(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】レーザー支援歯槽堤保存歯科治療
(51)【国際特許分類】
A61C 3/02 20060101AFI20220915BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61C3/02 R
A61B18/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503437
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020042265
(87)【国際公開番号】W WO2021011735
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522021712
【氏名又は名称】ミレニアム ヘルスケア テクノロジーズ,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM HEALTHCARE TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】10929 South Street,Ste 106-b,Cerritos,California,90703,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ,ロバート,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ,ドーン,エム.
【テーマコード(参考)】
4C026
4C052
【Fターム(参考)】
4C026AA03
4C026BB07
4C052AA06
4C052AA16
4C052BB11
4C052GG24
(57)【要約】
フリーランニング(FR)パルスネオジム・イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG)レーザー装置を用いて、レーザー支援歯槽堤保存法が実行される。当該方法は、抜歯した歯のソケットの全側面上で、レーザー装置を用いてカプセル化した肉芽組織を光熱的に変性および蒸発させること、および血栓を形成するべくソケットにレーザー装置を照射することの一つ以上を含む。血栓中には、骨移植材が配置されて良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーランニング(FR)パルス化ネオジウムイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザー装置を用いたレーザー支援歯冠保存法であって、
抜歯した歯のソケットの全側面で、前記レーザー装置を用いてカプセル化した肉芽腫性組織を光熱的に変性させかつ蒸発させることと、
血栓を形成するべく、前記ソケットを前記レーザー装置で照射することと、
骨移植材を前記血栓の内部に配置すること
を備える方法。
【請求項2】
前記歯は、ペリオトームまたはペリオステオトームを用いて、歯根表面に沿って、かつ、歯根膜を通じて、無腔的に抜歯される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの出力パワーが3.00~4.00ワット以内で実行される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの650μsのパルス持続時間で実行される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記照射するステップは、10~30Hz、典型的には20HzのFR Nd:YAGレーザー装置からの繰り返し数で実行される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの総出力エネルギーが、小臼歯の場合は100~200ジュール、臼歯の場合は300~600ジュール以内で実行される、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記骨移植材が、ホスト組織による吸収が遅い海綿状骨代替物である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記骨移植材は、前記移植片が前記血栓の中に沈んで完全に包含されるように、前記歯槽突起の深さから前記頂部骨までの前記歯槽の中間の前記血栓中に配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
骨移植材の配置後の創傷治癒を促進するために光生体調節が使用される、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記骨移植材を配置した後、前記骨移植材がパッカーまたはボールバーニッシャーで凝縮される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記骨移植材は、前記ソケットを満たす大きさに切断され、前記ソケット内に配置され、パッカーまたはボールバーニッシャーを用いて凝縮させる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記照射の前に、前記ソケットが血液で満たされる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
レーザー支援歯槽堤保存法を実行するための装置であって、
レーザー装置と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、メモリに記憶された以下の処理ステップ、すなわち、1)抜歯した歯のソケットの全側面で、カプセル化肉芽組織を前記レーザー装置によって光熱的に変性および蒸発させるステップ、2)血栓を形成するべく、前記ソケットを前記レーザー装置で照射するステップ、および3)前記血栓内に骨移植材を配置するステップ、を実行する、ことを特徴とする装置。
【請求項14】
前記歯は、ペリオトームまたはペリオステオトームを用いて、歯根表面に沿って、かつ、歯根膜を通じて、無腔的に抜歯される、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
キュレットまたはFR Nd:YAGレーザーが、大きさが1cm
2を超える前記ソケットからカプセル化された肉芽腫を除去するために使用される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの出力パワーが3.00~4.00ワット以内で実行される、ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの650μsのパルス持続時間で実行される、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記照射するステップは、10~30Hz、典型的には20HzのFR Nd:YAGレーザー装置からの繰り返し数で実行される、ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの総出力エネルギーが、小臼歯の場合は100~200ジュール、臼歯の場合は300~600ジュール以内で実行される、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記骨移植材が、ホスト組織による吸収が遅い海綿状骨代替物であり、前記骨移植材は、前記移植片が前記血栓の中に沈んで完全に包含されるように、前記歯槽突起の深さから前記頂部骨までの前記歯槽の中間の前記血栓中に配置される、ことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザーアシスト歯周処置に関し、より詳細には、抜歯後のレーザーアシスト処置に関連する。
【背景技術】
【0002】
歯科の分野では、レーザーで切除などの歯科処置を行うことが一般的である。このような機能を実行するために、例えば機械的な道具の代わりにレーザーを使用することによって、合併症の発生を抑え、治療成績を向上させることが通常は可能である。
【0003】
