び集積光学技術分野に関し、具体的には、フォトニックチップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ファイバ通信技術において変調器及び波長分割多重化装置などのディスクリート部品構造を採用して光信号の変調及び多重化を実現し、それは体積が大きく、挿入損失が高いなどの欠陥を有する。ニオブ酸リチウム薄膜の加工プロセスプラットフォーム及び異種集積の出現により、単一のチップにニオブ酸リチウムの変調と波長分割多重化構造を集積することが可能となる。従来の技術において、ニオブ酸リチウムの変調と波長分割多重化構造を確実に集積していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は上記問題に鑑み、フォトニックチップ及びその製造方法を提供し、ニオブ酸リチウム薄膜変調器、波長分割多重化装置及び両者の第一光結合構造をフォトニックチップに集積することにより、製造された部品は体積が小さく、プロセス精度が高く、再現性が高く、かつ部品良品率が高い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示はフォトニックチップを提供し、ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ、第一光結合アレイ及びシリカ導波路波長分割多重化装置を含み、ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイは、一つ以上のニオブ酸リチウム薄膜変調器で構成され、光信号を変調するために用いられ、第一光結合アレイは、一つ以上の第一光結合構造で構成され、第一光結合構造の一端が、対応するニオブ酸リチウム薄膜変調器に接続され、かつその他端がシリカ導波路波長分割多重化装置に接続され、それにより変調された光信号をシリカ導波路波長分割多重化装置に伝送し、シリカ導波路波長分割多重化装置は、変調された光信号に波長分割多重化を行うために用いられる。
【0005】
選択的には、ニオブ酸リチウム薄膜変調器は、第一基底と、第一基底に設置される第一埋め込み層シリカと、第一所定の形状に応じて第一埋め込み層シリカに設置される第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路と、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波層の両側に設置される金属電極と、第一埋め込み層シリカ、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路及び金属電極に被覆され、かつ貫通孔が設置されて金属電極を露出させる第一キャップ層シリカと、貫通孔により金属電極に接続される終端抵抗と、貫通孔により金属電極に接続される金属リード線と、第一キャップ層シリカ及び終端抵抗に被覆される第一トップ層シリカと、を含む。
【0006】
選択的には、第一光結合構造は、第二基底と、第二基底に設置される第二埋め込み層シリカと、第二埋め込み層シリカに設置され、その形状が錐状構造であり、かつ断面積が大きい一端が第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路に接続され、断面積の小さい一端がシリカ導波路波長分割多重化装置に接続される第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路と、第二埋め込み層シリカ及び第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路に被覆される第二キャップ層シリカと、第二キャップ層シリカに被覆される第二トップ層シリカと、を含む。
【0007】
選択的には、シリカ導波路波長分割多重化装置は、第三基底と、第三基底に設置される第三埋め込み層シリカと、第二所定の形状に応じて第三埋め込み層のシリカに設置され、かつ第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路の断面積の小さい一端に接続されるシリカ導波路と、シリカ導波路に被覆される第三トップ層シリカと、を含む。
【0008】
選択的には、第一埋め込み層シリカ、第二埋め込み層シリカ又は第三埋め込み層シリカは、単層シリカ又は二層シリカであり、単層シリカの屈折率は第一基底、第二基底又は第三基底の屈折率より高く、二層シリカの屈折率は第一基底、第二基底又は第三基底の屈折率より低く、かつ該二層シリカにおける下層シリカの屈折率は上層シリカの屈折率より低い。
【0009】
選択的には、第一キャップ層シリカ、第二キャップ層シリカ又はシリカ導波路の屈折率と第一埋め込み層シリカ、第二埋め込み層シリカ又は第三埋め込み層シリカの屈折率との差は、第一所定値より小さい。
【0010】
選択的には、第一トップ層シリカ、第二トップ層シリカ及び第三トップ層シリカの屈折率と第一基底、第二基底及び第三基底の屈折率との差は第二所定値より小さい。
【0011】
選択的には、前記第一埋め込み層シリカ、第二埋め込み層シリカ又は第三埋め込み層シリカの屈折率と前記第一基底、第二基底及び第三基底の屈折率との差は第三所定値より大きく、前記第一キャップ層シリカ、第二キャップ層シリカ又はシリカ導波路の屈折率と第一トップ層シリカ、第二トップ層シリカ及び第三トップ層シリカの屈折率との差は第三所定値より大きい。
