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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】画像センサピクセル
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220915BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 D
H04N5/369 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503878
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2020070073
(87)【国際公開番号】W WO2021013667
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】1908252
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】デュポイロン,カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA07
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA22
4M118CA27
4M118CA40
4M118CB05
4M118CB14
4M118CB20
4M118EA14
4M118FA06
4M118FB23
4M118FB24
4M118GC08
4M118GD04
4M118GD09
4M118GD10
4M118GD20
5C024CX43
5C024CY17
5C024CY47
5C024EX43
5C024EX52
5C024GY31
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、CMOS支持体(8)及び少なくとも2つの有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、54D)を含むピクセル(50、52、54、56)に関し、同じレンズ(58)が、有機光検出器と垂直に一列に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMOS支持体(8)、及び
少なくとも2つの有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56D)
を備え、
同じレンズ(58)が、前記有機光検出器と垂直に一列に配置されている、ピクセル(50、52、54、56)。
【請求項2】
請求項1に記載の複数のピクセル(50、52、54、56)を備える、画像センサ(5;9)。
【請求項3】
請求項1に記載のピクセル又は請求項2に記載の画像センサを製造する方法であって、
CMOS支持体(8)を準備する工程、
ピクセル毎に少なくとも2つの有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56D)を形成する工程、及び
前記ピクセル又は各ピクセルの前記有機光検出器と垂直に一列に同じレンズ(58)を形成する工程
を有する、方法。
【請求項4】
前記有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56D)は同一平面上にある、請求項1に記載のピクセル、又は、請求項2に記載のセンサ、又は、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56D)は、誘電体(528、508C、528C)によって互いに分離されている、請求項1若しくは4に記載のピクセル、又は、請求項2若しくは4に記載のセンサ、又は、請求項3若しくは4に記載の方法。
【請求項6】
各有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56D)は、前記CMOS支持体(8)の表面(80)に形成されて、他の有機光検出器の第1の電極とは別個の第1の電極(502A、502B、502C、502D、522A、522B、522C、522D、542A、542B、542C、542D、562A、562B、562C、562D)を有する、請求項1、4若しくは5に記載のピクセル、又は、請求項2、4若しくは5に記載のセンサ、又は、請求項3から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
各第1の電極(502A、502B、502C、502D、522A、522B、522C、522D、542A、542B、542C、542D、562A、562B、562C、562D)は読み出し回路(60A、60B、60C、60D)に連結され、好ましくは接続され、各読み出し回路は、好ましくは、前記CMOS支持体(8)に形成された3つのトランジスタ(200、202、210)を有する、請求項6に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項8】
前記有機光検出器(50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56D)は、飛行時間によって距離を推定することができる、請求項1、4から7のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4から7のいずれか1つに記載のセンサ、又は、請求項3から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
赤外線スペクトルの一部で、
構造化光で、
ハイダイナミックレンジイメージングHDRで、及び/又は
バックグラウンド抑制で
動作可能な、請求項1、4から8のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4から8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
各ピクセル(50、52、54、56)は、前記レンズ(58)の下に、可視スペクトル及び赤外線スペクトルの周波数範囲の電磁波を通すカラーフィルタ(41R、41G、41B)を更に備える、請求項2、4から9のいずれか1つに記載の画像センサ。
【請求項11】
カラー画像を取り込むことができる、請求項10に記載の画像センサ。
【請求項12】
各ピクセル(50、52、54、56)は正確に、
第1の有機光検出器(50A、52A、54A、56A)、
第2の有機光検出器(50B、52B、54B、56B)、及び
2つの第3の有機光検出器(50C、50D、52C、52D、54C、54D、56C、56D)
を備える、請求項1、4から9のいずれか1つに記載のピクセル、又は、請求項2、4から11のいずれか1つに記載のセンサ、又は請求項3から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
ピクセル(50、52、54、56)毎に、前記第1の有機光検出器(50A、52A、54A、56A)、前記第2の有機光検出器(50B、52B、54B、56B)及び前記第3の有機光検出器(50C、50D、52C、52D、54C、54D、56C、56D)は正方形の形状を有し、正方形内に共に内接する、請求項12に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項14】
ピクセル(50、52、54、56)毎に、
前記第1の有機光検出器(50A、52A、54A、56A)は、第2の電極(504A、524A、544A、564A)に接続され、
前記第2の有機光検出器(50B、52B、54B、56B)は、第3の電極(504B、524B、544B、564B)に接続され、
前記第3の有機光検出器(50C、50D、52C、52D、54C、54D、56C、56D)は、同じ第4の電極(536、5360、5362)に接続される、請求項6に従属する請求項12又は13に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項15】
前記第1の有機光検出器(50A、52A、54A、56A)及び前記第2の有機光検出器(50B、52B、54B、56B)は、同じ第1の材料で形成された第1の活性層(500A、520A、540A、560A、500B、520B、540B、560B)を有し、
前記第3の有機光検出器(50C、50D、52C、52D、54C、54D、56C、56D)は、第2の材料で形成された第2の活性層(500C、520C、540C、560C、500D、520D、540D、560D)を有する、請求項12から14のいずれか1つに記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項16】
前記第1の材料は前記第2の材料と同一であり、可視スペクトル及び赤外線スペクトルの一部の電磁波を吸収することができる、請求項15に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項17】
前記第1の材料は前記第2の材料とは異なり、前記第1の材料は赤外線スペクトルの一部の電磁波を吸収することができ、前記第2の材料は可視スペクトルの電磁波を吸収することができる、請求項15に記載のピクセル、センサ、又は方法。
【請求項18】
前記第2の電極(504A、524A、544A、564A)は、前記センサ(5;9)の前記ピクセル(50、52、54、56)の全ての前記第1の有機光検出器(50A、52A、54A、56A)に共通であり、
前記第3の電極(504B、524B、544B、564B)は、前記センサ(5;9)の前記ピクセル(50、52、54、56)の全ての前記第2の有機光検出器(50B、52B、54B、56B)に共通であり、
前記第4の電極(536、5360、5362)は、前記センサ(5;9)の前記ピクセル(50、52、54、56)の全ての前記第3の有機光検出器(50C、50D、52C、52D、54C、54D、56C、56D)に共通である、請求項14から17のいずれか1つに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像センサ又は電子イメージャに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは現在、多くの分野、特に電子デバイスで使用されている。画像センサは、マンマシンインターフェースアプリケーション又は画像取込アプリケーションに特に存在する。このような画像センサの使用分野は特に、例えばスマートフォン、自動車、ドローン、ロボティクス、及び、仮想現実システム又は拡張現実システムである。
【0003】
