(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】静電容量性触覚センサを使用して組織パラメータを計測するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
A61B5/00 101N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502878
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020042298
(87)【国際公開番号】W WO2021011757
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522019247
【氏名又は名称】ユーイー ライフサイエンシズ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エス.キャンピシ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒル シャー
(72)【発明者】
【氏名】バウミク サンビ
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA02
4C117XB01
4C117XB12
4C117XC11
4C117XD22
4C117XE27
4C117XH11
(57)【要約】
静電容量性触覚センサの使用を通じて調査されている皮膚又はその他の組織表面の触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす病変のサイズ、形状、及び場所を検出、文書化、計測、及びマッピングする装置及び方法について記述されている。静電容量性触覚センサは、少なくとも1つの露出ウィンドウと、ハウジング内において配設された複数の電極を有する基材と、絶縁層と、絶縁層上において位置決めされた非伝導性圧縮可能メンブレイン及びカバリングであって、メンブレインの少なくとも一部分が露出ウィンドウを介してアクセス可能である、メンブレイン及びカバリングと、被検者の組織の少なくとも1つのパラメータを算出するように構成されたコントローラと、を有する。また、被検者内部の組織パラメータを計測する方法及び被検者の組織に対して自己誘導型の検査を実行する方法も記述されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者内部の組織パラメータを計測する装置であって、
少なくとも1つの露出ウィンドウを有するハウジングと、
前記ハウジング内において配設された複数の電極を有する基材と、
前記電極上において位置決めされた絶縁層と、
前記絶縁層上において位置決めされた柔軟なメンブレインであって、前記柔軟なメンブレインの少なくとも一部分は、前記露出ウィンドウを介してアクセス可能である、柔軟なメンブレインと、
前記電極の間において計測される静電容量に基づいて被検者の組織の少なくとも1つのパラメータを算出するように構成された前記ハウジング内において配設されたコントローラと、
を有する装置。
【請求項2】
前記柔軟なメンブレインは、発泡体を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記発泡体は、00-0~00-20の範囲の硬度を有する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の電極は、少なくとも2つの電極を有する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の電極のそれぞれは、1mm
2~16mm
2という表面積を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラに通信自在に接続された視覚化装置を更に有し、前記視覚化装置は、ディスプレイを有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、Bluetooth(登録商標)接続を介して前記視覚化装置に接続されている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
電圧基準を前記柔軟なメンブレインとの接触状態にある表面に供給するように構成された伝導要素を更に有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記伝導要素は、前記露出ウィンドウを実質的に取り囲むように位置決めされている請求項8に記載装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのパラメータは、組織の硬さを有する請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記被検者の前記組織は、乳房組織を有する請求項1に記載の装置。
【請求項12】
被検者内部の組織パラメータを計測する方法であって、
複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を実質的に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、
前記複数の電極の2つの電極の間において静電容量を計測するステップと、
前記静電容量に基づいて前記柔軟な材料の厚さを判定するステップと、
前記柔軟な材料の前記厚さに基づいて組織パラメータを算出するステップと、
を有する方法。
【請求項13】
前記静電容量、前記厚さ、及び前記組織パラメータからなる群から選択されたデータを視覚化システムに送信するステップを更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電極ペアの組の間の複数の静電容量値を計測するステップと、
前記視覚化システム上において前記組織表面に跨るパラメータ値の図を表示するステップと、
を更に有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組織パラメータは、硬さである請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記組織パラメータに基づいて暫定診断を実施するステップを更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項17】
被検者の組織に対して誘導型の自己検査を実行する方法であって、
複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を実質的に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、
前記複数の電極の2つの電極の間において静電容量を計測するステップと、
前記静電容量に基づいて組織パラメータを算出するステップと、
コントローラ内において、前記組織パラメータに基づいて前記被検者用の命令を判定するステップと、
前記被検者が前記ハンドヘルド装置を操作するよう誘導するために前記命令を前記被検者に発行するステップと、
を有する方法。
