IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司の特許一覧

特表2022-541797光学素子、車両ランプモジュール、車両ランプ及び車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】光学素子、車両ランプモジュール、車両ランプ及び車両
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/24 20180101AFI20220916BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20220916BHJP
【FI】
F21S41/24
F21W102:155
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503867
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2020135363
(87)【国際公開番号】W WO2021121131
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201922342997.X
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲聰▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 大攀
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(57)【要約】
本発明は車両照明技術に関し、光学素子を開示し、導光体を備え、前記導光体は該導光体の長手延伸方向に沿って配置される複数の入光部(1)、導光部(2)及び出光部(3)を備え、前記入光部(1)に少なくとも1つの入光ユニットが設置され、前記導光部(2)は各前記入光ユニットが受光した光を前記出光部(3)に向かって出射するようにガイドできるように構成され、前記出光部(3)の順投影面の形状は長尺状である。本発明は車両ランプモジュール、車両ランプ及び車両をさらに開示する。本発明の光学素子は占有空間を低減させ、空間利用率を向上させることができるとともに、位置決め・取り付け誤差の低減に有利であり、細長い形状の外観造形を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子であって、導光体を備え、前記導光体は該導光体の長手延伸方向に沿って配置される複数の入光部(1)、導光部(2)及び出光部(3)を備え、前記入光部(1)に少なくとも1つの入光ユニットが設置され、前記導光部(2)は各前記入光ユニットが受光した光を前記出光部(3)に向かって出射するようにガイドできるように構成され、前記出光部(3)の順投影面の形状は長尺状であり、前記導光部(2)に少なくとも1つの凹溝構造(4)が形成され、そのうちの1つの前記凹溝構造(4)に光形カットオフラインを形成するためのカットオフ部(41)が形成されることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記導光部(2)の中間領域または両側領域のうちの一方側に1つの前記凹溝構造(4)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記導光部(2)の両側領域にそれぞれ前記凹溝構造(4)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記導光部(2)に、各前記入光部(1)に1対1で対応する複数の前記凹溝構造(4)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
前記出光部(3)の順投影面の幅は5mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記導光体は、各前記入光ユニットが受光した光を前記導光部(2)に向かって反射するように構成される反射面(5)をさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記入光ユニットは集光カップ形状の集光構造(62)であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項8】
各前記入光部(1)に、接続される複数の前記入光ユニットが設置され、前記入光ユニットは入光側に向かって突出するバンプ(61)であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項9】
