(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】高解像度で広範なエピトープを網羅するために、ラクダ科動物抗体を生成する配列ベースのハイスループット法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20220916BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220916BHJP
C12Q 1/68 20180101ALN20220916BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220916BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220916BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
G01N33/53 D
C12Q1/68
C12P21/08
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549905
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020020248
(87)【国際公開番号】W WO2020176815
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375405
【氏名又は名称】ジャージャン ナノマブ テクノロジー センター カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ズー,ウェイミン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QR35
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4B064AG26
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4B064DA13
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA50
4H045FA71
4H045FA74
(57)【要約】
標的の機能的エピトープを高解像度で網羅するための複数の多様なラクダ科動物抗体を生成するための方法。ラクダ科動物抗体を生成するための方法も提供される。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原に特異的なラクダ科動物抗体を生成する方法であって、
a)前記抗原に特異的な、免疫させたラクダ科動物由来のB細胞を濃縮し、増殖させることと、
b)前記抗原特異的B細胞からVHH
2、VHH
3、およびVH
1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと、
c)前記NGSライブラリー内のVHH
2、VHH
3、およびVH
1鎖の抗体配列を系統別にグループ化することと、
d)ステップc)の前記系統を1つ以上の系統優先因子によってランク付けすることと、
e)前記NGSライブラリー内のステップd)の上位ランクのVHH
2またはVHH
3を含む系統から代表的な配列を選択することと、
f)ステップe)から前記選択された配列を含む抗体の試験を行って、前記抗体が前記抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、
を含む、方法。
【請求項2】
特定のCDR3の最小CDR3距離が、系統からのCDR3の前記グループの中で1以下であり、特定のCDR3の最小CDR3距離は、同じ長さの他のすべてのCDR3と比較して、そのようなCDR3の最も短いハミング距離である、請求項1に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法であって、
i)FR2親水性領域、
ii)拡大CDR1、
iii)CDR1-CDR3またはFR2-CDR3間の追加のジスルフィド結合、
iv)CDR3内の追加のジスルフィド結合、
v)長いCDR3(≧15aa)、
vi)CDR1内の追加のジスルフィド結合、
vii)従来のIgG1と同じVおよびJ生殖細胞系列を有する非古典的VHH、
viii)所定の配列シグネチャを有する非古典的VHH、
ix)新規カノニカル結合ループ構造、および
x)収束モチーフまたは配列シグネチャ
からなる群から選択されるVHH固有の特徴を有する系統のサブグループ化をさらに含む、方法。
【請求項4】
前記系統優先因子が、高配列存在量から低配列存在量までの系統、高い増幅因子から低い増幅因子までの系統、免疫過程中の系統配列存在量の変化、特定の不要なB細胞の枯渇の前後の系統配列存在量の変化、VHHとVH
1との間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統、開発可能性責任配列の回避、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項5】
VHH
2およびVHH
3の最初の上位100系統がe)で選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項6】
f)の前記抗体が、原核細胞または真核細胞によって発現する、請求項1~5のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項7】
ラクダ科動物抗体IgG2(HcAb)、IgG3(HcAb)およびIgG1(従来のIgG)の免疫応答を監視することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項8】
e)~f)を繰り返して、前記選択されたVHH
2またはVHH
3重鎖のみの抗体の前記同じ系統グループ内の配列を最適化することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項9】
抗原に特異的なラクダ科動物抗体を生成する方法であって、
a)前記抗原に特異的な、免疫させたラクダ科動物由来のB細胞を濃縮し、増殖させることと、
b)前記抗原特異的B細胞からVHH
2、VHH
3、VH
1およびVL
1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと、
c)前記NGSライブラリー内のVHH
2、VHH
3、VH
1、およびVL
1の配列を系統別にグループ化することと、
d)単一B細胞選別およびヘテロハイブリドーマアプローチによって生成されたアンカーバインダーに従ってVH
1/VL
1系統を対形成することと、
e)ステップc)およびステップd)の系統および系統対を1つ以上の系統優先因子によってランク付けすることと、
f)前記NGSライブラリー内で、ステップe)において上位ランクのVHH
2またはVHH
3の系統およびVH
1/VL
1の系統対からそれぞれ代表的な配列または配列対を選択することと、
g)ステップf)から前記選択された配列対または配列を含む抗体の試験を行って、前記抗体が前記抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、
を含む、方法。
【請求項10】
IgG1レパートリーのアンカーが、単一のB細胞選別およびヘテロハイブリドーマアプローチにより生成される、請求項9に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項11】
ステップe)における系統対の前記ランク付けが、前記系統対のVH
1系統の系統優先因子に基づく、請求項9または請求項10に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項12】
前記上位100の系統または系統対グループからのVHHの1つの代表的な配列または1つの代表的な対VH
1/VL
1がアンカーとして選択される、請求項10に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項13】
前記上位100の系統または系統対グループが、70のVHH系統グループおよび30のVH
1/VκまたはVH
1/Vλ系統グループ対を含む、請求項12に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項14】
前記系統優先因子が、高配列存在量から低配列存在量までの系統、高い増幅因子から低い増幅因子までの系統、免疫過程中の系統配列存在量の変化、特定の不要なB細胞の枯渇の前後の系統配列存在量の変化、VHHとVH
1との間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統、開発可能性責任配列の回避、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10~13のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法であって、f)~g)を繰り返すことをさらに含み、VHHクローンが、
i)FR2親水性領域、
ii)拡大CDR1、
iii)CDR1-CDR3またはFR2-CDR3間の追加のジスルフィド結合、
iv)CDR3内の追加のジスルフィド結合、
v)長いCDR3(≧15aa)、
vi)CDR1内の追加のジスルフィド結合、
vii)従来のIgGと同じVおよびJ生殖細胞系列を有する非古典的VHH、
viii)所定の配列シグネチャを有する非古典的VHH、
ix)新規カノニカル結合ループ構造、および
x)収束モチーフまたは配列シグネチャ
からなる群から選択される特徴を有する、方法。
【請求項16】
抗原に特異的なヒト化VHH
2またはVHH
3抗体を生成するための方法であって、
a)前記抗原に特異的な、免疫させたラクダ科動物由来のB細胞を濃縮し、増殖させることと、
b)抗原特異的B細胞からVHH
2、VHH
3、VH
1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと、
c)前記NGSライブラリー内のVHH
2、VHH
3、VH
1の配列を系統別にグループ化することと、
d)そのアミノ酸配列を、同じ系統内でそれぞれが親抗体と同じエピトープに結合する複数の関連抗体のアミノ酸配列と比較することにより、同じナイーブB細胞起源を共有する親VHH
2、VHH
3抗体またはVH
1内の置換可能な位置を同定することと、
e)前記親VHH
2、VHH
3抗体の1つ以上の前記置換可能な位置のアミノ酸を、ヒト抗体内の対応する位置にあるアミノ酸で置換することと、
f)前記選択された配列内の前記置換された残基を含む抗体の試験を行って、前記抗体が前記抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記置換可能な位置がCDR領域内にある、請求項16に記載のヒト化VHH抗体を生成するための方法。
【請求項18】
前記置換可能な位置がFR領域内にある、請求項16に記載のヒト化VHH抗体を生成するための方法。
【請求項19】
前記抗原が複合免疫原であり、
ステップf)で前記複合免疫原と結合すると判断された抗体を使用して、タンパク質アレイ、細胞/組織抗原cDNAライブラリー、または質量分析ベースの免疫沈降によって前記複合免疫原に含まれる個々の抗原を同定することをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項20】
前記選択されたVHH配列を適用して、前記同じナイーブB細胞起源を共有するこれらのクローンのVH
1-VL
1対の選択を導くことをさらに含み、選択基準が、1)VHHとVH
1との間で同じCDR3配列、2)CDR1とCDR2との差、ならびに3)FR1、FR2、FR3、およびFR4の差のうちの1つ以上を含む、請求項9~19のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項21】
e)~f)を繰り返して抗体を生成することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項22】
f)~g)を繰り返してラクダ科動物抗体を生成することをさらに含む、請求項9~15のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項23】
前記試験された抗体の前記発現細胞が真核細胞を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のラクダ科動物抗体を生成するための方法。
【請求項24】
請求項1~29のいずれか一項に記載の方法により生成された、単離されたラクダ科動物抗体または抗原結合部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各標的は数百または数千のエピトープを有し、その中で生物学的機能に関与するエピトープの数は非常に限られているため、現在の抗体技術では、疾患標的の機能的エピトープを標的にすることは大きい課題であるが、現在の技術はバインダーをランダムかつ散発的に生成するため、エピトープの不十分なカバレッジ、冗長な選択、および低い奏効率がボトルネックとなっている。
【0002】
ヒトコブラクダ、フタコブラクダは旧世界ラクダ科およびラマに属する。アルパカは、新世界ラクダ科に属する。ラクダ科(一般名ラクダ科動物)のみが、従来の抗体およびホモ二量体抗体(HcAb)の両方を含む二分性適応性体液性免疫系を有する。さらに、HcAbは、抗原の非常に広範囲のエピトープを認識するための駆動因子のうちの1つとして包括的なパラトープアーキテクチャを進化させ、IgG1抗体は、より多様な認識のためにHcAb結合アーキテクチャを補完する。
【0003】
ラクダ科は、2種類のHcAbであるIgG2およびIgG3からなる独特の体液性免疫系を有し、短い長さのヒンジ領域および長い長さのヒンジ領域を有する。系統発生分析により、最近の適応変化の結果として、HcAbが従来の抗体であるIgG1から分岐していることが確認された。IgG1およびIgG3は、ウエストナイルウイルスを中和するが、IgG2は感染した動物またはワクチン接種した動物では効果が低いと考えられることが報告されている(Daley LP,Clin.Vaccine Immunol.17:239-46,2010年)。さらに、HcAbおよびIgG1によってサンプリングされたエピトープの範囲は、重複し得るが、HcAbは、IgG1にアクセスできない部位にも到達することもできる。様々なラクダ科動物IgGアイソタイプの正確な役割および機能の理解はまだ初期段階である。しかし、HcAb(IgG2およびIgG3)の扁長、凸面、凹面、突出、および平坦な表面などの多様なパラトープアーキテクチャにより、特に診断用途および治療用途のために、問題の標的に対する抗体を開発する最大の機会がもたらされる。軽鎖対形成のないHcAbが単純であることにより、遺伝子クローニングおよび抗体操作もはるかに容易になる。さらに、ラクダ科動物の総IgGの25~50%に寄与する従来のIgG1は、免疫させたヒトコブラクダまたはラマのHcAbレパートリーが従来のIgG1とは異なる認識パターンを示し(McCoy LE,J.Exp.Med.2012年)、特定の固有のエピトープまたは創薬可能な標的ホットスポットは、高い親和性および所望の機能性によりIgG1にアクセス可能である(Cristina Basilico,The Journal of Clinical Investigation,Volume 124 Number 7 July,2014年;Basvan der Woninga,MABS,VOL.8,NO.6,1126-1135,2016年)ため、抗原結合レパートリーを拡大するために重要な役割を果たす。ラクダ科動物は2種類の軽鎖を有する(VκまたはVλが、VH1と対形成して従来のIgG1を形成し、その生殖細胞系組織が最近明らかになった(Laura M.Griffin,Journal of Immunological Methods Volume 405,Pages 35-46,March 2014年3月;Alex Klarenbeek,mAbs 7:4,693-706;2015年)。
【0004】
広範な体細胞超変異および遺伝子変換は、初代VHH B細胞レパートリー内のVHよりもVHH間で有意に高く(30%対1.5%)、これにより軽鎖の欠如を補完するためにHcAbレパートリーのさらなる多様化をさらにサポートする。同様に重要なことに、HcAbのVHHドメインは、例えば、凸状のパラトープ表面を有する扁長(ラグビーボール型)構造を作成することにより、全体的な抗原結合レパートリーを拡大し、これにより、抗原の表面上の空洞または溝(活性部位およびアロステリック部位など)に挿入するのに非常に好適となる。対照的に、従来のIgGのVH-VLドメインには、より平坦であるかまたは凹状のパラトープ表面が含まれている。B細胞レパートリー多様化の以下のメカニズムは、VHHの固有の結合特性に大きく貢献する:(i)ほとんどのVHHには、従来のFR2(Val37→Phe/Tyr、Gly44→Glu、Leu45→Arg、およびTrp47→Gly)と比較して、親水性アミノ酸置換を伴うフレームワーク領域2(FR2)が含まれており、これらは軽鎖結合に関与する、(ii)拡大CDR1領域は、Kabatの番号付けによると、残基27~30内の免疫B細胞における広範な体細胞超変異を伴う、(iii)VHHの大部分におけるCDR1-CDR3(ラクダ)またはFR2-CDR3(ラマおよびアルパカ)間の追加のジスルフィド結合、(iv)VHHの特定の部分におけるCDR1およびCDR3内の追加のジスルフィド結合、(v)より長いCDR3ループも、おそらく一部のVHHでの追加の非鋳型ヌクレオチド挿入により同定される(Adhdi Arbabi-Ghahroudi,Frontiers in Immunology,Vol 8,2017年;Viet Khong Nguyen,The EMBO Journal Vol.19 No.5 2000年;Mehdi Arbabi-Ghahroudi et al,Front.Immunol.,2017年11月20日;Nguyen VK,Immunogenetics 54:39-47,2002年;Conrath KE,Dev Comp Immunol 27:87-103,2003年)。従来のIgG1と同じ遺伝子座IGHV3またはIGHV4、DおよびJに由来する非古典的VHH(FR2親水性アミノ酸を含まない)のセットがあり、これらの重鎖抗体は、両方のカテゴリーの抗体が、エピトープ認識に関与する同じまたは類似のCDR3を共有するため、IgG1と同じものまたは同様のエピトープを認識し得ることも見出された(Conrath KE Dev Comp Immunol 27:87-103,2003;Nick Deschacht,The Journal of Immunology.184(10)5696-5704,2010年)。HcAb生殖細胞系列の構成およびVHH構造を
図1AおよびBに示す。
【0005】
高親和性、特異性、単純な遺伝子クローニング、高発現収率、精製の容易さ、溶解性が高く安定した単一ドメインフォールドなどの機能的利点および物理化学的利点は、HcAb技術の基盤となる。さらに、従来のIgG1によって拡大された抗原結合レパートリーでは、さらに広いエピトープカバレッジが可能になる。さらに、VHH、VH、Vκ、およびVλのヒト対応物との密接な相同性により、ヒト化および治療法の開発に大きな利点がもたらされる。ラクダ科動物固有の抗体組織およびNGS技術を利用して、B細胞抗体レパートリー全体を捕捉することにより、標的の幅広いエピトープを高解像度で網羅する数百または数千の多様な抗体を生成する新規方法がここで開発され、これにより、体系的かつ合理的な方法でこれらの重要かつ機能的なエピトープの標的化が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、抗原に対するラクダ科動物抗体を生成するハイスループット法を開示し、本方法は、a)抗原に特異的な、免疫させたラクダ科動物由来のB細胞を濃縮し、増殖させることと、b)抗原特異的B細胞からVHH2、VHH3、およびVH1鎖配列を含む抗体次世代配列決定(NGS)ライブラリーを生成することと、c)NGSライブラリー内のVHH2、VHH3、およびVH1の配列を系統別にグループ化することと、d)VHH重鎖(VHH2、VHH3)を含む系統を1つ以上の系統優先因子によってランク付けすることと、e)NGSデータベースライブラリー内で上位ランクのVHH重鎖(VHH2およびVHH3)の系統から代表的な配列を選択することと、f)選択されたVHH重鎖配列を含む抗体の試験を行って、抗体が抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、を含む。一実施形態では、抗原は複数のエピトープを含む。
【0007】
一実施形態では、特定のCDR3の最小CDR3距離は、系統からのCDR3のグループ間で1以下であり、特定のCDR3の最小CDR3距離は、同じ長さのすべての他のCDR3と比較して、このCDR3の最も短いハミング距離である。
【0008】
いくつかの実施形態では、系統優先因子は、高い配列存在量から低い配列存在量までの系統、in vitroでのB細胞の濃縮および増殖後の高増幅因子から低増幅因子への系統、免疫過程での系統配列の存在量の変化、特定の不要なB細胞を枯渇させる前後での系統配列の存在量の変化、VHHとVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統、開発可能性責任配列の回避、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、VHH2および/またはVHH3系統は、e)での上位100系統から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、この方法は、e)~f)を繰り返してラクダ科動物抗体を生成することをさらに含み、代表的配列は、上位101~200、201~300、301~400、401~500、501~600、601~700、701~800、801~900、901~1000、1001~1100、1101~1200、1201~1300、1301~1400、1401~1500、1501~1600、1601~1700、1701~1800、1801~1900、または1901~2000ランク付け系統から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、e)~f)を繰り返してラクダ科動物抗体を生成することをさらに含み、代表的な配列は、上位2000~10,000のランク付け系統から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、試験抗体は、原核生物または真核生物の細胞によって発現される。
【0012】
好ましい実施形態では、この方法は、IgG2、3(HcAb)およびIgG1(従来のIgG)の免疫応答を監視することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、選択されたIgG2またはIgG3重鎖のみの抗体の同じ系統グループ内の配列は、方法のe)~f)を繰り返すことによって抗体の最適化のために選択され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗原または免疫原は、細胞、組織、または生体液であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗原は複合免疫原であり得、方法は、ステップ(f)で複合免疫原と結合すると判断された抗体を使用して、タンパク質アレイ、細胞/組織抗原cDNAライブラリー、または質量分析ベースの免疫沈降によって複合免疫原に含まれる個々の抗原を同定することをさらに含む。
【0016】
本発明の一態様では、本方法は、i)FR2親水性領域;ii)拡大CDR1;iii)CDR1-CDR3またはFR2-CDR3間の追加のジスルフィド結合;iv)CDR3内の追加のジスルフィド結合;v)長いCDR3(≧15aa);vi)CDR1内の追加のジスルフィド結合;vii)従来のIgG1と同じVおよびJ生殖細胞系列を有する非古典的VHH;viii)特定の所定の配列シグネチャを有する非古典的VHH;ix)特定の所定のカノニカル結合ループ構造;x)同じ免疫グループからの個々の動物間の収束モチーフまたは配列シグネチャ;xi)CDR2の長さ;xii)CDR3の長さ;xiii)CDR3の長さおよび同一性;xiv)CDR3領域内に3つ以上の正電荷が存在する;xv)アミノ酸配列中のシステインの数;およびxvi)CDR領域に見られる2~4のアミノ酸モチーフからなる群から選択される特定のVHH特徴を有する系統サブグループ化をさらに含む。モチーフは、リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定される。
