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特表2022-541589テクスチャー付き吸着シート、それらを含むアセンブリー、およびそれらを製造するためのモールド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】テクスチャー付き吸着シート、それらを含むアセンブリー、およびそれらを製造するためのモールド
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/28 20060101AFI20220915BHJP
   F02M 25/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B01J20/28 Z
F02M25/08 311D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503906
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020043092
(87)【国際公開番号】W WO2021016362
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/877,125
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】594193793
【氏名又は名称】カルゴン カーボン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】グリーンバンク、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スケリヨ、ジェフリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スメルズ、マシュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】トランポッシュ、ウォルター ジー.
【テーマコード(参考)】
3G144
4G066
【Fターム(参考)】
3G144BA20
3G144GA08
4G066AA04B
4G066AA05B
4G066AA20B
4G066AA22B
4G066AA23B
4G066AA61B
4G066AA63B
4G066AA70B
4G066AC13D
4G066AC15D
4G066AC17D
4G066AC22D
4G066AC23D
4G066AC24D
4G066AC26D
4G066AC27D
4G066BA01
4G066BA03
4G066BA20
4G066CA51
4G066DA09
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 テクスチャー付き吸着剤シートは、従来のシート、システム、キャニスター、および他の排出制御装置よりも、蒸気吸着用途でのパフォーマンスを向上させる。テクスチャー付き吸着剤シートは、小型で軽量のシステム、キャニスターの一部として形成されることができ、または燃料タンク内に一体化されることができる。いくつかの実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは活性炭を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャー付き吸着剤シートであって、
吸着剤およびバインダーを含むテクスチャー付き吸着剤シートが画成され、前記テクスチャー付き吸着剤シートは上面および下面を画成し、前記上面および前記下面のうちの少なくとも一つは、一連の丘と谷によって画成されるテクスチャーを備える、テクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項2】
前記テクスチャー付き吸着剤シートは、約1mm未満、約0.1mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.90mm、約0.5~約0.95mm、約0.5~約0.90mmから選択される谷で測定される厚さ、またはこれらの例の範囲に包含される任意の個々の厚さもしくは範囲を有する、請求項1に記載のテクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項3】
前記テクスチャー付き吸着剤シートは、約1.0~約1.5mm、約1.4mm、約1.3mm、約1.2mmから選択される丘もしくはピークにおいて測定される厚さ、またはこれらの値のうちの任意の二つによって包含される任意の個々の厚さもしくは範囲を有してもよい、請求項1に記載のテクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項4】
丘の先端から谷の底部までの距離は、約1.0mm~約0.1mm、約0.5mm~約0.1mm、約0.4mm、約0.3mm、約0.2mmから選択される、またはこれらの値のうちの任意の二つによって包含される任意の個々の距離もしくは範囲である、請求項1に記載のテクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項5】
前記上面および前記下面のそれぞれは、一連の丘および谷によって画成されるテクスチャーを備える、請求項1に記載のテクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項6】
前記上面のテクスチャーは前記下面のテクスチャーと同一である、請求項5に記載のテクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項7】
前記上面のテクスチャーは前記下面のテクスチャーと異なる、請求項5に記載のテクスチャー付き吸着剤シート。
【請求項8】
テクスチャー付き吸着剤シート製品であって、
請求項1に記載の少なくとも二つのテクスチャー付き吸着剤シートを備え、
各テクスチャー付き吸着剤シートは、前記別々のシートの隣接する上面および下面が実質的に平行であるように、および前記隣接する上面と下面との間で少なくとも流体が流れるように配置されるように、積層されおよび配置される、テクスチャー付き吸着剤シート製品。
【請求項9】
前記テクスチャー付き吸着剤シートのうちの少なくとも一つは、フラットであり、らせん状のシリンダーに巻回され、楕円形に巻回され、細長い長方形の棒に巻回され、折り畳まれ、「S」形状にラミネートされ、同心円筒として形成され、同心楕円として形成され、同心長方形棒として形成されるように、またはこれらの形態の組み合わせとして構成される、請求項8に記載のテクスチャー付き吸着剤シート製品。
【請求項10】
前記丘および谷の部分は隣接するシート上に存在し、入れ子になっている、請求項8に記載のテクスチャー付き吸着剤シート製品。
【請求項11】
前記凸部および/または凹部は隣接するシート上に存在し、入れ子になっていない、請求項8に記載のテクスチャー付き吸着剤シート製品。
【請求項12】
巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品であって、
請求項1に記載のテクスチャー付き吸着剤シートを備え、
前記テクスチャー付き吸着剤シートはらせん状に巻かれ、隣接するシート層を形成し、隣接するシート層の周りおよびそれらの間で流体が流れる、巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品。
【請求項13】
前記巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品は、その直径よりも大きい長さを有する略円筒形状を有する、請求項12に記載の巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品。
【請求項14】
蒸気吸着キャニスターであって、
請求項8に記載の前記テクスチャー付き吸着剤シート製品と、
前記テクスチャー付き吸着剤シート製品を少なくとも部分的に封入するハウジングと、を備える、蒸気吸着キャニスター。
【請求項15】
前記ハウジングは可撓性である、請求項14に記載の蒸気吸着キャニスター。
【請求項16】
蒸気吸着キャニスターであって、
巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品と、
前記巻かれたテクスチャー付き吸着剤を少なくとも部分的に封入するハウジングと、を備える、蒸気吸着キャニスター。
【請求項17】
一体型蒸気吸着を有するタンクであって、
タンク構造体と、
請求項1に記載の少なくとも一つのテクスチャー付き吸着剤シートと、
前記テクスチャー付き吸着剤シートをタンク内に収容された揮発性液体に定期的に浸漬されない前記タンクの表面に固定する少なくとも一つの固定装置と、を備える、一体型蒸気吸着を有するタンク。
【請求項18】
前記固定装置は、前記テクスチャー付き吸着剤シートの一つの表面と前記タンクの壁との間に形成される接着剤層である、請求項17に記載の一体型蒸気吸着を有するタンク。
【請求項19】
請求項1に記載の前記テクスチャー付き吸着剤シートを備える、車載給油蒸気回収装置。
【請求項20】
請求項12に記載の前記巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品を備える、車載給油蒸気回収装置。
【請求項21】
請求項16に記載の前記蒸気吸着キャニスターを備える、車載給油蒸気回収装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2019年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/877,125号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
活性炭シートは透過性が非常に低いため、フロースルー配列ではなくフローアクロス配列で使用される。これらのシートは、積層されるまたはらせん状に巻回されることでき、シート間に気体または液体の流れのための空隙を自然に生成することができる。滑らかなフラットシートを使用することにより、これらのスタックおよびスパイラルは、10%という低い空隙率でしっかり巻回された構成で物理的に安定している。圧力損失を低減するために、より高い空隙率を使用できるが、このような場合、シートスタックまたはシートスパイラルがずれて外れる可能性があり、シート間隔が不均一になり、圧力損失が大きくなり、流れの分布が不均一になる。
【0003】
波形にすることとは、材料を絞ったり曲げたりしてひだ状にすることを指す。波形シート、波形シートとフラットシートの組み合わせ、またはディンプルパターンがそれらにプレスされたシートもまた、波形またはプレスされたパターンがフラットシートに戻る緩和のために安定していなかった。これら全ての場合において、シートの厚さは元のフラットシートと同じであるが、フラットシート上に起波形の起伏またはディンプルパターンが押されている。これらの技術は製紙業界から借用したものである。その結果、空隙率が10%を超える物理的に不安定な積層されたまたはらせん状のシート構成に再びなった。固有の問題は、波形またはディンプルのある活性炭シートが、波形の場合は波形が減少または除去された状態に、およびディンプルの場合は元のフラットシートと同じ厚さに、緩和されて元のフラットシートに戻る可能性があることであった。
【0004】
二つの平面スペーサーおよび/または多孔性/透過性のセパレーターはまた、これらの問題を克服するために巻回または層状吸着器の一部として使用されることができるが、それらは、吸着の利点なしに吸着器に体積を追加する。
【0005】
