(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】流路デバイス及び生体成分バッグシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/02 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
A61M1/02 103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502438
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2020027771
(87)【国際公開番号】W WO2021015111
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】P 2019134560
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA12
4C077BB02
4C077BB04
4C077CC03
4C077CC04
4C077CC06
4C077DD24
4C077EE01
4C077KK13
(57)【要約】
生体成分バッグシステム(12)の流路デバイス(10A)は、デバイス本体(36)を備える。デバイス本体(36)は、第1シート(42)と第2シート(44)とを含み、第1シート(42)と第2シート(44)との間には、流路(60)が形成される。流路(60)は、第1流路(62)、第2流路(66)、フィルタ収容室(68)及び第3流路(70)を含む。デバイス本体(36)には、第1シート(42)と第2シート(44)とを互いに液密に接合する流路シール部(78)が流路(60)に沿って設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成された流路デバイスであって、
前記流路が形成されたデバイス本体を備え、
前記デバイス本体は、
軟質素材で形成された第1シートと、
前記第1シートに重ねられ、軟質素材で形成された第2シートと、を有し、
前記第1シートと前記第2シートとの間には、前記流路が形成され、
前記流路は、
複数の第1流路と、
前記複数の第1流路に連通する1つの第2流路と、
前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、
前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、を含み、
前記デバイス本体には、前記第1シートと前記第2シートとを互いに液密に接合する流路シール部が前記流路に沿って設けられている、流路デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の流路デバイスであって、
前記流路は、前記複数の第1流路と前記第2流路とを互いに連通させる中間流路を含む、流路デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の流路デバイスであって、
前記流路シール部は、
前記複数の第1流路のそれぞれの両側に設けられた第1流路シール部と、
前記中間流路の両側に設けられた中間流路シール部と、
前記第2流路の両側に設けられた第2流路シール部と、
前記フィルタ収容室の外周に沿って設けられた外周シール部と、
前記第3流路の両側に設けられた第3流路シール部と、を有する、流路デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の流路デバイスであって、
前記第2流路シール部の両側には、空間が設けられている、流路デバイス。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の流路デバイスであって、
前記デバイス本体のうち前記流路以外の部位には、前記第1シートと前記第2シートとが互いに接合されていない非シール部が設けられ、
前記非シール部は、前記第1流路シール部、前記中間流路シール部、前記第2流路シール部、前記外周シール部及び第3流路シール部に沿って設けられている、流路デバイス。
【請求項6】
請求項5記載の流路デバイスであって、
前記デバイス本体には、前記非シール部を囲むように延在し、前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合する外縁シール部が設けられている、流路デバイス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の流路デバイスであって、
前記流路シール部には、
前記複数の第1流路のそれぞれに連通するポートを形成する複数の第1ポート部材と、
前記第3流路に連通するポートを形成する1つの第2ポート部材と、が設けられている、流路デバイス。
【請求項8】
生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成された流路デバイスであって、
軟質素材で形成された複数のシートを互いに液密に接合し、前記流路をシート内部に形成するシール部が設けられているデバイス本体を有し、
前記デバイス本体は、第1本体部と、第2本体部と、それらを連結する連結部とからなり、
前記第1本体部には、
複数の第1流路と、
前記複数の第1流路に連通する第2流路と、が設けられ、
前記第2本体部には、
前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、
前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、が設けられ、
前記連結部は、前記第2流路の少なくとも一部を形成する、流路デバイス。
【請求項9】
請求項8記載の流路デバイスであって、
前記連結部の周囲には、前記第1本体部と前記第2本体部とを互いに分離させるための空間が設けられている、流路デバイス。
【請求項10】
生体液から所望の生体成分を採取する生体成分バッグシステムであって、
生体液が収容された複数の第1バッグと、
前記複数の第1バッグが接続された流路デバイスと、
前記複数の第1バッグから前記流路デバイスを介して導かれた生体成分を収容するための第2バッグと、を備え、
前記流路デバイスは、前記生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成されたデバイス本体を含み、
前記デバイス本体は、
軟質素材で形成された第1シートと、
前記第1シートに重ねられ、軟質素材で形成された第2シートと、を有し、