【請求項18】
前記命令は、スピーカを介して発行される聴覚命令である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記命令は、前記被検者が前記装置を前記組織上の新しい場所に移動させるよう誘導するために構成されている請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記命令は、ディスプレイ上において提示される視覚的キューを有する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
皮膚又はその他の組織表面の触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の前記皮膚又はその他の軟部組織の前記表面の基礎をなす病変のサイズ、形状、及び場所を検出、文書化、計測、及びマッピングする静電容量性触覚センサ装置であって、
操作者又は前記装置が前記装置を動作させている間に常に前記導電性表面との接触状態となるように配置された少なくとも1つの露出ウィンドウ及び露出した伝導性表面を有するハウジングと、
電気的に非伝導性の材料上においてデカルト格子として構成された、且つ、任意の2つの隣接電極が独立したものとなり、且つ、外部において生成された刺激電圧又は電流信号によって独立的に刺激されることが可能であり、これにより、前記電極グリッドの外側に対向する表面の上方の空間が誘電体として機能する状態において、それぞれのこのような電極ペアの間においてコンデンサを生成するように、構成された、別個の同一平面上に位置する同一場所に配置された電極の複数のペアを有する前記ハウジング内において配置された基材と、
前記電極グリッドの前記外側に対向する表面上において位置決めされた絶縁材料の層と、
前記電極グリッドの前記外側に対向する表面上において位置決めされた前記絶縁層をカバーする均質な圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインであって、(a)コンデンサを形成する隣接電極のそれぞれのペアの全体表面エリアに跨って、且つ、前記電極のデカルト格子の前記全体表面エリアに跨って、均一な厚さを有し、(b)前記電極の前記デカルト格子の前記全体表面エリアに跨って固定された均一な且つ既知の圧縮比率及び硬度を有し、且つ、(c)外部力が印加されていない際に、その容積が一定に留まるような安定状態均衡形状を有するメンブレインと、
前記均質な圧縮可能な非フェライトの且つ圧縮可能なメンブレインの前記外側に対向する表面上において位置決めされた非伝導性カバー材料であって、その少なくとも一部分が前記ハウジングの前記露出ウィンドウを通じてアクセス可能であり、これは、前記センサの前記外側に対向する表面として機能し、且つ、前記メンブレインと共に、1つが前記送信電極として機能し且つ1つが前記受信電極として機能する隣接電極のそれぞれのペアによって生成されるコンデンサ用の誘電体として空気を事実上置換している、非伝導性カバー材料であって、
前記センサ表面は、前記導電性組織の正常な表面圧力を含む前記電気機械プロパティが、前記圧縮可能メンブレインから構成された前記誘電体内の電界を混乱させることになるように、且つ、前記同一平面上に位置する電極の関連するペアの間における前記静電容量性結合を妨げることになるように、前記被検者の前記組織の前記表面との接触状態において完全に且つ堅固に配置されるように構成されており、
前記センサ入力装置は、調査されている皮膚又はその他の組織表面の前記エリアの基礎をなす相対的に剛性の組織の局所化されたエリアの場所、力学、及び特別な特徴のインジケータとして、前記基礎をなす組織構造の変化する組成及びプロパティに従って、前記皮膚又はその他の軟部組織表面との接触状態によって前記センサ表面に対して印加される圧力並びに前記圧縮可能メンブレインの前記結果的に得られる圧縮及び前記同一平面上に位置する電極の関連するペアの間の前記静電容量性結合の妨害に応答して少なくとも1つの信号を誘発及び生成する、非伝導性カバー材料と、
(a)(ii)前記基材内において配置された前記電極ペアを刺激するために使用される信号を生成するように、(ii)前記皮膚又はその他の軟部組織表面との接触状態によって前記センサ表面に対して印加される前記圧力に応答して前記静電容量性触覚センサ入力装置によって後から誘発、生成、及び送信される前記信号を受け取り且つ処理するように、且つ、(iii)前記静電容量性触覚センサ入力装置によって前記1つ又は複数のIC静電容量性センサチップに誘発、生成、及び送信される前記信号の前記処理から導出された信号を前記装置に誘発、生成、及び送信するように、構成された1つ又は複数の市販のIC静電容量性センサチップ、並びに、(b)(i)前記皮膚又はその他の軟部組織表面との接触によって前記センサ表面に対して印加された前記圧力によって生成される前記隣接関連電極ペアの間の前記知覚される静電容量の変化に基づいて前記基礎をなす組織構造の1つ又は複数のパラメータを算出するために前記1つ又は複数のIC静電容量性センサチップによって誘発、生成、及び送信される前記信号を受信及び処理するように、且つ、(ii)ディスプレイ及び統合されたストレージ装置を有する視覚化装置と通信自在に接続するように、構成された、1つ又は複数の集積回路及びプロセッサから構成された前記ハウジング内において配設されたコントローラと、
を有する装置。
【請求項22】
前記均質な圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインは、ポリウレタン、シリコン、又は熱可塑性エラストマ発泡体を有する請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記発泡体は、00-0~00-20の範囲の硬度を有する請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記複数の電極は、少なくとも2つの電極を有する請求項21に記載装置。
【請求項25】
前記複数の電極のそれぞれは、1mm
2~16mm
2の表面積を有する請求項21に記載の装置。
【請求項26】
前記コントローラに通信自在に接続された視覚化装置を更に有し、前記視覚化装置は、ディスプレイを有する請求項21に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラは、Bluetooth(登録商標)接続を介して前記視覚化装置に接続されている請求項26に記載の装置。
【請求項28】
すべての後続の静電容量性計算のために使用される電圧基準を供給するように構成された前記ハウジングの外部の伝導性要素を更に有する請求項21に記載の装置。
【請求項29】
すべての後続の静電容量性計算のために使用される電圧基準を供給するように構成された、前記電極プレーンの絶縁されていない部分と前記静電容量性センサの前記外部表面の間の伝導性接触を提供する接地パッド又はストリップを含む請求項21に記載の装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つのパラメータは、組織の硬さを有する請求項21に記載の装置。
