IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シアトル ジェネティクス,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2022-541591がんの処置のためのヒト化抗LIV1抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】がんの処置のためのヒト化抗LIV1抗体
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220915BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220915BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220915BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220915BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220915BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61K39/395 E
A61K39/395 L
A61K39/395 M
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61K38/05
A61P35/00
A61K45/00
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503919
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020042865
(87)【国際公開番号】W WO2021016233
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/877,233
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/890,498
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/003,613
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/031,496
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503188759
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンス,エミリー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ハンレー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ガーフィン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンゲル,ショーナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA32
4C084CA59
4C084MA66
4C084NA13
4C084ZB26
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA26
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
細胞、例えばLIV1を発現する細胞の増殖を抑制するための、並びにがん、例えばLIV1関連固形腫瘍及び乳がん(例えば、局所進行性又は転移性の乳がん)の処置のための、抗LIV1抗体及び抗体-薬物コンジュゲート(抗LIV1抗体-薬物コンジュゲートを含む)を使用する方法が提供される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIV1関連がんを有するか又はそのリスクがある対象を処置する方法であって、
ヒトLIV1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の治療有効用量を対象に投与するステップを含み、
抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1と少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)、及び配列番号2と少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含み、
がんは固形腫瘍である、方法。
【請求項2】
抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域が配列番号1の3つの相補性決定領域(CDR)を含み、抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域が配列番号2の3つのCDRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重鎖可変領域が配列番号1と少なくとも98%の同一性を有し、軽鎖可変領域が配列番号2と少なくとも98%の同一性を有する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
重鎖可変領域が配列番号1と少なくとも99%の同一性を有し、軽鎖可変領域が配列番号2と少なくとも99%の同一性を有する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
重鎖可変領域が配列番号1の配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号2の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
抗体又はその抗原結合断片が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE):
【化1】
にコンジュゲートされている、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
抗体又はその抗原結合断片が、バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE(vcMMAE):
【化2】
にコンジュゲートされている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抗体又はその抗原結合断片に対するvcMMAEの比が約1から約8である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抗体又はその抗原結合断片に対するvcMMAEの比が約4である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
用量が、対象の体重1kgあたり約2.5mgである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
投与される用量が、処置サイクルあたり約200mg未満の抗体又はその抗原結合断片である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
投与される用量が、処置サイクルあたり約250mg未満の抗体又はその抗原結合断片である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
処置サイクルがQ3W処置サイクルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
用量が、対象の体重1kgあたり約1.0mgである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
投与される用量が、処置サイクルあたり約100mg未満の抗体又はその抗原結合断片である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
用量が、対象の体重1kgあたり約1.25mgである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
投与される用量が、処置サイクルあたり約125mg未満の抗体又はその抗原結合断片である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
処置サイクルがQ1W処置サイクルである、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
対象が、1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置に応答しなかったものであり、1つ以上の治療薬が前記抗体又はその抗原結合断片ではない、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象が、1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置後に再発したものであり、1つ以上の治療薬が前記抗体又はその抗原結合断片ではない、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対象が、1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置中の疾患の進行を経験しているものであり、1つ以上の治療薬が抗体又はその抗原結合断片ではない、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
固形腫瘍が肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん及び胃食道接合部がんからなる群から選択される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
固形腫瘍が肺がんである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
肺がんが小細胞肺がんである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象が、小細胞肺がんに対する以前の全身治療を受けているものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
対象が、小細胞肺がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験したものである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象が、細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けたものである、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
対象が、PD-1又はPD-L1の阻害剤による以前の治療を受けたものである、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
対象が、小細胞肺がんに対するファーストラインの全身治療を受けたものである、請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
肺がんが非小細胞肺がんである、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
非小細胞肺がんが扁平上皮癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
非小細胞肺がんが優勢な扁平上皮組織構造を有する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
85%を超える非小細胞肺がん細胞が扁平上皮組織構造を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
非小細胞肺がんが非扁平上皮癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
対象が、非小細胞肺がんに対する以前の全身治療を受けたものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
対象が、非小細胞肺がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験したものである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
対象が、細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けたものである、請求項35又は請求項36に記載の方法。
【請求項38】
対象が、白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けたものである、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
対象が、PD-1又はPD-L1の阻害剤による以前の治療を受けたものである、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
対象が、非小細胞肺がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けたものである、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
固形腫瘍が頭頚部がんである、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
頭頚部がんが扁平上皮癌である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
対象が、頭頚部がんに対する以前の全身治療を受けたものである、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
対象が、頭頚部がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験したものである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象が、細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けたものである、請求項43又は請求項44に記載の方法。
【請求項46】
対象が、白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けたものである、請求項43から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
対象が、PD-1又はPD-L1の阻害剤による以前の治療を受けてたものである、請求項43から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
対象が、頭頚部がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けたものである、請求項43から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
固形腫瘍が食道癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項50】
食道癌が扁平上皮癌である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
食道癌が優勢な扁平上皮組織構造を有する、請求項49又は請求項50に記載の方法。
【請求項52】
85%を超える食道細胞が扁平上皮組織構造を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
対象が、食道がんに対する以前の全身治療を受けたものである、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
対象が、食道がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験したものである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
対象が、細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けたものである、請求項53又は請求項54に記載の方法。
【請求項56】
対象が、食道がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けたものである、請求項53から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
固形腫瘍が胃がんである、請求項22に記載の方法。
【請求項58】
胃がんが胃腺癌である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
対象が、胃がんに対する以前の全身治療を受けたものである、請求項57又は請求項58に記載の方法。
【請求項60】
対象が、胃がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験したものである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
対象が、細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けたものである、請求項59又は請求項60に記載の方法。
【請求項62】
対象が、白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けたものである、請求項59から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
対象が、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を過剰発現する、請求項59から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
対象が、以前のHER2標的化治療を受けたものである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
対象が、胃がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けたものである、請求項59から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
固形腫瘍が胃食道接合部がんである、請求項22に記載の方法。
【請求項67】
胃食道接合部がんが胃食道接合部腺癌である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
対象が、胃食道接合部がんに対する以前の全身治療を受けたものである、請求項66又は請求項67に記載の方法。
【請求項69】
対象が、胃食道接合部がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験したものである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
対象が、細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けたものである、請求項68又は請求項69に記載の方法。
【請求項71】
対象が、白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けたものである、請求項68から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
対象が、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を過剰発現する、請求項68から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
対象が、以前のHER2標的化治療を受けたものである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
対象が、胃食道接合部がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けたものである、請求項68から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
がんが進行期のがんである、請求項1から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
進行期のがんがステージ3又はステージ4のがんである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
進行期のがんが転移性がんである、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
がんが再発がんである、請求項1から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
がんが切除不可能である、請求項1から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
対象が、がんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している、請求項1から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%がLIV1を発現する、請求項1から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
ベースラインと比較して、対象における1つ以上の治療効果が抗体又はその抗原結合断片の投与後に改善する、請求項1から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
1つ以上の治療効果が、がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的な奏効率、応答の持続期間、応答までの時間、無増悪生存及び全生存からなる群から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
抗体又はその抗原結合断片の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、がんに由来する腫瘍のサイズが少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%減少する、請求項1から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
客観的な奏効率が少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%である、請求項1から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
対象が、抗体又はその抗原結合断片の投与後に、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年又は少なくとも約5年の無増悪生存を示す、請求項1から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
対象が、抗体又はその抗原結合断片の投与後に、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年又は少なくとも約5年の全生存を示す、請求項1から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
抗体-薬物コンジュゲートに対する応答の持続期間が、抗体又はその抗原結合断片の投与後少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年又は少なくとも約5年である、請求項1から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
対象が1つ以上の有害事象を有し、1つ以上の有害事象を排除するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬を更に投与される、請求項1から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
対象が1つ以上の有害事象を発症するリスクがあり、1つ以上の有害事象を防止するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬を更に投与される、請求項1から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
1つ以上の有害事象がグレード3以上の有害事象である、請求項89又は請求項90に記載の方法。
【請求項92】
1つ以上の有害事象が重篤有害事象である、請求項89又は請求項90に記載の方法。
【請求項93】
抗体又はその抗原結合断片の投与経路が静脈内注入である、請求項1から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
抗体又はその抗原結合断片が単剤療法として投与される、請求項1から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
抗体又はその抗原結合断片がチェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される、請求項1から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3又はTIM3である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
チェックポイント阻害剤がMEDI0680、AMP-224、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI4736、MPDL3280A、イピリムマブ及びトレメリムマブからなる群から選択される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
チェックポイント阻害剤がペンブロリズマブである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
抗体又はその抗原結合断片が、抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にある、請求項1から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
対象がヒトである、請求項1から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
(a)約0.5mg/kgから約2.8mg/kgの範囲の投薬量の、LIV1に結合する抗体又はその抗原結合断片、及び
(b)請求項1から100のいずれか一項に記載の方法に従って抗体又はその抗原結合断片を使用するための使用説明書
を含むキット。
【請求項102】
LIV1関連がんを有するか又はそのリスクがある対象を処置する方法であって、
治療有効用量のLIV1抗体-薬物コンジュゲート(LIV1-ADC)を対象に投与するステップを含み、LIV1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)にコンジュゲートされたヒト化hLIV22抗体を含み、hLIV22抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、
vcMMAEは構造:
【化3】
を有し、
LIV1-ADCは週に約1回投与される、方法。
【請求項103】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約0.5mgから約2mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約0.75mgから約1.67mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約0.75mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.0mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項107】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.25mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項108】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.5mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項109】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.75mgの用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項110】
LIV1関連がんを有するか又はそのリスクがある対象を処置する方法であって、
治療有効用量のLIV1抗体-薬物コンジュゲート(LIV1-ADC)を対象に投与するステップを含み、LIV1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)にコンジュゲートされたヒト化hLIV22抗体を含み、hLIV22抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、
vcMMAEは構造:
【化4】
を有し、
LIV1-ADCは3週間に2回の処置サイクルで投与される、方法。
【請求項111】
LIV1-ADCが3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約0.5mgから約3.0mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項113】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.0mgから約2.5mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項114】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.25mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項115】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.5mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項116】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約1.75mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項117】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約2.0mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項118】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約2.25mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項119】
LIV1-ADCが対象の体重1kgあたり約2.5mgの用量で投与される、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項120】
hLIV22に対するvcMMAEの比が1から8である、請求項102から119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
LIV1-ADCの集団におけるhLIV22に対するvcMMAEとの比の平均値が約4である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
LIV1関連がんが乳がんである、請求項102から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
乳がんがエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんである、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
乳がんがプロゲステロン受容体陽性/ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(PR+/HER2-)乳がんである、請求項122又は123に記載の方法。
【請求項125】
対象がホルモン療法の候補ではない、請求項123又は124に記載の方法。
【請求項126】
乳がんがトリプルネガティブ乳がんである、請求項122に記載の方法。
【請求項127】
対象が、以前の1つの非ホルモン指向療法を受けている、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
対象が1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
対象が2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている、請求項123から126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
乳がんがホルモン受容体陽性(HR+)乳がんである、請求項122に記載の方法。
【請求項131】
乳がんがHER2陽性乳がんである、請求項122に記載の方法。
【請求項132】
対象が2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
乳がんがHR+/HER2陰性乳がんである、請求項122に記載の方法。
【請求項134】
対象が化学療法に適格である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
対象がホルモン療法の候補ではない、請求項133又は134に記載の方法。
【請求項136】
がんが進行期のがんである、請求項102から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
進行期のがんがステージ3又はステージ4のがんである、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
がんが転移性がんである、請求項102から137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
がんが切除不可能である、請求項102から138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
がんが局所進行性である、請求項102から139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
がんが再発がんである、請求項102から140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
対象が、がんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している、請求項102から141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
対象が1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置に応答せず、1つ以上の治療薬がLIV1-ADCではない、請求項102から142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
対象が1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置後に再発しており、1つ以上の治療薬がLIV1-ADCではない、請求項102から142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
対象が1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置中の疾患の進行を経験しており、1つ以上の治療薬がLIV1-ADCではない、請求項102から142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%がLIV1を発現する、請求項102から145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
ベースラインと比較して、対象における1つ以上の治療効果がLIV1-ADCの投与後に改善する、請求項102から146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
1つ以上の治療効果が、がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的な奏効率、応答の持続期間、応答までの時間、無増悪生存期間及び全生存からなる群から選択される、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
LIV1-ADCの投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、がんに由来する腫瘍のサイズが少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%減少する、請求項102から148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
客観的な奏効率が少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%である、請求項102から149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
LIV1-ADCの投与後、対象が少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年又は少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、請求項102から150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
LIV1-ADCの投与後、対象が少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年又は少なくとも約5年の全生存を示す、請求項102から151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
抗体-薬物コンジュゲートに対する応答の持続期間が、LIV1-ADCの投与後少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年又は少なくとも約5年である、請求項102から152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
対象が1つ以上の有害事象を有し、1つ以上の有害事象を排除するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬を更に投与される、請求項102から153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
対象が1つ以上の有害事象を発症するリスクがあり、1つ以上の有害事象を防止するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬を更に投与される、請求項102から154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
1つ以上の有害事象がグレード3以上の有害事象である、請求項154又は請求項155に記載の方法。
【請求項157】
1つ以上の有害事象が重篤有害事象である、請求項154又は請求項155に記載の方法。
【請求項158】
LIV1-ADCの投与経路が静脈内注入である、請求項102から157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
LIV1-ADCが単剤療法として投与される、請求項102から158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
LIV1-ADCがトラスツズマブと組み合わせて投与される、請求項102から158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
LIV1-ADCが、LIV1-ADC及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にある、請求項102から160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
対象がヒトである、請求項102から161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
(a)約0.5mg/kgから約3.0mg/kgの範囲の投薬量のLIV1-ADC、及び
(b)請求項102から162のいずれか一項に記載の方法に従ってLIV1-ADCを使用するための使用説明書
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/877,233号、2019年8月22日に出願された米国仮特許出願第62/890,498号、2020年4月1日に出願された米国仮特許出願第63/003,613号、及び2020年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/031,496号に対する優先権を主張するものであり、そのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルに関する以下の提出の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ読み取り可能なフォーム(CRF)(ファイル名:761682002140SEQLIST.TXT、記録された日付:2020年7月9日、サイズ:3KB)。