これらの概念およびその他の概念は、2018年1月31日に出願された「SORBENT DEVICES」と題する米国特許出願第15/885317号に記載され、その全体は参照によりここに組み込まれる。本開示は、特に、より厚い、テクスチャー付きカーボンシート、それらを製造するためのモールド、および巻かれたまたは積層された構成を含むアセンブリーを提供することによって、これらの概念をさらに改善する。本出願は、様々な実施形態を開示するが、本開示を読むと当業者に明らかであるように、記載された実施形態に限定されない。
【発明の概要】
【0006】
この要約は、本発明の性質および実体を簡潔に示す本発明の要約を要求する、37 C.F.R.§1.73に従って提供される。特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを理解した上で提出される。
【0007】
一実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートであって、吸着剤およびバインダーを含むテクスチャー付き吸着剤シートが画成され、テクスチャー付き吸着シートは上面および下面を画成し、上面および下面のうちの少なくとも一つは一連の丘と谷によって画成されるテクスチャーを備えるテクスチャー付き吸着剤シートである。
【0008】
別の実施形態では、テクスチャー付き吸着剤は、約1mm未満、約0.1mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.90mm、約0.5~約0.95mm、約0.5~約0.90mmから選択される谷で測定される厚さ、またはこれらの例の範囲に包含される任意の個々の厚さもしくは範囲を有する。
【0009】
別の実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは、約1.0~約1.5mm、約1.4mm、約1.3mm、約1.2mmから選択される丘もしくはピークにおいて測定される厚さ、またはこれらの値のうちの任意の二つによって包含される任意の個々の厚さもしくは範囲を有してもよい。
【0010】
別の実施形態では、丘の先端から谷の底部までの距離は、約1.0mm~約0.1mm、約0.5mm~約0.1mm、約0.4mm、約0.3mm、約0.2mmから選択される、またはこれらの値のうちの任意の二つによって包含される任意の個々の距離もしくは範囲である。
【0011】
別の実施形態では、上面および下面のそれぞれは、一連の丘および谷によって画成されるテクスチャーを備える。
【0012】
別の実施形態では、上面のテクスチャーは、下面のテクスチャーと同一である。
【0013】
別の実施形態では、上面のテクスチャーは、下面のテクスチャーとは異なる。
【0014】
一実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シート製品であり、第一の実施形態による少なくとも二つのテクスチャー付き吸着剤シートを備え、各テクスチャー付き吸着剤シートは、別のシートの隣接する上面および下面が実質的に平行であり、少なくとも隣接する上面と下面の間で流体が流れるように配置されるように積層されおよび配置される。
【0015】
別の実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートのうちの少なくとも一つは、フラットであり、らせん状のシリンダーに巻回され、楕円形に巻回され、細長い長方形の棒に巻回され、折り畳まれ、「S」形状にラミネートされ、同心円筒として形成され、同心楕円として形成され、同心長方形棒として形成されるように、またはこれらの形態の組み合わせとして構成される。
【0016】
別の実施形態では、丘および谷の部分は、隣接するシート上に存在し、入れ子になっている。
【0017】
別の実施形態では、凸部および凹部は、隣接するシート上に存在し、入れ子になっていない。
【0018】
一実施形態では、巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品であり、第一の実施形態によるテクスチャー付き吸着剤シートを備え、テクスチャー付き吸着剤シートはらせん状に巻回されて隣接するシート層を形成し、隣接するシート層の周りおよびそれらの間で流体が流れるのを可能にする。
【0019】
別の実施形態では、巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品は、その直径よりも大きい長さを有する略円筒形状を有する。
【0020】
別の実施形態では、蒸気吸着キャニスターであり、前の実施形態のテクスチャー付き吸着剤シート製品、およびテクスチャー付き吸着剤シート製品を少なくとも部分的に封入するハウジングを備える。
【0021】
別の実施形態では、前の実施形態の蒸気吸着キャニスターであり、ハウジングは可撓性である。
【0022】
一実施形態では、巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品、および巻かれたテクスチャー付き吸着剤を少なくとも部分的に封入するハウジングである。
【0023】
一実施形態では、一体型蒸気吸着を備えるタンクであり、タンク構造体、および第一の実施形態による少なくとも一つのテクスチャー付き吸着剤シート、およびテクスチャー付き吸着剤シートをタンク内に含まれる揮発性液体に定期的には浸漬されていないタンクの表面に固定する少なくとも一つの固定装置、を備える。
【0024】
別の実施形態では、固定装置は、テクスチャー付き吸着剤シートの一つの表面とタンクの壁の間に形成される接着剤層である。
【0025】
別の実施形態では、前の実施形態のテクスチャー付き吸着剤シートを備える、車載給油蒸気回収装置である。
【0026】
別の実施形態では、前の実施形態の巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品を備える装置である。
【0027】
一実施形態では、前の実施形態の蒸気吸着キャニスターを備える車載給油蒸気回収装置である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、菱形モールドのトップ面のプロファイル図である。
図2図2は、菱形モールドの側面図である。
図3図3は、菱形モールドの底面図である。
図4図4は、ラウンドリブスタイル#1モールドのトップ面のプロファイル図である。
図5図5は、ラウンドリブスタイル#1モールドの側面図である。
図6図6は、ラウンドリブスタイル#1モールドの底面図である。
図7図7は、ラウンドリブスタイル#2モールドのトップ面のプロファイル図である。
図8図8は、ラウンドリブスタイル#2モールドの側面図である。
図9図9は、ラウンドリブスタイル#2モールドの底面図である。
図10図10は、ラウンドリブスタイル#3モールドのトップ面のプロファイル図である。
図11図11は、ラウンドリブスタイル#3モールドの側面図である。
図12図12は、ラウンドリブスタイル#3モールドの底面図である。
図13図13は、ラウンドリブスタイル#4モールドのトップ面のプロファイル図である。
図14図14は、ラウンドリブスタイル#4モールドの側面図である。
図15図15は、トライアングルリブスタイル#1モールドのトップ面のプロファイル図である。
図16図16は、トライアングルリブスタイル#1モールドの側面図である。
図17図17は、トライアングルリブスタイル#1モールドの底面図である。
図18図18は、トライアングルリブスタイル#2モールドのトップ面のプロファイル図である。
図19図19は、トライアングルリブスタイル#2モールドの側面図である。
図20図20は、片面テクスチャーラウンドリブスタイル#1および強度を追加するためのテクスチャー付きバッキングを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図21図21は、ラウンドリブスタイル#1モールドで作られた片面テクスチャー、および強度を追加するためのテクスチャー付きバッキングを備えるカーボンシートの側面図である。
図22図22は、ラウンドリブスタイル#3モールドで作られた片面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図23図23は、ラウンドリブスタイル#3モールドで作られた片面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図24図24は、ラウンドリブスタイル#4モールドで作られた片面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図25図25は、ラウンドリブスタイル#4モールドで作られた片面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図26図26は、ラウンドリブスタイル#1モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図27図27は、ラウンドリブスタイル#1モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図28図28は、ラウンドリブスタイル#4モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図29図29は、ラウンドリブスタイル#4モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図30図30は、ラウンドリブスタイル#4モールドで作られた両面テクスチャーを備え、モールドが互いにオフセットされたカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図31図31は、ラウンドリブスタイル#4モールドで作られた両面テクスチャーを備え、モールドが互いにオフセットされたカーボンシートの側面図である。
図32図32は、トップ面上は菱形モールドで作られ、底部上はトライアングルリブスタイル#1モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図33図33は、トップ面上は菱形モールドで作られ、底部上はトライアングルリブスタイル#1モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートの側面図である。
図34図34は、トップ面上は菱形モールドで作られ、底部上はラウンドリブスタイル#2モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図35図35は、トップ面上は菱形モールドで作られ、底部上はラウンドリブスタイル#2モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートの側面図である。
図36図36は、トップ面上は菱形モールドで作られ、底部上はラウンドリブスタイル#4モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図37図37は、トップ面上は菱形モールドで作られ、底部上はラウンドリブスタイル#4モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートの側面図である。
図38図38は、トップ面上はラウンドリブスタイル#3モールドで作られ、底部上はトライアングルリブスタイル#2モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図39図39は、トップ面上はラウンドリブスタイル#3モールドで作られ、底部上はラウンドリブスタイル#2モールドで作られたコンビネーションパターンを備えるカーボンシートの側面図である。
