IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドリントン,エイドリアン アンドリューの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】熱移送装置
(51)【国際特許分類】
   F24S 23/79 20180101AFI20220920BHJP
   F24S 70/225 20180101ALI20220920BHJP
【FI】
F24S23/79
F24S70/225
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022502400
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 NZ2020050067
(87)【国際公開番号】W WO2021010842
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】755519
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522016947
【氏名又は名称】ドリントン,エイドリアン アンドリュー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ドリントン,エイドリアン アンドリュー
(57)【要約】
一態様では、本発明は、外部収集面および内部伝達面を画定する伝達機対象物を含む熱移送装置を提供する。また、伝達機対象物から変位した受容機対象物であって、内部受容面および外部熱送達面を画定する、受容機対象物が提供される。伝達機対象物と受容機対象物との間に接続された少なくとも1つの側壁を組み込む熱導管であって、この少なくとも1つの側壁が、伝達機対象物と受容機対象物との間の距離にまたがり、かつ伝達機と受容機対象物との間の体積を密閉する、熱導管が提供される。この側壁は、伝達機対象物の内部伝達面および受容機対象物の内部受容面を密閉する。伝達機対象物、受容機対象物、および熱導管は、主に受容機対象物に向かう熱移送を促進するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱移送装置であって、
外部収集面および内部伝達面を画定する伝達機対象物、
前記伝達機対象物から変位した受容機対象物であって、内部受容面および外部熱送達面を画定する、受容機対象物、
前記伝達機対象物と受容機対象物との間に接続された少なくとも1つの側壁を組み込む熱導管であって、前記少なくとも1つの側壁が、前記伝達機対象物と受容機対象物との間の距離にまたがり、かつ前記伝達機と受容機対象物との間の体積を密閉し、前記少なくとも1つの側壁が、前記伝達機対象物の前記内部伝達面および前記受容機対象物の前記内部受容面を密閉する、熱導管を含み、
前記伝達機対象物、受容機対象物、および熱導管が、主に前記受容機対象物に向かう熱移送を促進するように構成されている、熱移送装置。
【請求項2】
前記熱導管の前記側壁によって密閉された前記体積が、低空気圧、部分真空、または真空環境である、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項3】
前記熱導管の前記側壁によって密閉された前記体積が、不活性または低熱伝導率ガスを含有する、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項4】
熱導管側壁の内面が、熱放射を前記受容機対象物に優先的に向けるように配置された1つ以上の熱反射器を含む、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱反射器が、特定の方向に熱放射を優先的に反射するように適合されたナノ構造メタマテリアルを含む、請求項4に記載の熱移送装置。
【請求項6】
前記伝達機対象物の前記外部収集面が、前記熱移送装置の直接的な環境から熱を収集するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項7】
前記伝達機対象物の前記外部収集面が、太陽光を吸収し、かつ前記外部収集面からの黒体放射を妨げるように調整される、ナノ構造メタマテリアルを含むか、または適用した、請求項6に記載の熱移送装置。
【請求項8】
前記受容機対象物の前記外部熱送達面が、前記熱移送装置の直接的な環境に熱を送達するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項9】
前記受容機対象物の前記外部熱送達面が、太陽光の吸収を遮断し、かつ黒体放射の放出を促進するように調整される、ナノ構造メタマテリアルを含むか、または適用した、請求項8に記載の熱移送装置。
【請求項10】
前記伝達機対象物の前記内部伝達面が、黒体の熱放射を放出するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項11】
ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、前記伝達機対象物の前記内部伝達面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出する、請求項10に記載の熱移送装置。
【請求項12】
前記受容機対象物の前記内部受容面が、前記伝達機対象物の前記内部伝達面から放出された前記熱放射を吸収するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項13】
ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、前記受容機対象物の前記内部受容面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出する、請求項12に記載の熱移送装置。
【請求項14】
熱移送装置が、前記熱導管によって密閉された前記体積内にフィルタを含み、前記フィルタが、特定の波長帯域の熱放射を反射し、かつ他の波長帯域の熱放射を伝達するように適合されている、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項15】
前記フィルタが、二色性ミラー、薄膜干渉フィルタ、および/またはナノ構造メタマテリアルによって提供された波長依存反射器から形成される、請求項14に記載の熱移送装置。
【請求項16】
前記伝達機対象物の前記内部伝達面の面積が、前記受容機対象物の前記内部受容面の面積よりも大きい、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項17】
熱緩衝材料が、
・前記伝達機対象物の前記外部収集面、
・前記受容機対象物の前記外部熱送達面、
・前記伝達機対象物の前記内部伝達面、
・前記受容機対象物の前記内部受容面、
・前記熱導管の内側壁面、
・前記フィルタのうちのいずれか1つ以上と接触して、またはその一部として提供される、請求項1または14に記載の熱移送装置。
【請求項18】
前記熱緩衝材料が、特定の制御刺激に曝されたときに、
・熱伝導率、
・放射率、
・反射率の特性のうちのいずれか1つ以上の急激な変化を経験する、請求項17に記載の熱移送装置。
【請求項19】
前記特定の制御刺激が、
・熱刺激、
・電子刺激、
・機械的刺激、
・磁気刺激、
・光学的刺激のうちの1つ以上を含む、請求項18に記載の熱移送装置。
【請求項20】
熱導管側壁の内面が、
特定の方向に熱放射を優先的に反射するように適合されたナノ構造メタマテリアルから形成された1つ以上の熱反射器を含み、
ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、前記伝達機対象物の前記内部伝達面、および/または前記受容機対象物の内部受容面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出し、
