(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】車両モデルの正しさを定量化するための方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/02 20120101AFI20220920BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220920BHJP
B60W 50/02 20120101ALI20220920BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W60/00
B60W50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572902
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019065729
(87)【国際公開番号】W WO2020249235
(87)【国際公開日】2020-12-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】クリントベリ,エーミル
(72)【発明者】
【氏名】ハグヴァル,リーナス
(72)【発明者】
【氏名】サンドブロム,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ウィグストロム,オスカー
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241CA00
3D241CE09
(57)【要約】
車両モデルf(・)の正しさを定量化するための方法。本方法は、入力パラメータの範囲にわたるモデルf(・)を評価することによって予測誤差
【数1】
を取得するステップと、閾値ζを超える予測誤差
【数2】
が一般化パレート分布(GDP)に従うように閾値ζを決定するステップと、閾値ζを超える予測誤差
【数3】
に基づいてGDPをパラメータ化するステップとを含む。次いで、本方法は、パラメータ化されたGDPに基づいてモデルf(・)の正しさを定量化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関連するモデルf(・)の正しさを定量化するための方法であって、
入力パラメータの範囲にわたって前記モデルf(・)を評価することによって予測誤差
【数1】
を取得するステップ(S1)と、
閾値ζを超える前記予測誤差
【数2】
が一般化パレート分布(GDP)に従うように前記閾値ζを決定するステップ(S2)と、
前記閾値ζを超える前記予測誤差
【数3】
に基づいてGDPをパラメータ化するステップ(S3)と、
前記パラメータ化されたGDPに基づいて前記モデルf(・)の正しさを定量化するステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項2】
前記取得するステップは、以前に保存された車両状態の数列
【数4】
および制御入力の数列
【数5】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップ(S11)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得するステップは、車両動作中の車両状態の数列
【数6】
および制御入力の数列
【数7】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップ(S12)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータ化されたGDPに基づいて、1-γより大きい確率で範囲
【数8】
内にあるように予測誤差ε
kの範囲を定めることによって、有界外乱モデルとして前記車両モデルの前記予測誤差ε
kを定量化するステップ(S41)を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βを決定するステップ(S5)を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータ化されたGDPに関連する前記信頼度βに基づいて、モデルの正しさの検証のために収集されたモデルデータの十分性を評価するステップ(S51)を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、前記車両に関連する運行設計領域(ODD)をモニタリングするステップ(S6)を含み、
前記ODD外の動作は、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって示される請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記閾値ζを超える誤差間で経過した時間を示す超過メトリック間の時間を測定し、前記超過メトリック間の時間に基づいてODDをモニタリングするステップ(S7)を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記車両が所定のODDの外で動作する場合に、警告信号を発するステップを含む請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
現在の車両状態(x
k|k)に関連する車両(1)を制御するための車両制御コマンド(u
k)が、前記車両(1)による将来の状況回避操作(SAM)(23)を除外するかを決定するため、前記方法はさらに、
1つまたは複数の安全集合(S
1、S
2、・・・S
k)を得るステップであって、各安全集合は将来のSAM(23)が成功の見込みを有して開始され得る車両状態の範囲を表すステップ(S8)と、
前記現在の車両状態(x
k|k)および前記制御コマンド(u
k)を取得するステップ(S9)と、
前記現在の車両状態(x
k|k)および前記制御コマンド(u
k)に基づいて将来の車両状態(x
k+1|k)を予測するステップであって、前記有界外乱モデルに基づいて前記将来の車両状態(x
k+1|k)を予測するステップ(S10)と、
前記予測された将来の車両状態(x
k+1|k)を前記1つまたは複数の安全集合(S
1、S
2、・・・S
k)と比較し、前記予測された将来の車両状態(x
k+1|k)が前記1つまたは複数の安全集合(S
1、S
2、・・・S
k)のいずれにも含まれない場合は、前記制御コマンド(u
k)が前記将来のSAM(23)を除外することを決定するステップ(S11)と
を含む請求項4に記載の方法。
【請求項11】
SAM(23)は、車両状態(X)の目標範囲に到達するための対応する制御法則によって補うことができない少なくとも1つの外乱数列が存在する場合に、除外される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
プログラムがコンピュータ上または制御ユニット(1200)の処理回路(1310)上で動作するときに、請求項1から11のいずれか1項に記載のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(1320)。
【請求項13】
プログラムプロダクトがコンピュータ上または制御ユニット(1200)の処理回路(1310)上で動作するときに、請求項1から11のいずれか1項に記載のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(1320)を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体(1310)。
【請求項14】
車両モデルf(・)の正しさを定量化するための制御ユニット(1300)であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成された制御ユニット(1300)。
【請求項15】
