(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ネコ科動物の腎臓に有益な方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A23K 50/40 20160101AFI20220915BHJP
A23K 40/10 20160101ALI20220915BHJP
【FI】
A23K50/40
A23K40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503948
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 IB2020056775
(87)【国際公開番号】W WO2021014325
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ, ショージ アーサー ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】トゥ, シャオ‐ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リン, サンドラ
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005LA04
2B005LB02
2B005LB06
2B005MA05
2B005MA06
2B150AA06
2B150AB10
2B150AE02
2B150BE01
2B150BE04
2B150CE02
2B150CE04
2B150CE09
2B150CE11
2B150CE12
2B150DA48
2B150DA49
2B150DH03
2B150DH05
(57)【要約】
腎疾患を有するネコ科動物を治療する方法であって、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔で前記ネコ科動物に経口投与する工程を含む、方法。ネコ科動物の1日の食物摂取量を増加させる方法であって、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔で前記ネコ科動物に経口投与する工程を含む、方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腎疾患を有するネコ科動物を治療する方法であって、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔で前記ネコ科動物に経口投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の間隔が、少なくとも3回の分割給餌を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の間隔が、少なくとも4回の分割給餌を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記投与する工程が、前記ネコ科動物による1日の総摂食量を比較給餌と比較して増加させ、前記比較給餌が、前記1種のペットフード組成物を、又は前記複数種のペットフード組成物のうちの1種を、1日1回の間隔で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペットフード組成物が、完全かつ栄養的にバランスの取れたペットフードである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ペットフード組成物が、前記ネコ科動物に定期的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記投与する工程が、単一のペットフードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記投与する工程が、少なくとも2種の異なるペットフードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ネコ科動物の1日の食物摂取量を増加させる方法であって、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔で前記ネコ科動物に経口投与する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記複数の間隔が、1日あたり少なくとも3回の分割給餌を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記ネコ科動物による1日の総摂食量を比較給餌と比較して増加させ、前記比較給餌が、前記1種のペットフード組成物を、又は前記複数種のペットフード組成物のうちの1種を、1日1回の間隔で投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ペットフード組成物が、完全かつ栄養的にバランスの取れたペットフードであり、前記ペットフード組成物が、前記ネコ科動物に定期的に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ネコ科動物が、腎疾患、がん、糖尿病、肝炎、食欲不振、又は食欲を減退させる健康状態を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記投与する工程が、単一のペットフードを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記投与する工程が、少なくとも2種の異なるペットフードを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877493号の優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]慢性腎臓病(CKD)では、時間の経過と共に徐々に腎機能が喪失する。