前記伝達機対象物の前記内部伝達面の面積が、前記受容機対象物の前記内部受容面の面積よりも大きく、
前記熱導管によって密閉された前記体積が、特定の波長帯域の熱放射を反射し、かつ他の波長帯域の熱放射を伝達するように適合されたフィルタを含む、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項21】
請求項1に記載の少なくとも2つの熱移送装置から形成された、熱移送アセンブリ。
【請求項22】
第2の移送装置の伝達機対象物と係合するか、またはそれと熱連通する第1の移送装置の受容機対象物を含む、請求項21に記載の熱移送アセンブリ。
【請求項23】
少なくとも2つの熱移送装置から形成され、各移送装置が、各移送装置に対して別個の外部収集面および内部伝達面を画定する、共通の伝達機対象物を組み込んでおり、各移送装置が、各移送装置に対して別個の内部受容面および外部熱送達面を画定する、共通の受容機対象物を組み込んでいる、請求項21に記載の熱移送アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱移送装置、特に、熱エネルギー移送および管理システムに関する。より具体的には、特定の実施形態において、本発明を使用して、改善された熱ポンプシステムを実行し得る。
【背景技術】
【0002】
すべての対象物は常にそれらの近くの環境に熱を逃がし、同時に、近くの対象物から逃がした熱を獲得している。それらが熱を逃がすとき、それらは冷え、そしてそれらが熱を得るとき、それらは熱くなる。対象物が熱くなればなるほど、より多くの熱を逃がす。
【0003】
一般に、直接的な周囲よりも高温の対象物は、獲得するよりも多くの熱を逃がすため、高温の対象物が低温の対象物に熱を渡すことを観察する。同様に、周囲よりも低温の対象物は、逃がすよりも多くの熱を獲得しているため、熱くなる。
【0004】
また、一般的に、周囲と同じ温度にある対象物は、その温度のままであることも観察する。これは、対象物が獲得している熱量は、それが逃がしている熱量のバランスが取れており、正味の熱変化がないためである。
【0005】
例えば、その内部が快適な温度に加熱されている寒い環境における建物は、常に外部に熱を失っている。したがって、内部温度を安定させるために、建物によって失われる熱のバランスを取るために何らかの形態のヒーターが使用される。快適な温度に冷却された高温環境における建物では、常に外部から熱を獲得している。この場合も、一定の内部温度を保つために、ある種の冷却デバイスを使用して、吸収される熱のバランスを取る。
【0006】
高温の対象物から低温の対象物への熱の伝達を停止または低減したい多くの状況が存在する。例えば、建物の壁、床、天井に断熱材を設置して、安定した温度を維持するために必要な暖房または冷房を軽減する。
【0007】
実際、一般的に受け入れられている自然な熱移送方向とは逆に、多くの場合、熱をより低温の対象物からより高温の対象物に移動させることが望ましい。このようなデバイスは、一般に熱ポンプと呼ばれる。高温環境の建物の例では、熱ポンプを使用して、熱を内側から外側に移動し、外側から内側への自然な熱移送を打ち消すことができる。冷蔵庫は、熱ポンプを使用して、冷蔵庫の内側から冷蔵庫の外側に熱を移動させる別の例である。
【0008】
既存の熱ポンプシステムはどこにでもあり、効果的であるが、電気などのエネルギー源を必要とすることと、限られた動作寿命を有し、メンテナンス、サービス、修理を必要とするのに十分に機械的に複雑であることと、環境に有害な化合物を必要とした歴史を有することとの欠点を有する。
【0009】
したがって、進行中のエネルギー消費を最小化する、または少なくとも従来技術に代わるものを提供した熱管理のシステムのための熱移送装置を有することが好ましく、かつ価値がある。さらに、大量のメンテナンスを必要とせず、環境への最小限影響を有する熱管理システム用の熱移送装置を有することが好ましく、かつ価値がある。
【0010】
発明の開示
本発明の一態様によれば、熱移送装置であって、
外部収集面および内部伝達面を画定する伝達機対象物、
伝達機対象物から変位した受容機対象物であって、内部受容面および外部熱送達面を画定する、受容機対象物、
伝達機対象物と受容機対象物との間に接続された少なくとも1つの側壁を組み込む熱導管であって、該少なくとも1つの側壁が、伝達機対象物と受容機対象物との間の距離にまたがり、かつ伝達機と受容機対象物との間の体積を密閉し、該少なくとも1つの側壁が、伝達機対象物の内部伝達面および受容機対象物の内部受容面を密閉する、熱導管を含み、
伝達機対象物、受容機対象物、および熱導管が、主に一方向に向かう熱移送を促進するように構成されている、熱移送装置が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、熱移送装置であって、
外部収集面および内部伝達面を画定する伝達機対象物、
伝達機対象物から変位した受容機対象物であって、内部受容面および外部熱送達面を画定する、受容機対象物、
伝達機対象物と受容機対象物との間に接続された少なくとも1つの側壁を組み込む熱導管であって、該少なくとも1つの側壁が、伝達機対象物と受容機対象物との間の距離にまたがり、かつ伝達機と受容機対象物との間の体積を密閉し、該少なくとも1つの側壁が、伝達機対象物の内部伝達面および受容機対象物の内部受容面を密閉する、熱導管を含み、
伝達機対象物、受容機対象物、および熱導管が、主に受容機対象物に向かう熱移送を促進するように構成されている、熱移送装置が提供される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、上記に実質的に記載されるように、熱移送装置であって、熱導管側壁の内面が、特定の方向に熱放射を優先的に反射するように適合されたナノ構造メタマテリアルから形成された1つ以上の熱反射器を含み、ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、伝達機対象物の内部伝達面、および/または受容機対象物の内部受容面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出し、伝達機対象物の内部伝達面の面積が、受容機対象物の内部受容面の面積よりも大きく、熱導管によって密閉された体積が、特定の波長帯域の熱放射を反射し、かつ他の波長帯域の熱放射を伝達するように適合されたフィルタを含む、熱移送装置が提供される。
【0013】
第1の態様では、本発明は、熱移送装置を提供するように適合され、さらなる態様では、本発明は、このような装置のうちの2つ以上から形成された熱移送アセンブリを提供する。
【0014】
本発明の作用により、熱移送は、主に一方向に、好ましくは、受容機対象物に向かって熱を移送するように促進され得る。本発明の様々な実施形態において、主に伝達機対象物から受容機対象物への熱移送を促進するように構成され得、実施形態の範囲では、受容機対象物によって放出される熱移送を反射して、受容機対象物に戻すことができる構成を利用し得る。当業者は、本発明が伝達機対象物から受容機対象物に移送するための正味以上の熱の流れを促進する一方で、熱の流れが依然として受容機対象物から伝達機対象物に発生し得ることを理解するであろう。
【0015】
本明細書全体を通して、熱の伝達機または受容機である本発明の様々な構成要素、対象物、または表面についても言及されている。しかしながら、当業者は、これらの言及が、同じ物品による熱伝達および熱受容の両方を考慮した全体的な結果に関連していることを理解するであろう。特に、熱伝達機として本発明に従って説明される要素は、それが熱を伝達するよりも低い速度で熱を受容し得る。逆に、熱受容機は、熱を受け取るよりも低い速度で熱を伝達することになる。
【0016】