図40図40は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られた片面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図41図41は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られた片面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図42図42は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図43図43は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図44図44は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られ、薄いカーボンシートから作られた垂直なモールドを備えた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図45図45は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られ、薄いカーボンシートから作られた垂直なモールドを備えた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのプロファイル図である。
図46図46は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られ、厚いカーボンシートから作られた垂直なモールドを備えた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図47図47は、トライアングルリブスタイル#1モールドで作られ、厚いカーボンシートから作られた垂直なモールドを備えた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのプロファイル図である。
図48図48は、菱形モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートのトップ面のプロファイル図である。
図49図49は、菱形モールドで作られた両面テクスチャーを備えるカーボンシートの側面図である。
図50図50は、ここに開示される特定の実施形態について、65LPMでのΔP/g炭素のグラフである。
図51図51Aは、ここに開示される実施形態の構成の画像である。 図51Bは、ここに開示される実施形態の構成の画像である。 図51Cは、ここに開示される実施形態の構成の画像である。
図52図52は、ここに開示される特定の実施形態について、70LPMでのΔP/g炭素のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の組成物および方法を説明する前に、本発明は、記載されている特定のプロセス、組成物、または方法論に、これらは変化する可能性があるので限定されないことを理解されたい。また、説明で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、ここで好ましい方法、装置、および材料を説明する。本明細書に言及される全ての刊行物は、参照することによりその全てが組み込まれる。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明によるこのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0030】
また、本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数形を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「燃焼チャンバー」への言及は、「一つまたは複数の燃焼チャンバー」および当業者に公知のその等価物等への言及である。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、使用される数値のプラスまたはマイナス10%の数値を意味する。したがって、約50%は、45%~55%の範囲であることを意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「吸着剤」は、液体および/もしくはガスを吸着ならびに/または吸収することができる任意のソースからの全ての既知の材料を包含することを意味する。例えば、吸着剤としては、活性炭、天然および合成ゼオライト、シリカ、シリカゲル、アルミナ、ジルコニア、ならびに珪藻土が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用する場合、複数の吸着剤シートの説明および特許請求の範囲は、側面および/または表面が互いに近接している、複数の分離されたシートが存在することを意味する。あるいは、複数の吸着剤シートの説明および特許請求の範囲は、単一のシートのみが存在するが、それは、それ自体に巻回されて、または折り畳まれて、互いに近接しているシートの側面および/もしくは表面を有するシートの積層された、巻回された、または他の方法で構築された塊をもたらすことを意味する。またこの用語は、複数のシートが一緒に積層され、そして巻回されているまたは折り畳まれて、単一の塊の中に交互に層を形成することも想定する。
【0034】
本発明の実施形態は、吸着剤材料の一つまたは複数のテクスチャー付きシートを含む装置、ならびにテクスチャー付き吸着剤シートを作製するためのモールドおよび方法、ならびにこれらのシートを備える装置に関する。様々な実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは、吸着剤およびバインダーから構成され、シートの一部が加圧されて、所望の断面サイズおよび形状の丘および谷を作製することを可能にするのに十分な厚さを有することができる。様々な実施形態の装置は、ハウジングおよびテクスチャー付き吸着剤シートのうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0035】
非常に厚い、例えば1.25mmを超える活性炭シートは、モールドの平坦な表面とテクスチャー付き表面との間でプレスされた。シートの全体の平均の厚さが減少され、シートの片面にのみテクスチャーが加えられた。シートの厚さは、テクスチャーパターンの丘および谷によって変化する。この単一のシートは、元の厚さのシートに緩和させる手段がないため、時間と温度に対して安定していた。この方法は、より厚い活性炭シート材料の展性により可能であった。
【0036】
対照的に、波形またはディンプルパターンは、時間および温度と共に元のフラットシート形状に近い形状に緩和される。一つの解決策は、シート間にスペーサーを加えて、安定した空隙およびらせん構造を得ることであった。しかし、スペーサーは、吸着性能を伴わずに、コストと堆積を増加させる。最善の解決策は、小さな短冊の活性炭シートをフラットシートに接着して、吸着もするスペーサーを設けることであった。これは、吸着および圧力損失試験において良好に機能したが、人手がかかり、システムに接着剤が導入され、試作でも実用的ではなかった。これらのシステムは、その異なる波形の点で波形シートとは異なり、シートは絞られも、曲げられも、折り畳まれたりもされず、むしろシート材料は、選択された位置およびパターンに層を追加することによって構築された。本開示の多くは、エンボス加工または圧縮技術を用いて材料の構築をエミュレートすることに関するものであり、それにより、丘および谷の所望のテクスチャーが比較的厚い活性炭シートに形成される。これは、比較的薄いシートにディンプルを付けると、ディンプルがシートの一方の面に凹部を、およびシートの反対の面に対応する凸部をもたらすディンプルパターンとは区別される。時間が経つにつれて、これらのディンプルは緩和され、実質的にフラットなシートが残る。本明細書に記載される方法およびテクスチャーは、同じ挙動を示さない。
【0037】
一方の面が平坦で他方の面がテクスチャーパターンを有する単一シート方法は、物理的に堅牢ならせんを作製し、製造に実用的であり、元の厚いシートに緩和する手段がなかったため、時間および温度に対して安定している。らせん状に巻かれた、またはフラットシートを積み重ねて仕上げられる場合、テクスチャーはフラットな面にフィットし、流体が流れるための等間隔および同じサイズの溝を生成する。これらの溝のサイズおよび配置の均一性は、所定の空隙率に対して可能な限り低い圧力損失、および吸着性能を改善する最良の流れ分布と、を意味する。
【0038】
シートは、片面または両面にテクスチャード加工されてもよい。いくつかの実施形態では、パターンおよび結果として生じる溝は、シート内を通る流体の流れに平行または共線形になり、低圧力損失を達成する。テクスチャー自体はまた、直線ではない、例えば、傾斜した、蛇行した、不規則な、またはより複雑な、溝および流れを形成する場合がある。
【0039】
モールドまたはラップ
【0040】
本開示の中心は、比較的厚い炭素シートの選択された部分を加圧する方法によるテクスチャー付き吸着シートの生成である。上述のように、これは、カーボンシートを、ネガモールドを有する一つまたは複数のローラーに通すことによって達成することができる。溝のあるパターンを有する鋼または他のローラーは、一つの選択肢である。所望のテクスチャーおよびパターンを達成するために、様々なモールドがゴムまたは他の好適な材料で、ローラーの周囲に取り付けることができるラップの形態で形成されることができることが分かった。ラップは、吸着シートをインプリントおよび圧縮するのに十分な硬さの材料である必要があるが、ローラーの周りをラップするのに十分な柔軟性も有する材料である必要もある。ラップは、テクスチャー付き吸着シートの所望のパターンに対応するが、これと反対の一連の丘および谷を含む。これらの様々なモールドが、様々な図、ならびにその得られたテクスチャー付きシートに示される。鋼または金属ロールもパターン化されることができる。モールドはまた、フラットモールド、またはメインローラーを通る連続送りベルト、具体的にはゴムモールドとして使用されることができる。図は代表的なものだけであり、限定することを意図していない。所望の特性に応じて、様々なテクスチャーおよびパターンを使用することができる。図1~19は、様々なモールド形状を示す。示される形状、テクスチャー、厚さ、寸法、および他の特徴は、例示的である。実際のモールドは、これらの設計に限定されるものではない。形状、寸法、丘および谷の位置を選択することにより、得られるテクスチャー付き吸着シートの様々な特性を制御できる。
【0041】
図1~3は、いくつかの実施形態によるモールドのいくつかの標準の図を示す。モールド100自体はゴムであってもよく、前面200および裏面300を画成する。前面200は、テクスチャーを形成する一連の丘210および谷220によって画成され、ここでは、繰り返されるダイヤモンドテクスチャーである。これらの丘および谷は、対応する丘および谷を、得られるテクスチャー付き吸着シートに作り出す。例えば、図20~49を参照されたい。裏面300は、滑らか、パターン付き、またはテクスチャー付きであってもよい。ここで使用する場合、「パターン付き」は「テクスチャー付き」とは異なる。裏面300は、テクスチャリングプロセス中にパターンを転写することによって生じるパターンを含んでもよい。驚くべきことに、シートの裏面にパターンをインプリントすることで、強度、グリップ(摩擦保持)等のハンドリング特性が向上することがわかった。これらのパターンは、ロール上、例えば、印刷ロール、転写ロール、ガイドロール等上のパターンによって、または印刷技術により、付与されることができる。これらのパターンは、シートの「テクスチャー付き」面に見られる丘や谷のパターンほどは大きくない。したがって、ここで使用する場合、「テクスチャー」は、モールドにおいて、テクスチャー付きシート上に相補的な丘および谷を形成するために使用される丘および谷を指す。テクスチャー付きシートでは、テクスチャー(すなわち、丘および谷)は、流体の流れのための経路を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態では、モールドまたはラップは、複数回のパスで吸着シートをインプリントするように構成されることができる。例えば、モールドまたはラップを一方向に使用し、次に二回目のパスで、例えば垂直方向に回転させて、新しいテクスチャーを作成できる。図44~47は、このようなプロセスから作製されたテクスチャー付きシートを示す。