【0012】
本開示はさらにフォトニックチップの製造方法を提供し、第一基底、第二基底及び第三基底を含む基底を製造するS1と、基底に埋め込み層シリカを製造し、埋め込み層シリカが第一埋め込み層シリカ、第二埋め込み層シリカ及び第三埋め込み層シリカを含むS2と、第一埋め込み層シリカに第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路を製造し、第二埋め込み層シリカに錐状の第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路を製造するS3と、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路の両側に金属電極を製造するS4と、第一埋め込み層シリカ、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路及び金属電極に第一キャップ層シリカを製造し、かつ第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路に第二キャップ層シリカを製造し、第三埋め込み層シリカにシリカ導波路を製造するS5と、前記第一キャップ層シリカに終端抵抗及び金属リード線を製造し、かつ第一キャップ層シリカにおける貫通孔を介して金属電極に接続するS6と、第一キャップ層シリカ及び終端抵抗に第一トップ層シリカを製造し、かつ第二キャップ層シリカに第二トップ層シリカを製造し、シリカ導波路に第三トップ層シリカを製造するS7と、を含む。
【0013】
選択的には、第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路の断面積が大きい一端は、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路に接続され、断面積の小さい一端は、シリカ導波管に接続される。
【発明の効果】
【0014】
本開示が提供するフォトニックチップ及びその製造方法は、光通信プロセスにおける光変調と波長多重化機能の単一チップの集積を実現し、ディスクリート装置構成システムによる挿入損失を低減し、かつデバイスの体積が小さく、集積度が高く、プロセス精度が高く、再現性が高く、良品率が高く、かつニオブ酸リチウム薄膜変調器を採用することによりデバイスの変調効率が高く、帯域幅が大きく、変調速度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本開示の実施例が提供するフォトニックチップの構造概略図を概略的に示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の実施例が提供する操作S3においてニオブ酸リチウム薄膜層を製造した後の基底材料の正面図を概略的に示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の実施例が提供する操作S3においてニオブ酸リチウム薄膜層を製造した後の別の基底材料の正面図を概略的に示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施例が提供する操作S3において第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路を製造した後の部品断面の正面図を概略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施例が提供する操作S3において第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路を製造した後の部品断面の平面図を概略的に示す。
【
図3C】
図3Cは、本開示の実施例が提供する操作S3において第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路を製造した後の別の部品断面の正面図を概略的に示す。
【
図3D】
図3Dは、本開示の実施例が提供する操作S3において第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路を製造した後の別の部品断面の平面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施例が提供する操作S3後のシリカ導波路波長分割多重化装置領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施例が提供する操作S4において金属電極を製造した後の部品断面の正面図を概略的に示す。
【
図5B】
図5Bは、本開示の実施例が提供する操作S4において金属電極を製造した後の部品断面の平面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、本開示の実施例が提供する操作S5堆積後のシリカ導波路波長分割多重化装置領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図7A】
図7Aは、本開示の実施例が提供する操作S5堆積後の第一光結合構造領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図7B】
