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特表2022-541577小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/04 20060101AFI20220915BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20220915BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N11/04 B
G01N33/49 Z
G01N37/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503805
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020008802
(87)【国際公開番号】W WO2021015447
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0087898
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522024160
【氏名又は名称】バイオレオロジックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ ウィホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ウィユン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA01
2G045CA25
2G045GC04
(57)【要約】
本発明は、小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジに関し、本発明によれば、血液の粘度を測定可能な小型血液粘度測定キットにおいて、キット本体;前記キット本体両側に対称となるように形成され、上側が開放するように形成されて血液が注入可能な両側血液管、及び前記両側血液管の下側と連結されるマイクロチャネルを含み、一つの両側血液管に血液が注入されると、前記マイクロチャネルを介してもう一つの両側血液管に供給されるようにする小型血液粘度測定キットを提供してもよい。
また、多数の小型血液粘度測定キットを収容して保管し、自動で前記小型血液粘度測定キットを供給可能な小型血液粘度測定キットカートリッジを提供してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の粘度を測定可能な小型血液粘度測定キットにおいて、
キット本体;
前記キット本体両側に対称となるように形成され、上側が開放するように形成されて血液が注入可能な両側血液管、及び
前記両側血液管の下側と連結されるマイクロチャネルを含み、
一つの両側血液管に血液が注入されると、前記マイクロチャネルを介してもう一つの両側血液管に供給されるようにする小型血液粘度測定キット。
【請求項2】
前記マイクロチャネルは、
左右方向に長さを有し、屈曲するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の小型血液粘度測定キット。
【請求項3】
前記マイクロチャネルは、
前方に屈曲するように形成された第1屈曲部、及び
後方に屈曲するように形成された第2屈曲部を含み、
前記第1屈曲部と第2屈曲部が左右方向に交互する波形状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の小型血液粘度測定キット。
【請求項4】
前記小型血液粘度測定キットは、
前記第1屈曲部及び第2屈曲部の総個数、前記第1屈曲部及び第2屈曲部の幅、前記マイクロチャネルの間隔のうち一つ以上を調節してマイクロチャネルの流動抵抗を調節することを特徴とする、請求項3に記載の小型血液粘度測定キット。
【請求項5】
前記マイクロチャネルは、
下面が開放するように前記キット本体の底面に形成され、
前記両側血液管は、
下面が開放するように形成され、
前記小型血液粘度測定キットは、
前記キット本体の下部に装着されて前記マイクロチャネル、両側血液管の開放した下側を密閉するマイクロチャネルカバーをさらに含む、請求項1に記載の小型血液粘度測定キット。
【請求項6】
上面から下面まで貫通するように形成された血液注入孔を含み、前記両側血液管の上側に挿入される注入カバーを含む、請求項1に記載の小型血液粘度測定キット。
【請求項7】
前記血液注入孔は、
上端から下側に直径が漸次狭くなるように形成されて逆テーパー状に形成された上部注入孔、及び
下端から上側に直径が漸次狭くなるように形成されてテーパー状に形成された下部注入孔を含む、請求項6に記載の小型血液粘度測定キット。
【請求項8】
多数の小型血液粘度測定キットを収容して保管し、自動で前記小型血液粘度測定キットを供給可能な小型血液粘度測定キットカートリッジ。
【請求項9】
内部に多数の小型血液粘度測定キットを収容可能なカートリッジ本体;