【0043】
吸着剤シート
【0044】
本発明の吸着剤シートは、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、天然および合成ゼオライト、シリカ、シリカゲル、アルミナ、ジルコニア、粘土、カーボンブラック、ならびに珪藻土を含むがこれらに限定されない上記の吸着剤材料のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、吸着剤シートは、活性炭で構成されていてもよい。吸着剤は、単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。
【0045】
活性炭は、性能要件、コスト、およびその他の考慮事項に基づいて選択される様々なグレードおよびタイプであってもよい。活性炭は、粉末の再凝集からの顆粒状であるか、ナッツの殻、木材、石炭、もしくは押出成形によって作製されたペレットを粉砕もしくはサイズ処理することによる顆粒状であるか、または粉末状の活性炭であってもよい。活性炭は、炭化および活性化のプロセスによって形成されることができる。原材料、例えば、木材、ナッツの殻、石炭、ピッチ等は、酸化および脱揮発され、蒸気および/またはガス化された二酸化炭素で活性化されて、吸着に有用である活性炭の細孔構造を形成する。初期の酸化および脱揮発および活性化プロセスは、脱水化学物質、例えば、リン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの組み合わせを用いる化学処理を含む場合がある。
【0046】
様々な活性化プロセスが当該技術分野で公知である。請求項に係わる発明の吸着剤シート用に活性炭を得るための最も有用なプロセスは、木材および/または木材副産物を得ること、リン酸への曝露によって木材および/または木材副産物を酸処理すること、ならびに蒸気および/または二酸化炭素ガス化を使用して木材および/または木材副産物を炭化することの工程を含む。このプロセスにより、最高の活性炭の性能の尺度であるブタン作業能力(BWC)を有する活性炭粒子が得られる。本開示では、BWC測定値は、二つの方法で参照される。一つの試験方法は、ASTM D5228方法、「Standard Test Method for Determination of Butane Working Capacity of Activated Carbon」である。本開示では、この方法はASTM BWCと呼ばれる。第二の方法は、EPA BWCと呼ばれ、米国連邦規則集、CFR 86.132-96、セクション(h)で参照される。これらの方法は、以下に記載される様々なテクスチャー付きシート構成に適合するように必要に応じて修正された。具体的には、ASTM BWC法では、シートは、試験方法がより小さな直径を要求するのと同じ直径1インチの体積を占めるようにしっかりと巻かれる。EPA BWC法については、実験室での評価のために、5サイクルの吸着およびパージを実行し、最後の三回を平均して値を得た。
【0047】
活性炭は、バガス、竹、ココナッツの殻、泥炭、木材、例えば広葉樹および針葉樹原料のおがくずおよびスクラップの形態、亜炭、石炭およびコールタール(瀝青質および亜瀝青質)、石油ピッチ、アスファルトおよび瀝青、トウモロコシの茎および殻、麦わら、使用済み穀物、籾殻と殻、ナッツの殻、ならびにそれらの組み合わせを含む材料から形成されることができる。
【0048】
吸着剤シートは、一つまたは複数のバインダーをさらに含んでもよい。実施形態は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはTEFLON)、ポリフッ化ビニリデン(PVF2またはPVDF)、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)ゴム、ポリエチレン酸化物(PEO)、UV硬化性アクリレート、UV硬化性メタクリレート、熱硬化性ジビニルエーテル、ポリブチレンテレフタレート、アセタールまたはポリオキシメチレン樹脂、フルオロエラストマー、例えばパーフルオロエラストマー(FFKM)およびテトラフルオロエチレン/プロピレンゴム(FEPM)、アラミドポリマー、例えばパラアラミドポリマーおよびメタアラミドポリマー、ポリトリメチレンテレフタレート、エチレンアクリルエラストマー、ポリイミド、ポリアミド-イミド、ポリウレタン、低密度および高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン(BoPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、ポリクロロプレン、およびコポリマー、ならびにその組み合わせを含む特定のバインダーに限定されない。バインダーは、条件に応じて熱可塑性または熱硬化性であってもよく、熱可塑性化合物と熱硬化性化合物との混合物を含むことができる。
【0049】
バインダーの量は、総組成物の約5重量%~約40重量%であってもよく、いくつかの実施形態では、バインダーの量は、総組成物の約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、もしくは約5重量%~約10重量%、またはこれらの例示的な量を包含する任意の個々の量もしくは範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、バインダーの量は約11%重量である。いくつかの実施形態では、吸着剤シートは溶媒を含んでもよく、溶媒は、一般的に、少量の残留量、例えば、約10重量%未満、約5重量%未満、または約2重量%未満および約0.1重量%もしくは約0.2重量%を超える量で存在することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、吸着剤シートは、溶媒を有しない(0%)場合がある。上記の材料の量が選択される時、いくつかの実施形態では、材料の残りのバランスは上述の吸着剤である。
【0050】
いくつかの実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは、約1mm未満、約0.1mm~約1.0mm、約0.2mm~約0.90mm、約0.5~約0.95mm、約0.5~約0.90mmの谷において測定される厚さ、またはこれらの例の範囲によって包含される任意の個々の厚さまたは範囲を有してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、テクスチャー付き吸着剤材料シートは、約1.0~約1.5mm、約1.5mm、約1.4mm、約1.3mm、約1.2mm、約1.1mm、約1.0mmの丘もしくはピークにおいて測定される厚さ、またはこれらの値のうちの任意の二つによって包含される任意の個々の厚さまたは範囲を有してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、丘の先端から谷の底部までの距離は約0.5mm~約1.0mmである。いくつかの実施形態では、距離は、約0.6mm、約0.5mm、約0.4mm、約0.3mm、約0.2mm、0.1mm、またはこれらの値のうちの任意の二つによって包含される任意の個々の距離または範囲である。
【0053】
様々な実施形態の吸着剤シートは、粒子密度試験によって測定される場合、約0.05g/mL~約2.0g/mLの密度を有することができ、別の実施形態では、吸着剤シートは、粒子密度試験によって測定される場合、0.08g/mL~約1.5g/mL、約0.1g/mL~約1.3g/mLの密度、またはこれらの例の範囲に包含される任意の密度または範囲を有することができる。各吸着剤シートのASTMBWCは、約10g/100mLより大きくてもよく、いくつかの実施形態では、ASTM BWCは、約7.0g/100mL~約30g/100mL、約8.0g/100mL~約25g/100mL、約10g/100mL~約20g/100mL、約10g/100mL~約15g/100mL、約11g/100mL~約15g/100mL、約12g/100mL~約15g/100 mL、またはこれらの例の範囲に包含される任意の個々のBWCもしくは範囲であってもよい。別の実施例では、ASTM BWCは、約9g/100mL~約15g/100mL、約12g/100mL~約20g/100mL、約13g/100mL~約20g/100mL、約14g/100mL~約20g/100mL、または約15g/100mL~約20g/100mLであってもよい。また、上記の範囲の終点のいずれかを組み合わせて、新しい別の範囲を形成してもよいことが考えられる。いくつかの実施形態では、各吸着シートは、約0.08g/mL~約1.5g/mLの密度を有する。
【0054】
本発明の吸着剤シートは、ASTM BWCによって測定される場合、粉末または他の微粒子形態で提供される従来の吸着剤よりも高い性能を有する。
【0055】
実施形態の吸着剤シートは、任意の好適なプロセスによって作製されることができる。いくつかの実施形態では、吸着剤シートは、粒状またはペレット状の吸着剤を粉末に粉砕し、粉末をバインダーと混合して混合物を形成することによって作製されることができる。混合物の高剪断混合が好ましく、混合物をローリングして吸着剤シートを形成する。加熱はまた、材料の混合およびローリングを支援するために使用されことができる。粉砕工程は、約0.001mm~約0.2mm、約0.005mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.075mm、または、これらの例の範囲に含まれる任意の個々の粒子の直径または範囲の平均粒子径を有する吸着剤粒子を製造することができ、いくつかの実施形態では、粉砕された吸着剤粒子は、約0.001mm~約0.01mmの平均粒子径を有することができる。粉末をバインダーと混合する工程は、全組成物の約5重量%~約40重量%または約5重量%から約10重量%、またはこれらの例の範囲に含まれる任意の個々の量または範囲の吸着剤粒子粉末を混合することを含むことができる。任意の加熱は、任意の加熱は、残留溶媒を除去するのに十分な任意の温度、例えば約50℃~約200℃で実施することができる。
【0056】
本発明の吸着剤シートは、吸着剤シート内の粉末の充填効率を高めるために、異なるサイズの粒子の様々な分布を含んでもよい。異なるサイズの粒子を選択すると、粉末と周囲のバインダーのレオロジー特性も向上し、吸着剤シートを形成する前の混合および均一な粒子分布が向上する。いくつかの実施形態では、吸着剤シートの粒子は、単一の粒子径分布を有することができ、他の実施形態では、粒子は、二つの異なる粒子サイズ分布を有することができる。別の実施形態では、粒子は、少なくとも三つの異なる粒子径分布を有することができる。
【0057】
少なくとも二つの異なる粒子集団の平均粒子径であって、それぞれが特定のサイズ分布を有する平均粒子径は、それらが約1:1~約1:15の間の比を有するように選択されることができる。別の実施形態では、二つの異なる粒子集団の平均粒子径は、約1:1~約1:10の比を有することができる。平均粒子径はまた、約1:1~約1:5の比、または上記の比のいずれかの組み合わせを有してもよい。
【0058】