【0017】
本発明の別の態様では、抗原に対するラクダ科動物抗体をハイスループットで生成するための方法が提供され、本方法は、a)免疫させたラクダ科動物からの抗原特異的B細胞を濃縮し、増殖させることと;b)抗原特異的B細胞からVHH2、VHH3、VH1およびVL1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと;c)VHH2、VHH3、VH1、およびVL1NGS配列を系統別にグループ化することと;d)単一B細胞選別およびヘテロハイブリドーマアプローチによって生成されたアンカーバインダーに従ってVH1/VL1系統の対形成を行うことと;e)ステップc)およびステップd)の系統および系統対を系統優先因子によってランク付けすることと;f)NGSライブラリー内で上位ランクのVHH2、VHH3の系統およびVH1/VL1の系統対から代表的な配列または配列対を選択することと;g)選択された重鎖/軽鎖配列対または重鎖VHH2、VHH3配列を含む抗体の試験を行って、抗体が抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、を含む。一実施形態では、抗原は複数のエピトープを含む。
【0018】
一実施形態では、特定のCDR3の最小CDR3距離は、系統からのCDR3のグループ間で1以下であり、特定のCDR3の最小CDR3距離は、同じ長さの他のすべてのCDR3と比較して、このCDR3の最も短いハミング距離である。
【0019】
一実施形態では、ステップe)における系統対のランク付けは、系統対のVH1系統の系統優先因子に基づく。
【0020】
いくつかの実施形態では、系統優先因子は、高い配列存在量から低い配列存在量までの系統、lin vitroでのB細胞の濃縮および増殖、後の高増幅因子から低増幅因子への系統、免疫過程での系統配列の存在量の変化、特定の不要なB細胞を枯渇させる前後での系統配列の存在量の変化、VHHとVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統、開発可能性責任配列の回避、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、IgG1レパートリーのアンカーは、単一のB細胞選別およびヘテロハイブリドーマアプローチで生成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、試験抗体は、原核生物または真核生物の細胞によって発現される。
【0023】
いくつかの実施形態では、各上位100系統または系統対からのVHHの1つの代表的な配列または1つの代表的な対VH1/VL1が選択される。いくつかの実施形態では、100の系統/系統対は、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15または10のVHH系統および5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95のVH1/VL1系統対をそれぞれ含み、VL1はVκおよびVλを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、この方法は、f)~g)を繰り返してラクダ科動物抗体を生成することをさらに含み、代表的配列は、上位101~200、201~300、301~400、401~500、501~600、601~700、701~800、801~900、901~1000、1001~1100、1101~1200、1201~1300、1301~1400、1401~1500、1501~1600、1601~1700、1701~1800、1801~1900、または1901~2000ランク付け系統から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、f)~g)を繰り返してラクダ科動物抗体を生成することをさらに含み、代表的な配列は、上位2000~10,000のランク付け系統から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、系統のランク付け/選択の基準は、高配列存在量から低配列存在量までの系統、高い増幅因子から低い増幅因子までの系統、免疫過程中の系統配列存在量の変化、特定の不要なB細胞の枯渇の前後の系統配列存在量の変化、VHHとVH1との間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統、開発可能性責任配列の回避、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、抗原または免疫原は細胞または組織であり得、生成されたVHHは、タンパク質アレイまたは細胞/組織抗原cDNAライブラリーまたは免疫沈降に基づく質量分析法によって個々の対応する抗原を同定するために使用される。
【0027】
本発明の別の態様では、特定の抗原の複数のエピトープに対するラクダ科動物抗体をハイスループットで生成するための方法は、i)FR2親水性領域;ii)拡大CDR1;iii)CDR1および/またはCDR3内の追加のジスルフィド結合;iv)長いCDR3(≧15aa);v)VHH2、VHH3、およびVH1間で同じナイーブB細胞起源を共有する配列;vi)抗原結合ループ構造の配列ベースの予測;x)同じ免疫グループからの個々の動物間の収束モチーフまたは配列シグネチャ;xi)CDR2の長さ;xii)CDR3の長さ;xiii)CDR3の長さおよび同一性;xiv)CDR3領域内に3つ以上の正電荷が存在する;xv)アミノ酸配列中のシステインの数;およびxvi)CDR領域に見られる2~4のアミノ酸モチーフからなる群から選択される特徴を有するVHH系統をサブグループ化することをさらに含む。モチーフは、リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のラウンドで試験された抗体の同じ系統グループ内の配列は、第2のラウンドでf)~g)を繰り返すことによって抗体の最適化のために選択され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、抗原に対するラクダ科動物抗体をハイスループットで生成するための方法は、選択されたVHH配列を適用して、同じナイーブB細胞起源を共有するこれらのクローンのVH1-VL1対の選択を導くことをさらに含み、ここで、選択基準は、1)CDR1とCDR2との差;2)FR1、2、3、4の差である。
【0030】
本発明の別の態様では、ヒト化VHH抗体を生成するための方法は、a)免疫させたラクダ科動物からの抗原特異的B細胞を濃縮し、増殖させることと;b)抗原特異的B細胞からVHH2、VHH3、VH1およびVL1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと;c)VHH2、VHH3、VH1 NGS配列を系統別にグループ化することと;d)親VHH2抗体、VHH3抗体または同じナイーブB細胞起源を共有するVH1内の置換可能な位置を、それぞれが同じ系統内の親抗体と同じエピトープに結合する複数の関連する抗体のアミノ酸配列とそのアミノ酸配列を比較することによって同定することと、e)親VHH2抗体またはVHH3抗体の1つ以上の置換可能な位置のアミノ酸を、ヒト抗体内の対応する位置にあるアミノ酸で置換することと;f)選択された配列内の置換された残基を含む抗体の試験を行って、抗体が抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、を含む。
【0031】
一実施形態では、ヒト化VHH抗体の置換位置は、FR領域内にある。一実施形態では、ヒト化VHH抗体の置換位置は、CDR領域内にある。
【0032】
一実施形態では、親抗体はラクダ科動物抗体である。一実施形態では、親抗体は、ヒト化ラクダ科動物抗体である。
【0033】
本発明の別の態様では、本発明によって生成された抗体配列を含む単離されたラクダ科動物抗体または抗原結合部分。
【0034】
本発明の別の態様では、本発明のラクダ科動物抗体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0035】
例示的な実施形態は、参照された図に示す。本明細書に開示の実施形態および図は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであることが意図されている。
【
図1A】VHH、VH、およびCH免疫グロブリンをコードするラクダ科動物の遺伝子座の構成を示す図である。
【
図1B】ラクダ科動物のVHH構造を示す図である。
【
図2】ラクダ科動物の免疫および抗原特異的B細胞の濃縮/増殖を示す図である。
【
図3】VHH
2、VHH
3、VH
1、Vκ、およびVλを増幅するためのIgGアイソタイプ特異的プライマーセットを示す図である。
【
図4】VHH
2、VHH
3、VH
1、Vκ、およびVλNGSライブラリーの生成および系統のグループ化を示す図である。
【
図5】VHH
2およびVHH
3系統を配列シグネチャでさらにグループ化したものを示す図である。
【
図6】VH-VκまたはVH-Vλ系統と、単一B細胞選別およびヘテロハイブリドーマにより開発されたアンカーとの対形成を示す図である。
【
図7】バインダーおよび生物活性スクリーニングのための各系統からの配列選択を示す図である。
【
図8】同じ系統内で選択されたリードの最適化を示す図である。第1の選択ラウンドからのリードは、@と+でマークする。
【
図9】系統分析によるVHHおよびVH-VLのヒト化のワークフローを示す図である。
【
図10】EGFRに結合する選択された抗体からの蛍光シグナルを示す図である。
【
図11】抗KLH抗体分泌B細胞およびアルパカフィーダー細胞の選択された共培養から分泌された抗体のELISAアッセイを示す図である。フィーダー細胞のないB細胞のみは成長も増幅もしない。これは、陰性対照として使用した。免疫させた動物血清は、ELISAの陽性対照として対照培地で1:1000に希釈した。
【
図12】フィーダー細胞および抗体分泌B細胞の共培養から得られたB細胞と、フィーダー細胞を含まないB細胞のみの増幅を示す図である。
【
図13】KLH NGSデータから、選択したクローンの上清のELISAアッセイの結果を示す図である。
【
図14】リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定されたCDR領域2~4アミノ酸モチーフに基づいてブロッキング抗体を同定するためのワークフローを示す図である。
【
図15】PD-1とPD-L1との間に形成された複合体の2つのビューを示す図であり、複合体の界面にあるPD-1の2つのペプチドを強調表示している。
【
図16】PD-1:PD-L1複合体における界面ペプチドの相互作用の分析結果を示す図である。
【
図17】選択した抗PD-1VHH抗体の系統グループを示す系統発生樹を示す図である。系統発生樹のルートは、サブグループ1、2、および3を含む系統グループを定義するアンカーとして機能する。
【
図18】免疫させたアルパカA1およびA2のクローンライブラリにおけるCDR3ドメインアミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図19A】共通のヒンジ領域およびCDR3ドメイン配列を有するアルパカA1およびA2から重複するクローンを同定するための選択スキームを示す図である。
【
図19B】免疫させたアルパカA1およびA2からのクローンライブラリー内のヒンジ領域アミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図20A】共通のヒンジ領域およびCDR3ドメイン配列を有するアルパカA1およびA2から重複するクローンを同定するための選択スキームを示す図である。
【
図20B】免疫させたアルパカA1およびA2からのクローンライブラリー内のヒンジ領域アミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図21A】共通のCDR3ドメイン配列を有する単一のアルパカのライブラリー内のVH、VHH
2、およびVHH
3抗体の重複クローンを示すベン図である。
【
図22】アルパカA1およびA2、VH、VHH2、およびVHH3抗体に共通するCDR3ドメイン配列の数を示すベン図である。
【
図23】古典的なVHH型および非古典的なVHH型の選択された抗体クローンのBCMAを発現するRPMI8226細胞を使用したFACSによる抗原結合親和性を示す図である。
【
図24】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々における固有のFR2ドメイン配列の割合を示す図である。
【
図25】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々における抗体のFR2ドメインにおける特定のアミノ酸置換の頻度を示す図である。
【
図26】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々において、11~15アミノ酸のCDR1ドメイン長を有するクローンの割合を示す図である。
【
図27】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体における「長いCDR2」ドメインを有する抗体のELISAによる結合親和性の分布を示す図である。
【
図28】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体において、CDR3ドメイン内に余分なジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図29-30】3つの異なる抗原を標的とする3つからの抗体のCDR1ドメインとCDR2ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を持つクローンの割合を示す図である。
【
図31】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体内でのV領域のアミノ酸配列内のシステイン残基の数の分析結果を示す図である。
【
図32】3つの異なる抗原を標的とする3つライブラリーからの抗体のCDR1ドメインとCDR3ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図33】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーの抗体において、FR2ドメインとCDR2ドメインとの間、またはFR2ドメインとCDR3ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図34】VHH抗体配列内のシステインアミノ酸数と上清のOD値との相関関係を示す図である。
【
図35】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々内に「長いCDR3」ドメインを有するクローンの割合を示す図である。
【
図36-38】CDR3ドメイン長と、VHH抗BCMA抗体についてFACSまたはELISAによってアッセイされた抗体親和性との相関関係を示す図である。
【
図39】特定の抗原のほぼ同一のエピトープまたは同じエピトープに結合するVHH抗体の集団のCDR3の長さの範囲を示す図である。
【
図40】PD1への結合について、選択した抗PD1クローンとKEYTRUDAおよびOPDIVOとの競合を評価する実験結果を示す図である。
【
図41】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々において、VHH抗体内でTrp118アミノ酸がArgで置換されているクローンの割合を示す図である。
【
図42】CDR3の長さと抗KLHVHH抗体のELISA結合活性との正の相関関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の実施形態およびそれらの態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ図示的であることを意図するシステム、組成物、および方法と併せて説明され、図示される。
定義
【0037】
本明細書で使用される場合、「含んでいる(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、一実施形態に有用であるが、有用であるか否かにかかわらず、不特定エレメントを含むことができる組成物、方法、およびそれらのそれぞれの成分に関して使用される。一般に、本明細書で使用される用語は、一般に「オープン」用語として意図されていることが当業者によって理解されている(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(include)」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである)。
【0038】
特に明記しない限り、本出願の特定の実施形態を説明する文脈で(特に特許請求の範囲で)使用される用語「a」および「an」および「the」および同様の言及は、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈することができる。本明細書での値の範囲の列挙は、範囲内にある個々の値を個別に参照する簡単な方法として機能することを目的としている。本明細書に別段の記載がない限り、個々の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施できる。本明細書の特定の実施形態に関して提供される任意のすべての例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単にその用途をよりよく明らかにすることを意図するものであり、他の方法で主張される用途の範囲に制限を課すものではない。略語、「例えば(e.g.)」は、ラテン語の「例えば(exempli gratia)」から派生し、本明細書では、非限定的な例を示すために使用される。したがって、略語「e.g.」は、用語「例えば」の同義語である。本出願内のいかなる文言も、本出願の実施に必須であるクレームされていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0039】
「複数」という用語は、1つ以上、例えば、2つ以上、約5以上、約10以上、約20以上、約50以上、約100以上、約200以上、約500以上、約1000以上、約2000以上、約5000以上、約1万以上、約2万以上、約5万以上、約10万以上、通常、約20万以下を指す。「集団」は、複数の項目を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、持続時間などの測定可能な値を指し、指定値から±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%または±0.1%の変動を包含する。
【0041】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含むことができる。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖などの化学的に活性な分子の表面グループで構成され、通常、特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を有する。平衡解離定数が≦1μM、好ましくは≦100nM、最も好ましくは≦10nMの場合、抗体は抗原に特異的に結合すると言われている。
【0042】
「KD」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことができる。
【0043】
本明細書で使用される「免疫応答」という用語は、例えば、リンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、および上記の細胞または肝臓によって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、および補体など)の作用を指すことができ、その結果、侵入する病原体、病原体に感染した細胞または組織、癌性細胞、または自己免疫もしくは病理学的炎症の場合は正常な生物細胞または組織の生物への選択的損傷、破壊、またはこれらの生物からの排除がもたらされる。
【0044】
本明細書で使用される「抗原特異的T細胞応答」は、T細胞が特異的である抗原によるT細胞の刺激から生じるT細胞による応答を指すことができる。抗原特異的刺激時のT細胞による応答の非限定的な例としては、増殖およびサイトカイン産生(例えば、IL-2産生)が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷の免疫グロブリン、またはFc(結晶化可能断片)領域を有するモノクローナルもしくはポリクローナル抗原結合断片、または本明細書で「Fc断片」または「Fc領域」と呼ばれるFc領域のFcRn結合断片を指す。抗原結合断片は、組換えDNA技術によって、または無傷な抗体の酵素的切断もしくは化学的切断によって生成され得る。抗原結合断片としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dAb、および相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFv)、単領域抗体、キメラ抗体、ダイアボディ、およびポリペプチドへの特異的抗原結合を与えるのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが挙げられる。Fc領域には、2つまたは3つのクラスの抗体に寄与する2つの重鎖の一部分を含む。Fc領域は、組換えDNA技術によって、または酵素的(例えば、パパイン切断)によって、または無傷の抗体の化学的切断を介して生成され得る。
【0046】
本明細書で使用される「抗体断片」という用語は、無傷な抗体の一部のみを含み、一般に無傷な抗体の抗原結合部位を含み、したがって抗原に結合する能力を保持するタンパク質断片を指す。本定義に含まれる抗体断片の例としては、(i)VL、CL、VHおよびCH1領域を有するFab断片;(ii)CH1領域のC末端に1つ以上のシステイン残基を有するFab断片であるFab’断片;(iii)VHおよびCH1領域を有するFd断片;(iv)VHおよびCH1領域とCHI領域のC末端に1つ以上のシステイン残基を有するFd’断片;(v)抗体の1つのアームのVLおよびVH領域を有するFv断片;(vi)VH領域からなるdAb断片(Wardら、Nature 341,544-546(1989年));(vii)単離したCDR領域;(viii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’断片を含む二価断片;(ix)単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv;scFv)(Birdら、Science 242:423-426(1988年);およびHustonら、PNAS(USA)85:5879-5883(1988年));(x)同じポリペプチド鎖内で軽鎖可変領域(VL)に接続された重鎖可変領域(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する「ダイアボディ」(例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993年)を参照のこと);(xi)相補的な軽鎖ポリペプチドと一緒になって一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「直鎖抗体」(Zapataら、Protein Eng.8(10):1057-1062(1995年);および米国特許第5,641,870号)が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用される「単鎖可変断片」、「単鎖抗体可変断片」または「scFv」抗体は、重鎖(VH)および軽鎖(VL)のみの可変領域を含み、リンカーペプチドによって接続されている抗体の形態を指す。scFvは、単鎖ポリペプチドとして発現させることができる。scFvは、それが由来する無傷の抗体の特異性を保持している。軽鎖および重鎖は、標的抗原に対するscFvの特異性が保持されている限り、任意の順序、例えば、VH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHであってもよい。
【0048】
