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特表2022-541830単一の仮想基地局環境での共有スペクトルアクセスシステムにおいて複数のネットワーク事業者をセキュアにホストするためのシステムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】単一の仮想基地局環境での共有スペクトルアクセスシステムにおいて複数のネットワーク事業者をセキュアにホストするためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/02 20090101AFI20220916BHJP
   G06F 13/28 20060101ALI20220916BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20220916BHJP
【FI】
H04W16/02
G06F13/28 330
H04W24/02
H04W88/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504219
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020042926
(87)【国際公開番号】W WO2021016271
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/877,073
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/950,377
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
2.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】519307458
【氏名又は名称】ジョン メツァリングア アソシエイツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】JOHN MEZZALINGUA ASSOCIATES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ ノタルジャコモ
(72)【発明者】
【氏名】トッド ランドリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー マスターズ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト オルランディーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー コーリントン
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ フォレスタ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ターナー
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ パガーニ
(72)【発明者】
【氏名】ドメニコ ディ イオリオ
(72)【発明者】
【氏名】カート ジェイコブス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ヘンクル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシャル アグラワル
(72)【発明者】
【氏名】サシ エスワラカヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ポール スタス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA41
5K067EE10
5K067KK13
(57)【要約】
本開示は、単一のコンピューティング環境で複数のネットワーク事業者且つ又はプライベートネットワークをホストできる仮想基地局に関する。該仮想基地局は、複数のモバイルネットワーク事業者と通信を行うように構成された複数の仮想基底帯域プロセッサと、スーパーバイザモジュールと、1つ又は複数の遠隔ユニットに連結するように構成されたフロントホールネットワークインタフェースと、該スーパーバイザモジュールと該1つ又は複数の仮想基底帯域プロセッサに連結されたKPI (主要パフォーマンス評価指標)コーディネータモジュールを含む。該基地局は、CBRS (Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)チャネルへの許諾を取得し、該CBRSチャネルをモバイルネットワーク事業者に割り振るためのプロキシとして機能する1つ又は複数のCBRSデーモンを有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク事業者をホストする仮想基地局を構成し、動作させる方法であり、
複数のネットワーク事業者のいずれかに各々対応する複数の基底帯域プロセッサであり、複数の帯域特有セルプロセッサを各々有する1つ又は複数のセル群プロセッサを各々有する複数の基底帯域プロセッサをインスタンス化することと、
該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに対して、それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルを割り振ることと、
各基底帯域プロセッサに対応する該それぞれ異なる複数の共有スペクトルチャネルの1つ又は複数への許諾を受けることと、
該複数の基底帯域プロセッサごとの該それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルの各々を、それぞれの対応する帯域特有セルプロセッサに割り当てることと、
を含む方法。
【請求項2】
許諾された共有アクセスチャネルの割り当てられた各帯域特有セルプロセッサをアクティブ状態になるように構成することと、許諾された共有アクセスチャネルの割り当てられていない各帯域特有セルプロセッサをロック状態になるように構成することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該複数のネットワーク事業者の各々に対応する事業者特有情報を取得することと、該複数の基底帯域プロセッサの各々に対応するネットワーク事業者の事業者特有情報を使用して、該複数の基底帯域プロセッサの各々を構成することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該事業者特有情報が、ライセンス認可済み帯域情報と、CBRS (Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)優先アクセスライセンス情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該複数の遠隔ユニットのそれぞれを、それの対応する許諾された共有スペクトルアクセスチャネルで動作するように構成することを更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをフロントホールインタフェースに連結することと、該複数の遠隔ユニットをフロントホールインタフェースに連結することを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをフロントホールインタフェースに連結することには、各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをCPRI (Common Public Radio Interface:共通公衆無線インタフェース)フロントホールインタフェースに連結することが含まれる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサCPRIフロントホールインタフェースに結合することには、各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをCPRIフロントホールインタフェースDMA (Direct Memory Access:ダイレクトメモリアクセス)バッファに連結することが含まれる、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをフロントホールインタフェースに結合することには、各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをイーサネットルータに連結することが含まれる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
該複数の許諾済み共有スペクトルアクセスチャネルのうち、失効した遠隔ユニットに対応して失効する共有スペクトルアクセスチャネルに対応する許諾失効を受けることと、該失効した遠隔ユニットに対して、該失効した共有スペクトルアクセスチャネルに対応する無線をパワーダウンするようにとの命令を発行することを更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
該失効した共有スペクトルアクセスチャネルに対応する該アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサを、該失効した遠隔ユニットから切断することを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該失効した共有スペクトルアクセスチャネルに対応する該アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをロック状態に変更するように切り替えることを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
未使用の共有スペクトルアクセスチャネルへのアクセスを要求する許諾要求を発行することと、該未使用の共有スペクトルアクセスチャネルへの許諾を受けて、それが新規許諾共有スペクトルアクセスチャネルとなるようにすることと、該新規許諾共有スペクトルアクセスチャネルに対応する該帯域特有セルプロセッサをロック状態からアクティブ状態に切り替えることと、該新規許諾共有スペクトルアクセスチャネルに対応する無線をオンにするようにとの命令を、該失効した遠隔ユニットに対して発行することと、該新規許諾共有スペクトルアクセスチャネルに対応する該帯域特有セルプロセッサを該フロントホールインタフェースに連結することを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項14】
該複数の遠隔ユニットのそれぞれを、それの対応する許諾された共有スペクトルアクセスチャネルで動作するように構成することには、該許諾された共有スペクトルアクセスチャネルのために下位PHY(物理層)の機能を実行するように該遠隔ユニットの1つ又は複数を構成することが含まれることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項15】
該許諾された共有スペクトルアクセスチャネルのために下位PHY層の機能を実行するように該遠隔ユニットの1つ又は複数を構成することには、 下位PHY層の機能を7-2x分担で行うように遠隔ユニットの1つ又は複数を構成することが含まれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該複数の遠隔ユニットのそれぞれを、それの対応する許諾された共有スペクトルアクセスチャネルで動作するように構成することには、gNodeB分散ユニットとして機能するように遠隔ユニットの1つ又は複数を構成することが含まれることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項17】
1つ又は複数のプロセッサにより実行されると複数のネットワーク事業者をホストする仮想基地局を構成し動作させるプロセスを該1つ又は複数のプロセッサに実行させる諸指示がエンコードされている非一時的コンピュータ可読メモリであり、該プロセスは、
該複数のネットワーク事業者のいずれかに各々対応する複数の基底帯域プロセッサであり、複数の帯域特有セルプロセッサを各々有する1つ又は複数のセル群プロセッサを各々有する複数の基底帯域プロセッサをインスタンス化することと、
該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに対して、それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルを割り振ることと、
各基底帯域プロセッサに対応する該それぞれ異なる複数の共有スペクトルチャネルの1つ又は複数への許諾を受けることと、
該複数の基底帯域プロセッサごとの該それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルの各々を、それぞれの対応する帯域特有セルプロセッサに割り当てることと、
を含むプロセスであることを特徴とする非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項18】
該プロセスには、許諾済み共有アクセスチャネルの割り当てられた各帯域特有セルプロセッサをアクティブ状態になるように構成することと、許諾された共有アクセスチャネルの割り当てられていない各帯域特有セルプロセッサをロック状態になるように構成することが更に含まれることを特徴とする請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項19】
該複数の遠隔ユニットのそれぞれを、対応する許諾済み共有スペクトルアクセスチャネルで動作するように構成することを更に含む請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項20】
該プロセスには、各アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをフロントホールインタフェースに連結することが更に含まれることを特徴とする請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項21】
該プロセスには、該複数の許諾済み共有スペクトルアクセスチャネルのうち、許諾が失効した遠隔ユニットに対応して失効する共有スペクトルアクセスチャネルに対応する許諾失効を受けることと、該失効した共有スペクトルアクセスチャネルに対応する無線をパワーダウンするようにとの命令を該失効した遠隔ユニットに対して発行することが更に含まれることを特徴とする請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項22】
該プロセスには、該失効した共有スペクトルアクセスチャネルに対応する該アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサを、該失効した遠隔ユニットから切断することが更に含まれることを特徴とする請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項23】