ある用途では、同じ電子デバイスが、異なるタイプの複数の画像センサを有してもよい。従って、そのようなデバイスは例えば、デバイスに対するシーン又は対象などの様々な点の距離を推定することを可能にする、第1のカラー画像センサ、第2の赤外線画像センサ、第3の画像センサを備えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じデバイスに搭載されたそのような多数の画像センサは、本質的に、そのようなデバイスの小型化についての現在の制約とほとんど適合しない。
【0005】
既存の画像センサを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、既知の画像センサの欠点の全部又は一部を克服する。
【0007】
実施形態は、
CMOS支持体、及び
少なくとも2つの有機光検出器
を備え、
同じレンズが、前記有機光検出器と垂直に一列に配置されている、ピクセルを提供する。
【0008】
実施形態は、記載されているような複数のピクセルを備える、画像センサを提供する。
【0009】
実施形態は、そのようなピクセル又はそのような画像センサを製造する方法であって、
CMOS支持体を準備する工程、
ピクセル毎に少なくとも2つの有機光検出器を形成する工程、及び
前記ピクセル又は各ピクセルの前記有機光検出器と垂直に一列に同じレンズを形成する工程
を有する、方法を提供する。
【0010】
実施形態によれば、前記有機光検出器は同一平面上にある。
【0011】
実施形態によれば、前記有機光検出器は、誘電体によって互いに分離されている。
【0012】
実施形態によれば、各有機光検出器は、前記CMOS支持体の表面に形成されて、他の有機光検出器の第1の電極とは別個の第1の電極を有する。
【0013】
実施形態によれば、各第1の電極は読み出し回路に連結され、好ましくは接続され、各読み出し回路は、好ましくは、前記CMOS支持体に形成された3つのトランジスタを有する。
【0014】
実施形態によれば、前記有機光検出器は、飛行時間によって距離を推定することができる。
【0015】
実施形態によれば、記載されているようなピクセル又はセンサは、
赤外線スペクトルの一部で、
構造化光で、
ハイダイナミックレンジイメージングHDRで、及び/又は
バックグラウンド抑制で
動作可能である。
【0016】
実施形態によれば、各ピクセルは、前記レンズの下に、可視スペクトル及び赤外線スペクトルの周波数範囲の電磁波を通すカラーフィルタを更に備える。
【0017】
実施形態によれば、記載されているような画像センサは、カラー画像を取り込むことができる。
【0018】
実施形態によれば、各ピクセルは正確に、
第1の有機光検出器、
第2の有機光検出器、及び
2つの第3の有機光検出器
を備える。
【0019】
実施形態によれば、ピクセル毎に、前記第1の有機光検出器、前記第2の有機光検出器及び前記第3の有機光検出器は正方形の形状を有し、正方形内に共に内接する。
【0020】
実施形態によれば、ピクセル毎に、
前記第1の有機光検出器は、第2の電極に接続され、
前記第2の有機光検出器は、第3の電極に接続され、
前記第3の有機光検出器は、同じ第4の電極に接続される。
【0021】
実施形態によれば、
前記第1の有機光検出器及び前記第2の有機光検出器は、同じ第1の材料で形成された第1の活性層を有し、
前記第3の有機光検出器は、第2の材料で形成された第2の活性層を有する。
【0022】
実施形態によれば、前記第1の材料は前記第2の材料と同一であり、可視スペクトル及び赤外線スペクトルの一部の電磁波を吸収することができる。
【0023】
実施形態によれば、前記第1の材料は前記第2の材料とは異なり、前記第1の材料は赤外線スペクトルの一部の電磁波を吸収することができ、前記第2の材料は可視スペクトルの電磁波を吸収することができる。
【0024】
実施形態によれば、
前記第2の電極は、前記センサの前記ピクセルの全ての前記第1の有機光検出器に共通であり、
前記第3の電極は、前記センサの前記ピクセルの全ての前記第2の有機光検出器に共通であり、
前記第4の電極は、前記センサの前記ピクセルの全ての前記第3の有機光検出器に共通である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の前述及び他の特徴及び利点は、添付図面に関連する特定の実施形態及び実施モードの以下の非限定的な記載で詳細に説明される。
【0026】
図1】画像センサの実施形態の部分的な簡略化分解斜視図である。
図2図1の画像センサの部分的な簡略化平面図である。
図3図1及び図2の画像センサのピクセルの読み出し回路の実施形態の電気図である。
図4図3の読み出し回路を有する画像センサの動作例の信号のタイミング図である。
図5図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの工程の部分的な簡略化断面図である。
図6図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図7図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図8図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図9図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図10図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図11図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図12図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図13図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図14図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図15図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図16図1及び図2の画像センサを形成する方法の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図17図1及び図2の画像センサの面CCに沿った部分的な簡略化断面図である。
図18図1及び図2の画像センサの電極の実施形態を示す図である。
図19図1及び図2の画像センサを形成する方法の別の実施モードの工程の部分的な簡略化断面図である。
図20図1及び図2の画像センサを形成する方法の他の実施モードの別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図21図1及び図2の画像センサを形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図22図1及び図2の画像センサを形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図23図1及び図2の画像センサを形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図24図1及び図2の画像センサを形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
図25】画像センサの別の実施形態の部分的な簡略化断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
同様の特徴が、様々な図で同様の参照符号によって示されている。特に、異なる実施形態及び実施モードに共通の構造的要素及び/又は機能的要素は、同じ参照符号で示されてもよく、同一の構造的特性、寸法的特性及び材料的特性を有してもよい。
【0028】
明確にするために、記載された実施形態及び実施モードの理解に有用な工程及び要素のみが図示され、詳述されている。特に、以下に説明される画像センサが何に使用されるのかについては詳述されない。
【0029】
特に明記しない限り、共に接続された2つの要素について言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、共に連結された2つの要素について言及する場合、これは、これら2つの要素が接続され得ること、又は、これら2つの要素が1つ以上の他の要素を介して連結され得ることを意味する。
【0030】
本開示では、特に明記しない限り、「絶縁性」及び「導電性」という用語は、「電気絶縁性」及び「電気伝導性」を夫々意味するとみなされる。
【0031】
以下の開示では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」などの絶対位置を示す用語、又は、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を示す用語、又は、「水平」、「垂直」などの方向を示す用語に言及する場合、特に明記されていない限り、図面の向き、又は通常の使用位置にある画像センサを指す。
【0032】
特に明記しない限り、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0033】
放射に対する層の透過率は、層から出る放射の強度対層に入る放射の強度の比に相当し、入射光線は層に垂直である。以下の説明では、層又は膜を通る放射の透過率が10%未満である場合、層又は膜は放射に対して不透明であると称される。以下の説明では、層又は膜を通る放射の透過率が10%を超える場合、層又は膜は放射に対して透明であると称される。
【0034】
以下の説明では、「可視光」は、400nmから700nmの範囲の波長を有する電磁放射を示し、「赤外放射」は、700nmから1mmの範囲の波長を有する電磁放射を示す。赤外放射では、700nmから1.7μmの範囲の波長を有する近赤外放射を特に区別することができる。
【0035】
画像のピクセルは、画像センサによって取り込まれる画像の単位要素に相当する。光電子デバイスがカラー画像センサである場合、光電子デバイスは一般に、取得するカラー画像のピクセル毎に少なくとも3つの要素を備える。3つの要素は、実質的に単一の色、すなわち、130nm未満の波長範囲(例えば、赤色、緑色及び青色)の光放射を夫々取得する。各要素は、特に少なくとも1つの光検出器を有してもよい。
【0036】
図1は、画像センサ5の実施形態の部分的な簡略化分解斜視図である。
【0037】
画像センサ5は、同一平面上のピクセルのアレイを備える。簡略化のために、画像センサ5の4つのピクセル50、52、54、56のみが図1に示されており、実際には、画像センサ5はより多くのピクセルを備えてもよいことが理解される。画像センサ5は例えば、数百万又は数千万ものピクセルを備える。