様々な実施形態において、伝達機対象物の外部収集面は、主に熱移送装置の直接的な環境から熱を収集するために利用される。さらに他の実施形態において、外部熱収集面を利用して、本発明がこの密閉された空間に冷却効果を提供するために使用される用途など、密閉された空間または封じ込め空間から熱を収集することができる。さらに別の実施形態において、この外部熱収集面を使用して、本発明によって提供されるさらなる熱移送装置の受容機対象物から熱を収集し得る。
【0017】
一般に、本明細書全体を通して、密閉された空間に熱を移送するために使用されている、提供される熱移送装置を参照する。このような実施形態において、受容機対象物は、密閉された空間内に、または密閉された空間と熱連通して位置し得、伝達機対象物の外部収集面は、この密閉された空間の外側の装置の直接的な環境から熱を収集するために使用され得る。しかしながら、当業者は、本発明が他の構成で使用され得、例えば、伝達機対象物がこの密閉された空間内に、またはこの密閉された空間と熱連通しているときに密閉された空間を冷却し得ることを理解するであろう。
【0018】
当業者はまた、熱連通が、例えば、熱交換器、熱移送流体、および熱パイプなどの中間の熱移送メカニズムの使用も含み得ることを認識するであろう。
【0019】
好ましい実施形態において、伝達機対象物の外面は、熱移送装置の直接的な環境から熱を収集するために利用され得る。
【0020】
さらに好ましい実施形態において、伝達機対象物の外面は、主に熱移送装置の直接の環境から熱を収集するように適合され得る。例えば、いくつかの実施形態において、この外面は、太陽光を吸収し(伝達機対象物を加熱するために)、かつ表面からの黒体放射を妨げるように調整される、ナノ構造メタマテリアルを組み込むか、それによって形成されるか、それを含むか、または適用した可能性がある。このような役割を果たすことができる候補メタマテリアル表面の形状および構造の具体的な詳細は、例として、Materials journal 2018 vol.11 page 862:A review of tunable wavelength selectivity of meta-materials in the field and far field radiative thermal transport by Yanpei Tian,Alok Ghanekar,Matt Ricci,Mikhail Hyde,Otto Gregory and Yi Zhengにのみ記載されている。
【0021】
好ましくは、受容機対象物の外部熱送達面は、主に熱移送装置の直接の環境に熱を送達するために利用される。様々な実施形態で上に示したように、この直接の環境は、加熱される密閉された空間、または本発明の伝達機対象物の存在によって冷却される密閉された空間から熱を受容する開放領域であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、受容機対象物の外部熱送達面は、太陽光にも曝される開放領域に熱を送達するように適合され得、伝達機対象物は、隣接する密閉された空間から熱を除去するために使用される。例えば、いくつかの実施形態において、この外部熱送達面は、太陽光の吸収を遮断し、かつ黒体放射の放出を促進するように調整される、ナノ構造メタマテリアルを組み込むか、それによって形成されるか、それを含むか、または適用した可能性がある。このような役割を果たすことができる候補メタマテリアル表面の形状および構造の具体的な詳細は、例として、以下の出版物にのみ記載されている。
・Yao Zhai,Yaoguang,Sabrina N.David,Dongliang Zhao,Runnan Lou,Gang Tan,Ronggui Yang,Xiaobo Yin,Science 10 Mar 2017:Vol.355,Issue 6329,pp.1062-1066,DOI:10.1126/science.aai7899による日中放射冷却のためのスケーラブル製造ランダム化ガラス/ポリマー混成メタマテリアル
・Aaswath P.Raman,Marc Abou Anoma,Linxiao Zhu,Eden Rephaeli & Shanhui Fan,Nature volume 515,pages540-544(2014)による直射日光下の周囲気温未満の受動放射冷却。
【0023】
好ましくは、伝達機対象物の内部伝達面が、黒体の熱放射を放出するために利用される。
【0024】
好ましくは、受容機対象物の内部受容面が、伝達機対象物の内部伝達面から放出された熱放射を吸収するために利用される。
【0025】
様々な実施形態において、伝達機対象物の内部伝達面、および/または受容機対象物の内部受容面は、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出するように適合される。
【0026】
好ましくは、ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、伝達機対象物の内部伝達面、および/または受容機対象物の内部受容面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出し得る。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、このような実施形態で使用されるナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルは、プランクの法則によって予測される最も自然に発生する材料とは異なるスペクトル密度または内容で黒体放射を放出する特徴を呈する任意の材料から形成され得る。
【0028】
好ましくは、熱移送装置は、熱導管によって密閉された体積内にフィルタを含み得る。
【0029】
好ましくは、フィルタは、特定の波長帯の熱放射を反射し、かつ他の波長帯の熱放射を伝達するように適合される。このフィルタは、好ましくは、これらの対象物の内面のいずれかが特定の波長帯域の熱放射を放出するように適合されている場合に、伝達機対象物から受容機対象物への熱移送の促進を支援するように構成され得る。
【0030】
好ましくは、フィルタは、二色性ミラー、薄膜干渉フィルタ、および/またはナノ構造メタマテリアルによって提供された波長依存反射器から形成され得る。
【0031】
好ましくは、熱導管によって密閉された体積の内部環境は、放射熱交換を促進し、他の熱交換方法を阻止する。
【0032】
様々な実施形態において、熱導管の側壁によって密閉された体積は、低空気圧、部分真空、または真空環境であり得る。さらに他の実施形態において、熱導管の側壁によって密閉された体積は、例えば、キセノン、アルゴン、クリプトンおよび/または亜酸化窒素ガスなどの不活性または低熱伝導率ガスを含有し得る。当業者は、熱導管によって画定される体積からのガスの不在、またはこの体積内の低熱伝導率ガスの存在のいずれかが、放射熱交換を促進し、他の熱交換方法を阻止するために効果的に機能することを理解するであろう。
【0033】
いくつかの実施形態において、伝達機対象物の内部伝達面の面積が、受容機対象物の内部受容面の面積よりも大きくてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、熱導管側壁の内面は、熱放射を受容機対象物に優先的に向けるように配置された1つ以上の熱反射器を含み得る。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの熱反射器は、特定の方向に熱放射を優先的に反射するように適合されたナノ構造メタマテリアルを含み得る。
【0036】
さらに好ましい実施形態において、熱反射器として使用されるナノ構造メタマテリアルは、伝達機対象物の伝達面によって放出される黒体放射のエネルギーの大部分を含む波長範囲にわたって以下の特徴を呈する任意の材料から形成され得る。