【請求項31】
前記被検者の前記組織は、乳房組織を有する請求項21に記載の装置。
【請求項32】
静電容量性触覚検知を使用して皮膚又は組織表面のその他の軟部組織エリアの表面上において正常な触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の前記皮膚又はその他の軟部組織の前記表面の基礎をなす触診可能病変のサイズ、形状、及び場所を文書化、計測、及びマッピングする方法であって、
複数の電極及び所定量の非伝導性圧縮可能材料並びにカバリングを有するハンドヘルド装置を実質的に前記被検者の前記皮膚又は組織の前記表面エリアとの接触状態において位置決めするステップと、
組織の病変のないエリアから前記操作者によって取得された計測によって前記被検者のベースライン基準静電容量を判定するステップと、
前記操作者と前記ハンドヘルド装置の間の伝導性接触を通じて前記操作者からベースライン電位基準を判定するステップと、
前記ハンドヘルド装置を実質的に調査されている前記皮膚又は組織の前記表面エリアとの接触状態において位置決めするステップと、
調査されている前記皮膚又は組織の前記表面エリアとの接触の結果としてもたらされる前記複数の電極の2つの電極の間の静電容量を計測するステップと、
調査されている前記組織の前記皮膚又は前記組織の表面との接触によってもたらされる前記隣接関連電極ペアの間の前記静電容量性結合に対する混乱の結果としてもたらされる前記センサ表面(圧縮可能メンブレイン及びカバリング)に対して印加される圧力によって生成される前記ベースライン電位基準を参照して、前記隣接関連電極ペアの間の前記知覚される静電容量の変動を計測するステップと、
前記ベースライン電位基準からの前記知覚される静電容量の変動に基づいて1つ又は複数の組織パラメータを算出するステップと、
を有する方法。
【請求項33】
前記知覚された静電容量、前記厚さ、及び前記組織パラメータから構成された群から選択されたデータを視覚化システムに送信するステップを更に有する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
電極ペアの組の間の複数の静電容量値を計測するステップと、前記視覚化システム上において前記組織表面に跨るパラメータ値の図を表示するステップと、更に有する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組織パラメータは、硬さである請求項32に記載の方法。
【請求項36】
請求項31に記載の装置を利用する請求項32に記載の方法。
【請求項37】
被検者の組織に対して誘導型の自己検査を実行する方法であって、
複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を実質的に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、
前記複数の電極の2つの電極の間において静電容量を計測するステップと、
前記静電容量に基づいて組織パラメータを算出するステップと、
コントローラ内において、前記組織パラメータに基づいて前記被検者用の命令を判定するステップと、
前記被検者が前記ハンドヘルド装置を操作するよう誘導するために前記被検者に前記命令を発行するステップと、
を有する方法。
【請求項38】
前記命令は、スピーカを介して発行される聴覚命令である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記命令は、前記被検者が前記組織上の新しい場所に前記装置を移動させるよう誘導するために構成されている請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記命令は、ディスプレイ上において提示される視覚的キューを有する請求項37に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つのセンサから受け取られたデータを動的に較正する方法であって、
少なくとも1つのセンサから複数のデータ値を取得するステップと、
前記複数のデータ値の第1平均及び第1標準偏差を算出するステップと、
その値が前記第1平均の1標準偏差以内である前記複数のデータ値のサブセットを取得するステップと、
ベースライン値として前記複数のデータ値の前記サブセットから第2平均を算出するステップと、
較正済みのデータセットを生成するために前記複数のデータ値から前記ベースライン値を減算するステップと、
を有する方法。
【請求項42】
第2の複数のデータ値を取得するステップと、
前記第1及び第2の複数のデータ値の第3平均及び第3標準偏差を算出するステップと、
その値が前記第3平均の1標準偏差以内である前記第1及び第2の複数のデータ値の第2サブセットを取得するステップと、
第2ベースライン値として前記複数のデータ値の前記第2サブセットから第4平均を算出するステップと、
前記較正済みのデータセットを生成するために前記第1及び第2の複数のデータ値から前記第2ベースライン値を減算するステップと、
を更に有する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記較正済みのデータセットの3次元表面プロットを表示するステップと、
ベースライン値を表示するステップと、
前記ベースライン値が最適な範囲内である際に視覚的フィードバックを提供するステップと、
を更に有する請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記視覚的フィードバックは、前記3次元表面プロットの領域の色を変更するステップを有する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数のデータ値の移動平均を算出するステップと、
前記移動平均から前記第1平均及び第1標準偏差を算出するステップと、
を更に有する請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記移動平均を最大及び最小閾値と比較するステップと、
前記移動平均が前記最大及び最小閾値の間にある際に前記複数のデータ値又は前記移動平均をキャプチャするステップと、
前記移動平均が、規定された期間にわたって前記最大及び最小閾値の間に留まっている際に前記キャプチャされたデータ値を一時的ではないコンピュータ可読媒体上において保存するステップと、
を更に有する請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記規定された期間は、少なくとも3秒である請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月17日付けで出願された米国仮特許出願第62/875,485号の優先権を主張するものあり、この特許文献は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【背景技術】
【0002】