本明細書で使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことができる(例えば、TRAILタンパク質に特異的に結合する単離された抗体は、TRAILタンパク質以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まないことが可能である)。しかし、ヒトTRAILタンパク質に特異的に結合する単離された抗体は、他の種からのTRAILタンパク質などの他の抗原に対して交差反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指すことができる。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されるすべてのヒト抗体、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されたハイブリドーマ(以下に記載)についてトランスジェニックまたはトランス染色体である動物(例えば、マウス)から単離された抗体、(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から(例えば、トランスフェクトーマから)単離された抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製または単離された抗体を指すことができる。そのような組換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし、特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、in vitro突然変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が使用される場合には、in vivo体細胞突然変異誘発)を受けることができ、したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VH配列およびVL配列に由来し、関連しているが、in vivoでヒト生殖細胞系列レパートリー内に自然に存在しない可能性がある配列である。
【0051】
「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指すことができる。抗体は、免疫グロブリンG(IgG)、IgM、IgE、IgAまたはIgD分子であり得るか、またはそれらに由来する。
【0052】
「VHH2」、「VHH3」および「VH1」という用語は、それぞれ、3つのラクダ科動物のIgGアイソタイプ1gG2、IgG3およびIgG1の重鎖を表す。VL1は、ラクダ科動物IgG1の軽鎖を表している。ラクダ科動物VL1としては、これらに限定されないが、VκおよびVλが挙げられる。
【0053】
本明細書で同義的に使用される「対応して配置されたアミノ酸」および「対応するアミノ酸」という用語は、2つ以上のアミノ酸配列が整列している場合に同一の位置にある(すなわち、互いに向かい合っている)アミノ酸残基である。抗体配列を整列させ、番号付けするための方法は、上記のChothia、上記のKabat、および他のものに非常に詳細に記載されている。当技術分野で公知であるとおり(例えば、Kabat 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest,DHHS,Washington,DCを参照のこと)、アラインメントを達成するために、時には1、2、または3つのギャップおよび/または最大1、2、3または4残基、または最大約15残基(特に軽鎖および重鎖CDR3)の挿入を抗体のアミノ酸の一方または両方に作製することができる。
【0054】
「天然」抗体という用語は、抗体の重鎖および軽鎖が、多細胞生物の免疫系によって作られ、対形成している抗体を指す。脾臓、リンパ節、骨髄、血液、および他のリンパ組織は、天然抗体を産生する細胞を含む組織の例である。例えば、抗原によって免疫させた第1の動物から単離されたB細胞によって産生される抗体は、天然抗体である。天然抗体には、自然に対形成している重鎖および軽鎖が含まれている。
【0055】
「自然に対形成されている」という用語は、多細胞生物の免疫系によって対形成されている重鎖および軽鎖配列を指す。
【0056】
本明細書で使用される「混合物」という用語は、エレメント、例えば、散在していて特定の順序ではない細胞の組み合わせを指す。混合物は均質であり、異なる成分に空間的に分離されていない。エレメントの混合物の例としては、空間的にむきだし(spatially undressed)で同じ水溶液中に存在する、複数の異なる細胞が挙げられる。
【0057】
「評価」という用語には、あらゆる形式の測定が含まれ、エレメントが存在するか否かを判断することも含む。「決定する(determining)」、「測定する(measuring)」、「評価すること(evaluating)」、「評価すること(assessing)」および「分析すること(assaying)」という用語は同義的に使用され、定量的および/または定性的決定を含み得る。評価することは、相対的または絶対的であり得る。「存在を評価すること」としては、存在するものの量を決定すること、および/またはそれが存在するか不在であるかを決定することを含む。
【0058】
「濃縮な(enriched)」という用語は、濃縮する前よりもサンプル中の他の成分(例えば、他の細胞)と比較して、より高濃度の(more concentrated)(例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも50倍、少なくとも1,000倍))組成物の成分(例えば、特定のタイプの細胞)を指すことを意図している。場合によっては、濃縮されたものが、それが存在するサンプルのかなりの割合(例えば、2%を超える、5%を超える、10%を超える、20%を超える、50%を超える、またはそれ以上、通常は、約90%~100%以下)を表し得る。
【0059】
「濃縮する(enriching)」という用語は、抗原特異的細胞をより多くのB細胞集団から得ることができるあらゆる方法を意図している。以下でより詳細に記載するとおり、濃縮することは、例えば、ビーズまたは細胞選別を使用して、パニングすることによって実施できる。
【0060】
エレメント(例えば、細胞または配列)を得るという文脈での「得る」という用語は、エレメントを受け取ること、ならびにエレメントを物理的に産生することを含むことを意図している。
【0061】
「末梢血単核細胞」または「PBMC」という用語は、(葉状核とは対照的に)単一のほぼ円形の核を有し、かつリンパ球(T細胞、B細胞およびNK細胞)、単球およびマクロファージを含む血液細胞を指す。PBMCは、フィコールグラジエントを使用して全血から濃縮することができる。
【0062】
「抗原特異的B細胞」という用語は、それらの表面上の抗原に特異的に結合する抗体を有するメモリーB細胞、およびその前駆細胞を指す。
【0063】
細胞またはその子孫が宿主から得られた場合、細胞は宿主に「由来する」。前駆細胞の子孫は、前駆細胞に由来する。
【0064】
「抗原を含む支持体」という用語は、その上に固定化された抗原またはその一部を含む任意のタイプの支持体(例えば、プレートおよびビーズなどの固体または半固体支持体)を含む。抗原は、直接的または間接的に、例えば、リンカーを介して、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、または例えば細胞を介して、支持体上に固定化され得る。パニングまたはビーズの使用によって抗原特異的B細胞を濃縮する方法では、そのような支持体を利用する。
【0065】
「パニング」という用語は、抗原またはその一部でコーティングされた1つ以上の表面を有する容器(例えば、プレート)にB細胞が適用される方法を指すために使用される。非結合細胞は、細胞を適用後、表面を洗浄することで取り除くことができる。
【0066】
「ビーズベースの濃縮」という用語は、B細胞が、抗原またはその一部に連結させたビーズ、例えば、磁気ビーズと混合する方法を指すために使用される。
【0067】
「細胞選別」という用語は、B細胞が溶液中で検出可能な抗原(例えば、蛍光的に検出可能な抗原)と混合される方法を指すために使用される。細胞選別法では、抗原に結合した細胞を非結合細胞から選別する。蛍光活性化セルソーティング(FACS)は、細胞選別法の一例である。
【0068】
「複合免疫原」という用語は、複数の抗原を含む免疫原を指すことを意図している。複合免疫原は、別々に作られ、次に一緒に混合された複数の異なる抗原から構成され得るか、またはそれらは、免疫中(例えば、細胞および組織全体またはその一分画を使用する場合のように)自然に複合体であり得る。
【0069】
「活性化する」という用語は、a)増殖し、b)形質芽球および/または形質細胞に分化し、c)抗体を分泌するためのB細胞の刺激を指す。B細胞の活性化は、B細胞を抗原、CD40Lを発現するT細胞、およびサイトカインと接触させることによって行うことができるが、他の方法も公知である(例えば、Wykes,Imm.Cell.Biol.2003 81:328-331を参照されたい)。
【0070】
「活性化されたB細胞」という用語は、活性化されたB細胞の子孫を含む細胞集団を指す。上記のとおり、活性化によりB細胞が増殖し、そのような細胞の子孫は、本明細書では活性化B細胞と称する。
【0071】
「収集する」という用語は、培養培地中の細胞を基質から分離する行為を指す。収集することは、例えば、ピペッティングまたはデカンテーションによって行うことができる。
【0072】
「抗原によって免疫させた」という用語およびその文法的同等物(例えば、「免疫させた動物」)は、抗原の免疫応答を開始している任意の動物(ヒト、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、ラクダ)を指すことを意図している。動物は、例えば、感染性因子への曝露、ワクチン接種を介して、または抗原およびアジュバントを投与することによって(例えば、注射によって)、外来抗原に曝露され得る。「抗原によって免疫させた」という用語はまた、「自己」抗原に対して免疫応答を開始している、すなわち自己免疫疾患を有する動物を含むことを意図している。
【0073】
「ランク付け」および「ランク付けされた存在量の順序」という用語は、それらが存在量によって列挙されている場合の配列順序を指す。すなわち、最初に最も豊富な配列、次に2番目に豊富な配列、次に3番目に豊富な配列などである。場合によっては、度数分布を作成し、次いでそれらの頻度で配列を並べ替えることによって、配列をランク付けできる。
【0074】
「対応するランク」または「対応してランク付けされた」という用語は、2つのランクで同じ位置を有する2つの配列を指す。例えば、第1位の第1、第2、第3の位置は、それぞれ第2位の第1、第2、第3の位置に対応する。
【0075】
「系統ランク」という用語は、優先因子によって列挙されている系統の順序を指す。優先因子としては、これらに限定されないが、系統配列の存在量、増幅因子、特定の不要なB細胞を枯渇させる前後の系統配列の動的変化、免疫過程中の系統配列存在量の動的変化、VHHとVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統、開発可能性責任配列の回避およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
「ハミング距離」という用語は、同じ長さの2つの配列間で対応する記号が異なる位置の数を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、用語「系統別にグループ化された抗体」、「系統関連抗体」および「系統によって関連する抗体」、ならびにそれらの文法的同等のバリアントは、共通のB細胞祖先を共有する細胞によって産生される抗体である。系統によって関連する抗体は、抗原の同じエピトープに結合し、典型的には、特に軽鎖および重鎖のCDR3において配列が非常に類似している。系統関連抗体の重鎖および軽鎖のCDR3は両方とも、同一の長さおよびほぼ同一の配列を有することができる(すなわち、最大5、すなわち、0、1、2、3、4または5残基が異なる)。系統からのCDR3のグループの中で、特定のCDR3の最小CDR3距離は、同じ長さの他のすべてのCDR3と比較して、このCDR3の最も短いハミング距離である。いくつかの実施形態では、最小CDR3距離は1以下である。場合によっては、B細胞の祖先は、再配列された軽鎖VIC領域および再配列された重鎖VDJ領域を有するゲノムを含み、親和性成熟を受けていない抗体を産生する。脾臓組織内に存在する「ナイーブ」または「バージン」B細胞は、例示的なB細胞共通の祖先である。
【0078】
関連抗体は、共通の抗体の祖先、例えば、ナイーブB細胞の祖先内で産生される抗体を介して関連している。「系統関連抗体」という用語は、同じ祖先B細胞から生じる細胞によって産生される抗体のグループについて説明することを意図している。「系統グループ」は、系統によって互いに関連している抗体のグループを含む。
【0079】
本明細書で使用される場合、「少なくともCDR3」または「少なくともCDR3配列」という用語は、CDR3配列のみ、CDR1および/またはCDR2配列と組み合わせたCDR3配列、または可変ドメインの少なくとも50の連続するアミノ酸(最大で可変ドメインの全長)の配列を指す。ここで、配列にはCDR3配列を含む。
【0080】
本明細書で使用される場合、「系統ツリー」という用語は、目的の個々の種につながる系統の仮想的な分岐配列を描写する、分岐解析から得られた図を指す。系統ツリー内の分岐点はノードと呼ばれる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「系統発生樹を構築すること」という用語は、配列から系統発生樹を作成する計算行為を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「系統」という用語は、理論上の降下線を指す。「系統」は「グループ」と同義的に使用され、系統によって関連する抗体のグループは、「系統グループ」と呼ばれることがある。「グループ」または「系統」という用語は、配列が1つのグループまたは系統にのみ属し得るという点で排他的である。
【0083】
本明細書で使用される「サブグループ化」という用語は、固有の特徴またはシグネチャに基づく系統内の配列のさらなるグループ化を指す。「サブグループ」は排他的ではなく、1つの配列を異なるサブグループに含めることができる。例えば、1つの配列は、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの固有の特徴を同時に有することができる。「サブグループ化」はVHHについてのみである。VHH配列シグネチャを適用することにより、より良好な方法で試験を行う系統(代表的な配列)を選択する/絞り込む補助となり得る。これにより、より良い生物学的機能/生物活性の結果がもたらされ得る。
【0084】
本明細書で使用されるとき、「系統分析」という用語は、抗体の理論的降下系統を分析することを指し、これは通常、系統ツリーを分析することによって行われる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「配列リード」という用語は、シーケンサーによって決定されるヌクレオチドの配列を指し、その決定は、例えば、技術に関連する塩基呼び出しソフトウェアによって行われる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸配列を得る」という用語は、アミノ酸配列を含むファイルを得ることを指す。周知のとおり、核酸配列はin silicoでアミノ酸配列に翻訳することができる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「最も豊富に発現する」という用語は、タンパク質配列に関して、サンプル中に最も豊富であることである。タンパク質の存在量は、例えば、そのタンパク質をコードする配列リードを数えることによって決定できる。最も多くの配列リードによってコードされているタンパク質は、最も豊富なタンパク質である。
【0088】
本明細書で同義的に使用される「アンカー」および「アンカーバインダー」という用語は、単一のB細胞選別または天然のHおよびL対形成を有するヘテロハイブリドーマによって生成される従来の抗体を指し、これにより、抗原のエピトープに遭遇した後、ナイーブB細胞HおよびL配列のクローン拡大に由来する配列のグループからなる重鎖系統および軽鎖系統を位置決め/対形成することができる。系統は、互いに対形成することが知られている重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を考慮して「アンカー」することができる。これらの実施形態では、アンカーされた配列間に最小数のクロスオーバー(例えば、クロスオーバーがない)が存在するまで、分岐はそれらのノードの周りを回転する。タングルグラム分析によってツリーを「整列」させた後、対形成することがわかっているリーフをエッジによって接続できる。対形成することがわかっているリーフがエッジによって接続されている場合、理論上、介在するリーフは、エッジまたは相互にクロスオーバーイベントを作り出さない限り、相互に対形成できる。
【0089】
「抗原上のエピトープを認識するモノクローナル抗体」、「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という句は、本明細書では「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と同義的に使用される。
【0090】
「特異的結合」という用語は、異なる分子の均一混合物中に存在する特定の抗原に優先的に結合する抗体の能力を指す。特定の実施形態では、特異的結合相互作用は、サンプル中の望ましい分子と望ましくない分子とを区別し、いくつかの実施形態では、約10~100倍を超えるか、例えば、約1000倍または10,000倍を超える。
【0091】
本明細書で使用される場合、タンパク質または細胞に「実質的に結合しない」という用語は、高い親和性でタンパク質または細胞に結合できないまたは結合しないことを意味する。すなわち、KDが2x10-6M以上、より好ましくは1x10-5M以上、より好ましくは1x10-4M以上、より好ましくは1x10-3M以上、さらにより好ましくは1x10-2M以上を有するタンパク質または細胞に結合する。
【0092】
IgG抗体の「高親和性」という用語は、標的抗原について、KDが1x10-6M以下、好ましくは1x10-7M以下、より好ましくは1x10-8M以下、さらにより好ましくは1x10-9M以下、またはさらにより好ましくは1x10-10M以下の抗体を指すことができる。しかし、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプでは変動し得る。
【0093】
「医薬製剤」という用語は、内部に含まれる有効成分の生物学的活性が有効であるような形態であり、本製剤が投与される対象に対して許容できない毒性の追加の成分をいずれも含まない調製物を指す。
【0094】
剤、例えば、医薬製剤または細胞の「治療有効量」は、疾患、状態または障害の治療などのための所望の治療結果、および/または治療の薬物動態学的または薬物力学的効果を達成するために必要な投与量および期間で有効な量を指す。治療有効量は、対象の病状、年齢、性別、および体重、および投与される細胞の集団などの因子によって異なり得る。いくつかの実施形態では、提供される方法は、有効量、例えば、治療有効量で細胞および/または組成物を投与することを含む。
【0095】
「CDRグラフト化抗体」は、特定の種またはアイソタイプの抗体に由来する1つ以上のCDRと、同じまたは異なる種またはアイソタイプの別の抗体のフレームワークとを含む抗体である。
【0096】
「ヒト化抗体」は、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または付加によって非ヒト種に由来する抗体の配列とは異なる配列を有し、これにより、ヒト対象に投与された場合、非ヒト種抗体と比較して、ヒト化抗体が免疫応答を誘導する可能性が低く、かつ/または重症度の低い免疫応答を誘発するようになる。一実施形態では、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常領域内の特定のアミノ酸が変異して、ヒト化抗体を産生する。別の実施形態では、ヒト抗体からの定常領域(複数可)は、非ヒト種の可変領域(複数可)に融合される。別の実施形態では、ヒト化抗体は、特定の種またはアイソタイプの抗体およびヒト抗体のフレームワークに由来する1つ以上のCDRを含むCDRグラフト化抗体である。別の実施形態では、非ヒト抗体の1つ以上のCDR配列中の1つ以上のアミノ酸残基を変更して、ヒト対象に投与されたときに非ヒト抗体の可能性のある免疫原性を低下させるようにする。ここで、変更されたアミノ酸残基は、抗体のその抗原への免疫特異的結合にとって重要でないか、または行われるアミノ酸配列への変更が保存的変更であり、これにより、抗原への非ヒト抗体の結合よりも、ヒト化抗体の抗原への結合は有意に悪化しないようになる。ヒト化抗体を作製する方法の例は、米国特許第6,054,297号、同第5,886,152号、および同第5,877,293号に見出すことができる。
【0097】
「キメラ抗体」という用語は、1つの抗体からの1つ以上の領域と、1つ以上の他の抗体からの1つ以上の領域とを含む抗体を指す。一実施形態では、CDRのうちの1つ以上は、ヒト抗体に由来する。別の実施形態では、CDRはすべて、ヒト抗体に由来する。別の実施形態では、2つ以上のヒト抗体からのCDRが混合され、キメラ抗体中で一致する。例えば、キメラ抗体は、第1のヒト抗体の軽鎖からのCDR1、第2のヒト抗体の軽鎖からのCDR2およびCDR3、ならびに第3の抗体からの重鎖からのCDRを含み得る。他の組み合わせも可能である。
【0098】
「バイパラトピック抗体」という用語は、抗体が抗原の2つの重複しないエピトープに結合することを指す。いくつかの実施形態では、バイパラトピック抗体は、軽鎖を含まない重鎖のみのVHHを含む。いくつかの実施形態では、バイパラトピック抗体は、重鎖のみのVHHおよび従来のVH1/VL1対の両方を含む。いくつかの実施形態では、バイパラトピック抗体は、2つの従来のVH1/VL1対を含む。いくつかの実施形態では、バイパラトピック抗体は、1つのエピトープを標的とするモノクローナル抗体からの第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびに別のエピトープを標的とする追加の抗体重鎖および軽鎖を有する。いくつかの実施形態では、追加の軽鎖または重鎖は、第1の軽鎖または重鎖とは異なり得る。
【0099】
開示されている発明の抗体の抗原への結合は、当技術分野で十分に確立された1つ以上の技術を使用して評価することができる。例えば、好ましい実施形態では、抗体は、例えば組換え抗原タンパク質を使用して、ELISAアッセイによって試験することができる。さらに他の好適な結合アッセイとしては、これらに限定されないが、抗体が、HEK293細胞などのヒト抗原を発現する細胞株と反応するフローサイトメトリーアッセイが挙げられる。追加的または代替的に、抗体の結合、例えば結合速度論(例えば、KD値)は、BIAcore結合アッセイ、Octet Red96(Pall)などで試験することができる。
【0100】
「単一B細胞選別」という用語は、抗原特異性に基づいて、単離および分離された単一B細胞を選別することを指す。単一細胞の分離、単離、および選別の技術としては、これらに限定されないが、FACS(例えば、蛍光タグ付き抗原を使用して、抗原に結合する細胞を単離する蛍光活性化セルソーティング)、ISAAC(チップ上のイムノスポットアレイアッセイ)、LCM(レーザーキャプチャーマイクロダイセクション)、マイクロエングレービング、および液滴マイクロフルイディクスが挙げられる。
【0101】
特に治療用途のために、抗原を認識するためのラクダ科動物重鎖のみの抗体またはその結合部分を生成するための方法であって、本方法は、
a)免疫させたラクダ科からの抗原特異的B細胞を濃縮し、増幅させることと;b)抗原特異的B細胞からVHH2、VHH3、VH1およびVL1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと;c)VHH2、VHH3、およびVH1配列データをCDR3に基づく系統発生系統クロノタイプとしてグループ化する-例えば、0または1のアミノ酸が異なり、同じ長さを有するCDR3アミノ酸配列をグループ化することと;d)VHH重鎖(VHH2、VHH3)を含む系統を系統優先因子によってランク付けすることと;e)VHH2、VHH3の系統から代表的な配列を選択し、系統優先因子に従って抗体配列ライブラリーで上位にランク付けすることと;f)選択された代表的配列を含む抗体の試験を行って、抗体が抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、を含む。一実施形態では、抗原は複数のエピトープを含む。