前記第1シートと前記第2シートとの間には、前記流路が形成され、
前記流路は、
複数の第1流路と、
前記複数の第1流路に連通する第2流路と、
前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、
前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、を含み、
前記デバイス本体には、前記第1シートと前記第2シートとを互いに液密に接合する流路シール部が前記流路に沿って設けられている、生体成分バッグシステム。
【請求項11】
請求項10記載の生体成分バッグシステムであって、
前記流路デバイスに接続され、前記流路デバイスを介して前記第2バッグに添加する薬液が収容された薬液バッグを備える、生体成分バッグシステム。
【請求項12】
請求項11記載の生体成分バッグシステムであって、
前記複数の第1バッグのそれぞれには、生体液としてのバフィーコートが収容され、
前記薬液バッグには、薬液としての血小板保存液が収容され、
前記流路デバイスの前記フィルタ部材は、バフィーコートから白血球を除去し、
前記第2バッグは、前記流路デバイスを通過した血小板と血小板保存液とを収容する、生体成分バッグシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路デバイス及び生体成分バッグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2018/062211号の
図9には、複数のバッグに収容されたバフィーコートを、流路デバイスを介して1つのプーリングバッグに移送して集めた後、フィルタにより白血球を除去して血小板を得る血小板バッグシステムが開示されている。この流路デバイスは、硬質素材で構成された複数の分岐コネクタと、各分岐コネクタの複数のポート部のそれぞれに接続された複数のチューブとを有する。また、フィルタは、チューブを介してプーリングバッグに接続されている。
【発明の概要】
【0003】
上述した流路デバイスでは、複数の分岐コネクタと複数のチューブが必要であるため、部品点数が比較的多くなる。また、上述した血小板バッグシステムでは、多くの部品(分岐コネクタ、チューブ及びフィルタ)を接合する必要があるため、接合工数が比較的増大する。そのため、流路デバイス及び血小板バッグシステム(生体成分バッグシステム)のコストが高騰化するおそれがある。
【0004】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、コストの低廉化を図ることができる流路デバイス及び生体成分バッグシステムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様は、生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成された流路デバイスであって、前記流路が形成されたデバイス本体を備え、前記デバイス本体は、軟質素材で形成された第1シートと、前記第1シートに重ねられ、軟質素材で形成された第2シートと、を有し、前記第1シートと前記第2シートとの間には、前記流路が形成され、前記流路は、複数の第1流路と、前記複数の第1流路に連通する1つの第2流路と、前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、を含み、前記デバイス本体には、前記第1シートと前記第2シートとを互いに液密に接合する流路シール部が前記流路に沿って設けられている、流路デバイスである。
【0006】
本発明の他の態様は、生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成された流路デバイスであって、軟質素材で形成された複数のシートを互いに液密に接合し、前記流路をシート内部に形成するシール部が設けられているデバイス本体を有し、前記デバイス本体は、第1本体部と、第2本体部と、それらを連結する連結部とからなり、前記第1本体部には、複数の第1流路と、前記複数の第1流路に連通する第2流路と、が設けられ、前記第2本体部には、前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、が設けられ、前記連結部は、前記第2流路の少なくとも一部を形成する、流路デバイスである。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、生体液から所望の生体成分を採取する生体成分バッグシステムであって、生体液が収容された複数の第1バッグと、前記複数の第1バッグが接続された流路デバイスと、前記複数の第1バッグから前記流路デバイスを介して導かれた生体成分を収容するための第2バッグと、を備え、前記流路デバイスは、前記生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成されたデバイス本体を含み、前記デバイス本体は、軟質素材で形成された第1シートと、前記第1シートに重ねられ、軟質素材で形成された第2シートと、を有し、前記第1シートと前記第2シートとの間には、前記流路が形成され、前記流路は、複数の第1流路と、前記複数の第1流路に連通する第2流路と、前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、を含み、前記デバイス本体には、前記第1シートと前記第2シートとを互いに液密に接合する流路シール部が前記流路に沿って設けられている、生体成分バッグシステムである。
【0008】
本発明によれば、流路(複数の第1流路、第2流路、フィルタ収容室及び第3流路)を第1シートと第2シートとの間に形成している。そのため、複数の分岐コネクタと複数のチューブを用いる従来品と比較して、流路デバイスの部品点数を少なくすることができる。よって、コストの低廉化を図ることができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る流路デバイス及び生体成分バッグシステムによれば、流路シール部を流路に沿って設けている。これにより、流路デバイスにおいて、多くの部品(パーツ)を接合する必要がないため、接合工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流路デバイスを備えた生体成分バッグシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1の流路デバイスの一部拡大平面図である。
【
図3】
図3Aは、
図2のIIIA-IIIA線に沿った断面図であり、
