(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】フィルタエレメント及びフィルタエレメントの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 29/07 20060101AFI20220916BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20220916BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20220916BHJP
【FI】
B01D29/06 510F
B01D29/06 520F
B01D29/06 520A
B01D46/52 A
B01D46/52 C
B01D46/00 302
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500916
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020043559
(87)【国際公開番号】W WO2021021655
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルストラーテ, マティス
(72)【発明者】
【氏名】プルースト, ヘルト
【テーマコード(参考)】
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D058JA10
4D058JA34
4D058KA01
4D058KC64
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4D058SA07
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4D116KK04
4D116QB32
4D116QB34
4D116QB37
4D116ZZ01
(57)【要約】
フィルタシステムのハウジング内に配置するためのフィルタエレメントが、ろ材パック、及びシールとシールキャリアとを有するシール配置構成を含む。ろ材パックは、例えば、プリーツ付きろ材又はひだ付きろ材を含む。シールキャリアは、熱溶接製造プロセスによってろ材パックの軸周りの面の少なくとも一部分に結合された軸周りの側面を含む。シールキャリアへのシールの結合は、多材射出成形製造プロセスを用いてシール配置構成を製造することによって得ることができる。本開示は、フィルタエレメントの製造方法に関し、この方法は、熱溶接ステップ及び多材射出成形ステップをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する外周面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを含む、ろ材パック;及び
シールと、シールキャリアとを含む、成形された単一構造のシール配置構成であって、前記シールは第1の材料を含み、及び前記シールキャリアは第2の材料を含み、及び前記第2の材料は前記第1の材料とは異なる、成形された単一構造のシール配置構成
を含む、フィルタエレメントであって、
前記シールキャリアは第1の軸周りの側面を含み、及び前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面は、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に熱溶接されている、フィルタエレメント。
【請求項2】
フィルタシステムのハウジング内に配置されるように構成されたフィルタエレメントであって、
前記成形された単一構造のシール配置構成は、前記フィルタエレメントが前記ハウジング内に動作可能に配置されているとき、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離し;
前記シールは前記シールキャリアに結合され、及び前記シールキャリアへの前記シールの前記結合は、多成分射出成形製造プロセスを使用して、前記第1の材料及び前記第2の材料から前記シール配置構成を製造することによって得られ;及び
前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面は、熱溶接製造プロセスによって、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に熱溶接されている、請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
前記第1の材料の転移温度は前記第2の材料の転移温度を上回る、請求項1又は2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記第1の材料は、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、熱可塑性加硫物、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含み;及び/又は
前記第2の材料は熱可塑性樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
第1の材料は熱可塑性エラストマーを含み、及び前記熱可塑性エラストマーは、ポリアミド熱可塑性エラストマー、コポリエステル熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン熱可塑性エラストマー、又は動的に加硫された熱可塑性エラストマー、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記シールのショアA値は、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、又は少なくとも60であり;及び/又は
前記シールのショアA値は、40まで、45まで、50まで、55まで、60まで、65まで、70まで、75まで、80まで、85まで、又は90までである、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記シールキャリアのショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90であり;及び/又は
前記シールキャリアのショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項8】
前記第2の材料は熱可塑性樹脂を含み、及び前記熱可塑性樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はこれらの混合物及び組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記シールキャリアのショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90であり;及び/又は
前記シールキャリアのショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、請求項1~8のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
前記シールキャリアのショアD値は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30であり;及び/又は
前記シールキャリアのショアD値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項11】
前記ろ材パックは、ひだ付きろ材又はプリーツ付きろ材を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項12】
前記シールキャリアは、前記長手方向に延在し且つ前記ろ材パックの前記外周面を少なくとも部分的に包囲する径方向周囲側面を含み、及び
前記シールは前記径方向周囲側面を取り囲んで、外向きラジアルシールを形成する、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項13】
前記シールキャリアは、前記ろ材パック用の流体入口チャンネル又は流体出口チャンネルを形成するように、前記長手方向に延在する管状延長部を含み、及び
前記シールは、外向きラジアルシールを形成するように、前記管状延長部の外周面を取り囲み、又は
前記シールは、内向きラジアルシールを形成するように、前記管状延長部の内周面の周りに位置している、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項14】
前記シールキャリアは、ろ過済みの流体を流出させるか又はろ過されていない流体を受け入れるように構成された中心開口を含み、及び
前記シールは、内向きラジアルシールを形成するように、前記中心開口の内周面に結合される、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項15】
前記シールキャリアは、前記第1の軸周りの側面に対向する第2の軸周りの側面を含み、及び
前記シールは、アキシアルシールを形成するように、前記第2の軸周りの側面に結合される、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項16】
前記ろ材パックは、前記第1の軸周りの面に対向する第2の軸周りの面を含み、及び
前記フィルタエレメントは、前記ろ材パックの前記第2の軸周りの面に結合される閉鎖エンドキャップをさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項17】
前記閉鎖エンドキャップは、第2の熱溶接製造プロセスによって、前記ろ材パックの前記第2の軸周りの面に熱溶接されている、請求項16に記載のフィルタエレメント。
【請求項18】
前記ろ材パックはプリーツ付きろ材を含み、及び前記プリーツ付きろ材は、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmだけ前記シールキャリアに埋め込まれている、請求項11~17のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項19】
前記ろ材パックは、ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層を含むひだ付きろ材を含む、請求項11に記載のフィルタエレメント。
【請求項20】
ひだ付きフィルタ材の前記コイル状にされた層のそれぞれは、前記長手方向に対して本質的に平行な向きにされた流入口ひだ及び流出口ひだを含み、及び前記コイル状にされた層の少なくとも1つの外層の前記流入口ひだのひだ入口又は前記流出口ひだのひだ出口は、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面によって塞がれる、請求項19に記載のフィルタエレメント。
【請求項21】
前記ろ材パックは、コイル状にされたひだ付きろ材層を含むひだ付きろ材を含み、
前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面によって塞がれる連続的なひだ付きろ材層の数は、10層未満、8層未満、又は6層未満であり;及び/又は
前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面によって塞がれる連続的なひだ付きろ材層の数は、少なくとも1つの層又は少なくとも2つの層である、請求項11、19、又は20に記載のフィルタエレメント。
【請求項22】
前記フィルタエレメントは、前記ろ材パックの第2の軸周りの面に結合された支持フレームをさらに含み、前記第2の軸周りの面は前記第1の軸周りの面に対向している、請求項11又は請求項19~21のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項23】
前記ろ材パックは、コイル状にされたひだ付きろ材層を含むひだ付きろ材を含み、及び前記支持フレームは、前記コイル状にされたひだ付きろ材層が前記長手方向に動くのを防止するように構成される、請求項22に記載のフィルタエレメント。
【請求項24】
前記ろ材パックの前記第2の軸周りの面への前記支持フレームの前記結合は、第2の熱溶接製造プロセスによって得られる、請求項22又は23に記載のフィルタエレメント。
【請求項25】
前記シールキャリアは、前記第1の軸周りの面と本質的に平行な平面に配置された1つ以上のリブを含み、及び前記1つ以上のリブは、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面に結合される、請求項11又は請求項19~24のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項26】
前記ろ材パックは、コイル状にされたひだ付きろ材層を含むひだ付きろ材を含み、前記1つ以上のリブは、前記コイル状にされたひだ付きろ材層が前記長手方向に動くのを防止するように構成される、請求項25に記載のフィルタエレメント。
【請求項27】
前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面との前記1つ以上のリブの前記結合は、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面を溶接する熱溶接製造プロセスによって得られる、請求項25又は26に記載のフィルタエレメント。
【請求項28】
前記成形された単一構造のシール配置構成は、多材射出成形製造プロセスによって形成される、請求項1~27のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項29】
前記外周面の形状は、円形、卵形、楕円形、丸みを帯びた四角形、長円形、又は長方形である、請求項1~28のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項30】
前記熱溶接製造プロセスは、
前記第1の軸周りの側面の少なくとも一部分が変形可能となるまで、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面を加熱するステップ;
前記ろ材パックと前記シールキャリアを合わせて、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の前記少なくとも周囲部分が、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面に圧入されるようにするステップ;及び
前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面を、前記第1の軸周りの側面が前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の前記少なくとも周囲部分としっかりと接合されるように、冷却できるようにするステップ
を含む、請求項2~29のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【請求項31】
フィルタエレメントの製造方法であって:
長手方向に延在する周囲面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを有する、ろ材パックを提供すること;
シールキャリアを提供すること;及び
前記ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に前記シールキャリアの第1の軸周りの側面を結合するために、熱溶接製造プロセスを施すこと
を含む、方法。
【請求項32】
前記熱溶接製造プロセスは、
前記第1の軸周りの側面の少なくとも一部分が変形可能となるまで、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面を加熱すること;
前記ろ材パックと前記シールキャリアを合わせて、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の前記少なくとも周囲部分が、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面に圧入されるようにすること;及び
前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面を、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面が前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の前記少なくとも周囲部分としっかりと接合されるように、冷却できるようにすること
を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
シール配置構成は、シールキャリアを含む、成形された単一構造のシール配置構成を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
シール配置構成は、シールと、シールキャリアとを含む、成形された単一構造のシール配置構成を含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
多成分射出成形製造プロセスによって、前記シールキャリアに前記シールを結合することをさらに含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記シールは、前記熱溶接製造プロセスを施す前に、前記シールキャリアに結合される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記シールは、前記熱溶接製造プロセスを施した後に、前記シールキャリアに結合される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記シール配置構成は、前記フィルタエレメントが前記ハウジング内に動作可能に配置されているとき、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離するのに好適である、請求項31~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記熱溶接プロセスの加工温度は、加熱されている前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面の部分の転移温度を上回る、請求項31~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記ろ材パックはプリーツ付きろ材パックを含み、及び前記方法は、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmを前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面に埋め込むことを含む、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記ろ材パックは、コイル状にされたひだを含むひだ付きろ材パックを含み;及び
前記方法は、ひだの少なくとも1つの層に前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面の材料を入り込ませることを含み;及び/又は
前記方法は、ひだの少なくとも6層まで、8層まで、又は10層まで前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面の材料を入り込ませることを含む、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面にリブを埋め込むことをさらに含む、請求項31~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ろ材パックと前記シールキャリアを合わせる前に、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面を加熱して、前記ろ材パックの前記第1の軸周りの面の前記少なくとも周囲部分が、前記シールキャリアの前記第1の軸周りの側面に圧入されるようにすることをさらに含む、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
第2の熱溶接製造プロセスを含み、前記第2の熱溶接製造プロセスは、前記ろ材パックの第2の軸周りの面に支持フレームを結合することをさらに含む、請求項31~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
請求項31~44のいずれか1項に記載の方法によって得られたフィルタエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月26日出願の米国仮特許出願第62/878,941号の利益を主張し、該出願は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、流体をろ過するためのフィルタエレメントに関し、より具体的には、フィルタシステムのハウジングに挿入され得且つ保全修理のために取り出され得るフィルタエレメントに関する。本開示はまた、フィルタエレメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フィルタカートリッジとも呼ばれる、流体をろ過するためのフィルタエレメントは、多種多様なろ過用途に使用される。流体は、液体又は気体すなわちガス、例えば空気などとし得る。
