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特表2022-541850肝細胞を産生するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】肝細胞を産生するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20220916BHJP
   A61K 35/407 20150101ALI20220916BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220916BHJP
   A01K 67/027 20060101ALN20220916BHJP
【FI】
C12N5/071
A61K35/407
A61P1/16
A61K9/48
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/7088
A61K48/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A01K67/027
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505206
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020043439
(87)【国際公開番号】W WO2021021612
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/879,142
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/000,169
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522031526
【氏名又は名称】アンビス メディスンズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッキー、 レイモンド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ、 マイケル シー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB40
4B065BC50
4B065BD50
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA53
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076CC16
4C076FF70
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA37
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA37
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB52
4C087BB63
4C087BB64
4C087MA37
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA75
4C087ZC75
(57)【要約】
本開示は、ヒト肝細胞などの肝細胞のインビボ産生のための方法および組成物の分野、ならびに、例えば肝細胞の投与を必要とする対象へのその投与を伴う方法を含む、肝細胞の使用、そのような肝細胞を含む組成物等の分野におけるものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝細胞を産生する方法であって、前記方法が、
肝細胞が動物の肝臓において増殖するように、前記肝細胞を生成するエクスビボで操作された細胞を動物バイオリアクターに投与する工程であって、任意選択で、前記増殖した肝細胞は、投与後8~16週間以内に前記動物の総肝細胞集団の少なくとも70%を構成する、工程と、
前記動物から前記増殖した肝細胞を分離する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記エクスビボの操作が、前記動物バイオリアクターにおいて前記肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と共に前記肝細胞生成細胞を培養することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つまたはそれ以上の薬剤が、1つ以上の抗体、1つ以上の小分子、および/または1つ以上の核酸を含み、任意選択で肝細胞成長因子受容体(c-MET)および/または上皮細胞成長因子(EGFR)抗体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記増殖した肝細胞が、ヒト肝細胞である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記動物バイオリアクターが、遺伝子改変動物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記動物バイオリアクターが、FAH欠損である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記動物バイオリアクターが、マウス、ラットまたはブタを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、前記動物バイオリアクターに注入される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、前記動物バイオリアクターに静脈内注射される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、任意選択で前記動物バイオリアクターの脾臓内注射、門脈内注射、または肝臓への直接注射を介して、前記動物バイオリアクターの器官に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記動物バイオリアクターにおいて、10%を超える肝細胞再占領率が達成される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記動物バイオリアクターにおいて、40%を超える肝細胞再占領率が達成される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記肝細胞生成細胞が、商業的供給源から得られるか、あるいは生きている対象もしくは死体から単離されたものであるか、またはインビトロで予め増殖された初代ヒト肝細胞であり、そして後にエクスビボ操作に供される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エクスビボの操作が、前記動物バイオリアクターに投与する前に、前記肝細胞生成細胞を、前記少なくとも1つの薬剤と共に1分~2日間培養することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エクスビボの操作が、前記少なくとも1つの薬剤と共にインキュベートされた前記肝細胞生成細胞を揺り動かすステップをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
エクスビボで操作された肝細胞生成細胞の投与の前および/または後に、前記動物バイオリアクターにNTBCを投与するステップをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、前記動物バイオリアクター内で4~16週間、任意選択で6~10週間、任意選択で8週間未満に渡り増殖される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記増殖した肝細胞が、前記動物バイオリアクターの総肝細胞集団の少なくとも40%を構成する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記増殖した肝細胞を単離し、前記単離された増殖した肝細胞をさらなるエクスビボ操作に供することをさらに含み、任意選択で、前記エクスビボ操作が、肝細胞の増殖、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と共に前記単離された増殖した肝細胞を培養することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって産生された、増殖した肝細胞の集団。
【請求項21】
前記肝細胞が、前記少なくとも1つの薬剤を用いて培養されていない肝細胞生成細胞から産生された肝細胞よりも健康であり、生着がより良好であり、かつ/またはより増殖性である、請求項20に記載の増殖した肝細胞の集団。
【請求項22】
増殖したエクスビボで操作されたヒト肝細胞を含む、動物バイオリアクターまたはその肝臓であって、前記ヒト肝細胞が、前記動物バイオリアクターの肝臓細胞体積の40%超および/または前記動物バイオリアクターの肝臓肝細胞の40%超を構成する、動物バイオリアクターまたはその肝臓。
【請求項23】
1つ以上の肝疾患または肝障害の治療および/または予防を必要とする対象においてそれらを行う方法であって、前記対象に、先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって産生された増殖した肝細胞または請求項22に記載の動物バイオリアクターから単離されたヒト肝細胞を投与することを含む、方法。
【請求項24】
前記肝疾患が、慢性肝疾患または急性肝疾患である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記肝疾患が、肝硬変;慢性肝不全の急性憎悪(ACLF);薬物もしくは中毒による肝不全;先天性代謝性肝疾患;クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;尿素回路異常;急性肝不全;急性薬物誘発性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患;ならびに/またはアルコール摂取、薬物摂取、および/もしくはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記肝細胞が、門脈注入、臍帯静脈注入、直接脾臓カプセル注射、脾動脈注入、腹腔内注射、リンパ節注射を介して投与され、任意選択で、前記肝細胞が、カプセル化された肝細胞を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象における肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する1つ以上の薬剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上の薬剤が、1つ以上の抗体、1つ以上の小分子、および/または1つ以上の核酸を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの薬剤が、c-MET抗体を含み、任意選択で、前記c-MET抗体が、ヒト特異的である、請求項27または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の薬剤が、任意選択で前記肝細胞とともにおよび/または前記肝細胞とは異なる時間に、前記対象に1回、2回またはそれ以上投与される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
肝細胞生成細胞(例えば、ヒト肝細胞)、ならびに/または、肝細胞の成長、再生、生存および/もしくは生着を促進する少なくとも1つの薬剤を含み、任意選択で、先行する方法のいずれかを実行するための説明書を含む、キット。
【請求項32】
肝細胞を産生する方法であって、前記方法が、
肝細胞生成細胞を、増殖、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤とエクスビボで接触させることによって、前記細胞を操作する工程と、
生着に適した条件下で、前記エクスビボで操作された細胞をインビトロバイオリアクターに移植する工程と、
前記生着した細胞を増殖させ肝細胞を産生するのに適した条件下で前記インビボバイオリアクターを維持する工程であって、任意選択で、前記エクスビボ操作を欠く対応する方法と比較して、生着および/または再占領の効率を少なくとも10%増加させる、工程と、を含む、方法。
【請求項33】
前記操作が、前記肝細胞生成細胞および前記少なくとも1つの薬剤を含有する容器を撹拌することを含み、任意選択で、前記撹拌が、揺り動かすことを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記移植の前に、前記エクスビボで操作された細胞から前記少なくとも1つの薬剤を分離することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記分離が、前記少なくとも1つの薬剤を除去すること、および/または前記エクスビボで操作された細胞を単離することを含み、任意選択で、前記分離が、遠心分離および/または吸引を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項35】
前記増殖した肝細胞を単離することをさらに含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記産生された肝細胞が、ヒト肝細胞であり、任意選択で、前記肝細胞生成細胞が、初代ヒト肝細胞を含む、請求項32~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの薬剤が、成長因子受容体に特異的に結合するアゴニストを含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記アゴニストが、小分子または抗体を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記成長因子受容体が、c-METおよび/またはEGFRである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの薬剤が、c-METアゴニスト抗体および/またはEGFRアゴニスト抗体を含む、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記生着した細胞が、2~16週間の期間に渡り増殖される、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記増殖した肝細胞が、前記インビボバイオリアクターの総肝細胞集団の少なくとも50%を構成する、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記インビボバイオリアクターが、内因性肝損傷を含み、任意選択で、前記インビボバイオリアクターが、前記内因性肝損傷を含むように遺伝子改変されている、請求項32~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記インビボバイオリアクターが、免疫抑制され、任意選択で、前記インビボバイオリアクターが、免疫抑制されるように遺伝子改変されている、請求項32~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記インビボバイオリアクターが、FAH欠損、IL-2Rγ欠損、RAG1欠損、RAG2欠損、またはそれらの任意の組み合わせを含む、マウス、ラット、またはブタである、請求項32~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記インビボバイオリアクターが、FAH、RAG1、および/またはRAG2、ならびにIL-2Rγ欠損(FRG)を含む、げっ歯類またはブタである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
エクスビボで操作された肝細胞生成細胞の投与の前および/または後に、前記バイオリアクターにNTBCを投与することをさらに含む、請求項32~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、任意選択で前記インビボバイオリアクターの脾臓内注射、門脈内注射、または前記肝臓への直接注射を介して、前記インビボバイオリアクターの器官に投与される、請求項32~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記肝細胞生成細胞が、商業的供給源から得られるか、あるいは生きている対象もしくは死体から単離されたものであるか、またはインビトロで予め増殖された初代ヒト肝細胞であり、そして後にエクスビボ操作に供される、請求項32~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記エクスビボ操作が、前記インビボバイオリアクターに投与する前に、前記肝細胞生成細胞を前記少なくとも1つの薬剤と共に1分~2日間培養することを含む、請求項32~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
対象の肝疾患を治療する方法であって、前記方法が、
肝細胞を生成するエクスビボで操作された細胞を、インビボで生着および増殖するのに有効な量で前記対象に投与し、それにより対象の前記肝疾患を治療することを含む、方法。
【請求項52】
肝細胞生成細胞を、成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と接触させて、前記エクスビボで操作された細胞を生成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記対象に投与する前に、インビボバイオリアクター内で前記エクスビボで操作された細胞を増殖することをさらに含む、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記肝疾患が、肝硬変;慢性肝不全の急性憎悪(ACLF);薬物もしくは中毒による肝不全;先天性代謝性肝疾患;クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;尿素回路異常;急性肝不全;急性薬物誘発性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患;ならびに/またはアルコール摂取、薬物摂取、および/もしくはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪である、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記肝疾患が、遺伝性障害である、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記肝疾患が、肝不全を含む、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記肝疾患が、肝臓関連酵素欠損症を含む、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記肝疾患が、遺伝性チロシン血症である、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
任意選択で、前記エクスビボで操作された細胞を投与されていない同等の対象の生存と比較して、前記治療が、前記対象の少なくとも延長された生存をもたらす、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
肝疾患の治療のための、先行請求項に記載の方法またはシステムのいずれかによって産生された細胞の使用。
【請求項61】
肝疾患の治療における、請求項20または21に記載の細胞集団の使用。
【請求項62】
前記肝疾患が、肝硬変;慢性肝不全の急性憎悪(ACLF);薬物もしくは中毒による肝不全;先天性代謝性肝疾患;クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;尿素回路異常;急性肝不;急性薬物誘発性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患;ならびに/またはアルコール摂取、薬物摂取、および/もしくはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪である、請求項56または57に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月26日に出願された米国仮特許出願第62/879,142号および2020年3月26日に出願された米国仮特許出願第63/000,169号の利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、臨床使用のために肝細胞を産生および使用する方法を含む、ヒト肝細胞の分野にある。
【背景技術】
【0003】
ヒト肝細胞は、前臨床薬物開発中に製薬業界で広く使用されている。実際、それらの使用は、薬物開発の一環としてFDAによって義務付けられている。薬物代謝やその他の研究では、肝細胞は通常、死体の臓器提供者から分離され、試験が行われる場所に送られる。死体由来の肝細胞の状態(生存率と分化状態)は非常に多様であり、多くの細胞調製物は最低限の品質である。高品質なヒト肝細胞の入手可能性は、それらが組織培養で有意に増殖できないという事実によってさらに妨げられる(Runge et al.(2000)Biochem.Biophys.Res.Commun.274:1-3、Cascio et al.(2001)Organs 25:529-538)。プレーティング後、細胞は生存するが分裂せず、代謝機能を急速に失う。マウスなどの容易に入手可能な哺乳動物種から肝細胞は、代謝酵素の全容が異なり、誘導研究での反応が異なるため、薬物試験には適していない。不死のヒト肝臓細胞(肝細胞腫)または胎児肝芽細胞も、完全に分化した成体細胞の適切な代替品ではない。微生物学の分野での研究にも、ヒト肝細胞が必要である。肝炎を引き起こすウイルスなどの多くのヒトウイルスは、他の細胞型では複製できない。
【0004】
現在、同所性(orthotopic)肝移植は、肝疾患の唯一の利用可能な治療法であり続けている。しかしながら、高品質の肝臓の入手可能性が低いため、この治療は厳しく制限されている。ヒト肝細胞は培養中で有意に増殖することはできない。培養中の幹細胞に由来する肝細胞は未成熟であり、一般的に完全な機能を欠いている。したがって、今日使用されているすべての肝細胞は、死体または外科標本のいずれかのヒトドナーに由来し、それは肝細胞の利用可能性を大幅に制限する。最近、肝細胞を増殖させるための動物の使用(インビボバイオリアクターとしての動物)が記述されており、これはFAH、RAG-1またはRAG-2、およびIL-2Rγを欠損する(Fah-/-、Rag1-/-またはRag2-/-、Il2rg-/- [FRG])遺伝性チロシン血症1型の動物モデルを含む。例えば、米国特許第8,569,573号(マウス)、米国特許第9,000,257号(ブタ)、および米国特許出願第2016/0249591号(ラット)を参照されたい。しかしながら、現在、これらの動物バイオリアクターに移植された肝細胞の最大約15%しか、移植後に生存し生着(宿主肝臓で再占領)することができない。さらに、これらのFah欠損動物は、NTBC(2-ニトロ-4-トリフルオロ-メチル-ベンゾイル)-1,3シクロヘキサンジオン(ニチシノンとしても知られる)で処理して、チロシン異化経路を遮断し、フマルリアセトアセテートの蓄積を防ぐ必要がある。十分に特徴付けられた機能的な肝細胞の収量が低いため、これまで、バイオリアクターで増殖させたヒト肝細胞を使用したヒト移植は報告されていない。
【発明の概要】
【0005】