図3Bは、
図2のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。
【
図4】
図4Aは、
図2の流路デバイスの製造方法を説明するためのフローチャートであり、
図4Bは、
図4Aのフィルタ製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図1の生体成分バッグシステムを用いた血小板採取方法を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図9の吊り下げ工程及び第1移送工程の説明図である。
【
図11】第1変形例に係る流路デバイスの一部拡大平面図である。
【
図12】第2変形例に係る流路デバイスの一部拡大平面図である。
【
図13】第3変形例に係る流路デバイスの一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る流路デバイス及び生体成分バッグシステムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る生体成分バッグシステム12は、複数のBCバッグ14に収容されたバフィーコートから白血球を除去して血小板(血小板製剤)を得るためのものである。ただし、生体成分バッグシステム12は、バフィーコートから血小板を採取する例に限定されず、生体液から所望の生体成分を採取するものであればよい。
【0013】
生体成分バッグシステム12は、複数のBCバッグ14(第1バッグ)、薬液バッグ16、流路デバイス10A及び血小板バッグ22(第2バッグ)を備える。
【0014】
BCバッグ14は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。なお、薬液バッグ16及び血小板バッグ22は、BCバッグ14と同様に袋状に構成されたものである。
【0015】
BCバッグ14にはバフィーコートが収容されている。BCバッグ14内のバフィーコートは、例えば、複数の血液成分を含有する血液(全血)を、血漿、バフィーコート及び濃厚赤血球に遠心分離することにより得られる。ただし、バフィーコートの採取方法は、これに限定されず、適宜変更可能である。なお、BCバッグ14内のバフィーコートには、血小板及び白血球が含まれている。本実施形態において、BCバッグ14は、6つ設けられている。
【0016】
薬液バッグ16には、薬液である血小板保存液(PAS:Platelet Additive Solution)が収容されている。血小板保存液としては、Composol、T-sol、Intersol、Plasma LiteA、SSP、SSP+、セト液、M-sol等が挙げられる。
【0017】
流路デバイス10Aは、複数のBCバッグ14内のバフィーコートを1つの血小板バッグ22に移送して集めるとともにバフィーコート中の白血球を除去する。また、流路デバイス10Aは、薬液バッグ16内の血小板保存液を血小板バッグ22に移送する。流路デバイス10Aの詳細な構成については後述する。
【0018】
流路デバイス10Aに接続された血小板バッグ22は、バフィーコートから白血球が除去された血小板(血小板製剤)を収容するためのものである。血小板バッグ22には、チューブ28を介して空気抜き用の図示しないバッグが接続されている。
【0019】
流路デバイス10Aは、複数の導入チューブ30、複数の導入ポート部材34(第1ポート部材)、デバイス本体36、1つの導出ポート部材38(第2ポート部材)及び1つの導出チューブ40を備える。
【0020】
本実施形態において、導入チューブ30は、7つ設けられている。6つの導入チューブ30の一端は、6つのBCバッグ14のそれぞれに接続され、1つの導入チューブ30の一端は、薬液バッグ16の封止部材17に接続されている。なお、以下の説明では、薬液バッグ16に接続された導入チューブ30を「導入チューブ30a」ということがある。
【0021】
封止部材17は、封止部材17が破断操作されることにより、薬液バッグ16内と導入チューブ30a内とが互いに連通するように形成される。導入チューブ30aには、導入チューブ30aの内孔を開放及び閉塞するためのクランプ300が設けられている。
【0022】
図2~
図3Bにおいて、デバイス本体36は、軟質素材でシート状に形成されている。具体的に、デバイス本体36は、軟質素材で形成された第1シート42及び第2シート44を有する。軟質素材としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。塩化ビニルの可塑剤としては、例えば、ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、フタル酸ビス-2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0023】
第1シート42と第2シート44とは、厚さ方向に重ねられた状態で互いに接合されている。第1シート42と第2シート44との接合手段は、例えば、融着(高周波融着、熱融着等)、接着等が挙げられる。
【0024】
図2に示すように、デバイス本体36は、流路形成部46(第1本体部)、連結部48及びフィルタ形成部50(第2本体部)を備える。流路形成部46及びフィルタ形成部50のそれぞれは、横長の長方形状に形成されている。連結部48は、流路形成部46とフィルタ形成部50とを互いに連結する。連結部48の両側には空間49が設けられている。換言すれば、連結部48の周囲には、流路形成部46とフィルタ形成部50とを互いに分離させるための空間49が設けられている。
【0025】
流路形成部46の一方の長辺である第1端部52には、複数の導入ポート部材34が設けられている。導入ポート部材34は、硬質材料(例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン等)で円筒状に形成されている。複数の導入ポート部材34は、流路形成部46の長手方向に等間隔に並んで配置されている。本実施形態において、導入ポート部材34は、7つ設けられている。複数の導入ポート部材34のそれぞれには、導入チューブ30の他端が接続されている。流路形成部46の他方の長辺である第2端部54の中央部には、連結部48の一端が連結している。
【0026】
フィルタ形成部50の一方の長辺である第3端部56の中央部には、連結部48の他端が連結している。フィルタ形成部50の他方の長辺である第4端部58の中央部には、1つの導出ポート部材38が設けられている。導出ポート部材38は、導入ポート部材34と同様に構成されている。導出ポート部材38には、導出チューブ40の一端が接続されている。導出チューブ40の他端は、血小板バッグ22に接続されている(