【0102】
一実施形態では、複数の系統からの配列を選択し、ステップf)およびg)を繰り返すことによって試験することができる。一実施形態では、f)は、1)選択された代表的な配列のDNAを合成すること、2)DNA配列を含むベクターを構築すること、3)細胞内でベクターを発現させること、4)特定の抗原に対する親和性および生物活性試験を実施することを含み得る。一実施形態では、b)は、1)抗原特異的B細胞の濃縮集団からcDNAを作製すること、2)cDNAを配列決定して、複数のVHH2、VHH3、VH1重鎖配列、および複数のVL1(VκおよびVλ)軽鎖配列を取得して、ラクダ科動物IgG2(HcAb)、IgG3(HcAb)、およびIgG1(従来のAb)ライブラリーを生成することを含み得る。一実施形態では、生成されたラクダ科動物抗体は、IgG2を含む。一実施形態では、生成されたラクダ科動物抗体は、IgG3を含む。
【0103】
本発明の別の態様は、特に治療用途のために、抗原を認識するためのラクダ科動物抗体またはその結合部分を生成するための方法にあり、本方法は、a)免疫させたラクダ科動物の抗原特異的B細胞を濃縮し、増幅することと、b)抗原特異的B細胞からVHH2、VHH3、VH1およびVL1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと、c)VHH2、VHH3、VH1、およびVL1配列データをCDR3をベースとした系統発生系統クロノタイプとしてグループ化することと、d)単一B細胞選別およびヘテロハイブリドーマアプローチによって生成されたアンカーバインダーに従ったIgG1VH1/VL1系統の対形成を行うことと、e)ステップc)およびステップd)の系統および系統対を系統優先因子によってランク付けすることと、f)NGSライブラリー内で上位ランクのVHH2、VHH3の系統およびVH1/VL1の系統対から代表的な配列を選択することと、g)選択されたVH1/VL1対配列またはVHH2、VHH3の配列を含む抗体の試験を行って、抗体が抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、を含む。一実施形態では、VL1鎖は、VκおよびVλを含む。一実施形態では、抗原は複数のエピトープを含む。
【0104】
一実施形態では、複数の系統からの配列を選択し、ステップf)およびg)を繰り返すことによって試験することができる。一実施形態では、f)は、1)選択された代表的なアミノ酸配列をコードするDNAを合成すること、2)DNA配列を含むベクターを構築すること、3)細胞内でベクターを発現させること、4)特定の抗原に対する親和性および生物活性試験の実施することを含み得る。一実施形態では、b)は、1)抗原特異的B細胞の濃縮集団からcDNAを作製すること、2)cDNAを配列決定して、複数のVHH2、VHH3、VH1重鎖配列、および複数のVL1(VκおよびVλ)軽鎖配列を取得して、ラクダ科動物IgG2(HcAb)、IgG3(HcAb)、およびIgG1(従来のAb)ライブラリーを生成することを含み得る。一実施形態では、生成されたラクダ科動物抗体は、IgG2を含む。一実施形態では、生成されたラクダ科動物抗体は、IgG3を含む。一実施形態では、生成されたラクダ科動物抗体は、従来のIgG1を含む。一実施形態では、ステップe)における系統対のランク付けは、系統対のVH1系統の系統優先因子に基づく。一実施形態では、ステップe)における系統対のランク付けは、系統対のVL1系統の系統優先因子に基づく。この方法は、抗原に結合する抗体が別のタンパク質への抗原の結合を阻害するか、例えば、抗体結合がリガンドの同族受容体への特異的結合を阻害するかを判断するための試験をさらに含むことができる。
【0105】
抗原を標的とするヒト化ラクダ科動物抗体を生成するための方法は、a)免疫させたラクダ科動物からの抗原特異的B細胞を濃縮し、増殖させることと、b)抗原特異的B細胞からVHH2、VHH3、およびVH1鎖配列を含む抗体NGSライブラリーを生成することと、c)NGSライブラリー内のVHH2、VHH3、およびVH1の配列を系統別にグループ化することと、d)親VHH抗体または同じナイーブB細胞起源を共有するVH1内の置換可能な位置を、それぞれが同じ系統内の親抗体と同じエピトープに結合する複数の関連する抗体のアミノ酸配列とそのアミノ酸配列を比較することによって同定することと、e)親VHH抗体またはVH1抗体の1つ以上の置換可能な位置のアミノ酸を、ヒト抗体内の対応する位置にあるアミノ酸で置換することと、f)選択された配列内の置換された残基を含む抗体の試験を行って、抗体が抗原またはその一部に結合するか否かを判断することと、を含む。一実施形態では、抗原は複数のエピトープを含む。一実施形態では、置換可能な位置は、CDR領域内にある。一実施形態では、置換可能な位置は、FR領域内にある。
【0106】
本発明で生成されたラクダ科動物の従来のIgG1抗体は、親IgG1抗体の1つ以上の置換可能な位置のアミノ酸を、ヒト抗体内の対応する位置にあるアミノ酸で置換することによってヒト化することができる。
【0107】
ラクダ科動物の免疫および抗原特異的B細胞の単離/増殖のための方法の実施形態を
図2に概略的に示す。そのような実施形態は、1)ラクダ科をDNAで免疫するか、または小分子を担体タンパク質で免疫するか、ペプチドを担体タンパク質またはタンパク質または細胞もしくは組織などの抗原複合体で免疫することと、2)IgG2、IgG3、およびIgG1の免疫応答を別々に監視することと、3)PBMC、脾臓、リンパ節、リンパ組織からB細胞を含む細胞のサンプルを取得することであって、B細胞は、メモリー細胞、原形質芽細胞、および細胞膜1gG2(HcAb)、IG3(HcAb)およびIgG1(従来のIgG)を有する異なる段階のB細胞を指す、取得すること、4)物理的表面抗原パニング、または磁気ビーズ単離またはフローソーティングのいずれかを介して、細胞表面抗体で抗原特異的B細胞を濃縮することと、5)抗原、ラクダ科動物CD40-L発現細胞および成長因子の存在下で細胞増殖のために濃縮されたB細胞を活性化することと、を含む。活性化ステップにより、メモリーB細胞を選択的に刺激して分化し、形質細胞となる。これらの形質細胞は急速に分裂し、大量の抗体を発現する。いくつかの実施形態では、抗血清中のIgG2、IgG3およびIgG1の免疫応答は、a)異なるpH溶出条件でプロテインAおよびプロテインGカラムを用いてIgG2、IgG3およびIgG1を精製することによって、b)IgG2、3およびIgG1の免疫応答力価を分析することによって、またはc)IgG2、3およびIgG1の生物活性を所望のイムノアッセイで試験することによって、監視される。
【0108】
実際に抗原に結合している表面結合抗体を有するB細胞のみを増殖させるこの方法の活性化ステップは、3つの効果を有する:(1)活性化ステップにより、抗原に特異的に結合しているB細胞のみを増殖させ、それにより、支持体に非特異的に結合している細胞と比較して、これらの細胞の相対濃度を増加させる。(2)この方法の活性化ステップにより、HcAbまたは従来のIgG重鎖および軽鎖mRNAの発現が、抗原に特異的に結合しているB細胞内でのみ誘導される。(3)これらの「まれな」抗原特異的B細胞であるが、高い親和性または特異性を有する抗体を発現するか、「まれな」エピトープが増幅され、シグナル対ノイズ比が大幅に改善されていることが認識される。
【0109】
いくつかの実施形態では、濃縮に使用される抗原としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
a)免疫原;
b)免疫原の所望のドメイン/エピトープ;
c)複合免疫原:動物は、複数の抗原または細胞または組織、あるいは生体液で免疫させ得、複数の抗原のそれぞれに対する抗原特異的B細胞は、互いに別々にまたは全体として濃縮され得る。次に、抗原特異的B細胞を活性化させて、互いに別々に、または全体として収集することができる。VHHの単純さは、ハイスループットVHHのクローニングおよび発現について利点をもたらし、複合免疫原をデコンボリューションすることにより、VHHの対応する各抗原を同定することが比較的容易である。複合免疫原は、これらに限定されないが、タンパク質アレイまたは免疫沈降をベースにした質量分析法または細胞、組織抗原-cDNAライブラリースクリーニング法などの方法によってデコンボリューションすることができる。
【0110】
時にはB細胞の純度を向上させるために、抗原特異的パニングの前にパニングによって不要なB細胞を枯渇させることが望ましい場合もある。
【0111】
VHH2、VHH3、VH1、VκおよびVλ NGSライブラリーは、それぞれIgG2(HcAb)、IgG3(HcAb)、およびIgG1(従来のAb)を発現するB細胞から調製できる。
【0112】
ラクダ科動物のIgG1(従来のAb)、IgG2(HcAb)、およびIG3(HcAb)はそれぞれ固有の遺伝子構成を有し、これにより、特定のプライマーセットを設計してcDNAを個別に増幅することができる(例えば、
図3)。cDNA増幅は、次のステップで実施できる:
a)トータルRNA抽出(TRIOL)および精製(RNeasyキット);
b)RNAの定量化および-20℃での任意の保存。
c)アイソタイプ特異的プライマーセットを用いたmRNAキャプチャー/RT-PCR(VHH
2、VHH
3、VH
1、VκおよびVλ)。
【0113】
VHH2、VHH3、VH1、VκおよびVλのNGSライブラリーは、例えば、NGSアダプターおよびライブラリー索引付けを追加したPCRを介したNextera Libraryによって調製できる。
【0114】
NGSライブラリーのcDNAは、例えばlllumina MiSeq300x2機器を使用して、ライブラリーのハイスループットシーケンスによって配列決定され得る。
【0115】
配列は、バイオインフォマティクスプロセス:-NGSQCTookitを使用した品質評価、アセンブリR1/R2の読み取り、翻訳、およびCDR1、2、3の同定によって構造化できる。
【0116】
VHH2、VHH3、VH1、VκおよびVλ抗体は、例えばCDR3アミノ酸配列のNGSデータを使用してグループ化し、系統発生系統のクロノタイプを構築することができる。
【0117】
系統は、同じナイーブB細胞に由来する配列のグループによって定義され(同じVおよびJの配置)、系統は、CDR3領域内に1アミノ酸以下のアミノ酸配列の差を有するグループとして定義され得る(ハミング距離が1以下、またはアミノ酸の合計が5aa以内である場合同じCDR3配列)。系統の量は、ライブラリー内のナイーブB細胞の量、およびこれらの抗体が認識するエピトープの数を反映していると推定される(
図4)。
【0118】
一般に、系統サイズは、抗体の成熟およびクローン拡大と相関する。バイオインフォマティクス技術では、候補抗体選択への合理的なアプローチのためのデータの構造および可視化が可能になる。各NGSライブラリーについて、NGSQCTookitを使用したQC、アセンブリR1/R2読み取り、翻訳、CDR1、2、3の同定、およびCDR3の類似性に基づく系統グループ化を含むバイオインフォマティックプロセスを介して構造化された配列によって、最大10,000の系統を同定することができる。
【0119】
VHH(VHH2、VHH3)配列は、固有の配列シグネチャによってさらにグループ化(サブグループ化)され得る。
【0120】
ラクダ科動物は、VHH B細胞レパートリーをさらに多様化し、抗原結合能力を拡大するために、複数のメカニズムを進化させてきた。これらのメカニズムから生じる配列「シグネチャ」により、系統をさらにグループ化できる。系統をさらにグループ化するためのこのような追加の基準は、抗体の微妙に異なる認識を反映し、固有のVHH認識パターンを有するエピトープを同定する補助となる(
図5)。VHHのシグネチャとしては、これらに限定されないが、次のものが挙げられる:
i)FR2親水性領域:ほとんどのVHH抗体では、FR2は従来のIgGに固有のアミノ酸置換を有する:37Phe/Tyr、44Glu、45Arg、および47Gly。
ii)拡大CDR1:多くのVHHは、CDR1の隣に追加の超可変領域(Kabatの番号付けによれば残基27~30)を有する。VHHは、この領域を長いCDR3と一緒に使用して、抗原と相互作用する表面積を増加させる;
iii)CDR1-CDR3またはFR2-CDR3間の追加のジスルフィド結合:ラクダおよびヒトコブラクダでは、82%のVHHがCDR1-CDR3間にジスルフィド結合を有し、ラマおよびアルパカでは、74%のVHHがFR2-CDR3間にジスルフィド結合を有する。
iv)長いCDR3:長いCDR3(≧15aa)を有するこれらのVHHの場合、多くの場合、追加のジスルフィド結合が見られる。
v)CDR3内の追加のジスルフィド結合:約5~10%のVHHは、CDR3内に追加のジスルフィド結合を有する。これは、より多くのコンフォメーション認識パターンを示し得る。
vi)CDR1内の追加のジスルフィド結合。
vii)従来のIgGと同じVおよびJ生殖細胞系列を有する非古典的VHH:従来のIgG1と同じナイーブB細胞起源(同じVおよびJの配置)を共有するVHH系統グループ。これは、VHHおよびIgG1の両方による同じまたは類似のエピトープ認識を示す。
viii)固有の配列シグネチャを有する非古典的VHH:例えば、Arg118で置換された保存されたTrp118および/またはFR3内のより低い疎水性プロファイル。
ix)新規カノニカル結合ループ構造:カノニカルループ構造を決定するための重要部位に存在する超変異ホットスポットは、VHH構造レパートリーを多様化する興味深い可能性を生み出す。結晶学的研究は、多くの場合、ラクダVHHのCDR1およびCDR2ループが、従来のVH1の既知のカノニカル構造から逸脱していることを強調している。配列ベースの新規Ag結合ループコンフォメーション予測により、系統のさらなるグループ化も裏付けられる。
x)CDR2の長さ
xi)CDR3の長さ
xii)CDR3領域に3つ以上の正電荷が存在する
xiii)アミノ酸配列中のシステインの数。
xiv)CDR領域に見られる2~4個のアミノ酸モチーフ。モチーフは、リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定される。
xv)CDR3の長さおよび同一性、
ならびに
xvi)同じ免疫グループのラクダ科動物間の収束モチーフまたは配列シグネチャ。
【0121】
VHH(VHH2、VHH3)、VH1-Vκ、およびVH1-Vλのヒト化は、系統分析によって導くことができる。
【0122】
本発明は、抗体の結合活性を有意に低下させることなく改変することができる抗体の位置を同定するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、そのアミノ酸配列を、同じ系統内の親抗体と同じ抗原およびエピトープにそれぞれ結合する複数の関連抗体のアミノ酸配列と比較することによって、親抗体内の置換可能な位置を同定することを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、置換可能な位置のアミノ酸は、抗体の活性に有意な影響を与えることなく、異なるアミノ酸と置換され得る。主題の方法を使用して、抗体の親和性を有意に低下させることなく、CDRのアミノ酸配列を変更することができる。
【0124】
ヒト化法、または他の抗体工学法において、本発明は、様々な治療用途および診断用途での使用を見出す。
【0125】
二重特異性/バイパラトピック抗体または抗原結合断片は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結など様々な方法によって産生することができる。例えば、Songsivilai&Lachmarm,Clin.Exp.Immunol.79:315-321(1990年)、Kos-telnyら、J.Immunol.148:1547-1553(1992年)を参照のこと。さらに、二重特異性抗体は「ダイアボディ」または「ジャヌシン(Janusin)」として形成することができる。複数のVHH可変ドメインをリンカーによって接続して、二価および多価の抗体を形成することもできる。
【0126】
VH
1およびVL
1(VκまたはVλ)の対形成系統は、ヘテロハイブリドーマおよび/またはフローソートされた単一のB細胞によって分泌される抗体内で互いに対形成することが発見されたVH
1-VL
1「アンカー」アミノ酸配列を考慮することによって、同定できる(
図6に示す)。
【0127】
NGS技術を使用したラクダ科動物の従来のIgG1開発の課題は、元の天然のHとLとの対を同定する方法である。典型的には、アンカーHおよびL(κおよびλ)系統を確立するための2つのアプローチ(1)ヘテロハイブリドーマおよび(2)単一B細胞選別が使用される。系統対がこれらのアンカーでさらにグループ化された後、各系統対からの代表的な配列H/L対が、VHH抗体として、DNA合成、結合スクリーニング、および生物活性試験のために選択される。
【0128】
I.ヘテロハイブリドーマ法
リンパ球をPBMCから単離するか、免疫させたラクダ科動物から脾臓またはリンパ球を単離する;リンパ球をSP/20などのマウス骨髄腫融合パートナー細胞株と融合させ、ヘテロハイブリドーマを生成する;ELISAおよび生物活性アッセイを用いてヘテロハイブリドーマの上清をスクリーニングする;選択されたヘテロハイブリドーマ由来のVH1およびVL1の配列決定を行う;これらのVHおよびVLの対は、IgG1 NGSライブラリーからのVH1系統およびVL1系統を対形成するためのアンカーとして使用する。
【0129】
II.単一B細胞NGS法
a)パニングおよび増殖後に抗原特異的B細胞を回収する;b)単一B細胞選別を行う;c)VH1-VL1リンケージPCRによりアンプリコンを増幅する;d)NGSを使用して、バイオインフォマティクスを介してVH1-VL1対配列(VH1-VκまたはVH1-Vλ)をアンカーとして同定する。
【0130】
この方法では、HcAbおよびNGSを用いた従来のIgG1など、免疫からの抗原特異的B細胞レパートリー全体を捕捉することができ、HcAbの単純さを利用する:
a)IgG2/HcAb、IgG3/HcAb、IgG1/κおよびIgG1/λ
b)異なるCDR3_異なるエピトープを有する系統
c)配列シグネチャ_異なるエピトープを有するVHH系統
d)ヘテロハイブリドーマから生成されたVH-VLアンカーとのVH-VκまたはVH-Vλ系統の対形成
【0131】
抗原の広域スペクトルのエピトープを認識する抗体の系統を選択できる(
図7に示す)。
【0132】
各系統または系統対は、1つの固有のエピトープ、すなわち上位100の系統/系統対からの1つの代表的な配列(VHH)または1つの代表的な対(VH1-VL1)を認識すると推定され(例えば、VHHの場合は70配列、VH1-VκまたはVH1-Vλの場合は30配列)、遺伝子合成、バインダースクリーニング、および生物活性試験用に選択される。系統選択基準(優先因子)としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
1)高存在量の配列から低存在量の配列までの系統:各系統からの固有のcDNA数(配列存在量)の総数は2~50,000の範囲であり、最も豊富な配列を有する系統は、抗原刺激後の最も広範なクローン拡大を示し得る。
2)高増幅因子から低増幅因子への系統、B細胞の濃縮/増殖前後の配列存在量の動的変化(増幅倍率は5~1,000の範囲であり得る)。
3)免疫過程中の系統配列の存在量の変化。これは、抗原特異的配列の濃縮および抗体親和性成熟を示す(配列存在量/固有のcDNA数の変化は、2~1,000の範囲であり得る)。
4)該当する場合、特定の不要なB細胞を枯渇させる前後での系統配列存在量の変化(配列存在量/固有のcDNA数の変化は、2~1,000の範囲であり得る)。
5)VHHとVH1との間で同じナイーブB細胞起源(同じVおよびJの配置)を共有する系統。
6)開発可能性責任配列の回避:熱安定性(疎水性コア、電荷クラスター残基など)、化学的安定性(脱アミド化および異性化)、溶解性(表面疎水性など)ならびに不均一性(グリコシル化)など、開発可能性の問題を引き起こし得るいくつかのアミノ酸からなる配列が存在する(Tomoyuki Igawaら、mAbs,2011年)。これらの系統または系統対を選択することは避ける必要がある。
【0133】
選択基準は、上記の優先因子の組み合わせであってもよい。
【0134】
選択された系統配列または配列対は、DNA合成のために使用され、VHH、scFv、Fab、HcAb、ラクダ科IgG1、およびヒトFcキメラなどの発現ベクターに構築される。
【0135】
場合によっては、選択されたVHH系統および選択されたVH1/VL1系統の対が両方とも同じナイーブB細胞起源を共有することもある。
【0136】
別の態様では、最初の選択ラウンドで同じ上位ランクの系統対内でより多くの対(例えば、VHHの場合は70配列、VH1-VκまたはVH1-Vλの場合は30配列対)が遺伝子合成、バインダースクリーニングおよび生物活性試験のために選択される。これは、VH1-VκまたはVH1-Vλの代表的な配列対が、最適な対を同定する前に、より多くの組み合わせ試験を必要とするためである。
【0137】
最初の100抗体により所望の結果が得られない場合、次の上位ランク100系統のより多くの配列および配列対(例えば、VHHの場合は70配列、VH1-VκまたはVH1-Vλの場合は30配列対)が、遺伝子合成、バインダースクリーニング、および生物活性試験のために選択される。
【0138】
この方法の有意性により、広範なエピトープを高解像度で網羅するための試験のために、各系統から代表的な配列を体系的かつ関係的に選択することができる。これにより、次の状況での抗体の発見が改善される。
a)最良の親和性、特異性、および開発可能性のための候補の大規模なプールを用いた治療用抗体の発見;
b)並行用途および他の用途でのコンパニオン診断抗体の発見;
c)二価および多価抗体の構築および開発;
d)抗体の重鎖と軽鎖との対の発見。
【0139】
同じエピトープに結合する抗体は、系統関連配列によって同定できる(
図8に示す)。
【0140】
CDR1およびCDR2が他の結合特性の決定に多少関与している一方で、CDR3配列がエピトープへの結合の主な決定因子であることはよく認識されている。各系統からリード(例えば、
図8で@および+でマークされている)をスクリーニングした後、親和性、特異性、機能性、生産性、および開発可能性などの異なる特性を備えたより多くの候補を同定して、最も望ましい抗体の試験を行い、選択することができる。これは、同じ系統からの抗体は、同じまたは類似のエピトープを認識するとされているためである。このステップは、さらなる抗体薬物開発のための大きい候補プールを構築する補助にもなる。
【0141】
同じナイーブB細胞の起源を共有する約10~20%のVHHおよびVH1が存在し得る。最初の選択ラウンドから選択されたVHHの配列は、VHHと同じV(D)J配置を有するVH1を同定し、さらに選択するためにVH-VL対をさらに試験する補助となり得る。選択基準としては、
1)CDR1および/またはCDR2の差>2aa(アミノ酸);
2)FR1および/または2および/または3および/または4の差>2aa;
3)VHHと従来のVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する配列;
4)VλおよびVκの両方と対形成できるVH配列、が挙げられる。
【0142】
選択された配列または配列対は、DNA合成のために使用され、VHH、scFv、Fab、HcAb、ラクダ科IgG1、およびヒトFcキメラなどの発現ベクターに構築される。
【0143】
最良の抗体が同定されるまで、より多くの配列および配列対を選択でき、残りのクローンはさらなる候補のプールとして保持される。
【0144】
系統分析によるVHH(VHH2およびVHH3)、VH1-VκおよびVH1-Vλのヒト化。
【0145】
従来のVHと同じナイーブ細胞を共有する非古典的VHH遺伝子であり、これは、(1)VHH系統をサブグループ化すること、(2)同じまたは類似のエピトープを認識するHcAbおよび従来のIgGを選択すること、(3)HcAbおよび従来のIgGの両方のヒト化を促進することにとって有用である。
【0146】
VHHドメインは典型的には、ヒトタイプ3VHドメイン(VH3)と高い配列同一性を示し、これにより、それらの低い免疫原性が説明される(Cortez-Retamozo V,Int J Cancer.98(3):456-62,2002年)。さらに、従来の抗体のラクダ科動物VH