インビボバイオリアクターに移植されるヒト肝細胞の増強された再占領(repopulation)、生着(engraftment)、生存および/または増殖(expansion)のための方法ならびに組成物が、本明細書に開示される。また、ヒト対象における肝疾患の治療および/または予防における使用を含むがこれらに限定されない、様々な使用のためのこれらの増殖した肝細胞の単離された集団が本明細書に記載される。
【0006】
一態様では、肝細胞を産生する方法であって、肝細胞を生成するエクスビボで操作された細胞(例えば、幹細胞、肝細胞前駆細胞、肝細胞様細胞、成熟または幼若肝細胞など)を生きた動物に投与して、肝細胞生成細胞を動物内で増殖させ、増殖した肝細胞を動物から単離する方法が、本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、エクスビボ操作は、単離された肝細胞生成細胞(例えば、ヒト肝細胞)を、肝細胞の健康、成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と処理(インキュベート)して、任意の適切な動物バイオリアクター(例えば、ブタまたはげっ歯類などのFAH欠損動物を含むがこれらに限定されない遺伝子改変動物)に、処理した細胞を移植(例えば、脾臓または肝臓への注射)することを含む。ある特定の実施形態において、細胞が処理される少なくとも1つの薬剤は、抗体、例えば、少なくとも1つのc-MET(チロシンプロテインキナーゼMetまたは肝細胞成長因子受容体とも呼ばれる)および/または上皮成長因子(EGFR)抗体を含み、これは、ヒト細胞に特異的であるか、あるいは2つ以上の種と交差反応性であり得る。ある特定の実施形態において、10%超、15%超、40%以上、50%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、および90%以上の再占領率が動物バイオリアクターで達成される。ある特定の実施形態において、移植細胞に由来する肝臓細胞 対 内因性肝臓細胞の比は、1:1、2:1、3:1以上であり、これには、例えば、1:1以上、2:1以上、3:1以上、4:1以上、5:1以上、6:1以上、7:1以上、8:1以上、9:1以上、10:1以上などが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、動物バイオリアクターへの処理細胞の移植後に得られる再占領細胞は、未処理細胞の移植に由来する細胞よりも健康的である(任意の適切な定性的または定量的アッセイによって測定される)。ある特定の実施形態において、再占領は、数週間(例えば、2~16、2~14、または2~12週間またはそれらの間の任意の時間)、数ヶ月(1~12ヶ月またはそれらの間の任意の時間)または数年(1~5年以上)以内に達成される。ある特定の実施形態では、再占領率は、肝細胞生成細胞が肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤(例えば、1つ以上のc-METおよび/またはEGFR抗体)で移植前(および/または後)に処理されずに達成される率より数週間前(例えば、2~16、2~14、または2~12週間またはそれらの間の任意の時間)に達成される。
【0007】
エクスビボ操作のいずれの方法においても、肝細胞生成細胞(例えば、幹細胞、肝細胞前駆細胞、肝細胞様細胞、成熟または幼若肝細胞)は、商業的供給源から入手するか、または生きている対象もしくは死体から単離することができる。加えて、肝細胞生成細胞は任意の培地で培養することができ、いくつかの実施形態では、培養培地は、HBM肝細胞基礎培地およびHCM Single(商標)Quots(商標)キット(Lonza)の1:1混合物、5%FBS、および10uM ROCK阻害剤を含む。
【0008】
ある特定の態様では、本明細書に記載の肝細胞生成細胞のエクスビボ操作は、培養肝細胞へ、肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤(例えば、1つ以上のc-MET抗体)を加えることと、肝細胞と薬剤の混合物をある期間、例えば、1分~2日(またはそれらの間の任意の時間)、1~24時間(またはそれらの間の任意の時間)、1~4時間(またはそれらの間の任意の時間)を含む期間インキュベートすることと、を含む。ある特定の実施形態において、細胞(例えば、肝細胞)および薬剤(例えば、c-METおよび/またはEGFR抗体)は、1時間に渡り、任意でインキュベーション中に揺り動かしながらインキュベートされ、これは、肝細胞の薬剤への曝露を最大限化する一助となり得る。
【0009】
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が収集され、増殖のために適切な動物バイオリアクターに投与される。ある特定の実施形態において、動物バイオリアクターは、遺伝子改変動物、例えば、1つ以上の遺伝子標的がノックアウトおよび/またはノックダウンされる場合を含む、組換え改変された1つ以上の遺伝子標的を有する動物を含む。ある特定の実施形態において、複数の遺伝子が、動物バイオリアクターにおいて改変される(例えば、ノックダウンおよび/または活性化される)。ある特定の実施形態において、動物バイオリアクターは、フマリルアセトアセテートヒドロラーゼ(FAH)の産生または機能の欠失を与える遺伝子改変を含む。そのような動物は、fah欠損動物と呼ばれることがある(例えば、ラット、マウス、またはブタなどのFRG動物を含むが、これらに限定されない)。FAH欠損は、必ずしもfah遺伝子座の遺伝子改変を必要としない。例えば、いくつかの実施形態において、動物バイオリアクターは、改変された遺伝子がfah遺伝子ではなく、fah遺伝子発現を改変する遺伝子、例えば、fah発現を改変するfahの上流の遺伝子が改変された遺伝子改変動物を含む。肝細胞生成細胞は、任意の適切な手段を使用して、任意選択で動物バイオリアクターの脾臓内注射、門脈内注射、または肝臓への直接注射を介して、バイオリアクターに導入(移植、注射、移植など)することができる。ある特定の実施形態において、肝細胞生成細胞は、FRGブタ、ラットまたはマウスに移植される。場合によっては、処理された細胞を含む動物は、増殖期間中にNTBCをサイクルオン/オフさせることができる。少なくとも1つの薬剤(例えば、抗体)で処理された移植肝細胞生成細胞は、未処理の肝細胞(すなわち、本明細書に記載のエクスビボ操作を受けていない肝細胞)で移植された動物と比較して、動物バイオリアクター中で増加した(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)生存および/または生着、または移植を受けていない動物と比較して再占領率の増加を示すことができる。生着および生存の増加は、未処理の肝細胞の移植と比較して、生着した細胞が動物バイオリアクターで所定の再占領率に達するために必要な細胞サイクル/細胞分裂の数を減らす。理論に拘束されるものではないが、経た細胞周期/細胞分裂の数がより少ない一部の肝細胞は、より健康的で、より安定で、および/またはより耐久性がある(例えば遺伝的により安定および/または耐久性がある)肝細胞であり得、またはそのような子孫を生成し得る。細胞の健康、安定性および/または耐久性の様々な測定を使用して、そのような増加した安定性および/または耐久性を定量的または定性的に示すことができる(例えば、増殖した肝細胞がより長いテロメア長を示すこと、細胞増殖アッセイなど)。
【0010】
ある特定の実施形態において、エクスビボで操作された肝細胞生成細胞は、動物バイオリアクター中で、14~112日または28~112日(2または4~16週間)の期間、またはそれらの間の任意の時間、任意選択で14~56日または28~56日(2または4~8週間)増殖され、その後収穫(収集)される。ある特定の実施形態において、動物バイオリアクターで産生された肝細胞は、動物バイオリアクターへの移植後8週間までに採取され、その肝細胞は、動物において動物の総肝細胞集団の50%超、60%超、70%超、または80%~100%まで増殖(再占領)している。場合によっては、8週間までに収穫することで、さらなるNTBCサイクリング、および動物に劇的なストレスを与える可能性のある長いNTBCオフサイクル(14日または21日)が不要になる。理論に拘束されるものではないが、場合によっては、長いNTBCオフサイクルを省略することにより、動物バイオリアクターの健康が改善され、その結果、産生される肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)の健康、数、品質、安定性、および/または耐久性が改善され得る。
【0011】
ある特定の実施形態において、初代ヒト肝細胞が、動物(例えば、ラット、マウス、ブタ、ウサギなど)のバイオリアクターに投与(移植)され、任意選択で投与後4~16週間までに、動物の肝臓の少なくとも40%の再占領が達成される(例えばNTBCサイクリングを伴って)。FRG動物の肝臓から精製された再占領したヒト肝細胞は、インビトロで成熟した肝機能を示し、FRG動物(マウス、ラット、ブタ、ウサギなど)に移植した後のインビボでの効率的な生着と増殖を含め、ロバストなインビボ効力を示す。したがって、本明細書に記載のFRG動物バイオリアクターは、患者への移植に適した高品質の初代ヒト肝細胞を生成し、それにより、肝疾患を有する対象に治療上の利益(および肝臓移植の代替)を提供する。
【0012】
別の態様では、本明細書に記載の方法のいずれかは、動物バイオリアクターから収集された増殖した肝細胞のエクスビボ操作、例えば、肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤(任意選択で1つ以上のc-MET抗体)とともに上記増殖した肝細胞を培養(インキュベート)することをさらに含み得る。さらなるエクスビボ操作はまた、既知の技術を使用して肝細胞に1つ以上の遺伝子改変を導入することを含み得る。
【0013】
さらに別の態様では、本明細書に記載の方法のいずれかは、例えば、動物バイオリアクターから収集されさらなるエクスビボ操作に供される肝細胞をさらなる増殖のために同じまたは異なる動物バイオリアクターに導入することによる連続移植を実施するために、上記ステップを1回以上繰り返すことをさらに含み得る。この方法のステップは、1、2、3、4回またはそれ以上繰り返すことができる。
【0014】
別の態様では、必要とする対象において1つ以上の肝疾患または肝障害を治療および/または予防する方法が本明細書に記載され、この方法は、肝細胞を必要としている対象に増殖した肝細胞(動物から収集され、さらなるエクスビボ操作ありまたはなし)を投与することを含む。ある特定の実施形態では、全肝臓肝細胞質量の約1%~25%を表す1×10~5×10細胞/kgが、肝硬変、アルコール性肝炎、肝脳症、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)、薬物または中毒誘発性肝不全などの慢性肝疾患、および/または1つ以上の先天性代謝性肝疾患などを含むがそれに限定されない、様々なヒト肝疾患のための臨床での移植のために使用される。
【0015】
別の態様では、本明細書に記載されているエクスビボで操作された肝細胞を含む動物バイオリアクターが、本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、動物バイオリアクターは、fah欠損動物(例えば、ラット、マウスまたはブタ)である。ある特定の実施形態において、肝細胞を含む動物バイオリアクターは、NTBCによる処置(例えば、NTBCサイクリング)に供される。NTBCオフサイクルは、fah欠損動物に淘汰圧を与え、移植されたヒト肝細胞の再占領(生着、生存および/または増殖)を促進する。ある特定の実施形態において、50%超、60%超、70%超、または80%~100%のヒト肝細胞再占領率が、動物バイオリアクター中で生着、生存および/または増殖するエクスビボで操作された肝細胞によって動物バイオリアクターで達成される。ある特定の実施形態において、50~70%を超えるヒト肝細胞の再占領は、8~16(またはそれらの間の任意の値の)週までに達成され、例えば、8~12週間(またはそれらの間の任意の値)までに70%再占領する。例えば、図3Bを参照されたい。
【0016】
別の態様では、本明細書に記載されている方法を使用して産生された肝細胞の集団が本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、増殖した肝細胞の集団は、本明細書に記載のようにエクスビボで処理された(例えば、本明細書に記載の少なくとも1つの薬剤を用いて)肝細胞が投与された動物バイオリアクターから単離された肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)を含む。本明細書に記載の増殖した肝細胞を含む単離された集団は、対象における肝疾患のエクスビボ治療に使用することができ、および/またはエクスビボ治療として使用する前に、エクスビボでさらに操作することができる(例えば、本明細書に記載の方法のさらなるラウンドを介して)。肝細胞の集団を含むバイオリアクターおよび/または対象は、任意選択で、1つ以上の薬剤(例えば、本明細書に記載の1つ以上の薬剤)でさらに処理して、バイオリアクターおよび/または対象における細胞の生着および/または増殖をさらに増強することができる。ある特定の実施形態において、バイオリアクターおよび/または対象は、任意選択で、1つ以上のc-MET抗体(アゴニスト)を、本明細書で処理される肝細胞と連続して(任意の順序で)および/または同時に投与される。
【0017】
さらに別の態様では、ヒト対象において肝細胞を増殖させる方法が本明細書で提供され、この方法は、本明細書に記載の動物バイオリアクターで産生されたヒト肝細胞を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、肝細胞(本明細書に記載されるような肝細胞を含む組成物を含む)は、門脈注入を介して投与される。場合によっては、肝細胞は、臍帯静脈注入、直接脾臓カプセル注射、脾動脈注入、または腹腔内注射を介して投与され得る。本明細書に記載されるように得られた肝細胞は、対象への投与前にカプセル化されてもされなくてもよい。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、本明細書に記載の肝細胞は、移植された肝細胞の最大10%~15%がインビボで生着する、他の方法によって産生される肝細胞よりも効率的に対象に生着、生存および/または増殖する。ある特定の実施形態では、患者に移植された肝細胞の5%~50%超(またはそれらの間の任意の値)、60%超、70%超、または80%~100%が経時的に患者に生着、生存および/または増殖する。場合によっては、本明細書に記載の肝細胞は、他の方法よりも対象においてより効率的に、例えば少なくとも1.1倍多く(例えば、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、または少なくとも2.5倍多くを含む)生着、生存および/または増殖する。場合によっては、本明細書に記載の肝細胞は、他の方法よりも対象においてより効率的に、例えば少なくとも10%より効率的に(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、または少なくとも150%より効率的な場合を含む)生着、生存および/または増殖する。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、対象への投与後、任意の期間(2~16週間、2~14週間、2~12週間、1~12ヶ月、または1年以上を含むがこれらに限定されない)にわたって、本明細書に記載される肝細胞は、対象の肝臓内の総細胞数の少なくとも5%、少なくとも10%またはそれ以上を構成する。
【0018】
さらに別の態様では、必要とするヒト対象における肝疾患を治療および/または予防する方法が本明細書で提供され、この方法は、記載されるように、増殖したヒト肝細胞の集団を対象に投与することを含む。したがって、本明細書に記載の方法は、健康な肝細胞を提供することによって臨床での肝細胞治療に使用でき、独立した治療として使用でき、これは、生着および/または再占領プロファイルの強化により、新鮮なまたは凍結保存された肝細胞を使用する現在の方法より効率的な疾患治療および/または予防をもたらす。投与は、静脈内(例えば、門脈)、腹腔内、網嚢内、および/または1つ以上の器官または組織(例えば、肝臓、脾臓、リンパ節など)内への移植(transplantation)および/または植え付け(implantation)を含むがそれに限定されない任意の好適な経路であり得る。
【0019】
対象が関わる本明細書に記載の方法のいずれにおいても、方法は、対象における肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する1以上の薬剤(例えば、抗体、小分子、核酸(DNAおよび/またはRNA)など)の投与をさらに含み得る。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、c-MET抗体を含み、任意選択でヒト特異的であるc-MET抗体を含む。1つ以上の薬剤は、1回、2回またはそれ以上投与され得、肝細胞とともにおよび/または肝細胞とは異なる時間に投与され得る。
【0020】
さらに、増殖した肝細胞の対象への投与を含むエクスビボ方法のいずれも、例えば、任意の時間間隔(複数可)での本明細書に記載される増殖した肝細胞の反復投与(2、3、4、5、6、7回またはそれ以上の投与)を含め、方法の1つ以上のステップを繰り返すことをさらに含み得る。
【0021】
本明細書に記載の方法および組成物によって治療することができる疾患および障害には、クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;ならびに様々な尿素回路の欠陥;急性薬物誘発性肝不全の若年および成人患者を含む急性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;肝硬変を含む慢性肝疾患;以下の急性イベント:アルコール摂取、薬物摂取、および/またはB型肝炎の再燃のうちのいずれか1つを原因とする慢性肝不全の急性憎悪が含まれるが、これらに限定されない。したがって、本明細書に記載の方法および組成物を使用して治療および/または予防することができる肝疾患には、内因性肝細胞が損傷している/罹患している肝臓への移植後に、移植された(操作された)細胞が損傷しないかまたは損傷するとは予想されない肝疾患(「内因性肝疾患」とも呼ばれる)、ならびに、移植された(操作された)細胞と内因性肝細胞との両方が(例えば外因性因子による)損傷/疾患を受けるかまたはその影響を受け得る肝疾患(「外因性肝疾患」とも呼ばれる)、の両方の肝疾患が含まれる。
【0022】
肝細胞を産生する方法が本明細書に記載され、その方法は、肝細胞生成細胞を、成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤(例えば、c-METおよび/またはEGFRなどの成長因子受容体に特異的に結合するアゴニスト、任意選択で小分子または抗体)とエクスビボで接触させることによって肝細胞生成細胞(例えば、初代ヒト肝細胞)を操作することと、生着に適した条件下で、エクスビボで操作された細胞をインビボバイオリアクターに移植することと、生着した細胞を、バイオリアクター内で増殖した肝細胞集団へと増殖させるのに適した条件下でインビボバイオリアクターを維持し、任意で、エクスビボ操作を欠く対応する方法と比較して、増殖した細胞の生着および/または再占領効率を少なくとも10%増加させることと、を含む。ある特定の実施形態において、肝細胞生成細胞および少なくとも1つの薬剤は、容器内に含まれ、インキュベーションは、容器を撹拌することを含み、任意選択で、撹拌は、揺り動かしを含む。本明細書に記載の方法のいずれかは、例えば、(任意選択で遠心分離および/または吸引によって)少なくとも1つの薬剤を除去することによって、および/または、エクスビボで操作された細胞を単離することによって、移植前に、エクスビボで操作された細胞から少なくとも1つの薬剤を分離することをさらに含む。本明細書に記載の方法のいずれも、増殖した肝細胞を(例えば、バイオリアクターから)単離することをさらに含み得る。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、生着した細胞は、約2~16週間の間のいずれかの期間にわたって増殖される。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、増殖した肝細胞は、インビボバイオリアクターの総肝細胞集団の少なくとも50%を構成する。インビボバイオリアクターは哺乳動物であり得、任意選択で内因性肝損傷を有し得、および/または免疫抑制され得、任意選択で、FAH欠損、IL-2Rγ欠損、RAG1欠損、RAG2欠損、またはそれらの任意の組み合わせを含むマウス、ラットまたはブタのバイオリアクター(例えば、FAH、RAG1および/またはRAG2、およびIL-2Rγ欠損(FRG)を含むげっ歯類またはブタ)であり得る。
【0023】
本明細書に記載されるさらに別の態様は、対象の肝疾患を治療する方法であって、この方法は、肝細胞を生成するエクスビボで操作された細胞を、インビボで生着および増殖するのに有効な量で対象に投与し、それによって対象の肝疾患を治療することを含む。エクスビボで操作された細胞は、例えば、肝細胞生成細胞を、成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤とインキュベートし、エクスビボで操作された細胞を対象への投与前にインビボバイオリアクターで増殖させることによる、本明細書に記載の方法またはシステムのいずれかによって生成される。治療できる肝疾患には、遺伝性疾患、肝不全、酵素欠損症を原因とする肝疾患(肝硬変、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)、薬物または中毒による肝不全、先天性代謝性肝疾患、クリグラー・ナジャー症候群1型、家族性高コレステロール血症、第VII因子欠乏症、第VIII因子欠乏症(血友病A)、フェニルケトン尿症(PKU)、糖原病I型、乳児レフサム病、進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型、遺伝性高チロシン血症1型、尿素回路異常、急性肝不全、急性薬物誘発性肝不全、ウイルス誘発性急性肝不全、特発性急性肝不全、キノコ中毒による急性肝不全、術後急性肝不全、妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全、アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患、および/またはアルコール摂取、薬物摂取および/またはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪が含まれるが、これらに限定されない)が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。本明細書に記載の方法のいずれも、任意選択でエクスビボで操作された細胞を投与されない(任意選択で、本明細書に記載されるようにエクスビボ操作されていない細胞を投与される)比較可能な対象の生存と比較して、対象の延長された生存をもたらし得る。
【0024】