該プロセスには、該失効した共有スペクトルアクセスチャネルに対応する該アクティブ状態の帯域特有セルプロセッサをロック状態に変更するように切り替えることが更に含まれることを特徴とする請求項22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
複数のコアネットワーク及び複数の遠隔ユニットとの通信を行うように構成された少なくとも1つのネットワークインタフェースと、少なくとも1つのプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると該1つ又は複数のプロセッサにプロセスを実行させる諸指示がエンコードされている非一時的コンピュータ可読メモリとを含むサーバであって、該プロセスには、
第1のコアネットワークに割り振られた第1の通信チャネル一式を利用して行われる該第1のコアネットワークと該遠隔ユニット間の第1の通信を少なくとも1つのネットワークインタフェースを介してルーティングすることと、
第2のコアネットワークに割り振られた第2の通信チャネル一式を利用して行われる該第2のコアネットワークと該遠隔ユニット間の第2の通信を少なくとも1つのネットワークインタフェースを介してルーティングすることと、
少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して、第1の通信チャネル一式を変更するメッセージを受信することと、
該メッセージに従って該第1の通信チャネル一式を変更することと、
が含まれることを特徴とするサーバ。
【請求項25】
該メッセージが第1の通信チャネル一式のうちの所与の通信チャネルに対する許諾を取り消す許諾失効を含むことを特徴とし、第1の通信チャネル一式を変更することには、失効した該所与の通信チャネルの使用を差し控えることが含まれることを特徴とする請求項24に記載のサーバ。
【請求項26】
該プロセスには、少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して第1の通信チャネル一式のうちの未使用の通信チャネルに対する要求を送信することと、少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して該未使用の通信チャネルの使用を許諾するという返答を受信することと、該未使用の通信チャネルを利用して第1の通信チャネル一式を変更することが更に含まれることを特徴とする請求項25に記載のサーバ。
【請求項27】
各通信チャネルがCBRS (Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)チャネルを含むことを特徴とする請求項24に記載のサーバ。
【請求項28】
該少なくとも1つのネットワークインタフェースが、第1のコアネットワークと第2のコアネットワークにインターネットを介して接続するように構成されている第1のネットワークインタフェースと、複数の遠隔ユニットに接続するように構成されている第2のネットワークインタフェースとを含むことを特徴とする請求項24に記載のサーバ。
【請求項29】
第2のネットワークインタフェースが、フロントホールリンクを介しての遠隔ユニットとの伝送に向けてデジタル信号データをCPRI (Common Public Radio Interface:共通公衆無線インタフェース) 形式から又はCPRI形式に変換する回路を有するPCIe (Peripheral Component Interconnect Express:周辺機器相互接続エクスプレス)ボードであり得ることを特徴とする請求項28に記載のサーバ。
【請求項30】
単一のコンピューティング環境で複数のネットワークオペレータをホストする方法であり、
共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合と共有スペクトルアクセスチャネル留保部分集合を含む事業者特有の共有スペクトルアクセスチャネル複数を、複数のネットワーク事業者のいずれかに各々対応する複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに対して割り振ることと、
各基底帯域プロセッサが、それぞれ対応する共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合へのアクセス許諾を要求することと、
それに応答して付与されるアクセスの許諾を各共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合ごとに受けることと、
共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合のうち失効する共有スペクトルアクセスチャネルに対応する許諾失効を第1の基底帯域プロセッサによって受け取ることと、
第1の基底帯域プロセッサが、それに対応する共有スペクトルアクセスチャネル留保部分集合のいずれか1つへのアクセスの許諾を要求することと、
を含む方法。
【請求項31】
1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、該1つ又は複数のプロセッサに仮想ワイヤレス基地局で複数のモバイルネットワーク事業者をホストするためのシステムを実装させる諸指示がエンコードされている非一時的コンピュータ可読メモリであり、該システムが、
該複数のモバイルネットワーク事業者のうちの対応するモバイルネットワーク事業者と通信するように構成されている複数の基底帯域プロセッサと、
1つ又は複数の遠隔ユニットに、及び該複数の基底帯域プロセッサの各々に連結されるように構成されたフロントホールネットワークインタフェースと、
該複数の基底帯域プロセッサと該フロントホールネットワークインタフェースに連結されるスーパーバイザモジュールと、
該スーパーバイザモジュールと該複数の仮想基底帯域プロセッサに連結される主要パフォーマンス評価指標(KPI)コーディネータモジュールと、
該モバイルネットワーク事業者のうちの第1のモバイルネットワーク事業者に対応する第1のKPI モジュールと、
該モバイルネットワーク事業者のうちの第2のモバイルネットワーク事業者に対応する第2のKPI モジュールと、
システムKPIモジュールと、
を含むことを特徴とする非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項32】
第1のKPIモジュールと第2のKPIモジュールのうち少なくとも1つが、ERABアクセス可能度と、ERAB保持可能度、IPスループット、IPレイテンシ、セル利用可能度及び移動性のうちの1つ又は複数を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項33】
第1のKPIモジュールと第2のKPIモジュールのうち少なくとも1つが、1つ又は複数の遠隔ユニット内のハードウェア異常を識別するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項34】
第1のKPIモジュールと第2のKPIモジュールのうち少なくとも1つが、該ハードウェア異常を該KPIコーディネータモジュールに通知するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項35】
該システムKPIモジュールが、仮想ワイヤレス基地局のコンピューティング環境のパフォーマン測定基準の1つ又は複数を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項36】
該パフォーマン測定基準には、複数の処理スレッドに対応する平均処理負荷と、該複数の処理スレッドに対応するピーク処理負荷が含まれることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項37】
仮想ワイヤレス基地局のパフォーマンスを監視する方法であり、
フロントホールインタフェースからの第1のデータを使用して、第1のネットワーク事業者に対応する1つ又は複数の第1 KPIを測定することと、
フロントホールインタフェースからの第2のデータを使用して、第2のネットワーク事業者に対応する1つ又は複数の第2 KPIを測定することと、
1つ又は複数のシステムKPI を測定することと、を含む方法。
【請求項38】
1つ又は複数の第1 KPIを測定することには、第1の共有KPIを測定することと、KPIコーディネータに第1の共有KPIを提供することが含まれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項39】
該1つ又は複数の第1 KPIの測定には、複数の処理スレッドに対応する平均処理負荷を測定することと、該複数の処理スレッドに対応するピーク処理負荷を測定することが含まれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項40】
該平均処理負荷とピーク処理負荷をニュートラルホストに提供することを更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項41】
該1つ又は複数の第1 KPIの測定には、進化型UTRAN (Universal Terrestrial Radio Access Network:ユニバーサル地上波無線アクセスネットワーク)無線アクセスベアラ(ERAB)のアクセス可能度や、ERAB保持可能度、インターネットプロトコル(IP)スループット、IPレイテンシ、セル利用可能度及び移動性のいずれかを測定することが含まれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項42】
該1つ又は複数の第2 KPIの測定には、ERABアクセス可能度や、ERAB保持可能度、IPスループット、IPレイテンシ、セル利用可能度及び移動性のいずれかを測定することが含まれることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項43】
1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、該1つ又は複数のプロセッサに仮想ワイヤレス基地局で複数のモバイルネットワーク事業者をホストするためのシステムを実装させる諸指示がエンコードされている非一時的コンピュータ可読メモリであり、該システムが、
該複数のモバイルネットワーク事業者のうちの対応するモバイルネットワーク事業者と通信するように構成されている複数の基底帯域プロセッサと、
1つ又は複数の遠隔ユニットと該複数の基底帯域プロセッサの各々に連結されるとともに、該複数の基底帯域プロセッサの各々に連結されるように構成されたフロントホールネットワークインタフェースであり、CPRI (Common Public Radio Interface:共通公衆無線インタフェース)伝送層と、該CPRI伝送層と該第1基底帯域プロセッサのいずれかに連結される第1のDMAバッファと、該CPRI伝送層と該第2基底帯域プロセッサに連結される第2のDMAバッファと、該スーパーバイザモジュールと該第1基底帯域プロセッサと該第2基底帯域プロセッサ及び該CPRI伝送層に連結されるマッピングモジュールとを有するフロントホールネットワークインタフェースと、
該複数の基底帯域プロセッサと該フロントホールネットワークインタフェースに連結されるスーパーバイザモジュールと、
を含むことを特徴とする非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項44】
フロントホールネットワークインタフェースが、該複数の基地局プロセッサに各々対応する複数のデータストリームを多重化するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項45】
該複数のデータストリームが、該複数の基地局プロセッサの1つによりサポートされているセルに対応することを特徴とする請求項2に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項46】
第1の基地局プロセッサからの第1の複数のサンプルを該CPRI伝送層の第1のCPRI伝送ブロックに対応する第1のDMAバッファにマッピングすることと、第2の基地局プロセッサからの第2の複数のサンプルを該CPRI伝送層の第2のCPRI伝送ブロックに対応する第2のDMAバッファにマッピングすることを含むマッピングプロセスを実行するように該マッピングモジュールが構成されており、第1のCPRI伝送ブロックと第2のCPRI伝送ブロックが連接していることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項47】
該マッピングプロセスには、 第3の基地局プロセッサからの第3の複数のサンプルを、第3のCPRI伝送ブロックに対応する第3のDMAバッファにマッピングすることが更に含まれ、第3のCPRI伝送ブロックが第2のCPRI伝送ブロックと連接していることを特徴とする請求項4に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項48】
該マッピングプロセスには、第2の基地局プロセッサの終了を示す指示を該スーパーバイザモジュールから受け取ることと、第2 DMAバッファを第2の基地局プロセッサから切断することと、複数のパディングサンプルを第2 DMAバッファにマッピングすることが更に含まれることを特徴とする請求項5に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項49】
該マッピングプロセスには、第4の基地局プロセッサのアクティブ化を示す指示を該スーパーバイザモジュールから受け取ることと、第4の基地局プロセッサからの第4の複数のサンプルを第2 DMAバッファにマッピングすることが更に含まれることを特徴とする請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項50】
複数の帯域特有セルプロセッサが該複数の基底帯域プロセッサに関連付けられており、該フロントホールネットワークインタフェースが複数のデータストリームを多重化するように構成されており、該複数のデータストリームのそれぞれが、アクティブ状態に構成されている該複数の帯域特有セルプロセッサのうちの対応する1つに割り当てられている許諾済みの共有スペクトルチャネルに関連付けられていることを特徴とする請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項51】
仮想ワイヤレス基地局で複数のモバイルネットワーク事業者をホストする方法であり、
複数の基底帯域プロセッサをインスタンス化することと、
該複数の基底帯域プロセッサを、該複数のモバイルネットワーク事業者のうちの対応するモバイルネットワーク事業者と通信するように構成することと、
CPRI伝送層と、該CPRI伝送層と該第1基底帯域プロセッサのいずれかに連結される第1のDMAバッファと、該CPRI伝送層と該第2基底帯域プロセッサに連結される第2のDMAバッファと、該スーパーバイザモジュールと該第1基底帯域プロセッサと該第2基底帯域プロセッサ及び該CPRI伝送層に連結されるマッピングモジュールとを有するフロントホールネットワークインタフェースをインスタンス化することと、
