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特表2022-541541組織学研究室用消耗品に印刷するためのプリンタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】組織学研究室用消耗品に印刷するためのプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/407 20060101AFI20220915BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20220915BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220915BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220915BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B41J3/407
B41J29/46 Z
B41J29/38 202
G06F3/12 303
G06F3/12 353
G06F3/12 373
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503427
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2020068974
(87)【国際公開番号】W WO2021008917
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019119500.4
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェステルホフ、カール-ハインツ
【テーマコード(参考)】
2C061
2G058
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS11
2C061HK11
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV26
2C061HV32
2G058GC02
2G058GC05
2G058GC09
(57)【要約】
【課題】組織学研究室用消耗品の印刷の正確性等に関し印刷画像の品質を改善する。
【解決手段】未使用の組織学研究室用消耗品(16)に印刷するためのプリンタ。前記プリンタは、印刷されるべき組織学研究室用消耗品(16)の画像パターンを読み取り、読み取った前記画像パターン(18)に関するアナログ又はデジタル画像信号を生成し、前記画像信号を当該プリンタの制御装置(8)へ送信する光学読取装置(13)を含む。前記制御装置(8)は、受信した前記画像信号を評価し、評価の結果に応じて、印刷されるべき印刷画像の品質に関する前記組織学研究室用消耗品(16)の更なる処理のための少なくとも1つの処理ステップを設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未使用の組織学研究室用消耗品(16)に印刷するためのプリンタであって、
前記プリンタは、印刷されるべき組織学研究室用消耗品(16)の画像パターンを読み取り、読み取った前記画像パターン(18)に関するアナログ又はデジタル画像信号を生成し、前記画像信号を当該プリンタの制御装置(8)へ送信する光学読取装置(13)を含み、
前記制御装置(8)は、受信した前記画像信号を評価し、評価結果に応じて、印刷されるべき印刷画像の品質に関する前記組織学研究室用消耗品(16)の更なる処理のための少なくとも1つの処理ステップを設定すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
複数の異なる画像パターンと、十分に高品質な印刷画像が可能であるか否かについての情報との関係付けが、前記制御装置の記憶装置に記憶されていること
を特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタにおいて、
複数の処理ステップの1つは、ユーザの入力を要求することを含むこと
を特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、前記入力を評価し、前記入力に応じて、既に設定された処理ステップを取消し及び/又は前記組織学研究室用消耗品(16)の更なる処理のための少なくとも1つの更なる処理ステップを設定すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、入力が予期される組織学研究室用消耗品(16)の処理を前記入力が実行されるまで停止し、その代わりに、少なくとも1つの他の組織学研究室用消耗品(16)の処理を開始又は継続すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記複数の処理ステップの1つは、ユーザへメッセージを出力することを含むこと