・高反射率、
・低吸収、
・主に特定の方向に光を集束、回折、またはその他の方法で向けることができる。
【0037】
様々な好ましい実施形態において、装置はまた、第1の制御状態での熱の移送を可能にし、かつ第2の制御状態での熱の移送を阻止するように適合された少なくとも1つの熱緩衝材料を含み得る。さらに好ましい実施形態において、本発明によって利用される熱緩衝材料は、特定の温度値または温度範囲に対応する制御状態を有し得る。様々な実施形態において、本発明によって促進される熱移送効果を制限することが望ましい場合がある。上記で参照される緩衝材料は、特定の制御条件の存在または違反を確認し、本発明によって行われる熱移送を無効化または低減するように作用するために、本発明によって利用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、緩衝材を使用して、本発明の動作を無効にするか、または本発明によって提供される熱移送の影響を減衰させ得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、伝達機対象物の外部収集面と接触して提供され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、受容機対象物の外部熱送達面と接触して提供され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、伝達機対象物の内部伝達面と接触して提供され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、受容機対象物の内部受容面と接触して提供され得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、熱導管の内側壁面と接触して提供され得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、フィルタによって、またはフィルタと関連して提供され得る。このような実施形態において、フィルタは、特定の制御刺激に曝されたときに本発明によって可能になる熱移送に影響を与える特性の急激な変化を呈するように構成可能であり得る。例えば、1つの潜在的な実施形態において、組み合わされたフィルタおよび熱緩衝材料は、電子的に制御される可変屈折器によって提供され得る。
【0044】
当業者は、緩衝材料が、様々な実施形態において本発明によって提供される上記の参照された表面の任意の1つまたは組み合わせと接触して置かれ得ることを理解するであろう。
【0045】
好ましくは、本発明と併せて利用される熱緩衝材料は、特定の制御刺激に曝されたときに、
・熱伝導率、
・放射率、
・反射率の特性のうちのいずれか1つ以上の急激な変化を経験する。
【0046】
したがって、これらの特性により、熱緩衝材料を使用して、緩衝材料が曝される特定の制御刺激に基づいて本発明の挙動または性能を修正することができる。当業者は、このような特性の変化の許容可能な急激さが、本発明が使用される用途によって決定され得ることを理解するであろう。
【0047】
当業者はまた、特定の制御刺激の形態および特徴が、本発明に関連して使用される特定の種類の緩衝材料に応じて変動することを理解するであろう。様々な実施形態において、特定の制御刺激は、
・熱刺激、
・電子刺激、
・機械的刺激、
・磁気刺激、
・光学的刺激のうちの1つ以上を含み得る。
【0048】
例えば、いくつかの実施形態において、熱刺激は、使用される緩衝材料の関連する特徴の急激な変化をもたらす特定の温度範囲に関連し得る。このような緩衝材料は、第1の範囲の温度値からなる熱刺激に曝されたときに熱移送を促進し得、第2の範囲の温度値に曝されたときに熱移送を妨げる可能性がある。
【0049】
同様に、他の形態の緩衝材料は、電圧または電流の特定の値、選択された周波数の様々な大きさまたは振動の加えられた力、特定の強度および/もしくは方向の磁場に曝されたときに、または特定の周波数帯の光に曝されたときに、本発明によって使用される関連する特徴の急激な変化を呈し得る。
【0050】
さらに好ましい実施形態において、熱緩衝材料は、相変化材料によって形成され得、その様々な材料相の間でその熱伝導特性に顕著なまたは有意な変化を呈する材料である。例えば、いくつかの実施形態において、熱緩衝材料は、固体としては高い熱伝導率を呈し、液体としては低い熱伝導率を呈し得る。
【0051】
様々な実施形態において、熱緩衝材料は、転移温度で熱伝導特性を急激に変化させる材料によって形成され得る。したがって、このような材料は、小さな温度範囲にわたって相間を転移することができる。
【0052】
追加の実施形態において、熱緩衝材料は、転移温度で放射率または反射特性を急激に変化させる材料によって形成され得る。
【0053】
様々な実施形態において、本発明に従って使用される熱緩衝材料は、以下の特徴を呈する任意の材料から形成され得、
・特定の制御刺激または条件に応じた高い熱伝導率、放射率、または反射率の状態、
・別の特定の制御刺激または条件に応じた低い熱伝導率、放射率、または反射率の状態、
・変化する刺激に応じて、高から低、または低から高の状態への急速な転移、
ここで、刺激または条件が、特定の温度範囲または外部制御信号(電子的もしくは機械的イベントなど)に関連付けられている場合。
【0054】
好ましくは、熱緩衝材料は、外部制御システムによって生成される熱的、電子的、機械的、磁気的、または光学的刺激の少なくとも1つに対応する1つ以上の制御状態を有するように構成され得る。当業者は、本発明に併せて使用される特定の熱緩衝材料が、この材料の特性を変更するために使用される刺激または条件の形態に基づいて選択され得ることを理解するであろう。本発明に関心のある特性を変化させる、例示的なクラスのこのような材料および関連付けられた刺激または条件は、例として以下の刊行物に記載されている。
・Qiyang Lu,Samuel Huberman,Hantao Zhang,Qichen Song,Jiayue Wang,Gulin Vardar,Adrian Hunt,Iradwikanari Waluyo,Gang Chen & Bilge Yildi,“Bi-directional tuning of thermal transport in SrCoOx with electrochemically induced phase transitions”,Nature Materials 19,pages655-662(2020).
・Geoff Wehmeyer,Tomohide Yabuki,Christian Monachon,Junqiao Wu,and Chris Dames,“Thermal diodes,regulators,and switches:Physical mechanisms and potential applications”,Applied Physics Reviews 4,041304(2017);doi 10.1063/1.5001072
・Albert Massaguer Colomer,Eduard Massaguer,Toni Pujol,Marti Comamala,Lino Montoro,J.R.Gonzalez,“Electrically tunable thermal conductivity in thermoelectric materials:Active and passive control”,Applied Energy Volume 154,15 September 2015,Pages 709-717