前記出光部(3)は滑らかな曲面であり、各前記入光部(1)の配置方向は前記出光部(3)の長手延伸方向に一致することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項10】
前記出光部(3)は複数の凸曲面を順に接続して形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光学素子、及び各前記入光ユニットに対応する個別アドレッシング可能な複数の光源を備えることを特徴とする車両ランプモジュール。
【請求項12】
回路基板(7)及びラジエーター(8)をさらに備え、前記光源は前記ラジエーター(8)に接続される前記回路基板(7)に位置し、前記導光体に、前記回路基板(7)に接続される接続構造(9)が設置されることを特徴とする請求項11に記載の車両ランプモジュール。
【請求項13】
請求項11または12のいずれか一項に記載の車両ランプモジュールを備えることを特徴とする車両ランプ。
【請求項14】
請求項13に記載の車両ランプを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2019年12月20日に提出した中国特許出願201922342997.Xの権益を主張し、該出願の内容が引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は車両照明技術に関し、具体的には、光学素子に関し、また、さらに車両ランプモジュール、車両ランプ及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車産業の急速な発展及び人々の生活環境の継続的な改善により、自動車は外出に不可欠な交通手段の一つとなっている。自動車の保有台数は年々増加しており、自動車の普及により自動車部品の製造及び設計の発展を遂げており、たとえば、車両ランプに対する人々の要求がますます高くなっており、自動車のランプの役割はもはや機能的な照明だけに限定されず、外観効果も消費者から注目され始めている。
【0004】
現在、車両ランプの造形はますます多様化しているため、車両照明装置の種類もますます多様化しており、たとえば、車両照明装置は分散して設置される複数の車両照明ユニットを含み、各車両照明ユニットは分散して設置され且つ相互に独立し、それぞれに対応する入光部及び出光部を有し、複数の照明領域を生成できる。
【0005】
しかしながら、複数の車両照明ユニットは分散して独立に設置される場合、一方では、車両照明装置全体の占有空間が非常に大きく、車両ランプの体積が増加し、他方では、分散して設置される複数の出光面は、車両ランプの出光面に対する顧客の外観ニーズを満たすことができず、さらに、複数の車両照明ユニット間及び各車両照明ユニットの各部品間の位置決め・取り付け誤差が大きく、光学系の精度を損なってしまう。
【0006】
したがって、従来技術の上記欠陥を克服または軽減するために、新たな光学素子を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1態様が解決しようとする技術的問題は、占有空間を低減させ、空間利用率を向上させることができるとともに、位置決め・取り付け誤差の低減に有利であり、細長い形状の外観造形を有する光学素子を提供することである。
【0008】
本発明の第2態様が解決しようとする技術的問題は、光学系の精度が高く、照明効果が良好で、細長い形状の外観造形を有する車両ランプモジュールを提供することである。
【0009】
本発明の第3態様が解決しようとする技術的問題は、照明効果が良好で、細長い形状の外観造形を有する車両ランプを提供することである。
【0010】
本発明の第4態様が解決しようとする技術的問題は、空間利用率が良好で、構造設計が容易になる車両を提供することである。
【0011】
上記目的を実現するために、本発明の第1態様は、導光体を備え、前記導光体は該導光体の長手延伸方向に沿って配置される複数の入光部、導光部及び出光部を備え、前記入光部に少なくとも1つの入光ユニットが設置され、前記導光部は各前記入光ユニットが受光した光を前記出光部に向かって出射するようにガイドできるように構成され、前記出光部の順投影面の形状は長尺状である光学素子を提供する。
【0012】
好ましくは、前記導光部に少なくとも1つの凹溝構造が形成される。
【0013】
さらに好ましくは、前記導光部の中間領域または両側領域のうちの一方側に1つの前記凹溝構造が形成される。
【0014】
さらに、そのうちの1つの前記凹溝構造に光形カットオフラインを形成するためのカットオフ部が形成される。
【0015】
好ましくは、前記導光部の両側領域にそれぞれ前記凹溝構造が形成される。
【0016】
