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特表2022-541654骨格筋の脂肪変性を予防または処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】骨格筋の脂肪変性を予防または処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/18 20060101AFI20220915BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220915BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20220915BHJP
【FI】
A61K38/18
A61P43/00 111
A61P21/00
C07K14/47 ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505278
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 US2020043119
(87)【国際公開番号】W WO2021021528
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/879,009
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502243376
【氏名又は名称】ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-ハッケルト,エリック
(72)【発明者】
【氏名】フレアー,モニーク
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084DB70
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA94
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA30
4H045EA28
(57)【要約】
TGFβRII-Fcなどの選択的TGF-β阻害剤を含む医薬組成物は、本明細書に提供され、骨格筋の脂肪変性を予防する、覆す、発症を減少させる、および/または処置する。さらに、選択的TGF-β阻害剤は、線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)の脂肪細胞への分化を阻害するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする被験体における、骨格筋の脂肪変性を予防する、発症を減少させる、および/または処置する方法であって、前記方法は、治療的有効量のTGFβRII-Fcを被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記TGFβRII-Fcを、被験体に手術前、例えば、手術直前から手術の90日前;手術中;または手術後、例えば、手術直後から手術の90日後に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手術は、腱、靭帯および/または筋の手術などの修復手術である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記修復手術は、回旋筋腱板(RC)の手術、アキレス腱の手術、アキレス腱の延長手術、腓腹筋の後退手術、前十字靭帯(ACL)の手術、膝の手術、股関節の手術、または脊椎の手術である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記TGFβRII-Fcは、脂肪変性を阻害し、また、腱の再生および再付着を促進する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記被験体は、変形性股関節症および変形性膝関節症などの変形性関節症、筋萎縮、加齢性サルコペニア、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、および/または末梢神経障害に罹患しているか、または罹患するリスクがある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被験体は、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患;筋ジストロフィーおよび封入体筋炎などの神経筋疾患;または慢性閉塞性肺疾患を患っている;あるいは、前記被験体は、慢性非歩行性脳卒中の患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記TGFβRII-Fcを、少なくとも週に1回、2週に1回、または3週に1回投与する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
TGFβRII-Fcの前記治療的有効量は、用量あたり約10mgおよび約500mgである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
TGFβRII-Fcの前記治療的有効量は、用量あたり約50mgである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記TGFβRII-Fcを、皮下、筋肉内または静脈内に投与する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)の脂肪細胞への分化を阻害するための方法であって、FAP細胞を取り囲む細胞間コンパートメントに有効量のTGFβRII-Fcを提供することを含む、方法。
【請求項13】
前記有効量は、約250pM~約2.5mMである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記有効量は、約250pM、約500pM、約2.5nM、約5nM、約25nM、約50nM、約250nM、約500nM、約2.5μM、約5μM、約25μM、約50μM、約250μM、約500μM、および約2.5mMからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法をインビトロで行う、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法をインビボで行う、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記被験体は、ヒトである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記被験体は、ウマ、イヌまたはネコを含む、ヒトではない哺乳類である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2019年7月26日に出願された米国仮特許出願第62/879,009号の35U.S.C§119(e)に基づく利益を主張する。米国仮特許出願第62/879,009号の内容は、その全てが参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔米国政府の権利〕
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられたGM121499に基づく政府支援を用いてなされた。米国政府は、本発明についてある種の権利を有する。
【0003】
〔発明の分野〕
本発明は一般に、骨格筋の脂肪変性を予防する、および/または処置する、選択的TGF-β阻害剤、その医薬組成物、およびその使用に関する。
【0004】
〔発明の背景〕
背景の説明は、本開示を理解する際に有用であり得る情報を含む。本明細書において提供される情報のいずれもが先行技術であるか、または現在特許請求されている発明に関連していること、あるいは具体的にまたは黙示的に参照される任意の刊行物が先行技術であることを、いずれも認めるわけではない。
【0005】
形質転換成長因子ベータ(TGF-β)ファミリーは、多くの細胞型において増殖、分化、発生調節および他の機能を制御する、構造的に関連したタンパク質の周知のファミリーである。TGF-βファミリーには、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3の3つのアイソフォームの群を形成する、標準的なTGF-βが含まれる。3つのアイソフォーム、TGF-β1~3は、異なる機能を有することが長い間知られてきた。それらは、種々の組織において、かつ、発達における異なる時点で、異なったように発現する。
【0006】
筋肉組織の脂肪変性(「FD」)は、損傷、回旋筋腱板(「RC」)の修復手術などの修復手術、および他の状態に続いて起こり得る。種々のアプローチ(モノクローナル抗体および小分子など)が取られ、TGF-βシグナリングを阻害することを試みてきた。特に、深刻なRC断裂のマウスモデルにおいて、小分子阻害剤(SB431542)を用いてTGF-β経路を標的化することは、関連する筋のFDを低下させることが報告された。しかしながら、SB431542は特異性が広いこと、および薬理学的特性に乏しいことが要因となり、臨床的には作用しないであろう。