図7Bは、本開示の実施例が提供する操作S5堆積後の第一光結合構造領域の平面図を概略的に示す。
【
図8A】
図8Aは、本開示の実施例が提供する操作S5エッチング後のニオブ酸リチウム薄膜変調器領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図8B】
図8Bは、本開示の実施例が提供する操作S5エッチング後のニオブ酸リチウム薄膜変調器領域の平面図を概略的に示す。
【
図9】
図9は、本開示の実施例が提供する操作S5エッチング後のシリカ導波路波長分割多重化装置領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図10A】
図10Aは、本開示の実施例が提供する操作S5エッチング後の第一光結合構造領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図10B】
図10Bは、本開示の実施例が提供する操作S5エッチング後の第一光結合構造領域の平面図を概略的に示す。
【
図11A】
図11Aは、本開示の実施例が提供する操作S6後のニオブ酸リチウム薄膜変調器領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図11B】
図11Bは、本開示の実施例が提供する操作S6後のニオブ酸リチウム薄膜変調器領域の平面図を概略的に示す。
【
図12A】
図12Aは、本開示の実施例が提供する操作S7後のニオブ酸リチウム薄膜変調器領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図12B】
図12Bは、本開示の実施例が提供する操作S7後のニオブ酸リチウム薄膜変調器領域の平面図を概略的に示す。
【
図13】
図13は、本発明の実施例が提供する操作S7後の第一光結合構造領域の断面正面図を概略的に示す。
【
図14】
図14は、本開示の実施例が提供するフォトニックチップの製造方法のフローチャートを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、具体的な実施例を結合し、図面を参照して、本開示をさらに詳細に説明する。
【0017】
本開示の第一実施例は、フォトニックチップを提供し、
図1を参照し、
図2―13を参照し、
図1に示す構造を詳細に説明する。
【0018】
本開示の実施例におけるフォトニックチップは、ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ1、第一光結合アレイ2及びシリカ導波路波長分割多重化装置3を含む。ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ1は、1つ以上のニオブ酸リチウム薄膜変調器で構成され、光信号を変調するために用いられる。第一光結合アレイ2は、1つ以上の第一光結合構造で構成され、第一光結合構造の一端は、対応するニオブ酸リチウム薄膜変調器に接続され、他端は、シリカ導波路波長分割多重化装置3に接続され、これにより、変調された光信号をシリカ導波路波長分割多重化装置3に伝送する。シリカ導波路波長分割多重化装置3は、変調された光信号を波長多重化するためのものである。
【0019】
ニオブ酸リチウム薄膜変調器は下から上へ以下の構造を含む。
【0020】
第一基底4であって、石英基底であり、材料成分が例えば純粋なシリカ又はドープシリカであり、他の材料であってもよい。
【0021】
第一埋め込み層シリカ5であって、第一基底4に設置され、材料成分が純粋なシリカ又はドープシリカである。第一埋め込み層シリカ5は、単層シリカ(
図2A参照)又は二層シリカであり(
図2B参照)、具体的には、第一埋め込み層シリカ5の屈折率が第一基底4より高い場合、単層シリカを選択し、第一埋め込み層シリカ5の屈折率が第一基底4より低い場合、二層シリカを選択し、かつ二層シリカにおける下層シリカの屈折率が上層シリカの屈折率より低い。
【0022】
第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6であって、第一所定形状に応じて第一埋め込み層シリカ5に設置されたニオブ酸リチウム薄膜光導波路構造であり、材料成分がニオブ酸リチウム又はドープニオブ酸リチウムであり、第一所定形状は例えばマッハツェンダ干渉型(
図3A及び3B参照)又はマイクロリング結合器型(
図3C及び3D参照)などであり、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6は例えば単一の導波路であってもよく、該単一の導波路は、金属電極とマッチングして位相変調器を構成し、該位相変調器もニオブ酸リチウム薄膜変調器の一種である。本開示の実施例において、ニオブ酸リチウム薄膜変調器の動作波長は、典型的な光通信波長帯1310nm及び1550nmの光波を含むべきであるが、その動作波長はこれに限定されない。ニオブ酸リチウム薄膜変調器の変調方式は強度変調、位相変調を含むべきであり、変調方式はさらにインコヒーレント変調及びコヒーレント変調を含むべきであるが、変調方式はこれに限定されない。理解されるように、ニオブ酸リチウム薄膜変調器における第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6の構造は上記例示的な形状に限定されず、電気信号を光信号に変換することができる他の構造であってもよい。