歯を抜いたとき、その下にある顎の骨(歯槽骨または歯槽突起)をできるだけ保存することが、元の構造を維持し、例えばインプラントやブリッジなどの支持を高めるために一般に最も良いとされている。抜歯後の急激な骨量減少を最小限に抑えるために、ソケットに骨移植を行う方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、治療結果を向上させ、治癒時間を改善する、抜歯後の歯槽突起を保存するための低侵襲な外科的方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、ここに説明する一つの例示的実施形態に従い、レーザー支援歯冠保存法は、フリーランニング(FR)パルス化ネオジウムイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザー装置を用いて実行される。当該方法は、抜歯した歯のソケットの全側面で、レーザー装置を用いてカプセル化した肉芽腫性組織を光熱的に変性させかつ蒸発させることと、血栓を形成するべく、ソケットをレーザー装置で照射することと、を含む。骨移植材は血栓の内部に配置されて良い。
【0006】
この構成により、通常、抜歯後の歯槽突起の劣化を低減または最小化することが可能であり、同時に合併症の発生を低減し、治癒過程を加速させることができる。
【0007】
ここで説明する他の例示的実施形態によれば、レーザー支援歯槽堤保存法を実行するための装置は、レーザー装置と、コントローラとを含む。コントローラは、メモリに記憶された以下の処理ステップ、すなわち、抜歯した歯のソケットの全側面で、カプセル化肉芽組織をレーザー装置によって光熱的に変性および蒸発させるステップ、および血栓を形成するべく、ソケットをレーザー装置で照射するステップを含む。他の実施形態において、骨移植材の配置後の創傷治癒を促進するために光生体調節が使用される。
【0008】
一つの態様によれば、歯は、ペリオトームまたはペリオステオトームを用いて、歯根表面に沿って、かつ、歯根膜を通じて、無腔的に抜歯される。
【0009】
他の態様によれば、照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの出力パワーが3.00~4.00ワット以内で実行される。
【0010】
さらに他の態様によれば、照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの650μsのパルス持続時間で実行される。
【0011】
さらに他の態様によれば、照射するステップは、10~30Hz、典型的には20HzのFR Nd:YAGレーザー装置からの繰り返し数で実行される。
【0012】
さらに他の態様によれば、照射するステップは、FR Nd:YAGレーザー装置からの総出力エネルギーが、小臼歯の場合は100~200ジュール、臼歯の場合は300~600ジュール以内で実行される。
【0013】
さらに他の態様によれば、肉芽組織が除去される。特に、一つの例において、キュレットまたはFR Nd:YAGレーザーが、大きさが1cm2を超えるソケットからカプセル化された肉芽腫を除去するために使用される。
【0014】
一つの態様によれば、骨移植材は、ホスト組織による吸収が遅い海綿状骨代替物である。
【0015】
他の態様によれば、骨移植材は、歯槽突起の深さから頂部骨までの歯槽の中間の血栓中に配置される。または、さらに圧縮されうる。移植片は血栓の中に沈んで完全に包含される。
【0016】
さらに他の態様によれば、他の実施形態において、骨移植材の配置後の創傷治癒を促進するために光生体調節が使用される。
【0017】
さらに他の態様によれば、骨移植材を配置した後、骨移植材がパッカーまたはボールバーニッシャーで凝縮される。
【0018】
さらに他の態様によれば、照射の前に、ソケットが血液で満たされる。
【0019】
この発明の概要は、本開示の性質を迅速に理解できるように提供されている。より完全な理解は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態の態様が実施され得る環境の代表的な図である。
【
図2A】
図2Aは、例示的な実施形態によるメインレーザーコンピュータおよびレーザーヘッドアセンブリの詳細なブロック図である。
【
図2B】
図2Bは、例示的な実施形態によるメインレーザーコンピュータおよびレーザーヘッドアセンブリの詳細なブロック図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるタブレットコンピュータ形式のディスプレイ制御サブシステムの詳細なブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、例示的な実施形態によるレーザー支援歯槽堤保存処置(LARiP(商標)プロトコル)を説明するためのフロー図である。
【
図4B】
図4Bは、例示的な実施形態によるレーザー支援歯槽堤保存処置(LARiP(商標)プロトコル)を説明するためのフロー図である。
【
図5】
図5は、実施形態例による骨移植片の作製を説明するための図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による電子グラフィカルユーザインタフェース(eGUI)を説明するための図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態による電子グラフィカルユーザインタフェース(eGUI)を説明するための図である。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態による処置ベースのレーザパラメータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
環境
図1は、例示的な実施形態の態様を実施可能な環境の代表図である。その点で、この処置は、特定の装置(eGUIを含むPerioLase(登録商標)MVP-7(商標))に関して説明されているが、この装置に限定されず、歯周レーザー線量測定が可能な他の装置、eGUIを持たないオリジナルのMVP-7(商標)型レーザーなどの装置によっても実行できることを理解されたい。
【0022】
特に、
図1は、歯科医師101(または別の臨床医)が、本明細書の例示的な実施形態ではタブレットコンピュータ400である表示制御サブシステム400の表示されたeGUI上でタッチコマンドを入力する環境の例を描いている。コマンドは、レーザー供給システム103を制御するために、メインレーザーコンピュータ300及び/又はレーザー供給システム103に送信される。
図1の文脈では、タブレット400は、歯科医101によって保持されるレーザー供給システム103からのレーザーエネルギー出力を制御して、患者102にレーザー療法を行うために使用される。その点で、レーザー供給システム103は、簡潔さのために以下「レーザー103」とも呼ばれ、または、レーザーに関連する他のハードウェアとの差別化のために以下「ハンドピース103」とも呼ばれる。フィードバックデータ及び他の応答は、メインレーザーコンピュータ300及び/又はレーザー103からタブレット400に戻って送信され、eGUIに表示されてもよい。
【0023】
その点、
図1にはタブレットが示されているが、他の実施形態では、表示制御サブシステムは、eGUIを表示し、メインレーザーコンピュータ300と通信するために多数の他のタイプのデバイスによって実装されてもよいことが理解されるべきである。より一般的には、タブレットが単なる一例である本開示による表示制御サブシステムは、少なくともディスプレイと、ユーザ入力を受け取るための入力と、メインレーザーコンピュータ300のものとは独立したプロセッサまたは処理と、レーザーコンピュータ300に対する通信インタフェースと、メモリ機能とを含む。ディスプレイと入力は、好ましくは、タッチセンシティブディスプレイと組み合わされる。
【0024】
したがって、表示制御サブシステムを実装し、本開示の態様を実施するためのコンピューティング装置またはデバイスは、ラップトップ、携帯電話、ウルトラモバイルコンピュータ、携帯メディアプレーヤー、ゲーム機、パーソナルデバイスアシスタント(PDA)、ネットブック、またはセットトップボックスなどの多くの実施形態で実装可能であることが理解されるべきである。さらに別の例では、メインレーザーコンピュータ300と通信するための装置は、メインレーザーコンピュータ300と共通の筐体に物理的に取り付けられ、または通信可能に結合されてよい。
【0025】
以下の説明で簡潔化のために、表示制御サブシステムを単に「タブレット」と呼ぶ。
【0026】
メインレーザーコンピュータ300は、有線または無線のインターフェースを介してレーザー103を制御するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。例えば、メインレーザーコンピュータ300は、ハードディスクとレーザー103の制御専用の1つ以上のプロセッサを含む自立型コンピューティングデバイスであってもよい。
【0027】
