(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/00 20060101AFI20220920BHJP
H01G 9/008 20060101ALI20220920BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20220920BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
H01G9/00 030
H01G9/008 301
H01G2/02 101C
H01G2/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502862
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2020066771
(87)【国際公開番号】W WO2021008802
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019119538.1
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ デ カマルゴ メッロ, ファビオ アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ジラルディ, アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】コステル, モーセ
(72)【発明者】
【氏名】ミヌッツォ, モーツァルト
(72)【発明者】
【氏名】カルドソ ジェネロソ, ジーン
(57)【要約】
【課題】 プリント回路基板への機械的な固定強度または熱の放散のうちの少なくとも1つを改良する、表面実装用に設計されたコンデンサを提供する。
【解決手段】 本発明は、コンデンサに関し、ケース1の中に配置された巻回素子と、非導電性材料からなり、ケースに固定された取付板11と、ケース1と前記取付板11との間に配置された金属部品7と、を備え、金属部品7は、取付板11を通り抜けて突出する突出部9a、9bを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(1)の中に配置された巻回素子と、
前記ケース(1)に固定されており非導電性材料からなる取付板(11)と、
前記ケース(1)と前記取付板(11)との間に配置された金属部品(7)と、を備え、前記金属部品(7)は、前記取付板(11)を通り抜けて突出する突出部(9a、9b)を含む、コンデンサ。
【請求項2】
前記金属部品(7)の前記突出部(9a、9b)は、前記コンデンサをプリント回路基板に表面実装するときに、前記プリント回路基板に固定されるように構成される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記金属部品(7)は、前記ケース(1)からの熱を前記プリント回路基板に伝搬させる、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記巻回素子は、2つの端子(2a、2b)を備え、前記2つの端子(2a、2b)は、表面実装する間に前記プリント回路基板に固定されるように構成された前記コンデンサの2つの接点を形成し、
前記金属部品(7)は、表面実装する間に固定されるように構成された2つの追加の機械的接点を提供する、請求項2または3に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記金属部品(7)は、前記ケース(1)に熱的に結合される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記取付板(11)は、開口部(16)を備え、前記金属部品(7)の前記突出部(9a、9b)は、前記開口部(16)を通り抜けて突出する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記金属部品(7)は、前記取付板(11)と前記ケース(1)との間に固定される、請求項1から6までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記金属部品(7)は、純粋に機械的に前記ケース(1)に固定される、請求項1から7までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記金属部品(7)は、前記ケース(1)に、かしめ部(12)およびビーディング加工部(13)により固定される、請求項1から8までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記金属部品(7)は、環状の基体(8)を備える、請求項1から9までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記金属部品(7)の前記突出部(9a、9b)は、固定用ピンである、請求項1から9までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記固定用ピンは、前記コンデンサの取付面に対して