【0003】
発明の分野
本発明は、抗体ベースのがん治療法の分野に関する。特に、本発明は、がん、例えば、固形腫瘍、例えば、局所進行性又は転移性の固形腫瘍(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃及び胃食道接合部腺癌)、及び乳がん(例えば、局所進行性又は転移性の乳がん)の処置のためのヒト化抗LIV1抗体及びその抗原結合断片又はそれらの抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-抗体-薬物コンジュゲート(LIV1-ADC))の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
LIV1(SLC39A6)は、溶質キャリアファミリーのメンバーであって、推定の亜鉛輸送体及びメタロプロテイナーゼ活性を有するマルチスパン膜貫通タンパク質である。LIV1は、乳がん細胞株ZR-75-1においてエストロゲン誘導性遺伝子として最初に同定された。LIV-1は、転移性乳がんのほとんどのサブタイプにおいて発現される。
【0005】
がんは、未だヒトの健康に対する最も致命的な脅威の一つである。米国において、毎年130万人近くの新しい患者ががんに冒されており、がんは、心臓病に次いで二番目に主要な死因であり、死亡事例のおよそ4分の1を占める。がんは5年以内に第一の死因として心血管疾患を上回る可能性があるとも予測されている。固形腫瘍はこれらの死亡事例のほとんどの原因である。ある特定のがんの医学的処置には顕著な進歩があったものの、全てのがんの全体的な5年生存率は、過去20年で約10%しか改善されていない。がん又は悪性腫瘍は転移し、制御されずに急速に増殖し、時宜を得た検出及び処置を極めて困難にしている。
【0006】
肺がんは、未だ米国におけるがんによる死の主要な原因であり、2017年には155,000件を超える死亡事例が推定されている。早期の疾患の患者の治癒目的の処置としては、外科手術、化学療法、放射線治療又は集学的アプローチが挙げられる。しかしながら、大多数の患者は、通常不治である進行期の疾患と診断される。非小細胞肺がん(NSCLC:non-small cell lung cancer)は全ての肺がんの最大80%に相当する。NSCLCのサブタイプの中で、扁平上皮癌(SCC:squamous cell carcinoma/NSCLC)はNSCLCのおよそ30%に相当する。SCC/NSCLCに対して転移性の状況で使用される全身治療は、限定された利益しか示さず、治療による副作用を最小化しながら、可能な限り長く生存期間を延長し生活の質を維持することを主な目的とする。腫瘍が高レベルのPD-L1を発現しないSCC/NSCLCの患者のファーストライン処置としては、ゲムシタビン及びシスプラチンと組み合わせた、ペメトレキセド、抗VEGF抗体、又は抗EGFR抗体ネシツムマブを含まない白金ベースの二剤化学療法が挙げられる。少なくとも50%の腫瘍細胞がPD-L1を染色されている患者は、抗PD-1阻害剤ペンブロリズマブでのファーストライン処置を提案される。最初の併用化学療法レジメンで進行している患者は、抗PD-1又はPD-L1抗体を投与される場合があり、PD-1/L1阻害剤が投与された後に疾患が進行した患者のために併用化学療法が検討される。SCC/NSCLC患者に意義のある利益を提供することができる新しいクラスの治療が早急に必要とされている。
【0007】
頭頚部がんは、米国におけるがんのおよそ3%を構成する。2017年には63,000を超える例が診断されていると推定され、13,000人より多くの患者がこの疾患により死亡した。ヒトパピローマウイルス(HPV:human papilloma virus)感染はまた、頭頚部がんに寄与すると思われるが。90~95%より多くの口腔がん及び鼻咽頭がんが扁平上皮組織構造のものである。外科的切除、放射線療法及び/又は化学放射線療法は、早期又は局所性疾患の患者によく推奨されている。緩和的化学療法、免疫療法及び/又は支持療法は、決定的療法(definitive therapy)に適していない局所的再発又は転移性疾患の患者に最も適切な選択肢である。白金ベースレジメンは、再発又はde novo転移性の頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN:squamous cell carcinoma of the head and neck)の患者のための好ましい標準治療処置(standard of care treatment)である。白金/5-FUレジメンと組み合わせたセツキシマブは、白金/5-FU単独と比較して、臨床的に意義のある利益を実証した。ファーストライン処置で進行している患者にとって、セカンドライン処置は単剤化学療法、標的化治療又はチェックポイント阻害剤、例えば、ニボルマブ若しくはペンブロリズマブを伴う。全体として、ファーストラインの白金併用療法とその後のセカンドラインのPD-1療法の後に進行したSCCHNの患者に、大きなアンメットメディカルニーズがある。
【0008】
食道がんは、全体的な予後不良により、世界中のがん関連死亡者数の6番目の主要な原因である。食道扁平上皮癌(ESCC:esophageal squamous cell carcinoma)の全体的な年齢調整発生率は、100,000人あたり1.4~13.6人である。食道がんは、2016年に、米国において15,690件の死亡事例及び16,940件の新しい例の原因であると推定されている。大多数の患者は、局所進行性又は全身性の疾患を呈し、処置の進歩にもかかわらず転帰は悪いままである。局所進行性又は全身性の疾患を有するこれらの患者のより有効な処置が早急に必要とされている。
【0009】
胃がん(gastric cancer)又は胃がん(stomach cancer)は、最も一般的には細菌ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)による感染によって引き起こされる。胃のがんの約90~95%は腺癌である。胃がんの大部分は成人に起こる(診断時の平均年齢:69歳)。胃がんの発生率は約111人に1人である。米国における胃がんを有する全ての人の全体的な5年相対生存率は約29%である。胃食道接合部腺癌は、食道の下部のがんである。胃食道接合部腺癌の発生率は欧米各国で急速に上昇しており、処置選択肢は限定されており、全体的な予後は極めて悪い。
【0010】
乳がんは、3つのタンパク質発現マーカー:エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、及び増殖因子受容体HER2/neuの過剰発現に基づいて分類される。タモキシフェン及びアロマターゼ阻害剤を含むホルモン療法は、ホルモン受容体ER及びPgRを発現する腫瘍の処置に効果的であり得る。HER2を対象とする療法は、HER2/neuを発現する腫瘍に有用であり、これらの腫瘍は、現在、免疫療法に適格である乳がんの唯一のクラスである。これらの患者に対しては、コンジュゲートされていない抗体、例えば、ハーセプチン(Herceptin)又はパージェタ(Perjeta)が、一般的に、化学療法と組み合わせて使用される。
【発明の概要】
【0011】
固形腫瘍、特に局所進行性又は転移性の固形腫瘍、及び乳がん、特に末期乳がんに効果的な処置が大いに必要とされているのは明らかである。本発明は、高度に特異的かつ効果的な抗LIV1抗体-薬物コンジュゲートを提供することによって、固形腫瘍、例えば、局所進行性又は転移性の固形腫瘍(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌並びに胃及び胃食道接合部腺癌)及び乳がんの改善された処置に対するニーズを満たす。
【0012】
特許出願、特許文献及び科学文献を含む、本明細書中で引用される全ての参考文献は、各それぞれの参考文献が具体的かつ個別に参照により組み込まれていると示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
LIV1関連がんを有するか又はそのリスクがある対象を処置する方法であって、LIV1抗体-薬物コンジュゲート(LIV1-ADC)の治療有効用量を対象に投与するステップを含み、LIV1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)にコンジュゲートされたヒト化hLIV22抗体を含み、hLIV22抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、vcMMAEは構造:
【0014】
【化1】
を有し、LIV1-ADCは週に約1回投与される方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約0.5mgから約2mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約0.75mgから約1.67mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約0.75mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.0mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.25mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.5mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.75mgの用量で投与される。
【0015】
LIV1関連がんを有するか又はそのリスクがある対象を処置する方法であって、LIV1抗体-薬物コンジュゲート(LIV1-ADC)の治療有効用量を対象に投与するステップを含み、LIV1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)にコンジュゲートされたヒト化hLIV22抗体を含み、hLIV22抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、vcMMAEは構造:
【0016】
【化2】
を有し、LIV1-ADCは3週間の処置サイクル中に2回投与される方法もまた、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約0.5mgから約3.0mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.0mgから約2.5mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.25mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.5mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約1.75mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約2.0mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは対象の体重1kgあたり約2.5mgの用量で投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、vcMMAEとhLIV22との比は1から8である。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCの集団におけるvcMMAEとhLIV22との比の平均値は約4である。いくつかの実施形態では、LIV1関連がんは乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんはエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんはプロゲステロン受容体陽性/ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(PR+/HER2-)乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんはトリプルネガティブ乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんはホルモン受容体陽性(HR+)乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんはHER2陽性乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんはHR+/HER2陰性乳がんである。いくつかの実施形態では、がんは進行期のがんである。いくつかの実施形態では、進行期のがんはステージ3又はステージ4のがんである。いくつかの実施形態では、がんは転移性がんである。いくつかの実施形態では、がんは切除不可能である。いくつかの実施形態では、がんは局所進行性である。いくつかの実施形態では、がんは再発がんである。いくつかの実施形態では、対象はがんの標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置に応答せず、1つ以上の治療薬はLIV1-ADCではない。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置後に再発しており、1つ以上の治療薬はLIV1-ADCではない。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置中の疾患の進行を経験しており、1つ以上の治療薬はLIV1-ADCではない。いくつかの実施形態では、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%のがん細胞がLIV1を発現する。いくつかの実施形態では、ベースラインと比較して、対象における1つ以上の治療効果がLIV1-ADCの投与後に改善する。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的な奏効率、応答の持続期間、応答までの時間、無増悪生存期間及び全生存からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCの投与経路は静脈内注入である。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは単剤療法として投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCはトラスツズマブと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、LIV1-ADCは、LIV1-ADC及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にある。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0018】
(a)約0.5mg/kgから約3.0mg/kgの範囲の投薬量のLIV1-ADC、及び
(b)本明細書に提供される方法のいずれかに従ってLIV1-ADCを使用するための使用説明書
を含むキットもまた、本明細書に提供される。
【0019】
LIV1関連がんを有するか又はそのリスクがある対象を処置する方法であって、ヒトLIV1に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の治療有効用量を対象に投与するステップを含み、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1と少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)、及び配列番号2と少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含み、がんは固形腫瘍である方法もまた、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域は配列番号1の3つの相補性決定領域(CDR)を含み、抗体又はその抗原結合断片の軽鎖可変領域は配列番号2の3つのCDRを含む。本明細書のいくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号1の配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号2の配列を含む。本明細書のいくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE):
【0020】
【化3】
にコンジュゲートされている。本明細書のいくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE(vcMMAE):
【0021】
【化4】
にコンジュゲートされている。本明細書のいくつかの実施形態では、用量は、対象の体重1kgあたり約2.5mgである。本明細書のいくつかの実施形態では、投与される用量は、処置サイクルあたり約200mg未満の抗体又はその抗原結合断片である。本明細書のいくつかの実施形態では、投与される用量は、処置サイクルあたり約250mg未満の抗体又はその抗原結合断片である。本明細書のいくつかの実施形態では、処置サイクルはQ3Wの処置サイクルである。本明細書のいくつかの実施形態では、用量は、対象の体重1kgあたり約1.0mgである。本明細書のいくつかの実施形態では、投与される用量は、処置サイクルあたり約100mg未満の抗体又はその抗原結合断片である。本明細書のいくつかの実施形態では、用量は、対象の体重1kgあたり約1.25mgである。本明細書のいくつかの実施形態では、投与される用量は、処置サイクルあたり約125mg未満の抗体又はその抗原結合断片である。本明細書のいくつかの実施形態では、処置サイクルはQ1Wの処置サイクルである。本明細書のいくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置に応答せず、1つ以上の治療薬は抗体又はその抗原結合断片ではない。本明細書のいくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置後に再発しており、1つ以上の治療薬は抗体又はその抗原結合断片ではない。本明細書のいくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置中の疾患の進行を経験しており、1つ以上の治療薬は抗体又はその抗原結合断片ではない。本明細書のいくつかの実施形態では、固形腫瘍は肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん及び胃食道接合部がんからなる群から選択される。本明細書のいくつかの実施形態では、固形腫瘍は肺がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、肺がんは小細胞肺がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、肺がんは非小細胞肺がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、非小細胞肺がんは非扁平上皮癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、非小細胞肺がんは扁平上皮癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、固形腫瘍は頭頚部がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、頭頚部がんは扁平上皮癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、固形腫瘍は食道癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、食道癌は扁平上皮癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、固形腫瘍は胃がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、胃がんは胃腺癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、固形腫瘍は胃食道接合部がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、胃食道接合部がんは胃食道接合部腺癌である。本明細書のいくつかの実施形態では、がんは進行期のがんである。本明細書のいくつかの実施形態では、進行期のがんはステージ3又はステージ4のがんである。本明細書のいくつかの実施形態では、進行期のがんは転移性がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、がんは再発がんである。本明細書のいくつかの実施形態では、がんは切除不可能である。本明細書のいくつかの実施形態では、対象はがんの標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。本明細書のいくつかの実施形態では、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%のがん細胞がLIV1を発現する。本明細書のいくつかの実施形態では、ベースラインと比較して、対象における1つ以上の治療効果が抗体又はその抗原結合断片の投与後に改善する。本明細書のいくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、がんに由来する腫瘍のサイズ、客観的な奏効率、応答の持続期間、応答までの時間、無増悪生存期間及び全生存からなる群から選択される。本明細書のいくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片の投与経路は静脈内注入である。本明細書のいくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は単剤療法として投与される。本明細書のいくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はチェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。本明細書のいくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3又はTIM3である。本明細書のいくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はMEDI0680、AMP-224、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI4736、MPDL3280A、イピリムマブ及びトレメリムマブからなる群から選択される。本明細書のいくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はペンブロリズマブである。本明細書のいくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中にある。本明細書のいくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0022】
(a)約0.5mg/kgから約2.8mg/kgの範囲の投薬量の、LIV1に結合する抗体又はその抗原結合断片、及び
(b)本明細書に提供されるいくつかの方法に従って抗体又はその抗原結合断片を使用するための使用説明書
を含むキットもまた、本明細書に提供される。
【0023】
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公報の写しは、請求及び必要な料金の支払いに応じて当局により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】D1,8-Q3wkスケジュールで1.25mg/kgを開始用量レベルとして選択した、用量設定(上のパネル)及び用量拡張(下のパネル)のプロトコールを表示した概略図である。開始用量と比較した、サイクルあたりの総曝露(mg/kg/サイクル)及び近似的な相対的曝露(x AUC)も表示している。
図2】種々の用量レベルでの週1回投薬スケジュール(Q1W)又はD1,8-Q3W投薬スケジュールの下での総用量及び相対的曝露(相対AUC)を表示した表である。
図3図3Aは、Q3W投薬下でのLV投与後7日間にわたる対象に関する血中ADCにおける薬物-抗体比(DAR)の変化を示した散布図である。図3B-Cは、Q3wkスケジュールによる3mg/kgでのLV投与(赤線)又はQ1wkスケジュールによる1.0mg/kgでのLV投与(黒線)の各々について、DAR≧4のADC及びDAR=2~3のADCの薬物動態モデリングを経時的に示したグラフである。
図4-1】図4A-Hは、LVの薬物動態モデリングを示した一連のグラフであり、DAR≧4のADC、DAR=2~3のADC、DAR=1のADC、DAR=0のADC、全抗体、ADC、抗体とコンジュゲートしたMMAE及び遊離MMAEの各々の経時的濃度を、D1,8-Q3wkスケジュールによる1.5mg/kgでのLV投与(赤線)又はQ1wkスケジュールによる1.0mg/kgでのLV投与(黒線)についてシミュレートした。図4Iは、D1,8-Q3wk又はQ1wk投薬スキームのいずれかの下で、投与後の最初の21日の曲線下面積(AUC0-21day)によって測定したシミュレートした曝露、及びLV投与の後での各々の種に関するCtrough値を示した総括表である。
図4-2】図4-1の続き。
図4-3】図4-2の続き。
図5-1】図5A-Eは、BV(赤線)及びLV(青線)の薬物動態モデリングを示した一連のグラフであり、測定された経時的な全ADCの濃度(図5A)、並びにDAR≧4のADC、DAR=2~3のADC、DAR=1のADC及びDAR=0のADCの各々のシミュレートした経時的な濃度を表示している(図5B図5E)。
図5-2】図5-1の続き。
図6図6A-Cは、処置有効性とLVの薬物動態との相関を示した一連のグラフであり、応答の確率をADCのCtrough値(図6A)、ADCのCmax値(図6B)及びMMAEのCtrough値(図6C)に対してプロットしている。
図7A】対象にQ3W又はQ1W投薬スケジュールの下でBVを投与した場合の、指示された標準化された用量レベル(mg/kg/wk)での末梢神経障害(NP)、グレード2以上のNP(Gr≧2 PN)又は好中球減少症の確率をまとめた表である。
図7B図7Bの上のパネルはGr≧2のPNの確率を、そのようなGr≧2 PNがQ3W投薬スケジュール(青)又はQ1W投薬スケジュール(赤)に関して観察される前に投与された標準化された用量と対比したプロットを示しており、一方、図7Bの下のパネルはQ1W対Q3Wのハザード比(HR)及び95%信頼区間(95%CI)を示した生存回帰分析である。
図8A-8B】図8A-8Bは、LVを2.5mg/kg D1Q3wk(黒線)、0.75mg/kg QW(青線)、1mg/kg D1,8,15-Q4wk(赤線)、又は1.25mg/kg D1,8-Q3wk(緑線)で投与した場合の経時的なADC濃度及びMMAE濃度の薬物動態モデリングを示したグラフである。
図8C図8Cは、ADC及びMMAEに関する各々のピーク-トラフ値変動(Cmax/Ctrough)及び総曝露(AUCtau)を表示した総括表である。
図9A-9B】図9A-9Bは、LVをQ3wkの下で2.5mg/kgで(黒線)、又はD1,8-Q3wkの下で1.0mg/kg(青線)、1.25mg/kg(赤線)、1.5mg/kg(緑線)若しくは1.75mg/kg(紫線)のいずれかで投与した場合の経時的なADC濃度及びMMAE濃度の薬物動態モデリングを示したグラフである。
図9C】ADC及びMMAEに関する各々のピーク-トラフ値変動(Cmax/Ctrough)及び総曝露(AUCtau)を表示した総括表である。
図10図10A-10Bは、LVをQ3Wの下で2.5mg/kgで、又はQ1Wの下で1.0mg/kg若しくは1.25mg/kgのいずれかで投与した場合の経時的なADC濃度及びMMAE濃度の薬物動態モデリングを示したグラフである。
図11】実施例19に記載した第1相試験に関する用量漸増及び用量拡張のスキームを示したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明をより容易に理解できるように、特定の技術的及び科学的用語を以下に具体的に定義する。本明細書の他の箇所で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される他の全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0026】
I.定義
添付の特許請求の範囲を含めて本明細書で使用される場合、「a」、「an」、「the」などの単数形の単語は、文脈から明らかに指示されない限り、それらの対応する複数形の参照を含む。
【0027】
「抗体-薬物コンジュゲート」又は「ADC」は、細胞傷害性薬又は細胞増殖抑制薬にコンジュゲートされた抗体を指す。典型的には、抗体-薬物コンジュゲートは、細胞表面上の標的抗原(例えば、LIV1)に結合した後、抗体-薬物コンジュゲートを細胞の中に内在化させ、その後細胞へ薬物を放出する。いくつかの例示的な実施形態において、抗体-薬物コンジュゲートはLIV1-ADCである。
【0028】
「ポリペプチド」又は「ポリペプチド鎖」は、天然産生か合成産生かにかかわらず、ペプチド結合によって接合されるアミノ酸残基の重合体である。アミノ酸残基約10個未満のポリペプチドは、一般に「ペプチド」と称される。
【0029】
「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭水化物群等の非ペプチド性成分を含んでもよい。炭水化物及び非ペプチド性置換基は、タンパク質が産生される細胞によってタンパク質に添加され得、細胞の種類によって異なることになる。タンパク質は、そのアミノ酸骨格構造の観点から本明細書では定義される。炭水化物群等の置換基は、概して指定はされないが、それでも存在し得る。
【0030】
「アミノ末端」及び「カルボキシル末端」という用語は、ポリペプチド内の位置を表す。文脈が許す場合、これらの用語は、近接性又は相対的位置を表すためにポリペプチドの特定の配列又は部分に関して使用される。例えば、ポリペプチド内で参照配列に対してカルボキシル末端に位置するある特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端に近接して位置付けられるが、必ずしも完全ポリペプチドのカルボキシル末端にある必要はない。
【0031】
アミノ酸置換を保存的又は非保存的として分類する目的で、以下のアミノ酸置換が保存的置換とみなされる:トレオニン、アラニン、又はアスパラギンによって置換されるセリン;プロリン又はセリンによって置換されるトレオニン;アスパラギン酸、ヒスチジン、又はセリンによって置換されるアスパラギン;グルタミン酸又はアスパラギンによって置換されるアスパラギン酸;グルタミン、リジン、又はアスパラギン酸によって置換されるグルタミン酸;アルギニン、リジン、又はグルタミン酸によって置換されるグルタミン;チロシン又はアスパラギンによって置換されるヒスチジン;リジン又はグルタミンによって置換されるアルギニン;イソロイシン、ロイシン、又はバリンによって置換されるメチオニン;ロイシン、バリン、又はメチオニンによって置換されるイソロイシン;バリン、イソロイシン、又はメチオニンによって置換されるロイシン;チロシン又はトリプトファンによって置換されるフェニルアラニン;トリプトファン、ヒスチジン、又はフェニルアラニンによって置換されるチロシン;トレオニンによって置換されるプロリン;セリンによって置換されるアラニン;グルタミン酸、グルタミン、又はアルギニンによって置換されるリジン;メチオニン、イソロイシン、又はロイシンによって置換されるバリン;及びフェニルアラニン又はチロシンによって置換されるトリプトファン。保存的置換は、同じクラスのアミノ酸間の置換も意味し得る。クラスは以下の通りである:第I群(疎水性側鎖):Met、Ala、Val、Leu、Ile;第II群(中性親水性側鎖):Cys、Ser、Thr;第III群(酸性側鎖):Asp、Glu;第IV群(塩基性側鎖):Asn、Gln、His、Lys、Arg;第V群(鎖配向に影響を及ぼす残基):Gly、Pro;及び第VI群(芳香族側鎖):Trp、Tyr、Phe。
【0032】
2つのアミノ酸配列は、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基が、最大限の対応を求めてアライメントさせたときに同じである場合に、「100%のアミノ酸配列同一性」を有する。配列比較は、DNASTAR(Madison,Wisconsin)によって生産されるLASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイートに含まれるものなどの標準的なソフトウェアプログラムを使用して行われ得る。最適なアライメントの決定によって2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列を比較するための他の方法は、当該技術分野で周知である。(例えば、Peruski and Peruski,The Internet and the New Biology:Tools for Genomic and Molecular Research(ASM Press,Inc.1997)、Wu et al.(eds.),“Information Superhighway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins,”Methods in Gene Biotechnology 123-151(CRC Press,Inc.1997)、Bishop(ed.),Guide to Human Genome Computing(2nd ed.,Academic Press,Inc.1998)を参照されたい。)。2つのアミノ酸配列は、2つの配列が、互いに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の配列同一性を有する場合に「実質的な配列同一性」を有するとみなされる。
【0033】
配列同一性パーセントは、Kabat番付規則により最大限にアライメントされた抗体配列により決定される。アライメント後、対象抗体領域(例えば、重鎖又は軽鎖の可変ドメイン全体)が参照抗体の同じ領域と比較される場合、対象と参照抗体領域との間のパーセント配列同一性は、対象及び参照抗体領域の両方において同じアミノ酸により占められる位置の数を、2つの領域のアライメントされた位置の総数で除し(ギャップは数えられない)、100を乗じてパーセントに変換する。
【0034】
1つ以上の列挙される要素を「含む」組成物又は方法は、具体的に列挙されない他の要素を含み得る。例えば、抗体を含む組成物は、抗体のみを含むか、又は他の成分との組み合わせであり得る。
【0035】
値の範囲の表示は、範囲内の又は範囲を定義する全ての整数を含む。
【0036】
本明細書に記載される抗体又は他のタンパク質において、配列番号によって特定されるものに対応するアミノ酸残基の参照は、かかる残基の翻訳後修飾を含む。
【0037】
「抗体」という用語は、抗原の存在に応答して体内で産生され、抗原に結合する免疫グロブリンタンパク質、並びにその抗原結合部分及び操作された変異型を表す。したがって、「抗体」という用語は、例えば、無傷モノクローナル抗体(例えば、ハイブリドーマ技術を使用して産生される抗体)、並びに抗原結合抗体断片、例えば、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖抗体、scFv断片、又はscFv-Fcを含む。概して、操作された無傷抗体及び断片、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖Fv断片、単鎖抗体、ダイアボディ、ミニボディ、線形抗体、多価又は多特異性(例えば、二重特異性)ハイブリッド抗体なども含まれる。よって、「抗体」という用語は、抗体の抗原結合部位を含み、その抗原に特異的に結合することができるいずれのタンパク質も含むように広義に使用される。
【0038】
抗体又はその抗原結合断片という用語には、「コンジュゲートした」抗体又はその抗原結合断片、あるいはその抗体又はその抗原結合断片が共有結合又は非共有結合で医薬薬剤、例えば細胞増殖抑制薬又は細胞傷害性薬に結合している「抗体-薬物コンジュゲート(ADC)」が含まれる。
【0039】
「遺伝子操作された抗体」という用語は、アミノ酸配列を天然の又は親の抗体のものとは異ならせた抗体を意味する。可能性のある変形は多数あり、1つ又は少数のアミノ酸だけを変化させることから、例えば可変又は定常領域の完全な再設計まで多岐にわたる。概して、定常領域を変化させることで、例えば、補体結合、及び他のエフェクター機能といった特徴を改善又は改変する。典型的には、可変領域を変化させることで、抗原結合特徴を改善し、可変領域の安定性を改善し、並びに/あるいは免疫原性の危険を低減する。
【0040】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種(例えば、ヒト)由来の抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であり、一方、鎖の残りの部分は、他の種(例えば、マウス)由来の抗体又は他の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である抗体、並びにかかる抗体の断片を意味する(但し、それらが所望の生物学的活性を示す限り)。
【0041】
「抗体の抗原結合部位」は、その抗原に結合するのに十分な抗体の部分である。最低限のかかる領域は、典型的には、可変ドメイン又はその遺伝子操作された変異型である。単一ドメイン結合部位は、ラクダ化抗体(Muyldermans and Lauwereys,Mol.Recog.12:131-140,1999、Nguyen et al.,EMBO J.19:921-930,2000参照)、又は単一ドメイン抗体を産生させるための他の種のVHドメイン(「dAb」、Ward et al.,Nature 341:544-546,1989、Winterらの米国特許第6,248,516号参照)から生成され得る。一般に、抗体の抗原結合部位は、共通エピトープに結合する、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインの両方を含む。本発明の背景の中で、抗体は、抗原結合部位に加えて、例えば、抗体の第2の抗原結合部位(同じエピトープ若しくは異なるエピトープ、又は同じ抗原若しくは異なる抗原に結合し得る)、ペプチドリンカー、免疫グロブリン定常領域、免疫グロブリンヒンジ、両親媒性ヘリックス(Pack and Pluckthun,Biochem.31:1579-1584,1992参照)、非ペプチドリンカー、オリゴヌクレオチド(Chaudri et al.,FEBS Letters 450:23-26,1999参照)、細胞増殖抑制薬又は細胞傷害性薬といった1つ以上の構成要素を含んでもよく、単量体又は多量体タンパク質であってもよい。抗体の抗原結合部位を含む分子の例は当該技術分野で既知であり、例えば、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab)c、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、Fab-scFv融合物、二重特異性(scFv)-IgG、及び二重特異性(scFv)-Fabが含まれる。(例えば、Hu et al.,Cancer Res.56:3055-3061,1996、Atwell et al.,Molecular Immunology 33:1301-1312,1996、Carter and Merchant,Curr.Op.Biotechnol.8:449-454,1997、Zuo et al.,Protein Engineering 13:361-367,2000、及びLu et al.,J.Immunol.Methods 267:213-226,2002を参照されたい。)
【0042】
「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子(複数可)によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を指す。免疫グロブリンの一形態は、脊椎動物における天然(即ち、天然又は親)の抗体の基本構造単位を構成する。この形態は、四量体であり、免疫グロブリン鎖の2つの同一の対からなり、各対は、1本の軽鎖と1本の重鎖とを有する。各対において、軽鎖及び重鎖可変領域(VL及びVH)は、一緒になって、抗原への結合の中心的役割を果たし、定常領域は、抗体エフェクター機能の中心的役割を果たす。免疫グロブリンタンパク質の5つのクラス(IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgE)が高等脊椎動物において特定されている。IgGが主要なクラスを構成し、通常、血漿中に見出される2番目に豊富なタンパク質として存在する。ヒトでは、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4と表される4つのサブクラスからなる。各免疫グロブリン重鎖は、種における所与のサブクラスに関して本質的に不変である定常領域タンパク質ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3;IgG3はCH4ドメインも含む)からなる定常領域を有する。
【0043】
ヒト及び非ヒト免疫グロブリン鎖をコードするDNA配列は当該技術分野で既知である。(例えば、Ellison et al.,DNA 1:11-18,1981、Ellison et al.,Nucleic Acids Res.10:4071-4079,1982、Kenten et al.,Proc.Natl.Acad.Set USA 79:6661-6665,1982、Seno et al.,Nucl.Acids Res.11:719-726,1983、Riechmann et al.,Nature 332:323-327,1988、Amster et al.,Nucl.Acids Res.8:2055-2065,1980、Rusconi and Kohler,Nature 314:330-334,1985、Boss et al.,Nucl.Acids Res.12:3791-3806,1984、Bothwell et al.,Nature 298:380-382,1982、van der Loo et al.,Immunogenetics 42:333-341,1995、Karlin et al.,J.Mol.Evol.22:195-208,1985、Kindsvogel et al.,DNA 1:335-343,1982、Breiner et al.,Gene 18:165-174,1982、Kondo et al.,Eur.J.Immunol.23:245-249,1993、及びGenBankアクセッション番号J00228を参照されたい)。免疫グロブリンの構造及び機能の概説については、Putnam,The Plasma Proteins,Vol V,Academic Press,Inc.,49-140,1987、及びPadlan,Mol.Immunol.31:169-217,1994を参照されたい。「免疫グロブリン」という用語は、その一般的な意味で本明細書で使用され、文脈に応じて、無傷抗体、その構成要素鎖、又は鎖の断片を表す。