を特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記複数の処理ステップの1つは、前記組織学研究室用消耗品(16)に印刷することを含むこと
を特徴とするプリンタ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記複数の処理ステップの1つは、前記組織学研究室用消耗品(16)に印刷することなく、当該組織学研究室用消耗品(16)を排除することを含むこと
を特徴とするプリンタ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記複数の処理ステップの1つは、読み取った前記画像パターンの画像信号を記憶すること及び/又は前記制御装置(8)によって決定された前記組織学研究室用消耗品(16)に関する情報を記憶することを含むこと
を特徴とするプリンタ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、受信した前記画像信号の評価のために、前記光学読取装置(13)から受信した画像信号と少なくとも1つの参照画像パターンの画像信号を比較すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項11】
請求項10に記載のプリンタにおいて、
少なくとも1つの参照画像パターンの画像信号が記憶されている又は記憶可能な記憶装置が設けられていること
を特徴とするプリンタ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、前記画像信号に基づいて、前記組織学研究室用消耗品(16)における印刷領域の位置を決定すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、読み取った前記画像パターン(18)の画像信号に応じて、少なくとも1つの設定されるべき印刷パラメータを設定すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記光学読取装置(13)は、バーコード又はQRコード(登録商標)又はロゴ又は文字列として構成された画像パターン(18)を読み取るよう、構成されかつ配置されていること
を特徴とするプリンタ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のプリンタにおいて、
該プリンタは、複数の印刷されるべき組織学研究室用消耗品(16)のための受容部を有し、該受容部から、搬送装置が該複数の印刷されるべき組織学研究室用消耗品(16)を個別に取り出し、更に搬送すること、及び、
前記光学読取装置(13)は、夫々1つの印刷されるべき組織学研究室用消耗品(16)の搬送中にその画像パターン(18)を読み取ること
を特徴とするプリンタ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、連続的にログ(Protokoll)を記録すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項17】
請求項16に記載のプリンタにおいて、
前記制御装置(8)は、とりわけ連続的に、ログデータを、メモリに保存する及び/又はインタフェースを介して出力する及び/又は出力装置に表示すること
を特徴とするプリンタ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載のプリンタにおいて、
該プリンタは、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタとして構成されていること
を特徴とするプリンタ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載のプリンタにおいて、
該プリンタは、カセットプリンタ及び/又はスライドプリンタ及び/又はラベルプリンタ(Etikettendrucker)として構成されていること
を特徴とするプリンタ。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載のプリンタにおいて、
前記組織学研究室用消耗品(16)は、カセット又はスライドであること
を特徴とするプリンタ。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載のプリンタと、前記プリンタからログデータを受信する上位コンピュータとを有する組織学研究室システム。
【請求項22】
