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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】抗フケ剤を含むヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20220916BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 8/72 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q5/00
A61K8/72
A61K8/34
A61K8/92
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022500696
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2020067359
(87)【国際公開番号】W WO2021004770
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/095311
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】19193269.8
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】メリントン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】パン,シャオユン
(72)【発明者】
【氏名】タン,シュエジー
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,イアン・ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA121
4C083AB332
4C083AC011
4C083AC072
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD071
4C083AD131
4C083AD321
4C083BB34
4C083BB53
4C083CC38
4C083DD17
4C083DD27
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE23
4C083FF05
(57)【要約】
組成物であって、(i)抗フケ剤;(ii)その中で該抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能であるロウ又はロウ様物質(ここで、該ロウ及び該物質の融点は30℃~105℃であり、並びに、該物質はUV吸収日焼け止め剤ではない);及び、(iii)10Da~10Daの重量平均分子量を有するカチオン性ポリマー;を含んでおり、ここで、該組成物は、粒子サイズ0.1~1000μmの粒子の形態にあり、及び、ここで、該ロウ様物質は、C13-35の脂肪アルコールであり;ここで、該ロウは、蜜ロウ、イボタロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、シロヤマモモロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシロウ、エスパルトロウ、木ロウ、オーリクリーロウ、米糠ロウ、大豆ロウ、ナンキンハゼロウ、セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト又はピートロウのうちの少なくとも1種である、前記組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(i) 抗フケ剤;
(ii) 該抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能であるロウ又はロウ様物質であって、ここで、該ロウ及び該物質の融点は30℃~105℃であり、そして、該物質はUV吸収日焼け止め剤ではない;及び、
(iii) 10Da~10Daの重量平均分子量を有するカチオン性ポリマー;
を含み、ここで、該組成物は、粒子サイズ0.1~1000μmの粒子の形態にあり、そしてここで、該ロウ様物質は、C13-35の脂肪アルコールであり;ここで、該ロウは、蜜ロウ、イボタロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、シロヤマモモロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシロウ、エスパルトロウ、木ロウ、オーリクリーロウ、米糠ロウ、大豆ロウ、ナンキンハゼロウ、セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト又はピートロウのうちの少なくとも1種である、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物が、0.1~80重量%の抗フケ剤、18~95重量%のロウ又はロウ様物質及び0.5~10重量%のカチオン性ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、前記抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能である共溶媒を含み、ここで、該共溶媒はケトンであり、そしてここで、該共溶媒はロウでもロウ様物質でもない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記共溶媒が、2-ヘキサノン、2-オクタノン又はダマスコンから選択されるケトンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、0.2~30重量%の前記共溶媒を含む、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記カチオン性ポリマーのゼータ電位が、+10~+100mVである、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーが、ポリアミン、ポリビニルピロリドン、ポリリシン、プロタミン、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートホモポリマー及びコポリマー、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムハライドホモポリマー及びコポリマー、ジアルキルジアリルアンモニウムハライドホモポリマー及びコポリマー、キトサン又は誘導体化キトサン、セルロース又はトリメチルアンモニウム置換エポキシドを含むその誘導体、デンプンヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムハライド、ポリエチレンイミン、又は、ジ4級アンモニウム若しくはポリ4級アンモニウム繰り返し単位を含む重縮合物のうちの1種類以上である、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記抗フケ剤がピロクトンオラミンである、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、粉末状であるか又は水性懸濁液の形態にある、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載されている組成物を調製する方法であって、
前記ロウ又はロウ様物質及び前記抗フケ剤を含む水性スラリーを加熱及び撹拌する段階、それに続いて、該スラリーに前記カチオン性ポリマーを添加し、そのスラリーを30~100℃で5~60分間さらに加熱する段階を含む、前記方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載されている組成物を含む、ヘアケア製品。
【請求項12】
前記ヘアケア製品が、そのヘアケア製品中の前記抗フケ剤の総量が0.01~5.0重量%であるような量の請求項1~9のいずれかに記載されている前記組成物を含む、請求項11に記載のヘアケア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗フケ剤(特に、ピロクトンオラミン)を含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