該フロントホールインタフェースを1つ又は複数の遠隔ユニットに連結することと、
該フロントホールインタフェースを該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに連結することと、
スーパーバイザモジュールをインスタンス化することと、
該スーパーバイザモジュールを該複数の基底帯域プロセッサ及び該フロントホールネットワークインタフェースに連結することと、
を含む方法。
【請求項52】
該フロントホールインタフェースを該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに連結することには、第1の基地局プロセッサからの第1の複数のサンプルを該CPRI伝送層の第1のCPRI伝送ブロックに対応する第1のDMAバッファにマッピングすることと、第2の基地局プロセッサからの第2の複数のサンプルを該CPRI伝送層の第2のCPRI伝送ブロックに対応する第2のDMAバッファにマッピングすることとが含まれ、第1のCPRI伝送ブロックと第2のCPRI伝送ブロックが連接していることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項53】
該フロントホールインタフェースを該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに連結することには、第3の基地局プロセッサからの第3の複数のサンプルを第3のCPRI伝送ブロックに対応する第3のDMAバッファにマッピングすることが更に含まれ、第3のCPRI伝送ブロックが第2のCPRI伝送ブロックと連接していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項54】
該フロントホールインタフェースを該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに連結することには、第2の基地局プロセッサの終了を示す切断通知を該スーパーバイザモジュールから受け取ることと、第2 DMAバッファを第2の基地局プロセッサから切断することと、複数のパディングサンプルを第2 DMAバッファにマッピングすることが更に含まれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項55】
該フロントホールインタフェースを該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに連結することには、第4の基地局プロセッサのアクティブ化を示す接続通知を該スーパーバイザモジュールから受け取ることと、第4の基地局プロセッサからの第4の複数のサンプルを第2 DMAバッファにマッピングすることが更に含まれることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項56】
複数の帯域特有セルプロセッサが該複数の基底帯域プロセッサに関連付けられることを特徴とし、且つ、アクティブ状態に構成されている該複数の帯域特有セルプロセッサのうちの対応する1つに割り当てられている許諾済み共有スペクトルチャネルに銘々関連付けられている複数のデータストリームを多重化するように該フロントホールネットワークインタフェースを制御することを更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の背景】
【0001】
[開示の技術分野]
本開示は、ワイヤレスシステムに関し、特に、ニュートラルホストによって展開し得るような、同一のコンピューティング環境で複数の事業者をホストできる仮想基地局に関する。
【従来の技術】
【0002】
純然たるソフトウェア実装型の仮想基地局の出現により、単一のワイヤレス通信インフラストラクチャで複数のネットワーク事業者をホストする機会が提供されるようになった。単一のコンピューティング環境で複数のネットワーク事業者をホストすることには、いくつかの課題が存在する。第一に、所与のネットワーク事業者がハッキングやサービス拒否の対象になり易くなる、といった状況を避けるためにも、コンピューティング環境は十分なセキュリティを確保できるものでなければならない。第二に、基地局が干渉やボトルネックに悩まされるといった状況では、一ネットワーク事業者内のアクティビティの急増が、他のネットワーク事業者に割り振られているコンピューティングリソースやネットワークリソース又は無線リソースに影響を及ぼし得るため、基地局全体が、それの仮想eNodeB (evolved NodeB)且つ又はgNodeB (next-generation NodeB)をホストするコンピューティング環境から遠隔無線ユニットに至り、かかる干渉やボトルネックの発生に悩まされることのない状態を維持しなければならない。第三に、仮想基地局を運用するニュートラルホストは、他のネットワーク事業者の存在によって影響を受ける事業者が一切存在しないような方法で各ネットワーク事業者に適切なサービスを提供するために、システムのパフォーマンスを評価できるものでなければならない。第四に、プライベートネットワークと共有スペクトルアクセスシステムの出現により、所与のネットワーク事業者又はプライベートネットワークが他のネットワーク事業者やプライベートネットワークに影響を与えることなく共有スペクトルアクセスチャネルを変更できるようにするための許諾の付与と失効及びチャネルの切り替えといった状況に、基地局とコンピューティング環境が対処できなければならない、という更なる課題が発生している。
【0003】
したがって、コンピューティングリソースとネットワークリソース及び無線リソースへの妨害なきアクセスを複数のネットワーク事業者に提供するとともに、利用可能な共有スペクトルアクセスチャネルの変化に動的に対応できるセキュアな環境において、各ネットワーク事業者又はプライベートネットワークごとに複数のeNodeB/gNodeBを1つずつホストするシステムと方法が必要である。
【開示の概要】
【0004】
本開示の一実施態様では、複数のネットワーク事業者をホストする仮想基地局を構成し、動作させる方法を含む。かかる方法は、複数のネットワーク事業者のいずれかに各々対応する複数の基底帯域プロセッサであり、複数の帯域特有セルプロセッサを各々有する1つ又は複数のセル群プロセッサを各々有する複数の基底帯域プロセッサをインスタンス化することと、該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに対して、それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルを割り振ることと、各基底帯域プロセッサに対応する該それぞれ異なる複数の共有スペクトルチャネルの1つ又は複数への許諾を受けることと、該複数の基底帯域プロセッサごとの該それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルの各々を、それぞれの対応する帯域特有セルプロセッサに割り当てることと、を含む方法である。
【0005】
本開示の別の実施態様は、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると複数のネットワーク事業者をホストする仮想基地局を構成し動作させるプロセスを該1つ又は複数のプロセッサに実行させる諸指示がエンコードされている非一時的コンピュータ可読メモリを伴う。該プロセスは、複数のネットワーク事業者のいずれかに各々対応する複数の基底帯域プロセッサであり、複数の帯域特有セルプロセッサを各々有する1つ又は複数のセル群プロセッサを各々有する複数の基底帯域プロセッサをインスタンス化することと、該複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに対して、それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルを割り振ることと、各基底帯域プロセッサに対応する該それぞれ異なる複数の共有スペクトルチャネルの1つ又は複数への許諾を受けることと、該複数の基底帯域プロセッサごとの該それぞれ異なる複数の共有スペクトルアクセスチャネルの各々を、それぞれの対応する帯域特有セルプロセッサに割り当てることと、を含むプロセスである。
【0006】
本開示の別の実施態様にはサーバが伴う。該サーバは、複数のコアネットワーク及び複数の遠隔ユニットとの通信を行うように構成されたネットワークインタフェースを少なくとも1つ有する。該サーバは更に少なくとも1つのプロセッサを有する。また、該サーバは、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると該1つ又は複数のプロセッサにプロセスを実行させる諸指示がエンコードされている非一時的コンピュータ可読メモリも有する。該プロセスは、第1のコアネットワークと遠隔ユニット間の第1の通信を少なくとも1つのネットワークインタフェースを介してルーティングすることを含むプロセスであり、第1の通信では、第1のコアネットワークに割り振られた第1の通信チャネル一式を利用する。また、該プロセスは、第2のコアネットワークと遠隔ユニット間の第2の通信を少なくとも1つのネットワークインタフェースを介してルーティングすることも含むプロセスであり、第2の通信では、第2のコアネットワークに割り振られた第2の通信チャネル一式を利用する。また、該プロセスは、少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して、第1の通信チャネル一式を変更するメッセージを受信するとともに、該メッセージに従って第1の通信チャネル一式を変更することも含む。
【0007】
本開示の別の実施態様には、単一のコンピューティング環境で複数のネットワーク事業者をホストする方法が伴う。該方法は、共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合と共有スペクトルアクセスチャネル留保部分集合を含む事業者特有の共有スペクトルアクセスチャネル複数を、複数のネットワーク事業者のいずれかに各々対応する複数の基底帯域プロセッサのそれぞれに対して割り振ることと、各基底帯域プロセッサが、それぞれ対応する共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合へのアクセス許諾を要求することと、それに応答して付与される各共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合ごとにアクセスの許諾を受けることと、第1の基底帯域プロセッサによって、共有スペクトルアクセスチャネル要求部分集合のうち失効する共有スペクトルアクセスチャネルに対応する許諾失効を受けることと、第1の基底帯域プロセッサがそれに対応する共有スペクトルアクセスチャネル留保部分集合のいずれか1つへのアクセスの許諾を要求することと、を含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本開示による複数のネットワーク事業者をホストする仮想基地局の例を示す図である。
図1B図1Bは、本開示によるフロントホール インタフェース マッピングモジュールを示す図である。
図1C図1Cは、本開示による仮想基地局を展開し得るコンピューティング環境の例を示す図である。
図2図2は、本開示による複数のネットワーク事業者をホストするように構成された5G (第5世代)仮想基地局の例を示す図である。
図3図3は、本開示による基地局を設定及び構成するプロセスの例を示す図である。
図4図4は、複数のセル群及びその構成要素であるアクティブセルと非アクティブセルにより各々インスタンス化されて構成された複数の仮想基底帯域プロセッサを示す図である。
図5A図5Aは、マルチキャストのデイジーチェーン方式で複数の遠隔ユニットに接続されたセル群を各々有する仮想基底帯域プロセッサの展開例を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aに示す展開例において1つのCBSD (Citizens Broadband Radio Service Device:市民ブロードバンド無線サービス装置)が、CBRS (Citizens Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)チャネルのいずれかへのアクセスを失った後の状態を示す図である。
【実施例の説明】
【0009】
図1Aは、本開示による複数のネットワーク事業者をホストするための仮想基地局100 (以下、「基地局100」という)の例を示す図である。基地局100は、コンピューティング環境においてソフトウェアで実装される仮想基地局である。該コンピューティング環境には、1つ又は複数のプロセッサや非一時的コンピュータ可読メモリなどのハードウェア構成要素が備えられており、ハードウェア構成要素を適切なソフトウェアを以って構成することにより、該ハードウェア構成要素は基地局100を実装するべく動作し得る。一部の実装態様では、ソフトウェアをコンピューティング環境の非一時的コンピュータ可読メモリに格納する。その他の実装態様では、ソフトウェアを該コンピューティング環境以外の場所に格納した上で、例えば、該コンピューティング環境によって提供されるAPI (Application Programing Interface:アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて該コンピューティング環境で実行するようにしている。
【0010】
この例では、基地局100が、遠隔無線インフラストラクチャを共有する2種類のモバイルネットワーク事業者(A及びB)をホストしている。本開示で用いられている「モバイルネットワーク事業者」という用語は、プライベートネットワークという意味も含み得る。プライベートネットワークの主な相違点としては、プライベートネットワークではライセンス認可スペクトルを取得せずに、その代わりとして共有スペクトルアクセスシステムに依存するという点が挙げられる。基地局100は、1つ又は複数の仮想基底帯域プロセッサ105A/Bと、基底帯域プロセッサ105Aに連結されるローカルスーパーバイザモジュール112Aと、基底帯域プロセッサ105Aに連結されるCBRS-デーモン114Aと、基底帯域プロセッサ105Bに連結されるローカルスーパーバイザモジュール112Bと、基底帯域プロセッサ105Bに連結されるCBRS-デーモン114Bと、マスタースーパーバイザモジュール110と、KPI (主要パフォーマンス評価指標)コーディネータモジュール115と、フロントホールネットワークインタフェース120 (本開示では「フロントホールインタフェース120」ともいう)を有し得る。KPIコーディネータモジュール115には、モバイルネットワーク事業者A用のKPI処理モジュール125と、モバイルネットワーク事業者B用のKPI処理モジュール130と、システム用のKPI処理モジュール135と、仮想基地局100内の他の構成要素と共有し得るモバイルネットワーク事業者A対応共有KPI処理モジュール140と、仮想基地局100内の他の構成要素と共有し得るモバイルネットワーク事業者B対応共有KPI処理モジュール145が連結されている。図に示すように、基底帯域プロセッサ105Aは、専用のS1接続155を介してモバイルネットワーク事業者Aのコアネットワーク150と通信し、基底帯域プロセッサ105Bは、専用のS1インタフェース165を介してモバイルネットワーク事業者Bのコアネットワーク160と通信する。基地局100は更にフロントホールリンク175を介して1つ又は複数の遠隔ユニット170に連結されている。