請求項14に記載の制御ユニット(1300)を備える車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両モデルの正しさを定量化するための、または車両に関連するモデルの正しさを定量化するための方法、制御ユニット、および車両に関する。モデルは、例えば、車両動態特性のモデル、または車両による様々な制御入力に対して予想される応答のモデルであり得る。本明細書で開示される方法は、モデルに関連する予測誤差の範囲を定めるために適用される場合があり、自律運転および他の安全性に係わる重要な機能において適用される。
【0002】
本発明は、トラックおよび建設機械などの大型車両に適用され得る。本発明は、主にセミトレーラ型車両に関して記載されるが、本発明はまた、この特定の車両に制限されず、例えば、リジッドトラック、建設機械、バス、およびさらに乗用車など、他の型の車両において使用され得る。
【背景技術】
【0003】
自律および半自律車両は、ナビゲーションおよび車両制御のための、様々な種類の処理システムおよびセンサ入力信号を使用する。先進運転支援システム(ADAS)もまた、センサ入力信号に基づく。車両システムが部分的に機能不全に陥る場合に、最小リスク状態に車両を移行することが要求され得る。この種類の操作は、状況回避操作(SAM)と呼ばれることがあり、車両は、検知されたリスクシナリオなどの望ましくない状況を避ける操作を自律的に実行する。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0224851(A1)は、GPS信号を喪失した場合に安全停止操作を実行する問題に関する。推測航法に基づく位置推測は、一次測位システムが機能していない場合に使用される。
【0005】
SAMを計画し、所与のSAMに関連する成功確率を決定することを可能とするために、所与の車両モデルに関連する予測誤差の大きさがどの程度であるかを知ることが必要である。換言すると、車両モデルの正しさ(correctness)を定量化することが望まれる。
【0006】
モデルの正しさを定量化する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、車両に関連するモデルの正しさを定量化するための方法を提供することである。この目的は、車両に関連するモデルf(・)の正しさを定量化するための方法によって達成される。本方法は、入力パラメータの範囲にわたってモデルf(・)を評価することによって予測誤差
【数1】
を取得するステップと、閾値ζを超える予測誤差
【数2】
が一般化パレート分布(GDP)に従うように閾値ζを決定するステップと、閾値ζを超える前記予測誤差
【数3】
に基づいてGDPをパラメータ化するステップと、パラメータ化されたGDPに基づいてモデルf(・)の正しさを定量化するステップとを含む。
【0008】
開示される方法の重要な特徴は、モデルの正しさを定量化するために必要とされるデータの要求量が減少することである。減少したデータの集合に基づくモデルの正しさ分析を可能にすることによって、開発および試験時間が減少し、これは利点である。また、従来はあまりに大量のデータが要求されるため実施することができなかったいくつかの種類の分析が、開示される方法によって可能となる。
【0009】
いくつかの態様によると、前記取得するステップは、以前に保存された車両状態の数列
【数4】
および制御入力の数列
【数5】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップを含む。いくつかの他の態様によると、前記取得するステップは、車両動作中の車両状態の数列
【数6】
および制御入力の数列
【数7】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップを含む。したがって、開示される方法は、オフラインおよび/またはオンライン処理の両方について適用可能であり、これは利点である。オンライン処理は、例えば、より広範なオフライン処理を補完するために使用されることがあり、モデル検証の改善および、したがって車両動作の改善につながる。
【0010】
本方法は、任意選択的に、パラメータ化されたGDPに基づいて、1-γより大きい確率で
【数8】
の範囲内にあるように予測誤差ε
kの範囲を定めることによって、有界外乱モデルとして車両モデルの予測誤差ε
kを定量化するステップを含む。
【0011】
このように予測誤差の範囲を定めることによって、例えば、制御理論による形式的な手法が可能となり、例えば、緊急操作中に車両状態を安全状態に移行させる場合の車両状態の分析を可能にする。予測誤差の範囲を定めることにより、オフラインおよびリアルタイムの両方で、様々な運転シナリオのリスク判定も可能になる。開示される方法によって取得される有界外乱モデルは、いつ車両による緊急操作を開始させるべきかを決めるためにも利用することができる。
【0012】
いくつかの態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βを決定するステップをさらに含む。この信頼度は、以下で詳細に説明される。それは、パラメータ化されたGDPにおいて得られる信頼度、すなわち、利用可能なデータにGDPを正確に適合させることができるか、または良好な適合のためにより大量のデータが必要であるかを示す。それゆえに、本明細書に開示される方法はまた、いつデータ収集が完了したか、すなわち、いつ、あるレベルの信頼度まで、ある車両に関連する所与のモデルの正しさを定量化するために十分な量のデータが収集されたかについて、建設的なフィードバックを提供することを可能にする。例えば、いくつかの態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βに基づいて、モデルの正しさの検証のために収集されたモデルデータの十分性を評価するステップを含む。
【0013】
いくつかの態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、車両に関連する運行設計領域(ODD)をモニタリングするステップを含み、ODD外の動作は、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって示される。
【0014】
換言すると、開示される方法のさらに別の特徴は、中間結果がODDの少なくとも一部のモニタリングを構築するために使用され得ることである。これらの特定の態様はまた、上述した方法によらない、独立したスタンドアローンの方法のための基盤として適用可能である。したがって、車両に関連するODDをモニタリングするための方法が、本明細書に開示される。本方法は、上述したまたは何らかの他の手法において、車両動作中に使用される車両モデルに関係する予測誤差からパラメータ化されたGDPを得るステップを含む。本方法はまた、パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、車両に関連するODDをモニタリングするステップを含み、ODD外の動作は、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって示される。
【0015】
いくつかの態様によると、本方法は、閾値ζを超える誤差間で経過した時間を示す超過メトリック(exceedances metric)間の時間を測定し、超過メトリック間の時間に基づいてODDをモニタリングするステップを含む。
【0016】
これは、判断のための比較的に単純なメトリックであるが、それにもかかわらず、車両がそのODD外で動作している場合の強力な指標である。
【0017】
上述した利点に関連する、制御ユニット、コンピュータプログラム、コンピュータ読み取り可能な媒体、コンピュータプログラムプロダクト、システムおよび車両もまた、本明細書に開示される。
【0018】