請求項21に記載の組織学研究室システムにおいて、
a. 前記上位コンピュータは、他のプリンタ及び/又は他の研究室機器の更なるログデータを受信すること、又は、
b. 前記上位コンピュータは、他のプリンタ及び/又は他の研究室機器の更なるログデータを受信し、かつ、その都度、同じサンプルに関する前記ログデータと前記更なるログデータを互いに関連付けかつ一緒に記憶し及び/又は更に処理すること
を特徴とする組織学研究室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織学研究室用消耗品に印刷するためのプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
患者から採取された組織学的サンプルは、これらが、例えば顕微鏡を用いて、検査できる状態になる前に、組織学研究室の種々の処理ステーションにおいて複数の処理ステップを通過する。
【0003】
後に行われる顕微鏡切片作製法のための包埋プロセスの枠内において組織学的サンプルを調製する場合、サンプルは、まず、固定剤、例えばホルマリン、を用いて固定される。次に、サンプルから存在する組織液が除去される。これは、(その都度)純度が大きくなるアルコール処理による複数のステップで行われる。そのようにして処理されたサンプルをミクロトームによる切断が可能な状態へ移行するために、サンプル内に、包埋剤-例えばパラフィン、ゼラチン、アガー、ニトロセルロース、ポリエステルワックス、ポリエチレングリコール又はプラスチック-が浸透される。上記のプロセス中、サンプルは、大抵は、サンプルの周囲を化学物質で洗浄するために、複数の篩状開口を有するカセットに収容されている。そのようなカセットの特別な一例は例えばDE 43 33 118 A1から既知である。
【0004】
包埋剤の浸透後、サンプルはそのカセットから取り出され、パラフィンでブロック化される。次に、このブロックはミクロトームによって薄切片(複数)に切断され、これらの薄切片は個別にスライド(試料支持体)に載置される。そして、薄切片は顕微鏡検査のために着色(染色)されることができる。
【0005】
処理シーケンスにおいては、とりわけ、サンプルと患者が常に関係付け(対応付け)可能であることが保証される必要である。このため、組織学研究室では特別なプリンタが使用される。このプリンタは、サンプルが格納されるべきカセット及び/又はスライドに、とりわけ患者に関するないし患者に関係付けられたデータを印刷可能にするものである。この場合、印刷画像が十分に正確かつ十分に耐久性をもって読み取り可能であることが非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 43 33 118 A1
【特許文献2】EP 1 245 395 A2
【特許文献3】US 2019/0324048 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
EP 1 245 395 A2には、組織学標本用のプラスチックカセット及び/又は顕微観察用薄切片用スライドに印刷するための方法及び装置が記載されている。該装置は、印刷装置を制御するためのコンピュータ装置を有する。印刷装置は、カセット及び/又はスライドに印刷するためのインクジェットプリンタを含む。インクは、温風乾燥機によって予備乾燥され、フラッシュ装置によって完全に乾燥される。
【0008】
US 2019/0324048 A1は、スライドに2つのバーコードを印刷するスライド(用)プリンタを記載している。第1のバーコードは、コントロール(対照)組織サンプルについてのものであるのに対し、第2のバーコードは患者組織サンプルについてのものである。スライドプリンタは、当該スライドプリンタ自身が既に印刷していた第1のバーコードを読み取ることが可能なバーコードリーダを含む。
【0009】
本発明の課題は、とりわけ印刷正確性、鮮明さ及び/又は耐久性(持続性)に関し、印刷画像の品質(印刷の質)を改善する可能性を提供する、組織学研究室用消耗品の印刷のためのプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、組織学研究室用消耗品に印刷するためのプリンタによって解決される。該プリンタは、印刷されるべき組織学研究室用消耗品の画像パターンを読み取り、読み取った前記画像パターンに関するアナログ又はデジタル画像信号を生成し、前記画像信号を当該プリンタの制御装置へ送信する光学読取装置を含み、
前記制御装置は、受信した前記画像信号を評価し、評価の結果に応じて、印刷されるべき印刷画像の品質に関する前記組織学研究室用消耗品の更なる処理のための少なくとも1つの処理ステップを設定することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
