(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】鉱物絶縁体を伴う遮蔽被覆線用末端機器
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20220916BHJP
H02G 15/10 20060101ALI20220916BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
H01R13/533 A
H02G15/10
H01B7/00 306
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501178
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020069574
(87)【国際公開番号】W WO2021005215
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010532
【氏名又は名称】ザーモコックス
【氏名又は名称原語表記】THERMOCOAX
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】レシャパンティ,デニ
(72)【発明者】
【氏名】マリー,ジル
【テーマコード(参考)】
5E087
5G309
5G375
【Fターム(参考)】
5E087EE06
5E087FF12
5E087RR07
5E087RR18
5G309FA06
5G375AA12
5G375AA20
5G375BA26
5G375BB28
5G375CA19
5G375DB16
(57)【要約】
鉱物絶縁被覆線用末端機器(1)であって、一方の端部が前記被覆線(2)の端部に固定されることが意図される金属套管(3)と、陶磁器絶縁要素(4)とを備える。前記陶磁器絶縁要素は、前記套管(3)から突き出ている一方の端部と、前記套管(3)の中に収容された、孔(41)を有する前記一方の端部の反対側にある端部とを備える、前記套管(3)の中に収容された円筒(4)から構成され、前記套管(3)の中に収容された前記円筒(4)の前記端部は、先細形状を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物絶縁被覆線(2)用末端機器(1)であって、一方の端部が前記被覆線(2)の端部に固定されることが意図される金属套管(3)と、陶磁器絶縁要素(4)とを備える末端機器(1)において、前記陶磁器絶縁要素は、前記套管(3)から突き出ている一方の端部と、前記套管(3)の中に収容された、孔(41)を有する前記一方の端部の反対側にある端部とを備える、前記套管(3)の中に収容された円筒(4)から構成され、前記套管(3)の中に収容された前記円筒(4)の前記端部は、先細形状を有することを特徴とする末端機器(1)。
【請求項2】
前記陶磁器絶縁要素(4)の前記先細形状の前記端部(42)は円錐状であることを特徴とする、請求項1に記載の末端機器(1)。
【請求項3】
前記陶磁器絶縁要素(4)は孔を有し、前記套管から突き出る前記孔の前記端部は封鎖することができ、その結果、前記末端機器は終端機器を構成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の末端機器(1)。
【請求項4】
前記陶磁器絶縁要素(4)は、前記套管(3)から突き出る前記絶縁要素(4)の前記端部に、金属管(6)が端部に搭載された貫通孔(41)を有し、その結果、前記末端機器はコネクタ機器を構成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の末端機器(1)。
【請求項5】
前記套管(3)の前記端部は、前記被覆線の端部の外周上に提供された相補的固定手段と相互作用することが意図される固定手段を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の末端機器(1)。
【請求項6】