さらに、前記導光部には、各前記入光部に1対1で対応する複数の前記凹溝構造が形成される。
【0017】
好ましくは、前記導光部は各前記入光部に1対1で対応する複数の導光構造に分けられ、隣接する前記導光構造の隣接する側壁間に隙間が形成される。
【0018】
オプションとして、前記出光部の順投影面の幅は5mm以上30mm以下である。
【0019】
さらに好ましくは、前記導光体は、各前記入光ユニットが受光した光を前記導光部に反射するように構成される反射面をさらに備える。
【0020】
具体的には、前記入光ユニットは集光カップ形状の集光構造である。
【0021】
具体的には、各前記入光部に、接続される複数の前記入光ユニットが設置され、前記入光ユニットは入光側に向かって突出するバンプである。
【0022】
好ましくは、前記出光部は滑らかな曲面であり、各前記入光部の配置方向は前記出光部の長手延伸方向に一致する。
【0023】
好ましくは、前記出光部は複数の凸曲面を順に接続して形成される。
【0024】
本発明の第2態様は、第1態様の技術案のいずれか一項に記載の光学素子、及び各前記入光ユニットに対応する個別アドレッシング可能な複数の光源を備える車両ランプモジュールを提供する。
【0025】
典型的には、回路基板及びラジエーターをさらに備え、前記光源は前記ラジエーターに接続される前記回路基板に位置し、前記導光体に、前記回路基板に接続される接続構造が設置される。
【0026】
本発明の第3態様は、第2態様の技術案のいずれか一項に記載の車両ランプモジュールを備える車両ランプを提供する。
【0027】
本発明の第4態様は、第3態様の技術案に記載の車両ランプを備える車両を提供する。
【0028】
上記技術案によれば、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0029】
本発明の基礎的な技術案では、導光体の出光部の順投影面の形状は長尺状であり、車両照明ユニットが分散して配置される従来技術に比べて、細長い形状の外観造形効果を実現でき、位置決め・取り付け精度を向上でき、照明効果が良好であり、また、占有空間が相対的に小さく、良好な空間利用率を図ることができる。
【0030】
また、導光部に凹溝構造が形成され、凹溝構造により2つの屈折面が増加し、光が導光部内を伝搬中、順にこれら2つの屈折面を通過し、設計ニーズに応じて、凹溝構造の側壁の傾斜角度を設定でき、それにより配光パラメータを増やし、配光がさらに柔軟になる。
【0031】
本発明の他の特徴及びより顕著な利点については、後述する発明を実施するための形態で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図2】本発明の第1実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図3図2中のA部分の部分拡大図である。
図4】本発明の第1実施形態における光学素子の構造模式図3である。
図5図4中のB-B線断面図である。
図6】本発明の第1実施形態における光学素子の構造模式図4である。
図7図6中のC-C線断面図である。
図8】本発明の第2実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図9】本発明の第2実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図10図9中のD-D線断面図である。
図11】本発明の第2実施形態における光学素子の構造模式図3である。
図12図11中のE-E線断面図である。
図13】本発明の第3実施形態における光学素子の構造模式図である。
図14】本発明の第4実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図15】本発明の第4実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図16】本発明の第5実施形態における光学素子の構造模式図である。
図17】本発明の第6実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図18】本発明の第6実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図19図18中のF-F線断面図である。
図20】本発明の第7実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図21】本発明の第7実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図22図21中のG-G線断面図である。
図23】本発明の第7実施形態における光学素子の構造模式図3である。