一般に、特許請求の範囲において使用される全ての用語は、本明細書で明示的に定義されなければ、当技術分野におけるそれらの通常の意味により解釈されるべきである。「1つの(a)/1つの(an)/その(the)要素、機器、構成要素、手段、ステップなど」への全ての言及は、明示的に述べられない限り、要素、機器、構成要素、手段、ステップなどのうち少なくとも1つの実例を指すと、非限定的に解釈されるべきである。本明細書に開示されるいかなる方法のステップも、明示的に述べられない限り、開示される正確な順序で実施される必要はない。本発明のさらなる特徴および本発明に伴うさらなる利点は、添付の請求項および以下の説明を考察すると明らかとなろう。当業者にとっては、本発明の異なる特徴を組み合わせて、本発明の範囲から逸脱することなく、以下に記載されるもの以外の実施形態を作り出すことができることが理解できる。
【0019】
添付の図面を参照して、例として引用される本発明の実施形態のさらに詳細な説明を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】車両による状況回避操作の一例を例示する図である。
【
図3】安全集合の一例を概略的に例示する図である。
【
図4】安全集合の一例を概略的に例示する図である。
【
図5】車両状態予測動作の一例を概略的に例示する図である。
【
図6】調整された安全集合を概略的に例示する図である。
【
図9】コンピュータプログラムプロダクトの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明の特定の態様を示す添付の図面を参照して、本発明を以下でより詳細に説明する。しかしながら、本発明を多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態および態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が完成し、当業者に本発明の範囲が十分に理解されるように、例として提供される。説明の全体にわたって、同様の番号は同様の要素を指す。
【0022】
本発明が、本明細書に記載されるおよび図面に例示される実施形態に限定されないことは理解されるべきであり、むしろ、当業者は、多くの変更および改変が添付の請求項の範囲内で行われる得ることを認識するであろう。
【0023】
図1は、牽引車両2および2つの被牽引車両3、4を含む連結式車両1を概略的に示す。牽引車両は、高速道路の商用利用に適応した標準的なトラックまたは第五輪を有するトラクタであり得るが、オフロードトラック、バス、またはレクリエーション車両であってもよい。第1の被牽引車両またはトレーラ3は、示される例において、トラックのトレーラカプラへ接続されるドローバーを有するドリー(dolly)である。ドリーには、2つの車輪軸7が設けられる。第2の被牽引車両またはトレーラ4は、セミトレーラであり、ドリーの第五輪へ接続されるキングピン8が設けられる。この例は、より長い連結式車両の一般的な型式を示しているが、他の型式の牽引車両または他の型式の多くの被牽引車両を有する他の種類の連結式車両を用いることも可能である。異なる連結式車両として、標準的なトレーラを有するトラック、センタアクスル式トレーラを有するトラック、ドリーおよびセミトレーラを有するトラック、セミトレーラを有するトラクタ、Bリンクおよびセミトレーラを有するトラクタ、セミトレーラおよび標準的なトレーラを有するトラクタ、またはセミトレーラドリーおよびセミトレーラを有するトラクタを挙げることができる。
【0024】
図示される連結式車両において、牽引車両すなわちトラックの有効ホイールベースLeq1は、トラックの前車軸12から仮想車軸13までの長さである。第1の被牽引車両すなわちドリーの有効ホイールベースLeq2は、ドリーのドローバーから仮想車軸6までの長さである。第2の被牽引トレーラの有効ホイールベースLeq3は、トレーラ4のキングピン8から仮想後車軸9まで延在している。
【0025】
牽引車両には、処理回路およびセンサシステムを備える様々な自律または半自律運転機能が設けられ得る。例えば、車両は、
図8に関連して以下でさらに詳細に検討される制御ユニット800を備え得る。
【0026】
車両は、接続部15を介して、車両制御システムを支援するためにオフライン計算を実行するように構成された処理装置14へされ得る。接続部15は、好ましくは無線であるが、有線接続またはハードドライブなどの何らかの記憶モジュールを介する接続であってもよい。
【0027】
車両の形状および車軸の構成は、運転シナリオにおける所与の制御入力に対して車両がどのように応答するかに影響を与える。自律運転システム(ADS)は、しばしば、事故のリスクを許容可能なレベルで維持することを要求される。これは、例えば、SAMまたはさらにMRMさえも実行することによって、車両が事故を回避または軽減できることが高い確率で示され得る運転シナリオに、車両の動作を限定することによって達成され得る。所与のSAMについての成功確率の確定は、しばしば、安全状態への移行中の車両動態(ダイナミクス)のモデルに基づく。
【0028】
車両1の動態はまた、車両の速度に依存する。例えば、横または向心加速度ayは、車両の縦速度vx、および一定の旋回半径Rに依存し、旋回半径Rが一定の場合、ay=vx
2/Rによって表される。また、トレーラは、異なる速度において異なる挙動をする。連結式車両1の低速移動に関して、トレーラ3、4は、米国特許第9,862,413(B2)において論じられるように、一定半径の旋回において内側へ切れ込み、それによって、通過領域(swept area)が内側へ、すなわち旋回を表す円セグメントの中心に向かって拡大する。連結式車両の高速移動に関しては、横加速度ayは、トレーラの横滑りを引き起こすほど強い場合があり、その結果、通過領域を外側へ、すなわち回転を表す円セグメントの中心から離れる方に拡大する。旋回を行わないか、またはRが非常に大きい(および車両がジャックナイフ現象に陥らない)状態にある連結式車両1に関して、トレーラが牽引車両と同一の軌道を追従するので、通過領域は牽引車両によってカバーされる領域を超えて拡大することはない。それゆえに、連結式車両1によって通過される領域は、通常は低速度で増大する、すなわち、連結式車両の低速移動は、同じ連結式車両のより高速での移動と比較して、実際にはより大きい領域を通過し得る。通過領域は、ある「理想的な」または「最適な」速度において最小であり、その後、向心加速度が増加することにより横滑りが起こる、十分な高速度になると再び増加する。
【0029】
車両1と関連するモデルは、例えば、車両動態のモデル、コーナスティフネス(corner stiffness)のモデル、車両と道路の結合モデルなどであり得る。本明細書に開示される方法が、種々様々な異なるモデルへ、ならびに車両モデルそれ自体だけでなく、車両の部分、例えばシャシのモデル、および車両と道路の結合モデルなどのある状況における車両を表す結合モデルへ適用可能であることが理解される。
【0030】
影響を与える関連要素の数により、所与のモデルに関連する予測誤差を定量化することは容易ではない。これは、以下において、車両モデルなどのモデルの正しさを定量化することを指す。
【0031】
車両状態は、車両が現在どのような状態にあるかを連携して表す変数の集合である。本明細書において、車両状態は、車両位置(座標)および車両方位(例えば、進行方向、操舵角および連結角度)に関連する変数を含む。車両状態はまた、車両の動的状態、すなわち車両速度、加速度、旋回速度などに関連する情報を含む。車両状態は、しばしば、状態変数xのベクトルとして表される。以下でさらに詳細に検討されるように、許容可能な車両状態空間は、一般に、操作継続中の横方向位置などの状態変数の上限および下限の両方を含み得る。
【0032】
車両モデルは、
図1に例示されるトラクタとトレーラの連結車両などの車両システムのノミナル挙動を典型として表し、例えば、以下の差分方程式の形式をとることができる。
x
k+1=f(x
k,u
k)
ここで、
【数9】
および
【数10】
は、時点kでの車両状態ベクトルおよび制御信号を示し、f(・)は車両モデルを示す。時点k+1での前モデルの予測誤差がε