図1参照)。
【0027】
第1シート42と第2シート44との間には、バフィーコート(生体成分)及び白血球保存液(薬液)の少なくともいずれかの液体を流通させるための液体流路60が形成されている。液体流路60は、複数の第1流路62、中間流路64、第2流路66、フィルタ収容室68及び第3流路70を含む。
【0028】
各第1流路62は、流路形成部46の第1端部52から第2端部54側に向かって直線状に延出している。複数の第1流路62は、互いに離間した状態で流路形成部46の長手方向に並んでいる。各第1流路62には、導入ポート部材34が設けられている。本実施形態において、第1流路62は、7つ設けられている。6つの第1流路62には、6つのBCバッグ14からバフィーコートが導かれる。1つの第1流路62には、薬液バッグ16から血小板保存液が導かれる。
【0029】
中間流路64は、流路形成部46の長手方向(第1流路62の延在方向と直交する方向)に沿って延在している。中間流路64は、複数の第1流路62の延出端に繋がっている。中間流路64は、複数の第1流路62と1つの第2流路66とを互いに連通する。中間流路64は、複数の第1流路62から導かれた液体を合流させる。
【0030】
第2流路66は、中間流路64からフィルタ収容室68まで直線状に延出している。すなわち、複数の第1流路62は、中間流路64に対して第2流路66とは反対側(第1端部52側)に位置する。第2流路66は、中間流路64の延在方向の中央部に連通している。第2流路66は、流路形成部46、連結部48及びフィルタ形成部50に跨って設けられている。
【0031】
フィルタ収容室68は、第1流路62、中間流路64、第2流路66及び第3流路70のそれぞれよりも幅広に形成されている。第3流路70は、フィルタ収容室68からフィルタ形成部50の第4端部58まで直線状に延出している。第3流路70には、導出ポート部材38が設けられている。
【0032】
デバイス本体36は、第1流路壁部62a、中間流路壁部64a、第2流路壁部66a、フィルタ収容部68a及び第3流路壁部70aを有する。第1流路壁部62aは、複数の第1流路62を形成する。中間流路壁部64aは、中間流路64を形成する。第2流路壁部66aは、第2流路66を形成する。
【0033】
フィルタ収容部68aは、フィルタ収容室68を形成する。フィルタ収容部68aの詳細な構成については後述する。第3流路壁部70aは、第3流路70を形成する。複数の第1流路壁部62a、中間流路壁部64a、第2流路壁部66a、フィルタ収容部68a及び第3流路壁部70aは、自然状態でデバイス本体36の厚さ方向に凸状に膨らんでいる(
図3A及び
図3B参照)。
【0034】
図2において、デバイス本体36には、第1シート42と第2シート44との融着箇所であるシール部72が設けられている。シール部72は、第1外縁シール部74、第2外縁シール部76、流路シール部78を含む。
【0035】
第1外縁シール部74は、流路形成部46の外縁部において第1シート42と第2シート44とを互いに接合する。第2外縁シール部76は、フィルタ形成部50の外縁部において第1シート42と第2シート44とを互いに接合する。
【0036】
流路シール部78は、液体流路60に沿って第1シート42と第2シート44とを互いに液密に接合する。流路シール部78は、第1流路シール部80、中間流路シール部82、第2流路シール部84、外周シール部86及び第3流路シール部88を有する。
【0037】
第1流路シール部80は、複数の第1流路62のそれぞれの両側に第1流路62の全長に亘って設けられている。第1流路シール部80の一端は、第1外縁シール部74に連結している。中間流路シール部82は、中間流路64の両側に設けられている。中間流路シール部82には、複数の第1流路シール部80の他端が連結されている。
【0038】
第2流路シール部84は、第2流路66の両側に第2流路66の全長に亘って設けられている。第2流路シール部84の一端は、中間流路シール部82に連結している。第2流路シール部84の中間部分には、第1外縁シール部74及び第2外縁シール部76が連結している。第2流路シール部84の一端部及び第2流路壁部66aの一端部は、流路形成部46の一部を形成する。第2流路シール部84の他端部及び第2流路壁部66aの他端部は、フィルタ形成部50の一部を形成する。第2流路シール部84の中間部及び第2流路壁部66aの中間部は、連結部48を形成する。第2流路シール部84の中間部の両側には、空間49が設けられている。第2流路壁部66aの中間部には、第2流路66を開放及び閉塞するためのクランプ302が設けられている。
【0039】
外周シール部86は、フィルタ収容部68aを囲むように設けられている。外周シール部86には、第2流路シール部84の他端が連結している。第3流路シール部88は、第3流路70の両側に第3流路70の全長に亘って設けられている。第3流路シール部88の一端は、外周シール部86に連結している。第3流路シール部88の他端は、第2外縁シール部76に連結している。
【0040】
デバイス本体36には、複数の導入側固着部90及び導出側固着部92が設けられている。導入側固着部90は、導入ポート部材34を流路形成部46に固定する。導入側固着部90は、導入ポート部材34の延在方向と直交する方向(交差する方向)に延在している。導入側固着部90の両端部では、第1シート42と第2シート44とが互いに固着されている。導入側固着部90の中央部では、第1シート42と導入ポート部材34が互いに固着(シール)されるとともに第2シート44と導入ポート部材34とが互いに固着(シール)されている(
図3A参照)。
【0041】
導出側固着部92は、導出ポート部材38をフィルタ形成部50に固定する。導出側固着部92は、導出ポート部材38の延在方向と直交する方向(交差する方向)に延在している。導出側固着部92のそれぞれの両端部では、第1シート42と第2シート44とが互いに固着されている。導出側固着部92の中央部では、第1シート42と導出ポート部材38が互いに固着(シール)されるとともに第2シート44と導出ポート部材38が互いに固着(シール)されている(
図3B参照)。
【0042】
デバイス本体36のうち液体流路60以外の部位には、第1シート42と第2シート44とが互いに接合(融着)されていない非シール部94が設けられている。非シール部94は、厚さ方向に膨出していない。非シール部94は、シール部72よりも厚く形成されている。非シール部94は、流路シール部78に沿って設けられている。