1、Vλ、およびVκドメインも、配列および構造の両方で、それらのヒト対応物と有意な相同性を示す(Alex Klarenbeekら、mAbs 7:4,693--706;2015年)。
図9。公知のとおり、同じ系統グループ内の配列は、同じまたは類似のCDR3配列を共有し、同じエピトープを認識する。機能スクリーニングにより、CDRおよびFRなどの可変領域内のこれらのアミノ酸を同定することができ、これらのアミノ酸は系統内で異なっていても同じ生物学的機能を構成するため、置換可能である。したがって、これらの耐性位置をヒト生殖細胞系抗体アミノ酸で置換することができ、置換可能なアミノ酸は、より良好なヒト化のためにCDR領域内にさえあり得る。
【0147】
さらに、前述のとおり、これらの非古典的VHH(FR2親水性アミノ酸を除く)は、従来のVH1と同じIGHV3またはIGHV4、DおよびJ遺伝子の遺伝子座に由来し、これらのグループ内のVHHとVH1配列と間の系統構造は類似しており、系統分析を介して互いのヒト化設計をさらにサポートすることができる。
医薬製剤
【0148】
別の態様では、本発明は、医薬的に許容される担体と一緒に配合された、本発明のモノクローナル抗体の1つもしくは組み合わせ、またはその抗原結合部分(複数可)を含む組成物、例えば、医薬組成物を提供する。そのような組成物は、(例えば、2つ以上の異なる)抗体の1つもしくは組み合わせ、または本発明の免疫コンジュゲート体または二重特異性分子を含み得る。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するか、または相補的活性を有する抗体(または免疫コンジュゲート体または二重特異性抗体)の組み合わせを含むことができる。
実施例
【0149】
実施例1:B細胞単離および増幅(BIA)/NGS配列分析および単一B細胞法を使用した、抗原に特異的に結合するVHH抗体のグループの同定。
【0150】
1A.BIA/NGS
材料および方法
BIA
【0151】
A1.CD40L発現EL4.IL-2-Cの構築
細胞株TIB-181(EL4.IL-2)を、American Type Culture Collectionから入手し、ヒトCD40LをコードするcDNAを含み、ヒトCD40Lの発現をもたらすpCMV-6ベースのベクターで安定的にトランスフェクトした。安定した細胞株を選択し、フィーダー細胞としてマイトマイシンで処理した。
【0152】
A2.アルパカ馴化培地
非免疫アルパカを屠殺し、アルパカ馴化培地の調製のために脾細胞を単離する。10%FBS、フィトヘマグルチニン(PHA)、およびホルボールミリステートアセテート(PMA)を含む活性化培地を調製する。4x108脾細胞を活性化培地中のT175フラスコに懸濁し、37℃、5%CO2で48時間インキュベートする。インキュベーション後、上清を収集し、アルパカ馴化培地としてろ過する。
【0153】
A3.動物の免疫
0.5mL PBS中の抗原(例えば、400μgキーホールリンペットシアニン(「KLH」)は、0.5mLの完全フロイントアジュバントで乳化する。乳化抗原は、アルパカの首および背中に沿って皮下注射する。約200μL(またはそれ以下)の5回の注入が実施される。免疫は14日間隔で3回行う。
【0154】
A4.異なる臓器からのリンパ球の単離
血液からPBMCを単離するために、免疫させたアルパカからのEDTA含有血液サンプルを、2%FBSを含む1xDPBSで2倍に希釈する。次に、密度遠心分離のために、希釈した血液をゆっくりとFicoll-PaquePLUS密度勾配培地に入れる。上層を除き、リンパ球層を清潔な遠心管に移す。次に、PBMCを1xDPBSで2回洗浄する。
【0155】
脾臓からリンパ球を単離するために、免疫させたアルパカからの脾臓を1xDPBSで洗浄し、清潔なディッシュに入れる。ほとんどのリンパ球が放出されるまで培地を注入することによって脾臓をバルーンにより膨張させる。次に、20ccの注射器の底を使用して、脾臓を細かく破砕させる。破砕時に多くの力を使用することは、リンパ球の可能な限り最高の収量を得る助けとなる。放出された細胞はすべて、穏やかな遠心分離(例えば、1400rpm)によって収集される。上清を吸引した後、赤血球溶解緩衝液のペレットの5倍量を添加して、サンプルを少なくとも4分間静置する。次に、RPMI1640培地を添加して溶解を終了させる。次にリンパ球を1xDPBSで2回洗浄する。
【0156】
リンパ節からリンパ球を単離するために、腸間膜リンパ節および鼠径部リンパ節を免疫させたアルパカから収集する。リンパ球は、RPMI1640培地でリンパ節を粉砕することによって放出される。細胞は細胞メッシュを通過させて、遠心分離によって収集する。ペレットの5倍量の赤血球溶解緩衝液をサンプルに添加し、サンプルを少なくとも4分間静置して、RBCを除去する。次に、RPMI1640を添加して、赤血球の溶解を停止させる。次にリンパ球を1xDPBSで2回洗浄する。
【0157】
骨髄からリンパ球を単離するために、免疫させたアルパカの脛骨および橈骨を骨の両端で開き、骨髄を採取する。RPMI1640培地で骨髄を粉砕することにより細胞が放出される。細胞は、細胞メッシュを通過させ、遠心分離によって収集する。ペレットの5倍量の赤血球溶解緩衝液を添加し、サンプルを少なくとも4分間静置して、RBCを除去する。次に、RPMI1640培地を添加して溶解を停止させ、リンパ球を1xDPBSで2回洗浄する。
【0158】
A5.非特異的細胞の枯渇
収集した細胞を、10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、0.05mM 2-メルカプトエタノールを含むRPMI1640培地に再懸濁し、1M/mLの細胞懸濁液を得る。マクロファージおよび単球をプレート表面に非特異的に接着させるために、細胞を6ウェル培養プレートで37℃で1時間プレインキュベートする。プレインキュベーション後、非結合細胞を収集してカウントする。
【0159】
A6.B細胞パニング
収集した細胞を、10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシンで再懸濁し、100万/mLの細胞懸濁液を得る。細胞は、特定のB細胞パニング用の抗原でプレコートした10cmディッシュあたり500万で、37℃で1.5時間インキュベートさせる。インキュベーション後、浮遊細胞が数個しか見つからなくなるるまで、播種した細胞をRPMI1640培地で2~10回洗浄する。非結合細胞をすべて収集してカウントし、カウントをAlと指定する。
【0160】
A7.In vitroでのB細胞培養
パニングによって保持されたB細胞を含むディッシュに20mLのB細胞培地を添加する。B細胞培地には、10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、10%アルパカ馴化培地、様々な成長因子(例えば1つ以上のインターロイキン)(1~50ng/mlの濃度)、2.5M MMC前処理済みフィーダー細胞(EL4.IL-2-C3、アルパカCD40Lを発現)を含む必要がある。品質管理試験における対照として、B細胞のみおよびフィーダー細胞のみのディッシュも培養する。細胞は、5%CO2で8~10日間培養する。
【0161】
A8.細胞収集およびQC
10日目に、B細胞培養物の50μL上清をELISAに使用して抗体分泌の試験を行う。共培養ディッシュ内のすべての細胞を収集し、カウントする。この数はA2と見なす。フィーダー細胞のみのディッシュ内の細胞を収集し、カウントする。この数はA3と見なす。B細胞増幅倍率(BCAF)は、次式により算出する:
BCAF=(A2-A3)/(5M-A1)
【0162】
A9.NGSライブラリーの構築
各パニングからのB細胞を使用して、NGScDNAライブラリー構築用の鋳型RNAを調製した。配列濃縮を算出するために、パニング前にB細胞を使用するライブラリーも構築した。
i.RNA単離
【0163】
TRIzol法を使用して共培養B細胞からRNAを抽出する。
【0164】
培養B細胞は、繰り返しピペッティングするか、シリンジおよび針を通過させることにより、TRIZOL試薬によって溶解させる。0.5-1x106セルあたり1mlの試薬を使用する。20%クロロホルムを添加し、管を約15秒間撹拌させる。水相はピペットを使用して注意深く除去する。等量のイソプロパノールを水相に加え、穏やかに混合する。サンプルを最大速度(12,000rpm)で10分間遠心分離させる。イソプロパノールを除去し、ペレットを1ml 75%エタノール/DEPC処理水で洗浄し、穏やかに混合する。ペレットを7,000rpmで1分間再度遠心分離させ、RNAを、約70μlのRNaseフリー水中で回収する。
【0165】
ii.逆転写
0.2mLPCRミックスでは、異なるプライマー(ランダム6mer、オリゴdTおよびAI.CH2+AI.CH2.2)をそれぞれ使用して、8つの反応を増幅させる。RNA-プライマーミックスを65℃で5分間加熱し、次いで氷上で少なくとも1分間インキュベートする。RT反応ミックスを調製し、逆転写を30℃で10分間、42℃で50分間、75℃で15分間行う。
【0166】
iii.cDNA増幅PCR
逆転写からの約2μlのcDNAは、25μlの2xPrimer starミックス、18μlのRNaseフリーdH20、1μlの各プライマーNGS-リーダー1_L(GCAGTGGCTGCAGGTGTCCACTCG-配列番号63)、NGS-リーダー2_L(GCAGGTCCCCAAGGTGTCCTGTCC-配列番号64)、NGS-リーダー3_L(GGTGGTCCTGGCTGCTCT-配列番号65)、NGS-ヒンジl_L(TTGTGGTTTTGGTGTCTTGGG-配列番号66)およびNGS-ヒンジ2_L(GGGGTCTTCGCTGTGGTGCGC-配列番号67)を含む50μlのPCR反応の鋳型として使用し、次のサイクルを行った:98℃で3分間、20サイクル(98℃で15秒間、58℃で30秒間、72℃で30秒間)、72℃で3分間。得られたアンプリコンは、TIANGEN(登録商標)PCR精製キットを使用して、300bp以上のサイズのカットオフで製造業者の指示に従って精製する。
【0167】
iv.インデックスPCR
各アンプリコンサンプルは、25μlの2xPrimer starミックス、18μlのRNase Free dH20、1μlの各プライマー対(P5-seqFおよびP7-indexl-seqRなど)、および100ngの鋳型としての第1ラウンドPCRを含む、第2の「タグ付け」50μl PCR反応で個別にバーコードが付けられ、次に、以下のサイクルを行った:98℃で30秒間、12サイクル(98℃で10秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間);72℃で5分間。最後の3つのアンプリコン(3つの異なるリバースプライマーに由来)をプールして、TIANGEN(登録商標)PCR精製キットを使用して、1.5%(w/v)アガロースゲルから精製する。
【0168】
A10.NGSデータ分析
増幅させたcDNAは、MiSeq Sequencing System(lllumina,Miseq,300x2)を使用して配列決定する。各サンプルから、1~300万回のリードが生成される。データは、NGSQCツールキットを使用して品質確認し、FLASHを使用してアセンブルする。アセンブルされた配列はタンパク質配列に変換し、CDR1、CDR2、およびCDR3領域(IMGTの番号付けに基づく)を計算によって同定する。配列は、
図4に示すとおり、同じCDR3の長さ、1以下のCDR3ハミング距離、および同じマッピングされたV/J生殖細胞系列に基づいて、系統/グループにクラスター化させる。配列は、同じCDR3の長さと80%以上のCDR3の同一性に基づいて、さらにサブグループ化して、クラスター化させる。例えば、系統は、少なくとも12アミノ酸のCDR3の長さ、0または1のCDR3ハミング距離(参照配列と比較して)を有し、また同一のV/J領域アミノ酸配列を有するクローンによって定義され得る。配列または配列グループの濃縮スコアは、パニングの前後にB細胞から構築されたライブラリー間の頻度の比率を使用して算出する。
【0169】
代表的なクローン(20以上)は、
図7に示すとおり、系統優先因子に基づいて異なる系統から選択され、それらが産生する抗体は、ELISA、FACSなどの様々な結合アッセイで試験が行われる。異なる系統から選択されたクローンは、典型的には、標的タンパク質の異なるエピトープに結合することがわかっている。既存のクローンを最適化するために、
図8に示すとおり、同じ系統からさらなるクローンを選択できる。系統内から選択されたクローンは、典型的には、同じエピトープの異なる部分に結合することが示されている。
【0170】
選択A:クラスター内で最も数の多いクローンを選択する。
以下のスクリーンショットに示すとおり、クラスターC328は、濃縮後に357倍の頻度の増加を有する。クラスター内の上位のクローンであるNBL505-A1L1-P3R3_355は、さらなる試験のために選択するのに良い選択肢である。
【表1】
【0171】
選択B:濃縮スコアが最高であるクローンを選択する。
濃縮前後のライブラリー内の配列を比較することにより(例えば、パニングまたはフローソートによって)、濃縮前後の配列頻度に基づいて濃縮スコアを計算することができる。機能的なVHHを分泌するクローンを選択する機会を増加させるために、濃縮スコアを使用してクローンの選択に優先順位を付けることができる。以下のスクリーンショットでは、濃縮率に基づいてクローンNBL505-A1L2-P3R2_5559が選択されている。
【表2】
【0172】
1B.単一B細胞
B1.免疫させたアルパカPBMCからのAg特異的単一B細胞の選別
【0173】
末梢血単核細胞(PBMC)は、免疫されたアルパカからフィコール密度勾配遠心分離(GE)によって得られ、免疫染色のために200x106の細胞を含む管に分割する。細胞をMACS緩衝液(PBS+2%FBS+2mM EDTA)で5μg/mLに希釈した200μLKLH-ビオチンと共に4℃で30分間インキュベートした後、5mlの氷冷MACS緩衝液で2回洗浄する。次に、細胞をウサギ抗ラマIgG(FI&L)、APC-ストレプトアビジンおよび生/死色素で染色する。次に、染色したサンプルをMoflo Cell Sorter Cytometer(Beckman)で収集し、単一のlgG+、KLFI+、生+の細胞を8μL溶解緩衝液(Tiandz)、1mM dNTP(Takara)、3.75μMランダム6mer(Takara)を含む10μL緩衝液およびウェルあたり1.25μMオリゴdTプライマー(Takara)の入った個々のPCR管に収集した。
【0174】
B2.単一細胞RT-PCRおよびB細胞クローニング
収集した抗原特異的アルパカB細胞を回収管内で溶解させ、65℃で5分間加熱させる。4℃まで冷却後、溶解した単一細胞からのトータルRNAは、最終容量20μLの4μL 5xPrimeScipt II緩衝液(Takara)、20U RNase阻害剤(Takara)、200U PrimeScript II RTase(Takara)、4.5μLRNaseフリー水(Takara)中で30℃、10分の初期ステップの後、42℃で50分間逆転写させて、ランダムヘキサマーハイブリダイゼーションを可能にする。72℃で15分間インキュベートすることにより反応を停止させる。
【0175】
次に、再配列された重鎖(HC)遺伝子座、ラムダ(LCλ)またはカッパ(LCκ)軽鎖遺伝子座の可変領域は、2ラウンドのネステッドPCRによって各単一細胞cDNAから個別に増幅される。可変セグメントについて、3μLのcDNAに対して、HCについては98℃で5分間、98℃で15秒間、55℃で1分間(LCκでは62℃、LCλでは58℃で)、72℃で1分間のPCRの第1ラウンドを40サイクル実施し、次いで、最終伸長ステップを2X PrimeStar MAX緩衝液(Takara)および100nMのプライマー/40μLの反応容量中、72℃で7分間実施する。4μLの第1の増幅産物は、第2のPCRラウンドによってさらに増幅させた。PCRプロトコルの第2のラウンドは、98℃で5分間の変性ステップ、40回の増幅サイクル(98℃で30秒、HCでは58℃で30秒、LCκでは62℃、LCλでは58℃、および72℃で1分)、および最終ステップ、72℃で7分間から構成され、2X PrimeStar MAX緩衝液(Takara)および100nMのプライマー/50μLの反応容量を用いて行う。各単一細胞からのPCR産物は、1.5%アガロースGelRedゲルで検出される。各ウェルからのPCR産物は、市販の精製キット(Tiangen)によりろ過して精製した。
【0176】
ライゲーションは、10μLのGenbuilderおよびクローニング-リガーゼ(Genscript)、100ngの消化され精製されたPCR産物、および100ngの線形化ベクターを含む総量20μL中で実施する。エレクトロコンピテント大腸菌上位10の細菌(TOP10 bacteria)は、20μlのライゲーション産物で形質転換させる。コロニーは、フォワードプライマーとしてPET-SEQ-F(TGCTGGTCTGCTGCTCCTCGC-配列番号68)およびリバースプライマーとしてPET-SEQ-R(ACCGTCTATCAGGGCGATGG-配列番号69)をそれぞれ使用するPCRによってスクリーニングする。予想されるインサートバンドは、長さ約700bpである。コンセンサス可変遺伝子配列が確実に同定されるように、各プレートについて、10のコロニーからのプラスミドDNAが単離され、配列決定される。
【0177】
上記の単一B細胞選別法および精製された上皮成長因子受容体を抗原として使用して、それぞれが高親和性でEGFRに特異的に結合するVHH抗体を発現する11のクローンのグループを同定した。
図10を参照のこと。
【0178】
上記のパニングB細胞濃縮法および抗原としてメソセリン(MSLN)を使用して、系統およびCDR3の長さを含むNGSデータから、同一性グループ化方法を使用して、クローンのセットを選択した。ライブラリー内で最も豊富な12配列のクローンのうち、7クローンが強力なMSLNバインダーであることが示された(以下の表1を参照のこと)。重要なことに、MSLNは3つのドメインから構成されており、また5つのMSLN結合クローンの抗体は、MSLNのドメイン1のエピトープに特異的に結合する。さらに、選択されたクローンのうちの1つの抗体は、ドメイン2に特異的に結合し、クローンの1つの抗体はドメイン3にのみ特異的に結合する。したがって、系統のグループ化および選択を行う1回の作業で、完全長抗原の広域スペクトルのエピトープを認識するクローンを同定できる。これにより、抗原結合の異なる条件の治療においてクローンを選択するより多くの機会がもたらされるか、または二重特異性の組み合わせについて、より多くの選択肢がもたらされるであろう。さらに、この方法では、抗原-リガンド複合体のブロッカーまたは非ブロッカーとして挙動することが示されているクローンを同定することもできる。例えば、7つのMSLN結合クローンの中で、MSLNのドメイン2または3のいずれかに結合するが、MSLNへのCA125の結合を阻害しない2つのクローンからの抗体が同定される。対照的に、5ドメイン1エピトープバインダーは、CA125がMSLNに結合するのを防ぐことが示されている。本開示の方法は、広範囲のエピトープを高解像度でカバーするために、試験のために体系的かつ関係的に抗体を効率よく選択することができる。
【表3】
【0179】
抗原特異的抗体を産生するクローンの同定のさらなる例において、抗KLH抗体を産生するクローンは、以下の手順によって発見した。
【0180】
抗原特異的B細胞の単離およびこのさらなる実験では、1つのアルパカ(名前#009)を、市販のKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)を用いて、200μg KLH/完全フロイントアジュバントで1回免疫させ、次に2週間ごとに100μg KLH(sigma)/不完全フロイントアジュバント(Sigma)で免疫させる、標準的免疫レジメで、免疫させる。連続希釈サンプルのELISAによる抗血清の評価後、製造業者の指示に従って、Ficoll-Paque密度勾配法(GE)を使用して末梢血単核細胞(PBMC)を単離するために、100~200mLの血液を採取する。単離されたPBMC(生存率>95%)は、完全なRPMI1640培地に再懸濁され、106/mLの細胞懸濁液を得る。4mLのPBMC懸濁液を6ウェルプレートの各ウェルに加え、1時間インキュベートして、非特異的結合細胞を捕獲する。次に、非結合細胞を収集し、完全なRPMI1640培地で106/mLに再懸濁させる。細胞懸濁液5mLを、抗原でプレコートした10cmの高結合ペトリディッシュ(タンパク質結合容量>500ng/cm2)に、50rpm、37℃で穏やかに振とうしながら1.5時間添加する。インキュベーション後、非結合細胞を1xDPBSで2~10回洗い流して、非特異的結合細胞を除去する。B細胞培地に再懸濁したマイトマイシン処理EL4.IL-2-C3フィーダー細胞(安定してアルパカCD40Lを発現)を、B細胞in vitro共培養用に0.5x106細胞/mLでディッシュに添加する。最終容量は、各10cmディッシュに20mLである。B細胞共培養培地には、10%FBS(ウシ胎児血清)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、アルパカブランクPBMCの培養物からの10%アルパカ馴化培地、および様々な成長因子、例えば1つ以上のインターロイキンが1~50ng/mlの濃度で含まれている。
【0181】
10日間の共培養後、50μLの上清をELISAに使用して、抗体分泌およびKLH免疫原への結合の特異性について試験を行う。その間、共培養された細胞を収集し、総細胞数をカウントする。B細胞の単離および増幅後のB細胞の増幅は、総細胞数からフィーダー細胞対照の細胞数を引いて算出する。この濃縮された細胞数を最初に添加された細胞量と比較するために、抗原特異的B細胞の増幅を算出することができる。
図11に示すとおり、5つの異なる共培養ディッシュのB細胞は、一貫した抗原特異的VHH抗体分泌を示した。PBMC中の抗原特異的B細胞は、B細胞の単離および増幅(BIA)後に4~6倍に増幅された。
【0182】
BIA後、共培養細胞のmRNAを使用して3つのNGSライブラリーが構築される。逆転写には、オリゴdT、ランダムヘキサマー、CH2特異的プライマーがそれぞれ使用される。(Maass DR,Sepulveda J,Pernthaner A,Shoemaker CB.Alpaca(Lama pacos)as a convenient source of recombinant camelid heavy chain antibodies(VHHs).J Immunol Methods.2007年;324(l-2):13-25.)。次に、これらのcDNAを2ラウンドのPCR反応にかける。これら3つのライブラリーはすべて、Genscript(Nanjing,China)に送信され、MiSeq Sequencing System(Illumina、Miseq、300x2)で、サンプルごとに400~500万回の読み取りで30%PhiXゲノムDNAスパイクを使用して配列決定した。データはNGSQC Toolkitを使用して品質確認し、FLASHをアセンブルする。配列は、
図4に示すとおり、同じCDR3の長さ、1以下のCDR3ハミング距離、および同じマッピングされたV/J生殖細胞系列に基づいて、系統/グループにクラスター化させる、配列は、同じCDR3の長さと80%以上のCDR3の同一性に基づいて、さらにサブグループ化して、クラスター化させる。各ライブラリーに対して、800を超えるグループが生成された。ここでは、いくつかの系統優先因子:配列存在量、古典的VHH対非古典的VHH、およびCDR3の長さを適用して、これらのグループからクローンを選択する。20の異なるグループから20のクローンが選択され、それらの合成、発現、および精製が行われる。選択したクローンに関連するバイオインフォマティクスデータを以下の表2から4に示す。選択されたクローンのそれぞれによって発現する抗体の完全なアミノ酸配列は、各ドメイン(FR1、CDR1など)の連続配列として得られる。
【表4】
【表5】
【表6】
【0183】
抗体の抗原特異的結合の検証は、ELISAによって行う。ライブラリーは、サブグループ化シグネチャ(配列存在量、古典的VHH対非古典的VHHおよびCDR3の長さ)に基づいて調査される。この実施例では、各クラスターから1つのクローンのみが選択される。この例では、選択されたクローンのほとんどが、非古典的VHHではなく古典的VHHを生成する。この例では、通常のVHH配列よりもCDR3内にジスルフィド結合のさらなる対を有する1つのクローンと同様に、長いヒンジ配列および短いヒンジ配列の両方を有するアミノ酸配列が選択されたクローンに含まれている。このようなクローン選択戦略により、結合活性を有するクローンの選択において100%の成功率を達成した。ELISAアッセイに示すとおり、選択された20のクローンすべてがKLH抗原KLHに対して特異的な結合活性を示した(