多くの形態の癌の治療に成功するための鍵は、早期検出にある。そして、癌性増殖の早期検出及び識別は、既存のセンサ及びスクリーニング技術の利用可能性、相対費用、有効性、及び関連するリスクに高度に依存している。現時点において、軟部組織の機械的プロパティを調査するため且つ軟部組織を撮像するために使用されている様々な異なるセンサ及びツールが存在している。
【0003】
従来の軟部組織センサの1つのタイプは、変位を誘発する外部力アプリケータ及び抵抗力を計測する外部変位ゲージを使用している。外部力アプリケータは、液圧又は圧電型のものであってよく、且つ、外部変位ゲージは、光学又は圧電型のものであってよい。
【0004】
例示用の軟部組織撮像ツールは、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、超音波(US)、Tスキャン(TS)、及び超音波エラストグラフィ(UE)を含む。CTスキャンは、コンピュータソフトウェアを使用して360度のX線写真を取得し且つ3D組織構造を再構築している。MRIスキャンは、診断のための組織画像を生成するために強力な磁界及び電波を使用している。USスキャンは、組織構造を撮像するために組織を通じて高周波を伝送し且つエコーをキャプチャしている。TSは、組織の電気インピーダンスプロパティのリアルタイム画像を生成するために低レベルの生体電流を計測している。UEスキャンは、一定の機械的ストレス下において組織を通じたエコー時間を評価し且つこれをストレスがかかっていない際の同一の組織のものと比較している。この結果、組織歪みマップが取得され、これから、従来の逆算技法により、2D弾性率分布の画像が生成されている。
【0005】
マンモグラフィなどの触覚撮像ツールは、空間組織の剛性変動を精査するためにアレイ圧力センサを使用している。現時点において、マンモグラフィは、組織密度のコントラストによって異常な組織を検出するために乳癌スクリーニングにおいて使用されている。マンモグラフィは、FDAによって承認されている唯一の乳癌スクリーニング技法であり、これは、85%という通常の感度を有しており、これは、高周波の観点における高密度の乳房(radio-dense Breast)の場合には、65%に減少している。但し、これらのスクリーニングプロセスにおいては、擬陽性の発生確率が大きい。実際に、悪性腫瘍の診断をもたらしているのは、乳房生検の約15~30%のみである。マンモグラフィは、40歳超の女性をスクリーニングする場合には有効であるが、高密度の乳房組織を有する女性をスクリーニングする場合には、あまり有効ではない。
【0006】
異常な増殖を抱えている多くの組織は、圧縮下において周囲の正常な組織よりも剛性を有していることから、組織の剛性の変化を検出することは、潜在的に異常な組織の検出における益々重要なファクタになっている。例えば、乳癌は、正常な乳房組織との比較において7倍超の剛性を有することが知られている石灰化した組織である。同様に、プラークが付着した血管も、正常な健康な血管よりも剛性を有する。
【0007】
引用によって本明細書に包含される(特許文献1)は、組織の剛性を計測することによって腫瘍を検出するために使用され得る圧電指センサを開示している。腫瘍の弾性率(G/E)比に対する剪断弾性率の比率から、或いは、押圧するためのものと押圧の結果としてもたらされる腫瘍の運動を計測するためのものという2つの圧電指センサを使用した高感度直接腫瘍移動度計測により、腫瘍の移動度を評価している。この特許は、G/E比は、腫瘍領域内において周囲の正常な組織のG/E比よりも大きくなっており、且つ、癌領域内の格段に大きなG/E比は、腫瘍が周囲の正常な組織との比較において圧縮下におけるよりも剪断下において小さな移動度を有していることを通知したと結論付けている。この特許は、これらの計測が非侵襲的乳癌悪性度スクリーニングの潜在力を提供し得ると結論付けているが、悪性度、侵襲性、又は腫瘍タイプを判定するための方法を開示してはいない。
【0008】
引用によって本明細書に包含される(特許文献2)は、組織が異常な成長を含んでいるどうかの判定を含む組織を評価するための圧電センサシステムを開示している。開示されているシステムは、組織に向かって第1方向において作動する圧電要素のアレイを使用しており、その後に、組織の硬さを近似するために、これらの圧電要素の相対位置が記録されている。このようなセンサは、較正が非常に困難であり、且つ、連続的な使用の後に、或いは、場合によっては偶発的な接触の後に、較正状態から逸脱する。従って、これらは、素人の手によって扱われるのに適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,497,133号明細書
【特許文献2】米国特許第8,562,546号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす病変のサイズ、形状、及び場所を検出、文書化、計測、及びマッピングするための正確な、非侵襲的な、低廉な、携帯型の、且つ、使用が簡単な、システムに対する重要なニーズが存在している。本発明は、このニーズを充足している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態において、被検者内部の組織パラメータを計測する装置は、少なくとも1つの露出ウィンドウを有するハウジングと、ハウジング内において配設された複数の電極を有する基材と、電極上において位置決めされた絶縁層と、絶縁層上において位置決めされた柔軟なメンブレインであって、その少なくとも一部分が露出ウィンドウを介してアクセス可能である柔軟なメンブレインと、電極の間において計測された静電容量に基づいて被検者の組織の少なくとも1つのパラメータを算出するように構成されたハウジング内において配設されたコントローラと、を含む。一実施形態において、柔軟なメンブレインは、発泡体を有する。一実施形態において、発泡体は、00-0~00-20の範囲の硬度を有する。一実施形態において、複数の電極は、少なくとも2つの電極を有する。一実施形態において、複数の電極のそれぞれは、1mm2~16mm2の表面積を有する。一実施形態において、装置は、コントローラに通信自在に接続された視覚化装置を含んでおり、この場合に、視覚化装置は、ディスプレイを有する。一実施形態において、コントローラは、Bluetooth(登録商標)接続を介して視覚化装置に接続されている。一実施形態において、装置は、電圧基準を柔軟なメンブレインとの接触状態にある表面に供給するように構成された伝導要素を含む。一実施形態において、伝導要素は、露出ウィンドウを実質的に取り囲むように位置決めされている。一実施形態において、少なくとも1つのパラメータは、組織の硬さを有する。一実施形態において、被検者の組織は、乳房組織を有する。
【0012】
一実施形態において、被検者内部の組織パラメータを計測する方法は、複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を実質に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、複数の電極の2つの電極の間において静電容量を計測するステップと、静電容量に基づいて柔軟な材料の厚さを判定するステップと、柔軟な材料の厚さに基づいて組織パラメータを算出するステップと、を含む。一実施形態において、方法は、静電容量、厚さ、及び組織パラメータから構成された群から選択されたデータを視覚化システムに送信するステップを含む。一実施形態において、方法は、電極ペアの組の間において複数の静電容量値を計測するステップと、組織表面に跨るパラメータ値の図を視覚化システム上において表示するステップと、を含む。一実施形態において、組織パラメータは、硬さである。一実施形態において、方法は、組織パラメータに基づいて暫定診断を実施するステップを含む。