【0004】
実際に、多くの場合、フィルタエレメントを使用して流体ストリームから汚染物質をろ過することが望ましい。例えば、自動車用、又は発電装置、建設機器若しくは他の機器用のエンジンへの気流ストリーム、ガスタービンシステムへのガスストリーム、及び様々な燃焼炉への空気ストリームは、そこに粒子状汚染物を運んでくる。そのようなシステムにとって、汚染物質が流体から除去されるか又は少なくとも減少されることが好ましい。
【0005】
フィルタエレメントは、一定の時間間隔で、又はろ過性能が臨界閾値レベルを下回ったときに、フィルタシステムのハウジングから取り出されて交換されるべき要素として構成され得る。
【0006】
フィルタエレメントは、フィルタろ材を含む、ろ材パックを含む。ろ材は、流体がろ材を流れるときに汚染物質を除去する。一般的に使用されており且つ市販されているろ材は、例えばプリーツ付きろ材又はひだ付きろ材である。ひだ付きろ材はまた、Z型ろ材とも呼ばれる。
【0007】
ひだ付きろ材を含むろ材パックの例は、米国特許第7,396,376号明細書に説明されている。ろ材パックは、ろ材パックの径方向の境界を形成する外周面を含む。外周面は、全体的に、第1の軸周りの面から第2の対向する面へと長手方向に延在する。
【0008】
フィルタエレメントはまた、ろ材パックの他に、ろ過されていない流体からろ過済みの流体を分離するためのシール配置構成を含む。実際に、フィルタエレメントの適切な動作のために、ろ材パックは、ろ材パックが挿入されるハウジングに適切に封止されることが必要である。
【0009】
フィルタエレメント用に様々なタイプのシール配置構成が提案されてきている。一般に、例えばプリーツ付きろ材が使用されるとき、シール配置構成は、成形技術によって得られた発泡ポリウレタン(PU)によって形成される。好都合なことに、発泡PUシール配置構成は、ろ材パックの第1の軸周りの面においてプリーツを閉鎖するだけでなく、PUシール配置構成の周囲面も、ハウジングに適切に封止するためのラジアルシール又はアキシアルシールとして使用され得る。一般的に同様に発泡PU製のエンドキャップが、ろ材パックの第2の軸周りの面においてプリーツを閉鎖するために使用される。
【0010】
米国特許第7,396,376号明細書には、ひだ付きろ材パックと組み合わせて使用される発泡ポリウレタン(PU)シール配置構成が開示されている。製造プロセス中、ろ材パックは、補強用フレーム要素と一緒に型内に配置される。その後、型は、PUで満たされ、立ち上がり過程に続いて、いわゆる発泡PUのオーバーモールドが形成される。補強用フレーム要素は、シールに強度をもたらし、且つまた、ろ材パックの不規則な形を補償する。
【0011】
しかしながら、PUシール配置構成の不都合なことは、温度が高くなり得る、例えば、約80℃を超える温度になり得る環境にあまり好適ではないことである。さらに、発泡PU製造プロセスに起因して、フィルタエレメントは、常に美的外観を有しているわけではない。
【0012】
発泡シール配置構成の代替例は、より高い温度に抵抗し且つ例えばガスケットキャリアによってろ材パックに結合され得るOリングなどの機械式ガスケットを含むシール配置構成を含む。これらのタイプの代替的なシール配置構成はまた、ろ材パックにガスケットキャリアを接合するために、接着剤、例えばグルーを使用し得る。
【0013】
接着剤の使用を伴う機械式ガスケット又は配置構成を含むシール配置構成の不都合なことは、製造プロセスにより時間がかかる可能性があること、及び複数の構成要素を含むシール配置構成は、あまりロバストではない可能性があることである。
【0014】
用いられるシール配置構成の具体的な形態はまた、一般的に、使用中のろ材パックのタイプに依存し、それゆえ、均一の製造プロセスがフィルタエレメントの製造に常に利用可能なわけではない。
【0015】
それゆえ、よりロバストでコスト効率の良いフィルタエレメントを提供し、且つフィルタエレメントの製造プロセスを改善することが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本開示の目的は、ロバストでコスト効率の良い、流体をろ過するためのフィルタエレメントを提供することにある。本開示のさらなる目的は、コスト効率が良く、且つ様々なタイプのろ材パックに用いられ得るフィルタエレメントの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様では、本開示は、ろ材パックと、成形された単一構造のシール配置構成とを含むフィルタエレメントについて説明している。ろ材パックは、長手方向に延在する外周面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを含む。成形された単一構造のシール配置構成は、シール及びシールキャリアを含み、シールは第1の材料を含み、及びシールキャリアは第2の材料を含み、及び第2の材料は第1の材料とは異なる。シールキャリアは第1の軸周りの側面を含み、及びシールキャリアの第1の軸周りの側面は、ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に熱溶接されている。
【0018】
別の態様では、本開示は、フィルタシステムのハウジング内に配置するためのフィルタエレメントについて説明している。フィルタエレメントは、流体をろ過するためのろ材パックと、フィルタエレメントがハウジング内に動作可能に配置されているとき、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離するためのシール配置構成とを含む。ろ材パックは、長手方向に延在する外周面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを含む。シール配置構成は、少なくとも第1の材料で作製されたシールと、少なくとも第2の材料で作製されたシールキャリアとを含み、第2の材料は第1の材料とは異なる。シールはシールキャリアに結合され、及びシールキャリアへのシールの結合は、多成分射出成形製造プロセスを使用して、第1の材料及び第2の材料からシール配置構成を製造することによって得られる。シールキャリアは、熱溶接製造プロセスによってろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に結合されている第1の軸周りの側面を含む。
【0019】
さらなる態様では、本開示は、フィルタエレメントの製造方法について説明している。方法は:長手方向に延在する周囲面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを有する、ろ材パックを提供すること;シールキャリアを提供すること;及びろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分にシールキャリアの第1の軸周りの側面を結合するために、熱溶接製造プロセスを施すことを含む。いくつかの実施形態では、シール配置構成は、シールキャリアを含む、成形された単一構造のシール配置構成を含む。いくつかの実施形態では、シール配置構成は、シールと、シールキャリアとを含む、成形された単一構造のシール配置構成を含む。いくつかの実施形態では、方法は、多成分射出成形製造プロセスによって、シールキャリアにシールを結合することをさらに含む。シールは、熱溶接製造プロセスを施す前に又は熱溶接製造プロセスを施した後で、シールキャリアに結合され得る。
【0020】
語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、いくつかの利益を提供し得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の実施形態も好ましいとし得る。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用ではないことを暗示せず、及び本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0021】
用語「を含む(comprise)」及びその変形例は、説明及び特許請求の範囲においてこれらの用語が出現する箇所で、限定の意味を有していない。そのような用語は、述べたステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を含むが、任意の他のステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を除外しないことを暗示すると理解される。
【0022】
「からなる(consisting of)」によって、語句「からなる」の前に来るものは何でも含み、及びそれらに限定されることを意味する。それゆえ、語句「からなる」は、リストした要素が要求されるか又は必須であり、及び他の要素は存在しないかもしれないことを示す。「~から本質的になる」によって、その語句の前にリストされたいずれの要素も含み、及びリストした要素に関して本開示で特定される活動又は作用を妨げない若しくはそれに寄与しない他の要素に限定されることを意味する。それゆえ、語句「~から本質的になる」は、リストした要素が要求されるか又は必須であるが、他の要素は任意選択的であり、且つリストした要素の活動又は作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに依存して、存在しても又は存在しなくてもよいことを示す。
【0023】
他に特に規定がなければ、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び「少なくとも1つの」は、同じ意味で使用され、且つ2つ以上の存在を除外しない。
【0024】
用語「及び/又は」は、リストした要素の1つ若しくは全て、又はリストした要素のいずれかの2つ以上の組み合わせを意味する。
【0025】
標準的な方法(例えば、ASTM、TAPPI、AATCCなど)へのいずれの言及も、別段の指示がない限り、本開示の出願時におけるその方法の最新の利用可能なバージョンを指す。
【0026】
本明細書では、用語「第1」、「第2」などを含む用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも、時間的、空間的、ランキング又は任意の他の方法のいずれでも、順序を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下では置き換え可能であり、及び本明細書で説明する本開示の実施形態は、本明細書で説明又は図示したもの以外の順序で動作できることが理解される。
【0027】
本明細書においても、端点による数値の範囲の記述は、その範囲内に含まれる全ての数字を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0028】
本明細書では、数字「まで」(例えば50まで)は、その数字(例えば50)を含む。
【0029】
用語「範囲内にある」又は「範囲内の」(及び同様の記述)は、述べた範囲の端点を含む。
【0030】
本明細書全般にわたって「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本開示の1つ以上の実施形態に含まれることを意味する。それゆえ、本明細書全般にわたって様々な箇所における語句「一実施形態では、一実施形態には」又は「ある実施形態では、ある実施形態には」の出現は、必ずしも、全て、同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指す可能性がある。さらに、本開示から当業者に明らかであるように、特定の特徴、構造又は特性が、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせられてもよい。
【0031】
個別のステップを含む、本明細書で開示するいずれの方法に関しても、ステップは、いずれの実現可能な順番でも実施され得る。さらに、適切な場合、2つ以上のステップのいずれの組み合わせも、同時に実施され得る。
【0032】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などを表す全ての数字は、いかなる場合も、用語「約」によって修飾されていると理解される。測定量に関して本明細書で使用されるとき、用語「約」は、測定を行い且つある程度の注意を払う当業者によって予測されるような測定量のばらつきが、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合っていることを指す。それゆえ、それとは反対であると別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に依存して変わり得る近似値である。少なくとも、及び均等論を特許請求の範囲に限定することを試みるものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁に照らして、及び通常の丸めの技術を応用することによって、解釈されるべきである。
【0033】
本発明の広い範囲に記載される数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数値は、それらそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含む。
【0034】
全ての見出しは、読者の利便性のためであり、及びそのように特定されない限り、見出しに続くテキストの意味を限定するために使用されるべきではない。
【0035】
本発明の上述の概要は、開示の各実施形態又は本発明の全実装例を説明するためのものではない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより特定的に例示する。本出願全般にわたっていくつかの箇所において、様々な組み合わせで使用され得る例のリストによって指示が出される。どの場合も、列挙したリストは、代表的な群としての機能を果たすにすぎず、排他的なリストであると解釈されるべきではない。当業者には、本開示は、特に図示及び/又は説明したものによって限定されないこと、並びに代替例又は修正された実施形態が、本開示の全教示に照らして開発され得ることが認識される。説明した図面は概略にすぎず、非限定的である。
【0036】
本開示のこれらの及びさらなる態様は、例として、及び添付図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】ろ材パックがプリーツ付きろ材を含む、本開示によるフィルタエレメントの例の分解斜視図を示す。
【
図2A】内向きラジアルシールを含む、本開示によるフィルタエレメントの斜視図を示す。
【
図2B】アキシアルシールを含む、本開示によるフィルタエレメントの斜視図を示す。
【
図3】ろ材パックがプリーツ付きろ材含む、本開示によるフィルタエレメントの例の断面図を示す。
【
図4A-4F】プリーツ付きろ材を含むろ材パックに結合されたシールキャリアの例の断面図を示す。
【
図5】ろ材パックがひだ付きろ材を含む、本開示によるフィルタエレメントの例の分解斜視図を示す。
【
図6】ろ材パックがコイル状にされたひだ付きろ材を含む、本開示によるフィルタエレメントの斜視図を示す。
【
図7】ろ材パックがコイル状にされたひだ付きろ材を含み、及びシール配置構成がアキシアルシールを含む、本開示によるフィルタエレメントの斜視図を示す。
【
図8】ろ材パックがコイル状にされたひだ付きろ材を含み、及びフィルタエレメントが外向きラジアルシールを含む、本開示によるフィルタエレメントのさらなる例の斜視図を示す。
【
図9A-9C】ろ材パックがひだ付きろ材を含む、本開示によるフィルタエレメントの例の断面図を示す。
【
図10A-10E】ひだ付きろ材を含むろ材パックに結合されたシールキャリアの例の断面図を示す。
【
図11A-11B】ろ材パックの周囲面と、ろ材パックの長手方向に対して垂直な平面との間の横断面の例を示す。
【
図12A-12B】外周面に凸状部分があるろ材パックの2つのさらなる例を示す斜視図を示す。
【
図13A-13D】さらに実施例に説明されるように、ろ材パックにシールキャリアを熱溶接する方法を示す。
【
図14】シールキャリアに熱溶接された後の、プリーツ付きろ材パックの例示的な画像を示す。
【
図15A-15B】シールキャリアに熱溶接された後の、ひだ付きろ材パックの例示的な画像を示し、
図15Aは、
図15Bの一部分の詳細な図を示す;矢印は、ろ材パックのひだがシールキャリアに埋め込まれている箇所を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面は、縮尺通りでも、比例してもいない。一般的に、同様の参照符号は、異なる図面にわたって同様の又は対応する構造を示す。
【0039】
一態様では、本開示は、フィルタシステムのハウジング内に実装するためのフィルタエレメントについて説明している。フィルタエレメントはろ材パックを含み、ろ材パックのろ材は、流入する流体流に存在する粒子及び不純物を捕らえる。流体は、液体又は気体、例えば空気などとし得る。フィルタエレメントがハウジング内に実装されており、且つフィルタシステムが動作中であるとき、ろ過済みの流体は、流入するろ過されていない流体から分離しておく必要がある。それゆえ、フィルタエレメントは、フィルタエレメントがハウジング内に実装され且つフィルタシステムが動作可能であるとき、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離するように構成されたシール配置構成を含む。フィルタエレメントは、一定の時間間隔で、又はろ過性能が臨界閾値レベルを下回ったときに、フィルタシステムのハウジングから取り出されて交換されるべき要素として構成され得る。
【0040】
別の態様では、本開示は、フィルタエレメントの製造方法について説明している。いくつかの実施形態では、本開示は、多材射出成形プロセスと熱溶接プロセスとの組み合わせを伴う生産プロセスによって製造されたフィルタエレメントについて説明している。本明細書でさらに説明されているように、多材射出成形プロセスは、シールキャリア及びシールの双方を含むシール配置構成を形成するために使用され、及び熱溶接プロセスは、シールキャリアをろ材パックに結合するために使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、多材射出成形プロセスは、熱溶接プロセスを用いてシールキャリアをろ材パックに取り付ける前に、シール及びシールキャリアの双方を形成するために使用される。そのような実施形態では、シール、シールキャリア、及び熱溶接プロセスはそれぞれ、熱溶接によってシール又はろ材パックに損傷を引き起こさないように設計される必要がある。
【0042】
いくつかの実施形態では、多材射出成形プロセスは、熱溶接プロセスを用いてシールキャリアをろ材パックに取り付ける前に、シールキャリアを形成するために、及びシールキャリアをろ材パックに取り付けた後で、シールを形成するために、使用され得る。
【0043】
フィルタエレメント
ここで図面を参照すると、同様の参照符号が、異なる図面にわたって、同様の又は対応する構造を示しており、本発明によるフィルタエレメント100の実施形態の例は、例えば、
図1、
図2A、
図2B、
図5、
図6、
図7及び
図8に示されている。これらの図面に示すように、フィルタエレメント100は、ろ材パック10、110及びシール配置構成を含む。いくつかの実施形態では、シール配置構成は、好ましくは、成形された単一構造のシール配置構成である。シール配置構成は、フィルタエレメント100がハウジング内に動作可能に配置されているときに、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離するのに好適である。
【0044】
図1~
図10に示すように、シール配置構成は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e及びシール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eを含む。シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eを支持し、且つ、下記でさらに説明されるように、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、ろ材パック10、110と、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eとの間の境界面を形成する。いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、周囲シールとし得る。本明細書で説明する例示的な実施形態において示すように、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、外向きラジアルシール、内向きラジアルシール、又はアキシアルシールとし得る。
【0045】