図13に示す)。それらの18は、0.465nmの平均結合ECを有していた(外れ値としての番号6および番号9を除く)。3つのクローン(番号1、3、および13)は、それぞれ67、77、および72pmol/LのEC50を有する強力なKLHバインダーであることが示されている。リードのほとんどは、ナノモル以下の効力を有することが示されている。したがって、強力なKLH結合抗体を分泌するクローン化されたB細胞は、BIAおよびNGSにより同定できる。CDR3の長さと結合活性との相関結果を確認するために、異なるCDR3の長さを有するクローンをリストに含めている。見られる最短のCDR3の長さは9アミノ酸であるが、最長のCDR3の長さは21である。20のVHH抗体の平均CDR3長は、16アミノ酸である。
図42に示すとおり、CDR3の長さとクローンELISA活性との間に正の相関が見られる。
【表7】
【0184】
実施例2:エピトープ予測によるPD-1:PD-L1複合体形成をブロックする抗体の発見
実験的アプローチの概要
リガンド:受容体結合相互作用(複合体形成)をブロックする抗体を発見するためのワークフローを
図14に示す。このワークフローは、計算または結晶学的方法による、リガンドおよび受容体の三次元構造、ならびに/またはそれらの複合体の構造の同定から開始する。結合界面を形成する受容体およびリガンドの両方の部分は、「ドッキングされた」タンパク質の界面を調べることによって決定できる。結合した複合体を確立するかまたは安定化させるために相互作用するアミノ酸は、構造を調べることによって決定することができる。界面でアミノ酸を変化させ、そのような変化が複合体の結合強度に及ぼす影響を調べる実験からのデータは、相互作用して複合体を形成し、安定化させるアミノ酸の決定に寄与し得る。
【0185】
複合体の界面にあるリガンドまたは受容体の2~4アミノ酸の短い直鎖アミノ酸配列部分が選択され、次にNGSアミノ酸配列ライブラリーを検索して、配列のCDR部分、好ましくは抗体配列のCDR3部分内で選択された短いアミノ酸をコードする抗体cDNAクローンを同定する。NGSデータベースからCDR3配列を検索するためのキーワードとして、2~4アミノ酸長のスクリーニングペプチド配列を設定し、満足のいくVHH配列およびその存在量を得る。
【0186】
選択された存在量のしきい値を超えてNGSライブラリーに存在すると同定された配列は、遺伝子合成のために選択され、ヒトIgG4-FCタグと融合したHEK293細胞内で発現される。発現されたタンパク質は精製され、機能テスト、例えば抗原結合およびPD-1:PD-L1複合体形成の阻害についての機能テストを行う。
【0187】
PD-1/PD-L1構造解析
PD-1/PD-L1複合体の構造は、PDBデータベース(PDB ID:4ZQK)からダウンロードした。PYMOLソフトウェアは、構造解析に使用する。構造は、PD-L1がPD-1の2つのペプチドをカバーしていることを示した(
図15)。黄色のペプチドは、SFVLNWYRMSPSNQTDKLAA(配列番号141)であり、黄色のペプチドは、YLCGAISLAPKAQIKESLR(配列番号142)である。PD-1/PD-L1結晶構造で観察される極性接触残基領域が選択される。PD-1とPD-L1との間の極性接触は、「作用-検索-極性接触-溶媒を除くその他(actions-find-polar contacts-to others excluding solvent)」を用いてPYMOLに表示される。
【0188】
図15は、PD-1:PD-L1複合体(複合体のデータは公開されている-タンパク質データベースID番号:4ZQK)および複合体形成を阻害する可能性のある「ブロッキング」ペプチドであるPD-1の2つの隣接ペプチドの界面を示している。
図16は、PD-1タンパク質と2つの隣接するペプチドと間の相互作用分析の結果を示している。それらの複合体の界面でPD-1のSFV....SLRペプチドとPD-L1のAFT...RITペプチドとの間で相互作用するアミノ酸は、接続線によって同定される。
【0189】
上記の分析により、PD-L1の極性接触残基が決定され、それらはF-D-Q-ADYKRである。F-D-Q-Aには非常に長いアミノ酸間隔(>2アミノ酸)があるため、ペプチドADYKRのみが選択戦略に適合する。VHHの選択には、2~4のアミノ酸ペプチドが選択される。次に、ペプチドADYK(配列番号145)、DYKR(配列番号146)、ADY、DYK、YKR、AD、DY、YKおよびKRをNGSデータベースからのスクリーニング基準に設定する(表2)。
【0190】
様々な抗体によって複合体形成したPD-1の追加の構造が利用可能であり、PDBデータベースからダウンロードして、上記と同じ方法で分析する。PD-1と様々な抗PD-1抗体との複合体、および上記の複合体の相互作用分析によって潜在的なブロッキングペプチドとして同定された短いペプチドを表6に示す。
【表8】
【0191】
VHH内のCDR3は抗原への主な結合領域であり、VHH抗体内ではCDR3部分が従来の(VHVL)抗体内でのCDR3部分よりも長く、CDR3が長いほどVHH抗体に大きな結合領域が提供されるため、CDR3配列に注目が集まっている。スクリーニングペプチドを含むCDR3配列は、NGSデータベースから抽出され、それらの存在量をカウントして、反復配列を排除した。NGSデータベースの検索には2~4のアミノ酸が適切であることがわかっている。2つのアミノ酸では短すぎる可能性があり(その結果、ヒット数が管理不能になる)、4つのアミノ酸では、選択肢の数を過度に制限し得る。したがって、NGSデータベースを検索するために3つのアミノ酸ストリングを選択した。
【0192】
以前の刊行物には、ファージ表面VHHディスプレイライブラリーのパニングによる抗体発見のためのプロトコルが記載されている。しかし、この方法では、ライブラリー内で存在量の多いVHHクローンのみが取得される傾向があり、結果として、存在量の少ないVHHが失われる。様々なスクリーニングペプチドストリングを使用したキーワード検索に基づいて、様々な存在量(選択されたアミノ酸配列をコードするDNAを保持しているすべてのクローンの割合)の一連のVHH配列がNGSデータベースから選択される。異なる存在量を有する選択されたクローン内にコードされているアミノ酸配列のCDR3部分を表7に示す。
【表9】
【0193】
NGSデータベースからのCDR3配列の選択
アミノ酸長が2~4の一連のスクリーニングペプチドを決定した。CDR3にはスクリーニングペプチドが含まれ、PD-1と結合してPD-L1をブロックし得ると考えた。VHH内のCDR3は、抗原との主要な結合領域であるため、従来の抗体よりも長く、CDR3が長いほどVHHに大きな結合領域がもたらされる。スクリーニングペプチドを含むCDR3配列は、NGSデータベースから抽出され、反復配列を一掃するためにそれらの存在量をカウントした。スクリーニングペプチドが異なるため、2~4アミノ酸が適切であることがわかったが、説明が必要なのは、2AAは短すぎる可能性があり、4AAでは選択数が制限され得るため、3アミノ酸長のスクリーニングペプチドが最良の選択肢であった。
【0194】
抗体の発現および精製
選択されたVHH抗体配列をコードする核酸が合成され、(G4S)3リンカーを含むIgG4-FCタグと融合させたpCDNA3.4ベクターに挿入させる。組換えプラスミドは、配列決定によって確認される。次に、VHH-FCコンストラクトをHEK293細胞内で形質転換させる。形質転換された細胞を5~7日間培養して、組換えタンパク質を得る。次に、組換えVHH抗体をろ過した培養上清から精製する。得られた抗体のタンパク質濃度は、280nmでのUV吸光度によって測定する。精製された組換え抗体の純度は、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲルのクーマシー染色(SDS-PAGE)および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価する。
【0195】
ELISA結合アッセイ
ELISA結合アッセイのために、2μg/mlのPD-1タンパク質を96ウェルプレートに一晩コーティングさせる。組換えVHH-FCタンパク質をウェルに加え、一定時間放置した後、検出抗体として1μg/mlのHRPコンジュゲート抗FC抗体を加え、アッセイ試薬を加える。吸光度は450nmで読み取る。ニボルマブの結合は陽性対照として機能し、BSAでコーティングされたプレートは陰性対照群として使用する。
【0196】
ELISAブロッキングアッセイ
96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルは、2μg/mlのPD-1タンパク質/PBSでコーティングされ、1%BSAでブロックする。5μg/mlの濃度の精製VHH-FCタンパク質を各ウェルに添加する。
【0197】
次に、2μg/mlのビオチン標識PD-L1タンパク質を各ウェルに添加する。PD-L1タンパク質は、HRPコンジュゲート抗ヒトIgGおよびTMBを基質として検出される。発色した色の強度は、450nmで測定する。PD-1未添加ウェルおよびVHH-FC未添加ウェルは、それぞれ陰性対照および陽性対照である。
【0198】
30のクローンを選択し、選択したクローンからVHH抗体を精製する。上記のとおり、発現および精製のために30のクローンを選択する。19のクローンが組換えVHH抗体の良好な発現を示した。
【0199】
19のクローンから精製されたVHH抗体は、上記のとおりELISAによって、PD-L1への結合について、およびPD-1:PD-L1複合体の形成の阻害について評価する。結果をそれぞれ表8および表9に示す。
【表10】
【表11】
【0200】
1194-z0-IgG4は、PD-1:PD-L1複合体形成をブロックする活性を有することが知られている陽性対照抗体である。NBL507-BMK2-H4-IgG4は、陰性対照として使用される無関係な抗体である。
【0201】
選択したクローンのうち7つは、PD-1に結合する実質的な活性を有するVHH抗体を産生し、PD-1:PD-L1複合体形成をブロックする活性の試験を行うために、最も強い結合を有する5つを選択した。クローンSS5は、陽性対照1194-z0-IgG4よりも強い複合体形成阻害を呈することが見出されている。
【0202】
得られた結果から、少なくとも10コピー内で選択されたすべてのクローンの中で表されるCDR3配列を有する抗体を発現するクローンのコレクションは、抗原に特異的に結合し、特定のタンパク質結合パートナーとの抗原の複合体形成をブロックするであろうVHH抗体を発現する少なくとも1つのクローンを含む高い可能性を有すると考えられる。例えば、本明細書に開示の実験では、選択されたクローンの中で10コピーを超えるCDR3配列を有するクローンの100%が、PD-1に結合するVHH抗体を発現し、それらのうちの33%がPD-1のPD-L1への結合をブロックするであろうVHH抗体を発現する。対照的に、選択されたクローンの中で10コピー未満で存在するCDR3配列を有するクローンのうちの25%のみが、PD-1に結合するVHH抗体を発現し、選択されたクローンはいずれも、PD-1のPD-L1への結合をブロックするであろうVHH抗体を発現しない。
【0203】
上記のように実施された追加の実験では、発現および精製のために30のクローンが上記のとおりに選択される。19のクローンが、良好に発現している組換えVHH抗体を有することが示されている。これらのうちの7つはヒトPD-1への強い結合を示した。抗原結合VHH抗体を分泌するクローンを同定するための全体的な成功率NGSガイド付きクローン選択は37%である。
【0204】
実施例3:配列シグネチャおよびクローン選択規則の開発
BCMA免疫下の動物間の収束(重複)配列。この実験では、507-A1(Al)および507-A2(A2)という名前の2つのアルパカを、ヒト組換えBCMAタンパク質で免疫させる。動物A1およびA2は、同じ免疫レジメを使用して、同量の組換えヒトBCMAを受ける。固有のCDR3アミノ酸配列を有する93および40のVHH配列は、それぞれ動物A1およびA2の有望なリードとして発見される。動物間で、免疫およびクローン同定に関して二重盲検化されたクローンを選択すると、両方の動物が共有するCDR3配列を有する20の配列がある。表11は、両方の動物が共有する20の固有のCDR3配列を示す。
【表12】
【0205】
動物A1とA2のCDR3配列間の関係は、
図18にベン図として示す。
【0206】
VHH2(長いヒンジ)配列とVHH3(短いヒンジ)配列との間で共有される抗体配列。A1アルパカでは、長い領域または短いヒンジ領域のいずれかを有する6つのVHH配列を見出すことができる。
図19Aに示すとおり、249の配列の元のプールが見られ、そのうち135がヒンジ配列を有することが見られる。これら中に、長いヒンジ配列および89の短いヒンジ配列を有する26の非冗長配列が見られる。これらのうち、19の固有のCDR3配列は長いヒンジ配列を有し、53の固有のCDR3配列は短いヒンジ配列を有する。これらの2つのグループの中で、6つのCDR3配列が共有されていることがわかる。
【0207】
動物A2由来のクローンのアミノ酸配列の同様の考察では、
図20Aおよび20Bに示すとおり、長いヒンジのプールまたは短いヒンジのプールの両方でA2動物によって共有される2つの配列を同定する。
【0208】
全体として、A1およびA2動物の8つの配列は、長いヒンジ配列プールおよび短いヒンジ配列プールの両方内にあることがわかる。
【0209】
アルパカ(VH)とVHH2/VHH3との従来の抗体間の収束配列。ヒトBCMAへの良好な結合を示す2匹の動物から19の単鎖抗体が同定されている。驚くべきことに、1A1および1D2と名付けられた長いヒンジプールおよび短いヒンジプールによって共有される2つのVHH配列は、伝統的なVHレパートリーからのリードによっても共有される。異なるクラスの抗体によって共有される配列の数を
図21Aに示す。長いヒンジまたは短いヒンジのいずれかによって共有される8のVHHCDR3配列が
図21Bに示され、強調表示された配列はすべてのVH/VHH2およびVHH3によって共有される。
【0210】
共有されている配列は、強力なBCMAバインダーであることが示されている。重複する配列が好ましいシグネチャであるかを試験するために、VHH2およびVHH3によって共有される8つの収束VHHクローンによって発現される抗体を精製する。ELISAまたはフローサイトメトリーのいずれかにより、すべてが強力なBCMAバインダーであることがわかった。1A1および1D2と名付けられた
図21Bで強調表示された配列(配列番号117および118)は、VH抗体およびVHH抗体の両方によって共有されている。8つの収束VHH抗体は、BCMAを過剰発現する腫瘍細胞株RPMI8226の細胞に結合するが、BCMA発現が陰性である293T細胞には結合しない。ELISAでは、コーティング抗原としてHisまたはFcコンジュゲート結合ヒトBCMAのいずれかを使用して、同様の結果を示した(表12)。
【表13】
【0211】
重複配列シグネチャ。最後に、VH/VHH2/VHH3によって共有される2つの配列は、A1およびA2の両方の動物にも見られる(
図22を参照のこと)。したがって、複数の動物/VH/VHH生殖細胞系列に見られるこれらの配列を選択することは、それらの抗原への強力で特異的な結合を呈する抗体の有用なシグネチャであると考えられる。
【0212】
追加のシグネチャを裏付けるデータ。ヒトBCMAへの結合に対する古典的VHHおよび非古典的VHHの親和性を調べる。古典的VHHは、非古典的VHHよりも高い親和性を有する。結果を
図23に示す;P<0.05。
【0213】
追加のシグネチャ統計
FR2親水性領域:VHH抗体のほとんどでは、FR2は従来のIgGと比較して固有のアミノ酸置換を有する:37Phe/Tyr、44Glu、45Arg、および47Gly。
図24は、3つのライブラリー(それぞれ異なる抗原(NBL501(抗MSLN)、NBL504(抗PD1)、およびNBL602(抗KLH))に対する)VHH抗体のこれらのFR2固有のアミノ酸を有するクローンの割合を示している。驚くべきことに、これら3つのライブラリーのクローンのVHHレパートリー全体の最大8%に、この特定のFR2置換パターンが含まれていることがわかった。FR2固有の配列の37、44、45、および47位(Kabatの番号付け)での個々の置換の頻度も調査し、これらのデータを
図25に示す。
【0214】
興味深いことに、固有の配列置換は非常に多様化している。44位と45位では、GluおよびArgが優勢なアミノ酸であるが、37位および47位では可変である。NBL501抗MSLNプロジェクトでは、Tyr70%およびPhe10%が37位を占有していた。対照的に、抗PD1(NBL504)および抗KLHプロジェクト(NBL602)では、37Pheは70%に達し、37Tyrは約25%であることがわかった。47位にグリシンの代わりに一貫して高い割合のLeuが観察され、この位置にPheおよびTrpを有するクローンが有意な割合で存在する。シグネチャアミノ酸Glyは、この位置において頻度の10%未満のみを占有する。したがって、アルパカVHHFR2のシグネチャは、37Phe/Tyr、44Glu、45Arg、および47Gly/Leu/Pheとして提唱される。拡大CDR1およびCDR2:VHHは、CDR1の隣に追加の超可変領域(Kabatの番号付けによると残基27~30)を有する。この領域および長いCDR3領域を有するVHH抗体では、抗原と相互作用する表面積が増加する。しかし、このシグネチャを有する抗体は、多くの場合、確認されない。
【0215】
CDR2ドメインは、通常、5~9アミノ酸の長さを有する。しかし、多くのクローンには、14~17アミノ酸の長さを有する「長いCDR2」が含まれている。重要なことに、長いCDR2を含むVHHは、短いCDR2を含むVHHよりもそれらの抗原に対して、より高い結合親和性を有することがわかっている。3つの異なるライブラリーからの抗体からのELISAデータを
図27に示す。
【0216】
CDR3内の追加のジスルフィド結合:VHH抗体の約5~10%がCDR3ドメイン内に追加のジスルフィド結合を有する。これは、抗体が結合するエピトープが、短い長さの直鎖アミノ酸配列ではなく、抗原の三次元構造から形成されるより「コンフォメーション」の認識部位であることを示し得る。CDR3の約2~19%にジスルフィド内結合が含まれている。
図28は、CDR3ドメイン内に追加のジスルフィド結合を有する抗体の3つのライブラリーの比率を示す(追加のCys残基、すなわちCDR3内の2つのシステインアミノ酸として同定される)。NBL504抗PD1ライブラリーには、長いCDR3ドメインを有する抗体が高い割合で含まれており、約2%のこのようなクローンを有する他の2つのライブラリーよりも、CDR3ジスルフィド内結合が有意に多く含まれている。
【0217】
CDR1とCDR2との間の追加のジスルフィド結合:低頻度ではあるが、CDR1とCDR2との間に追加のジスルフィド結合を有する抗体は、追加のCysアミノ酸CDR1またはCDR2として見つけることができる。
図29および
図30を参照のこと。
【0218】
CDR1-CDR3またはFR2-CDR3間の追加のジスルフィド結合:ラクダおよびヒトコブラクダでは、VHH抗体の82%がCDR1とCDR3との間にジスルフィド結合を有し、ラマおよびアルパカでは、VHH抗体の74%がFR2-CDR3間にジスルフィド結合を有する。VHH抗体配列の70~80%は、追加のジスルフィド結合を含まない。VHH配列の10~25%には、追加のジスルフィド結合が含まれ得る(配列内の4つのシステイン)。興味深いことに、VHH抗体配列の5~10%には対形成されていないシステインが含まれる。これらのVHH抗体が、対形成されていないシステイン間にジスルフィド結合を形成することにより、別のVHH抗体とどのように対形成できるか、または対形成するか否かは不明である。単一のVHH配列内では、合計7つ以下のシステインが観察されている。これらのデータは、最大3つのドメイン内ジスルフィド結合が残りの対形成されていないシステインで形成され得ることを示唆している。
図31は、3つの異なるライブラリー内で選択されたVHH抗体のアミノ酸配列内のシステイン残基数の分析を示す。
【0219】
CDR1とCDR3との間に追加のジスルフィド結合を見ることができるが、これはまれである。
図32を参照のこと。
【0220】
VHH抗体内の追加のジスルフィド結合のほとんどは、FR2/CDR2-CDR3間にある。総システイン数の計算と一致して、追加のジスルフィド結合のほとんどは、FR2/CDR2(IMGTまたはKABATのいずれかの命名法による)とCDR3との間にある。追加の対形成システインは、NGSデータベース内のすべてのVHH配列の2~9%である。
図33を参照のこと。
【0221】
クローンによる上清のOD値とそのアミノ酸配列内のシステインの数との有意な負の相関が観察される(
図34を参照のこと)。したがって、クローンを選択する際には、通常、VHHアミノ酸配列内では、奇数のシステインを回避することが推奨される。さらに、1対を超えるシステイン配列を含むVHH配列を選択することは避けることが好ましい。追加のジスルフィド結合は、VHHの発現収量に影響を与え得るか、または結合の親和性に悪影響を有し得る。したがって、追加のジスルフィド結合は、ナノボディの下流製造の開発可能性に悪影響を与え得る。
【0222】
長いCDR3:PD1 NGSライブラリ-(NBL504)内では、VHHクローンの最大86%が15を超えるアミノ酸を有する「長いCDR3」ドメインを有する。
図35を参照のこと。
【0223】
図36,
図37および
図38は、CDR3ドメインの長さと、BCMAを発現する2つの異なる細胞株からの細胞の表面に結合するVHH抗BCMA抗体についてFACSによって、および上清を使用したELISAによってアッセイされた抗体親和性との間に正の相関があることを示す。すべての相関のp値は、0.001以下である。CDR3の長さは、抗体のその抗原への結合親和性と有意な相関関係を有することが一貫して示されている。したがって、選択される可能性のあるクローンが多数存在する場合は、14アミノ酸より長いCDR3ドメイン長を有する抗体を選択することが好ましい。
【0224】
同様の長さを有するCDR3バリアントは、単一抗原の同様のエピトープに結合する可能性が高いことが観察されている。特定の抗原のほぼ同一のエピトープまたは同じエピトープに結合するVHH抗体の集団について、CDR3の長さの範囲が狭いことが観察された。
図39を参照のこと。
【0225】
さらに、同じエピトープに結合する抗体は、系統関連配列によって同定され得る。例えば、CDR3の長さが0または1アミノ酸異なるクローン。クローン1182、1202、および1734は、同じ系統の抗PD1抗体から選択され、そのすべてがPD1結合についてKeytrudaと競合する(
図40を参照のこと)。同じ長さのCDR3を有する関連系統から選択されたクローンが同じビン内にあることが確認される。本明細書に開示される実験では、同じ長さのCDR3ドメインを有する系統関連クローンが、正確に同じエピトープに対して結合する機会を多く有することが示唆される。NGSデータに基づいてクローンを選択する場合は、選択したプール内のそのような冗長クローンの数を減少させることが好ましい。
【0226】
従来のIgGと同じVおよびJ生殖細胞系列を有する非古典的VHH:従来のIgG1と同じナイーブB細胞起源(同じVおよびJの配置)を共有するVHH系統グループは、VHH抗体またはIgG1抗体のいずれかである同じまたは類似のエピトープを認識するものとして示される。507のライブラリーには、VHH2/VHH3/VHによって共有される81の配列のうち2つが存在し、これは、クローンの約2.5%である。
【0227】
固有の配列シグネチャを有する非古典的VHH-保存されたTrp118がArg118で置換されているか、またはFR3内の疎水性プロファイルが低い:Trp118は、NBL501、NBL504、およびNBL602ライブラリーのそれぞれ内で最大3%の割合で見ることができる。
図41を参照のこと。
【0228】
全体として、上記のデータは、次のクローン選択規則を示唆する。
1.1匹の動物を免疫させる場合には、VHH2およびVHH3が共有するVHH配列を選択する。VHVLを調査する場合は、VHとVHHとの間で共有されているものを選択する。