【0044】
完全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDa又は214個のアミノ酸)は、アミノ末端で可変領域遺伝子によって(約110個のアミノ酸をコードする)、及びカルボキシル末端でカッパ又はラムダ定常領域遺伝子によってコードされる。完全長免疫グロブリン「重鎖」(約50kDa又は446個のアミノ酸)は、可変領域遺伝子(約116個のアミノ酸をコードする)、及びガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロン定常領域遺伝子(約330個のアミノ酸をコードする)によってコードされ、後者は、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEとして規定する。軽鎖及び重鎖内で、可変及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域により結合され、重鎖も約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。(概して、Fundamental Immunology(Paul,ed.,Raven Press,N.Y.,2nd ed.1989),Ch.7を参照されたい)。
【0045】
免疫グロブリン軽鎖可変領域又は重鎖可変領域(本明細書では、それぞれ、「軽鎖可変ドメイン」(「VLドメイン」)又は「重鎖可変ドメイン」(「VHドメイン」)とも称される)は、3つの「相補性決定領域」又は「CDR」によって遮られる「フレームワーク」領域からなる。フレームワーク領域は、抗原のエピトープへの特異的結合のためにCDRを整合させる働きをする。よって、「CDR」という用語は、抗原結合に中心的役割を果たす抗体のアミノ酸残基を指す。アミノ末端からカルボキシル末端まで、VLドメインとVHドメインとの両方は、以下のフレームワーク(FR)及びCDR領域を含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0046】
各可変領域ドメインへのアミノ酸の割当は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987 and 1991)の定義に従う。Kabatは、異なる重鎖可変領域間又は異なる軽鎖可変領域間の対応する残基が同じ番号を割り当てられる、広く使用されている番付規則(Kabat番付)も提供する。VLドメインのCDR1、2、及び3は、本明細書では、それぞれ、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3と称され、VHドメインのCDR1、2、及び3は、同様に、本明細書では、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と称される。そのように記述されている場合には、CDRの割当は、Kabatの代わりにIMGT(登録商標)(Lefranc et al.,Developmental & Comparative Immunology 27:55-77;2003)に従う。
【0047】
重鎖定常領域の番付は、Kabat(Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987及び1991)に記載されているように、EUインデックスを介して行う。
【0048】
文脈により別途示されない限り、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生された抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」という用語には、真核生物クローン、原核生物クローン、又はファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体が含まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、モノクローナル抗体である。
【0049】
「ヒト化VHドメイン」又は「ヒト化VLドメイン」という用語は、非ヒトドナー免疫グロブリン(例えば、マウス又はラット)に完全に又は実質的に由来する一部又は全てのCDRと、ヒト免疫グロブリン配列に完全に又は実質的に由来する可変ドメインフレームワーク配列とを含む、免疫グロブリンVH又はVLドメインを指す。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。場合によっては、ヒト化抗体は、適当な結合特徴を強化するために、ヒト可変ドメインフレームワーク領域内にいくつかの非ヒト残基を保持することになる(例えば、フレームワーク中の突然変異は、抗体がヒト化されるときに結合親和性を保存する必要があり得る)。
【0050】
「ヒト化抗体」は、ヒト化VHドメイン及びヒト化VLドメインの一方又は両方を含む抗体である。免疫グロブリン定常領域(複数可)は、存在する必要はないが、存在する場合には、ヒト免疫グロブリン定常領域に完全に又は実質的に由来する。
【0051】
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプター」抗体配列にグラフトされる遺伝子組換えされた抗体である(例えば、Queen,US5,530,101及び5,585,089、Winter,US5,225,539、Carter,US6,407,213、Adair,US5,859,205、並びにFoote,US6,881,557を参照されたい)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、かかる配列の複合体、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、又は生殖系列領域配列であり得る。
【0052】
ヒトアクセプター配列は、他の基準の中でも、アクセプターCDRとドナーCDRとの間で通常型が一致するように、可変領域フレームワークにおけるドナー配列との高い配列同一性を求めて選択され得る。よって、ヒト化抗体は、完全に又は実質的にドナー抗体並びに可変領域フレームワーク配列及び定常領域に由来し、存在する場合、完全に又は実質的にヒト抗体配列に由来するCDRを有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、完全に又は実質的にドナー抗体重鎖並びに重鎖可変領域フレームワーク配列及び重鎖定常領域に由来し、存在する場合、実質的にヒト重鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列に由来する通常3つ全てのCDRを有する。同様に、ヒト化軽鎖は、完全に又は実質的にドナー抗体軽鎖並びに軽鎖可変領域フレームワーク配列及び軽鎖定常領域に由来し、存在する場合、実質的にヒト軽鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列に由来する通常3つ全てのCDRを有する。
【0053】
ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabat番付により定義される通り)の少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%若しくは約99%、又は対応する残基(Kabat番付により定義される通り)の少なくとも約100%がそれぞれのCDR間で同一であるとき、非ヒト抗体において対応するCDRに実質的に由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列又は抗体鎖の定常領域は、(可変領域についてKabat番付により、定常領域についてEU番付により定義される)対応する残基の少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%若しくは約99%、又は(可変領域についてKabat番付により、定常領域についてEU番付により定義される)対応する残基の約100%が同一であるとき、それぞれ、実質的にヒト可変領域フレームワーク配列又はヒト定常領域に由来する。
【0054】
ヒト化抗体は、マウス抗体由来の6つ全てのCDR(好ましくはKabat又はIMGT(登録商標)により定義されるように)を組み込むことが多いが、それらは、マウス抗体からの全てより少ないCDR(例えば、少なくとも3つ、4つ、又は5つ)でも作製され得る(例えば、Pascalis et al.,J.Immunol.169:3076,2002、Vajdos et al.,Journal of Molecular Biology,320:415-428,2002、Iwahashi et al.,Mol.Immunol.36:1079-1091,1999、Tamura et al,Journal of Immunology,164:1432-1441,2000)。
【0055】
ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabat(又はIMGT)により定義される通り)の少なくとも60%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%がそれぞれのCDR間で同一であるとき、非ヒト抗体において対応するCDRに「実質的に由来」する。CDRが非ヒト免疫グロブリンに実質的に由来するヒト化VH又はVLドメインの特定の変形において、ヒト化VH又はVLドメインのCDRは、対応する非ヒトVH又はVL CDRに対して、3つ全てのCDRにわたって、6個以下(例えば、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下)のアミノ酸置換(好ましくは保存的置換)を有する。抗体VH若しくはVLドメインの可変領域フレームワーク配列、又は存在する場合には免疫グロブリン定常領域の配列は、(可変領域についてKabat番付により、定常領域についてEU番付により定義される)対応する残基の少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%若しくは約99%、又は(可変領域についてKabat番付により、定常領域についてEU番付により定義される)対応する残基の約100%が同一であるとき、それぞれ、ヒトVH若しくはVLフレームワーク配列又はヒト定常領域に「実質的に由来」する。したがって、ヒト化抗体のCDRを除いた全ての部分は、通常、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に完全に又は実質的に由来する。
【0056】
抗体は、典型的には、単離された形態で提供される。これは、抗体が典型的には、その産生又は精製から生じる妨害タンパク質及び他の汚染物の少なくとも約50%w/w純粋であることを意味するが、その抗体がその使用を容易にすることを意図した過剰の薬学的に許容される担体(複数可)又は他のビヒクルと組み合わされる可能性を除外しない。抗体は、産生又は精製からの妨害タンパク質及び汚染物から少なくとも約60%、約70%、約80%、約90%、約95、又は約99%w/w純粋である場合がある。単離された抗体を含む抗体は、細胞傷害性薬とコンジュゲートされ、抗体薬物コンジュゲートとして提供され得る。
【0057】
抗体の、その標的抗原への特異的結合は、典型的に、少なくとも約10、約10、約10、約10、又は約1010-1の親和性を意味する。特異的結合は、検出可能に規模が高く、少なくとも1つの非特異的標的に生じる非特異的結合から区別可能である。特異的結合は、特定の官能基間の結合の形成又は特定の空間的適合(例えば、ロック・アンド・キータイプ)の結果であり得るが、非特異的結合は典型的に、ファンデルワース力の結果である。
【0058】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、隣接するアミノ酸、又は1つ以上のタンパク質の3次折り畳みが並置される隣接しないアミノ酸に由来し得る。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性剤、例えば溶媒への曝露で保持され、一方で3次折り畳みによって形成されるエピトープは、典型的には、変性剤、例えば溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも約3個、更に通常は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、又は約8~10個のアミノ酸を、固有の空間的構造で含む。エピトープの空間的構造を決定するための方法としては、例えば、X線結晶学及び2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols,in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい。
【0059】
同じであるか又は重複しているエピトープを認識する抗体は、一方の抗体が標的抗原への他方の抗体の結合と競合する能力を示す単純な免疫アッセイにおいて特定することができる。抗体のエピトープも、接触残基を特定するためのその抗原に結合した抗体のX線結晶学によって定義することができる。
【0060】
あるいは、2つの抗体は、一方の抗体の結合を低下させるか又は排除する抗原におけるアミノ酸突然変異が、他方の結合を低下させるか又は排除する場合に(かかる突然変異が抗原構造の全体的な改変をもたらさないことを条件とする)、同じエピトープを有する。2つの抗体は、一方の抗体の結合を低下させるか又は排除するいくつかのアミノ酸突然変異が他方の抗体の結合を低下させるか又は排除する場合に、重複しているエピトープを有する。
【0061】
抗体間の競合は、試験抗体が参照抗体の共通抗原への特異的結合を阻害するアッセイによって決定し得る(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990)。試験抗体は、過剰な試験抗体が参照抗体の結合を阻害する場合に、参照抗体と競合する。
【0062】
競合アッセイによって特定された抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、及び立体障害が生じるように参照抗体に結合するエピトープの十分近位にある隣接するエピトープに結合する抗体を含む。競合アッセイによって特定される抗体は、標的タンパク質における構造変化を引き起こすことで、参照抗体が試験抗体と結合するエピトープとは異なるエピトープに結合することを防止することによって参照抗体と間接的に競合する抗体も含む。
【0063】
抗体エフェクター機能は、IgのFc領域が寄与する機能を指す。かかる機能は、例えば、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、又は補体依存性細胞傷害性(CDC)であり得る。かかる機能は、例えば、食作用若しくは溶解作用を有する免疫細胞上のFc受容体へのFc領域の結合によって、又はFc領域の補体系の構成要素への結合によって引き起こされ得る。典型的には、Fc結合細胞又は補体成分が媒介する作用(複数可)により、LIV1標的化細胞の阻害及び/又は欠乏がもたらされる。抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)発現細胞を動員(リクルート)し、それらを抗体で被覆された標的細胞と並置し得る。FcγRIII(CD16)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD64)を含む、IgGに対する表面FcRを発現している細胞は、IgGで被覆された細胞を破壊するためのエフェクター細胞として作用し得る。かかるエフェクター細胞としては、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及び好酸球が挙げられる。IgGによるFcγRの会合(engagement)により、ADCC又はADCPが活性化される。ADCCは、膜孔形成タンパク質及びプロテアーゼの分泌を通してCD16エフェクター細胞によって媒介され、一方で食作用は、CD32及びCD64エフェクター細胞によって媒介される(Fundamental Immunology,4th ed.,Paul ed.,Lippincott-Raven,N.Y.,1997,Chapters 3,17及び30、Uchida et al., J.Exp. Med.199:1659-69,2004、Akewanlop et al.,Cancer Res.61:4061-65,2001、Watanabe et al.,Breast Cancer Res.Treat.53:199-207,1999を参照されたい)。
【0064】
ADCC及びADCPに加えて、細胞に結合した抗体のFc領域も、補体古典的経路を活性化して、CDCを誘起することができる。補体系のC1qは抗体のFc領域に結合し、この結合は、それらが抗原と複合体化されるときに生じる。C1qが細胞に結合した抗体に結合することで、C4及びC2のタンパク質分解活性化に関与する事象のカスケードが始動し、C3転換酵素を生成し得る。C3転換酵素によってC3がC3bに切断されることにより、C5b、C6、C7、C8、及びC9を含む末端補体成分の活性化が可能となる。まとめて、これらのタンパク質は、抗体で被覆された細胞上に膜攻撃複合体孔を形成する。これらの孔が、細胞膜の統合性を分断して、標的細胞を殺滅する(Immunobiology,6thed.,Janeway et al.,Garland Science,N.Y.,2005,Chapter 2)。
【0065】
「抗体依存性細胞傷害性」又は「ADCC」という用語は、抗体で被覆された標的細胞と溶解活性を有する免疫細胞(エフェクター細胞とも称される)との相互作用に依存する細胞死を誘導するための機序を指す。かかるエフェクター細胞としては、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、及び好中球が挙げられる。エフェクター細胞は、標的細胞に結合したIgのFc領域に、それらの抗原結合部位を介して結合する。抗体で被覆された標的細胞の死滅は、エフェクター細胞活性の結果として生じる。いくつかの例示的な実施形態では、本発明の抗LIV1 IgG1抗体は、親抗体と比較して、及び/又は抗LIV1 IgG3抗体と比較して、同等又は増加したADCCを媒介する。
【0066】
「抗体依存性細胞食作用」又は「ADCP」という用語は、抗体で被覆された細胞が、IgのFc領域に結合する食作用免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球、及び/又は樹状細胞)によって全て又は部分的に内在化されるプロセスを指す。いくつかの例示的な実施形態では、本発明の抗LIV1 IgG1抗体は、親抗体と比較して、及び/又は抗LIV1 IgG3抗体と比較して、同等又は増加したADCPを媒介する。
【0067】
「補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」という用語は、標的に結合した抗体のFc領域が一連の酵素反応を活性化して標的細胞膜における孔の形成をもたらす、細胞死を誘導するための機序を指す。
【0068】
典型的には、抗原-抗体複合体、例えば、抗体で被覆された標的細胞上にあるものが、補体成分C1qに結合してそれを活性化し、今度はこのC1qが標的細胞死につながる補体カスケードの活性化する。補体の活性化により、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)の結合によってADCCを促進する、標的細胞表面上の補体成分の堆積も生じ得る。
【0069】
「細胞傷害性作用」は、標的細胞の枯渇、排除、及び/又は殺滅を指す。「細胞傷害性薬」は、細胞に対して細胞傷害作用を有し、それにより標的細胞の枯渇、排除及び/又は殺滅を媒介する化合物を指す。いくつかの実施形態において、細胞傷害性薬は、抗体にコンジュゲートされるか、又は抗体と組み合わせて投与され得る。好適な細胞傷害性薬は更に本明細書に記載する。
【0070】
「細胞増殖抑制作用」は、細胞増殖の阻害を指す。「細胞増殖抑制薬」は、細胞に対して細胞増殖抑制作用を有することで、特定の細胞型及び/又は細胞の特定のサブセットの増殖及び/又は拡大の阻害を媒介する化合物を指す。好適な細胞増殖抑制薬は更に本明細書に記載する。
【0071】
「患者」又は「対象」という用語は、予防的又は治療的処置のいずれかを受ける、ヒト及び他の哺乳動物対象、例えば非ヒト霊長類、ウサギ、ラット、マウスなど、及びそれらのトランスジェニック種を含む。
【0072】
本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)の投与によるLIV1発現障害の処置の背景における「有効量」という用語は、LIV1関連障害(例えば、LIV1発現がん)の1つ以上の症状の発現を阻害するか又はそれを緩和するのに十分なかかる抗体又はその抗原結合断片の量を指す。有効量の抗体は、「有効なレジメン」で投与される。「有効なレジメン」という用語は、その障害の予防的又は治療的処置(例えば、LIV1発現がんの予防的又は治療的処置)を達成するのに十分な抗体の投与量及び投薬頻度の組み合わせを指す。
【0073】
「薬学的に許容される」という用語は、米国の連邦若しくは州政府の規制機関により承認された若しくは承認可能である、又は動物、より具体的にはヒトにおいて使用するための米国薬局方若しくは他の一般的に認識されている薬局方に列記されていることを意味する。「薬学的に相溶性の成分」という用語は、抗LIV1抗体(例えば、LIV1-ADC)と共に製剤化される薬学的に許容される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。
【0074】
「薬学的に許容される塩」という句は、薬学的に許容される有機塩又は無機塩を指す。例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩(saccharate)、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(即ち、1,1’メチレンビス-(2ヒドロキシ3ナフトエート)塩)が含まれる。薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば酢酸イオン、コハク酸イオン又は他の対イオンなどを更に含んでもよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる任意の有機又は無機の部分であり得る。更に、薬学的に許容される塩は、その構造内に2つ以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/又は1つ以上の対イオンを有し得る。
【0075】
「白金ベース療法」とは、白金ベース薬剤による処置を指す。「白金ベース薬剤」とは、化学元素である白金を含有する配位錯体を含み、化学療法薬として有用な分子又は該分子を含む組成物を指す。白金ベース薬剤は一般にDNA合成を阻害することによって作用し、中にはアルキル化活性を有するものもある。白金ベース薬剤は、化学療法レジメンの一部として現在使用されているもの、現在開発中であるもの、及び今後開発される可能性があるものを包含する。
【0076】
文脈から別途明らかでない限り、値が「約」X又は「およそ」Xと表されるとき、Xの表示値は、±10%の精度を持つと理解される。
【0077】
本発明の文脈における溶媒和物は、溶媒分子との配位を通して固体又は液体状態において複合体を形成する本発明の化合物の形態である。水和物は、溶媒和物の1つの特定の形態であり、配位は水と行われる。いくつかの例示的な実施形態において、本発明の文脈における溶媒和物は、水和物である。
【0078】
ii.抗LIV1抗体、抗原結合断片及び抗体-薬物コンジュゲート
本発明は、単離された、組換え及び/又は合成されたヒト、霊長類、げっ歯類、哺乳類、キメラ、ヒト化及び/又はCDRグラフト化された抗体、並びにその抗原結合断片及び抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)、更には1つの抗体分子の少なくとも一部をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む組成物及び核酸分子を提供する。本発明は、診断及び治療用組成物、方法及びデバイスを含む、そのような核酸及び抗体の製造方法及び使用方法を更に含むが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態において、ヒト化抗LIV1 IgG1抗体が提供される。他の例示的な実施形態において、ヒト化抗LIV1 IgG1抗体-薬物コンジュゲートが提供される。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明はがんの処置のための抗体-薬物コンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートはアウリスタチンにコンジュゲートされた抗体を含む。いくつかの実施形態では、アウリスタチンはモノメチルアウリスタチンである。いくつかの実施形態では、モノメチルアウリスタチンはモノメチルアウリスタチンEである。
【0080】
別段の指示がない限り、抗LIV1抗体薬物コンジュゲート(即ち、LIV1-ADC)は、細胞傷害性薬にコンジュゲートされたヒトLIV1タンパク質に特異的な抗体を含む。
【0081】
SGN-LIV1Aは、プロテアーゼ切断可能なリンカー(即ち、バリン-シトルリンリンカー)を介してモノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされた抗LIV1ヒト化抗体(hLIV22とも称する)である。LIV1発現細胞に結合すると、SGN-LIV1Aは内在化され、MMAEを放出し、このMMAEはマイクロチューブリンを破壊し、アポトーシスを誘導する。SGN-LIV1Aはラジラツズマブベドチンとしても知られる。
【0082】
SGN-LIV1Aは、米国特許第9,228,026号に記載されたマウスBR2-22a抗体のヒト化形態を含む。SGN-LIV1A抗体を作製する方法もまた、米国特許第9,228,026号に開示されており、これは全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
SGN-LIV1Aの重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号1として本明細書に提供される。SGN-LIV1Aの軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号2として本明細書に提供される。薬物リンカーvcMMAE(以下に示す。1006とも称する)の合成及びコンジュゲーションは、米国特許第9,228,026号及び米国特許公開第2005/0238649号に更に記載されており、これらはそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
いくつかの例示的な実施形態において、LIV1-ADCは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)(PubChem CID:53297465)を含む:
【0087】
【化5】
【0088】
いくつかの例示的な実施形態において、LIV1-ADCは、それにコンジュゲートされたvcMMAEを含む。vcMMAEは、リソソーム切断性ジペプチドであるバリン-シトルリン(vc)を介して結合した抗有糸分裂薬MMAEを含む強力な抗腫瘍活性を有するADC用薬剤リンカーコンジュゲートである:
【0089】
【化6】
【0090】
米国特許第9,228,026号は、vcMMAEをhLIV22にコンジュゲートする方法を開示している。
【0091】
特定の例示的な実施形態によるvcMMAE-抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、以下に記載される。
【0092】
【化7】
【0093】
いくつかの例示的な実施形態において、vcMMAE抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、上記のように提供され、ここでAbは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、hLIV22)を含むことができ、pは約1から約8までの任意の整数であり得る。いくつかの実施形態では、vcMMAE抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、上記のように提供され、ここでAbは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、hLIV22)を含むことができ、pは1であり、vcMMAEと抗体又はその抗原結合断片の比が1であることを表す。いくつかの実施形態では、vcMMAE抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は上記のように提供され、ここでAbは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、hLIV22)を含むことができ、pは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり、vcMMAEと抗体又はその抗原結合断片の比(「薬物対抗体比」又は「DAR」としても知られている)が2、3、4、5、6、7、8、9又は10であることを表す。従って、いくつかの実施形態では、vcMMAE抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は上記のように提供され、ここで、vcMMAEと抗体又は抗原結合断片の比は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。いくつかの例示的な実施形態において、vcMMAE抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は上記のように提供され、ここでAbは抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、hLIV22)を含むことができ、pは4であり、vcMMAEと抗体又はその抗原結合断片の比が4であることを表す。したがって、いくつかの例示的な実施形態において、vcMMAE抗体コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は上記のように提供され、ここで、vcMMAEと抗体又はその抗原結合断片の比は4である。
【0094】
SGN-LIV1Aは、がん細胞の増殖を阻害し、同時に対象が許容するレベルで対象に投与することができる。
【0095】
いくつかの例示的な実施形態において、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1に記載されたHCVRからのCDR及び/又は配列番号2に記載されたLCVRからのCDRを含む。いくつかの例示的な実施形態において、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1に記載されたHCVR及び/又は配列番号2に記載されたLCVRを含む。他の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片は、HCVR/LCVR対の配列番号1/配列番号2を含む。他の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1に対して少なくとも約80%の相同性又は同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)を有するHCVRを含む、並びに/あるいは配列番号2に対して少なくとも約80%の相同性又は同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)を有するLCVRを含む。
【0096】
本明細書に記載の抗体及びその抗原結合断片及び抗体-薬物コンジュゲート(例えば、抗LIV1抗体又はLIV1-ADC)は、改変形態で発現させてもよい。例えば、追加のアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、抗体又はその抗原結合断片又は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)のN末端に付加して、宿主細胞内での、精製中、又はその後の取り扱い及び貯蔵中の、安定性及び持続性を改善することができる。また、精製を容易にするために、本発明の抗体又はその抗原結合断片又は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)にペプチド部分を付加することができる。そのような領域は、抗体分子又はその少なくとも1つの断片の最終調製に先立って除去することができる。そのような方法は、Sambrook,前掲;Ausubel,et al.編,Current Protocols In Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,N.Y.(1987-2001)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0097】
本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片又は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、抗LIV1抗体又はLIV1-ADC)は、典型的には、標準的な結合アッセイ、例えばBiacoreベースの結合アッセイを使用して測定して、約≦1μM、例えば、約≦100nM、約≦10nM、又は約≦1nMの平衡結合定数で標的抗原(例えば、LIV1)と結合する。
【0098】
本発明の抗体分子は、参照抗LIV1抗体、例えば抗体BR2-22aと相対的に特徴付けることができる。抗体BR2-22aは、米国特許第8,591,863号に記載されており、American Type Culture Collectionから市販されている。
【0099】
抗体-薬物コンジュゲート
ある特定の実施形態では、本発明の抗体(例えば、抗LIV1抗体)を薬物にコンジュゲートさせて、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を形成させることができる。例示的な抗LIV1-ADC抗体はSGN-LIV1Aである。特定のADCは、細胞傷害性薬(例えば、化学療法薬)、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体若しくは化合物、又は毒素(治療薬と総称されるこれらの部分)を含み得る。例えば、ADCは、化学療法薬などの細胞傷害性薬、又は毒素(例えば、細胞増殖抑制若しくは殺細胞薬、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、又はジフテリア毒素)とコンジュゲートされ得る。細胞傷害性薬の有用なクラスの例は、例えば、DNA小溝結合剤、DNA複製阻害剤、化学療法増感剤、DNAアルキル化剤、及びチューブリン阻害剤を含む。細胞傷害性薬の他の例示的なクラスには、アントラサイクリン、アウリスタチン、カンプトテシン、デュオカルマイシン、エトポシド、メイタンシノイド及びビンカアルカロイドが含まれる。いくつかの例示的な細胞傷害性薬には、アウリスタチン(例えば、アウリスタチンT、アウリスタチンE、AFP、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、親油性モノメチルアウリスタチンF、モノメチルアウリスタチンE(MMAE))、DNA小溝結合剤(例えば、エンジイン及びレキシトロプシン)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、ビンカアルカロイド、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPTi)、チューブリシンM、ドキソルビシン、モルホリノ-ドキソルビシン及びシアノモルホリノ-ドキソルビシンが含まれる。
【0100】
細胞傷害性薬は、化学療法薬、例えばドキソルビシン、パクリタキセル、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキサート、マイトマイシンC又はエトポシドであってよい。薬剤はまた、CC-1065類似体、カリケアミシン、メイタンシン、ドラスタチン10の類似体、リゾキシン又はパリトキシンであってもよい。
【0101】
細胞傷害性薬はまた、アウリスタチンであってもよい。アウリスタチンは、アウリスタチンE誘導体、例えば、アウリスタチンEとケト酸との間で形成されるエステルであってよい。例えば、アウリスタチンEをパラアセチル安息香酸又はベンゾイル吉草酸と反応させて、各々AEB及びAEVBを生成させることができる。他の典型的なアウリスタチンには、アウリスタチンT、AFP、MMAF、及びMMAEが含まれる。様々なアウリスタチンの合成及び構造は、例えば、US 2005-0238649号及びUS2006-0074008号に記載されている。
【0102】
細胞傷害性薬はDNA小溝結合剤であってよい(例えば、米国特許第6,130,237号を参照)。例えば、小溝結合剤はCBI化合物又はエンジイン(例えば、カリケアミシン)であってよい。
【0103】
細胞傷害性薬又は細胞増殖抑制薬は抗チューブリン剤であってよい。抗チューブリン剤の例には、タキサン(例えば、Taxol(登録商標)(パクリタキセル)、Taxotere(登録商標)(ドセタキセル))、T67(Tularik社)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)及びアウリスタチン(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB)が含まれる。他の適した抗チューブリン剤には、例えば、バッカチン誘導体、タキサン類似体(例えば、エポチロンA及びB)、ノコダゾール、コルヒチン及びコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、ディスコデルモリド及びエリュテロビンが含まれる。
【0104】
細胞傷害性薬は、抗チューブリン剤の別の群であるメイタンシノイドであってよい(例えば、DM1、DM2、DM3、DM4)。例えば、メイタンシノイドは、メイタンシン又はメイタンシン含有薬物リンカー、例えばDM-1又はDM-4(ImmunoGen,Inc.;Chari et al.,1992,Cancer Res.も参照)であってよい。
【0105】
ADCは、プロドラッグ変換酵素にコンジュゲートされ得る。プロドラッグ変換酵素は、既知の方法を使用して、抗体に組換えによって融合されるか、又は抗体に化学的にコンジュゲートされ得る。例示的なプロドラッグ変換酵素は、カルボキシペプチダーゼG2、ベータ-グルクロニダーゼ、ペニシリン-V-アミダーゼ、ペニシリン-G-アミダーゼ、β-ラクタマーゼ、β-グルコシダーゼ、ニトロレダクターゼ、及びカルボキシペプチダーゼAである。
【0106】
治療薬をタンパク質、特に抗体とコンジュゲートするための技法は周知である。(例えば、Alley et al.,Current Opinion in Chemical Biology 2010 14:1-9;Senter,Cancer J.,2008,14(3):154-169を参照されたい)。治療薬は、抗体から切断されない限り(例えば、加水分解、タンパク質分解、又は切断剤によって)、その活性を低減する様式でコンジュゲートされ得る。いくつかの態様では、コンジュゲートが、LIV1発現がん細胞によって内在化されるときに抗体から切断されるように(例えば、エンドソーム環境において、又は例えば、pH感受性若しくはプロテアーゼ感受性により、リソソーム環境において、又はカベオラ(caveolear)環境において)、LIV1発現がん細胞の細胞内環境における切断に感受性であるが、細胞外環境に実質的に感受性ではない切断可能なリンカーによって治療薬は抗体に結合される。いくつかの実施形態では、治療薬はまた、切断不可能なリンカーによって抗体に結合され得る。
【0107】
いくつかの例示的な実施形態において、ADCは、細胞傷害性薬又は細胞増殖抑制薬と抗体との間のリンカー領域を含み得る。上記のように、典型的には、リンカーは、リンカーの切断が細胞内環境(例えば、リソソーム又はエンドソーム又はカベオラ(caveolea)内)において抗体から治療薬を放出するように、細胞内条件下で切断可能であり得る。リンカーは、例えば、リソソーム又はエンドソームプロテアーゼを含む、細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素により切断されるペプチジルリンカーであり得る。切断剤は、カテプシンB及びD、並びにプラスミンを含み得る(例えば、Dubowchik and Walker,Pharm.Therapeutics 83:67-123,1999を参照されたい)。最も典型的なのは、LIV1発現細胞に存在する酵素により切断可能であるペプチジルリンカーである。例えば、癌性組織において高度に発現されるチオール依存性プロテアーゼカテプシンBにより切断可能であるペプチジルリンカー(例えば、Phe-Leu又はVal-Citペプチドを含むリンカー)を使用することができる。
【0108】
切断可能なリンカーは、pH感受性、即ち、ある特定のpH値での加水分解に感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解性である。例えば、リソソーム中で加水分解性である酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シスアコニックアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用することができる。(例えば、米国特許第5,122,368号、第5,824,805号、第5,622,929号、Dubowchik and Walker,Pharm.Therapeutics 83:67-123,1999、Neville et al.,Biol.Chem.264:14653-14661,1989を参照されたい)。かかるリンカーは、血液中などの中性pH条件下で比較的安定しているが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5又は5.0未満で不安定である。