【0013】
一実施形態において、被検者の組織に対して誘導型の自己検査を実行する方法は、複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を実質的に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、複数の電極の2つの電極の間において静電容量を計測するステップと、静電容量に基づいて組織パラメータを算出するステップと、コントローラ内において組織パラメータに基づいて被検者用の命令を判定するステップと、被検者がハンドヘルド装置を操作するように誘発するために被検者に命令を発行するステップと、を含む。一実施形態において、命令は、スピーカを介して発行される聴覚命令である。一実施形態において、命令は、被検者が装置を組織上の新しい場所に移動させるよう誘導するように構成されている。一実施形態において、命令は、ディスプレイ上において提示される視覚キューを有する。
【0014】
一実施形態において、皮膚又はその他の組織表面の触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす病変のサイズ、形状、及び場所を検出、文書化、計測、及びマッピングするための静電容量性触覚センサ装置は、操作者又は装置が装置を動作させている間に常に伝導性表面との接触状態となるように配置された少なくとも1つの露出ウィンドウ及び露出した伝導性表面を有するハウジングと、電気的に非伝導性の材料上においてデカルト格子として構成された、且つ、任意の2つの隣接する電極が電気的に独立したものになるように、且つ、外部において生成された刺激電圧又は電流信号によって独立的に刺激可能であり、これにより、電極グリッドの外向きの表面上の空間が誘電体として機能する状態においてそれぞれのこのような電極ペアの間においてコンデンサを生成するように、構成された、別個の同一平面上にある同一場所に配置された電極の複数のペアを有するハウジング内において配置された基材と、電極グリッドの外側に対向する表面上において位置決めされた絶縁材料の層と、電極グリッドの外側に対向する表面上において位置決めされた絶縁層をカバーする均質な圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインであって、(a)コンデンサを形成する隣接電極のそれぞれのペアの全体表面エリアに跨って、且つ、電極のデカルト格子の全体表面エリアに跨って、均一な厚さを有する、(b)電極のデカルト格子の全体表面エリアに跨って、固定された均一な且つ既知の圧縮比及び硬度を有する、且つ、(c)外部力が印加されていない際に、その容積が一定に留まるように安定状態均衡形状を有する、メンブレインと、均一な圧縮可能な非フェライトの且つ圧縮可能なメンブレインの外側に対向する表面上において位置決めされた非伝導性カバー材料であって、その少なくとも一部分が、ハウジングの露出ウィンドウを通じてアクセス可能であり、センサの外側に対向する表面として機能している、且つ、メンブレインと共に、1つが送信電極として機能し且つ1つが受信電極として機能している隣接電極のそれぞれのペアによって生成されたコンデンサ用の誘電体として空気を事実上置換している、非伝導性カバー材料であって、この場合に、センサ表面は、伝導性組織の正常な表面圧力を含む電気機械的プロパティが、圧縮可能メンブレインから構成された誘電体内の電界を混乱させることになるように、且つ、同一平面上にある電極の関連するペアの間の静電容量性結合を妨げることになるように、被検者の組織の表面との接触状態において完全に且つ堅固に配置されるように構成されており、この場合に、センサ入力装置は、皮膚又はその他の軟部組織表面との接触によってセンサ表面上において印加される圧力及び調査されている皮膚又はその他の組織表面のエリアの基礎をなす相対的に剛性を有する組織の局所的なエリアの場所、力学、及び特別な特徴のインジケータとしての基礎をなす組織構造の変化する組成及びプロパティに従って圧縮可能なメンブレインの結果として得られる圧縮及び同一平面上に存在する電極の関連するペアの間の静電容量性結合の妨害に応答して少なくとも1つの信号を誘発及び生成する、非伝導性カバー材料と、(a)(i)基材内において配置された電極ペアを刺激するために使用される信号を生成するように、(ii)皮膚又はその他の軟部組織表面との接触によってセンサ表面上において印加される圧力に応答して静電容量性触覚センサ入力装置によって後から誘発、生成、及び送信される信号を受け取り且つ処理するように、且つ、(iii)静電容量性触覚センサ入力装置によって誘発され、生成され、且つ、1つ又は複数のIC静電容量性センサチップに送信される信号の処理から導出された信号を誘発し、生成し、且つ、装置に送信するように、構成された1つ又は複数の市販のIC静電容量性センサチップ、及び(b)(i)皮膚又はその他の軟部組織表面にとの接触によってセンサ表面に対して印加される圧力によって生成される隣接する関連する電極ペアの間の知覚される静電容量の変化に基づいて、基礎をなす組織構造の1つ又は複数のパラメータを算出するために1つ又は複数のIC静電容量性チップによって誘発、生成、及び送信された信号を受取り且つ処理するように、且つ、(ii)ディスプレイ及び統合されたストレージ装置を有する視覚化装置と通信自在に接触するように、構成された1つ又は複数の集積回路及びプロセッサから構成されたハウジング内において配設されたコントローラと、を含む。一実施形態において、均質な圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインは、ポリウレタン、シリコン、又は熱可塑性エラストマ発泡体を有する。一実施形態において、発泡体は、00-0~00-20の範囲の硬度を有する。一実施形態において、複数の電極は、少なくとも2つの電極を有する。一実施形態において、複数の電極のそれぞれは、1mm2~16mm2の表面積を有する。一実施形態において、装置は、コントローラに通信自在に接続された視覚化装置を含み、この場合に、視覚化装置は、ディスプレイを有する。一実施形態において、コントローラは、Bluetooth(登録商標)接続を介して視覚化装置に接続されている。一実施形態において、装置は、すべての後続の静電容量性計算のために使用される電圧基準を供給するように構成されたハウジングの外部における伝導要素を含む。一実施形態において、装置は、すべての後続の静電容量性計算に使用される電圧基準を供給するように構成された電極プレーンの絶縁されていない部分と静電容量性センサの外部表面の間において伝導性の接触を提供している接地パッド又はストラップを含む。一実施形態において、少なくとも1つのパラメータは、組織の硬さを有する。一実施形態において、被検者の組織は、乳房組織を有する。