平行な表面を形成するように曲げられている、請求項11に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記金属部品(7)は、型抜きされた金属板であり、プレス加工により前記突出部(9a、9b)が形成される、請求項1から10までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記金属部品(7)は、前記巻回素子にガルバニック接続されていない、請求項1から13までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記コンデンサは、前記ケース(1)を封止する封止部品(5)を備える、請求項1から14までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項16】
前記金属部品(7)は、前記封止部品(5)と前記取付板(11)との間に配置される、請求項15に記載のコンデンサ。
【請求項17】
プリント回路基板と請求項1から16のいずれか1項に記載のコンデンサを備える配置であって、前記コンデンサは、前記プリント回路基板に表面実装で固定される、配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサに関し、特に、表面実装(SMD)によりプリント回路基板(PCB)に実装されるように構成されたコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
標準的なSMDコンデンサでは、それらの接続線によるPCBへの機械的な固定強度が不足する事がしばしばある。さらに、SMDコンデンサからPCBへの熱の放散は、その接続線の寸法により制約される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上記の短所の少なくとも1つを克服する、表面実装用に設計された改良コンデンサが必要である。本発明の目的は、そのようなコンデンサを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の主題により解決される。
【0005】
コンデンサは、ケースの中に配置された巻回素子と、ケースに固定されており非導電性材料からなる取付板と、ケースと取付板との間に配置された金属部品と、を備え、前記金属部品は、前記取付板を通り抜けて突出する突出部を含む。コンデンサは、さらに封止部品を備える。
【0006】
金属部品を、コンデンサのケースと取付板との間に付加することにより、SMDコンデンサの上記の短所を克服し得る。金属部品は、ケースに熱的に結合され得る。したがって、例えば、リフローはんだ付けにより表面実装する間に、ケースにより収集された熱は、金属部品を介してPCBに伝搬され得る。よって、リフローはんだ付けの間の熱は、PCBのはんだパッドにすぐに伝搬される。それにより、熱がPCB自体を介して伝搬するだけではなく、ケースにより収集された熱もまたはんだパッドに伝搬することで、はんだ付けプロセスを加速し得る。さらに、コンデンサの通常動作の間でも、金属部品はケースと熱的に結合したままであり、その結果、ケースの内部の巻回素子により発生した熱を、金属部品を通してプリント回路基板へ伝搬し得る。したがって、金属部品を追加することで、プリント回路基板をヒートシンクとして使用可能となる。例えば、巻回素子において、リップル電流による熱が発生し得る。金属部品は、ケースから熱を取り去るコンデンサの熱管理に寄与する。
【0007】
金属部品は、プリント回路基板へのコンデンサの機械的な固定強度の改善にも寄与する。特に、金属部品は、例えば、はんだ付けによりプリント回路基板に固定可能な1つ以上の機械的接点を提供できる。
【0008】
取付板は、ケースの横方向寸法よりも小さい横方向寸法を有する小さな板としてもよい。ケースは、取付板に固定し得る。取付板は、表面実装する間にプリント回路基板に固定されるように設計可能である。
【0009】
金属部品の突出部は、取付板から、巻回素子から遠ざかる方向に延在し得る。
【0010】
金属部品の突出部は、コンデンサをPCBに表面実装したときにプリント基板に固定するように構成可能である。特に、金属部品の突出部は、はんだ付けによってPCBのはんだパッドに固定可能な機械的接点を形成可能である。
【0011】
金属部品は、ケースからPCBに熱を伝搬させるように構成可能である。したがって、ケースから伝搬される熱がはんだパッドに効率よく伝搬されるので、金属部品は、表面実装する間のはんだ付けプロセスを加速し得る。さらに、コンデンサの通常の動作中に、金属部品がケースからPCBへの熱を伝搬し得るので、PCBをヒートシンクとして使用可能となる。
【0012】
巻回素子は、表面実装する間にPCBに固定されるように構成された2つの接点を形成する2つの端子を含み得る。巻回素子の2つの端子は、PCBへの巻回素子の電気的接触を提供し得る。さらに、巻回素子の2つの端子は、PCBに熱的および機械的に接続可能である。
【0013】