本明細書に記載の方法のいずれかによって生成された細胞(およびこれらの細胞を含む組成物)を含め、本明細書に記載の細胞(例えば、細胞の集団およびこれらの細胞を含む組成物)の、肝疾患の治療のための使用も提供され、これは1つ以上の肝疾患の治療のための医薬の調製における使用を含み、疾患は、遺伝性疾患、肝不全、酵素欠損症を原因とする肝疾患(肝硬変、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)、薬物または中毒による肝不全、先天性代謝性肝疾患、クリグラー・ナジャー症候群1型、家族性高コレステロール血症、第VII因子欠乏症、第VIII因子欠乏症(血友病A)、フェニルケトン尿症(PKU)、糖原病I型、乳児レフサム病、進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型、遺伝性高チロシン血症1型、尿素回路異常、急性肝不全、急性薬物誘発性肝不全、ウイルス誘発性急性肝不全、特発性急性肝不全、キノコ中毒による急性肝不全、術後急性肝不全、妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全、アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変および/またはB型肝炎の再燃を含む慢性肝疾患、および/またはアルコール摂取、薬物摂取を原因とする慢性肝不全の急性憎悪、が含まれるが、これらに限定されない)が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0025】
さらに別の態様では、肝細胞生成細胞(例えば、ヒト肝細胞)、および/または、肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤を含むキットが本明細書で提供され、これは任意で、本開示の方法を実行し本明細書に記載の組成物を製造するための説明書を含む。ある特定の実施形態において、肝細胞は、本明細書に記載されるように増殖された肝細胞である。
【0026】
これらおよび他の態様は、開示全体に照らして、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】Lee et al.(2015)Immunotargets Ther.4:35-44から改作された、HGF/c-METシグナル伝達経路を示す模式図である。図で使用されている略語は次のとおりである:「AKT」はAk strain transformingを指す(プロテインキナーゼB)。「c-MET」は間葉上皮移行因子を指す(肝細胞増殖因子受容体)。「GRB2」は成長因子受容体結合タンパク質2を指す。「GAB1」は、GRB2関連結合タンパク質1を指す。「HGF」は肝細胞増殖因子を指す。「mTOR」は、哺乳類のラパマイシン標的を指す。「MAPK」はマイトジェン活性化プロテインキナーゼを指す。「PI3K」はホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼを指す。「STAT3」は、シグナル伝達兼転写活性化因子3を指す。
【0028】
図2図2A図2Fは、c-METアゴニスト抗体を用いた初代ヒト肝細胞(PHH)のエクスビボ操作を描写し、これはFRGマウスにおける生着および増殖のレベルの増加をもたらしている。図2Aは、c-MET抗体操作を伴う(白丸)または伴わない(影付きの円)初代ヒト肝細胞の移植の1週間後のFRGマウス肝臓におけるFAH陽性(FAH+)ヒト肝細胞のパーセントを示す。各データポイントは1匹の動物を表す。図2Bは、移植後1週間の示された条件のFRGマウス肝臓のFAH免疫組織化学イメージングの例を示す。FAH+ヒト肝細胞のダブレットは、c-MET抗体で処理された肝細胞を移植された肝臓においてのみ、2週間の時点で観察された。左の画像はC-MET抗体で処理されていない細胞の移植後の結果を示し(「Abなし対照」)、右の画像はc-MET抗体で処理された細胞の移植後の結果を示す(「c-MET Ab」)。図2Cは、c-MET抗体で処理した(白丸)または処理なしの(影付き丸)細胞の移植後2週間のFRGマウスのFAH陽性ヒト肝細胞のパーセント(上のグラフ)、および血中で測定されたヒトアルブミンレベル(下のグラフ)を示す。各データポイントは1匹の動物を表す。図2Dは、移植後2週間での示された条件のFRGマウス肝臓のFAH免疫組織化学の例を示す。図2Eは、移植後4週間のFRGマウスのFAH陽性ヒト肝細胞のパーセント(上のグラフ)と血中で測定されたヒトアルブミンレベル(下のグラフ)を示す。各データポイントは単一の動物を表す(影付きの円はc-MET抗体で処理されていない細胞を受けた対照動物を示し、白抜きの四角はc-MET抗体で処理された細胞を受けた動物を示す)。図2Fは、移植後4週間の、示された条件の細胞を投与されたFRGマウス肝臓のFAH免疫組織化学の例を示す。上の画像はC-MET抗体で処理されていない細胞の移植後の結果(「Abなし対照」)を示し、下の画像はc-MET抗体で処理された細胞の移植後の結果(「c-MET Ab」)を示す。
【0029】
図3】FRGマウスにおける再占領レベルの増加につながる、c-METアゴニスト抗体による初代ヒト肝細胞のエクスビボ操作を示す。FRGマウスにおける肝細胞産生の現在の方法は、移植後4週間で約1%未満の肝臓再占領(例えば、約20~50μg/mLのヒトアルブミン(hALB))に相当する移植後細胞生着レベル、および約8週間後での約1~5%の肝臓再占領率(例えば、200~500μg/mL hALB)を伴う。FRGマウスは、約20~95%の肝臓再占領に達することが観察されている(例えば、2000~5000+ μg/mL hALB)が、この範囲は通常、約12週間以上経過するまで取得されない。図3は、示されるように処理された細胞を投与されたマウスから採取された肝臓切片の例示的なFAH免疫組織化学による、FRGマウス肝臓における移植後8週間でのFAH+ヒト肝細胞の再占領を示す。比較のために、左のパネル(「Abなし対照」)は、移植前に現行の方法を使用して(すなわち、本明細書に記載のエクスビボ操作なしで)処理されたヒト肝細胞で移植されたFRGマウス肝臓を示す。中央のパネル(「c-MET Ab_1」)および右のパネル(「c-MET Ab_2」)は、本明細書に記載のように移植前にエクスビボで操作されたヒト肝細胞を移植したFRGマウス肝臓の結果を示す。具体的には、肝細胞は、示されているように2つの異なるc-METアゴニスト抗体(すなわち、「Ab_1」または「Ab_2」)のうちの1つで処理された。また、各パネルの下には、マウス肝臓で再占領したFAH+ヒト肝細胞のパーセンテージ(IHCで評価)と血中で測定したヒトアルブミンレベル(ELISAで評価)が示されている。示されるように、本明細書に記載の肝細胞のエクスビボ操作は、本明細書に記載のようなエクスビボ操作に供されなかった肝細胞を受けた動物における約17%未満の再占領と比較して、移植された肝細胞による約90%の再占領をもたらした。また、c-MET抗体で処理されていない肝細胞を受けた対照動物と比較して、エクスビボで操作された肝細胞を受けた動物ではヒトアルブミンレベルが有意に増加したことも示されている。
【0030】
図4】EGFRアゴニスト抗体を用いた初代ヒト肝細胞のエクスビボ操作が、FRGマウスにおける生着および増殖のレベルの増加をもたらすことを示すグラフを示す。本明細書に記載のEGFRアゴニスト抗体によるエクスビボ操作に(示されているように)供されたまたは供されなかったヒト肝細胞の移植後4週間(左のグラフ)および8週間(右のグラフ)のFRGマウスの血液から測定されたヒトアルブミンレベル。各グラフは、EGFR抗体で処理されていない細胞の移植後の結果(「Abなし対照」)と、EGFR抗体で処理された細胞の移植後の結果(「EGFR Ab」)を示す。各データポイントは1匹の動物を表す。
【0031】
図5】c-METおよびEGFRアゴニスト抗体の両方での初代ヒト肝細胞のエクスビボ操作がFRGマウスにおける生着および増殖のレベルの増加につながることを示すグラフを示す。抗体で処理されていないヒト肝細胞(「Abなし対照」とラベル付けされた影付きの円)、c-MET抗体のみ(「c-MET Ab」とラベル付けされた白丸)またはc-METおよびEGFR抗体(「c-MET+EGFR Ab」とラベル付けされた破線輪郭の白丸)でエクスビボ操作されたヒト肝細胞を移植されたFRGマウスにおける、移植後2週間の、FAH陽性ヒト肝細胞のパーセント(左のグラフ)および血中で測定されたヒトアルブミンレベル(右のグラフ)が提供されている。各データポイントは1匹の動物を表す。グループ間のt検定:*p<0.05;**p<0.01。
【0032】
図6】げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)バイオリアクターにおける、本明細書に記載の肝細胞の例示的なエクスビボ操作を示す概略図。示されるように、ヒト肝細胞は、げっ歯類バイオリアクターへの移植の前および/または後に、エクスビボで操作され得る。バイオリアクターでの増殖に続いて、場合によっては、増殖した肝細胞を、対象(例えば、成人および/または小児の対象を含む)に投与し得る。示されているように、肝細胞は、さらなる増殖のために動物バイオリアクターに連続的に移植されてもよいし、されなくてもよい(エクスビボ操作の追加ラウンドの有無にかかわらず)。また、肝疾患などの状態について対象を治療するために、増殖した肝細胞を必要とする対象(例えば示されるようにヒト対象)に投与する前に実行されてもされなくてもよいエクスビボ操作も示されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
同所性肝移植は、依然として肝疾患の唯一の治癒的治療法である。肝細胞移植は、急性および慢性肝疾患の潜在的な代替療法ではあるが、高品質の肝臓の入手可能性が低く、肝臓から得られる収量が低いため、機能的な肝細胞を得るのは困難である。
【0034】
様々な目的のために肝細胞を産生する(増殖させることを含む)方法が本明細書で開示される。場合によっては、本発明の方法は、同所性肝移植に適したヒト肝細胞を含む、肝細胞を必要とする対象への移植に適したヒト肝細胞の産生および/または増殖を提供する。本明細書に記載の方法に従って産生されたヒト肝細胞を含め、肝細胞は、注入前に精製され、凍結保存され、および/または詳しく特徴付けられ得る。他の使用法もあるが、本明細書に記載の方法に従って産生された肝細胞は、1つ以上の重度の肝疾患を有する患者のためのオンデマンド治療を提供し得る。
【0035】
本明細書に記載の方法に従って産生および/または増殖した肝細胞を含む組成物も本明細書に提供される。本明細書に記載の組成物および方法は、いくつかの実施形態において、1つ以上の肝障害を有する患者への移植に適したヒト肝細胞を含み、産生する。場合によっては、本明細書に記載されるように、対象に投与される組成物は、対象内でそのような細胞の生着および/または増殖を増強するためにエクスビボで操作された肝細胞生成細胞を含む。場合によっては、本明細書に記載されるように、対象に投与される組成物は、バイオリアクター内でのそのような細胞の生着および/または増殖を増強するためのエクスビボ操作に続いてインビボバイオリアクターにおいて増殖された肝細胞の集団を含む。したがって、生着および/または増殖を増強するためのエクスビボ操作は、本明細書に記載のプロセスの様々な時点(例えば、バイオリアクターでの増殖前、対象への移植前、バイオリアクターでの増殖前と対象への移植前との両方、などを含む)においてで利用され得る。
【0036】
本明細書に記載の方法は、場合によっては、インビボバイオリアクターにおける外因性肝細胞の増殖を含み、その外因性肝細胞が宿主肝臓に再占領して、40%超、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上の再占領率に達する場合を含む。場合によっては、再占領された肝臓(例えば、FGRげっ歯類肝臓)は、80%を超える再占領した肝細胞(例えば、85%以上、90%以上、95%以上を含む)を含み得るが、100%の再占領は、外因性の移植された肝細胞生成細胞に完全に由来する(すなわち、宿主由来の肝細胞を欠く)肝細胞集団を有する肝臓を表す。さらに、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、現在の方法よりも迅速に大量のこれらのヒト肝細胞を産生し、これは、例えば移植後8週間で達成される再占領率が20%未満である現在の方法と比較して、8週間までに40%、60%、80%またはそれ以上の再占領率を達成することを含む。したがって、この開示は、肝疾患(複数可)を有する患者の治療のための、十分に特徴付けられた、成熟した、機能的なヒト肝細胞の供給源を提供する。
【0037】
一態様では、本明細書に開示されるのは、肝細胞の産生、特に動物バイオリアクターへの肝細胞生成細胞の移植後のヒト肝細胞の増殖のための組成物および方法である。
【0038】
本開示は、現在使用されているプロトコルおよび組成物と比較して、有意かつ予想外の利点を提供し、その利点は以下のことを含むがこれらに限定されない:(1)動物バイオリアクター(例えば、FRG動物)内の肝細胞の生存、生着、および/または再占領を顕著に増強する;(2)動物において最適な(70~90%)再占領を達成するために必要な時間を短縮する(それにより、動物施設および/または動物に投与される試薬に関連するコストを削減する);(3)移植に必要な肝細胞の数を減らす(肝細胞の取得に関連するコストを削減する);(4)動物バイオリアクターでのNTBCサイクリングの必要性を減らす(それにより、動物バイオリアクターの健康と得られる肝細胞の質を改善する);(5)クローン増殖中の細胞分裂の数を減らすことにより、バイオリアクターで増殖した肝細胞の増殖能を保持する;(6)動物バイオリアクターからの必要とされる細胞精製の量を減らす(例えば、収穫時にバイオリアクターに存在する所望細胞のパーセンテージを増やすことによって);(7)動物バイオリアクターから精製された肝細胞の品質(例えば、細胞のアルブミン産生レベル、細胞生存率アッセイ、および/または精製された細胞の蒔種能力によって決定されるもの)を向上させる;および/または(8)肝臓再生を促進するための抗体の繰り返し投与によって患者を直接処置することにより、肝疾患に対する単独抗体療法としての可能性を提供する;(9)バイオリアクターおよび臨床におけるヒト肝細胞の再占領をさらに改善するために、エクスビボ操作および薬剤のインビボ投与を組み合わせる可能性を提供する;および/または(10)エクスビボで操作された肝細胞生成細胞を受ける対象における再占領の増加を特徴とする肝疾患の改善された細胞治療が、治療結果の向上をもたらす。
【0039】
したがって、エクスビボ操作として本明細書に記載されている方法および組成物は、動物(例えば、げっ歯類またはブタ)バイオリアクターにおけるヒト肝細胞の再占領を改善することができる。加えて、バイオリアクターからの単離後、本明細書に記載の方法によって産生された肝細胞は、増加した機能性および再占領効率を示し、肝疾患の治療および/または予防のためにヒト対象に投与された場合に一致する改善を提供する。
【0040】
概説
本明細書に開示される方法の実施、ならびに組成物の調製および使用は、特に明記しない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造および分析、計算化学、細胞培養、組換えDNAおよび当業者の関連分野における従来の技術を使用する。これらの手法は、文献で完全に説明されている。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989 and Third edition,2001、Ausubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York,1987 and periodic updates、the series METHODS IN ENZYMOLOGY,Academic Press,San Diego、およびMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999、を参照されたい。
【0041】
定義
本明細書で使用される「バイオリアクター」、「動物バイオリアクター」、および「インビボバイオリアクター」という用語は、一般に、肝細胞生成細胞などの外因性細胞が生着および増殖のために導入される、生きている非ヒト動物であって、それによって導入された細胞から生成された(肝細胞の増殖された集団のような)細胞および/またはそれらの子孫の増殖された集団を生成するものを表す。肝細胞生成細胞などの外因性細胞のバイオリアクターへの導入は、一般に異種移植を含み、したがって、移植された外因性細胞は、場合によっては、異種移植片、例えば、ヒトからげっ歯類への異種移植片、ヒトからマウスへの異種移植片、ヒトからラットへの異種移植片、ヒトからブタへの異種移植片、マウスからラットへの異種移植片、ラットからマウスへの異種移植片、げっ歯類からブタへの異種移植片などと呼ばれることがある。場合によっては、例えば、げっ歯類からげっ歯類、ブタからブタなどの同種移植など、バイオリアクターへの同種移植を実施することができる。本明細書でより詳細に論じられるように、バイオリアクターは、外因性肝細の生着および/または増殖を促進するために、導入された外因性肝細胞生成細胞などの導入された外因性細胞に選択的優位性を与えるように(例えば遺伝子的および/または薬理学的に)構成され得る。バイオリアクターは、場合によっては、例えば、本明細書でより詳細に説明されるような遺伝子的および/または薬理学的免疫抑制を含むがこれらに限定されないことを通して、導入された外因性細胞の拒絶を防ぐように構成され得る。
【0042】
「エクスビボ」という用語は、生物から得られた試料(例えば、組織または細胞など)内または試料上で行われる取り扱い、実験および/または測定を指すために使用され、その取り扱い、実験および/または測定は、生物の外環境で行われる。したがって、細胞に適用されるとき「エクスビボ操作」という用語は、細胞の培養、細胞への1つ以上の遺伝子改変の実施、および/または、細胞が生物(例えば、動物バイオリアクターまたはヒト対象)に戻されたときに成長、再占領、生存および/または生着を促進する1つ以上の薬剤に細胞を曝露することを含むがこれらに限定されない、生物外での細胞(例えば、肝細胞)の取り扱いを指す。したがって、エクスビボ操作は、例えば、そのような細胞が動物またはその器官(例えば、肝臓)から得られた後、かつそのような細胞が動物(例えば動物バイオリアクターまたはそれを必要とする対象など)に移植される前に、動物の外で行われる細胞の処理を指すために本明細書で使用され得る。「エクスビボ」とは対照的に、本明細書で使用される「インビボ」という用語は、対象内での細胞の生成および/または対象への細胞の移植により、動物またはその器官内にある細胞、例えば、対象またはその肝臓内にある細胞(例えば、肝細胞)を指し得る。
【0043】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸が対応する天然アミノ酸の化学的類似体または改変誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0044】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質(またはタンパク質複合体)を指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、および無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はカッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、順に免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEをそれぞれ定義する。
【0045】
基本的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、一般的に四量体である。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアで構成され、各ペアは1つの「軽」(約25kDa)鎖および1つの「重」(約50~70kDa)鎖を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100~110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。「可変軽鎖」(V)および「可変重鎖」(V)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクトな免疫グロブリン、ならびにいくつかの十分に特徴付けられたフラグメントを含む。例えば、標的タンパク質(またはタンパク質もしくは融合タンパク質内のエピトープ)に結合するFab、Fv、および単鎖Fv(scFv)も、そのタンパク質(またはエピトープ)の特異的結合剤になる。これらの抗体フラグメントは次のように定義される:(1)Fab、抗体全体を酵素パパインで消化してインタクトな軽鎖と1本の重鎖の一部を生成することによって生成される抗体分子の一価の抗原結合フラグメントを含むフラグメント、(2)Fab’、抗体全体をペプシンで処理し、続いて還元して、インタクトな軽鎖および重鎖の一部を生成することによって得られる抗体分子のフラグメントであり、抗体分子ごとに2つのFab’フラグメントが得られる、(3)(Fab’)、抗体全体を酵素ペプシンで処理した後、還元せずに得られた抗体のフラグメント、(4)F(ab’)2、2つのジスルフィド結合によって結合された2つのFab’フラグメントの二量体、(5)Fv、2本の鎖として表される、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含む遺伝子操作されたフラグメント、(6)単鎖抗体、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された分子であり、遺伝子的に融合された単鎖分子として適切なポリペプチドリンカーによって連結されたもの。これらのフラグメントを作成する方法はルーチンである(例えば、Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,CSHL,New York、1999を参照)。
【0047】
抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。単なる例として、モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilsteinの古典的方法(Nature 256:495-97、1975)またはその派生的方法に従ってマウスハイブリドーマから調製することができる。モノクローナル抗体産生の詳細な手順は、Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,CSHL,New York、1999に記載されている。抗体はまた、例えば、ラクダ重鎖のみの抗体、ナノボディなどの、「重鎖のみ」の抗体またはその誘導体であり得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される、用語「ナノボディ」は、例えば、VHHおよび定常領域(例えば、C2およびC3)を含み得る天然重鎖抗体から誘導されるような、最小の抗原結合フラグメントまたは単一可変ドメイン(VHH)を指す。ナノボディは、ポリペプチド軽鎖を欠く免疫グロブリンが見いだされるラクダ科動物に見られる、重鎖のみの抗体に由来し得る(例えば、Hamers-Casterman et al.,1993,Desmyter et al.,1996を参照)。「ラクダ科」は、旧世界のラクダ科(Camelus bactrianusおよびCamelus dromedarius)と新世界のラクダ科(例えば、Llama paccos、Llama glama、Llama guanicoe、Llama vicugna)を含む。重鎖抗体はまた、例えば、IgNAR抗体などの軟骨魚類抗体およびVNARフラグメントなどのそのフラグメントから得られるか、またはそれらに由来し得る。単一ドメイン抗体(sdAb)は、ナノボディまたはVHH抗体と呼ばれることがあり、そのような抗体は、例えば、重鎖抗体から、多鎖抗体の操作から(例えば、マウス、ウサギ、またはヒト抗体など)、VHドメインライブラリーなどのスクリーニングからなどを含む様々な方法により誘導され得る。
【0048】