CKDは家ネコに見られる一般的な疾患であり、罹患率及び死亡率の主要原因である。CKDの有病率は、5~6歳以降に加齢とともに増加し、老齢のネコで35%超に達する。健康な腎臓は、血液から毒素を濾過して取り除き、濃縮尿を生成するために必要であることから、腎不全により、老廃物及びその他の有害化合物が血液中に蓄積し、CKDを有するネコに食欲減退及び尿量の増加をもたらす。
【0003】
[0003]腎臓に対する長期的損傷は不可逆的なものであるため、この疾患に「治癒」はなく、食事の調節、食欲刺激薬、及び皮下輸液サプリメントなどの介入によって体重を維持し、CKDの進行を遅らせるよう試みるしかない。その結果、ほとんどの研究は、処方される食餌又は薬物の許容性と有効性に焦点を合わせてきた。したがって、CKDなどの腎疾患を有するコンパニオンアニマルを助けることができる解決策及び治療法が依然として必要とされている。
【0004】
[発明の概要]
[0004]本開示は、腎疾患を有するネコ科動物を治療する方法、及び当該動物に健康上の利益を提供する方法に関する。より具体的には、本開示は、腎疾患を有するネコ科動物に複数回の給餌を提供することに関する。
【0005】
[0005]一実施形態では、腎疾患を有するネコ科動物を治療する方法は、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔でネコ科動物に経口投与する工程を含み得る。
【0006】
[0006]更に、別の実施形態では、腎疾患を有するネコ科動物の1日の食物摂取量を増加させる方法は、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔でネコ科動物に経口投与する工程を含み得る。
【0007】
[0007]更なる特徴及び利点を本明細書に記載する。これらは、以下の発明を実施するための形態及び図表から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
[0008]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0009】
[0009]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」、すなわち「a」、「an」及び「the」には、明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象も含まれる。したがって、例えば、「1つの成分/ある成分/1つの原材料/ある原材料(an ingredient)」又は「その成分/その原材料(the ingredient)」についての言及は、2つ以上の成分/原材料(ingredients)を包含する。「X及び/又はY」の文脈にて使用される用語「及び/又は」は、「X」又は「Y」、又は「X及びY」と解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、用語「例(example)」は、特に、後に用語の掲載が続く場合は、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであると判断すべきではない。
【0010】
[0010]本明細書で使用するとき、「約」は、ある数値範囲の数字、例えば、参照する数字の-10%~+10%、好ましくは参照する数字の-5%~+5%以内、より好ましくは参照する数字の-1%~+1%以内、最も好ましくは参照する数字の-0.1%~+0.1%以内の範囲の数字を指すものと理解されたい。2つの値の「間」の範囲は、その2つの値を含む。更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数(integers)、整数(whole)又は分数、を含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0011】
[0011]本明細書に記載の全ての百分率は、別途記載のない限り乾燥物での組成物の総重量の重量基準である。pHについての参照がなされる場合には、値は標準的な装置により25℃にて測定されるpHに相当する。
【0012】
[0012]用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、動物による摂取を意図し、その動物に少なくとも1種の栄養素を提供する、製品又は組成物を意味する。用語「ペットフード」とは、コンパニオンアニマルが摂取することを意図する、任意の食品組成物を意味する。
【0013】
[0013]用語「コンパニオンアニマル」とは、イヌ又はネコを意味する。本明細書で使用するとき、用語「イヌ」及び「イヌ科動物」を互換的に使用することができる。本明細書で使用するとき、用語「ネコ」及び「ネコ科動物」は、互換的に使用することができる。
【0014】