【0007】
さらに、免疫グロブリン定常領域(「TGFβRII-Fc」)の一部に結合されたTGF-βII型受容体を含む融合タンパク質は、公開された国際特許出願、WO1998/048024および米国特許第9,809,637号において報告されている。
【0008】
したがって、種々の選択的TGF-β阻害剤が当該分野において公知であるが、現在、ヒトにおける筋のFDを予防または軽減する処置は存在しない。それゆえに、FDを予防および/または処置するための改善された組成物および方法を提供する必要性がある。
【0009】
〔発明の概要〕
選択的TGF-β阻害剤を使用して、骨格筋におけるFDを予防する、覆す、発症を減少させる、および/または処置する、種々の組成物および方法は、本明細書に記載され、治療的有効量の選択的TGF-β阻害剤を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む。
【0010】
特定の実施形態において、選択的TGF-β阻害剤は、RCの修復手術などの手術前、手術中または手術後に被験体に投与される。
【0011】
さらなる実施形態において、線維脂肪生成前駆細胞(FAP)の脂肪細胞への分化を阻害する方法もまた、本明細書に記載される。当該方法は、FAP細胞を取り囲む細胞間コンパートメントを、有効量の選択的TGF-β阻害剤と接触させる工程を含む。
【0012】
特定の実施形態において、選択的TGF-β阻害剤は、本明細書に記載のTGFβRII-Fcである。
【0013】
さらなる特定の実施形態において、選択的TGF-β阻害剤は、動物種に由来するTGFβRII-Fcであり、このTGFβRII-Fcは、同じ動物種において、FDを予防する、覆す、発症を減少させるおよび/または処置するために使用される。
【0014】
種々の目的、特徴、態様、および利点は、同様の数字が同様の構成要素を表す添付の図面と共に、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0015】
〔図面の簡単な説明〕
図1A~1Bは、天然に生じるTGFβRIIの2つのスプライス型である、天然の短型および天然の長型を示す。図1Aは、長型がアミノ酸31の後に25個のアミノ酸の挿入を有し、かつ、この挿入に続くアミノ酸はValからIleに変化することを示す(太字で示す)。図1Bは、TGFβRIIの両方の型の細胞外ドメイン(ECD)の配列を示す。Uniprot配列P37173(本明細書中では配列番号1)は短型であり、Uniprot配列D2JYI1(本明細書では配列番号2)は長型である。
【0016】
図1Cは、本明細書の実施例1~3において使用される、TGFβRII-Fcのアミノ酸配列(配列番号3)である。
【0017】
図2は、TGFβRII-Fcの結合特異性を示す。当該図は、TGFβRII-Fc(配列番号3)がTGF-β1およびTGF-β3には結合するが、TGF-β2へは結合しないことを示す、SPR-センサーグラムの画像である。Aykul, S. and Martinez-Hackert, E. Transforming Growth Factor- β family ligands can function as antagonists by competing for type II receptor binding. Journal of Biological Chemistry 291: 10792-10804 (2016)を参照されたい。前記刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3Aは、線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)がどのようにして脂肪細胞に分化するかを示す模式図である。Aykul, S., Maust, J., Floer, M. and Martinez-Hackert, M. TGF-Β Family Inhibitors Blunt Adipogenesis Via Non-Canonical Regulation Of SMAD Pathways. bioRxiv.(2020年3月14日にオンラインで公開された)を参照されたい。前記刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Bは、ナイルレッド(緑)を用いて脂質を染色し、核をDAPI(マゼンタ)を用いて染色した、細胞の画像を示す。図3Cは液滴の数の定量を示し、図3Dは脂肪滴の平均サイズを示し、図3Eは平均脂質面積を示し、図3Fは正規化されたナイルレッド蛍光を示し、図3Gは脂肪分解活性を示す。ハッチングされたバーはビヒクルコントロールを示し、白色のバーはTGFβRII-Fc処理細胞を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3HはAdipoqについて示し、図3IはCidecについて示し、図3JはFabp4について示し、図3KはLepについて示し、図3LはPlin1について示し、および図3MはPpargについて示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
【0019】
図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4Aは、切片化し、ヘマトキシリン(青色)を用いて染色し、続いてオイルレッドO(ORO)を用いて染色した筋の写真を示す。OROは、筋線維の内部に形成される脂肪滴による筋内脂肪、ならびに筋線維間で成長する脂肪細胞がもたらす筋間脂肪(FI)を検出する。図4Bは総脂肪の定量を示し、図4Cは筋間脂肪の定量を示し、図4Dはマウスの大腿四頭筋に由来する筋内脂肪の定量を示す(n=3)。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4Eは脂肪細胞マーカー遺伝子Adipoqについて示し、図4FはCidecについて示し、図4GはFabp4について示し、図4HはLepについて示し、図4IはPlin1について示し、図4JはPpargについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図5A~5Cは、誘発性RC損傷後の肩筋における筋萎縮およびFIの、TGFβRII-Fcによる阻害を示す。図5Aは、適切な動物に由来する棘上筋(SS)および棘下筋(IS)の湿重量損失値の定量化を示す(n=6)。損傷側の筋を、同じマウスの擬似手術側の筋と比較した。データは、擬似手術した筋と損傷とを比較することにより、誘発性RC損傷後の筋重量の%減少として表す(p<0.05;***p<0.001)。図5BおよびCは、肩筋の遺伝子発現解析を示す(n=4)。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、擬似手術した筋と比較して、損傷した筋における遺伝子発現として示し、図5BはCidecについて、図5CはLepについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05)。
【0020】
〔詳細な説明〕
I.定義
以下の定義は、上記および本開示全体を通して使用される種々の用語を指す。
【0021】
本明細書において使用される、用語「選択的TGF-β阻害剤またはアンタゴニスト」は、TGF-β1および/またはTGF-β3シグナリングを阻害するが、実質的にTGF-β2シグナリングを阻害しないポリペプチドを指す。
【0022】
TGFβRIIの2つのスプライス型、天然のTGFβRII短型(本明細書中の配列番号1に対応するUniprot配列P37173)、および天然のTGFβRII長型(本明細書中の配列番号2に対応するUniprot配列D2JYI1)がある。長型はアミノ酸31の後に25個のアミノ酸の挿入を有するスプライス変異体であり、挿入に隣接するアミノ酸はValからIleに変化する(図1)。
【0023】
本明細書において使用される「TGFβRII ECDポリペプチド融合体」は、TGFβRIIの細胞外ドメイン(「ECD」)のポリペプチド、および異種配列を含む。TGFβRII部分は、配列番号1のアミノ酸23~166として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含み;あるいは、配列番号2のアミノ酸23~191として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有し、ここで、当該ポリペプチドはTGF-β1および/またはTGF-β3に結合することができるが、実質的にTGF-β2に結合することができない。
【0024】
TGFβRII ECDポリペプチド融合体は、TGFβRIIのポリペプチドを含み、ここで、当該TGFβRIIは、配列番号1の23~51位のいずれかで始まり、配列番号1の143~166位のいずれかで終わるポリペプチド配列、または配列番号2の23~76位のいずれかで始まり、配列番号2の169~191位のいずれかで終わるポリペプチド配列を含み、前記ポリペプチドはTGF-β1および/またはTGF-β3に結合することができる。