抗フケシャンプー又は抗フケコンディショナーの効力は、頭皮及び毛髪に付着した抗フケ剤の量に大きく依存する。通常、使用時点においては、毛髪/頭皮とウォッシュオフヘアケア製品の接触時間は極めて短く(例えば、10~120秒)、その後、その組成物は洗い流され、その結果、当該抗フケ剤は充分な時間付着することができない。従って、限られた時間の接触において、可能な限り多くの薬剤を付着させることが望ましい。しかしながら、ウォッシュオフヘアケア組成物を介した任意の活性成分(特に、抗フケ剤)の付着は、抗フケ剤の粒子の一部の量が付着せずに洗い流される傾向があるので、技術的問題を提示する。損失を相殺するために抗フケ剤の量を増やすことは可能な解決策であるが、それは、技術的に適切ではなく、経済的にも実用的ではない。
【0003】
ピロクトンオラミン(Octopirox(登録商標))は、広く使用されている抗フケ剤である。しかしながら、付着が不充分であることは、依然として技術的な問題である。もう一つの問題は、シャンプー内における不安定さである。
【0004】
US20040213751A1(P&G)には、ピリチオンと、1より大きい増強係数(augmentation factor)をもたらす亜鉛含有層状材料を含む、ヘアケア組成物が開示されている。
【0005】
WO14124066A1(P&G)には、ピリチオンの付着を改善するためのカチオン性ポリマー及びアニオン性粒子を含む、ヘアケア組成物が開示されている。
【0006】
WO2008101546(Rovi)には、皮膚及び/又は毛髪を保護又は治療するための活性成分、並びに、該活性成分がその中に存在している又は該活性成分がそれに結合若しくは会合している担体材料を含む化粧品が開示されており、ここで、該担体材料は、特定の割合のキトサンを含む。該活性物質は、キトサン並びに特定の割合のポリラクチド、ポリグリコリド及び/又はポリラクチドグリコリド又はそれらの誘導体を有している画分の中で担体材料に結合又は会合しており、そして、該担体材料は、10~1000nmの平均粒子サイズを有する粒子の形態にある。
【0007】
WO10105922A1[Unilever]には、ロウ状固体及び全体としてカチオン電荷を有さない高分子付着助剤を含む粒子、並びに、そのような粒子を調製する方法が開示されている。
【0008】
本発明者らの同時係属出願EP19154998(Unilever)には、光不安定性抗フケ剤及び融点が30℃~105℃である有機UVフィルターを含む複合粒子が開示されており、ここで、該複合粒子は、1000Da~10000000Daの重量平均分子量を有するカチオン性ポリマーを含むことを特徴としている。
【0009】
WO9823258A1(Unilever)には、ピロクトンオラミン及びピロクトンオラミンの付着を増強するための0.1~5重量%のポリエチレンイミンを含むシャンプーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US20040213751A1
【特許文献2】WO14124066A1
【特許文献3】WO2008101546
【特許文献4】WO10105922A1
【特許文献5】EP19154998
【特許文献6】WO9823258A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の問題の少なくとも一部は、本発明によって解決できることが確認された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、以下のものを含む組成物が開示されている:
(i) 抗フケ剤;
(ii) 該抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能であるロウ又はロウ様物質であり、ここで、該ロウ及び該物質の融点は30℃~105℃であり、そして、該物質はUV吸収日焼け止め剤ではない;及び、
(iii) 10Da~10Daの重量平均分子量を有するカチオン性ポリマー;
ここで、該組成物は、粒子サイズ0.1~1000ミクロンの粒子の形態にあり、そしてここで、該ロウ様物質は、C13-35の脂肪アルコールであり;ここで、該ロウは、蜜ロウ、イボタロウ(Chinese wax)、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、シロヤマモモロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシロウ(castor wax)、エスパルトロウ(esparto wax)、木ロウ(Japan wax)、オーリクリーロウ(ouricury wax)、米糠ロウ、大豆ロウ、ナンキンハゼロウ(tallow tree wax)、セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト又はピートロウのうちの少なくとも1種である。
【0013】
本発明者らは、本発明の粒子が、より多くの抗フケ剤を頭皮に付着させるのに役立つのみではなく、シャンプー組成物のようなヘアケア製品の中の抗フケ剤(特に、ピロクトンオラミン)を安定化させるのにも役立つということを確認した。そのような薬剤は、おそらく、抗フケ剤を分解又は不安定化させる可能性のある界面活性剤、ポリマー及び他の成分の存在に起因して、ある期間にわたってそれらの効力を失う可能性がある。
【0014】
第2の態様によれば、請求項1に記載されている組成物を調製する方法が開示されており、ここで、該方法は、前記ロウ又はロウ様物質及び前記抗フケ剤を含む水性スラリーを加熱及び撹拌する段階、それに続いて、該スラリーに前記カチオン性ポリマーを添加し、そのスラリーを30~100℃で5~60分間さらに加熱する段階を含む。
【0015】
第3の態様によれば、第1の態様の組成物を含むヘアケア製品が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
疑義を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の他の任意の態様において利用することができる。表現「含む(comprising)」は、「含んでいる(including)」を意味するが、必ずしも「からなる」(consisting)又は「構成されている」(composed of)を意味するわけではないということが意図される。言い換えれば、記載されている段階又はオプションは、包括的である必要はない。以下に記載されている実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではないことは留意されたい。同様に、別途示されていない限り、全てのパーセンテージは、重量/重量パーセントである。実施例及び比較実施例における場合を除いて、又は、明示的に示されている場合を除いて、本「詳細な説明」及び「特許請求の範囲」において材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/若しくは使用について示している全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、xとyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせたすべての範囲も考慮されることは理解される。本明細書中で使用されている場合、不定冠詞「a」又は「an」及びそれに対応する定冠詞「the」は、別途指定されていない限り、少なくとも1又は1以上を意味する。上記個々のセクションで言及されている本発明の様々な特徴は、適切な場合には、必要な変更を加えて他のセクションに適用される。従って、1つのセクションにおいて特定されている特徴は、適切な場合には、他のセクションにおいて特定されている特徴と組み合わせることができる。セクションの見出しは、便宜上付加されているものであり、決してその開示内容を限定することを意図したものではない。
【0017】
本明細書中で使用されている「ヘアケア製品(haircare product)」は、哺乳動物(特に、ヒト)の毛髪又は頭皮に局所適用するための組成物を包含することが意図されている。「局所」は、その製品が身体の外表面に適用されることを意味する。本発明において、これは、ヘアケア製品を毛髪又は頭皮に適用することによって達成される。そのような製品は、一般に、リーブオン(leave-on)又はリンスオフ(rinse off)として分類することができ、そして、頭皮及び毛髪の外観、クレンジング、臭気制御又は全体的な美観を改善するために適用される任意の製品を包含する。本発明のヘアケア製品は、好ましくは、リーブオン製品である。あるいは、本発明のヘアケア製品は、ウォッシュオフ(wash-off)組成物である。本発明によるヘアケア製品は、好ましくは、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアカラー、ヘアセラム、ムース、ヘアジェル又はヘアオイルである。