kである場合に、以下のモデルは、時間kから時間k+1までの実際の(真の)車両状態の移行に対応することに留意されたい。
x
k+1=f(x
k,u
k)+ε
k
【0033】
予測誤差ε
kを定量化することの問題は、ノミナルモデルを次のコンパクト集合
【数11】
を用いて補完し、これにより
【数12】
を満たすようにすることであると考えられる。
【0034】
安全性に係わる重要な用途におけるモデルの正しさは、通常は厳格な必要条件を伴い、したがって、多くの場合、確率γは小さい。従来の統計方法は、通常は予測誤差についてある分布を推定し、その裾を使用して、提案されるコンパクト集合Wの正しさを確認する。残念ながら、従来の統計方法において、十分なモデル正しさを確認するために要求されるデータの量は非常に大きい。
【0035】
本明細書において、「安全(safe)」は、広義の解釈がなされる。安全車両状態は、車両および/または車両の乗員および/または他の道路使用者が負傷または損傷に関するリスクに晒されない状態である。
【0036】
安全状態および不安全状態のいくつかの例を以下に挙げる。
【0037】
いくつかの態様によると、衝突のリスクが低い状況は、安全状態とみなされる。
【0038】
いくつかの他の態様によると、衝突のリスクがないとは言えない状況であっても、対象物によっては安全状態とみなされる。すなわち、小さい灌木または樹木との衝突は安全であるとみなされることがあり、一方で、別の車両または煉瓦壁のようなより大きな対象物との衝突は安全ではないとみなされることがある。
【0039】
いくつかのさらなる態様によると、例えば、車車間(V2V)通信を介して、他の車両との衝突が低リスクであって容認されることが事前にわかっている場合、その衝突は、安全であるとみなされる。
【0040】
いくつかの態様によると、車両が運転可能領域を逸脱するリスクのある状況は、安全ではないとみなされる。
【0041】
他の態様によると、運転可能領域からの逸脱は、上述したように、運転可能領域外の地面の特性によっては安全であるとみなされ得る。
【0042】
状態空間は、車両状態の範囲を表すN次元空間である。状態空間は、例えば、最大到達可能速度および加速度によって、車両の型式に依存して常に物理的に制限される。制御ユニット800は、状態空間にさらなる制約を課し、それによって、車両状態空間をある範囲の値に制限する。
【0043】
自律および半自律連結式車両は、ドライバの有無に関わらず、車両を制御するためにセンサ信号入力に依存する。自律機能を支援するために車両に配置されたセンサシステムは、無線検出および測距(レーダ)センサ、光検出および測距(ライダー)センサ、カメラなどの視覚系センサ、および全地球測位システム(GPS)受信機のいずれかを備え得る。これらのセンサは、障害物を検知するために、および例えば、車両の前方の運転可能領域の幾何学的形状を確認するために、車両の周囲をモニタリングする。車両はまた、操舵角センサ、連結角度センサ、すなわち、牽引トラックとトレーラとの間の角度を測定するセンサ、車輪速度センサ、および慣性計測装置(IMU)などの、多くの車載センサを備えている。
【0044】
車両が1つまたは複数のセンサシステムからのセンサ入力を喪失した場合、危機的な状況が起こり得る。例えば、レーダデータセンサおよびライダーデータセンサが故障する場合、またはセンサ信号データを処理する処理ユニットが動作不能になる場合がある。重要なセンサ信号が喪失するか、または何らかの重要な動作が阻害される場合、安全停止操作などの自動操作が必要になる。この操作は、車載センサシステムを使用する制御に基づいて実行される。すなわち、車輪速度センサおよびおそらく操舵輪角度センサも使用する推測航法である。
【0045】
本明細書において、最小リスク操作(ミニマムリスクマニューバ:MRM)は、車両を安全状態に移行させる操作である。安全停止操作は、MRMの一例である。しかしながら、MRMはまた、所与の車線において一定速度を維持すること、または障害物回避操作を実行することを含み得る。MRMは、状況回避操作(SAM)の一例である。状況回避操作の分類には、検知されたリスク状況などの望ましくない状況を回避するために実行され得る、全ての操作が含まれる。SAMは、例えば、駐車が困難な状況などにも関連する。
【0046】
有界外乱モデルまたは有界モデル予測誤差が有用になる場合について、一例を挙げる。
【0047】
SAMは、例えば、車両速度が高すぎるか、または車両が道路の境界に対して不適切な横方向位置にある場合に、必ずしも安全に実行するこができるとは限らない。SAMが実行中に起こり得る全ての外乱作用に対して有効である場合に、SAMは成功の見込みを有して開始可能であると言える。他方で、それぞれの制御コマンドによって補償できない少なくとも1つの外乱事象が存在する場合には、SAMは成功が保証されない。しかしながら、これは、SAMが全ての起こり得る外乱に対して実行不可能であることを意味するものではなく、いくつかの起こり得る外乱に対してのみ実行不可能であることを意味するにすぎない。換言すると、任意の時刻において、実行され得る単一の安全操作が存在することは、安全性において十分な条件である。しかしながら、操作を次の決定点で成功の見込みを有して開始することができない場合に、それを即座に開始しなければならない。即座の実行は常に可能であり、それは、この決定点で安全操作が実行可能であることは、前の決定点で安全操作を実行しないという判定基準であったからである。
【0048】
いくつかの態様によると、成功の見込みを有して開始されるとは、操作が高確率で成功して完了され得ることを意味する。いくつかの態様によると、この確率は、100%に近い、すなわち、操作の成功がほぼ保証されていると見なされる。いくつかの他の態様によると、確率は100%未満、例えば99.999%(ファイブナイン要件(five-nines requirement)としても既知)である。換言すると、成功の見込みを有して開始可能であると言われる操作のために要求される確率または可能性を決定する閾値が、設定され得る。
【0049】
図2は、例示的なSAM23を示す。車両1は、2つの車線を有する道路21上を走行している。最もあり得る場合として、左側車線には反対方向の交通があり、それゆえに、回避されるべきである。車両1は、例えば、何らかの種類のシステム障害により、位置(A)でSAMが必要であると判断する。SAM軌道23は、道路22の側方で完全停止する位置(B)で、車両1を安全状態に移行するように決定される。SAM23は、車両が軌道に沿った異なる点でどれくらい強くブレーキをかけるべきかを表す加速度プロファイル、ならびに車両が位置(B)で安全状態に安全に移行するために車両をどのように旋回するべきかを表す横方向制御法則によって決定される。
【0050】
車両安全性を確保するために、「セーフティネット(safety net)」が車両制御機能に含まれ得る。セーフティネットの役割は、車両が、例えば安全なブラインド停止(blind stop)が保証されない状態にならないことを確実にするために、車両制御コマンドをモニタリングすることである。概念的に、このモニタリングの問題は、前方到達可能性問題とみなすことができる。前方到達可能性解析は、一般に、様々な開始条件および異なる種類の外乱を考慮するためにオンラインで実施される必要がある、計算負荷の高い操作である。
【0051】
このセーフティネットにおけるモニタリングの問題は、「現在の制御動作を適用する場合に、何らかの合理的確率を有して次の決定時点で、ブラインド停止を成功させることが確実にできるかまたは予測することができるか」という疑問によって要約され得る。
【0052】
ブラインド停止の成功が保証される、以下、「安全集合(safe set)」と呼ばれる状態の集合が存在する場合に、候補となる制御入力およびシステムのモデルを使用して、そのような状態が次のサンプリング時に安全集合に属するかどうかを予測することができる。状態ベクトルのロバスト集合の構成部分を確認することができる場合に、制御入力はモニタによって承認される。制御入力が承認されない場合に、ブラインド停止などのSAMが開始され得る。