前記相補的固定手段は、前記套管(3)の内壁上に形成された雌ねじ、及び前記被覆線(2)の外側被覆(22)に搭載されることを意図されるねじ山を切られたリング(5)から構成されることを特徴とする、請求項5に記載の末端機器(1)。
【請求項7】
前記陶磁器絶縁要素(4)及び前記金属管(6)は、前記套管(3)の中に搭載されたスリーブ(7)の中に搭載されることを特徴とする、請求項4に記載の末端機器(1)。
【請求項8】
導体(21)、金属被覆(22)、及び両者の間に挿入された鉱物絶縁材料(23)から作られる鉱物絶縁体(23、23a、23b、23c)を伴う遮蔽被覆線(2、2a、2b、2c)であって、一方の端部が前記被覆線(2)の端部の外周に固定される金属套管(3)と、陶磁器絶縁要素(4)とを備える末端機器(1)を一方の端部に備える遮蔽被覆線(2、2a、2b、2c)において、前記陶磁器絶縁要素は、被覆をはがされた前記被覆線の導体(21)が挿入される孔(41)を有する端部を介して前記套管(3)の中に収容される円筒(4)から構成され、前記套管(3)の中に収容される前記円筒(4)の前記端部は、前記導体(21)を取り囲む前記鉱物絶縁体(23)に対して圧縮状態にある先細形状をさらに有することを特徴とする遮蔽被覆線(2、2a、2b、2c)。
【請求項9】
前記套管(3)の前記端部は、圧着により前記被覆線(2)の前記端部の前記外周上に固定されることを特徴とする、請求項8に記載の遮蔽被覆線(2、2a、2b、2c)。
【請求項10】
前記被覆線(2)の前記端部の前記外周上に、前記末端機器(1)の前記套管(3)上に提供された前記固定手段に相補的な相補的固定手段を有することを特徴とする、請求項9に記載の遮蔽被覆線(2、2a、2b、2c)。
【請求項11】
前記相補的固定手段は、前記套管(3)の内壁上に形成された雌ねじ、及び前記被覆線(2)の金属製の外側被覆(22)上にろう付けにより固定されたねじ山を切られたリング(5)から構成されることを特徴とする、請求項10に記載の遮蔽被覆線(2、2a、2b、2c)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数1000ボルトまで高温で、詳細には最大1000℃まで良好な密封性及び非常に良好な絶縁耐力を提供する遮蔽鉱物絶縁被覆線用末端機器に関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽鉱物絶縁被覆線は、金属製中心導体及び円筒状中空金属被覆から作られた被覆線であり、金属製中心導体と円筒状中空金属被覆の間には鉱物、たとえばマグネシア、アルミナ、又はシリカなどの粉末状耐火性絶縁体が挿入され、外側被覆はステンレス鋼、銅、又はInconel 600という商品名で公知のNi-Cr合金などのNi-Cr合金から作られる。
【0003】
そのような被覆線は耐火性であり、ショッピングセンタ、空港、客殿など、公衆がよく訪れることがある場所で、又は原子力発電所など、危険な領域を伴う産業環境で使用される。そのような被覆線は詳細には、ますます要求の高まる(温度、高圧、湿度などの)条件を提示する環境に耐性がなければならないセンサ、発熱体、又は電気信号伝送被覆線の使用を伴う、工場の多くの領域で使用される。
【0004】
その結果、そのような被覆線は、互いに間隔を置いて離して配置された機器を接続するのに役立ち、したがって、これらの被覆線を機器に接続するための手段、又は実際は被覆線を互いに接続するための手段を提供する必要がある。
【0005】
被覆線末端機器、及びより一般的にはコネクタは、導体の導通を確実にして、被覆線の絶縁耐力を保ちながら絶縁体の中に湿気が移動しないようにしなければならないので、これらの構成要素の非常に重要な部分である。
【0006】
詳細には、これは多くの場合、これらの特性のすべてを高温環境で同時に確実にすることが場合によっては困難な可能性があるので弱点である。
【0007】
したがって、遮蔽被覆線はマグネシア、アルミナ、又はシリカなどの鉱物絶縁体を伴い、かつステンレス鋼、銅、又はNi-Cr合金から作られた外側被覆を伴う電気発熱体又は信号伝送被覆線とすることができる。
【0008】