【0025】
TGFβRII ECDポリペプチド融合体の異種配列部分は、ヒトのIgGまたはアルブミンの定常ドメイン(「Fc」)であり得る。TGFβRII部分がヒトの免疫グロブリン、IgGのFcに融合される場合、得られる融合タンパク質は「TGFβRII-Fc」として知られる。換言すると、TGFβRII-Fcは、ヒトのIgGのFcに融合された、上記のようなTGFβRII受容体の細胞外ドメインを含むか、またはそれからなる。TGFβRII-FcにおけるヒトのIgG部分は、ヒトのIgG1、IgG2、またはIgG4のFcドメインからなり得る。TGFβRII部分は、種々の長さおよびアミノ酸配列を有する連結リンカーを介して、FcドメインとN末端またはC末端にて融合し得るが、好ましくは二次構造を有さずに融合する。TGFβRII-Fcは、TGFβRIIの短型または長型のいずれかを含み得、そして、いずれかのスプライス型を含有する融合体は、TGF-β1および/またはTGF-β3に対して類似の結合特異性を有し;かつ、それらは実質的にTGF-β2に結合しない。
【0026】
TGFβRII-Fcは、公知の融合タンパク質である。例えば、WO1998/048024は、TGFβRII-Fc、およびTGFβRII-Fcを作製する方法(当該方法において、TGFβRIIの短型はヒトのIgG1のFcと融合する)を報告している。WO1998/048024は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第9,809,637号は、長型のTGFβRIIを使用するTGFβRII-Fcを報告している。米国特許第9,809,637号もまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。TGFβRII-Fcは、TGF-β1および/またはTGF-β3の阻害剤である。しかし、実質的にTGF-β2に結合せず/TGF-β2を阻害しない。Aykul, S. and Martinez-Hackert, E. Transforming Growth Factor-β family ligands can function as antagonists by competing for type II receptor binding. Journal of Biological Chemistry 291: 10792-10804 (2016)(上記で引用している)から採用した図2を参照されたい。理論に束縛されることなく、それは、いわゆる「リガンドトラップ」であり、細胞間区画においてリガンドTGF-β1および/またはTGF-β3をトラップさせることによって作用する。これは、リガンドが内因性TGFβRII受容体と相互作用することを妨げ、それゆえに、下流のシグナリングを阻害する。したがって、TGFβRII-Fcは、TGF-β1および/またはTGF-β3の選択的アンタゴニストとして使用され得るが、実質的にTGF-β2の選択的アンタゴニストとしては使用され得ない。
【0027】
特定の実施形態において、TGFβRII-Fcは、配列番号3として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列類似性を有する。図1Cを参照されたい。さらなる特定の実施形態において、TGFβRII-Fcは、配列番号3として示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0028】
用語「処置する」および「処置」は、治療的有効量の選択的TGF-β阻害剤を投与することによって、FDを減少させる、阻害する、またはそうでなければ改善するための方法を指す。
【0029】
用語「脂肪変性」(「FD」)は、筋線維間に脂肪組織が異常に形成され、それに伴って筋肉が萎縮することを指し、損傷または疾患/病気の結果として生じ得る。
【0030】
用語「脂肪浸潤」(「FI」)は、脂肪組織が異常に形成されることのみを指す。
【0031】
用語「投与する」は、医薬組成物または薬物の直接的および間接的投与の両方を指し、ここで、医薬組成物または薬物の直接的投与とは、典型的には医療専門家(例えば、医師、看護師など)によって実施され、間接的投与とは、直接的投与(例えば、注射、注入、経口送達、局所送達などを介する)のために、医療専門家に医薬組成物または薬物を提供するか、あるいはそれらを利用可能な状態にするステップを含む。
【0032】
用語「併用」または「併用的に」は、薬剤(例えば、選択的TGF-β阻害剤)を、追加の薬剤の存在下で投与することを含む。治療的処置方法における併用投与は、第1の薬剤、第2の薬剤、第3の薬剤、または追加の薬剤を共投与する方法を含む。併用投与はまた、第2の薬剤または追加の薬剤の存在下で、第1の薬剤または追加の薬剤を投与する方法を含み、ここで、第2の薬剤または追加の薬剤は、例えば、事前に投与されていてもよい。併用治療的処置方法は、異なる行為者によって段階的に実行され得る。例えば、ある行為者が被験体に第1の薬剤を投与し、第2の行為者が当該被験体に第2の薬剤(例えば、選択的TGF-β阻害剤)を投与し、そして、それらの投与ステップは同時、あるいはほぼ同時に実行され得る。行為者と被験体は、同じ実在するもの(例えば、ヒト)であってもよい。それゆえに、この用語は、同時投与および実質的に同時投与(すなわち、ほぼ同時に)の両方を包含する。
【0033】
用語「連続的投与」は、同時ではないことを意味し、かつ、ほぼ同時ではないことを意味する。例えば、ある薬剤(例えば、活性剤)は、1日のうちのある時間(例えば、午前中)と、1日のうちの他の時間(例えば、夕方/夜の時間)とに服用され得るか、あるいは1日おきなどに服用され得る。
【0034】
用語「有効量」または「治療的有効量」は、所望の結果をもたらすのに必要な1つまたは複数の薬剤の量および/または投与量、および/または投与計画を指し、例えば、被験体におけるFDを予防するのに十分な量、被験体におけるFDの発症を減少させるのに十分な量、および/または被験体におけるFDを処置するのに十分な量である。
【0035】
用語「被験体」、「個体」、および「患者」は、哺乳類を指し、好ましくはヒトまたはヒトではない霊長類だけではなく、飼い慣らされた哺乳類(例えば、イヌまたはネコ)、実験用の哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット)および農業用の哺乳類(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ)である。種々の実施形態において、被験体は、病院、精神医療施設、外来患者として、あるいは他の臨床状況において、医師または他の医療従事者の治療の下に置かれる、ヒト(例えば、成人男性、成人女性、青年男性、青年女性、男児、女児)であり得る。特定の実施形態においては、被験体は、医師または他の医療従事者の治療または計画の下に置かれなくてもよい。
【0036】
用語「手術」または「外科的行為」は、被験体に施された切開を必要とする行為、ならびに内視鏡手術を含む、全ての治療的および診断的行為をまとめて指す。
【0037】
II.医薬組成物
いくつかの実施形態において、TGFβRII-Fcなどの選択的TGF-β阻害剤、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物が提供される。例えば、TGFβRII-Fcは、医薬的に許容される担体と共に処方され得る。
【0038】
本明細書に開示される組成物は、経口、非経口、吸入スプレーによって、局所、直腸、経鼻、口腔、膣、または埋め込まれたリザーバーを介して投与され得る。本明細書において使用される用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、脊髄内、肝臓内、病変内、および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0039】
特定の実施形態において、組成物は、皮下、筋肉内または静脈内に投与される。医薬組成物は、従来の薬務(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York(これらは、全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)に従って、処方され得る。
【0040】
本明細書中に開示される組成物は、非経口投与のために処方され得、ここで、活性成分は溶液または懸濁液、あるいはデポに組み込まれる。前記溶液または懸濁液はまた、以下の成分を含み得る:滅菌希釈剤(注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒など);抗菌剤(ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど);抗酸化剤(アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など);バッファ(酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など);および張性を調節するための薬剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックで作製されたアンプル、使い捨て注射器または多数回投与バイアル中に封入し得る。