【0011】
図に示すように、一部の実装態様では、仮想基底帯域プロセッサ105A/BがいずれもLTE (Long-Term Evolution:ロングタームエボリューション)eNodeBである。ただし、5G NR (New Radio:新規無線)gNodeBなど、他の仮想基底帯域プロセッサを使用することも可能である。本開示で用いられている仮想「基底帯域プロセッサ」という用語は、仮想eNodeB又は仮想gNodeBを指す。gNodeBの場合、「基底帯域プロセッサ」という用語は、gNodeB CA (Central Unit:セントラルユニット)、gNodeB DU (Distributed Unit:分散ユニット)、又はgNodeB CUとgNodeB DUの組み合わせを指す。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。基底帯域プロセッサがeNodeB又はgNodeB CU+DUの組み合わせである場合、各基底帯域プロセッサは、O-RAN (Open Access Radio Network:オープンアクセス無線ネットワーク)アライアンスが指定する7-2x分担などのPHY分担規程に基づいて上位PHY層(物理層)の機能を実行し得る。
【0012】
各CBRS-デーモン114A/Bは、インターネット接続を介してCBRS SAS (Spectrum Allocation System:スペクトル配分システム)182に連結し得る。各CBRS-デーモン114A/Bは独立して動作し得、それぞれが1つのSAS又は異なるSASに連結し得る。あるいは、基地局100が、全基底帯域プロセッサ105A/Bのために機能する単一のCBRS-デーモンを有するようにしてもよい。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0013】
フロントホールネットワークインタフェース120には、例えばPCIe (Peripheral Component Interconnect Express:周辺機器相互接続エクスプレス)ボード上に実装可能なCPRI (Common Public Radio Interface:共通公衆無線インタフェース)などを含み得る。あるいは、基地局100のアーキテクチャによっては、イーサネット接続をフロントホールリンク175に使用し得る。この場合、フロントホールインタフェース120と遠隔ユニット170間の通信には、パケットを基盤としたeCPRI (Enhanced Common Public Radio Interface:拡張共通公衆無線インタフェース)接続を使用し得る。かかる接続では、フロントホールインタフェース120と遠隔部との間で、TD (時間領域)又はFD (周波数領域)基底帯域信号を表すパケット化されたeCPRIデータや、上位・下位PHY層分担データ(例えば、O-RANにより7-2x分担と指定されている)、又はF1インタフェースデータ(各「eNodeB」105A/BがgNodeB CUであり、各遠隔ユニット170がgNodeB DU機能を有する場合)を伝送し得る。なお、フロントホールリンク175及びフロントホールインタフェース120の様々な実装が、本開示の要旨を逸脱しない範囲において可能であることは言うまでもない。
【0014】
マスタースーパーバイザモジュール110は、他のネットワーク事業者のeNodeBによって各基底帯域プロセッサ105A/Bの機能が損なわれないように、又は各モバイルネットワーク事業者のKPIに基づいて測定されるパフォーマンスが不十分にならないように、基地局100内の諸構成要素を設定及び構成する。図に示すように、マスタースーパーバイザモジュール110は、各基底帯域プロセッサ105A/B (その銘々のローカルスーパーバイザモジュール112A/Bを経由して)やKPIコーディネータ115及びフロントホールネットワークインタフェース120に連結されている。マスタースーパーバイザモジュール110は更にインターネット接続を介して基地局100を動作させるニュートラルホスト180と通信し得る。マスタースーパーバイザモジュール110とニュートラルホスト180の間の通信は、ユーザインタフェースなどの形で行い得る。更に、マスタースーパーバイザモジュール110は、ニュートラルホスト180に対して、モバイルネットワーク事業者A/BのシステムKPIモジュール135及びその銘々の共有KPIモジュール140/145へのアクセスを許諾し得る。基地局100を如何に構成するかによって、マスタースーパーバイザモジュール110がモバイルネットワーク事業者A/Bの銘々のKPI処理モジュール125/130にアクセスできるか否かが決まる。
【0015】
マスタースーパーバイザモジュール110は、モバイルネットワーク事業者A/B各々のコアネットワーク150/160にもインターネットを介して接続し得る。これにより、搬送波情報やCBRSチャネル情報などの構成情報やKPIコーディネータ115経由で得られるKPI情報の通信を容易に実施し得る。それ以外の場合、又はそれに加えて、KPIモジュール125/130は、それら銘々の基底帯域プロセッサ105A/Bを介して、それら銘々のモバイルネットワーク事業者コアネットワーク150/160にKPI情報を直接通信し得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0016】
各基底帯域プロセッサ105A/Bは、制御プレーンとデータプレーンの両方について、LTE又は5GプロトコルスタックのRRC (Radio Resource Control:無線リソース制御)部と、PDCP (Packet Data Convergence Protocol:パケットデータ集束プロトコル)部と、RLC (Radio Link Control:無線リンク制御)部と、MAC (Medium Access Control:媒体アクセス制御)部と、PHY部とを実装する諸ソフトウェアモジュールを含み得る。コンテナ技術を採用することにより、マスタースーパーバイザモジュール110は(基地局100のコンピューティング環境のオペレーティングシステムと連携して)各基底帯域プロセッサ105A/Bをそれぞれ個別にインスタンス化したり、インスタンス化を解除したりし得る。マスタースーパーバイザモジュール110は、各ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bをインスタンス化し得、該インスタンス化された各ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bは引き続き、各々に対応する基底帯域プロセッサ105A/B (後述)を構成し、動作させることができる。各基底帯域プロセッサ105A/Bは、双方向デジタルBB (基底帯域)I/Q (同相/直交位相)データ接続107を介して、それぞれフロントホールネットワークインタフェース120に連結されている。DL (ダウンロード)信号の場合、データ接続107のBB I/Qデータとは、以降フロントホールネットワークインタフェース120によってCPRI信号に合流して (例えば、CPRIアンテナ搬送波に各々割り振られて)各遠隔ユニット170に送信されるBB信号のデジタル表現である。各遠隔ユニット170は、CPRIデータストリームから目的の信号を読み出し、その信号をアナログRF (無線周波数)信号にアップコンバート処理して、遠隔ユニット170に対応するアンテナを介しての伝送に向けて増幅する。UL (アップリンク)信号の場合、データ接続107のBB I/Qデータとは、信号を増幅してデジタル化するとともにCPRI仕様に従って信号をフォーマットしてフロントホールネットワークインタフェース120に送信する1つ又は複数の遠隔ユニット170の各アンテナによって検出されるダウンコンバート処理されたRF信号のデジタル表現である。次に、フロントホールネットワークインタフェース120は、基底帯域プロセッサ105A/Bに割り振られた搬送波に対応するBB I/Qデータを識別して抽出し、データ接続107経由で適切なeNodeBに中継する。
【0017】
図1Bは、CPRI伝送層195の上に重なるマッピングモジュール185を含むフロントホールネットワークインタフェース120の例を示す図である。マッピングモジュール185は、基底帯域プロセッサ105A/BとCPRI伝送層195との間のコーディネータとして機能し、異なる基底帯域プロセッサ105A/Bが他の基底帯域プロセッサに影響を与えることなく独立して動作できるようにする。これは、一ネットワーク事業者の基底帯域プロセッサを他のネットワーク事業者の運用に影響を与えることなく再起動、設定、又は再設定(例えば、個々のセルをロックしたりアクティブ化したりするなどの設定)を行えるようになる、という点で特に重要である。また、これによって、基地局100では、基底帯域プロセッサを動的にインスタンス化したり、更なる基底帯域プロセッサを追加したり、若しくは削除してインスタンス化を解除したりできるようになる。
【0018】
そうするために、フロントホールネットワークインタフェース120内のマッピングモジュール185は、所与の基底帯域プロセッサ105A/Bの諸サンプルを(銘々の双方向デジタル基底帯域I/Qデータ接続107を介して)、割り振られたDMA (ダイレクトメモリアクセス)バッファ192にマッピングし、該割り振られたDMAバッファ192を、CPRI伝送層195における所与のCPRIブロック内の所定の標本範囲にマッピングし得る。CPRI接続は、一定の時間に一定量のデータを送信する同期接続である。CPRI伝送ブロックは、CPRIリンク(フロントホールリンク175)の帯域幅に基づく固定サイズとなっており、それによりCPRIリンクの使用率を常に100%に維持する。マッピングモジュール185は、各基底帯域プロセッサ105A/Bに対応する諸サンプルを各CPRIブロックの特定の諸部分にマッピングする。例えば、マッピングモジュール185は、基底帯域プロセッサ105Aに対して、それのデータ用のCPRIブロックの第1の帯域幅部分(例えば、基底帯域プロセッサ105A/Bに対応する搬送波成分の数を考慮して1.4、3、5、10、15又は20MHz)を割り振り得る。CPRIブロックの一部が空であっても、(未使用部分にパディングを使用して)ブロック全体がフロントホールネットワークインタフェース120によって適切なタイミング間隔で送信される。マッピングモジュール185は、基底帯域プロセッサ105Bを、CPRIブロックの第2部分への第2のDMAバッファ192を介した第2の帯域配分(例えば、他の基底帯域プロセッサ105A/Bの対応する搬送波成分について上記に挙げられる帯域幅のうちの1つ)に割り当て得る。eNodeBのCPRIブロックのうち、該eNodeBにおける割り振り済みのCPRIブロックはそれぞれ1つ前のCPRIブロックに付け添えられる(アペンドされる)ため、マッピングモジュール185は、諸CPRIブロックを連接的に使用できるように上記のような割り当てを行い得る。マッピングモジュール185は更に追加されるeNodeBにも同様に対応し得る。例えば、マスタースーパーバイザモジュール110は、2つの追加基底帯域プロセッサ105C/D(図示せず)をインスタンス化し、該2つの新しい基底帯域プロセッサ105C/Dとそれらら銘々の帯域幅要件向けにフロントホールインタフェースモジュール120を構成し得る。該マッピングモジュールは、CPRIブロック内の空き領域と追加される各基底帯域プロセッサ105C/Dの帯域幅要件を考慮して、該CPRIブロックの残りの帯域幅を、追加のDMAバッファ192を介して基底帯域プロセッサ105Cと基底帯域プロセッサ105Dに割り振ることができ、これにより、CPRIブロックを充満し得る。これには、マッピングモジュールによって、新しいDMAバッファ192を新しい基底帯域プロセッサ105C/Dに1つずつ割り振り、CPRI伝送層195におけるCPRIブロック内で割り振られた各スロットに新しいDMAバッファ192をマッピングすることが必要となる。次に、例えば、接続需要の変動に応じて、マスタースーパーバイザモジュール110は、フロントホールネットワークインタフェース120(故にマッピングモジュール185)に対して、基底帯域プロセッサ105Bと基底帯域プロセッサ105DをCPRIブロックから取り除くよう指示することで、これら2つの基底帯域プロセッサをシャットダウンし得る。したがって、マッピングモジュール185は、このような処理を、動作停止済みの基底帯域プロセッサ105B/Dから対応するDMAバッファ192を切断し、CPRIブロックのそれぞれ対応する部分を未使用のままにしておくことにより、フロントホールインタフェースモジュール120が未使用のデータ部分にパディングし得るようにすることで実施し得る。
【0019】
所与の基底帯域プロセッサがセルをロックしたり、シャットダウンしたりした場合、又はマスタースーパーバイザモジュール110が所与の基底帯域プロセッサをシャットダウンした場合には、当該のセル又は基底帯域プロセッサ全体に割り振られていたCPRIブロックが、マッピングモジュール185による再振りに使用可能となり得る。例えば、所与の基底帯域プロセッサがセルをロック又はシャットダウンした場合、マッピングモジュール185は、新たに解放されたCPRIブロックを、同じ基底帯域プロセッサ又は、新しいセルをアクティブ化しようとしている別の基底帯域プロセッサのいずれかに再振りし得る。あるいは、マッピングモジュール185は、新たに解放されたCPRIブロックを新しい基底帯域プロセッサに割り振り得る。
【0020】
各基底帯域プロセッサ105A/Bは、それぞれ対応するDMAバッファ192から非同期でデータを読み込んで抽出し得る。DMAバッファ192は、CPRI伝送層195との間のデータの読み込み/抽出における同期処理を取り扱い得る。
【0021】
CPRIデータは、時間領域 I/Q形式又は周波数領域 I/Q形式のいずれかであり得る。
【0022】
マッピングモジュール185の利点は、他の既存の基底帯域プロセッサが動作中、その動作に干渉を及ぼすことなく、基底帯域プロセッサの除去と追加を可能にする、という点である。
【0023】
KPIコーディネータモジュール115は、マスタースーパーバイザモジュール110から提供される構成情報に従ってKPIモジュール125/130/135/140/145を構成、保守する。KPIコーディネータモジュール115は、かかるKPIモジュールの各々へのアクセスを制御し得る。例えば、モバイルネットワーク事業者AがKPIモジュール125/140/145のみへのアクセスを、そしてモバイルネットワーク事業者BがKPIモジュール130/140/145のみへのアクセスを、そしてマスタースーパーバイザモジュール110がKPIモジュール135/140/145のみへのアクセスを有するように制御し得る。別の例では、マスタースーパーバイザモジュール110が全てのKPIモジュール125/130/135/140/145へのアクセスを有し得る。KPIコーディネータ115が各基底帯域プロセッサ105A/Bから関連データを傍受又は抽出できるようにしたり、又は、各KPIモジュールをそれぞれ対応する基底帯域プロセッサ105A/Bに直接連結したりすることも可能である。例えば、KPIモジュール125を基底帯域プロセッサ105Aに直接連結でき、その際、基底帯域プロセッサ105Aは、純然と仮想化されソフトウェアにて実装されているため、関連するKPI又はその基になるデータにKPIモジュール125が直接アクセスできるようにし得るようにインストルメント化可能な状態で構成し得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0024】