【0018】
第1の態様において、本発明の組成物は、
(i) 抗フケ剤;
(ii) 該抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能であるロウ又はロウ様物質であって、ここで、該ロウ及び該物質の融点は30℃~105℃であり、そして、該物質はUV吸収日焼け止め剤ではない;及び、
(iii) 10Da~10Daの重量平均分子量を有するカチオン性ポリマー;
を含み、
ここで、該組成物は、粒子サイズ0.1~1000ミクロンの粒子の形態にあり、そしてここで、該ロウ様物質は、C13-35の脂肪アルコールであり;ここで、該ロウは、蜜ロウ、イボタロウ(Chinese wax)、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、シロヤマモモロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシロウ(castor wax)、エスパルトロウ(esparto wax)、木ロウ(Japan wax)、オーリクリーロウ(ouricury wax)、米糠ロウ、大豆ロウ、ナンキンハゼロウ(tallow tree wax)、セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト又はピートロウのうちの少なくとも1種である。
【0019】
用語「粒子」は、サイズが0.1~1000μm、好ましくは、0.1~100μm、最も好ましくは、1~50μmの範囲にある粒子を意味する。好ましくは、本発明の組成物は、粉末状であるか、又は、水性懸濁液の形態にある。そのような組成物は、好ましくは、1~90重量%の粒子を含んでおり、そして、残りは水である。
【0020】
あるいは、本発明の組成物、即ち、粒子は、粉末状であり、好ましくは、凍結乾燥粉末である。そのサイズは、例えば、システム(例えば、「Malvern Instruments Ltd」から入手可能なMastersizerTM2000)を使用するレーザー回折によって測定することができる。該微粒子中の抗フケ剤の量とロウ又はロウ様物質の量の比率は、1:0.01~1:1000重量部であることが好ましい。
【0021】
微粒子は、0.1~80重量%の抗フケ剤、18~95重量%のロウ又はロウ様物質及び0.5~10重量%のカチオン性ポリマーを含むことが好ましい。
【0022】
ロウ又はロウ様物質
本発明の組成物は、抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能であるロウ又はロウ様物質を含み、ここで、該ロウ及び該物質の融点は30℃~105℃である。該ロウ様物質は、UV吸収日焼け止め剤ではない。
【0023】
融点は、純粋な物質の固体形態と液体形態が平衡状態で存在することが可能な温度を示している。
【0024】
本発明のロウは、蜜ロウ、イボタロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、シロヤマモモロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシロウ、エスパルトロウ、木ロウ、オーリクリーロウ、米糠ロウ、大豆ロウ、ナンキンハゼロウ、セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト又はピートロウのうちの少なくとも1種類である。そのようなロウは、多くの場合、炭化水素ロウ及びエステルロウから選択され、それらは、天然源に由来し得るか又は合成することができる。適切な炭化水素ロウには、鉱ロウ、微晶ロウ、モンタナロウ(Montana wax)及び低分子量ポリエチレン(例えば、300~600ダルトンのポリエチレン)が包含される。適切なエステルロウは、植物由来トリグリセリド油のような不飽和天然油から、水素化及び場合により脱ヒドロキシル化(ヒマシ油のように置換基が少なくとも1のヒドロキシル基を含む場合)によって得ることができる。適切なエステルロウには、カスターロウ(caster wax)、カンデリラロウ、カルナウバロウ、蜜ロウ及び鯨ロウ(spermeceti wax)が包含される。蜜ロウのような天然ロウには、異なる化学的クラスが包含される。合成エステルは、多くの場合、少なくとも30個の炭素を含む脂肪族モノエステルを含んでおり、そして、実際、蜜ロウのような単離された天然物であり得るか、それらから誘導され得るか、又は、同じ化合物であり得る。
【0025】
本発明のロウ様物質は、C13-35脂肪アルコールである。
【0026】
脂肪アルコールの1種類又はブレンドを使用することが可能である。好ましい脂肪アルコールとしては、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール及びベヘニルアルコールを含む。商業用脂肪アルコールは、名目上及び主に、1種類の特定されているアルコールであるが、多くの場合、2個、4個又は6個の炭素により異なる少量(例えば、合計で最大5又は6重量%まで)の同族体を含む。
【0027】
ロウ及びロウ様物質は、紫外線を吸収する日焼け止め剤ではない。例えば、一部の日焼け止め剤を以下に記載する:2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-3とも称される、CAS:131-57-7、MP 62~64℃)、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CAS:131-53-3、MP 73~75℃)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(CAS:70356-09-1、MP 81~84℃)、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb S、 CAS:187393-00-6、MP 83~85℃)、アントラニル酸メンチル(CAS:134-09-8、MP 62.5~63.5℃)、4-メチルベンジリデンカンファー(エンザカメン)(CAS:36861-47-9、MP 66~69℃)、ベンゾフェノン-7(5-クロロ-2-ヒドロキシベンゾフェノン)(CAS:85-19-8、MP 96~98℃)、ベンゾフェノン-8(ジオキシベンゾン)(CAS:131-53-3、MP 68℃)、ベンゾフェノン-10(メキセノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチル-ベンゾフェノン、CAS:1641-17-4、MP 99~102℃)、ベンゾフェノン-12(オクタベンゾン)(CAS:1843-05-6、MP 47~49℃)。
【0028】
抗フケ剤
本発明の組成物(即ち、微粒子)は、好ましくは、0.1~80重量%、好ましくは、0.2~40重量%、さらに好ましくは、0.25~15重量%の抗フケ剤を含む。抗フケ剤は、フケに対して活性であり且つ典型的には抗菌剤、好ましくは、抗真菌剤である化合物である。抗フケ剤は、典型的には、マラセチア属(Malassezia)に対して約50mg/mL以下の最小発育阻止濃度を示す。
【0029】
抗フケ剤は、ピロクトンオラミン、クリンバゾール、硫化セレン、ジンクピリチオン又は硫酸亜鉛であることが好ましい。
【0030】
カチオン性ポリマー
本発明の組成物は、カチオン性ポリマーも含む。好ましくは、該ポリマーは、以下のものである:ポリアミン、ポリビニルピロリドン、ポリリジン、プロタミン、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートホモポリマー及びコポリマー、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムハライドホモポリマー及びコポリマー、ジアルキルジアリルアンモニウムハライドホモポリマー及びコポリマー、キトサン又は誘導体化キトサン、セルロース又はトリメチルアンモニウム置換エポキシドを含むその誘導体、デンプンヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムハライド、ポリエチレンイミン、又は、ジ4級アンモニウム若しくはポリ4級アンモニウム繰り返し単位を含む重縮合物。
【0031】
用語「カチオン性ポリマー」は、そのようなポリマーを、アニオン性ポリマー(即ち、負に帯電したポリマー)及び非イオン性ポリマー(即ち、電荷を有していないポリマー)と区別するために使用される。
【0032】