レーザー103は、レーザー歯科治療(例えば、歯周組織内の細菌の切除)を含むレーザー治療を行うための携帯型レーザーである。例えば、レーザー103は、ミレニアムデンタルテクノロジー社製の「PerioLase(登録商標)MVP-7(商標)」に相当する場合がある。その点、PerioLase(登録商標)MVP-7(商標)は、軟組織処置を行うのに必要な機能を有する6ワットFR(フリーランニング)Nd:YAG(ネオジム:イットリウムアルミニウムガーネット)レーザーであり、最適な切除および止血を可能にするために、例えば、100~650マイクロ秒(μ秒)のオペレータ選択可能なパルス持続時間を含む。
【0028】
アーキテクチャー
アーキテクチャーおよびその他の機能に関する広範な説明は、ここに参照文献として組み込む、「Laser-Assisted Periodontics」と題する米国特許出願第14/940,126号および「Laser-Assisted Periodontics」と題する米国出願第15/011,441号に記載されている。
【0029】
簡単な要約として、
図2A及び
図2Bは、例示的な実施形態によるメインレーザーコンピュータ300及びレーザーヘッドアセンブリ350の詳細なブロック図である。メインレーザーコンピュータ300は、GIB301で示されるようなUSB2.0のようなインターフェースを介して、
図3においてより詳細に描かれたタブレット400にインターフェースする。タブレット400は、
図3に関連して、以下でより詳細に説明する。
【0030】
図2Aに示すように、メインレーザコンピュータ300は、データバス315、ギャラクシー・インターフェース・ボックス(商標)(GIB)301または同等のもの、プロセッサ302、RAM303、EAROM(電気式書き換え可能読み取り専用メモリ)またはストレージとして機能する他のメモリ304、インターロック/キースイッチ305、停止スイッチ306、電源307、分配バス308、高エネルギーストレージ309、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)スイッチ310、デジタル/アナログ(D/A)スイッチボード311、アナログ/デジタル(A/D)インターフェースボード312、モレクトロン(校正ターゲット)313およびフットスイッチ314に対する電気インターフェースを含む。一方、
図2Bに描かれたレーザーヘッドアセンブリは、レーザーヘッド330とフィードバックセンサー316を含む。
図2Aはまた、メインレーザーコンピュータ300が、それによって現在インストールされている光ファイバー直径の知識を持つことになる、ファイバースマートコネクタ317(タブレットへの電気機械的またはRFID近距離無線通信を含むがこれに限定されない)、レーザー供給システム103、冷却流センサー318、温度センサー319、熱交換器320、およびポンプ321を描いている。
【0031】
一般論として、メインレーザコンピュータ300は、エネルギーを有するエネルギーパルスをレーザー供給システム103に向ける。こうして、電気エネルギー(電子)は、レーザーエネルギー(光子)に変換される。レーザーパルス(したがって供給されるエネルギー)は、以下でより詳細に説明するように、メインレーザコンピュータ300のソフトウェア制御下でそれぞれ独立して選択可能なパルス持続時間(μs単位)、瞬時エネルギー量(mJ単位)、またはパルス繰り返し数(Hz単位)に基づいて変化してもよい。異なる持続時間、エネルギーなどが、異なる状況下または異なる治療中に有益である可能性があるので、パルスを変化させる制御は、治療の観点から重要である。メインレーザーコンピュータ300の制御のもと、IGBT310は、パルスを蓄積するために、キャパシタンスとインダクタンスとを切り換える。レーザーヘッドである限り、Nd:YAGレーザーの使用は許容される。このように、Nd:YAG結晶(図示せず)は、レンズを通して向けられた一連のパルスを、レーザー供給システム103内の屈曲可能な光ファイバに送出する。異なる直径を有するファイバーは、例えば、特定の処置に特化するために使用することができるが、ファイバーを切り替えた後に許容範囲内にあることを保証するためにパラメータを再計算する必要がある。メインレーザーコンピュータ300にパルスを作成させるために、以下でより詳細に説明するように、それがタブレット400上でユーザインタフェースによって指示される。
【0032】
スタンバイモード
スタンバイモードでは、コントローラは、主電源リレー、コンデンサーボードリレー、シマー回路、照準ビームをOFFに設定する。ユーザーはコントロールパネルでパラメーターを選択できるが、フットスイッチがレーザーを作動させることはない。
【0033】
準備完了モード
準備完了ボタンが押され、故障がなければ、プロセッサ302は、ポンプと主電源リレーに電力を供給するオンボードリレーを閉じる。コンデンサーのリレーはまだ開いているので、コンデンサーは充電されない。照準ビームは、2秒後にオンにされる。
【0034】
発射モード
準備完了モードでフットスイッチが押されると、発射モードになる。プロセッサ302は、第2のオンボードリレーを閉じ、シマー回路およびコンデンサリレー制御に12Vを供給する。250ms以内に、コンデンサは充電され、
図2Bに描かれたレーザーヘッド330のサブコンポーネントであるフラッシュランプは点灯する。その後、プロセッサ302は、コントロールパネルで設定されたパラメータでレーザーパルスを発射する。プロセッサ302は、各エネルギーレベルに必要なフラッシュランプ電流を不揮発性メモリに保存し、そのエネルギーが次に選択されたときにこの電流を再び使用する。発射の間、電流は測定されたレーザーエネルギーを選択されたエネルギーに一致させるために継続的に調整される。較正手順で設定された較正係数が、この変換を行う。フットスイッチを離すと、レーザーは発射を停止する。しかし、フラッシュランプは短時間点灯しており、頻繁にフラッシュランプを点灯させることなくフットスイッチを素早く操作することができる。一定時間操作がないと、スタンバイ状態に戻る。
【0035】
一例では、12Vの電源が入ると、プロセッサ302が起動し、システムテストを行い、ディスプレイタブレットのイルミネーション(ランプ)テストを2秒間行い、ソフトウェアバージョン番号を表示し、スタンバイモードに入る。
【0036】
このように、メインレーザーコンピュータ300は、光ファイバー供給システムからパルス状のNd:YAGレーザー出力を生成する。レーザーパラメータは、タブレット400のタッチスクリーン408(
図3参照)上でユーザによって設定され、出力はフットスイッチ314によって作動される。
【0037】
プロセッサ302は、シングルコアまたはマルチコアの中央処理装置またはマイクロプロセッシングユニット(MPU)などのコンピュータプロセッサであり、後述する機能を実現するように構成されている。プロセッサ302は、そのような機能を実現するために協働するように構成された複数のコンピュータプロセッサから構成されてもよい。プロセッサ302は、コンピュータ実行可能プログラム(コンピュータ実行可能命令又はコンピュータ実行可能コードと呼ばれることもある)を実行し、上述した機能の一部又は全部を実行する。プロセッサ302は、制御及び表示、冷却システム、レーザ電子機器、レーザーエネルギーフィードバック、インターロック及びセンサ、並びにデータの取得又は保存を含むメインレーザーコンピュータ300の一般的な動作を管理する。その点で、プロセッサ302は、必要な機能を実行するために、メモリ、例えば、RAM303に格納されたデータを実行する。場合によっては、プロセッサ302は、シングルコアまたはマルチコアの中央処理装置(CPU)またはマイクロプロセッシングユニット(MPU)で構成されてもよい。一例では、プロセッサ302は、BL4S210シングルボードコンピュータで構成される。
【0038】
RAM303は、データ項目がアクセスされる順序に関係なく、ほぼ同じ時間でデータ項目の読み書きが可能なランダムアクセスメモリである。オペレーティングシステムおよびアプリケーションのための一時記憶および作業スペースとして機能することに加えて、RAMは、多数の他の方法で使用されるが、簡潔さのために、ここではさらに詳しく説明しない。
【0039】
一例では、タブレットからの通信はUSBインターフェースを介して行われ、一方、メインレーザーコンピュータ300はRS485インターフェースを使用する。そのため、GIB301は、USBとRS485との変換を行うためのギャラクシー・インターフェース・ボックス(商標)である。特に、GIB301は、タブレット400がクライアントとなり充電できるように、USBハブを含んでもよい。すなわち、ハブにより充電もしながら高速データが可能になる「キオスクモード」である。一例では、GIB301は、9600ボー・シリアル・インターフェースを含み、双方向性であり、分配バス308を介して調整された電源から自身を充電する。