前記カートリッジ本体の一側に設けられて小型血液粘度測定キットを他側に移動させることが可能な移動部、及び
前記カートリッジ本体の他側に設けられて一つの小型血液粘度測定キットを前記カートリッジ本体外部に送り出すことが可能な排出部を含む、請求項8に記載の小型血液粘度測定キットカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジに関し、さらに詳しくは、既存の血液粘度測定に活用されていた血液粘度測定装置の限界を解決するために、構造を小型化及び一体化して製作工程が単純且つ製作コストが安価で、血液粘度測定のための自動化装備に使用しやすい小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
血液の粘度は、血管内の血液の流動による流動抵抗を示す物性値であり、具体的には、全血粘度と血漿粘度に分けられる。血液粘度の非正常的な増加は、血管内壁に作用するせん断応力及び流動抵抗の増加を引き起こし、急性心血管疾患及び微小血管疾患の発病の危険を著しく高めるようになる。また、血漿粘度は、体内の炎症状態を診断するのに活用されるだけでなく、全血粘度を増加させる主要原因の一つである。
【0003】
全血粘度は、心臓の収縮期及び拡張期によって継続的に粘度が変化する流動特性を示すが、その理由は、全血中にある赤血球と血漿タンパク質の相互複合的な影響によって血液が速い速度で流れる時(せん断率が高い時)は粘度が低くなり、反対に血液が遅い速度で流れる時(せん断率が低い時)は粘度が増加するためである。このような流動特性を示す流体を非ニュートン性流体といい、血液の非ニュートン性流動特性をきちんと把握するためには、全体せん断率(例:1~1,000s^-1)に対する全血粘度を正確に測定する必要がある。
【0004】
現在常用化されて臨床で広く活用されている血液粘度測定方法としては、U字型2重垂直管/単一毛細管粘度計を利用して測定する技術が代表的である。
【0005】
当該技術について簡略に要約すると、左右二つの垂直管に血液を互いに異なる高さで満たし、重力によって血液の高さが自然に合わさる速度を実時間で測定して血液粘度を測定する方法である。
【0006】
このようなU字型2重垂直管/単一毛細管粘度計は、使い捨てのU字型チューブを用いて洗浄が不要であるため臨床で活用しやすく、感染のおそれがなく、1~1000s^-1せん断率領域に対する粘度測定が可能であり、全血粘度及び血漿粘度の測定が可能である。
【0007】
U字型2重垂直管/単一毛細管粘度計は、下記のような短所に対する改善が求められている。
1)U字型2重垂直管/単一毛細管チューブの製作に10種以上の多くの部品が求められ、各部品別の全体手動組立工程が必要であり、組立工程が複雑で、製作単価が高い。
2)人体類似の36.5℃の環境を維持するため、チューブの予熱及び温度維持のために密閉型構造からなり、Uチューブ内の血液サンプル移動状況のモニタリングが不可能であり、測定中にエラー認知が不可能である。
3)U字型2重垂直管/単一毛細管チューブの寸法が大きく、測定前の体温と類似の36.5℃まで予熱するのに時間がかかる。
4)全血粘度測定のために3.0mLの多量の全血が必要であり、採血の負担が大きい。
5)U字型2重垂直管/単一毛細管チューブの寸法が大きく、構造が複雑で、自動化検査器への適用が不可能である。
【0008】
したがって、上記のような問題が改善された血液粘度測定キットの開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような問題を解決するために、本発明の目的は、既存の血液粘度測定に活用されていた血液粘度測定装置の限界を解決するために、構造を小型化及び一体化して製作工程が単純且つ製作コストが安価で、血液粘度測定のための自動化装備に使用しやすい小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットは、血液の粘度を測定可能な小型血液粘度測定キットにおいて、キット本体;前記キット本体両側に対称となるように形成され、上側が開放するように形成されて血液が注入可能な両側血液管、及び前記両側血液管の下側と連結されるマイクロチャネルを含み、一つの両側血液管に血液が注入されると、前記マイクロチャネルを介してもう一つの両側血液管に供給されるようにする小型血液粘度測定キットを提供してもよい。
【0011】
ここで、前記マイクロチャネルは、左右方向に長さを有し、屈曲するように形成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記マイクロチャネルは、前方に屈曲するように形成された第1屈曲部、及び後方に屈曲するように形成された第2屈曲部を含み、前記第1屈曲部と第2屈曲部が左右方向に交互する波形状に形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記小型血液粘度測定キットは、前記第1屈曲部及び第2屈曲部の総個数、前記第1屈曲部及び第2屈曲部の幅、前記マイクロチャネルの間隔のうち一つ以上を調節してマイクロチャネルの流動抵抗を調節することを特徴とする。