「試料」および「生物学的試料」という用語は、末梢血、血清、血漿、脳脊髄液、骨髄、尿、唾液、組織生検、外科標本、検視材料などの対象の細胞、組織または体液から得られた材料を指す。試料はまた、肝臓組織試料などであるがこれに限定されない組織試料を指す場合もある。組織試料は、例えば、外科的切除、切片化、均質化、解離、精製などを含むがこれらに限定されない様々な技術に従って、例えば、インタクトな組織として、組織切片として、均質化された組織として、組織から得られた解離および/または精製された細胞としてなど、様々な状態で保持および/または利用され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、例えば増殖したヒト肝細胞を指す場合における「収集する」という用語は、本明細書に記載される、単離されたヒト肝細胞または他の肝細胞生成細胞を注射または移植された動物(例えば、マウス、ラット、またはブタのバイオリアクター)から、増殖した肝細胞を取り出すプロセスを指す。場合によっては、細胞の移植を受ける非ヒト動物、例えば、エクスビボで操作された細胞は、レシピエント動物と呼ばれることもある。場合によっては、移植、例えば、増殖肝細胞の移植を受けるヒト対象は、治療対象、レシピエントなどと呼ばれることがある。収集には、任意選択で、例えば非肝臓細胞タイプ(例えば、血液細胞、肝外免疫細胞、血管細胞など)、非肝細胞(non-hepatocyte)肝臓細胞(例えば、肝星状細胞、Kupffer細胞、および肝臓類洞内皮細胞)を含むがこれらに限定されない他の細胞タイプから肝細胞を分離することが含まれる。
【0050】
本明細書で使用される、「凍結保存」とは、77Kまたは-196℃(液体窒素の沸点)などの低氷点下に冷却することにより保存または維持されている、細胞(例えば、肝細胞など)または組織を指す。これらの低温では、細胞死につながる生化学反応を含むあらゆる生物活性が効果的に停止される。凍結保存および凍結保存細胞の解凍の有用な方法、ならびにそれに関連するプロセスおよび試薬には、例えば、米国特許第10370638号、同第10159244号、同第9078430号、同第7604929号、同第6136525号、および同第5795711号に記載されているものが含まれるが、これらに限定されず、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。対照的に、本明細書で細胞に関して使用される「新鮮な」という用語は、凍結保存されておらず、例えば、対象またはその器官からの収集後に直接得られ、および/または使用される(例えば、移植される、培養されるなど)細胞を指し得る。
【0051】
「生存」という用語は、動物への移植後も生存し続ける細胞を指すために使用され、典型的には、動物への細胞の投与(例えば、注射)後に生着する細胞を含む。細胞の生存は、直接評価(例えば、目的の細胞を含むまたは含むと予想される試料における細胞生存率の定性的または定量的測定など)および間接的評価(例えば、動物またはヒト対象における生細胞の存在の1つ以上の機能的結果の定性的または定量的な測定など)を含む様々な方法を使用して評価することができる。細胞(例えば、肝細胞)の生存の有用な直接的および間接的な読み取りには、細胞の計数(例えば、血球計算盤、免疫組織化学、フローサイトメトリーなどによる)、分泌因子またはバイオマーカーの測定(例えば、タンパク質(例えば、例えば、アルブミン)ELISA、ウエスタンブロットなどによる)、レシピエントの健康を評価する(例えば、バイタル、機能試験(例えば、肝機能試験)などを測定することによって)などが含まれるが、これらに限定されない。「生存」という用語はまた、対象(例えば、肝疾患を有する対象またはその動物モデル)が、例えば、対象への細胞(例えば、肝細胞)の投与または移植、対象への疾患(例えば、肝疾患)を引き起こす薬剤の投与、疾患(例えば肝疾患)の発症を阻害、遅延、回避または防止する薬剤の中止などの、何らかの治療、介入、および/またはチャレンジの後に生存し続ける時間の長さを指すために本明細書で使用される。生存率は、対象を指す場合、何らかの治療、介入、および/またはチャレンジの後に一定期間生存する集団(例えば、対照群または治療群)の割合(例えば、パーセンテージ)で表すこともできる。生物医学技術の当業者は、生存が本明細書において細胞または対象に関係する場所を容易に識別するであろう。
【0052】
「生着」という用語は、動物への細胞または組織の植え付け(implantation)を指す。本明細書で使用される場合、レシピエント動物におけるヒト肝細胞の生着は、投与(例えば、注射)後にレシピエント動物においてヒト肝細胞が(例えば肝臓に)植え付けられた状態になるプロセスを指す。ある条件下で、移植されたヒト肝細胞は、レシピエント動物において増殖することができる。本明細書で使用される場合、ヒト肝細胞を「増殖する」という用語は、ヒト肝細胞の数が増加するように細胞分裂が起こることを可能にするプロセスを指す。「インビボ増殖」という用語は、生体宿主内で外因性細胞の数が増加するように、生きている宿主(例えば、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)ブタバイオリアクター、ラットバイオリアクターなどなどの非ヒト動物バイオリアクター)内で外因性細胞の細胞分裂が起こることを可能にするプロセスを指す。例えば、非ヒト動物バイオリアクターに移植されたヒト肝細胞は、バイオリアクター内のヒト肝細胞の数が増加するように、バイオリアクター内でインビボ増殖し得る。
【0053】
「再占領」という用語は、一般に、動物(例えば、バイオリアクターおよび/または対象)への導入後に生着し、生存し、かつ増殖する細胞を指す。したがって、この用語は、動物の肝臓で拡張および増殖するヒト肝細胞を含め、動物において拡張および増殖する生着細胞を包含する。再占領、およびその増強は、効率の観点で記述され得、それは例えば、増強された再占領動態を有する細胞が、生着、細胞生存、増殖、またはそれらのいくつかの組み合わせの改善(複数可)の結果として生じ得る再占領効率の増加を有すると言われ得る場合を含む。再占領は、動物への投与後の比率として、例えば、総肝臓細胞のパーセンテージまたはその亜集団のパーセンテージ(例えば、総肝細胞のパーセンテージ)として、および/または、総肝臓体積のパーセンテージとして表され得る。特に移植された肝細胞に関して、再占領のレベルは、特に明記しない限り、一般に、宿主肝臓細胞またはその亜集団(例えば宿主肝細胞)に対する、移植に由来して宿主肝臓に存在する肝細胞(すなわち、生存し生着した移植細胞およびその子孫)の比率を指す。この比率はパーセンテージで表すことができ、例えば、50%の再占領は、半分が移植由来で半分が宿主由来の細胞で構成される宿主肝臓を表し、100%の再占領は移植由来のみの肝細胞の宿主肝臓を表する。あるいは、この比率は、移植細胞に由来する細胞 対 内因性細胞に由来する細胞の比率(例えば、1:1、2:1、3:1など)として表され得る。再占領は、通常、2~16週間、2~14週間、または2~12週間(またはそれらの間の任意の時間)、1~12ヶ月(またはその間の任意の時点)、または1年以上、が含まれるが、これらに限定されない、細胞が動物に生着および増殖するのに十分な期間の後に決定される。場合によっては、再占領は、移植後2~6週間、6~12週間、4~8週間、6~10週間、8~12週間、10~14週間、12~16週間、14~18週間、2~4週間、2~6週間、6~8週間、8~10週間、10~12週間、12~14週間、14~16週間、16~18週間、18~20週間、1~2週間、2~3週間、3~4週間、4~5週間、5~6週間、6~7週間、7~8週間、8~9週間、9~10週間、10~11週間、11~12週間、12~13週間、13~14週間、14~15週間、15~16週間、17~18週間、18~19週間、19~20週間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、または約20週間で測定される。場合によっては、例えば、第1のグループ(例えば、エクスビボで操作された細胞を受けるグループ)における再占領が、第2のグループ(例えば、エクスビボで操作されない細胞を受けるグループ)と比較される場合の再占領は、例えば、移植後1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、または20週間またはそれ以上までのある時点で少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、またはそれ以上の特定のレベルに到達したこととして表現され得る。
【0054】
再占領は、直接的および間接的な評価を含む様々な方法を使用して評価することができる。有用な直接評価には、例えば、そのような細胞を含む、またはそのような細胞を含むと予想される試料中の外因性由来細胞の存在の定性的または定量的測定が含まれ得る。細胞、特に場合によっては肝細胞に関して本明細書で使用される「外因性由来」という用語は、集合的に、宿主生物に移植された細胞ならびにそのような移植された細胞の子孫を指す。したがって、外因性由来細胞は、宿主に移植された最初の肝細胞生成細胞、ならびにそのような細胞の増殖中に産生された肝細胞を指し得る。外因性由来細胞は、例えば、その外因性由来細胞に特異的に存在または発現する遺伝子または遺伝子産物(例えば、FAH欠損(例えばfah-/-)宿主に移植された細胞で発現されるfah遺伝子、FAH mRNA、またはFAHタンパク質など)の染色または標識を含むがこれらに限定されない様々な方法によって同定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、再占領のレベルは、肝臓またはその試料中の細胞または肝細胞の総量(例えば、カウンター染色、核および/または細胞質の標識/計測等によって決定される)に対する、肝臓またはその試料中の移植片由来肝細胞の量(例えば、ヒトFAH+免疫組織化学(IHC)によって決定される)の比を計算することによって決定され得、これは任意でパーセントまたは比率として表される。
【0055】
再占領の有用な間接的評価には、例えば、細胞の計数(例えば、血球計算盤、IHC、フローサイトメトリーなど)、分泌因子またはバイオマーカーを測定する(例えば、タンパク質(例えば、アルブミン)ELISA、ウエスタンブロットなどを介して)、移植された細胞の健康状態を評価する(例えば、MTTなどの酵素アッセイ、イメージング法、または細胞の健康状態を定量的に測定できるリアルタイムプレートベースのアッセイなどの細胞増殖アッセイを介して)、および/または動物バイオリアクターおよび/またはレシピエントの健康を評価する(例えば、バイタルの測定、機能試験(例えば、肝機能試験)など)評価などが含まれるが、それに限定されない、動物またはヒト対象における再占領細胞種の存在の1以上の機能的結果の定性的または定量的測定が含まれる。
【0056】
再占領(例えば、肝細胞再占領)の直接的および間接的な読み出しは、例えば、細胞の計数(例えば、血球計算器、IHC、フローサイトメトリーなどを介して)、細胞染色(例えば、例えば、核色素、細胞質色素、組織学的染色などを含む比色色素または蛍光色素を利用する)、細胞標識(例えば、検出可能な抗体などのような検出可能な特異的結合剤の使用による)、1つ以上の分泌因子またはバイオマーカーの測定(例えば、タンパク質(例えば、アルブミン)ELISA、ウエスタンブロットなどを介して)、核酸(例えば、DNAまたはRNA、例えば、インサイチュハイブリダイゼーション、qPCR、配列決定を介して)の検出および/または定量化。レシピエントの健康を評価すること(例えば、バイタルの測定、機能試験(例えば、肝機能試験)など)、生存アッセイなどを含むがこれらに限定されない様々なアッセイまたはそれらの組み合わせを利用し得る。
【0057】
「肝細胞(hepatocyte)」という用語は、一般に肝臓の細胞質質量の70~80%を構成する細胞のタイプを指す。肝細胞は、タンパク質合成、タンパク質の貯蔵および炭水化物の変換、コレステロール、胆汁酸塩およびリン脂質の合成、ならびに外因性および内因性物質の解毒、改変、排泄に関与している。肝細胞はまた、胆汁の形成および分泌を開始する。肝細胞は、血清アルブミン、フィブリノーゲン、および凝固因子のプロトロンビングループを製造し、リポタンパク質、セルロプラスミン、トランスフェリン、補体、および糖タンパク質の合成の主要な部位である。加えて、肝細胞は、薬物や殺虫剤などの外因性化合物、およびステロイドなどの内因性化合物を代謝、解毒、および不活化する能力を有する。
【0058】
「対象」(複数可)という用語は交換可能に使用され、ヒト対象および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ブタ、および他の動物などの実験動物を指す。したがって、本明細書で使用される「対象」(複数可)という用語は、任意の哺乳動物対象または本明細書に記載の細胞を投与することができる対象を意味する。本開示の対象には、肝臓の疾患または障害を有するものが含まれ、そのような疾患または障害を有する成人または若年のヒト対象を含む。
【0059】
本明細書で使用される「治療すること」および「治療」という用語は、症状の重症度および/または頻度の低減、症状および/または根本的な原因の排除、症状および/またはそれらの根本的な原因の発生の防止、損傷の改善および/または修復を指す。任意の肝障害または疾患が、本明細書に記載の組成物および方法を使用して治療され得る。したがって、「治療すること」および「治療」には以下が含まれる:
(i)病気または状態が哺乳動物に発生するのを防ぐこと、特に、そのような哺乳動物がその状態になりやすいが、まだその状態であると診断されていない場合、
(ii)疾患または状態を阻害する、すなわち、その発症を阻止する、
(iii)疾患または状態を緩和する、すなわち、疾患または状態の退行を引き起こす、および/または
(iv)疾患または状態に起因する症状を緩和または排除する、すなわち、根底にある疾患または状態に対処するかどうかにかかわらず、痛みを緩和する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「疾患」および「状態」という用語は、交換可能に使用され得、あるいは、臨床医によって多かれ少なかれ特定の症状のセットが同定されているがその特定の病弊または状態の原因物が知られていない可能性があり(したがって病因学がまだ解明されておらず)、したがって、まだ疾患として認識されておらず単に望ましくない状態または症候群としてのみ認識されているという点において異なり得る。
【0061】
「薬学的組成物」は、本開示の化合物および/または細胞と、生物活性化合物および/または細胞を哺乳動物(例えばヒト)に送達するために当技術分野で一般に受け入れられている媒体との配合物を指す。そのような媒体は、そのためのすべての薬学的に許容される担体、その希釈剤または賦形剤を含む。
【0062】
「有効量」または「~に有効な量」は、投与(例えば、哺乳動物、例えばヒト、または哺乳動物細胞、例えばヒト細胞に)された場合に示された結果(例えば、生着、増殖、治療など)をもたらすのに十分である化合物および/または細胞の量を指す。例えば、「治療有効量」などの「有効量」は、哺乳動物、例えばヒトに投与された場合に、哺乳類、例えば、ヒトに治療を行うのに十分である、本開示の化合物および/または細胞の量を指す。「治療有効量」を構成する本開示の組成物の量は、その化合物および/または細胞、状態およびその重症度、投与方法、ならびに治療される哺乳動物の年齢に応じて変化するが、当業者が自身の知識およびこの開示を考慮してルーチン的に決定することができる。
【0063】
肝細胞生成細胞のエクスビボ操作
肝細胞を生成することができる任意の細胞は、本明細書に記載されるように、エクスビボ操作(成長、再生、生存および/または生着を促進する1つ以上の薬剤への曝露)に供され得る。肝細胞生成細胞の例には、人工多能性幹細胞(iPSC)、肝細胞様細胞(HLC)(例えばiPSCから生成されたもの)、幹細胞、肝細胞前駆細胞、および/または成熟もしくは幼若肝細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
ある特定の実施形態において、肝細胞生成細胞は、任意の供給源についての標準的な技術を使用して単離された肝細胞(例えばヒトドナーからのもの)を含む。ある特定の実施形態において、肝細胞は、新鮮な初代ヒト肝細胞(PHH)または凍結保存されたPHHを含め、スクリーニングされた死体ドナーから単離されたPHHである。
【0065】
肝細胞生成細胞は、凍結されている場合は解凍され、適切な容器または培養容器に入れられる。任意の適切な培養培地を使用することができる。ある特定の実施形態において、培養培地は、肝細胞基礎培地、FBSおよび/またはROCK阻害剤を含み、例えば、肝細胞基礎培地およびLonzaHCM(商標)Single Quots(商標)の1:1混合物、5%FBSおよび10μMRhoキナーゼ(ROCK)を含む。LiebovitzL-15、最小必須培地(MEM)、DMEM/F-12、RPMI1640、WaymouthのMB752/1WilliamsMediumE、H1777、肝細胞解凍培地(HTM)、凍結保存肝細胞回収培地(CHRM(登録商標))、ヒト肝細胞培養培地(Millipore Sigma)、ヒト肝細胞プレーティング培地(Millipore Sigma)、ヒト肝細胞解凍培地(Millipore Sigma)、Lonza HCM(商標)、Lonza HBM(商標)、HepatoZYME-SFM(ThermoFisherScientific)、Cellartis PowerPrimary HEP Medium(Cellartis)などを含むがそれらに限定されない、様々な肝細胞適合性培養培地が利用可能である。例えば、Lonza Single Quots(商標)サプリメント、HepExtend(商標)サプリメント、ウシ胎児血清、ROCK阻害剤、デキサメタゾン、インスリン、HEGF、ヒドロコルチゾン、L-グルタミン、GlutaMAX(商標)、バッファー(HEPES、重炭酸ナトリウムバッファーなど)、トランスフェリン、セレン複合体、BSA、リノール酸、コラーゲン、コラゲナーゼ、Geltrex(商標)、メチルセルロース、ジメチルスルホキシド、ヒアルロニダーゼ、アスコルビン酸、抗生物質、などを含むがこれらに限定されない、様々な培養サプリメントおよび/または基質を、所望の培地に含めたり除外したりすることができる。肝細胞適合性培地は、汎用のものであるか、または一次、二次、もしくは不死化肝細胞用に特別に処方されたものであり得、そのような培地は、血清もしくは成長因子を含むか、または無血清、無成長因子に、もしくは最小の/低減された成長因子を有するように構成され得る。
【0066】
次に、新たに解凍された肝細胞生成細胞(例えば、ヒト肝細胞)は、肝細胞の生存、再生、および/または生着を促進する1つ以上の薬剤の存在下で穏やかに揺り動かすことによって、エクスビボで手短に操作される。肝細胞再生に関与する任意の分子(複数可)を標的とすることができ、有用な試薬には、HGF/c-MET、EGF/EGFR、WNT、TGFβ、HIPPO、テロメア伸長などを含むがこれらに限定されないシグナル伝達経路を調節する抗体、および/または核酸(DNAおよび/またはmRNAなどのRNA)、および/または小分子が含まれるが、これらに限定されない。さらに、肝細胞再生に関与する任意の分子を標的とする1つ以上の抗体または小分子を含むがこれらに限定されない任意の適切な薬剤(複数可)が、本明細書に記載の肝細胞のエクスビボ操作において使用され得、その薬剤には例えば、HGF/c-METシグナル伝達経路、EGF/EGFRシグナル伝達経路、WNTシグナル伝達経路、TGFβシグナル伝達経路、HIPPOシグナル伝達経路、テロメア伸長などの1つ以上の成分を標的とする1つ以上の抗体または小分子が含まれるがそれらに限定されない。
【0067】
ある特定の実施形態において、薬剤は、1つ以上の抗体、例えば、本明細書に記載されるように処理されない細胞/動物と比較して、肝細胞の生存、成長、再生および/または細胞(例えば、肝細胞)の生着を刺激するアゴニスト抗体を含む。場合によっては、受容体を標的とすることによって肝細胞の生存、成長、再生、および/または生着を刺激するアゴニスト抗体試薬は、例えば、受容体の天然リガンドと比較して、アゴニスト活性が延長され得る。場合によっては、アゴニスト抗体活性化は、肝細胞または肝細胞生成細胞が、アゴニスト抗体を含有する培地から分離された後のかなりの期間持続し得、それは例えば、肝細胞または肝細胞生成細胞が(例えばインビボバイオリアクターまたは対象に)移植された後を含み得る。例えば、場合によっては、アゴニスト抗体の投与による経路活性化は、抗体含有培地の除去後1時間以上持続し得、それは例えば抗体含有培地を除去してから2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、10時間以上、11時間以上、12時間以上、または1日以上を含み得る。比較すると、肝細胞または肝細胞生成細胞を受容体の天然リガンドと接触させることによる経路活性化は、1時間以下しか持続しない可能性がある。したがって、場合によっては、アゴニスト抗体による経路活性化は、受容体リガンドによる経路活性化と比較して2倍長くまたはそれ以上持続し得、それは、対応するリガンドの投与および除去後に観察される経路活性化と比較して例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも18倍、または少なくとも20倍長いまたはそれ以上を含むがこれらに限定されない。経路活性化は、例えば、下流/エフェクター遺伝子のアップレギュレーション/発現、1つ以上の経路成分の翻訳後修飾(例えば、リン酸化)、多量体化(例えば、二量体化)、1つ以上の経路成分の転位などを含むがそれらに限定されない様々な手段によって検出および/または測定され得る。例えば、場合によっては、HGF/c-MET経路活性化は、1つ以上のHGF/c-MET下流エフェクターの発現を分析するか、c-MET活性化による翻訳後修飾(例えば、GAB1(pY GAB1)のチロシンリン酸化)の分析によって検出および/または測定され得る。場合によっては、EGFR経路活性化は、1つ以上のEGFR下流エフェクターの発現を分析するか、またはEGFR活性化による翻訳後修飾(例えば、EGFR c末端テールにおけるチロシンリン酸化など)を分析することによって検出および/または測定され得る。
【0068】
ある特定の態様では、1つ以上の抗体は、HGF/c-METのアゴニスト(c-MET抗体)である。図1に示すように、HGF/c-METシグナル伝達は肝細胞再生の重要なモジュレーターであり、肝細胞におけるc-METシグナル伝達の活性化は、下流で生存促進効果と増殖促進効果の両方を誘導する。HGF/c-METシグナル伝達の活性化には、リガンド結合と受容体の二量体化が関わる。c-METに対する二価モノクローナル抗体は、このシグナル伝達を活性化し、アゴニストとして作用することが示されている(例えば、Ohashi et al.(2000)Nat Med.6(3):327-31、Yuan et al.(2019)Theranostics 9(7):2115-2128を参照されたい)。加えて、インビボでのc-MET抗体の反復注射は、マウスに移植されたヒト肝細胞の再占領を改善できることが研究によって示されているが(例えば、Ohashi et al.(2000)Nat Med.6(3):327-31、Yuan et al.(2019)Theranostics 9(7):2115-2128を参照されたい)、本明細書に記載のエクスビボ操作が、動物への細胞の投与後に動物バイオリアクターにおける肝細胞の再占領を増強することは驚くべきことであり、予想外のことである。さらに、観察された再占領の増強が、動物バイオリアクター自体にc-MET抗体が不在でも持続することも驚くべきことであり、予想外のことである(すなわち、観察された再占領の増強は、動物バイオリアクターへの該アゴニストの投与を必要としない)。さらに、本明細書に記載のエクスビボで操作された肝細胞の移植が、記載のようにエクスビボで操作されていない肝細胞の移植と比較して、肝疾患を有する対象の治療を増強することもまた驚くべきことであり、予想外のことである。
【0069】