【0015】
一実施形態において、静電容量性触覚検知を使用して皮膚又は組織表面のその他の軟部組織エリアの表面上において正常な触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす触診可能病変のサイズ、形状、及び場所を文書化、計測、及びマッピングする方法は、複数の電極及び所定量の非伝導性圧縮可能材料並びにカバリングを有するハンドヘルド装置を実質的に被検者内部の皮膚又は組織の表面エリアとの接触状態において位置決めするステップと、組織の病変のないエリアから操作者によって取得された計測によって被検者のベースライン基準静電容量を判定するステップと、操作者とハンドヘルド装置の間の伝導性接触を通じて操作者からベースライン電位基準を判定するステップと、ハンドヘルド装置を実質的に調査されている皮膚又は組織の表面エリアとの接触状態において位置決めするステップと、調査されている皮膚又は組織の表面エリアとの接触から結果的に得られる複数の電極の2つの電極間の静電容量を計測するステップと、調査されている組織の皮膚又は表面との接触によって生成される隣接関連電極ペアの間の静電容量性結合に対する混乱から結果的にもたらされるセンサ表面(圧縮可能メンブレイン及びカバリング)に対して印加される圧力によって生成されるベースライン電位基準を参照して隣接関連電極ペアの間における知覚される静電容量の変動を計測するステップと、ベースライン電位基準からの知覚される静電容量の変動に基づいて1つ又は複数の組織パラメータを算出するステップと、を含む。一実施形態において、方法は、知覚される静電容量、厚さ、及び組織パラメータから構成された群から選択されたデータを視覚化システムに送信するステップを含む。一実施形態において、方法は、電極の組の間の複数の静電容量値を計測するステップと、組織表面に跨るパラメータ値の図を視覚化装置上において表示するステップと、を含む。一実施形態において、組織パラメータは、硬さである。
【0016】
一実施形態において、被検者の組織に対して誘導型の自己検査を実行する方法は、実質的に複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、複数の電極の2つの電極の間における静電容量を計測するステップと、静電容量に基づいて組織パラメータを算出するステップと、コントローラ内において組織パラメータに基づいて被検者用の命令を判定するステップと、被検者がハンドヘルド装置を操作するように誘導するために被検者に命令を発行するステップと、を含む。一実施形態において、命令は、スピーカを介して発行される聴覚命令である。一実施形態において、命令は、被検者が組織上の新しい場所に装置を移動させるよう誘導するように構成されている。一実施形態において、命令は、ディスプレイ上において提示される視覚的キューを有する。
【0017】
一態様において、少なくとも1つのセンサから受け取られたデータを動的に較正する方法は、少なくとも1つのセンサから複数のデータ値を取得するステップと、複数のデータ値の第1平均及び第1標準偏差を算出するステップと、その値が第1平均の1標準偏差以内である複数のデータ値のサブセットを取得するステップと、ベースラインとして複数のデータ値のサブセットから第2平均を算出するステップと、較正済みのデータセットを生成するために複数のデータ値からベースライン値を減算するステップと、を有する。
【0018】
一実施形態において、方法は、第2の複数のデータ値を取得するステップと、第1及び第2の複数のデータ値の第3平均及び第3標準偏差を算出するステップと、その値が第3平均の1標準偏差以内である第1及び第2の複数のデータ値の第2サブセットを取得するステップと、第2ベースラインとして複数のデータ値の第2サブセットから第4平均を算出するステップと、較正済みのデータセットを生成するために第1及び第2の複数のデータ値から第2ベースライン値を減算するステップと、を更に有する。
【0019】
一実施形態において、方法は、較正済みのデータセットの3次元表面プロットを表示するステップと、ベースラインを表示するステップと、ベースライン値が最適範囲内である際に視覚的フィードバックを提供するステップと、を更に有する。一実施形態において、視覚的フィードバックは、3次元表面プロットの領域の色を変更するステップを有する。一実施形態において、方法は、複数のデータ値の移動平均を算出するステップと、移動平均から第1平均及び第1標準偏差を算出するステップと、を更に有する。
【0020】
一実施形態において、方法は、移動平均を最大及び最小閾値と比較するステップと、移動平均が最大及び最小閾値の間にある際に複数のデータ値又は移動平均をキャプチャするステップと、移動平均が規定された期間にわたって最大及び最小閾値の間に留まっている際に一時的ではないコンピュータ可読媒体上においてキャプチャされたデータ値を保存するステップと、を更に有する。一実施形態において、規定された期間は、少なくとも3秒である。
【0021】
上述の目的及び特徴のみならず、その他の目的及び特徴については、以下の説明及び添付の図を参照することによって当業者には明らかとなり、以下の添付の図は、本発明の理解を提供するために含まれていると共に本明細書の一部を構成しており、以下の添付の図においては、同一の符号が同一の要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態による静電容量性シートの図である。
【
図2】一実施形態による静電容量性シートの図である。
【
図3A】一実施形態による基材上の電極ペアの断面を示す図である。
【
図3B】一実施形態による静電容量性触覚センサ装置の一部分の断面を示す図である。
【
図3C】一実施形態による静電容量性触覚センサ装置の一部分に印加される組織の表面の正常圧力の例示用の図である。
【
図3D】一実施形態による不均等な表面との接触状態にある静電容量性触覚センサ入力装置の一部分の例示用の断面を示す図である。
【
図4A】操作者接地接点を有するハウジングの第1及び第2実施形態を示す図である。
【
図4B】操作者接地接点を有するハウジングの第1及び第2実施形態を示す図である。
【
図5】一実施形態による視覚化ディスプレイの図である。
【
図6A】一実施形態による視覚化ディスプレイの図である。
【
図6B】一実施形態による視覚化ディスプレイの図である。
【
図6C】一実施形態による視覚化ディスプレイの図である。
【
図7】一実施形態による本発明の方法を示す図である。
【
図8】実験例による圧電対静電容量性センサにおけるサンプル比較データのチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の図及び説明は、わかりやすさを目的として、関係するシステム及び方法において見出される多くのその他の要素を除去しつつ、本発明の明瞭な理解のために適切である要素を示すように単純化されていることを理解されたい。当業者は、本発明の実装においては、その他の要素及び/又はステップが望ましく且つ必要とされることを認識し得る。但し、このような要素及びステップについては、当技術分野において周知であることから、且つ、これらは、本発明の相対的に良好な理解を促進しないことから、このような要素及びステップの説明は、本明細書においてはその提供を省略している。本明細書における開示は、当業者には既知であるこのような要素及び方法に対するすべてのこのような変形及び変更を対象としている。