【0040】
一つの簡潔な例では、フットスイッチ314の押圧により、電力は、A/Dインターフェースボード312からD/Aスイッチボード311へ、IGBTスイッチ310へ、高エネルギーストレージ309へ、レーザヘッド330へと導かれる。したがって、D/Aスイッチボード311は、IGBTスイッチ310に電力を供給する。
【0041】
データバス315は、メインレーザーコンピュータ300内部の構成要素間でデータの転送を行う通信システムである。その点、データバス315の内部構造は様々であってよい。
【0042】
一実施例では、D/Aスイッチボード311は、フラッシュランプのスタートおよびシマー機能を提供し、低電圧コントローラ信号を絶縁IGBT信号に変換する。フラッシュランプをスタートさせるために、12VがDC-DCコンバータの入力に印加され、フラッシュランプに電圧(例えば、1100V)を印加する。同時に、トリガートランスの一次側に300Vのパルスを印加し、15kVのパルスを発生させてフラッシュランプを点灯させる。フラッシュランプが点灯すると、パルスコンデンサからシマー電流が引き出され、外部シマー抵抗のバンクによってバラスト化される。フラッシュランプパルス電流は、プロセッサ302からのシリアル信号によって設定され、この信号はシリアルデジタル-アナログコンバータ(DAC)の出力を制御する。実際のフラッシュランプ電流は、シャント抵抗によって監視され、DAC出力と比較される。スイッチング回路は、IGBT310を変調して電流を設定する。パルス幅はプロセッサ302からのゲート信号によって設定されるが、この信号はインターフェース基板を通過しない。
【0043】
一つの例示的実施形態では、レーザーヘッドアセンブリ350は、フラッシュランプ、Nd:YAGロッド、及びトリガー変圧器を備えたポンプチャンバ、レーザ共振器光学系、エネルギーモニタ、ファイバレンズセル、及びダイオードレーザ照準ビームを含む。これらはすべて、アルミニウムとグラファイト/エポキシの共振器構造で支持されている。フラッシュランプの出力は、YAGロッド内のNdイオンに吸収され、レーザー発振をサポートする利得を提供する。レーザーパルスの形状は、利得媒体の蛍光寿命によって生じる多少の平滑化を除き、フラッシュランプの電気パルスとほぼ一致している。エネルギーモニターには、出力ビームの4%を分割するビームサンプラーが搭載されている。このサンプリングされたビームは、一対のオパールディフューザによって空間的に統合され、逆バイアスされたゲルマニウムPINフォトダイオードによって電流に変換される。エネルギーモニターボード上の回路は、この電流をデジタルパルスのストリームに変換し、コントローラでカウントする。バックグラウンドのカウントを差し引くと、パルスの総数はレーザーエネルギーに比例する。
【0044】
高エネルギー貯蔵309は、高エネルギー電源、すなわち、比較的大きなエネルギーを貯蔵するように構成されたストレージ装置であり、IGBTスイッチ310によって切り替えられる。供給されるエネルギー量は、独立に選択可能なパラメータ、例えば、持続時間(μs単位)、瞬間エネルギー量(mJ単位)、またはパルス繰り返し数(Hz単位)を介して、切り替え可能なモードおよび/または入力に依存してもよい。上記モード/パラメータ間の切り替え(例えば、異なるエネルギー量に対応する異なるモード間、又は持続時間及び瞬間エネルギー等の異なるレーザーパラメータ間)は、デジタルであってもよい。一例では、レーザーフラッシュランプのエネルギーは、パルスコンデンサに蓄積される。コンデンサは、主電源リレーから給電される昇圧トロイダルトランス、およびコンデンサボード上のブリッジ整流器を介して600Vに充電される。また、コンデンサ基板には高電圧ソリッドステートリレーが搭載されており、充電のタイミングを制御し、電圧を調整する。
【0045】
モレクトロン313は、校正ターゲットとして機能するハードウェアパワーメーターである。特に、ユーザは、モレクトロン313の窓にレーザを向け、レーザが要求通りに機能しているかどうかを確認することができる。例えば、モレクトロン313は、出力パワーを測定し、パラメータのセットから要求または期待される平均パワーが、実際にレーザーによって出力されているものであるかどうかを検証する。そのために、モレクトロン313は、A/Dインターフェースボード312に接続され、測定されたパワー/情報をメインレーザーコンピュータ300、特にプロセッサ302に送り返す。モレクトロン313のファームウェアは、このような較正モードをサポートし、タブレット上のeGUIを介してユーザにフィードバックを提供することができる。モレクトロン313におけるキャリブレーションは、レーザーヘッドアセンブリ350におけるフィードバックセンサー316と連動しており、レーザーヘッドを通るエネルギーの流れを検出する。一例では、パラメータの順序付ペア/セットは、入力値、例えば、平均パワーに対するキャリブレーション係数/ベストフィットとして格納されて良い。
【0046】
A/Dインターフェースボード312は、様々なアナログ値を収集し、(必要に応じて)変換し、それに対応する情報をプロセッサ302に送信する。例えば、
図2Aに示すように、A/Dインターフェースボードは、モレクトロン313、冷却流センサ318、温度センサ319、ファイバースマートコネクタ317、インターロック/キースイッチ305、及びフットスイッチ314からデータを収集する。したがって、A/Dインターフェースボード312は、例えば、電力、冷却および他のハウスキーピングデータを測定し、プロセッサ302は、レーザーが仕様内で機能していることを確認するために、A/Dインターフェースボード312に問い合わせることができる(またはA/Dインターフェースボード312が情報をそこにプッシュしても良い)。
【0047】
このように、A/Dインターフェースボード312は、メインレーザーコンピュータ300及びレーザーヘッドアセンブリ350の様々な部分からアナログ又はデジタル信号を監視して受け取り、情報をデジタルデータに変換し、処理のために(例えば、プロセッサ302に)デジタルデータを転送する。一つの実施形態では、システムとA/Dインターフェースボード312との間の唯一のデジタル通信は、D/Aスイッチボード311を経由する。別の言い方をすれば、A/Dインターフェースボード312は、アナログ入力を取り込み、デジタル情報に変換する責任を負うが、D/Aスイッチボード311は、その情報をA/Dインターフェースボード312からメインレーザーコンピュータ300内の他のコンポーネントに転送するメッセンジャーとして機能する。従って、このような例示的な実施形態では、A/Dインターフェースボード312は、プロセッサ302のような他の構成要素と直接通信しない。
【0048】
フットスイッチ314は、押されると、レーザーを発射することを示す信号などの信号を送るペダル等の足で操作する物理的なハードウェアである。もちろん、レーザーを作動させるための物理的要素はフットスイッチに限定されず、他のハードウェア要素や制御も可能である。フットスイッチ314は、メインレーザーコンピューター300に信号を送信するために、A/Dインターフェースボード312に接続されている。
【0049】
インターロックキースイッチ305は、外部主電源との物理的接続(例えば、プラグ経由)であり、停止スイッチ306と接続されている。これらの要素は共に、ラインフィルタリングを行うとともに、電力を供給または切断するための2段階のフェイルセーフとして機能し、電源307に接続されている。
【0050】
電源307は安定化電源であり、安定化されていないエネルギーを安定した電源、例えば設定された範囲内の安定した電圧や電流に入力するための埋め込み回路として機能する。一例では、AC主電源は背面パネルに入り、ヒューズがつけられ、フィルタリングされる。フロントパネルのキースイッチは、12V電源へのAC入力を制御し、コントローラとすべての低電圧コンポーネントに電力を供給する。
【0051】
配電バス308は、必要に応じてメインレーザーコンピュータ300の要素に電力を送出する。そのために、分配バスは、必要に応じて、5V出力と12V出力などを含む。例えば、並列回路によって、分配バス308は、高エネルギーストレージ309に電力を伝送することができる。
【0052】