他の実施形態では、アゴニスト抗体はEGFRを標的とする。EGFRは、EGF、TGFαなどを含むリガンドの膜貫通型チロシンキナーゼ受容体である。EGFRは、成体肝臓の肝細胞で最も高く発現され、肝機能の維持に重要な役割を果たし、肝臓の修復および再生に不可欠である。EGFRに対する二価モノクローナル抗体はアゴニストとして機能し、細胞の生存と増殖のための下流のシグナル伝達を活性化し得る。EGFR抗体は市販されている。
【0070】
他の実施形態では、アゴニスト抗体は、WNT/β-カテニンシグナル伝達を標的とする。WNT/β-カテニンシグナル伝達は、細胞の増殖、分化、遊走、およびアポトーシスを調節することにより、多数の発生過程と組織再生に関与している。WNT/β-カテニンシグナル伝達は、WNTリガンドがFrizzled受容体の細胞外ドメインに結合しリポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)-5/6の補助受容体と相互作用すると活性化する。受容体を安定化させるFrizzledまたはLRP-5/6に対する抗体は、アゴニスト抗体として機能することができ、シグナル伝達を活性化する。
【0071】
抗体の組み合わせを使用することができる。市販の抗体を使用することができる。
【0072】
1つ以上の異なるタイプの薬剤(例えば、抗体)を、本明細書に記載のエクスビボ操作方法で使用することができる。ある特定の実施形態において、同じ標的に対する1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の異なる抗体(例えば、異なるc-MET抗体)が使用される。他の実施形態では、1つの標的(例えば、c-MET)に対する1つ以上の抗体が、1つ以上の追加の標的(例えば、EGFR)に対する1つ以上の抗体と組み合わせて使用される。
【0073】
1つ以上の抗体および/または小分子(例えば、アゴニスト抗体、小分子アゴニスト)は、1つの種(例えば、ヒト)に特異的であり得、あるいは、他の種(例えば、マウス、ラット、ブタなど)と交差反応し得る。いくつかの実施形態において、アゴニスト抗体(例えば、c-METおよび/またはEGFR抗体)は、ヒトc-METに特異的であり、種間活性を有さない(例えば、マウスのc-METまたはEGFRと交差反応性ではない、ラットのc-METまたはEGFRと交差反応しない、げっ歯類のc-METまたはEGFRと交差反応しない、ブタのc-METまたはEGFRと交差反応しない、他の非ヒト哺乳動物のc-METまたはEGFRなどと交差反応しない等、およびそれらの組み合わせ)。本明細書で使用される場合、「ヒトc-MET特異的アゴニスト」および「ヒトc-METに特異的な」アゴニストは、非ヒト(例えば、げっ歯類、ブタなど)のc-METに特異的に結合することなしに、かつ/または非ヒトHGF/c-METシグナリングを実質的に活性化もしくは増強することなしにヒトc-METに特異的に結合し、ヒトHGF/c-METシグナル伝達を特異的に活性化または増強する(例えば、c-METおよび/またはGAB1のリン酸化または経路活性の他の読み出しによって測定されるように)薬剤を指す。本明細書で使用される場合、「ヒトEGFR特異的アゴニスト」および「ヒトEGFRに特異的な」アゴニストは、非ヒト(例えば、げっ歯類、ブタなど)のc-METに実質的に結合することなく、かつ/または非ヒトHGF/c-METシグナル伝達を実質的に活性化または増強することなくヒトEGFRに特異的に結合し、ヒトEGF/EGFRシグナル伝達を特異的に活性化または増強する(例えば、EGFRのリン酸化および/または下流エフェクター活性化または経路活性の他の読み出しによって測定されるように)薬剤を指す。
【0074】
1つ以上の抗体、核酸および/または小分子は、培養培地への添加を含むがこれに限定されない任意の方法で肝細胞生成細胞に添加することができる。さらに、任意の濃度の抗体、核酸、および/または小分子を使用することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、10ng/mL以下から1mg/mL以上の範囲の濃度で使用され、これには、例えば、10ng/mL-1mg/mL、25ng/mL-1mg/mL、50ng/mL~1mg/mL、75ng/mL~1mg/mL、100ng/mL~1mg/mL、250ng/mL~1mg/mL、500ng/mL~1mg/mL、750ng/mL~1mg/mL、1μg/mL~1mg/mL、5μg/mL~1mg/mL、10μg/mL~1mg/mL、25μg/mL~1mg/mL、50μg/mL~1mg/mL、75μg/mL~1mg/mL、10ng/mLから~750μg/mL、25ng/mL~750μg/mL、50ng/mL~750μg/mL、75ng/mL~750μg/mL、100ng/mL~750μg/mL、250ng/mL~750μg/mL、500ng/mL~750μg/mL、750ng/mL~750μg/mL、1μg/mL~750μg/mL、5μg/mL~750μg/mL、10μg/mL~750μg/mL、25μg/mL~750μg/mL、50μg/mL~750μg/mL、75μg/mL~750μg/mL、10ng/mL~500μg/mL、25ng/mL~500μg/mL、50ng/mL~500μg/mL、75ng/mL~500μg/mL、100ng/mL~500μg/mL、250ng/mL~500μg/mL、500ng/mL~500μg/mL、750ng/mL~500μg/mL、1μg/mL~500μg/mL、5μg/mL~500μg/mL、10μg/mL~500μg/mL、25μg/mL~500μg/mL、50μg/mL~500μg/mL、75μg/mL~500μg/mL、10ng/mLから~250μg/mL、25ng/mL~250μg/mL、50ng/mL~250μg/mL、75ng/mL~250μg/mL、100ng/mL~250μg/mL、250ng/mL~250μg/mL、500ng/mL~250μg/mL、750ng/mL~250μg/mL、1μg/mL~250μg/mL、5μg/mL~250μg/mL、10μg/mL~250μg/mL、25μg/mL~250μg/mL、50μg/mL~250μg/mL、75μg/mL~250μg/mL、10ng/mL~100μg/mL、25ng/mL~100μg/mL、50ng/mL~100μg/mL、75ng/mL~100μg/mL、100ng/mL~100μg/mL、250ng/mL~100μg/mL、500ng/mL~100μg/mL、750ng/mL~100μg/mL、1μg/mL~100μg/mL、5μg/mL~100μg/mL、10μg/mL~100μg/mL、25μg/mL~100μg/mL、50μg/mL~100μg/mL、75μg/mL~100μg/mL、10ng/mL~75μg/mL、10ng/mL~50μg/mL、10ng/mL~25μg/mL、10ng/mL~10μg/mL、10ng/mL~5μg/mL、10ng/mL~1μg/mL、10ng/mL~750ng/mL、10ng/mL~500ng/mL、10ng/mL~250ng/mL、10ng/mL~100ng/mL、10ng/mL~75ng/mL、10ng/mL~50ng/mL、10ng/mL~25ng/mL、50ng/mL~50μg/mL、50ng/mL~10μg/mL、50ng/mL~5μg/mL、50ng/mL~1μg/mL、100ng/mL~50μg/mL、100ng/mL~10μg/mL、100ng/mL~5μg/mL、100ng/mL~1μg/mL、500ng/mL~50μg/mL、500ng/mL~10μg/mL、500ng/mL~5μg/mL、500ng/mL~1μg/mL、1μg/mL~50μg/mL、1μg/mL~40μg/mL、1μg/mL~30μg/mL、1μg/mL~20μg/mL、1μg/mL~10μg/mL、5μg/mL~50μg/mL、5μg/mL~40μg/mL、5μg/mL~30μg/mL、5μg/mL~20μg/mLなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0075】
ある特定の実施形態において、(例えば、新たに解凍された)肝細胞は、1つ以上の抗体(例えば、c-METおよび/またはEGFR抗体)とともにインキュベートされ、その抗体は、任意の有効濃度(複数可)である。ある特定の実施形態において、肝細胞生成細胞(例えば、新たに解凍されたヒト肝細胞)は、1つ以上のc-MET抗体とともにインキュベートされ、その抗体(複数可)は、約10ng/mL以下から1mg/mL以上の濃度、またはそれらの間の任意の値(例えば、例えば、10μg/mLを含む、本明細書に開示される個々の値および範囲)を含む。ある特定の実施形態において、肝細胞生成細胞(例えば、新たに解凍されたヒト肝細胞)は、1つ以上のEGFR抗体とともにインキュベートされ、その抗体(複数可)は、約10ng/mL以下から1mg/mL以上の濃度、またはそれらの間の任意の値(例えば本明細書に開示される個々の値および範囲を含み、例えば10μg/mLを含む)。他の実施形態において、肝細胞生成細胞(例えば、新たに解凍されたヒト肝細胞)は、1つ以上のc-METおよび1つ以上のEGFR抗体とともにインキュベートされ、これらの抗体(複数可)は、本明細書に記載される濃度を含む、同じまたは異なる濃度であり、各抗体タイプが10μg/mLの濃度であるかまたは約10μg/mLである。
【0076】
本明細書に記載のエクスビボ調節で使用されるアゴニスト抗体は、効力が変動する可能性があり、場合によっては、エクスビボ調節で使用される抗体の濃度をそれに応じて調整することができる。本発明の方法で使用される有用なアゴニスト抗体は、例えば、0.001μg/mL以下から1μg/mL以上の範囲の最大半値有効濃度(EC50)を有し得、これには、例えば、0.001μg/mL~1μg/mL、0.001μg/mL~0.75μg/mL、0.001μg/mL~0.5μg/mL、0.001μg/mL~0.25μg/mL、0.001μg/mL~0.1μg/mL、0.001μg/mL~0.075μg/mL、0.001μg/mL~0.05μg/mL、0.001μg/mL~0.025μg/mL、0.005μg/mL~1μg/mL、0.005μg/mL~0.75μg/mL、0.005μg/mL~0.5μg/mL、0.005μg/mL~0.25μg/mL、0.005μg/mL~0.1μg/mL、0.005μg/mL~0.075μg/mL、0.005μg/mL~0.05μg/mL、0.005μg/mL~0.025μg/mL、0.01μg/mL~1μg/mL、0.01μg/mL~0.75μg/mL、0.01μg/mL~0.5μg/mL、0.01μg/mL~0.25μg/mL、0.01μg/mL~0.1μg/mL、0.01μg/mL~0.075μg/mL、0.01μg/mL~0.05μg/mL、または0.01μg/mL~0.025μg/mLが含まれるが、これらに限定されない。対象のアゴニスト抗体のEC50は、例えば、関連する抗原(例えば、c-METおよび/またはEGFR)などを発現する細胞を用いたフローサイトメトリー結合アッセイにおける用量設定を含むがこれらに限定されない、任意の簡便な手段によって決定され得る。
【0077】
肝細胞生成細胞および1つ以上の抗体/小分子は、任意の適切な条件下で任意の期間(数分、数時間、または数日を含む)一緒にインキュベートすることができる。インキュベーション時間および条件は変動し、有用なインキュベーション時間は、一般に標的経路の活性化に十分であり、経路活性化の十分性は、例えば本明細書に記載されている任意のそのようなアッセイを含むがそれらに限定されない経路活性化の様々な読み出しのいずれかを使用することにより評価することができる。ある特定の実施形態において、培養物は、1~180または240分またはそれ以上の間、例えば、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、15分~4時間、30分~4時間、45分~4時間、1~4時間、15分~3時間、30分~3時間、45分~3時間、1~3時間、15分~2.5時間、30分~2.5時間、45分~2.5時間、1~2.5時間、15分~2時間、30分~2時間、45分~2時間、1~2時間などを含んでインキュベートされる。インキュベーションには、インキュベーション培養物の撹拌が含まれる場合があり、そのような撹拌手段は様々であり得る。例えば、肝細胞生成細胞および1つ以上の薬剤が容器(例えば、細胞培養容器、チューブ、バイアルなど)内に含まれ得、かつインキュベーションは、例えば、揺り動かし、振とう、回転、章動などを含むがこれらに限定されない、容器の様々な撹拌を含み得る。
【0078】
肝細胞の増殖/再占領
本明細書に記載の肝細胞生成細胞のエクスビボ操作に続いて、場合によっては、細胞は、インビボバイオリアクターにおける肝細胞の増殖のために動物(例えば、マウス、ラット、ブタなど)に投与される。
【0079】
本明細書に記載されるような肝細胞の増殖に適した動物バイオリアクターは、当技術分野で知られている。ある特定の実施形態では、動物は、1つ以上の遺伝子座で遺伝子改変されている。遺伝子改変には、1つ以上の遺伝子座または1つ以上の標的遺伝子の活性化が欠損している動物を生成するためのノックアウトまたはノックダウンが含まれ得る。遺伝子改変は、任意の組み合わせで複数の遺伝子座で行うことができる(1つ以上の抑制的改変および/または1つ以上の活性化改変)。インビボバイオリアクターにおける有用な遺伝子改変には、免疫遺伝子(例えば、免疫不全をもたらす)、肝機能遺伝子(例えば、肝機能欠損をもたらす)、代謝遺伝子(例えば、代謝欠損をもたらす)、アミノ酸異化遺伝子(例えば、不十分なアミノ酸異化をもたらす)などを含む様々な遺伝子の改変が含まれ得る。
【0080】
ある特定の態様では、遺伝子改変された動物は、例えば、米国特許第8,569,573号、同第9,000,257号および米国特許出願第2016/0249591号(これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、フマリルアセトアセテートヒドロラーゼ(fah)欠損動物である。FAHは、チロシン異化作用の最後のステップを触媒する代謝酵素である。Fah遺伝子のホモ接合性欠失を有する動物は、肝臓のmRNA発現の変化および重度の肝機能障害を示す。Fah遺伝子の点突然変異が、肝不全および出生後の致死を引き起こすことも示されている。Fahが不足しているヒトは、肝疾患の遺伝性高チロシン血症1型(HT1)を発症し、肝不全を発症する。Fah欠乏は、強力な酸化剤であるフマリルアセトアセタートの蓄積を引き起こし、これは最終的にFah欠損肝細胞の細胞死を引き起こす。したがって、Fah欠損動物は、機能するfah遺伝子を含む、ヒトを含む他の種からの肝細胞で再占領され得る。GenBankデータベースなどにおいて、様々な異なる種のFahゲノム、mRNA、およびタンパク質配列が公開されている(例えば、遺伝子ID29383(ラットFah)、遺伝子ID14085(マウスFah)、遺伝子ID610140(イヌFAH)、遺伝子ID415482(ニワトリFAH)、遺伝子ID100049804(ウマFAH)、遺伝子ID712716(レサスマカクFAH)、遺伝子ID100408895(マーモセットFAH)、遺伝子ID100589446(ギボンFAH)、遺伝子ID467738(チンパンジーFAH)、および遺伝子ID508721(ウシFAH)を参照されたい)。そのような動物は、遺伝子改変されたfah遺伝子座を含み得、また例えばそのような動物(例えば、マウス、ブタまたはラット)がFAH、RAG-1またはRAG-2、およびIL-2Rγを欠損する(場合によっては、FRGマウス、FRGブタ、またはFRGラットなどのように「FRG」動物と呼ばれる)場合を含め、他の遺伝子座におけるさらなる遺伝子改変を含んでも含まなくてもよい。
【0081】
有用な遺伝子改変には、例えば、免疫系の特定の分子または細胞成分の欠如、免疫系の特定の分子または細胞成分の機能の欠如などから、免疫不全をもたらすものも含まれる。場合によっては、有用な遺伝的変化には、組換え活性化遺伝子1(Rag1)遺伝子の遺伝的変化が含まれる。Rag1は、免疫グロブリンV(D)J組換えの活性化に関与する遺伝子である。RAG1タンパク質はDNA基質の認識に関与しているが、安定した結合および切断活性にはRAG2も必要である。Rag-1欠損動物は、成熟したBおよびTリンパ球を持たないことが示されている。場合によっては、有用な遺伝的変化には、組換え活性化遺伝子2(Rag2)遺伝子の遺伝的変化が含まれる。Rag2は、免疫グロブリンとT細胞受容体遺伝子座の組換えに関与する遺伝子である。Rag2遺伝子が欠損している動物は、V(D)J組換えを受けることができず、機能的なT細胞とB細胞が完全に失われる(Shinkai et al.Cell68:855-867,1992を参照)。場合によっては、有用な遺伝的変化には、インターロイキン受容体の共通γ鎖(Il2rg)の遺伝的変化が含まれる。Il2rgは、インターロイキン受容体の共通γ鎖をコードする遺伝子である。Il2rgは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-15などの多くのインターロイキンの受容体の構成要素である(例えば、Di Santo et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:377-381,1995を参照されたい)。Il2rgを欠損した動物は、B細胞およびT細胞の減少を示し、ナチュラルキラー細胞を欠いている。Il2rgは、インターロイキン2受容体ガンマ鎖とも呼ばれる。
【0082】
場合によっては、例えば1つ以上の免疫抑制剤の投与によって免疫抑制が達成される場合を含め、動物は免疫抑制され得る。動物において免疫抑制を達成するために有効な任意の適切な免疫抑制剤(複数可)を使用することができる。免疫抑制剤の例には、FK506、シクロスポリンA、フルダラビン、ミコフェノール酸塩、プレドニゾン、ラパマイシン、およびアザチオプリンが含まれるが、これらに限定されない。免疫抑制剤の組み合わせも投与することができる。場合によっては、遺伝的免疫不全の代わりに免疫抑制剤が使用される。場合によっては、免疫抑制剤が遺伝的免疫不全と組み合わせて使用される。
【0083】
本明細書に要約されるように、遺伝子改変された動物は、1つまたは複数の(すなわち、組み合わせた)遺伝子改変を含み得る。例えば、そのような動物は、rag1遺伝子改変、rag2遺伝子改変、IL2rg遺伝子改変を含み得、またはそのような動物は、rag1もしくはrag2の遺伝子改変、およびIl2rg遺伝子の遺伝子改変を含み得、したがって遺伝子改変が対応して機能的なRAG1タンパク質、RAG2タンパク質、IL-2rgタンパク質、またはRAG-1/RAG-2タンパク質およびIL-2rgタンパク質の発現の喪失を生じる。一例では、1つ以上の遺伝子変化には、Rag2遺伝子の遺伝子変化およびIl2rg遺伝子の遺伝子変化が含まれる。一例では、1つ以上の遺伝子変化には、Rag1遺伝子の遺伝子変化およびIl2rg遺伝子の遺伝子変化が含まれる。場合によっては、有用な遺伝的変化には、例えば、SCID、NOD、SIRPα、パーフォリン、またはヌードが含まれる。変更された遺伝子座は、対応する遺伝子座での遺伝子産物の欠損をもたらす遺伝的ヌル(すなわち、ノックアウト)または他の改変である可能性がある。免疫系の特定の細胞(マクロファージやNK細胞など)も枯渇され得る。特定の細胞型を枯渇させる任意の便利な方法を使用することができる。
【0084】
誘発性傷害、選択的塞栓症、一過性虚血、レトロシン、モノクロトリン、チオアセトアミド、ガンマ線照射、四塩化炭素、および/または遺伝子改変(例えば、Fah破壊、uPA、TK-NOG(Washburn et al.,Gastroenterology,140(4):1334-44,2011)、アルブミンAFC8、アルブミンジフテリア毒素、ウィルソン病など)を含むがそれらに限定されない、肝細胞異種移植片の選択的増殖の優位性を生み出す肝臓損傷の様々なモデルを動物バイオリアクター(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ブタ)で使用して、肝細胞の生着および増殖を促進することができることが理解されるであろう。肝傷害技術の組み合わせも使用され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、動物は、異種肝細胞の注射の前に、ウロキナーゼ遺伝子(例えば、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA))をコードするベクター(例えば、Adベクター)を投与される。肝細胞におけるuPAの発現は肝損傷を引き起こし、したがって移植時に肝細胞異種移植片の選択的増殖を可能にする。一実施形態では、ウロキナーゼ遺伝子はヒトウロキナーゼであり、分泌されていても分泌されていなくてもよい。例えば米国特許第8,569,573号、同第9,000,257号および米国特許出願第2016/0249591号を参照されたい。
【0086】
場合によっては、TK-NOG肝損傷モデル(すなわち、アルブミンチミジンキナーゼトランスジェニック-NOD-SCID-インターロイキン共通ガンマ鎖ノックアウト)を、本明細書に記載の動物バイオリアクターとして使用することができる。TK-NOG動物には、ガンシクロビルの投与によって条件的に活性化できる、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ肝毒性トランスジーンが含まれる。ガンシクロビルの投与中のトランスジーンの活性化に起因する肝損傷は、肝細胞異種移植片に選択的な優位性を提供し、本明細書に記載の移植肝細胞の増殖のためのインビボバイオリアクターとしてのそのような動物の使用を促進する。
【0087】
場合によっては、AFC8肝損傷モデル(アルブミンプロモーターによって駆動されるFKBP-カスパーゼ8遺伝子を有することを特徴とする)を、本明細書に記載の動物バイオリアクターとして使用することができる。AFC8動物には、AP20187の投与によって条件的に活性化できるFK508-カスパーゼ8融合肝毒性トランスジーンが含まれている。AP20187の投与中のトランスジーンの活性化に起因する肝損傷は肝細胞異種移植片に選択的な優位性を提供し、本明細書に記載されるように移植された肝細胞の増殖のためのインビボバイオリアクターとしてのそのような動物の使用を促進する。
【0088】
場合によっては、NSG-PiZ肝損傷モデル(免疫不全(NGS)と組み合わせたα-1アンチトリプシン(AAT)欠損を有することを特徴とする)を、本明細書に記載の動物バイオリアクターとして使用することができる。NSG-PiZ動物は、AATの分泌が損なわれ、誤って折りたたまれたPiZ変異体AATタンパク質が蓄積し、肝細胞の損傷を引き起こす。そのような肝損傷は、肝細胞異種移植片に選択的な優位性を提供し、本明細書に記載されるように、移植された肝細胞の増殖のためのインビボバイオリアクターとしてのそのような動物の使用を促進する。免疫不全により、動物は有意な拒絶反応なしに異種移植片を受け容れることができるようになる。
【0089】
場合によっては、肝細胞生成細胞の移植を受ける前に動物をプレコンディショニングして、移植された細胞を支持するレシピエント肝臓の能力を改善することができる。例えば、照射プレコンディショニング(例えば、部分肝臓照射)、塞栓プレコンディショニング、虚血プレコンディショニング、化学的/ウイルスプレコンディショニング(例えば、uPA、シクロホスファミド、ドキソルビシン、一酸化窒素、レトロシン、モノクロタリン、毒性の胆汁塩、四塩化炭素、チオアセトアミドなどを使用する)、肝臓切除プレコンディショニングなどを含むがこれらに限定されない様々なプレコンディショニングレジメンを使用することができる。場合によっては、肝細胞生成細胞は、プレコンディショニングなしで導入され得、および/または手順は、プレコンディショニングレジメンまたは特定の試薬(例えば本明細書に記載されるものの1つ以上を含む)の1つ、すべて、またはいくつかの組み合わせを特に除外する。場合によっては、NTBCの中止またはガンシクロビルもしくはAP20187の投与を通じた肝損傷の誘発が、プレコンディショニングに使用されることがある。使用される場合、プレコンディショニングは、肝細胞生成細胞の移植の、数時間、数日間、もしくは数週間またはそれ以上前を含むある時点で実施され得、それは少なくとも移植の、例えば少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、または少なくとも2週間前を含み得る。