【0014】
また、前記マイクロチャネルは、下面が開放するように前記キット本体の底面に形成され、前記両側血液管は、下面が開放するように形成され、前記小型血液粘度測定キットは、前記キット本体の下部に装着されて前記マイクロチャネル、両側血液管の開放した下側を密閉するマイクロチャネルカバーをさらに含んでもよい。
【0015】
また、前記マイクロチャネルカバーは、前記マイクロチャネル及び両側血液管の形状に対応するように形成され、前記マイクロチャネル及び両側血液管に挿入される密閉突起、及び前記キット本体に挿入されて結合される結合突起を含んでもよい。
【0016】
また、前記密閉突起の高さは、前記マイクロチャネルの深さよりも短く形成されることを特徴とする。
【0017】
また、前記キット本体は、底面に外周面に沿って形成されて前記結合突起が挿入され得る第1結合溝、及び前記第1結合溝に隣接するように形成され、上面が外側から内側に下向きに傾斜するように形成されて前記結合突起が挿入され得る1以上の第2結合溝を含んでもよい。
【0018】
また、前記結合突起は、上面に外周面に沿って突出するように形成されて前記第1結合溝に挿入され得る第1結合突起、及び前記第1結合突起に隣接するように形成され、上面が外側から内側に下向きに傾斜するように形成されて前記第2結合溝に挿入され得る第2結合突起を含んでもよい。
【0019】
また、上面から下面まで貫通するように形成された血液注入孔を含み、前記両側血液管の上側に挿入される注入カバーを含んでもよい。
【0020】
また、前記血液注入孔は、上端から下側に直径が漸次狭くなるように形成されて逆テーパー状に形成された上部注入孔、及び下端から上側に直径が漸次狭くなるように形成されてテーパー状に形成された下部注入孔を含んでもよい。
【0021】
また、前記上部注入孔よりも前記下部注入孔の直径の寸法がさらに大きく形成されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の実施例に係る多数の小型血液粘度測定キットを収容して保管し、自動で前記小型血液粘度測定キットを供給可能な小型血液粘度測定キットカートリッジを提供してもよい。
【0023】
また、内部に多数の小型血液粘度測定キットを収容可能なカートリッジ本体;前記カートリッジ本体の一側に設けられて小型血液粘度測定キットを他側に移動させることが可能な移動部、及び前記カートリッジ本体の他側に設けられて一つの小型血液粘度測定キットを前記カートリッジ本体外部に送り出すことが可能な排出部を含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
上記のような本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジは、既存の血液粘度測定に活用された血液粘度測定装置の限界を解決するために、構造を小型化及び一体化して製作工程が単純で別途の組立工程が不要であり、ゆえに製作コストの安価な長所がある。
【0025】
また、内部が透明に見える構造からなっており、血液サンプル移動状況を実時間で外部からモニタリングできる。
【0026】
また、キットの寸法が小型化されて短時間で36.6℃まで素早く予熱でき、血液粘度測定のためのサンプル要求量が1.0mL以下に減少して採血の負担が減少することができる。
【0027】
また、血液粘度測定のための自動化装備に使用しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットを示した投影斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットを示した分離斜視図である。
図3】(a)及び(b)は図2のキット本体に形成されたマイクロチャネルを示した底面斜視図及び底面図である。
図4図2のマイクロチャネルカバーを示した斜視図である。
図5図1の小型血液粘度測定キットを示した正断面図である。
図6】(a)及び(b)は図2の注入カバーを示した斜視図及び断面図である。
図7】本発明の第1実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを示した投影斜視図である。
図8】本発明の第2実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを示した側断面図である。
図9】(a)及び(b)は本発明の第3実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジの排出部の作動による態様を示した例示図である。
図10】本発明の第4実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを示した斜視図である。