【0109】
他のリンカーは還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。ジスルフィドリンカーには、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDB、及びSMPTを使用して形成され得るものが挙げられる。(例えば、Thorpe et al.,Cancer Res.47:5924-5931,1987、Wawrzynczak et al.,Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel ed.,Oxford U.Press,1987、また米国特許第4,880,935号を参照されたい。)
【0110】
リンカーは、マロネートリンカー(Johnson et al.,Anticancer Res.15:1387-93,1995)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau et al.,Bioorg-Med-Chem.3:1299-1304,1995)、又は3’-N-アミド類似体(Lau et al.,Bioorg-Med-Chem.3:1305-12,1995)であり得る。
【0111】
リンカーは、治療薬に直接結合され、抗体のタンパク質分解により放出されるマレイミド-アルキレン又はマレイミド-アリールリンカーなどの切断不可能なリンカーでもあり得る。
【0112】
典型的には、リンカーは、細胞外環境に実質的に感受性ではなく、これは、ADCが細胞外環境(例えば、血漿中)に存在するときに、ADCの試料中のリンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、更により典型的には約5%以下、約3%以下、又は約1%以下が切断されることを意味する。リンカーが細胞外環境に実質的に感受性でないかは、例えば、(a)ADC(「ADC試料」)及び(b)等モル量のコンジュゲートされていない抗体又は治療薬(「対照試料」)の両方を、所定の期間(例えば、2、4、8、16、又は24時間)、個別に血漿と共にインキュベートした後、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定して、ADC試料中に存在するコンジュゲートされていない抗体又は治療薬の量を、対照試料中に存在するものと比較することによって決定され得る。
【0113】
リンカーはまた、細胞内在化を促進し得、例えば治療薬とコンジュゲートされたときに(即ち、本明細書に記載のADC又はADC誘導体のリンカー-治療薬部分の環境において)、細胞内在化を促進することができる。あるいは、リンカーは、治療薬及び抗体の両方とコンジュゲートされたときに(即ち、本明細書に記載のADCの環境において)、細胞内在化を促進することができる。
【0114】
抗体(例えば、抗LIV1抗体)は、抗体のヘテロ原子を介してリンカーとコンジュゲートされ得る。これらのヘテロ原子は、その天然の状態で抗体上に存在し得るか、又は抗体(例えば、抗LIV1抗体)に導入され得る。いくつかの態様では、抗体(例えば、抗LIV1抗体)は、システイン残基の硫黄原子を介してリンカーとコンジュゲートされる。抗体とリンカー及び薬物リンカーをコンジュゲートする方法は、当該技術分野において既知である。
【0115】
例示的な抗体-薬物コンジュゲートは、アウリスタチン系抗体-薬物コンジュゲートを含む(つまり、薬物成分がアウリスタチン薬物である)。アウリスタチンは、チューブリンに結合し、微小管の動態並びに核及び細胞分裂に干渉することが示されており、抗がん活性を有する。典型的に、アウリスタチン系抗体-薬物コンジュゲートは、アウリスタチン薬物と抗体(例えば、抗LIV1抗体)との間のリンカーを含む。リンカーは、例えば、切断可能なリンカー(例えば、ペプチジルリンカー)又は切断不可能なリンカー(例えば、抗体の分解により放出されるリンカー)であり得る。アウリスタチンは、MMAF及びMMAEを含む。例示的なアウリスタチンの合成及び構造は、米国特許第7,659,241号、第7,498,298号、第7,968,687号、米国公開第2009/0111756号及び第2009/0018086号に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により、及び全ての目的に関して、本明細書に組み込まれる。
【0116】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、薬物にコンジュゲートされて抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を形成することができ、抗体あたり約1から約8の薬物部分の比を有することができる。ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片(例えば、抗LIV1抗体)は、薬物にコンジュゲートされてADCを形成することができ、抗体あたり約2から約5の薬物部分の比を有することができる。いくつかの実施形態では、抗体あたりの薬物部分の比は1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片は、薬物にコンジュゲートされてADCを形成することができ、抗体あたりの薬物部分の比は約4である。いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートの集団における抗体あたりの薬物部分の平均数は約1から約8である。いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートの集団における抗体あたりの薬物部分の平均数は約4である。ADCの抗体又はその抗原結合断片あたりの薬物部分の比を決定する方法は、当業者には容易に理解される。
【0117】
III.治療用途
本発明は、LIV1を発現する細胞に関連する障害、例えば、がんを処置する方法を提供する。一態様では、本発明は、がん、例えば固形腫瘍、例えば局所進行性又は転移性の固形腫瘍(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌)の処置のための、ヒト化抗LIV1抗体及びその抗原結合断片又はコンジュゲート(例えば、抗LIV1-抗体-薬物コンジュゲート(抗LIV1-ADC)の使用を提供する。一態様では、本発明は、がん、例えば乳がんの処置のための、ヒト化抗LIV1抗体及びその抗原結合断片又はコンジュゲート(例えば、抗LIV1-抗体-薬物コンジュゲート(抗LIV1-ADC)の使用を提供する。
【0118】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、本発明の方法によって処置される生物を指す。このような生物は、好ましくは、限定されないが、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含み、より好ましくはヒトを含む。本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」及び「処置すること」という用語には、状態、疾患、障害などの向上をもたらす任意の効果、例えば、軽減、減少、調節、改善又は排除、あるいはそれらの兆候の改善、例えば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、末梢器官へのがん細胞浸潤速度の減少、又は腫瘍転移若しくは腫瘍成長速度の減少が含まれる。
【0119】
がんにおける肯定的な治療効果は、多数の方法で測定することができる(W.A.Weber、J.Null.Med.50巻:1S~10S(2009年);Eisenhauerら、前掲を参照されたい)。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)に対する応答は、RECIST 1.1基準を使用して評価される。一部の実施形態では、治療有効量によって達成される処置は、部分応答(PR)、完全応答(CR)、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、客観的応答(OR)又は全生存(OS)のいずれかである。がん患者を処置するのに有効である本明細書に記載される治療の投薬レジメンは、因子、例えば、患者の病状、年齢、及び体重、並びに対象における抗がん応答を誘発する治療の能力によって変動し得る。本発明の処置方法、医薬及び使用の実施形態は、全ての対象において肯定的な治療効果を達成するのに有効ではない場合があるが、当該技術分野において公知である任意の統計的試験、例えば、スチューデントt検定、カイ検定、Mann及びWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstra検定、及びWilcoxon検定によって決定される統計的に有意な数の対象において肯定的な治療効果を達成する必要がある。
【0120】
本明細書で使用される場合、「RECIST 1.1応答基準」は、反応が測定される状況に基づいて、必要に応じて、標的病変又は非標的病変に対する、Eisenhauerら、E.A.ら、Eur.J Cancer 45巻:228~247頁(2009年)に記載されている定義を意味する。
【0121】
がん(例えば、固形がん又は乳がん)と診断された、又はそれを有する疑いがある対象に適用される「腫瘍」とは、任意のサイズの悪性若しくは潜在的に悪性の新生物又は組織の塊を指す。
【0122】
「腫瘍量」とも呼ばれる「腫瘍組織量」とは、全身に分布する腫瘍物質の総量を指す。腫瘍量とは、リンパ節及び骨狭窄を含む、全身のがん細胞の総数又は腫瘍(複数可)の合計サイズを指す。腫瘍量は、当該技術分野において公知である様々な方法によって、例えば、キャリパーを使用して、例えば、対象からの除去時に腫瘍(複数可)の寸法を測定することによって、又は、一方で、生体内では、画像化技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)若しくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用することによって決定することができる。
【0123】
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さ及び幅として測定することができる腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍の大きさは、当該技術分野において公知である様々な方法によって、例えば、キャリパーを使用して、例えば、対象からの除去時に腫瘍(複数可)の寸法を測定することによって、又は、一方で、生体内では、画像化技術、例えば、骨スキャン、超音波、CT若しくはMRIスキャンを使用することによって決定することができる。
【0124】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な化合物(例えば、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート)の量を指す。有効量の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1回以上の投与、適用又は投薬で投与することができ、特定の製剤又は投与経路に限定されることを意図しない。一般的に、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり0.2mgから3.5mgの範囲である。いくつかの実施形態では、最大用量は約100mg、約125mg、約200mg又は約250mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、約100mg、約125mg、約200mg又は約250mgの最大用量で0.5mg/kgから2.8mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、約200mgの最大用量で対象の体重1kgあたり0.5mgから3.0mgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり0.5mgから2.0mgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり0.75mgから1.67mgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり0.5mgから3.0mgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり1.0mgから2.5mgの範囲である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約0.75mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり0.75mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約1.0mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり1.0mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約1.25mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり1.25mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約1.5mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり1.5mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約1.67mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり1.67mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約1.75mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり1.75mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約2.0mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり2.0mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり約2.25mgである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の治療有効量は、対象の体重1kgあたり2.5mgである。投与される投薬量は、公知の因子、例えば、特定の薬剤の薬力学的特徴、並びにその投与様式及び投与経路、レシピエントの年齢、健康状態、及び体重、処置される疾患又は症状の種類及び程度、兆候の性質及び程度、併用処置の種類、処置の頻度、及び望ましい効果に依存して変動し得る。最初の投薬量は、望ましい血中レベル又は組織レベルを迅速に達成するために、上限レベルを超えて増加させることができる。あるいは、最初の投薬量は、最適値よりも少なくすることができ、毎日の投薬量は、処置の過程で徐々に増加させることができる。投薬頻度は、因子、例えば、投与経路、投薬量、抗体の血清半減期、及び処置する疾患に依存して変動し得る。例示的な投薬頻度は、1日に1回、週に1回、2週間ごとに1回、及び3週間ごとに1回である。モノクローナル抗体ベースの薬物の製剤は、当該技術分野における通常の技術の範囲内である。一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、凍結乾燥され、次に、投与時に緩衝生理食塩水において再構成される。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、以前の治療後に持続的応答を達成できなかった(例えば、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)ではない全身性抗がん治療に失敗した又は無効な治療後の)患者、即ち、がんの処置経験がある患者に投与される。
【0126】
いくつかの実施形態では、上記のように、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を含む医薬は、液体製剤として提供され得るか、又は使用前に注射用の滅菌水で凍結乾燥された粉末を再構成することによって調製され得る。
【0127】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を約1週間ごとに1回、約2週間ごとに1回、約3週間ごとに1回又は約1カ月ごとに1回投与することを含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約2.5mgの用量で、処置期間を通して約21日(±2日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)は、3週間ごとに約200mg未満の用量で使用される。
【0129】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約1.0mgの用量で、処置期間を通して約7日(±1日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごとに約100mg未満の用量で使用される。
【0130】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約1.25mgの用量で、処置期間を通して約7日(±1日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごとに約125mg未満の用量で使用される。
【0131】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約2.5mgの用量で、処置期間を通して約21日(±2日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間ごとに約250mg以下の用量で」使用される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間ごとに250mg以下の用量で使用される。ある特定の実施形態では、対象は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)を更に投与される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、3週間ごとに約200mg以上であり、約250mg以下の用量で使用される場合、対象は、GCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、3週間ごとに200mg以上であり、250mg以下の用量で使用される場合、対象は、GCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは、組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFは、フィルグラスチム(filgrastim)(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、PEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、レノグラスチム(lenograstim)(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、tbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0132】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約1.0mgの用量で、処置期間を通して約7日(±1日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごとに約100mg以下の用量で使用される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごとに100mg以下の用量で使用される。ある特定の実施形態では、対象は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)を更に投与される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、1週間ごとに約80mg以上であり、約100mg以下の用量で使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、1週間ごとに80mg以上であり、100mg以下の用量で使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0133】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約1.25mgの用量で、処置期間を通して約7日(±1日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごとに約125mg以下の用量で使用される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごとに125mg以下の用量で使用される。ある特定の実施形態では、対象は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)を更に投与される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、1週間ごとに約100mg以上であり、約125mg以下の用量で使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、1週間ごとに100mg以上であり、125mg以下の用量で使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0134】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、約1週間ごとに1回、約2週間ごとに1回、約3週間ごとに1回又は約1カ月ごとに1回投与することを含む。ある特定の実施形態では、対象は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)を更に投与される。ある特定の実施形態では、用量がQ3W又はQ21Dで約200mg以上であり、約250mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量が200mg以上であり、250mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0135】
ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約0.5mgから約2.0mgの用量で、処置期間を通して約7日(±1日)の間隔で投与することを含む。ある特定の実施形態では、投薬レジメンは、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を、対象の体重1kgあたり約0.5mgから約3.0mgの用量で、処置期間を通して3週間に2回の処置サイクルで投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目(D1&D8 Q3W)に投与される。例えば毎週の投薬又は3週間の処置サイクルの1日目及び8日目(D1&D8 Q3W)の投与の使用によって、抗体-薬物コンジュゲート投薬の頻度を高めることは、より多くの総用量を投与すること及び有効性の向上をもたらし得る可能性がある一方で、ある特定の有害事象の悪化を最小限にしか招かない可能性がある。実施例で示すように、抗体-薬物コンジュゲートが、より低い頻度で、例えば3週間ごとに1回投与される場合には、高い薬物対抗体比(DAR)を有する抗体-薬物コンジュゲートの濃度は、クリアランスの速さが理由で投薬間でゼロまで降下する。より高い頻度の投与、例えば毎週又は3週間の処置サイクルの1日目及び8日目(D1&D8 Q3W)の投与は、処置期間を通してより小さいピーク-トラフ値変動をもたらし、より高いCtrough値を維持することができ、このことは処置有効性を改善し得る。更に、D1&D8 Q3W処置サイクルのD15に抗体-薬物コンジュゲートの投与を行わないことで、血液学的な回復が可能になり、投与遅延及び投与消失を防ぎ得る。
【0136】
本発明の特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、毎週又は7日(±1日)ごとに約0.5mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約0.6mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約0.7mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約0.75mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約0.8mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約0.9mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.0mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.1mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.2mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.25mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.3mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.4mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.5mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.6mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.67mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.7mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.75mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.8mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに約1.9mg/kg体重、及び毎週又は7日(±1日)ごとに約2.0mg/kg体重、並びにこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えば毎週又は7日(±1日)ごとに約200mg未満、からなる群から選択される用量で、対象に投与される。
【0137】
本発明の特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、毎週又は7日(±1日)ごとに0.5mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに0.6mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに0.7mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに0.75mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに0.8mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに0.9mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.0mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.1mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.2mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.25mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.3mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.4mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.5mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.6mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.67mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.7mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.75mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.8mg/kg体重、毎週又は7日(±1日)ごとに1.9mg/kg体重、及び毎週又は7日(±1日)ごとに2.0mg/kg体重、並びにこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えば毎週又は7日(±1日)ごとに約200mg未満、からなる群から選択される用量で、対象に投与される。
【0138】
本発明の特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間(±3日)ごとに2回の約0.5mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約0.75mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約1.0mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約1.25mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約1.5mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約1.75mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約2.0mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約2.25mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約2.5mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の約2.75mg/kg体重、及び3週間(±3日)ごとに2回の約3.0mg/kg体重、並びにこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えば3週間(±3日)ごとに約200mg未満、からなる群から選択される用量で、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目(D1&D8 Q3W)に投与される。
【0139】
本発明の特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間(±3日)ごとに2回の0.5mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の0.75mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の1.0mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の1.25mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の1.5mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の1.75mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の2.0mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の2.25mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の2.5mg/kg体重、3週間(±3日)ごとに2回の2.75mg/kg体重、及び3週間(±3日)ごとに2回の3.0mg/kg、並びにこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えば3週(±3日)ごとに約200mg未満、からなる群から選択される用量で、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目(D1&D8 Q3W)に投与される。
【0140】
ある特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、単剤療法として投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、トラスツズマブと組み合わせて投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3、又はTIM3である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、MEDI0680、AMP-224、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI4736、MPDL3280A、イピリムマブ及びトレメリムマブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はペムブロリズマブである。
【0141】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、細胞、組織、器官、動物又は患者におけるがんを処置する方法を提供する。ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、ヒトにおける固形腫瘍を処置する方法を提供する。ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、ヒトにおける乳がんを処置する方法を提供する。
【0142】
ある特定の実施形態では、対象は、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を含有する医薬を非経口的投薬で、例えば、静脈内(IV)注入で投与される。
【0143】
本発明の特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間ごと(Q3W、Q3wk)若しくは21日ごと(Q21D)の約0.5mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約1.0mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約1.5mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約2.0mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約2.5mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約2.8mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約3.0mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約3.2mg/kg体重、又はQ3W若しくはQ21Dの約3.5mg/kg体重、及びこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えば、Q3W又はQ21Dの約200mg未満、からなる群から選択される用量で、液体医薬において対象に投与される。
【0144】
本発明の特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、3週間ごと(Q3W)若しくは21日ごと(Q21D)の約0.5mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約1.0mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約1.5mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約2.0mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約2.5mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約2.8mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約3.0mg/kg体重、Q3W若しくはQ21Dの約3.2mg/kg体重、又はQ3W若しくはQ21Dの約3.5mg/kg体重、及びこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えば、Q3W又はQ21Dの約250mg以下、からなる群から選択される用量で、液体医薬において対象に投与される。ある特定の実施形態では、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量がQ3W又はQ21Dの約200mg以上であり、約250mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量が、Q3W又はQ21Dで200mg以上であり、250mg以下である場合、対象に、GCSFを更に投与する。ある特定の実施形態では、GCSFは、予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFは、フィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、PEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、レノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、tbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0145】
本発明の特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごと(Q1W、Q1wk)若しくは7日ごと(Q7D)に約0.25mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約0.50mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約0.75mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約1.0mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約1.25mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約1.5mg/kg体重、又はQ1W若しくはQ7Dで約1.75mg/kg体重、及びこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えばQ1W若しくはQ7Dで約100mg未満又はQ1W若しくはQ7Dで約125mg未満、からなる群から選択される用量で、液体医薬において対象に投与される。
【0146】
本発明の特定の実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、1週間ごと(Q1W)若しくは7日ごと(Q7D)に約0.25mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約0.5mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約0.75mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約1.0mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約1.25mg/kg体重、Q1W若しくはQ7Dで約1.5mg/kg体重、又はQ1W若しくはQ7Dで約1.75mg/kg体重、及びこれらの用量のいずれかの最大相当量、例えばQ1W若しくはQ7Dで約100mg以下又はQ1W又はQ7Dで約125mg未満、からなる群から選択される用量で、液体医薬において対象に投与される。ある特定の実施形態では、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量がQ1W又はQ7Dで約80mg以上であり、約100mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量がQ1W又はQ7Dで80mg以上であり、100mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量がQ1W又はQ7Dで約100mg以上であり、約125mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、用量がQ1W又はQ7Dで100mg以上であり、125mg以下である場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約191mg、約192mg、約193mg、約194mg、約195mg、約196mg、約197mg、約198mg、約199mg又は約200mgの投与量で提供される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、約200mg未満の投与量、例えば、約200mgの投与量、約199mg、約198mg、約197mg、約196mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約90mg、約80mg、約75mg、約60mg、約50mg、約40mg、約30mg、約25mg、約20mg又は約10mgの投与量で提供される。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約245mg又は約250mgの投与量で提供される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、約250mg以下の投与量、例えば、約250mgの投与量、約245mg、約240mg、約235mg、約230mg、約225mg、約220mg、約215mg、約210mg、約205mg、約200mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約90mg、約80mg、約75mg、約60mg、約50mg、約40mg、約30mg、約25mg、約20mg又は約10mgの投与量で提供される。