【0038】
この実施形態によれば、ピクセル50、52、54、56は、CMOS支持体8の表面、例えば集積回路(図示せず)がCMOS(相補型金属酸化物半導体)技術でその最上部及び内部に形成されている1つのシリコンウェハの表面に配置されている。これらの集積回路は、この例では、画像センサ5のピクセル50、52、54、56に関連付けられた読み出し回路のアレイを形成する。読み出し回路は、各ピクセルに関連付けられた読み取りトランジスタ、アドレス指定トランジスタ及び制御トランジスタの集合体を意味する。
【0039】
画像センサ5では、各ピクセルは、添え字「A」が付いた第1の光検出器、添え字「B」が付いた第2の光検出器、並びに添え字「C」及び添え字「D」が付いた2つの第3の光検出器を備える。より具体的に、図1の例では、
ピクセル50は、第1の光検出器50A、第2の光検出器50B、及び2つの第3の光検出器50C、50Dを備え、
ピクセル52は、第1の光検出器52A、第2の光検出器52B、及び2つの第3の光検出器52C、52Dを備え、
ピクセル54は、第1の光検出器54A、第2の光検出器54B、及び2つの第3の光検出器54C、54Dを備え、
ピクセル56は、第1の光検出器56A、第2の光検出器56B、及び2つの第3の光検出器56C、56Dを備える。
【0040】
光検出器50A、50B、50C、50D、52A、52B、52C、52D、54A、54B、54C、54D、56A、56B、56C、56Dは、有機フォトダイオード(OPD)又は有機フォトレジスタに相当してもよい。本開示の残りの部分では、画像センサ5のピクセルの光検出器は有機フォトダイオードに相当するとみなされる。
【0041】
図1の簡略図では、各光検出器は、2つの電極の間に配置された又は「挟持された」活性層又は感光層を有している。より具体的には、有機光検出器50B、50C、54B、54C、54D、56B、56Dの側面のみが見える図1の例では、
第2の光検出器50Bは、第1の電極502Bと第2の電極504Bとの間の活性層500Bで形成され、
第3の光検出器50Cは、第1の電極502Cと第2の電極504Cとの間の活性層500Cで形成され、
第2の光検出器54Bは、第1の電極542Bと第2の電極544Bとの間の活性層540Bで形成され、
第3の光検出器54Cは、第1の電極542Cと第2の電極544Cとの間の活性層540Cで形成され、
第3の光検出器54Dは、第1の電極542Dと第2の電極544Dとの間の活性層540Dで形成され、
第2の光検出器56Bは、第1の電極562Aと第2の電極564Bとの間の活性層560Bで形成され、
第3の光検出器56Cは、第1の電極562Cと第2の電極564Dとの間の活性層560Dで形成されている。
【0042】
同様に、画像センサ5では、
第1の光検出器50Aは、第1の電極502A(図1には図示せず)と第2の電極504A(図1には図示せず)との間の活性層500A(図1には図示せず)から形成され、
第3の光検出器50Dは、第1の電極502D(図1には図示せず)と第2の電極504D(図1には図示せず)との間の活性層500D(図1には図示せず)から形成され、
第1の光検出器52Aは、第1の電極522A(図1には図示せず)と第2の電極524A(図1には図示せず)との間の活性層520A(図1には図示せず)から形成され、
第2の光検出器52Bは、第1の電極522B(図1には図示せず)と第2の電極524B(図1には図示せず)との間の活性層520B(図1には図示せず)から形成され、
第3の光検出器52Cは、第1の電極522C(図1には図示せず)と第2の電極524C(図1には図示せず)との間の活性層520C(図1には図示せず)から形成され、
第3の光検出器52Dは、第1の電極522D(図1には図示せず)と第2の電極524D(図1には図示せず)との間の活性層520D(図1には図示せず)から形成され、
第1の光検出器54Aは、第1の電極542A(図1には図示せず)と第2の電極544A(図1には図示せず)との間の活性層540A(図1には図示せず)から形成され、
第1の光検出器56Aは、第1の電極562A(図1には図示せず)と第2の電極564A(図1には図示せず)との間の活性層560A(図1には図示せず)から形成され、
第3の光検出器56Cは、第1の電極562C(図1には図示せず)と第2の電極564C(図1には図示せず)との間の活性層560C(図1には図示せず)から形成されている。
【0043】
本開示の残りの部分では、第1の電極は「下部電極」という表現で更に示される一方、第2の電極は「上部電極」という表現で更に示される。
【0044】
実施形態によれば、各有機光検出器の上部電極はアノード電極を形成する一方、各有機光検出器の下部電極はカソード電極を形成する。
【0045】
画像センサ5の各ピクセルの各光検出器の下部電極は、CMOS支持体8の読み出し回路(図示せず)に個別に連結され、好ましくは接続される。従って、画像センサ5の各光検出器は、その下部電極によって個別にアドレス指定される。従って、画像センサ5では、各光検出器は、他の全ての光検出器の下部電極とは別個の下部電極を有する。言い換えると、ピクセルの各光検出器は、
同じピクセルの他の光検出器、及び
他のピクセルの他の光検出器
とは別個の下部電極を有する。
【0046】
更に画像センサ5では、
全ての第1の光検出器は、共通の第1の上部電極を有し、
全ての第2の光検出器は、第1の光検出器に共通の第1の上部電極とは別個の、共通の第2の上部電極を有し、
全ての第3の光検出器は、全ての第1の光検出器に共通の第1の上部電極及び全ての第2の光検出器に共通の第2の電極とは別個の、共通の第3の上部電極を有する。
【0047】
画像センサ5では、各ピクセルは、その寸法からマイクロレンズ58とも称されるレンズ58を備える。従って、図1の簡略図では、ピクセル50、52、54、56はレンズ58を夫々備える。従って、各レンズ58は、画像センサ5の各ピクセルの第1、第2及び第3の光検出器を完全に覆う。より具体的には、レンズ58は、ピクセルの第1、第2及び第3の光検出器の上部電極を物理的に覆う。
【0048】
図2は、図1の画像センサの部分的な簡略化平面図である。
【0049】
この平面図では、第1、第2及び第3の光検出器は正方形で表され、マイクロレンズは円で表されている。より具体的には、図2では、
マイクロレンズ58は、ピクセル50の光検出器50A、50B、50C、50Dの上部電極504A、504B、504C、504Dを夫々覆い、
マイクロレンズ58は、ピクセル52の光検出器52A、52B、52C、52Dの上部電極524A、524B、524C、524Dを夫々覆い、
マイクロレンズ58は、ピクセル54の光検出器54A、54B、54C、54Dの上部電極544A、544B、544C、544Dを夫々覆い、
マイクロレンズ58は、ピクセル56の光検出器56A、56B、56C、56Dの上部電極564A、564B、564C、564Dを夫々覆う。
【0050】
実際には、以下の図面の説明から明らかになる電極間の間隔のため、レンズ58は、レンズが関連付けられているピクセルの夫々の電極を完全に覆うとみなされ得る。
【0051】
画像センサ5において、図2の平面図では、ピクセルは、実質的に正方形の形状、好ましくは正方形の形状を有する。画像センサ5の全てのピクセルは、製造ばらつきの範囲内で、好ましくは同一の寸法を有する。
【0052】
画像センサ5の各ピクセルによって形成される正方形は、図2の平面図では、約0.8μmから10μmの範囲内、好ましくは約0.8μmから5μmの範囲内、より好ましくは0.8μmから3μmの範囲内の辺の長さを有する。
【0053】
同じピクセルに属する第1、第2及び第3の光検出器(例えば、第1のピクセル50の第1の光検出器50A、第2の光検出器50B及び第3の光検出器50C、50D)は、正方形の形状を有する。光検出器は実質的に同じ寸法を有し、光検出器が属するピクセルによって形成される正方形内に共に内接する。
【0054】
画像センサ5の各ピクセルの各光検出器によって形成される正方形は、各ピクセルによって形成される正方形の辺の長さの半分に実質的に等しい辺の長さを有する。しかし、各ピクセルの第1、第2及び第3の光検出器の間に空間が形成されるため、第1、第2及び第3の光検出器の夫々の下部電極が分離されている。
【0055】
画像センサ5では、各マイクロレンズ58は、図2の平面図では、各マイクロレンズが属するピクセルによって形成される正方形の辺の長さに実質的に等しい、好ましくは等しい直径を有する。本実施形態では、各ピクセルはマイクロレンズ58を備える。画像センサ5の各マイクロレンズ58は、好ましくは各マイクロレンズが覆う光検出器によって形成される正方形に対して中心に置かれる。
【0056】
変形例として、各マイクロレンズ58は、別のタイプのマイクロメートル範囲の光学要素、特にマイクロメートル範囲のフレネルレンズ、マイクロメートル範囲の屈折率勾配レンズ、又はマイクロメートル範囲の回折格子と置き換えられてもよい。マイクロレンズ58は収束レンズであり、夫々が1μmから100μmの範囲、好ましくは1μmから10μmの範囲の焦点距離fを有する。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ58は実質的に同一である。
【0057】
マイクロレンズ58は、シリカ、ポリ(メチル)メタクリレート(PMMA)、ポジ型レジスト、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマ(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)/シリコーン、又はエポキシ樹脂から形成されてもよい。マイクロレンズ58は、レジストブロックを変形させることによって形成されてもよい。マイクロレンズ58は、PET、PEN、COP、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂の層上に成型によって更に形成されてもよい。
【0058】
図3は、図1及び図2の画像センサ5のピクセルの読み出し回路の実施形態の電気図である。
【0059】
簡略化のために、図3は、画像センサ5の1つのピクセル、例えば、画像センサ5のピクセル50に関連付けられた読み出し回路のみを考慮している。この例では、各光検出器は読み出し回路に関連付けられている。より具体的には、図3では、
ピクセル50の第1の光検出器50Aは、第1の読み出し回路60Aに関連付けられており、
ピクセル50の第2の光検出器50Bは、第2の読み出し回路60Bに関連付けられており、
ピクセル50の第3の光検出器50Cは、第3の読み出し回路60Cに関連付けられており、
ピクセル50の第3の光検出器50Dは、第4の読み出し回路60Dに関連付けられている。