【0053】
いくつかの態様によると、モデルの状態に関してのみ安全状態の集合を表すことが可能である、すなわち、車両の安全挙動は、ある安全集合Sについてx∈Sとして表され得る。
【0054】
直感的に、運行設計領域(Operation Design Domain:ODD)が十分に単純である場合(例えば、それが高速道路運転に限定される場合)、車両の横方向位置に関して安全状態を表すことが可能である。
【0055】
安全操作の実行により、安全な基準(nominal)制御が回復するまで、輸送業務の実行が明らかに妨げられる。しかしながら、安全操作は概して、唯一のものではなく、任意の操作点で事故を回避するためのいくつかの手法が存在し、複数の手法を知ることがシステムを交通状況における変化に対してよりロバストなものにする。
【0056】
以下、どのように安全集合が決定され得るかについていくつかの詳細を説明する。
【0057】
ポリへドロン(polyhedron)は、有限数の一次不等式に対する解集合として定義される。ある不等式が、解集合を変更することなくポリへドロンの記述から除外され得る場合に、その不等式は冗長である。同様に、ある不等式が冗長でない場合に、それは必須(または非冗長)である。ポリへドロンを表す全ての不等式が必須である場合、それらの不等式はポリへドロンの最小表現を構成する。
【0058】
ポリトピック(polytopic)線形システムは、式「x(k+1)=A(k)x(k)+B(k)w(k)」の離散時間線形システムであり、ここで、xおよびwは、それぞれ状態変数および外因性外乱を示す。外因性外乱は、いくつかの態様によると、有界であると見なされる。本開示は、そのような限界を決定するためのいくつかの方法を提供する。外因性外乱は、いくつかの他の態様によると、所定の確率、例えばファイブナインまたは99.999%の確率である範囲内にあると推定される。ポリトピック線形システムは、一般に知られており、本明細書でさらに詳細には検討しない。
【0059】
本開示は、外乱wなどのモデル誤差の特性評価のための方法を提供する。以下の式
x
k+1=f(x
k,u
k)
ならびに状態の数列
【数13】
および入力測定値の数列
【数14】
によって与えられる車両システムのノミナル挙動のモデルを推定する。その場合、帰納的に、関連する予測誤差
ε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1
を形成することは簡単である。その後、十分に高い閾値
【数15】
について、閾値を超える
【数16】
の値(すなわち、ζが多次元であるので、
【数17】
)は、多変量一般化パレート分布(GDP)へ漸近的に収束する。
【0060】
統計的には、GDPは、連続確率分布に属するものである。それは、しばしば、別の分布の裾をモデル化するために使用される。それは、しばしば、位置μ、スケールσ、および形状ξの3つのパラメータによって、特定またはパラメータ化される。それはスケールおよび形状のみによって、またはその形状パラメータのみによって、特定される場合もある。
【0061】
【数18】
で表される超過(exceedance)は、GDPのパラメータを(対応する信頼度で)推測するために使用され得る。同定されたGDPを、次に信頼度βで
【数19】
を満たす
【数20】
を見つけるために用いることができる。
【0062】
ADS用途において、多くの場合、γは非常に小さく、例えば、10
-8オーダーである。それにより、
【数21】
の発生を観測するために十分なデータを集めることに、非常に時間がかかる。したがって、モデル特性評価の古典的方法を使用することには問題がある。
【0063】
要約すると、本明細書においては、車両に関連するモデルf(・)の正しさを定量化するための方法が提供され、本方法は、入力パラメータの範囲にわたってモデルf(・)を評価することによって予測誤差
【数22】
を取得するステップを含む。いくつかの態様によると、本方法はまた、有意な入力パラメータ領域に対して本方法の診断を行う(probe)ために、入力パラメータの広がりが十分であることを確認するステップを含む。換言すると、モデルの正しさの特性評価は、差異の小さい入力パラメータではなく、多様な入力パラメータを使用することによって改善され得る。例えば、多様な測定値を得るために状態空間において得られた予測誤差を分けることが好ましいので、前記取得ステップは、車両に関連する状態ベクトルの次元数と対応する次元の集合に沿って異なる予測誤差の集合を生成するために、モデルを評価するステップを含み得る。
【0064】
予測誤差
【数23】
を生成するために、モデルf(・)からの出力は、いくつかのグラウンドトゥルース値と比較することができる。例えば、グラウンドトゥルース値を、現在の車両状態の測定値から、もしくは何らかの外部測定システムから得ることができるか、または帰納的に知ることができる。したがって、本方法はまた、モデル評価に対応するグラウンドトゥルース値を取得し、グラウンドトゥルース値と対応するモデル評価との比較に基づいて予測誤差を生成するステップを含み得る。例えば、モデルは、ある制御入力に応じた車両加速度を予測することができる。そして、グラウンドトゥルース値を、制御入力で実際の車両を動作させ、車両に設置される加速度計装置からの出力を観測することによって、取得することができる。
【0065】
本方法はまた、閾値ζを超える予測誤差
【数24】
が一般化パレート分布(GDP)に従うように閾値ζを決定するステップを含む。標本の集合がGDPに従うかどうかを決定するための多くの試験が既知である。例えば、V.ChoulakianおよびM.A.Stephens著“Goodness-of-Fit Tests for the Generalized Pareto Distribution”,Technometrics,Vol.43,No.4(Nov.2001),pp.478-484、ならびにそこに引用された参考文献を参照されたい。閾値ζを超える予測誤差
【数25】
に基づいてGDPをパラメータ化するための方法もまた既知である。GDPが閾値ζを超える予想誤差を表すためにパラメータ化されると、パラメータ化されたGDPに基づいて車両モデルf(・)の正しさを定量化することが可能である。例えば、任意のWおよびγについて、確率
【数26】
を決定することができる。また、有界外乱モデルによって、すなわち、パラメータ化されたGDPに基づいて、1-γより大きい確率で誤差が
【数27】
の範囲内にあるように誤差の範囲を規定することによって、所与の車両モデルの予測誤差ε
kが定量化され得る。
【0066】
多変量GDPは、GDPに関係するいくつかの参考文献も含む、H.RootzenおよびN.Tajvidi著“Multivariate generalized Pareto distributions”,Bernoulli 12(5),2006,pp.917-930に記載されている。したがって、GDPは、一般に知られており、本明細書でさらに詳細には検討しない。
【0067】
車両モデルは信頼度(confidence value)βでのγの検証された正しさを有し、信頼度βはパラメータ化されたGDPに関連する。信頼度βを決定するための方法もまた既知であり、本明細書でさらに詳細には検討しない。信頼度は、閾値ζを超過して収集された観測値の数に、少なくとも部分的に依存し、データの必要量について建設的なフィードバックを提供する。このように、モデルの正しさを定量化するために十分なデータ集合が集められたとき、およびより大量のデータが必要であるときを推測することができる。それゆえに、開示される方法の利点は、パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βに基づいて、モデルの正しさの検証のために収集されたモデルデータの十分性(sufficiency)を評価するために利用することができることである。したがって、GDPがパラメータ化された後に信頼度βが低すぎる場合は、信頼度を増加させるためにより大量のデータが必要である。