図24図23中のH-H線断面図である。
図25】本発明の第8実施形態における光学素子の構造模式図である。
図26】本発明の第9実施形態における光学素子の構造模式図である。
図27】本発明の第10実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図28】本発明の第10実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図29】本発明の第11実施形態における光学素子の構造模式図1である。
図30】本発明の第11実施形態における光学素子の構造模式図2である。
図31】本発明の第11実施形態における光学素子の構造模式図3である。
図32】本発明の第11実施形態における光学素子の構造模式図4である。
図33図32中のI-I線断面図である。
図34】本発明の第11実施形態における光学素子の構造模式図5である。
図35図34中のJ-J線断面図である。
図36】本発明の第12実施形態における光学素子の構造模式図6である。
図37】本発明の第12実施形態における光学素子の構造模式図7である。
図38】第12実施形態における光学素子を有する本発明の車両ランプモジュールの構造模式図1である。
図39】第12実施形態における光学素子を有する本発明の車両ランプモジュールの構造模式図2である。
図40】第12実施形態における光学素子を有する本発明の車両ランプモジュールの構造模式図3である。
図41図40中のK-K線断面図である。
図42】本発明の一実施形態における光学素子によって形成されるロービーム光形の模式図である。
図43】本発明の別の実施形態における光学素子によって形成されるロービーム光形の模式図である。
図44】本発明の一実施形態における光学素子によって形成されるハイビーム光形の模式図である。
【符号の説明】
【0033】
1 入光部
2 導光部
21 導光構造
22 隙間
3 出光部
4 凹溝構造
41 カットオフ部
5 反射面
61 バンプ
62 集光構造
7 回路基板
8 ラジエーター
9 接続構造
a 主ロービーム照明領域
b 第1補助ロービーム照明領域
c 第2補助ロービーム照明領域
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施形態は単に本発明を説明及び解釈するためのものであり、本発明を限定しない。
【0035】
また、「第1」、「第2」のような用語は単に説明の目的に用いられ、相対的な重要性を指示または暗示したり指示される技術的特徴の数を暗黙的に指示したりするものとして理解することはできず、したがって、「第1」、「第2」で限定される特徴は1つまたはより多くの前記特徴を明示的または暗黙的に備えてもよい。
【0036】
なお、本発明の説明では、別途明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「設置」、「接続」のような用語は広義に理解すべきであり、たとえば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体接続であってもよく、直接接続、または中間媒体を介する間接接続であってもよく、2つの素子の内部の連通、または2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、場合によって本発明における上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0037】
なお、本発明の説明の便宜及び簡略化のために、「前、後」のような用語とは、出光方向に沿う光学素子の前後方向であり、即ち、出光部3は前方にあり、これに対して、入光部1は後方にあり、「左、右」のような用語とは、車両の使用中の左右方向であり、「上、下」のような用語とは車両の使用中の上下方向であり、用語は図示に基づく方位または位置関係であり、係る装置または素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示または暗示せず、したがって、本発明を限定するものとして理解することはできず、且つ、光学素子を車両内に取り付ける時、水平方向、垂直方向等の様々な方位で取り付けることができ、本発明の光学素子の方位を示す用語について、実際の取り付け状態に応じて理解できる。
【0038】
図1図7図26、及び図29図35に示すように、本発明の基本的な実施形態の光学素子は導光体を備え、前記導光体は該導光体の長手延伸方向に沿って配置される複数の入光部1、導光部2及び出光部3を備え、前記入光部1に少なくとも1つの入光ユニットが設置され、前記導光部2は各前記入光ユニットが受光した光を前記出光部3に向かって出射するようにガイドできるように構成され、前記出光部3の順投影面の形状は長尺状である。