【0043】
非シール部94は、第1非シール部96、第2非シール部98及び第3非シール部100を含む。第1非シール部96は、最外に位置する第1流路シール部80、中間流路シール部82、第2流路シール部84の一端部及び第1外縁シール部74に囲まれている。第2非シール部98は、互いに隣り合う第1流路シール部80の間に位置する。すなわち、第1外縁シール部74は、第1非シール部96及び第2非シール部98を囲むように延在している。
【0044】
第3非シール部100は、第2流路シール部84の他端部、外周シール部86、第3流路シール部88及び第2外縁シール部76に囲まれている。すなわち、第2外縁シール部76は、第3非シール部100を囲むように延在している。
【0045】
フィルタ収容部68aは、フィルタ形成部50の略中央に位置し、フィルタ部材102を収容する。
図3Bに示すように、フィルタ収容室68は、フィルタ部材102によってフィルタ形成部50の厚さ方向に第1室103aと第2室103bとに区画されている。
【0046】
フィルタ部材102は、フィルタ本体104と、フィルタ本体104を支持する支持シート106とを有する。フィルタ本体104は、バフィーコート(生体液)から白血球(所定の生体成分)を分離(除去、トラップ)する濾材である。フィルタ本体104は、一方の面から他方の面に連通する微細な連通孔を有するシート状の多孔質体からなる。このような多孔質体としては、例えばポリウレタン製のスポンジシート、不織布等が挙げられる。詳細な図示は省略するが、フィルタ本体104は、複数枚(例えば、2~10枚程度)積層して形成されている。ただし、フィルタ本体104は、1枚であってもよい。
【0047】
支持シート106は、樹脂材料によって液体が通過しないように形成されている。
図2において、支持シート106の外形は、長方形状に形成されている。支持シート106の長手方向は、フィルタ形成部50の短手方向に沿っている。支持シート106は、フィルタ本体104の外側を周回するように延在している。
【0048】
図3Bにおいて、支持シート106の中央部には、フィルタ本体104によって覆われる孔108が形成されている。孔108は、支持シート106の延在方向に延びている。支持シート106のうち孔108の外周側には、フィルタ本体104と支持シート106との間から液体(生体成分)が流れることを阻止するためのフィルタシール部110が設けられている。フィルタシール部110は、フィルタ本体104を支持シート106に液密に接合する。フィルタシール部110は、フィルタ本体104の外周縁部に沿って一周延在している。支持シート106の外周縁部は、外周シール部86によって第1シート42及び第2シート44に液密に接合(融着)している(
図2参照)。
【0049】
図2及び
図3Bに示すように、第2流路66におけるフィルタ収容室68側の端部には、第1室103aに連通する内孔112aを有する第1チューブ114aが配置されている。第1チューブ114aは、フィルタ形成部50の短手方向に沿って延在している。第1チューブ114aと第2シート44との間には、支持シート106の第1部位116aが挟持されている。
【0050】
第1チューブ114a及び支持シート106の第1部位116aは、第1固着部118によってフィルタ形成部50に固着されている。第1固着部118は、第1チューブ114aと交差するようにフィルタ形成部50の長手方向に沿って延びている。第1固着部118の両端部では、第1シート42と第2シート44とが互いに固着(シール)されている。第1固着部118の中央部では、第2シート44と支持シート106の第1部位116aとが互いに固着(シール)されるとともに支持シート106の第1部位116aと第1チューブ114aとが互いに固着され(シール)され、且つ第1シート42と第1チューブ114aとが互いに固着(シール)されている。
【0051】
第3流路70におけるフィルタ収容室68側の端部には、第2室103bに連通する内孔112bを有する第2チューブ114bが配置されている。第1チューブ114aと第2チューブ114bとは、フィルタ収容室68を介して互いに対向配置されている。第2チューブ114bは、フィルタ形成部50の短手方向に沿って延在している。第2チューブ114bと第1シート42との間には、支持シート106の第2部位116bが挟持されている。
【0052】
第2チューブ114b及び支持シート106の第2部位116bは、第2固着部120によってフィルタ形成部50に固着されている。第2固着部120は、第2チューブ114bと交差するようにフィルタ形成部50の長手方向に沿って延びている。第2固着部120の両端部では、第1シート42と第2シート44とが互いに固着(シール)されている。第2固着部120の中央部では、第1シート42と支持シート106の第2部位116bとが互いに固着(シール)されるとともに支持シート106の第2部位116bと第2チューブ114bとが互いに固着(シール)され、且つ第2シート44と第2チューブ114bとが互いに固着(シール)されている。
【0053】
上述した構成を備えた流路デバイス10Aの製造方法は、
図4Aに示すように、フィルタ製造工程、配置工程、接合工程、ブロー成形工程、トリミング工程及びチューブ接合工程を含む。
【0054】
フィルタ製造工程(
図4AのステップS1)は、
図4Bに示すように、シート加工工程、フィルタ加工工程及びシール工程を含む。シート加工工程(
図4BのステップS10)では、
図5Aに示すように、シート素材150を長方形状に打ち抜き加工するとともに長方形の中央部に孔108を打ち抜き加工することにより支持シート106を成形する。なお、シート加工工程では、レーザ加工装置等を用いてシート素材150を支持シート106の形状に切り出してもよい。フィルタ加工工程(ステップS11)では、シート状のフィルタ素材152を打ち抜き加工することによりフィルタ本体104を成形する。なお、フィルタ本体104は、支持シート106の孔108よりも一回り大きく成形される。
【0055】
続いて、シール工程(ステップS12)において、
図5Bに示すように、支持シート106の孔108を覆うように支持シート106の片方の面にフィルタ本体104を重ねた状態でフィルタ本体104の外周縁部を支持シート106に対して一周接合することによりフィルタシール部110を形成する。これにより、フィルタ部材102が製造される。
【0056】
次に、配置工程(
図4AのステップS2)では、