本明細書でさらに説明されているように、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、多材射出成形製造プロセスによって、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eに結合されて、成形された単一構造のシール配置構成を形成するようにする。成形された単一構造のシール配置構成は、シール配置構成が多材射出成形製造プロセスによって形成されたことの可視によるインジケータ、例えば、可視化フィード点又は可視化エジェクタ点などを有し得る。いくつかの実施形態では、シーム(ウェルドライン又はニットラインとしても公知)が、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eとシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eとの間に見えるかもしれない。しかしながら、可視化フィード点、エジェクタ点、又はシームが存在しないことは、必ずしも、成形された単一構造のシール配置構成が多材射出成形製造プロセスによって形成されなかったことを示すものではない。
【0046】
本開示によるフィルタエレメントは、任意の特定のろ材に限定されない。例えば、本開示の第1の態様によるフィルタエレメントは、ひだ付きろ材、プリーツ付きろ材、又は流体をろ過するのに好適な任意の他のろ材を含む、ろ材パックを含み得る。ひだ付きろ材は、コイル状にされたひだ付きろ材又は積み重ねられたひだ付きろ材を含み得る。特定の実施形態が、プリーツ付きろ材パック10(例えば、
図1、
図3、及び
図4参照)又はひだ付きろ材パック110(例えば、
図5~
図10参照)による図面に示されているが、具体的に記載がない限り、プリーツ付きろ材パック10を含むフィルタエレメント100に関する教示は、ひだ付きろ材パック110に応用でき、及びひだ付きろ材パック110を含むフィルタエレメント100に関する教示は、プリーツ付きろ材パック10に応用できる。
【0047】
本明細書で提示し且つ説明する図面のいくつかは、空気などの気体をろ過するためのフィルタエレメントの実施形態に具体的に取り組んでいるが、本明細書で説明するフィルタエレメントは、任意の特定の流体のろ過に限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態では、ろ材は、湿式媒体を含み得る。いくつかの実施形態では、ろ材は、乾式成形又は乾式媒体を含み得る。ろ材は、例えば、ポリマー、繊維、結合剤、及び添加剤など、当業者によって選択された材料の任意の好適な組み合わせを含み得る。例示的な実施形態では、ろ材は、主にセルロース繊維などの湿式不織ろ材を含み得る。別の例示的な実施形態では、ろ材は、セルロース繊維及び合成繊維などの湿式不織ろ材を含み得、ろ材は、10%まで又は20%まで合成繊維を含む。さらに別の例示的な実施形態では、ろ材は、スパンボンド合成繊維などの乾式媒体を含み得る。例示的なスパンボンド合成繊維はポリエステル繊維を含む。さらに例示的な実施形態では、ろ材は、合成繊維などの多層乾式媒体を含み得る。これらの媒体のそれぞれは、上述の通り、追加的な結合剤及び/又は添加剤を含み得る。添加剤化合物は、限定されるものではないが、難燃性、疎油性、及び/又は疎水性を含む機能を加え得る。
【0049】
ろ材パック10又は110は、少なくともi)長手方向Zに延在する外周面6、及びii)長手方向と交差する第1の軸周りの面7を含む。長手方向は、長手方向軸Zによって、
図1~
図10に概略的に示されている。さらに
図3及び
図9A~
図9Cに示すように、第1の軸周りの面7は、長手方向軸Zによって規定された長手方向と交差する、ろ材パックの側面とし得る。この第1の軸周りの面7は、流体の流入口側面又は流出口側面とし得る。
図3及び
図9A~
図9Cに示す実施形態では、2つの矢印が、流体の流入する流れ及び流体の流出する流れの方向を示している。他の実施形態では、これらの図面に示されている流体流は、フィルタエレメントがどのようにフィルタシステムのハウジング内に設置されているかに依存して、逆にされてもよい。
【0050】
フィルタエレメント100は、好ましくは、フィルタシステムのハウジング内に配置するように構成され得る。フィルタエレメント100がハウジング内に動作可能に配置されているとき、フィルタエレメント100のシール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eとハウジングとの間の境界面及び/又は相互作用によって、ろ過されていない流体からろ過済みの流体をフィルタエレメント100によって分離している最中の漏れを防止する。
【0051】
例えば、
図1及び
図5に示す実施形態では、外周面6は、第1の軸周りの面7から、第1の軸周りの面7に対向する第2の軸周りの面8まで、長手方向Zに延在している。これらの例では、第1及び第2の軸周りの面7、8は、それぞれ、流体流入口及び流体流出口に対応する。ろ材パックの具体的な形状に依存して、及び
図9Cに概略的に示すように、ろ材パックは、常に、第1の軸周りの面と平行である第2の軸周りの面を含むわけではない。この例では、第1の軸周りの面7は、ろ過済みの流体用の平面の流出口側面であるが、ろ過されていない流体は、ろ材パック10の非平面の側面、例えば湾曲した側面などを経由して流入する。
【0052】
シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは少なくとも第1の材料で作製され、及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは少なくとも第2の材料で作製されている。一般的に、第2の材料は第1の材料とは異なる。シール及びシールキャリアに使用され得る様々な材料の例について、下記でさらに説明する。
【0053】
図1に示すフィルタエレメント100がフィルタシステムのハウジング内に配置されるとき、流体は、ろ材を、長手方向Zと交差する方向に横断する。例えば、
図3の矢印によって示すように、ろ過されるべき流体は、ろ材パック10の外周面6を通って、プリーツ付きろ材によって形成された中空のろ過体の内部の方へ横切り、及びろ過済みの流体は、ろ材パックの第1の軸周りの面7にある中心開口を通ってろ材パック10から流出する。第1の軸周りの面7にあるこの中心開口は、中空のろ過体の第1の端にある開口に対応する。それゆえ、これらのタイプの実施形態は、プリーツ付きろ材によって形成された中空のろ過体の第1及び第2の端にそれぞれある、開放エンドキャップ(シール配置構成を含むか又はそれからなる)及び閉鎖エンドキャップ70の双方を含み得る。
【0054】
ろ材パックの外周面6は様々な形状を有し得、及び本開示は任意の特定の形状に限定されない;実際に、ろ材パックの外周面6の横断面、及び長手方向Zに対して垂直な平面の形状は、ろ材パックに、例えば円形、卵形、楕円形、丸みを帯びた四角形(
図11Aに示すような)、長円形(obround shape)、長方形、又は任意の他の好適な形状を有し得る。
図8には、例示的なフィルタエレメント100の斜視図が示されており、長手方向Zに対して垂直な平面での外周面6の横断面は、丸みを帯びた四角形の形状を有する。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、ろ材パック10、110の周囲面6の横断面、及び長手方向Zに対して垂直な平面は、1つ以上の凸状部分を有する、周囲方向の外側境界部分を形成する。ろ材パック10、110の外周面6の2つの特定の形状が
図11Bに示されており、上側の図面は、凸状の境界部分を有する形状を示しており、及び下側の図面は、2つの凸状の境界部分を有するピーナッツ型の形状を示している。
図12A及び
図12Bには、凸状部分を有する外周面6を有するろ材パックの斜視図が示されている。ひだ付きろ材パック110が
図12に示されているが、プリーツ付きろ材パック10もこの形態に含まれ得る。
【0056】
図5~
図8に示す実施形態では、ろ材パック110はまた、第1の軸周りの面7に対向する第2の軸周りの面8を有する。このタイプの形態は、「直線的な流通形態」又は「順流形態」と呼ばれることがある。概して、これに関連して、フィルタエレメント100のろ材パック110は、ろ過されていない流体の流れがろ材パック110に流入できるようにする流入口面と、ろ過済みの流体がろ材パック110から流出できるようにする、対向する出口面とを含む。それゆえ、ろ材パックに流入する流れ及びそこから流出する流れは、一般的に、同じ直線的な方向である。
【0057】
例えば、
図5~
図8に示す実施形態では、ろ材パック110の第1の軸周りの面7及び第2の軸周りの面8は、流体流入口面及び流体出口面に対応するか、又は逆も同様である。一般的に、流体流入口面及び流体流出口面は平面的であり、2つの面は互いに平行である。しかしながら、これからの変形例、例えば非平面の面が可能である。
【0058】
図9A~
図9Cには、フィルタエレメント100の例示的な実施形態の断面図が示されており、ろ材パック110はひだ付きろ材を含む。2つの矢印が、ろ材パック110に流入し且つそこから流出する流体の例示的な流れ方向を示す。
図9Cには、第1の軸周りの面7は平面の側面であるが、対向する平面の第2の軸周りの面がない例が示されている。
【0059】
いくつかの実施形態では、コイル状にされたひだ付きろ材の外層の外面が、ろ材パック110の外周面6を形成し得る。換言すると、上述のひだ付きフィルタ材の対面するシートの一部分が、外周面6を形成している。
【0060】
いくつかの実施形態では、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの幅は、好ましくは、可能な限り狭く保たれ得、第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに結合されている第1の軸周りの面7の周囲エッジが、可能な限り小さくされるようにする。実際に、軸周りの面7は、流体用の流入口又は流出口であるため、シールキャリアの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eによる流入口又は流出口の被覆は、流体流に影響を及ぼし得る及び/又はろ材パック10、110のろ過性能を制限し得る。
【0061】
例えば
図5~
図8に示す実施形態では、フィルタエレメント100は、ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層によって形成されるひだ付きろ材を含む。ひだ付きフィルタ材の層のそれぞれは、ろ材パックの長手方向Zに対して本質的に平行に向けられた、流入口ひだ及び流出口ひだを含む。ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層の少なくとも1つの外層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる。いくつかの実施形態では、ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層の少なくとも外側の2つの層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる。第1の軸周りの面が、ろ過されていない流体を受け入れるための流入口面である場合、流入口ひだの入口は、シールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる。他方では、第1の軸周りの面7が、ろ過済みの流体を出力するための流出口面である場合、流出口ひだの出口は、シールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる。
【0062】
フィルタエレメント100は、フィルタエレメント100を製造するための2つの異なる製造プロセス、より具体的には、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eをシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eに結合するための製造プロセス、及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eをろ材パック10、110に結合するための製造プロセスを用いることによって、特徴づけられる。本明細書でさらに説明されているように、多材射出成形製造プロセスが、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eをシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eに結合するために使用されて、成形された単一構造のシール配置構成を提供する。本明細書でさらに説明されているように、熱溶接プロセスが、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eをろ材パック10、110に結合するために使用される。
【0063】
いくつかの実施形態では、
図5及び
図9Bに示すように、支持フレーム60が第2の軸周りの面8に結合され得る。ろ材パック10、110がひだ付きろ材パック110であるとき、支持フレーム60は、ろ材パック110のコイル状にされた層が長手方向Zに動くのを防止するように構成され得る。一般に、支持フレーム60は、コイル状にされた層が長手方向に動くのを阻止するリブ部分62を含む。本明細書でさらに説明されているように、第2の熱溶接プロセスを用いて、支持フレーム60をろ材パック10、110に結合し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、例えば
図6及び
図9Aに示すように、シールキャリア640、940は、長手方向Zに対して本質的に垂直な平面に位置する1つ以上のリブ45を含み得る。ろ材パック10、110がひだ付きろ材パック110であるとき、1つ以上のリブ45は、第1の軸周りの面7に配置され且つそれに結合されて、コイル状にされた層が長手方向Zに動くのを防止し得る。好都合なことに、これらのタイプの実施形態では、
図5及び
図9Bに示す実施形態の場合のように、ろ材パック10、110の第2の軸周りの面8に結合されるために追加的な支持フレームは必要ではない。
【0065】
例えば
図5及び
図6に示すような実施形態では、シールキャリア540、640は、長手方向Zに延在する径方向周囲側面41を含む。シール520、620は、シールキャリア540、640のこの径方向周囲側面41を取り囲み、外向きラジアルシールを形成する。例示的な実施形態では、シール520、620は、シールキャリア540、640の径方向周囲側面41の周りに形成され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、
図7及び
図10Eに示すように、シール720、1020eはアキシアルシールである。アキシアルシールを形成するために、これらの図面に示すように、シール720、1020eは、シールキャリアの対向する周囲縁部分44に結合され得る。
図10Eに概略的に示すように、シールキャリア740、1040eの対向する周囲縁部分44は、一般的に、ろ材パック10の第1の軸周りの面7に熱溶接によって結合されるシールキャリアの周囲縁部分1042eに対して、平行な縁である。これらの実施形態では、
図10Eに示すように、周囲縁部分1042e及び対向する周囲縁部分44は、例えば、2つの平行な環に対応する。
【0067】
ろ材パック10、110に結合されるシールキャリア440a~440f、1040a~1040eの様々な実施形態は、
図4A~
図4E及び
図10A~
図10Eに概略的に示されている。フィルタエレメント100を部分的にのみ示しているこれらの断面図では、シールキャリア440a~440f、1040a~1040eは、斜線領域によって表され、及びろ材パック10、110は、点々のある領域によって表されている。シールキャリア440a~440f、1040a~1040eは、実施形態毎に異なり得るいくつかの側面を含む。これらの図面に示すように、本開示の第1の態様によるフィルタエレメント100は、シールキャリア440a~440f、1040a~1040eが、少なくとも、ろ材パック10の第1の軸周りの面7と軸方向に結合する第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eを含むことによって特徴づけられる。第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eは、熱溶接製造プロセスによって、少なくともろ材パックの第1の軸周りの面7の周囲部分に結合され得る。換言すると、シールキャリア440a~440f、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eは、一般的に、ろ材パックの第1の軸周りの面7に対して本質的に平行である結合面とし得る。シールキャリアの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに結合されているろ材パックの軸周りの面7の周囲部分の範囲は、ろ材パック10、110のタイプに依存し得る。例えば、
図1、
図3、及び
図4に例えば示すようなプリーツ付きろ材を含むろ材パック10、並びに例えば
図5及び
図8~
図10に示すようなひだ付きろ材を含むろ材パック110は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eによって被覆されている、ろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の異なる周囲部分を有し得る。同様に、シールキャリア440a~440f、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの一部分のみが結合面とし得る;すなわち、シールキャリア440a~440f、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの一部分のみがろ材パックの第1の軸周りの面7に結合し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、
図10A~
図10Cに示すように、斜線領域によって表されるシールキャリア1040a~1040eは、長手方向Zに延在する管状延長部43を含み、それにより、ろ過されていない流体を受け入れるための入口チャンネルを形成する。これらの実施形態では、シール1020a~1020eは、管状延長部43の外周面に結合されて、外向きラジアルシールを形成するようにする。管状延長部43の外周面へのシール1020a~1020eの結合は、好ましくは、多材射出成形製造プロセスによって得られて、成形された単一構造のシール配置構成を得るようにし得る。
【0069】
プリーツ付きろ材を備える実施形態の例
いくつかの実施形態では、フィルタエレメント100は、プリーツ付きろ材を含むろ材パック10を含む。
【0070】
図1には、本開示の第1の態様によるフィルタエレメント100の実施形態の分解図が示されている。図示のフィルタエレメント100のろ材パック10は、閉じたループ、この例では環に配置された複数のプリーツを有するプリーツ付きろ材を含み、中空のろ過体が、長手方向Zに延在して形成されるようにしている。それゆえ、中空のろ過体は、中空のろ過体の第1の端及び第2の端にそれぞれ第1の開口及び第2の開口を有する。プリーツは、例えば、ろ紙のシートを折り畳むことによって形成される。
図1に示す実施形態では、中空のろ過体は、中空形状のシリンダーである。複数のプリーツの複数の外側先端は、中空のろ過体の外周の境界部分を形成する。この実施形態では、ろ材パック10の外周面6は、プリーツの外側先端によって形成されたこの周囲の境界部分に対応し、及びろ材パック10の第1の軸周りの面7及び第2の軸周りの面8は、それぞれ、中空のろ過体の第1及び第2の端に対応する。
【0071】
図1及び
図4Aに示す実施形態では、シールキャリア140、440aがシール120、420aへの支持をもたらすだけでなく、シールキャリアの第1の軸周りの側面442aが、中空のろ過体の第1の端に開放エンドキャップを提供しもする。実際に、熱溶接により中空のろ過体の端へシールキャリア140、420aの第1の軸周りの側面442aを結合することによって、ろ材パック10のプリーツは、第1の端で閉鎖される。
図3に概略的に示すように、閉鎖エンドキャップ70が、さらに、中空のろ過体の第2の端に結合され得、それにより、第2の端でろ材パック10のプリーツを閉鎖するだけでなく、中空のろ過体の第2の端で第2の開口を完全に閉鎖して、ろ過済みの流体が、フィルタエレメント100から、中空のろ過体の第1の端にある第1の開口を通ってのみ流出し得るようにする。
【0072】
プリーツ付きろ材が中空のろ過体を形成するときなどのいくつかの実施形態では、例えば、
図1及び
図3に概略的に示すように、フィルタエレメント100は閉鎖エンドキャップ70を含む。閉鎖エンドキャップ70は、第2の熱溶接製造プロセスによって、ろ材パック10の第2の軸周りの面8に結合され得る。シール配置構成をろ材パック10に結合するために熱溶接を使用することに加えて、閉鎖エンドキャップ70をろ材パック10に結合するために熱溶接を使用することによって、製造プロセス全体が加速され得る。2つの熱溶接製造プロセスを使用することによって、追加的な製造装置又は硬化時間を必要とし得る成形や接着などの追加的な非熱溶接製造プロセスは、閉鎖エンドキャップ70を含むフィルタエレメント100のろ材パック10を結合するためには必要ない。
【0073】