【0068】
記載される正しさの定量化は、オフラインで(すなわち、設計段階で)実施されるが、同定されたGDP分布を使用して、オンラインでの使用のためにODDのモニタリングを構築することもできる。特に、状態および入力測定値がオンラインで収集される場合、超過の分布をモニタリングすることができる。オフラインで得られた分布と比較して有意に異なる超過の分布は、システムがそのODD外であることを示す。換言すると、開示される技術により、パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、車両に関連するODDをモニタリングすることが可能になる。ODD外での動作は、例えば、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって表される。警告信号またはSAMは、ODD外の動作が検知された場合に発動され得る。
【0069】
この種の簡易モニタリングは、ある時間窓にわたってリターン期間(すなわち、超過の間の平均時間)を計算するものである。その場合、リターン期間の有意な減少は、車両がそのODD外での動作にあることの指標である。
【0070】
上記のように、開示される方法のこれらの特定の態様はまた、上述した方法によらない、独立したスタンドアローンの方法のための基盤として適用可能である。したがって、車両に関連するODDをモニタリングするための方法が、本明細書に開示される。本方法は、上記のようにまたは何らかの他の手法で、車両動作中に使用される車両モデルに関係する予測誤差からパラメータ化されたGDPを取得するステップを含む。本方法はまた、パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、車両に関連するODDをモニタリングするステップを含み、ODD外の動作は、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって示される。本方法が、本明細書において検討される他の方法とは独立して実行することができる、スタンドアローン型の方法であり得ることが理解される。
【0071】
本方法は、任意選択的に、閾値ζを超える誤差間で経過した時間を示す超過メトリック(exceedances metric)間の時間を測定して、超過メトリック間の時間に基づいてODDをモニタリングするステップを含む。
【0072】
上述したモデルの正しさの特性評価方法のいくつかのADS関連用途について、以下に説明する。特に、SAMを高確率で実行することができることを保証する方法が説明される。
【0073】
図3を参照すると、所与の目標集合Xについて、ワンステップロバスト制御可能な集合(または原像集合)S=Pre(X,W,Δ)は、x(k+1)=A(k)x(k)+B(k)w(k)によって、Xへロバストに写像された状態集合として定義される。ここでΔは行列対(A,B)の凸包を表し、w∈Wである。原像集合は、例えば、F.Borrelli、A.Bemporad、およびM.Morari著“Predictive Control for linear and hybrid systems”,Cambridge University Press,2015に論じられており、それゆえに、本明細書でさらに詳細には検討しない。
【0074】
原像集合Sは、全てのw∈Wについて目標の状態集合Xに含まれる状態に車両状態を移行させる(
図3に示される)制御信号uが存在する車両状態の集合である。外乱の集合は、有界であると見なされるか、または一定の確率で生じる、ある集合とみなされる。
【0075】
Xが一次不等式の集合を使用して定義される場合に、すなわち、ある行列Hおよびあるベクトルhについて、
【数28】
である場合に、ワンステップロバスト制御可能な集合Pre(X,W,Δ)を、
【数29】
として評価することができる。ここで
【数30】
の要素jは、
【数31】
によって与えられる。ここで、行列Hのj番目の行について符号
【数32】
およびベクトルhのj番目の要素についてh
jを用いた。したがって、集合Wがポリへドロンである場合に、ワンステップロバスト制御可能な集合は、多くの線形プログラム(LP)を解くことにより計算され得る。ポリへドロンの集合は、例えば、モデル予測誤差ε
kの範囲を定める上述した方法、すなわち、パラメータ化されたGDPに基づいて1-γより大きい確率で範囲
【数33】
内にあるように誤差の範囲を定めることによって、得られる。
【0076】
Nステップロバスト制御可能な集合は、あるtsについてN=(T1-T0)/ts時間ステップで、システムx(k+1)=A(k)x(k)+B(k)w(k)によってXにロバスト的にマップされる状態集合である。Nステップロバスト制御可能な集合はまた、F.Borrelli、A.Bemporad、およびM.Morari著“Predictive Control for linear and hybrid systems”,Cambridge University Press,2015に論じられており、それゆえに、本明細書でさらに詳細には検討しない。
【0077】
図5は、車両状態Xを予測するいくつかの態様を概略的に例示する。時間kで、車両状態x(k|k)は、車両状態の推定における正確さを表す車両状態の不確実性基準(uncertainty measure)510と関連する。完全な状態の推定は、全体として「真」の車両状態と一致するが、より現実的な車両状態の推定は、ある誤差分布によって真の車態と異なる。車両状態の不確実性を表すための一般的な手法は、予期される誤差分散を表す共分散行列、または誤差楕円によるものである。不確実性はまた、ポリトープ、またはより一般的な境界構造によっても表すことができる。さらに、ポリトープは、モデル予測誤差ε
kの範囲を定める上述した方法、すなわち、パラメータ化されたGDPに基づいて1-γより大きい確率で範囲
【数34】
内にあるように誤差の範囲を定めることによって、取得することができる。
【0078】
制御コマンドu520は、時間kで発せられ、その制御コマンドは、時間k+1での車両状態および車両状態の不確実性540に影響を与える。不確実性基準は、時間k+1での安全状態530の集合と比較され得る。このように、制御コマンドが将来SAMを除外(preclude)するかどうかを決定するときに車両状態の不確実性が考慮されるので、よりロバストなシステムを得ることができる。
【0079】
図6は、調整された安全集合S’へと修正された、ノミナル安全集合Sを例示する。ここで、外乱集合Wが、本明細書に開示される方法によって、あるベクトルγ>0についてW={w=[α
Tβ
T]
T|-γ≦α≦γ,Qβ≦r}として表されると仮定する。上述した検討に従って原像集合を評価する場合に、不等式α-γ≦0および-α-γ≦0に対応するラグランジュ双対変数について、それぞれ符号μ
i,j≧0およびπ
i,j≧0を使用する。相補スラック性に起因して、ラグランジュ双対変数が、同時に(要素ごとに)ゼロ以外にならないことに留意されたい。ここで、符号λ
i,j=max(μ
i,j,π
i,j)を導入する。ここで、max(a,b)はその独立変数の要素ごとの最大値を含むベクトルである。なお、
【数35】
である。その場合、原像集合を以下の式によって簡単に表すことができる。
【数36】
ここで、Δ
γは原像集合の評価において使用されたγの値から考えられる偏差を示す。同様に、感度は、以下の式によって示される調整された安全集合を表すために上述した再帰的プロセスを介して伝播される。
【数37】
いくらか興味深いことだが、γの選択が一次不等式の向きではなく、原点からのそれらの距離にのみ影響を与えることに留意されたい。
【0080】
γが更新される場合に、冗長不等式が必要になることを理解されたい。最小表現は、それゆえに、注意深く計算されるべきであり、通常は冗長であるいくつかの不等式は、集合の記述において保持されなければならない場合がある。