【0012】
本発明によって、とりわけ、異なるカセット(複数)、例えば異なるメーカ(複数)のカセット又は異なる製造プロセスによって製造されたカセットは、正確な印刷可能性及び印刷画像の耐久性(持続性)に関して非常に異なる特性を有することが判明した。とりわけ、例えば、第1のメーカのカセットは、特定のインクを用いた特定の印刷パラメータの下では、格別に良好にかつ耐久性をもって印刷可能であるのに対して、他のメーカのカセットの印刷は同じ印刷パラメータの下でかつ同じインクを使用しても不十分な結果をもたらすことがあり得る。とりわけ、不利なことに、例えば、調節された印刷パラメータ及び/又は使用されるインクに対し十分には良好に適さないカセットが印刷される場合、印刷が不鮮明である、ぼやけが生じる又は印刷画像が十分には耐久性ではないということが生じる。これは、例えば、異なるメーカ又は異なる製品シリーズのカセットが、異なる材料又は材料混合物から、とりわけ異なるプラスチックから、製造されているということに起因し得る。
【0013】
この場合、全く極めて不都合なことに、ユーザが使用するプリンタ及びユーザが使用するインクで品質的に十分に良好な印刷が可能か否かを、ユーザが使用するカセットから直接的に判断(評価)することは全く一般的に可能ではない。とりわけ、不都合なことに、研究室スタッフが印刷の欠陥(ないしエラー)にすぐに気付かずに、品質的に十分には良好ではない印刷画像が大量に作成されるということが起こり得る。
【0014】
同じことが、他のタイプの組織学研究室用消耗品、例えばスライドに印刷する場合にも同様に当て嵌まる。
【0015】
本発明によるプリンタは、夫々印刷されるべき組織学研究室用消耗品が十分な品質で印刷可能であるか否かを、光学読取装置によって予め確認する(判断する)ことができるという非常に特別な利点を有する。このために、プリンタは、光学読取装置を用いて、夫々印刷されるべき組織学研究室用消耗品から、例えばメーカのロゴ又は製品のロゴであり得るか又はそれを含むことが可能な画像パターンを読み取り、読み取った画像パターンに関し対応するアナログ又はデジタル画像信号を制御装置へ送信する。制御装置は、受信した画像信号の評価後、例えば、組織学研究室用消耗品が特定のメーカ及び/又は特定の製品シリーズに関係付け(対応付け)られている(割り当てられている)ことを確認した場合、次のステップにおいて、印刷を実行すべきか否か及び/又はどの印刷パラメータを用いて印刷を実行すべきかを設定(決定)することができる。このために、異なるメーカ又は異なる製品シリーズの組織学研究室用消耗品についての関連データが制御装置のメモリ(記憶装置)に記憶されていると有利である。
【0016】
とりわけ、制御装置は、その画像パターンが丁度読み取られた組織学研究室用消耗品に十分な品質で印刷できないことを確認する場合もあり得る;なぜなら、例えば、調節された印刷パラメータ及び/又は使用されるインクと適合的でない組織学研究室用消耗品が用いられるからである。この場合、例えば、印刷を拒否するか、又は代替的に、研究室スタッフに警告を出力することができる。そのような場合、代替的に、警告通知が出力されたが、それにも拘らず印刷が望まれていることが研究室スタッフによって確認された後に初めて、印刷を実行することも可能である。これに応じて、予防措置として、印刷されるべき組織学研究室用消耗品が光学読取装置によって検出可能な画像パターンを有しない場合又は検出された画像パターンに何れのメーカ及び/又は何れの製品シリーズも関係付ける(対応付ける)こと(検出された画像パターンからメーカ及び/又は製品シリーズを特定すること)ができない場合も、このような手順を踏むことが可能である。
【0017】
本発明に応じ、制御装置は、受信した画像信号を評価し、評価結果に応じて、前記組織学研究室用消耗品の更なる処理のための少なくとも1つの処理ステップを設定する。尤も、1つの処理ステップの又は複数の処理ステップのこの設定は必ずしも最終的(abschliessend)ではない。例えば、制御装置は、処理ステップとして、まず、ユーザの入力が要求されることを設定することができる。そして、制御装置は、入力を受け取った後かつユーザによる決定に応じて、更なる処理ステップを設定することができる。
【0018】
ユーザの入力の要求は、とりわけ、プリンタの印刷パラメータと適合しない印刷されるべき組織学研究室用消耗品がプリンタに入れられた場合又は印刷されるべき組織学研究室用消耗品が光学読取装置によって検出可能な画像パターンを有しない場合又は評価の際に検出された画像パターンに何れのメーカ及び/又は何れの製品シリーズも関係付けることができない場合に、実行することができる。プリンタの実際の印刷パラメータは、例えば、インク又はトナー又は乾燥温度又は乾燥時間又は使用可能なフォントサイズ又は使用可能なフォントタイプに関するものであり得る。