ろ材パック10がプリーツ付きろ材を含む他の実施形態では、プリーツ付きろ材によって形成された中空のろ過体の周りに外側ライナーが設けられてもよく、及びこれらの実施形態では、外側ライナーは、ろ材パック10の外周面6を形成する。
【0074】
図4A~
図4Eでは、プリーツ付きろ材を含むろ材パック10と組み合わせて使用されるシール配置構成の例の断面図が示されている。図面の参照符号「W」は、シールキャリア440a~440eの第1の軸周りの側面442a~442eがろ材パック10の第1の軸周りの面7に熱溶接によって結合されるゾーンを示す。上述の通り、プリーツ付きろ材パック10を含む実施形態では、第1の軸周りの面7は、プリーツ付きろ材によって形成された中空のろ過体の第1の端に対応し得る。
【0075】
図1及び
図4Aに示す例示的な実施形態は、フィルタエレメントを示しており、ここで、シールキャリア140、440aは、第1の軸周りの側面442aに加えて、ろ材パック10の外周面6を包囲するか又は少なくとも部分的に包囲する径方向周囲側面41を含む。いくつかの実施形態では、
図1及び
図4Aに示すように、シール120、420aは、シールキャリア140、440aの径方向周囲側面41を取り囲んで、外向きラジアルシールを形成するようにし得る;すなわち、シール120、420aの封止面は、外向きである。シール120、420aは、好ましくは、多材射出成形製造プロセスによってシールキャリア140、440aの径方向周囲側面41に結合されて、成形された単一構造のシール配置構成を形成し得る。
【0076】
図4Fには、シール420がシールキャリア440fの径方向周囲側面41を取り囲んで、外向きラジアルシールを形成している実施形態の断面図が示されている。この実施形態では、
図4Fに概略的に示すように、長手方向軸Zを含む平面でのシールキャリア440fの横断面は、T字形状を有する。
【0077】
他の実施形態では、
図2B及び
図4Eに示すように、シールキャリア240、440eのシール220b、420eは、アキシアルシールを形成する。実際に、これらの実施形態では、シールキャリア240、440eは、ろ材パック10の第1の軸周りの面7に結合される第1の軸周りの側面442eに対向する第2の軸周りの側面44を含む。シール220b、420eは、多材射出成形製造プロセスによって第2の軸周りの側面44に結合される。
【0078】
いくつかの実施形態では、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの径方向周囲側面41は、ろ材パック10の外周面6を全体的に包囲し、それにより、ろ材パック10の周りに保護シェルを形成する。
【0079】
図4Bには、シールキャリア440bが、ろ材パック10の外周面6に外接する径方向周囲側面を含まない、フィルタエレメント100の実施形態の部分の断面図が示されている。その代わりに、この実施形態では、シールキャリア440bは、第1の軸周りの側面442bの他に、中空のろ過体の第1の端にある中心開口と同軸に延在する管状延長部43も含む。それゆえ、管状延長部43は、ろ過済みの流体が中空のろ過体の内部から流出するための出口チャンネルを形成している。
図4Bに概略的に示すように、この例では、シール420bは、管状延長部43の内周面に結合される。このようにして、内向きラジアルシールが形成される。管状延長部43の内周面へのシール420bの結合は、好ましくは、多材射出成形製造プロセスによって得られて、成形された単一構造のシール配置構成を得るようにし得る。
【0080】
図4Cには、
図4Bの実施形態と同様の実施形態が示されており、シールキャリアの管状延長部43は、
図4Bに示す実施形態の場合のように中空のろ過体の外側に延在する代わりに、中空のろ過体の内側に延在している。
【0081】
代替的な実施形態では、シールキャリア440a~440fの管状延長部43は、ろ過されていない流体を中空のろ過体の内部にもたらす入口チャンネルを形成してもよく、流体がプリーツ付きろ材を実質的に横切るようにし得る。
【0082】
図4Bに示すようにシールキャリア440bを有するさらなる実施形態では、シール420bはまた、管状延長部43の外周面に結合されて、外向きラジアルシールを形成し得る。
【0083】
図2A及び
図4Dでは、シール220a、420dが内向きラジアルシールを形成しているさらなる実施形態が示されている。この実施形態では、シールキャリア240、440dは、ろ過済みの流体を流出させるか又はろ過されていない流体を受け入れるように構成された中心開口を有する。この実施形態では、シール220a、420dは、多成分製造プロセスによって、シールキャリアの中心開口の内周面に結合され、それにより、内向きラジアルシールを形成し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、ろ材は、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmだけ、シールキャリア140、240、340、440a~440fに埋め込まれ得る及び/又はシールキャリア140、240、340、440a~440fの材料は、ろ材パック10のプリーツの少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmに入り込み得る。
【0085】
ひだ付きろ材を備える実施形態の例
いくつかの実施形態では、フィルタエレメント100は、Z型ろ材としても公知のひだ付きろ材を含むろ材パック110を含む。
【0086】
図面を参照すると、
図5には、ひだ付きろ材を含むろ材パック110を含むフィルタエレメント100の実施形態の分解図が示されている。
図5に示す実施形態では、ひだ付きろ材の外面が、ろ材パック110の外周面6を形成している。ろ材パックがコイル状にされたひだ付きろ材を含む、フィルタエレメントの様々な実施形態の斜視図は、
図6~
図8に示されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、ひだ付きろ材は、ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層によって形成され得る。これらのコイル状にされた層のそれぞれは、長手方向Zに対して本質的に平行な向きの流入口ひだ及び流出口ひだを含む。コイル状にされた層の少なくとも1つの外層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eがろ材パック110の第1の軸周りの面7に結合される箇所で、塞がれる。いくつかの実施形態では、コイル状にされた層の少なくとも外側の2つの層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eをろ材パック110の第1の軸周りの面7に結合することによって、塞がれ得る。
【0088】
ひだ付きろ材を含むフィルタエレメント形態の例の断面図が、
図9A~
図9Cにさらに示されている。これらの図面のそれぞれにある2つの矢印は、流体の例示的な流れ方向を示している。シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、任意の好適な形態でろ材パック110に結合され得る。ひだ付きろ材パック110に結合されたシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの様々な例は、
図10A~
図10Cに示されている。これらの断面図では、斜線領域及び点々のある領域が、それぞれ、シールキャリア1040a~1040e及びろ材パック110を表している。参照符号「W」は熱溶接ゾーンを示している。
【0089】
コイル状にされたZ型ろ材を含む、例示的なひだ付きろ材、及びひだ付きろ材を含むろ材パックは、米国特許第6,350,291号明細書及び同第7,396,376号明細書及び欧州特許公開第3 680 002号明細書に開示されている。Z型ろ材の1つの構成型は、媒体構成を形成するために接合される2つの特定の媒体構成要素を使用する。2つの構成要素は、ひだ付きの、一般に波形の、媒体シート、及び対面する媒体シートである。対面する媒体シートは、一般に非波形である。ひだ付きろ材シート及び対面する媒体シートは、1組の平行な流入口ひだ及び1組の平行な流出口ひだを有する媒体を規定するために使用され得る。ひだ付きシートを対面するシートと一緒に固定した後、ひだ付きフィルタ材の1つの層が得られ、及びひだ付きフィルタ材は、流入口ひだの組及び流出口ひだの組を含む。
【0090】
ひだ付きフィルタ材の層をコイル状にすることによって、コイル状にされたひだ付きろ材の外層によって形成された外周面を有し、且つろ過されていない流体を受け入れるための軸周りの流入口面、及びろ過済みの流体を流出させるための軸周りの流出口面を有する、ろ過体が形成される。コイル状にされた層のそれぞれにあるひだは、ろ材パックの長手方向と本質的に平行な向きにされている。米国特許第6,350,291号明細書及び同第7,396,376号明細書にさらに説明されているように、Z型ろ材に関して、「コイル状にされた」は、ろ材パック110を形成するためにひだ付きろ材の条片をコイル状にすることによって形成された、ろ材パック110を指すことを意味する。そのようなコイル状にされた媒体は、様々な形状:丸い又はシリンダー状;卵形、例えばレーストラック;四角形;又は角が丸みを帯びている長方形などで作製され得る;及びコイル状にされた媒体は、さらには、円すい形又は同様の配置構成で構成され得る。選択された形状の例が、米国特許第6,350,291号明細書に説明されている。
【0091】
それに加えて又はその代わりに、ひだ付きろ材の全て又は一部分が、積み重ねられて、ろ材パックを作り得る。例示的な積み重ねられたひだ付きろ材配置構成は、米国特許第5,820,646号明細書及び同第8,292,983号明細書に説明されている。例えば、ろ材パックが積み重ねられたひだ付きろ材を含むときを含め、ろ過体の外周面は長方形とし得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、ろ過体の外周面は、ろ材パック110の外周面6を形成する。他の実施形態では、保護層がろ過体の周囲面の周りに配置され得、保護層の外面がろ材パック110の外周面6を形成するようにする。
図5~
図8に示す実施形態では、ろ過体の軸方向流入口及び軸方向流出口は、それぞれ、ろ材パック110の第1の軸周りの面7及び第2の軸周りの面8に対応する。
【0093】
コイル状にされたひだ付き材料の層のそれぞれは、1組の流入口ひだ及び1組の流出口ひだを含む。流入口ひだの組は、ろ過されていない流体を受け入れるために、ろ過体の軸周りの流入口側面で開放しており、及び流入口ひだは、ろ過体の軸周りの流出口側面で閉鎖している。他方では、流出口ひだの組は、軸周りの流入口側面で閉鎖しており、及びろ過済みの流体がろ過体から流出できるように、軸周りの流出口側面で開放している。このようにして、流体は、軸周りの流入口側面から軸周りの流出口側面へ流れるように、Z字形状の軌道を作るようにさせられる。
【0094】
図5及び
図10Bに示す実施形態では、熱溶接によってシールキャリア540、1040bの第1の軸周りの側面1042bに結合されるろ材パック110の第1の軸周りの面7の周囲部分は、ろ材パック110の軸周りの面7の周囲エッジ部分に対応する。一般的に、この周囲エッジ部分は、コイル状にされたひだ付きろ材の外層の少なくとも軸周りの側面を含む。換言すると、コイル状にされたろ材の少なくとも外層は、ろ過目的に使用できない。いくつかの実施形態では、外層だけでなく、コイル状にされたろ材の1つ以上の連続的な層も犠牲にされて、シールキャリアの第1の軸周りの側面1042bとろ材パックの第1の軸周りの面7との間のよりしっかりとした軸方向結合を可能にする。
【0095】
さらに
図5及び
図10を参照して説明すると、いくつかの実施形態では、シールキャリア540、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eは、軸周りの周囲縁部分として構成され得る。実際に、シールキャリア540の第1の軸周りの側面1042a~1042eに結合されているろ材パック110の第1の軸周りの面7の部分は、可能な限り小さくされ得るが、しっかりとした結合をもたらして、ろ材パック110の第1の軸周りの面7を流れる流体の減少を制限する。
【0096】
シールキャリア540、1040a~1040eとろ材パック110との間の軸方向の結合に起因して、コイル状にされた層の少なくとも1つの外層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリアの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる。好ましくは、シールキャリア540、1040a~1040eとろ材パック110との間にしっかりとした結合を得るために、コイル状にされた層の少なくとも外側の2つの層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリア540、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる。他方では、シールキャリア540、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる連続的な層の数はまた、フィルタエレメント100の最適な動作を保証するために制限されるべきである。ろ材パック110は、コイル状にされたひだ付きろ材層を含み、シールキャリア540、1040a~1040eの第1の軸周りの側面1042a~1042eによって塞がれる連続的な層の数は、10層未満、好ましくは8層未満、一層好ましくは6層未満である必要がある。
【0097】
例えば、
図6及び
図10Aに示す実施形態は、シールキャリア640、1040aが、第1の軸周りの側面1042aに加えて、ろ材パック110の外周面6に外接する径方向周囲側面41も含む、フィルタエレメント100を示している。これらの実施形態では、シール620、1020aは、シールキャリア640、1040aの径方向周囲側面41を取り囲んで、外向きラジアルシールを形成している。
【0098】
他の実施形態では、
図7及び
図10Eに示すように、シール720、1020eは、アキシアルシールを形成している。シール720、1020eは、本明細書でさらに説明されているように、多材射出成形製造プロセスによって、第1の軸周りの側面1042eに対向する第2の軸周りの側面44に結合されて、成形された単一構造のシール配置構成を形成し得る。
図10Eに概略的に示すように、シールキャリアの第2の軸周りの側面44は、一般的に、シールキャリア1040eの第1の軸周りの側面1042eに対して平行な側面である。
【0099】
図10B及び
図10Cには、シールキャリア1040b、1040cが、長手方向Zに延在する管状延長部43を含み、それにより、ろ過されていない流体を受け入れるための入口チャンネルを形成する、シール配置構成の断面図が示されている。そのような実施形態では、シール1020b、1020cは、管状延長部43の外周面に結合されて、外向きラジアルシールを形成し得る。管状延長部43の外周面へのシール1020b、1020cの結合は、多材射出成形製造プロセスによって得られて、成形された単一構造のシール配置構成であるシール配置構成を得るようにし得る。
【0100】
図10Aには、シールキャリアが、管状延長部43、及びろ材パック110の外周面6に外接する径方向周囲側面41を含む、実施形態が示されている。この径方向周囲側面41は、ろ材パック110用の保護面の機能を果たし得る。
【0101】
図10Dには、シール1020dが内向きラジアルシールを形成する実施形態が示されている。実際に、この実施形態では、シールキャリア1040dは、例えばリングの形状を有し、及びシールは、リング状のシールキャリア1040dの内周面に位置する。
【0102】
コイル状にされたひだ付きろ材を含むいくつかの実施形態では、
図5に示すように、フィルタエレメント100は、ろ材パック10の第2の軸周りの面8に結合された支持フレーム60を含む。この支持フレーム60は、コイル状にされた層が長手方向Zに対して平行な方向に動くのを防止するように構成され得る。実際に、動作時、流体の流れに起因して、複数の層が長手方向に動き始め得る。
図5に示すように、支持フレーム60は、例えば周囲縁部分61及びリブ62を含む。リブ62は、コイル状にされた層がろ材パックの長手方向に沿って動くのを阻止されるように、位置決めされ得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、支持フレーム60は、本明細書でさらに説明されているように、第2の熱溶接製造プロセスによってろ材パック110の第2の軸周りの面8に結合され得る。2つの熱溶接製造プロセスを使用することによって、追加的な製造装置又は硬化時間を必要とし得る成形や接着などの追加的な非熱溶接製造プロセスは、支持フレーム60を含むフィルタエレメント100のろ材パック110を結合するためには、必要ない。
【0104】
図6を参照して説明すると、いくつかの実施形態では、シールキャリア640は、1つ以上のリブ45を含み得る。
図6に示す実施形態は、1つのリブ45を含む。1つ以上のリブ45が含まれる場合、リブは、ろ材パック110の第1の軸周りの面7に配置され且つそれに結合されて、コイル状にされた層が長手方向Zに動くのを防止し得る。ろ材パック110の第1の軸周りの面7との1つ以上のリブ45の結合は、本明細書でさらに説明するように、好ましくは、熱溶接によって得られ得る。
【0105】
図5に示す実施形態と比べたときの
図6に示す実施形態の1つの利点は、余分な支持フレーム60がろ材パック110の第2の軸周りの面8に結合される必要がないことである。理論に縛られたくないが、シールキャリア640の一体部分として1つ以上のリブ45を含むことは、媒体が入れ子式に伸縮するのを防止することが期待される。本発明の時点では、入れ子式の伸縮は、一般に、第2の軸周りの面8に結合された支持フレーム60を含むことによって防止された。それゆえ、1つ以上のリブ45が、支持フレームを追加せずに媒体が入れ子式に伸縮するのを防止する場合、含まれるプラスチック構成要素を1つ少なくし得、フィルタエレメント10の製造をより安価に及び簡単にする。
【0106】
シール、シールキャリア、及び閉鎖エンドキャップの材料
シール配置構成は、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e、及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを含む。シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、少なくとも第1の材料で作製され、及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、少なくとも第2の材料で作製される。一般的に、第2の材料は第1の材料とは異なる。いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e及び/又はシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、2種以上の材料で作製され得る。
【0107】
フィルタエレメント100がハウジング内に動作可能に配置されているときに、ろ過済みの流体をろ過されていない流体からフィルタエレメント100によって分離している間中、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eが漏れを防止しているため、及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eはシールを支持し、且つろ材パック10、110に結合されている必要があるため、シールは、一般に軟質材料で形成され、その例が本明細書に提供され、及びシールキャリアは、一般に、より硬質な材料で形成される。それら材料のそれぞれの例を本明細書でさらに説明する。
【0108】
フィルタエレメント100が閉鎖エンドキャップ70を含む場合、閉鎖エンドキャップは、少なくとも第3の材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップ70は、2種以上の材料で作製され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップは、好ましくは、シールキャリアと同じ1種又は複数種の材料で作製され得る。シールキャリア及び閉鎖エンドキャップに同じ材料を使用することで、フィルタエレメント100の製造効率を高めることが期待される。
【0109】
いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eを形成するために使用される第1の材料(又は材料の組み合わせ)の転移温度は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを形成するために使用される第2の材料(又は材料の組み合わせ)の転移温度よりも高いとし得る。このようにして、本明細書でさらに説明されているように熱溶接製造プロセス中にシール配置構成に熱が加えられ、及び加工温度が第2の材料の転移温度を上回るとき、シールは、変形される可能性が少ない。シール用の材料とシールキャリア用の材料との転移温度の差は、シール配置構成の幾何学的形状、使用される熱源、及び加工温度に基づいて、当業者によって選択され得る。