【0149】
ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)は、単剤療法として投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)は、チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3又はTIM3である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、MEDI0680、AMP-224、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI4736、MPDL3280A、イピリムマブ及びトレメリムマブからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はペムブロリズマブである。
【0150】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、細胞、組織、器官、動物又は患者におけるがんを処置する方法を提供する。ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、ヒトにおける固形腫瘍、例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がんを処置する方法を提供する。特定の例示的な実施形態では、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がんは、局所進行性又は転移性である。
【0151】
いくつかの実施形態では、対象は、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がんに対して以前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は処置に応答しなかった(例えば、対象は処置中の疾患の進行を経験した)。いくつかの実施形態では、対象は処置後に再発した。いくつかの実施形態では、対象は処置後に疾患進行を経験した。いくつかの実施形態では、対象に以前に投与された処置は、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片ではなかった。
【0152】
ある特定の小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がんは、タンパク質(例えば、例示された抗体の1つを使用するイムノアッセイを使用することによる)又はmRNAレベルのいずれかで測定されたLIV1の検出可能なレベルを示す。ある特定の実施形態では、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌又は乳がんは、同じタイプの非がん性組織又は細胞、例えば、同じ患者由来の肺、扁平上皮、食道、胃及び食道胃、又は他の乳房の細胞若しくは組織と比較して、高レベルのLIV1を示す。他の実施形態では、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌又は乳がんは、例えば、同じ患者由来の同じタイプの非がん性の肺、扁平上皮、食道、胃及び食道胃、又は乳房組織又は乳房細胞と比較して、類似したレベルのLIV1を示す。
【0153】
処置に適した小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌又は乳がんの細胞上のLIV1タンパク質の例示的なレベルは、細胞あたり5,000~150,000のLIV1タンパク質であるが、より高い又はより低いレベルに関連する乳がんを処置することができる。場合により、対象由来の小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌又は乳がんにおけるLIV1レベル(例えば、LIV1タンパク質レベル)は、処置を行う前に測定される。いくつかの実施形態では、がん細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%又は少なくとも約80%が、LIV1を発現する。
【0154】
A.肺がん
肺がんは、未だ米国におけるがんによる死の主要な原因であり、2017年には155,000件を超える死亡事例が推定されている。早期の疾患の患者の治癒目的の処置としては、外科手術、化学療法、放射線治療又は併用療法アプローチが挙げられる。しかしながら、大多数の患者は、通常不治である進行期の疾患と診断される。非小細胞肺がん(NSCLC)は全ての肺がんの最大80%に相当する。NSCLCのサブタイプの中で、扁平上皮癌(SCC/NSCLC)はNSCLCのおよそ30%に相当する。SCC/NSCLCの転移性の環境で使用される全身治療は、限定的な効果を示しており、可能な限り長い生存期間の延長及び生活の質の維持を中心的に狙い、一方で処置による副作用を最小にすることを狙う。腫瘍が高レベルのPD-L1を発現しないSCC/NSCLCの患者のファーストライン処置としては、ゲムシタビン及びシスプラチンと組み合わせた、ペメトレキセド、抗VEGF抗体、又は抗EGFR抗体ネシツムマブを含まない白金ベースの二剤化学療法が挙げられる。少なくとも50%の腫瘍細胞がPD-L1について染色される患者は、抗PD-1阻害剤ペンブロリズマブでのファーストライン処置を提案される。最初の併用化学療法レジメンが進行している患者は、抗PD-1又はPD-L1抗体を受け得、併用化学療法は、PD-1/L1阻害剤を受けた後に疾患が進行した患者のために考慮される。SCC/NSCLC患者に意義のある効果を提供し得る新しいクラスの治療が早急に必要とされている。
【0155】
本発明は、肺がんを本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置する方法を提供する。一態様では、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、対象における肺がんを処置する方法における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、肺がんは小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、対象は小細胞肺がんに対する以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は小細胞肺がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験している。いくつかの実施形態では、対象は細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象はPD-1又はPD-L1の阻害剤による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は小細胞肺がんに対するファーストラインの全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、肺がんは非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、非小細胞肺がんは扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、非小細胞肺がんは優勢な扁平上皮組織構造(predominant squamous histology)を有する。いくつかの実施形態では、非小細胞肺がん細胞の85%より多くは扁平上皮組織構造を有する。いくつかの実施形態では、非小細胞肺がんは非扁平上皮細胞性のがんである。いくつかの実施形態では、対象は非小細胞肺がんに対する以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は非小細胞肺がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験している。いくつかの実施形態では、対象は細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン(phenanthriplatin)、ピコプラチン及びサトラプラチンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はカルボプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はシスプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はオキサリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はネダプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は四硝酸トリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はフェナントリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はピコプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、対象はPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、BMS-936558、MDX-1106)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK-3475)、ピディリズマブ(CT-011)及びセミプリマブ(REGN2810)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、MPDL3280A)、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、デュルバルマブ及びBMS-936559からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、対象は非小細胞肺がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、肺がんは進行期のがんである。いくつかの実施形態では、進行期のがんはステージ3又は4のがんである。いくつかの実施形態では、肺がんは再発がんである。いくつかの実施形態では、対象はがんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0156】
B.頭頚部がん
頭頚部がんは、米国におけるがんのおよそ3%を構成する。2017年には63,000を超える症例が診断されたと推定され、13,000人より多くの患者がこの疾患で死亡した。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染も、頭頚部がんに寄与すると思われる。口腔がん及び上咽頭がんの90~95%より多くが扁平上皮組織構造である。外科的切除、放射線療法及び/又は化学放射線療法は、早期又は局所性疾患の患者に頻繁に推奨されている。緩和的化学療法、免疫療法及び/又は支持療法は、標的療法に適していない局所的再発又は転移性疾患の患者に最も適切な選択肢である。白金ベースレジメンは、再発又はde novo転移性の頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN)の患者の好ましい標準治療処置である。白金/5-FUレジメンと組み合わせたセツキシマブは、白金/5-FU単独と比較して、臨床的に意義のある効果が実証された。ファーストライン処置が進行している患者にとって、セカンドライン処置は単剤化学療法、標的化治療又はチェックポイント阻害剤、例えば、ニボルマブ若しくはペンブロリズマブを伴う。全体として、ファーストラインの白金併用療法とその後のセカンドラインのPD-1治療の後に進行したSCCHNの患者に、大きなアンメットメディカルニーズがある。
【0157】
本発明は、頭頚部がんを本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置する方法を提供する。一態様では、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、対象における頭頚部がんを処置する方法における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、頭頚部がんは扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、頭頚部がんは優勢な扁平上皮組織構造を有する。いくつかの実施形態では、頭頚部がん細胞の85%より多くは扁平上皮組織構造を有する。いくつかの実施形態では、対象は頭頚部がんに対する以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は頭頚部がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験している。いくつかの実施形態では、対象は細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン及びサトラプラチンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はカルボプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はシスプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はオキサリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はネダプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は四硝酸トリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はフェナントリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はピコプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、対象はPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、PD-1の阻害剤は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、BMS-936558、MDX-1106)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK-3475)、ピディリズマブ(CT-011)及びセミプリマブ(REGN2810)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、MPDL3280A)、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、デュルバルマブ及びBMS-936559からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、対象は頭頚部がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、頭頚部がんは進行期のがんである。いくつかの実施形態では、進行期のがんはステージ3又は4のがんである。いくつかの実施形態では、頭頚部がんは再発がんである。いくつかの実施形態では、対象はがんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0158】
C.食道がん
食道がんは、全体的な予後不良により、世界中のがん関連死亡者数の6番目の主要な原因である。食道扁平上皮癌(ESCC)の全体的な年齢調整発生率は、100,000人あたり1.4~13.6人である。食道がんは、2016年に、米国において15,690件の死亡事例及び16,940件の新たな症例の原因であると推定されている。大多数の患者は、局所進行性又は全身性の疾患を呈し、治療の進歩にもかかわらず結果は良くないままである。局所進行性又は全身性の疾患を有するこれらの患者のより有効な処置が早急に必要とされている。
【0159】
本発明は、食道がんを本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置する方法を提供する。一態様では、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、対象における食道がんを処置する方法における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、食道がんは扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、食道がんは優勢な扁平上皮組織構造を有する。いくつかの実施形態では、食道細胞の85%より多くは扁平上皮組織構造を有する。いくつかの実施形態では、対象は食道がんに対する以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は食道がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験している。いくつかの実施形態では、対象は細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は食道がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、食道がんは進行期のがんである。いくつかの実施形態では、進行期のがんはステージ3又は4のがんである。いくつかの実施形態では、食道がんは再発がんである。いくつかの実施形態では、対象はがんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0160】
D.胃がん及び食道胃接合部がん
胃がん(gastric cancer)又は胃がん(stomach cancer)は、最も一般的には細菌ヘリコバクター・ピロリによる感染によって引き起こされる。胃のがんの約90~95%は腺癌である。胃がんの大部分は成人に起こる(診断時の平均年齢:69歳)。胃がんの発生は約111人に1人である。米国における胃がんを有する全ての人の全体的な5年相対生存率は約29%である。胃食道接合部腺癌は、食道の下部のがんである。胃食道接合部腺癌の発生率は欧米各国で急速に上昇しており、処置選択肢は限定されており、全体的な予後は極めて良くない。
【0161】
本発明は、胃がん及び食道胃接合部がんを本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置する方法を提供する。一態様では、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、対象における胃がん又は食道胃接合部がんを処置する方法における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は胃がんである。いくつかの実施形態では、胃がんは胃腺癌である。いくつかの実施形態では、対象は胃がんに対する以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は胃がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験している。いくつかの実施形態では、対象は細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン及びサトラプラチンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はカルボプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はシスプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はオキサリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はネダプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は四硝酸トリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はフェナントリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はピコプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、対象はヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を過剰発現する。いくつかの実施形態では、対象は以前のHER2標的化治療を受けている。いくつかの実施形態では、HER2標的化治療は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、マルゲツキシマブ及びネリペピムト-S(nelipepimut-S)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、対象は胃がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は食道胃接合部がんである。いくつかの実施形態では、食道胃接合部がんは食道胃接合部腺癌である。いくつかの実施形態では、対象は食道胃接合部がんに対する以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は食道胃接合部がんに対する以前の全身治療の際又はそれ以降に疾患の進行を経験している。いくつかの実施形態では、対象は細胞傷害性化学療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は白金ベース療法又は白金ベース併用療法による以前の治療を受けている。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン及びサトラプラチンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はカルボプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はシスプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はオキサリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はネダプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法は四硝酸トリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はフェナントリプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はピコプラチンである。いくつかの実施形態では、白金ベース療法はサトラプラチンである。いくつかの実施形態では、対象はヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を過剰発現する。いくつかの実施形態では、対象は以前のHER2標的化治療を受けている。いくつかの実施形態では、HER2標的化治療は、トラスツズマブ、ペルツズマブ、マルゲツキシマブ及びネリペピムト-Sからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、対象は食道胃接合部がんに対するファーストラインの以前の全身治療を受けている。いくつかの実施形態では、胃がん又は胃食道がんは進行期のがんである。いくつかの実施形態では、進行期のがんはステージ3又は4のがんである。いくつかの実施形態では、胃がん又は胃食道がんは再発がんである。いくつかの実施形態では、対象はがんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0162】
E.乳がん
乳がんは、3つのタンパク質発現マーカー:エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、及び増殖因子受容体HER2/neuの過剰発現に基づいて分類される。タモキシフェン及びアロマターゼ阻害剤を含むホルモン療法は、ホルモン受容体ER及びPgRを発現する腫瘍の処置に効果的であり得る。HER2指向性の療法は、HER2/neuを発現する腫瘍に有用であり、これらの腫瘍は、現在、免疫療法に適格である乳がんの唯一のクラスである。これらの患者に対しては、コンジュゲートされていない抗体、例えば、ハーセプチン(Herceptin)又はパージェタ(Perjeta)が、一般的に、化学療法と組み合わせて使用される。
【0163】
本発明は、がん、例えば乳がんを、抗体及びその抗原結合断片及び抗体-薬物コンジュゲートで処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、がん、例えば乳がんを、抗体-薬物コンジュゲートで処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、アウリスタチンにコンジュゲートされた抗体を含む。いくつかの実施形態では、アウリスタチンはモノメチルアウリスタチンである。いくつかの実施形態では、モノメチルアウリスタチンはモノメチルアウリスタチンEである。一態様では、本発明は、LIV-1を発現する細胞に関連する障害、例えば、がん(例えば、乳がん、例えば局所進行性乳がん又は転移性乳がん)を処置する方法を提供する。結果として、本発明は、対象、例えば、乳がんの対象を、本明細書に記載の抗LIV1抗体並びにその抗原結合断片及び抗体-薬物コンジュゲートを使用して処置する方法を提供する。本方法は、抗LIV1抗体、又は抗LIV1抗体若しくはその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を含む組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、がんは進行期のがんである。いくつかの実施形態では、進行期のがんは転移性がんである。いくつかの実施形態では、がんは切除不可能である。いくつかの実施形態では、がんは局所進行性である。いくつかの実施形態では、がんは再発がんである。いくつかの実施形態では、対象はがんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置に応答せず、1つ以上の治療薬は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)ではない。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置後に再発しており、1つ以上の治療薬は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)ではない。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置中の疾患の進行を経験しており、1つ以上の治療薬は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0164】
例示的な乳がんは、がんを発現する細胞においてLIV1を発現するもの(即ち、LIV1を発現するがん)である。ある特定の例示的な実施形態では、乳がんは、癌腫、肉腫、葉状体、パジェット病、及び血管肉腫からなる群から選択される。乳がんは、非浸潤性(in situ)(例えば、非浸潤性乳管癌(DCIS)、非浸潤性小葉癌(LCIS)など)又は侵襲性/浸潤性(例えば、侵襲性乳管癌(IDC)、侵襲性小葉癌(ILC)、炎症性乳がん(IBC)など)であり得る。
【0165】
乳がんは、以下の特徴:エストロゲン受容体陽性(ER+)、エストロゲン受容体陽性(ER-)、プロゲステロン受容体陽性(PR+)、プロゲステロン受容体陰性(PR-)、ホルモン受容体陽性(HR+)、ホルモン受容体陰性(HR-)、HER2遺伝子過剰発現(HER2+)、HER2遺伝子が野生型又は低発現(HER2-)、グループ1(ルミナルA)、即ち、ER+/PR+/HER2-、グループ2(ルミナルB)、即ちER+/PR-/HER2+、グループ3(HER2+)、即ちER-/PR-/HER2+、及びグループ4(基底細胞様又はトリプルネガティブ(TN))、即ちER-/PR-/HER2-を有し得る。
【0166】
乳がんは、グレード1、2又は3に更に分類され得る。グレード1又は十分に分化した(スコア3、4、若しくは5)乳がんは、より高いグレードの乳がんよりも成長が遅く、正常な乳房組織により似ている細胞を含む。グレード2又は中程度に分化した(スコア6、7)乳がんは、グレード1~3の間のどこかにある細胞の速度で成長し、その細胞のように見える細胞を有する。グレード3又は低程度に分化した(スコア8、9)乳がんには、正常細胞と非常に異なるように見え、典型的には、グレード1又は2よりも早く成長及び拡散する細胞を有する。
【0167】
ある特定の例示的な実施形態では、乳がんは、不治の、切除不可能な、局所的に進行した又は転移性の乳がん(LA/MBC)である。ある特定の実施形態では、乳がんは、トリプルネガティブ(TN)(ER-/PR-/HER2-)乳がん、ER-及び/又はPR+/HER2-乳がん、並びにLA/MBC乳がんのいずれかである。ある特定の例示的な実施形態では、乳がんは、HER2+及びLA/MBCである。ある特定の例示的な実施形態では、乳がんは、TN及びLA/MBCである。ある特定の例示的な実施形態では、乳がんは、TN乳がん、転移性乳がん、及び転移性TN乳がんからなる群から選択される。
【0168】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、ヒトにおける乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるER+乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ER+乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、ER+乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、ER+乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるER+/HER2-乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ER+/HER2-乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、ER+/HER2-乳がんの対象は以前の細胞毒性レジメンを受けていない。いくつかの実施形態では、ER+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、ER+/HER2-乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるPR+/HER2-乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、PR+/HER2-乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、PR+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、PR+/HER2-乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるER+/PR+/HER2-乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ER+/PR+/HER2-乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、ER+/PR+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、ER+/PR+/HER2-乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるトリプルネガティブ乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、トリプルネガティブ乳がんの対象は1つの以前の非ホルモン指向療法を受けている。いくつかの実施形態では、トリプルネガティブ乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、トリプルネガティブ乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるHR+乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HR+乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、HR+乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるHR+/ER+/HER2-乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/HER2-乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/HER2-乳がんの対象は化学療法に適格である。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の非ホルモン指向療法レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるHR+/PR+/HER2-乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HR+/PR+/HER2-乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、HR+/PR+/HER2-乳がんの対象は化学療法に適格である。いくつかの実施形態では、HR+/PR+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、HR+/PR+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の非ホルモン指向療法レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるHR+/ER+/PR+/HER2-乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/PR+/HER2-乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/PR+/HER2-乳がんの対象は化学療法に適格である。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/PR+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、HR+/ER+/PR+/HER2-乳がんの対象は1つの以前の非ホルモン指向療法レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるHER2+乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HER2+乳がんの対象は1つの以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、HER2+乳がんの対象は2つ以上の以前の細胞毒性レジメンを受けている。いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるHR+/HER2+乳がんを処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、HR+/HER2+乳がんの対象は化学療法が適格である。いくつかの実施形態では、HR+/HER2+乳がんの対象は化学療法に適格ではない。いくつかの実施形態では、HR+/HER2+乳がんの対象はホルモン療法の候補ではない。いくつかの実施形態では、乳がんは進行期乳がんである。いくつかの実施形態では、進行期乳がんは転移性乳がんである。いくつかの実施形態では、乳がんは切除不可能である。いくつかの実施形態では、乳がんは局所進行性である。いくつかの実施形態では、乳がんは再発性乳がんである。いくつかの実施形態では、対象は乳がんに対する標準治療による以前の処置を受けており、以前の処置が失敗している。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置に応答せず、1つ以上の治療薬は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)ではない。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置後に再発しており、1以上の治療薬は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)ではない。いくつかの実施形態では、対象は1つ以上の治療薬で以前に処置されており、処置中の疾患の進行を経験しており、1つ以上の治療薬は抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0169】
F.有害事象
一態様では、がん、例えば固形腫瘍、例えば、局所進行性又は転移性の固形腫瘍(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌)及び乳がんを、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置する方法は、対象が1つ以上の有害事象を発症することをもたらす。いくつかの実施形態では、対象は、有害事象を排除するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬を投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象は重篤有害事象である。本明細書における任意の実施形態の一部では、対象は、有害事象を排除するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬による処置を投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象は再発性注入関連反応であり、追加の治療薬は抗ヒスタミン剤、アセトアミノフェン及び/又はコルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象は好中球減少症であり、追加の治療薬は増殖因子の支持的投与(G-CSF)である。
【0170】
一態様では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置される対象は、1つ以上の有害事象を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、有害事象の発症を防止するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬を投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象は重篤有害事象である。本明細書における任意の実施形態の一部では、対象は、有害事象の発症を防止するか又はその重症度を低下させる追加の治療薬による処置を投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象は再発性注入関連反応であり、追加の治療薬は抗ヒスタミン剤、アセトアミノフェン及び/又はコルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、1つ以上の有害事象は好中球減少症であり、追加の治療薬は増殖因子の支持的投与(G-CSF)である。
【0171】
G.処置アウトカム
一態様では、固形腫瘍、例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がんを、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)で処置する方法は、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、ベースラインと比較して、対象における1つ以上の治療効果の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療効果は、がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がん)に由来する腫瘍のサイズ、客観的な奏効率、応答の持続期間、応答までの時間、無増悪生存期間、全生存、又はそれらの任意の組み合わせである。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は、がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がん)に由来する腫瘍のサイズである。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は腫瘍サイズの縮小である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は安定疾患である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は部分応答である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は完全応答である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は客観的な奏効率である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は応答の持続期間である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は応答までの時間である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は無増悪生存期間である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果は全生存である。1つの実施形態では、1つ以上の治療効果はがん退縮である。