IGBTスイッチ(以下、IGBT)310は、D/Aスイッチボード311からの信号の増幅器として機能するソリッドステートスイッチである。一例では、IGBT310は、本質的に大きなトランジスタであり、増幅器として作用する。D/Aスイッチボード311は、IGBTと共に作用し、高エネルギーストレージ309を制御して、レーザーヘッドアセンブリ350を駆動する。レーザーは、使用前に「シマー」する必要がある場合があり、その場合、レーザーの発射の準備をするために、ある低い量の電力が使用される。一例では、電流パルスの形状は、IGBT310と平滑化インダクタとによって制御される。IGBT310は、パルスの振幅と幅の両方を制御することができる。
【0053】
メインレーザーコンピュータ300用EAROM304は、メインレーザーコンピュータ3000の動作を制御するためのファームウェアプログラム、およびそれに対応するデータを格納する。一例の実施形態では、EAROM304に格納されるソフトウェアアーキテクチャは、動的Cプログラミング(例えば、バージョン9.62)に基づくリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)、監視モジュール、初期化/起動モジュール(例えば、レーザーを暖めるための「シマー」モードの制御用)、レーザの発射制御用の発射モジュール、及び例えばD/Aスイッチボード311(内部通信用)へのおよびGIB301(外部通信用)へのRS485通信を行う通信モジュールを含む。EAROM304はまた、較正係数及び較正値を永続的に記憶し、要求された信号パラメータに従ってIGBT310及びA/Dインターフェースボード312のために適切な信号を返すことができる。EAROM304はまた、レーザーパラメータ値の組み合わせを含む許容値又は「許容治療ウィンドウ」を記憶することができる。例は、米国特許出願公開第2003/0108078号明細書に見ることができる。EAROM304はまた、他のハウスキーピング情報、例えば、レーザーのシリアル番号などを記憶してもよい。
【0054】
レーザーヘッドアセンブリ350において、冷却システムは、冷却流センサ318、温度センサ319、および熱交換器320を含む。冷却は、一次システム及び二次システムの両方を含む。一次システムは、レーザーヘッド330を通る蒸留水の伝導(フロー)を含んでもよく、二次システムは、強制対流(ファン)を使用してもよい。冷却流センサ318は、レーザーヘッドを通る流量が許容できるか否かを示すアナログ信号を発行し、A/Dインターフェースボード312とインターフェースする。熱交換器320は、強制対流の熱交換器であり、例えば、温度センサ319を通して温度を監視し、必要に応じて熱を移動させ、温度をA/Dインターフェースボード312に報告するファン用の小さな制御ループである。
【0055】
一例として、冷却システムは、12VブラシレスDCポンプ、熱交換器、12VブラシレスDC温度感知ファン、フロースイッチ、サーミスタセンサ、および波付きテフロン(登録商標)チューブの接続で構成されている。冷却水には、約400mlの脱イオン水または蒸留水を使用する。ファンは12V電源から直接駆動されるが、冷媒温度を監視するための温度感知回路を備えている。冷媒が40℃に達すると、ファンの回転数が徐々に上がる。コントローラボードには、ポンプ321を駆動するリレーが搭載されている。また、コントローラは、サーミスタを介して冷媒温度を監視する。
【0056】
ファイバースマートコネクタ317は、レーザーヘッド330、レーザー供給システム103およびA/Dインターフェースボード312に接続され、アナログフィードバックなどの情報をA/Dインターフェースボード312に転送する(その後、プロセッサ302用のデジタル情報に変換する)ほか、自ら特定の状態を検出する働きをする。例えば、ファイバースマートコネクタ317は、レーザ供給システム103内のファイバ径を検出し、この情報をメインレーザーコンピュータ300又はタブレット400に中継することができる。一例では、パラメータは、ファイバが切り替わった後に許容範囲内にあることを保証するために再計算されなければならない。エラーコードが、ファイバとパラメータとの間の不一致に従って、又は仕様外の他の条件に従って、スマートコネクタから送信されて良い。
【0057】
一態様では、ファイバースマートコネクタ317からA/Dインターフェースボード312へのアナログフィードバックは、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)伝送などを介して送信することができる。例えば、アナログフィードバックは、ユーザーがファイバーを変更したが、同じパワー密度を維持したい場合にレーザーファイバー直径を確認するために送信されてもよく、また、レーザーパラメータが安全要件を満たしていることを確認するために送信されてもよい。
【0058】
フィードバックセンサ316は、レーザーヘッド330を通るエネルギーの流れを検出し、プロセッサ302に、例えば、平均パワーなどのパラメータを含むレーザーの状態を伝える。フィードバックセンサはまた、レーザーが正しく動作していないように見えるときのためのフェールセーフとして、レーザーを停止するためにエラーメッセージを送信するように構成されても良い。
【0059】
図3は、例示的な実施形態によるタブレット400の詳細なブロック図である。上述したように、タブレット400は、USB409などのインターフェースを介してメインレーザーコンピュータ300へインターフェースし、
図2Aに示すメインレーザーコンピュータ300のGIB301と通信する。
【0060】
図3に示すように、タブレット400は、バス413、pdf要素425、プリンタ426およびデータ設備427に接続するBluetooth(商標)ユニット401、WiFi(商標)ユニット402、近距離通信(NFC)ユニット403、カメラ404、ノンパラメトリック統計処理制御(NSPC)ユニット405、スピーカー406、マイク407、タッチパネル408、USB409、RAM410、不揮発性メモリ411、およびプロセッサ412を含んでいる。
【0061】
一般に、タブレット400は、Linux(登録商標)/Unixベースのオペレーティングシステム(OS)上で動作してもよい。例えば、タブレット400は、OSバージョン4.2.2を実行するAndroid(商標)タブレットまたは同等品であってもよい。もちろん、ハードウェアおよびソフトウェアに関する他の多数のバリエーションが可能である。
【0062】
一実施形態によれば、デフォルトのセーフガードは、(例えば、メインレーザーコンピュータ300からの)OSへの直接呼び出しを与えるように修正または除去され、それによって、タブレット400を効果的な制御システムとして使用することができるようになる。別の例では、そのような呼び出しを可能にするLinuxの変形が使用されてもよい。
【0063】
タブレット400の主な機能性は、様々な側面をカバーしている。一態様では、機能性は計算的であり、例えば、不揮発性メモリ411内のリレーショナルデータベースへの呼び出しを受信し、口の中の場所およびそれに関連する観察を含む特定の患者またはユーザーに対するデータを記録し、また、異なるパラメータを変更するためのタッチスクリーン408上のユーザー要求に従ってレーザーパラメータの新しいセットを計算し、検証のためにそのパラメータをメインレーザーコンピュータ300に転送することなどが挙げられる。別の態様では、タブレット400は、ユーザとメインレーザーコンピュータ300との間の通信媒体として機能し、コマンド、フィードバック、エラーコード、および入力レーザーパラメータを含む、メインレーザーコンピュータ300との間のデータの送信などの機能を実行する。
【0064】
eGUIに関する限り、様々な表示および制御のアレンジメントが可能であることが理解されるべきである。例えば、eGUIの多数の態様は、ここに参照文献として組み込む「Laser-Assisted Periodontics」と題する米国特許出願第15/011,441号に見出すことができる。さらに、異なるeGUI画面および制御の多数の態様は、
図6および
図7に関して以下でより完全に説明される。
【0065】
それにもかかわらず、分かりやすくするために、表示されたeGUI上に、例えばタッチスクリーン408の「スワイプ」を使用して切り替えることができる4つの主要な「制御面」を含む例示的な実施形態について説明する。
【0066】
まず、「ホーム画面」は、患者管理の制御及びレーザーの主な機能の制御を含む主なコマンド及び制御機能を提供する。例えば、ホーム画面は、ユーザが、患者管理面(後述)から選択された患者に関する情報を見ること、臨床レーザーパラメータを選択及び変化させること、治療のために口腔の象限、歯又は歯群を選択すること等を可能にする。さらに、ホーム画面は、レーザー自体の監視及び制御を可能にする。例えば、ホーム画面には、フットスイッチ314の押下に応じたレーザーの動作に応じて、レーザーの状態として「スタンバイ」、「準備完了」又は「発射」を表示してもよい。
