(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】パレットを持ち上げるリフト装置を有する掘削機
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20220915BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B66F9/06 C
E02F3/36 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503462
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2020070139
(87)【国際公開番号】W WO2021009284
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522022133
【氏名又は名称】ラッセル,ジェイムズ
【氏名又は名称原語表記】RUSSELL, James
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
2D012
3F333
【Fターム(参考)】
2D012DA03
3F333AA16
3F333AB01
3F333AB13
3F333AE02
3F333DA03
3F333DB04
3F333DB06
(57)【要約】
パレットを持ち上げるリフト装置を有する掘削機であって、ブームが取り付けられたシャーシと、バケット等の器具を取り付けることができる前記ブームの遠位端に枢動可能に連結されたディッパーアームとを備え、前記リフト装置は、スライド可能に取り付けられるマストを含み、その上にパレットを支持するため前記キャリッジ上に一対の間隔を置いたタインが設けられるマストを備え、前記マストは、使用中、マストが前記ブームに取り付けられている場合、前記キャリッジは、前記マストの下降位置と上昇位置との間で移動でき、少なくとも1つの地面係合荷重支持部材が前記マストの下端に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットを持ち上げるリフト装置を有する掘削機であって、
ブームが取り付けられたシャーシと、
バケット等の器具を取り付けることができる前記ブームの遠位端に枢動可能に連結されたディッパーアームとを備え、
前記リフト装置は、キャリッジがスライド可能に取り付けられ、その上にパレットを支持するため前記キャリッジ上に一対の間隔を置いたタインが設けられるマストを備え、
前記マストは、使用中、マストが前記ブームに取り付けられている場合、前記キャリッジは、前記マストの下降位置と上昇位置との間で移動でき、少なくとも1つの地面係合荷重支持部材が前記マストの下端に提供される
掘削機。
【請求項2】
前記リフト装置の前記マストの下端と前記掘削機のシャーシとの間にリンケージが延びる、
請求項1に記載の掘削機。
【請求項3】
前記リンケージは、長さが調整可能である、
請求項2に記載の掘削機。
【請求項4】
前記リンケージは、少なくとも1つの複動式ラムを含む、
請求項3に記載の掘削機。
【請求項5】
前記リフト装置の前記マストは、前記ディッパーアームに平行又は実質的に平行に配置される、
請求項1乃至4のいずれか1に記載の掘削機。
【請求項6】
前記リフト装置の前記マストは、前記掘削機の前記ディッパーアームに着脱可能に取り付けられる、
請求項1乃至5のいずれか1に記載の掘削機。
【請求項7】
前記マストは、その上端で前記ディッパーアームと、及び、前記マストの下端で前記ディッパーアームに取り付けられたクイックヒッチカプラーと、着脱可能に連結される、
請求項6に記載の掘削機。
【請求項8】
前記マストは、その上端で、前記ブームと前記ディッパーアームとの間の枢動可能な接続を提供する枢動ピンに着脱可能に連結される、
請求項6又は7に記載の掘削機。
【請求項9】
前記リフト装置の前記少なくとも1つの地面係合荷重支持部材は、少なくとも1つのホイールを含む、
請求項1乃至8のいずれか1に記載の掘削機。
【請求項10】
前記少なくとも1つのホイールは、前記マストを横断して延在する回転軸を有する、