らせん状および積層されたシートアセンブリは、所定の体積に対して、従来技術の燃料蒸気回収吸着剤よりも著しく高いASTM BWC吸着剤容量を有する。この機能は様々な方法で活用されることができる。いくつかの実施形態では、吸着剤シートは、このような高度な管理が必要な管轄区域で、汚染管理を強化することができる。他の実施形態では、車載給油蒸気回収(ORVR)の全体的なサイズ、コスト、および重量を、特定のレベルの性能に対して低減することができる。別の実施形態では、従来の吸着キャニスターよりも性能が向上したORVR吸着装置を設計することができ、それにより、設計者は、設計できなければ蒸発ガスを低減するために必要になる高価で複雑なリターンレス燃料ポンプシステムを省略することができる。より高性能の吸着装置はまた、アクティブ凝縮蒸気システムを不必要にする可能性があり、これにより、圧縮機ポンプおよび凝縮物貯蔵タンクのサイズ、重量、およびコストを回避する。しかし、本発明の吸着剤シートを使用するORVR吸着装置はまた、従来のシステムに比べて非常に高性能、ならびに最小のサイズ、重量、およびコストペナルティのために、これらの装置と組み合わせることができると理解すべきである。
【0059】
吸着剤シートは、それらが適合しなければならない物理的空間、必要なデバイス性能、およびシートに近接して含まれる機能に応じて、様々な方法で一緒に構成されることができる。いくつかの実施形態では、シートは、折り目を備えてもよく、および/または通過流体に曝露される吸着剤シートの表面積を増加させるための穴もしくは開口部を備えてもよく、したがって所定の総シート表面積に対する性能を増加させることができる。様々な折り目、穴、および開口部はまた、内部および外部機能、例えば流体チャネル、チューブ、センサー、バルブに道をあけるためにサイズ設定および配置されることができる。吸着剤シートの折り目は、様々な形態、例えば円筒形または楕円形の形態のいずれかでらせん状にラップされた構成を取ることができる。折り目はまた、必要な装置の寸法および/または他のいずれの必要な内部もしくは外部の特徴に応じて、「S」形状、または凸状もしくは凹状の「C」形状の形態であってもよい。吸着剤シートはまた、平坦または湾曲した構成で積層されてもよく、積層されたシートは、所定のスペースに合うように必要に応じて、正方形、長方形、円形、楕円形、または他の不規則な形状であってもよい。これは、以下で説明するハウジング機能との組み合わせによって、吸着剤シートから形成される装置を従来技術のキャニスター装置よりも小さく、より不規則な形状のスペースに収めることができ、車両の内部スペースを最大化する。
【0060】
上記の構成に加えて、吸着剤シートはまた、表面の特徴を有することができる。いくつかの実施形態では、吸着剤シートは、凸部を備えてもよく、別の実施形態では、吸着剤シートは、凸部を備えてもよい。これらの表面特徴は、同じシート内で組み合わせられてもよい。シートに凸部および/または凹部を備えることを利用して、シートが積層され、ラップされる等の場合、シート間に様々な構成を形成することができる。例えば、シートは、凸部および/または凹部が互いに入れ子になるように配置されることができ、それによって隣接するシートが互いにより近づく。シートはまた、凸部および/または凹部が互いに入れ子にならないように配置されることができ、それによって隣接するシートの間にギャップを形成する。位置合わせを用いて、シート間に蒸気吸着のための様々なチャネルを形成することができる。
【0061】
0.9mmより厚い活性炭シートをフラットな面とテクスチャー付きの面の間でプレスした。この圧縮は、一つの滑らかなロールと機械加工された溝またはくぼみを有する一つのロールとを備えるロールミルで、シートの製造中に行われることができる。ミルおよび両方のロールは、一つの工程でシートを形成するために高い油圧に耐えることができなければならない(たとえば、クロム鋼ロール)。いくつかの実施形態では、溝を有するロールは、ロールに溝が一体的に形成されたロールであってもよく、またはロールに貼り付けられたモールド(またはラップ)、例えば溝が形成されたゴムモールドを有してもよい。いずれにしても、溝は、テクスチャー付き吸着シートに所望のパターンのネガを形成する。すなわち、モールドの丘はテクスチャー付きシートに谷を造形し、モールドの谷はテクスチャー付きシートに丘を造形する。
【0062】
テクスチャーは、空隙を備える所望の特性を達成するように選択されるが、これに限定されない。
【0063】
あるいは、二つの滑らかなロールを備える高圧ロールミルを使用して、活性炭シートを必要以上に厚く、たとえば1mmに製造することができる。次に、この厚いシートは、一つの滑らかなロールと、ロールに機械加工された溝またはくぼみを有するもう一つのロールとを備える第二のミルを通過する。第二のミルはまた、二つのテクスチャー付きロールを備えることもできる。この第二のミルは、第一のミルでシート密度および耐久性が達成されたため、それほど高い圧力を必要としない。その結果、第二のミルは、テクスチャー付き表面パターンを有する(例えば、ゴムまたはポリマーで作られた)ラップをロールのうちの一つの周りに使用できる。これにより、必要な機器が簡素化され、テクスチャーパターンの変更費用を低減させる。
【0064】
あるいは、テクスチャー付き表面パターンを有する(例えばゴムやポリマーで作られた)ラップを、フラットな面上に配置される厚いシートに刻印することができる。これは、フラットテーブル上またはカレンダリングユニットで手動で行われることができる。
【0065】
三つの方法の全てで、シート全体の平均厚さは圧縮によって低減されることができ、その過程でテクスチャーパターンがシートの片面に追加される。シートの厚さは、テクスチャーパターンの丘および谷によって変化する。必要以上により厚いシートから始めると、(パターンの谷における)最小厚さでさえ物理的な強度をもたらすのに十分なシートを確実に含むことになる。
【0066】
製造中に、「滑らかな」面が採用されたシートでは、ローラーから転写されたいくらかの最小限のテクスチャーが実際に追加的な強度をもたらすことにも留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、テクスチャー付きシートの片面には、圧力損失を生み出す丘と谷を造形するという意味でテクスチャーが備えられ、もう一方の面は、必ずしも圧力損失に大きく寄与することなく、パターンがシートに強度を加えるようにパターン形成される。
【0067】
吸着剤シート製品
【0068】
上述のテクスチャー付き吸着剤シートは、テクスチャー付き吸着剤シート製品に組み合わされる。テクスチャー付き吸着剤シートの組み合わせは、上述の特徴、例えば、表面積/体積比の増加、空隙の減少、吸着性能の向上等のうちの一つまたは複数を利用する。概して、個々のテクスチャー付き吸着剤シートは、互いに隣接して配置され、積層され、巻かれ、巻回され、折り畳まれ、および/またはラミネートされたシートを備えるテクスチャー付き吸着剤シート製品を形成し、その結果、吸着剤シートの表面は互いに近接しているか、または隣接している。配列にかかわらず、目標は、蒸気、流体、および/またはガスの流れにさらされるシートの表面積を最大化することであり、したがって、テクスチャー付き吸着剤シートの性能を最大化することである。
【0069】
積層されたテクスチャー付き吸着剤シート製品:本発明の積層されたテクスチャー付き吸着剤シート製品は、それぞれが上面および下面を画成し、公知の総表面積を有する二つ以上の吸着剤シートを備え、各吸着シートはテクスチャー付き吸着剤およびバインダーを含み、隣接する吸着シートは、隣接する上面および下面が互いに実質的に一致するように積層されおよび配置され、少なくとも隣接する上面と下面との間で流体が流れることができるように配置される。あるいは、片面または両面に独立してテクスチャーが付けられた二枚のテクスチャー付きシートは、滑らかなシートで分離されることができる。テクスチャー付きシートおよび滑らかなシートの任意の組み合わせを使用して、所望の効果を達成することができる。
【0070】
本発明の積層されたテクスチャー付き吸着剤シート製品の性能改善はまた、特定の量の活性炭を含む製品の性能と、キャニスター内にペレット状、粒状、または粉末状の形態で提供される場合の同じ量およびグレードの活性炭の性能を比較して測定することもできる。いくつかの実施形態では、積層吸着シート製品は、ペレット状または粉末状でキャニスター内の同じ量およびグレードの活性炭よりも約3%高い、約5%高い、約7%高い、約9%高い、約10%高い、約12%高い、約14%高い、および約16%高いASTM BWCを有する。例えば、性能が約5~14%高く、約5~10%高く、約10~16%高くなるなど、これらの量に基づく範囲も考慮される。
【0071】
これらの改善は、積層テクスチャー付き吸着剤シート製品の他の改善を説明することなしに、ペレット化または粉末化された活性炭の体積と積層テクスチャー付き吸着剤シート製品の間でのみ測定される。上記の一つの重要な違いは、その方法でない場合では必要となる剛性キャニスター本体が省略されることである。ばらばらの活性炭は自立できないため、剛性キャニスター本体はペレット化または粉末化された活性炭を含む従来技術のシステムで必要とされたが、その本体を省略することによりさらなる軽量化が推進され、したがって所定の重量に対してさらにさらなる性能が推進される。
【0072】
積層吸着シート製品は、吸着シート中のテクスチャー付き吸着剤の同じ体積量のペレット化/粉末化された形態のASTM BWCよりも少なくとも10%高いASTM BWCを有する。積層吸着シート製品は、約10g/100mLを超えるASTM BWCを有する。積層吸着シート製品は、約7.0g/100mL~約30g/100mL、または約12g/100mLより高い、または約13g/100mLより高い、または約14g/100mLより高い、または約15g/100mLより高い、または20g/100mLより高いASTM BWCを有する。例えば、約10~20g/mL、約10~12g/mL、約10~14g/mL、約12~14g/mL、約12~15g/mL、および約15~20g/mLの範囲も考えられる。
【0073】
いくつかの実施形態では、積層シートは、空隙体積、流量、圧力損失、およびその他の特性のうちの一つまたは複数を制御する間隔をおいて保持される。間隔はまた、シートの様々な折り目を用いて達成されることができ、ならびにまたシート間にギャップを形成するように配置されるシートの対応する凸部および/または凹部によっても達成されることができる。シートの凸部および/または凹部がシート間で入れ子にならないようにシートが意図的に配置される場合、これによりシート間に別の間隔をもたらし、それらの部分において流体が流れることができる。シートの間で少なくともいくつかの凸部および/または凹部が入れ子になるようにシートが意図的に配置される場合、これによりシートはよりぴったりと合っで積層され、シート間の間隔を減少させ、それに対応して流体の流れは減少または停止さえする。これらの機能の組み合わせを使用して、流体の流れのために方向付けられた領域またはチャネル、および流体の漏れを防ぐためのバリアまたはエッジシールを備えた積層吸着シート製品を形成することができる。流体の流れに関するこれらの機能には、積層吸着シート製品のシートのうちの一つまたは複数を貫通する穴、切れ込み、または開口部も含まれる。
【0074】
各吸着シートは、流体の流れに実質的に平行な対向する側縁部を画成する。隣接する吸着シートの一致する側縁部は、互いに分離しているか、一緒に結合しているか、またはそれらのいくつかの組み合わせであってもよい。このようにして、積層テクスチャー付き吸着剤シート製品の縁部は、密封されても、部分的に密封されても、または密封されなくてもよい。密封または非密封かは、流体の流量および/もしくはパターンまたは他の特性を変更するような所望の結果を達成するために選択されることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、積層テクスチャー付き吸着剤製品は、約10%以上の空隙体積をもたらす。いくつかの実施形態では、空隙体積は約10%~40%、その他は15%~30%である。
【0076】