【0039】
長尺状は細長い矩形であり、その幅方向は非常に狭くすることができ、幅の範囲は5~30mmであり、好ましくは5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mmであり、長さは、細長い形状の外観効果を実現するように、実際の出光面の造形ニーズに応じて設定できる。
【0040】
上記基本的な実施形態では、従来技術における、車両照明ユニットが分散して配置される形態に比べて、本発明は一体構造の導光体として集積され、構造設計を簡素化し、さらに車両照明ユニット間及び部品間の位置決め・取り付け誤差を低減させ、取り付け精度を向上させ、光が入光ユニットから入射し、導光部2を通過した後、出光部3から出射し、良好な照明効果を図ることができ、且つ、出光部3の順投影面の形状が長尺状とすることで、車両ランプ本体内の空間に応じて、左右方向、上下方向または斜め方向に沿って導光体を設置でき、空間を十分に利用でき、占有空間が相対的に小さいとともに、細長い形状という特有の外観効果を実現できる。
【0041】
図1に示すように、出光部3は出光側に向かって突出する滑らかな曲面であってもよく、該滑らかな曲面によって車両ランプの外観がさらに美しくなり、または、図29図41に示すように、出光部3は複数の凸曲面を順に接続して形成されてもよく、それにより様々な車両ランプの外観造形を実現し、各入光部1の配置方向は出光部3の長手延伸方向に一致し、且つ、入光ユニットは複数の構造形態を有してもよく、たとえば、入光ユニットは入光側に向かって突出するバンプ61であってもよく、図3に示す複数の入光ユニットは順に接続されて対応する入光部1に設置され、または、図26または図33に示すように、外郭が集光カップ形状の実体の集光構造62であってもよく、好ましくは、光効率を向上させるように、該実体の集光構造62の後端には空洞部が設けられ、または、同等の機能を持つ他の光学構造であってもよい。
【0042】
図1は本発明の光学素子の具体的な実施形態を示し、さらに、図8図12は別の具体的な実施形態を示し、導光部2に凹溝構造4が形成され、凹溝構造4は出光部3の長手延伸方向に沿って配置され、光の伝搬光路に2つの屈折面が増加し、即ち、導光体に入る光は順にこれら2つの屈折面によって屈折されて導光体の出光部3から出射する必要があり、凹溝構造4自体について、図10は凹溝構造4の側壁が凹溝構造4の底部に垂直な位置関係を示し、勿論、凹溝構造4の側壁は凹溝構造4の底部に対して非垂直に設置されてもよく、このように、2つの屈折面が増加するため、配光方式が増加し、それにより配光パラメータが増加し、配光がさらに柔軟になり、凹溝構造4の設置位置として、導光部2の中間領域を選択してもよく、導光部2の両側領域のうちの一方側、または他の領域を選択してもよく、凹溝構造4は1つの入光部1または複数の入光部1に対応してもよい。
【0043】
また、凹溝構造4の数は設計ニーズに応じて選択でき、たとえば、図16に示すように、出光部3の長手延伸方向の両側領域にそれぞれ1つの凹溝構造4が設置されてもよく、同様に、凹溝構造4は1つの入光部1または複数の入光部1に対応してもよく、または、図20に示すように、出光部3の長手延伸方向に沿ってより多くの凹溝構造4が設置され、各凹溝構造4が1つの入光部1に対応するようにしてもよく、且つ、導光体の配置方位が確定した場合、凹溝構造4の開口方向は図20に示すように下向きに設置されてもよく、図25に示すように上向きに設置されてもよく、つまり、本発明の光学素子を車両ランプ本体に取り付けた後、凹溝構造4の開口方向は配光ニーズ及び実際の取り付け状態、たとえば本体内の他の部材の配置状態に応じて選択できる。
【0044】
上記図20及び図25に示す具体的な実施形態では、各入光部1に対応して1つの凹溝構造4が設置され、2つの屈折面を増加させ柔軟に配光できることを実現するとともに、隣接する入光部1間の光のクロストークを防止できる。
【0045】
光のクロストークを防止する別の実現形態として、図17図19に示す具体的な実施形態では、導光体に、出光方向に延伸する複数の隙間22が設けられてもよく、つまり、導光部2が複数の導光構造21に分けられ、各導光構造21が各入光部1に1対1で対応し、隣接する導光構造21の隣接する側壁間に上記隙間22が形成され、隙間22によって隣接する2つの入光部1から入射する光のクロストークを防止するようにしてもよく、たとえば、光源の一部をオフにして暗領域を形成する必要がある場合、隣接する導光構造21間に隙間22がないと、隣接する2つの入光部1を例に、1つの入光部1から入射する光がその隣接する入光部1に対応する領域内に照射し、該隣接する入光部1に対応する領域が暗領域である場合、これらの入射光が迷光となり、照明効果を損なう。