【0110】
材料又は材料の組み合わせが、非晶質状態において単相として高分子画分(fraction)を含むとき(例えば、ポリスチレン(PS)又はポリカーボネート(PC)など)、材料の「転移温度」は、ASTM D3418-99(「Standard Test Method for Transition Temperatures of Polymers by Differential Scanning Calorimetry」)に従って示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)を使用して決定された中点温度(Tmg)である。中点温度(Tmg)は、ガラス転移温度(Tg)を表すために使用される。なぜなら、Tgは、実際には、温度範囲であるためである。任意の好適な計器を使用してDSCを実施し得る;しかしながら、例示的な実施形態では、FRS 6+センサーを備えるDSC3+(Mettler-Toledo AG、Schwerzenbach、Switzerland)が使用され得る。
【0111】
1種又は複数種の材料が、2つ以上の高分子相を示す半晶質のポリマー材料又は任意の他の材料を含むとき(例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)など)、材料の「転移温度」は、弾性係数(G')及び損失弾性係数(G")が、0℃から、ポリマーが溶融状態にある温度までの温度に対してプロットされるときに、G'とG"が交わる最終温度である。G'及びG"は、ASTM D4092-01(「Standard Terminology for Plastics: Dynamic Mechanical Properties」)によって定義される。tan δの上昇は、溶融流れゾーンの方へ向かう転移下の系を特徴づけるために使用され得る。本明細書では、G'及びG"は、さらにASTM D4065-12(「Standard Practice for Plastics: Dynamic Mechanical Properties: Determination and Report of Procedures」)に説明されているように、強制一定振幅固定周波数せん断振動を測定するために機械的分光計を使用して、ASTM D4440-15(「Standard Test Method for Plastics: Dynamic Mechanical Properties Melt Rheology」)に従って温度掃引動的機械分析(DMA:dynamic mechanical analysis)を使用して決定される。任意の好適な動的機械分析器が使用され得る;しかしながら、例示的な実施形態では、Q800(TA Instruments、New Castle、DE)が使用され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、少なくとも、以下の非限定的な材料リストのいずれかを含む第1の材料で作製される:不飽和ゴム又は飽和ゴムを含むゴム;熱可塑性エラストマー;熱硬化性エラストマー;熱可塑性加硫物;又はそれらの混合物若しくは組み合わせ。例示的な熱可塑性エラストマー(TPE)は、ポリアミドTPE、コポリエステルTPE、オレフィン系TPE、スチレン系TPE、ウレタン系TPE、又は動的に加硫されたTPE、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、シールを形成するための材料は、結果として生じるシールの所望のショア硬さに基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、シールのショアA値は、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、又は少なくとも60である。いくつかの実施形態では、シールのショアA値は、40まで、45まで、50まで、55まで、60まで、65まで、70まで、75まで、80まで、85まで、又は90までである。例示的な実施形態では、シールのショアA値は、30~90の範囲内にある。別の例示的な実施形態では、シールのショアA値は、40~70の範囲内にある。さらに別の例示的な実施形態では、シールのショアA値は、50~70の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ショアA値は、ASTM D2240-15e1に説明されているように決定される。シールのショアA値は、好ましくは、十分に形成されたフィルタエレメント - すなわち、シールキャリアへのシールの結合後、及びろ材パックへのシールキャリアの熱溶接後-において決定される。
【0114】
ろ過されていない流体がフィルタエレメントと流体ハウジングとの間を通過するのを防止するために、フィルタエレメントとフィルタハウジングとの間の境界面を形成するシールに、軟らかいウレタン発泡体を使用することを教示する米国特許出願公開第2009/0320424号明細書とは対照的に、本明細書で開示するシールは、本明細書でさらに説明されているように、多材射出成形製造プロセスによって形成される。さらに、米国特許出願公開第2009/0320424号明細書では、シールのショアA値は25未満であることが教示されている。さらに、シールが、米国特許出願公開第2009/0320424号明細書で説明されているようなウレタンシールの代わりに、本明細書で説明するような熱可塑性ポリマーを含むとき、製造及び使用の双方において利点が得られ得る。硬化される必要があるウレタンシールとは対照的に、多材射出成形製造プロセスによって熱可塑性ポリマーから形成されたシールは、硬化を必要とせず、製造プロセスの効率を高める。さらに、多材射出成形製造プロセスによって形成されたシールは、ウレタンシール(一般に約80℃までしか安定しない)と比較して、より高い温度(例えば、140℃まで)でも安定し得、フィルタエレメント100が高温条件に曝されるような複数回の使用中に、より高い安定性をもたらす可能性がある。例えば、エンジンルームに設置されたいくつかのフィルタエレメント100は、使用中、80℃超(例えば、90℃まで)の温度に曝され得る。
【0115】
例示的な不飽和ゴムは、例えば、シス-1,4-ポリイソプレン天然ゴム(NR)及びトランス-1,4-ポリイソプレングッタペルカなどの天然ポリイソプレン;合成ポリイソプレン(イソプレンゴム(IR)とも呼ぶ);ポリブタジエン(ブタジエンゴム(BR)とも呼ぶ);例えば、ポリクロロプレン、Neoprene、Bayprenなどを含むクロロプレンゴム(CR);ブチルゴム(イソブチレン-イソプレン(IIR)としても公知);クロロブチルゴム(CIIR)及びブロモブチルゴム(BIIR)を含むハロゲン化ブチルゴム;スチレン-ブタジエンゴム(SBR);ニトリルゴム(NBR、Buna N、又はアクリロニトリルブタジエンゴムとしても公知);例えば、Therban及びZetpolなどの水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)を含む。
【0116】
例示的な飽和ゴムは、エチレンとプロピレンのコポリマーであるエチレンプロピレンゴム(EPM);エチレンと、プロピレンと、ジエン成分とのターポリマーであるエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム;エピクロロヒドリンゴム(ECO);ポリアクリルゴム(ACM、ABR);シリコーンゴム(SI、Q、VMQ);フルオロシリコーンゴム(FVMQ);例えば、VITON、TECNOFLON、FLUOREL、AFLAS、及びDAI-ELなどの、フルオロエラストマーのFKMファミリー及びFEPMファミリー;例えば、TECNOFLON PFR、KALREZ、CHEMRAZ、PERLASTなどのパーフルオロエラストマー(FFKM);ポリエーテルブロックアミド(PEBA);例えば、HYPALONなどのクロロスルホン化ポリエチレン(CSM);及びエチレン-酢酸ビニル(EVA)を含む。
【0117】
例示的なポリアミドTPEは、エーテル結合及びエステル結合の双方を備える軟質セグメントを含むポリアミドTPE(TPA-EE)、ポリエステル軟質セグメントを含むポリアミドTPE(TPA-ES)、又はポリエーテル軟質セグメントを含むポリアミドTPE(TPA-ET)、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを含む。例示的な市販のポリアミドTPEは、PEBAX(登録商標)及びVESTAMID(登録商標)Eを含む。
【0118】
例示的なコポリエステルTPEは、エーテル結合及びエステル結合の双方を備える軟質セグメントを含むコポリエステルTPE(TPC-EE)、ポリエステル軟質セグメントを含むコポリエステルTPE(TPC-ES)、又はポリエーテル軟質セグメントを含むコポリエステルTPE(TPC-ET)、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを含む。例示的な市販のコポリエステルTPEは、ARNITEL(登録商標)、HYTREL(登録商標)、PIBIFLEX(登録商標)、及びRITEFLEX(登録商標)を含む。
【0119】
例示的なオレフィン系TPEは、ポリオレフィンと従来のゴムとのブレンドを含み、ブレンド中のゴム相には、架橋がほとんど又は全くない(TPO)。例示的な市販のオレフィン系TPEは、APIGO(登録商標)、及びENFLEX-O(登録商標)を含む。
【0120】
例示的なスチレン系TPEは、スチレンとブタジエンのブロックコポリマー(TPS-SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレン(TPS-SEBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン(TPS-SEPS)、又はスチレンとイソプレンのブロックコポリマー(TPS-SIS)、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを含む。例示的な市販のスチレン系TPEは、SOFPRENE(登録商標)、ELASTRON(登録商標)、KRATON(商標)、LAPRENE(登録商標)、及びTHERMOLAST(登録商標)を含む。
【0121】
例示的なウレタン系TPEは、芳香族硬質セグメント及びポリエステル軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-ARES)、芳香族硬質セグメント及びポリエーテル軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-ARET)、芳香族硬質セグメント及びエステル結合とエーテル結合とを備える軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-AREE)、芳香族硬質セグメント及びポリカーボネート軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-ARCE)、芳香族硬質セグメント及びポリカプロラクトン軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-ARCL)、脂肪族硬質セグメント及びポリエステル軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-ALES)、又は脂肪族硬質セグメント及びポリエーテル軟質セグメントを含むウレタン系TPE(TPU-ALET)、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを含む。例示的な市販のウレタン系TPEは、DESMOPAN(登録商標)、ELASTOLLAN(登録商標)、及びSOFPUR(登録商標)を含む。
【0122】
例示的な動的に加硫されたTPEは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムとポリプロピレンとの組み合わせ(EPDM相が高度に架橋されており、且つ連続ポリプロピレン相中に微細に分散されている)(TPV-EPDM+PP)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)とポリプロピレンの組み合わせ(NBR相が高度に架橋されており、且つ連続ポリプロピレン相中に微細に分散されている)(TPV-(NBR+PP))、天然ゴム(NR)とポリプロピレンの組み合わせ(NR相が高度に架橋されており、且つ連続ポリプロピレン相中に微細に分散されている)、エポキシ化ゴム天然ゴム(ENR)とポリプロピレンの組み合わせ(ENR相が高度に架橋されており、且つ連続ポリプロピレン相中に微細に分散されている)(TPV-(ENR+PP))、又はブチルゴム(イソブチレン-イソプレン(IIR)としても公知)とポリプロピレンの組み合わせ(ブチルゴム相が高度に架橋されており、且つ連続ポリプロピレン相中に微細に分散されている)(TPV-(IIR+PP))、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを含む。例示的な市販の動的に加硫されたTPEは、DRYFLEX(登録商標)、ELASTRON(登録商標)、SANTOPRENE(商標)、SARLINK(登録商標)、FORPRENE(登録商標)、及びTHERMOLAST(登録商標)を含む。例示的な一実施形態では、シールは、動的に加硫されたTPEである、Teknor Apex Company(Pawtucket、Rhode Island)のSARLINK(登録商標)TPV 4155B03を含み得る。
【0123】
いくつかの実施形態において好適とし得る他の市販のTPEは、BERGAFLEX(商標)を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はその一部分は、少なくとも第2の材料で作製される。第2の材料は、好ましくは、熱可塑性樹脂とし得る。いくつかの実施形態では、第2の材料は、以下の非限定的な材料リストのいずれかを含み得る:アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はこれらの混合物及び組み合わせ。例えば第2の材料がPPを含むときを含むいくつかの実施形態では、シールキャリアは、さらに、ガラス繊維又は鉱物又はそれらの組み合わせを含み得る。例示的なポリアミドは、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)などを含む。それに加えて又はその代わりに、第2の材料は、熱溶接及び多材射出成形に好適な任意の他の材料を含み得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e全体が、第2の材料を含む;他の実施形態では、シールキャリアの一部分のみが第2の材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eは、第2の材料を含み得るが、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの他の部分は、1種以上の他の射出成形材料を含み得る。別の例では、いくつかの実施形態において、ろ材パック10、110に取り付けられることが意図されるシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの部分は、第2の材料を含み得るが、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの他の部分は、1種以上の他の射出成形材料を含み得る。
【0126】
シールキャリアがポリプロピレンを含む実施形態では、シールキャリアは、ポリプロピレンランダムコポリマー、例えば、DuPure(登録商標)QR 50 AV(DUCOR Petrochemicals、the Netherlands)又はDuPure(登録商標)QR 76 AV(DUCOR Petrochemicals、the Netherlands)など;異相コポリマー添加剤を含むランダムポリプロピレン、例えば、CAPILENE(登録商標)CL 50 E(Carmel Olefins、Ltd.、Israel)など;又はPolystone(登録商標)P Homopolymer(Roechling Engineering Plastics、Germany)を含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、シールキャリアを形成するための1種の材料又は材料の組み合わせは、結果として生じるシールキャリアの所望のショア硬さに基づいて選択され得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、シールキャリアのショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90である。いくつかの実施形態では、シールキャリアのショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである。例示的な実施形態では、シールキャリアのショアA値は、60~100の範囲内にある。別の例示的な実施形態では、シールキャリアのショアA値は、70~100の範囲内にある。さらに別の例示的な実施形態では、シールキャリアのショアA値は、80~100の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ショアA値は、ASTM D2240-15e1(「Standard Test Method For Rubber Property-Durometer Hardness」)に説明されているように決定される。シールキャリアのショアA値は、好ましくは、完全に形成されたフィルタエレメント - すなわち、シールキャリアへのシールの結合後、及びろ材パックへのシールキャリアの熱溶接後 - において決定される。
【0129】
いくつかの実施形態では、シールキャリアのショアD値は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30である。いくつかの実施形態では、シールキャリアのショアD値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである。例示的な実施形態では、シールキャリアのショアD値は、15~100の範囲内にある。別の例示的な実施形態では、シールキャリアのショアD値は、30~100の範囲内にある。いくつかの実施形態では、シールキャリアのショアD値は、ASTM D2240-15e1(「Standard Test Method For Rubber Property-Durometer Hardness」)に説明されているように決定される。シールキャリアのショアD値は、好ましくは、完全に形成されたフィルタエレメント - すなわち、シールキャリアへのシールの結合、及びろ材パックへのシールキャリアの熱溶接後-に決定される。
【0130】
いくつかの実施形態では、上述の通り、シールキャリアは1つ以上のリブ45を含み得る。1つ以上のリブ45は、含まれる場合、シールキャリアの少なくとも一部分と同じ材料又は材料の組み合わせで形成され得る。
【0131】
フィルタエレメントの製造中、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eが、二度、加熱及び冷却される-最初は、多材射出成形製造プロセスの一部として、及びその後、熱溶接製造プロセスの最中。当業者は、劣化することなく加熱及び冷却に耐えるその能力を理由に、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e用の材料又は材料の組み合わせ、より正確には、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに使用される材料を選択し得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、ろ材パック10、110の第2の軸周りの面8に位置する閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60は、少なくとも第3の材料で作製される。第3の材料は、好ましくは、熱可塑性樹脂とし得る。上述の通り、いくつかの実施形態では、第3の材料は、好ましくは、第2の材料、及び/又はシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eに若しくはそれらの第2の材料を含む部分に使用される材料と、同じとし得る。閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60用の材料が、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はそのろ材パック10、110に取り付ける部分に使用される材料と同じであるとき、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はその部分、及び閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60の双方を取り付けるために、同様の熱溶接製造プロセスが使用され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、第3の材料は、以下の非限定的な材料リストのいずれかを含み得る:アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はこれらの混合物及び組み合わせ。第2の材料がPPを含むときのいくつかの実施形態では、シールキャリアは、ガラス繊維又は鉱物又はそれらの組み合わせをさらに含み得る。例示的なポリアミドは、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)などを含む。それに加えて又はその代わりに、第2の材料は、熱溶接及び多材射出成形に好適な任意の他の材料を含み得る。