【0060】
ピクセル50の第1の光検出器50Aの第1の読み出し回路60A、ピクセル50の第2の光検出器50Bの第2の読み出し回路60B、ピクセル50の第3の光検出器50Cの第3の読み出し回路60C、及び第3の光検出器50Dの第4の読み出し回路60Dは、ピクセル50の読み出し回路60を共に形成する。
【0061】
この実施形態によれば、各読み出し回路60A、60B、60C、60Dは3つのMOSトランジスタを有する。このような回路は現在、光検出器と共に「3Tセンサ」という表現で表されている。特に、図3の例では、
第1の光検出器50Aに関連付けられた読み出し回路60Aは、2つの端子204及び端子206Aの間にMOS選択トランジスタ202と直列に、フォロワとして組み立てられたMOSトランジスタ200を有し、
第2の光検出器50Bに関連付けられた読み出し回路60Bは、2つの端子204及び端子206Bの間にMOS選択トランジスタ202と直列に、フォロワとして組み立てられたMOSトランジスタ200を有し、
第3の光検出器50Cに関連付けられた読み出し回路60Cは、2つの端子204及び端子206Cの間にMOS選択トランジスタ202と直列に、フォロワとして組み立てられたMOSトランジスタ200を有し、
第3の光検出器50Dに関連付けられた読み出し回路60Dは、2つの端子204及び端子206Dの間にMOS選択トランジスタ202と直列に、フォロワとして組み立てられたMOSトランジスタ200を有する。
【0062】
読み出し回路のトランジスタがNチャネルMOSトランジスタである場合、各端子204は、Vpixと記された高基準電位の供給源に連結される。読み出し回路のトランジスタがPチャネルMOSトランジスタである場合、各端子204は、低基準電位の供給源、例えば接地に連結される。
【0063】
端子206Aは、第1の導電性トラック208Aに連結されている。第1の導電性トラック208Aは、同じ列のピクセルの全ての第1の光検出器に連結されてもよい。第1の導電性トラック208Aは、好ましくは画像センサ5の全ての第1の光検出器に連結される。
【0064】
同様に、端子206Bは第2の導電性トラック208Bに連結される。第2の導電性トラック208Bは、同じ列のピクセルの全ての第2の光検出器に連結されてもよい。第2の導電性トラック208Bは、好ましくは画像センサ5の全ての第2の光検出器に連結される。第2の導電性トラック208Bは、好ましくは第1の導電性トラック208Aとは別個である。
【0065】
同様に、端子206Cは第3の導電性トラック208Cに連結され、端子206Dは第4の導電性トラック208Dに連結される。
【0066】
好ましい実施形態によれば、第3の導電性トラック208C及び第4の導電性トラック208Dは共に接続されている。導電性トラック208C、208Dは、同じ列のピクセルの全ての第3の光検出器に連結されてもよい。導電性トラック208C、208Dは、好ましくは、画像センサ5の全ての第3の光検出器に連結される。第3の導電性トラック208C及び第4の導電性トラック208Dは、好ましくは、第1の導電性トラック208A及び第2の導電性トラック208Bとは別個である。
【0067】
図3の実施形態では、
第1の導電性トラック208Aは、第1の電流源209Aに連結され、好ましくは接続され、
第2の導電性トラック208Bは、第2の電流源209Bに連結され、好ましくは接続され、
第3の導電性トラック208Cは、第3の電流源209Cに連結され、好ましくは接続され、
第4の導電性トラック208Dは、第4の電流源209Dに連結され、好ましくは接続される。
【0068】
電流源209A、209B、209C、209Dは、画像センサ5のピクセル50の読み出し回路60の一部を形成しない。言い換えると、画像センサ5の電流源209A、209B、209C、209Dは、ピクセル及び読み出し回路の外部にある。第3の導電性トラック208C及び第4の導電性トラック208Dが相互接続されている好ましい実施形態によれば、トラックは、1つの電流源209C又は電流源209Dに連結されることが好ましい。
【0069】
ピクセル50の読み出し回路60の場合、トランジスタ202のゲートは、ピクセル50のSEL_R1と記された選択信号を受信するように構成される。画像センサ5の別のピクセルの読み出し回路、例えばピクセル52の読み出し回路のトランジスタ202のゲートは、SEL_R2と記された別の信号を受信するように構成されると想定される。
【0070】
図3の例では、
ピクセル50の第1の光検出器50Aに関連付けられたトランジスタ200のゲートは、ノードFD_1Aに連結され、
ピクセル50の第2の光検出器50Bに関連付けられたトランジスタ200のゲートは、ノードFD_1Bに連結され、
ピクセル50の第3の光検出器50Cに関連付けられたトランジスタ200のゲートは、ノードFD_1Cに連結され、
ピクセル50の第3の光検出器50Dに関連付けられたトランジスタ200のゲートは、ノードFD_1Dに連結されている。
【0071】
各ノードFD_1A、FD_1B、FD_1C、FD_1Dは、リセット電位Vrstが与えられる端子にリセットMOSトランジスタ210によって連結され、この電位は、電位Vpixと同一であってもよい。トランジスタ210のゲートは、光検出器のリセットを制御するための信号RST、特にノードFD_1A、ノードFD_1B、ノードFD_1C又はノードFD_1Dを実質的に電位Vrstにリセットすることを可能にするための信号RSTを受信するように構成されている。
【0072】
図3の例では、
ノードFD_1Aは、ピクセル50の第1の光検出器50Aのカソード電極502Aに接続され、
ノードFD_1Bは、ピクセル50の第2の光検出器50Bのカソード電極502Bに接続され、
ノードFD_1Cは、ピクセル50の第3の光検出器50Cのカソード電極502Cに接続され、
ノードFD_1Dは、ピクセル50の第3の光検出器50Dのカソード電極502Dに接続されている。
【0073】
更に図3の例では、
ピクセル50の第1の光検出器50Aのアノード電極504Aは、基準電位Vtop_C1の供給源に連結され、
ピクセル50の第2の光検出器50Bのアノード電極504Bは、基準電位Vtop_C2の供給源に連結され、
ピクセル50の第3の光検出器50Cのアノード電極504Cは、基準電位Vtop_C3の供給源に連結され、
ピクセル50の第3の光検出器50Dのアノード電極504Dは、基準電位Vtop_C4の供給源に連結されている。
【0074】
画像センサ5では、電位Vtop_C1は、全ての第1の光検出器に共通の第1の上部電極に与えられる。電位Vtop_C2は、全ての第2の光検出器に共通の第2の上部電極に与えられる。電位Vtop_C3及び電位Vtop_C4は、好ましくは等しく、全ての第3の光検出器に共通の第3の上部電極に与えられる。
【0075】
本開示の残りの部分では、
ノードFD_1Aに存在する電圧についてVFD_1A、
ノードFD_1Bに存在する電圧についてVFD_1B、
ピクセル50のトランジスタ202のゲートに印加される電圧、すなわち、第1の光検出器50Aのトランジスタ202のゲート、第2の光検出器50Bのトランジスタ202のゲート、及び第3の光検出器50C、50Dのトランジスタ202のゲートに印加される電圧についてVSEL_R1、
ピクセル52のトランジスタ202のゲートに印加される電圧についてVSEL_R2
の表記が任意に使用される。
【0076】
本開示の残りの部分では、電圧VSEL_R1、VSEL_R2の夫々の印加は、SEL_R1、SEL_R2と夫々記された二値信号によって制御されるとみなされる。
【0077】
他のタイプのセンサ、例えば、いわゆる「4T」センサが知られている。有機光検出器を使用すると、1つのトランジスタをなくして3Tセンサを使用することができるという利点がある。
【0078】
図4は、図3の読み出し回路を有する画像センサ5の動作例の信号のタイミング図である。
【0079】
図4のタイミング図は、より具体的には「飛行時間」(ToF)モードでの画像センサ5の動作例に対応する。この動作モードでは、画像センサ5のピクセルを使用して、画像センサ5の反対側に配置された又は位置する対象(オブジェクト、シーン、顔など)からピクセルを隔てる距離を推定する。本明細書では説明されない関連付けられたエミッタシステムを用いて対象に向かって光パルスを放射することにより、この距離の推定を開始する。このような光パルスは一般に、放射源からの放射、例えば、発光ダイオードからの近赤外放射で対象を一時的に照射することによって得られる。次に、光パルスは、対象によって少なくとも部分的に反射され、その後、画像センサ5によって取り込まれる。その後、光パルスが放射源と対象との間を移動して戻るのにかかる時間が計算又は測定される。画像センサ5は、放射源の近くに有利に配置されているため、この時間は、画像センサ5から対象を隔てる距離を光パルスが移動するのにかかる時間の約2倍に相当する。
【0080】
図4のタイミング図は、二値信号RST及び二値信号SEL_R1、並びに画像センサ5の同じピクセルの第1及び第2の光検出器、例えばピクセル50の第1の光検出器50A及び第2の光検出器50Bの電位Vtop_C1、Vtop_C2、VFD_1A、VFD_1Bの変化の例を示す。図4は、画像センサ5の別のピクセル、例えばピクセル52の二値信号SEL_R2を点線で更に示す。図4のタイミング図は、ピクセル50の読み出し回路60のMOSトランジスタがNチャネルトランジスタであることを考慮して確立されている。簡略化のために、画像センサ5のピクセル50の第3の光検出器50C、50Dの駆動についてはタイミング図では考慮されない。
【0081】
時点t0で信号SEL_R1は低状態であるため、ピクセル50のトランジスタ202はオフである。次に、リセット段階が開始される。この目的のために、信号RSTは高状態に維持されるため、ピクセル50のリセットトランジスタ210はオンである。その後、フォトダイオード50A及びフォトダイオード50Bに蓄積された電荷は、電位Vrstの供給源に向かって放電される。
【0082】
電位Vtop_C1は、時点t0で高レベルにある。高レベルは、「ビルトイン電位」と称される電位を与えることによって生じる電圧より高い電圧下での第1の光検出器50Aのバイアスに対応する。ビルトイン電位は、アノードの仕事関数とカソードの仕事関数との差と等価である。電位Vtop_C1が高レベルにある場合、第1の光検出器50Aは電荷を統合しない。
【0083】
時点t0に続く時点t1の前に、電位Vtop_C1は低レベルに設定される。この低レベルは、負電圧、すなわち0V未満の電圧下での第1の光検出器50Aのバイアスに対応する。従って、これにより、第1の光検出器50Aが光生成電荷を統合することが可能になる。電位Vtop_C1による第1の光検出器50Aのバイアスに関する上記の説明は、電位Vtop_C2による第2の光検出器50Bのバイアスの動作の説明に置き換えられる。