カチオン性ポリマーの分子量は、好ましくは、30,000~1,000,000ダルトンであり、さらに好ましくは、70,000~600,000ダルトンであり、一層さらに好ましくは、150,000~400,000ダルトンである。
【0033】
ゼータ電位は、固体表面とその液体媒体の間の界面で発生する電荷である。ミリボルトで測定されるこの電位は、いくつかのメカニズムのいずれかによって生じ得る。これらの中には、粒子表面におけるイオン生成基の解離、及び、表面領域への溶液イオンの示差吸着がある。粒子表面の正味電荷は、近くの領域におけるイオン分布に影響を及ぼし、表面に近い対イオンの濃度を増大させる。従って、粒子-液体界面の領域において、電気二重層が形成される。従って、ゼータ電位は、粒子の表面電荷、界面で吸着された層並びに周囲の懸濁液媒体の性質及び組成の関数である。これは実験的に決定することが可能であり、そして、それは、粒子上の有効電荷を反映しており、従って、それらの間の静電反発力に関連しているので、ゼータ電位は、コロイド安定性と凝集プロセスの実際の研究及び制御にとって極めて適切であることが分かっている。それを妥当な精度で測定するために、さまざまな方法及び装置を利用することができる。例えば、粒子のゼータ電位は、Malvern Nano ZS90装置を使用して、固形成分含有量50ppm及びpH7、25℃で、DI水の中で測定する。
【0034】
カチオン性ポリマーのゼータ電位は、好ましくは、+10~+100mVである。該ポリマーは、特に好ましくは、キトサンである。キトサンは、キトサン成分及び陰イオンを含むことが好ましい。キトサンは、キトサンとアミノ酸の塩であることが好ましい。好ましくは、アミノ酸は、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、ロイシン、リジン、セリン、スレオニン、アルギニン又はそれらの混合物を含んでおり、さらに好ましくは、アルギニンを含む。
【0035】
好ましくは、キトサンは、第一級アミノ基とプロトン化第一級アミノ基の総量の、モル基準で少なくとも5%の、さらに好ましくは少なくとも10%の、プロトン化第一級アミノ基を含む。
【0036】
好ましくは、キトサンの脱アセチル化の程度は、少なくとも65%であり、さらに好ましくは、70~95%、一層さらに好ましくは、72~90%、最も好ましくは、75~85%である。
【0037】
微粒子中の抗フケ剤とカチオン性ポリマーとの比率は、1:0.01~1:1000重量部であることが好ましい。
【0038】
本発明の組成物(即ち、粒子)は、抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能である共溶媒を含むことが好ましく、ここで、該共溶媒はケトンであり、そしてここで、該共溶媒はロウでもロウ様物質でもない。この共溶媒は、ロウ又はロウ様物質に追加される。
【0039】
共溶媒は、2-ヘキサノン又は2-オクタノン又はダマスコンから選択されるケトンであることが好ましい。
【0040】
さらに好ましくは、このケトンはダマスコンである。
【0041】
複合粒子を調製する方法
第2の態様によれば、第1の態様の組成物を調製する方法が開示されており、ここで、該方法は、前記ロウ又はロウ様物質及び前記抗フケ剤を含む水性スラリーを加熱及び撹拌する段階、それに続いて、該スラリーに前記カチオン性ポリマーを添加し、さらにそのスラリーを30~100℃で5~60分間加熱する段階を含む。
【0042】
ヘアケア組成物
第3の態様によれば、第1の態様の組成物を含むヘアケア製品が開示されている。さらに好ましくは、ヘアケア製品は、そのヘアケア製品中の抗フケ剤の総量が0.01~5.0重量%であるような量の組成物(即ち、微粒子)を含む。
【0043】
さらに好ましくは、ヘアケア製品は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアカラー、ヘアセラム、ムース、ヘアジェル又はヘアオイルである。
【0044】
複合粒子の形態で存在している抗フケ剤に加えて、本発明によるヘアケア組成物は、さらにまた、例えば微粒子の内部に含まれる抗フケ剤と同じであってもよい、追加の抗フケ剤を含むこともできる。存在しているときはいつも、本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、0.05~5重量%の追加の抗フケ剤を含む。追加の抗フケ剤は、好ましくは、アゾール類、Octopirox(登録商標)(ピロクトンオラミン)、硫化セレン、サリチル酸及びそれらの組み合わせから選択される。アゾール類には、ケトコナゾール及びクリンバゾールが包含され、好ましくは、クリンバゾールが包含される。
【0045】
本発明のヘアケア組成物は、さらに、亜鉛塩を含むことができる。付加的な亜鉛塩は、適切には、有機酸の亜鉛塩、無機酸の亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛又はそれらの混合物から選択することができる。
【0046】
好ましい亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、ピロリドンカルボン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、グリシン亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸塩亜鉛及びそれらの混合物を含む。存在している場合には、本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、その組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは、0.2~3重量%、さらに好ましくは、0.25~2.5重量%の塩を含む。
【0047】
本発明のヘアケア組成物は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む。使用できる性質、種類、量及び特定の組み合わせは、組成物の製剤に依存し、そして、それがシャンプーであるか、コンディショナーであるか、又は、コンディショニングシャンプーであるかに大きく依存するであろう。
【0048】
好ましくは、本発明のヘアケア製品は、シャンプーである。好ましくは、それは、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム又はそれらの混合物である界面活性剤を含む。
【0049】
好ましくは、本発明のヘアケア製品は、1~50%、好ましくは、2~40%、さらに好ましくは、4~25%の総界面活性剤を含む。本発明のヘアケア製品は、さらに好ましくは、化粧品成分を含む。好ましくは、化粧品成分は、シリコーン、抗フケ剤以外の抗菌剤、フォームブースター、香料、カプセル化物(encapsulates)(例えば、カプセル化香料)、染料、着色剤、顔料、防腐剤、増粘剤、タンパク質、リン酸エステル、緩衝剤、pH調整剤、真珠様光沢剤(pearlescer)(例えば、雲母、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、ジステアリン酸エチレングリコール(INCI ジステアリン酸グリコール))及び/又は乳白剤、粘度調整剤、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、乳化剤、センセート活性物質(sensate active)(例えば、メントール及びメンソール誘導体)、ビタミン、ミネラルオイル、エッセンシャルオイル、脂質、天然活性物質、グリセリン、天然毛髪栄養素、例えば、植物抽出物、果実抽出物、糖誘導体及びアミノ酸、微結晶性セルロース並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
好ましくは、本発明のヘアケア製品は、製品全体の重量基準で、0.01~20重量%の少なくとも1種類の化粧品成分を含んでおり、さらに好ましくは、0.05~10重量%、一層さらに好ましくは、0.075~7.5重量%、最も好ましくは、0.1~5重量%の少なくとも1種類の化粧品成分を含む。
【0051】
本発明のヘアケア製品は、さらにまた、抗フケ活性物質(例えば、ジンクピリチオン)の特性を増強してマラセチア・フルフル(Malassezia furfur)の増殖をさらに阻害するためにその抗フケ活性物質と組み合わせて使用されたときに、相乗的抗菌効果をもたらす相乗的抗菌化合物も含むことができる。これらの化合物の非限定的な例には、アルコール基を有する化合物(例えば、ホノキオール、マグノロール又はペオノール)、ピペラジン類及び天然植物抽出物中に見られるフェノール化合物(即ち、チモール及びテルペニオール(terpeniol))が包含される。