【0134】
例示的な一実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60は、ポリプロピレンを含み得る。ポリマーを含有する例示的なポリプロピレンは、例えば、DuPure(登録商標)QR 50 AV(DUCOR Petrochemicals、the Netherlands)又はDuPure(登録商標)QR 76 AV(DUCOR Petrochemicals、the Netherlands)、CAPILENE(登録商標)CL 50 E(Carmel Olefins,Ltd.、Israel)、及びPolystone(登録商標)P Homopolymer(Roechling Engineering Plastics、Germany)を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60を形成するための材料は、結果として生じる閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60の所望のショア硬さに基づいて選択される。
【0136】
いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90である。いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである。例示的な実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアA値は、60~100の範囲内にある。別の例示的な実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアA値は、70~100の範囲内にある。さらに別の例示的な実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアA値は、80~100の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ショアA値は、ASTM D2240-15e1(「Standard Test Method For Rubber Property-Durometer Hardness」)に説明されているように決定される。閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアA値は、好ましくは、完全に形成されたフィルタエレメント - すなわち、ろ材パックへの閉鎖エンドキャップの結合後-において決定される。
【0137】
いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアD値は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30である。いくつかの実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアD値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである。例示的な実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアD値は、15~100の範囲内にある。別の例示的な実施形態では、閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアD値は、30~100の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ショアD値は、ASTM D2240-15e1(「Standard Test Method For Rubber Property-Durometer Hardness」)に説明されているように決定される。閉鎖エンドキャップ70又は支持フレーム60のショアD値は、好ましくは、完全に形成されたフィルタエレメント - すなわち、ろ材パックへの閉鎖エンドキャップの結合後 - において決定される。
【0138】
フィルタエレメントの製造方法
本開示はまた、ここで説明するフィルタエレメント100の製造方法について説明している。
【0139】
一態様では、方法は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eへのシール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eの結合を含む。別の態様では、方法は、シール配置構成を形成するために、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの同時形成を含む。
【0140】
さらに別の態様では、方法は、ろ材パック10へのシール配置構成(シール及びシールキャリアを含む)の熱溶接を含む。
【0141】
さらなる態様では、方法は、ろ材パック10への閉鎖エンドキャップ70の熱溶接を含む。
【0142】
シール及びシールキャリアの形成及び/又は結合
いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、多材射出成形製造プロセスを用いてシール配置構成を製造することによって、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eに結合され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、多材射出成形製造プロセスによって同時に形成され得る。いくつかの実施形態では、そのような形成は、ろ材パック10、110へのシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの結合前とし得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの一部分は、多材射出成形製造プロセスによって同時に形成され得る。いくつかの実施形態では、そのような形成は、ろ材パック10、110へのシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの異なる部分の結合後とし得る。
【0145】
或いは、いくつかの実施形態では、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、それぞれ、射出成形製造プロセスによって形成され得るが、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、例えば、射出成形製造プロセスを使用するオーバーモールドによることを含む、ろ材パック10、110へのシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの結合後に形成され得る。
【0146】
多材射出成形は、2種以上の異なる材料を1つの単一構造部分に成形するためのプロセスである。多材射出成形は、例えば、共射出成形;マルチショット射出成形、及びオーバーモールドとも呼ばれる多成分射出成形を含み得る。多材射出成形プロセスでは、少なくとも第1の材料及び第2の材料が使用され、ここでは、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、少なくとも第1の材料を含み、及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、少なくとも第2の材料を含む。いくつかの実施形態では、多材射出成形製造プロセスは、2種のみの材料の成形を含み得るが、他の実施形態では、3種以上の材料も使用され得る。
【0147】
成形された単一構造のシール配置構成を形成するために多材射出成形製造プロセスを使用する様々な異なる変形が想定され得る。例えば、多材射出成形製造プロセスが、2種の材料を含むとき、2種の異なる材料は、成形された単一構造のシール配置構成を形成するために、単一の型に射出され得る。このようにして、成形された単一構造のシール配置構成は、2つの異なる材料領域を有して得られる。2種の異なる材料は、単一の型に、同時に射出されても(一般に、多成分射出成形又は共射出成形とも呼ばれる)、又は連続的に射出されてもよい(一般にマルチショット射出成形と呼ばれる)。例示的な実施形態では、2つの異なるタイプのポリマーが2つの構成要素として使用され得、ここで、一方のポリマーは、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eを形成し、且つ他方のポリマーは、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はそれらの一部分を形成する。シール及びシールキャリアに使用され得る様々な材料及び材料の組み合わせの追加的な例について、さらに本明細書で説明する。
【0148】
それに加えて又はその代わりに、オーバーモールドは、成形された単一構造のシール配置構成を形成するために使用され得、ここでは、一方の材料は別の材料の上に重ねられる。オーバーモールドが、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e若しくはそれらの一部分又はシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e若しくはそれらの一部分を形成するために使用される場合、オーバーモールドは、射出成形製造プロセスを使用して実施される。オーバーモールドはまた、ポリウレタン又はチキソトロピーシールを用いて実施され得るが、そのような実施形態は、射出成形製造プロセスを使用して実施されたオーバーモールドではない。
【0149】
いくつかの実施形態では、シール配置構成は、第1の材料及び第2の材料とは異なる第3の材料を含む第3の要素を含み得る。第3の要素は、シール及びシールキャリアに加えて、シール配置構成に含まれ得るか、又は第3の要素は、例えば、シールキャリアの一部分(例えば、ろ材パック10、110に熱溶接されないシールキャリアの部分)のみを形成し得る。そのような実施形態では、シール配置構成を形成するために3成分射出成形製造プロセスが使用され得る。或いは、シール配置構成の一部分を形成するために2成分射出成形製造プロセスが使用され得、及びシール配置構成の残りの部分を形成するためにオーバーモールドが使用され得る。
【0150】
多材射出成形を使用することによって、硬化性接着剤を使用することなく、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020e及びシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの形成及び/又は接合を可能にする。硬化性接着剤の使用は硬化時間を必要とし、それにより製造時間を長くする。それゆえ、多材射出成形を使用することによって、フィルタエレメント10をより迅速に生産できるようにする。さらに、ポリウレタンなどの硬化性接着剤の代わりでの多材射出成形の使用は、より安定性が高く且つより寸法安定性のあるシールを提供し、使用中の漏れのリスクが少なく、且つシールの箇所及び向きに対する形態及び幾何学的形状の可能性を増やす。
【0151】
ろ材パック10、110は、多材射出成形に必要な高温に曝される場合、害を受けて、効率が低下し得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、シールは、好ましくは、シールキャリアに結合され得る、及び/又はシール配置構成は、ろ材パック10、110へのシール配置構成の熱溶接前に、多材射出成形によって形成され得る。
【0152】
熱溶接製造プロセス
熱溶接製造プロセスは、熱溶接を使用して、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eとろ材パック10、110を結合する。いくつかの実施形態では、上述の通り、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、好ましくは、熱溶接製造プロセス時には、既にシール配置構成の一部とし得る。熱溶接は、プラスチック溶接、熱溶融、圧着、又は直接接合とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、フィルタエレメント100の作製方法が2つの熱溶接製造プロセスを含むとき、熱溶接製造プロセスは、第1の熱溶接製造プロセスとし得る。
【0153】
熱溶接製造プロセスは、下記でさらに説明するように少なくとも3つのステップを含む。
【0154】
第1のステップは、長手方向Zに延在する外周面6と、長手方向Zと交差する第1の軸周りの面7とを有するろ材パック10、110を提供することを含む。上述の通り、ろ材パック10、110は、プリーツ付きろ材、又はひだ付きろ材、又は流体をろ過するのに好適な任意の他のろ材を含み得る。
【0155】
第2のステップは、シールキャリアを提供することを含む。シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eを含むシール配置構成との関連で提供され得、ここでは、シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e上に存在する。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに説明されているように、シール配置構成は、多材射出成形製造プロセスによって形成された、成形された単一構造のシール配置構成である。シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eを含む。
【0156】
第3のステップは、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eをろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分に結合するために、熱溶接製造プロセスを実施することを含む。
【0157】
任意の好適な熱溶接製造プロセスが使用され得る。例示的な熱溶接プロセスは、接触加熱;熱風溶接;熱ガス溶接;誘導加熱(すなわち、高周波電磁波による加熱);レーザ溶接;ミラー溶接;振動溶接;スピン溶接;赤外線溶接;及び摩擦溶接、例えば、超音波溶接などを含む。いくつかの実施形態では、異なる熱溶接プロセスの組み合わせが使用され得る。実施例で説明される例示的な実施形態では、シールキャリアを加熱するために熱板が使用される。
【0158】
いくつかの実施形態では、熱溶接製造プロセスは、熱源又は熱溶接プロセスを利用して、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを局所的にのみ加熱する。より具体的には、熱溶接製造プロセスは、好ましくは、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042e又は第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの一部分のみを加熱し得、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの他の要素又は他の側面が変形しないようにするか、又は溶融し始めないようにする。シール120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、1020a~1020eは、存在する場合、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを加熱している間、変形しないことが特に好ましい。
【0159】
いくつかの実施形態では、第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eは、第1の軸周りの側面の所与の層の厚さ、第1の軸周りの側面の一部分、又は第1の軸周りの側面の比体積が変形可能となるまで、加熱され得る。いくつかの実施形態では、第1の軸周りの側面の少なくとも0.5mmの厚さ、第1の軸周りの側面の少なくとも1mm、第1の軸周りの側面の少なくとも1.5mmの厚さ、又は第1の軸周りの側面の少なくとも2mmの厚さが変形可能となる。いくつかの実施形態では、第1の軸周りの側面の2mmまでの厚さ、第1の軸周りの側面の3mmまでの厚さ、第1の軸周りの側面の4mmまでの厚さ、又は第1の軸周りの側面の少なくとも5mmの厚さが変形可能となる。このようにして、ろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分が、第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに圧入されると、ろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分は、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmだけ、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに入る。
【0160】
いくつかの実施形態では、熱溶接製造プロセスを実施することは、サブステップを含み得る:第1に、第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの少なくとも一部分が変形可能となるまで、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eを加熱する。第2に、ろ材パック10、110とシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを合わせて、ろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分がシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに圧入されるようにする。及び、第3に、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eを、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eがろ材パックの第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分としっかりと接合されるように、冷却できるようにする。
【0161】
熱溶接に必要な加工温度は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e、又はろ材パック10、110に取り付けられるシールキャリアの部分に選択される特定の材料に依存する。「加工温度」は、ろ材パック10、110に取り付けられることを意図したシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの部分が変形可能となる温度である。シールキャリアが、その体積全体にわたって同じ材料又は材料の組み合わせで形成されるとき、「加工温度」は、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eが変形可能となる温度である。加工温度は、加熱されているシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの表面の一部分の温度を測定することによって、測定される。
【0162】
加工温度は、好ましくは、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを形成するか又はろ材パック10、110に取り付けられることを意図した、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの部分を形成している材料の転移温度を上回っている。
【0163】
本明細書でさらに説明するように、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はそれらの一部分が、非晶質状態にある単相として高分子画分を含むとき(例えば、ポリスチレン(PS)又はポリカーボネート(PC)を含む)、材料の「転移温度」は、ASTM D3418-99(「Standard Test Method for Transition Temperatures of Polymers by Differential Scanning Calorimetry」)による示差走査熱量測定(DSC)を使用して決定された中点温度(Tmg)である。中点温度(Tmg)は、ガラス転移温度(Tg)の表示として使用される。なぜなら、Tgは、実際には、温度範囲であるためである。DSCを実施するために任意の好適な計器が使用され得る;しかしながら、例示的な実施形態では、FRS 6+センサーを備えるDSC3+(Mettler-Toledo AG、Schwerzenbach、Switzerland)が使用され得る。