請求項9に記載の掘削機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの地面係合荷重支持部材は、前記マストを横断して延在し、そのいずれかの端部に又は隣接して取り付けられたそれぞれの地面係合ホイールを有するビームを含む、
請求項10に記載の掘削機。
【請求項12】
前記ビームは、関節結合を介してマストに連結され、平坦でない地面に適応させるために、前記ビームが前記マストの垂直軸に対して傾斜することを可能にする、
請求項11に記載の掘削機。
【請求項13】
前記関節結合は、前記マストに垂直に延びる軸を有するピボットを含む、
請求項12に記載の掘削機。
【請求項14】
前記リフト装置は、前記キャリッジをその下降位置と上昇位置との間で移動させる駆動手段を含む、
請求項1乃至13のいずれか1に記載の掘削機。
【請求項15】
前記駆動手段は、前記マストに取り付けられたラムを含む、
請求項14に記載の掘削機。
【請求項16】
前記駆動手段は、1以上の固定及び/又は可動プーリー上に延在する1以上のケーブル又はチェーンを介してキャリッジに連結される、
請求項14又は15に記載の掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットを持ち上げるためのリフト装置を有する掘削機に関する。ここで、前記リフト装置は、掘削機をフォークリフトとして使用するために、標準的な掘削機、特にバックホーに取り付けることができる。
【背景技術】
【0002】
バケット、レーキ、サム、ハンマー等の掘削機用の様々なツールアタッチメントの使用は、従来技術で知られている。特に、掘削機がパレットに載せられた物体を持ち上げることができるように、掘削機のバケットの代わりにフォークアタッチメントを提供、又は、取り付けることが知られている(例えば、GB 1,373,646を参照)。しかしながら、掘削機メーカーは、ディッパーアームの端に取り付けられたアタッチメントを使用した場合の掘削機のリフト能力の詳細を示す表を公開している。リフト作業で掘削機を使用することの不利益は、取り付け経路が、ディッパーヒンジを中心とする弧に厳しく制限され、アタッチメントが持ち上げられると、機械から離れて、半径が大きくなり、推奨される制限を超えるであろう安全荷重が減少し、掘削機の不安定性と転倒のリスクが大きくなる。
【0003】
したがって、本発明の目的は、掘削機/リフト間の活動の間の交換をより効率的にするため、掘削機のアームアタッチメントの技術を向上させ、掘削機のリフト能力の安全範囲を拡大し、また、フォークリフト活動に適した既存の掘削機を適合する新たな手段を紹介することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、パレットを持ち上げるリフト装置を有する掘削機が提供される。リフト装置は、ブームが取り付けられたシャーシと、バケット等の器具を取り付けることができる前記ブームの遠位端に枢動可能に連結されたディッパーアームとを含む。リフト装置は、キャリッジがスライド可能に取り付けられるマストを備え、前記マストが前記掘削機の前記ディッパーアームに取り付けられ、前記キャリッジ上にパレットを支持するたに間隔がとられた一対のタインが提供される。マストは、前記ブームに取り付けられたときに、使用中に前記キャリッジが前記マストの下降位置と上昇位置との間で移動できるように、垂直又は実質的に垂直の操作方向に配置される前記掘削機のディッパーアームに取り付けられる。少なくとも1つの地面係合荷重支持部材が、マストの下端に提供される。
【0005】
リフト装置のマストを垂直方向に維持することを容易にするために、リンケージが、好ましくは、リフト装置のマストの下端と掘削機のシャーシとの間に延びる。好ましくは、前記リンケージは長さが調整可能である。リンケージは、少なくとも1つの複動式ラムを含むことができる。
【0006】
好ましい実施形態では、リフト装置のマストは、ディッパーアームに平行又は実質的に平行に配置される。
【0007】