場合によっては、テクスチャー付き吸着剤シート製品は、テクスチャー付き吸着剤粒子の少なくとも二つの集団を含み、少なくとも二つの集団のそれぞれは異なる平均粒子径を有する。個々のテクスチャー付き吸着剤シートに関して説明したバイモーダル粒度分布の上記の説明を参照されたい。複数のテクスチャー付き吸着剤シートから形成された製品に関して、吸着剤粒子の集団間と同じ分布比が考えられる。場合によっては、少なくとも二つの集団によって達成されるテクスチャー付き吸着剤粒子の密度は、いずれかの集団のみによって達成される密度よりも大きい。バイモーダル粒度分布を含有することにより、ポリマーシートを剪断力に対してより強くするので、テクスチャー付き吸着剤シート製品の機械的特性を改善することができる。
【0077】
場合によっては、テクスチャー付き吸着剤シート製品は、少なくとも二つのテクスチャー付き吸着剤シートを備え、それぞれが、合わされた総表面積を有する画成された上面および下面を有し、各テクスチャー付き吸着剤シートは、テクスチャー付き吸着剤およびバインダーを含み、別々のシートの隣接する上面および下面が実質的に平行であり、少なくとも隣接する上面および下面の間で流体が流れることができるように配置されるように、各テクスチャー付き吸着剤シートは積層されて配置される。
【0078】
テクスチャー付き吸着剤シート製品であって、テクスチャー付き吸着剤シート製品は、ペレット状、粒状、または粉末状の形態の吸着剤の同体積のASTMBWCより、ASTM BWC値が約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、および約50%より高い、テクスチャー付き吸着剤シート製品。これらを組み合わせて、例えば約5~25%高い範囲を形成することもできる。本発明はまた、これらの量が、例えば少なくとも約40%高い範囲の終点であることを企図している。
【0079】
テクスチャー付き吸着剤シート製品のテクスチャー付き吸着剤シートは、フラットであり、らせん状のシリンダーに巻回され、楕円形に巻回され、細長い長方形の棒に巻回され、折り畳まれ、「S」形状にラミネートされ、同心円筒として形成され、同心楕円として形成され、同心長方形棒として形成されるように、またはこれらの形態の組み合わせとして構成される。
【0080】
いくつかの実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シート製品は、密度、空隙、圧力降下などを含むがこれらに限定されない所望の特性を達成するために、巻回されたまたは巻かれた単一のテクスチャー付き吸着剤シートを含む。
【0081】
巻回された/巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品:テクスチャー付き吸着剤シート製品はまた、積層された実施形態の代替として、またはそれと組み合わせて、巻回されまたは巻かれてもよい。巻回されたまたは巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品は、上面および下面を画成する吸着シートを含み、合わされて公知の総表面積を有し、吸着シートは、テクスチャー付き吸着剤およびバインダーを含み、吸着シートはらせん状に巻回され、隣接するシート層の周りおよび隣接するシート層間の流体の流れを可能にする隣接するシート層を造形する。
【0082】
積層されたシート配置と同様に、巻かれた吸着シート製品は、テクスチャー付き吸着剤シートのみよりも性能が改善され、ペレット状または粉末状の形態で提供される活性炭と同等の体積よりも性能が改善されている。
【0083】
本発明の巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品の性能改善はまた、キャニスター内にペレット状、または粉末状の形態で提供される場合、特定の量の活性炭を含む製品の性能を、同じ量およびグレードの活性炭の性能と比較して測定することもできる。いくつかの実施形態では、巻かれた吸着シート製品は、ペレット状または粉末状でキャニスター内の同じ量およびグレードの活性炭よりも約3%高い、約5%高い、約7%高い、約9%高い、約10%高い、約12%高い、約14%高い、および約16%高いASTM BWCを有する。例えば、性能が約5~14%高く、約5~10%高く、約10~16%高くなるなど、これらの量に基づく範囲も考慮される。
【0084】
巻かれた吸着シート製品は、吸着シート中のテクスチャー付き吸着剤の同じ重量のペレット化/粉末化された形態のASTM BWCよりも少なくとも10%高いASTM BWCを有する。積層吸着シート製品は、約10g/100mLを超えるASTM BWCを有する。積層吸着シート製品は、約7.0g/100mL~約30g/100mL、または約12g/100mLより高い、または約13g/100mLより高い、または約14g/100mLより高い、または約15g/100mLより高い、または20g/100mLより高いASTM BWCを有する。例えば、約10~20g/mL、約10~12g/mL、約10~14g/mL、約12~14g/mL、約12~15g/mL、および約15~20g/mLの範囲も考えられる。
【0085】
本明細書に記載の巻かれた吸着シート製品は、その直径よりも実質的に長い長さを有するほぼ円筒形の形状を有するが、円錐形または円錐台形の変形、ならびに楕円体または別の形状を含む任意の寸法を使用することができる。
【0086】
巻かれた吸着シート製品の密度は、以下の式に基づいて計算できる。
【表1】
【0087】
巻かれた吸着シート製品は、約80~1500kg/m、約500~2000kg/m、約750~1500kg/m、約900~1200kg/m、約900~1050kg/m、約400~500kg/m、約500~600kg/m、約500~550kg/m、約600~650kg/m、約650~700kg/m、および約700~750kg/mの平均巻密度に巻回されることができる。
【0088】
巻かれた吸着シート製品は、約10g/100mLを超えるASTM BWCを有する。いくつかの実施形態では、巻かれた吸着シート製品は、約7.0g/100mL~約30g/100mLのBWCを有する。巻かれた吸着シート製品はまた、巻かれていない上記の吸着シート製品と同じASTM BWCを有してもよい。
【0089】
積層されたテクスチャー付き吸着剤シートに関する上記の考察と同様に、巻回されたまたは巻かれたテクスチャー付き吸着剤シートは、ペレット化または粉末化された活性炭の複数の粒度分布または集団を含むことができる。上記と同じ比率が考えられた。上記の説明と同様に、これにより、巻かれた吸着シート製品に形成されるシート中に大量の活性炭を組み込むことができるため、性能を向上させる。
【0090】
本明細書で使用する場合、巻回されたまたは巻かれた吸着シート製品とは、(任意の断面形状の、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、長方形等の)巻回、らせん巻き、同心層形成された管状物、またはそれらの組み合わせによる、一つまたは複数のテクスチャー付き吸着剤シートの層形成の任意の形態を指す。例えば、単一のテクスチャー付き吸着剤シートは、その長さに沿ってらせん状に巻回され、円筒形の巻かれたテクスチャー付き吸着剤シート製品を形成してもよい。別の例として、複数のテクスチャー付き吸着剤シートを積層し、つぎに一緒に巻回して同様の円筒形を形成することができる。別の代替案として、それぞれが次のものとわずかに異なる直径を有する円筒に形成されたいくつかのシートは、それらが同様のサイズの円筒の断面の同心リングからなるように配置されることができる。本明細書の他の場所で説明されるように、これらおよび他の配置の様々な組み合わせを使用して、任意の形状のハウジングまたはキャニスター内の空間を埋めることができる。
【0091】
らせん状に巻回する方法が検討された。四つのらせん構成は、炭素質量約100gに共巻回され、250mLキャニスターで試験された。各構成には、図26に示したものと同様の、厚さ0.5mmの両面丸リブテクスチャー付きシートを備え、滑らかなまたは有孔の、第二の0.5mmまたは1.0mmシートと共巻回された。構成1は0.5mmのテクスチャー付きシート/1.0mmの滑らかなシートを採用し、構成2は0.5mmのテクスチャー付きシート/1.0mmの有孔シートを採用し、構成3は0.5mmのテクスチャー付きシート/0.5mmの滑らかなシートを採用し、構成4は0.5mmのテクスチャー付きシート/0.5mmの有孔シートを使用した。下のグラフに示すように、構成1は、他の構成よりも30%少ないΔPに関して最大のマージンをもたらした。構成1は、水3.4インチのΔPを示し、最大目標は水6.0インチであった。追加の炭素が構成1に約7.7%で追加され、その結果、水6.0インチの限界まで75%の不比例な増加をもたらした。EPA BWCは、50.1g/Lから52.6g/Lブタンに5.1%増加した。これらの実施形態の65LPMでのΔP/g炭素を示すグラフについては、図50を参照されたい。
【0092】
構成1の厚い(1.0mm)滑らかなシートの使用が有利であるように見えた。滑らかで厚いシートのより剛性の高い構造は、キャニスター内に配置された場合、圧縮に対するより優れた耐性を提供する可能性があり、ΔPは、有望ならせん設計のスクリーニングに関して優れた指標を提供するが、圧力損失の増加は炭素質量の増加に比例しない可能性があり、これによりBWCの増加が制限される。
【0093】
空隙の評価
【0094】
厚さ1.0mmのシートを使用して、炭素質量26gで3枚の単一シートをらせん状に巻回した。スクリーニングのために、容量は0.07Lであった。構成A:テクスチャーが内向きに巻回、構成B:テクスチャーが外向きに巻回、構成C:両面にテクスチャー付き。巻回プロセス中に100gの張力をかけた。構成AおよびCのΔP/gが最低であった。EPA BWC試験方法を使用すると、構成Aは構成Cと比較して12%多いBWCを有した。構成Bの空隙は、外向きの巻回によって引き伸ばされ/平坦化されているように見える。これらの構成の51A、51B、および51Cの画像を参照されたい。
【0095】
写真を解析すると、構成Aはより一貫した開口部を有し、およびテクスチャーの形状が維持されていること、構成Bの開口部は中心コアに近づくとつぶれているように見えること、ならびに構成Cのテクスチャーはより開いているが、一貫性なく分布していること、が分かる。ここに開示されるいくつかの実施形態について、70LPMでのΔP/gカーボンのグラフの図52を参照のこと。
【0096】
上の画像を解析して、存在する空隙の量を測定した(ピクセル色に基づいて)。
【0097】
結果:
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
構成AおよびCを、250mLのキャニスターでさらに試験し、それぞれ55g/Lおよび51g/LのEPA BWC値を得て、A構成の利点を示した。
【0105】
【表9】
構成AおよびCを、250mLのキャニスターでさらに試験し、それぞれ55g/Lおよび51g/LのEPA BWC値を得て、A構成の利点を示した。
【0106】
結論:
【0107】
らせんの圧力損失は、空隙に依存する。空隙が多いほど、圧力損失が低減する。ボイドスペースが少ないほど、圧力損失が大きくなる。したがって、空隙は、テクスチャー付き吸着シートの丘と谷のサイズ、およびらせん巻回特性を操作することによって制御できる。
【0108】
ハウジング
【0109】
本発明ではまた、テクスチャー付き吸着剤シートを部分的または完全に封入するハウジングの使用も考えられる。ハウジングは、様々な形状、例えば、四面体、立方体および立方体状の形状、円柱、球、単一シートの双曲面形状、円錐形状、楕円形状、長方形形状、双曲線放物面形状、細長い棒形状、放物面、ならびにこれらの形状の組み合わせで構成されてもよい。組み合わせは、それぞれが異なる形状または異なる形状の部分を有する異なる部分を有するように選択されてもよい。ハウジングはまた、別の部品、例えば、必要に応じて燃料蒸気を搬送するように設計された少なくとも一つのホースもしくはチューブ、またはテクスチャー付き吸着剤シートを含むハウジングの薄い部分によって分離されおよび連結される部分を備えることができる。ハウジングはまた、例えば、テクスチャー付き吸着剤シートを含む可撓性バッグまたはポーチとして、形状なしで構成されることができる。