・Kaikai Du,Qiang Li,Yanbiao Lyu,Jichao Ding,Yue Lu,Zhiyuan Cheng and Min Qiu,“Control over emissivity of zero-static-power thermal emitters based on phase changing material GST”,Light:Science & Applications,Volume 6,page e16194(2017)
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、実質的に上記に記載されるように、少なくとも2つの熱移送装置から形成された熱移送アセンブリが提供される。
【0056】
本発明の別の態様によれば、第2の移送装置の伝達機対象物と係合するか、またはそれと熱連通する第1の移送装置の受容機対象物を含む、熱移送アセンブリが提供される。
【0057】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも2つの熱移送装置から形成される熱移送アセンブリであって、各移送装置が、各移送装置に対して別個の外部収集面および内部伝達面を画定する、共通の伝達機対象物を組み込んでおり、各移送装置が、各移送装置に対して別個の内部受容面および外部熱送達面を画定する、共通の受容機対象物を組み込んでいる、熱移送アセンブリが提供される。
【0058】
当業者は、本発明のさらなる態様において、上で論じた複数の熱移送装置を一緒に組み合わせて、熱移送アセンブリを形成し得ることを理解するであろう。このアプローチを使用して、分離を提供した単一の熱移送装置のそれの性能を増幅し、また、様々な用途で提供される幾何形状装置アセンブリに関して追加の柔軟性を提供することができる。このアセンブリは、各隣接装置の構成要素を直接物理的に接続することによって、または潜在的に共有することによって、または隣接装置の間に位置する中間熱連通構成要素によって間接的に形成され得る。当業者は、様々な既存の熱連通または熱交換技術が、本発明と併せてこの役割で使用され得ることを理解するであろう。
【0059】
本発明は、以下でさらに詳細に論じられるように、先行技術または少なくとも代替の選択の先行技術に対して多くの潜在的な利点を提供し得る。
【0060】
当業者は、対象物による熱を逃がすことまたは熱の獲得のための重要な機構が、熱放射の放出または吸収であることを理解するであろう。対象物によって放出される熱放射の量は、その温度およびその表面積とともに増加する。
【0061】
熱放射によって相互作用する同じ温度の2つの対象物は、各々が他方に放出するのと同じ量の熱を吸収し、相互作用の有効表面積が同じであるため、通常、ゼロの正味の熱移送を観察する。これは熱平衡と呼ばれる。
【0062】
しかしながら、より低温の対象物のより大きな表面積がより高温の対象物のより小さな表面積に効率的に結合され得る場合、熱平衡が、異なる温度を有する2つの対象物間で達成され得ることが、本発明の一態様である。すなわち、より低温の対象物のより大きな表面積による熱放射放出の増加は、より高温の対象物のより高温による熱放射の増加とバランスを取り、それにより、ゼロの正味の熱移送を達成する。
【0063】
同じ大きな表面積から小さな表面積への結合配置では、2つの対象物が、最初に同じ温度にある場合、熱は、大きな表面から小さな表面に流れ、大きな表面は、より低温になり、小さな表面は、より高温になり、ついに、平衡状態が達成され、表面が様々な温度で安定する。
【0064】
その結果、熱は、より大きな表面積を有するより低温の対象物から、より小さな表面積を有するより高温の対象物に移動することができる。追加の熱エネルギーが、例えば、熱貯蔵器からの伝導によって、より低温の表面に供給され、熱エネルギーが、例えば、高温の表面から別の熱貯蔵器へと除去される場合、貯蔵器の制限内で、継続的な熱の流れを達成することができる。これを行うデバイスを熱サイフォンと称することができる。
【0065】
寒い環境の例における建物に戻ると、より低温の貯蔵器は、地面または土壌を含む外部環境であり、より高温の貯蔵器は、建物の内部である。熱サイフォンを使用すると、エネルギーをほとんどまたはまったく消費せずに、熱を外側のより低温の環境から内側のより高温の環境に移動させることができる。
【0066】
概念的には、漏斗または円錐台またはピラミッドなどの熱反射面積低減構造を熱導管として使用して、より大きな表面積およびより小さな表面積を結合し、それによって、熱集中導管として機能させることができる。しかしながら、構造の内面は、好ましくはより小さな領域に向かってエネルギーを反射する、電磁反射特性を呈するべきである。
【0067】
従来の屈折および反射光学系では不可能な方法で光および他の電磁波を制御および誘導するメタサーフェスおよびメタマテリアルの能力はよく知られている。例として、次の出版物は、そのようなメタサーフェスおよびメタマテリアルの使用例を提供する-Dragomir Neshev & Igor Aharonovich,“Optical metasurfaces:new generation building blocks for multi-functional optics”,Light:Science & Applications 7,Article number:58(2018)。したがって、メタサーフェスおよびメタマテリアルは、反射構造の内面の優先反射面材料の例示の候補である。
【0068】
加えて、メタサーフェスおよびメタマテリアルを使用して、特定のスペクトル帯域で熱放射を優先的に放出することもできることが知られている。例えば、次の出版物は、この用途で使用され得る材料の説明の例を提供する-Yanpei Tian,Alok Ghanekar,Matt Ricci,Mikhail Hyde,Otto Gregory and Yi Zheng,“A Review of Tunable Wavelength Selectivity of Metamaterials in Near-Field and Far-Field Radiative Thermal Transport”,Materials 2018,11,862;doi:10.3390/ma11050862。
【0069】
したがって、ある表面から別の表面への優先的な熱移送を達成または強化する別の方法は、1つ以上の表面の黒体放射の波長をシフトし、波長選択要素を使用して熱放射を優先的な方向に向けることによる。
【0070】
本発明の様々な態様によれば、効率的な熱管理のための装置が提供され、それによって、熱放射は、より低温の対象物の比較的大きな表面積から、より高温の対象物の比較的小さな表面積に結合され、それによって、システムを次のように配置する。
a.より高温の対象物は、それが放出するよりも多くの熱放射を吸収するため、より高温になり、
b.より低温の対象物は、それが吸収するよりも多くの熱放射を放出するため、より低温になる。
【0071】
したがって、本発明の目的は、より低温の対象物からより高温の対象物に熱を移送するための少なくとも1つの、および潜在的に複数の熱移送装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、熱移送装置が継続的なエネルギー消費をほとんどまたは全く必要とせず、継続的なメンテナンスをほとんどまたはまったく必要とせず、以前の解決策よりも環境的に持続可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本発明の追加のさらなる態様は、以下の実施形態の説明から、一例としてのみ与えられ、以下の添付の図面を参照して、読者に明らかになるであろう。
図1】本発明の一実施形態に従って提供される熱移送装置の正射影図である。
図2a-2c】本発明の様々な追加の実施形態に従って提供される熱移送装置のいくつかのバージョンの断面図を提供する。
図3a-3b】本発明の追加の態様および実施形態に従う、全体的な性能を改善するために、積み重ねられた熱移送装置によって提供される熱移送アセンブリの2つのバージョンの側面図を提供する。