好ましくは、リフト装置のマストは、掘削機のディッパーアームに着脱可能に取り付けられて、必要のないときにリフト装置を取り外すことができ、リフト装置を既存の掘削機に後付けできるようにする。マストは、その上端でディッパーアームと、及び、マストの下端でディッパーアームに取り付けられたクイックヒッチカプラーと、若しくは、それに隣接するマストの下端と、着脱可能に連結為し得る。マストは、その上端で、ブームとディッパーアームとの間の枢動可能な接続を提供する枢動ピンに着脱可能に連結し得る。
【0008】
一実施形態では、前記リフト装置の少なくとも1つの地面係合荷重支持部材は、少なくとも1つのホイールを含み得る。好ましくは、前記少なくとも1つのホイールは、マストを横断して延在する回転軸を有する。
【0009】
一実施形態では、前記少なくとも1つの地面係合荷重支持部材は、マストを横断して延在し、そのいずれかの端部に又は隣接して取り付けられたそれぞれの地面係合ホイールを有するビームを含み得る。ビームは、関節結合を介してマストに連結することができ、平坦でない地面に適応させるために、マストの垂直軸に対してビームを傾けることを可能にする。関節結合は、マストに垂直に延びる軸を有するピボットを含み得る。
【0010】
好ましくは、リフト装置は、キャリッジをその下降位置と上昇位置との間で移動させる駆動手段を含む。駆動手段は、前記マストに取り付けられたラムを含み得る。駆動手段は、1以上の固定及び/又は可動プーリー上に延在する1以上のケーブル又はチェーンを介してキャリッジに連結し得る。
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る掘削機及びリフト装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面の
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るフォークリフト式リフト装置2を有する掘削機1が示される。リフト装置2は、パレットに載せられた荷を持ち上げるため、標準的な掘削機1をフォークリフトに変えることができるように適合される。掘削機という用語は、ブーム4が取り付けられるシャーシ3と、前記ブーム4の先端部に枢動可能に連結されたディッパーアーム5とを含む建設機器の製品の車両を含むと理解され、クイックカプラ6がディッパーアーム5の先端部にバケット等の器具の取り付けを提供する。ブーム4及びディッパーアーム5は、技術分野の従来どおりに、シャーシ3とブーム4との間、ブーム4とディッパーアームとの間、クイックカプラ6とディッパーアーム5との間に、取り付けられた一連のダブルアクティングラム8,9,10を介して、クイックカプラ6に取り付けられた器具を動作させるように連結式であり得る。
【0013】
リフト装置2は、着脱可能に連結され、また、掘削機1のディッパーアーム5の正面に支持されるように設計されたマスト12を備え、これにより、マスト12は、
図1に示すように配置されたディッパーアーム5を備える掘削機1上で垂直方向に支持される。長さが調整可能なリンケージ14は、好ましくは、ダブルアクティングラムであって、マスト12の後側から後方に延長され、また、掘削機1のシャーシ3と連結されてマスト12を垂直方向に整列及び維持される。
【0014】
図1及び
図4に示すように、マスト12は、ディッパーアーム5に設けられた横方向に延びるピン18に係合するフック16によって、上端で掘削機1のディッパーアーム5に連結され得る。これらのピンは、ブーム4とディッパーアーム5との間の枢軸の連結を提供するピボットピン18の一部を含み得る。ラッチ部材(図示せず)は、フック16内でのピン16の掛止を提供し得る。マスト12の下端は、マスト12及びディッパーアーム5の協動開口部を通って延長するロッキングピン等の適した連結装置を介して、又は、マスト12及びディッパーアーム5の上端に提供されるのと同様の適したフック及びピンを介して、ディッパーアーム5と連結される。一実施形態では、マスト12の下端は、ディッパーアーム5とクイックカプラ6との間に設けられたピボットピンに連結し得る。あるいは、マストの下端は、クイックカプラ6自体に連結し得る。
【0015】
キャリッジ20は、マスト12上にスライド可能に取り付けられ、パレットを支持するために、キャリッジ20から横方向に延びる一対のタイン又はフォーク21,22が延びる。キャリッジ20を垂直に配置されたマスト12上の上昇位置と下降位置との間で動作させる同様の対のローラー(図示せず)を、マスト12上のチャネル又は同様の協働手段と係合するキャリッジ上に提供する。