【0041】
注射可能な使用に適した医薬形態としては、滅菌溶液、分散液、エマルジョン、および滅菌粉末が挙げられる。最終的な形態は、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきである。さらに、最終的な医薬形態は、汚染から保護されるべきであり、したがって、細菌または真菌などの微生物の増殖を阻害することができるべきである。単回用量を皮下に投与してもよい。あるいは、ゆっくりとした長期間の注入または複数の短期間の毎日の注入を利用することができ、典型的には1~8日間続く。1日おきの投与または数日毎に1回の投与もまた、利用することができる。
【0042】
滅菌された注射可能な溶液は、上記に列挙されているか、あるいは当業者に公知の他の成分が必要に応じて添加され得る1つまたは複数の適切な溶媒中に、必要な量の化合物/錯体を組み込むことによって調製され得る。滅菌された注射可能な溶液は、必要量の化合物を、必要に応じて種々の他の成分と共に適切な溶媒に組み込むことによって調製され得る。次いで、濾過などの滅菌行為が行われる。典型的には、分散媒および上記に示されるような必要な他の成分も含有する滅菌されたビヒクルに、化合物を組み込むことによって、分散液が作製される。滅菌粉末の場合、特定の方法は、任意の必要な成分が添加される真空乾燥または凍結乾燥を含む。
【0043】
適切な医薬担体は、滅菌水;生理食塩水;デキストロース;水または生理食塩水中のデキストロース;ヒマシ油と酸化エチレン(ヒマシ油1モルあたり約30モル~約35モルの酸化エチレンを組み合わせた)との縮合生成物;液体酸;低級アルカノール;コーンオイルなどのオイル;脂肪酸のモノグリセリドもしくはジグリセリドなどの乳化剤、またはホスファチド(例えば、レシチン)などを有する、ピーナッツオイル、セサミオイルなど;グリコール;ポリアルキレングリコール;懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)の存在下における水性媒体;アルギン酸ナトリウム;ポリ(ビニルピロリドン)などを単独か、レシチン;ポリオキシエチレンステアレートなどの分配剤とともに含む。担体はまた、保存安定化剤、湿潤剤、乳化剤などのアジュバントを、浸透増強剤と一緒に含有してもよい。全ての場合において、最終的な形態は記載されるように、滅菌でなければならず、かつ、中空針のような注射デバイスを容易に通過できる状態であるべきである。適切な粘度は、溶媒または賦形剤の適切な選択によって達成され、維持され得る。さらに、レシチンなどの分子または粒子コーティングの使用、分散液中の粒子サイズの適切な選択、または界面活性剤特性を有する材料の使用を利用することができる。
【0044】
米国特許第5,916,596、6,506,405、および6,537,579は、アルブミンなどの生体適合性ポリマーからのナノ粒子の調製を教示する。したがって、溶媒蒸発技術による、高いせん断力の条件下(例えば、超音波処理、高圧均質化など)で調製された水中油型エマルジョンからのナノ粒子の生成方法が、本明細書に提供される。
【0045】
III.使用方法
TGFβRII-Fcなどの選択的TGF-β阻害剤が、線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)の脂肪細胞への分化を阻害するために用いられる可能性があることが発見された。当該方法は、FAP細胞を取り囲む細胞間コンパートメントに、有効量のTGFβRII-Fcを提供する工程を含む。
【0046】
脂肪細胞への分化を阻害する任意の有効量、例えば、250pM~約2.5mM、100pm~約2.0mM、または50pm~約1.0mMを使用することができる。いくつかの実施形態において、有効量は、約250pM、約500pM、約2.5nM、約5nM、約25nM、約50nM、約250nM、約500nM、約2.5μM、約5μM、約25μM、約50μM、約250μM、約500μM、および約2.5mMである。
【0047】
さらに、一実施形態において、前記方法はインビトロで実施し得る。それに加えて、または代替的に、前記方法はインビボで実施され得る。
【0048】
さらなる実施形態において、本明細書で定義される選択的TGF-β阻害剤、特にTGFβRII-Fcを使用することにより、様々な所望の結果を達成し得、特にFDを予防する、覆す、発症を減少させる、および/または処置し得ることが、今回発見された。
【0049】
それに加えて、または代替的に、選択的TGF-β阻害剤または選択的TGF-β阻害剤を含む組成物を、それらを必要とする被験体において、筋萎縮(FDと区別されていても、されていなくてもよい)を予防する、覆す、発症を減少させる、および/または処置するために使用することができる。
【0050】
選択的TGF-β阻害剤は投与されてもよく、あるいは、そうでなければ、本明細書に記載されるような1つまたは複数の医薬的に許容される賦形剤をさらに含む、医薬組成物などの組成物中で提供されてもよい。追加の医薬治療剤はまた、選択的TGF-β阻害剤と同時に、または連続的に投与することができる。
【0051】
さらなる実施形態において、選択的TGF-β阻害剤の治療的有効量は、FDを予防する、覆す、発症を減少させる、または処置する量である。一実施形態において、選択的TGF-β阻害剤の治療的有効量は、被験体のkgあたり約50μg~約10mg、または被験体のkgあたり500μg~約3mg、または被験体のkgあたり500μg~約2mg、または被験体のkgあたり500μg~約1mgの範囲である。さらなる実施形態において、TGFβRII-Fcなどの選択的TGF-β阻害剤の治療的有効量は、用量あたり約0.5mg~約500mg、または用量あたり約1mg~約500mg、または用量あたり約5mg~約500mg、または用量あたり約10mg~約500mg、または用量あたり約10mg~約400mg、または用量あたり約20mg~約200mg、または用量あたり約20mg~約100mg、特に用量あたり約50mgである。
【0052】
代替的には、選択的TGF-β阻害剤は、約0.01~100mg/kg体重、より典型的には約0.05~10.0mg/kg体重、または約0.1~5.0mg/kg体重、または約0.25~2.5mg/kg体重、または約0.2~2mg/kg体重、または約0.2~1.0mg/kg体重の投与量で投与され得る。したがって、単回投与のための投与量は、典型的には約0.5~5,000mg、または約1~500mg、または約5~250mg、または約10~200mgであり得る。もちろん、投与量はまた、個体によって最も許容されるものにしたがって、上記の範囲内で調節され得る。
【0053】
治療的有効量の選択的TGF-β阻害剤、または選択的TGF-β阻害剤を含む組成物は、損傷、手術または状態の固有性および重症度に応じて、1回または複数回投与することができる。例えば、選択的TGF-β阻害剤は、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回以上、1週間に1回未満、2週間に1回、3週間に1回、4週間以上、半月、月、または隔月に1回投与することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、選択的TGF-β阻害剤、または選択的TGF-β阻害剤を含む組成物は、手術前、手術中、手術後、またはそれらの任意の組合せにおいて、被験体に投与することができる。例えば、選択的TGF-β阻害剤は、外科的行為を開始する少なくとも約1分前、外科的行為を開始する少なくとも約10分前、外科的行為を開始する少なくとも約30分前、外科的行為を開始する少なくとも約1時間前、外科的行為を開始する少なくとも約3時間前、外科的行為を開始する少なくとも約6時間前、外科的行為を開始する少なくとも約12時間前、外科的行為を開始する少なくとも約24時間前、外科的行為を開始する少なくとも約48時間前、もしくは外科的行為を開始する48時間より前(例えば、外科的行為を開始する1週間前、2週間前、30日前、60日前、または90日前);または外科的行為を開始する約1分前~約24時間前、もしくは外科的行為を開始する約1分前~12時間前、もしくは外科的行為を開始する約1分前~約1時間前に投与することができる。それに加えて、または代替的に、選択的TGF-β阻害剤は、外科的行為の終了後から約24時間未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約12時間未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約6時間未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約3時間未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約1時間未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約30分未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約10分未満もしくはそれに同等のタイミング、外科的行為の終了後から約1分未満もしくはそれに同等のタイミング;あるいは外科的行為の終了から約1分後~約24時間後、外科的行為の終了から約1分後~約12時間後、もしくは外科的行為の終了から約1分後~約1時間後、または外科的行為の終了から48時間よりも後(例えば、外科的行為の終了から1週間後、2週間後、30日後、60日後、または90日後)に投与することができる。