【0067】
一例の態様では、フットスイッチ314が作動すると、タブレットeGUI上で選択または表示された患者、歯などを含む情報が、フットスイッチが押されている期間のエネルギー、パルス、パラメータ、線量測定値などの合計、および現在の治療期間の編集可能名称、例えば 「組織を除去-血栓を形成」とともにタブレットの不揮発性メモリ411へ保存される。
【0068】
一つの例示的実施形態では、記録されたデータは、新しいレーザーパラメータを推奨するために使用されてもよい。例えば、治療フィードバックは、データ装置に供給されてもよく、現在の患者及び処置のための新しい推奨レーザーパラメータを計算するために使用されてもよい。
【0069】
別の例では、手動パワー測定モードは、患者に縛られることなくレーザーデータを保存することを可能にしても良い。例えば、閾値エネルギーに達した場合、ユーザーが現時点でモレクトロン313を使用していない場合でも、記録を停止し、パワーの測定を開始することができる。
【0070】
次に、「患者管理画面」は、最大数千人以上の患者のデータベースから情報にアクセスし表示することができ、また、患者の追加、削除、選択など、そのような情報の操作を提供することができる。
【0071】
一例において、患者に関する情報(例えば、名前、ID番号、歯科歴)が、例えば、歯科記録またはそのリンクとともに表示される。したがって、患者管理画面は、場合によっては連邦法によって要求されるように、電子歯科記録を統合することができる。例えば、患者管理画面は、HIPAAに準拠した方法でデジタルレポートを提供することができ、これは、患者データファイルと容易に統合することができる。この点で、追加のセキュリティ対策により、権限のない人が収集した情報をオフロードすることを防止できる。
【0072】
第三に、「処置制御面」は、レーザー処置の選択及び制御を可能にし、例えば、サンプル処置のためのプリセットレーザーパラメーター(例えば、3つのパラメーターからなるセット又は「トリプレット」)を有するテーブルを含んで良い。
【0073】
一態様では、処置制御面は、歯科医や臨床医などのユーザにトレーニング手順を提供するために使用される。例えば、ユーザは、ホーム画面にログインすることができ、その後、eGUIは、名前、ID番号、及び例えば、トレーニング又は認証の表示、及びどのような対応するサービスモードが利用可能であるかといった、現在ログインしている歯科医師又は他のユーザに関する情報を表示する。この点において、ここでは簡潔にするために「歯科医」という用語を用いているが、「臨床医」なども使用できることを理解されたい。さらに、サービスモードは、例えば、内部エネルギーモニターを監視しながら、固定電流とパルス幅でレーザーの操作を可能にし、較正係数を変更し、レーザー出力を外部パワーメーターに一致させ、コンデンサー充電のテストを可能にしても良い一方で、別のサービスモードは、フラッシュランプ開始とタイマー回路のテスト、初期フラッシュランプ電流の設定、冷却水温度の表示を可能にしても良い。さらに別のサービスモードでは、デフォルトのパラメータを復元したり、エネルギーモニターのカウントを表示したりしても良い。
【0074】
処置制御面は、ユーザーのトレーニング及び認証が許す限り、レーザーの制御のための高度な特徴及び能力を提供することができる。したがって、一例では、処置制御面は、ユーザがトレーニングコースを実行した後にのみ、追加の機能またはオプションが利用できるようになるトレーニングを可能にする。例えば、コントロールボックスが1つの機能セットの選択のために表示されて良いが、別の機能セットは、その機能セットが(例えば、不十分な訓練のために)現在利用できないことを示すロックアイコンと共に表示されても良い。処置制御面は、実施されたトレーニングのレベルを示すアイコンを表示することもできる。臨床医のトレーニングおよび一般的なレーザー歯科処置(LAPIP(商標)プロトコルの文脈で)に関する追加の態様は、ここに参照文献として組み込む「Laser-Assisted Periodontics」と題する米国特許出願第14/940,126号に見出される。
【0075】
一実施形態では、データベース(例えば、SQL)又はテーブルは、各ユーザーと許可された処置及び対応するレーザーパラメータとの間の対応関係を格納する。例えば、ある処置に対して、0、1、または2の値をユーザに対して割り当てることができ、0は、ユーザがその処置を見ることができるがそれを使用しないことを示し、1は、ユーザがその処置/パラメータにアクセスできそれらを使用できることを示し、2は、ユーザが所定の手順に対するパラメータを見て、使用し、さらには上書きすることができることを示す。その点、対応するeGUIは、保存されたテーブル値よりもシンプルであってもよい。さらに、ホーム画面はより基本的なコントロールを管理するものなので、処置のパラメータを上書きするような制御は、ホーム画面に転送することを要求しても良い(対応する警告があってもなくても)。
【0076】
実際の例では、処置制御面上での制御は、例えば、先端レーザー歯科研究所(Institute for Advanced Laser Dentistry(IALD))のトレーニングプログラムと統合することができる。IALDは、米国歯科医師会継続教育認定プログラム(ADA CERP(登録商標))認定プロバイダであり、一般歯科学会認定PACEプログラムプロバイダであり、開業医による成功を確実にするためのライブ患者臨床指導、4日間の実地を伴う標準習熟コースを含むCE訓練プログラムを管理する。
【0077】
このように、処置制御面における特徴は、IALD訓練連続の影響力のある部分から合成されうる。したがって、処置制御面は、装置設計に合わせて訓練を変更するのではなく、訓練を反映するように設計することができる。
【0078】
一つの例において、処置制御面は、トレーニングを完了している最中の臨床医が、IALDによって認定された臨床熟練度に相応して、トレーニングのその時点で学んだLARiP(登録商標)、LANAP(登録商標)及びLAPIP(商標)プロトコル用のレーザーの機能のみを利用できるように構成される。さらに、これらの臨床医は、トレーニングのレベルに応じて、付加価値のある処置(VAPs(商標))も追加で学ぶことになる。一例として、各レベルのトレーニング終了時に、各歯科医に固有のパスワードが発行され、適切な機能が明らかにされる。例えば、IALDの認定資格に関連して、臨床医はLaser BootCamp(登録商標)、Evolution 4、Evolution 5を完了した後に新しいパスワードを受け取って良い。このようにレーザー制御へのアクセスをコントロールすることで、IALDはLARiP(登録商標)トレーニングを受ける臨床医に、彼らが学んだことだけにアクセスできるようにすることができる。これにより、LARiP(登録商標)患者の安全性を高めるとともに、臨床医がその時点までに習得した技術のみを使用するよう、技術や治療設定に誘導することができる。
【0079】
上記に加えて、処置画面は、時間と共にレーザー照射量を示す光線量チャートと、その組織/処置に許容される最大照射量を示す線を表示してもよい。例えば、処置画面は、患者の記録からの情報を用いて、処置される疾患とこれまでに投与された投与量を決定し、グラフ上に「最大」ラインを表示し、さらにレーザー照射を適用すると最大値に向かってリアルタイムで増加する照射量のラインを表示してもよい。この画面については、
図7に関して以下に詳しく説明する。
【0080】
「管理者」メンテナンス/設定画面は、タイムゾーンまたは日付の設定、簡略化された表示とより複雑な表示の選択などの表示設定の調整、コントロールアイコンなどの一般的なハウスキーピングとメンテナンスコントロールを可能にして良い。
【0081】
一例として、タブレットeGUIは、レーザーパラメータ(例えば、持続時間(μs)、瞬時エネルギー量(mJ)、または上述のパルス繰り返し数(Hz))のどの組み合わせが許可されるか、および/または安全限度内かを示すことができる。換言すれば、タブレットeGUIは、パラメータを特定の治療「ウインドウ」内に維持し、そのウインドウの外側のパラメータ値の制御を防止するための規則を使用することができる。例えば、ユーザまたは管理者は、ロックされたパラメータ(例えば、瞬時エネルギー)を解除してよく、システムは、新たに選択された瞬時エネルギーに従って他の2つのパラメータを安全な境界線に強制し、そのような情報をユーザに表示しても良い。
【0082】