[0014]「ウェットフード」とは、含水率が約50%~約90%、一態様では約70%~約90%であるペットフードを意味する。「ドライフード」とは、含水率が約20%未満、一態様では約15%未満、特定の態様では約10%未満であるペットフードを意味する。「セミモイストフード」とは、含水率が約20%~約50%、一態様では約25%~約35%のペットフードを意味する。「キブル」とは、ペレットの形状であっても、他の任意の形状であってもよい、ドライタイプ又はセミモイストタイプのペットフードの小塊を意味する。キブルの非限定例としては、粒子状のもの;ペレット;ペットフード、脱水肉、肉類似物、野菜、及びこれらの組み合わせの小塊;並びに肉若しくは野菜の干物、ローハイド、及びビスケットなどのペットスナックが挙げられる。
【0015】
[0015]本明細書で開示される組成物には、本明細書にて具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む(consisting essentially of)」実施形態、及び「を含む(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「を含む」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「を本質的に含む」実施形態、及び「を含む」実施形態の開示を含む。また、「任意選択的な」ステップとしてのいくつかのステップの記載は、任意選択的なことが明示的に記載されていない他のステップが必ずしも必須であることを意味するものではない。
【0016】
[0016]本明細書で開示される任意の実施形態は、本明細書で開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0017】
[0017]「予防」は、状態又は疾患のリスク及び/又は重症度を低減させることを含む。「処置/治療(treatment)」、「処置する/治療する(treat)」及び「緩和すること(to alleviate)」という用語は、(標的とする病態又は障害の発症を予防する及び/又は遅らせる)予防用の(prophylactic)処置又は予防的な(preventive)処置と、診断された病態又は疾患を治癒させる、遅らせる、その症状を減弱する、かつ/又はその進行を止める治療的手段を含む、治癒的、治療的又は疾患修飾処置との両方;並びに疾患にかかるリスクを有する、又は疾患にかかったと推測される患者の処置に加えて、病気である、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の処置を含む。この用語は、必ずしも完治するまで対象が処置/治療されることを意味するものではない。「処置/治療」及び「処置/治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を招きやすい可能性のある個体の健康を維持及び/又は促進することも指す。「処置/治療」、「処置/治療する」及び「緩和すること」という用語はまた、1つ以上の主たる予防的又は治療的手段の相乗作用、又は別の増強作用を含むことも意図している。「処置/治療」、「処置/治療する」及び「緩和すること」という用語は更に、疾患若しくは状態の、食事による管理(dietary management)、又は疾患若しくは状態の予防(prophylaxis若しくはprevention)のための、食事による管理を含むことも意図している。治療は患者に関連するものであってもよく、又は医師に関連するものであってもよい。
【0018】
[0018]用語「治療有効量」とは、(i)特定の疾患、状態、若しくは障害を治療若しくは予防する、(ii)それに関連して特定の疾患、状態、若しくは障害の1つ以上の症状を和らげる、寛解させる、若しくは取り除く、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、若しくは障害の1つ以上の症状の発現を予防若しくは遅延させる、本発明の化合物の量のことを意味する。一実施形態では、治療有効量は、腎臓病又は腎疾患に関連する任意の状態を治療する量を指し得る。
【0019】
実施形態
[0019]本開示は、腎臓病を有する、又はそうでなければ食物摂取量が低減した状態を有するネコ科動物を治療する方法、及び/又は当該動物に健康上の利益を提供する方法に関する。本発明者らは、ネコ科動物に1日を通して複数回の給餌を利用することで、従来の給餌スケジュールと比較して、食物摂取量を増加させるという予想外の健康上の利益がもたらされることを発見した。このような効果は、腎臓病、又は動物の食物摂取を低減する他の状態に苦しんでいる動物の治療に役立ち得る。一実施形態では、ネコ科動物は、腎疾患、がん、糖尿病、肝炎、食欲不振、又は食欲を減退させる健康状態を有し得る。
【0020】
[0020]したがって、一般的な実施形態では、腎疾患を有するネコ科動物を治療する方法は、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔でネコ科動物に経口投与する工程を含み得る。更に、別の実施形態では、ネコ科動物の1日食物摂取量を増加させる方法は、約5~約70グラムの1種又は複数種のペットフード組成物を、1日を通して複数の間隔でネコ科動物に経口投与する工程を含み得る。
【0021】