【0110】
本発明の主な利点の一つは、テクスチャー付き吸着剤シートが可撓性および自立性の両方を備えており、車両の狭い範囲内の様々な機械的要件に合わせて、ハウジング内で様々な構成でラミネートされる、巻かれる、巻回される、折り畳まれる、または積層されることができる。こうした実施形態では、ハウジングは、装置を保管するために利用できるスペースに一致するか、収まるように設計されることになる。例えば、ハウジングは、車輪格納部、ドライブシャフト、ハイブリッドパワートレイン用バッテリー、スペアタイヤ、タイヤ交換ツール、タイヤパッチツール、車両トランクもしくは他の保管スペース、車両バンパーおよび車体パネル、排気システム、他の排出制御装置、例えば尿素または他の噴射タンク、燃料ライン、車両フレーム、サスペンションコンポーネント、エンジンコンパートメントの内もしくは周囲のスペース、客室内シートの下のスペース、客室内シート内のスペース、ならびに乗客または貨物スペースとして効果的に利用するには小さすぎる、または到達するのが難しすぎる他のスペース、に収まるサイズと形状にすることができる。
【0111】
重量とサイズをさらに削減し、自立型のテクスチャー付き吸着剤シートを利用するために、ハウジングは薄壁のバッグまたはポーチの形態にすることができる。これが可能なのは、テクスチャー付き吸着剤シートが機械的構造を有し、自立しているため、従来のキャニスターのように剛性のある外側の容器を必要としないためである。バッグを形成するフィルム材料は、約10μm~約250μmの厚さを有することができる。別の実施形態では、バッグのフィルムは、約20μm~約175μmの厚さを有することができ、バッグのフィルムは、約50μm~約125μmの厚さを有することができる。
【0112】
バッグまたはポーチは、燃料システムで使用される任意の材料から形成されてもよく、特に、含有される燃料蒸気の化学効果に耐えるように設計される材料から形成される。バッグ材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはTEFLON)、ポリフッ化ビニリデン(PVF2またはPVDF)、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)ゴム、ポリエチレン酸化物(PEO)、UV硬化性アクリレート、UV硬化性メタクリレート、熱硬化性ジビニルエーテル、ポリブチレンテレフタレート、アセタールまたはポリオキシメチレン樹脂、フルオロエラストマー、例えばパーフルオロエラストマー(FFKM)およびテトラフルオロエチレン/プロピレンゴム(FEPM)、アラミドポリマー、例えばパラアラミドポリマーおよびメタアラミドポリマー、ポリトリメチレンテレフタレート、エチレンアクリルエラストマー、ポリイミド、ポリアミド-イミド、ポリウレタン、低密度および高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン(BoPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、ポリクロロプレン、およびコポリマー、ならびにそれらの組み合わせを含む。バッグは通常、可撓性のために熱可塑性であるが、熱硬化性樹脂の量と組み合わせたり、または硬化ゴムもしくはエラストマーの形態にすることもできる。
【0113】
ハウジング、バッグ、またはポーチはまた、そこに含まれる吸着された燃料蒸気に対する蒸気バリアとして機能するように設計されることができる。このバリア特性は、ポリマー自体に固有であってもよく、または少なくとも一つのバリア添加剤および/もしくは少なくとも一つのバリア層を使用することによって達成されてもよい。層としてまたは微粒子充填剤として形成されることができるバリア添加剤の例としては、ポリマー、例えばエポキシ、ポリアミド、ポリアミドイミド、フルオロポリマー、フルオロゴム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。バリア層はまた、金属、例えばアルミニウム、鋼、チタン、およびそれらの合金で作られることができる。金属バリア層は、従来の機械的手段、例えば共押出しもしくはハウジングの他の層との接着によって形成されることができ、またはそれらを、例えば化学気相堆積もしくは電気めっきによって化学的に堆積させることができる。金属バリア層は、約25μm未満、約20μm未満、約15μm未満、約10μm未満、または約5μm未満の厚さを有する箔から形成されることができる。
【0114】
ハウジングおよびその材料はまた、「シップ・イン・ボトル」燃料システムと互換性があるように選択されてもよい。このようなシステムでは、燃料ポンプ、ORVR、燃料フィルター、バルブ、およびその他の構成要素を備える、燃料システム構成要素の多くまたは全てが、車両の燃料タンク内に取り付けられる。このようなシステムは、アセンブリー時間および燃料システムに必要なスペースの量を低減するので有利である。このようなシステムでは、ハウジングは、車両の燃料タンク内で、選択された燃料、通常はガソリンに長期間浸漬できる、また同時に、内部で吸着された燃料蒸気の影響に耐えることができる材料である必要があり。
【0115】
ハウジングはまた、薄い金属ハウジングであってもよい。薄い金属ハウジングは、柔軟性のあるまたは剛性な金属、例えば鋼、アルミニウム、チタン、およびそれらの合金から形成されることができる。金属ハウジングは、約5~100μm、または約10~250μmの厚さを有する箔から形成されることができる。いくつかの実施形態では、箔は、約1mmの厚さであってもよい。ハウジングが柔軟性であるか剛性であるかは、材料、厚さ、および金属に加えられる任意の処理、例えば熱処理または熱間加工もしくは冷間加工の選択に依存する。
【0116】
いくつかの実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートのハウジングは、完全に省略されてもよく、テクスチャー付き吸着剤シートは、燃料タンク自体内に収容される。このような構成では、テクスチャー付き吸着剤シートは、液体燃料と定期的に接触せず、燃料蒸気を自由に吸着する燃料タンクの内部の一部に取り付けられることができる。この部分は通常、燃料タンクの上部もしくは側面、またはそれらの組み合わせである。燃料タンクはまた、テクスチャー付き吸着剤シートを備え、テクスチャー付き吸着剤シートが燃料蒸気を吸着できるように設計された、上面または側面上に凹部を備えることができる。テクスチャー付き吸着剤シートが燃料タンクの内部に取り付けられるこのような実施形態は、キャニスター構造を省略することによって最大のスペース節約および軽量化を提供するだけでなく、シートは車両のアセンブリー時に燃料タンク内にすでに取り付けられているため、製造と取り付けが簡単になる。
【0117】
巻かれたまたは折り畳まれた吸着シートを形成し、次に外側のシートを選択的に硬化させることにより、外側のシートが内部の巻かれたまたは折り畳まれた吸着剤シートの支持体として機能する耐久性のある硬化シェルを形成するので、ハウジングをなくすることもできる。このような選択的硬化は、熱的にまたは薬液槽を用いて、または化学線、例えば紫外線によってまたは電子ビーム硬化によって達成されることができる。
【0118】
テクスチャー付き吸着剤シートがハウジングを省略し、車両燃料タンク自体内に収容された実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは、様々な方法で燃料タンクに取り付けられることができる。テクスチャー付き吸着剤シートは、機械的ファスナー、例えばネジ、リベット、クランプを使用して固定されることができ、またはテクスチャー付き吸着剤シートは、燃料タンク壁とテクスチャー付き吸着剤シートとの間に配置された接着剤バッキングを使用して固定されることができる。接着剤バッキングは、単層の接着または両面接着テープもしくはシートであってもよい。接着剤バッキングに使用される接着剤には、感圧接着剤、UV硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、ホットメルト接着剤、および反応性マルチパート接着剤が含まれることができる。接着剤組成物には、アクリルおよび(メタ)アクリル、アクリレートおよび(メタ)アクリレート、一液型および二液型配合物のエポキシ、およびウレタンが含まれる。
【0119】
テクスチャー付き吸着剤シートは、製造中に様々な方法で適応されることができる。いくつかの実施形態では、燃料タンクを形成することができ、接着剤が塗布された後、テクスチャー付き吸着剤シートが適応される別の工程でテクスチャー付き吸着剤シートは適応される。別の実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは、必要に応じて接着剤バッキングの有無にかかわらずモールドの内側上に配置され、燃料タンクは、テクスチャー付き吸着剤シートの周りに射出成形またはブロー成形される。別の実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートは、燃料タンクの側面を構成する材料のパネルと共押出しされてもよく、これらのパネルの端部は一緒に接着または溶接されて、最終タンクを内部上でテクスチャー付き吸着剤シートで封止する。
【0120】
テクスチャー付き吸着剤シートがハウジングなしで車両燃料タンク内に収容される場合、燃料タンクは、燃料タンク内の燃料蒸気の吸着および脱着に対応するために別のバルブおよびポートを備えてもよい。例えば、エンジン運転中、空気が燃料タンク内に導入されて、テクスチャー付き吸着剤シートに含まれる燃料蒸気、およびタンクに存在する燃料蒸気を脱着することができる。そして、これらの脱着した燃料蒸気は、エンジン制御ユニット(ECU)の要求に応じて、最適なサイクルで燃焼するためにエンジンに送られる。
【0121】
テクスチャー付き吸着剤シートがハウジングなしで設けられ、タンク内、例えば車両の燃料タンク内に収容される場合、それらは、通常タンク内に収容される揮発性液体に定期的に浸漬されないように配置されることができる。これにより、テクスチャー付き吸着剤シートは通常より早く飽和することがなくなり、また燃料タンク内の蒸気に十分な表面積がさらされて蒸気の吸着を可能にする。この機能により、テクスチャー付き吸着剤シートを、充填されていないタンクの部分、例えばタンクのアレージやヘッドスペース、またはテクスチャー付き吸着剤シート上の液体のスロッシングを防ぐバッフルの近傍に配置できることが考えられる。テクスチャー付き吸着剤シートはまた、タンクの専用部分、例えば液体が入ることができない小さなチャンバーや隙間に配置されることができる。
【0122】
様々な実施形態の装置は、上記のハウジングおよびテクスチャー付き吸着剤シートを備えることができる。ハウジングは任意の形状であってもよく、ガスまたは液体を精製するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ハウジングは任意の形状、例えば立方体状、立方体、または円筒形であってもよい。テクスチャー付き吸着剤シートは、ハウジング内に収まり、ガスまたは液体が通過するハウジング内の空間を実質的に充填するようにサイズ設定されてもよい。いくつかの実施形態では、二つ以上のテクスチャー付き吸着剤シートを積層してハウジングを実質的に満たすことができ、別の実施形態では、テクスチャー付き吸着剤シートを巻いてらせん状に巻回されたシートを形成するか、またはプレスして積層シートを形成することができる。いくつかの実施形態では、積層されたまたはプレスされたシートは、隣接するシートの側面が実質的に隣接するようなものであることができる。別の実施形態では、積層されたシートまたはプレスされたシートは、隣接するシートが離間するように配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、シートは、一連のまたは平行な隆起および溝を形成するテクスチャー付き吸着剤シートを有する波形状であってもよく、いくつかの実施形態では、波形状テクスチャー付き吸着剤シートは、平坦なテクスチャー付き吸着剤シートによって分離されてもよい。波形状テクスチャー付き吸着剤シートは、積層されたまたは巻かれた/らせん状に巻回された形態でハウジング内に配置されてもよい。