【0023】
金属電極7であって、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波層6の近傍の両側に設置され(
図5A及び
図5B参照)、その材料成分は金、銅又は他の導電性材料である。
【0024】
第一キャップ層シリカ8であって、第一埋め込み層シリカ5、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6及び金属電極7に被覆され、かつ第一キャップ層シリカ8に貫通孔が設置されて金属電極7を露出させる(
図8A及び
図8B参照)。第一キャップ層シリカ8は純粋なシリカ又はドープシリカであり、その屈折率は第一埋め込み層シリカ5の屈折率に近く、すなわち第一キャップ層シリカ8と第一埋め込み層シリカ5との屈折率の差は第一所定値より小さい。
【0025】
選択的には、終端抵抗9は、第一キャップ層シリカ8における貫通孔を介して金属電極7に接続され、進行波電極のインピーダンスマッチングを実現するために用いられ(
図11A及び11Bを参照)、このとき、終端抵抗9はフォトニックチップに形成される。また、フォトニックチップに終端抵抗9を設置せず、例えば終端抵抗9を既に封止されたフォトニックチップに搭載し、かつフォトニックチップの金属電極7に接続することもできる。
【0026】
金属リード線10は、第一キャップ層シリカ8における他の貫通孔を介して金属電極7に接続され、金属電極に電気信号を提供するために用いられる(
図11A及び11B参照)。
【0027】
第一トップ層シリカ11であって、第一キャップ層シリカ8及び終端抵抗9に被覆され、それが純粋なシリカ又はドープシリカであり、第一基底4の屈折率に近く(
図12A及び12Bを参照)、すなわち第一トップ層シリカ11と第一基底4との屈折率の差が第二所定値より小さい。
【0028】
さらに、第一埋め込み層シリカ5及び第一キャップ層シリカ8の屈折率と第一基底4及び第一トップ層シリカ11との屈折率の差が第三所定値よりも大きく、それにより第一埋め込み層シリカ5及び第一キャップ層シリカ8の屈折率が第一基底4及び第一トップ層シリカ11の屈折率に近くないことを確保する。
【0029】
第一光結合構造は下から上へ以下の構造を含む。
【0030】
第二基底4’であって、それが石英基底であり、材料成分が純粋なシリカ又はドープシリカであり、他の材料であってもよい。
【0031】
第二埋め込み層シリカ5’であって、第二基底4’に設置され、材料成分が純粋なシリカ又はドープシリカである。第二埋め込み層シリカ5’は単層シリカ(
図2A参照)又は二層シリカ(
図2Bを参照)であり、具体的には、第二埋め込み層シリカ5’の屈折率が第二基底4’より高い場合、単層シリカを選択し、第二埋め込み層シリカ5’の屈折率が第二基底4’より低い場合、二層シリカを選択し、かつ二層シリカにおける下層シリカの屈折率が上層シリカの屈折率より低い。
【0032】
第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’であって、第二埋め込み層シリカ5’に設置され、その形状が錐状構造であり、かつ断面積の大きい一端がニオブ酸リチウム薄膜変調器に接続され、具体的には、断面積の大きい一端が第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6に接続され、断面積の小さい一端がシリカ導波路波長分割多重化装置に接続され、具体的には、断面積の小さい一端がシリカ導波管12に挿入され、材料成分がニオブ酸リチウム又はドープニオブ酸リチウムである。
【0033】
第二キャップ層シリカ8’であって、第二埋め込み層シリカ5’及び第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’に被覆され(
図7A及び7Bを参照)、その材料成分が純粋なシリカ又はドープシリカであり、その屈折率は第二埋め込み層シリカ5’の屈折率に近い。第二キャップ層シリカ8’は第二埋め込み層シリカ5’と共にシリカ導波路コア層を形成し、該コア層は第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’をラップ(wrap)する。
【0034】
第二トップ層シリカ11’であって、第二キャップ層シリカ8’に被覆され、その組成成分が純粋なシリカ又はドープシリカであり、その屈折率が第二基底4’の屈折率に近い。第二トップ層シリカ11’と第二基底4’はそれぞれシリカ導波路コア層の上クラッド層及び下クラッド層とし、かつ該上クラッド層及び下クラッド層の屈折率はいずれもシリカ導波路コア層の屈折率より低い。
【0035】
さらに、第二埋め込み層シリカ5’及び第二キャップ層シリカ8’の屈折率と第二基底4’及び第二頂部シリカ11’の屈折率との差は第三設定値より大きい。
【0036】
シリカ導波路波長分割多重化装置3は下から上へ順に以下の構造を含む。
【0037】
第三基底4’’であって、石英基底であり、材料成分が純粋なシリカ又はドープシリカであり、他の材料であってもよい。
【0038】
第三埋め込みシリコン5’’であって、第三基底4’に設置され(