図6に示すように、軟質素材で形成された長方形状の第1素材シート200と軟質素材で形成された長方形状の第2素材シート202との間に、複数(7つ)の導入ポート部材34、1つの導出ポート部材38、フィルタ部材102、第1チューブ114a及び第2チューブ114bが配置されるようにセットする。
【0057】
複数の導入ポート部材34は、第1素材シート200の一端部と第2素材シート202の一端部との間に配置される。導出ポート部材38は、第1素材シート200の他端部と第2素材シート202の他端部との間に配置される。フィルタ部材102は、第1素材シート200の中央部と第2素材シート202の中央部との間に配置される。支持シート106の第1部位116aは、第1チューブ114aと第2素材シート202との間に配置され、支持シート106の第2部位116bは、第2チューブ114bと第1素材シート200との間に配置される。
【0058】
そして、接合工程(
図4AのステップS3)において、複数の導入ポート部材34を第1素材シート200及び第2素材シート202に接合するとともに導出ポート部材38を第1素材シート200及び第2素材シート202に接合する。また、
図7Aに示すように、第1部位116aを第2素材シート202及び第1チューブ114aに接合するとともに第2部位116bを第1素材シート200及び第2チューブ114bに接合する。この場合、これらの接合には、高周波融着装置、熱融着装置等が用いられる。
【0059】
接合工程で得られた第1中間製造物204は、
図7Bに示すシート接合装置206を構成する一対の金型208a、208bの所定位置に配置される。本実施形態において、シート接合装置206は、高周波融着装置である。シート接合装置206は、熱融着装置等であってもよい。一対の金型208a、208bの成形面には、デバイス本体36の液体流路60を囲む部分(凸状壁部)を形成するための溝が設けられている。
【0060】
その後、ブロー成形工程(
図4AのステップS4)において、
図7Bに示すように、第1素材シート200と第2素材シート202とを金型208a、208b間に挟み込んで、第1素材シート200と第2素材シート202とを接合するとともに、フィルタ部材102が配置された液体流路60が形成されるようにブロー成形する。
【0061】
具体的には、一対の金型208a、208bを閉じて、第1素材シート200と第2素材シート202とを重ね合わせ、液体流路60(複数の第1流路62、中間流路64、第2流路66、フィルタ収容室68及び第3流路70)を形成するように第1素材シート200と第2素材シート202の所定箇所を高周波融着する。この際、図示しないブローノズルからエアを吹き出して、第1素材シート200及び第2素材シート202において、金型208a、208bに設けられた溝に対応する箇所を膨らませることで、液体流路60が形成される。
【0062】
ブロー成形工程後、ブローノズルがデバイス本体36から引き抜かれる。次に、一対の金型208a、208bを開いて、第2中間製造物210が取り出される。
【0063】
続いて、トリミング工程(
図4AのステップS5)において、
図8に示すように、第2中間製造物210のうち第2流路66の両側を切断ラインCTに沿って切断して除去する。これにより、流路形成部46とフィルタ形成部50とを互いに連結する連結部48が形成される。換言すれば、流路デバイス10Aが形成される。つまり、連結部48の両側に空間49が形成される。
【0064】
その後、チューブ接合工程(
図4AのステップS6)において、複数の導入ポート部材34のそれぞれに導入チューブ30を接合し、導出ポート部材38に導出チューブ40を接合する。これにより、流路デバイス10Aが製造されるに至る。
【0065】
次に、生体成分バッグシステム12を用いてバフィーコートから白血球が除去された血小板を得る血小板採取方法について説明する。なお、各BCバッグ14内のバフィーコートは、白血球及び血小板を含む一方で、濃厚赤血球及び血漿の含有率が比較的小さい。
図9に示すように、血小板採取方法は、吊り下げ工程、第1移送工程及び第2移送工程を含む。
【0066】
図10に示すように、まず、吊り下げ工程(
図9のステップS20)において、図示しない懸架台に複数のBCバッグ14及び薬液バッグ16を吊るす。この際、流路デバイス10Aは、導入チューブ30に吊り下げられる。つまり、血小板バッグ22は、複数のBCバッグ14及び薬液バッグ16よりも下方(鉛直下方)に位置する。
【0067】
次に、第1移送工程(
図9のステップS21)において、クランプ302を開放する。そうすると、複数のBCバッグ14内のバフィーコートは、重力の作用(落差)によって、複数の導入チューブ30、複数の第1流路62、中間流路64、第2流路66を介してフィルタ収容部68aの第1室103aに導かれる。この際、フィルタ収容室68内の空気を外部に排出させるために、一時的にフィルタ形成部50を上下反転させてもよい。これにより、フィルタ収容室68内の空気が外部に効率的に排出されるため、フィルタ本体104に対するバフィーコートの流通面積を効果的に高めることができる。なお、フィルタ収容室68内の空気が排出された後、フィルタ形成部50は、元の状態に戻される。
【0068】
第1室103aに流入したバフィーコートは、フィルタ本体104を通過して第2室103bに流入する。この際、バフィーコートから白血球が除去される。バフィーコートから白血球が除去されることにより得られた血小板は、第2室103bから第3流路70及び導出チューブ40を介して血小板バッグ22に導かれる。
【0069】
第1移送工程が完了すると、第2移送工程(
図9のステップS22)において、薬液バッグ16の封止部材17を破断するとともにクランプ300を開放する。そうすると、薬液バッグ16内の血小板保存液は、重力の作用(落差)によって、導入チューブ30a、第1流路62、中間流路64、第2流路66、フィルタ収容室68、第3流路70及び導出チューブ40を介して血小板バッグ22に導入される。これにより、白血球を含まない血小板(血小板製剤)を得ることができる。
【0070】
この場合、本実施形態に係る流路デバイス10A及び生体成分バッグシステム12は、以下の効果を奏する。
【0071】
流路デバイス10Aにおいて、液体流路60は、複数の第1流路62と、1つの第2流路66と、中間流路64と、フィルタ部材102が収容されたフィルタ収容室68と、第3流路70とを含む。デバイス本体36は、軟質素材で形成された第1シート42と、第1シート42に重ねられ、軟質素材で形成された第2シート44とを有する。第1シート42と第2シート44との間には、液体流路60が形成されている。デバイス本体36には、第1シート42と第2シート44とを互いに液密に接合する流路シール部78が液体流路60に沿って設けられている。