【0172】
本明細書において提供する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート、例えばLIV1-ADCによる処置に対する応答は、以下の基準(RECIST基準1.1)を含み得る:
【0173】
【表3】
【0174】
本明細書において提供する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート、例えばLIV1-ADCによる処置の有効性は、客観的な奏効率を測定することによって判定される。いくつかの実施形態では、客観的な奏効率は、あらかじめ定義した量の腫瘍サイズ減少が最低限の期間にわたって見られた患者の割合である。いくつかの実施形態では、客観的な奏効率はRECIST v1.1に基づく。1つの実施形態では、客観的な奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約20%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約30%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約40%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約50%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約60%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約70%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約85%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約90%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約95%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約98%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも約99%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも20%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも30%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも40%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも50%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも60%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも70%~80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも80%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも85%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも90%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも95%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも98%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は少なくとも99%である。1つの実施形態では、客観的な奏効率は100%である。
【0175】
本明細書において提供する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート、例えばLIV1-ADCによる処置に対する応答は、がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がん)に由来する腫瘍のサイズを測定することによって判定される。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約10%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約20%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約30%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約40%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約50%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約60%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約70%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約85%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約90%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約95%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約98%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも約99%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも10%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも20%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも30%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも40%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも50%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも60%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも70%~80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも80%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも85%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも90%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも95%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも98%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは少なくとも99%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは100%減少する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは磁気共鳴イメージング(MRI)によって測定される。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズはコンピュータ断層撮影法(CT)によって測定される。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズはポジトロン放出断層撮影法(PET)によって測定される。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍のサイズは超音波によって測定される。
【0176】
本明細書において提供する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)による処置に対する応答は、がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌及び食道胃接合部腺癌、又は乳がん)に由来する腫瘍の退縮を促進する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約10%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約20%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約30%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約40%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約50%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約60%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約70%~約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約85%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約90%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約95%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約98%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも約99%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与前のがんに由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも10%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも20%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも30%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも40%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも50%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも60%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも70%~80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも80%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも85%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも90%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも95%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも98%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は少なくとも99%退縮する。1つの実施形態では、がんに由来する腫瘍は100%退縮する。1つの実施形態では、腫瘍の退縮は、磁気共鳴イメージング(MRI)によって腫瘍のサイズを測定することによって決定される。1つの実施形態では、腫瘍の退縮は、コンピュータ断層撮影法(CT)によって腫瘍のサイズを測定することによって決定される。1つの実施形態では、腫瘍の退縮は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)によって腫瘍のサイズを測定することによって決定される。1つの実施形態では、腫瘍の退縮は、超音波によって腫瘍のサイズを測定することによって決定される。
【0177】
本明細書に記載する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)による処置に対する応答は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、無増悪生存期間の長さを測定することによって判定される。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、又は少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約6カ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、又は少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも6カ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも5年の無増悪生存期間を示す。
【0178】
本明細書に記載する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)による処置に対する応答は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後の全生存期間を測定することによって判定される。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、又は少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約6カ月の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約1年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約2年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約3年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約4年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、又は少なくとも5年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも6カ月の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも1年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも2年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも3年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも4年の全生存期間を示す。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、少なくとも5年の全生存期間を示す。
【0179】
本明細書に記載する方法又は使用又は使用のための製品の1つの実施形態では、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)による処置に対する応答は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後に、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間を測定することによって判定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、又は少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約6カ月である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約1年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約2年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約3年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約4年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも約5年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、又は少なくとも5年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも6カ月である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも1年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも2年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも3年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも4年である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)に対する応答の持続期間は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与後少なくとも5年である。
【0180】
IV.医薬組成物及び製剤
治療用途のために、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、薬学的に許容される担体と組み合わされる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」とは、合理的な効果/リスク比に見合う、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わないで、ヒト及び動物の組織との接触における使用に適した緩衝剤、担体、及び賦形剤を意味する。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合し、レシピエントに有害ではないという意味で「許容できる」ものでなければならない。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、溶媒、分散媒体、被覆剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれ、これらは薬剤投与に適合する。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において公知である。
【0181】
したがって、本発明の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)組成物は、任意の適切な賦形剤の少なくとも1つ、例えば、限定されないが、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、防腐剤、アジュバント又はその他を含み得る。薬学的に許容される賦形剤が好ましい。このような滅菌溶液の非限定的な例及びそれを調製する方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、限定されないが、Gennaro編、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18版、Mack Publishing Co.(Easton,Pa.)1990年に記載されているものが挙げられる。当該技術分野において周知であるか又は本明細書に記載されている、抗体分子、断片又は変異体組成物の投与様式、溶解度及び/又は安定性に適した薬学的に許容される担体を、日常的に選択することができる。
【0182】
本発明に係る抗体分子組成物における使用に適した医薬賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において公知であり、例えば、「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」、19版、Williams&Williams,(1995年)、及び「Physician’s Desk Reference」、52版、Medical Economics、Montvale,N.J.(1998年)に列挙されている。
【0183】
本明細書において開示される抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を含む医薬組成物は、投与単位形態で提示され得、任意の適切な方法によって調製され得る。医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される必要がある。投与経路の例は、静脈内(IV)、皮内、吸入、経皮、局所、経粘膜、及び直腸投与である。モノクローナル抗体の好ましい投与経路はIV注入である。有用な製剤は、製薬業界において公知である方法によって調製することができる。例えば、前掲のRemington’s Pharmaceutical Sciences(1990年)を参照されたい。非経口投与に適した製剤の構成要素としては、滅菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒、抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム、キレート剤、例えば、EDTA、緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び等張性を調整するための薬剤、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロースが挙げられる。
【0184】
静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany,N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造及び保存の条件下で安定である必要があり、微生物に対して保護される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。
【0185】
医薬製剤は、好ましくは滅菌である。滅菌は、任意の適切な方法、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥及び復元の前又は後に、フィルター滅菌を行うことができる。
【0186】
本発明の組成物は、様々な形態であり得る。これらには、例えば、液体、半固体及び固体剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散剤又は懸濁剤、及びリポソームが挙げられる。特定の形態は、意図される投与様式及び治療用途に依存する。例示的な実施形態では、提供される組成物は、注射可能又は注入可能な溶液の形態である。例示的な投与は、非経口(例えば、静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内)である。例示的な実施形態では、調製物は、静脈内注入又は注射によって投与される。別の好ましい実施形態では、調製物は、筋肉内又は皮下注射によって投与される。
【0187】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口に投与される」という語句は、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、硝子体内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、吸入、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入が挙げられる。
【0188】
抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の例示的な投与量は、対象の体重1kgあたり約0.5mg、対象の体重1kgあたり約0.75mg、対象の体重1kgあたり約1.0mg、対象の体重1kgあたり約1.25mg、対象の体重1kgあたり約1.5mg、対象の体重1kgあたり約1.67mg、対象の体重1kgあたり約1.75mg、対象の体重1kgあたり約2.0mg、対象の体重1kgあたり約2.25mg、対象の体重1kgあたり約2.5mg、対象の体重1kgあたり約2.75mg、又は対象の体重1kgあたり約2.8mgである。特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は、対象の体重1kgあたり約0.75mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約1.0mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約1.25mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約1.5mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約1.67mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約1.75mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約2.0mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約2.25mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約2.5mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約2.75mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な用量は対象の体重1kgあたり約2.8mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な最大用量はサイクルあたり約100mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な最大用量はサイクルあたり約125mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な最大用量はサイクルあたり約200mgである。別の特定の実施形態では、LIV1-ADCの例示的な最大用量はサイクルあたり約250mgである。
【0189】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約2.5mg/kgの用量、約200mgの最大用量で、3週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約2.5mg/kgの静脈内用量、約200mgの最大用量で、3週間ごとに1回投与される。
【0190】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約2.5mg/kgの用量、約250mgの最大用量で、3週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約2.5mg/kgの静脈内用量、約250mgの最大用量で、3週間ごとに1回投与される。
【0191】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.0mg/kgの用量、約100mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.0mg/kgの静脈内用量、約100mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。
【0192】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.25mg/kgの用量、約125mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.25mg/kgの静脈内用量、約125mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。
【0193】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約2.5mg/kgの用量、約250mgの最大用量で、3週間に1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約2.5mg/kgの静脈内用量、約250mgの最大用量で、3週間ごとに1回を投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、GCSFを更に投与される。特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)が、約200mg以上であり、約250mg以下の用量で、3週間ごとに1回使用される場合、対象は、更にGCSFを投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)が、200mg以上であり、250mg以下の用量で、3週間ごとに1回使用される場合、対象は、GCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは、予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは、組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFは、フィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、PEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、レノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFは、tbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0194】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.0mg/kgの用量、約100mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.0mg/kgの静脈内用量、約100mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)が、約80mg以上であり約100mg以下である用量で1週間ごとに1回使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)が、80mg以上であり100mg以下である用量で1週間ごとに1回使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0195】
ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.25mg/kgの用量、約125mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、約1.25mg/kgの静脈内用量、約125mgの最大用量で、1週間ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)が、約100mg以上であり約125mg以下である用量で1週間ごとに1回使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)が、100mg以上であり125mg以下である用量で1週間ごとに1回使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0196】
ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約0.75mg/kg体重の用量で7日(±1日)ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.0mg/kg体重の用量で7日(±1日)ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.25mg/kg体重の用量で7日(±1日)ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.5mg/kg体重の用量で7日(±1日)ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.67mg/kg体重の用量で7日(±1日)ごとに1回投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.25mg/kg体重の用量で、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.5mg/kg体重の用量で、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約1.75mg/kg体重の用量で、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約2.0mg/kg体重の用量で、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約2.25mg/kg体重の用量で、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、対象はLIV1-ADCを、約2.5mg/kg体重の用量で、3週間の処置サイクルの1日目及び8日目に投与される。
【0197】
ある特定の例示的な実施形態では、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、約200mg以上であり約250mg以下である用量で使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の例示的な実施形態では、抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)が、200mg以上であり250mg以下である用量で使用される場合、対象はGCSFを更に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは予防的に投与される。ある特定の実施形態では、GCSFは組換えヒトGCSFである。ある特定の実施形態では、GCSFはフィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはPEG-フィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはレノグラスチム(GRANOCYTE(登録商標))である。ある特定の実施形態では、GCSFはtbo-フィルグラスチム(GRANIX(登録商標))である。
【0198】
本発明は、包装材料と、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の溶液を含む少なくとも1つのバイアルと、規定の緩衝剤及び/又は防腐剤(任意選択で、水性希釈剤中である)を含むキットを提供する。製剤に使用される防腐剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。このような濃度は、選択された防腐剤に依存し、当業者により容易に決定される。
【0199】
様々な送達系を使用して、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲートを対象に投与することができる。ある特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の投与は、静脈内注入による。
【0200】
上記の製剤のいずれも、液体又は凍結形態で保存することができ、任意選択で保存プロセスに供することができる。一部の実施形態では、上記の製剤は凍結乾燥され、即ち、それらは凍結乾燥に供される。一部の実施形態では、上記の製剤は、保存プロセス、例えば、凍結乾燥に供され、その後、適切な液体、例えば、水で復元される。凍結乾燥とは、組成物が、真空下で凍結乾燥されていることを意味する。凍結乾燥は、典型的には、溶質が溶媒(複数可)から分離されるように、特定の製剤を凍結することにより達成される。次に、溶媒は、昇華(即ち、一次乾燥)により、続いて、脱着(即ち、二次乾燥)により除去される。
【0201】
本発明の製剤は、本明細書に記載される方法と共に、又は疾患を処置する他の方法と共に使用することができる。抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)製剤は、対象への投与前に更に希釈され得る。いくつかの実施形態では、製剤は、生理食塩水で希釈され、対象への投与前にIVバッグ又はシリンジに保持される。したがって、いくつかの実施形態では、対象におけるがん、例えばLIV1を発現するがんを処置する方法は、それを必要とする対象に、抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を含む医薬組成物を週1回の用量で投与することを含む。
【0202】
V.製造品及びキット
別の態様では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)を含む製造品又はキットが提供される。製造品又はキットは、本発明の方法における本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の使用のための説明書を更に含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、製造品又はキットは、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)の有効量を対象に投与するステップを含む、対象におけるがん(例えば、乳がん)を処置する方法における本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)の使用のための説明書を含む。いくつかの実施形態では、がんは局所進行がんである。いくつかの実施形態では、がんは転移性がんである。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される乳がんである。ある特定の実施形態では、製造品又はキットは、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)の有効量を対象に投与するステップを含む、対象におけるがん(例えば、局所進行性又は転移性の固形腫瘍(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌))を処置する方法における、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片(例えば、LIV1-ADC)の使用のための説明書を含む。いくつかの実施形態では、がんは局所進行性固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは転移性固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される頭頚部がんである。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される食道がんである。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される胃がんである。いくつかの実施形態では、がんは本明細書に記載される食道胃接合部がんである。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0203】
製造品又はキットは、容器を更に含み得る。適切な容器には、例えば、瓶、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(例えばシングルチャンバー又はデュアルチャンバーシリンジ)及び試験管が含まれる。いくつかの実施形態では、容器はバイアルである。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は製剤を保持する。
【0204】