【0024】
そうではない旨が定義されていない限り、本明細書において使用されているすべての技術的且つ科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同一の意味を有している。本明細書において記述されているものに類似した又は等価である任意の方法及び材料が本発明の実施又は試験において使用され得るが、例示用の方法及び材料について説明している。
【0025】
本明細書において使用されている以下の用語のそれぞれは、本節においてそれと関連付けられている意味を有する。
【0026】
「1つの(a)」及び「1つの(an)」という冠詞は、本明細書においては、冠詞の文法的な対象物の1つ又は複数(即ち、少なくとも1つ)を意味するべく使用されている。例として、「1つの要素」は、1つの要素又は複数の要素を意味している。
【0027】
量、持続時間、及びこれらに類似したものなどの計測可能な値を参照する際に本明細書において使用されている「約」は、その変動に応じて適宜に、規定されている値からの±20%、±10%、±5%、±1%、及び±0.1%の変動を包含することを意味している。
【0028】
本開示の全体を通じて、本発明の様々な態様は、範囲のフォーマットにおいて提示されている場合がある。範囲のフォーマットにおける説明は、利便及び簡潔性を目的としたものに過ぎず、且つ、本発明の範囲に対する非柔軟な限定として解釈してはならないことを理解されたい。従って、範囲の記述は、すべての可能なサブ範囲のみならず、その範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと見なすことを要する。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのようなサブ範囲のみならず、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6及びこれらの間の任意の全体的且つ部分的増分などのその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているものと見なすことを要する。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0029】
本発明のいくつかの態様において、本明細書において提供されている命令を実行するソフトウェアは、一時的ではないコンピュータ可読媒体上において保存されていてもよく、この場合に、ソフトウェアは、プロセッサ上において実行された際に本発明のステップのいくつか又はすべてを実行している。
【0030】
本発明の態様は、コンピュータソフトウェアにおいて実行されるアルゴリズムに関係している。特定の実施形態は、特定のプログラミング言語において記述されるものとして、或いは、特定のオペレーティングシステム又は演算プラットフォーム上において実行されるものとして記述される場合があるが、本発明のシステム及び方法は、任意の特定の演算言語、プラットフォーム、又はこれらの組合せに限定されるものではないことを理解されたい。本明細書において記述されているアルゴリズムを実行するソフトウェアは、限定を伴うことなしに、C、C++、C#、Objective-C、Java(登録商標)、Java(登録商標)Script、Python、PHP、Perl、Ruby、又はVisual Basicを含む当技術分野において既知の任意のプログラミング言語において記述されてもよく、コンパイルされてもよく、又はインタープリットされてもよい。本発明の要素は、限定を伴うことなしに、サーバー、クラウドインスタンス、ワークステーション、シンクライアント、モバイル装置、埋め込み型のマイクロコントローラ、テレビ、又は当技術分野において既知の任意のその他の適切な演算装置を含む任意の受け入れ可能な演算プラットフォーム上において実行され得ることを更に理解されたい。
【0031】
本発明の一部分は、演算装置上において稼働するソフトウェアとして記述されている。本明細書において記述されているソフトウェアは、1つの特定の演算装置(例えば、専用のサーバー又はワークステーション)上において動作するものとして開示されている場合があるが、当技術分野においては、ソフトウェアは、本質的にポーティング可能であり、且つ、専用のサーバー上において稼働する大部分のソフトウェアも、本発明を目的として、デスクトップ又はモバイル装置、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、腕時計、ウェアラブル電子回路又はその他の無線デジタル/セルラー電話機、テレビ、クラウトインスタンス、埋め込み型のマイクロコントローラ、シンクライアント装置、又は当技術分野において既知である任意のその他の適切な演算装置を含む様々な装置の任意のもの上において稼働し得ることを理解されたい。
【0032】
同様に、本発明の一部分は、様々な無線又は有線コンピュータネットワーク上において通信するものとして記述されている。本発明を目的として、「ネットワーク」、「ネットワーク接続された」、及び「ネットワーキング」という用語は、有線Ethernet(登録商標)、光ファイバ接続、様々な802.11規格、3G又は4G/LTEネットワークなどのセルラーWANインフラストラクチャ、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)、又はZigbee(登録商標)通信リンク、又は1つの電子装置が別のものと通信する能力を有する任意のその他の方法を含む無線接続を包含するものと理解されたい。いくつかの実施形態において、本発明のネットワーク接続された部分の要素は、仮想プライベートネットワーク(VPN)上において実装することができる。
【0033】
生物、組織、細胞、又はこれらのコンポーネントの文脈において使用される際の「異常」という用語は、「正常な」(予想された)個々の特性を示している生物、組織、細胞、又はこれらのコンポーネントと少なくとも1つの観察可能又は検出可能な特性(例えば、年齢、治療、時刻、など)において異なる生物、組織、細胞、又はこれらのコンポーネントを意味している。1つの細胞又は組織タイプにおいて正常である又は予想される特性は、異なる細胞又は組織タイプにおいては異常であり得るであろう。
【0034】
本明細書において使用されている「診断」という用語は、疾病又は障害の存在の判定を意味している。本発明のいくつかの実施形態においては、特定の疾病又は障害の存在の判定を許容する診断を実施する方法が提供されている。
【0035】
本明細書において使用されている「スクリーニング」という用語は、更なる調査を正当化する疾病又は障害の潜在的な存在を通知する被検者の組織の異常な特徴のサイズ、形状、及び場所の検出、文書化、計測、及び/又はマッピングを意味している。
【0036】