コネクタなどの末端機器に嵌合するように遮蔽鉱物絶縁被覆線が被覆をはがされたとき、その結果、外側被覆及び鉱物絶縁体は取り除かれて、金属導線を現し、コネクタ/被覆線界面での被覆線の固有誘電体障壁は大いに弱まる。具体的に言えばこの動作後、原理上は密な鉱物絶縁体は空気のための余地を残し、絶縁耐力はこの場合、導線と外被の間の距離、及びこの界面での温度、圧力などの環境パラメータだけに依存する。
【0009】
絶縁耐力を維持するために、さまざまなタイプの末端機器が提案されてきた。仏国特許発明第1150390(A)号明細書では、それぞれ円錐形状の端部を有し、かつガラス封止部により互いに接続された2つの陶磁器栓から構成された、電気被覆線を絶縁するための付属物が提案されている。これら2つの栓は金属管内に収容され、被覆線の導体を適応させることができる中央貫通孔を有する。電気被覆線は、外側被覆の中に収容された中心導体から構成され、吸湿性鉱物絶縁体は、外側被覆と中心導体の間に置かれる。被覆線の端部にある鉱物絶縁体は、絶縁体を構成する陶磁器栓の円錐形上の端部を受け入れる円錐形状の環状空洞を有する。陶磁器栓の円錐形状の端部は、ガラス封止部に接続された2つの陶磁器栓から構成され、これら2つの栓は金属被覆内に収容される。絶縁体の円錐状端部は、被覆線の端部で円錐状空洞の中に受け入れられ、一方では、絶縁体の金属被覆は、被覆線の外側被覆に溶接される。これらの組立条件により、吸湿性絶縁体は水分から保護されるようになる。
【0010】
仏国特許発明第2832558(A)号明細書は、第1の鉱物絶縁被覆線の金属被覆の外周に搭載できる第1の注入口と、第2の被覆線の外周又は相補的機器の外周に搭載された第2の端部とを備える円筒状結合スリーブについて記述しており、そのように搭載されたスリーブは、接続された要素の外周に直接溶接される。その結果、スリーブは、電気伝導体が接続される空洞を形成する。スリーブは、前記空洞が絶縁材料で充填できるようになる開口部を有する。しかしながら、導入された鉱物絶縁材料の圧縮度は実際には制御できないので、そのようなコネクタ機器の絶縁耐力を保証することは困難である。
【0011】
さらにまた、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を使用して鉱物絶縁被覆線を終端することが提案されてきた。これらの樹脂は、たとえ良好な耐電圧及び良好な封止を提供しても、230℃を超える温度に耐えることができない。このタイプの機器は、詳細には米国特許第6437246(B)号明細書に記述されており、この明細書は、導体の自由端を取り囲むエポキシ樹脂を内部に充填された、又は別の導体との接続を有する、被覆線の外側被覆の上に圧着された金属スリーブについて開示している。同様に、陶磁器接合剤又はさらには可融性ガラスを使用して終端することができる。可融性ガラスの解決手段は、高温に対する耐性が低い、及び被覆線が湿気に対する耐性を損なう亀裂が頻発するという欠点を有する。
【0012】
米国特許第9583933(B)号明細書は、留め針を形成する導電性要素を備え、かつ被覆をはがされた被覆線の端部に対応する電気伝導体を受け取るための空洞を備える鉱物絶縁被覆線用終端機器を提案しており、留め針は、被覆線自体に至るまで導体の周りに係合する。この留め針の周囲では、被覆線の所で金属留め針と被覆に包含される鉱物絶縁体の間に封止リングもまた嵌合する。絶縁スリーブは、金属留め針の周りに嵌合する。湿気が鉱物絶縁体を損なわないようにするために、組立て中に端部を加熱する。しかしながら、組立てを考慮して、封止リングは、導体の周りにある鉱物絶縁体の一部分を除去した後に鉱物絶縁体と電気伝導体の間に挿入される、又は終端機器の端部は、鉱物絶縁体内で押し込まれるように円錐状である。そのような機器はまた、気密性を確実にするOリングを必要とし、それにより高温での使用は制限される。したがって、封止部は、材料の経年変化に起因して経時的に劣化する可能性がある、湿気が入る可能性があるなどである。
【0013】