モバイルネットワーク事業者A/Bによって提供され、基地局100のコンピューティング環境でエージェントとしてホストされる専有コードを、KPIモジュール125/130は含み得る。KPIモジュール125/130はそれぞれが、フロントホールインタフェース120からデータを傍受又は抽出し、そのデータを使用して目的のKPIを測定し得る。一モバイルネットワーク事業者のKPI抽出と分析の特定のアルゴリズム及び実装態様の全て又は一部を、ニュートラルホスト180及びその他のモバイルネットワーク事業者には見えないように隠し得る。更に、KPIモジュール125/130を、銘々の基底帯域プロセッサ105A/Bに統合することもできる。KPIモジュール125/130はそれぞれ共有KPI処理モジュール140/145にデータを提供し得、それに引き続き該共有KPI処理モジュール140/145は、KPIコーディネータ115への報告を行ったり、KPIコーディネータ115への諸警報を生成したりし得る。更に、マスタースーパーバイザモジュール110は、ニュートラルホスト180に対して、モバイルネットワーク事業者A/BのシステムKPIモジュール135及びその銘々の共有KPIモジュール140/145へのアクセスを許諾し得る。この例としては、モバイルネットワークAのKPIモジュール125が、専有KPIデータとアナリティクスを使って、所与の遠隔ユニット170内のハードウェア構成要素(増幅部など)における異常を識別し、KPIコーディネータ115経由でニュートラルホスト180に警報を発行する場合が挙げられる。したがって、共有KPIの例としては、遠隔部170又はフロントホールリンク175内のハードウェア異常が挙げられる。KPIモジュール125/130は、KPI測定時又は、システム100に分かち合うべきものとして設定されている例外や異常を識別した時には、かかる情報をその銘々の共有KPIモジュール140/145に格納して、KPIコーディネータ115が該情報を使用できるようにし得る。KPIの例としては、3GPP (3rd Generation Partnership Project:第3世代パートナーシッププロジェクト)技術仕様32.450により定義されるKPIであるERAB (Evolved UTRAN〈Universal Terrestrial Radio Access Network Radio Access Bearer:進化型ユニバーサル地上波無線アクセスネットワークベアラサービス)のアクセス可能度や、ERAB保持可能度、IP (インターネットプロトコル)スループット、IPレイテンシ、セル利用可能度及び移動性、並びに専有KPIなどが挙げられる。
【0025】
KPIモジュール125/130は、モバイルネットワーク事業者A/B独自の諸警報を生成するとともに、ノースバウンドインタフェース(図示せず)を介して定期的(例:15分ごとなど)にモバイルネットワーク事業者A/Bに送信し得るKPIデータと通報の生成と提供を行い得る。例えば、KPIモジュール125/130は、モバイルネットワーク事業者A/Bがそれら銘々のコアネットワーク150/160内で処理するための専有データを抽出してコンパイルするだけで、基地局100内で埋め込み式アナリティクスを全く実行しなくて済む、又は最小限実行するだけで済む。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0026】
システムKPI処理モジュール135は、各遠隔ユニット170からそれの正常性に関するデータを抽出又は受信し得る。したがって、各遠隔ユニット170及びフロントホールネットワークインタフェース120には、諸構成要素の機能を監視し異常をシステムKPI処理モジュール135に報告する諸組込式センサと諸ソフトウェア要素を装備し得る。更に、システムKPI処理モジュール135は、本開示に記載のソフトウェアモジュールに対応する各スレッドの平均処理負荷やピーク処理負荷など、基地局10をホストするコンピューティング環境の機能に関するデータをコンパイルし得る。
【0027】
遠隔ユニット170は、1つ又は複数の従来型マクロ遠隔部、1つ又は複数の小型セル、1つ又は複数のDAS (分散型アンテナシステム)、且つ又はJMAワイヤレスTM (JMA WirelessTM)により提供される1つ又は複数のTEKOTMセルハブ (TEKOTM Cell Hubs)などを含み得る。フロントホールリンク175がCPRIリンクの場合、遠隔ユニット170は、それ特有のタイプに関係なく、(DLの場合は、順不同に挙げると)DAC (Digital to Analog Converter:デジタル/アナログ変換部)や指定RF搬送波周波数へのアップコンバート処理、複数のCPRIアンテナ搬送波からの信号の単一RF信号への結合、及び電力増幅などのオンボード処理機能を備え得る。ULの場合、各遠隔ユニット170には、低ノイズ増幅や、フィルタリング、基底帯域へのダウンコンバート処理、ADC (アナログ/デジタル変換部)、そして恐らくは、所与のCPRIアンテナ搬送波データを他の遠隔ユニット170のCPRIアンテナ搬送波データに加算する加算機能を含み得る。フロントホールリンク175がeCPRI接続を使用してパケット化された時間領域データ又は周波数領域データを搬送する変形形態では、各遠隔ユニット170が、DLデータストリームをデジタルストリームにデパケット化し(その後アナログRF信号に処理する場合もある)、そして受信したデジタル化済みのUL信号をパケット化して、適切な基底帯域プロセッサ105A/Bに伝送するための回路且つ又は処理機能を有し得る。基底帯域プロセッサ105A/BがPHY層分担(7-2x O-RAN分担など)を使用して動作する場合、各遠隔ユニット170は下位PHY層機能を実行するための適切な回路且つ又は処理能力を有し得る。1つ又は複数の基底帯域プロセッサ105A/BがgNodeB CUとして機能する変形形態では、各遠隔ユニット170が5G DU機能を実行するための適切な回路且つ又は処理能力を有し得る。フロントホールリンク175がイーサネット接続である場合、各遠隔ユニット170はTD/FD eCPRIと7-2x分担及び5G DU処理の任意の組合せを実行する能力を有し得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0028】
遠隔ユニット170は、図1Aに示すようにデイジーチェーン構成で、又はハブアンドスポーク構成で、若しくはその組合せの構成で配置し得る。
【0029】
大学のキャンパスやスタジアムなどの大規模な施設の場合、当該施設の至る所に遠隔ユニット170を分散させることで、相互干渉のリスクを最小限に抑えることもできる。この変形形態を更に参照するに、如何なる所与の時点においては任意の遠隔ユニット170がトラフィックの大部分を受け得るように、各遠隔ユニット170を配置し得る。スタジアムの例では、第1の遠隔ユニット170 (RU1)をスタジアムの駐車場に配備し、第2の遠隔ユニット170 (RU2)を競技場に配備し、そして第3の遠隔ユニット170 (RU3)をコンコースに配備するようにし得る。イベント開催中任意の時点におけるUE (User Equipment:ユーザ機器)のトラフィックの大部分は、駐車場又はコンコースのいずれか、若しくは競技場で発生し、その後再びコンコース又は駐車場に集中し得る。この場合、3つの遠隔ユニット170の全てを、CPRIアンテナ搬送波を共有する1つのセルとして扱うことが有利なことがある。この例では、単一の仮想基底帯域プロセッサ105Aが、1つのCPRIアンテナ搬送波を通じてマルチキャストモードで3つの遠隔ユニット170全てに対してDLデータを送信し得る。これにより、基底帯域プロセッサ105A内のスケジューラは、遠隔ユニット170のいずれか1つのカバレッジ内の各UEに、それぞれ異なるRE (リソース エレメント)一式を割り振ることになり、各遠隔ユニット170は同じDL CPRIアンテナ搬送波を受信することになる。ただし、各遠隔ユニット170はULにおいて同じ信号を受信しない。というのも、ULでは、各遠隔ユニット170が、それぞれ異なるUEの部分集合からUL信号を受信するからである。この場合、デイジーチェーン構成であること、そして各UEに固有のRE一式が割り振られていることを前提として、各遠隔ユニット170は、それ自体のCPRIアンテナ搬送波データを、1つ前の遠隔ユニット170のCPRIアンテナ搬送波データに加算し得る。例えば、RU2はそれのUL CPRIアンテナ搬送波データをRU1のUL CPRIアンテナ搬送波データに加算し、RU3はそれのUL CPRIアンテナ搬送波データをRU2により加算済みのUL CPRIアンテナ搬送波総和データに加算し得る。かかる加算の様々な実装態様を、本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施し得る。例えば、屋内での配備など、高い信号対雑音比が求められる配備形態において、時間領域信号(例えば、単一のTTI〈Transmit Time Interval:送信時間間隔〉における所与のサブフレーム内の周波数ビン全て)の単純な加算を行い得る。更に、同一チャネルアクティビティが多い状況において信頼性の高いアップリンクチャネルを確保するために干渉抑制アルゴリズムを使用し得る。
【0030】
上記の実施例は、フロントホールリンク175がCPRIリンクであり、BB時間領域データを基地局100と遠隔ユニット170間で通信する例である。別の変形形態においては、他の実装形態では基底帯域プロセッサ105A/Bによって行われる下位PHY機能を遠隔ユニット170が実行し得る。このPHY層分担の例では、フロントホールリンク175がミッドホールリンクと見なされる。本開示で用いられる「フロントホールリンク」という用語はミッドホールリンクを指す場合もある。例えば、PHY層の分担を、3GPP技術報告38.816 第1.0.0版でいう「7.2分担」に従って行い得るが、フロントホールリンク175で利用可能な帯域幅によっては、その他提案されているPHY層分担方式によって行うことも可能である。この7.2分担を採用する例では、フロントホールリンク175を介して通信されるデータは、遠隔ユニット170に接続された各UEのPUCCH (Physical Uplink Control Channel:物理アップリンク制御チャネル)データと、PUSCH (Physical Uplink Shared Channel:物理アップリンク共有チャネル)データ、PDCCH (Physical Downlink Control Channel:物理ダウンリンク制御チャネル)データ、及びPDSCH (Physical Downlink Shared Channel:物理ダウンリンク共有チャネル)データの周波数領域データストリームを表すようにパケット化されたデータであり得るとともに、フロントホールネットワークインタフェース120は、イーサネットインタフェース且つ又はルータであり得る。この例を更に参照するに、図に示すデイジーチェーン構成の遠隔ユニット170は、前述の如く、それが受信したULデータに、1つ前の遠隔ユニット170のULデータを加算し得る。この例は、該加算を周波数領域で行うため有利な点が存在し得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0031】
仮想基地局100の一変形形態では、仮想基底帯域プロセッサ105A/BがNodeB CUであり得、よって、遠隔ユニット170にDUを組み込み得る。この場合、データ接続107とフロントホールネットワークインタフェース120及びフロントホールリンク175は、イーサネット介してF1インタフェースを実装し得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0032】
図1Cは、基地局100を展開できるコンピューティング環境101の例を示す図である。コンピューティング環境101には、サーバ113が含まれており、該サーバ113は、1台又は複数台のラックサーバ又はブレードサーバで構成され、該1台又は複数台のラックサーバ又はブレードサーバはそれぞれ複数のプロセッサコアを有し得る。サーバ113は、1つ又は複数のストレージデバイス131に接続されている1つ又は複数のプロセッサコア117を有し得る。サーバ113は、インターネット接続123とサーバネットワークインタフェース127を介してインターネット121に連結される。また、サーバ113はフロントホール ネットワークインタフェースカード129も有し得る。フロントホールをCPRI仕様に基づいて実装する場合、フロントホール ネットワークインタフェースカード129は、フロントホールリンク175を介しての伝送に向けてデジタル信号データをCPRI形式から又はCPRI形式に変換する回路を持つPCIeボードであり得る。更に、必要に応じて信号処理のために特定の高速計算を実行するように既知のIP (Intellectual Property:知的財産)ブロックを使用してプログラムされたFPGA (Field Programmable Gate Array:現場でプログラム可能なゲートアレイ)などのハードウェアアクセラレーター構成要素を、標準的なコンピューターインタフェースカード上に配備された状態で、サーバ113に設けるようにしてもよい。
【0033】
図の例では、サーバ113が2つの独立したネットワークインタフェース127と129を有するが、他の実装態様も可能であることは言うまでもない。別の実装態様では、1つのネットワークインタフェースが、インターネット121と遠隔ユニット170の両方と通信を行うために備えられている。更に一般的には、サーバ113が、インターネット121及び遠隔ユニット170と通信できるネットワークインタフェースを少なくとも1つ有する。Server113は、インターネット121を介してコアネットワークと通信できる。よって、本開示で説明したように、サーバ113はコアネットワークと遠隔ユニット間の通信をルーティングできる。このようなルーティングとしては、双方向通信又は単方向通信が挙げられる。本開示で説明したように、コアネットワークから遠隔ユニットへの通信のルーティングとしては、マルチキャスト通信が挙げられる。
【0034】
図2は、本開示による第2の仮想基地局200(以下、「基地局200」)の例を示す図である。基地局200は、コンピューティング環境(例えば、図1Cに示すコンピューティング環境101)にソフトウェアで実装された仮想基地局である。該コンピューティング環境には、1つ又は複数のプロセッサや非一時的コンピュータ可読メモリなどのハードウェア構成要素が備えられており、ハードウェア構成要素を適切なソフトウェアを以って構成することにより、該ハードウェア構成要素は基地局200を実装するべく動作し得る。一部の実装態様では、ソフトウェアをコンピューティング環境の非一時的コンピュータ可読メモリに格納する。その他の実装態様では、ソフトウェアを該コンピューティング環境以外の場所に格納した上で、例えば、該コンピューティング環境によって提供されるAPIを通じて該コンピューティング環境で実行するようにしている。