図11】(a)及び(b)は第4実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジの排出部の作動態様を示した例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットは、血液の粘度を測定可能な小型血液粘度測定キットにおいて、キット本体;前記キット本体両側に対称となるように形成され、上側が開放するように形成されて血液が注入可能な両側血液管、及び前記両側血液管の下側と連結されるマイクロチャネルを含み、一つの両側血液管に血液が注入されると、前記マイクロチャネルを介してもう一つの両側血液管に供給されるようにする小型血液粘度測定キットを提供してもよい。
【0030】
また、本発明の実施例に係る多数の小型血液粘度測定キットを収容して保管し、自動で前記小型血液粘度測定キットを供給可能な小型血液粘度測定キットカートリッジを提供してもよい。
【0031】
以下、図面を参照した本発明の説明は、特定の実施形態に対して限定されず、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができる。また、以下で説明する内容は、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むことを理解しなければならない。
【0032】
以下の説明で第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いられる用語であって、それ自体に意味が限定されず、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0033】
本明細書の全体にかけて使用される同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0034】
本発明で使用される単数の表現は、文脈上ではっきりと指示されない限り、複数の表現を含む。また、以下で記載する「含む」、「具備する」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在を指定するものとして解釈されなければならず、一つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないことを理解しなければならない。
【0035】
以下、本発明の実施例を添付の図1ないし図11を参照して詳しく説明する。
【0036】
図1は本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットを示した投影斜視図、図2は本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットを示した分離斜視図、図3の(a)及び(b)は図2のキット本体に形成されたマイクロチャネルを示した底面斜視図及び底面図であり、図4図2のマイクロチャネルカバーを示した斜視図、図5図1の小型血液粘度測定キットを示した正断面図であり、図6の(a)及び(b)は図2の注入カバーを示した斜視図及び断面図である。
【0037】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キット(1)は、キット本体(10)、両側血液管(11)、マイクロチャネル(12)、マイクロチャネルカバー(13)及び注入カバー(14)を含んでもよい。
【0038】
キット本体(10)は、透明な材質で形成され、血液が流れるように両側血液管(11)及びマイクロチャネル(12)が形成され得る。このように内部が透明に見える構造からなり、血液が両側血液管(11)、マイクロチャネル(12)から移動する状況を実時間で確認できるようにする。
【0039】
ゆえに、血液粘度測定中にエラー認知が可能である。
【0040】
また、キット本体(10)は、約幅60mm×高さ70mm以内に形成され、寸法が小型に形成されることが好ましい。これは血液粘度測定時に必要な血液の量を減少させることができ、血液注入時に人体類似の環境を作るためにキットを36.5℃に予熱する必要があり、素早く予熱できるようにする。
【0041】
また、キット本体(10)は、マイクロチャネルカバー(13)が結合されて固定されることができるように第1結合溝(100)及び第2結合溝(101)を含んでもよい。
【0042】
第1結合溝(100)は、キット本体(10)底面に外周面に沿って形成され、第1結合突起(1310)が挿入され得る。
【0043】
第2結合溝(101)は、第1結合溝(100)に隣接するように形成され、長手方向に沿って前側と後側にジグザグに多数形成され、第2結合突起(1311)が挿入され得る。すなわち、第2結合溝(101)は、第1屈曲部(120)と第1屈曲部(120)との間、第2屈曲部(121)と第2屈曲部(121)との間に位置するように形成され得る。
【0044】
また、第2結合溝(101)は、上面が外側から内側に下向きに傾斜するように形成され得る。
【0045】
両側血液管(11)は、キット本体(10)両側に対称となるように形成され、上側が開放するように形成されて血液が注入され得る。ここで、両側血液管(11)は、正面視において、キット本体(10)の上面と垂直に長さを有するように形成され得るが、これに限定されず、キット本体(10)の上端両側において中央に向かって下向きに傾斜するように形成され得る。