【0016】
ラム23は、マスト12に取り付けられてもよく、キャリッジ20に連結されて、キャリッジ20をマスト12上の上昇位置と下降位置との間で動かし得る。ラム23は、キャリッジ20に連結される1以上のケーブル26の一端に反して動作してもよい。前記ケーブルは、ガイドプーリー25を横切る。あるいは、ラム23は、ガイドプーリー25を組み込んだ中間部材24に反して動作してもよく、ケーブル26は、マスト12とキャリッジ20との間に延び、また、プーリー25上に延び、それにより、ラム23の延長の動きにより、中間部材24をマスト10に対して持ち上げ、プーリー25及びケーブル26を介して、キャリッジ20が持ち上げられ、それにより、ラム23の動きが拡大し、それにより、キャリッジ20の動きの範囲が拡大する。
【0017】
タイン21,22は、好ましくは、地面に対して実質的に平行に配置される。起伏の多い地形のフォークは、平坦でない地面のパレットに滑り込むことができる必要があり、したがって、当技術分野で知られるように、タイン21,22は、タインの上方変位又は傾斜を可能にするように取り付けられ得る。
【0018】
リフト装置2を使用する際、掘削機1の荷役能力を大幅に高めるため、少なくとも1つの地面係合荷重支持部材が、使用中に、地面に係合し、また、リフト装置及びそれに加えられる荷重の重量の少なくとも一部を支持するように適合されたリフト装置の前記マストの下端に設けられる。
【0019】
図示される実施形態では、少なくとも1つの地面係合荷重支持部材は、荷が支えられるパレットとタイン21,22との係合を容易にするため、及び、タイン21,22によって運ばれた荷の移動を容易にするため、掘削機1及びリフト装置2を前後に移動するように配置された一対のホイール28,29を備える。
【0020】
図示される実施形態では、ホイール28,29は、水平方向に伸びるピボットピン32を介して、マスト12の下端に枢動可能に連結されたビーム30の端部のいずれかに取り付けられ、ビーム30がマスト12の垂直軸に対して傾斜して、マスト12を垂直方向に維持しながら平坦でない地面に適応するように、マスト12に垂直である。
【0021】
使用中、掘削機を使用してパレットに載せられた荷を扱うことが望まれる場合、リフト装置2は、掘削機1のディッパーアーム5に容易に連結できる。掘削機1のリンケージ/ラム14及びブーム4は、最初に操作されて、ディッパーアーム5及び取り付けられたリフト装置2を持ち上げることができ、その結果、リフト装置2のホイール28,29が地面から持ち上げられ、掘削機1を、扱うパレットに載せられた荷に隣接する位置に容易に操作することができる。
【0022】
位置決めされると、掘削機1のリンケージ/ラム14、ブーム4及びディッパーアーム5を操作して、それにより、リフト装置のホイール28,29が地面に係合し、マスト12が垂直方向に配置され、また、掘削機を前進させてタイン21,22を運んでパレットと係合させることができる。位置決めされると、リフト装置2のラム23を操作して、キャリッジを持ち上げ、そこに提供される荷とともに、パレットを持ち上げることができる。このような動作の間、荷の重量の少なくとも一部がリフト装置2のホイール28,29に移動し、それにより、荷がブーム4によって完全に支持されないように、地面に移動する。これにより、ブーム4及びディッパーアーム5を単独で使用した場合と比較し、リフト装置2のリフト能力を大きく向上させる。
【0023】
後に、キャリッジを下げて、その上に運ばれたパレットを他の所望の位置の地面に置く前に、掘削機1を操作して、荷を所望の場所に運ぶことができる。マスト2上のビーム30の関節は、掘削機1及びリフト装置2が、ビーム30に過度の負荷をかけることなく、平坦でない地面を横断することを可能にする。
【0024】
そのような荷役作業中に、掘削機1の運転が望まれる場合、掘削機1がマスト12によって定義される中心の周りで横方向に移動できるように掘削機のトラック40を回転させることができ、ホイール28,29進行の必要性を避ける。あるいは、ホイール28,29が操縦可能であるように適合され得ることが想定される。
【国際調査報告】