【0052】
ヘアケア製品は、さらに、ビタミンB3化合物を含むことができる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミドである。
【0053】
ナイアシンアミドは、ケラチノサイトからのAMP(抗菌タンパク質)の分泌に関して知られている。このように分泌されたAMPは、例えば頭皮の免疫性を改善する。従って、ナイアシンアミドを使用すると、抗真菌活性を介してのみではなく、ナイアシンアミドを使用して頭皮自体の細菌に対する保護シールドを増強することによっても抗フケ効力が強化され得る。この組み合わせは、細菌に対するさらに長期間持続する保護(例えば、最大で24時間までの保護)を提供し得るであろう。存在している場合には、本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、その組成物の0.1~5重量%のナイアシンアミドを含んでおり、さらに好ましくは、0.5~5重量%、さらに好ましくは、0.5~3重量%、最適には、1.0~3.0重量%のナイアシンアミドを含む。
【0054】
シリコーン
本発明のヘアケア製品は、シリコーンを含むことが好ましい。
【0055】
例えば、本発明の組成物は、コンディショニング性能を増強するためのシリコーンコンディショニング剤の乳化液滴を含むことができる。
【0056】
適切なシリコーンとしては、ポリジオルガノシロキサン類、ポリジメチルシロキサン類(これは、CTFA名称「ジメチコン」を有する)を含む。さらに、本発明の組成物(特に、シャンプー及びコンディショナー)中での使用に適しているのは、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン類(これは、CTFA名称「ジメチコノール」を有する)である。
【0057】
好ましくは、乳化シリコーンの粘度は、25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコーンの粘度は、好ましくは、少なくとも60,000cst、最も好ましくは、少なくとも500,000cst、理想的には、少なくとも1,000,000cstである。好ましくは、粘度は、製剤を容易にするために、10cstを超えない。
【0058】
予め形成された適切なエマルションの例としては、Dow Corningから入手可能なXiameter MEM1785及びマイクロエマルションDC2-1865を含む。これらは、ジメチコノールのエマルション/マイクロエマルションである。架橋シリコーンガムは、予め乳化された形態で入手することもでき、これは、製剤の容易さのために有利である。シャンプー及びコンディショナーに含ませるためのさらに好ましいクラスのシリコーンは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」は、少なくとも1の第一級、第二級若しくは第三級アミン基又は第四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味する。適切なアミノ官能性シリコーンの例としては、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンを含む。
【0059】
本発明において使用するのに適しているアミノ官能性シリコーンの特定の例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166及びDC2-8566(全て、Dow Corning製)である。
【0060】
好ましくは、シリコーンの総量は、0.01~10重量%、さらに好ましくは、0.1~5重量%、最も好ましくは、0.5~3重量%である。
【0061】
組成物のpH
好ましくは、本発明のヘアケア製品のpHは、好ましくは、3~7、さらに好ましくは、4~7、一層さらに好ましくは、4~6.5、最も好ましくは、4.2~6.5である。
【0062】
シャンプー
本発明のヘアケア製品がシャンプーである場合、それは、一般に水性であり、即ち、それらは、それらの主成分として、水又は水溶液又はリオトロピック液晶相を有している。
【0063】
適切には、シャンプー組成物は、50~98%の水を含んでおり、好ましくは、60~92%の水を含む。
【0064】
好ましくは、該シャンプー組成物は、毛髪をコンディショニングするための1種類以上のカチオン性ポリマーを含む。
【0065】
適切なカチオン性ポリマーには、カチオン置換されているホモポリマー又は2以上のタイプのモノマーから形成され得るホモポリマーが包含される。ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、一般に、100000~300万ダルトンである。ポリマーは、カチオン性窒素含有基(例えば、第四級アンモニウム基又はプロトン化アミノ基又はそれらの混合物)を有している。ポリマーの分子量が低すぎる場合、コンディショニング効果が劣る。高すぎる場合、伸長粘度が高くなり、その結果、注がれたときに組成物が糸状になるという問題が存在し得る。
【0066】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部分における置換基として存在する。従って、ポリマーがホモポリマーではない場合、それは、スペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。そのようなポリマーは、「CTFA Cosmetic Ingredient Directory, 3rd edition」に記載されている。非カチオン性モノマー単位に対するカチオン性モノマー単位の比率は、求められる範囲(それは、一般に、0.2~3.0meq/gmである)のカチオン性電荷密度を有するポリマーが得られるように選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験の下で米国薬局方に記載されているケルダール法によって適切に測定される。
【0067】
適切なカチオン性ポリマーには、カチオン性アミン官能性又は第四級アンモニウム官能性を有するビニルモノマーと水溶性スペーサーモノマー(例えば、(メタ)アクリルアミド、アルキル及びジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトン、並びに、ビニルピロリジン)のコポリマーが包含される。アルキル及びジアルキル置換モノマーは、好ましくは、C1-C7アルキル基、さらに好ましくは、C1-3アルキル基を有している。他の適切なスペーサーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールを含む。
【0068】
カチオン性アミンは、特定の種及び当該組成物のpHに応じて、第一級、第二級又は第三級アミンであることができる。一般に、第二級及び第三級アミンが好ましく、特に、第三級が好ましい。
【0069】
アミン置換ビニルモノマー及びアミンは、アミンの形態で重合可能であり、次いで、四級化によってアンモニウムに変換させることができる。
【0070】
カチオン性ポリマーは、アミン及び/若しくは第四級アンモニウムで置換されているモノマー並びに/又は適合性スペーサーモノマーに由来するモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0071】
適切なカチオン性ポリマー(の非限定的な例)としては、以下のものを含む:
・ カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、及び、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(これらは、業界(CTFA)では、それぞれ、ポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と称される);
・ 3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号に記載されている);
・ カチオン性ポリアクリルアミド(WO95/22311に記載されている)。
【0072】
使用することが可能な別のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性多糖ポリマー、例えば、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体及びカチオン性グアーガム誘導体を含む。
【0073】