製造品又はキットは、容器の表面上にあるか又は付随している、製剤の再構成及び/又は使用のための指示を示し得るラベル又は添付文書を更に含み得る。ラベル又は添付文書は、製剤が、対象における本明細書に記載されるがん、例えば乳がんを処置するための皮下、静脈内(例えば、静脈内注入)又は他の様式の投与のために有用であるか又はそれを意図していることを更に示し得る。ラベル又は添付文書は、製剤が、対象における本明細書に記載される肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん又は食道胃接合部がんを処置するための皮下、静脈内(例えば、静脈内注入)又は他の様式の投与のために有用であるか又はそれを意図していることを更に示し得る。製剤を保持する容器は、使い捨てバイアル、又は再構成された製剤の反復投与を可能にする多回使用バイアルであってよい。製造品又はキットは、適切な希釈剤を含む第2の容器を更に含み得る。製造品又はキットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ及び説明書を伴う添付文書を含む、商業的、治療的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。
【0205】
本明細書における製造品又はキットは、任意選択で、第2の医薬を含む容器を更に含み、本明細書に記載の抗LIV1抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は第1の医薬であり、製造品又はキットは、有効量の第2の医薬で対象を処置するための説明書をラベル又は添付文書上に更に含む。いくつかの実施形態では、ラベル又は添付文書は、第1及び第2の医薬が本明細書に記載した通りに逐次的又は同時に投与されることを示す。いくつかの実施形態では、ラベル又は添付文書は、第1の医薬が第2の医薬の投与の前に投与されることを示す。いくつかの実施形態では、ラベル又は添付文書は、第2の医薬が第1の医薬の前に投与されることを示す。
【0206】
本明細書における製造品又はキットは、任意選択で、第2の医薬を含む容器を更に含み、第2の医薬は1つ以上の有害事象を排除するか又はその重症度を低下させるためのものであり、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は第1の医薬であり、製造品又はキットは、有効量の第2の医薬で対象を処置するための説明書をラベル又は添付文書上に更に含む。いくつかの実施形態では、ラベル又は添付文書は、第1及び第2の医薬が本明細書に記載した通りに逐次的又は同時に投与されることを示す。いくつかの実施形態では、ラベル又は添付文書は、第1の医薬が第2の医薬の投与の前に投与されることを示す。いくつかの実施形態では、ラベル又は添付文書は、第2の医薬が第1の医薬の前に投与されることを示す。
【0207】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片若しくは抗体-薬物コンジュゲート(例えば、LIV1-ADC)は、凍結乾燥粉末として容器内に存在する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末は、活性薬剤の量を示す密封容器、例えばバイアル、アンプル又は小袋(sachette)内にある。医薬品が注射によって投与される場合、注射用無菌水又は生理食塩水のアンプルを、例えば、投与の前に成分を混合し得るように、任意選択でキットの一部として提供することができる。そのようなキットは、所望であれば、当業者には容易に明らかなように、1つ以上の様々な慣用の医薬構成要素、例えば、1つ以上の医薬的に許容される担体を含む容器、追加の容器を更に含むことができる。投与される成分の量、投与のためのガイドライン、及び/又は成分を混合するためのガイドラインを示す、添付文書又はラベルのいずれかとしての印刷された説明書もまた、キットに含めることができる。
【0208】
明細書全体を通じて、組成物及びキットが特定の構成要素を有する、含む(include)、若しくは含む(comprise)と記載されている場合、又はプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む(include)、若しくは含む(comprise)と記載されている場合、更に、列挙された構成要素から本質的になる又はそれからなる本発明の組成物及びキットがあること、並びに列挙された処理及び方法ステップから本質的になる又はそれからなる本発明のプロセス及び方法があることが企図される。
【0209】
本明細書に開示される実施形態の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法の他の適切な改変及び適合が適切な均等物を用いて行われ得ることが当業者には容易に明らかになる。ここである特定の実施形態を詳細に説明してきたが、これは、例示のみを目的として含まれ、限定することを意図しない、以下の実施例を参照することによってより明確に理解される。本明細書に記載されている全ての特許、特許出願、及び参考文献は、全ての目的で参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【実施例
【0210】
[実施例1]
分割投薬方式での拡張及び漸増における用量評価
ラジラツズマブベドチン(LV)は、プロテアーゼ切断可能なバリン・シトルリンリンカーを介してドラスタチン10類似体である薬物モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされた、LIV1を標的とするヒトモノクローナル免疫グロブリンを含む抗体-薬物コンジュゲートである。ドラスタチン類及びアウリスタチン類は、微小管破壊剤として作用する化学療法のクラスに属する。
【0211】
LIV1を発現する乳がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。
【0212】
以前は、LVを各21日サイクル(Q3W)の1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与していた。より少量の分割用量で望ましいADCの薬物動態が得られるか否かを検討するために、週1回投薬(Q1W)、又は1日目と8日目に投薬を行うが第3週に「休薬日」を設けること(D1,8-Q3W)を検討する。例えばQ1W投薬の使用によって、ADC投薬の頻度を高めることは、より多くの総用量を投与すること及び有効性の向上をもたらし得る可能性がある一方で、ある特定の有害事象(AE)の悪化を最小限にしか招かない可能性がある。Q1W投薬を基にして、D1,8-Q3Wなどの他の投薬スケジュールについても吟味する。D1,8-Q3Wでは21日サイクルのうちD15にLV投与を行わないことで、血液学的な回復が可能になり、投与遅延及び投与消失を防ぐ可能性がある。これはまた、増殖因子のより効果的な使用も可能にし、緩和ケア状況にある対象が毎週薬物注入を受けないことを可能にし、且つほとんどの乳がん及び固形腫瘍のレジメン(例えば、ペムブロリズマブ)と組み合わせ得るスケジュール(3週サイクル)を提供する。最大耐量(MTD)を確立するために、1.25mg/kgの開始用量を各21日サイクルの1日目及び8日目のそれぞれに投与するか(D1,8-Q3Wの場合)、又は0.833mg/kgの開始用量を各7日サイクルの1日目に投与することで(Q1Wの場合)、2.5mg/kgでの以前のQ3W投薬に対して2.5mg/kg/サイクルで同等の総用量及び同程度の曝露(AUC)を達成する。
【0213】
具体的には、ヒト患者に対して、各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.25mg/kgの開始用量(開始用量レベル0)での静脈内(IV)注入によってLVを投与する(図1)。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。処置関連AEをモニターするために、末梢神経障害(PN)並びに好中球減少症の判定及び/又はグレード付けを行うための血液検査又はMRIスキャンをLVの初回投与後に毎週実施する。図1に示すように、用量レベル0で毒性及び処置関連有害事象(AE)が望ましくない場合には、D1,8-Q3Wの用量を1.0mg(用量レベル-1)に減らす。逆に、開始用量レベル0がMTDを下回ると決定される場合には、次の用量レベル(+1)で新たな登録を開始し、用量レベル0をより多くのヒト患者登録のために拡張する。同様に、用量レベル(+1)がMTDを下回ることが見出された場合には、次の用量レベル(+2)で新たな登録を開始し、用量レベル+1を拡張した。
【0214】
[実施例2]
用量及び近似的な相対AUCの等価性
種々の用量レベルでの週1回投薬スケジュール(Q1W)又はD1,8-Q3W投薬スケジュールの下での総用量及び相対的曝露を比較するために、21日サイクルで投与された総用量を算出して(総用量Q3wks)、シミュレートしたAUCを2.5mg/kgでのQ3W投薬のものと比較した。図2は、LVの週1回投薬スケジュール(Q1W)又はD1,8-Q3W投薬スケジュールにおける総用量及び近似的な相対AUCの等価性を表示している。
【0215】
[実施例3]
3週1回投薬スキーム(Q3W)対週1回投薬スキーム(Q1W)の下での異なるDARを有するADC種の薬物動態モデリング
以前の3週1回投薬スキーム(Q3W)対週1回投薬スキーム(Q1W)の下での、異なるDARを有するADC種の薬物動態を検討する目的で、LVを対象にしかるべく投与して、異なるDARを有するADC種の薬物動態をシミュレートした。
【0216】
乳がん患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置した。
【0217】
LVはQ3W間隔での30分間の静脈内(IV)注入によって投与した。
【0218】
LVの投与に続いて、対象の血液試料を投与前、注入終了時、投与の2時間後、4時間後、8時間後、1日後、3日後、7日後及び14日後に採取した。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の濃度を測定し、血液試料中に採取されたADCのそれぞれの種(DAR8、DAR7、DAR6、DAR5、DAR4、DAR3、DAR2、DAR1及びDAR0)の薬物対抗体比(DAR)も分析した。図3Aに示すように、Q3W投薬におけるADCのDARは約4(第0日)から約1(第7日)に有意に降下した。コンピュータ支援モデリングを使用して、平均DARの減少が先に確立された、即ちQ3Wの下で4(第0日)から1(第7日)に減少した場合、LVを各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの用量で、又は各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの用量で投与した場合の、(i)DAR≧4であるADC、又は(ii)DARが2~3の間であるADC(それぞれ図3B図3C)について薬物動態をシミュレートした。手短に述べると、単回投与による各ADC種の濃度に基づき、ノンパラメトリック重ね合わせアプローチを使用してLVの複数回投与後の各ADC種の定常状態濃度を予測し、ここで予測は終末勾配からの蓄積比に基づいた。図3Bに示すように、高度にコンジュゲートされた種の濃度は、Q3W投薬の場合にはクリアランスの速さが理由でゼロまで降下した。対照的に、全てのADC種について週1回投薬(Q1W)ではより高いCtrough値が維持され、ピーク-トラフ値変動が有意に小さかった(図3B、3C)。
【0219】
[実施例4]
週1回投薬(Q1W)又は改変された投薬スキーム(D1,8-Q3W)の下での異なるDARを有するADC種の薬物動態モデリング
週1回投薬(Q1W)又は改変された投薬スキーム(D1,8-Q3W)の下での、異なるDARを有するADC種の薬物動態を検討する目的で、LVを対象に投与し、ADC種及びMMAE種の薬物動態をシミュレートした。
【0220】
乳がん患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置した。
【0221】
LVはQ3W間隔での3mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与した。LVは30分間のIV注入として投与した。
【0222】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、遊離MMAE及び抗体にコンジュゲートされたMMAEの濃度を、それぞれQ3W間隔の下で測定されたADC、MMAE濃度及び平均DARに基づいてシミュレートした。Q3Wからの血液試料中に採取されたADCのそれぞれの種(DAR8、DAR7、DAR6、DAR5、DAR4、DAR3、DAR2、DAR1及びDAR0)の薬物対抗体比(DAR)を分析した。コンピュータ支援モデリングを使用して、Q3W投薬下で平均DARの減少が上記の測定値から確立された場合、LVをQ1W又はD1,8-Q3W投薬スケジュールに従って投与した場合の、DAR≧4であるADC(図4A)、DARが2~3の間であるADC(図4B)、DAR=1であるADC(図4C)、及びDAR=0であるADC(図4D)について薬物動態をシミュレートした。手短に述べると、単回投与による各ADC種の濃度に基づき、ノンパラメトリック重ね合わせアプローチを使用してLVの複数回投与後の各ADC種の定常状態濃度を予測し、ここで予測は終末勾配からの蓄積比に基づいた。また、LVをQ1W又はD1,8-Q3W投薬スケジュールに従って投与した場合の全抗体(図4E)、全ADC(図4F)、抗体にコンジュゲートされたMMAE(図4G)及び遊離MMAE(図4H)についても薬物動態をシミュレートした。21日後の対応する曲線下面積(AUC0-21day)及びCtrough値を、記載した投薬条件下での言及した種に関するシミュレーションから算出した(図4I)。図4Aに示すように、高度にコンジュゲートされた種の濃度は、D1,8-Q3W投薬の下ではクリアランスの速さ及びD15の休薬日が理由でより急速に降下した。このデータから、この2つの投薬スキームでは総用量のみならずAUCも類似しているが、週1回投薬(Q1W)下では全抗体、全ADC、MMAE及びADCの全ての種についてより高いCtrough値が達成され(図4I)、ピーク-トラフ値変動がより小さいこと(図4A-4H)も示された。
【0223】
[実施例5]
週1回投薬スケジュール(Q1WK)下でのBV及びLVのADC種の薬物動態
Q1WK投薬下での異なるDARを有するADC種の薬物動態を更に検討する目的で、ラジラツズマブベドチン(LV)及びブレンツキシマブベドチン(BV)を対象に投与して、ADC種の薬物動態をシミュレートした。
【0224】
乳がん患者をBV又はLVで処置した。
【0225】
BV及びLVはそれぞれ、Q3W間隔での30分間の静脈内(IV)注入によって投与した。
【0226】
BV及びLVの抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の濃度を、Q3W投薬下で測定されたADC濃度に基づいてシミュレートした(図5A)。BV及びLVは同じリンカーを使用して抗体にコンジュゲートされたMMAEを含有する。LVで処置された患者からの血液試料中に測定されたADCのそれぞれの種(DAR8、DAR7、DAR6、DAR5、DAR4、DAR3、DAR2、DAR1及びDAR0)の薬物対抗体比(DAR)を、BVに対しても適用した。コンピュータ支援モデリングを使用して、平均DARの減少がQ3W投薬下での上記の測定値から確立された場合、DAR≧4であるADC(図5B)、DARが2~3の間であるADC(図5C)、DAR=1であるADC(図5D)及びDAR=0であるADC(図5E)について薬物動態をシミュレートした。手短に述べると、単回投与による各ADC種の濃度に基づき、ノンパラメトリック重ね合わせアプローチを使用してADCの複数回投与後の各ADC種の定常状態濃度を予測し、ここで予測は終末勾配からの蓄積比に基づいた。全ADCのPKはBVとLVとの間で異なるように思われるが(図5A)、抗体コンジュゲートMMAEの方が安全性及び有効性の予測性が高い。具体的には、DARの高いADC種の方がより多くのMMAEを細胞に送達すると考えられる。図5Bに示すように、DARが高い(DAR≧4)ADC種は、DARがより低いADC種よりも速いクリアランスを呈した(図5C図5D図5E)。しかし、DAR≧4であるADC種のCtroughは依然としてBV及びLVについて1nMを大きく上回り、このことはQ1W投薬スケジュールが有効性を改善し得る可能性を指し示しており、その改善はBV及びLVで同程度に観察された。加えて、ADC種に関するCtrough値の改善及びピーク-トラフ値変動の低下もBV及びLVについて同様であり、このことは複数の種類のADCにわたるQ1W投薬レジメンの適用可能性を指し示す。
【0227】
[実施例6]
LV薬物動態と処置有効性との相関
ADCの薬物動態と処置有効性との相関を検討するために、対象をLVで処置して、応答の確率について観察されたADC及びMMAEの薬物動態と関連づけて分析した。
【0228】
乳がん患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置した。
【0229】
LVは、Q3W間隔で0.5~2.8mg/kgの用量での30分間の静脈内(IV)注入によって投与した。
【0230】
LVの投与に続いて、対象の血液試料を投与前、薬物投与終了時、投与の2時間後、4時間後、8時間後、1日後、3日後、7日後及び14日後に採取した。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)及び遊離MMAEの濃度を測定した。MMAE又はADCの濃度の測定値を使用し、ADC及びMMAEの算出されたAUC0-21day、Cmax又はCtroughに従って、患者を≦20%、>20~≦40%、>40~≦60%、>60~≦80%及び>80%のパーセンタイルに分類した。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月間は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行った。客観的応答は、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認した。分類した患者における最良確定応答(BCR)の確率を、ADC Ctrough、ADC Cmax又はMMAE Ctroughに対してプロットした(それぞれ図6A図6B図6C)。図6A図6Cに示すように、ADC Ctroughによる最良確定応答(BCR)のロジスティック回帰分析が最も有意であった。処置有効性もAUCと相関した(図示せず)が、ADC Cmaxとは相関しなかった(図6B)。加えて、エンドポイント有効性の遊離MMAEとの相関も見られなかった(図6C)。以上を総合すると、様々な薬物動態パラメーターの中で、ADCの投与に対する応答の確率をよく予測するのはCtrough値である。
【0231】
[実施例7]
BVの3週1回投薬(Q3W)対週1回投薬(Q1W)の下での有害事象の確率
投薬レジメンとAEの確率との相関を検討するために、対象をBVで処理して、ADCを3週1回投薬(Q3W)又は週1回投薬(Q1W)の下で投与する場合の種々の標準化された用量レベルでのAEの発生について分析した。
【0232】
患者をブレンツキシマブベドチン(BV)で処置した。
【0233】
BVは、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に一回投与、又は(b)各21日サイクル(Q3W)の1日目に一回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与し、ここで患者はいずれかの投薬スケジュールについて、それぞれ0.4mg/kg/wk、0.45mg/kg/wk、0.6mg/kg/wk、0.75mg/kg/wk、0.9mg/kg/wk、1.05mg/kg/wk又は1.2mg/kg/wkに標準化された用量レベルを投与される。BVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与した。
【0234】
対象は、Q1W又はQ3W投薬スケジュールについて、先述の標準化された用量レベルに従って分類した。処置関連AEをモニターするために、末梢神経障害(PN)並びに好中球減少症の判定及び/又はグレード付けを行うための血液検査又はMRIスキャンをBVの初回投与後に毎週実施した。図7Aには、指示された標準化された用量レベルでのQ3W又はQ1W投薬スケジュールの下でPN、グレード2以上のPN(Gr≧2 PN)、又は好中球減少症を呈する患者のパーセンテージを示した。0.6及び0.9の標準化された用量レベル(図7A)、並びに投与された総用量に対するAE確率のプロット(図7B)を比較したところ、多変量累積曝露モデルにより、Q1W投薬下では総PNのリスクがより高い傾向が指し示された(HR=0.58(0.29,1.15)、p=0.12)。Q1Wの下でGr≧2PNのリスクが高くなる傾向は比較的小さかった(HR=0.76(0.27,2.20)、p=0.61)。一方で、好中球減少症のリスクはQ3W投薬と比較してQ1W投薬の方が有意に低かった(69%)(OR=0.31(0.09,1.04)、p=0.06)。これらの結果は、Q1W投薬が、標準化された同じ用量レベルを維持しながら、好中球減少症のリスク低下といった重篤な有害作用の全発生率の低下につながり得ることを示している。
【0235】
[実施例8]
分割投薬は同程度の総曝露を維持しながらC max 及びピーク-トラフ値変動を減少させる
分割投薬が処置有効性を高め得るかどうかを検討するために、LVの様々な分割投薬スキームを検査して、同程度の総用量強度及び曝露でのCmax及びピーク-トラフ値変動の変化を測定した。
【0236】
乳がん患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置した。
【0237】
LVは、同等な用量強度(それぞれ0.83mg/kg/wk、0.75mg/kg/wk、0.75mg/kg/wk及び0.83mg/kg/wk)を達成するための、(1)各21日サイクル(D1Q3wk)の1日目に2.5mg/kgの投与、(2)各7日サイクル(QW)の1日目に0.75mg/kgの投与、(3)各28日サイクル(D1,8,15-Q4wk)の1日目、8日目及び15日目のそれぞれに1mg/kgの1回投与、又は(4)各21日サイクル(D1,8-Q3wk)の1日目及び8日目のそれぞれに1.25mg/kgの投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与した。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与した。
【0238】
コンパートメント集団PKモデリングを使用して、上記の4種の投薬スケジュールの全てについて、初回投与後11週間の全ADC及びMMAEの平均濃度について薬物動態をシミュレートした(それぞれ図8A図8B)。手短に述べると、Q3W投薬間隔での全ADC及び遊離MMAEの測定された濃度に基づいて、コンパートメント集団PKモデルを確立した。全ADC PKは、一次消失を伴う線形3コンパートメントモデルによって記述した。MMAE PKは、一次消失を伴う半機械論的な線形1コンパートメントモデルによって記述した。MMAEはADCタンパク質分解及び脱コンジュゲーションの両方の過程から形成されると仮定した。平均DARは各投与後に指数関数的に減少すると仮定した。確立された集団PKモデルを使用して、LVの複数回投与後の全ADC及びMMAEの濃度を予測した。ADC及びMMAEの両方についてCmax、Ctrough並びにAUCtauを見積もった。図8Cで実証されるように、分割投薬(QW、D1,8,15-Q4wk又はD1,8-Q3wkなど)は、同程度の総曝露(AUCtauによる決定)を維持しながら、集中投薬(D1Q3wk)と比較してADCのCmaxを有意に減少させ、ADC及びMMAEの両方についてピーク-トラフ値変動を低下させた。
【0239】
[実施例9]
分割投薬は同程度のMMAE C max を維持しながら総曝露を増加させる
分割投薬が処置有効性を高め得るかを検討するために、LVの様々な分割投薬スキームを検査して、MMAEの薬物動態に関連した総曝露の変化を測定した。
【0240】
乳がん患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置した。
【0241】
LVは、(a)各21日サイクル(Q3wk)の1日目に2.5mg/kgの1回投与、又は(b)各21日サイクル(D1,8-Q3wk)の1日目及び8日目のそれぞれに1回投与のいずれかで、各投与は1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg又は1.75mg/kgのいずれかの静脈内(IV)注入によって投与した。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与した。
【0242】
コンパートメント集団PKモデリングを使用して、上記の5種の投薬スケジュールの全てについて、ADC及びMMAEの薬物動態を複数回投与の下でシミュレートした(それぞれ図9A図9B)。手短に述べると、Q3W投薬下でのADC及びMMAEの測定された濃度に基づいて、コンパートメント集団を確立した。このモデル(実施例8に記載)を、LVの複数回投与後のADC及びMMAEの定常状態濃度を予測するために使用した。ADC及びMMAEの両方についてCmax、並びにAUC0-21dを見積もった。図9Cで実証されるように、分割投薬(例えば、1.0、1.25、1.5mg/kgでのD1,8-Q3wk)は、3週サイクルあたり同程度の総用量(約2.0~3.0mg/kg)を維持しながら、集中投薬(Q3wk)と比較してADC及びMMAEの両方のCmaxを減少させた。特に、1.5mg/kgでのD1,8-Q3wkの投薬スケジュールで、ADC及びMMAEの総曝露はQ3wk(AUC0-21d値により観察)と比較して有意に高かったが、一方で同程度のMMAE Cmaxは維持された(図9C)。
【0243】
[実施例10]
ラジラツズマブベドチンの分割投薬はQ3Wと比較して、より低いC max 及びより高いC trough を維持した
分割投薬が処置有効性を高め得るか、又は有害事象の数及び重症度を低下させ得るかどうかを検討するために、ラジラツズマブベドチン(LV)の様々な分割投薬スキームを検査して、同程度の総用量強度及び曝露でのCmax、Ctrough及びAUCの変化を測定した。
【0244】
乳がん患者を(LV)で処置した。
【0245】
LVは、同等な用量強度(それぞれ0.83mg/kg/wk、1.0mg/kg/wk及び1.25mg/kg/wk)を達成するための、(1)各21日サイクル(D1Q3wk)の1日目に2.5mg/kgの1回投与、(2)各7日サイクル(Q1W)の1日目のそれぞれに1mg/kgの1回投与、又は(3)各7日サイクル(Q1W)の1日目のそれぞれに1.25mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与した。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与した。
【0246】
コンパートメント集団PKモデリングを使用して、薬物動態を、上記の3種の投薬スケジュールの全てについて、初回投与後21日間の全ADC及びMMAEの平均濃度についてシミュレートした(それぞれ図10A図10B)。手短に述べると、Q1W投薬間隔での全ADC及び遊離MMAEの測定された濃度に基づいて、コンパートメント集団PKモデルを確立した。全ADC PKは、一次消失を伴う線形3コンパートメントモデルによって記述した。MMAE PKは、ノンコンパートメント重ね合わせモデルによって記述した。MMAEは、ADCタンパク質分解及び脱コンジュゲーションの両方の過程から形成されると仮定した。平均DARは各投与後に指数関数的に減少すると仮定した。確立された集団PKモデルを使用して、LVの複数回投与後の全ADC及びMMAEの濃度を予測した。ADC及びMMAEの両方についてCmax、Ctrough並びにAUCtauを見積もった。図10A及び図10Bで実証されるように、分割投薬(Q1W)は、同程度の総曝露(AUC0-21による決定)を維持しながら、集中投薬(D1Q3wk)と比較してADCのCmaxを有意に減少させ、ADC及びMMAEの両方についてより高いCtroughを生じさせた。これらのモデルは図10A及び図10B並びに以下の表に示すように実験的に確かめられ、このモデルがADC濃度及びMMAE濃度を正確に予想したことを実証している。
【0247】
【表4】
【0248】
【表5】
【0249】
[実施例11]
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
ER+乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0250】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0251】
[実施例12]
プロゲステロン受容体陽性/ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(PR+/HER2-)乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
PR+/HER2-乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0252】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0253】
[実施例13]
ER+/PR+/HER2-乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
ER+/PR+/HER2-乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0254】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0255】
[実施例14]
トリプルネガティブ乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
トリプルネガティブ乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0256】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0257】
[実施例15]
ホルモン受容体陽性(HR+)の乳がん患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
HR+乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0258】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0259】
[実施例16]
HER2陽性乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
HER2陽性乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0260】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0261】
[実施例17]
HR+/HER2陰性乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
HR+/HER2陰性乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0262】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0263】
[実施例18]
エストロゲン受容体陽性/ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(ER+/HER2-)乳がんの患者における様々な投薬スケジュールでのラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
ER+/HER2-乳がんのヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。
【0264】
LVを、(a)各7日サイクル(Q1W)の1日目に1mg/kgの1回投与、(b)各21日サイクル(D1,8-Q3W)の1日目及び8日目のそれぞれに1.5mg/kgの1回投与、又は(c)各21日サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの1回投与、のいずれかで静脈内(IV)注入によって投与する。個々人の用量は、処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVは、指示された間隔で30分間のIV注入として投与する。
【0265】
[実施例19]
転移性乳がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの安全性及び忍容性を評価するための第1相オープンラベル用量漸増試験
これは、転移性乳がんの患者におけるラジラツズマブベドチン(LV)の安全性及び忍容性を評価するための第1相オープンラベル用量漸増試験である。
【0266】
適格となる患者は、難治性で切除不可能な局所進行性又は転移性の乳がん(LA/mBC)を有する少なくとも18歳の女性である。患者は、RECIST v1.1に従った測定可能な病変が少なくとも1つある、病理学的及び放射線学的に確認されたホルモン受容体陽性/ヒト上皮増殖因子2陰性(HR+/HER2-)又は転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)を有しなければならない。HR+/HER2-疾患の対象は、局所進行(LA)/mBC状況でファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を単剤療法又は併用療法のいずれかとして受けていなければならない。TNBCの対象は、LA/mBC状況でファーストラインの以前の細胞傷害性化学療法を受けていなければならない。ネオアジュバント療法の完了から6カ月以内の進行はLA/mBCレジメンとみなす。そのLIV-1発現レベルにかかわらず、全ての患者が登録できる。入手可能且つ十分な量の保存用ベースライン腫瘍試料が必要である。医学的に実行可能であれば、保存試料の代わりに新鮮な生検試料を提出してもよい。
【0267】
最大で82人の対象を用量漸増及び用量拡張コホートに登録する(42人のHR+/HER2-及び42人のmTNBC)。患者は3週間のサイクルごとの1日目、8日目及び15日目にLVを投与される。本試験には用量漸増コホート及び用量拡張コホートを設ける。HR+/HER2-及びTN疾患の患者を、各用量レベルごとに別々の用量拡張コホートに登録する。
【0268】
用量漸増は、Ji Y.et al.Clin Trials 7(6):653-63(2010)による修正型毒性発現確率区間(mTPI)法に従って実施する。1つの時期に登録するのは1つの用量漸増コホートのみとする。用量拡張コホートは、用量制限毒性(DLT)評価をクリアした任意の用量レベルで登録可としてよい。初めに、最大でおよそ10人の患者を各用量レベルで登録する。DLT評価には用量漸増コホートからのデータのみを含めるが、推奨される毎週のLV用量を決定するために各用量レベルでの全患者からのデータの全体を使用する。
【0269】
LVを、各3週サイクルの1日目、8日目及び15日目に、0.75mg/kg~1.75mg/kgの用量で30分間にわたる静脈内注入によって投与する。
【0270】
患者には、疾患進行又は許容できない毒性が生じるまで処置を継続してよい。
【0271】
抗腫瘍活性は、プロトコールで指定された時点でのX線腫瘍イメージングによって判定する。応答をRECIST Version 1.1によってカテゴリー化する。
【0272】
安全性の判定は、有害事象(AE)のサーベイランス、臨床検査測定値、身体検査初見、心電図、バイタルサイン及び併用薬記録からなる。
【0273】
目的
主要目的
・難治性で切除不可能な局所進行性又は転移性の乳がん(LA/MBC)の患者におけるLVの安全性及び忍容性を評価すること。
・LVの最大耐量(MTD)を、試験した用量及びスケジュールの中にそれがある場合には特定すること。
【0274】
副次目的
・LVの薬物動態を判定すること。
・LVの免疫原性を判定すること。
・LVの抗腫瘍活性を判定すること。
【0275】
更なる目的
・LV介在性薬力学的効果の試験的バイオマーカーを判定すること、及び腫瘍組織におけるLIV-1発現を評価すること。
・LVによる処置後のLIV-1発現-応答の関係を評価すること。
【0276】
エンドポイント
安全性エンドポイント
・有害事象(AE)の種類、発生率、重症度、重篤度及び関連性
・臨床検査値異常の種類、発生率及び重症度
・DLTの発生率
【0277】
有効性エンドポイント
・ORR、確定及び未確定
・応答の持続期間(DOR)
・無進行生存期間(PFS)
・OS
・以前の治療に対するPFS比
【0278】
患者を、最初の10サイクルでは処置2サイクル後ごとに、その後は4番目のサイクル後ごとに応答について評価する。固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria for Solid Tumors、RECIST)Version 1.1に従って安定疾患(SD)又はそれ以上を達成した患者は、疾患進行又は許容できない毒性が生じるまで試験処置を継続して受けるのに適格とする。患者が少なくとも4サイクルのLVに忍容性があり、且つ部分応答(PR)又はSDを達成した場合には、メディカルモニターによる承認を得た上で、忍容性があると判断される最も高い用量レベルで追加の処置サイクルを投与してよい。
【0279】
投薬
用量漸増及び用量拡張のスキームを図11に記載する。用量漸増は用量レベル0で開始する。各用量レベルで登録された最初の患者をDLTについて評価する。用量がDLT評価をクリアすれば、後続の患者を次の用量レベルで、又は図示した用量拡張コホートに登録してよい。最大でおよそ10人の患者を各用量レベルで登録する。
【0280】
LVの開始用量は、1日目、8日目及び15日目に1.0mg/kgの用量レベル0とする。計画した用量レベルは以下の表に記載されている:
【0281】
【表6】
【0282】
DLT評価を可能にするために用量漸増中は1つの用量レベルのみを登録可能とする。DLT評価には用量漸増コホートからのデータのみを含める。
【0283】
用量漸増には修正型毒性確率間隔(mTPI)法を使用する。Ji Y.et al.Clin Trials 7(6):653-63(2010)。mTPI法は、ベイズ統計学の枠組み及びベータ二項階層モデルを使用する、モデルに基づく用量漸増デザインである。5%をマージンとする25%の目標DLT率を使用して、投薬決断の規則を以下の通りとする:
1. 現行のDLT率が20%未満である可能性が非常に高い場合には漸増する
2. 現行のDLT率が20%~30%の間である可能性が非常に高い場合には継続する
3. 現行のDLT率が30%を上回る可能性が非常に高い場合には漸減する
【0284】
各用量コホートは患者2人で開始する。次の用量レベルへの漸増は患者2人のうち0人がDLTに遭遇する場合に行い、漸減は患者が2人ともDLTに遭遇する場合に行う。患者2人のうち1人がDLTに遭遇する場合には、更に4人の患者を増やす(DLT評価可能な患者は計6人)。次の用量レベルへの漸増は、患者6人のうち1人以下がDLTに遭遇する場合に行う。MTDを、評価した用量レベルの全てにわたる全患者からのデータに基づいて推定する。
【0285】
【表7】
【0286】
DLT基準
DLT評価期間は最初の処置サイクル(3週間)とする。DLTは、AEに治験薬以外の原因(例えば、疾患進行、既存の病状、基礎疾患、併発疾患又は併用薬)があるという証拠が存在しない場合、及び/又は事象に治験薬の投与との間に妥当と思われる時間的関係がない場合を除き、これはLVによる処置との関連の可能性があり得る、ほぼ確実、又は確実なNCI CTCAE v4.03によるグレード3以上のあらゆるAEと定義される。
【0287】
以下の事象はDLTとはみなされない:
・疾患進行又は随伴性疾患(例えば、糖尿病)と明らかに関連のあるあらゆるAE
・14日以内にグレード1又はベースラインに回復する、無症候性でグレード3の非血液学的臨床検査値異常
・グレード3又は4のリンパ球減少症はDLTとみなされない
・グレード3の血小板減少症は、それが14日以内にグレード2に回復しない場合、又は臨床的に意味のある出血を伴う場合を除き、DLTとみなされない
・グレード3又は4の好中球減少症又は貧血は、以下のうち1つに該当する場合を除き、DLTとはみなされない:
・7日を超えて続くか、又は発熱若しくは感染のための入院を招く、グレード4の好中球減少症
・基礎疾患によって説明されないグレード4の貧血
・グレード3のアレルギー反応
【0288】
同時性用量拡張
用量拡張コホートは、DLT評価をクリアした任意の用量レベルで登録可としてよい。用量漸増コホート及び用量拡張コホートを通じて各用量レベルで、最大でおよそ10人のHR+/HER2-陰性疾患の患者を登録する。DLT評価及び用量拡張に登録される患者の人数の例を以下の表に示す:
【0289】
【表8】
【0290】
mTNBCの患者は用量漸増コホートには登録しない。mTNBCの患者には各用量レベルで1つの別の用量拡張コホートを用意し、最大でおよそ10人の患者を登録する。
【0291】
用量漸増及び用量拡張における全患者からのデータの全体を使用して、推奨される毎週のLV用量を決定する。毎週の用量を決定した後に、追加の患者(最大で30人)をその用量又はより低い用量で登録してよい。
【0292】
組み入れ基準
1. 病理学的に確定診断された乳がんで、難治性で切除不可能な局所進行性又は転移性の疾患であるX線像の証拠がある。
2. 化学療法に適格であり、且つ更なるホルモン療法の候補とはみなされない、HR+/HER2-陰性疾患の患者
i. 現行の米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology)/米国病理医協会(College of American Pathologists)(ASCO/CAP)2018ガイドラインに従って、生検でER又はPRの発現が1%を上回って示された場合に患者をHR+とみなす。
ii. 内分泌療法又はCDK阻害剤によるホルモン指向療法(hormonally-directly therapy)を受けた後に進行したか又は再発したことがなければならない。
iii. 難治性で切除不可能なLA/MBCの状況下で細胞毒性レジメンを1回以下しか受けていてはならない。
3. 利用可能且つ十分な量の保存用ベースライン腫瘍試料が必要である。
4. RECIST Version 1.1に定義された測定可能な疾患: 最長径が10mm以上である腫瘍病変、又はCT(コンピュータ断層撮影)スキャンによる判定で短軸測定値が15mm以上であるリンパ節が少なくとも1つある。
5. 18歳以上の女性。
6. 米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータススコアが0又は1。