さらにまた、典型的には500℃に耐えるガラス金属封じ両面間接続端子、又は最大1000℃までの耐性を有する陶磁器金属封じ両面間接続端子などの末端機器も提案されてきた。しかしながら、このタイプのコネクタは、被覆をはがす間に陶磁器絶縁体及び被覆線の導体を曝露する必要があり、その結果、導体と遮蔽物の間で使用中に電気アークが生じる可能性が残る。この危険性は、被覆線が(たとえば、遮蔽された発熱体、又は特有の検出器に接続された信号伝送被覆線のために)高圧で動作する場合、ますます大きくなる。その結果、高圧を長期間印加できない。
【0014】
その結果、仏国特許発明第2988514(B)号明細書に終端要素について記述されており、この明細書では、鉱物絶縁被覆線の端部は、終端管が収容される2つの貫通孔を有する陶磁器絶縁要素を一方の端部に具備するスリーブ管から構成される終端スリーブを保持し、他方の端部は、被覆をはがされた被覆線の端部に搭載され、鉱物絶縁材料は、被覆線の端部と陶磁器要素の間に挿入される。その結果、むき出しの導体は絶縁材料を通過し、次いで陶磁器要素は終端管を通過する。絶縁耐力を確実にするために、終端スリーブの空の空間には、被覆線の端部と陶磁器絶縁要素の間に置かれる鉱物絶縁体が充填される。この場合も、鉱物絶縁体の圧縮度は制御困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】仏国特許発明第1150390(A)号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2832558(A)号明細書
【特許文献3】米国特許第6437246(B)号明細書
【特許文献4】米国特許第9583933(B)号明細書
【特許文献5】仏国特許発明第2988514(B)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来技術の機器の欠点を克服するために、本発明は、たとえば最大1000℃までの高温など、過酷な環境条件の下で使用でき、一方では設計が簡単であり、遮蔽鉱物絶縁被覆線に実装しやすい、(数1000ボルトまでの)絶縁耐力を保証する末端機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明は、鉱物絶縁被覆線用末端機器に関し、この末端機器は、たとえば被覆線の末端部を形成する機器、又は別の被覆線又は機器とのコネクタを形成する機器を意味し、既存の機器の欠点を克服できるようにする。
【0018】
特に、本発明は、鉱物絶縁被覆線用末端機器(terminal device for a mineral insulated cable)であって、一方の端部が前記被覆線の端部に固定されることが意図される金属套管と、陶磁器絶縁要素とを備える末端機器において、前記陶磁器絶縁要素は、前記套管から突き出ている一方の端部と、前記套管の中に収容された、孔を有する前記一方の端部の反対側にある端部とを備える、前記套管の中に収容された円筒から構成され、前記套管の中に収容された前記円筒の前記端部は、先細形状を有することを特徴とする末端機器である。
【0019】
その結果、有利には、そのような末端機器は、被覆をはがされた被覆線の導体が前記套管内に、次いで前記陶磁器絶縁要素の孔の中に係合してよいように、被覆をはがされた鉱物絶縁被覆線の端部に搭載されてよく、前記套管は、被覆線上に固定されるように被覆線の外周上に位置決めされ、前記絶縁要素の先細形状は、円筒状絶縁要素が前方に、前記鉱物絶縁体に向かって徐々に動くことができるようにし、それにより、前記陶磁器円筒は、前記鉱物絶縁体の表面に圧縮応力を加えることができるようになる。このようにして、被覆をはがすことにより前記絶縁体の圧縮度は局所的に失われるので、前記陶磁器絶縁要素の先細先端部によりこの絶縁体に加えられる圧縮応力はこの圧縮度を回復させ、前記被覆線は、弱点のない一様な誘電体障壁を含むことができるようになる。
【0020】
その結果、漏れ経路は、有利には被覆線の導体及び金属被覆がもはや互いに向き合っていないので長くなる。電気アークが生じるためには、電気アークは、末端機器の外側ではるかにより長い漏れ経路を移動しなければならない。これは、はるかにより高い降伏電圧を意味する。
【0021】