【0019】
プリンタは、ユーザが入力を行うことができるキー又はキーパッド及び/又は他の入力装置を有することができる。代替的に又は追加的に、プリンタが直接又はネットワークを介して接続されているコンピュータを介して入力を行うことも可能である。制御装置は、入力を評価し、そして、入力の内容に応じて、既に設定された処理ステップを取消すこと及び/又は組織学研究室用消耗品の更なる処理のための少なくとも1つの更なる処理ステップを設定することも可能である。例えば、制御装置は、入力が要求された組織学研究室用消耗品への印刷は実行されるべきではない旨の入力をユーザがした場合、印刷画像の印刷(適用)という本来予定されていた処理ステップを取消すことができる。
【0020】
極めて格別に好ましい一実施形態では、制御装置は、入力が予期される組織学研究室用消耗品の更なる処理を入力が実行されるまで停止し、その代わりに、少なくとも1つの他の組織学研究室用消耗品の処理を開始又は継続することができる。この実施形態は、複数の組織学研究室用消耗品の印刷のために利用可能な時間が常に(全て)使用されるという全く格別な利点を有する。とりわけ、有利には、入力が予期される組織学研究室用消耗品が一時的に除外(選別)され、待機位置に移されることが可能になる。要求された入力が実行されると直ぐに、組織学研究室用消耗品は待機位置から引き戻され、そして、とりわけ実行された入力に応じて、更に処理されかつ予め決定された又は個別に予め決定可能な印刷画像が付与されるか、又は、印刷画像を印刷(適用)することなく廃棄(排除)される。
【0021】
複数の処理ステップの1つは、ユーザへメッセージを出力することを含むことが可能である。例えば、本発明によるプリンタは、制御装置が印刷されるべき組織学研究室用消耗品を認識しかつ高品質の印刷が可能であることを確認した場合、制御装置が全てが正常でありかつ適切な(所期の目的に適った)印刷が実行可能である旨のメッセージを出力するよう、構成されることができる。同様に、制御装置が品質的に十分に良好な印刷は可能ではないことを認識した場合又は評価の際に制御装置が検出された画像パターンに何れのメーカ及び/又は何れの製品シリーズも関係付けることができなかった場合、警告通知が出力されることも可能である。
【0022】
とりわけ、制御装置によって設定された一処理ステップは、その画像パターンが読み取られかつ評価された組織学研究室用消耗品を予め決定された又は個別に予め決定可能な印刷画像で印刷することを含むことができる。制御装置は、例えば、制御装置が組織学研究室用消耗品から読み取った画像パターンを特定のメーカ及び/又は特定の製品シリーズ(これらについては、制御装置は調節された印刷パラメータを用いて十分に高品質な態様で印刷が可能であるという情報を有する)に関係付けることができた場合、この処理ステップを設定する。
【0023】
とりわけこの目的のために、異なる画像パターン(複数)と十分に高品質の印刷が可能であるか否かに関する情報との関係付け(ないし割当関係)が制御装置の記憶装置に記憶されていることも可能である。
【0024】
代替的に又は追加的に、制御装置の記憶装置に記憶されている関係付け(ないし割当関係)は、より詳細な情報、例えば、必要な印刷パラメータに関する情報を含むことができる。必要な印刷パラメータは、例えば、有利に使用可能なインクの特性又は乾燥温度又は乾燥時間又は温風による予備乾燥の時間及び/又は温度に関する情報又はフラッシュ装置による完全乾燥の温度と時間に関する情報又は使用可能なフォントサイズ又は使用可能なフォントタイプに関する情報に関するものであり得る。
【0025】
本発明によるプリンタの格別に柔軟に使用可能な一実施形態では、制御装置は、プリンタの少なくとも1つの印刷パラメータを、必要であると決定(判断)された印刷パラメータに個別に適合させる。
【0026】
とりわけ、有利には、プリンタは、各組織学研究室用消耗品を光学読取装置によって画像パターンに基づいて検査し、印刷の実行が望まれる場合、予め決定された又は個別にその都度予め決定可能な印刷画像を付与することができる。例えば、有利には、プリンタは、とりわけ患者データを含むことが可能な個別に印刷(適用)されるべき印刷画像に関する情報を、プリンタが直接又はネットワークを介して接続されている上位のコンピュータから受け取ることができる。
【0027】
上述したように、制御装置によって設定される複数の処理ステップの1つは、組織学研究室用消耗品を、印刷せずに、排除(廃棄)することを含むことも可能である。これは、とりわけ、例えばプリンタのディスプレイにおける及び/又は接続されたコンピュータへのユーザへの警告通知の出力と組み合わせて実行可能である。
【0028】