7. 患者は、疾患進行が記述されている場合を除き、化学療法による処置、放射線療法、ホルモン療法又は治験薬による他の処置を試験薬の初回投与の2週間以上前に完了しており、且つ処置に関連する臨床的に意味のある何らかの毒性から回復していなければならない。
8. 患者は、疾患進行が記述されている場合を除き、生物剤による処置又は免疫療法を試験薬の初回投与の4週間以上前に完了しており、且つ処置に関連する臨床的に意味のあるいかなる毒性からも回復していなければならない。この要件に対する例外はデノスマブによる処置であり、これは試験中に許可される。
9. 以下のベースライン臨床検査データ:
・好中球絶対数(ANC)≧1500/μL
・血小板数≧100,000/μL
・ヘモグロビン(Hgb)≧8.0g/dL
・血清ビリルビン≦正常上限(ULN)の1.5倍
・血清クレアチニン≦ULNの1.5倍
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦ULNの1.5倍、又は肝臓転移が存在する場合には≦ULNの3倍
10. 妊娠の可能性のある女性は、LVの初回投与前7日以内の血清中又は尿中のβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)妊娠検査の結果が陰性でなければならず、且つ試験期間中及び試験薬の最終投与後も長期間にわたって2種類の効果的な避妊法を使用することに同意しなければならない。効果的な避妊法の例は以下のものを含むが、これらに限定されない: 非ホルモン性子宮内避妊器具(IUD)、コンドーム、ペッサリー、卵管結紮(注射、インプラント)、バリアー法、精管切除術(男性パートナーに対して)又は完全な禁欲。バリアー法には、男性用及び女性用のコンドーム、ペッサリー及び殺精子薬(精子を死滅させる化学物質を含有するクリーム又はゲル)。
11. 患者は書面によるインフォームドコンセントを提供しなければならない。
【0293】
除外基準
1. グレード2以上の既存のニューロパチー。
2. 少なくとも3年間寛解していない別の原発性浸潤性悪性腫瘍の既往、但し子宮頸部上皮内がん、扁平上皮細胞若しくは基底細胞の皮膚がん又は甲状腺癌を例外とする。
3. 決定的な処置を受けていない大脳転移/髄膜転移が既知であるか又は疑われる。
4. LVの初回投与前2週以内のグレード3以上(NCI CTCAE v4.03に従う)の何らかの活動性のウイルス感染症、細菌感染症又は真菌感染症。
5. 表面抗原発現によりB型肝炎が陽性、活動性C型肝炎感染(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による陽性、又は直前の6カ月以内にC型肝炎に対する抗ウイルス療法)、又はHIVに対する血清反応陽性の既往が判明している。
6. LVの初回投与前6カ月以内に、ニューヨーク心臓病学会(New York Heart Association)クラスIII~IVに一致する大脳血管イベント(脳卒中又は一過性虚血性発作)、不安定狭心症、心筋梗塞又は心臓症状(うっ血性心不全を含む)の既往が記述されている。
7. 授乳中の女性。
8. LVの製剤中に含有される何らかの賦形剤に対する過敏症が判明している。
9. 試験処置の3週間以内の大手術。
10. LVによる以前の処置又はMMAE含有療法による以前の処置。
【0294】
試験薬の中止
試験薬による患者の処置は、以下の理由のいずれかで中止してもよい。
・疾患進行(PD)
・AE
・治験担当医の決断、非AE(決断の根拠が明確に記述されなければならない)
・患者の決断、非AE
・治験依頼者による試験終了
・その他の非AE
【0295】
試験からの患者の離脱
任意の患者は以下の理由のいずれかで試験を中止してよい。
・プロトコールに従った試験の完了
・患者の同意の撤回
・治験依頼者による試験終了
・追跡調査が不能
・死亡
・その他
【0296】
処置
LVは、天然に存在するチューブリン結合剤であるドラスタチン10の合成類似体であるMMAEにコンジュゲートされた抗LIV1Aモノクローナル抗体hLIV22からなるADCである。
【0297】
LVは、IV投与のための再構成用の、無菌性で防腐剤を含まない白色ないしオフホワイトの凍結乾燥されたケーキ又は粉末である。LVは、使い捨てガラスバイアルで供給される。各薬品バイアルは注射用LV、トレハロース、ヒスチジン及びポリソルベート80を含有する。薬品バイアルには40mg/バイアルの公称含量がラベル表示される。
【0298】
各バイアルは45mgのLVを含有する。40mgのLVを使用のために引き出せるように、十分な過充填が含められる。
【0299】
米国薬局方(USP)の注射用水(WFI)8.8mLで再構成すると、再構成されたLV製品の濃度は5mg/mLとなる。再構成された薬品は、目に見える粒子状物質を含まない、透明ないしわずかに乳白色の、無色ないし淡黄色の溶液である。pHはおよそ6.0である。再構成された溶液はその後、IV投与のために滅菌0.9%塩化ナトリウム注射液、USPで希釈される。
【0300】
LVを含有する使い捨てバイアルは、薬剤師、治験担当医又は正式に指名された者のみがアクセスできる適切な施錠された場所に、2~8℃の冷蔵下で保存しなければならない。
【0301】
再構成された薬品の化学的及び物理的な安定性は、2~8℃及び室温で24時間にわたり実証されている。しかし、LV薬品は防腐剤を含有しない。このため、微生物学的な観点からは、開封され且つ再構成されたバイアルは直ちに使用すべきである。直ちに使用しない場合、使用中の貯蔵は2~8℃の冷蔵下で24時間を超えるべきでない。調製された投薬溶液(IVバッグ又はポリプロピレンシリンジの中にある再構成された薬品溶液及び生理食塩水希釈液)は、環境温度及び光条件に曝露された後、8時間以内に投与すべきである。
【0302】
薬品バイアル及び溶液は、使用時まで直射日光から保護することが推奨される。
【0303】
再構成されたLVは振盪すべきでない。
【0304】
部分的に使用されたバイアル又は調製された投薬溶液はいずれも、施設の薬物廃棄手順に従って現場で廃棄すべきである。未使用のバイアルは、治験依頼者による認可後にのみ現場で廃棄し得る。
【0305】
用量及び投与
投薬は患者の実際の体重に基づく。ベースラインからの体重の変化が10%以上である患者には用量を調整しなければならない。体重の変化に対するその他の用量調整は、施設の規準に従って許可される。
【0306】
LVは、3週サイクルごとの1日目、8日目及び15日目に投与する。LVの投与の間には少なくとも7日が経過しなければならない。投薬日に投薬の妨げとなるAEがあるか又は投薬のための検査値基準が満たされない場合には、投与を省くべきである。投薬基準を満たすまでにAEが十分に改善した場合又はベースラインに復帰した場合に投薬を再開し得る。
【0307】
投薬の遅れが試験薬に関連しない場合には、治療の継続についてケースバイケースでメディカルモニターと話し合う。
【0308】
試験処置の注入時に注入関連反応が起こり得る。注入は、アナフィラキシーが起こった場合に対処するための適切な設備及び人員を備えた現場で投与すべきである。LVの初回投与の前に注入関連反応の予防のために慣例的な前投薬を行うべきではない。
【0309】
最適な患者ケアに適合する全ての支持的手段が、施設の規準に従って試験期間中を通じて与えられるべきである。支持的手段には、注入時間を延長すること及び/又は注入関連反応に対する薬物を投与することが含まれ得る。
【0310】
LVによるグレード1又はグレード2の注入関連反応を経験した患者には、後続の注入に対して前投薬を行うべきである。
【0311】
グレード3の注入関連反応を経験する患者は、治験依頼者との話し合いの後に、治験担当医の自由裁量でLVによる追加の処置を受ける可能性がある。
【0312】
前投薬には、各注入の30分前~60分前に又は施設の規準に従って投与される、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン剤及びコルチコステロイドが含まれ得る。
【0313】
アナフィラキシー又はグレード4の注入関連反応が起こった場合には、LV投与を直ちに且つ永続的に中止すべきである。
【0314】
応答/有効性の判定
処置応答は、プロトコールで指定された時点でのX線による腫瘍評価によって判定する。胸部、腹部及び骨盤のスパイラルCT又はMRIスキャンを取得しなければならない。頸部のCT又はMRIも、この領域の併発が記述されているか又は疑われる場合には取得しなければならない。同じモダリティを、可能な限り、後続の全ての応答判定のために使用するべきである。医学的に禁忌である場合を除き、診断用の高品質のCTが必要である。造影剤増強CT判定への忍容性がない患者には、MRIイメージングが許容される。他の何らかのX線検査又は疾患判定検査がSOCに従って実施される場合には、判定情報をCRFに収集する。
【0315】
臨床応答は、RECIST Version 1.1(Eisenhauer EA et al.Eur.J.Cancer 45(2):228-47 2009)に従って、各判定時に治験担当医によって決定される。また、臨床応答を、RECIST v1.1に従ってBICRによって判定してもよい。加えて、治験担当医の判断による臨床的進行をCRFにも収集する。臨床的進行の場合には、放射線学的進行も記述するために放射線学的判定を行うべきである。処置決断は治験担当医の判定に基づくべきである。
【0316】
患者の臨床データは、CRFの出所の検証のために利用可能でなければならない。腫瘍画像のコピーは治験依頼者(又はその被指名者)による審査のために請求により利用可能にされなければならない。
【0317】
[実施例20]
転移性乳がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの安全性及び忍容性
実施例19に記載した試験に患者を登録した。患者は、ファーストライン又はセカンドラインの内分泌療法不応性HR+/HER2-転移性乳がん又はセカンドライン転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)のいずれかを有した。実施例19に記載したように、LVを3週サイクルごとの1日目、8日目及び15日目に、1.0mg/kg、1.25mg/kg又は1.5mg/kgの用量で30分間にわたる静脈内注入によって投与した。
【0318】
対象の属性を以下の表に示す:
【0319】
【表9】
【0320】
以下で用量制限毒性は観察されなかった:
・用量レベル0(1mg/kg Q1W)
・用量レベル+1(1.25mg/kg Q1W)
・用量レベル+2(1.5mg/kg Q1W)
【0321】
以下の表に、観察されたグレード3以上の処置中に発生した有害事象(TEAE)を列記している:
【0322】
【表10】
【0323】
以下の表に、観察された重篤有害事象(SAE)を列記している:
【0324】
【表11】
【0325】
以下の表は、各21日サイクル(Q3W)の1日目に2.5mg/kgという以前の投薬レジメンを使用してLVで処置された患者での発生率を、本実施例及び実施例19に記載されたQ1W投薬レジメンと比較したものを示している:
【0326】
【表12】
【0327】
驚いたことに、各3週間の期間でより多くのLVの総用量を投与されたにもかかわらず(Q1Wでの3.0~4.5mg/kgに対してQ3Wでは2.5mg/kg)、LVを毎週1回投与された対象が経験した多岐にわたる有害事象の発生率はより低かった。
【0328】
[実施例21]
進行固形腫瘍におけるラジラツズマブベドチンの第II相試験
ラジラツズマブベドチン(LV)は、プロテアーゼ切断可能なバリン・シトルリンリンカーを介してドラスタチン10類似体である薬物モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされた、LIV1を標的とするヒトモノクローナル免疫グロブリンを含む抗体-薬物コンジュゲートである。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管破壊剤として作用する化学療法のクラスに属する。
【0329】
本試験では、局所進行性又は転移性の小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん又は食道胃接合部がんの患者における2.5mg/kgラジラツズマブベドチンの有効性、安全性及び忍容性を評価する。ファーストライン及びセカンドラインの処置の後に疾患が進行した、局所進行性又は転移性の小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん又は食道胃接合部がんの患者には、その予後を有意義に改善し得る治療法に対して、対処されていない重大な医療ニーズがある。
【0330】
方法
この国際共同オープンラベル多施設治験は、選択された固形腫瘍の処置に関するラジラツズマブベドチンの安全性、忍容性及び活性を判定するために設計される。適格患者は手術不能の局所進行性又は転移性がんを有し、18歳以上である。小細胞肺がん、非小細胞肺がん-扁平上皮性、非小細胞肺がん-非扁平上皮性、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌を含む腫瘍型に基づいて、患者を6コホートのうち1つに登録する。
【0331】
全ての適格患者に、各21日サイクル(Q3W)の1日目にラジラツズマブベドチンを2.5mg/kgの用量で30分間の静脈内注入として投与する。投薬は各サイクルで測定した対象の体重に基づく。体重が100kgを超える対象については、投薬は100kgの最大体重に基づく(サイクルあたり250mgを超えないように算出)。個々人の用量は処置関連有害事象に基づいて変更してよい。応答を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に判定する。主要エンドポイント及び副次エンドポイント並びに進行について応答をスコア化するために、RECIST v1.1が治験担当医によって使用される。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。
【0332】
試験の主要分析は、コホート内の処置された全対象が少なくとも6カ月間追跡調査されるか又は試験を成功裏に終えるかのいずれかが最初に生じた場合に各コホートについて別々に行う。主要有効性エンドポイントである、RECIST v1.1に従って確認されるORRは、任意の量の試験処置を受けた全対象を含む最大の分析対象集団(FAS)に基づいて各コホートについて推定される。ORRの点推定値、及びクロッパー-ピアソン法を使用した90%正確な信頼区間(CI)を、各コホートについて提供する。
【0333】
中間無益性分析を、所与のコホートの少なくとも12人の対象を処置してベースライン後の有効性が評価可能となった後に、各コホートについて別々に行う。無益性基準を決定するためにベイズ予測確率アプローチを使用する。各中間分析の時点で、成功の予測確率(PPoS)を算出する。10%未満のPPoSは、中間結果から考えてORRが試験の終了時に現行の標準治療の応答率よりも良い可能性が低いことを示す。PPoSと共に有効性及び安全性のデータに基づいて、コホートは治験依頼者によって早期に中止され得る。
【0334】
治験に登録された患者の組み入れ基準及び除外基準を表3に示す。
【0335】
【表13】
【0336】
LVは、IV投与のための再構成用の、無菌性で防腐剤を含まない白色ないしオフホワイトの凍結乾燥されたケーキ又は粉末である。LVは、使い捨てガラス製バイアルで供給される。各薬品バイアルは注射用LV、トレハロース、ヒスチジン及びポリソルベート80を含有する。薬品バイアルには40mg/バイアルの公称含量がラベル表示される。各バイアルは45mgのLVを含有する。40mgのLVを使用のために引き出せるように、十分な過充填が含められる。
【0337】
米国薬局方(USP)グレード又は同等の注射用水(WFI)8.8mLで再構成すると、再構成されたLV製品の濃度は5mg/mLとなる。再構成された薬品は、目に見える粒子状物質を含まない、透明ないしわずかに乳白色の、無色ないし淡黄色の溶液である。pHはおよそ6.0である。再構成された溶液はその後、IV投与のためにUSPグレード又は同等の滅菌0.9%塩化ナトリウム注射液で希釈される。
【0338】
LV処置に関連する毒性のための用量変更を表4に記載した。変更後の最大用量は以下の通りである:
・2.0mg/kgに減量した対象については200mg
・1.5mg/kgに減量した対象については150mg
【0339】
【表14】
【0340】
LV関連毒性のために減量した用量を再び漸増すべきではない。
【0341】
対象がサイクル2(C2)の1日目又はそれ以降に臨床的に意味のある未回復のAEを有する場合には、サイクルの開始を最大で14日遅らせてよい。14日を上回る遅れはメディカルモニターによって承認されなければならない。
【0342】
対象にその用量レベルに対する忍容性がない際には、メディカルモニターによる承認の上で、追加の処置サイクル(C2以降)をより低い用量レベルで投与してもよい。
【0343】
目的及びエンドポイントを表5に記載する。確認された客観的な奏効率(ORR)は、治験担当医による判定でRECIST v1.1に従って確認された完全応答(CR)又は部分応答(PR)を達成した対象の割合と定義される。少なくとも2回のベースライン後応答判定(最初の応答及び確認スキャン)を受けていない対象はノンレスポンダーと算定する。
【0344】
疾患制御率(DCR)は、治験担当医による判定でRECIST v1.1に従って確認されたCR若しくはPRを達成したか、又は試験処置の開始後に6週間の最小間隔を経てSD基準を少なくとも一度満たした対象の割合と定義される。ベースライン後応答判定を少なくとも1回受けていない対象はノンレスポンダーと算定する。
【0345】
応答の持続期間(DOR)は、客観的応答(その後に確認されるCR又はPR)の最初の記述から、PD又は任意の原因による死亡のうちいずれか早い方の最初の記述までの時間と定義される。
DORデータは下記の通りに打ち切る(censored):
・PDを有しておらず、分析時点でまだ試験に参加している対象は、PDがないことを記述した最後の疾患判定日で打ち切る。
・PDの記述の前に新たな抗がん処置を開始した対象は、新たな処置の開始前の最後の疾患判定日で打ち切る。
・PDの記述の前に試験から除外された対象は、PDがないことを記述した最後の疾患判定日で打ち切る。
DORは、確認されたCR又はPRを達成した対象についてのみ算出する。
【0346】
無増悪生存期間(PFS)は、試験処置の開始から、PD又は任意の原因による死亡のうちいずれか早い方の最初の記述までの時間と定義される。
【0347】
DORに対するものと同じ打ち切り規則をPFSにも適用する。試験薬の初回投与後に腫瘍応答の評価のない対象は、イベント時間を1日目で打ち切る。
【0348】
全生存(OS)は、試験処置の開始から任意の原因による死亡日までの時間と定義される。死亡しなかった場合、対象の生存が判明している最終日(即ち、最終接触日)で生存期間を打ち切る。
【0349】
【表15】
【0350】
[実施例22]
小細胞肺がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の小細胞肺がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。患者は、NSCLC組織像を有する混合型SCLC/神経内分泌腫瘍を有しない。
【0351】
LVを、各21日サイクルの1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は注入あたり250mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、21日ごとに2.5mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。サイクルあたり200mgを上回るLVを投与されたあらゆる対象(体重80kg超)に、予防的に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与することが必要である。体重が100kgを超える患者については、投薬は注入あたり250mgを上限とする。
【0352】
[実施例23]
扁平上皮性非小細胞肺がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の扁平上皮性非小細胞肺がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。患者は、腫瘍が優勢な扁平上皮組織構造である限りは、混合型組織像のNSCLCを有してよい。患者は、NSCLC組織像を有する混合型SCLC/神経内分泌腫瘍を有しない。患者は、上皮増殖因子受容体(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、活性酸素種(ROS)、BRAF、又は治療につながる他の突然変異を有しないことが判明している。
【0353】
LVを、各21日サイクルの1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は注入あたり250mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、21日ごとに2.5mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。サイクルあたり200mgを上回るLVを投与されたあらゆる対象(体重80kg超)に、予防的に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与することが必要である。体重が100kgを超える患者については、投薬は注入あたり250mgを上限とする。
【0354】
[実施例24]
非扁平上皮性非小細胞肺がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の非扁平上皮性非小細胞肺がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の期間中又はその後に疾患進行を有する。患者は進行疾患に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。患者は優勢な扁平上皮組織構造のNSCLCも小細胞要素も有しない。患者は、EGFR、ALK、ROS、BRAF、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)、又は治療につながる他の突然変異を有しないことが判明している。
【0355】
LVを、各21日サイクルの1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は注入あたり250mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、21日ごとに2.5mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。サイクルあたり200mgを上回るLVを投与されたあらゆる対象(体重80kg超)に、予防的に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与することが必要である。体重が100kgを超える患者については、投薬は注入あたり250mgを上限とする。
【0356】
[実施例25]
頭頚部扁平上皮癌の患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の頭頚部扁平上皮癌を有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は口腔、中咽頭、下咽頭又は喉頭から生じた原発性腫瘍部位を伴う頭頚部の扁平上皮癌を有する。患者は進展病期を有し、進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。
【0357】
LVを、各21日サイクルの1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は注入あたり250mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、21日ごとに2.5mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。サイクルあたり200mgを上回るLVを投与されたあらゆる対象(体重80kg超)に、予防的に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与することが必要である。体重が100kgを超える患者については、投薬は注入あたり250mgを上限とする。
【0358】
[実施例26]
食道扁平上皮癌の患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の食道扁平上皮癌を有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、以前の全身性治療の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は以前の白金ベース化学療法を受けている。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。
【0359】
LVを、各21日サイクルの1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は注入あたり250mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、21日ごとに2.5mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。サイクルあたり200mgを上回るLVを投与されたあらゆる対象(体重80kg超)に、予防的に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与することが必要である。体重が100kgを超える患者については、投薬は注入あたり250mgを上限とする。
【0360】
[実施例27]
胃腺癌又は食道胃腺癌の患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の胃腺癌又は食道胃腺癌を有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、以前の全身性治療の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は以前の白金ベース化学療法を受けている。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を有する患者は、以前のHER2標的化治療を受けている。ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)及び/又は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。
【0361】
LVを、各21日サイクルの1日目に2.5mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は注入あたり250mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、21日ごとに2.5mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。サイクルあたり200mgを上回るLVを投与されたあらゆる対象(体重80kg超)に、予防的に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与することが必要である。体重が100kgを超える患者については、投薬は注入あたり250mgを上限とする。
【0362】
[実施例28]
進行固形腫瘍におけるラジラツズマブベドチンの第II相試験
ラジラツズマブベドチン(LV)は、プロテアーゼ切断可能なバリン・シトルリンリンカーを介してドラスタチン10類似体である薬物モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされた、LIV1を標的とするヒトモノクローナル免疫グロブリンを含む抗体-薬物コンジュゲートである。ドラスタチン類及びアウリスタチン類は、微小管破壊剤として作用する化学療法のクラスに属する。
【0363】
本試験では、局所進行性又は転移性の小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん又は食道胃接合部がんの患者における1.0mg/kg又は1.25mg/kgのラジラツズマブベドチンの有効性、安全性及び忍容性を評価する。ファーストライン及びセカンドラインの処置の後に疾患が進行した、局所進行性又は転移性の小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん又は食道胃接合部がんの患者には、その予後を有意義に改善し得る治療法に対して、対処されていない重大な医療ニーズがある。
【0364】
方法
この国際共同オープンラベル多施設治験は、選択された固形腫瘍の処置に関するラジラツズマブベドチンの安全性、忍容性及び活性を判定するために設計される。適格患者は手術不能の局所進行性又は転移性がんを有し、18歳以上である。小細胞肺がん、非小細胞肺がん-扁平上皮性、非小細胞肺がん-非扁平上皮性、頭頚部扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、並びに胃腺癌及び食道胃接合部腺癌を含む腫瘍型に基づいて、患者を6コホートのうち1つに登録する。
【0365】
全ての適格患者に、各7日サイクル(Q1W)の1日目にラジラツズマブベドチンを1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間の静脈内注入として投与する。投薬は各サイクルで測定した対象の体重に基づく。体重が100kgを超える対象については、投薬は100kgの最大体重に基づく(サイクルあたり125mgを超えないように算出)。個々人の用量は処置関連有害事象に基づいて変更してよい。応答を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に判定する。主要エンドポイント及び副次エンドポイント並びに進行について応答をスコア化するために、RECIST v1.1が治験担当医によって使用される。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。
【0366】
試験の主要分析は、コホート内の処置された全対象が少なくとも6カ月間追跡調査されるか又は試験を成功裏に終えるかのいずれかが最初に生じた場合に各コホートについて別々に行う。主要有効性エンドポイントである、RECIST v1.1に従って確認されるORRは、任意の量の試験処置を受けた全対象を含む最大の分析対象集団(FAS)に基づいて各コホートについて推定される。ORRの点推定値、及びクロッパー-ピアソン法を使用した90%正確な信頼区間(CI)を、各コホートについて提供する。
【0367】
中間無益性分析を、所与のコホートの少なくとも12人の対象を処置してベースライン後の有効性が評価可能となった後に、各コホートについて別々に行う。無益性基準を決定するためにベイズ予測確率アプローチを使用する。各中間分析の時点で、成功の予測確率(PPoS)を算出する。10%未満のPPoSは、中間結果から考えてORRが試験の終了時に現行の標準治療の応答率よりも良い可能性が低いことを示す。PPoSと共に有効性及び安全性のデータに基づいて、コホートは治験依頼者によって早期に中止され得る。
【0368】
治験に登録された患者の組み入れ基準及び除外基準を表6に示す。
【0369】
【表16】
【0370】
LVは、IV投与のための再構成用の、無菌性で防腐剤を含まない白色ないしオフホワイトの凍結乾燥されたケーキ又は粉末である。LVは、使い捨てガラス製バイアルで供給される。各薬品バイアルは注射用LV、トレハロース、ヒスチジン及びポリソルベート80を含有する。薬品バイアルには40mg/バイアルの公称含量がラベル表示される。各バイアルは45mgのLVを含有する。40mgのLVを使用のために引き出せるように、十分な過充填が含められる。
【0371】
米国薬局方(USP)グレード又は同等の注射用水(WFI)8.8mLで再構成すると、再構成されたLV製品の濃度は5mg/mLとなる。再構成された薬品は、目に見える粒子状物質を含まない、透明ないしわずかに乳白色の、無色ないし淡黄色の溶液である。pHはおよそ6.0である。再構成された溶液はその後、IV投与のためにUSPグレード又は同等の滅菌0.9%塩化ナトリウム注射液で希釈される。
【0372】
LV処置に関連する毒性のための用量変更を表7に記載した。変更後の最大用量は以下の通りである:
・1.0mg/kgに減量した対象については100mg
・0.75mg/kgに減量した対象については75mg
【0373】
【表17】
【0374】
LV関連毒性のために減量した用量を再び漸増すべきではない。
【0375】
対象がサイクル2(C2)の1日目又はそれ以降に臨床的に意味のある未回復のAEを有する場合には、サイクルの開始を遅らせてよい。
【0376】
対象にその用量レベルに対する忍容性がない際には、メディカルモニターによる承認の上で、追加の処置サイクル(C2以降)をより低い用量レベルで投与してもよい。
【0377】
目的及びエンドポイントは表5に記載する。確認された客観的な奏効率(ORR)は、治験担当医による判定でRECIST v1.1に従って確認された完全応答(CR)又は部分応答(PR)を達成した対象の割合と定義される。少なくとも2回のベースライン後応答判定(最初の応答及び確認スキャン)を受けていない対象はノンレスポンダーと算定する。
【0378】
疾患制御率(DCR)は、治験担当医による判定でRECIST v1.1に従って確認されたCR若しくはPRを達成したか、又は試験処置の開始後に6週間の最小間隔を経てSD基準を少なくとも一度満たした対象の割合と定義される。ベースライン後応答判定を少なくとも1回受けていない対象はノンレスポンダーと算定する。
【0379】
応答の持続期間(DOR)は、客観的応答(その後に確認されるCR又はPR)の最初の記述から、PD又は任意の原因による死亡のうちいずれか早い方の最初の記述までの時間と定義される。
DORデータは下記の通りに打ち切る:
・PDを有しておらず、分析時点でまだ試験に参加している対象は、PDがないことを記述した最後の疾患判定日で打ち切る。
・PDの記述の前に新たな抗がん処置を開始した対象は、新たな処置の開始前の最後の疾患判定日で打ち切る。
・PDの記述の前に試験から除外された対象は、PDがないことを記述した最後の疾患判定日で打ち切る。
DORは、確認されたCR又はPRを達成した対象についてのみ算出する。
【0380】
無増悪生存期間(PFS)は、試験処置の開始から、PD又は任意の原因による死亡のうちいずれか早い方の最初の記述までの時間と定義される。
【0381】
DORに対するものと同じ打ち切り規則をPFSにも適用する。試験薬の初回投与後に腫瘍応答の評価を受けていない対象は、イベント時間を1日目で打ち切る。
【0382】
全生存(OS)は、試験処置の開始から任意の原因による死亡日までの時間と定義される。死亡しなかった場合、対象の生存が判明している最終日(即ち、最終接触日)で生存期間を打ち切る。
【0383】
【表18】
【0384】
[実施例29]
小細胞肺がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の小細胞肺がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。患者は、NSCLC組織像を有する混合型SCLC/神経内分泌腫瘍を有しない。
【0385】
LVを、各7日サイクルの1日目に1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量について各々注入あたり100mg又は125mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、7日ごとに1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。
【0386】
[実施例30]
扁平上皮性非小細胞肺がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の扁平上皮性非小細胞肺がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。患者は、腫瘍が優勢な扁平上皮組織構造である限りは、混合型組織像のNSCLCを有してよい。患者は、NSCLC組織像を有する混合型SCLC/神経内分泌腫瘍を有しない。患者は、上皮増殖因子受容体(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、活性酸素種(ROS)、BRAF、又は治療につながる他の突然変異を有しないことが判明している。
【0387】
LVを、各7日サイクルの1日目に1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量について各々注入あたり100mg又は125mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、7日ごとに1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。
【0388】
[実施例31]
非扁平上皮性非小細胞肺がんの患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の非扁平上皮性非小細胞肺がんを有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の期間中又はその後に疾患進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。患者は優勢な扁平上皮組織構造のNSCLCも小細胞要素も有しない。患者は、EGFR、ALK、ROS、BRAF、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)、又は治療につながる他の突然変異を有しないことが判明している。
【0389】
LVを、各7日サイクルの1日目に1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量について各々注入あたり100mg又は125mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、7日ごとに1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。
【0390】
[実施例32]
頭頚部扁平上皮癌の患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の頭頚部扁平上皮癌を有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は口腔、中咽頭、下咽頭又は喉頭から生じた原発性腫瘍部位を伴う頭頚部の扁平上皮癌を有する。患者は進展病期を有し、進展期疾患に対する白金ベースの以前の全身化学療法の期間中又はその後に疾患進行を有する。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。
【0391】
LVを、各7日サイクルの1日目に1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量について各々注入あたり100mg又は125mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、7日ごとに1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。
【0392】
[実施例33]
食道扁平上皮癌の患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の食道扁平上皮癌を有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、以前の全身性治療の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は以前の白金ベース化学療法を受けている。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。
【0393】
LVを、各7日サイクルの1日目に1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量について各々注入あたり100mg又は125mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、7日ごとに1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。
【0394】
[実施例34]
胃腺癌又は食道胃腺癌の患者におけるラジラツズマブベドチンの抗腫瘍活性
切除不可能な局所進行性又は転移性の胃腺癌又は食道胃腺癌を有するヒト患者をラジラツズマブベドチン(LV)で処置する。患者はLIV1を発現するがんを有する。患者は進展病期を有し、以前の全身性治療の際又はそれ以降に疾患の進行を有する。患者は以前の白金ベース化学療法を受けている。患者は進展病期に対するファーストラインまでの以前の細胞傷害性化学療法を受けている。ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を有する患者は、以前のHER2標的化治療を受けている。ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)及び/又は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する患者は、禁忌でなければ、以前の抗PD(L)1療法を受けていてよい。
【0395】
LVを、各7日サイクルの1日目に1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で静脈内(IV)注入によって投与する。投薬は1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量について各々注入あたり100mg又は125mgを超えないようにする。個々人の用量は処置関連AEに基づいて変更してよい。RECIST v1.1による腫瘍判定を、最初の12カ月は6週間ごと(±3日)に、その後は12週間ごと(±7日)に行う。客観的応答を、応答の最初の記述から4~6週後に繰り返しスキャンで確認する。LVを、7日ごとに1.0mg/kg又は1.25mg/kgの用量で30分間のIV注入として投与する。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図6
図7A
図7B
図8A-8B】
図8C
図9A-9B】
図9C
図10
図11
【配列表】
2022541591000001.app
【国際調査報告】