図4参照)、その材料成分が純粋なシリカ又はドープシリカである。第三埋め込み層シリカ5’’は単層シリカ又は二層シリカであり、具体的には、第三埋め込み層シリカ5’’の屈折率が第三基底4’’より高い場合、単層シリカを選択し、第三埋め込み層シリカ5’’の屈折率が第三基底4’’より低い場合、二層シリカを選択し、かつ二層シリカにおける下層シリカの屈折率が上層シリカの屈折率より低い。
【0039】
シリカ導波管12であって、第二所定形状に応じて第三埋め込み層シリカ5’’に設置され(
図9を参照)、その材料成分は純粋なシリカ又はドープシリカであり、その屈折率は第二埋め込み層シリカの屈折率に近い。シリカ導波路12の構造は、シリカ直接導波路と、徐々に狭くなるシリカ導波路と、徐々に広くなるシリカ導波路とを含むが、これらに限定されない。
【0040】
第三トップ層シリカ11’であって、シリカ導波路12に被覆され、その材料成分は純粋なシリカ又はドープシリカであり、その屈折率は第三基底4’’の屈折率に近い。第三トップ層シリカ11’’と第三基底4’’はそれぞれシリカ導波路12の上クラッド層及び下クラッド層とし、かつ第三トップ層シリカ11’’と第三基底4’’の屈折率はいずれもシリカ導波路12の屈折率より低い。
【0041】
さらに、第三埋め込み層シリカ5’’及び第3キャップ層シリカ8’’の屈折率と第三基底4’’及び第3トップ層シリカ11’’の屈折率との差は第三所定値より大きい。
【0042】
本開示の実施例において、第一基底4、第二基底4’及び第三基底4’’の屈折率は1.444~1.532にあり、第一所定値が0.1であることが好ましく、第二所定値が0.2であることが好ましく、第三所定値が0.002であることが好ましい。理解されるように、第一基底4、第二基底4’及び第三基底4’’の屈折率及び第一所定値、第二所定値、第三所定値の数値は上記好ましい値に限定されない。
【0043】
さらに、本実施例におけるフォトニックチップは、さらに、第二光結合アレイ13及び第三光結合アレイ14を含む。第二光結合アレイ13は一つ以上の第二光結合構造で構成され、第二光結合構造は、光信号を、それが接続されたニオブ酸リチウム薄膜変調器に結合するために用いられる。第三光結合アレイ14は一つ以上の第三光結合構造で構成され、シリカ導波路波長分割多重化装置3に接続され、シリカ導波路波長分割多重化装置3によって波長分割多重化された光信号を結合して出力するために用いられる。
【0044】
本開示の実施例において、光信号は第二光結合構造を介してチップに結合され、かつチップにビーム分割、ビーム合併操作を行うことにより光路の数が需要を満たす;結合された光信号は、ニオブ酸リチウム変調器により変調され、チップでビーム合併、ビーム分割操作された後に、第一光結合構造に入り、第一光結合構造が結合された後に再びビーム合併、ビーム分割操作を行ってシリカ導波路波長分割多重化装置3に入る;シリカ導波路波長分割多重化装置から出力された光信号もチップでビーム分割、ビーム合併等の処理を行うことにより光路の数が需要を満たす。したがって、第一ニオブ酸リチウム変調器の数と、第一光結合構造の数及び第二光結合構造の数とは、同じであってもよく、異なってもよい;シリカ導波路波長分割多重化装置3の入力端の数と第一光結合構造の数は、同じであってもよく、異なってもよい;シリカ導波路波長分割多重化装置3の出力端の数と第一光結合構造の数は同じであってもよく、異なってもよい。
【0045】
図1に示す構造は、4つのニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイと4×4のシリカ導波路アレイ導波路回折格子(Arrayed WaveguideGrating、AWG)波長分割多重化装置の構造はフォトニックチップを例示する構造であり、理解されるように、フォトニックチップ構造は、4つの入出力を含むが、これに限定されなく、かつ入力リンクの数は出力リンクの数に等しくなくてもよく、かつシリカ波長分割多重化装置化構造はAWG波長分割多重化構造を含むが、これに限定されない。他の誘電体膜又はグレーティング型波長分割多重化装置等の類似機能を有する光通信波長分割多重化装置装置であってもよい。本開示の実施例において、波長分割多重化装置の動作波長は、典型的な光通信波長帯1310nm及び1550nmの光波を含むべきであるが、その動作波長はこれに限定されない。
【0046】
理解されるように、本実施例において、第一基底4、第二基底4’、第三基底4’’は同じプロセスで製造された全体である;第一埋め込み層シリカ5、第二埋め込み層シリカ5’、第三埋め込み層シリカ5’’も同じプロセスで製造された全体である;第一キャップ層シリカ8、第二キャップ層シリカ8’、第三キャップ層シリカ8’’も同じプロセスで製造された全体である;第一トップ層シリカ11、第二トップ層シリカ11’、第三トップ層シリカ11’’も同じプロセスで製造された全体である。上記全体が三つの異なる機能領域に分けられることによりそれぞれニオブ酸リチウム薄膜変調器、第一光結合構造、シリカ導波路波長分割多重化装置を形成する。
【0047】
本開示の第二実施例は、フォトニックチップの製造方法を提供し、
図14を参照し、
図2―13を組み合わせ、
図14に示す製造方法を詳細に説明し、該製造方法は以下の操作を含む。
【0048】
S1、基底を製造し、基底は第一基底4、第二基底4’及び第三基底4’’を含む。
【0049】