金属部品は、表面実装する間に固定されるように構成された2つの追加の機械的接点を提供し得る。この追加の機械的接点は、金属部品の突出部で形成可能である。金属部品により提供される接点は、巻回素子にガルバニック接続されていないことが好ましい。金属部品により提供される接点は、PCBに機械的および熱的に接続し得る。したがって、金属部品は、PCBとコンデンサのより良い機械的および熱的な接続に寄与できる。
【0014】
巻回素子の端子は、取付板の凹部から突出可能である。
【0015】
金属部品は、取付板とケースとの間に固定し得る。金属部品は、純粋に機械的にケースに固定可能である。特に、金属部品をケースに固定するために接着剤や外付けのプラスチック部品は不要である。むしろ、金属部品は、ケースの残余部分を閉じる封止部品を、固定する手段と同じ機械的手段により、ケースに固定可能となる。特に、金属部品は、かしめ部およびビーディング加工部によりケースに固定可能である。いずれにしろ、金属部品を固定するための追加の手段が必要ないように、封止部品でケースを閉じるためにかしめ部およびビーディング加工部が必要である。金属部品は、封止部品と取付板との間に配置可能である。特に、金属部品は、ケースの下端に配置された封止部品に接触し得る。金属部品は、取付板にも接している。
【0016】
金属部品は、環状の基体を含み得る。基体の環状の形は開口部を定義することができ、巻回素子の端子は開口部を通り抜けできる。基体の開口部は、環状の基体と多種多様な巻回素子および封止部品との組合せを可能にするように十分に大きくされているので、端子の位置および寸法は、金属部品の開口部により制限されない。
【0017】
金属部品の突出部は固定用ピンであり得る。固定用ピンは、取付板の開口部を通過する前または後に曲げることが可能である。固定用ピンを曲げることで金属部品を取付板へさらに固定することが可能であり、金属部品が取付板に対して軸方向へ移動することを防止する。
【0018】
固定用ピンは、コンデンサの実装面に平行な面を形成するように曲げることが可能である。コンデンサの実装面は、取付板の下面、すなわち、巻回素子から遠い側にすることが可能である。コンデンサをPCBに表面実装するとき、コンデンサの実装面はPCBに関して設計可能である。
【0019】
金属部品は、型抜きされた金属板であり得、プレス加工により突出部が形成される。
【0020】
金属部品は、前記巻回素子にガルバニック接続されていない。
【0021】
コンデンサは、ケースを封止する封止部品を備え。金属部品は、前記封止部品と前記取付板との間に配置される。
【0022】
本発明は、プリント回路基板とコンデンサを備える、さらなる配置に関し、コンデンサは、プリント基板に表面実装で固定される。
【0023】
本発明の以下の好ましい実施形態は、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、コンデンサのケース、封止部品、および金属部品の分解図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスの異なる工程における斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスの異なる工程における斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスが完了した後の斜視図である。
【
図5】
図5は、突出部を曲げる前の第1実施形態の金属部品の側面図である。
【
図6】
図6は、突出部を曲げる前の第1実施形態の金属部品の上面図である。
【
図7】
図7は、突出部を曲げる前の第1実施形態の金属部品の斜視図である。
【
図8】
図8は、突出部を曲げた後の第1実施形態の金属部品の側面図である。
【
図9】
図9は、突出部を曲げた後の第1実施形態の金属部品の上面図である。
【
図10】
図10は、突出部を曲げた後の第1実施形態の金属部品の斜視図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスの異なる工程における斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスの異なる工程における斜視図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスが完了した後の側面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスが完了した後の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、コンデンサのケース1、封止部品5、および金属部品7の分解図を示す。
【0026】
コンデンサは、ケース1の内部に配置された巻回素子を含む。ケース1はアルミニウム缶である。ケース1は円筒形である。巻回素子は、ケース1から突出する2つの端子2a、2bを備える。巻回素子の端子2a、2bは、表面実装する間にプリント回路基板に接続されるように構成された電気的端子である。
【0027】
ケース1は、第1端部3および第2端部4を有する。ケース1の第1端部3が開放されている。巻回素子の端子2a、2bを形成する接続線は、ケース1の第1端部3から突出している。ケース1の第2端部4は、第1端部3の反対側に配置されている。第2端部4は閉塞している。本明細書では、第1端部3を下端と記述し、第2端部4を上端と記述することがある。