【0035】
基地局200は、マスタースーパーバイザモジュール210と、1つ又は複数のDU 205 (図の例では、2つのDU 205A/Bがモバイルネットワーク事業者ごとに1つずつ備えられている)と、KPIコーディネータモジュール215を含む。KPIコーディネータモジュール215には、モバイルネットワーク事業者A用のKPI処理モジュール225と、モバイルネットワーク事業者B用のKPI処理モジュール230と、システムKPI処理モジュール235と、仮想基地局200内の他の構成要素と共有し得るモバイルネットワーク事業者A対応KPI処理モジュール240と、仮想基地局200内の他の構成要素と共有し得るモバイルネットワーク事業者B対応KPI処理モジュール245が連結されている。また、図示しないが、基地局200は、基地局100と同様に、DU 205A/Bに対応するローカルスーパーバイザモジュールと、CU 252A/Bに連結されるCBRS-デーモンモジュールを有し得る。
【0036】
基地局200と基地局100の違いは、各仮想gNodeB内で分担されているCU/DU (中央ユニット/分散ユニット)が存在する点と、モバイルネットワーク事業者又はプライベートネットワークAとBに属するコンピューティングインフラストラクチャ上で仮想CU 252A/Bがそれぞれホストされている点である。つまり、モバイルネットワーク事業者又はプライベートネットワークAとBの各コアネットワーク150/160内でCU 252A/Bをそれぞれ展開し得る。よって、CU 252Aは、F1インタフェース272を介して、基地局200のコンピューティング環境でホストされるDU 205Aに連結されている。同様に、CU 252Bは基地局200のコンピューティング環境でホストされるDU 205Bにそれ自身のF1インタフェース272を介して連結されている。F1インタフェース272は、イーサネットインタフェース257によって確立されたイーサネット接続を介して実装し得る。各DU 205A/Bには、従来のプロセッサハードウェアで実行される純然たるソフトウェア実装と、FPGAやその他ハードウェアアクセラレーターなどの特殊用途ハードウェアの混合とを含み得る。
【0037】
基地局200は、フロントホールリンク275とフロントホールネットワークインタフェース220を介して、1つ又は複数の遠隔ユニット270に連結される。フロントホールネットワークインタフェース220は、前述したように、CPRI実装態様並びにイーサネットを基盤とした「7.2分担」の変形形態も含め、フロントホールネットワークインタフェース120と実質的に類似したものである。フロントホールリンク275には、基地局100に関連して前述したように、フロントホールアーキテクチャに応じてCPRIリンク又はイーサネットリンクが含まれ得る。フロントホール(例:CPRI、TD eCPRI、FD eCPRI、7-2xなど)の可能な変形形態及びアップリンクアンテナ搬送波の加算を含む遠隔部270のためのデイジーチェーン構成例は、基地局100同様、基地局200にも適用される。
【0038】
遠隔ユニット270は、例えば、1つ又は複数の従来型マクロ遠隔部や、1つ又は複数の小型セル、1つ又は複数のDAS、且つ又はJMAワイヤレスにより提供される1つ又は複数のTEKOセルハブなどを含み得る。一変形形態では、各遠隔部270に下位PHY層処理を埋め込むことができ、この場合、フロントホールリンク275はむしろミッドホールリンクであり得、DU 205A/Bが上位PHY層処理を実行し得る。PHY層の特定のパーティション分割は異なる場合がある。先にも述べたように、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0039】
マスタースーパーバイザモジュール210は、基地局200内に含まれる構成要素のいずれによっても各DU 205A/Bの機能が損なわれないように、又は各モバイルネットワーク事業者のKPIに基づき測定されるパフォーマンスが不十分にならないように、基地局200内の諸構成要素を設定及び構成する。図に示すように、マスタースーパーバイザモジュール210は、各DU 205A/BとKPIコーディネータ215及びフロントホールネットワークインタフェース220に連結される。更に、マスタースーパーバイザモジュール210は、基地局200を動作させるニュートラルホスト180とも通信し得る。マスタースーパーバイザモジュール210とニュートラルホスト180の間の通信は、ユーザインタフェースなどの形で行い得る。更に、マスタースーパーバイザモジュール210は、ニュートラルホスト180に対して、モバイルネットワーク事業者A/BのシステムKPIモジュール235及びその銘々の共有KPIモジュール240/255へのアクセスを許諾し得る。この例としては、モバイルネットワークAのKPIモジュール125が、専有KPIデータとアナリティクスを使って、所与の遠隔ユニット170/270内のハードウェア構成要素(増幅部など)における異常を識別し、KPIコーディネータ115/215経由でニュートラルホスト180に警報を発行し得る場合が挙げられる。基地局200を如何に構成するかによっては、マスタースーパーバイザモジュール210がモバイルネットワーク事業者AとBの銘々のKPI処理モジュール225/230にアクセスできない場合がある。
【0040】
マスタースーパーバイザモジュール210は、モバイルネットワーク事業者ネットワーク又はプライベートネットワークA/B各々のコアネットワーク150/160にもインターネットを介して接続し得る。これにより、搬送波情報やCBRSチャネル情報などの構成情報やKPIコーディネータ215から得られるKPI情報の通信を容易に実施し得る。それ以外の場合、又はそれに加えて、KPIモジュール225/230は、それら銘々のDU 205A/Bを介して、それら銘々のモバイルネットワーク事業者コアネットワーク150/160にKPI情報を直接通信し得る。KPIコーディネータモジュール215及びKPIモジュール225/230/235/240/245は、前記KPIモジュール115/125/130/135/140/145のそれぞれ対応するものと実質的に類似し得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0041】
基地局100/200内の各ソフトウェアを基盤とした構成要素は、コンテナ技術を使用してコンピューティング環境内で展開し得、これにより、該構成要素が独立して動作し、マスタースーパーバイザモジュール110/210により発行された諸命令に則る構成要素のインスタンス化/破棄を可能にする。
【0042】
1つ又は複数の非一時的メモリデバイス内でエンコードされ、銘々所述の機能を実行する1つ又は複数のプロセッサにより実行される機械可読な諸指示で、基地局100/200内の各構成要素又はモジュールを構成し得る。本開示で用いられている「モジュール」という用語は、非一時的メモリにおいてエンコードされており1つ又は複数のプロセッサによって実行し得る機械可読指示一式を指し得る。モジュールに相当する該機械可読な諸指示は、該プロセッサにより実行されると、本開示に則り当該モジュールに割り当てられた所術の機能を実行する。各モジュールは、コンテナ技術を使用して1つ又は複数のプロセッサで実行し得る1つ又は複数の実行スレッドとして実行し得る。本開示で用いられている「非一時的コンピュータ可読メモリ」とは、(電磁信号や光信号などではなく)有形の記憶媒体を指し、又、その媒体自体を指すものであり、例えばRAM (ランダムアクセスメモリ)であるべきかROM (読み取り専用メモリ)あるべきかなど、データの記憶について限定するものではない。例えば、非一時的な媒体とは、電源を入れ直した後にメモリを適切且つ機械可読な諸指示を以って再読み込みしなければならない、という諸指示がエンコードされている組み込み式揮発性メモリを指し得る。
【0043】
非一時的なコンピュータ可読メモリとしては様々なものを使用できる。使用できるものの例としては、SSD (ソリッドステートドライブ)、HD (ハードディスク)ドライブ、CD (コンパクトディスク)、DVD (デジタルビデオディスク)、BD (Blu-rayディスク)、メモリスティック、又はこれらの適切な組合せ、などが挙げられる。一部の実装態様では、非一時的コンピュータ可読媒体がコンピューティング環境101の一部として構成される。その他の実装態様では、非一時的コンピュータ可読媒体がコンピューティング環境101とは別々に構成される。
【0044】
図3は、本開示による代表的な基地局100/200をインスタンス化及び構成するためのプロセス300の例を示す図である。プロセス300は、基地局100/200に関連付けられた1つ又は複数のプロセッサ(以下、「プロセッサ」)によって実行し得、機械可読指示として非一時的メモリに格納し得、且つ上記のように機能モジュールとして実装し得る。以下の説明で、基地局100内の構成要素について言及することがあるが、かかる言及は基地局200にも適用されると理解されたい。更に、プロセス300に関する説明は、基地局100/200内の諸eNodeB、諸gNodeB (CU又はCU+DUの組合せ)又は諸DUの任意の組合せにも適用されると理解されたい。
【0045】
ステップ305で、プロセッサは、マスタースーパーバイザモジュール110/210をインスタンス化してシステム検出スキャンを実行するための諸指示を実行する。そうすることで、プロセッサのオペレーティングシステムはコンテナ技術を採用して、マスタースーパーバイザモジュール110/210並びに基地局100/200の他のモジュールをインスタンス化し得る。ステップ305で、マスタースーパーバイザモジュール110/210がフロントホールインタフェース120/220を介して各遠隔ユニット170との通信を確立し、それにより、各遠隔ユニット170/270のアドレスやチャネル能力、位置、及び電力情報を取得するように、プロセッサが諸指示を実行する。これには、遠隔ユニット170/270内の各POI (Point of Interface:相互接続点)との通信の確立を含み得る。ステップ305を更に参照するに、マスタースーパーバイザモジュール110/210は、システム検出スキャンで取得した情報を使ってデータベースを作成し得る。
【0046】
ステップ310では、マスタースーパーバイザモジュール110/210が、ネットワーク事業者のコアネットワーク150/160及びニュートラルホスト180との通信を確立して、モバイルネットワーク事業者の構成データ(各モバイルネットワーク事業者から銘々のコアネットワーク150/160を介して取得するライセンス認可済みスペクトル搬送波パラメータとKPI情報を含む)を取得するように、プロセッサが諸指示を実行する。更に、マスタースーパーバイザモジュール110/210は、モバイルネットワーク事業者に、該モバイルネットワーク事業者が有し得るCBRS PAL (Priority Access License:優先アクセスライセンス)番号を問い合わせるようにしてもよい。また、マスタースーパーバイザモジュール110/210は、基地局100/200が展開及びサポートするプライベートネットワークとの通信も確立し得る。これには、マスタースーパーバイザ110/210が1つ又は複数のプライベートネットワークサーバにBRS PAL番号又はその他ネットワーク構成情報を問い合わせることも含まれ得る。マスタースーパーバイザモジュール110/210は、取得した適切なデータをデータベースに読み込んで、以後eNodeB/gNodeB/DUモジュール及びKPIコーディネータモジュールの構成にそれぞれ使用し得る。マスタースーパーバイザモジュール110/210は、各モバイルネットワーク事業者のライセンス認可済みスペクトルチャネルに応じて遠隔ユニット170/270 (例:POIなど)内のチャネルを割り振り、遠隔ユニット170/270内のチャネルを各モバイルネットワーク事業者に一致させてデータベースに適切な情報を読み込み得る。マスタースーパーバイザモジュール110/210は、各モバイルネットワーク事業者及びプライベートネットワークにCBRSチャネルを更に割り振り、適切な情報をデータベースに読み込み得る。
【0047】
以下の説明ではCBRSについて述べるが、基地局が1つ又は複数の共有スペクトルチャネル又は帯域へのアクセスを要求できるように、共有スペクトルアクセスシステムにも本開示を適用し得ると理解されたい。
【0048】
ステップ310を更に参照するに、プロセッサは、基底帯域プロセッサ105A/B (基地局100)又はDU 205A/B (基地局200)とローカルスーパーバイザモジュール112A/BとCBRS-デーモン114A/Bをインスタンス化するための諸指示を実行する。これはコンテナ技術を使用して行い得る。これにより、各モバイルネットワーク事業者とプライベートネットワークが独自の基底帯域プロセッサと、ローカルスーパーバイザモジュール、及びCBRS-デーモンを持つようにしてもよい。マスタースーパーバイザモジュール110/210は、個々の容量要件に従って、CPUとバスリソースを各基底帯域プロセッサ105A/Bにマッピングし得る。
【0049】
ステップ310を更に参照するに、スーパーバイザ110がCBRSチャネルを各基底帯域プロセッサ105A/Bに割り振るように、プロセッサが諸指示を実行する。これは、所与のネットワーク事業者A/Bが、所定数のCBRSチャネル(PAL番号を有し得るCBRSチャネルに加えての所定数のCBRSチャネルであり得る)を優先させる事前設定順序に従って行い得る。例えば、図5Bに示すように、スーパーバイザ110はCBRSチャネル1~3を基底帯域プロセッサ105Aに、CBRSチャネル4~6を基底帯域プロセッサ105Bに割り振り得る。
【0050】
ステップ315で、各CBRS-デーモン114A/Bが、その銘々の遠隔ユニット170/270をCBRS SAS (Spectrum Allocation System:スペクトル配分システム)182に登録する。そうすることで、各CBRS-デーモン114A/Bは、それぞれ割り振られたチャネルのための領域プロキシとして各遠隔ユニット170/270内で機能し、各チャネルをCBSDとして登録する。図5Bに示す例では、CBRS-デーモン114AがCBRSチャネル1~3に関するSAS182への登録を行い、CBRS-デーモン114BがCBRSチャネル4~6に関するSAS182への登録を行うことになる。これは、各遠隔ユニット170/270をアレイ要素とするアレイであり、CBRS-デーモン114A/Bがグループ内干渉調整をCBRS-デーモン114A/Bにより処理することを指定し得るアレイにより行い得る。登録プロセスの一環として、CBRS-デーモン114A/Bに対応するモバイルネットワーク事業者からの応答(ステップ310)によって、モバイルネットワーク事業者又はプライベートネットワークがPAL認証を有すると示されている場合、CBRS-デーモン114A/Bは登録プロセスでその旨を示し、各CBSDがPPA (PAL Protection Area:PAL保護領域)内にあるとして登録され、よって、PALを留保するCBRSチャネルへのアクセス権を得ることになる。