使用することが可能な特に適しているタイプのカチオン性多糖ポリマーは、カチオン性グアーガム誘導体、例えば、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Rhodiaから、JAGUAR商標シリーズで市販されている)である。そのような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14及びJAGUAR C17である。
【0074】
上記カチオン性ポリマーのいずれの混合物も使用することができる。
【0075】
好ましくは、本発明のヘアケア製品は、0.01~5%、好ましくは、0.02~1%、さらに好ましくは、0.05~0.8%のカチオン性ポリマーを含む。
【0076】
本発明のヘアケア製品は、さらに、カチオン性付着ポリマー(これは、100万~220万g/モルの平均分子量(Mw)を有し且つカチオン置換度が0.13~0.3であるカチオン性ポリガラクトマンナンである)も含むことができる。
【0077】
ポリガラクトマンナンは、主にガラクトース単位とマンノースの単位で構成されている多糖類であり、そして、通常、グアー、イナゴマメ、アメリカサイカチ、ゴウシュウアオギリのようなマメ科植物及びマメ科(Leguminosae family)の別のメンバーの種子の内乳物質の中で見られる。ポリガラクトマンナンは、1→4結合β-D-マンノピラノシル主鎖単位(マンノシド単位又はマンノシド残基とも称される)からなる骨格と、当該ポリマー骨格内のマンノピラノース残基の6番目の炭素原子から分枝している繰り返し1→6結合α-D-ガラクトシル側基(ガラクトシド単位又はガラクトシド残基とも称される)で構成されている。マメ科の異なる種のポリガラクトマンナンは、ポリマンノシド骨格から分枝しているガラクトシド側鎖単位の発生頻度が互いに異なっている。マンノシド単位及びガラクトシド単位は、本明細書中では、総称的に、グリコシド単位又はグリコシド残基と称されている。グアーガム(以下、「グアー」と称される)中に含まれているポリガラクトマンナンの中のマンノシド単位とガラクトシド単位の平均比率は、約2:1である。
【0078】
適切なカチオン性ポリガラクトマンナンには、1以上の誘導体化剤との化学反応によってカチオン的に修飾されたグアー及びヒドロキシアルキルグアー(例えば、ヒドロキシエチルグアー又はヒドロキシプロピルグアー)が包含される。
【0079】
典型的な組成物では、カチオン性ポリガラクトマンナンの量は、一般に、組成物の約0.05~1重量%の範囲、好ましくは、0.1~0.8重量%の範囲、さらに好ましくは、0.2~0.6重量%の範囲である。
【0080】
本発明のヘアケア製品は、さらに、カルボン酸ポリマーのようなアニオン性高分子レオロジー調整剤も含むことができる。
【0081】
用語「カルボン酸ポリマー」は、本発明に関連して、一般に、ペンダントカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマー(以下、「カルボン酸モノマー」と称される)の重合から得られるホモポリマー又はコポリマーを意味する。
【0082】
適切なカルボン酸モノマーは、一般に、1又は2のカルボン酸基、1つの炭素炭素二重結合を有しており、そして、合計で3~約10個の炭素原子、さらに好ましくは、3~約5個の炭素原子を含む。
【0083】
適切なカルボン酸モノマーの特定の例としては、以下のものを挙げることができる:α-β-不飽和モノカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸;及び、α-β-不飽和ジカルボン酸、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びアコニット酸。上記で記載したα-β-不飽和モノカルボン酸又はα-β-不飽和ジカルボン酸の塩、エステル又は無水物も使用することができる。例としては、以下のものを挙げることができる:α-β-不飽和ジカルボン酸とC1-4アルカノールとの半エステル、例えば、フマル酸モノメチル;α-β-不飽和ジカルボン酸の環状無水物、例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物及びシトラコン酸無水物;及び、アクリル酸又はメタクリル酸とC1-30アルカノールとのエステル、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル及びアクリル酸オクタデシル。
【0084】
場合により、別のエチレン性不飽和モノマーをカルボン酸ポリマー骨格内に共重合させることができる。そのような別のエチレン性不飽和モノマーの例としては、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル及びそれらの混合物を含む。カルボン酸ポリマーは、好ましくは、少なくとも100万ダルトンの分子量を有し得る。
【0085】
適切な例には、C1-4アルキルアクリレート又はメタクリレート(例えば、エチルアクリレート)とアクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物から選択される1種類以上のコモノマーから重合させた架橋コポリマーが包含される。そのような材料は、一般に、アクリレートコポリマーのINCI名で称され得る。市販されている例としては、Rohm and Haas製のAculyn(登録商標)33を含む。
【0086】
アクリル酸又はメタクリル酸のC10-30アルキルエステルとアクリル酸、メタクリル酸及びそれらのそれぞれのC1-4アルキルエステルから選択される1種類以上のコモノマーから重合させた架橋コポリマーも適切である。そのような材料は、一般に、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーのINCI名で称され得る。市販されている例としては、Lubrizol Advanced Materials製のCarbopol(登録商標)ポリマー1342及び1382を含む。
【0087】
アクリル酸又はメタクリル酸とアルキルアクリレート及びエトキシル化疎水性修飾アルキルアクリレートとの架橋されていてもよいコポリマーも適切である。そのような材料は、一般に、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー及びアクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマーのINCI名で称され得る。市販されている例としては、Rohm & Haas製のAculyn(登録商標)22、28又は88、及び、3V Sigma製のSynthalen(登録商標)を含む。
【0088】
カルボン酸は、ペンタエリスリトールのアリルエーテル又はスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーのようなカルボマーであることが好ましい。
【0089】
前述の材料のいずれの混合物も使用することができる。
【0090】
好ましくは、本発明のヘアケア製品は、該組成物の0.1~3.0重量%、さらに好ましくは、0.4~1.5重量%のカルボン酸ポリマーを含む。
【0091】
上記で記載したカルボン酸ポリマーのようなアニオン性高分子レオロジー調整剤を含む製剤においては、多くの場合、無機塩基又は有機塩基を添加することによって遊離カルボキシル基の少なくとも一部を中和することが必要である。適切な無機塩基又は有機塩基の例としては、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの混合物を含む。
【0092】
本発明のヘアケア製品は、さらに、1以上の非イオン性セルロースエーテル類から選択される非イオン性高分子レオロジー調整剤も含むことができる。
【0093】
本発明において非イオン性高分子レオロジー調整剤として使用するための適切な非イオン性セルロースエーテル類としては、以下のものを含む:(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース及びエチルセルロース;ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;混合ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース;及び、(C1-3アルキル)ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース。本発明において非イオン性高分子レオロジー調整剤として使用するための好ましい非イオン性セルロースエーテル類は、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性非イオン性セルロースエーテルである。用語「水溶性」は、本発明に関連して、25℃及び1気圧で、100グラムの蒸留水中における少なくとも1グラム、さらに好ましくは、少なくとも3グラム、最も好ましくは、少なくとも5グラムの水溶解度を意味する。このレベルは、肉眼的に等方性又は透明で有色又は無色の溶液の生成を示している。