【0028】
コンデンサは、ケース1を封止するように構成された封止部品5をさらに備える。特に、封止部品5は、ケース1の下端3を封止するように構成されている。封止部品5は、非導電性材料、例えばゴムからなる。ゴムは弾性が高く、ケース1を確実に閉じることが可能であるので、封止部品5の材料として好適である。封止部品5は、巻回素子の端子2a、2bを差し込むように構成された2つの開口6を備える。封止部品5は、ケース1の下端3からケース1の中へ挿入されている。
【0029】
コンデンサは、封止部品5の下方、すなわち、巻回素子から遠い側に配置された金属部品7を含む。金属部品7は、環状の基体8を有し、2つの突出部9a、9bを含む。
【0030】
金属部品7のさらなる詳細は、金属部品7の突出部9a、9bが曲げられる前の金属部品7を示す
図5、
図6および
図7のそれぞれに示されている。したがって、
図5~
図7のそれぞれは、組み立てプロセスが完了する前の金属部品7を示しています。
【0031】
金属部品7の環状の基体8は、開口部10を備える。金属部品7がコンデンサに組み付けられるとき、巻回素子の端子2a、2bは、基体8の開口部10を通過する。開口部10は、端子2a、2bの端子間距離よりも大きい。したがって、金属部品7は、端子2a、2bの位置が異なる多種多様な巻回素子および封止部品と組み合わせが可能である。
【0032】
金属部品7は、2つの突出部9a、9bを含む。突出部9a、9bの両方は、同じ方向に、すなわち、巻回要素から遠い側に突出している。突出部9a、9bはそれぞれ固定用ピンである。固定用ピンの長さは、突出部9a、9bが、
図3に関して後述する、取付板11を通って突出するように選択される。突出部9a、9bの長さは、取付板11から突出する突出部9a、9bの一部を屈曲させて表面実装用の接点を形成できるように選択される。
【0033】
封止部品5は、金属部品7に向かって、巻回素子から遠ざかる側に突出する凸部20を備える。凸部20の形状は、金属部品の環状の基体8の開口部10の形状に適合される。金属部品7は、封止部品5に取り付けられるように構成される。金属部品7が封止部品5に取り付けられるとき、凸部20が開口部10に挿入される。凸部20は、取付板11が組み立てられる前、および金属部品7の突出部9a、9bが曲げられる前の状態で、金属部品7の封止部品5への機械的な接続を安定させる。
【0034】
図2および
図3は、第1実施形態のコンデンサの、組み立てプロセスの異なる工程での斜視図を示している。
図4は、第1実施形態のコンデンサの、組み立てが完了した後の斜視図を示している。
【0035】
コンデンサは、表面実装プロセスでプリント回路基板(PCB)に固定されるように設計されている。コンデンサは、PCBに表面実装されると、機械的およびガルバニックにPCBに接続される。
【0036】
図2は、組み立てプロセスの第1工程を示しており、端子2a、2bは円形の断面を有する接続端子である。金属部品7は、封止部品5に接して配置されており、凸部20により封止部品5に保持されている。
【0037】
図3に、組み立てプロセスの第2工程のコンデンサを示す。ケース1の下端には、封止部品5および金属部品7が配置されている。ケース1の下端には、かしめ部12とビーディング加工部13が追加されている。かしめ部12およびビーディング加工部13を追加することで、封止部品5は、ケース1の中に配置され、ケース1が封止部品5によって封止されるようにケース1に固定される。かしめ部12およびビーディング加工部13は、封止部品5がケース1に対して動くことを防止して機械的な固定を提供する。かしめ部12およびビーディング加工部13はまた、金属部品7も機械的に固定する。金属部品7をケース1に固定するための追加の部品または手段は不要である。むしろ、封止部品5の固定のために使用されたのと同じ固定手段である、かしめ部12およびビーディング加工部13が、金属部品7をケース1に固定することを可能にしている。
【0038】
巻回素子の端子2a、2bは、それらが接続端子を形成するようにプレス加工され、切断される。巻回素子の固定用ピンは端子2a、2bにより形成され、端子2aと端子2bとを結ぶ第1仮想線は、金属部品7の突出部9aと突出部9bとを結ぶ第2仮想線と直交する。
【0039】
コンデンサは、
図3に示される上記の取付板11をさらに含む。取付板11は、コンデンサの下端に固定されるように構成されている。
【0040】
取付板11は、ケース1に面する第1表面14を有する。取付板11は、ケース1とは反対側を向く第2表面15を有する。取付板11の第2表面15は、コンデンサが表面実装されたときにPCBに接するコンデンサの取付面である。
【0041】
取付板11は、金属部品7の2つの突出部9a、9bと、巻回素子の2つの端子2a、2bと、を差し込むように構成された4つの開口部16を備える。取付板11は、非導電性材料からなる。取付板11の厚さは、金属部品7の突出部9a、9bの長さよりも薄く、かつ巻回素子の端子2a、2bの長さよりも薄い。
【0042】
図4に、組み立てプロセスが完了した後のコンデンサを示す。金属部品7の突出部9a、9bは、取付板11の開口部16を通り抜け、その後、突出部9a、9bが曲げられた。