【0046】
また、両側血液管(11)は、下面が開放するように形成され、マイクロチャネルカバー(13)によって開放した下側が密閉され得る。ゆえに、両側血液管(11)に注入された血液が外部に出ずにマイクロチャネル(12)に流れることができる。
【0047】
また、両側血液管(11)は、上端に注入カバー(14)が挿入され得るカバー挿入溝(110)を含んでもよい。
【0048】
カバー挿入溝(110)は、両側血液管(11)の上端に両側血液管(11)の直径よりも大きく形成され、注入カバー(14)の寸法に対応するように形成され、注入カバー(14)が挿入され得る。
【0049】
そして、両側血液管(11)は、マイクロチャネル(12)によって下端部が連結され得る。
【0050】
ゆえに、一つの両側血液管(11)に血液が注入されると、マイクロチャネル(12)を介してもう一つの両側血液管(11)に供給されることができる。
【0051】
マイクロチャネル(12)は、二つの両側血液管(11)の下側とそれぞれ連結され両側血液管(11)を連結させ得る。
【0052】
このようなマイクロチャネル(12)は、二つの両側血液管(11)を連結させて血液が流動することができるように左右方向に長さを有し、屈曲するように形成され得る。
【0053】
これはマイクロチャネル(12)が直線に形成される場合、適当な流動抵抗を生成することができない限界により、各両側血液管(11)における血液の高さが同一になる時に血液にflutuationが発生する可能性があるため、マイクロチャネル(12)を屈曲するように形成して所望の寸法で流動抵抗を自由に形成し、ゆえに、flutuationが発生しないようにするためである。
【0054】
具体的に、マイクロチャネル(12)は図3のように、前方に屈曲するように形成された第1屈曲部(120)、及び後方に屈曲するように形成された第2屈曲部(121)を含み、第1屈曲部(120)と第2屈曲部(121)が左右方向に交互する波形状に形成され得る。
【0055】
この時、第1屈曲部(120)及び第2屈曲部(121)は、対称となる形状に形成されることが好ましく、U字状、半円状、C字状、V字状など多様な形状に屈曲するように形成され得る。
【0056】
このようにマイクロチャネル(12)が形成されることで、流動のflutuationを最小化し、マイクロチャネル(12)の流動抵抗を容易に調節して各両側血液管(11)における血液の高さが同一になる時に所望の流速で血液の高さが合わせられるように調節することができる。
【0057】
一方、粘度を測定する血液の量が少ない時は、流動抵抗を低くして流動速度を増加させ、反対に血液の量が多い時は、流動抵抗を高くして流動速度を減少させて常に一定の流動速度を維持することで一定の血液粘度測定が可能であるため、マイクロチャネル(12)の流動抵抗に対する調節は非常に重要といえる。
【0058】
既存の血液粘度測定においては流動速度を調節するためにチャネルの寸法を小さくしたり、チャネル内部のラフネスをさらに荒くすることで流動抵抗を調節する方法を利用したが、このような方法では所望の寸法で流動抵抗を調節するのに限界があった。
【0059】
しかし、本発明では上記のような構造によってマイクロチャネル(12)が形成されることで、第1屈曲部及び第2屈曲部の総個数、第1屈曲部及び第2屈曲部の幅(W)、マイクロチャネルの間隔(L)のうち一つ以上を調節することでマイクロチャネル(12)の流動抵抗を所望に合わせて容易に調節することができる。
【0060】
例えば、第1屈曲部及び第2屈曲部の総個数を増やして流動抵抗を増加させたり、第1屈曲部及び第2屈曲部の総個数を減らして流動抵抗を減少させて、流動速度の遅速を調節してもよい。
【0061】
また、マイクロチャネル(12)の寸法(D)は、最小0.8mm以上からなってもよい。これは、血液は水のような血漿成分に赤血球、白血球、血小板などが混ざっており、0.8mm未満に形成される場合、赤血球、白血球、血小板などがマイクロチャネル(12)の中央のみに集まるようになり、細胞による摩擦抵抗が無視されて正確な血液粘度を測定することができないためである。
【0062】
このようなマイクロチャネル(12)は、キット本体(10)の底面に形成され、下面が開放するように形成されることが好ましい。この時、マイクロチャネル(12)の開放した下側は、マイクロチャネルカバー(13)によって密閉され得る。
【0063】
これは屈曲するように形成されたマイクロチャネル(12)の製作を容易にして、マイクロチャネル(12)がマイクロチャネルカバー(13)の取り外しによって開放するようにし、使用後の洗浄及び消毒を容易にすることができる。または廃棄処分時にも血液を容易に洗い流した後に捨てることができ、清潔を保つことができる。
【0064】
マイクロチャネルカバー(13)は、キット本体(10)の下部に装着されてマイクロチャネル(12)、両側血液管(12)の開放した下側を密閉してもよい。
【0065】
このようなマイクロチャネルカバー(13)は、図4のように、密閉突起(130)及び結合突起(131)を含んでもよい。