操作S1において、石英基底層を製造し、ウェハ全体を支持するために用いられ、該石英基底層は、第一基底4、第二基底4’及び第三基底4’’という三つの領域に分けられ、それぞれニオブ酸リチウム薄膜変調器、第一光結合構造及びシリカ導波路波長分割多重化装置3を支持するために用いられる。
【0050】
S2、基底に埋め込み層シリカを製造し、埋め込み層シリカは、第一埋め込み層シリカ5、第二埋め込み層シリカ5’及び第三埋め込み層シリカ5’’を含む。
【0051】
操作S2は、基底に埋め込み層シリカを製造し、該埋め込み層シリカは第一埋め込み層シリカ5、第二埋め込み層シリカ5’及び第三埋め込み層シリカ5’’という三つの領域に分けられ、第三埋め込み層シリカ5’’はシリカ導波路12のコア層の下部を形成するために用いられる。
【0052】
石英基底層の1550nmの波長の光に対する屈折率の範囲は約1.4~1.6であり、埋め込み層のシリカの1550nmの波長の光に対する屈折率の範囲は約1.4~1.6であり、本開示の実施例において、製造された埋め込み層シリカの屈折率は石英基底層の屈折率より高く、石英基底及び埋め込み層シリカで形成された構造は
図2Aに示すとおりである。
【0053】
また、石英以外の他の材料を選択して基底を製造してもよく、該材料の屈折率が石英基底の屈折率より低ければ、依然として
図2Aに示す単層シリカ構造を採用する;該材料の屈折率が埋め込み層シリカの屈折率より高ければ、
図2Bに示す二層シリカ構造を採用し、下層埋め込み酸化物層の屈折率は上層埋め込み酸化物層の屈折率より低く、下層埋め込み酸化物層は上層埋め込み酸化物層と屈折率の高い基板との間の緩衝層とし、それにより第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6及び第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’に近いシリカ層の屈折率は常に第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6及び第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’から遠いシリカ層の屈折率よりも大きい。
【0054】
S3、第一埋め込み層シリカ5に第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6を製造し、第二埋め込み層シリカ5’に第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’を製造する。
【0055】
操作S3において、まず特殊なプロセスにより埋め込み層シリカ(第一埋め込み層シリカ5、第二埋め込み層シリカ5’及び第三埋め込み層シリカ5’’を含む)にニオブ酸リチウム薄膜層6’’を結合し、
図2A及び
図2Bに示すとおりである。
【0056】
本開示の実施例において、石英基底層、埋め込み層シリカ、ニオブ酸リチウム薄膜層は、初期基底を構成し、そのうち、石英基底層は、初期基底材料の最下層であり、埋め込み層シリカは初期基底材料の中間層であり、ニオブ酸リチウム薄膜層は初期基底材料の最上層である。
【0057】
次に、第一埋め込み層シリカ5上のニオブ酸リチウム薄膜層6’’を第一所定形状の光導波路構造にフォトエッチングし、これにより第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6を形成し、該第一所定形状はマッハツェンダ干渉型及びマイクロリング結合器型構造を含むがこれらに限定されない。第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6の断面寸法は平方マイクロメートルオーダーであり、マッハツェンダ干渉型は
図3A及び3Bに示すようなストライプ構造であり、該形状の導波路は直方体導波路であり、マイクロリング結合器型は
図3C及び3Dに示すリッジ構造であり、該形状の導波路は基板に位置する直方体導波路である。
【0058】
第二埋め込み層シリカ5’上のニオブ酸リチウム薄膜層6’’を錐状構造の光導波路構造にフォトエッチングして、第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’を形成し、該錐状構造における断面積の大きい一端が第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6に接続され、該錐状構造における面積の小さい一端が第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6から離れる方向に位置し、かつ該錐状構造が四角錐形であることが好ましい。また、第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’の形状はさらに直方体と四角錐という二種類の形状を含むことができ、四角錐導波路の断面の大きい一端が直方体導波路に接続され、直方体導波路は第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6に接続され、かつ四角錐の導波路における断面の小さくなる一面が第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6から離れる方向に延伸する。
【0059】