好ましくは、前記套管はろう付け(brazing)により前記陶磁器絶縁要素に固定される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記陶磁器円筒の先細端部は円錐状である。
【0023】
第1の実施形態によれば、前記陶磁器絶縁要素は孔を有し、前記套管から突出する前記孔の端部は封鎖することができ、その結果、前記末端機器は、鉱物絶縁被覆線を終端するための機器を構成する。
【0024】
その結果、有利には、被覆をはがされた導体は、前記孔の中に係合するように前記套管内に係合し、前記套管は、前記被覆線上に固定されるように前記被覆線の外周上に係合し、一方では、前記導体を取り囲む円筒の先細端部は、前記鉱物絶縁体を圧縮するために、前記導体を取り囲む鉱物絶縁体を圧迫する。被覆をはがされた前記導線端部が前記孔の中に収容されると、前記孔は封鎖され、前記末端機器は前記被覆線の末端部を形成する。
【0025】
第2の実施形態によれば、前記陶磁器絶縁要素は貫通孔を有し、貫通孔の端部で金属管は、前記套管から突き出る前記絶縁要素の端部に搭載され、たとえばろう付けにより前記陶磁器絶縁要素上に固定され、その結果、前記末端機器はコネクタ機器を構成する。
【0026】
その結果、有利には、この末端機器は、あらかじめ被覆をはがされた鉱物被覆線の端部に固定されてよく、その結果、被覆をはがされた導体は、前記円筒の貫通孔の中に係合して、前記管を通して前記末端機器から突き出るように前記套管内に係合し、前記套管は、前記被覆線の上に固定されるように前記被覆線の外周上に係合し、一方では、前記導体を取り囲む前記円筒の先細端部は、前記鉱物絶縁体を圧縮するために、前記導体を取り囲む鉱物絶縁体の表面を圧迫する。
【0027】
代替実施形態によれば、前記末端機器は、前記陶磁器絶縁要素及び前記金属管が搭載されたスリーブをさらに備えてよく、前記スリーブは前記套管内に搭載される。
【0028】
前記被覆線の外周上に搭載されることが意図される前記套管の端部は、圧着により前記被覆線の外側被覆に固定されてよい。
【0029】
好ましい実施形態によれば、前記套管の端部は、前記被覆線の端部の外周上に提供された相補的固定手段と相互作用することが意図される固定手段を有し、前記套管固定手段と前記被覆線固定手段の間の相互作用は好ましくは、前記円筒の先細先端部により前記鉱物絶縁体に加えられる圧縮力を生成可能にする。
【0030】
好ましくは、前記相補的固定手段は、前記套管の内壁上に形成された雌ねじ、及び前記被覆線の外側被覆上に提供されたねじ山を切られたリングから構成され、前記リングに前記套管をねじで締めることにより、有利には前記鉱物絶縁体に対する前記円筒先端部の圧縮力を発生可能になる。
【0031】
その結果、組立て後、前記被覆線の鉱物絶縁体、及び前記陶磁器絶縁要素は圧縮状態のままであり、その結果、高温条件の下でさえ前記被覆線に絶縁耐力が提供される。
【0032】
有利には、前記套管/スリーブ組立体は、いくつかの陶磁器絶縁要素及び関連する金属管を適応させてよく、いくつかの陶磁器絶縁要素及び関連する金属管のすべては、前記套管/スリーブ組立体の中に適応されてよいが、それぞれ異なる導体径に適合した孔を有する。これらの異なる導体径は一般に、異なる被覆線径につながり、この場合、前記套管と相互作用するねじ山を切られた前記リングは、前記被覆線の直径に適合する。
【0033】
したがって、本発明による末端機器は、終端の役割を果たそうがコネクタの役割を果たそうが、金属及び陶磁器だけを使用して、どんな有機材料も、又はどんな封止部も含むことなく、詳細には高温ろう付けにより封止された、完全に密封された機器を伴う被覆線を得ることを可能にする。
【0034】
それに加えて、絶縁体は円錐上で強力な手法で圧縮され、それにより、被覆線の絶縁体との安定した界面が保証される。これは、高耐圧のために必要である。
【0035】
本発明による機器の主な関心の中心は、「過酷な環境」での使用、及び安全性(たとえば原子力発電所)である。
【0036】
その結果、機器は、(直径6mmの被覆線で)最大6000VACまでの最大動作電圧で800℃又はさらには1000℃の動作温度まで使用でき、急速な熱サイクルに耐性がある。
【0037】