[0021]一般に、ネコ科動物に、1日を通して複数の間隔で給餌することができる。一態様では、複数の間隔は、少なくとも3回の分割給餌(separate feeding)を含むことができる。別の態様では、複数の間隔は、少なくとも4回の分割給餌を含むことができる。他の態様では、複数の間隔は、1日を通して少なくとも5回、6回、又は更には7回の分割給餌を含むことができる。本明細書で論じるように、このような複数回の給餌は、比較給餌と比較して、ネコ科動物による1日の総摂食量を増加させ、ここで比較給餌は、ペットフード組成物を1日1回の間隔で投与する。
【0022】
[0022]一般に、組成物は、ネコ科動物に定期的に投与することができる。一態様では、定期的とは、少なくとも週1回、又は1つの特定の態様では、少なくとも毎日であってもよい。一実施形態では、組成物は、ネコ科動物に長期的に投与することができる。一態様では、長期的とは、少なくとも6ヶ月間、1つの特定の態様では、少なくとも1年間、又は更にはペットの生涯にわたるものであってもよい。別の態様では、投与は、動物の疾患が治癒するまでであってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2、3、4、5又は6ヶ月の期間、ネコ科動物に投与することができ、いくつかの実施形態において、少なくとも1年間、又は更にはペットの生涯を通して投与することができる。この期間中、組成物は、少なくとも週1日、少なくとも週2日、少なくとも週3日、4日、5日、若しくは6日;又は更には週7日、ネコ科動物に投与することができる。
【0023】
[0023]一般に、1種又は複数種の組成物は、1日あたり複数の別個の間隔で投与することができる。一実施形態では、組成物は、各間隔に約5~約70グラムのペットフードの量で投与することができる。一態様では、ドライペットフード組成物は、各間隔に約5~約20グラムのペットフードの量で投与することができる。別の態様では、ウェットペットフード組成物は、各間隔に約20~約40グラムのペットフードの量で投与することができる。他の態様では、ペットフードは、1間隔当たり、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は更には50グラム~約30、35、40、45、50、55、60、65、又は更には70グラムを投与することができる。一態様では、ネコ科動物に、1日を通して単一のペットフードを投与することができる。別の態様では、ネコ科動物に、1日を通して異なる複数種のペットフードを投与することができる。そのようなペットフードは、ドライ、ウェット、セミモイスト、腎臓用、又はこのような食品の組み合わせを含む任意の他のペットフードであり得る。
【0024】
[0024]一実施形態では、ペットフード組成物は、腎臓用ペットフードであり得る。一実施形態では、組成物は、乾燥物で約0.6%~約0.8%のリンを含み得る。別の実施形態では、組成物は、乾燥物で約0.25%~約0.35%のナトリウムを含み得る。更に別の実施形態では、組成物は、乾燥物で約0.75%~約1%のカリウムを含み得る。更に、組成物は、乾燥物で20%~40%のタンパク質、いくつかの態様では、20%~35%、25%~30%、30%~35%、又は更には28%~30%のタンパク質を含み得る。一態様では、組成物は、(i)カルニチン、(ii)リジン及びメチオニン、(iii)グルタチオンなどの酸化防止剤、又は(iv)これらの混合物を更に含む。組成物は、一般に、タンパク質を、例えば組成物の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、又は更には少なくとも約30重量%含む。加えて、組成物は、バランスのとれた量のマグネシウム、ナトリウム、及びカリウムを有していてもよく、例えば、カリウムのナトリウムに対する比を約5:1~約1:1、一態様において、約5:1~約2:1とし、マグネシウムの量を約0.08重量%~約0.25重量%、一態様において、約0.10重量%~約0.15重量%としてもよい。マグネシウム、ナトリウム、及びカリウムの少なくとも一部分は、単離された化合物(例えば塩)として提供され得る。あるいは、又は加えて、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウムの少なくとも一部分は、1種以上の食料品により提供され得る。例えば、マグネシウムは、小麦ふすま、全粒、緑色の葉物野菜、肉、豆、及びバナナにより得ることができ、並びにカリウム及びナトリウムは、肉、魚、全粒、ヨーグルト、バナナ、サツマイモ、カボチャ、豆、及びトマトにより得ることができる。
【0025】
[0025]本明細書に開示されるペットフード組成物は、ネコ科動物による消費のために処方された任意の食品であり得る。一実施形態では、ペットフード組成物は、2019年1月1日付の米国飼料検査官協会(AAFCO)の定義による完全栄養食をネコに提供するものである。したがって、一態様では、組成物は、完全かつ栄養的にバランスの取れたペットフードであり得る。一般に、ペットフード組成物は、タンパク質、脂肪、炭水化物、及び繊維を含む。様々な実施形態では、ペットフード組成物は、10%~70%のタンパク質、10%~70%の脂肪、5%~50%の炭水化物、及び/又は1%~30%の繊維を含有し得る。
【0026】