【0051】
ステップ325で、プロセッサは、それのCBSDのプロキシとして機能するCBRS-デーモン114A/Bが許諾要求をSASに送信するように諸指示を実行する。この許諾要求は、グループ要求の場合、アレイの形をとり、この場合、該アレイ内の個々のCBSD要求は、ステップ310でマスタースーパーバイザモジュール110/210によってそれに割り振られたCBRSチャネルを具体的に要求するものである。モバイルネットワーク事業者とプライベートネットワークの数、及び基地局100/200のコンピューティング環境で利用可能なコンピューティングリソースによっては、マスタースーパーバイザモジュール110/210が、所定のCBRS-デーモン114A/Bにより許諾要求を発行し得るCBRSチャネル(それのCBRSチャネル配分の部分集合であり得るCBRSチャネル)の数を制限し得る。CBRSチャネルの残りの部分集合については、CBRSチャネルに対する許諾が失効した場合、所与の基底帯域プロセッサ用に留保し得る。該アレイ内の各許諾要求は特定のCBSDに対応し得る。また、各CBSDについて要求されるチャネルごとに、どのチャネルがPAL認可に基づいて要求されているのか、そしてどのチャネルがGAA認可に基づいて要求されているのかについても許諾要求に含み得る。該アレイ内の各許諾要求には、周波数範囲と、各周波数範囲に対応する所望のEIRP (Effective Isotropic Radiated Power:実効等方放射電力)を含み得る。
【0052】
ステップ325を更に参照するに、各CBRS-デーモン114A/BがSASからライセンスを受ける。該ライセンスの付与には、各CBSDについて、PAL留保チャネル並びに一般認可アクセス(General Authorized Access:GAA)に基づいて許諾されているチャネルへのアクセス許諾も含み得る。各チャネルの許諾条件として、最大EIRPを含み得る。なお、要求のあったCBRSチャネルのそれぞれに対するアクセスをSASが許諾する保証はないことは言うまでもない。SASは、所与のチャネルへのアクセスを拒否して、代替チャネルを推奨する場合もある。各CBRS-デーモン114A/Bは、それぞれ対応する基底帯域プロセッサ105A/Bを構成するためのCBRS許諾と関連パラメータに相当する情報をローカルストレージに格納し得る。
【0053】
ステップ340で、プロセッサは、各ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bがそれぞれ対応する基底帯域プロセッサ105A/Bを構成するように、諸指示を実行する。そうすることで、各ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bは、それぞれ対応するモバイルネットワーク事業者又はプライベートネットワークに関する全ての情報をデータベースに問い合わせ得る。なお、かかる情報の例としては、ライセンス認可済みのスペクトル搬送波や、割り振られたCBRSチャネル(ステップ325で所与のCBRSチャネルへのアクセスが許諾されているかどうかを問わない)、ステップ325でアクセスが許諾されたCBRSチャネル及びそれに関連するパラメータ、POI又は遠隔ユニットチャンネルのアドレス、及びステップ310で取得したその他如何なる関連情報、などが挙げられる。セキュリティを維持しながら各モバイルネットワーク事業者及びプライベートネットワークのリソースを他の事業者から隠すように隔離する必要がある場合、マスタースーパーバイザモジュール110/210は、ローカルスーパーバイザ112A/Bごとにデータベースのコピーを作成でき、かかるコピーには特定のモバイルネットワーク事業者又はプライベートネットワークに関する情報のみを含むようにし得る。ライセンス認可済みの各スペクトル搬送波及び割り振られた各CBRSチャネルのセルをプロビジョニングすることにより、各ローカルスーパーバイザ112A/Bは、それぞれ対応する基底帯域プロセッサ105A/Bを構成する。そうすることで、各ローカルスーパーバイザ112A/Bは、割り振られた各CBRSチャネルを所与の帯域特有セルプロセッサ420/425/420に割り当て得ることができるようになる。ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bは、ステップ325でアクセスが許可されたCBRSチャネルに対応する諸セルをアクティブ化し得る。ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bは、割り振られたCBRSチャネルのうち、ステップ325でアクセスが拒否されたCBRSチャネルに対応する如何なるセルを非アクティブ状態又はロック状態のまま維持する。更に、マスタースーパーバイザモジュール110/210が、割り振られたCBRSチャネルの部分集合(アクティブ状態の部分集合)に関する許諾のみを要求するようにCBRS-デーモン114A/Bを構成してある場合も、ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bは、残りのCBRSチャネル(非アクティブ状態の部分集合)に対応する如何なるセルを、ロック状態又は非アクティブ状態に構成し得る。ロックされたセル(つまり、ロック状態のセル)は、後述の如くフロントホールインタフェース120/220への接続がない(故に接続中のUEが存在しない)帯域特有セルプロセッサのプロトコルスタックの実装をインスタンス化したものであり得る。
【0054】
ロックされたセルの作成は次のように行い得る。ローカルスーパーバイザモジュール112は、所与の基底帯域プロセッサ105内のセルをインスタンス化するための諸指示を実行し得る。ローカルスーパーバイザ112は、所与のCBRSチャネルに対してロック状態セルを事前に構成し得るが、その際、該事前に構成されたロック状態セルをフロントホールインタフェース120/220内のスロットに割り当てないままにしておくこともある。この場合、該所与の基底帯域プロセッサ105/205を作動しているプロセッサは、接続中のUEが存在しない且つフロントホールインタフェース110/210に割り当てられたリソースがないロック状態セルを作動するための諸指示を実行する際に、公称量のリソースを消費している可能性がある。所与の基底帯域プロセッサ105/205、又は全体的に見てシステム100/200、のいずれかが、所与のCBRSチャネルで(SAS182が該チャネルへのアクセスを許可した場合)事前にロック状態又は「パーキング」状態に構成されているロック状態セルを複数維持し得る。例えば、多数の基底帯域プロセッサ105/205のそれぞれに同一のCBRSチャネル用のロック状態セルを維持させ、その状態で、マスタースーパーバイザモジュール110/210が、1つ又は複数の基底帯域プロセッサ105/205のみを、該CBRSチャネルにアクティブなセルを有する基底帯域プロセッサとして選択するようにしてもよい。複数の基底帯域プロセッサ105/205が所与のCBRSチャネルを共有している場合、マスタースーパーバイザモジュール110/210は対応するローカルスーパーバイザモジュール112と連携して、該CBRSチャネル内に固有の搬送波成分を割り振り得る。搬送波成分を割り振る際、ローカルスーパーバイザモジュール112は、1つ又は複数の帯域特有セルプロセッサを、搬送波成分ごとに1つずつインスタンス化し得る。
【0055】
フロントホール接続175がイーサネットを介して実装され、フロントホールインタフェース120がルータである変形形態では、所与のロック状態セルについて、ルータへの接続を対応する基底帯域プロセッサから切断し得る。
【0056】
以下、後続のステップ345及び350について説明するように、事前構成されたCBRSチャネルへのアクセス権が所定の基底帯域プロセッサ105/205に付与されている場合には、ローカルスーパーバイザモジュール112が、フロントホールインタフェース120/220の適切なスロットを対応する帯域特有セルプロセッサに割り当てるための諸指示を実行し、且つそれに対して、UEに接続するようにとの諸指示を発行し得る。仮想基底帯域プロセッサ105/205の基盤となるソフトウェアが、CBRSの許可変更時に動作を続けながらチャネルの再構成を容易にできない場合にこのようなアプローチが必要になり得る。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0057】
図4は、インスタンス化及び構成済みの複数の基底帯域プロセッサ(図中の105A、B...N)を示す図である。この例では、基底帯域プロセッサ105Aが3つのセル群405A~Cを有し、該セル群405A~Cはそれぞれ遠隔ユニット170/270に対応し得る。セル群405A~C内でインスタンス化されるのは1つ又は複数の帯域特有セルプロセッサ415/420/425/430の一式であり、その各々がそれの割り当てられた帯域の1つ又は複数の搬送波成分を処理するプロトコルスタック実装を含む。図示される例では、帯域特有セルプロセッサ415がモバイルネットワーク事業者のライセンス認可帯域415に割り当てられ、帯域特有セルプロセッサ420がCBRSチャネル1に割り当てられ、帯域特有セルプロセッサ425がCBRSチャネル2に割り当てられ、帯域特有セルプロセッサ430がCBRSチャネル3に割り当てられている。これら帯域特有のセルプロセッサ415/420/425/430は、非一時的メモリにおけるエンコードされた一式の機械可読指示により具現化されるソフトウェアを基盤としたプロトコルスタックの実装によって実行し得る。各セル群415A~Cは、所与のセル群内の搬送波成分各一式間のMAC層スケジューリングと搬送波集約(キャリアアグリゲーション)を行うスケジューラ構成要素410を有し得る。
【0058】
各セル群405A~Cは、セル群プロセッサを指し得る。セル群プロセッサは、1つのカバレッジエリア内で所与のUE又は所与のUE一式に対応できる帯域特有セルプロセッサの一式として定義し得る。複数の帯域特有セルプロセッサを使用すると、複数の帯域にわたる搬送波の集約がセル群プロセッサ内で可能になり得る。更に、複数のCBRSチャネルを(帯域特有セルプロセッサごとに1つずつ)有するCBRSのような共有スペクトルアクセスシステムの場合、1つの帯域特有セルプロセッサを、非アクティブ又はロック状態でパーキングするとともに、現在使用されていないCBRSチャネルに割り当てることで、許諾失効時に冗長性を提供し得る。各帯域特有セルプロセッサは、それの割り当てられた帯域又はCBRSチャネル内の1つ又は複数の搬送波成分で動作するソフトウェア実装型のLTE又は5G NRプロトコルスタックであり得る。各プロトコルスタックには、それ自身のスケジューラ(例:MAC層など)を含み得、ローカルスケジューラ410が該スケジューラと連携して搬送波の集約などを実装し得る。
【0059】
図4に示す例では、SAS182 (図示せず)が、CBRS-デーモン114Aによって発行されたプロキシ許諾要求に応答して、ステップ325で各CBSDに対して、CBRSチャネル1と2へのアクセスを許諾している。各CBSDを、所与の遠隔ユニット170/270にマッピングし得る。ローカルスーパーバイザ112は、帯域特有セルプロセッサ420及び425をそれぞれCBRSチャネル1及び2に構成し、(CBRSチャネル3に割り当てられている)帯域特有セルプロセッサ430をロック状態に維持するように構成している。
【0060】
なお、図4に示す例には、ネットワーク事業者に対応する基底帯域プロセッサ105Aが伴う、と理解されたい。基底帯域プロセッサ105Aがプライベートネットワークに割り当てられている場合、帯域特有セルプロセッサ415を省略し、基底帯域プロセッサ105Aを共有スペクトルアクセス(CBRSなど)チャネル上でのみ動作するようにしてもよい。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0061】
図3のプロセス300に戻って参照すると、ステップ345で、プロセッサは、前述のように、フロントホールネットワークインタフェース120/220を構成するための諸指示(フロントホールインタフェースを構成して動作させる如何なるソフトウェアモジュール〈マッピングモジュール185など〉のインスタンス化を含み得る)を実行し、必要なデータ変換を行い、各基底帯域プロセッサ105A/B又はDU 205A/Bとフロントホールネットワークインタフェース120/220のハードウェア間のルータとして機能する。これには、各基底帯域プロセッサ105A/B又はDU 205A/Bに割り振られることになるDMAバッファ192用のポートの構成が含まれ得る。あるいは、フロントホールネットワークインタフェース120/220が、基底帯域プロセッサ105A/B又はDU 205A/B間のパケットを基盤とした通信をサポートするイーサネットインタフェースの場合、フロントホールネットワークインタフェース120/220を、基底帯域プロセッサ105A/B又はDU 205A/Bと遠隔ユニット170/270の間のパケットスイッチイング ネットワークファブリックとして構成し得る。
【0062】
ステップ350で、プロセッサは、モバイルネットワーク事業者AとB及び任意のプライベートネットワークで使用することになる搬送波の帯域と電力レベルを選択する対象となる遠隔ユニット170/270を構成するために基地局100/200と遠隔ユニット170/270間の通信を確立する諸指示を実行する。
【0063】
ステップ355で、KPIコーディネータ115/215とKPIモジュール125/225、130/230、135/235、140/240、及び145/245をインスタンス化するとともに、指定されたKPIモジュールとそれら銘々の基底帯域プロセッサ105A/B又はDU 205A/Bとの間の通信チャネルを確立するための諸指示をプロセッサが実行する。
【0064】
全てのソフトウェアモジュールがインスタンス化された状態で、プロセッサは、マスタースーパーバイザモジュール110/210が図1図2に示すようにソフトウェアモジュール間のタスク間通信を確立するように、諸指示を実行する。
【0065】
プロセス300におけるこの段階では、基地局100/200が意図したとおりに動作を開始し、各モバイルネットワーク事業者とプライベートネットワークが共有コンピューティング環境とフロントホール及び遠隔ユニット170/270のトポロジ内で個別のリソースを使用しながら独立して機能し得る。以下、プロセス300に関する残りの説明では、SASが(動作中の如何なる時点において)1つ又は複数のCBRSチャネルの使用許諾を取り消したり、新しいCBRSチャネルに切り替えることを推奨したりする場合の例について説明する。
【0066】
動作中、各CBRS-デーモン114A/Bは、それのCBSD (遠隔ユニット170/270内のそれのチャネル)に代わって、又それのプロキシとして、SAS182にハートビート要求を発行し、よってSAS182からハートビート応答を受信し得る。
【0067】
ステップ360で、CBRS-デーモン114A/Bは、所与のCBSDに対する所与のCBRSチャネルの許諾が失効した旨の通知をSAS182から受信し得る。これは、既知の手順に基づくCBRSハートビート応答を介して行い得る。
【0068】