機器はまた、どんな有機化合物も含まないので、ヘリウムが漏れないこと(漏れ速度<10-8atm・cm3/秒)、耐圧性(>250バール)、及び非常に良好な経時的安定性を提供する。
【0038】
また、本発明は、導体、金属被覆、及び両者の間に挿入された鉱物絶縁材料から作られる鉱物絶縁体を伴う遮蔽被覆線であって、一方の端部が前記被覆線の端部の外周に固定される金属套管と、陶磁器絶縁要素とを備える末端機器を一方の端部に備える遮蔽被覆線において、前記陶磁器絶縁要素は、被覆をはがされた前記被覆線の導体が挿入される孔を有する端部を介して前記套管の中に収容される円筒から構成され、前記套管の中に収容される前記円筒の前記端部は、前記導体を取り囲む前記鉱物絶縁体に対して圧縮状態にある先細形状をさらに有することを特徴とする遮蔽被覆線である。
【0039】
本発明は、図面を参照しつつ、より詳細に説明される。この図面はすなわち以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明による末端機器の第1の実施形態の長手方向断面図を示す。
【
図2】
図1による末端機器を具備する鉱物絶縁被覆線の長手方向断面図である。
【
図3】被覆線に搭載されたときの、本発明による末端機器の透視図である。
【
図5】本発明による末端機器の第2の実施形態の透視図である。
【
図6】本発明による末端機器の第3の実施形態の長手方向断面図である。
【
図7】本発明による末端機器の第4の実施形態の長手方向断面図である。
【
図8】本発明による末端機器の第5の実施形態の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明による末端機器1は、鉱物絶縁体を伴う被覆線2に嵌合することが意図される。
【0042】
そのような被覆線2は、金属製中央導線21、及び前記導線21を取り囲む金属製外側被覆22から構成され、両者の間に鉱物絶縁材料23が挿入される。そのような被覆線2を完了させるために、本発明による末端機器1は、被覆線2の端部に嵌合される。末端機器を嵌合させるために、被覆線2は被覆をはがされ、一定の長さにわたり中央導線21を曝露する。
【0043】
この機器1は、金属套管3、及び前記套管3内に収容された円筒4から構成される陶磁器絶縁要素を備える。この套管3又は基部(又ははめ合い)は、陶磁器絶縁要素4にろう付けされる。このタイプの終端は、一体鋳造と称することができる。
【0044】
套管3は、詳細には外側被覆22の周りに自身を位置決めすることにより被覆線2の端部に固定するための端部を有する。この目的を達成するために、套管3は、被覆線2に固定するための手段を備える。
【0045】
好ましい実施形態によれば、これらの固定手段は、套管3の固定端部の内壁上に形成された、外側被覆22の端部に固定されたリング5の外壁上に形成された雄ねじと相互作用することが意図される雌ねじから構成される。このリング5は、詳細にはろう付けにより被覆22に固定される。
【0046】
好ましくは、肩31は、リング5上に套管3をねじで締めることによりリング5の端部及び/又は被覆22の端部が前記肩31に当接するようになることができるように、套管3の内部孔の中に提供される。これにより、套管3の端部と肩31の間で伸展し、かつたとえば雌ねじを有する套管3の固定部分32、及び陶磁器円筒4が収容される、肩31を過ぎて套管3の他方の端部に至るまでの受入部分33が画定される。
【0047】
本発明の機器の陶磁器円筒4は、好ましくは中央に貫通孔41を有する。この孔41は、被覆をはがされた被覆線2の中心導体21を受け入れるように形作られる。
【0048】
孔41内に部分的に伸展し円筒から部分的に突き出る、被覆をはがされた導線21をさらにまた係合してよい金属管6は、孔41の一方の端部に、したがって円筒4の一方の端部に搭載される。この管6は、ろう付けにより陶磁器絶縁要素4に付着する。孔41はまた、導線が係合すると封鎖されてよく、その結果、機器により形成された終端端部を伴う被覆線を形成する。
【0049】
図5で理解できるように、金属管6は、円筒4の端部に固定されたキャップ60の形をとってよい。
【0050】