【0043】
図8、
図9、および
図10のそれぞれに、固定用ピンを曲げた後の金属部品7を示す。
【0044】
コンデンサは、その取付面に、表面実装によりプリント回路基板に固定可能な4つの機械的接点を備える。接点のうちの2つは、巻回素子の端子2a、2bから形成される。これらの接点は、巻回素子をプリント回路基板に機械的に固定し、電気的に接続するように構成されている。また、金属部品7の突出部9a、9bは、2つの接点を形成する。これらの2つの接点は、表面実装後にプリント回路基板にコンデンサを機械的に固定するように構成されている。金属部品7の突出部9a、9bは、巻回素子とは電気的に接続されていない。4つの接点は、接点が互いに接触しない十字型の4つの腕を形成するように配置されている。
【0045】
各接点は熱的な接続も提供する。特に、金属部品7は、ケース1に熱的に接続されている。したがって、例えば、リフローはんだ付けにより表面実装する間に、金属部品7は、プリント回路基板のはんだパッドへの熱の伝搬を加速するのに寄与する。
【0046】
表面実装は、例えば、リフローはんだ付けプロセスにより実行可能である。コンデンサは、4つの接点のそれぞれがはんだパッドに配置されるように、プリント回路基板の表面に配置可能である。PCBに載置されたコンデンサはオーブンに移され、加熱される。加熱プロセスを加速するためには、はんだパッドにすぐに熱を伝搬させることが重要である。
【0047】
リフローはんだ付けの間にケース1から伝搬された熱は、ケース1に熱的に接続された金属部品7を通じてはんだパッドに直接伝搬する。したがって、はんだパッドは、プリント回路基板に加えられた熱だけでなく、ケース1で収集されて金属部品7を介してはんだパッドに伝搬する熱によっても加熱される。よって、金属部品7は、PCBへのコンデンサの表面実装の加速を可能にする。
【0048】
コンデンサの通常の動作中も、熱はケース1から金属部品7を介してプリント回路基板に伝搬可能である。したがって、金属部品7は、PCBをヒートシンクとして使用することが可能である。通常の動作中にコンデンサに印加されるリップル電流は熱を発生させる可能性があり、この熱は通常、巻回素子からケース1に伝搬する。ケース1は金属部品7を介してPCBに熱的に接続されているので、PCBをヒートシンクとして使用可能である。
【0049】
上記のように、金属部品7は、ケース1に機械的に固定されている。金属部品7を固定するための接着剤または外付けプラスチック部品は不要である。通常、接着剤および外付けプラスチック部品は、温度変化および湿度に敏感であって経年劣化に悩まされる。それとは対照的に、純粋に機械的に固定された金属部品7は、温度変化または湿度による経年劣化の影響を受けない。金属部品7は、広い温度範囲および広い湿度範囲に亘って安定した機械的な固定を得られる。
【0050】
図11および
図12に、組み立てプロセスの異なる工程における第2実施形態のコンデンサを示す。
【0051】
図13および
図14に、組み立てプロセスが終了した後のコンデンサを示す。
【0052】
第2実施形態は、金属部品7の設計に関して第1実施形態とは異なる。第2実施形態では、金属部品7は、型抜きされた金属板により形成され、環状の基体8を有する。さらに、金属部品7の突出部9a、9bは、ピン形状ではなく、その中間部分17で取付面に向かって突出する筋状金属で形成される。筋状金属の第1端部18および第2端部19は、環状の基体に接続されている。筋状金属の第1端部18および第2端部19は、中間部分17を介して接続されている。突出部9a、9bの中間部分17は、U字形状である。
【0053】
図11に、
図2と同じ組み立てプロセス工程における第2実施形態のコンデンサを示す。金属部品7は、ケース1の封止部品5の下方に配置されている。
【0054】
図12に、
図3と同じ組み立てプロセス工程のコンデンサを示す。第2実施形態では、取付板11は、第2実施形態の金属部品7の形状に適合されている。取付板11の開口部16は、突出部9a、9bに適合されている。したがって、第2実施形態の取付板の開口部は、円弧で形成される。
【0055】
第2実施形態によれば、表面実装によりプリント回路基板の表面に固定可能な4つの機械的接点を有することが、
図14から見てとれる。接点のうちの2つは、巻回素子の端子2a、2bで形成され、他の2つの接点は、好ましくは巻回素子にガルバニック接続されていない金属部品7の突出部9a、9bによって形成される。ただし、この形態においても、ケース1とプリント回路基板の間の機械的および熱的接続は改善されている。
【符号の説明】
【0056】
1 ケース
2a 巻回素子の端子
2b 巻回素子の端子
3 ケースの第1端部/下端
4 ケースの第2端部/上端
5 封止部品
6 封止部品の開口
7 金属部品
8 金属部品の基体
9a 金属部品の突出部
9b 金属部品の突出部
10 金属部品の開口部
11 取付板
12 かしめ部
13 ビーディング加工部
14 取付板の第1表面
15 取付板の第2表面
16 取付板の開口部
17 中間部分
18 第1端部
19 第2端部
20 凸部
【国際調査報告】