【0066】
密閉突起(130)は、マイクロチャネル(12)及び両側血液管(11)の形状に対応するように形成され、マイクロチャネル(12)及び両側血液管(11)に下側に挿入され得る。
【0067】
また、密閉突起(130)は、高さがマイクロチャネル(12)の深さよりも短く形成され、結合時、図5のように、離間空間を持たせることで、両側血液管(11)に注入された血液がマイクロチャネル(12)に沿って流れるようにする。
【0068】
結合突起(131)は、キット本体(10)の第1結合溝(100)及び第2結合溝(101)に挿入されて結合され得る。
【0069】
具体的に、結合突起(131)は、第1結合突起(1310)及び第2結合突起(1311)を含んでもよい。
【0070】
第1結合突起(1310)は、マイクロチャネルカバー(13)の上面に外周面に沿って上側に突出するように形成され得る。ゆえに、キット本体(10)の第1結合溝(100)に挿入されてキット本体(10)とマイクロチャネルカバー(13)が結合されることができる。
【0071】
第2結合突起(1311)は、マイクロチャネルカバー(13)とキット本体(10)との間の結合をさらに堅固にして、第1結合突起(1310)に隣接するように形成され、長手方向に沿って前側と後側にジグザグに多数形成されて第2結合溝(101)に挿入され得る。
【0072】
また、第2結合突起(1311)は、上面が外側から内側に下向きに傾斜するように形成され得る。ゆえに、第2結合溝(101)に第2結合突起(1311)が挿入されることによって結合力は向上しながら、取り外す際にマイクロチャネルカバー(13)を容易に取り外すことができる。
【0073】
注入カバー(14)は、両側血液管(11)の上側に形成されたカバー挿入溝(110)に挿入され、ピペットで両側血液管(11)に血液を注入する場合に外部の空気が血液と一緒に注入されないようにして血液に気泡が生じないようにしてもよい。ゆえに、血液に生じた気泡によって血液の流動が妨げられることを防ぐことができる。
【0074】
このような注入カバー(14)は、血液注入孔(140)及び摩擦突起(141)を含んでもよい。
【0075】
図6を参照すると、血液注入孔(140)は、注入カバー(14)の上面から下面まで貫通するように形成されてもよく、上部注入孔(1400)及び下部注入孔(1401)を含んでもよい。
【0076】
上部注入孔(1400)は、注入カバー(14)の上部側に形成され、上端から下端に直径が漸次狭くなるように形成されて逆テーパー状に形成され得る。ゆえに、ピペットで血液注入時にピペットの傾斜構造と上部注入孔(1400)が正確に一致し、ピペットと上部注入孔(1400)が密着した状態で血液を注入することができ、外部の空気が一緒に流入することを防ぐことができる。
【0077】
下部注入孔(1401)は、注入カバー(14)下部側に形成され、下端から上端に直径が漸次狭くなるように形成されてテーパー状に形成され得る。
【0078】
このような下部注入孔(1401)は、上部注入孔(1400)と直接連結してもよいが、中間注入孔によって連結してもよい。中間注入孔は、上端から下端まで直径が同一に形成されて下部注入孔(1401)と上部注入孔(1400)とを連結させてもよく、この場合、ピペットの傾斜構造の端部分まで密着するようにして外部の空気流入をさらに効果的に遮断することができる。
【0079】
また、下部注入孔(1401)は、上部注入孔(1400)よりも下部注入孔(1401)の直径寸法がさらに大きく形成され得る。
【0080】
下部注入孔(1401)が上記のように形成されてピペットを通じた血液注入時、万一外部の空気が少しでも一緒に流入したら、その流入した空気が血液に沿ってマイクロチャネル(12)に入らず、下部注入孔(1401)に留まるようにしてもよい。
【0081】
ゆえに、血液に気泡が生ずることを効果的に防ぐことができるようになる。
【0082】
摩擦突起(141)は、注入カバー(14)の外周面に沿って突出するように形成され、注入カバー(14)がカバー挿入溝(110)に挿入される際に摩擦によって固定がさらに堅固となり、外部の空気が入らないように防ぐことができる。
【0083】
上記のように形成された小型血液粘度測定キット(1)を多数保管してもよく、保管している小型血液粘度測定キット(1)を自動で供給可能な小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)について下で詳しく説明する。
【0084】
図7は本発明の第1実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを示した投影斜視図である。
【0085】
図7を参照すると、本発明の第1実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)は、カートリッジ本体(20)、移動部(21)及び排出部(22a)を含んでもよい。
【0086】