【0084】
時点t1で、距離の測定が望まれる一又は複数の物体を含むシーンに向けて第1の赤外光パルスが放射され始め(IR光を放射する)、これによりシーンの深度マップを取得することができる。第1の赤外光パルスは、tONで記される持続時間を有する。時点t1で、信号RSTが低状態に設定されるため、ピクセル50のリセットトランジスタ210がオフになり、電位Vtop_C2が高レベルに設定される。
【0085】
電位Vtop_C1が低レベルにあるとき、時点t1で、画像センサ5のピクセル50の第1の光検出器50Aで、ITAと記される第1の統合段階が開始される。ピクセルの統合段階は、ピクセルが入射放射の影響下で電荷を収集する段階を示す。
【0086】
時点t1に続く、時点t1からtDと記された期間だけ離れた時点t2で、ピクセル50までの距離の測定が望まれるシーンの物体又は物体の点による第1の赤外光パルスの反射から生じる第2の赤外光パルスを受け始める(IR光を受ける)。従って、期間tDは、物体からセンサ5までの距離の関数である。次に、CCAと記された第1の電荷収集段階が、第1の光検出器50Aで開始される。第1の電荷収集段階は、光検出器50Aにおいて、入射光の強度に比例して、すなわち、第2のパルスの光強度に比例して電荷が生成される期間に相当する。第1の電荷収集段階により、読み出し回路60AのノードFD_1Aで電位VFD_1Aのレベルが低下する。
【0087】
本例では時点t2に続く、時点t1から期間tONだけ離れた時点t3で、第1の赤外光パルスの放射が停止される。電位Vtop_C1は同時的に高レベルに設定され、従って、第1の統合段階、ひいては第1の電荷収集段階の終了を示す。
【0088】
同時的に、電位Vtop_C2は低レベルに設定される。次に、画像センサ5のピクセル50の第2の光検出器50Bにおいて、時点t3で、ITBと記された第2の統合段階が開始される。第2の光検出器50Bが第2の光パルスから生じる光を受ける場合、CCBと記された第2の電荷収集段階が、更に時点t3で開始される。第2の電荷収集段階により、読み出し回路60BのノードFD_1Bで電位VFD_1Bのレベルが低下する。
【0089】
時点t3に続く、時点t2からtONに実質的に等しい期間だけ離れた時点t4で、第2の光パルスがピクセル50の第2の光検出器50Bによって取り込まれることを停止する。その後、第2の電荷収集段階は時点t4で終了する。
【0090】
時点t4に続く時点t5で、電位Vtop_C2は高レベルに設定される。従って、これは第2の統合段階の終了を示す。
【0091】
時点t5と時点t5の後の時点t6との間で、画像センサ5のピクセルのフォトダイオードによって収集された電荷の量を測定する、RTと記された読み出し段階が実行される。この目的のために、画像センサ5のピクセル行は、例えば順次、読み取られる。図4の例では、信号SEL_R1及び信号SEL_R2が連続して高状態に設定され、画像センサ5のピクセル50及びピクセル52が交互に読み取られる。
【0092】
時点t6から時点t6の後の時点t1’まで、新しいリセット段階(リセット)が開始される。信号RSTは高状態に設定されるため、ピクセル50のリセットトランジスタ210がオンになる。その後、フォトダイオード50A及びフォトダイオード50Bに蓄積された電荷は、電位Vrstの供給源に向かって放電される。
【0093】
放射する第1の光パルスの開始を、受ける第2の光パルスの開始から隔てる期間tDは、以下の式によって計算される。
[数式1]
tD=(tON×△VFD_1B)/(△VFD_1A+△VFD_1B)
【0094】
上記の式において、△VFD_1Aと記された量は、第1の光検出器50Aの統合段階中の電位VFD_1Aの低下に対応する。同様に、△VFD_1Bと記された量は、第2の光検出器50Bの統合段階中の電位VFD_1Bの低下に対応する。
【0095】
時点t1’で、第2の光パルスの放射によって新しい距離推定が開始される。新しい距離推定には、時点t2及び時点t4と夫々同様の時点t2’及び時点t4’が含まれる。
【0096】
画像センサ5の動作は、同じピクセルの第1及び第2の光検出器が非同期的に駆動される飛行時間モードでの動作例に関連して上記に示されている。画像センサ5の利点は、画像センサが他のモード、特に同じピクセルの第1及び第2の光検出器が同期的に駆動されるモードでも動作し得ることである。画像センサ5は例えば、グローバルシャッタモードで駆動されてもよく、すなわち、画像センサ5は、第1及び第2の光検出器の統合段階の開始及び終了が同時的である画像取得方法を実施してもよい。
【0097】
従って、画像センサ5の利点は、異なるモードに応じて交互に動作し得ることである。画像センサ5は例えば、飛行時間モードとグローバルシャッタ画像化モードとで交互に動作してもよい。
【0098】
実施モードによれば、画像センサ5の第1及び第2の光検出器の読み出し回路は、他の動作モードで交互に駆動され、例えば、画像センサ5が、
赤外線スペクトルの一部で、
構造化光で、
例えば、ピクセル毎に第1の光検出器の1つの統合時間が第2の光検出器の統合時間より長いことを確実とする、ハイダイナミックレンジイメージング(HDR)で、及び/又は
バックグラウンド抑制で
動作することができるモードで交互に駆動される。
【0099】
従って、画像センサ5によって実施することができる様々な画像化モードで同じ数のピクセルが使用されるので、画像センサ5を使用して、解像度を失うことなく異なるタイプの画像を形成してもよい。同じピクセルアレイ及び読み出し回路に複数の機能を統合することができる画像センサ5の使用は、特に、電子デバイスの小型化の現在の制約、例えば、スマートフォンの設計及び製造の制約に対応することを可能にする。
【0100】
図5から図16は以下に、図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施モードの連続する工程を示す。簡略化のために、図5から図16に関連して以下で説明することは、画像センサ5のピクセルの一部、例えば、画像センサ5のピクセル52の第1の光検出器52A及び第3の光検出器52Cの形成を示す。しかし、この方法は、画像センサ5と同様の画像センサのあらゆる数の光検出器及びピクセルの形成に拡張されてもよいことを理解されたい。
【0101】
図5は、図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施モードの工程の部分的な簡略化断面図である。
【0102】
この実施形態によれば、この方法は、ピクセル52の読み出し回路(図示せず)を特に含むCMOS支持体8を準備することによって開始される。CMOS支持体8は、接触要素82A、82Cを上面80に更に有する。接触要素82A、82Cは、図5の断面図では「T」字形状を有し、
水平部分が、CMOS支持体8の上面80に延び、
垂直部分が、CMOS支持体8の上面80から下向きに延びて、読み出し回路(図示せず)に連結又は接続されたCMOS支持体8の下側の金属化レベル(図示せず)に接触する。
【0103】
接触要素82A、82Cは、例えば、CMOS支持体8の上面80に形成された導電性トラック(接触要素82A、82Cの水平部分)、及び導電性トラックに接触する導電性ビア(接触要素82A、82Cの垂直部分)から形成される。導電性トラック及び導電性ビアは、金属材料、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)、又は窒化チタン(TiN)で形成されてもよい。導電性トラック及び導電性ビアは、単層構造又は多層構造を有してもよい。導電性トラックが多層構造を有する場合、導電性トラックは、絶縁層によって分離された導電層の積層体によって形成されてもよい。そのため、ビアは絶縁層を横切る。導電層は、上記の金属材料で形成されてもよく、絶縁層は窒化ケイ素(SiN)又は酸化ケイ素(SiO2 )で形成されてもよい。
【0104】
この同じ工程の間に、CMOS支持体8の表面80に存在する可能性のある不純物を除去すべく、CMOS支持体8を清浄化する。清浄化を、例えばプラズマによって実行する。従って、清浄化によって、以下の図に関連して詳述される一連の連続的な堆積を実行する前に、CMOS支持体8の十分な清浄度が得られる。
【0105】
本開示の残りの部分では、図6から図16に関連して説明される方法の実施モードは、CMOS支持体8の上面80の上側で行う動作のみを含む。従って、図6から図16のCMOS支持体8は好ましくは、プロセス全体で図5に関連して説明したようなCMOS支持体8と同一である。簡略化のために、CMOS支持体8は、以下の図で再度詳しく説明されない。
【0106】
図6は、図5に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施モードの別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0107】
この工程の間に、接触要素82A、82Cの表面に電子注入材料を堆積させる。接触要素82A、82Cの表面に好ましくは選択的に結合する材料を好ましくは堆積させて、自己組織化単層(SAM)を形成する。従って、この堆積物は、接触要素82A、82Cの自由上面を好ましくは覆うか又は自由上面のみを覆う。従って、図6に示されているように、
ピクセル52の第1の有機光検出器52Aの下部電極522A、及び
ピクセル52の第3の有機光検出器52Cの下部電極522C
が形成される。
【0108】
変形例として、2つの隣り合う接触要素間に導電経路を形成することを回避するために十分低い横方向導電率を有する電子注入材料のフルプレート堆積を行う。
【0109】
下部電極522A、522Cは、電子注入層(EIL)及び光検出器52A、52Cを夫々形成する。下部電極522A、522Cは、光検出器52A、52Cのカソードとも称される。下部電極522A、522Cを、好ましくはスピンコーティング又はディップコーティングによって形成する。
【0110】
下部電極522A、522Cを形成する材料は、
金属又は金属合金、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)若しくはクロム(Cr)、又はマグネシウムと銀との合金(MgAg)、
透明導電性酸化物(TCO)、特にインジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、ITO/Ag/ITO多層、ITO/Mo/ITO多層、AZO/Ag/AZO多層、又はZnO/Ag/ZnO多層、