ステップ365では、許諾が失効した場合、その影響を受けるCBRS-デーモン114A/Bが次の2つのことを行い得る。つまり、(1)割り当てられたCBRSチャネルへの許諾失効を示す信号を、それの対応するローカルスーパーバイザモジュール112A/Bに送信し、(2)それの非アクティブなチャネル一式のうち、それの割り当てられた1つ又は複数のCBRSチャネルへの許諾を要求する新しい許諾要求をSAS182に発行する。新たに要求されたCBRSチャネルへのアクセスをSAS182が許諾した場合、ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bは、新たに許諾されたCBRSチャネル用に事前に構成されている既存のロック状態セルをアクティブ化し得る(この点についてはステップ370に関連して後述する)。
【0069】
所与の基底帯域プロセッサ105A/Bが、2つのCBRSチャネルを横切るセルを有する場合もあり得る。例えば、図4を参照するに、セル群1 (405A)は、CBRS1 (420)とCBRS2 (425)の両方に周波数が存在する単一のセルを有し得る。この場合、許諾失効により、所与のセルが使用しているスペクトルの一部へのアクセスが取り除かれ得る。これに対して、CBRS-デーモン114A/Bと、セル群1405A用のローカルスーパーバイザモジュール112と、スケジューラ410及びマスタースーパーバイザモジュールが共に次のいずれかを行う。つまり、(1)2つのCBRS帯域を横切る該セルをロックし、新たに割り振られるCBRSチャネルのうち該セルを取り扱える2つのCBRSチャネルに関する許諾要求を送信するか、又は(2)該セルの帯域幅を制限して、まだ許諾されているCBRSチャネル内に収まるようにしてから、割り振られている別のCBRSチャネルに関する許諾要求を送信し、
スケジューラ410が、まだ許諾されているCBRSチャネルと新たに許諾されたCBRSチャネルとの間で搬送波集合を提供できるようにする。
【0070】
ステップ370では、ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bが、許諾失効の対象であるCBSD及びCBRSチャネルに接続されているUEを、それのセル群内の他のアクティブセル(ステップ365で新たに許諾されたCBRSチャネルに対応する新たにアクティブ化されたセルを含み得る)に転送又は受け渡してから、許諾が失効したCBRSチャネルに対応する帯域特有セルプロセッサをロックし得る。
【0071】
失効したCBRSチャネルに接続されているUEの、セル群内の別のセルへの受渡し、若しくは転送は、次のようにして行い得る。一例では、スケジューラ410が、3GPP仕様で指定された従来の方法を使用して、失効したCBRSチャネルに対応する諸セルから各UEを受け渡すように諸指示を発行し得る。あるいは、ローカルスーパーバイザモジュール112A/Bが、マスタースーパーバイザモジュール110/210に指示を発行して、該マスタースーパーバイザモジュール110/210が、(失効したCBSDに対応する)適切な遠隔ユニット170/270 (複数可)に命令を発行して、失効したCBRSチャネルに対応する送信電力を低下させるようにすることもできる。そうすることで、失効したCBSDに接続されているUEは、それのセル群内の代替セルを自律的に識別し、より強い信号のセルに接続することになる。このアプローチの利点は、スケジューラ510による介入なしにUEがそれに最も適した代替セルを識別してそれに接続する、というUEの能力を活用できるという点である。このアプローチのもう1つの利点として、許諾失効の対象となる無線を即座にシャットダウンすることがCBRS規制により要求されているが、そうすることがこのアプローチによって容易になるという点である。
【0072】
ステップ370を更に参照するに、マスタースーパーバイザモジュール110/210が、フロントホールネットワークインタフェース120/220 (及びマッピングモジュール185)に対して、
新たにアクティブ化されたセルをCBSD許諾失効の影響を受ける遠隔ユニット170/270に接続するようにとの諸命令(失効したCBRSチャネルに対応する影響を受けた帯域特有セルプロセッサをそれら銘々のDMAバッファ192から切り離して、新たにアクティブ化された帯域特有セルプロセッサを対応するDMAバッファ192に接続するようにとの命令も含み得る)を発行するとともに、
影響を受ける遠隔ユニット170/270に対して、識別された開始フレームの始動時に新しいCBRSチャネルでの送受信を開始し、失効したチャネルでの送信を停止するようにとの諸命令を発行し、
デイジーチェーン接続された影響を受ける遠隔ユニット170/270に対して、新しいCBRSチャネルでのアップリンク信号を加算するようにとの諸命令を発行し、且つ、
失効していないCBSDに対応する遠隔ユニット170/270に対して、失効の影響を受ける遠隔ユニット170/270からのアップリンクデータの加算を中断するようにとの諸命令を発行するように、
プロセッサが諸指示を実行し得る。ステップ370を更に参照するに、マスタースーパーバイザモジュール110/210が、関連するコアネットワーク150/160に対して、失効したCBRSチャネルに対応する当該CU 252が新しいチャネルに切り替わることを告げる通知を発行し得る。その後、失効したCBRSチャネルに割り当てられている帯域特有セルプロセッサは、アイドル時に公称量のプロセッサリソースを消費する如何なるUE又はフロントホールインタフェース120/220から切断され、ロック状態で動作し得る。
【0073】
上記の例ではCBRSを使用した場合について説明しているが、1つ又は複数の周波数範囲を時間依存性の要求/許諾に基づいて遠隔ユニット又は基地局でローカルに使用でき、それ以外の場合はチャネルが一般に公開されるような如何なる動的共有スペクトル配分システムを、本開示に適用し得ることは言うまでもない。本開示で使用されているCBRSチャネルは、共有スペクトル配分チャネルの一例である。更に、この例ではCBRS-デーモンを開示しているが、1つ又は複数の遠隔ユニットの代わりに動的共有スペクトル配分システムから許諾及び許諾失効を得る如何なる動的共有スペクトル領域プロキシを、本開示に適用し得る、と理解されたい。
【0074】
図5Aは、図4と同様の基底帯域プロセッサ105A/Bを含む基地局100/200の展開例示す図である。この例では、各基底帯域プロセッサ105A/Bが、マルチキャスト動作用に構成された少なくとも1つのセル群405を有する。ライセンス認可済みの帯域とCBRSチャネル(この例では415/420/425)用の帯域特有セルプロセッサの各一式は、双方向デジタル基底帯域I/Qデータ接続107を介してフロントホールネットワークインタフェース120に連結されている。図に示すように、基底帯域プロセッサ105Aは、CBRS3用のロックされた帯域特有セルプロセッサ430を有し、基底帯域プロセッサ105BはCBRS6用のロックされた帯域特有セルプロセッサ430を有する。各CBSD/遠隔ユニット170は、モバイルネットワーク事業者Aのライセンス認可帯域用のRF処理ブロック(505)と、モバイルネットワーク事業者Bのライセンス認可帯域用のRF処理ブロック(510)と、モバイルネットワーク事業者Aに割り振られたCBRSチャネル1用のRF処理ブロック(515)と、モバイルネットワーク事業者Aに割り振られたCBRSチャネル2のRF処理ブロック(520)と、非アクティブなCBRSチャネル3のRF処理ブロック(525)と、モバイルネットワーク事業者Bに割り振られたCBRSチャネル4のRF処理ブロック(530)と、モバイルネットワーク事業者Bに割り振られたCBRSチャネル5のRF処理ブロック(535)と、非アクティブなCBRSチャネル6のRF処理ブロック(540)とを有する。それぞれが、PHY層処理などの下位層LTE又は5Gプロトコルスタック処理を含み得る。
【0075】
図5Aに示す例の説明では、CBSDと遠隔ユニットという用語を入れ替えて用いることができる。更に、この例ではLTE専門用語と基地局100の各参照番号を用いているが、この例を5G基地局200にも同様に適用し得ることは言うまでもない。
【0076】
図5Aに示した例では、RF処理ブロック525/540を除く個々のRF処理ブロック505/510/515/520/530/535の各々が、デイジーチェーン接続され、基底帯域プロセッサ105Aか基底帯域プロセッサ105Bのいずれかのセル群405内の対応する搬送波成分一式に連結されている。これにより、複数のリモートCBSD170が一つのセルを共有できるマルチキャスト動作が可能になる。この例では、所与の搬送波成分で遠隔CBSD170に共に接続された全てのUEが1つのデータフレームを共有し得る。ダウンリンク(DL)の場合、所与の基底帯域プロセッサ105A/Bが、デイジーチェーン接続された全てのCBSDに対して単一の搬送波成分処理スレッド(つまり、単一のデータスペクトルアクセスフレーム)を使用し得るため、単一のデータフレームの写しをコピーして、全てのCBSD170に送信し得る。ただし、アップリンク(UL)の場合は、1つのCBSD170内の所与のRF処理ブロック(例:CBRS4 (530))が、当該周波数のCBSD170に接続されているUEからのみ信号を受信し得る。他のCBSD170は各々が、当該搬送波成分のデータフレーム内のそれぞれ異なるRE一式に割り振られ、固有のUE一式から信号を受信する。そのため、各CBSD170は、それ自身のアンテナから受信する信号と、下流側で隣接するCBSD170から受信するデータを加算する。
【0077】
上記のように、遠隔ユニット170のデイジーチェーントポロジにより、DLのマルチキャストとUL搬送波成分の加算の両方が可能になる。この場合、CBSD2は、それの接続されているUEから受信した帯域特有UL信号を、CBSD3から受信した対応する帯域特有信号データに加算し得、CBSD1は、それの接続されているUEのUL信号を、CBSD2からの対応する帯域特有信号データに加算し得る。
【0078】
図5Aに示す例を更に参照するに、基底帯域プロセッサ105AとBのいずれもが、マルチキャスト動作用に構成されたセル群プロセッサ405を有する。ただし、図4に示すように、各基底帯域プロセッサ105A/Bは、その他演算セル群プロセッサを含み得、該演算セル群プロセッサを、他の遠隔ユニットとのマルチキャスト動作用に構成することも(図示せず)、マルチキャスト以外の機能で各セル群を1つ又は複数の遠隔ユニットに連結する様態で構成することもできる。なお、このように種々の変形を本開示の要旨を逸脱しない範囲において実施可能であることは言うまでもない。
【0079】
図5Aに示す例を更に参照するに、フロントホールインタフェース120及びフロントホールリンク175には、CPRIリンクが伴い得る。この場合、下流側の遠隔ユニット170からCPRIストリームを受信し、当該RF処理ブロックの所与の帯域に対応するCPRIストリームデータを抽出し、該RF処理ブロックがそれのアンテナから(それの接続されているUEから)受信した信号に基づいて生成するデータに、該抽出されたCPRIストリームデータを加算し、その合計データを対応するCPRIブロックに挿入し、新しいCPRIデータを上流方向の次の遠隔ユニット170又はフロントホールインタフェース120に送信するための回路が、各RF処理ブロックに含まれる。前述のように、かかる加算は、単一のTTI(送信時間間隔)にわたって行い得る。フロントホールリンク175がイーサネット接続である変形形態の場合、フロントホールインタフェース120は、各基底帯域プロセッサ105A/Bがパケット化されたデータストリームを用いて様々な遠隔ユニット170と通信するためのルータであり得る。この例では、アップリンクの加算を、フロントホールインタフェース120又は適切な基底帯域プロセッサ105A/Bで行い得る。
【0080】
図5Bは、図5Aのシステムにおいて、単一のCBSD170用の単一のCBRSチャネルの許諾が失効した後の状態を示す図である。この例において、基底帯域プロセッサ105Aは当初、それのライセンス認可済みの帯域415とCBRS1 (420)とCBRS2 (425)用のアクティブな帯域特有セルプロセッサを有し得る。プロセス300のステップ360を参照するに、許諾失効の時点で、基底帯域プロセッサ105AのCBRS-デーモン(図示せず)は、CBSD2のCBRSチャネル2へのアクセスを取り消すという許諾失効をSASから受ける。ステップ365で指定したように、CBRS-デーモンは、基底帯域プロセッサ105A内の事前に構成されロック状態になっている帯域特有セルプロセッサ430の割り当てられているCBRS3への許諾を要求する許諾要求をSASに送信し得る。SASがCBRS3へのアクセスを許諾した場合には、ステップ370に則り、CBSD2内のCBRS2RF処理ブロック520をシャットダウンしなければならない、又、それに接続されているUEを他のチャネルに引き渡さなければならない、という諸命令を、CBRS-デーモンが基底帯域プロセッサ105Aのローカルスーパーバイザモジュール(図示せず)に対して発行し得る。これに応答して、基底帯域プロセッサ105Aのローカルスーパーバイザモジュールは、CBRS3に対応する帯域特有セルプロセッサ430のロックを解除してアクティブ化するとともに、対象となる各UEを(例えば、CBSD2のRF処理ブロック520の電力を低下させて、該UEがCBSD2内の他のチャネルとの接続を確立するように該UEを発動させるなどして)他のチャネルに引き渡し、CBRS2帯域特有セルプロセッサ425をロックし得る。これに引き続き、マスターコーディネータモジュール(図示せず)は、フロントホールインタフェースモジュール120に対して、CPRIスロット(及びDMAバッファ)を基底帯域プロセッサ105AのCBRS3帯域特有セルプロセッサ425に割り振るようにとの諸指示を発行し、CBSD1とCBSD3に対しては、CBRS2のデイジーチェーン構成からCBSD2を取り除くようにとの諸指示を発行し、CBSD2に対しては、基底帯域プロセッサ105AのCBRS3の帯域特有セルプロセッサ430のために新たに割り振られたCPRIスロットに関する情報を含み得るCBRS3のRF処理ブロック525をアクティブ化するようにとの諸指示を発行し、更にCBSD2に対して、CBRS2のRF処理ブロック520をシャットダウンするようにとの諸指示を発行し得る。基底帯域プロセッサ105AのCBRS3帯域特有セルプロセッサ430用の新たなI/Qデータ接続はデータ接続107Aとして(図5Bにおける太めの線で)示されており、CBRS3用のフロントホールインタフェース120とCBSD2との間の新たなフロントホールリンクはフロントホールリンク175Aとして(図5Bにおける太めの線で)示されており、CBRS2用のCBSD1とCBSD3との間の新たなリンクはデータ接続175Bとして(図5Bにおける太めの線で)示されている。
【0081】
別途明示される定義なき限り、「部分集合」という用語は、各対応する一式の諸要素のうちのいくつか又は全てを指し得る。更に、本開示でいうチャネルの拒否とは、許諾の失効(それ以前は許諾されていたチャネルの場合)と、許諾の拒否(許諾されたことがないチャネルの場合)とを含み得る。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】