第三埋め込み層シリカ5’’上のニオブ酸リチウム薄膜層6’’を完全にエッチングして除去し、
図4に示すように、これにより、第三埋め込み層シリカ5’’にシリカ導波管12を製造する。
【0060】
操作S3において、ニオブ酸リチウム薄膜層6’’のエッチング方法は例えばドライエッチングを選択し、好ましくはプラズマ増強反応イオンエッチングを採用し、エッチングガスはフッ素系ガス又は塩素系ガスを選択することができ、該ガスはCF4、CHF3、SF6、Cl2、BCl3、Ar、O2等を含むがそれらに限定されない。理解されるように、ニオブ酸リチウム薄膜層6’’のエッチング方法は、上記ドライエッチングに限定されない。
【0061】
本開示の実施例において、シングルモード伝送を保証するために、直方体導波路の幅及び高さの値範囲が0.5~2μmであることが好ましく、四角錐導波路におけるシリカ導波路に近い端面とシリカ導波路から離れた端面との間の垂直距離が200μmであることが好ましく、それにより、光場は第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6からシリカ導波路12にゆっくりと遷移することができる。理解されるように、直方体導波路の幅及び高さの値範囲が0.5~2μmに限定されず、両端面の垂直距離の選択が200μmに限定されない。
【0062】
S4、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6の両側に金属電極7を製造する。
【0063】
金属電極7は、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6と共に電気的変調構造を形成するために用いられ、それは本開示の実施例のニオブ酸リチウム薄膜変調器にのみ存在する。金属電極7の材料は、金、銅、アルミニウム又は他の導電性材料であり、物理的気相堆積の方法により導電性材料を第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6の両側に堆積して金属電極7を形成することができ、
図5A及び
図5Bに示すとおりである。
【0064】
S5、第一埋め込み層シリカ5、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6及び金属電極7に第一キャップ層シリカ8を製造し、かつ第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’に第二キャップ層シリカ8’を製造し、及び第三埋め込み層シリカ5’’にシリカ導波管12を製造する。
【0065】
操作S5において、まず、既に製造されたデバイスが露出した表面にキャップ層シリカを堆積することは、第一埋め込み層シリカ5、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6、金属電極7、第二埋め込み層シリカ5’、第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’及び第三埋め込み層シリカ5’’の表面にキャップ層シリカを堆積することを含む。キャップ層シリカの屈折率は埋め込み層シリカの屈折率に近いか又は等しく(例えば両者の屈折率の差が10%以内である)、かつ石英基底層の屈折率より高く、堆積プロセスにより、堆積プロセスガスの比率をドーピングするか又は調整することにより、高屈折率のキャップ層シリカを製造することができる。キャップ層シリカを堆積した後の波長分割多重化装置領域は
図6に示すように、キャップ層シリカを堆積した後の第一光結合構造は
図7A及び7Bに示すとおりである。
【0066】
本実施例において、例えばプラズマ強化化学気相堆積プロセス方法を採用してキャップ層シリカを形成し、350℃でシラン及び一酸化窒素を利用して反応し、シリカを生成し、反応方程式はSiH4(ガス状態)+2N2O(ガス状態)--(SiO2(固体状態)+2N2(ガス状態)+2H2(ガス状態)であり、SiH4と2N2Oという二種類のガス比率を調整することにより、上記屈折率の要件を満たすキャップ層シリカを得ることができ、ドーピングにより、上記屈折率の要件を満たすキャップ層シリカを得ることもできる。キャップ層シリカを堆積して形成した後、堆積されたシリカに平坦化処理を行う必要があり、例えば化学機械研磨を利用してキャップ層シリカに対して平坦化処理を行う。
【0067】
次に、第一埋め込み層シリカ5、第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路6、金属電極7の表面に平坦化処理された後のキャップ層シリカをエッチングすることにより、貫通孔をエッチングし、これにより、第一キャップ層シリカ8を得て、
図8A及び
図8Bに示すとおりである。
【0068】
第二埋め込み層シリカ5’及びその表面に平坦化処理された後のキャップ層シリカをエッチングし、第二基底4’までエッチングし、エッチングされた後のキャップ層シリカは、第二キャップ層シリカ8’であり、第二キャップ層シリカ8’は、第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路6’を完全に被覆し、変調器領域から離れる方向に延伸し、
図9に示すとおりである。
【0069】