格別に有利な一実施形態では、制御装置はログ(Protokoll)を取る(記録する)。とりわけ、有利には、個別に導入(装填)される組織学研究室用消耗品の各々について、画像パターンが読み取り可能であったか否か及び/又は読み取った画像パターンが評価可能であったか否か及び/又は読み取った画像パターンとメーカ又は製品シリーズの関係付けが可能であったか(読み取った画像パターンからメーカ又は製品シリーズを特定可能であったか)否か及び/又は印刷が実行されたか否かについてログを取ることが可能である。ログは、とりわけ、画像パターン自体及び/又は実行された印刷に関連するデータを含むことができる。更に、ログは、夫々の組織学研究室用消耗品の処理の時点に関する情報及び/又は関係付けられた患者に関する情報及び/又は使用した印刷媒体のロット番号(Chargennummer)及び/又は使用した組織学研究室用消耗品のロット番号を含むことができる。
【0029】
好ましくは、制御装置は、ログデータをメモリ(記憶装置)に連続的に(常時的に)記憶し及び/又はログデータをインタフェースを介して出力する。代替的に又は追加的に、制御装置は、ログデータを出力装置、例えばプリンタのディスプレイに表示すること、とりわけ連続的に(常時的に)表示することも可能である。
【0030】
極めて格別に有利な一実施形態では、ログデータは、上位コンピュータへ送信され、そこで記憶及び/又は更に処理される。
【0031】
とりわけ-及び独立の発明思想によれば-、有利には、上位コンピュータは、他のプリンタ及び/又は他の研究室機器の更なるログデータを受信すること、及び、それらを、とりわけプリンタのログデータと一緒に、記憶し及び/又は更に処理することが可能である。極めて一般的に及び独立の発明思想に応じ、本発明によるプリンタのログデータ及び/又は他の研究室機器の更なるログデータを受信、記憶及び/又は更なる処理をする上位コンピュータを含む組織学研究室用システムは、格別に有利である。
【0032】
好ましくは、同じサンプルに関するログデータと更なるログデータは、上位コンピュータによって、互いに関係付けられ、一緒に記憶され及び/又は更に処理される。とりわけ、そのため、プリンタから送信されたログデータと他のプリンタ及び/又は研究室機器の更なるログデータを含む上位ログが、上位コンピュータによって、とりわけサンプル特異的に、作成されることが可能になる。上位ログは、好ましくは、組織学研究室における(1つの)サンプルの処理の際の全ての処理工程に関するデータを含むことができる。その限りにおいて、上位ログは、とりわけ、ログデータと、切断ステーションから顕微鏡による診断に至るまでのサンプルの処理を含む更なるログデータを含むことができる。尤も、上位ログは、ログデータと、(1つの)サンプルのそのような処理シーケンスの一部分についての更なるログデータを含むことも可能である。
【0033】
一変形形態では、ログの記録は、例えば画像パターンを読み取ることができなかった又は印刷が十分に良好な品質では実行できなかったことが評価によって判明したという理由で、問題があると認識された場合に限って実行される。
【0034】
とりわけ、複数の処理ステップの1つは、読み取った画像パターンの画像信号を記憶すること及び/又は組織学研究室用消耗品について制御装置によって決定された情報を記憶することを含むことができる。これは、とりわけ、上記のログにおける相応のデータの記録(記憶)の実行という方法で、実行可能である。
【0035】
極めて格別に有利な一実施形態では、制御装置は、光学読取装置から受信した画像信号と少なくとも1つの参照画像パターンの画像信号とを比較する。このために、少なくとも1つの参照画像パターンの画像信号が記憶されている又は記憶可能な記憶装置を備えることができる。制御装置は、記憶装置から参照画像パターンを個別に読み出し、光学読取装置から受信した画像信号と比較することができる。
【0036】
上述したように、有利には、制御装置は、画像信号に基づき、各組織学研究室用消耗品が印刷可能であるか否か、及び場合によっては、どのように、とりわけどの印刷パラメータを用いて、各組織学研究室用消耗品が印刷可能であるかを決定することができる。
【0037】
格別に柔軟な一実施形態では、制御装置は、画像信号に基づき、組織学研究室用消耗品における印刷領域の位置(印刷領域が組織学研究室用消耗品のどこに位置するか)を決定する(求める)。印刷が実行されるべきことが確認される場合、制御装置は、印刷が印刷領域において正確に実行されるように制御する。本発明によるプリンタのこのような一実施形態では、多種多様の組織学研究室用消耗品を格別に柔軟に使用することができる。
【0038】