円筒4は、その受入部分に直径が套管3の内径に等しい円形横断面を有する。套管3の中に収容された円筒4の端部42はさらに先細になり、好ましくは円錐状である。
【0051】
円筒4は、円錐状先端部42が肩31を越えて伸展するが套管3の固定端部から離れた所に置かれるように、套管3の中に嵌合できるようになる長さを有する。
【0052】
その結果、末端機器1の組立て中、被覆をはがされた被覆線2の端部の金属導体21が貫通孔41の中に係合し、一方では、機器1は、套管3が外側被覆22により保持されるリング5の上にねじで締められるように、被覆をはがされた被覆線2の端部の金属導体21上に係合する。
【0053】
ねじで締める間、円筒4の円錐状先端部42は、鉱物絶縁体23と接触するようになり、この絶縁体23の表面を圧縮する。
【0054】
その結果、導線21及び外側被覆22はもはや互いに向き合わないので、漏れ経路は長くなり、円錐状先端部42は、鉱物絶縁体23を押しつけて被覆22の端部22aから離す。したがって、電気アークが生じるためには、電気アークは、前記末端機器の外側に配置された漏れ経路よりも長い漏れ経路を移動しなければならない。したがって、降伏電圧はより高い。
【0055】
円錐状先端部42が鉱物絶縁体23に加える圧縮力は、套管3がリング5の上にねじで締められたときに発生し、この圧縮は、締付トルクを制御することにより管理される。
【0056】
さらにまた、特殊な道具を用いて鉱物絶縁体23上に予備成形品を作ってもよく、それにより、陶磁器円筒4との界面は最適化される。その結果、被覆線の砕けやすい吸湿性絶縁体内に予備成形品を作ることにより、接触は最大になり、円錐状陶磁器の先端部に対する応力は制限される。
【0057】
被覆線2上で末端機器1を封止するために、套管3はリング5にろう付けされる。組立て後、鉱物絶縁体23及び陶磁器円筒4は圧縮状態のままであり、それにより、被覆線2に新しい誘電体障壁が提供される。
【0058】
金属導線21は、金属管6の突き出る端部から突出し、両者の間でろう付け又は半田付けが行われる。
【0059】
好ましくは、套管3及び管6は、FN42などの鉄/ニッケル合金から作られるが、アルミナに近い膨張率を有する任意の他のタイプの合金又は純金属も適している。
【0060】
リング5は、好ましくはステンレス鋼から作られるが、さらにまた銅又はニッケルクロム合金から作られてよい。
【0061】
有利には、本発明の例による末端機器はコネクタ機器であり、最大700℃までの温度条件の下で使用されてよく、前記陶磁器円筒と前記スリーブの間のろう付けは、Ag/Cu共晶合金から構成される。最大1000℃までの非常に高い温度の使用条件については、ろう付けは好ましくは100%銅である。
【0062】
套管3を被覆線2の外側被覆に接合するろう付けは、最大600℃までの耐性を有するAG102などのAg/Cu/Zn/Sn合金、又は最大1000℃までの耐性を有する、商品名「Nicrobraz LM」で公知の合金などのB/C/Cr/Fe/Si/Ni合金であってよい。
【0063】
末端機器1は、陶磁器絶縁要素4及び金属管6が搭載されるスリーブ7をさらに含んでよく、スリーブ7は套管3の中に搭載される。スリーブ7は、好ましくはアルミナから作られる。
【0064】
その結果、有利には、套管3/スリーブ7組立体は、異なる導体径に合わせた異なる陶磁器絶縁要素及び関連する金属管6を適応させてよい。
図6、
図7、及び
図8で理解できるように、被覆線2a、2b、2cは、異なる直径を、詳細には異なる直径の導体を有する。その結果、同じ套管3/スリーブ7組立体で、導体23cに適合した円筒4c及び管6cに加えて、導体23aの直径に適合した陶磁器絶縁円筒4a及び管6a、被覆線23bに適合した円筒4b及び管6bを嵌合可能である。しかしながら、管6は、この場合いくつかの直径の導体に適合するサイズを有するので、同じままであってよい。このタイプの終端は、適応性のあると呼ばれる。
【0065】
その結果、被覆線2a、2b、2cの外径に適合した直径のねじを切られたリング5a、5b、5cは、套管3と相互作用するように選択される。
【国際調査報告】