【0046】
また、図27及び図28に示すように、さらに導光体は反射面5を形成するように湾曲状であり、反射面5は各入光ユニットが受光した光を反射し、該部分の光を導光部2に反射することができるようにしてもよく、このように、光学素子の出光方向のサイズを低減でき、車両ランプ本体内での配置が容易になる。
【0047】
上記光学素子がロービーム光形の形成に適用される場合、具体的な実施形態として、図13に示すように、凹溝構造4の底部前縁にロービームカットオフラインを形成するためのカットオフ部41が設置され、カットオフ部41の形状がロービームカットオフラインの形状に一致し、左ハンドルまたは右ハンドルの異なる方式に応じてカットオフ部41の形状を設定し、適応的には、凹溝構造4の形状は矩形凹溝であるようにしてもよい。同様に、凹溝構造4の開口方向は導光体の実際の取り付け状態及び配光ニーズに応じて選択でき、図13は凹溝構造4の開口が上向きの具体的な実施形態を示し、図14は凹溝構造4の開口が下向きの別の具体的な実施形態を示し、同等の場合に、相違点として、図14中の光は常に導光体内を伝搬し、図13中の光の光路の一部は空気中にあるが、いずれも配光設計によって、要件を満たすロービーム光形を実現できる。カットオフ部41に対応するいくつかの入光部1が受光した光は該カットオフ部41によってカットオフされた後、導光体の出光部3から出射して、ロービームカットオフラインを有するロービーム光形を形成し、残りの入光部1は補助ロービーム光形またはハイビーム光形を形成することに使用でき、複数種の配光パラメータを調整することで異なる光形を実現でき、配光パラメータは光源と導光体の各光学面との相対位置及び各光学面の設計パラメータ等を含む。
【0048】
ロービーム光形を実現する別の具体的な実施形態として、図36図37に示すように、該光学素子の各入光部1に1つの入光ユニットが対応して設置され、該入光ユニットは集光カップ形状の集光構造62であり、出光部3は複数の凸曲面を順に接続して形成され、凸曲面は入光ユニットに1対1で対応し、導光部2の底部に位置する凹溝構造4はV型の尖った溝構造であり、尖った溝構造の上部にロービームカットオフラインを形成するためのカットオフ部41が設置され、カットオフ部41に対応するいくつかの入光部1が受光した光は導光部2に入り該カットオフ部41によってカットオフされた後、導光体の出光部3から出射して、ロービームカットオフラインを有するロービーム光形を形成し、同様に、残りの入光部1は補助ロービーム光形またはハイビーム光形を形成することに使用できる。
【0049】
以上、2種の異なる構造形態の凹溝構造4及びカットオフ部41の設置によって、本発明の光学素子がロービーム光形の形成に適用される具体的な実施形態を説明し、明らかなように、凹溝構造4は同等の機能を実現できる他の構造形態を採用しカットオフ部41と組み合わせてロービーム光形を実現するようにしてもよく、また、凹溝構造4のカットオフ部41もニーズに応じてハイビームカットオフラインの形成に使用してもよく、これは、ロービームカットオフラインがカットオフ部41の下方に照射する光をカットし、有効光がカットオフ部41の上方を伝搬するが、ハイビームカットオフラインがカットオフ部41の上方の光をカットし、有効光がカットオフ部41の下方を伝搬するからである。勿論、ハイビーム光形に適用される場合、カットオフ部を設置しなくてもよい。上記ロービームカットオフライン及びハイビームカットオフラインはいずれも光形カットオフラインであり、『GB4599-2007-自動車用フィラメント、バルブ、ヘッドライト』の定義によれば、光形カットオフラインはビームが配光スクリーンに投射されるとき、視認できる明暗が顕著に変化する境界線である。ロービームカットオフラインとはロービーム光形の上境界線、ハイビームカットオフラインとはハイビーム光形の下境界線である。
【0050】
なお、複数の入光部1は複数の異なる照明領域を形成することに用いられ、複数の異なる照明領域を重ね合わせて完全な車両ランプの光形を形成し、複数の入光部1は間隔をあけて配置されてもよく、一体的に接続されてもよく、たとえば、図42に示すように、本発明の光学素子を取り付ける時、各光源とそれに対応する導光体の各光学面との相対位置及び各光学面の設計パラメータを設定することで、凹溝構造4によってロービームカットオフラインを有する主ロービーム照明領域aを形成でき、さらに第1補助ロービーム照明領域b及び第2補助ロービーム照明領域cを形成でき、主ロービーム照明領域aを第1補助ロービーム照明領域b内に位置させ、第1補助ロービーム照明領域bを主ロービーム照明領域aの左右及び下