このような制御は、メインレーザーコンピュータ300から実施され、その後、タブレット400に送信されてeGUIに表示されてもよい。別の例では、ロックされた(またはロック解除された)パラメータの再計算を受信したタブレット400は、その端末で他のパラメータの再計算を実行し、その後、検証または拒否(例えば、エラーメッセージ、グレーアウトしたパラメータ値などによって示される)のために新しいパラメータをメインレーザコンピュータ300に送信してもよい。一般に、メインレーザーコンピュータ300は、非論理的なパラメータの選択をレーザーに送信せず、一方、タブレットは、ディスプレイ上のユーザー端末で非論理的な組み合わせの選択を許可しない。タブレット400は、パラメータのデフォルトの組み合わせを記憶してもよい。
【0083】
タブレット400のハードウェアに目を向けると、一例として、RAM410は、データ項目がアクセスされる順序に関係なく、ほぼ同じ時間でデータ項目の読み取りおよび書き込みを可能にするランダムアクセスメモリである。オペレーティングシステムおよびアプリケーションのための一時記憶および作業スペースとして機能することに加えて、RAMは多数の他の方法で使用されるが、簡潔にするためにここではさらに詳しく説明しない。
【0084】
Bluetooth(登録商標)401、WiFi(登録商標)402およびNFC403は、メインレーザーコンピュータ300または他のデバイスと無線でインターフェースするための無線ネットワークユニットとして様々に機能し、一方、USB409は他のデバイスへの物理的接続として機能する。Bluetooth(登録商標)401は固定および携帯デバイスから(2.4~2.485GHzの産業、科学および医療(ISM)帯域の短波長UHF電波を使用して)短距離でデータを交換するためのハードウェア/ソフトウェアであり、WiFi(登録商標)402はローカルエリア無線通信用のハードウェア/ソフトウェアであり、NFC403は近くのデバイスまたは要素とNFCプロトコルベースの無線通信用のハードウェア/ソフトウェアである。
【0085】
いくつかの例において、これらのユニットは、
図3に示すデータ設備427とインタフェースする。データ設備427は、例えば、ハード有線デジタル電子インタフェース及び無線デジタル電子インタフェースを有する物理的及び電子的に安全なデータサーバである。データ設備427は、HIPAAレポートを含む患者記録などのデータのより安全なストレージとして機能することができる。場合によっては、タブレット400は、まず、Bluetooth(登録商標)を使用してそのようなデータをデータ設備427に送信し、その後、PC(図示せず)などの別のコンピュータにデータをオフロードすることができる。このような転送は、推奨事項などの情報がタブレットに転送され、治療経過および推奨事項が新しい治療後にPCと再び同期されるなど、双方向であることも可能である。場合によっては、より安全(またはHIPAAに準拠した)な状況の下であれば、WiFi(登録商標)を使用してタブレットからデータを送信して良い。
【0086】
カメラ404は、画像を記録するための光学機器であり、ローカルに保存されるか、別の場所に送信されるか、またはその両方が可能である。画像は、個々の静止画であってもよいし、ビデオや映画を構成する画像のシーケンスであってもよい。
【0087】
NSPC405は、タブレット400のプロセスを監視および制御して、タブレット400がその能力を最大限に発揮するか、またはそれに近い状態で動作するようにするためのハードウェア/ソフトウェアである。スピーカ406は、音を発生させる電気機械要素である。マイク(「Mic」)407は、音を電気信号に変換する音響-電気変換器またはセンサーである。
【0088】
タッチスクリーン408は、通常、電子視覚ディスプレイの上に重ねられるハードウェア/ソフトウェア入力装置であり、それによって、ユーザーは、特殊なスタイラス/ペンおよび/または1本以上の指で画面に触れることで、単純またはマルチタッチジェスチャーを通じて入力を与えたり情報処理システムを制御したりすることが可能となる。上述したように、タッチスクリーン408は、様々なデータと共に、いくつかのeGUIおよびコントロールを表示する。
【0089】
USB409は、ユニバーサルシリアルバスプロトコルで通信するためのコネクタで、特に、タブレット400からGIB301を介してメインレーザーコンピュータ300に通信するために使用される。
【0090】
不揮発性メモリ411は、電源を切った後でも保存された情報を取り出すことができるコンピュータメモリである。不揮発性メモリの例としては、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ、強誘電体RAM(F-RAM)、ほとんどのタイプの磁気コンピュータ記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ)、および光ディスクが挙げられる。
【0091】
プロセッサ412は、シングルコアまたはマルチコアの中央処理装置またはマイクロプロセッシングユニット(MPU)などのコンピュータプロセッサであり、以下に説明する機能を実現するように構成されている。プロセッサ412は、かかる機能を実現するために協働するように構成された複数のコンピュータプロセッサで構成される場合もある。プロセッサ412は、コンピュータ実行可能プログラム(コンピュータ実行可能命令又はコンピュータ実行可能コードと呼ばれることもある)を実行し、上述した機能の一部又は全部を実行する。
【0092】
レーザー支援歯槽堤保存処置(LARiP(商標)プロトコル)
図4は、例示的実施形態によるレーザー支援歯槽堤保存処置(LARiP(商標)プロトコル)を説明するためのフロー図である。
【0093】
図4に示すように、簡単に言えば、フリーランニング(FR)パルス化ネオジムイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザー装置を用いて、レーザー支援歯槽堤保存処置が行われる。この処置は、抜歯した歯のソケットの全面にレーザー装置を用いてカプセル化した肉芽組織を光熱的に変性・蒸発させ、ソケットにレーザー装置を照射して血栓を形成することを含む。その血栓の中に骨移植材が置かれる。
【0094】
ステップ451では、歯が無腔的に抜歯される。例えば、歯は、鋭いペリオトーム又はペリオステオトームによって根面に沿ってかつ歯根膜を通してスライスすることにより、周囲の骨から分離される。
【0095】
ステップ452において、組織が除去される。特に、一例において、キュレット又はPerioLase Nd:YAGレーザーを使用して、1cm2より大きいソケットからカプセル化肉芽腫を除去することができる。その点で、組織を除去するために用いられる処置は、前述の米国特許出願第14/940,126号又は前述の米国特許出願第15/011,441号に記載されている処置と同様であってよい。
【0096】
ステップ453では、抜歯部位に血液を充満させた後、ソケット内でPerioLase Nd:YAGレーザー103による照射を行い、安定した血栓を形成する。血液が抜歯部位を満たすのを促しかつ開始するために、機械的な器具、例えばキュレットを使用することができる。
【0097】
一例では、照射のためのパラメータは、例えば、3~4ワット(100~300mJ、10~30Hz)、より具体的には、3.00~3.60ワットを含んでもよい。典型的なパルス持続時間は650μsで、繰り返し数は20Hzである。供給される総エネルギーは、小臼歯の場合は100~200ジュール、大臼歯の場合は300~600ジュールの範囲である。臨床条件によって使用するパラメータを選択し、手術の端点によって、照射する総ジュール量を決定する。臨床医の視覚的な端点としては、血液が赤色から錆色または茶色に変わるか、または血液が泡立つか、または気泡ができることが挙げられる。
【0098】
ステップ454において、骨移植材を準備する。骨移植材料の調製において、ホスト組織による吸収が遅い海綿質骨代替物、例えば、Geistlich(登録商標)Bio-Oss Collagen(登録商標)を使用することができる。ここで吸収が速いと、移植材料が失われ、「ドライソケット」が生じる傾向がある。一例として、Bio-Oss Collagen(登録商標)をソケットを満たす大きさにカットし、パッカーやボールバーニッシャーで凝縮して移植材料としてもよい。
【0099】
ステップ455において、骨移植片が配置される。このプロセスは、
図5に関して以下でより詳細に説明する。
【0100】
別の実施形態では、ステップ456において、創傷治癒を促進するために光生体調節が実行される。典型的な光生体調節パラメータは、パルス持続時間100μs、3.0~6.0ワット(150~300mJ、20Hz)、ピークパワー1500~3000ワットを含み、ジュール数は様々である。