2.収束モチーフまたは配列シグネチャ:同じ実験グループ内の異なる動物は、同じVDJ配置を介して同じモチーフまたは配列シグネチャを収束的に生成できる。これらのモチーフまたは配列シグネチャによってコードされるパラトープは、機能的エピトープを標的とし得る。複数の動物が免疫されている場合には、動物間で共有される収束配列を選択する。
3.FR2親水性領域:VHH抗体のほとんどでは、FR2は、従来のIgGに固有のアミノ酸置換:37Phe/Tyr、44Glu、45Arg、および47Gly/Leu/Pheを有する。
4.固有の配列シグネチャを有する非古典的VHH:Arg118で置換された保存されたTrp118および/またはFR4のより低い疎水性プロファイル。
5.古典的VHHは、非古典的よりも高い親和性を有する。クローンを選択するときには、好ましくは、古典的VHHを選択するものとする。非古典的VHHは、FR2シグネチャを含まない。
6.配列内のシステインの数が奇数のクローンを選択するのを避ける:3つのシステインを使用して合成するために1つのクローンを選択した。それでは、発現しなかった。3つのシステインを有するいくつかのスクリーニングされたクローンは、平均以下の発現を有する。
7.従来の抗体では、CDR3内に正または負の電荷が引き続き残存することにより、折り畳みの問題が生じることがわかっている。VHHでは、CDR3に3つのRを有する1つのクローンを選択したが、クローンは発現しなかった。3つの継続的な正電荷(KまたはRまたはそれらの混合)を有するいくつかのスクリーニングされたクローンは、平均以下の発現を有する。CDR3内で3つ以上の継続的な正電荷を有するクローンを選択することは避ける。
8.N末端に正電荷を有するクローンを避けるために、そのような2つのクローンを選択したが、いずれも発現しなかった。N末端に正電荷を有するスクリーニングされたクローンはほとんどない。
9.一部のアルパカは、長いCDR2(8/9ではなく17aa)のVHHを有し、そのような長いCDR2を有するクローンは、高い結合親和性を有すると考えられる。
10.一部のプロジェクトでは、CDR3の長さは結合親和性と正の相関関係を有し、優先的に長いCDR3クラスターを選択する。
11.同様のCDR3の長さを有する関連クラスターの場合、同様の長さでの相同CDR3が同様のエピトープへの結合をもたらすことがわかったため、冗長な候補を多く選択することは避ける。
12.収束モチーフまたは配列シグネチャ:同じ実験グループ内の異なる動物は、同じVDJ配置を介して同じモチーフまたは配列シグネチャを収束的に生成できる。これらのモチーフまたは配列シグネチャによってコードされるパラトープは、機能的エピトープを標的とし得る。
13.新規カノニカル結合ループ構造:カノニカルループ構造を決定するための重要部位に存在する超変異ホットスポットは、VHH構造レパートリーを多様化する興味深い可能性を生み出す。結晶学的研究は、多くの場合、ラクダVHHのCDR1およびCDR2ループが、従来のVHの既知のカノニカル構造から逸脱していることを強調している。配列ベースの新規Ag結合ループコンフォメーション予測は、系統のさらなるグループ化を裏付けるものとする(Laura S.Mitchell,Lucy J.Colwell,Comparative analysis of nanobody sequence and structure data,Proteins.2018;86:697-706)。
【0229】
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【手続補正書】
【提出日】2022-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
例示的な実施形態は、参照された図に示す。本明細書に開示の実施形態および図は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであることが意図されている。
【
図1A】VHH、VH、およびCH免疫グロブリンをコードするラクダ科動物の遺伝子座の構成を示す図である。
【
図1B】ラクダ科動物のVHH構造を示す図である。
【
図2】
(i)では、ラクダ科動物(ラクダまたはラマ)が、cDNA、小分子、ペプチド、もしくはタンパク質でありうる免疫源、または、複合免疫源-正常または疾患の細胞または組織で免疫される。生成されたVHHは、タンパク質アレイまたは細胞/組織抗原cDNAライブラリーまたは免疫沈降ベースの質量分析によって個々の対応する抗原を同定するために使用される。(ii)では、抗血清がIgGアイソタイプ(IgG2、IgG3、IgG1/κ、IgG1/λ)を単離し、それぞれ力価および生物活性の試験を行うことにより評価される。(iii)では、免疫B細胞が、PBMC、脾臓、骨髄、リンパ節および他のリンパ組織から単離される。(iv)では、パニング(不要なB細胞の濃縮および/または除去);磁気ビーズ精製またはFACSソーティングにより、抗原特異的B細胞、抗原特異的メモリーB細胞、および形質芽細胞が、免疫原、所望のドメインまたはエピトープまたは複合免疫原で濃縮される。(v)では、抗原特異的B細胞が、ラクダ科動物のCD40-L細胞、サイトカインおよび/または免疫原によって活性化および増殖するかを試験される。
【
図3】VHH
2、VHH
3、VH
1、Vκ、およびVλを増幅するためのIgGアイソタイプ特異的プライマーセットを示す図である。
Ia/bでは、リード配列(VH/VHH)CH2が同定される。IIa/bでは、VHおよびVHH用のプライマーセットを用いてPCRが行われる;IIIaでは、約600bpのVHH断片が精製される;IIIbでは、約900bpのVH断片が精製される;IVaでは、PCRでVHH2(短いヒンジ)配列を増幅するために、VHH2用のネステッドプライマーが使用され、IVbでは、PCRで増幅するために、VH1およびVHH3(長いヒンジ)配列用のネステッドプライマーが使用される。IIcでは、Vκ用PCRプライマーセットが、PCRでそれらの配列を増幅するために使用され、IIdでは、Vλ用PCRプライマーセットが、PCRでそれらの配列を増幅するために使用される。
【
図4】VHH
2、VHH
3、VH
1、Vκ、およびVλNGSライブラリーの生成および系統のグループ化を示す図である。
Iでは、VHH2、VHH3、VH1、Vκ、およびVλの配列に関するデータが、NGSアダプターの追加および索引付けにより生成される;IIでは、クローンのヌクレオチド配列が、Illumina MiSeq 300x2およびデータ構築により生成される;IIIでは、配列が、バイオインフォマティクスを用いた重鎖CDR3または軽鎖CDR3の配列に基づく系統でグループ化される。
【
図5】VHH
2およびVHH
3系統を配列シグネチャでさらにグループ化したものを示す図である。
さらなるグループ化は、1つまたは複数の基準に基づいて行われる:
1)FR2親水性領域(37Phe/Thr、44Glu、45Arg、および47Gly)、
2)拡大CDR1、
3)ジスルフィド結合:CDR1-CDR3またはFR2-CDR3、
4)ジスルフィド結合:CDR1内またはCDR3内、
5)CDR3≧15aa、
6)非古典的VHH:従来のVHと同じナイーブB細胞起源を共有する配列、
7)非古典的VHH:Arg118で置換された保存されたTrp118、
8)非古典的VHH:FR3での低疎水性プロファイル、
9)配列ベースの新規Ag結合ループコンフォメーション予測、
10)個々の動物間の収束モチーフまたは配列シグネチャ、
11)CDR2長、
12)CDR3長、
13)CDR3長および同一性、
14)CDR3領域内における3つ以上の正電荷の存在、
15)アミノ酸配列中のシステインの数、
16)CDR領域に見られる2~4のアミノ酸モチーフ。モチーフは、リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定される。
【
図6】VH-VκまたはVH-Vλ系統と、単一B細胞選別およびヘテロハイブリドーマにより開発されたアンカーとの対形成を示す図である。
(ia)では、抗原特異的B細胞が選別され、(iia)では、VH-VκまたはVH-Vλ対が、単一細胞連結PCRにより同定される。(ib)では、SP/20マウス細胞株の細胞と、免疫ラクダ科動物リンパ球が融合され、ヘテロハイブリドーマを作成する。(iib)では、ヘテロハイブリドーマがスクリーニングされ、VH-Vκおよび/またはVH-Vλ対を同定する。(iii)では、HおよびL(κまたはλ)系統が、B細胞選別またはヘテロハイブリドーマからのアンカーにより対形成される。
【
図7】
1) 高い系統配列存在量から低い系統配列存在量、
2)高系統配列増幅因子から低系統配列増幅因子、
3)不要なB細胞を枯渇させる前後での系統配列の動的変化、
4)免疫過程中の系統配列存在量の動的変化、
5)VHHと従来のVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統配列、
6)開発可能性責任配列の回避、
の系統優先因子を用いた、バインダーおよび生物活性スクリーニングのための各系統からの配列選択を示す図である。
その結果、選択された抗体は、標的抗原の異なるエピトープに結合することが予想され、標的抗原の広いエピトープカバレッジが得られる。
【
図8】同じ系統内で選択されたリードの最適化を示す図である。第1の選択ラウンドからのリードは、@と+でマークする。
最適化配列の選択の基準は:
1)CDR1および/またはCDR2の差≧2aa;
2)FR1および/または2および/または3および/または4の差≧2aa;
3)VHHと従来のVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する配列;
4)VκおよびVλの両方と対形成できるVH配列;
5)異なる特性を有する様々な抗体フォーマットによって認識される同じエピトープ
を含む。
【
図9】系統分析によるVHHおよびVH-VLのヒト化のワークフローを示す図である。
Iでは、ラクダ科動物が抗原で免疫される;その後、2つの代替スクリーニングに適用される。IIaでは、NGSを介して抗原に結合するVHHの配列が得られ;IIIaでは、系統発生的に関連する抗体のグループ(系統)が同定され;IVaでは、VHHの同じ系統内の置換可能な位置が同定され;Vaでは、FRおよびCDRの両方の変異耐性位置でヒトアミノ酸が置換される。代替スクリーニング方法では、IIbで、NGSを介して抗原に結合するVHおよびVκまたはVλ(従来のIgG)の配列が同定され;IIIbで、系統発生的に関連する抗体のグループ(系統)が同定され;IVbで、VHおよびVκまたはVλの同じ系統内の置換可能な位置が同定され;Vbで、FRおよびCDRの両方の変異耐性位置でヒトアミノ酸が置換される。
【
図10】EGFRに結合する選択された抗体からの蛍光シグナルを示す図である。
【
図11】抗KLH抗体分泌B細胞およびアルパカフィーダー細胞の選択された共培養から分泌された抗体のELISAアッセイを示す図である。フィーダー細胞のないB細胞のみは成長も増幅もしない。これは、陰性対照として使用した。免疫させた動物血清は、ELISAの陽性対照として対照培地で1:1000に希釈した。
【
図12】フィーダー細胞および抗体分泌B細胞の共培養から得られたB細胞と、フィーダー細胞を含まないB細胞のみの増幅を示す図である。
【
図13】KLH NGSデータから、選択したクローンの上清のELISAアッセイの結果を示す図である。
【
図14】リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定されたCDR領域2~4アミノ酸モチーフに基づいてブロッキング抗体を同定するためのワークフローを示す図である。
【
図15】PD-1とPD-L1との間に形成された複合体の2つのビューを示す図であり、複合体の界面にあるPD-1の2つのペプチドを強調表示している。
【
図16】PD-1:PD-L1複合体における界面ペプチドの相互作用の分析結果を示す図である。
【
図17】選択した抗PD-1VHH抗体の系統グループを示す系統発生樹を示す図である。系統発生樹のルートは、サブグループ1、2、および3を含む系統グループを定義するアンカーとして機能する。
【
図18】免疫させたアルパカA1およびA2のクローンライブラリにおけるCDR3ドメインアミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図19A】共通のヒンジ領域およびCDR3ドメイン配列を有するアルパカA1およびA2から重複するクローンを同定するための選択スキームを示す図である。
【
図19B】免疫させたアルパカA1およびA2からのクローンライブラリー内のヒンジ領域アミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図20A】共通のヒンジ領域およびCDR3ドメイン配列を有するアルパカA1およびA2から重複するクローンを同定するための選択スキームを示す図である。
【
図20B】免疫させたアルパカA1およびA2からのクローンライブラリー内のヒンジ領域アミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図21A】共通のCDR3ドメイン配列を有する単一のアルパカのライブラリー内のVH、VHH
2、およびVHH
3抗体の重複クローンを示すベン図である。
【
図22】アルパカA1およびA2、VH、VHH2、およびVHH3抗体に共通するCDR3ドメイン配列の数を示すベン図である。
【
図23】古典的なVHH型および非古典的なVHH型の選択された抗体クローンのBCMAを発現するRPMI8226細胞を使用したFACSによる抗原結合親和性を示す図である。
【
図24】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々における固有のFR2ドメイン配列の割合を示す図である。
【
図25】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々における抗体のFR2ドメインにおける特定のアミノ酸置換の頻度を示す図である。
【
図26】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々において、11~15アミノ酸のCDR1ドメイン長を有するクローンの割合を示す図である。
【
図27】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体における「長いCDR2」ドメインを有する抗体のELISAによる結合親和性の分布を示す図である。
【
図28】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体において、CDR3ドメイン内に余分なジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図29-30】3つの異なる抗原を標的とする3つからの抗体のCDR1ドメインとCDR2ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を持つクローンの割合を示す図である。
【
図31】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体内でのV領域のアミノ酸配列内のシステイン残基の数の分析結果を示す図である。
【
図32】3つの異なる抗原を標的とする3つライブラリーからの抗体のCDR1ドメインとCDR3ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図33】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーの抗体において、FR2ドメインとCDR2ドメインとの間、またはFR2ドメインとCDR3ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図34】VHH抗体配列内のシステインアミノ酸数と上清のOD値との相関関係を示す図である。
【
図35】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々内に「長いCDR3」ドメインを有するクローンの割合を示す図である。
【
図36-38】CDR3ドメイン長と、VHH抗BCMA抗体についてFACSまたはELISAによってアッセイされた抗体親和性との相関関係を示す図である。
【
図39】特定の抗原のほぼ同一のエピトープまたは同じエピトープに結合するVHH抗体の集団のCDR3の長さの範囲を示す図である。
【
図40】PD1への結合について、選択した抗PD1クローンとKEYTRUDAおよびOPDIVOとの競合を評価する実験結果を示す図である。
【
図41】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々において、VHH抗体内でTrp118アミノ酸がArgで置換されているクローンの割合を示す図である。
【
図42】CDR3の長さと抗KLHVHH抗体のELISA結合活性との正の相関関係を示す図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
各系統または系統対は、1つの固有のエピトープ、すなわち上位100の系統/系統対からの1つの代表的な配列(VHH)または1つの代表的な対(VH1-VL1)を認識すると推定され(例えば、VHHの場合は70配列、VH1-VκおよびVH1-Vλの場合は30配列)、遺伝子合成、バインダースクリーニング、および生物活性試験用に選択される。系統選択基準(優先因子)としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
1)高存在量の配列から低存在量の配列までの系統:各系統からの固有のcDNA数(配列存在量)の総数は2~50,000の範囲であり、最も豊富な配列を有する系統は、抗原刺激後の最も広範なクローン拡大を示し得る。
2)高増幅因子から低増幅因子への系統、B細胞の濃縮/増殖前後の配列存在量の動的変化(増幅倍率は5~1,000の範囲であり得る)。
3)免疫過程中の系統配列の存在量の変化。これは、抗原特異的配列の濃縮および抗体親和性成熟を示す(配列存在量/固有のcDNA数の変化は、2~1,000の範囲であり得る)。
4)該当する場合、特定の不要なB細胞を枯渇させる前後での系統配列存在量の変化(配列存在量/固有のcDNA数の変化は、2~1,000の範囲であり得る)。
5)VHHとVH1との間で同じナイーブB細胞起源(同じVおよびJの配置)を共有する系統。
6)開発可能性責任配列の回避:熱安定性(疎水性コア、電荷クラスター残基など)、化学的安定性(脱アミド化および異性化)、溶解性(表面疎水性など)ならびに不均一性(グリコシル化)など、開発可能性の問題を引き起こし得るいくつかのアミノ酸からなる配列が存在する(Tomoyuki Igawaら、mAbs,2011年)。これらの系統または系統対を選択することは避ける必要がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
この方法の有意性により、広範なエピトープを高解像度で網羅するための試験のために、各系統から代表的な配列を体系的かつ関係的に選択することができる。これにより、次の状況での抗体の発見が改善される。
a)最良の親和性、特異性、および開発可能性のための候補の大規模なプールを用いた治療用抗体の発見;
b)並行用途および他の用途でのコンパニオン診断抗体の発見;
c)二価および多価抗体の構築および開発;
d)抗体の重鎖と軽鎖との対の発見
;
e)同じエピトープに結合する抗体は、系統関連配列によって同定できる(図8に示す)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
選択A:クラスター内で最も数の多いクローンを選択する。
以下の
表1に示すとおり、クラスターC328は、濃縮後に357倍の頻度の増加を有する。クラスター内の上位のクローンであるNBL505-A1L1-P3R3_355は、さらなる試験のために選択するのに良い選択肢である。
【表1】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0171】
選択B:濃縮スコアが最高であるクローンを選択する。
濃縮前後のライブラリー内の配列を比較することにより(例えば、パニングまたはフローソートによって)、濃縮前後の配列頻度に基づいて濃縮スコアを計算することができる。機能的なVHHを分泌するクローンを選択する機会を増加させるために、濃縮スコアを使用してクローンの選択に優先順位を付けることができる。以下の
表2では、濃縮率に基づいてクローンNBL505-A1L2-P3R2_5559が選択されている。
【表2】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0178
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0178】
上記のパニングB細胞濃縮法および抗原としてメソセリン(MSLN)を使用して、系統およびCDR3の長さを含むNGSデータから、同一性グループ化方法を使用して、クローンのセットを選択した。ライブラリー内で最も豊富な12配列のクローンのうち、7クローンが強力なMSLNバインダーであることが示された(以下の表
3を参照のこと)。重要なことに、MSLNは3つのドメインから構成されており、また5つのMSLN結合クローンの抗体は、MSLNのドメイン1のエピトープに特異的に結合する。さらに、選択されたクローンのうちの1つの抗体は、ドメイン2に特異的に結合し、クローンの1つの抗体はドメイン3にのみ特異的に結合する。したがって、系統のグループ化および選択を行う1回の作業で、完全長抗原の広域スペクトルのエピトープを認識するクローンを同定できる。これにより、抗原結合の異なる条件の治療においてクローンを選択するより多くの機会がもたらされるか、または二重特異性の組み合わせについて、より多くの選択肢がもたらされるであろう。さらに、この方法では、抗原-リガンド複合体のブロッカーまたは非ブロッカーとして挙動することが示されているクローンを同定することもできる。例えば、7つのMSLN結合クローンの中で、MSLNのドメイン2または3のいずれかに結合するが、MSLNへのCA125の結合を阻害しない2つのクローンからの抗体が同定される。対照的に、5ドメイン1エピトープバインダーは、CA125がMSLNに結合するのを防ぐことが示されている。本開示の方法は、広範囲のエピトープを高解像度でカバーするために、試験のために体系的かつ関係的に抗体を効率よく選択することができる。
【表3】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0182
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0182】
BIA後、共培養細胞のmRNAを使用して3つのNGSライブラリーが構築される。逆転写には、オリゴdT、ランダムヘキサマー、CH2特異的プライマーがそれぞれ使用される。(Maass DR,Sepulveda J,Pernthaner A,Shoemaker CB.Alpaca(Lama pacos)as a convenient source of recombinant camelid heavy chain antibodies(VHHs).J Immunol Methods.2007年;324(l-2):13-25.)。次に、これらのcDNAを2ラウンドのPCR反応にかける。これら3つのライブラリーはすべて、Genscript(Nanjing,China)に送信され、MiSeq Sequencing System(Illumina、Miseq、300x2)で、サンプルごとに400~500万回の読み取りで30%PhiXゲノムDNAスパイクを使用して配列決定した。データはNGSQC Toolkitを使用して品質確認し、FLASHをアセンブルする。配列は、
図4に示すとおり、同じCDR3の長さ、1以下のCDR3ハミング距離、および同じマッピングされたV/J生殖細胞系列に基づいて、系統/グループにクラスター化させる、配列は、同じCDR3の長さと80%以上のCDR3の同一性に基づいて、さらにサブグループ化して、クラスター化させる。各ライブラリーに対して、800を超えるグループが生成された。ここでは、いくつかの系統優先因子:配列存在量、古典的VHH対非古典的VHH、およびCDR3の長さを適用して、これらのグループからクローンを選択する。20の異なるグループから20のクローンが選択され、それらの合成、発現、および精製が行われる。選択したクローンに関連するバイオインフォマティクスデータを以下の表
4から6に示す。選択されたクローンのそれぞれによって発現する抗体の完全なアミノ酸配列は、各ドメイン(FR1、CDR1など)の連続配列として得られる。
【表4】
【表5】
【表6】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0183