光学読取装置は、とりわけ、バーコード又はQRコード(登録商標)又はロゴ又は文字列(テキスト)として構成された画像パターンを読み取るよう、構成されかつ配置されることが可能である。読み取り可能な画像パターンのタイプに関しては、原理的な制限はない。画像パターンは、とりわけ、純粋にアナログ形式の画像パターン、とりわけ二値シンボル(とりわけ規格化(標準化)された線(バー)及び/又は点(ドット)及びそれらの間に位置する規格化(標準化)された空所(ギャップ))を含まない画像パターンでもあり得る。その限りにおいて、画像パターンは、バーコード及びマトリックスコード(例えばQRコード)等を含まないよう、構成されることも可能である。
【0039】
極めて格別に有利な一実施形態では、とりわけ、画像パターンが組織学研究室用消耗品の同じ位置に常に配置されていることは、不可欠ではない。寧ろ、この実施形態では、評価可能な画像パターンが存在する位置を確認するために、組織学研究室用消耗品全体が光学読取装置によって検出される。
【0040】
好ましくは、本発明によるプリンタは、複数の印刷されるべき組織学研究室用消耗品のための受容部を有し、該受容部から、搬送装置は、印刷されるべき組織学研究室用消耗品を個別に取り出し更に搬送する。この場合、有利には、とりわけ、光学読取装置は、搬送中に画像パターンを夫々読み取ることができる。これは、印刷画像の読み取りが、プリンタの内部における処理シーケンス全体が遅延されないように、時間的に寄生的に(parasitaer)(デッドタイムにおいて)実行可能であるという格別な利点を有する。
【0041】
上述したように、組織学研究室用消耗品は、例えば、組織サンプル用のカセット又はスライド、とりわけ薄切片用のスライドであってもよい。その限りにおいて、プリンタは、カセット(用)プリンタとして及び/又はスライド(用)プリンタとして特別に構成されることができる。
【0042】
本発明によるプリンタは、とりわけ、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタとして構成可能である。
【0043】
本発明の対象は、図面に例示的にかつ概略的に示されており、以下において図面を参照して説明される。なお、同じ又は同じ機能を有する構成要素は、異なる実施例においても、大抵は、同じ図面参照符号が付記されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による一プリンタの第1実施例。
図2】本発明による一プリンタの第2実施例。
図3】本発明による一プリンタの第3実施例の詳細。
図4】本発明による一プリンタの第4実施例の詳細。
【実施例
【0045】
図1は、材料供給部1を有する本発明による一プリンタの第1実施例を示す。材料供給部1は、例えばカセット17又はスライド19のような(図1においては不可視の)印刷されるべき組織学研究室用消耗品16のための複数のスタックマガジン2を含む。材料供給部1には、組織学研究室用消耗品16を夫々順次的に材料供給部1から印刷装置4へと搬送する搬送装置3が割り当てられている。印刷装置4は、例えば、インクジェットプリンタを含むことができる。印刷された組織学研究室用消耗品16は、搬送装置3によって温風乾燥装置5へ運ばれ、そこで予備乾燥される。次に、組織学研究室用消耗品16は、赤外線及び/又はUV放射線で熱を供給することによってインクを完全に乾燥するフラッシュ装置6へ運ばれる。そして、このようにして処理された組織学研究室用消耗品16は、取出装置7へと更に運ばれる。
【0046】
プリンタは、組織学研究室用消耗品16の(図1では不可視の)画像パターン18を読み取り、読み取った画像パターン18に関するアナログ又はデジタル画像信号を生成する(図1では不可視の)光学読取装置13を有する。画像信号は、プリンタの制御装置8へ送信される。制御装置8は、プリンタをコンピュータネットワークに接続するための又はコンピュータに直接接続するためのインタフェース9を有する。
【0047】
制御装置8は、更に、メッセージをユーザに対し出力可能にするディスプレイ10を有する。とりわけ、ディスプレイ10は、ユーザの入力を要求するためにも使用可能であり、ユーザは、例えば、キーパッドとして構成可能な入力装置11を介して入力を行うことができる。ディスプレイ10は、例えば、光学読取装置によって認識された画像パターン18に関する情報及び/又は読み取った画像パターン18に関する評価結果を連続的に(常時的に)表示するためにも使用可能である。
【0048】
制御装置8は記憶装置12を含む。記憶装置12は、参照画像パターンの画像信号を記憶することができ、及び/又は、光学的に読み取った画像パターン及び/又は評価結果に関する情報、及び/又は、印刷画像及び/又はその都度読み取った画像パターンに関するデータに関する情報、及び/又は、実行されるべき又は実行された処理ステップに関する情報を記憶することができる。とりわけ、記憶装置12は、好ましくは、インタフェース9を介して接続されたコンピュータへ更に送信可能な及び/又はディスプレイ10に表示可能なログを記憶することができる。