【0164】
シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はそれらの一部分が、半晶質のポリマー材料又は2つ以上の高分子相を示す任意の他の材料を含むとき(例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)を含む)、材料の「転移温度」は、せん断で測定された弾性係数(G')及びせん断で測定された損失弾性係数(G")が、0℃から、ポリマーが溶融状態にある温度までの温度に対してプロットされるときに、G'とG"が交わる最終温度である。tan δの上昇が、溶融流れゾーンの方へ向かう転移下の系を特徴づけるために使用され得る。G'、G"、及びtan δは、ASTM D4092-01(「Standard Terminology for Plastics: Dynamic Mechanical Properties」)によって定義されている。本書では、G'及びG"は、強制一定振幅固定周波数せん断振動を測定するために機械的分光計を使用して、ASTM D4440-15(「Standard Test Method for Plastics: Dynamic Mechanical Properties Melt Rheology」)に従って温度掃引動的機械分析(DMA)を使用して決定される。任意の好適な動的機械分析器が使用され得る;しかしながら、例示的な実施形態では、Q800(TA Instruments、New Castle、DE)が使用され得る。
【0165】
好ましい加工温度は、当業者によって、シールの転移温度、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e又はろ材パック10、110に取り付けられるシールキャリアの部分を形成する材料の転移温度、使用されている熱溶接法、及びシール配置構成の形態を参照して、選択され得る。いくつかの実施形態では、加工温度は、第2の材料の転移温度を、少なくとも5℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、又は少なくとも50℃上回るとし得る。いくつかの実施形態では、加工温度は、第2の材料の転移温度を、50℃まで、75℃まで、100℃まで、125℃まで、150℃まで、175℃まで、また200℃まで上回るとし得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、加工温度は、少なくとも100℃、少なくとも125℃、少なくとも150℃、少なくとも175℃、又は少なくとも200℃とし得る。いくつかの実施形態では、加工温度は、200℃まで、225℃まで、250℃まで、300℃まで、325℃まで、又は350℃までとし得る。例示的な実施形態では、加工温度は100℃~300℃の範囲内とし得る。別の例示的な実施形態では、加工温度は150℃~300℃の範囲内とし得る。さらに別の例示的な実施形態では、加工温度は200℃~300℃の範囲内とし得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、フィルタエレメント100によってろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離している間中、接合が漏れを防止しているとき、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、ろ材パックの第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分としっかりと接合される。
【0168】
ろ材パック10、110がプリーツ付きろ材パック10であるときを含む、いくつかの実施形態では、ろ材パック10は、ろ材が、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmだけシールキャリア140、240、340、440a~440fに埋め込まれるとき、及び/又はシールキャリア140、240、340、440a~440fの材料がろ材パック10のプリーツの少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmに入り込むとき、しっかりと接合され得る。すなわち、プリーツの端部分は、ろ材に入り込むシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eの材料を組み込むことによって、閉鎖される。
【0169】
ろ材パック10、110がコイル状にされたひだ付きろ材パック110であるときを含む、いくつかの実施形態では、ひだの少なくとも1つの層がシールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eに完全に埋め込まれる、及び/又はシールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eの材料がひだの少なくとも1つの層に入り込むとき、ろ材パック110はしっかりと接合され得る。理論に縛られたくないが、ひだの少なくとも1つの層をシールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eに埋め込むことは、フィルタエレメント100によってろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離している間中の漏れを防止するのに十分であると考えられているが、いくつかの実施形態では、ろ材パック110とシールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eとの間のボンディングの強度を高めるために、シールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eにひだの追加的な層を埋め込むこと、又はシールキャリア540、640、740、840、940、1040a~1040eにひだの部分的な層を埋め込むこと、又はそれら双方が望ましいとし得る。
図6に示す例示的な実施形態では、ろ材パック110とシールキャリア640との間のボンディングの強度は、ろ材パック110の第1の軸周りの面7に圧入されるリブ45を含むことによって、高められ得る。リブ45がろ材パック110の第1の軸周りの面7の幅にわたって延在しない追加的な実施形態も想定され得る。例えば、第1の軸周りの面7の幅に延在する又は延在しない複数のリブ45が、第1の軸周りの面7の周囲に配置され得る。リブ45が第1の軸周りの面の幅に延在しないとき、リブは、アナログ時計の目盛りと同様の形態を形成し得る。
【0170】
フィルタエレメント100が1つ以上のリブ45を含むとき、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040の第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eを加熱することは、変形可能となるまで1つ又は複数のリブ45を加熱することをさらに含み得る。さらに、ろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の周囲エッジをシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040の第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eと合わせる第2のステップの最中、リブ45は、第1の軸周りの面7に同時に圧入され得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、熱溶接製造プロセスは、さらに、ろ材パック10、110とシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを合わせる前に、ろ材パック10、110の少なくとも一部分を加熱することを含み得る。理論に縛られたくないが、ろ材パック10、110とシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを合わせる前に、ろ材パック10、110の少なくとも一部分を加熱することは、ろ材パック10、110との接触によってシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eの温度 - それゆえ、変形性-を劇的に又は迅速に低下させないため、ボンディングを向上させ得、2つの材料間の接合をより強くすると考えられている。例示的な実施形態では、ろ材パック10、110は、ろ材パック10、110とシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eを合わせる前に、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eと同じ温度まで加熱され得る。ろ材パック10、110の少なくとも一部分が加熱される必要があるかどうか、及びどの程度加熱される必要があるかは、少なくとも一部には、ろ材パック10、110の組成に基づいて、当業者によって決定され得る。例えば合成成分を含むろ材を含むいくつかの媒体は、例えば、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eと接触させられる前に、加熱される場合、又は一定の温度を上回って加熱される場合、変形し得る。
【0172】
実際には、ろ材パック10、110とシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040を合わせて、ろ材パック10、110の第1の軸周りの面7の少なくとも周囲部分がシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040の第1の軸周りの側面442a~442f、1042a~1042eに圧入されているとき、ろ材パック10、110とシールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040との間で相対的な動きがなされる。この相対的な動きをするために、様々なオプションが存在する。例えば、ろ材パック10、110は静止位置に保たれ得る一方で、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040は動かされる。シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040は、好ましくは、ろ材パック10、110の長手方向軸Zに対して平行な方向に動かされ得る。代替的な実施形態では、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040は静止位置に保たれ得、及びろ材パック10、110は動かされ得る。さらに、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040及びろ材パック10、110の双方共が動かされ得ることが想定され得る。静止位置に保たれる構成要素は、例えば真空、クランプなどを含む任意の好適な手段によって、静止位置に保持され得る。
【0173】
理論に縛られたくないが、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eとろ材パック10を結合するために熱溶接製造プロセスを使用することは、例えば、接着材料、例えばグルー、ホットメルト、Sikaflex(登録商標)(Sika、AG)、及び/又はポリウレタン(PU)の使用を上回るいくつかの利点をもたらすと考えられている。第1に、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eに熱可塑性樹脂を使用することは、PUなどの接着材料よりも優れた温度耐性を提供し得る。第2に、熱溶接製造プロセスを使用することは、硬化時間が必要ないため、製造速度を改善し得る。最後に、シールキャリアに熱可塑性樹脂を使用することは、フィルタエレメントをリサイクルする能力を高め得る;例えば、再加熱することによって、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040eは、ろ材パック10から除去され、及び構成要素は別々にリサイクルされ得る。
【0174】
第2の熱溶接製造プロセス
フィルタエレメント100が支持フレーム60を含むとき、第2の軸周りの面8への支持フレーム60の結合は、第2の熱溶接製造プロセスによって得られ得る。
【0175】
第2の熱溶接製造プロセスは、第1の熱溶接製造プロセスと同様のプロセスであるが、シールキャリア140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e用の支持フレーム60の代わりになる。
【0176】
第2の熱溶接製造プロセスは、支持フレーム60又はその一部分が変形可能となる温度に達するまで、支持フレーム60又はその一部分を加熱すること;ろ材パック10、110と支持フレーム60を合わせて、ろ材パック10、110の第2の軸周りの面8が支持フレーム60又はその一部分に圧入されるようにすること;及び支持フレーム60又はその一部分を、支持フレーム60がろ材パック10、110の第2の軸周りの面8としっかりと接合されるように、冷却できるようにすることを含む。
【0177】
本発明は、以下の例によって説明される。特定の例、材料、量、及び手順は、本明細書で説明するような本発明の範囲及び趣旨に従って、広範に解釈されることが理解される。
【0178】
例示的な構成の態様
態様1.フィルタエレメントであって:
長手方向に延在する外周面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを含む、ろ材パック;及び
シールと、シールキャリアとを含む、成形された単一構造のシール配置構成であって、シールは第1の材料を含み、及びシールキャリアは第2の材料を含み、及び第2の材料は第1の材料とは異なる、成形された単一構造のシール配置構成
を含み、
シールキャリアは第1の軸周りの側面を含み、及びシールキャリアの第1の軸周りの側面は、ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に熱溶接されている、フィルタエレメント。
【0179】
態様2.フィルタシステムのハウジング内に配置されるように構成される、態様1に記載のフィルタエレメント。
【0180】
態様3.成形された単一構造のシール配置構成は、フィルタエレメントがハウジング内に動作可能に配置されているとき、ろ過されていない流体からろ過済みの流体を分離するように構成される 態様2に記載のフィルタエレメント。
【0181】
態様4.第1の材料の転移温度は第2の材料の転移温度を上回る、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0182】
態様5.第1の材料は、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、熱可塑性加硫物、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含み;及び/又は
第2の材料は、熱可塑性樹脂を含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0183】
態様6.第1の材料は熱可塑性エラストマーを含み、及び熱可塑性エラストマーは、ポリアミド熱可塑性エラストマー、コポリエステル熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン熱可塑性エラストマー、又は動的に加硫された熱可塑性エラストマー、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0184】
態様7.シールのショアA値は、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、又は少なくとも60であり;及び/又は
シールのショアA値は、40まで、45まで、50まで、55まで、60まで、65まで、70まで、75まで、80まで、85まで、又は90までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0185】
態様8.シールのショアA値は、30~90の範囲内、40~70の範囲内、又は50~70の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0186】
態様9.シールキャリアのショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90であり;及び/又は
シールキャリアのショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0187】
態様10.シールキャリアのショアA値は、60~100の範囲内、70~100の範囲内、又は80~100の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0188】
態様11.第2の材料は熱可塑性樹脂を含み、及び熱可塑性樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はこれらの混合物及び組み合わせを含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0189】
態様12.シールキャリアのショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90であり;及び/又は
シールキャリアのショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0190】
態様13.シールキャリアのショアA値は、60~100の範囲内、70~100の範囲内、又は80~100の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0191】
態様14.シールキャリアのショアD値は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30であり;及び/又は
シールキャリアのショアD値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0192】
態様15.シールキャリアのショアD値は、15~100の範囲内、又は30~100の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0193】
態様16.シールキャリアは、前記長手方向に延在し且つろ材パックの外周面を少なくとも部分的に包囲する径方向周囲側面を含み、及び
シールは径方向周囲側面を取り囲んで、外向きラジアルシールを形成する、態様1~15のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0194】
態様17.シールキャリアは、ろ材パック用の流体入口チャンネル又は流体出口チャンネルを形成するように、前記長手方向に延在する管状延長部を含み、及び
シールは、外向きラジアルシールを形成するように、管状延長部の外周面を取り囲むか、又は
シールは、内向きラジアルシールを形成するように、管状延長部の内周面の周りに位置している、態様1~15のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0195】
態様18.シールキャリアは、ろ過済みの流体を流出させるか又はろ過されていない流体を受け入れるように構成された中心開口を含み、及び
シールは、内向きラジアルシールを形成するように中心開口の内周面に結合される、態様1~15のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0196】
態様19.シールキャリアは、第1の軸周りの側面に対向する第2の軸周りの側面を含み、及び
シールは、アキシアルシールを形成するように第2の軸周りの側面に結合される、態様1~15のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0197】
態様20.ろ材パックは、ひだ付きろ材又はプリーツ付きろ材を含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0198】
態様21.ろ材パックは、第1の軸周りの面に対向する第2の軸周りの面を含み、及び
フィルタエレメントは、ろ材パックの第2の軸周りの面に結合される閉鎖エンドキャップをさらに含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0199】
態様22.閉鎖エンドキャップは、ろ材パックの第2の軸周りの面に熱溶接されている、態様21に記載のフィルタエレメント。
【0200】
態様23.ろ材パックはプリーツ付きろ材を含み、及びプリーツ付きろ材は、シールキャリアに少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmだけ埋め込まれている、態様16~22のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0201】
態様24.ろ材パックは、ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層を含むひだ付きろ材を含む、態様20に記載のフィルタエレメント。