【0055】
それに加えて、または代替的に、選択的TGF-β阻害剤は、手術の90日前もしくは90日後、手術の60日前もしくは60日後、手術の30日前もしくは30日後、手術の25日前もしくは25日後、手術の20日前もしくは20日後、手術の15日前もしくは15日後、手術の10日前もしくは10日後、または手術の5日前もしくは5日後に投与することができる。
【0056】
前記手術は、腱、靭帯および/または筋の修復手術などの修復手術であってもよい。例えば、修復手術は、RCの手術、アキレス腱の手術、アキレス腱の延長手術、腓腹筋の後退手術、前十字靭帯(ACL)の手術、膝の手術、股関節の手術、または脊椎の手術であってもよい。特定の実施形態において、前記手術は、RCの修復手術である。
【0057】
それに加えて、または代替的に、選択的TGF-β阻害剤、または選択的TGF-β阻害剤を含む組成物は、変形性股関節症および変形性膝関節症などの変形性関節症、筋萎縮、加齢性サルコペニア、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、および/または末梢神経障害などの神経障害に罹患しているか、または罹患するリスクがある被験体に投与することができる。
【0058】
それに加えて、または代替的に、選択的TGF-β阻害剤または選択的TGF-β阻害剤を含む組成物を、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患;筋ジストロフィーおよび封入体筋炎などの神経筋疾患;または慢性閉塞性肺疾患に罹患しているか、または罹患するリスクがある被験体;あるいは、慢性非歩行性脳卒中の患者であるかもしれない被験体に投与することができる。
【0059】
組み合わせた治療もまた、本明細書に提供される。したがって、TGFβRII-Fcなどの選択的TGF-β阻害剤、および/または選択的TGF-β阻害剤を含む医薬組成物、ならびに1つまたは複数の他の活性剤は、FDを予防する、覆す、発症を減少させる、および/または処置するために使用され得る。選択的TGF-β阻害剤と共に使用するためのさらなる活性剤としては、例えば、ステロイドが挙げられる。さらなる活性剤は、本明細書で定義されるように、併用的にまたは連続的に投与することができる。
【0060】
〔実施例〕
以下の実施例は、本明細書に開示された発明をさらに説明するために提供されるが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。各実施例において、使用したTGFβRII-Fcは、ヒトのIgG1に融合したTGFβRの短型であった(配列番号3を参照されたい)。
【0061】
実施例1-インビボにおける作用機序;脂肪生成分化の阻害
機構的に、筋浸潤脂肪細胞は、正常な創傷治癒反応の一部として活性化される、筋に内在する線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)から生成される。TGFβRII-Fcが、FAP様細胞株、すなわち3T3-L1細胞からの脂肪細胞の分化を阻害することがわかった(図3A~3Hを参照されたい)。これは、TGFβRII-Fcが、インビボにおいてFAPの脂肪細胞への分化を予防することによって作用するという考えを裏付ける。
【0062】
ZenBio社から購入した凍結保存のマウス3T3-L1前脂肪細胞を解凍し、約10,000個の細胞/cmで、前脂肪細胞培地(PM:DMEM、高グルコース、pH7.4のHEPES、10%の仔ウシ血清(BCS)、およびペニシリン+ストレプトマイシン(PS))に播種した。細胞を、100%コンフルエンスに達するまで(約4日間かかる)、5%のCOを含む加湿インキュベーター中で37℃に維持した。この間、増殖培地は1日おきに交換した。コンフルエンスに達した2日後、前脂肪細胞培地(PM)を、適切な容量の分化培地(DM:DMEM、高グルコース、ピルビン酸ナトリウム、pH7.4のHEPES、10%のウシ胎仔血清(FBS)、33μMのビオチン、10μg/mLのヒトインスリン、1μMのデキサメタゾン、0.5mMの3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX))に置き換え、3日間インキュベートした。次いで、分化培地を、脂肪細胞維持培地(MM:DMEM、高グルコース、ピルビン酸ナトリウム、pH7.4のHEPES、10%のFBS、33μMのビオチン、10μg/mLのヒトインスリン)に置き換えた。1日おきに培地を交換して、細胞を分化後10日まで維持した。
【0063】
このアッセイにおいて、3T3-L1細胞には、分化の異なる段階で開始されるTGFβRII-Fcを用いた処理がなされた。1つのアッセイにおいて、コンフルエント3T3-L1細胞を、PM中で増殖させ、DM中で3日間分化させ、MM中で最大5日間維持した。300nMのTGFβRII-Fcを、0日目(DM処理の開始)、または3日目(DM処理の終了)、または5日目(MM中での2日間の後)に添加した。細胞を、8日目または10日目の実験の終わりまで処理下で維持した。
【0064】
実験の終わりに、脂肪細胞の分化を免疫蛍光によって測定した。この実験において、10,000個の3T3-L1細胞/cmを、前脂肪細胞培地中の96ウェルプレートにプレーティングした。0日目に、細胞をTGFβRII-Fcを用いて処理した。処理を適切な培地中で継続して、10日目まで脂肪細胞分化を可能にした。10日目に、細胞をPBSを用いて2回洗浄し、室温で30分間、10%のホルマリンを用いて固定した。次いで、細胞をPBSを用いて2回洗浄し、続いて、PBS中で調製された0.01%のサポニン、1μg/mLのナイルレッド、および1μg/mLのDAPIを用いて、室温で15分間染色した。染色後、細胞をPBSを用いて3回洗浄した。画像は、オリンパス社製のFluoview FC1000共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて撮影した。
【0065】
この実験の結果を図3A~3Mに示す。3T3-L1細胞を、0日目にTGFβRII-Fcまたはビヒクル(すなわち、PBS)を用いて処理し、8日間分化させた(図3A)。新しい脂肪細胞の数は95%減少した(図3B~3G)。図3Bにおいて、緑色は脂肪滴のナイルレッド染色を表し、紫色は核のDAPI染色を表す。定量的ナイルレッドおよびDAPI蛍光測定のために、公開されたプロトコルに従って、蛍光を染色の前後で測定する。この実験において、3T3-L1細胞は、96ウェルプレートにおいて4反復で処理した。各ウェルから複数の画像を撮影した。脂肪滴の数およびサイズ、平均脂質面積、正規化されたナイルレッド蛍光ならびに脂肪分解活性を、Image Jソフトウェアを使用して、2つの生物学的反復から計算した(図3C~3M)。
【0066】
このような脂肪細胞分化実験において、脂肪細胞の形成の程度はまた、遺伝子発現解析によって決定され得る。図3C~3Hで得られるデータをもたらす実験において、3T3-L1細胞は、0日目にTGFβRII-Fcまたはビヒクルを用いて処理し、8日間分化させた。0日目、3日目および8日目に、3T3-L1細胞から総RNAを単離し、公開されたプロトコルを使用して、逆転写酵素によってRNAからcDNAを合成した。選択された脂肪細胞マーカー遺伝子の発現を定量するために、これらの遺伝子における特定領域を増幅するプライマー対を合成し、cDNAをLightcycler 480(Roche)によって解析した。各実験について、公開されたプロトコルに従って、3T3-L1細胞から単離されたゲノムDNAから、4桁にわたる希釈系列を使用してプライマー標準曲線を作成した。最高濃度のゲノムDNAは、プライマー対の大部分について、サイクル20の辺りでqRT-PCR増幅を生じさせる。Tm曲線はまた、各qRT-PCR実施の終わりに、各プライマー対についての品質コントロールとして実施され、単一のアンプリコンのみが各プライマー対によって生成されること、およびプライマーダイマーが形成されないことを証明する。データは、通常、少なくとも2つの生物学的反復および4つの技術的反復から得られる。
【0067】
実施例2-マウスの食餌誘発性肥満(DIO)モデル
TGFβRII-Fcは図4A~4Jに示すように、マウスDIOモデルにおいて骨格筋のFIを阻害する。このモデルでは、マウスを高脂肪食(HFD)に数週間置く。4週間後に、HFDマウスでは肥満を発症する初期徴候が認められる。これらの徴候の1つとして、骨格筋のFIの増加がある。FIはDIOにおけるFDの最初の症状であり、後に筋萎縮が発現する。新しい脂肪細胞は、筋に存在する線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)の脂肪生成分化により生成され、組織病理学的および遺伝子発現解析により検出され得る。
【0068】