まず、カートリッジ本体(20)は、内部に多数の小型血液粘度測定キット(1)を収容してもよく、内部が空のボックス状に形成され得るが、これに限定されない。
【0087】
また、カートリッジ本体(20)は、小型血液粘度測定キット(1)が外部に出るように排出孔(200)を含み、内部に小型血液粘度測定キット(1)を詰められるように扉を含んでもよい。
【0088】
排出孔(200)は、カートリッジ本体(20)の他側上面に形成され、カートリッジ本体(20)内部にある小型血液粘度測定キット(1)を排出してもよい。
【0089】
扉は、カートリッジ本体(20)の一側に形成されてカートリッジ本体(20)が開放されて閉鎖されるようにする。ゆえに、小型血液粘度測定キット(1)をカートリッジ本体(20)に容易に詰めることができる。
【0090】
移動部(21)は、カートリッジ本体(20)内部の一側に設置されて小型血液粘度測定キット(1)を他側に移動させ得る。
【0091】
このために、移動部(21)は、弾性部材で形成され得るが、これに限定されず、シリンダーなどとして具備されてもよい。
【0092】
弾性部材で形成される場合、小型血液粘度測定キット(1)に弾性力を与えて小型血液粘度測定キット(1)が抜け出ることによって空間が形成されると、弾性力によって小型血液粘度測定キット(1)が他側に移動するようにしてもよい。
【0093】
シリンダーとして具備される場合、引出によって小型血液粘度測定キット(1)を他側に移動させ得る。
【0094】
排出部(22a)は、カートリッジ本体(20)の他側に設けられて最も他側端部に位置した小型血液粘度測定キット(1)をカートリッジ本体(20)から出るように外部に送り出してもよい。
【0095】
排出部(22a)は、昇降板(220a)及び昇降シリンダー(221a)を含んでもよい。
【0096】
昇降板(220a)は、四角い板状に形成されて昇降シリンダー(221a)によって昇下降してもよく、昇降によって上側に上がっている小型血液粘度測定キット(1)を昇降させてもよい。
【0097】
また、小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)は、制御部(未図示)をさらに含んでもよい。
【0098】
制御部(未図示)は、移動部(21)及び排出部(22a)をそれぞれ制御して小型血液粘度測定キット(1)がカートリッジ本体(20)の外に抜け出るようにしてもよい。
【0099】
制御部は、排出部(22a)に設けられて小型血液粘度測定キット(1)を感知するセンサー部(未図示)から排出部(22a)の上側に小型血液粘度測定キット(1)があるか否かに関する情報を得ることによって移動部(21)及び排出部(22a)を制御してもよい。
【0100】
図8は本発明の第2実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを示した側断面図である。
【0101】
図8を参照すると、本発明の第2実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)においては、第1実施例と異なる形態で排出部(22b)が形成され得る。
【0102】
ここで、排出部(22b)を除いて本発明の第2実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)は、上で説明した本発明の第1実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)と実質的に同一である。
【0103】
したがって、排出部(22b)についてのみ説明する。
【0104】
排出部(22b)は、カートリッジ本体(20)内部で正面から下面に下向きに傾斜するように形成された傾斜面に形成され得る。
【0105】
ゆえに、小型血液粘度測定キット(1)が移動部(21)によって他側に移送されると、排出部(22b)の傾斜面に沿って上側に移動して小型血液粘度測定キット(1)は排出孔(200)から排出され得る。
【0106】
図9の(a)及び(b)は本発明の第3実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジの排出部の作動による態様を示した例示図である。
【0107】
図9を参照すると、本発明の第3実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)においては、第1実施例と異なる形態で排出部(22c)が形成され得る。
【0108】
ここで、排出部(22c)を除いて本発明の第3実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)は、上で説明した本発明の第1実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)と実質的に同一である。
【0109】
したがって、排出部(22c)についてのみ説明する。
【0110】
排出部(22c)は、電磁石(220c)、ガイド部(221c)及び磁石板(222c)を含んでもよい。
【0111】