【0090】
動物の任意のプレコンディショニング(例えば、uPAによる)の後(例えば、プレコンディショニングの24時間後)、異種肝細胞は、任意の適切な手段を介して動物に送達することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の肝細胞は、肝臓に直接投与され(例えば、門脈注射を介して)、かつ/または、肝細胞が血管系を通って肝臓に到達する脾臓内注射を介して投与される。ある特定の実施形態では、必要に応じて(例えば投与の24時間前に)アデノウイルスuPA(例えば、1.25x10 PFU/25グラムのマウス体重)でプレコンディショニングされたFRG動物に1×10~1×10のいずれの肝細胞(例えば、5×10/マウス、5~10x10/ラット、等)が導入される。バイオリアクターに導入される肝細胞生成細胞の数は限定されるものではないが、例えば、細胞を受ける動物の種および大きさを含む様々な要因に応じて変化し、例えば、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10、1x10~1x10等を含むが、それらに限定されない、1×10以下~1×10以上までの範囲とすることができる。いくつかの例では、投与される細胞の数は、例えば、0.5×10以下、1×10以下、0.5×10以下、1×10以下、0.5×10以下、1×10以下、0.5×10以下、1×10以下等を含む、1×10以下であり得る。
【0091】
加えて、免疫抑制薬を移植前、移植中、および/または移植後に動物に任意に与えることができ、異種移植された異種肝細胞からの、動物(例えば、マウス、ブタ、またはラット)における宿主対移植片応答を排除する。場合によっては、定義された期間、動物を免疫抑制剤からサイクリングオフさせることにより、肝臓細胞は静止状態になり、移植された細胞が増殖上の優位性を有するようになり、内因性肝細胞(例えば、マウス、ブタ、またはラット肝細胞)が異種肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)へ置き換わることにつながる。ヒト肝細胞の場合、これは高レベルのヒト化肝臓を持つ動物を生成する。異種肝細胞の再占領レベルは様々な測定によって決定することができ、これは例えば、任意で、移植された動物からの肝臓切片の免疫組織化学と相関される、ヒト血清アルブミンレベルの定量化を含むがこれに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態において、肝疾患の発症を阻害、遅延、回避または防止する薬剤が、投与された肝細胞の増殖の期間中に動物バイオリアクターに投与される。そのような薬剤の投与は、健康な(例えば、FAHを発現する)異種肝細胞を有する動物バイオリアクター(例えば、マウス、ラット、またはブタバイオリアクター)の再占領の前に、動物バイオリアクター(例えば、マウス、ラット、またはブタバイオリアクター)の肝機能障害および/または死を回避(または防止)する。薬剤は、バイオリアクターに関連する疾患モデルにおいて肝疾患を阻害する任意の化合物または組成物であり得る。そのような薬剤の1つは2-(2-ニトロ-4-トリフルオロ-メチル-ベンゾイル)-1,3シクロヘキサンジオン(NTBC)であるが、メチル-NTBCなどの他のフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼの薬理学的阻害剤を使用することもできる。NTBCは、Fah欠損動物の肝疾患の発症を調節するために投与される。Fah欠損動物バイオリアクターにおいて、肝細胞異種移植片の増殖を促進しながら、壊滅的な肝機能障害を回避するために、必要に応じて、用量、投与スケジュール、および投与方法を調整および/またはサイクルさせることができる。いくつかの実施形態において、Fah欠損動物は、本明細書に記載されるように、肝細胞の移植後、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、または少なくとも6日間、NTBCを投与される。いくつかの実施形態において、Fah欠損動物は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、または少なくとも約6ヶ月、NTBCをさらに投与される。いくつかの実施形態において、NTBC(または肝臓保護効果を有する別の化合物)は、肝細胞移植後約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日で中止される。
【0093】
Fah欠損動物に投与されるNTBCの用量は変動する可能性がある。いくつかの実施形態において、用量は、約0.5mg/kg~約30mg/kg/日、例えば、約1mg/kg~約25mg/kg、約10mg/kg/日~約20mg/kg/日、または約20mg/kg/日である。NTBCは、飲料水、食品中、注射などの適切な手段で投与できるが、これらに限定されない。一実施形態では、飲料水中に投与されるNTBCの濃度は、約1~約30mg/L、例えば、約10~約25mg/L、約15~約20mg/L、または約20mg/Lである。ある特定の実施形態において、NTBC投与は、移植前から移植後4~8週間以上まで周期的である。さらに、本明細書に記載の方法を使用すると、動物バイオリアクター内のヒト肝細胞のヒト化(再占領)率が約8週間で70~90%になるため、さらなる、潜在的に有害な長期(例えば、14日以上)のNTBCの撤回(つまり、NTBCオフ)の必要性は排除される。
【0094】
動物バイオリアクター、または以下により詳細に記載される対象はまた、エクスビボで改変された肝細胞の投与前、投与中、および/または投与後に、本明細書に記載される1つ以上の薬剤(例えば、c-METアゴニスト(例えば、c-MET抗体、小分子、HGFポリペプチド、またはそれらの誘導体)、EGFRアゴニスト(例えば、EGFR抗体、小分子、EGFポリペプチド、またはそれらの誘導体)など)で処置され得る。例えば、Ohashi et al.(2000)Nat Med.6(3):327-31、Yuan et al.(2019)Theranostics 9(7):2115-2128を参照されたい。場合によっては、本明細書に記載の方法は、エクスビボで改変された肝細胞の投与前、投与中、および/または投与後に、本明細書に記載の1つ以上の薬剤(例えば、c-METアゴニスト(例えば、c-MET抗体、小分子、HGFポリペプチド、またはその誘導体)、EGFRアゴニスト(例えば、EGFR抗体、小分子、EGFポリペプチド、またはそれらの誘導体)など)を動物バイオリアクターまたは対象に投与することを特に除外し、従って、エクスビボで改変された肝細胞の投与前、投与中、および/または投与後に、バイオリアクターまたは対象に該薬剤(複数可)が存在しないようにし得る。
【0095】
本明細書に記載のように操作された、移植された肝細胞生成細胞に由来する増殖した肝細胞は、移植後7~180日(またはそれらの間の任意の日)またはそれ以上を含むがこれらに限定されない任意の期間後に、動物バイオリアクターから収集され得る。ある特定の実施形態において、増殖した肝細胞は、移植後28~56日(またはそれらの間の任意の日)に収集される。場合によっては、肝細胞は、1週間、2週間以前、3週間以前、4週間前、4週間以前、5週間以前、6週間以前、7週間以前、8週間前、8週間以前、9週間以前、10週間以前、11週間以前、12週間前、12週間以前、13週間以前、14週間前、または14週間以前に収集される。
【0096】
さらに、増殖した肝細胞は、いくつかの技術のいずれかを使用して動物から収集することができる。例えば、肝細胞は、動物の肝臓を酵素消化した後、穏やかに細かく切り刻み、濾過し、遠心分離することで収集できる。さらに、肝細胞は、移植された肝細胞種の細胞型を特異的に認識する抗体を使用するなどの様々な方法を使用して、他の細胞型、組織および/または破片から分離することができる。そのような抗体には、抗ヒトHLA-A、B、CなどのクラスI主要組織適合抗原に特異的に結合する抗体が含まれるが、これらに限定されない(Markus et al.(1997)Cell Transplantation 6:455-462)。次に、抗体に結合した肝細胞を、パニング(固体マトリックスに付着したモノクローナル抗体を利用する)、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、磁気ビーズ分離などによって分離することができる。肝細胞を収集する別の方法も使用できる。
【0097】
場合によっては、収集された肝細胞は、追加の動物バイオリアクターに1回以上連続的に移植され得る。例えば、図6を参照されたい。連続移植は、同じまたは異なる種の動物で2、3、4回、またはそれ以上、例えば、すべての連続移植にラット、ブタ、マウス、またはウサギを使用して、あるいは連続移植に適切な動物バイオリアクターの任意の組み合わせを使用して実施することができる。(ラットで1回以上、ブタで1回以上など)。
【0098】
さらに、動物バイオリアクターから肝細胞を収集した後、肝細胞は、対象への投与前に、本明細書で前述したようにさらなるエクスビボ操作(例えば、アゴニスト抗体、小分子、ポリペプチドなどの1つ以上のアゴニストとのインキュベーション)に供され得る。収集され、必要に応じて単離された増殖した肝細胞は、新鮮なまま使用することも、使用前に凍結保存することもできる。
【0099】
組成物
本明細書に記載されているように操作された肝細胞生成細胞、ならびにこれらの細胞から生成された肝細胞を含む組成物も本明細書に記載されている。
【0100】
したがって、動物に生着し、生存し、かつ増殖するエクスビボで操作された肝細胞によって動物のバイオリアクターにおいて任意の期間(例えば、8~16週間以上)にわたって肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)の40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、または80%から100%の間の再占領率が達成されるように、本明細書に記載のようにエクスビボで処理された肝細胞生成細胞に由来する(増殖された)肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)の集団を含む、生きている非ヒト動物(例えば、非ヒト哺乳動物、げっ歯類、マウス、ラット、ブタなど)が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、一般に8週間までに最大30%の再占領が達成される現在の方法と比較して、70%を超える再占領が同じ期間までに達成される。これにより、数週間のNTBCサイクリングが不要になり、動物バイオリアクターの健康が大幅に改善する。加えて、本明細書に記載のように処理された移植細胞に由来する再占領細胞の健康、生存可能性、耐久性および/または生着もまた、未処理の移植細胞と比較して改善される。
【0101】
場合によっては、移植後14週間より前(例えば13週間以下、12週間以下、11週間以下、10週間以下、9週間以下、または8週間以下を含む)に、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%以上の外因性(すなわち、異種移植片由来)肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)である肝細胞集団となる、またはそれで再占領されている、非ヒトインビボバイオリアクター(例えば、非ヒト哺乳動物またはげっ歯類、例えば、マウスまたはラット、またはブタ)、またはその肝臓が本明細書で提供される。移植後14週間より前(例えば13週間以下、12週間以下、11週間以下、10週間以下、9週間以下、または8週間以下を含む)に、少なくとも1×10個の外因性(すなわち、異種移植片由来)の生着および増殖した肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)を含む、非ヒトインビボバイオリアクター(例えば、非ヒト哺乳動物、またはげっ歯類、例えば、マウスまたはラット、またはブタのような)またはそれらの肝臓もまた提供される。インビボバイオリアクターのブタまたはその肝臓も提供され、これは、少なくとも30~50×10の外因性(すなわち、異種移植片由来)の生着および増殖した肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)を含む。
【0102】
いくつかの例において、非ヒトインビボバイオリアクター(例えば、非ヒト哺乳動物またはげっ歯類、例えば、マウス、ラット、またはブタ)またはその肝臓であって、移植後の同じ時点で対応するバイオリアクターに存在する対応する外因的な非エクスビボ操作肝細胞集団よりも大きい、移植後のある時点における外因的な(すなわち、異種移植片)エクスビボ操作肝細胞集団(例えば、ヒト肝細胞集団)が、本明細書で提供される。場合によっては、エクスビボで操作された外因性由来の肝細胞集団は、対応する非エクスビボ操作の外因性由来の肝細胞集団よりも、少なくとも1.1倍大きく、それは例えば、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、または少なくとも2.5倍大きい場合を含む。場合によっては、エクスビボで操作された外因性由来の肝細胞集団は、対応する非エクスビボ操作の外因性肝細胞集団よりも、少なくとも10%大きく、それは例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、または少なくとも150%大きい場合を含む。対応する外因的な非エクスビボ操作肝細胞集団と比較した、エクスビボで操作された肝細胞集団のサイズのそのような増強は、移植後2週間以下または以上を含む任意の都合のよい時点(例えば移植後2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、10週間、12週間、14週間、もしくは16週間またはその間またはその前後の任意の時点を含むがこれらに限定されない)において評価され得る。
【0103】
上で詳述したように、任意の適切な動物バイオリアクターを肝細胞のインビボ産生に使用することができる。ヒト以外の哺乳動物バイオリアクターが使用に適している。ある特定の実施形態では、動物は、マウスまたはラットなどのげっ歯類である。他の実施形態では、動物はブタである。生きている動物のバイオリアクターは、免疫抑制/免疫無防備状態であるか、肝傷害を受けているか、および/または上記のようにNTBCで処置(例えば、サイクリングNTBC処置)されている可能性がある。
【0104】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるような肝細胞を含む組成物は、カプセル化された肝細胞を含む。単離され、増殖した肝細胞は、典型的には対象への投与の前に、任意の方法を使用してカプセル化され得る。例えば、Jitraruch et al.(2014)PLOS One 9:10、Dhawan et al.(2019)J Hepatol.doi:10.1016/j.jhep.2019.12.002、Bochenek et al.(2018)Nature Biomedical Engineering 2:810-821を参照されたい。半透性ヒドロゲル内の細胞カプセル化は、全身性免疫抑制を必要としない細胞ベースの治療のための局所免疫隔離戦略を表している。ヒドロゲル球は、同種異系細胞を拒絶するであろう免疫細胞を排除しながら、細胞機能に必要な基質、栄養素、およびタンパク質の拡散を促進する。アルギン酸塩球は、この陰イオン性多糖類が細胞に優しい条件下で二価陽イオンの存在下でヒドロゲルを形成するため、最も広く研究されている細胞カプセル化材料の1つである。
【0105】
本明細書に記載の方法によって産生された肝細胞の集団を播種および/または再占領させた、脱細胞化肝臓、または他の無細胞化足場(天然および合成足場を含む)も本明細書で提供される。例えば、本明細書に記載のエクスビボで操作された肝細胞生成細胞の集団は、脱細胞化肝臓、またはその一部、または他の無細胞化足場に(他の支持細胞タイプの有無にかかわらず)導入され得、その後、エクスビボで操作された肝細胞生成細胞から生成された肝細胞による脱細胞化肝臓またはその一部の再占領に十分な条件下で維持される。
【0106】
ヒト肝臓またはブタなどの非ヒト哺乳動物などの肝臓、またはその一部を取得し、任意選択で外科的に処理することができる(例えば、肝臓の1つ以上の部分または葉を単離するために)。次に、肝臓またはその一部は、例えば、機械的細胞損傷、凍結/解凍、カニューレ挿入、および1つ以上の脱細胞化試薬(例えば、1つ以上のプロテアーゼ(エグトリプシン)、1つ以上のヌクレアーゼ(例えば、DNase)、1つ以上の界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、トリトンX-100など)、1つ以上の低張試薬、1つ以上の高張試薬、それらの組み合わせなどによる逆行灌流などを含む任意の便利で適当な手段で脱細胞化される。脱細胞化された肝臓、またはその一部は、肝細胞適合性培地に保存および/または事前浸漬され得る。次に、本明細書に記載のエクスビボで操作された肝細胞生成細胞を含む細胞懸濁液を、例えば注射、灌流、局所適用(例えば、一滴ずつ)などの任意の便利なメカニズムまたはそれらの組み合わせによって、脱細胞化肝臓またはその一部に適用することができる。いくつかの例では、エクスビボで操作された肝細胞生成細胞は、例えば、50μL当たり1×10以下~1×10以上の細胞の濃度を含む任意の便利で適切な濃度(例えば、50μL当たり1~2x10個の細胞が含まれるがこれらに限定されない)で、調製した足場に播種するために細胞懸濁液中に存在し得る。播種された脱細胞化肝臓、その一部、および/または他の無細胞化足場は、導入された細胞の生着/付着および/または増殖のための適切な条件下で維持され得、そのような条件は、適切な湿度、温度、ガス交換、栄養素などを含み得る。場合によっては、播種された肝臓、その一部、および/または他の無細胞化された足場は、適切な培養培地において、5%COを含む約37℃の高湿環境で維持され得る脱細胞化肝臓、その一部、または他の無細胞化足場への、またはその内部への、播種および/または生成された肝細胞の付着および/または増殖に続いて、材料は、例えば、肝機能の低下および/または肝疾患のあるヒト対象などの、それを必要とする対象への移植を含む、様々な用途に使用され得る。ヒト肝臓を含む肝臓の脱細胞化、および肝細胞受容性無細胞足場の生成に関連する方法および試薬は、例えば、Mazza et al.Sci Rep 5,13079(2015)、Mango et al.Adv.Funct.Mater.2000097(2020)、Shimoda et al.Sci Rep 9,1543(2019)、Croce et al.Biomolecules.2019,9(12):813、ならびに米国特許第10,688,221号に記述されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0107】
また、本開示によって提供されるのは、本明細書に記載の方法によって産生される肝細胞の集団(例えば、本明細書に記載のように生成される増殖した肝細胞を含む薬学的組成物)である。ある特定の実施形態において、肝細胞の単離された集団は、げっ歯類バイオリアクター(マウスまたはラット)からの動物当たり1千万~20億のヒト肝細胞(例えば、げっ歯類当たり少なくとも5億、げっ歯類当たり少なくとも7億5000万、げっ歯類当たり少なくとも10億などを含む)が動物バイオリアクターから収集される。ある特定の実施形態では、単離された肝細胞の集団が、ブタバイオリアクターからの一動物当たり100~500億のヒト肝細胞にて動物バイオリアクターから収集され、これは例えば、ブタ一匹当たり少なくとも100億、ブタ一匹当たり少なくとも200億、ブタ一匹当たり少なくとも300億などを含む。本明細書に記載の増殖した肝細胞の単離された集団は、対象の肝疾患のエクスビボ治療に使用することができ、かつ/または、例えば、1つ以上の肝臓状態のエクスビボ治療として使用する前に、エクスビボでさらに操作することができる(例えば、本明細書に記載の方法のラウンドを介して)。
【0108】
本明細書に記載の方法によって産生された肝細胞の集団およびその薬学的組成物は、任意の適切な容器(例えば、培養容器、チューブ、フラスコ、バイアル、クライオバイアル、クライオバッグなど)に存在し得、任意の適切な送達方法および/またはデバイスを用いて利用され得る(例えば、対象に投与される)。肝細胞および薬学的組成物のそのような集団は、新鮮に調製および/または使用され得、あるいは凍結保存され得る。場合によっては、肝細胞の集団およびその薬学的組成物は、「即使用可(ready-to-use)」形式で調製され得、これは例えば、細胞が適切な希釈剤中におよび/または所望の送達濃度で(例えば、単位剤型で)存在する場合を含み、または、所望の送達濃度に容易に希釈すること(例えば適切な希釈剤または培地を用いて)ができる濃度で調製され得る。肝細胞の集団およびその薬学的組成物は、送達デバイスまたは所望の送達メカニズムもしくは所望の送達経路と互換性があるデバイス、例えば、限定するものではないが、注射器、注入バッグ、などの中に調製され得る。
【0109】
用途
本明細書に記載の肝細胞は、任意の肝疾患または肝障害の治療および/または予防に使用することができる。例えば、肝細胞の導入による患者の肝組織の再構成は、対象の肝臓に野生型細胞を再占領させることによるこれらの状態の恒久的な治療を含め、あらゆる肝状態(複数可)(例えば、急性肝不全、慢性肝疾患および/または代謝性または単一遺伝子性疾患)を有する患者のための潜在的な治療選択肢である。肝細胞の再構成は、例えば、遺伝子治療のために遺伝子改変された肝細胞を導入するため、または疾患、物理的もしくは化学的損傷、または悪性腫瘍の結果として失われた肝細胞を置き換えるために使用され得る。加えて、増殖されたヒト肝細胞を使用して、人工肝臓補助装置を満たすことができる。動物(例えば、ラット、マウス、ウサギなど)に異種肝細胞を移植および増殖する特定の方法、ならびに増殖された異種肝細胞の医学的使用が本明細書で提供される。エクスビボで操作された肝細胞は、インビボバイオリアクターでの事前の増殖の有無にかかわらず、それを必要とする対象に投与され得る。
【0110】
本明細書に記載の方法および組成物はまた、それらがヒト対象に移植された後の増殖する肝細胞にも適用することができる。例えば、本明細書に記載の動物バイオリアクターから得られたエクスビボで操作された増殖した肝細胞は、既知の方法(例えば、静脈内)を使用してヒト対象に投与することができる。例えば、Dhawan et al,Nat Rev Gastroenterol Hepatol,7:288-98,2010、Forbes et al,Hepatology,62:S157-S169,2015を参照されたい。移植された肝細胞は、他の方法で産生された肝細胞よりも効率的に対象に再占領する。ある特定の実施形態において、5~10%以上の再占領率が対象において達成され、これは、十分に治療的に有効である。
【0111】
対照的に、場合によっては、本明細書に記載の方法は、エクスビボで改変された肝細胞(そのような肝細胞が最初にインビボバイオリアクターで増殖されたものであるかどうかにかかわらず)の投与前、投与中、および/または投与後における対象への本明細書に記載の1つ以上の薬剤(例えば、c-METアゴニスト(例えば、c-MET抗体、c-METアゴニスト小分子、HGFポリペプチド、またはその誘導体)、EGFRアゴニスト(例えば、EGFR抗体、EGFRアゴニスト小分子、EGFポリペプチド、またはその誘導体)など)の投与を特に除外し、その結果、エクスビボで改変された肝細胞の投与前、投与中、および/または投与後にその薬剤(複数可)は対象に存在しない。したがって、本明細書に記載の方法は、対象が、治療中のどの時点においても、肝細胞のエクスビボ操作の際に使用された試薬は投与されない治療を含む。