この実験では、Charles River Laboratoriesから入手した合計20匹の8週齢のオスのC57BL/6マウスを使用した。動物はミシガン州立大学(MSU)キャンパス動物資源の監督下で飼育し、研究の開始に先立って7日間順応させた。到着後、すべての動物にPMI Nutrition International社製の保証された齧歯類用飼料No.5CR4を与えた。実験の開始時に、14匹のマウスを高脂肪食(Research Diet社製のD12492、60%脂肪kcal)に置いた。この食餌を、研究の残りの期間中には、自由に与えた。標準飼料(PMI Nutrition International社製の保証された齧歯類用飼料No.5CR4)を、6匹のコントロールマウスに研究の間中、自由に与えた。高脂肪食のマウスを2群に分け、7匹のマウスをTGFβRII-Fcを用いて4週間処置し、7匹をビヒクル(すなわち、PBS)を用いて4週間処置した。TGFβRII-Fcまたはビヒクルコントロールを用いた投与は、2週間毎の皮下注射によって行った。TGFβRII-Fcは3mg/mLのストックとして提供され、15mg/kg体重で投与した。TGFβRII-Fcアリコートは、使用するまで凍結(-80℃)保持した。投与の当日、投与の少なくとも1時間前に、アリコートを-80℃から室温のベンチに移した。チューブを反転させることにより、解凍したサンプルを穏やかに混合して、均質な分布を確保し、続いて、遠心分離によってキャップから液体を収集した。タンパク質変性または気泡形成を防止するために、ボルテックス法および激しい混合方法は避けた。ビヒクルコントロールは、TGFβRII-Fcと同じタイミングで適切な動物に与えられた。MSUのIACUCの監督下で実験を実施して、動物の安全性を確保した。実験終了時に、CO窒息によりマウスを屠殺した。剖検時に、脚の筋を抽出し、液体窒素中で瞬間凍結させた。
【0069】
骨格筋のFIは、筋の組織病理学的解析による実験などにおいて、決定され得る。この解析のために、筋は液体窒素中で凍結させ、次いでパラホルムアルデヒド中で固定し、続いてスクロースで凍結保護し得る。次いで、筋の凍結切片を、ヘマトキシリンおよびオイルレッドO(ORO)について染色し得る。このアッセイにおいて、OROは、筋間脂肪および筋内脂肪を検出する。筋間脂肪はFIの結果である一方で、筋内脂肪は筋線維内の脂質蓄積の結果である。DIOモデルにおいて、筋間脂肪および筋内脂肪の両方の蓄積を検出し得る。
【0070】
図4Aに示すこの実験において、HFDを4週間与えられ、かつ、TGFβRII-Fcまたはビヒクルコントロールを用いて処置されたマウスの大腿四頭筋を、組織病理学的に解析した。リン酸緩衝溶液(生理食塩水なし)中で調製された4%パラホルムアルデヒド8mLを含む15mLチューブに大腿四頭筋を入れ、室温で48時間維持した。次いで、リン酸緩衝液(生理食塩水なし)中で調製された30%のスクロース8mLを含む未使用の15mLチューブに筋を移し、筋がチューブの底部に沈むまで(すなわち、4日間)、4℃で維持した。次いで、固定され、かつ、スクロースで凍結保護された筋をOCTに包埋し、-20℃で12μmの薄さに凍結切片化した。切片をOROを用いて染色し、ヘマトキシリンを用いて対比染色した。OROの定量は、0.7倍の倍率でOlyVIAシステムを用いて得られた画像上で、Image Jを使用して行った。これらの条件下でのTGFβRII-FcによるFIの阻害は、総ORO染色における70~80%の減少、ならびに筋間OROにおける65~70%の減少によって証明された(図4A~4D)。
【0071】
この種の実験では、遺伝子発現解析によって骨格筋のFIを決定し得る。Promega社製のReliaPrep(商標)RNA組織ミニプレップシステムおよび組織ホモジナイザーを使用して、適切な筋の腹部の一部(20~25mg)からRNAを単離した。組織を2mLのスクリューキャップチューブに入れ、そして2つのビーズおよび1.3mLのTRIzol(商標)試薬を添加した。ミキサーミル(Retsch社製)を使用して、25s-1の振動数で、組織を2×4分間ホモジナイズする。サンプルは、サイクルとサイクルの間は氷上に置いた。260μLのクロロホルムを添加し、溶液が濁ったピンク色になるまでサンプルを手で激しく振盪した。15k×gで10’、4℃で遠心分離した後、750μLの水相のアリコートを、中間相を避けて、新しいチューブに移した。340μLの氷冷イソプロパノールを添加し、サンプルをボルテックスにより混合した。次いで、サンプルをPromega社製のRNA細胞ミニプレップカラムに移し、製造業者の説明書に従って処理した。DNAse 1処理工程をカラム上で30分間実施した。RNAを、RNaseを含まない15μLのHOに溶出した。各サンプルのRNA濃度と純度をナノドロップによって測定した。cDNA合成のために、各サンプルから1μgの総単離RNAを使用し、Multiscribe(商標)逆転写酵素キット(ThermoFischer社製)を使用して逆転写した。次いで、Roche Lightcycler(登録商標)480において、脂肪細胞マーカーのためのプライマーを使用して、上に記載したようにcDNAを解析した。次いで、データをハウスホールド遺伝子(Rpl4)に対して正規化した。
【0072】
この実験では、HFDを4週間与えられ、かつ、TGFβRII-Fcまたはビヒクルコントロールを用いて処置されたマウスの大腿四頭筋において、遺伝子発現を解析した。脂肪細胞マーカー遺伝子Adipoq、Cidec、Fabp4、Lep、Plin1およびPpargの発現が5~60倍減少したこと(図4E-4J)から明らかなように、TGFβRII-Fcを用いた処置は、これらの条件下でFIを有意に阻害した。
【0073】
驚くべきことに、図3A~3Hおよび図4A~4Jに示すように、TGF-β1およびβ3の両方の阻害は脂肪生成を予防することがわかり、Ignotz, R.A. and Massague, J. Proc Natl Acad Sci U S A. 1985 Dec;82(24):8530-4. doi: 10.1073/pnas.82.24.8530.)が、TGF-β1それ自体が脂肪生成を阻害することを以前に報告していることを考慮すると、直観に反する結果であった。さらに、TGFβRII-FcはTGF-β2シグナリングを阻害しないため、(例えば、RCの修復手術の前、途中および/または後における)TGFβRII-Fcの投与は、腱の再生を妨げることなく筋のFDを阻害し、予防し、または発症を減少させることができる。したがって、TGFβRII-Fcはまた、FDを阻害しながら、腱の再生と付着を促進することができる。TGFβRII-Fcはまた、RCの修復手術が推奨されず、保存的処置が適応となる患者において、筋のFDを止めるために使用され得る。
【0074】
実施例3-回旋筋腱板損傷のマウスモデルにおける骨格筋の脂肪変性の阻害
この実験では、2つのRC筋、棘上筋と棘下筋の腱を切除し、ヒト患者に見られるRC腱断裂に近似させる。このRC損傷のマウスモデルは、マウスも6週間後に肩筋におけるFIおよび筋萎縮、ならびに線維症/瘢痕を含む深刻なFDを発症することから、ヒトにおけるRC損傷の良い模倣である。
【0075】
この実験では、RC損傷を誘発するための手術をRC腱切離および除神経によって行った。外科的行為は、2.5%のイソフルランと酸素とを用いた全身麻酔下で行った。RCにおける外科的介入はマウスの右肩で行い、擬似手術は左肩で行った。手術のためにマウスを手術台の上に置き、鎖骨および三角筋を皮膚切開によって露出した。僧帽筋を分離して肩甲上神経を露出させ、長さ5mmの神経分節を切除して神経の再付着および治癒を予防した。三角筋を縦割し、肩関節にて回旋筋腱板腱を露出した。棘上筋腱と棘下筋腱を、腱部分の除去によって完全に切離し、偶発的治癒の機会を減少させた。三角筋および僧帽筋、ならびに皮膚の切開部を閉じた。対側肩における擬似行為のために、皮膚および筋の切開を行い、回旋筋腱板および/または肩甲上神経を特定し、そして筋および皮膚を再び閉じた。手術は典型的には、マウスあたり約20分間続けられる。
【0076】
この実験では、Jackson Laboratoriesから入手した24匹のメスで12週齢のC57BL/6マウスに対して、RC損傷を誘発するための手術を行った。
手術の2日後に開始して、6週間、12匹のマウスをTGFβRII-Fcを用いて処置し、12匹のマウスをビヒクルコントロール(すなわち、PBS)を用いて処置した。実験は、MSUのIACUCの監督下で、MSUインビボ施設にて行い、動物の安全性を確保した。
【0077】
実験開始当初は、MSUキャンパス動物資源の監督下で動物を飼育した。研究の開始に先立って、動物を7日間順応させた。到着後、PMI Nutrition International社製の保証された齧歯類用飼料No.5CR4が提供され、研究期間中、動物に自由に与えた。動物は、研究の前日に体重を測定し、体重に関して群間で有意差のないコホートを作るような方法で無作為に2つの処置群に分けた。コホートを作った後、動物は研究のために単独で飼育した。死亡率/瀕死状態のチェックを、手術後の2日間は1日2回(午前中に1回および夕方に1回)行い、その後の研究期間は1日1回行った。術後のケアとして、手術後の2日間は毎日、クロルヘキシジン溶液を用いて手術切開部を洗浄した。動物は、術後毎日四肢の使用について評価され、かつ、毎日の体重測定によって摂食量が評価された。術後疼痛の管理のため、手術後の2日間は12時間毎に1mg/kgのブプレノルフィンを皮下注射した。