電磁石(220c)は、カートリッジ本体(20)の下面他側に形成され得る。制御部(未図示)によって電気が流れると磁気化し、電気が切れると磁気化しない元の状態に戻ってもよい。ゆえに、電磁石(220c)は、磁気化すると上側に設けられた磁石板(222c)を上側に押し出すことができ、磁気化しないと磁石板(222c)も再び元に戻るようにすることができる。
【0112】
ガイド部(221c)は、カートリッジ本体(20)の他側両側面にそれぞれ上下方向に形成され、磁石板(222c)がガイド部(221c)に沿って上下移動してもよい。すなわち、ガイド部(221c)に磁石板(222c)のガイド突起が挿入されてガイド部(221c)に沿って移動してもよい。
【0113】
磁石板(222c)は、電磁石(220c)の上側に設けられ、両端にガイド部(221c)に結合されるガイド突起を含んでもよい。前記磁石板(222c)は、磁気化した電磁石(220c)によって上側に押されて上側に位置する小型血液粘度測定キット(1)を上側に移動させてもよく、磁気化せずに元の状態に電磁石(220c)が戻れば下側に再び下がってもよい。
【0114】
図10は本発明の第4実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを示した斜視図であり、図11の(a)及び(b)は第4実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジの排出部の作動態様を示した例示図である。
【0115】
図10及び11を参照すると、本発明の第4実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)においては、第1実施例と異なる形態で排出部(22d)が形成され得る。
【0116】
ここで、排出部(22d)、排出孔(200)の位置を除いて本発明の第4実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)は、上で説明した本発明の第1実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジ(2)と実質的に同一である。
【0117】
したがって、排出部(22d)及び排出孔(200)についてのみ説明する。
【0118】
ここで排出孔(200)は、カートリッジ本体(20)の他側下面に形成され得る。ゆえに、移動部(21)によって小型血液粘度測定キット(1)が他側に押し出されると最も他側末端に位置する小型血液粘度測定キット(1)は、排出孔(200)から直ちに抜け出ることができる。
【0119】
排出部(22d)は、ガイド板(220d)及び受座(221d)を含んでもよい。
【0120】
ガイド板(220d)は、カートリッジ本体(20)の下面両側に下側に垂直に形成され、排出孔(200)が形成された両側に形成され得る。
【0121】
この時、ガイド板(220d)は、上面視において、断面がC字状に形成され、排出孔(200)から抜け出る小型血液粘度測定キット(1)がガイド板(220d)に沿って降下してもよい。
【0122】
受座(221d)は、ガイド板(220d)の下端にそれぞれ回動自在に連結され、ガイド板(220d)に沿って降下する小型血液粘度測定キット(1)を落下しないように支えてもよい。その後、使用者が使用する際に小型血液粘度測定キット(1)を下側に引っぱることで受座(221d)が回動して小型血液粘度測定キット(1)が抜け出てもよい。
【0123】
上で説明したように、本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キット及びそのカートリッジは、既存の血液粘度測定に活用されていた血液粘度測定装置の限界を解決するために構造を小型化及び一体化して製作工程が単純で別途の組立工程が不要で、ゆえに、製作コストが安価な長所がある。
【0124】
また、内部が透明に見える構造からなっており、血液サンプル移動状況を実時間で外部からモニタリングすることができる。
【0125】
また、キットの寸法が小型化され、短時間内に36.6℃まで素早く予熱でき、血液粘度測定のためのサンプル要求量が1.0mL以下に減少して採血の負担が減少することができる。
【0126】
また、血液粘度測定のための自動化装備に使用しやすい。
【0127】
上で本発明の実施例に係る小型血液粘度測定キットカートリッジを第1ないし第4実施例に分けて説明したが、これは説明の便宜性及び理解しやすいようにするためであり、各実施例に限定されるものではなく、実施例の構成は設計変更して互いに適用することができる。
【0128】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施することができることを理解しなければならない。
【0129】
したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的ではない。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11(a)】
図11(b)】
【国際調査報告】