ポリエチレンイミン(PEI)ポリマ、又は、エトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)ポリマ、プロポキシル化ポリエチレンイミンポリマ、及び/若しくはブトキシル化ポリエチレンイミンポリマ、
炭素、銀、及び/又は銅ナノワイヤ、
グラフェン、並びに
これらの材料の少なくとも2つの混合物
を含む群から選択される。
【0111】
下部電極522A、522Cは、単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0112】
図7は、図6に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0113】
この工程の間に、第1の層520の非選択的堆積を、CMOS支持体8の上面80側で実行する。堆積は、第1の層がCMOS支持体8の上面80全体、並びに、接触要素82A、82C及び下部電極522A、522Cの自由表面を覆うので「フルプレート」堆積と称される。第1の層520の堆積を、好ましくはスピンコーティングによって実行する。
【0114】
この実施モードによれば、第1の層520は、ピクセル52の光検出器52A、52Cの今後の活性層520A、520Cを形成するように構成されている。ピクセル52の光検出器52A、52Cの活性層520A、520Cは、好ましくは第1の層520の組成及び厚さと同一の組成及び厚さを有する。
【0115】
第1の層520は、小分子、オリゴマ又はポリマを含んでもよい。これらは、特に量子ドットを含む有機材料又は無機材料であってもよい。第1の層520は、両極性半導体材料を含んでもよく、又は、例えば積層の形態若しくはバルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで均質な混合物の形態でN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を含んでもよい。第1の層520の厚さは、50nmから2μmの範囲、例えば300μm程度であってもよい。
【0116】
第1の層520を形成することができるP型半導体ポリマの例は、
ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、
ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-ジ-2-チエニル-2’,1’,3’-ベンゾチアジアゾール](PCDTBT);
ポリ[(4,8-ビス-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、
ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、及び
ポリ[2,6-(4,4-ビス-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)
である。
【0117】
第1の層520を形成することができるN型半導体材料の例は、フラーレン、特にC60、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO)、又は量子ドットの形成を可能にするナノ結晶である。
【0118】
図8は、図7に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0119】
この工程の間に、第2の層524の非選択的堆積を、CMOS支持体8の上面80側で実行する。堆積は、第2の層が第1の層520の上面全体を覆うので「フルプレート」堆積と称される。第2の層524の堆積を、好ましくはスピンコーティングによって行う。
【0120】
この実施モードによれば、第2の層524は、ピクセル52の光検出器52A、52Cの今後の上部電極524A、524Cを形成するように構成されている。ピクセル52の光検出器52A、52Cの上部電極524A、524Cは、好ましくは第2の層524の組成及び厚さと同一の組成及び厚さを有する。
【0121】
第2の層524は、第2の層が受ける光放射に対して少なくとも部分的に透明である。第2の層524は、透明な導電性材料、例えば、透明な導電性酸化物(TCO)、カーボンナノチューブ、グラフェン、導電性ポリマ、金属、又は、これらの化合物の少なくとも2つの混合物若しくは合金で形成されてもよい。第2の層524は、単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0122】
第2の層524を形成することができるTCOの例は、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、及びガリウム亜鉛酸化物(GZO)、窒化チタン(TiN)、酸化モリブデン(MoO3 )、及び酸化タングステン(WO3 )である。第2の層524を形成することができる導電性ポリマの例は、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムの混合物であるPEDOT:PSSとして知られるポリマ、並びにPAniとも称されるポリアニリンである。第2の層524を形成することができる金属の例は、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル、チタン、及びクロムである。第2の層524を形成することができる多層構造の例は、AZO/Ag/AZOタイプの多層AZO・銀構造である。
【0123】
第2の層524の厚さは、10nmから5μmの範囲、例えば60μm程度であってもよい。第2の層524が金属である場合、第2の層524の厚さは、20nm以下、好ましくは10nm以下である。
【0124】
図9は、図8に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0125】
この工程の間に、今後の光検出器52A、52Cを後続の工程のために保護する。このような保護を、例えば、
第2の層524の上面全体に、フォトリソグラフィフォトレジストで形成された第3の層526(第3の層の2つの部分526A、526Cのみが工程の終了の際に残り、図示されている)を堆積させる第1の動作、
マスクを通して第3のフォトレジスト層526を照射する第2の動作、及び
(ネガ型フォトレジストで形成された第3の層526の場合)第3の層526の非照射部分を溶媒を用いて除去して、第3の層526の(ネガ型フォトレジストの場合に照射された)第1の部分526Aのみを第1のフォトダイオード52Aの位置に保持し、第3の層526の(ネガ型フォトレジストの場合に照射された)第2の部分526Cのみを第3のフォトダイオード52Cの位置に保持する第3の動作
により実行する。第3の層526がポジ型フォトレジストから形成される場合、第3の層526の照射部分を除去する。
【0126】
図10は、図9に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0127】
この工程の間に、エッチング動作を、例えば反応性イオンエッチング(RIE)によって実行し、第2の層524及び第1の層520の非保護領域を除去する。異方性エッチングを好ましくは実行するため、異方性エッチングにより、好ましくは(又は選択的に、又は大部分)第2の層524及び第1の層520の水平領域を層524、520の垂直領域に対して消失させる。
【0128】
従って、第3の層526の第1の部分526A及び第2の部分526Cで覆われていない層520、524の部分は除去されて、図10に示されているように、
ピクセル52の第1の光検出器52Aの活性領域520A、
ピクセル52の第1の光検出器52Aの上部電極524A、
ピクセル52の第3の光検出器52Cの活性領域520C、及び
ピクセル52の第3の光検出器52Cの上部電極524C
が形成される。
【0129】
上部電極524A、524Cは、光検出器52A、52Cの正孔注入層(HIL)を夫々形成する。上部電極524A、524Cは、光検出器52A、52Cのアノードとも称される。
【0130】
図11は、図10に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0131】
この工程の間に、第3の層526の第1の部分526A及び第2の部分526Cを除去する。従って、これにより、
ピクセル52の第1の光検出器52Aの上部電極524Aの上面、及び
ピクセル52の第3の光検出器52Cの上部電極524Cの上面
が露出する。
【0132】
図12は、図11に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0133】
この工程の間に、今後の光検出器52Cを封止体528Cによって保護する。封止体528Cを、例えば、
構造の上面全体に、光パターン化可能な誘電体材料で形成された第4の層528(第4の層の一部528Cのみが工程の終了の際に残り、見える)を堆積させる第1の動作、
マスクを通して、第4の光パターン化可能な誘電体層528を照射する第2の動作、及び
第4の層528の非照射部分を溶媒を用いて除去して、第4の層528の(照射された)部分528Cのみを第3のフォトダイオード52Cの位置に保持する第3の動作
により形成する。従って、第3の光検出器52Cの活性層520C及び上部電極524Cによって形成される積層体の自由な上面及び側面は、第4の層528の部分528Cで完全に覆われる。そのため、第4の層528を形成する材料は、好ましくは負極性の樹脂である。
【0134】
図13は、図12に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0135】
この工程の間に、第5の層530の非選択的堆積を、CMOS支持体8の上面80側で実行する(「フルプレート」堆積)。この実施形態によれば、第5の層530は、ピクセル52の光検出器52Aの上部電極524Aを延ばすように構成されている。
【0136】
実施モードによれば、第5の層530は、図8に関連して説明されたような第2の層524の組成と同様の、好ましくは同一の組成を有する。そのため、第5の層530は、アクセス電極とも称される正孔輸送層(HTL)として機能する。
【0137】
別の実施モードによれば、第5の層530は、第2の層524の組成とは異なる組成を有する。
【0138】
図14は、図13に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0139】
この工程の間に、第6の層532の非選択的堆積を、CMOS支持体8の上面80側で実行する。堆積は、第6の層が第5の層530の上面全体を覆うので「フルプレート」堆積と称される。第6の層532は、好ましくは、光検出器を封止する前に平坦な上面を有する構造を得ることができる、いわゆる「平坦化」層である。
【0140】