方に位置させてより大きな照明領域を形成し、第1補助ロービーム照明領域bを第2補助ロービーム照明領域c内に位置させ、第2補助ロービーム照明領域cを第1補助ロービーム照明領域bの左右及び下方に位置させてより大きな照明領域を形成し、それらを上下に重ね合わせて完全なロービーム光形を形成し、また、第1補助ロービーム照明領域b及び第2補助ロービーム照明領域cに対応する光源は個別アドレッシング可能な光源であってもよく、光源の点灯・消灯によってロービーム照明範囲のサイズを制御し、個別アドレッシング可能とは、各光源の点灯・消灯が個別制御可能であり、またたとえば、図43は5つの入光部1を例にロービーム光形を形成する例を示し、5つの入光部1は5つの照明領域に対応し、中間部に位置する照明領域はロービームカットオフラインを有するロービーム照明領域であり、残りの4つの照明領域はそれぞれ中間照明領域の左右両側に位置し、それにより広い展開範囲のロービーム光形を形成し、同様に、5つの入光部1に対応する光源は個別アドレッシング可能光源であってもよく、それによりロービーム照明範囲を制御し、さらにたとえば、図44は5つの入光部1を例にハイビーム光形を形成する例を示し、5つの入光部1は5つの照明領域に対応し、左右方向に沿って順に重ね合わせられ、車両ランプのADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)機能を実現でき、即ち、対向車線に通行人や車両があるとき、対応する領域の光源をオフにし、対向車線の通行人や車両の眩しさを回避する。
【0051】
図1図37に示すように、本発明の好ましい実施形態の光学素子は導光体を備え、導光体は一体式透明部材であり、複数の入光部1、導光部2及び出光部3を備え、各入光部1は出光部3の長手延伸方向に沿って順に配置され、出光部3は出光側に向かって突出する滑らかな曲面であり、または複数の凸曲面を順に接続して形成され、その順投影面の形状が長尺状であり、入光部1に少なくとも1つの入光ユニットが設置され、各入光ユニットが受光した光は導光部2を経由して出光部3に照射でき、導光部2に少なくとも1つの凹溝構造4が形成され、それにより配光がさらに柔軟になり、そのうちの1つの矩形凹溝形状の凹溝構造4の底部前縁またはV型の凹溝構造4の上部にロービームカットオフラインを形成するためのカットオフ部41が形成されてもよく、カットオフ部41に対応するいくつかの入光部1が受光した光は該カットオフ部41によってカットオフされた後、導光体の出光部3から出射してロービームカットオフラインを有するロービーム光形を形成し、残りの入光部1は補助ロービーム光形またはハイビーム光形の形成に使用でき、異なる車両ランプの照明モードを実現し、さらに導光体反射面5を形成するように湾曲状であり、反射面5は各入光ユニットが受光した光を反射し、該部分の光を導光部2に反射することができるようにしてもよく、それにより、光学素子の出光方向のサイズを低減でき、車両ランプでの配置が容易になり、入光ユニットは入光側に向かって突出するバンプ61であってもよく、各入光部1に対応する複数のバンプ61は順に接続され、集光カップ形状の集光構造62であってもよく、光効率を向上させるように集光構造62の後端に空洞部が設けられる。導光体は一体式透明部材であり、ガラス、PC、PMMAまたはシリカゲル等の透明な材質から製造されてもよい。
【0052】
以上からわかるように、導光体は一体構造として構成され且つ出光部3の順投影面の形状が細長い長尺状であることで、構造を簡素化し、造形が美しく、光学系の精度が高く、照明効果が良好で、占有空間が少ない。
【0053】
図38図41に示すように、本発明の車両ランプモジュールは上記第1態様の技術案のいずれか一項に記載の光学素子、及び各入光ユニットに対応する複数の個別アドレッシング可能な光源を備え、該車両ランプモジュールの光学部品は光源及び1つの一体構造の導光体のみを備え、他の光学部品がないにもかかわらず、光学系の精度が高く、照明効果が良好で、占有空間が少なく、空間利用率が高く、車両ランプ内での配置設計が容易である。
【0054】
通常、光源は回路基板7に設置され、回路基板7はラジエーター8に接続され、導光体に接続構造9が設置され、導光体が接続構造9を介して回路基板7に接続されることで、各入光ユニットと対応する各光源との相対位置を決定する。
【0055】
本発明の車両ランプは、上記実施例のいずれかに記載の車両ランプモジュールを備えてもよく、即ち、上記すべての車両ランプモジュールの実施例のすべての技術案を採用しており、したがって、少なくとも上記車両ランプモジュールの実施例の技術案によるすべての有益な効果を有する。
【0056】