図4a-4b】本発明の様々な追加の実施形態による、熱緩衝器を含む2つの熱移送装置の側面図を提供する。
図5】本発明の追加の実施形態による、熱制御ユニットを含む熱移送装置の側面図である。
図6a-6b】本発明のさらなる実施形態による、アセンブリを形成する熱移送装置のアレイの側面図を提供する。
図7a-7b】本発明の追加の実施形態による、アセンブリを形成する熱移送装置の2つの異なるタイプのアレイの正射影を提供する。
図8a-8b】本発明の追加の実施形態による、アセンブリを形成する熱移送装置の積み重ねられたアレイの正射影を提供する。
図9】本発明の別の実施形態による、柔軟な熱移送アセンブリを提供する装置の柔軟なアレイの側面図である。
【0073】
本発明のさらなる態様は、特定の実施形態の例としてのみ与えられる本発明の以下の説明から明らかになるであろう。
【0074】
発明を実施するための最良の形態
熱は、伝導、対流、移流、および放射の4つの機構のうちの1つを介して移送される。移流を妨げ、真空に置かれ、それによって対流を妨げ、十分に断熱され、それによって無視できる伝導を有する、静止対象物間の熱移送のみを考慮すると、放射が唯一の有意な熱移送機構として残る。本明細書から、これが事実であると見なす。
【0075】
すべての対象物は黒体の熱放射を放出する。この放出の電力(ワット単位)は、以下のシュテファン-ボルツマンの法則によって温度および表面積に関連している。
P=εσAT
式中、εは、表面放射率であり、σは、シュテファン-ボルツマン定数(5.670373×10-8 Wm-2-4)であり、Aは、対象物の表面積であり、Tは、ケルビンε単位の対象物の表面温度である。
【0076】
対象物が熱放射を放出すると、内部エネルギーが失われ、その温度が低下する。熱放射を放出するすべての対象物は、熱放射を吸収することもできる。対象物が熱放射を吸収するとき、その内部エネルギーが上昇し、その結果、その温度が上昇する。
【0077】
放出面から収集面への黒体の熱放射移送の量は、放出面の温度と面積と、収集面によって定められた立体角と、表面の放射率との関数である。放射率が、所与の材料に対して固定されており、かつ熱放射によって相互作用する対象物の有効表面積が、所与の物理的配置に対して固定されていると通常仮定されている。
【0078】
したがって、熱平衡にあるためには、対象物は、同じ温度でなければならない。この仮定は、従来の屈折および反射光学系を導入する場合に当てはまる。これは、表面積を拡大すると、定められた立体角の逆拡大が必要になり、エネルギー移送に正味の変化が生じないためである。
【0079】
一般に、熱は、より高温の対象物からより低温の対象物に移送することになる。これは、より高温の対象物がより低温の対象物から吸収するよりも多くの熱放射を放出し、熱の正味の放出をもたらし、それを冷却するためである。低温の対象物は、高温の対象物から放出されるよりも多くの熱放射を吸収し、その結果、熱エネルギーが正味吸収されるため、熱くなる。
【0080】
安定した温度にある、つまり加熱も冷却もされていない対象物は、熱平衡にあると言われる。熱平衡は、対象物が熱を透過するパスで接続されている場合に、対象物間に熱ヒートエネルギーの正味の流れがない状況として定義される。熱平衡状態でも、すべての対象物は、依然として、黒体放射を放出し、他の対象物から放出される放射を吸収しているが、まったく同じ速度で吸収および放出しているため、正味の熱の流れはゼロになる。
【0081】
各対象物の相互作用の有効表面積が同じであるのは正常であるため、熱平衡にある対象物は通常、同じ温度であると仮定される。しかしながら、本発明によれば、より低温の対象物のより大きな表面積が、より高温の対象物のより小さな表面積に効率的に結合され得るという仮定の下で、異なる温度の2つの対象物の間で熱平衡を達成することもできる。本明細書から、熱サイフォンのように、異なる温度として対象物の間の熱平衡を達成することができるこのような装置を指す。
【0082】
図1は、熱移送装置の好ましい実施形態の概略正射影を示しており、本明細書全体を通して「熱サイフォン」装置と交換可能に称される。この装置は、伝達機対象物のより大きな表面積から受容機対象物のより小さな表面積に黒体放射を集中させることによって、伝達機対象物(101)から受容機対象物(102)への熱放射の流れを優先的に可能にするように構成されている。熱集中は、熱導管(103)によって達成される。伝達機および受容機の対象物は平板として描かれているが、特定の用途では他の形状が有益な場合がある。熱導管は、四角錐台で描かれているが、円錐台または押し出し台形を含むがこれらに限定されない他の形状が有益な場合がある。
【0083】
図2aは、図1の熱サイフォン装置の概略断面図をより詳細に示している。熱導管(103)は、エネルギーを受容機対象物(102)に向かって優先的に反射するように適合された反射面(204)から構成されている。装置は、伝導および対流熱移送を制限し、それによって性能を改善するために、密封されて排気されるか、またはほぼ排気されるか、またはガスで満たされ得る。
【0084】
光線追跡光線(205)は、熱放射の優先反射の例を図示しており、反射面(204)は、実質的に物理的に平坦であるが、光を集束させ、かつ理想的な凹面鏡の半分と同等の方法で作用するように適合されている。ただし、他の特性を有する反射面も効果的であろう。さらに、本発明の目的のために、高品質の画像化光学系は必要とされない。これは、装置が小さな誤差または歪みを伴う反射面に耐性があり、それによって、より安価な製造プロセスで製造され得ることを意味する。
【0085】
図2bは、波長選択要素を使用するように構成されている熱サイフォン装置の別の実施形態の概略断面図を示している。このシステムは、例えば、伝達機対象物の伝達面(206)が、例えば、メタ表面コーティングの使用を介して、シフトされた波長(207)で放射を放出するように構成することと、二色性ミラーまたはフィルタなどの波長選択要素(208)を使用してこれらの波長を選択的に通過させることとによって、伝達機対象物(101)から受容機対象物(102)への熱放射の流れを優先的に可能にするように構成されている。受容機対象物から放出された放射(209)は、波長がシフトされず、波長選択要素によって同じ対象物に戻り反射される。波長選択要素は、伝達機と受容機対象物との間の異なる位置に置かれ得、受容機対象物表面上で波長シフトメタサーフェスを使用することも有益である可能性がある。
【0086】
図2cは、図2aおよび図2bからの装置(両方の効率または性能を改善するための)の組み合わせの概略図を示している。
【0087】
定義上、伝達機対象物と受容機対象物との間の熱平衡は、対象物間の熱ヒートエネルギーの正味の流れがゼロのときに達成される。つまり、伝達機対象物によって放出され、受容機対象物によって吸収される熱エネルギーの量は、受容機対象物によって放出され、伝達機対象物によって吸収される熱エネルギーの量に等しい。伝達機対象物の表面積が、受容機対象物の表面積よりも大きく、熱放射が、それらの間で効果的に結合されている場合、熱平衡のために、伝達機対象物は、受容機対象物よりも低い温度でなければならない。
【0088】
対象物の間に置かれた波長選択要素の場合、表面の表面積の同等の変化としての熱放射の反射または部分反射。例えば、表面によって放出される熱放射の電力の80%がその表面に反射して戻る場合、有効表面積も80%減少すると見なすことができ、それによって、数学的には実際のサイズの20%として扱われる。
【0089】
放射熱平衡の場合、伝達機対象物によって放出され、受容機によって吸収される電力は、受容機対象物によって放出され、伝達機によって吸収される電力に等しくなる。
【数1】

式中、下付き文字1の変数は、伝達機対象物に関連し、下付き文字2の変数は、受容機対象物に関連する。