第6の平坦化層532は、ポリマに基づく誘電体材料で形成されてもよい。平坦化層532は、変形例として窒化ケイ素(SiN)又は酸化ケイ素(SiO2 )を含んでもよく、この層は、スパッタリング、物理蒸着(PVD)又はプラズマ化学気相成長(PECVD)によって得られる。変形例として、平坦化層532を、交互に積み重ねられた窒化ケイ素層及び酸化ケイ素層を含む多層構造から形成して、例えばSiN/SiO2 /SiN/SiO2 型構造を形成する。
【0141】
平坦化層532を、フッ素化ポリマ、特にBellexによって商品名「Cytop」として商品化されたフッ素化ポリマ、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、パリレン、ポリイミド(PI)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フォトリソグラフィ樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で更に形成してもよい。
【0142】
図15は、図14に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0143】
この工程の間に、第7の層534を、CMOS支持体8の上面80側の構造全体に亘って堆積させる。第7の層534は、画像センサ5の有機光検出器を封止することを目的とする。従って、第7の層534は、水、又は周囲空気中に含まれる湿気にさらされることによる、画像センサ5の光検出器を形成する有機材料の劣化を回避することを可能にする。図15の例では、第7の層534は、第6の平坦化層532の自由上面全体を覆う。
【0144】
図16は、図15に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の実施形態の更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0145】
この工程の間に、ピクセル52のマイクロレンズ58を、光検出器52A、52B、52C、52Dと垂直に一列に形成する(光検出器52A、52Cのみが図16に示されている)。
【0146】
図2に関連して説明されたように、マイクロレンズ58を、シリカ、PMMA、ポジ型感光性樹脂、PET、PEN、COP、PDMS/シリコーン、又はエポキシ樹脂から形成してもよい。マイクロレンズ58を、レジストブロックを変形させることによって形成してもよい。マイクロレンズ58を、PET、PEN、COP、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂の層上に成型によって更に形成してもよい。
【0147】
図17は、図1及び図2の画像センサの面CC(図2)に沿った部分的な簡略化断面図である。
【0148】
図17では、画像センサ5のピクセル52の光検出器52A、52C及びピクセル50の光検出器50A、50Cのみが示されている。ピクセル50及びピクセル52は、画像センサ5の同じピクセル列に属する。図17の例では、ピクセル52の光検出器52A、52C及びピクセル50の光検出器50A、50Cは互いに分離されている。従って、各光検出器は、画像センサ5の同じ列に沿って、隣り合う光検出器から絶縁されている。
【0149】
図17の例では、
活性層500A、500C、520A、520Cは、互いに分離されており、
下部電極502A、502C、522A、522Cは、互いに分離されており、
ピクセル52の第1の光検出器52Aの上部電極524A及びピクセル52の第3の光検出器52Cの上部電極524Cは、第4の誘電体層528の一部528Cによって分離されており、
ピクセル50の第1の光検出器50Aの上部電極504A及びピクセル50の第3の光検出器50Cの上部電極504Cは、第4の誘電体層528の一部528Cと同様の一部508Cによって分離されており、
ピクセル52の第1の光検出器52Aの上部電極524A及びピクセル50の第1の光検出器50Aの上部電極504Cは、第5の層530によって分離されている。
【0150】
言い換えれば、画像センサ5のピクセルの同じ列に属するピクセルの全ての第3の光検出器は、共通の上部電極を有する。図17の例では、第5の層530は、第3の光検出器50C、52Cに共通の第3の上部電極を形成する。
【0151】
好ましい実施モードによれば、第5の層530が同じ列のピクセルの全ての第3の光検出器の共通の上部電極を更に形成するように、第5の層530の堆積を実行する。そのため、図17の例では、第5の層530は、図1に関連して説明されたように、ピクセル50の第3の光検出器50C、50D、及びピクセル52の第3の光検出器52C、52Dに共通の第3の上部電極を形成する。
【0152】
図18は、図1及び図2の画像センサ5の電極の実施形態を、図(A)、図(B)及び図(C)で示している。図(A)はここでは、図(B)及び図(C)の重ね合わせに相当する。
【0153】
図(A)は、
画像センサ5の第1の光検出器50A、52A、54A、56Aの上部電極504A、524A、544A、564A、
画像センサ5の第2の光検出器50B、52B、54B、56Bの上部電極504B、524B、544B、564B、
画像センサ5の第3の光検出器50C、52C、54C、56Cの上部電極504C、524C、544C、564C、及び
画像センサ5の第3の光検出器50D、52D、54D、56Dの上部電極504D、524D、544D、564D
を示す。
【0154】
この実施形態によれば、第3の光検出器の上部電極は、図(B)に示されている2つの別個の部分5360及び部分5362を有する同じ層536から形成される。層536の部分5360及び部分5362は、この例では「ジグザグ」構造を夫々形成する。従って、層536の部分5360は、画像センサ5の第1の列のピクセルの第3の光検出器に共通の電極を形成する。同様に、層536の部分5362は、画像センサ5の第2の列のピクセルの第3の光検出器に共通の電極を形成する。
【0155】
従って、層536の部分5360は、画像センサ5の第1の列のピクセル50、52の第3の光検出器50C、50D、52C、52Dの上部電極504C、504D、524C、524Dを連結する。同様に、層536の部分5362は、画像センサ5の第2の列のピクセル54、56の第3の光検出器54C、54D、56C、56Dの上部電極544C、544D、564C、564Dを連結する。
【0156】
第1の光検出器の上部電極は、(図17に関連して説明されたような)層530から形成され、層530の2つの別個の部分5300及び部分5302が図(C)に示されている。層530の部分5300及び部分5302は、この例ではストリップ片を夫々形成する。従って、層530の部分5300は、画像センサ5の第1の列のピクセルの第1の光検出器に共通の電極を形成する。同様に、層530の部分5302は、画像センサ5の第2の列のピクセルの第1の光検出器に共通の電極を形成する。
【0157】
従って、層530の部分5300は、画像センサ5の第1の列のピクセル50、52の第1の光検出器50A、52Aの上部電極504A、524Aを連結する。同様に、層530の部分5302は、画像センサ5の第2の列のピクセル54、56の第1の光検出器54A、56Aの上部電極544A、564Aを連結する。
【0158】
同様に、第2の光検出器の上部電極は同じ層538から形成され、層538の2つの別個の部分5380及び部分5382が図(C)に示されている。層538の部分5380及び部分5382は、この例ではストリップ片を夫々形成する。従って、層538の部分5380は、画像センサ5の第1の列のピクセルの第2の光検出器に共通の電極を形成する。同様に、層538の部分5382は、画像センサ5の第2の列のピクセルの第2の光検出器に共通の電極を形成する。
【0159】
従って、層538の部分5380は、画像センサ5の第1の列のピクセル50、52の第2の光検出器50B、52Bの上部電極504B、524Bを連結する。同様に、層538の部分5382は、画像センサ5の第2の列のピクセル54、56の第2の光検出器54B、56Bの上部電極544B、564Bを連結する。
【0160】
層530、層536及び層538は互いに絶縁されている。層536及び層530、538は、好ましくは同一平面上にない。これにより、画像センサ5の光検出器の異なる共通の上部電極間の絶縁を容易にすることができる。
【0161】
図19から図24は以下で、図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の別の実施モードの連続する工程を示す。簡略化のために、図19から図24に関連した以下の説明は、画像センサ5のピクセルの一部、例えば画像センサ5のピクセル52の第1の光検出器52A及び第3の光検出器52Cの形成を示す。しかし、この方法は、画像センサ5と同様の画像センサのあらゆる数の光検出器及びピクセルの形成に拡張されてもよいことを理解されたい。
【0162】
この他の実施モードの第1の工程は、図5から図7に関連して前述した実施モードの工程と同様である。簡略化のために、これらの工程は、以下に再度詳述されない。
【0163】
図19は、図7に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサを形成する方法の別の実施モードの工程の部分的な簡略化断面図である。
【0164】
この工程の間に、今後の光検出器52Aを、後続の工程のために保護する。このような保護を、例えば、
第1の層520の上面全体に、フォトリソグラフィフォトレジストで形成された第8の層531(第8の層531の一部531Aのみが工程の終了の際に残り、図示されている)を堆積させる第1の動作、
マスクを通して第8のフォトレジスト層531を照射する第2の動作、及び
第8の層531の(ネガ型フォトレジストで形成された第8の層531の場合)照射部分を溶媒を用いて除去して、第8の層531の(ポジ型フォトレジストの場合に照射されていない)一部531Aのみを第1のフォトダイオード52Aの位置に保持する第3の動作
によって実行する。
【0165】
図20は、図19に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサを形成する方法の他の実施モードの別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0166】
この工程の間に、エッチング動作を、例えばドライエッチング法(例えば、反応性イオンエッチングタイプのプラズマエッチング)によって実行し、第1の層520の非保護領域を除去する。異方性エッチングを好ましくは実行するため、異方性エッチングにより、好ましくは(又は選択的に、又は大部分)第1の層520の水平領域を第1の層520の垂直領域に対して消失させる。
【0167】