【0094】
メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースは、METHOCEL(登録商標)商標シリーズとしてDow Chemicalから多くの粘度グレードで市販されている。
【0095】
任意の非イオン性セルロースエーテル類の混合物も適切であり得る。本発明による典型的な組成物においては、非イオン性セルロースエーテル類のレベルは、一般に、当該組成物の総重量に基づいて、約0.01~約2.0重量%の範囲であり、好ましくは、0.1~0.5重量%、さらに好ましくは、0.1~0.3重量%の範囲である。
【0096】
好ましくは、本発明のヘアケア製品は、0.1~0.3重量%の非イオン性セルロースエーテルを含む。
【0097】
本発明のヘアケア製品は、性能及び/又は消費者の受容性を高めるためのさらなる任意の成分を含むことができる。そのような成分の例としては、香料、染料及び顔料並びに防腐剤を含む。これらの成分は、それぞれ、その目的を達成するのに効果的な量で存在する。一般に、これらの任意の成分は、当該組成物の総重量に基づいて個別的に最大で5重量%までのレベルで含まれる。
【0098】
使用の形態
本発明のヘアケア製品は、主に、毛髪及び頭皮への局所適用を目的としている。
【0099】
ヘアケア製品がシャンプーである場合、それは、毛髪に局所適用し、次いで、毛髪と頭皮にマッサージする。次に、水で濯ぎ洗いした後、毛髪を乾燥させる。リーブオンヘアケア組成物であるヘアオイル又はヘアセラムは、適用後1~10時間そのままにしておき、その後、洗い流す。
【0100】
以下の非限定的な実施例によって本発明についてさらに例証し、実施例においては、記載されている全てのパーセンテージは、別途示されていない限り、総重量に基づく重量基準である。
【0101】
本発明は、図面に示されている実施形態に限定されない。従って、特許請求の範囲に記載されている特徴の後に参照数字が続く場合、そのような数字は、特許請求の範囲の理解度を高める目的でのみ含まれており、決して特許請求の範囲の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。実施例は、本発明について例証することを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではない。
【実施例
【0102】
実施例1: 本発明の範囲外の組成物(微粒子)の調製(参照1)
1グラムのOctopirox(登録商標)を12.5gの溶融セトステアリルアルコールに70℃で溶解させて、透明な溶液を形成させた。その後、86.5gのDI水を250mL容ビーカーに入れ、撹拌しながら70℃に加熱した。その水に、セトステアリルアルコール中のOctopirox(登録商標)の溶液を、2000rpmで15分間ホモジナイズしながら加えた。そのシステムを撹拌しながら徐々に室温まで冷却した。次いで、100gのスラリーが残るまで蒸発した水を補充した(13.5%の固形成分含有量、即ち、微粒子)。その微粒子の粒径は、70μmであった。
【0103】
実施例2: 本発明の範囲内の複合材料の調製(参照2)
3グラムのキトサンを300mLの0.5%水性酢酸に溶解させて、1%キトサン溶液を形成させた。1グラムのOctopirox(登録商標)を12.5gの溶融セトステアリルアルコールに70℃で溶解させて、透明な溶液を形成させた。
【0104】
その後、62.5gの1%キトサンアセテート溶液と24gのDI水をビーカー内で70℃で混合させた。Octopirox(登録商標)溶液を70℃に加熱し、2000rpmで15分間ホモジナイズしながらビーカーの内容物に加えた。そのシステムを撹拌しながら徐々に室温まで冷却した。次いで、100gのスラリーが残るまで蒸発した水を補充した(14%の固形成分含有量、即ち、微粒子)。その微粒子の粒径は、54μmであった。
【0105】
実施例3: 本発明の範囲内の複合材料の調製(参照3)
キトサンアセテートの1%溶液を、先に開示されているようにして調製した。1グラムのOctopirox(登録商標)を12.5gの溶融セトステアリルアルコールと4gのダマスコンに70℃で溶解させて、透明な溶液を形成させた。
【0106】
その後、62.5gの1%キトサンアセテート溶液と20gのDI水をビーカー内で70℃で混合させた。Octopirox(登録商標)溶液を70℃に加熱し、2000rpmで15分間ホモジナイズしながらビーカーの内容物に加えた。そのシステムを撹拌しながら徐々に室温まで冷却した。次いで、100gの水性スラリーが残るまで蒸発した水を補充した(18%の固形成分含有量、即ち、微粒子)。
【0107】
その微粒子の粒径は、43μmであった。
【0108】
実施例4: 本発明の範囲内の複合材料の調製(参照4)
キトサンアセテートの1%溶液を、先に開示されているようにして調製した。1グラムのOctopirox(登録商標)を8.5gの溶融セトステアリルアルコールと4gのダマスコンに70℃で溶解させて、透明な溶液を形成させた。
【0109】
その後、62.5gの1%キトサンアセテート溶液と24gのDI水をビーカー内で70℃で混合させた。Octopirox(登録商標)溶液を70℃に加熱し、2000rpmで15分間ホモジナイズしながらビーカーに加えた。そのシステムを撹拌しながら徐々に室温まで冷却した。次いで、100gのスラリーが残るまで蒸発した水を補充した(14%の固形成分含有量、即ち、微粒子)。その微粒子の粒径は、36ミクロンであった。
【0110】
実施例1~実施例4の組成物の詳細について、表1に要約する。
【表1】
【0111】
実施例1~実施例4の組成物を、以下に記載されているさまざまな試験に供した。
【0112】
実施例5: 付着有効性
微粒子に含まれているOctopirox(登録商標)の(頭皮上における)付着の程度について、それぞれが実施例1~実施例4からの一定量の微粒子を含む一連のシャンプー組成物1A~4Aを製剤することによって評価した。言い換えれば、シャンプー1Aは、実施例1の微粒子を含んでいた、など。
【0113】
該製剤が表2に示されている。
【表2】
【0114】
頭皮へのOctopirox(登録商標)の付着の程度は、以下のように確認した。
【0115】
一片のモデル皮膚(2cm×2cm×4mm)をPetridish(登録商標)の中に配置し、そこに、375mgの当該シャンプー(評価中)を添加した。次いで、その皮膚片と別のブランク皮膚片(非処理)を10mLのメタノールに浸し、10分間の超音波処理で分散させた。1mLのメタノール溶液を0.2μmPTFEフィルターに通し、LC分析用の液体クロマトグラフィー(LC)サンプルバイアルの中に移して、付着量データDを得た。
【0116】
一片のモデル皮膚(2cm×2cm×4mm)をPetridish(登録商標)の中に配置し、そこに、375mgの当該シャンプー(評価中)を添加した。次いで、そのシャンプーの皮膚片を別の皮膚片(非処理)で30秒間優しくこすり、そして、その2つの皮膚片を250mLの水で濯ぎ洗った。次いで、その濯ぎ洗った皮膚片を10mLのメタノールに浸し、10分間の超音波処理で分散させた。1mLのメタノール溶液を0.2μmPTFEフィルターに通し、LC分析用の液体クロマトグラフィー(LC)サンプルバイアルの中に移して、付着量データDを得た。
【0117】
次いで、下記式に従って、付着有効性を計算した。
[数1]
Octopirox付着有効性=D/D×100%。
【0118】
該データは、表3に要約されている。
【表3】
【0119】
表3中のデータは、本発明の範囲外の組成物(微粒子)(実施例5及び実施例1A)によって提供される付着率(%)が、実施例2A~実施例4Aの場合に観察された付着の程度ほど良くないことを示している。
【0120】
実施例6:
この実験の目的は、シャンプー組成物中の実施例1~実施例4の微粒子の中に含まれているOctopirox(登録商標)の安定性の程度を確認することであった。それは、微粒子中に含まれているどのくらいの量のOctopirox(登録商標)がシャンプー基剤の中に漏れ出たかを調べることによって評価した。この試験では、シャンプー製品5及びシャンプー製品1A~4Aを調製直後に使用した。この試験は、組成物を1日間、7日間及び14日間貯蔵した後、繰り返し実施した。
【0121】