【0078】
この実験では、手術の2日後から6週間、TGFβRII-Fcまたはビヒクルを動物に週2回投与した。TGFβRII-Fcまたはビヒクルは、皮下経路で投与した。TGFβRII-Fcは3mg/mLのストックとして提供され、15mg/kg体重で投与した。TGFβRII-Fcアリコートは、使用するまで凍結(-80℃)保持した。投与の当日、投与の少なくとも1時間前に、アリコートを-80℃から室温のベンチに移した。チューブを反転させることにより、解凍したサンプルを穏やかに混合して、均質な分布を確保し、続いて、遠心分離によってキャップから液体を収集した。タンパク質変性または気泡形成を防止するために、ボルテックス法および激しい混合方法は避けた。ビヒクルコントロール(すなわち、PBS)は、TGFβRII-Fc処置と同じタイミングで適切な動物に与えられた。
【0079】
実験終了時に、CO窒息により実験動物を屠殺した。剖検時に、肩甲帯および上肢を筋および結合組織と共にブロック切除した。損傷側および擬似手術側の棘上筋と棘下筋とを、骨および結合組織から分離し、直ちに重量を測定した。湿重量を記録し、手術された筋の重量を、擬似手術されたコントロールの筋の割合として計算した。TGFβRII-Fc処置動物の筋重量と、ビヒクル処置動物の筋重量との間の差の統計学的有意性を、Studentのt検定によって判定した(n=6)。
【0080】
この実験において、処置TGFβRII-Fcは、RC損傷後の棘上筋(SS)と棘下筋(IS)の萎縮を有意に減少させた(表1および図5Aを参照されたい)。ビヒクル処置動物は、それらのSS筋重量を平均約30%、およびそれらのIS筋重量を平均約55%失った。対照的に、TGFβRII-Fc処置動物の筋は、それらのSS筋重量およびIS筋重量について、それぞれ約10%および13%しか失われなかった。これは、コントロールマウスと比較して、TGFβRII-Fcを用いて処置されたマウスでは、筋萎縮が70~80%減少したことに相当する。
【0081】
【表1】
【0082】
RC損傷後の肩筋におけるFIの、TGFβRII-Fcによる減少は、脂肪細胞マーカー遺伝子発現解析を使用することによっても示され得る。この実験では、損傷側および擬似手術側のSS筋とIS筋とを、液体窒素中で瞬間凍結させた。Promega社製のReliaPrep(商標)RNA組織ミニプレップシステムおよび組織ホモジナイザーを使用して、RNAを筋全体から単離し、続いて、上述したようにcDNA合成した。TGFβRII-Fcを用いて処理すると、CidecおよびLepにおいて遺伝子発現が2~3倍減少した(図5Bおよび5C)ことから示されるように、SS筋および棘下筋(IS筋)におけるFIが減少した。有意性は、Studentのt検定によって判定した(n=4)。
【0083】
用語「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの(at least one)」、ならびに本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)における類似の指示対象の使用は、本明細書中で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「少なくとも1つの(at least one)」の後に、1つまたは複数の項目のリストが続く使用(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つの(at least one of A and B)」)は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(AまたはB)、または列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組合せ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」は、特に断らない限り、限定されない用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)。本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書中で特に指示がない限り、単に、範囲内にある各別個の値を個々に言及する短縮法としての役割を果たすことを意図しており、各別個の値はあたかもそれが本明細書中に個々に記載されているかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中に記載した全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書中に提供される任意の例示もしくは全ての例示、または例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明確にすることを意図しており、特に主張されない限り、本発明の範囲に対する限定を提示するものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実行に不可欠であるものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0084】
本発明者らが知っている、本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が本明細書中に記載される。前述の記載を読んだ当業者にとって、これらの特定の実施形態のバリエーションは明らかであろう。本発明者らは、熟練者がこのようなバリエーションを適宜採用することを期待しており、本明細書中で具体的に記載されていない場合であっても本発明が実行されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって容認されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の全ての修正および同等のものを含む。さらに、全ての可能なバリエーションにおける上述の要素のあらゆる組み合わせが、本明細書中で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1A図1A~1Bは、天然に生じるTGFβRIIの2つのスプライス型である、天然の短型および天然の長型を示す。図1Aは、長型がアミノ酸31の後に25個のアミノ酸の挿入を有し、かつ、この挿入に続くアミノ酸はValからIleに変化することを示す(太字で示す)。
図1B図1A~1Bは、天然に生じるTGFβRIIの2つのスプライス型である、天然の短型および天然の長型を示す。図1Bは、TGFβRIIの両方の型の細胞外ドメイン(ECD)の配列を示す。Uniprot配列P37173(本明細書中では配列番号1)は短型であり、Uniprot配列D2JYI1(本明細書では配列番号2)は長型である。
図1C図1Cは、本明細書の実施例1~3において使用される、TGFβRII-Fc(配列番号3)のアミノ酸配列である。
図2図2は、TGFβRII-Fcの結合特異性を示す。当該図は、TGFβRII-Fc(配列番号3)がTGF-β1およびTGF-β3には結合するが、TGF-β2へは結合しないことを示す、SPR-センサーグラムの画像である。Aykul, S. and Martinez-Hackert, E. Transforming Growth Factor- β family ligands can function as antagonists by competing for type II receptor binding. Journal of Biological Chemistry 291: 10792-10804 (2016)を参照されたい。前記刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図3A図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3Aは、線維-脂肪生成前駆細胞(FAP)がどのようにして脂肪細胞に分化するかを示す模式図である。Aykul, S., Maust, J., Floer, M. and Martinez-Hackert, M. TGF-Β Family Inhibitors Blunt Adipogenesis Via Non-Canonical Regulation Of SMAD Pathways. bioRxiv.(2020年3月14日にオンラインで公開された)を参照されたい。前記刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図3B図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Bは、ナイルレッド(緑)を用いて脂肪を染色し、核をDAPI(マゼンタ)を用いて染色した、細胞の画像を示す。