[0026]ペットフード組成物は、乳化した肉などの肉を含んでもよい。好適な肉の例としては、家禽肉、牛肉、豚肉、ラム肉、及び魚が挙げられ、特にペットに好適なそれらの種類の肉が挙げられる。肉は、臓物を含む、屠体の何らかの余剰部分(additional parts of an animal)を含んでもよい。肉のいくらか又は全てを、1つ以上のミートミールとして、すなわち、乾燥し、挽いて、実質的に均一なサイズの粒子群を形成し、かつAAFCOが規定した肉として提供してもよい。追加的又は代替的に、エンドウ豆タンパク質、トウモロコシタンパク質(例えば、挽いたトウモロコシ又はトウモロコシグルテン)、小麦タンパク質(例えば、挽いた小麦又は小麦グルテン)、大豆タンパク質(例えば、大豆粕、大豆濃縮物、又は大豆分離物)、及び米タンパク質(例えば、挽いた米又は米グルテン)などの植物性タンパク質を使用することができる。
【0027】
[0027]本明細書で開示のペットフード組成物は、植物油、風味剤、着色剤、又は水のうちの1つ以上を含んでもよい。好適な植物油の非限定例としては、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、キャノーラ油、落花生油、紅花油などが挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物中の脂質は、MCT、並びに任意の植物油、任意の魚油、任意の肉由来の脂質、及び任意のω3脂肪酸のうちの1種以上を含み得る。
【0028】
[0028]好適な風味剤の非限定例としては、酵母、獣脂(tallow)、レンダリングしたアニマルミール(例えば、家禽肉、牛肉、ラム肉、及び豚肉)、香料の抽出物又はブレンド(例えば、グリルした牛肉)、及び動物消化処理物などが挙げられる。好適な着色剤の非限定例としては、青色1号、青色2号、緑色3号、赤色3号、赤色40号、黄色5号、及び黄色6号などのFD&C着色料;カラメル色素、アナトー、クロロフィリン、コチニール、ベタニン、ウコン、サフラン、パプリカ、リコピン、ニワトコジュース、パンダン、及びチョウマメなどの天然着色剤;二酸化チタン;並びに当業者に既知の任意の好適な食品着色料が挙げられる。
【0029】
[0029]本明細書で開示のペットフード組成物は、任意選択的に、デンプン、湿潤剤、口腔ケア成分、保存料、アミノ酸、繊維、プレバイオティクス、糖類、動物油、アロマ、他の油などの更なる原材料を、植物油、塩類、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス微生物、生物活性分子若しくはこれらの組み合わせに対して追加して、又は代替として含んでもよい。
【0030】
[0030]好適なデンプンの非限定例としては、例えば、トウモロコシ、コメ、小麦、大麦、オート麦、ジャガイモ、エンドウマメ、豆類、キャッサバなどの穀物類、及びこれらの穀物類の混合物が挙げられ、好適なデンプンは、任意の穀粉に少なくとも部分的に含まれ得る。好適な湿潤剤の非限定例としては、塩、糖類、プロピレングリコール、並びにグリセリン及びソルビトールなどの多価グリコールなどが挙げられる。好適な口腔ケア成分の非限定例としては、クロロフィルを含有するアルファルファ栄養濃縮物、重曹、ホスフェート(例えば、リン酸三カルシウム、酸性ピロホスフェート、ピロリン酸四ナトリウム、メタホスフェート、及びオルトホスフェート)、ペパーミント、クローブ、パセリ、及び生姜などが挙げられる。好適な保存料の非限定例としては、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、メチルパラヒドロキシ安息香酸ナトリウム(sodium methyl para-hydroxybenzoate)、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
[0031]本明細書で開示されるペットフード組成物におけるそれぞれの追加の原材料の具体的な量は、第1の食材及び任意の第2の食材に含まれる成分;動物の種;動物の年齢、体重、健康状態、性別、及び食生活;動物の飲食速度;食品製品を動物に投与する目的などの様々な因子に応じたものとなる。したがって、成分、及びその量は非常に様々であり得る。
【実施例】
【0032】
[0032]限定ではなく例として、以下の非限定的な研究は、本開示によって提供される1つ以上の実施形態において、腎疾患を治療し、ネコ科動物における食物摂取量を増加させるための組成物及び方法を例示するものである。
【0033】
実施例1-ネコ科動物の給餌研究
[0033]22匹の腎臓病ネコ(renal cat)に、対照条件及び試験条件下で、3種の異なる腎臓病食(以下、「D1」、「D2」、及び「D3」)を給餌した。ネコへの給餌は、6日間にわたって実施した。対照方法は食餌を1日1回与え、試験方法は食餌を1日3回、2時間毎に与え、両方のプロトコルにおいて、1日当たり6時間、食物にアクセスできるようする。食物及びカロリー摂取量の結果を表1及び2に示す。
【0034】
【0035】
【0036】
[0034]表1及び表2に示すように、試験方法のプロトコルで給餌されたネコは、摂取した食物の重量及びカロリーの両方の観点で測定したときに、従来の給餌方法と比較して各食餌の食物摂取量が多かった。
【0037】
[0035]本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び変形が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。かかる変更及び変形は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】