この実験では、シャンプー製品は、50mL容遠心分離管の中で4グラムの微粒子スラリー(場合に応じて、実施例1~実施例4)を16gのシャンプー基剤と混合させることによって作成した。従って、この実験の目的のためのシャンプーの製剤は、表2中に開示されている製剤(1A~4A)とは異なっていた。命名に伴う不明瞭さを避けるために、この実験に使用したサンプル参照番号は、1B~4Bと命名した。
【0122】
シャンプーのサンプルを、室温で、1日間、7日間及び14日間貯蔵した。所定の時間に、20gの脱イオン水を遠心分離管(20gのシャンプーを含む)に加え、その管を10000rpmで20分間遠心分離した。次いで、その液体部分(上清)をUV分析のために収集して、その中のOctopirox(登録商標)の濃度を調べ、これは、新しく調製したシャンプー製品の中のOctopirox(登録商標)の量と比較した減損率(%)として表されている。
【0123】
その結果は、表4に要約されている。
【表4】
【0124】
表4中のデータは、組成物2B~組成物4Bの場合に、Octopiroxがより安定していたことを示している。しかしながら、これら3種類の中で、その安定性は実施例4Bの場合に最も高かった。実施例4の微粒子は、共溶媒(ダマスコン)を含んでおり、この付加的な安定性(又は、漏出の低減)は、ダマスコンに起因する可能性がある。
【0125】
実施例7: マイクロカプセルから皮脂中へのOctopirox(登録商標)の放出
この実験ために、実施例4のスラリーを凍結乾燥させて粉末を得た。この粉末の7mgを、32℃に維持されているオーブン内で2mLのモデル皮脂組成物の中でインキュベートした。所定の時間に、その混合物をオーブンから取り出し、0.2μmのPTFEフィルターに通して不溶性物質を除去した。その濾液をメタノール中に分散させ、LC分析用のLCサンプルバイアルの中に移した。同じ粉末の別の7mgをメタノール中に直接溶解させ、Octopirox(登録商標)の濃度をLCで測定した。このサンプルは、比較目的(対照)用であり、100%放出サンプル用であった。次いで、当該複合材料から放出されたOctopirox(登録商標)の割合(%)を計算した。
【0126】
結果は、32℃で、Octopirox(登録商標)の約90%が実施例4の複合材料から皮脂中に放出されたことを示した。言い換えれば、この観察結果は、本発明による複合材料が組成物の内部では充分に安定であるが、同時に、複合材料は皮脂と接触するとOctopirox(登録商標)を放出することができることを示しており、この特性によって、複合材料は、シャンプーのようなヘアケア製品において使用するのに適している。
【0127】
実施例8
キトサンアセテートの1%溶液を、先に開示されているようにして調製した。1グラムのOctopirox(登録商標)を8.5gの溶融ラウリルアルコール(MP 24℃)と4gのダマスコンに40℃で溶解させて、透明な溶液を形成させた。
【0128】
その後、62.5gのキトサンアセテート溶液と24gのDI水を40℃で量ってビーカーの中に入れた。Octopirox(登録商標)溶液を40℃に加熱し、2000rpmで15分間ホモジナイズしながらビーカーに加えた。そのシステムを撹拌しながら徐々に室温まで冷却した。その後、蒸発した水を補充して、100gの水性スラリーが得られた。
【0129】
この方法で微粒子を調製することは可能であったが、温度が24℃を超えると、複合材料は液体に変わり、このことは、微粒子が熱安定性ではなかったことを示している。
【0130】
実施例9
キトサンアセテートの1%溶液を、先に開示されているようにして調製した。1グラムのOctopirox(登録商標)を8.5gの溶融フィッシャー・トロプシュロウ(Sasolwax(登録商標)H1、MP 112℃)と4gのダマスコンに120℃で溶解させて、透明な溶液を形成させた。
【0131】
その後、62.5gの1%キトサン溶液と20gのDI水を100℃で量ってビーカーに入れた。Octopirox(登録商標)溶液を120℃に加熱し、2000rpmでホモジナイズしながらビーカーに加えた。Octopirox(登録商標)溶液はすぐに固化し、微細な複合粒子を形成することができなかった。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合粒子であって、
(i) 抗フケ剤;
(ii) 該抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能であるロウ又はロウ様物質であって、ここで、該ロウ及び該物質の融点は30℃~105℃である;及び、
(iii) 103Da~107Daの重量平均分子量を有するカチオン性ポリマー;
を含み、ここで、該複合粒子は、粒子サイズ0.1~1000μmを有し、そしてここで、該ロウ様物質は、C13-35の脂肪アルコールであり;ここで、該ロウは、蜜ロウ、イボタロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、シロヤマモモロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ヒマシロウ、エスパルトロウ、木ロウ、オーリクリーロウ、米糠ロウ、大豆ロウ、ナンキンハゼロウ、セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト又はピートロウのうちの少なくとも1種である、前記複合粒子。
【請求項2】
前記複合粒子が、0.1~80重量%の抗フケ剤、18~95重量%のロウ又はロウ様物質及び0.5~10重量%のカチオン性ポリマーを含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
さらに、前記抗フケ剤が溶解可能であるか又は分散可能である共溶媒を含み、ここで、該共溶媒はケトンであり、そしてここで、該共溶媒はロウでもロウ様物質でもない、請求項1又は2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記共溶媒が、2-ヘキサノン、2-オクタノン又はダマスコンから選択されるケトンである、請求項3に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記複合粒子が、0.2~30重量%の前記共溶媒を含む、請求項3又は4に記載の複合粒子。
【請求項6】
前記カチオン性ポリマーのゼータ電位が、+10~+100mVである、請求項1~5のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項7】
前記ポリマーが、ポリアミン、ポリビニルピロリドン、ポリリシン、プロタミン、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートホモポリマー及びコポリマー、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムハライドホモポリマー及びコポリマー、ジアルキルジアリルアンモニウムハライドホモポリマー及びコポリマー、キトサン又は誘導体化キトサン、セルロース又はトリメチルアンモニウム置換エポキシドを含むその誘導体、デンプンヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムハライド、ポリエチレンイミン、又は、ジ4級アンモニウム若しくはポリ4級アンモニウム繰り返し単位を含む重縮合物のうちの1種類以上である、請求項1~6のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項8】
前記抗フケ剤がピロクトンオラミンである、請求項1~7のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項9】
前記複合粒子が、粉末状であるか又は水性懸濁液の形態にある、請求項1~8のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項10】
請求項1に記載されている複合粒子を調製する方法であって、
前記ロウ又はロウ様物質及び前記抗フケ剤を含む水性スラリーを加熱及び撹拌する段階、それに続いて、該スラリーに前記カチオン性ポリマーを添加し、そのスラリーを30~100℃で5~60分間さらに加熱する段階を含む、前記方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載されている複合粒子を含む、ヘアケア製品。
【請求項12】
前記ヘアケア製品が、そのヘアケア製品中の前記抗フケ剤の総量が0.01~5.0重量%であるような量の請求項1~9のいずれかに記載されている前記複合粒子を含む、請求項11に記載のヘアケア製品。
【国際調査報告】