第三埋め込み層シリカ5’’及びその表面に平坦化処理された後のキャップ層シリカをエッチングし、第三基底4’’までエッチングし、エッチングされた後のキャップ層シリカはシリカ導波路12であり、さらに、シリカ導波路12はアレイ導波路回折格子部品等に製造され、それによりシリカ導波路波長分割多重化装置として使用される。シリカ導波管12の端面は矩形又は正方形であり、その断面積は百平方μmオーダーであり、
図10A及び10Bに示すとおりである。
【0070】
本実施例において、キャップ層シリカのエッチングプロセスは、具体的に以下のとおりである。キャップ層シリカにフォトレジストを塗布し、マスク版を用いて露光及び現像を行い、マスクパターンをフォトレジストに転写し、その後にエッチングによりフォトレジストパターンをキャップ層シリカに転写する。具体的には、CF4とH2の混合ガスをシリカのエッチングガスとして選択し、ここで、混合ガスにおけるH2の含有量は、混合ガス体積の50%であり、該成分のCF4/H2混合ガスのシリカとケイ素に対する選択比は40:1を超え、エッチング選択性が高い。プラズマ環境において、CF4はフッ素原子を生成することができ、フッ素原子はシリカと反応し、それにより、シリカをエッチングし、反応式は以下のとおりである:
CF4+e---CF3+F+e-
4F(フリーラジカル)+SiO2(固体)--SiF4(ガス状)+O2(ガス状)
【0071】
上記反応過程において、H2の作用は、CF4とシリコンとの反応速度を低下させ、CF4のシリカ及びケイ素に対する選択エッチング比を向上させることであり、該エッチング過程は常に石英基底層の上方までエッチングされる。
【0072】
S6、第一キャップ層シリカ8に終端抵抗9及び金属リード線10を製造し、かつ第一キャップ層シリカ8における貫通孔を介して金属電極7に接続する。
【0073】
操作S6において、第一キャップ層シリカ8の貫通孔中及びその部分の表面に金属を堆積して終端抵抗9及び金属リード線10を製造し、
図11A及び11Bに示すとおりである。
【0074】
具体的には、物理気相堆積の方法を利用して該金属リード線10を製造し、金属リード線10の材料はアルミニウム又は他の導電性材料であってもよい。
【0075】
第一キャップ層シリカ8の上層の部分の表面に金属及び窒化チタンを堆積し、次にパターン転写の方法(例えばフォトエッチング又は剥離)を利用して、堆積された金属及び窒化チタンを終端抵抗9にフォトエッチングするか又は剥離し、かつ貫通孔に金属を堆積することにより上層の終端抵抗9と下層の金属電極7との間を電気的に導通させる。該終端抵抗9はニオブ酸リチウム薄膜変調器伝送線の終端負荷抵抗であり、電極及び抵抗構造を最適化することにより、両者をインピーダンス整合させてニオブ酸リチウム薄膜変調器の変調効率を向上させることができる。理解できるように、終端抵抗9の材料は窒化チタンを含むがこれに限定されない。
【0076】
S7、第一キャップ層シリカ8及び終端抵抗9に第一トップ層シリカ11を製造し、かつ第二キャップ層シリカ8’に第二トップ層シリカ11’を製造し、かつシリカ導波路12に第三トップ層シリカ11’’を製造する。
【0077】
製造されたデバイスが露出した表面にトップ層シリカを製造し、該トップ層シリカは、上記第一トップ層シリカ11、第二トップ層シリカ11’及び第三トップ層シリカ11’’を含み、かつ該トップ層シリカの屈折率は、埋め込み層シリカ及びキャップ層シリカの屈折率より低い。好ましくは、堆積プロセスによりトップ層シリカを製造し、かつ堆積過程において堆積プロセスガスの比率をドープするか又は調整することにより低屈折率のトップ層シリカを製造することができる。
【0078】
さらに、第一トップ層シリカ11をエッチングして金属パッドを形成する必要がある。第二トップ層シリカ11’及び第三トップ層シリカ11’’は、エッチングされる必要がない。操作S7の後に形成されたニオブ酸リチウム薄膜変調器は
図12A及び12Bに示すように、第一光結合構造は
図13に示すようなものである。
【0079】
本開示の実施例において、基底材料にV型溝をエッチングすることによりシングルモード光ファイバとシリカ導波路との位置合わせを実現することができ、光ファイバをV型溝に配置し、シングルモード光ファイバとシリカ導波路を位置合わせした後、キャップ板と接着剤を用いて固定する。
【0080】
以上に述べた具体的な実施例は、本開示の目的、技術案及び有益な効果をさらに詳細に説明し、理解すべきこととして、以上の記載は、本開示の具体的な実施例に過ぎず、本開示を限定するものではなく、本開示の精神及び原則内で行われたいかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0081】
1―ニオブ酸リチウム薄膜変調器アレイ
2―第一光結合アレイ
3―シリカ導波路波長分割多重化装置
4―第一基底
4’―第二基底
4’’―第三基底
5―第一埋め込み層シリカ
5’―第二埋め込み層シリカ
5’’―第三埋め込み層シリカ
6―第一ニオブ酸リチウム薄膜導波路
6′―第二ニオブ酸リチウム薄膜導波路
6’’―ニオブ酸リチウム薄膜層
7―金属電極
8―第一キャップ層シリカ
8’―第二キャップ層シリカ
9―終端抵抗
10―金属リード線
11―第一トップ層シリカ
11’―第二トップ層シリカ
11’’―第三トップ層シリカ
12―シリカ導波路
13―第二光結合アレイ
14―第三光結合アレイ
【国際調査報告】