従って、第8の層531の一部531Aで覆われない第1の層520の部分、及び今後の第3の光検出器52Cの下部電極522Cが除去される。従って、図20に示されているように、ピクセル52の第1の光検出器52Aの活性層520Aが形成され、今後の第3の光検出器52Cの接触要素82Cが露出する。
【0168】
図21は、図2に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0169】
この工程の間に、今後の第3の光検出器52Cの下部電極522Cを元に戻すべく、堆積を接触要素82C上で実行する。好ましくは接触要素82Cの表面に選択的に結合する材料を、好ましくは堆積させて、自己組織化単層(SAM)を形成する。従って堆積物は、接触要素82Cの自由上面を好ましくは覆うか又は自由上面のみを覆う。
【0170】
次に、第9の層533の非選択的堆積を、CMOS支持体8の上面80側で実行する。この実施モードによれば、第9の層533は、ピクセル52の光検出器52C、52Dの今後の活性層520C、520Dを形成するように構成されている。ピクセル52の光検出器52C、52Dの活性層520C、520Dは、好ましくは、第9の層533の組成及び厚さと同一の組成及び厚さを有する。
【0171】
好ましい実施モードによれば、第9の層533の組成は、第1の層520の組成とは異なる。第1の層520は例えば、可視波長範囲を中心とする吸収波長を有する一方、第9の層533は、例えば約940nmの吸収波長を有する。
【0172】
図22は、図21に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0173】
この工程の間に、CMOS支持体8の上面80側で、フォトリソグラフィフォトレジストで形成された第10の層535(第10の層535の一部535Cのみが工程の終了の際に残り、図示されている)を堆積させる第1の動作を行う。第8の層531を形成すべく、図19に関連して説明された工程で使用したレジストと同じレジストを使用する。次に、マスクを通してこの第10のフォトレジスト層を照射する第2の動作を行う。その後、第10の層535の(ポジ型レジストで形成された第10の層535の場合)照射部分を溶媒を用いて除去して、第10の層535の(照射されていない)部分535Cのみを特に第3のフォトダイオード52Cの位置で保持する。
【0174】
その後、第10の層535の一部535Cによって保護されていない第9の層533の部分をエッチングする。従って、接触要素82A及び接触要素82Cの夫々の両側に位置する垂直開口部が、第9の層533に形成される。従って、第3の光検出器52Cの活性層520Cが形成される。
【0175】
図23は、図22に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0176】
この工程の間に、第8の層531及び第10の層535の残りの部分を、好ましくは溶媒に浸漬(ストリッピング)することによって除去する。特に、
ピクセル52の第1の光検出器52Aの活性層520Aを覆う、第8の層531の部分531A、及び
ピクセル52の第3の光検出器52Cの活性層520Cを覆う、第10の層535の部分535C
を除去する。
【0177】
図24は、図23に関連して説明されたような構造から図1及び図2の画像センサ5を形成する方法の他の実施モードの更に別の工程の部分的な簡略化断面図である。
【0178】
この工程の間に、
第1の光検出器52Aの上部電極524A、及び
第3の光検出器52Cの上部電極524C
を形成する。
【0179】
これらの電極を、好ましくは、図8から図11に関連して前述したように形成する。その後、画像センサ5を形成する方法を、図12から図16に関連して前述したように実行する。
【0180】
図25は、画像センサ9の別の実施形態の部分的な簡略化断面図である。
【0181】
図25に示されている画像センサ9は、図1及び図2に関連して説明された画像センサ5と同様である。画像センサ9は、主に次の点で画像センサ5とは異なる。
画像センサ9のピクセル50、52、54、56が、画像センサ9の同じ行又は同じ列に属する(一方、画像センサ5のピクセル50、52、54、56(図1)は、画像センサ5の2つの異なる行及び2つの異なる列に分散している)。
画像センサ9の各ピクセル50、52、54、56が、マイクロレンズ58の下であってパッシベーション層43の上にカラーフィルタ41R、カラーフィルタ41G又はカラーフィルタ41Bを有する。言い換えれば、図1では正方形に配置された4つの単色ピクセル50、52、54、56は、図25では並べて配置されている。
【0182】
より具体的には、図25の例では、画像センサ9は、
ピクセル50のマイクロレンズ58とパッシベーション層43との間に介在する第1の緑色フィルタ41G、
ピクセル52のマイクロレンズ58とパッシベーション層43との間に介在する赤色フィルタ41R、
ピクセル54のマイクロレンズ58とパッシベーション層43との間に介在する第2の緑色フィルタ41G、及び
ピクセル56のマイクロレンズ58とパッシベーション層43との間に介在する青色フィルタ41B
を備えている。
【0183】
この実施形態によれば、画像センサ9のカラーフィルタ41R、41G、41Bは、可視スペクトルとは異なる周波数範囲の電磁波を通して、赤外線スペクトルの電磁波を通す。カラーフィルタ41R、41G、41Bは着色樹脂ブロックに相当してもよい。各カラーフィルタ41R、41G、41Bは、例えば700nmから1mmの間の波長の赤外放射を通すことができ、カラーフィルタの少なくとも一部では可視光の波長範囲を通すことができる。
【0184】
取得するカラー画像のピクセル毎に、画像センサ9は、
赤外放射及び例えば430nmから490nmの波長範囲の青色光を通すことができるカラーフィルタ41Bを有する少なくとも1つのピクセル(例えば、ピクセル56)、
赤外放射及び例えば510nmから570nmの波長範囲の緑色光を通すことができるカラーフィルタ41Gを有する少なくとも1つのピクセル(例えば、ピクセル50及び54)、並びに
赤外放射及び例えば600nmから720nmの波長範囲の赤色光を通すことができるカラーフィルタ41Rを有する少なくとも1つのピクセル(例えば、ピクセル52)
を備えてもよい。
【0185】
図1及び図2に関連して説明された画像センサ5と同様に、画像センサ9の各ピクセル50、52、54、56は第1及び第2の光検出器を有し、第1及び第2の光検出器は、飛行時間によって距離を推定することができ、2つの第3の光検出器は画像を取り込むことができる。従って、各ピクセルは、図25に同じブロック(OPD)で非常に概略的に示されている4つの光検出器を備えている。より具体的には、図25では、
ピクセル50は、4つの有機光検出器(ブロック90、OPD)を備え、
ピクセル52は、4つの有機光検出器(ブロック92、OPD)を備え、
ピクセル54は、4つの有機光検出器(ブロック94、OPD)を備え、
ピクセル56は、4つの有機光検出器(ブロック96、OPD)を備えている。
【0186】
各ピクセル50、52、54、56の光検出器は同一平面上にあり、図3に関連して説明されているような読み出し回路に夫々関連付けられている。読み出し回路は、CMOS支持体8の最上部及び内部に形成されている。従って、画像センサ9は、例えば、飛行時間距離推定とカラー画像取込とを交互に実行することができる。
【0187】
実施形態によれば、画像センサ9のピクセルの第1、第2及び第3の光検出器の活性層は、可視スペクトル及び赤外線スペクトルの一部、好ましくは近赤外の電磁波を吸収することができる同じ材料で形成されている。そのため、画像センサ9を使用して、
例えば図4に関連して説明されたように、第1及び第2の光検出器の駆動による第1及び第2の光検出器に起因する飛行時間距離の推定結果、並びに
例えば同期的な第3の光検出器の駆動による第3の光検出器に起因するカラー画像
を交互に取得することができる。
【0188】
この実施形態の利点は、カラー画像の形成中に各ピクセルの4つの光検出器が使用されるので、画像センサ9がより高い感度を有するということである。
【0189】
別の実施形態によれば、画像センサ9のピクセルの第1及び第2の光検出器の活性層は、第3の光検出器の活性層を形成する材料とは異なる材料で形成される。この実施形態によれば、
第1及び第2の光検出器の活性層を形成する材料は、赤外線スペクトルの一部、好ましくは近赤外の電磁波を吸収することができ、
第3の光検出器の活性層を形成する材料は、近赤外放射に対して透明である一方、可視スペクトルの電磁波を吸収することができる。
【0190】
従って、画像センサ9を使用して、同時的に又は交互に、
例えば図4に関連して説明されたように、第1及び第2の光検出器の駆動による第1及び第2の光検出器に起因する飛行時間距離の推定結果、並びに
例えば同期的な第3の光検出器の駆動による第3の光検出器に起因するカラー画像
を取得することができる。
【0191】
この他の実施形態の利点は、画像センサ9が、飛行時間距離推定から得られる情報をカラー画像に重ね得るということである。従って、例えば、対象のカラー画像を生成して、考慮するピクセルによって表現される対象の領域から画像センサ9を隔てる距離を表す情報をカラー画像のピクセル毎に含めることを可能にする画像センサ9の動作の実施モードを想定することが可能である。換言すれば、画像センサ9は、物体、顔、シーンなどの表面の3次元画像を形成してもよい。
【0192】
様々な実施形態、実施モード及び変形例が記載されている。当業者は、これらの様々な実施形態、実施モード及び変形例のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に想起される。
【0193】
最後に、記載された実施形態、実施モード及び変形例の実際の実施は、上述されている機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。特に、例えば、追加光を伴う又は伴わない赤外画像の形成、バックグラウンド抑制を伴う画像の形成、及びハイダイナミックレンジ画像の形成(同時HDR)のために画像センサ5及び画像センサ9の読み出し回路の駆動を他の動作モードに適合させることは、上記の表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0194】
本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる仏国特許出願第19/08252 号明細書の優先権を主張する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18(A)】
図18(B)】
図18(C)】
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】