【0081】
以下の式
【数38】
の安全集合について、運転条件が、異なるγの選択を動機付ける場合には、安全集合の大きさを調整することは、原理的に簡単である。しかしながら、集合の大きさが小さくなる場合に、
図10に描写されように、車両動態の現在のワンステップ予測が依然として安全集合に含まれることが確認されるべきである。以下に、αがスカラである場合に、どのように最大Δ
γがオンラインで計算され得るかを説明する。システム動態のワンステップ予測が点の集合の凸包、すなわち、x(k+1)∈Co(x
1,・・・,x
p)によって表されると推定される。
【0082】
そのような各点について安全集合を定義する不等式の残差、Εj=Qxj-r、j=1,・・・,pを計算する。次いで、Εjの要素iについて、(Εj)i=0となるΔγを計算することができる。最大許容Δγが、その結果の最大値として得られる。
【0083】
図7は、上述した態様を要約した方法を例示するフローチャートを示す。
図7は、車両と関連するモデルf(・)の正しさを定量化するための方法を例示する。本方法は、入力パラメータの範囲にわたってモデルf(・)を評価することによって予測誤差
【数39】
を得るステップS1と、閾値ζを超える予測誤差
【数40】
が一般化パレート分布(GDP)に従うように閾値ζを決定するステップS2と、閾値ζを超える予測誤差
【数41】
に基づいてGDPをパラメータ化するステップS3と、パラメータ化されたGDPに基づいて車両モデルf(・)の正しさを定量化するステップS4とを含む。
【0084】
GDPは、モデルの正しさを判定する非常に有用なツールである。それは、数ある中でも、対象とする確率が非常に低い場合であっても、例えば以下の確率
【数42】
を効果的に決定するために使用することができる。開示される技術の利点は、車両モデルの正しさを定量化するために必要とされるデータの要求量を著しく減少できることである。これは、厳格な安全性要件およびこれによる誤差確率の低さにより、ADS用途において特に重要な利点である。
【0085】
上述したように、予測誤差
【数43】
を生成するために、モデルf(・)からの出力は、いくつかのグラウンドトゥルース値と比較される。例えば、グラウンドトゥルース値は、現在の車両状態の測定値、もしくは何らかの外部測定システムから得ることができるか、または帰納的に知ることができる。
【0086】
いくつかの態様によると、前記取得するステップは、以前に保存された車両状態の数列
【数44】
および制御入力の数列
【数45】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップS11を含む。いくつかの他の態様によると、前記取得するステップは、車両動作中の車両状態の数列
【数46】
および制御入力の数列
【数47】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップS12を含む。
【0087】
したがって、開示されるモデルは、オフラインおよびオンライン処理の両方について適用可能である。
【0088】
いくつかの態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPに基づいて、1-γより大きい確率で
【数48】
の範囲内にあるように予測誤差ε
kの範囲を定めることによって、有界外乱モデルとして、車両モデルの予測誤差ε
kを定量化するステップS41を含む。このような有界外乱モデルによって、制御理論からなる形式的な手法が許容され、これは、例えば、SAMが所与の成功確率に関連するか、または、所与の仮定において成功が保証されることを示すために利用することができる。いくつかのそのような形式的手法については上述した。
【0089】
いくつかの態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βを決定するステップS5を含む。いくつかのそのような態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βに基づいて、モデルの正しさの検証のために収集されたモデルデータの十分性を評価するステップS51を含む。
【0090】
この信頼度は、データ品質を評価するために使用され得る。したがって、開示される技術の別の特徴は、いつデータ収集が完了したかについての建設的なフィードバックを提供することである。
【0091】
いくつかの態様によると、本方法は、パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、車両と関連する運行設計領域(ODD)をモニタリングするステップS6を含む。ODD外での動作は、例えば、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって示され得る。
【0092】
有利には、中間結果は、ODDのモニタリングを構築するために使用され得る。
【0093】
いくつかの態様によると、本方法は、閾値ζを超える誤差の間で経過した時間を示す超過メトリック間の時間を測定し、超過メトリック間の時間に基づいてODDをモニタリングするステップS7を含む。これは、比較的に単純なメトリックであるが、どのように車両が動作しているかについていくつかの価値ある洞察を提供する。
【0094】
いくつかの態様によると、本方法は、車両が所定のODDの外で動作する場合に、警告信号を発するステップを含む。
【0095】
本明細書には、また、現在の車両状態xk|kに関連する車両1を制御するための車両制御コマンドukが、車両1による将来のSAMを除外するかを決定するための、関連する方法も開示される。本方法は、1つまたは複数の安全集合S1、S2、・・・Skを得るステップであって、各安全集合が将来のSAMが成功の見込みを有して開始され得る車両状態の範囲を表すステップS8と、現在の車両状態xk|kおよび制御コマンドukを得るステップS9とをさらに含む。本方法は、現在の車両状態xk|kおよび制御コマンドukに基づいて将来の車両状態xk+1|kを予測するステップS10を含み、当該予測ステップは、有界外乱モデルに基づいて将来の車両状態xk+1|kを予測する。本方法はまた、予測された将来の車両状態xk+1|kを1つまたは複数の安全集合S1、S2、・・・Skと比較し、予測された将来の車両状態xk+1|kが1つまたは複数の安全集合S1、S2、・・・Skのいずれにも含まれない場合に、制御コマンドukが将来のSAMを除外することを決定するステップS11を含む。
【0096】
いくつかの態様によると、SAMは、車両状態の目標範囲に到達するための対応する制御法則によって補うことができない少なくとも1つの外乱数列(disturbance sequence)が存在する場合に、除外されるとみなされる。
【0097】
したがって、車両モデルの正しさの特性評価のための開示される方法は、レベル4の自動運転、ADS、およびADASシステムにおいても適用される。
【0098】
図8は、いくつかの機能的ユニットに関して、本明細書において検討した実施形態による制御ユニット800の構成要素を概略的に例示する。この制御ユニット800は、連結式車両1に備えられる。処理回路810は、適切な中央処理装置CPU、マルチプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサDSPなどのうちの1つまたは複数の任意の組合せを使用して提供され、例えば、記憶媒体830の形態のコンピュータプログラム製品に保存されたソフトウェア命令を実行することができる。処理回路810は、さらに、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASIC、またはフィールドプログラマブルゲートアレイFPGAとして提供されてもよい。
【0099】
特に、処理回路810は、例えば