【0072】
このような構成によれば、液体流路60(複数の第1流路62、中間流路64、第2流路66及びフィルタ収容室68)を第1シート42と第2シート44との間に形成している。そのため、複数の分岐コネクタと複数のチューブを用いる従来品と比較して、流路デバイス10Aの部品点数を少なくすることができる。また、流路シール部78を液体流路60に沿って設けている。これにより、流路デバイス10Aにおいて、多くの部品(パーツ)を接合する必要がないため、接合工数を低減することができる。よって、コストの低廉化を図ることができる。
【0073】
流路シール部78は、複数の第1流路62のそれぞれの両側に設けられた第1流路シール部80と、中間流路64の両側に設けられた中間流路シール部82と、第2流路66の両側に設けられた第2流路シール部84と、フィルタ収容室68の外周に沿って設けられた外周シール部86と、第3流路70の両側に設けられた第3流路シール部88とを有する。
【0074】
このような構成によれば、第1流路62、中間流路64、第2流路66、フィルタ収容室68及び第3流路70からの液漏れを効果的に抑えることができる。
【0075】
第2流路シール部84の両側には、空間49が設けられている。
【0076】
このような構成によれば、第2流路66を開放及び閉塞するためのクランプ302を、第2流路66を形成する第2流路壁部66aに簡単に着脱することができる。
【0077】
デバイス本体36のうち液体流路60以外の部位には、第1シート42と第2シート44とが互いに接合されていない非シール部94が設けられている。非シール部94は、第1流路シール部80、中間流路シール部82、第2流路シール部84、外周シール部86及び第3流路シール部88に沿って設けられている。
【0078】
このような構成によれば、第1流路シール部80、中間流路シール部82、第2流路シール部84、外周シール部86及び第3流路シール部88を非シール部94によって保護することができる。
【0079】
デバイス本体36には、非シール部94を囲むように延在し、第1シート42と第2シート44とを互いに接合する第1外縁シール部74及び第2外縁シール部76が設けられている。
【0080】
このような構成によれば、非シール部94を第1外縁シール部74及び第2外縁シール部76で保護することができる。
【0081】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る流路デバイス10Bについて説明する。なお、本変形例に係る流路デバイス10Bにおいて、上述した流路デバイス10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明については省略する。後述する第2変形例に係る流路デバイス10C及び第3変形例に係る流路デバイス10Dについても同様である。
【0082】
図11に示すように、流路デバイス10Bのデバイス本体36a(流路形成部46a)の液体流路60aは、複数(7つ)の第1流路62のそれぞれに連通する複数(7つ)の導入流路220を含む。デバイス本体36aは、複数の導入流路220を形成する複数の導入流路壁部220aを有する。シール部72aの流路シール部78aは、複数の導入流路220のそれぞれの両側に設けられた導入流路シール部222を備える。
【0083】
導入流路シール部222は、デバイス本体36aの外形に沿って延在している。すなわち、導入流路シール部222の両側には、非シール部94が存在しない。そのため、互いに隣り合う導入流路シール部222の間には、導入流路シール部222に沿って延在した空間223が形成されている。
【0084】
流路デバイス10Bでは、上述した導入ポート部材34が省略される。また、6つの導入流路壁部220aは、上述した6つの導入チューブ30に代えて設けられるため、6つのBCバッグ14のそれぞれに接続される。1つの導入流路壁部220aは、上述した1つの導入チューブ30aに代えて設けられるため、薬液バッグ16の封止部材17に接続される。薬液バッグ16に接続された導入流路壁部220aには、クランプ300(
図1参照)が設けられる。
【0085】
本変形例に係る流路デバイス10Bは、上述した流路デバイス10Aと同様の効果を奏する。本変形例において、液体流路60aは、複数の第1流路62のそれぞれに連通する複数の導入流路220を含む。流路シール部78aは、複数の導入流路220のそれぞれの両側に設けられた導入流路シール部222を有する。互いに隣り合う導入流路シール部222の間には、導入流路シール部222に沿って延在した空間223が形成されている。
【0086】
このような構成によれば、複数の導入流路220をデバイス本体36aに一体に設けることができるため、流路デバイス10Bのコストのさらなる低廉化を図ることができる。また、互いに隣り合う導入流路シール部222の間に空間223を形成しているため、複数の導入流路220を互いに干渉することなく自由に配置することができる。さらに、導入流路220を形成する導入流路壁部220aにクランプ300を簡単に着脱することができる。
【0087】
(第2変形例)
次に、第2変形例に係る流路デバイス10Cについて説明する。
図12に示すように、本変形例に係る流路デバイス10Cのデバイス本体36b(流路形成部46b)は、上述した第1非シール部96及び第2非シール部98がトリミング(切断)されている。つまり、デバイス本体36bのシール部72bは、上述した第1外縁シール部74を有さない。第1流路シール部80、中間流路シール部82及び第2流路シール部84は、デバイス本体36bの外形に沿って延在している。
【0088】
本変形例に係る流路デバイス10Cは、上述した流路デバイス10Aと同様の効果を奏する。本変形例において、第1流路シール部80、中間流路シール部82及び第2流路シール部84は、デバイス本体36bの外形に沿って延在している。
【0089】
このような構成によれば、デバイス本体36bの小型化を図ることができる。
【0090】
本変形例では、第1変形例に係る流路デバイス10Bのように、複数の導入チューブ30に代えて導入流路壁部220aが設けられてもよい。
【0091】
(第3変形例)
次に、第3変形例に係る流路デバイス10Dについて説明する。
図13に示すように、本変形例に係る流路デバイス10Dのデバイス本体36cの液体流路60bは、複数(4つ)の第1流路62と、複数の第1流路62に直接連通する第2流路66とを含む。つまり、液体流路60bは、上述した中間流路64を含まない。複数の第1流路壁部62aは、第2流路壁部66aに直接連結している。