【0112】
本明細書に提供されるエクスビボで増殖した肝細胞は、動物バイオリアクターで産生され治療に直接使用できる初めての肝細胞であるため、本明細書に記載の組成物および方法は、ヒト対象における肝疾患を治療および/または予防する新規の方法を提供する。この驚くべき予想外の独立的(stand-alone)使用は、動物バイオリアクターにおけるエクスビボで操作された肝細胞の有意に増加した増殖および/または生着、ならびに/または患者への移植時のそれらの増加した増殖および/または生着の可能性の結果である。したがって、本明細書に記載の方法は、独立療法としての場合を含め、健康な肝細胞を提供することにより、臨床における肝細胞の細胞療法に使用することができ、これは、生着プロファイルの強化により、現在の方法よりも効率的な疾患治療および/または予防をもたらす。
【0113】
本明細書に記載の肝細胞および本明細書に記載の肝細胞を含む組成物は、任意の適切な手段によって対象に、および任意の部分、器官、組織または対象に投与することができる。投与手段の非限定的な例には、門脈注入、臍帯静脈注入、直接脾臓カプセル注射、脾動脈注入、網嚢への注入および/または腹腔内注射(注入、移植)が含まれる。ある特定の実施形態において、組成物は、腹腔内空間および/または網嚢への注入によって移植されるカプセル化された肝細胞を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、無細胞/脱細胞化足場(例えば合成足場、脱細胞化肝臓などを含む)を含み、これに本明細書に記載のように肝細胞を播種および/または再占領させ、必要とする対象に外科的に移植される。
【0114】
本明細書に記載の肝細胞の投与の前および/または後に、患者はまた、対象の肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する1つ以上の薬剤(例えば、抗体、小分子、RNAなど)で処置され得る。ある特定の実施形態において、患者は、少なくとも1つのc-MET抗体、任意選択で、ヒト特異的抗体で治療され得る。1つ以上の薬剤は、患者に1、2、3、4、5回以上投与することができ、肝細胞とともにおよび/または肝細胞とは異なる時間に投与することができる。場合によっては、本明細書に記載の肝細胞の投与の前および/または後に、患者は、対象における肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する1つ以上の、または任意の追加の、薬剤(例えば、抗体、小分子、RNAなど)で処置されない場合がある。したがって、場合によっては、投与された肝細胞は、その状態について対象を治療するために対象に投与される唯一の活性剤であり得る。
【0115】
対象(患者)への投与(移植)に加えて、またはその代替として、本明細書に記載の肝細胞は、肝疾患を有する対象を治療するのに有用なデバイスまたは組成物に肝細胞を供給するために使用することもできる。本開示の肝細胞を使用することができるそのようなデバイスまたは組成物の非限定的な例には、バイオ人工肝臓(BAL)(急性肝不全に苦しむ対象のための体外支持デバイス)および/または脱細胞化肝臓(対象の肝臓を提供するための再細胞化器官足場)が含まれる。例えば、Shaheen et al.(2019)Nat Biomed Eng.doi:10.1038/s41551-019-0460-x、Glorioso et al.(2015)J Hepatol 63(2):388-98を参照されたい。
【0116】
さらに、対象への肝細胞の投与が関わるエクスビボ方法のいずれも、例えば、本明細書に記載されるような肝細胞および/または薬剤の任意の時間における反復投与を含め、方法の1つ以上のステップを繰り返すことをさらに含み得る。
【0117】
本明細書に記載の方法および組成物によって治療することができる疾患および障害には、クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;ならびに様々な尿素回路の欠陥;急性薬物誘発性肝不全の若年および成人患者を含む急性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;肝硬変を含む慢性肝疾患;以下の急性イベント:アルコール摂取、薬物摂取、および/またはB型肝炎の再燃のうちのいずれか1つを原因とする慢性肝不全の急性憎悪が含まれるが、これらに限定されない。したがって、患者はこれらまたは他の肝臓の状態の1つ以上を有する可能性がある。
【0118】
場合によっては、本明細書に記載の方法に従って治療される疾患および障害は、肝細胞特異的(肝細胞固有の)機能不全を含み得る。例えば、機能不全、ならびに疾患および/または障害の病因は、対象内に存在する内因性肝細胞の機能不全に起因するか、または主に起因する可能性がある。場合によっては、肝細胞特異的機能不全は遺伝的であるか、または対象によって遺伝され得る。場合によっては、疾患または障害の病因は、肝細胞以外の細胞型が実質的に関わらない。場合によっては、疾患または障害は、肝機能の低下、肝疾患(急性または慢性)、または内因性肝細胞に由来する他の有害な状態をもたらす。したがって、場合によっては、例えば、疾患が内因性肝細胞集団に内在する場合、効果的な治療には、本明細書に記載の肝細胞の置換、補充、移植、または再占領が含まれ得る。理論に拘束されることなく、肝細胞固有の疾患/障害では、内因性肝細胞の置換および/または補充は、移植された肝細胞に疾患/障害が悪影響を与えることなく、有意な臨床的改善をもたらすことができる。例えば、対象が、肝細胞機能に影響を与える遺伝的障害(例えば、高チロシン血症のような、肝細胞内のアミノ酸代謝)を有する場合、同種移植された肝細胞は、対象内の疾患/障害の存在によって本質的に影響を受けない可能性がある。したがって、移植された肝細胞は、対象内で実質的に生着、生存、増殖、および/または再占領し得、著しいポジティブな臨床転帰をもたらし得る。
【0119】
肝細胞特異的(肝細胞固有)機能障害を特徴とする疾患および障害は、肝細胞特異的ではなく肝細胞外因子が関与する病因を有する疾患および障害と対比され得る。肝細胞外因性である因子および/または病因を有する疾患の例には、例えば、アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性肝疾患(ALD)、肝脂肪症/非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などが含まれるが、これらに限定されない。肝細胞外因性疾患は、アルコール、食事、感染症などの外部の、または内因性肝細胞の外に由来する、肝傷害を伴う。
【0120】
肝細胞固有および肝細胞関連疾患の例には、肝関連酵素欠損症、肝細胞関連輸送疾患などが含まれる。このような肝臓関連の欠陥は、後天性または遺伝性の疾患である可能性があり、代謝性疾患(肝臓に基づく代謝障害など)が含まれる可能性がある。遺伝性の肝臓に基づく代謝障害は、例えば、Ishak,Clin Liver Dis(2002)6:455-479に記載されている疾患などであるがこれらに限定されないような、「肝臓の遺伝性代謝性疾患」と呼ばれることがある。肝臓関連の欠乏症は、ある場合には、急性および/または慢性の肝疾患をもたらし得、これは例えば、急性および/または慢性の肝疾患が、欠乏症を未治療または不十分な治療のまま放置した結果である場合を含む。遺伝性肝関連酵素欠損症、肝細胞関連輸送疾患などの非限定的な例には、クリグラー・ナジャー症候群1型が含まれる。家族性高コレステロール血症、第VII因子欠乏症、糖原病I型、乳児レフサム病、進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型、遺伝性チロシン血症(例、遺伝性チロシン血症1型)、遺伝性尿素サイクル欠損症、フェニルケトン尿症(PKU)、遺伝性ヘモクロマトーシス、アルファIアンチトリプシン欠乏症(AATD)、ウィルソン病などが含まれる。少なくともいくつかの肝表現型、病状、および/または肝関連症状を有する代謝性疾患を含む、肝の遺伝性代謝性疾患の非限定的な例には、5-ベータ-レダクターゼ欠損症、AACT欠損症、Aarskog症候群、アベタリポタンパク血症、副腎白質ジストロフィー、アルパース病、アルパース症候群、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、抗トロンビンIII欠乏症、アルギナーゼ欠乏症、アルギニノコハク酸尿症、動脈肝異形成症、自己免疫性リンパ増殖性症候群、良性再発性胆汁うっ滞、ベータサラセミア、ブルーム症候群、バッド-キアリ症候群、糖タンパク質糖鎖不全症候群、セラミダーゼ欠損症、セロイドリポフスチン症、コレステロールエステル蓄積症、コレステリルエステル蓄積症、慢性肉芽腫性、慢性C型肝炎、クリグラー・ナジャール症候群、嚢胞性線維症、シスチン症、真性糖尿病、デュビン・ジョンソン症候群、風土性チロル性肝硬変、赤血球生成性プロトポルフィリン症、ファブリー病、家族性高コレステロール血症、家族性脂肪性肝炎、フィブリノーゲン蓄積症、ガラクトセミア、ガングリオシドーシス、ゴーチャー病、遺伝性ヘモクロマトーシス、グリコーゲン症1a型、グリコゲノーシス2型、グリコゲノーシス3型、グリコゲノーシス4型、肉芽腫性疾患、肝家族性アミロイドーシス、遺伝性フルクトース不耐性、遺伝性球状赤血球症候群、ヘルマンスキー-パドラック症候群、ホモシスチン尿症、高シュウ酸尿症、低ベータリポタンパク血症、低フィブリノーゲン血症、妊娠肝内胆汁うっ滞、ラフォラ病、リポアミドデヒドロゲナーゼ欠損症、リポタンパク障害、モーリアック症候群、異染性白質ジストロフィー、ミトコンドリア細胞障害、ナバホ神経肝障害、ニーマン-ピック病、非症候性胆管不足、北米インディアン小児肝硬変、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、部分脂肪異栄養症、ピアソン症候群、皮膚ポルフィリン症、進行性家族性肝内胆汁うっ滞、進行性家族性肝内胆汁うっ滞1型、進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型、プロテインC欠乏症、シュワッハマン症候群、タンジール病、血小板減少性紫斑病、総脂肪異栄養症、1型グリコーゲン症、チロル性肝硬変、チロシン血症、尿素回路障害、静脈閉塞性疾患、ウィルソン病、ウォルマン病、X連鎖ハイパーIgM症候群、およびゼルウェーガー症候群、が含まれる。
【0121】
本明細書に記載の方法による対象の治療は、例えば、生存期間の延長、疾患進行の遅延(例えば、肝不全の遅延)、肝不全の予防、改善および/または正常化された肝機能、改善されたおよび/または正常化されたアミノ酸レベル、改善されたおよび/または正常化されたアンモニアレベル、改善されたおよび/または正常化されたアルブミンレベル、改善されたおよび/または正常化されたビリルビン、成長障害表現型からの回復、嗜眠の減少、減少昏睡、発作の減少、黄疸の減少、血清グルコースの改善および/または正常化、INRの改善および/または正常化、尿検査結果の改善および/または正常化などを含むがこれらに限定されない、様々な臨床的利益および/または測定可能な結果をもたらし得る。例えば、場合によっては、本明細書に記載のようにエクスビボで操作された肝細胞などの肝細胞生成細胞の投与は、例えば、標準的なケアに従って治療された対象および/または本明細書に記載のようにエクスビボで操作されていない肝細胞生成細胞を投与された対象と比較して、肝疾患および/または結果として生じる状態を有する対象の生存の少なくとも5%の増加をもたらす。そのような対象における増強された生存の観察されるレベルは変動し得、少なくとも5%から60%以上の増加の範囲であり得、これには、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%以上の生存の増加を含むが、それに限定されない。場合によっては、本明細書に記載のようにエクスビボで操作された肝細胞生成細胞を投与された対象は、疾患の進行の遅延および/または例えば肝不全および/またはそれに起因する症状であるがそれに限定されない1つ以上の疾患症状の発症の遅延を経験し得る。疾患の進行および/または症状の発症のそのような遅延は、数日間、数週間、数ヶ月間または数年間続く可能性があり、それは例えば、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年またはそれ以上を含むがこれらに限定されない。患者に投与される本明細書に記載の肝細胞は、経時的に患者に有益な治療反応をもたらす。
【0122】
以下の実施例は、本開示の例示的な実施形態に関する。これは例示のみを目的としており、他の抗体、核酸(例えば、DNAおよび/またはRNA)または小分子(c-MET以外)も使用できることが理解されよう。
【実施例
【0123】
実施例1:c-MET抗体の特性評価
市販のc-MET抗体を、HepG2および初代ヒト肝細胞(PHH:primary human hepatocytes)でのシグナル伝達活性化についてインビトロで評価した。特に、細胞を市販の抗体とともに標準条件下で2時間インキュベートし、FACS分析およびウエスタンブロットによって評価した。FACSによりネイティブのヒトc-MET受容体を認識し、ヒト肝臓細胞のHGF/c-METシグナル伝達経路を活性化する抗体は、c-METアゴニスト抗体として特徴付けられた。
【0124】
加えて、抗体動態を、以下のようにウォッシュアウトアッセイによって評価した。HepG2細胞を、c-MET抗体(10μg/mL)(またはHGFコントロール(100ng/mL))の有りまたは無しで1時間刺激した。抗体は試料に保持されるか、または洗い流され、次の時点で試料が採取された:処理後1時間、2.5時間、5時間、1日、2日、および5日。
【0125】
結果は、c-METアゴニスト抗体またはHGF(100ng/mL)で1時間処理すると、c-MET/GAB1シグナル伝達経路が高度に活性化されることを示した。さらに、アゴニストが保持された状態とアゴニストが洗い流された状態の両方で、c-MET抗体による処理によるシグナル伝達の活性化が、HGFで処理された試料で見られるシグナル伝達活性化よりも、経時的に大幅に持続性が大きいことが、が予期せず発見された(例えば、保持された試料の場合は最大5日、洗い流された試料の場合は2日)。
【0126】
これらの結果は、それぞれのアゴニストが細胞とともに培養物に残されたままである場合と、初期インキュベーション時間の後にウォッシュアウト/除去された場合の両方で、c-METアゴニスト抗体処置が、延長されより持続的な経路活性化(例えば、HGF誘導による経路活性化と比較して)を提供できることを例証している。
【0127】
実施例2:肝細胞のエクスビボ操作
初代ヒト肝細胞が、FRG動物に移植する前にエクスビボで操作され、移植された肝細胞の増殖および生着に対するc-MET抗体エクスビボ操作の効果を、以下のように評価した。
【0128】
初代肝細胞は、BDから入手し-80℃で保存した。肝細胞培地は次のように作成された:肝細胞基礎培地(Lonza)およびHCM Single(商標)Quots(商標)の1:1混合物、5%FBSおよび10uM ROCK阻害剤。これらの実験では、c-MET抗体は、Sino Biological(c-MET Ab#1)およびR&D Systems(c-MET Ab#2)から商業的に入手した。EGFR抗体は、Sino Biologicalから商業的に入手した。
【0129】
移植の日(0日目)に、凍結保存された初代ヒト肝細胞を解凍し、以下のプロトコルに従って調製する。
(1)1x50ml肝細胞解凍培地(Thermo)を37℃に温める。凍結保存されたヒト肝細胞を37°Cのウォーターバスですばやく解凍し、肝細胞を肝細胞解凍培地(Thermo)に移す。
(2)細胞懸濁液を100gで10分間RTで遠心分離して細胞ペレットを形成し、次いで上清を捨てる。
(3)細胞ペレットをゆっくりと回転させて再懸濁し、次いで47mlの肝細胞培地を加える。
(4)細胞懸濁液を80gで4分間RTで遠心分離して細胞ペレットを形成し、次いで上清を捨てる。
(5)(細胞ロットにより変動するが、1.0~2.0x10細胞/mLの推定細胞密度になるように)少量の肝細胞培地中で旋回することにより穏やかに細胞ペレットを再懸濁する。
(6)血球計算盤上でトリパンブルー染色を用いて手動で細胞計数を行い、生存および死んだ肝細胞の数を決定する。
(7)肝細胞培地中1.0×10細胞/mlに生存肝細胞の濃度を調整する。
(8)各群について細胞と所望濃度の抗体とを混合し、細胞を2ml/ウェル(細胞密度1.0x10細胞/ml)で6ウェル超低付着プレートにプレーティングする。インキュベーター内のロッキングプラットフォームにプレートを置き、1~2時間揺り動かす。
(9)混合するための揺り動かしプロセス中、30分ごとに手動で穏やかに振とう/混合する。
(10)揺り動かした後、細胞を15mlチューブに移す。
(11)80gで4分間スピンダウンする。
(12)上清を吸引する(結合していない抗体の除去)。
(13)DNase(2ug/ml)を含む肝細胞培地に、動物移植ごとに100ulのアリコートで肝細胞を穏やかに再懸濁し、移植ごとに個別のチューブに各アリコートを入れる。移植まで細胞を氷上に保つ。
【0130】
実施例3:インビボバイオリアクターでの肝細胞の産生
上記の実施例2で記述されたように調製されたヒト肝細胞は、標準的な移植プロトコルに従って脾臓内注射によってFRGマウスに移植された。米国特許第8,569,573号(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)に記載されているように、NTBCサイクリングレジメンに従ってマウスをNTBCのオン/オフでサイクリングさせた。
【0131】
移植後1、4、および8週間で肝臓を採取し、移植されたヒト肝細胞の再占領を、米国特許第8,569,573号(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)に記載されているようにFAH IHCおよびヒトアルブミンELISAによって評価した。
【0132】
図2Aから図5に示されるように、肝細胞のエクスビボ操作は、FRG動物における生着および増殖のレベルの増加をもたらした。特に、c-METアゴニスト抗体を用いたエクスビボ操作は、現在の手順(すなわち、本明細書に記載されているようなエクスビボ操作を欠く手順)を使用して得られた5~30%の再占領範囲と比較して、8週間で70~90%の再占領に達することにより、移植されたヒト肝細胞のインビボ再占領動態を劇的に改善した。
【0133】
図2Aおよび2Bは、FAH IHCによる定性的(図2B)および定量的(図2A)評価を使用して、エクスビボ操作を受けていない(「Abなし対照」)肝細胞を投与された動物と比較した、アゴニストc-MET抗体(「c-MET Ab」)の適用によってエクスビボで操作された肝細胞を受けた動物における移植後1週間での生着および増殖の増加を示す。図2Cおよび図2Dは、同様に、エクスビボで操作されていない肝細胞を受けた動物と比較した、エクスビボで操作された肝細胞を受けた動物における移植後2週間での肝細胞再占領の増加を示す。特に、これらの結果は、FAH IHCによるc-MET Abグループの肝細胞数の増加(図2C、上のグラフ、および図2D)だけでなく、対照と比較したc-MET Abグループのより高いアルブミンレベルによって測定される増強された機能的再占領も示す(図2C、下のグラフ)。図2Eおよび図2Fは、FAH IHC(図2E上のグラフ、および図2F)およびヒトアルブミンELISA(図2E下のグラフ)によって測定されるように、対照と比較して、c-METアゴニスト抗体でエクスビボ操作された肝細胞を受けた動物における移植後4週間での再占領の継続的な増強をさらに実証している。移植後4週間および6週間でのヒトアルブミンELISAによって定量化された追加の研究は、未処理の対照(すなわち、エクスビボで操作されていない)肝細胞を投与された動物と比較して、c-METアゴニスト抗体でエクスビボ操作された処理肝細胞を受けたマウスの再占領率の平均で約2倍以上の増加をさらに示した。例えば、そのようなさらなる研究は、移植後4週間で、エクスビボで操作されなかった肝細胞を受けた対照における58μg/mLと比較して、c-Metアゴニスト抗体エクスビボ操作された肝細胞を受けたマウスにおける388μg/mLの平均ヒトアルブミンレベルを示し、これは統計的に有意な差(p=0.0076)であった。
【0134】
図3に示される例示的な結果は、移植後8週間で、未処理のヒト肝細胞の移植を受けた対照動物バイオリアクターは、FAH+ヒト肝細胞の17%未満の再占領を有し、この動物におけるヒトアルブミンレベルは4000μg/mL未満であったことを示す(左パネル、「Abなし対照」)。対照的に、c-METアゴニスト抗体で処理されたヒト肝細胞を移植された動物では、約90%レベルのFAH+ヒト肝細胞の再占領が達成された(中央(「c-MET Ab_1」)および右(「c-MET Ab_2」)パネル)。加えて、14,000μg/mLを超えるヒトアルブミンレベルがこれらのエクスビボ操作動物で観察された。さらなる研究では、FAH肝臓IHCおよび血中ヒトアルブミンELISAによる移植後8週間の定量化により、c-METアゴニスト処理肝細胞を受けた複数の動物で70%を超える再占領レベルおよび4000μg/mLを超えるヒトアルブミンレベルが示された。平均して、再占領(例えば、FAH肝臓IHCおよび/または血液ヒトアルブミンELISAによって測定される)は、c-METアゴニスト抗体エクスビボで操作されなかった肝細胞を受けた動物と比較して、c-METアゴニスト抗体エクスビボ操作肝細胞を受けた動物において、移植後8週間で約2倍以上増強された。
【0135】
図4に示されるように、EGFR抗体を用いた細胞のエクスビボ操作もまた、移植後4週間および8週間の両方で、未処理の細胞と比較して再占領を改善した。別の研究では、エクスビボで操作されていないヒト肝細胞を受けた対照マウスと比較して、EGFR抗体でエクスビボ操作されたヒト肝細胞を受けたマウスにおいて、移植後2週間という早い時期でも再占領のレベルの上昇が観察された。特に、EGFR抗体エクスビボ操作群では2週間でヒトアルブミンレベルが100μg/mLを超えるマウスが検出され、この群の平均は、すべての動物のヒトアルブミンレベルは50μg/mL未満であった非エクスビボ操作群と比較して2倍超高くなっている。
【0136】
図5に示すように、移植前にc-MET+EGFR抗体で処理された細胞はまた、2週間でのアルブミン産生レベルおよびFAH IHCによって決定されるように、未処理細胞と比較して、動物バイオリアクターにおけるヒト肝細胞の生着および増殖を有意に増加させた。加えて、c-MET抗体とEGFR抗体の両方でエクスビボで処理された細胞による最大および平均の再占領は、2週間の時点で、c-MET抗体のみでエクスビボ処理された細胞を受けた動物で観察された対応する再占領レベルよりも大きかった。
【0137】
ラットFRG動物も、肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)の産生(すなわち、増殖)のためのインビボバイオリアクターとして使用されてきた。そのような方法において、ヒト肝細胞は、実施例2で上述したように処理され、NTBCのオン/オフをサイクルするラットに投与される(例えば、マウスについて上述したNTBCサイクリングと同様)。初代ヒト肝細胞を含むヒト肝細胞は、例えば、c-METアゴニスト(例えば、c-METアゴニスト抗体)、EGFRアゴニスト(EGFRアゴニスト抗体など)など、肝細胞の成長、再生、生存および/または生着および移植を促進する少なくとも1つの薬剤との接触によりエクスビボで操作され得る。ラットの肝臓は、移植後2、4、8、12、および/または16週間で採取され、移植された肝細胞による再占領について評価される。例えば、採取されたラット肝臓は、上記のように、ヒトFAH発現などのヒトタンパク質発現について評価され得る。場合によっては、例えば、移植された細胞による再占領のレベルの代理測定としてのヒトアルブミン定量化の使用を通じた、再占領の研究内評価のために、生きているラットから血液試料が取得され得る。場合により、ラットはまた、移植前、移植中、および/または移植後に1回以上、c-METおよび/またはEGFR抗体で処置される。