また、本発明の光学素子はロービーム及びハイビーム等の機能モードでの適用に限定されず、たとえば、ADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)、Matrix(マトリックスモード)、コーナーライト、Bending(曲がりモード)及びAWL(全天候型ライト)等の車両ランプの他の機能モードにも適用できる。
【0057】
本発明の車両は、上記実施例のいずれかに記載の車両ランプを備えてもよく、即ち、上記すべての車両ランプの実施例のすべての技術案を採用しており、したがって、少なくとも上記車両ランプの実施例の技術案によるすべての有益な効果を有する。
【0058】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術的概念の範囲を逸脱せずに、本発明の技術案に対して、各具体的な技術的特徴を適宜組み合わせることを含めて種々の簡単な変形を行うことができる。不必要な重複を回避するために、本発明では様々な可能な組合せ方式を別途説明しない。それにもかかわらず、これらの簡単な変形及び組合せは同様に本発明に開示される内容として見なされるべきであり、本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
【手続補正書】
【提出日】2022-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子であって、導光体を備え、前記導光体は該導光体の長手延伸方向に沿って配置される複数の入光部(1)、導光部(2)及び出光部(3)を備え、前記入光部(1)に少なくとも1つの入光ユニットが設置され、前記導光部(2)は各前記入光ユニットが受光した光を前記出光部(3)に向かって出射するようにガイドできるように構成され、前記出光部(3)の順投影面の形状は長尺状であり、前記導光部(2)に少なくとも1つの凹溝構造(4)が形成され、そのうちの1つの前記凹溝構造(4)に光形カットオフラインを形成するためのカットオフ部(41)が形成されることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記導光部(2)の中間領域または両側領域のうちの一方側に1つの前記凹溝構造(4)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記導光部(2)の両側領域にそれぞれ前記凹溝構造(4)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記導光部(2)に、各前記入光部(1)に1対1で対応する複数の前記凹溝構造(4)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
前記出光部(3)の順投影面の幅は5mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記導光体は、各前記入光ユニットが受光した光を前記導光部(2)に向かって反射するように構成される反射面(5)をさらに備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記入光ユニットは集光カップ形状の集光構造(62)であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項8】
各前記入光部(1)に、接続される複数の前記入光ユニットが設置され、前記入光ユニットは入光側に向かって突出するバンプ(61)であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項9】
前記出光部(3)は滑らかな曲面であり、各前記入光部(1)の配置方向は前記出光部(3)の長手延伸方向に一致することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項10】
前記出光部(3)は複数の凸曲面を順に接続して形成されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光学素子、及び各前記入光ユニットに対応する個別アドレッシング可能な複数の光源を備えることを特徴とする車両ランプモジュール。
【請求項12】
回路基板(7)及びラジエーター(8)をさらに備え、前記光源は前記ラジエーター(8)に接続される前記回路基板(7)に位置し、前記導光体に、前記回路基板(7)に接続される接続構造(9)が設置されることを特徴とする請求項11に記載の車両ランプモジュール。
【請求項13】
請求項11または12のいずれか一項に記載の車両ランプモジュールを備えることを特徴とする車両ランプ。
【請求項14】
請求項13に記載の車両ランプを備えることを特徴とする車両。
【国際調査報告】