【0202】
態様25.ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層のそれぞれは、前記長手方向に対して本質的に平行な向きにされた流入口ひだ及び流出口ひだを含み、及びコイル状にされた層の少なくとも1つの外層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリアの第1の軸周りの側面によって塞がれる、態様24に記載のフィルタエレメント。
【0203】
態様26.ろ材パックは、コイル状にされたひだ付きろ材層を含むひだ付きろ材を含み、
シールキャリアの第1の軸周りの側面によって塞がれる連続的なひだ付きろ材層の数は、10層未満、8層未満、又は6層未満であり;及び/又は
シールキャリアの第1の軸周りの側面によって塞がれる連続的なひだ付きろ材層の数は、少なくとも1つの層又は少なくとも2つの層である、態様20、24、又は25に記載のフィルタエレメント。
【0204】
態様27.フィルタエレメントは、ろ材パックの第2の軸周りの面に結合された支持フレームをさらに含み、第2の軸周りの面は第1の軸周りの面に対向している、態様20又は態様24~26のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0205】
態様28.ろ材パックは、コイル状にされたひだ付きろ材層を含むひだ付きろ材を含み、及び支持フレームは、コイル状にされたひだ付きろ材層が前記長手方向に動くのを防止するように構成される、態様27に記載のフィルタエレメント。
【0206】
態様29.シールキャリアは、第1の軸周りの面と本質的に平行な平面に配置された1つ以上のリブを含み、及び1つ以上のリブは、ろ材パックの第1の軸周りの面に結合される、態様20又は態様24~28のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0207】
態様30.ろ材パックは、コイル状にされたひだ付きろ材層を含むひだ付きろ材を含み、1つ以上のリブは、コイル状にされたひだ付きろ材層が前記長手方向に動くのを防止するように構成される、態様29に記載のフィルタエレメント。
【0208】
態様31.成形された単一構造のシール配置構成は、多材射出成形製造プロセスによって形成される、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0209】
態様32.成形された単一構造のシール配置構成は、フィード点、エジェクタ点、又はシームを含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0210】
態様33.外周面の形状は、円形、卵形、楕円形、丸みを帯びた四角形、長円形、又は長方形である、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0211】
例示的なプロセスによって特徴づけられる製品の態様
態様1.フィルタシステムのハウジング内に配置するためのフィルタエレメントであって:
長手方向に延在する外周面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを含む、ろ材パック;及び
フィルタエレメントがハウジング内に動作可能に配置されているときに、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離するための、成形された単一構造のシール配置構成
を含み、及び
成形された単一構造のシール配置構成は、シールと、シールキャリアとを含み、シールは第1の材料を含み、及びシールキャリアは第2の材料を含み、及び第2の材料は第1の材料とは異なり;
シールはシールキャリアに結合され、及びシールキャリアへのシールの結合は、多成分射出成形製造プロセスによって、第1の材料及び第2の材料からシール配置構成を製造することによって得られ;及び
シールキャリアは、熱溶接製造プロセスによってろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分に結合される第1の軸周りの側面を含む、フィルタエレメント。
【0212】
態様2.第1の材料の転移温度は第2の材料の転移温度を上回る、態様1に記載のフィルタエレメント。
【0213】
態様3.第1の材料は、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、熱可塑性加硫物、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含み;及び/又は
第2の材料は熱可塑性樹脂を含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0214】
態様4.ろ材パックは、ひだ付きろ材又はプリーツ付きろ材を含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0215】
態様5.シールキャリアは、前記長手方向に延在し且つろ材パックの外周面を少なくとも部分的に包囲する径方向周囲側面を含み、及び
シールは径方向周囲側面を取り囲んで、外向きラジアルシールを形成する、態様1~4のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0216】
態様6.シールキャリアは、ろ材パック用の流体入口チャンネル又は流体出口チャンネルを形成するように、前記長手方向に延在する管状延長部を含み、及び
シールは、外向きラジアルシールを形成するように、管状延長部の外周面を取り囲むか、又は
シールは、内向きラジアルシールを形成するように、管状延長部の内周面の周りに位置している、態様1~4のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0217】
態様7.シールキャリアは、ろ過済みの流体を流出させるか又はろ過されていない流体を受け入れるように構成された中心開口を含み、及び
シールは、内向きラジアルシールを形成するように中心開口の内周面に結合される、態様1~4のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0218】
態様8.シールキャリアは、第1の軸周りの側面に対向する第2の軸周りの側面を含み、及び
シールは、アキシアルシールを形成するように第2の軸周りの側面に結合される、態様1~4のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0219】
態様9.ろ材パックは、第1の軸周りの面に対向する第2の軸周りの面を含み、及び
フィルタエレメントは、第2の熱溶接製造プロセスによってろ材パックの第2の軸周りの面に結合される閉鎖エンドキャップをさらに含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0220】
態様10.ろ材パックはプリーツ付きろ材を含み、及びプリーツ付きろ材は、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmだけシールキャリアに埋め込まれている、態様4~9のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0221】
態様11.ろ材パックは、ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層を含むひだ付きろ材を含み、及び
シールキャリアの第1の軸周りの側面に結合されるろ材パックの第1の軸周りの面の周囲部分は、ろ材パックの第1の軸周りの面の周囲エッジに対応する、態様1~6のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0222】
態様12.ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層のそれぞれは、前記長手方向に対して本質的に平行な向きにされた流入口ひだ及び流出口ひだを含み、及びコイル状にされた層の少なくとも1つの外層の流入口ひだのひだ入口又は流出口ひだのひだ出口は、シールキャリアの第1の軸周りの側面によって塞がれる、態様11に記載のフィルタエレメント。
【0223】
態様13.ひだ付きフィルタ材のコイル状にされた層の所与の数の連続的な層に関し、シールキャリアの第1の軸周りの側面は、流入口ひだの入口を塞ぐか、又は流出口ひだの出口を塞ぎ;及び
シールキャリアの第1の軸周りの側面によって塞がれる連続的なひだ付きろ材層の数は、10層未満、8層未満、又は6層未満であり;及び/又は
シールキャリアの第1の軸周りの側面によって塞がれる連続的なひだ付きろ材層の数は、少なくとも1つの層又は少なくとも2つの層である、態様11又は12に記載のフィルタエレメント。
【0224】
態様14.フィルタエレメントは、ろ材パックの第2の軸周りの面に結合された支持フレームをさらに含み、第2の軸周りの面は第1の軸周りの面に対向している、態様11~13のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0225】
態様15.支持フレームは、コイル状にされた層が前記長手方向に動くのを防止するように構成される、態様14に記載のフィルタエレメント。
【0226】
態様16.ろ材パックの第2の軸周りの面への支持フレームの結合は、第2の熱溶接製造プロセスによって得られる、態様14又は15に記載のフィルタエレメント。
【0227】
態様17.シールキャリアは、第1の軸周りの面と本質的に平行な平面に配置された1つ以上のリブを含み、及び1つ以上のリブは、ろ材パックの第1の軸周りの面に結合される、態様11~16のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0228】
態様18.1つ以上のリブは、コイル状にされた層が前記長手方向に動くのを防止するように構成される、態様17に記載のフィルタエレメント。
【0229】
態様19.ろ材パックの第1の軸周りの面との1つ以上のリブの結合は、熱溶接製造プロセスの一部として得られる、態様17又は18に記載のフィルタエレメント。
【0230】
態様20.熱溶接製造プロセスが:
第1の軸周りの側面の少なくとも一部分が変形可能となるまで、シールキャリアの第1の軸周りの側面を加熱するステップ;
ろ材パックとシールキャリアを合わせて、ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分が、シールキャリアの第1の軸周りの側面に圧入されるようにするステップ;及び
シールキャリアの第1の軸周りの側面を、第1の軸周りの側面がろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分としっかりと接合されるように、冷却できるようにするステップ
を含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0231】
態様21.シールのショアA値は、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、又は少なくとも60であり;及び/又は
シールのショアA値は、40まで、45まで、50まで、55まで、60まで、65まで、70まで、75まで、80まで、85まで、又は90までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0232】
態様22.シールのショアA値は、30~90の範囲内、40~70の範囲内、又は50~70の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0233】
態様23.シールキャリアのショアA値は、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90であり;及び/又は
シールキャリアのショアA値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0234】
態様24.シールキャリアのショアA値は、60~100の範囲内、70~100の範囲内、又は80~100の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0235】
態様25.シールキャリアのショアD値は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30であり;及び/又は
シールキャリアのショアD値は、80まで、90まで、95まで、又は100までである、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0236】
態様26.シールキャリアのショアD値は、15~100の範囲内、又は30~100の範囲内にある、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0237】
態様27.第1の材料は熱可塑性エラストマーを含み、及び熱可塑性エラストマーは、ポリアミド熱可塑性エラストマー、コポリエステル熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン熱可塑性エラストマー、又は動的に加硫された熱可塑性エラストマー、又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0238】
態様28.第2の材料は熱可塑性樹脂を含み、及び熱可塑性樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はこれらの混合物及び組み合わせを含む、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0239】
態様29.外周面の形状は、円形、卵形、楕円形、丸みを帯びた四角形、長円形、又は長方形である、上述の態様のいずれか1項に記載のフィルタエレメント。
【0240】
例示的な作製方法の態様
態様1.フィルタエレメントの製造方法であって:
長手方向に延在する周囲面と、前記長手方向と交差する第1の軸周りの面とを有する、ろ材パックを提供すること;
シールキャリアを提供すること;及び
ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分にシールキャリアの第1の軸周りの側面を結合するために、熱溶接製造プロセスを施すこと
を含む、方法。
【0241】
態様2.熱溶接製造プロセスは、
第1の軸周りの側面の少なくとも一部分が変形可能となるまで、シールキャリアの第1の軸周りの側面を加熱すること;
ろ材パックとシールキャリアを合わせて、ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分が、シールキャリアの第1の軸周りの側面に圧入されるようにすること;及び
シールキャリアの第1の軸周りの側面を、シールキャリアの第1の軸周りの側面がろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分としっかりと接合されるように、冷却できるようにすること
を含む、態様1に記載の方法。
【0242】
態様3.シール配置構成は、シールキャリアを含む、成形された単一構造のシール配置構成を含む、前述の態様のいずれか1項に記載の方法。
【0243】
態様4.シール配置構成は、シールと、シールキャリアとを含む、成形された単一構造のシール配置構成を含む、前述の態様のいずれか1項に記載の方法。
【0244】
態様5.多成分射出成形製造プロセスによってシールキャリアにシールを結合することをさらに含む、態様3又は4に記載の方法。
【0245】
態様6.シールは、熱溶接製造プロセスを施す前に、シールキャリアに結合される、態様5に記載の方法。
【0246】
態様7.シールは、熱溶接製造プロセスを施した後に、シールキャリアに結合される、態様5に記載の方法。
【0247】
態様8.シール配置構成は、フィルタエレメントがハウジング内に動作可能に配置されているとき、ろ過済みの流体をろ過されていない流体から分離するのに好適である、態様3~7のいずれか1項に記載の方法。
【0248】
態様9.熱溶接プロセスの加工温度は、加熱されているシールキャリアの第1の軸周りの側面の部分の転移温度を上回る、前述の態様のいずれか1項に記載の方法。
【0249】
態様10.ろ材パックはプリーツ付きろ材パックを含み、及び方法は、ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mmをシールキャリアの第1の軸周りの側面に埋め込むことを含む、態様1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0250】
態様11.ろ材パックは、コイル状にされたひだを含むひだ付きろ材パックを含み;及び
方法は、ひだの少なくとも1つの層にシールキャリアの第1の軸周りの側面の材料を入り込ませることを含み;及び/又は
方法は、ひだの少なくとも6層まで、8層まで、又は10層までシールキャリアの第1の軸周りの側面の材料を入り込ませることを含む、態様1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0251】
態様12.シールキャリアの第1の軸周りの側面にリブを埋め込むことをさらに含む、前述の態様のいずれか1項に記載の方法。
【0252】
態様13.ろ材パックとシールキャリアを合わせる前に、ろ材パックの第1の軸周りの面を加熱して、ろ材パックの第1の軸周りの面の少なくとも周囲部分が、シールキャリアの第1の軸周りの側面に圧入されるようにすることをさらに含む、態様2~12のいずれか1項に記載の方法。
【0253】
態様14.第2の熱溶接製造プロセスを含み、第2の熱溶接製造プロセスは、ろ材パックの第2の軸周りの面に支持フレームを結合することをさらに含む、前述の態様のいずれか1項に記載の方法。
【0254】
態様15.前述の態様のいずれか1項に記載の方法によって得られるフィルタエレメント。
【実施例】
【0255】
実施例
以下の実施例で使用された全ての試薬、出発原料、及び溶媒は、民間の供給業者(例えばSigma Aldrich、St.Louis、MO)から購入され、且つ別段の指示がない限り、さらに精製することなく、使用された。
【0256】
熱溶接法
シールのある又はない、エンドキャップ(本明細書では、シールキャリアとも呼ぶ)は、固定具内に位置決めされ、且つ真空によって適所に保持される。ろ材パックが別の固定具内に位置決めされる。
【0257】
熱源(熱板)は、350℃に設定され、且つエンドキャップとろ材パックとの間に位置決めされる(
図13A)。
【0258】
エンドキャップは、熱板に20秒間押圧される(
図13B)。任意選択的に、ろ材パックと熱板との間の距離に依存して、熱板はろ材パックも温める。
【0259】
エンドキャップは、熱板から離れるように持ち上げられ、且つ熱板は除去される。
【0260】
エンドキャップは、設定速度(1mm/s及び3mm/sが試験された)で、及び設定距離(例えば、1.5mm)、ろ材パックの方へ動かされる(
図13Cの矢印で示す)。ひとたび設定距離を達成したら、エンドプレートは、15秒間適所に保持される(
図13D)。
【0261】
結果として生じる接合された部分は、固定具から除去される。
【0262】
実施例1
この実施例は、シールキャリアへのセルロースプリーツ付きろ材の融合を説明している。
【0263】
上述の及び
図13に示すような方法を使用して、プリーツ付きろ材パックは、Polystone(登録商標)P Homopolymer(Roechling Engineering Plastics、Germany)製のシールキャリアに融合された。ろ材パックはまた、熱板によって、100℃~200℃(一層好ましくは100℃~150℃)の範囲内にある温度まで加熱された。例示的な結果を
図14に示す。ろ材は、シールキャリアに約1mm埋め込まれている。
【0264】
実施例2
この実施例は、シールキャリアへの合成ひだ付きろ材の融合を説明している。
【0265】
上述の方法を使用して、ひだ付きろ材パックは、Polystone(登録商標)P Homopolymer(Roechling Engineering Plastics、Germany)製のシールキャリアに融合された。ろ材パックは、融合前に、加熱されなかったか、又は熱板によって非常に穏やかに加熱された。例示的な結果を
図15に示す。ひだの約2層が、
図15Aの矢印によって示す箇所で、シールキャリアに埋め込まれている。
【符号の説明】
【0266】
6 ろ材パックの外周面
7 ろ材パックの第1の軸周りの面
8 ろ材パックの第2の軸周りの面
10 プリーツ付きろ材パック
110 ひだ付きろ材パック
120、220a、220b、320、420a~420f、520、620、720、820、920、及び1020a~1020e シール
140、240、340、440a~440f、540、640、740、840、940、1040a~1040e シールキャリア
41 シールキャリアの径方向周囲側面
442a~442f、1042a~1042e シールキャリアの第1の軸周りの側面
43 シールキャリアの管状延長部
44 シールキャリアの第2の軸周りの側面、シールキャリアの第2の周囲縁部分
45 シールキャリアのリブ
60 支持フレーム
61 支持フレームの縁
62 支持フレームのリブ
70 閉鎖エンドキャップ
100 フィルタエレメント
【国際調査報告】