【0101】
図5は、例示的な実施形態による骨移植片の配置を説明するための図である。
【0102】
図5に示すように、移植材料501は、歯槽突起の深さから頂上骨504までの歯槽505の中間の血栓503に入れられるが、さらに圧縮することも可能である。移植材料は、血栓に沈められ(502)、完全に血栓内に収容される。移植材料は、パッカーまたはボールバーニッシャーを用いて凝縮される。骨移植材(「Bio-Oss Collagen(登録商標)」)は血液を吸い上げ、分散し、膨張させる。
【0103】
グラフィカル・ユーザ・インターフェース
図6および
図7は、例示的な実施形態による電子グラフィカル・ユーザ・インタフェース(eGUI)を説明するための図である。
【0104】
図6は、プリセット処置の上書きを説明するための図であり、プリセット処置画面に表示されているプリセット処置の治療パラメータを上書きすることができるようにするための図である。この機能を有効にするために、ユーザは、プリセット処置画面からプリセット処置を選択する必要がある。プリセット処置画面は、ホーム画面から右スワイプでアクセスすることができる。ユーザは、プリセット処置をクリックまたはタップするなどして選択し、希望のプリセット処置を選択した後、自動的にホーム画面に戻ることができる。
【0105】
図6に示すように、プリセット処置の上書きにおけるホーム画面の制御面601には、治療パラメータまたはエネルギー設定:プリセット処置のパルス持続時間(μs)605、瞬時エネルギー(mJ)606、パルス繰り返し数(Hz)607を示すアイコンが描かれており、その後、各パラメータの横にある(-)と(+)の符号(例えば、603と604)で操作可能である。さらに、ホーム画面の右上に位置するファイバー径アイコンバー602は、ミクロン単位の選択可能なファイバー径のドロップダウン・リストが表示されるように選択可能である。
【0106】
図7は、レーザーの発射に伴って変化する光線量グラフを有する制御面701を描いたものである。この点において、
図7は、現在レーザーが発射されている状態を示している。アイコン702は、レーザーが現在発射されていることを示す。そのため、ユーザは、「STANDBY」を「READY」に切り替え、フットスイッチ314を押し、レーザを発射し、そして、黄色のレーザ警告灯を観察して良い。
【0107】
光線量チャート706は、線708を用いて、このアクティブレーザーセッション中に(例えば、フットスイッチを押す間に)これまでに適用されたレーザー線量の測定量を、ジュール/時間(s)で示す。同時に、ライン707は、安全に又は効果的に適用することができる最大許容総ジュールを示す。この最大許容量は、例えば、実施される処置に依存して変化し得る。その点に関して、例えば、LANAP(商標)切除又はLANAP(商標)止血又はLARiP(商標)プロトコルのような多重フェーズ処置の特定フェーズに対する最大値を示すよう追加の行が表示されても良い。
【0108】
光線量グラフ上のジュールの蓄積量703は、ホーム画面右側のタイマー/情報アイコンバー704にも表示される。ユーザは、光線量グラフアイコン705をもう一度選択することにより、光線量追跡を抜け出すことができ、その後、グラフ706はホーム画面から消滅する。
【0109】
図8は、トリートメントプリセット制御面の処置画面801を説明するための図である。特に、ファイバ径と治療パラメータ設定に応じた処置設定例を示している。プリセット処置画面801は、臨床医が選択したファイバ径に応じたデフォルトの治療パラメータ設定を有する患者治療処置のリストを有する。一例の態様では、画像又はアイコン(図示せず)を用いて、対応する処置に関する支援のためのビデオ又は写真チュートリアルが利用可能であることが示されて良い。その点に関して、LARiP(商標)は、
図8の例では示されていないが、同様に予めプログラムされた処置から選択可能である。
【0110】
その他の実施形態
本開示によって意図される他の実施形態によれば、例示的な実施形態は、上述の機能を実現するように構成された、シングルコアまたはマルチコアの中央処理装置(CPU)またはマイクロ処理装置(MPU)などのコンピュータプロセッサを含むことができる。コンピュータプロセッサは、スタンドアロン装置またはマルチコンポーネント装置に組み込まれても良いし、そのような機能を実現するために協働するように構成される複数のコンピュータプロセッサから構成されても良い。コンピュータプロセッサは、コンピュータ実行可能プログラム(コンピュータ実行可能命令又はコンピュータ実行可能コードと呼ばれることもある)を実行して、上述した機能の一部又は全部を実行する。コンピュータ実行可能プログラムは、コンピュータプロセッサ(複数可)に予め記憶されていてもよいし、コンピュータプロセッサ(複数可)は、コンピュータ実行可能プログラム又はプログラムステップが記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体にアクセスするために機能的に接続されていてもよい。これらの目的のために、非一時的コンピュータ可読記憶媒体へのアクセスは、ローカルメモリバス構造を介したアクセスなどのローカルアクセスであってもよいし、有線または無線ネットワークまたはインターネットを介したアクセスなどのリモートアクセスであってもよい。コンピュータプロセッサ(複数可)は、その後、コンピュータ実行可能なプログラム又はプログラムステップを実行して、上述した実施形態の機能を実行するように動作してよい。
【0111】
本開示によって意図されるさらに別の実施形態によれば、例示的な実施形態は、上述の機能が、シングルコアまたはマルチコアの中央処理装置(CPU)またはマイクロ処理装置(MPU)などのコンピュータプロセッサによって実行される方法を含み得る。上記で説明したように、コンピュータプロセッサは、スタンドアロン装置またはマルチコンポーネント装置に組み込まれてもよく、そのような機能を実行するために協働する複数のコンピュータプロセッサで構成されても良い。コンピュータプロセッサは、コンピュータ実行可能プログラム(コンピュータ実行可能命令又はコンピュータ実行可能コードと呼ばれることもある)を実行して、上述した機能の一部又は全部を実行する。コンピュータ実行可能プログラムは、コンピュータプロセッサ(複数可)に予め記憶されていてもよく、又はコンピュータプロセッサ(複数可)は、コンピュータ実行可能プログラム又はプログラムステップが記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体にアクセスするために機能的に接続されていてもよい。非一時的コンピュータ可読記憶媒体へのアクセスは、実施形態の方法の一部を形成してもよい。これらの目的のために、非一時的コンピュータ可読記憶媒体へのアクセスは、ローカルメモリバス構造を介したアクセスなどのローカルアクセスであってもよいし、有線または無線ネットワークまたはインターネットを介したアクセスなどのリモートアクセスであってもよい。コンピュータプロセッサ(複数可)は、その後、コンピュータ実行可能なプログラムまたはプログラムステップを実行して、上述した実施形態の機能を実行するように動作する。
【0112】
コンピュータ実行可能プログラムまたはプログラムステップが格納される非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、データを検索可能に格納するように構成された多種多様な有形記憶装置のいずれでもよく、例えば、フレキシブルディスク(フロッピーディスク)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD)、マイクロドライブ、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ビデオランダムアクセスメモリ(VRAM)、磁気テープ、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、独立ディスクの冗長アレイ(RAID)、不揮発性メモリカード、フラッシュメモリ、分散コンピューティングシステムのストレージ等のいずれかが挙げられる。記憶媒体は、コンピュータプロセッサ(複数可)とともに使用するために、装置またはシステムに取り外し可能に挿入され、および/または装置またはシステムによって遠隔的にアクセスされる機能拡張ユニットであってもよい。
【0113】
本開示は、特定の代表的な実施形態に関する詳細な説明を提供した。添付の特許請求の範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が可能であることが理解されよう。
【国際調査報告】