【0049】
図2は、本発明による一プリンタの第2実施例を模式的に示す。
【0050】
プリンタは、例えばカセット17又はスライド19のような印刷されるべき組織学研究室用消耗品16を収容することができる材料供給部1を有する。
【0051】
プリンタは、更に、組織学研究室用消耗品16を夫々順次的に材料供給部1から印刷装置4へと搬送する搬送装置3を有する。更に、搬送装置3は、印刷装置4によって印刷された組織学研究室用消耗品16を取出装置7へと更に搬送し、そして、印刷された組織学研究室用消耗品16は取出装置7から取り出されることができる。
【0052】
プリンタは、更に、印刷されるべき組織学研究室用消耗品16の画像パターン18を読み取り、読み取った画像パターン18に関するアナログ又はデジタル画像信号を生成し、画像信号をプリンタの制御装置8へ送信する光学読取装置13を有する。
【0053】
制御装置8は、プリンタをコンピュータネットワーク、上位コンピュータに接続するための、又はコンピュータに直接接続するためのインタフェース9を有する。
【0054】
制御装置8は、データを受信し及び/又は制御命令を出力するために、データケーブル14によって、光学読取装置13、材料供給部1、搬送装置3及び印刷装置4に接続されている。
【0055】
制御装置8は、光学読取装置13から受信した画像パターン画像信号を評価し、評価結果に応じて組織学研究室用消耗品16の更なる処理のための少なくとも1つの処理ステップを設定する。制御装置8は、評価に際して、光学読取装置13から受信した画像信号と少なくとも1つの参照画像パターンの画像信号とを比較する。
【0056】
制御装置8が印刷されるべき組織学研究室用消耗品16を認識しかつ高品質の印刷が可能であると確認した場合、制御装置8はすべてが正常である旨のメッセージを出力する。同時に、制御装置8は、更なる処理ステップとして、適切な(所期の目的に適った)印刷の実行を設定する。
【0057】
評価の結果、品質的に十分に良好な印刷が可能ではないことが判明した場合、又は、評価の際に、制御装置8が検出された画像パターン18とメーカ及び/又は製品シリーズを関係付けることができなかった場合、警告通知が出力される。とりわけ、この場合、それにも拘らず印刷が望まれていることが研究室スタッフによって確認された後に初めて、印刷を実行することが可能である。
【0058】
図3は、材料供給部1(図3には不図示)から来る組織学研究室用消耗品16を更に搬送するための搬送装置3を有する、本発明による一プリンタの第3実施例の詳細を示す。
【0059】
プリンタは、例えばデジタルカメラとして構成可能な光学読取装置13を含む。光学読取装置13は、データケーブル14を介して制御装置8(図3には不図示)に接続されている。光学読取装置13は、その都度読み取った画像パターン18に関するアナログ又はデジタル画像信号をデータケーブル14を介して制御装置8へ更に送信する。
【0060】
搬送装置3は、載置された組織学研究室用消耗品16、すなわちカセット17を搬送するコンベアベルト15を有する。光学読取装置13は、そのそばに到来(通過)する各組織学研究室用消耗品16の画像パターン18を読み取り、読み取った画像パターン18に関する画像信号を制御装置8(図3には不図示)へ更に送信する。
【0061】
図4は、材料供給部1(図4には不図示)から来る組織学研究室用消耗品16を更に搬送するための搬送装置3を有する、本発明による一プリンタの第4実施例の詳細を示す。
【0062】
プリンタは、例えばデジタルカメラとして構成可能な光学読取装置13を含む。光学読取装置13は、データケーブル14を介して制御装置8(図4には不図示)に接続されている。光学読取装置13は、その都度読み取った画像パターン18に関するアナログ又はデジタル画像信号をデータケーブル14を介して制御装置8へ更に送信する。
【0063】
搬送装置3は、載置された組織学研究室用消耗品16、すなわちスライド19を搬送するコンベアベルト15を有する。光学読取装置13は、そのそばに到来(通過)する各組織学研究室用消耗品16の画像パターン18を読み取り、読み取った画像パターン18に関する画像信号を制御装置8(図4には不図示)へ更に送信する。
【0064】
【符号の説明】
【0065】
1 材料供給部
2 スタックマガジン
3 搬送装置
4 印刷装置
5 温風乾燥装置
6 フラッシュ装置
7 取出装置
8 制御装置
9 インタフェース
10 ディスプレイ
11 入力装置
12 記憶装置
13 光学読取装置
14 データケーブル
15 コンベアベルト
16 組織学研究室用消耗品
17 カセット
18 画像パターン
19 スライド(試料支持体)
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】