【0092】
シール部72cは、第1外縁シール部74と流路シール部78bとを有する。流路シール部78bは、第1流路シール部80と、第1流路シール部80に直接連結された第2流路シール部84とを含む。
【0093】
本変形例に係る流路デバイス10Dは、上述した流路デバイス10Aと同様の効果を奏する。
【0094】
本変形例では、第1変形例に係る流路デバイス10Bのように、複数の導入チューブ30に代えて導入流路220が設けられてもよい。
【0095】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0096】
デバイス本体36、36a~36cに形成される流路構成や、設けられるバッグ(BCバッグ14及び薬液バッグ16)の数及び配置は、上述及び図示した構成に限らず、生体成分の種類や使用方法等に応じて改変がなされてもよい。また、導入チューブ30、導入流路220及び第1流路62の数は、7つ又は4つに限定されず、2以上の数に適宜変更可能である。
【0097】
生体成分バッグシステム12において、各BCバッグ14には、初期状態でBCバッグ14内と導入チューブ30内との間の連通を遮断する封止部材が設けられてもよい。この封止部材は、破断操作されることにより、BCバッグ14内と導入チューブ30内とが互いに連通するように形成される。デバイス本体36、36b、36cには、導入ポート部材34を用いることなく、導入チューブ30が直接溶着されてもよい。デバイス本体36、36a~36cには、導出ポート部材38を用いることなく、導出チューブ40が直接溶着されてもよい。
【0098】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0099】
上記実施形態は、生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路(60、60a)が形成された流路デバイス(10A~10D)であって、前記流路が形成されたデバイス本体(36、36a~36c)を備え、前記デバイス本体は、軟質素材で形成された第1シート(42)と、前記第1シートに重ねられ、軟質素材で形成された第2シート(44)と、を有し、前記第1シートと前記第2シートとの間には、前記流路が形成され、前記流路は、複数の第1流路(62)と、前記複数の第1流路に連通する1つの第2流路(66)と、前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するためのフィルタ部材(102)が収容されたフィルタ収容室(68)と、前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路(70)と、を含み、前記デバイス本体には、前記第1シートと前記第2シートとを互いに液密に接合する流路シール部(78、78a、78b)が前記流路に沿って設けられている、流路デバイスを開示している。
【0100】
上記の流路デバイスにおいて、前記流路は、前記複数の第1流路と前記第2流路とを互いに連通させる中間流路(64)を含んでもよい。
【0101】
上記の流路デバイスにおいて、前記流路シール部は、前記複数の第1流路のそれぞれの両側に設けられた第1流路シール部(80)と、前記中間流路の両側に設けられた中間流路シール部(82)と、前記第2流路の両側に設けられた第2流路シール部(84)と、前記フィルタ収容室の外周に沿って設けられた外周シール部(86)と、前記第3流路の両側に設けられた第3流路シール部(88)と、を有してもよい。
【0102】
上記の流路デバイスにおいて、前記第2流路シール部の両側には、空間(49)が設けられてもよい。
【0103】
上記の流路デバイスにおいて、前記デバイス本体のうち前記流路以外の部位には、前記第1シートと前記第2シートとが互いに接合されていない非シール部(94)が設けられ、前記非シール部は、前記第1流路シール部、前記中間流路シール部、前記第2流路シール部、前記外周シール部及び第3流路シール部に沿って設けられてもよい。
【0104】
上記の流路デバイスにおいて、前記デバイス本体には、前記非シール部を囲むように延在し、前記第1シートと前記第2シートとを互いに接合する外縁シール部(74、76)が設けられてもよい。
【0105】
上記の流路デバイスにおいて、前記流路シール部には、前記複数の第1流路のそれぞれに連通するポートを形成する複数の第1ポート部材(34)と、前記第3流路に連通するポートを形成する1つの第2ポート部材(38)と、が設けられてもよい。
【0106】
上記実施形態は、生体液及び薬液の少なくともいずれかの液体を流通させるための流路が形成された流路デバイスであって、軟質素材で形成された複数のシートを互いに液密に接合し、前記流路をシート内部に形成するシール部が設けられているデバイス本体を有し、前記デバイス本体は、第1本体部(46)と、第2本体部(50)と、それらを連結する連結部(48)とからなり、前記第1本体部には、複数の第1流路と、前記複数の第1流路に連通する第2流路と、が設けられ、前記第2本体部には、前記第2流路に設けられ、前記生体液中の所定の生体成分を除去するフィルタ部材が収容されたフィルタ収容室と、前記フィルタ収容室を通過した液体が流通する第3流路と、が設けられ、前記連結部は、前記第2流路の少なくとも一部を形成する、流路デバイスを開示している。
【0107】
上記の流路デバイスにおいて、前記連結部の周囲には、前記第1本体部と前記第2本体部とを互いに分離させるための空間が設けられてもよい。
【0108】
上記実施形態は、生体液から所望の生体成分を採取する生体成分バッグシステム(12)であって、生体液が収容された複数の第1バッグ(14)と、前記複数の第1バッグが接続された流路デバイスと、前記複数の第1バッグから前記流路デバイスを介して導かれた生体成分を収容するための第2バッグ(22)と、を備え、前記流路デバイスは、上述した流路デバイスである、生体成分バッグシステムを開示している。
【0109】
上記の生体成分バッグシステムにおいて、前記流路デバイスに接続され、前記流路デバイスを介して前記第2バッグに添加する薬液が収容された薬液バッグ(16)を備えてもよい。
【0110】
上記の生体成分バッグシステムにおいて、前記複数の第1バッグのそれぞれには、生体液としてのバフィーコートが収容され、前記薬液バッグには、薬液としての血小板保存液が収容され、前記流路デバイスの前記フィルタ部材は、バフィーコートから白血球を除去し、前記第2バッグは、前記流路デバイスを通過した血小板と血小板保存液とを収容してもよい。
【国際調査報告】