図3C図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Cは液滴の数の定量を示す。ハッチングされたバーはビヒクルコントロールを示し、白色のバーはTGFβRII-Fc処理細胞を示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3D図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Dは脂肪滴の平均サイズを示す。ハッチングされたバーはビヒクルコントロールを示し、白色のバーはTGFβRII-Fc処理細胞を示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3E図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Eは平均脂質面積を示す。ハッチングされたバーはビヒクルコントロールを示し、白色のバーはTGFβRII-Fc処理細胞を示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3F図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Fは正規化されたナイルレッド蛍光を示す。ハッチングされたバーはビヒクルコントロールを示し、白色のバーはTGFβRII-Fc処理細胞を示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3G図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。3B~3Gは、3T3-L1細胞の免疫蛍光の解析を示し、前記3T3-L1細胞は、ビヒクルコントロール(PBS)または300nMのTGFβRII-Fcを用いて、8日間、脂肪細胞分化培地において増殖させた。図3Gは脂肪分解活性を示す。ハッチングされたバーはビヒクルコントロールを示し、白色のバーはTGFβRII-Fc処理細胞を示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3H図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3HはAdipoqについて示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3I図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3IはCidecについて示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3J図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3JはFabp4について示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3K図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3KはLepについて示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3L図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3LはPlin1について示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図3M図3A~3Mは、TGFβRII-Fcによる線維-脂肪生成3T3-L1前駆細胞の脂肪細胞への分化の阻害を示す。図3H~3Mは、分化培地において異なる時間の長さにわたって増殖させた3T3-L1細胞の遺伝子発現解析を示す。脂肪細胞マーカー遺伝子発現の誘導を、ビヒクルコントロール(ハッチングされたバー)およびTGFβRII-Fc処理細胞(白色のバー)において、0日目、3日目および8日目にqRT-PCRによって解析した。データを、Rpl4に対する正規化後の誘導倍率として示し、図3MではPpargについて示す。有意性は、二元配置ANOVA、およびSidakiまたはDunnettの多重比較検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001)。
図4A図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4Aは、切片化し、ヘマトキシリン(青色)を用いて染色し、続いてオイルレッドO(ORO)を用いて染色した筋の写真を示す。OROは、筋線維の内部に形成される脂肪滴による筋内脂肪、ならびに筋線維間で成長する脂肪細胞がもたらす筋間脂肪(FI)を検出する。
図4B図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4Bは総脂肪の定量を示す(n=3)。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4C図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4Cは筋間脂肪の定量を示す(n=3)。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4D図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4Dはマウスの大腿四頭筋に由来する筋内脂肪の定量を示す(n=3)。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4E図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4Eは脂肪細胞マーカー遺伝子Adipoqについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4F図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4FはCidecについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4G図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4GはFabp4について示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4H図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4HはLepについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4I図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4IはPlin1について示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図4J図4A~4Jは、TGFβRII-Fcによる、DIOマウスの大腿四頭筋における脂肪浸潤(「FI」)の抑制を示す。図4E~4Jは、大腿四頭筋の遺伝子発現の解析を示す。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、飼料を与えられたマウスに対する発現倍率として示し、図4JはPpargについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05;**p<0.01)
図5A図5A~5Cは、誘発性RC損傷後の肩筋における筋萎縮およびFIの、TGFβRII-Fcによる阻害を示す。図5Aは、適切な動物に由来する棘上筋(SS)および棘下筋(IS)の湿重量損失値の定量化を示す(n=6)。損傷側の筋を、同じマウスの擬似手術側の筋と比較した。データは、擬似手術した筋と損傷とを比較することにより、誘発性RC損傷後の筋重量の%減少として表す(p<0.05;***p<0.001)。
図5B図5A~5Cは、誘発性RC損傷後の肩筋における筋萎縮およびFIの、TGFβRII-Fcによる阻害を示す。図5BおよびCは、肩筋の遺伝子発現解析を示す(n=4)。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、擬似手術した筋と比較して、損傷した筋における遺伝子発現として示し、図5BはCidecについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05)。
図5C図5A~5Cは、誘発性RC損傷後の肩筋における筋萎縮およびFIの、TGFβRII-Fcによる阻害を示す。図5BおよびCは、肩筋の遺伝子発現解析を示す(n=4)。qRT-PCR法により遺伝子発現を解析し、Rpl4ハウスホールド遺伝子に対して正規化した。データは、擬似手術した筋と比較して、損傷した筋における遺伝子発現として示し、図5CはLepについて示す。有意性は、一元配置ANOVAと、それに続くpost-hoc Tukey検定により判定した。(p<0.05)。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5A
図5B
図5C
【配列表】
2022541654000001.app
【国際調査報告】