【0090】
簡単にするために、両方の対象物が実質的に同じ放射率を有すると仮定し、次のように単純化できるようにする。
【数2】
【0091】
実際には、集信機の反射面には、受容機対象物に対する優先的なエネルギー反射の能力への制限を有し、平衡電力移送は次のようになる。
+P(1-η)=Pη
=P(2η-1)
式中、ηは、受容機対象物によって吸収され、伝達機対象物によって放出される電力の割合である。ここで、残りの電力が伝達機対象物に戻され、それによって吸収されると仮定する。簡単にするために、「結合比」を次のように定義する。
η=2η-1
【0092】
次いで、平衡温度比は、次のように計算できる。
【数3】
【0093】
この平衡温度はまた、単一の熱サイフォン装置が熱サイフォンとして機能することになる操作の最大温度値も表す。
【0094】
上記の式は、受容機対象物によって放出されたすべての熱エネルギーが伝達機対象物によって吸収されることになることを仮定する。ただし、これは実際には当てはまらない場合があるが、本明細書では、明確かつ簡単にするために、この効果は重要ではないと仮定している。それが実際に重要である場合、それは、システムの性能を改善するだけである。当業者はまた、受容機対象物から伝達機対象物への熱エネルギーの移送を意図的に制限するための本発明のさらなる適応もまた、装置の全体的な性能を改善することを認識するであろう。
【0095】
移送される熱エネルギーの速度(ワット単位)は、次の結合比を考慮した、対象物間で移送される熱電力の差である。
【数4】
【0096】
ここでも、両方の対象物の放射率が実質的に同じであると仮定すると、移送される火力は次のようになるか、
【数5】

または、対象物の表面積の比率に関して、次のようになる。
【数6】
【0097】
低温側の温度と所望の電力移送がわかっている場合、高温側の温度は次のように計算できる。
【数7】
【0098】
図3a、3bは、一緒に積み重ねられてアセンブリを形成する複数の熱移送装置の概略側面図を示している。図3aは、第1の装置(302)のより高温の受容機対象物(301)が、第2の装置(304)のより低温の伝達機対象物も形成するか、またはそれと熱接触して、最大動作温度を上昇させる方法を示す。ここで、温度と移送される電力の全体的な関係は、2つの独立したユニットの組み合わせとして表すことができる。
【数8】

次のように簡略化される。
【数9】
【0099】
構成要素材料の温度制限などの明らかな範囲を超えて、高温または低温(極低温を含む)のさらに大きな最大動作温度範囲、または所与の温度差のより大きな電力移送(図3bに示されるように)を達成するために積み重ねられ得る装置の数に制限はない。温度と移送される電力の関係は、より一般的に次のように表すことができる。
【数10】

式中、nは、スタック内の層状装置の数である。したがって、スタックシステムのための熱移送は、次のように計算できる。
【数11】
【0100】
当業者はまた、装置の各層に異なる表面積または構成を使用できることを認識するであろう。
【0101】
図4は、加熱または冷却温度を制限するように適合された装置のさらなる実施形態を図示する概略側面図を示し、それによって、熱緩衝材料(401)は、図4aに示されるような熱サイフォン装置のより高温の側、または図4bに示されるようなその装置のより低温の側に追加される。
【0102】
熱緩衝材料は、所望の温度限界で転移温度を有し、かつ転移温度の周りで熱伝導率の有意な変化を受けるように適合され、それにより、装置の加熱または冷却温度範囲を制限する。いくつかの材料が、固体から液体へ、またはその逆のように、相変化を受けると熱伝導率の急速な変化を呈することはよく知られているため、このような材料は、熱バッファーの候補として適している。一部の材料は、相変化を受けると放射率または反射率の変化を呈することもよく知られている。このような材料は、装置の内面の熱緩衝材料として使用することができる。熱緩衝材料のさらなる例示の候補は、熱ダイオード、レギュレーター、およびスイッチなどの熱構成要素、ならびに調整可能または制御可能な熱伝導体である。
【0103】
図5は、温度制御アルゴリズムに従って熱緩衝材料の熱伝導率を選択的に制御するための温度センサ(501)およびコントローラ(502)を含むことによって、装置の加熱または冷却限界を動的に制御するように適合された装置のさらに好ましい実施形態を図示する概略側面図を示す。同じ温度制御アプローチを、装置のより冷たい側、または装置の内面に置かれた熱緩衝材料に適用することができる。
【0104】
図6a、6bは、図6aの場合は細片、または図6bの場合はリングを画定する、より大きなまたは密閉されたグループを形成する2つの異なるアセンブリとして一緒に配置された複数の装置の例を図示する概略側面図を示す。他の同様の配置には、熱移送方向を逆にするための個々の熱サイフォンの向きの交換、および特定の用途により適している可能性のある他の構造形状の使用が含まれる。
【0105】
複数の装置は、例えば、以下の特定の用途に応じて、他の幾何形状または形状に配置され得る。
・複数のグループの装置を互いに熱的に接触させることができる、多面的な規則的または不規則な多角形、特に、六角形などの連動する多角形。
・複数の装置が円、楕円、もしくは他の滑らかな形状を形成または近似するように配置され、個々の装置の表面も湾曲し得る、湾曲したプロファイル。
・熱エネルギーの供給または除去される必要がなる可能性のある別の対象物の形状に従うように適合されたカバー、コーティング、または表面を形成することを含む、特定の用途に適合された任意の形状。
・すべての形状は、三次元で上記されるプロファイルである。
【0106】
図7a、7bは、図3a、3bによって提供される側面図と同等の概略正射影を示しており、個々の熱サイフォン装置がどのようにパネル、タイル、チューブ、またはパイプなどの形状に形成され得るかを図示している。当業者はまた、次いで、これらの形状を組み合わせてさらに複雑な形状(直方体を形成し、加熱または冷却のゾーンを密閉または半密閉する6つのパネル)を生成する方法(管は、加熱または冷却用の密閉または半密閉シリンダーを形成するように端部で密閉されているか、または個々の装置は、密閉または半密閉球を形成するように配置されている)を認識するであろう。
【0107】
図8a、8bは、熱サイフォンの性能を向上させるために、図3に実証されるように、層またはスタックに配置された図7の複数のアレイの概略正射影を示している。明確にするために3つの層が示されているが、他の数の層を使用することもできる。
【0108】
図9は、複数の個々の装置をヒンジまたは可撓性継手機構(601)を介して接続して、可撓性または半可撓性シートを形成する方法を示す概略側面図である。他の形態の柔軟な材料も、例えば、複数の小規模な装置を布に埋め込むことによって構築することができる。
【0109】
当業者はまた、図3図6図7図8図9の層およびスタックに示されるような装置の様々な組み合わせ、ならびに任意の他の組み合わせもまた、図4および図5に示されるような熱緩衝材料および熱制御ユニットの使用を含み得ることを認識するであろう。
【0110】
本明細書に開示される熱サイフォンおよび熱サイフォンのアレイは、
・タイルを床、壁、天井に組み込むか、管を放熱体および床下暖房などの流体ベースの暖房または冷房システムに組み込み、南極大陸、月、および火星などの遠隔地にある建物を含めることによる建物の冷暖房、
・食品または医薬品の供給、保管、および輸送などの用途向けに、涼しさを保つだけでなく、品目を能動的に冷却することができるクールボックスを生成すること、
・それらの内容物を能動的に加熱または冷却するボトル、
・温水システム、
・極低温クーラーおよび極低温炭素捕捉、回収、および隔離システム、
・熱電気発電、
・能動的な加熱を提供できる、毛布および緊急用毛布を含むがこれらに限定されない用途に使用することができる。