図10と関連して検討した方法など、動作のセットまたは複数のステップを制御ユニット800に実施させるように構成される。例えば、記憶媒体830は動作のセットを記憶することができ、処理回路810は記憶媒体830から動作のセットを取り出し、制御ユニット800に動作のセットを実施させるように構成される。動作のセットは、実行可能命令のセットとして提供され得る。したがって、処理回路810は、それによって、本明細書に開示される方法を実行するように構成される。
【0100】
記憶媒体830はまた、永続的ストレージを含んでもよく、永続的ストレージは、例えば、磁気メモリ、光学メモリ、固体メモリ、またはさらに遠隔設置メモリのうちの任意の1つまたは組合せであり得る。
【0101】
制御ユニット800は、オフラインで安全集合を生成するように構成される外部処理装置などの少なくとも1つの外部装置との通信のための、インタフェース820をさらに備えてもよい。そのようなインタフェース820は、アナログおよびデジタル構成要素ならびに有線または無線通信のための適切な数のポートを含む1つまたは複数の送信機および受信機を備え得る。
【0102】
処理回路810は、例えば、データおよび制御信号をインタフェース820および記憶媒体830へ送ることよって、インタフェース820からデータおよび報告を受け取ることよって、ならびに記憶媒体830からデータおよび命令を取り出すことよって、制御ユニット800の全般動作を制御する。制御ノードの他の構成要素ならびに関連する機能は、本明細書に提示される概念を曖昧にしないために省略される。
【0103】
図9は、プログラムプロダクトがコンピュータ上で作動するときに、
図7に例示される方法を実施するためのプログラムコード手段920を含むコンピュータプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体910を例示する。コンピュータ読み取り可能な媒体およびコード手段は、コンピュータプログラムプロダクト900を共に形成する。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル4の自動運転および/または先進運転支援に適合された車両
(1)に関連するモデルf(・)の正しさを定量化するための方法であって、
入力パラメータの範囲にわたって前記モデルf(・)を評価することによって予測誤差
【数1】
を取得するステップ(S1)と、
閾値ζを超える前記予測誤差
【数2】
が一般化パレート分布(GDP)に従うように前記閾値ζを決定するステップ(S2)と、
前記閾値ζを超える前記予測誤差
【数3】
に基づいてGDPをパラメータ化するステップ(S3)と、
前記パラメータ化されたGDPに基づいて前記モデルf(・)の正しさを定量化するステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項2】
前記取得するステップは、以前に保存された
前記車両(1)に関連する車両状態の数列
【数4】
および制御入力の数列
【数5】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップ(S11)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得するステップは、車両動作中の車両状態の数列
【数6】
および制御入力の数列
【数7】
を取得し、予測誤差をε
i=x
i+1-f(x
i,u
i)、i=1,・・・,n-1として決定するステップ(S12)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータ化されたGDPに基づいて、1-γより大きい確率で範囲
【数8】
内にあるように予測誤差ε
kの範囲を定めることによって、有界外乱モデルとして前記車両モデルの前記予測誤差ε
kを定量化するステップ(S41)を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータ化されたGDPに関連する信頼度βを決定するステップ(S5)を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータ化されたGDPに関連する前記信頼度βに基づいて、モデルの正しさの検証のために収集されたモデルデータの十分性を評価するステップ(S51)を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータ化されたGDPをベースラインGDPのパラメータの集合と比較することによって、前記車両に関連する運行設計領域(ODD)をモニタリングするステップ(S6)を含み、
前記ODD外の動作は、パラメータ化されたGDPのパラメータとベースラインGDPのパラメータとの間の差によって示される請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記閾値ζを超える誤差間で経過した時間を示す超過メトリック間の時間を測定し、前記超過メトリック間の時間に基づいてODDをモニタリングするステップ(S7)を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記車両が所定のODDの外で動作する場合に、警告信号を発するステップを含む請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
現在の車両状態(x
k|k)に関連する
前記車両(1)を制御するための車両制御コマンド(u
k)が、前記車両(1)による将来の状況回避操作(SAM)(23)を除外するかを決定するため、前記方法はさらに、
1つまたは複数の安全集合(S
1、S
2、・・・S
k)を得るステップであって、各安全集合は将来のSAM(23)が成功の見込みを有して開始され得る車両状態の範囲を表すステップ(S8)と、
前記現在の車両状態(x
k|k)および前記制御コマンド(u
k)を取得するステップ(S9)と、
前記現在の車両状態(x
k|k)および前記制御コマンド(u
k)に基づいて将来の車両状態(x
k+1|k)を予測するステップであって、前記有界外乱モデルに基づいて前記将来の車両状態(x
k+1|k)を予測するステップ(S10)と、
前記予測された将来の車両状態(x
k+1|k)を前記1つまたは複数の安全集合(S
1、S
2、・・・S
k)と比較し、前記予測された将来の車両状態(x
k+1|k)が前記1つまたは複数の安全集合(S
1、S
2、・・・S
k)のいずれにも含まれない場合は、前記制御コマンド(u
k)が前記将来のSAM(23)を除外することを決定するステップ(S11)と
を含む請求項4に記載の方法。
【請求項11】
SAM(23)は、車両状態(X)の目標範囲に到達するための対応する制御法則によって補うことができない少なくとも1つの外乱数列が存在する場合に、除外される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
プログラムがコンピュータ上または制御ユニット(1200)の処理回路(1310)上で動作するときに、請求項1から11のいずれか1項に記載のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(1320)。
【請求項13】
プログラムプロダクトがコンピュータ上または制御ユニット(1200)の処理回路(1310)上で動作するときに、請求項1から11のいずれか1項に記載のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(1320)を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体(1310)。
【請求項14】
車両モデルf(・)の正しさを定量化するための制御ユニット(1300)であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成された制御ユニット(1300)。
【請求項15】
請求項14に記載の制御ユニット(1300)を備える車両(1)。
【国際調査報告】