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0183】
抗体の抗原特異的結合の検証は、ELISAによって行う。ライブラリーは、サブグループ化シグネチャ(配列存在量、古典的VHH対非古典的VHHおよびCDR3の長さ)に基づいて調査される。この実施例では、各クラスターから1つのクローンのみが選択される。この例では、選択されたクローンのほとんどが、非古典的VHHではなく古典的VHHを生成する。この例では、通常のVHH配列よりもCDR3内にジスルフィド結合のさらなる対を有する1つのクローンと同様に、長いヒンジ配列および短いヒンジ配列の両方を有するアミノ酸配列が選択されたクローンに含まれている。このようなクローン選択戦略により、結合活性を有するクローンの選択において100%の成功率を達成した。ELISAアッセイに示すとおり、選択された20のクローンすべてがKLH抗原KLHに対して特異的な結合活性を示した(
図13に示す)。それらの18は、0.465nmの平均結合ECを有していた(外れ値としての番号6および番号9を除く)。3つのクローン(番号1、3、および13)は、それぞれ67、77、および72pmol/LのEC50を有する強力なKLHバインダーであることが示されている。リードのほとんどは、ナノモル以下の効力を有することが示されている。したがって、強力なKLH結合抗体を分泌するクローン化されたB細胞は、BIAおよびNGSにより同定できる。CDR3の長さと結合活性との相関結果を確認するために、異なるCDR3の長さを有するクローンをリストに含めている。見られる最短のCDR3の長さは9アミノ酸であるが、最長のCDR3の長さは21である。20のVHH抗体の平均CDR3長は、16アミノ酸である。
図42に示すとおり、CDR3の長さとクローンELISA活性との間に正の相関が見られる。
【表7】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0187
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0187】
PD-1/PD-L1構造解析
PD-1/PD-L1複合体の構造は、PDBデータベース(PDB ID:4ZQK)からダウンロードした。PYMOLソフトウェアは、構造解析に使用する。構造は、PD-L1がPD-1の2つのペプチドをカバーしていることを示した(
図15)。
PD-L1に近いループ配列は、SFVLNWYRMSPSNQTDKLAA(配列番号
138)であり、
PD-1に近いループ配列は、YLCGAISLAPKAQIKESLR(配列番号
139)である。PD-1/PD-L1結晶構造で観察される極性接触残基領域が選択される。PD-1とPD-L1との間の極性接触は、「作用-検索-極性接触-溶媒を除くその他(actions-find-polar contacts-to others excluding solvent)」を用いてPYMOLに表示される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0189
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0189】
上記の分析により、PD-L1の極性接触残基が決定され、それらはF-D-Q-ADYKR(配列番号144)である。F-D-Q-Aには非常に長いアミノ酸間隔(>2アミノ酸)があるため、ペプチドADYKR(配列番号143)のみが選択戦略に適合する。VHHの選択には、2~4のアミノ酸ペプチドが選択される。次に、ペプチドADYK(配列番号68)、DYKR(配列番号142)、ADY、DYK、YKR、AD、DY、YKおよびKRをNGSデータベースからのスクリーニング基準に設定する(表4)。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0190
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0190】
様々な抗体によって複合体形成したPD-1の追加の構造が利用可能であり、PDBデータベースからダウンロードして、上記と同じ方法で分析する。PD-1と様々な抗PD-1抗体との複合体、および上記の複合体の相互作用分析によって潜在的なブロッキングペプチドとして同定された短いペプチドを表
8に示す。
【表8】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
以前の刊行物には、ファージ表面VHHディスプレイライブラリーのパニングによる抗体発見のためのプロトコルが記載されている。しかし、この方法では、ライブラリー内で存在量の多いVHHクローンのみが取得される傾向があり、結果として、存在量の少ないVHHが失われる。様々なスクリーニングペプチドストリングを使用したキーワード検索に基づいて、様々な存在量(選択されたアミノ酸配列をコードするDNAを保持しているすべてのクローンの割合)の一連のVHH配列がNGSデータベースから選択される。異なる存在量を有する選択されたクローン内にコードされているアミノ酸配列のCDR3部分を表
9に示す。
【表9】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0199
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0199】
19のクローンから精製されたVHH抗体は、上記のとおりELISAによって、PD-L1への結合について、およびPD-1:PD-L1複合体の形成の阻害について評価する。結果をそれぞれ表
10および表
11に示す。
【表10】
【表11】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0204
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0204】
実施例3:配列シグネチャおよびクローン選択規則の開発
BCMA免疫下の動物間の収束(重複)配列。この実験では、507-A1(Al)および507-A2(A2)という名前の2つのアルパカを、ヒト組換えBCMAタンパク質で免疫させる。動物A1およびA2は、同じ免疫レジメを使用して、同量の組換えヒトBCMAを受ける。固有のCDR3アミノ酸配列を有する93および40のVHH配列は、それぞれ動物A1およびA2の有望なリードとして発見される。動物間で、免疫およびクローン同定に関して二重盲検化されたクローンを選択すると、両方の動物が共有するCDR3配列を有する20の配列がある。表
12は、両方の動物が共有する20の固有のCDR3配列を示す。
【表12】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0210
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0210】
共有されている配列は、強力なBCMAバインダーであることが示されている。重複する配列が好ましいシグネチャであるかを試験するために、VHH2およびVHH3によって共有される8つの収束VHHクローンによって発現される抗体を精製する。ELISAまたはフローサイトメトリーのいずれかにより、すべてが強力なBCMAバインダーであることがわかった。1A1および1D2と名付けられた
図21Bで強調表示された配列(配列番号117および118)は、VH抗体およびVHH抗体の両方によって共有されている。8つの収束VHH抗体は、BCMAを過剰発現する腫瘍細胞株RPMI8226の細胞に結合するが、BCMA発現が陰性である293T細胞には結合しない。ELISAでは、コーティング抗原としてHisまたはFcコンジュゲート結合ヒトBCMAのいずれかを使用して、同様の結果を示した(表
13)。
【表13】
【手続補正17】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正19】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正20】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正22】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正23】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正24】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正25】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正26】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正27】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正28】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正29】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正30】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正31】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正32】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正33】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正34】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正35】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正36】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正37】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正38】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正39】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正40】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正41】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正42】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正43】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正44】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正45】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
例示的な実施形態は、参照された図に示す。本明細書に開示の実施形態および図は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであることが意図されている。
【
図1A】VHH、VH、およびCH免疫グロブリンをコードするラクダ科動物の遺伝子座の構成を示す図である。
【
図1B】ラクダ科動物のVHH構造を示す図である。
【
図2】(i)では、ラクダ科動物(ラクダまたはラマ)が、cDNA、小分子、ペプチド、もしくはタンパク質でありうる免疫源、または、複合免疫源-正常または疾患の細胞または組織で免疫される。生成されたVHHは、タンパク質アレイまたは細胞/組織抗原cDNAライブラリーまたは免疫沈降ベースの質量分析によって個々の対応する抗原を同定するために使用される。(ii)では、抗血清がIgGアイソタイプ(IgG2、IgG3、IgG1/κ、IgG1/λ)を単離し、それぞれ力価および生物活性の試験を行うことにより評価される。(iii)では、免疫B細胞が、PBMC、脾臓、骨髄、リンパ節および他のリンパ組織から単離される。(iv)では、パニング(不要なB細胞の濃縮および/または除去);磁気ビーズ精製またはFACSソーティングにより、抗原特異的B細胞、抗原特異的メモリーB細胞、および形質芽細胞が、免疫原、所望のドメインまたはエピトープまたは複合免疫原で濃縮される。(v)では、抗原特異的B細胞が、ラクダ科動物のCD40-L細胞、サイトカインおよび/または免疫原によって活性化および増殖するかを試験される。
【
図3】VHH
2、VHH
3、VH
1、Vκ、およびVλを増幅するためのIgGアイソタイプ特異的プライマーセットを示す図である。Ia/bでは、リード配列(VH/VHH)CH2が同定される。IIa/bでは、VHおよびVHH用のプライマーセットを用いてPCRが行われる;IIIaでは、約600bpのVHH断片が精製される;IIIbでは、約900bpのVH断片が精製される;IVaでは、PCRでVHH2(短いヒンジ)配列を増幅するために、VHH2用のネステッドプライマーが使用され、IVbでは、PCRで増幅するために、VH1およびVHH3(長いヒンジ)配列用のネステッドプライマーが使用される。IIcでは、Vκ用PCRプライマーセットが、PCRでそれらの配列を増幅するために使用され、IIdでは、Vλ用PCRプライマーセットが、PCRでそれらの配列を増幅するために使用される。
【
図4】VHH
2、VHH
3、VH
1、Vκ、およびVλNGSライブラリーの生成および系統のグループ化を示す図である。Iでは、VHH2、VHH3、VH1、Vκ、およびVλの配列に関するデータが、NGSアダプターの追加および索引付けにより生成される;IIでは、クローンのヌクレオチド配列が、Illumina MiSeq 300x2およびデータ構築により生成される;IIIでは、配列が、バイオインフォマティクスを用いた重鎖CDR3または軽鎖CDR3の配列に基づく系統でグループ化される。
【
図5】VHH
2およびVHH
3系統を配列シグネチャでさらにグループ化したものを示す図である。さらなるグループ化は、1つまたは複数の基準に基づいて行われる:1)FR2親水性領域(37Phe/Thr、44Glu、45Arg、および47Gly)、2)拡大CDR1、3)ジスルフィド結合:CDR1-CDR3またはFR2-CDR3、4)ジスルフィド結合:CDR1内またはCDR3内、5)CDR3≧15aa、6)非古典的VHH:従来のVHと同じナイーブB細胞起源を共有する配列、7)非古典的VHH:Arg118で置換された保存されたTrp118、8)非古典的VHH:FR3での低疎水性プロファイル、9)配列ベースの新規Ag結合ループコンフォメーション予測、10)個々の動物間の収束モチーフまたは配列シグネチャ、11)CDR2長、12)CDR3長、13)CDR3長および同一性、14)CDR3領域内における3つ以上の正電荷の存在、15)アミノ酸配列中のシステインの数、16)CDR領域に見られる2~4のアミノ酸モチーフ。モチーフは、リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定される。
【
図6】VH-VκまたはVH-Vλ系統と、単一B細胞選別およびヘテロハイブリドーマにより開発されたアンカーとの対形成を示す図である。(ia)では、抗原特異的B細胞が選別され、(iia)では、VH-VκまたはVH-Vλ対が、単一細胞連結PCRにより同定される。(ib)では、SP/20マウス細胞株の細胞と、免疫ラクダ科動物リンパ球が融合され、ヘテロハイブリドーマを作成する。(iib)では、ヘテロハイブリドーマがスクリーニングされ、VH-Vκおよび/またはVH-Vλ対を同定する。(iii)では、HおよびL(κまたはλ)系統が、B細胞選別またはヘテロハイブリドーマからのアンカーにより対形成される。
【
図7】1) 高い系統配列存在量から低い系統配列存在量、2)高系統配列増幅因子から低系統配列増幅因子、3)不要なB細胞を枯渇させる前後での系統配列の動的変化、4)免疫過程中の系統配列存在量の動的変化、5)VHHと従来のVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する系統配列、6)開発可能性責任配列の回避、の系統優先因子を用いた、バインダーおよび生物活性スクリーニングのための各系統からの配列選択を示す図である。その結果、選択された抗体は、標的抗原の異なるエピトープに結合することが予想され、標的抗原の広いエピトープカバレッジが得られる。
【
図8】同じ系統内で選択されたリードの最適化を示す図である。第1の選択ラウンドからのリードは、@と+でマークする。最適化配列の選択の基準は:1)CDR1および/またはCDR2の差≧2aa;2)FR1および/または2および/または3および/または4の差≧2aa;3)VHHと従来のVHとの間で同じナイーブB細胞起源を共有する配列;4)VκおよびVλの両方と対形成できるVH配列;5)異なる特性を有する様々な抗体フォーマットによって認識される同じエピトープを含む。
【
図9】系統分析によるVHHおよびVH-VLのヒト化のワークフローを示す図である。Iでは、ラクダ科動物が抗原で免疫される;その後、2つの代替スクリーニングに適用される。IIaでは、NGSを介して抗原に結合するVHHの配列が得られ;IIIaでは、系統発生的に関連する抗体のグループ(系統)が同定され;IVaでは、VHHの同じ系統内の置換可能な位置が同定され;Vaでは、FRおよびCDRの両方の変異耐性位置でヒトアミノ酸が置換される。代替スクリーニング方法では、IIbで、NGSを介して抗原に結合するVHおよびVκまたはVλ(従来のIgG)の配列が同定され;IIIbで、系統発生的に関連する抗体のグループ(系統)が同定され;IVbで、VHおよびVκまたはVλの同じ系統内の置換可能な位置が同定され;Vbで、FRおよびCDRの両方の変異耐性位置でヒトアミノ酸が置換される。
【
図10】EGFRに結合する選択された抗体からの蛍光シグナルを示す図である。
【
図11】抗KLH抗体分泌B細胞およびアルパカフィーダー細胞の選択された共培養から分泌された抗体のELISAアッセイを示す図である。フィーダー細胞のないB細胞のみは成長も増幅もしない。これは、陰性対照として使用した。免疫させた動物血清は、ELISAの陽性対照として対照培地で1:1000に希釈した。
【
図12】フィーダー細胞および抗体分泌B細胞の共培養から得られたB細胞と、フィーダー細胞を含まないB細胞のみの増幅を示す図である。
【
図13】KLH NGSデータから、選択したクローンの上清のELISAアッセイの結果を示す図である。
【
図14】リガンド/受容体複合体の三次元構造から同定されたCDR領域2~4アミノ酸モチーフに基づいてブロッキング抗体を同定するためのワークフローを示す図である。
【
図15】PD-1とPD-L1との間に形成された複合体の2つのビューを示す図であり、複合体の界面にあるPD-1の2つのペプチドを強調表示している。
【
図16】PD-1:PD-L1複合体における界面ペプチドの相互作用の分析結果を示す図である。
【
図17】選択した抗PD-1VHH抗体の系統グループを示す系統発生樹を示す図である。系統発生樹のルートは、サブグループ1、2、および3を含む系統グループを定義するアンカーとして機能する。
【
図18】免疫させたアルパカA1およびA2のクローンライブラリにおけるCDR3ドメインアミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図19A】共通のヒンジ領域およびCDR3ドメイン配列を有するアルパカA1およびA2から重複するクローンを同定するための選択スキームを示す図である。
【
図19B】免疫させたアルパカA1およびA2からのクローンライブラリー内のヒンジ領域アミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図20A】共通のヒンジ領域およびCDR3ドメイン配列を有するアルパカA1およびA2から重複するクローンを同定するための選択スキームを示す図である。
【
図20B】免疫させたアルパカA1およびA2からのクローンライブラリー内のヒンジ領域アミノ酸配列の重複を示すベン図である。
【
図21A】共通のCDR3ドメイン配列を有する単一のアルパカのライブラリー内のVH、VHH
2、およびVHH
3抗体の重複クローンを示すベン図である。
【
図22】アルパカA1およびA2、VH、VHH2、およびVHH3抗体に共通するCDR3ドメイン配列の数を示すベン図である。
【
図23】古典的なVHH型および非古典的なVHH型の選択された抗体クローンのBCMAを発現するRPMI8226細胞を使用したFACSによる抗原結合親和性を示す図である。
【
図24】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々における固有のFR2ドメイン配列の割合を示す図である。
【
図25】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々における抗体のFR2ドメインにおける特定のアミノ酸置換の頻度を示す図である。
【
図26】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々において、11~15アミノ酸のCDR1ドメイン長を有するクローンの割合を示す図である。
【
図27】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体における「長いCDR2」ドメインを有する抗体のELISAによる結合親和性の分布を示す図である。
【
図28】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体において、CDR3ドメイン内に余分なジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図29】3つの異なる抗原を標的とする3つからの抗体のCDR1ドメインとCDR2ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を持つクローンの割合を示す図である
(その1)。
【
図30】
3つの異なる抗原を標的とする3つからの抗体のCDR1ドメインとCDR2ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を持つクローンの割合を示す図である(その2)。
【
図31】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーからの抗体内でのV領域のアミノ酸配列内のシステイン残基の数の分析結果を示す図である。
【
図32】3つの異なる抗原を標的とする3つライブラリーからの抗体のCDR1ドメインとCDR3ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図33】3つの異なる抗原を標的とする3つのライブラリーの抗体において、FR2ドメインとCDR2ドメインとの間、またはFR2ドメインとCDR3ドメインとの間に追加のジスルフィド結合を有するクローンの割合を示す図である。
【
図34】VHH抗体配列内のシステインアミノ酸数と上清のOD値との相関関係を示す図である。
【
図35】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々内に「長いCDR3」ドメインを有するクローンの割合を示す図である。
【
図36】CDR3ドメイン長と、VHH抗BCMA抗体についてFACSまたはELISAによってアッセイされた抗体親和性との相関関係を示す図である
(その1)。
【
図37】
CDR3ドメイン長と、VHH抗BCMA抗体についてFACSまたはELISAによってアッセイされた抗体親和性との相関関係を示す図である(その2)。
【
図38】
CDR3ドメイン長と、VHH抗BCMA抗体についてFACSまたはELISAによってアッセイされた抗体親和性との相関関係を示す図である(その3)。
【
図39】特定の抗原のほぼ同一のエピトープまたは同じエピトープに結合するVHH抗体の集団のCDR3の長さの範囲を示す図である。
【
図40】PD1への結合について、選択した抗PD1クローンとKEYTRUDAおよびOPDIVOとの競合を評価する実験結果を示す図である。
【
図41】3つの異なる抗原に結合する抗体の3つのライブラリーの各々において、VHH抗体内でTrp118アミノ酸がArgで置換されているクローンの割合を示す図である。
【
図42】CDR3の長さと抗KLHVHH抗体のELISA結合活性との正の相関関係を示す図である。
【国際調査報告】