【0111】
前述の説明および以下の特許請求の範囲では、「含む」という用語またはその同等の変形は、記載された特性の存在を特定するために包括的意味で使用される。この用語は、様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0112】
本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されず、本発明の趣旨および範囲内のさらなる追加の実施形態は、図面を参照して図示された実施例から当業者に明らかであることを理解されたい。特に、本発明は、本明細書に記載の特性の任意の組み合わせに存在し得るか、または代替の実施形態に存在し得るか、またはこれらの特徴と所与の特徴との既知の同等物との組み合わせに存在し得る。上で論じた本発明の例示的な実施形態の修正および変形は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を逸脱することなく行われ得る。
図1
図2a-2c】
図3a-3b】
図4a-4b】
図5
図6a-6b】
図7a-7b】
図8a-8b】
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱移送装置であって、
外部収集面および内部伝達面を画定する伝達機対象物、
前記伝達機対象物から変位した受容機対象物であって、内部受容面および外部熱送達面を画定する、受容機対象物、
前記伝達機対象物と受容機対象物との間に接続された少なくとも1つの側壁を組み込む熱導管であって、前記少なくとも1つの側壁が、前記伝達機対象物と受容機対象物との間の距離にまたがり、かつ前記伝達機と受容機対象物との間の体積を密閉し、前記少なくとも1つの側壁が、前記伝達機対象物の前記内部伝達面および前記受容機対象物の前記内部受容面を密閉する、熱導管を含み、
熱導管側壁の内面が、熱放射を前記受容機対象物に優先的に向けるように配置された1つ以上の熱反射器を含み、前記伝達機対象物、受容機対象物、および熱導管が、主に前記受容機対象物に向かう熱移送を促進するように構成されている、熱移送装置。
【請求項2】
前記熱導管の前記側壁によって密閉された前記体積が、低空気圧、部分真空、または真空環境である、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項3】
前記熱導管の前記側壁によって密閉された前記体積が、不活性または低熱伝導率ガスを含有する、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの熱反射器が、特定の方向に熱放射を先的に反射するように適合されたナノ構造メタマテリアルを含む、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項5】
前記伝達機対象物の前記外部収集面が、前記熱移送装置の直接的な環境から熱を収集するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項6】
前記伝達機対象物の前記外部収集面が、太陽光を吸収し、かつ前記外部収集面からの黒体放射を妨げるように調整される、ナノ構造メタマテリアルを含むか、または適用した、請求項5に記載の熱移送装置。
【請求項7】
前記受容機対象物の前記外部熱送達面が、前記熱移送装置の直接的な環境に熱を送達するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項8】
前記受容機対象物の前記外部熱送達面が、太陽光の吸収を遮断し、かつ黒体放射の放出を促進するように調整される、ナノ構造メタマテリアルを含むか、または適用した、請求項7に記載の熱移送装置。
【請求項9】
前記伝達機対象物の前記内部伝達面が、黒体の熱放射を放出するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項10】
ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、前記伝達機対象物の前記内部伝達面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出する、請求項9に記載の熱移送装置。
【請求項11】
前記受容機対象物の前記内部受容面が、前記伝達機対象物の前記内部伝達面から放出された前記熱放射を吸収するために利用される、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項12】
ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、前記受容機対象物の前記内部受容面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出する、請求項11に記載の熱移送装置。
【請求項13】
熱移送装置が、前記熱導管によって密閉された前記体積内にフィルタを含み、前記フィルタが、特定の波長帯域の熱放射を反射し、かつ他の波長帯域の熱放射を伝達するように適合されている、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項14】
前記フィルタが、二色性ミラー、薄膜干渉フィルタ、および/またはナノ構造メタマテリアルによって提供された波長依存反射器から形成される、請求項13に記載の熱移送装置。
【請求項15】
前記伝達機対象物の前記内部伝達面の面積が、前記受容機対象物の前記内部受容面の面積よりも大きい、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項16】
熱緩衝材料が、
・前記伝達機対象物の前記外部収集面、
・前記受容機対象物の前記外部熱送達面、
・前記伝達機対象物の前記内部伝達面、
・前記受容機対象物の前記内部受容面、
・前記熱導管の内側壁面、
・前記フィルタのうちのいずれか1つ以上と接触して、またはその一部として提供される、請求項1または13に記載の熱移送装置。
【請求項17】
前記熱緩衝材料が、特定の制御刺激に曝されたときに、
・熱伝導率、
・放射率、
・反射率の特性のうちのいずれか1つ以上の急激な変化を経験する、請求項16に記載の熱移送装置。
【請求項18】
前記特定の制御刺激が、
・熱刺激、
・電子刺激、
・機械的刺激、
・磁気刺激、
・光学的刺激のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の熱移送装置。
【請求項19】
熱導管側壁の内面が、
特定の方向に熱放射を優先的に反射するように適合されたナノ構造メタマテリアルから形成された1つ以上の熱反射器を含み、
ナノ構造、ナノ層、またはメタマテリアルが、前記伝達機対象物の前記内部伝達面、および/または前記受容機対象物の内部受容面に適用されて、特定の波長帯域の熱放射を優先的に放出し、
前記伝達機対象物の前記内部伝達面の面積が、前記受容機対象物の前記内部受容面の面積よりも大きく、
前記熱導管によって密閉された前記体積が、特定の波長帯域の熱放射を反射し、かつ他の波長帯域の熱放射を伝達するように適合されたフィルタを含む、請求項1に記載の熱移送装置。
【請求項20】
請求項1に記載の少なくとも2つの熱移送装置から形成された、熱移送アセンブリ。
【請求項21】
第2の移送装置の伝達機対象物と係合するか、またはそれと熱連通する第1の移送装置の受容機対象物を含む、請求項20に記載の熱移送アセンブリ。
【請求項22】
少なくとも2つの熱移送装置から形成され、各移送装置が、各移送装置に対して別個の外部収集面および内部伝達面を画定する、共通の伝達機対象物を組み込んでおり、各移送装置が、各移送装置に対して別個の内部受容面および外部熱送達面を画定する、共通の受容機対象物を組み込んでいる、請求項20に記載の熱移送アセンブリ。
【国際調査報告】