【0123】
様々な実施形態では、空隙率は、現在の装置の空隙体積よりも約30%~約32%少なくてもよく、いくつかの実施形態では、空隙率は10%まで低くてもよい。例えば、装置は、約45%~約10%、約35%~約10%、約25%~約10%の空隙率、またはこれらの例示的な範囲によって包含される任意の個々の空隙率もしくは範囲を有してもよい。様々な実施形態の装置は、粒状またはペレット状のテクスチャー付き吸着剤を使用する装置よりも、より少ない流れ制限、例えば圧力損失を示すことができる。したがって、装置の流量を低減することなく、より多くのテクスチャー付き吸着剤をこのような装置内に組み込むことができる。
【0124】
このような実施形態の装置は、約5.0g/100mLを超えるEPA BWCを有することができ、いくつかの実施形態では、装置は、約4.0g/100mL~約20g/100mL、5.0g/100mL~約18g/100mL、約7.0g/100mL~約16g/100mL、もしくは約8.0g/100mL~約15g/100mL、またはこれらの例の範囲に含まれる任意の個々のBWCまたは範囲を有することができる。装置は、活性炭または他の活性化合物の粉末、ペレット、または顆粒の従来の高密度充填床に最大で等しい圧力降下を示す場合がある。この機能は、積層されているか、巻かれているか、巻回されているか、または他の方法で構成されているかにかかわらず、テクスチャー付き吸着剤シート製品は吸着剤の性能が向上しているにもかかわらず、従来の装置と同様に蒸気およびガスを処理および搬送する能力をさらに確実に有するため、有利である。
【0125】
積層されたまたは巻かれたテクスチャー付き吸着剤をハウジングと組み合わせると、蒸気損失キャニスターまたはその他の装置として役に立つ。上記のように、積層されたまたは巻かれた製品によって達成される形状および特性により、独自の配置と性能の向上が可能になる。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、蒸気損失キャニスターは、内部空間、吸着シート製品を画成する少なくとも一つの側壁を有するハウジングを備え、吸着シート媒体が、ハウジング内に収まり、ハウジング内の内部空間全体を実質的に充填するようにサイズ設定されおよび構成され、内部空間には、吸着シート媒体以外の別の内部材料が実質的に存在しない。すなわち、従来の蒸気損失キャニスターは、ばらばらのカーボンパウダーまたはペレットを保持および維持するために、ばね、フィルター、支持基材などを必要とする。吸着シートは実質的に自立しているため、これらの追加の支持構造を必要としない。これにより、性能を犠牲にすることなく、より多くの材料を含むこと、またはより小さなキャニスターを使用することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、吸着シート製品は、上記のように含む積層吸着シート媒体を備える。このような場合、ハウジングまたはキャニスターは、上記のように任意の形状をとることができるが、いくつかの実施形態では、その長さまたは幅よりも実質的に低い高さを有する積層された吸着シート媒体を収容するために比較的平坦かつ柔軟である。これらの場合、ハウジングは、上述したように、柔軟性のあるバッグまたはポーチであってもよい。
【0128】
場合によっては、キャニスターは、燃料タンクの上または内部に配置するように適合される。
【0129】
いくつかの実施形態では、吸着シート剤製品は、上記のように巻かれた吸着シート製品を備える。場合によっては、ハウジング側壁の少なくとも一部は、内部キャニスタースペースを実質的に全く占めることなく、フィルターを画成する。
【0130】
いくつかの実施形態では、燃料タンクは、一体型の蒸気吸着を備えていてもよい。このようなタンクは、タンク構造体、および積層されたまたは巻かれた少なくとも一つの吸着シート剤製品、テクスチャー付き吸着剤製品をタンク内に収容された揮発性液体に定期的に浸漬されないタンクの表面に固定する少なくとも一つの固定装置を備える。固定装置は、テクスチャー付き吸着剤製品の一つの表面とタンクの壁との間に形成される接着剤層であってもよい。
【0131】
このような接着剤は、感圧接着剤、UV硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、ホットメルト接着剤、反応性マルチパート接着剤、アクリルおよび(メタ)アクリル接着剤、アクリレートおよび(メタ)アクリレート接着剤、一液型および二液型配合のエポキシ接着剤、ウレタン接着剤、ならびにそれらのコポリマーおよびそれらの組み合わせ、のうちの少なくとも一つであってもよい。
【0132】
タンクはさらに、少なくとも一つの燃料ポンプ、燃料送りライン、燃料戻りライン、大気ベントライン、ポート、バルブ、センサー、空気入口、開放気泡発泡体、バッフル、ブラダー、およびそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数を備えてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、タンクは、「シップ・イン・ボトル」構成の燃料タンクである。
【0134】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のテクスチャー付き吸着剤シート製品を備える車載給油蒸気回収(ORVR)装置を示す。車載給油蒸気回収装置は、本明細書に記載の蒸気吸着キャニスターを備えることができる。車載給油蒸気回収装置は、一体型蒸気吸着を有するタンクを備えることができる。
【0135】
別の構成要素
【0136】
本発明は、センサー、例えば燃料組成センサーを備えてもよい。燃料組成センサーを用いて、ハウジングおよびテクスチャー付き吸着剤内に含まれるガソリンおよびエタノールの混合物を検出することができ、この情報はECUに伝達され、後でエンジンに放出される蒸気はエンジンの燃焼中により正確に使用されることができる。他のセンサーには、温度センサー、蒸気圧センサー、酸素センサー等が含まれる。センサーは、ECUに必要な情報の種類に応じて、電気化学的相互作用、熱電対のような電子的、電気機械的、屈折率、赤外線分光法などの原理に基づいて動作することができる。センサーを、単独で、もしくは組み合わせてハウジング内に備えることができ、またはハウジングが指定されていない場合は、テクスチャー付き吸着剤シートを含む領域内に備えることができる。センサーを、シートから切り取られた穴もしくは切り欠きに、またはセンサーの周りにシートがラップされるもしくは折り畳まれて、シート間のスペースに、備えることができる。
【0137】
本発明は、本発明のテクスチャー付き吸着剤に出入りする燃料蒸気の流れを制御するための入口、出口、ホース、および関連するバルブを含むことができる。開口部は静的であってもよく、または本発明の吸着シートに出入りする蒸気の流れを制御するために、ECUによって必要に応じて開閉されるバルブを有してもよい。例えば、給油中は、排出された燃料蒸気が大気中に確実に漏れないように、出口バルブは閉じたままになる。しかし、エンジンが作動してECUが要求すると、少なくとも一つの出口バルブが開いて、吸着した蒸気をエンジンに放出して燃焼させることができる。本発明のテクスチャー付き吸着剤シートが安全に吸着するのには燃料蒸気が多すぎる場合に備えて、大気へのベントおよびバルブを備えることもできる。空気または他のガス、例えば不活性排気ガス用の入口およびバルブをさらに備えることができ、それを用いて燃料蒸気が燃焼のためにエンジンに送られる時に燃料蒸気を脱着する。
【0138】
本発明はまた、ORVRシステムおよび装置を構成する他の構成要素を備えることならびに一体化することが考えられる。これらの他の構成要素としては、アクティブなコンプレッサーおよびコンデンサー、燃料タンクヒーター、密閉型燃料を冷却するための燃料タンク熱交換コイル、燃料給油ネック、燃料給油口、キャップレス燃料給油口、燃料蒸気用ベント、燃料を送るための燃料ライン、燃料リターンライン、ベントおよび車両ロールオーバーバルブ、燃料ポンプ、ならびに空気取入口またはパージバルブが挙げられる。
【0139】
本発明はさらに、流体およびガスの吸着および脱着を改善または制御するために、テクスチャー付き吸着剤シートと組み合わせることができる装置および構造をさらに考えることができる。例えば、ファンまたはポンプを備えることにより、組み立て時に流体または蒸気をテクスチャー付き吸着剤シートに押し付けることができ、テクスチャー付き吸着剤シートをより密に充填または巻回することができ、または他の方法でシート上に同じ量の流体を拡散させることができる装置よりも大きな装置が可能となる。あるいは、装置は、流体を加熱および/または冷却し、したがって、請求項に係わる発明のテクスチャー付き吸着剤シート上で移動させるように設計された、抵抗素子ヒーター、またはペルティエ効果ヒーターもしくはクーラーを備えることができる。例えば、加熱されて膨張する流体は、重力の効果を利用するために垂直方向に向けられた巻かれたまたは巻回された物品の底部で上方に排出され、より多くの流体を引き込むことができる。
【0140】
その他の用途
【0141】
自動車用途に加えて、本発明者らは、請求項に係わる発明の吸着シートは、タンクまたは他の密閉スペースが揮発性液体、具体的には揮発性炭化水素、例えば燃料、溶媒、および他の揮発性化合物を収容するように設計される任意の場合に使用できると考える。例としては、航空機の燃料タンク、船舶およびその他の船舶の燃料タンク、トラックの燃料タンク、貨車、艀、船、トラック、車両、およびその他のばら積貨物船の薬品タンク、ならびに固定薬品タンクが上げられるが、これらに限定されない。請求項に係わる発明のテクスチャー付き吸着剤シートはまた、例えば、オペレーターおよび保守担当者が定期的にスペースに立ち入らなければならない化学施設において、揮発性化合物の存在が有害である限られたスペースの壁に取り付けまたは接着されることができる。このようなテクスチャー付き吸着剤シートは、このような複合スペースで使用される場合、オペレーターおよび保守担当者の安全性を高めるだけでなく、面倒な保護具の必要性を低減することもできる。
【0142】
いくつかの実施形態では、装置は微視的な粒子をろ過しない可能性があるため、燃料蒸気回収の分野以外でも有用である。粒状またはペレット状のテクスチャー付き吸着剤を含む装置は、粒子直径より約1%大きな粒子をろ過し、装置を使用して処理される気体または液体からこれらの粒子を除去する。積層されたまたは巻かれた/らせん状に巻回されたテクスチャー付き吸着剤シートを収容する装置は、このような粒子がろ過せずに通過することを可能にするので、様々な実施形態の装置は、液体をろ過するのに有用であることができる。特に、このようなテクスチャー付き吸着剤シートは、体液、例えば血液をろ過するのに有用であることができ、シートでは、赤血球および白血球および血小板などが、血液から物理的にろ過されることなくフィルターを通過しなければならない。他の汚染物質は、テクスチャー付き吸着剤シート上に吸着され、血液ろ液から除去されることができる。
図1
図2
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図5
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図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図52
【国際調査報告】