【0138】
c-MET抗体への曝露を含むエクスビボ操作は、FRGラット中の生着および増殖のレベルを増加させ、移植後8~16週間までに少なくとも50~70%以上の再占領を達成する。
【0139】
本明細書に記載されている、FRGげっ歯類モデルにおけるヒト肝細胞再占領のFAH IHC定量化は、以下のように実施された。(FAH特異的抗体によって)FAH陽性細胞について染色されたIHCスライドを、Pannoramic Midi IIスライドスキャナーによってスキャンした。スキャンしたスライドは、CaseViewerソフトウェアのCellQuantモジュールを使用して分析した。モジュールのプロパティおよび測定パラメータの下で標準シナリオが構築された。細胞は、細胞質の幅と細胞質の染色強度によって定義された。細胞の検出は、細胞質における色デコンボリューション、陽性を示す色原体および陰性を示す対比染色によって行われた。FAH陽性細胞は、染色強度(0、+1、+2、または+3)によって定義され、0では陽性強度が検出されず、+3では強い陽性強度で検出された。スコアは必要に応じて調整された。再占領率は、(上記の細胞検出基準に基づいて)検出された全細胞に対する+3細胞(強いFAH陽性)のパーセンテージとして決定された。
【0140】
実施例4:エクスビボで操作されたヒト肝細胞の移植による肝疾患の救済の強化
FRGラットは、NTBCがなしの場合、ヒト患者における未治療の遺伝性チロシン血症1型によりもたらされることが観察される肝不全を再現するため、肝疾患の臨床的に関連するモデルとしてこの研究で使用された。対応して、ヒトの疾病をモデリングして、FRGラットは、代替の介入がない場合、肝不全を発症し、最終的にはそのために死亡する。本明細書に記載されるようにエクスビボで操作されたヒト肝細胞が、このモデルにおいてインビボで肝不全を治療する能力を試験するために、FRGラットに、(1)c-MET抗体アゴニストでエクスビボで操作された初代ヒト肝細胞、または(2)c-MET抗体アゴニストでエクスビボで操作されなかった対照初代ヒト肝細胞、のいずれかの細胞療法用量が投与された。移植された動物は、ここに記載された観察の過程を通してNTBC補充なしで維持され、疾患進行のマーカーとして動物の生存率をアッセイした。移植後7日までに、エクスビボで操作しなかった肝細胞で処置したグループでは25%の生存率が観察されたのと比較して、c-METアゴニスト抗体でエクスビボ操作した肝細胞を投与したラットのグループでは91.7%の生存率が観察された。この研究は、本明細書に記載のエクスビボで操作されたヒト肝細胞の投与が、ヒト疾患のげっ歯類モデルにおける肝不全を効果的に治療することを実証している。これらのデータは、エクスビボで操作されたヒト肝細胞の投与が、本明細書に記載のエクスビボ操作を受けていない肝細胞を含む対応する対照治療と比較して、生存を増強し、疾患の進行を遅らせたことを示す。
【0141】
実施例5:エクスビボ療法
本明細書に記載のように、例えば実施例3のように動物バイオリアクターで調製されたヒト肝細胞を含む薬学的組成物は、標準的なプロトコルを使用して、1つ以上の肝疾患または障害を有するヒト対象に移植される。
【0142】
場合によっては、移植の前に、動物バイオリアクターから単離された肝細胞は、例えば以下のような標準的な技術を使用してカプセル化され得る。空のおよび肝細胞マイクロビーズ(EMBおよびHMB)は、基本的にDhawan et al.(2019)J Hepatol.72(5):P877-884およびJitraruch et al.(2014)PLOS One 9:10に記載されているように生成される。簡単に説明すると、肝細胞マイクロビーズは、250μmノズルを備えたIE-50Rカプセル化装置(Inotech Encapsulation AG、Dottikon,Switzerland)と滅菌臨床グレード試薬を使用して製造される。低粘度で高グルロネートの超高純度アルギン酸ナトリウム(PRONOVA(商標)SLG20、NovaMatrix、Sandvika、Norway)を0.9%NaClに溶解して最終濃度1.5%アルギン酸溶液(w/v)とし、2.5×10細胞/mlアルギネートの密度で細胞と混合した。マイクロビーズを1.2%CaCl溶液中で10分間架橋し、0.9%NaClで2回洗浄して過剰なCa2+イオンを除去する。このマイクロビーズの平均直径は500 SD 100μmである。
【0143】
肝細胞組成物(アルギン酸塩HMBを含む)が対象に投与される。投与は、継続的な心肺モニタリング下の集中治療室中でのものを含め、腹腔内への注入を介して行うことができる。対象(成人および子供)は、注入時に急性肝不全の管理の一環として人口呼吸が施され得る。治療の前に、国際標準比(INR)は<2、および血小板>50,000/マイクロリットルに補正される。前腹壁を介して超音波ガイド下で16ゲージのカニューレが配置され、5~20ml/kg/セッションの肝細胞(例えば、細胞培地中のアルギン酸塩HMB)が超音波ガイド下で20~45分間かけて注入される)。用量は、アルギン酸塩1ml当たり約2500万細胞と計算され得る。患者は一般に、バイタルサイン、腹部膨満、腸閉塞、腹部の出血、尿量、および/またはアナフィラキシーもしくは感染の兆候について監視される。
【0144】
移植された肝細胞は、ヒト対象に生着して増殖し、症状の重症度および/または頻度を低減すること、症状および/または根本原因の排除、症状および/またはそれらの根本原因の発生を防止すること、および/または疾患によって引き起こされる損傷を改善もしくは修復することによって、1つ以上の肝疾患を治療する。
【0145】
本明細書に記載されているすべての特許、特許出願および刊行物は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
理解を明確にする目的で例示および例としてある程度詳細に開示が提供されているが、開示の趣旨または範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を実施できることは当業者には明らかであろう。したがって、前述の説明および例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0147】
実施形態
したがって、本明細書で説明した本対象の実施形態は、単独で、または1つ以上の他の態様もしくは実施形態と組み合わせて有益となり得る。本説明を限定することなく、連続して番号が付けられた、本開示のある特定の非限定的な実施形態を以下に提供する。本開示を読むと当業者には明らかとなるように、個々に番号付けされた実施形態の各々は、先行のまたは後続の個々に番号付けされた実施形態のうちのいずれかとともに使用または組み合わせることができる。これは、このような実施形態のすべての組み合わせについてのサポートを提供することを意図しており、以下に明示的に提供される実施形態の組み合わせに限定されない。
1.肝細胞を産生する方法であって、前記方法が、
肝細胞が動物の肝臓において増殖するように、前記肝細胞を生成するエクスビボで操作された細胞を動物バイオリアクターに投与する工程であって、任意選択で、前記増殖した肝細胞は、投与後8~16週間以内に前記動物の総肝細胞集団の少なくとも70%を構成する、工程と、
前記動物から前記増殖した肝細胞を分離する工程と、を含む、方法。
2.前記エクスビボの操作が、前記動物バイオリアクターにおいて前記肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と共に前記肝細胞生成細胞を培養することを含む、請求項1に記載の方法。
3.前記少なくとも1つまたはそれ以上の薬剤が、1つ以上の抗体、1つ以上の小分子、および/または1つ以上の核酸を含み、任意選択でc-METおよび/または上皮細胞成長因子(EGFR)抗体を含む、請求項2に記載の方法。
4.前記増殖した肝細胞が、ヒト肝細胞である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
5.前記動物バイオリアクターが、遺伝子改変動物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
6.前記動物バイオリアクターが、FAH欠損である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
7.前記動物バイオリアクターが、マウス、ラットまたはブタを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
8.前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、前記動物バイオリアクターに注入される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
9.前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、前記動物バイオリアクターに静脈内注射される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
10.前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、任意選択で前記動物バイオリアクターの脾臓内注射、門脈内注射、または肝臓への直接注射を介して、前記動物バイオリアクターの器官に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
11.前記動物バイオリアクターにおいて、10%を超える肝細胞再占領率が達成される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
12.前記動物バイオリアクターにおいて、40%を超える肝細胞再占領率が達成される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
13.前記肝細胞生成細胞が、商業的供給源から得られるか、あるいは生きている対象もしくは死体から単離されたものであるか、またはインビトロで予め増殖された初代ヒト肝細胞であり、そして後にエクスビボ操作に供される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
14.前記エクスビボの操作が、前記動物バイオリアクターに投与する前に、前記肝細胞生成細胞を、前記少なくとも1つの薬剤と共に1分~2日間培養することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
15.前記エクスビボの操作が、前記少なくとも1つの薬剤と共にインキュベートされた前記肝細胞生成細胞を揺り動かすステップをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
16.エクスビボで操作された肝細胞生成細胞の投与の前および/または後に、前記動物バイオリアクターにNTBCを投与するステップをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
17.前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、前記動物バイオリアクター内で4~16週間、任意選択で6~10週間、任意選択で8週間未満に渡り増殖される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
18.前記増殖した肝細胞が、前記動物バイオリアクターの総肝細胞集団の少なくとも40%を構成する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
19.前記増殖した肝細胞を単離し、前記単離された増殖した肝細胞をさらなるエクスビボ操作に供することをさらに含み、任意選択で、前記エクスビボ操作が、肝細胞の増殖、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と共に前記単離された増殖した肝細胞を培養することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
20.先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって産生された、増殖した肝細胞の集団。
21.前記肝細胞が、前記少なくとも1つの薬剤を用いて培養されていない肝細胞生成細胞から産生された肝細胞よりも健康であり、生着がより良好であり、かつ/またはより増殖性である、請求項20に記載の増殖した肝細胞の集団。
22.増殖したエクスビボで操作されたヒト肝細胞を含む、動物バイオリアクターまたはその肝臓であって、前記ヒト肝細胞が、前記動物バイオリアクターの肝臓細胞体積の40%超および/または前記動物バイオリアクターの肝臓肝細胞の40%超を構成する、動物バイオリアクターまたはその肝臓。
23.1つ以上の肝疾患または肝障害の治療および/または予防を必要とする対象においてそれらを行う方法であって、前記対象に、先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって産生された増殖した肝細胞または請求項22に記載の動物バイオリアクターから単離されたヒト肝細胞を投与することを含む、方法。
24.前記肝疾患が、慢性肝疾患または急性肝疾患である、請求項23に記載の方法。
25.前記肝疾患が、肝硬変;慢性肝不全の急性憎悪(ACLF);薬物もしくは中毒による肝不全;先天性代謝性肝疾患;クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;尿素回路異常;急性肝不全;急性薬物誘発性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患;ならびに/またはアルコール摂取、薬物摂取、および/もしくはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪である、請求項23または24に記載の方法。
26.前記肝細胞が、門脈注入、臍帯静脈注入、直接脾臓カプセル注射、脾動脈注入、腹腔内注射、リンパ節注射を介して投与され、任意選択で、前記肝細胞が、カプセル化された肝細胞を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
27.前記対象における肝細胞の成長、再生、生存および/または生着を促進する1つ以上の薬剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
28.前記1つ以上の薬剤が、1つ以上の抗体、1つ以上の小分子、および/または1つ以上の核酸を含む、請求項27に記載の方法。
29.前記少なくとも1つの薬剤が、c-MET抗体を含み、任意選択で、前記c-MET抗体が、ヒト特異的である、請求項27または請求項28に記載の方法。
30.前記1つ以上の薬剤が、任意選択で前記肝細胞とともにおよび/または前記肝細胞とは異なる時間に、前記対象に1回、2回またはそれ以上投与される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
31.肝細胞生成細胞(例えば、ヒト肝細胞)、ならびに/または、肝細胞の成長、再生、生存および/もしくは生着を促進する少なくとも1つの薬剤を含み、任意選択で、先行する方法のいずれかを実行するための説明書を含む、キット。
32.肝細胞を産生する方法であって、前記方法が、
肝細胞生成細胞を、増殖、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤とエクスビボで接触させることによって、前記細胞を操作する工程と、
生着に適した条件下で、前記エクスビボで操作された細胞をインビトロバイオリアクターに移植する工程と、
前記生着した細胞を増殖させ肝細胞を産生するのに適した条件下で前記インビボバイオリアクターを維持する工程であって、任意選択で、前記エクスビボ操作を欠く対応する方法と比較して、生着および/または再占領の効率を少なくとも10%増加させる、工程と、を含む、方法。
33.前記操作が、前記肝細胞生成細胞および前記少なくとも1つの薬剤を含有する容器を撹拌することを含み、任意選択で、前記撹拌が、揺り動かすことを含む、請求項32に記載の方法。
34.前記移植の前に、前記エクスビボで操作された細胞から前記少なくとも1つの薬剤を分離することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
35.前記分離が、前記少なくとも1つの薬剤を除去すること、および/または前記エクスビボで操作された細胞を単離することを含み、任意選択で、前記分離が、遠心分離および/または吸引を含む、請求項34に記載の方法。
35.前記増殖した肝細胞を単離することをさらに含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
36.前記産生された肝細胞が、ヒト肝細胞であり、任意選択で、前記肝細胞生成細胞が、初代ヒト肝細胞を含む、請求項32~25のいずれか一項に記載の方法。
37.前記少なくとも1つの薬剤が、成長因子受容体に特異的に結合するアゴニストを含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
38.前記アゴニストが、小分子または抗体を含む、請求項37に記載の方法。
39.前記成長因子受容体が、c-METおよび/またはEGFRである、請求項37または38に記載の方法。
40.前記少なくとも1つの薬剤が、c-METアゴニスト抗体および/またはEGFRアゴニスト抗体を含む、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
41.前記生着した細胞が、2~16週間の期間に渡り増殖される、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
42.前記増殖した肝細胞が、前記インビボバイオリアクターの総肝細胞集団の少なくとも50%を構成する、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
43.前記インビボバイオリアクターが、内因性肝損傷を含み、任意選択で、前記インビボバイオリアクターが、前記内因性肝損傷を含むように遺伝子改変されている、請求項32~42のいずれか一項に記載の方法。
44.前記インビボバイオリアクターが、免疫抑制され、任意選択で、前記インビボバイオリアクターが、免疫抑制されるように遺伝子改変されている、請求項32~43のいずれか一項に記載の方法。
45.前記インビボバイオリアクターが、FAH欠損、IL-2Rγ欠損、RAG1欠損、RAG2欠損、またはそれらの任意の組み合わせを含む、マウス、ラット、またはブタである、請求項32~44のいずれか一項に記載の方法。
46.前記インビボバイオリアクターが、FAH、RAG1、および/またはRAG2、ならびにIL-2Rγ欠損(FRG)を含む、げっ歯類またはブタである、請求項45に記載の方法。
47.エクスビボで操作された肝細胞生成細胞の投与の前および/または後に、前記バイオリアクターにNTBCを投与することをさらに含む、請求項32~46のいずれか一項に記載の方法。
48.前記エクスビボで操作された肝細胞生成細胞が、任意選択で前記インビボバイオリアクターの脾臓内注射、門脈内注射、または前記肝臓への直接注射を介して、前記インビボバイオリアクターの器官に投与される、請求項32~47のいずれか一項に記載の方法。
49.前記肝細胞生成細胞が、商業的供給源から得られるか、あるいは生きている対象もしくは死体から単離されたものであるか、またはインビトロで予め増殖された初代ヒト肝細胞であり、そして後にエクスビボ操作に供される、請求項32~48のいずれか一項に記載の方法。
50.前記エクスビボ操作が、前記インビボバイオリアクターに投与する前に、前記肝細胞生成細胞を前記少なくとも1つの薬剤と共に1分~2日間培養することを含む、請求項32~49のいずれか一項に記載の方法。
51.対象の肝疾患を治療する方法であって、前記方法が、
肝細胞を生成するエクスビボで操作された細胞を、インビボで生着および増殖するのに有効な量で前記対象に投与し、それにより対象の前記肝疾患を治療することを含む、方法。
52.肝細胞生成細胞を、成長、再生、生存および/または生着を促進する少なくとも1つの薬剤と接触させて、前記エクスビボで操作された細胞を生成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
53.前記対象に投与する前に、インビボバイオリアクター内で前記エクスビボで操作された細胞を増殖することをさらに含む、請求項51または52に記載の方法。
54.前記肝疾患が、肝硬変;慢性肝不全の急性憎悪(ACLF);薬物もしくは中毒による肝不全;先天性代謝性肝疾患;クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;尿素回路異常;急性肝不全;急性薬物誘発性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患;ならびに/またはアルコール摂取、薬物摂取、および/もしくはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪である、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
55.前記肝疾患が、遺伝性障害である、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
56.前記肝疾患が、肝不全を含む、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
57.前記肝疾患が、肝臓関連酵素欠損症を含む、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
58.前記肝疾患が、遺伝性チロシン血症である、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
59.任意選択で、前記エクスビボで操作された細胞を投与されていない同等の対象の生存と比較して、前記治療が、前記対象の少なくとも延長された生存をもたらす、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
60.肝疾患の治療のための、先行請求項に記載の方法またはシステムのいずれかによって産生された細胞の使用。
61.肝疾患の治療における、請求項20または21に記載の細胞集団の使用。
62.前記肝疾患が、肝硬変;慢性肝不全の急性憎悪(ACLF);薬物もしくは中毒による肝不全;先天性代謝性肝疾患;クリグラー・ナジャー症候群1型;家族性高コレステロール血症;第VII因子欠乏症;第VIII因子欠乏症(血友病A);フェニルケトン尿症(PKU);糖原病I型;乳児レフサム病;進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型;遺伝性高チロシン血症1型;尿素回路異常;急性肝不;急性薬物誘発性肝不全;ウイルス誘発性急性肝不全;特発性急性肝不全;キノコ中毒による急性肝不全;術後急性肝不全;妊娠中の急性脂肪肝によって誘発される急性肝不全;アルコール性肝不全、肝性脳症、肝硬変を含む慢性肝疾患;ならびに/またはアルコール摂取、薬物摂取、および/もしくはB型肝炎の再燃を原因とする慢性肝不全の急性憎悪である、請求項56または57に記載の使用。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】