「患者」、「被検者」、「個体(individual)」という用語、並びに、これらに類似したものは、本明細書において相互交換可能に使用されており、且つ、試験管内であるのか又は原位置であるのかを問わず、本明細書において記述されている方法に相応した任意の動物又はその細胞を意味している。特定の非限定的な実施形態において、患者、被検者、又は個体は、人間である。
【0037】
本発明の一態様は、調査されているエリア上における正常な表面圧力及びこのような表面圧力の変動を含む組織表面の特性を検出する装置に関し、これらの特性は、例えば、腫物、病変、嚢胞、又は腫瘍などの基礎をなす組織異常性の存在を通知し得る。本発明の例示用の装置は、手で保持されてもよく、或いは、コンパクトなフォームファクタを有することができる。いくつかの実施形態において、本発明の装置は、複数の部分を有する一方で、その他の実施形態においては、装置は、自己完結型の且つ電源内蔵型の診断装置である。
【0038】
本発明の装置は、
図1に示されている静電容量性シートを含むことができる。静電容量性シート101は、剛性を有してもよく、柔軟であってもよく、或いは、準拠可能であってもよく、例えば、Kapton、グラスファイバ補強された(グラスファイバ)エポキシ樹脂、又は補強されたフェノール樹脂などの任意の適切な材料から製造することができる。描かれている例示用の静電容量性シートは、複数の静電容量性要素102、103を含む。描かれているシートは、3×3のデカルト格子の構成において9つの静電容量性要素又は電極を含んでいるが、本発明の静電容量性シートは、例えば、2~20×20超のマトリックスの範囲内の任意の数の個々の静電容量性要素を含み得ることを理解されたい。
【0039】
描かれている静電容量性要素は正方形であるが、静電容量性要素は、限定を伴うことなしに、円、三角形、六角形、又は正方形を含む任意の形状であり得ることを理解されたい。個々の静電容量性要素は、限定を伴うことなしに、銅、金、銀、鋼、アルミニウム、炭素ナノチューブ、ステンレス鋼、又はプラチナを含む任意の伝導性材料から製造することができる。
【0040】
静電容量性シート内の静電容量性要素は、通常、例えば、1mm2~16mm2の範囲の任意のサイズであってよく、且つ、0.5ミル~3ミルの範囲の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態においては、静電容量性シート内のすべての静電容量性要素は、実質的に同一のサイズであるが、その他の実施形態においては、本発明の静電容量性シートは、異なるサイズを有する複数の静電容量性要素を含み得る。同様に、同一のシート上の異なる静電容量性要素は、同一の又は異なる材料から製造されていてもよく、或いは、同一又は異なる形状を有することができる。
【0041】
次に
図2を参照すれば、代替静電容量性シート201が示されている。例示用のシート201は、実質的に正方形の静電容量性要素202及び203のみならず、例えば、204などの実質的に円形の静電容量性要素をも含む。
【0042】
個々の静電容量性要素は、いくつかの実施形態においては、相互接続することができ、且つ、任意の2つの隣接する電極が電気的に独立するように且つ独立的に励起されるように構成することができる。このような構成においては、(その上部において配置又は配設された任意の材料を含む)静電容量性シートの表面の上方の空間が誘電体として機能する状態において、電極のそれぞれのペアは、別個のコンデンサとして使用することができる。
【0043】
次に
図3A~
図3Dを参照すれば、本発明の例示用の装置が断面図において示されている。
図3Aにおいて、ベース装置は、303及び304を含む複数の静電容量性要素のみならず、要素上において配設された絶縁表面302をも有する基材301を含む。要素303及び304は、互いに電気的に絶縁されており、且つ、要素303が第1電位において保持され且つ要素304が第2電位において保持された際に電界305が2つの要素の間において生成される。
図3Aの例において、要素303及び304の間において生成されるコンデンサの誘電体は、空気である。絶縁表面302は、限定を伴うことなしに、FR-4又は標準的なはんだマスク材料などのエポキシラミネート材料を含む任意の絶縁材料から製造することができる。絶縁表面302は、最大で80ミクロンの厚さを有することができる。
【0044】
図3Bを参照すれば、代替設計は、絶縁表面302上において配置されたメンブレイン306を含む。メンブレイン306は、2つの隣接電極によって生成されるコンデンサ用の誘電体としての空気を事実上置換している均質な機械的な且つ圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインであってよい。メンブレインは、実質的に均一な厚さを有し得るが、いくつかの実施形態においては、厚さは、変化してもよく、例えば、厚さは、装置が湾曲した又は不規則な身体領域に対してぴったりと合うように変化することができる。メンブレインは、電極表面と電極プレーンに対向する表面に対して平行なプレーン上においてメンブレインの反対側の表面に当接している任意の外部表面の間における機械的分離を提供している。メンブレインは、ニトリルなどの緩くフィットする非伝導性の材料によってカバーすることができる。
【0045】
メンブレイン306は、基材の全体又は基材の露出したサブセットに跨って実質的に固定された且つ均一な密度、圧縮比、及び硬度を有するように構成することができる。本発明の装置のメンブレイン内において使用される適切な材料は、シリコーン、圧縮可能な発泡体、又は生理食塩水エンカスプレータを含む。材料のショオア硬度は、ショオア00 0-20の範囲であってよい。材料の誘電定数は、1.0~約5.0の範囲であってよい。メンブレイン材料は、なんらの外力も印加されていない際に戻る安定状態均衡形状を有するように構成することができる。
【0046】
図3Cにおいて示されているように、例えば、指307によって外力が印加された際に、メンブレイン306は変形し、これにより、電界305の特性と、従って、静電容量性要素303及び304の間において生成されるコンデンサの静電容量と、を変化させることになる。例示用の装置においては、外力は、被検者の皮膚又は調査されているエリア内のその他の組織の表面の正常な圧力によって供給されている。この静電容量の変化は、例えば、直列又は並列抵抗性/誘導性要素によるなどの当技術分野における任意の適切な手段を使用することにより、或いは、コンデンサ自体の又はその他の固定された又は可変の抵抗性、誘導性、又は静電容量性要素との組合せにおけるコンデンサのインピーダンス応答を計測することにより、計測することができる。この結果、外力によって作用した力の場所及び程度を時間に伴って計測及び追跡することができる。
【0047】
図3Dには、別の例が示されており、これは、外部表面308との関連において使用されている例示用の装置を示しており、外部表面308は、メンブレイン上において配置された際に、誘電定数と、従って、電界パターンと、が隣接する電極のペアの間において混乱するような誘電プロパティを有する。これは、例えば、以上において概説されている方法を使用して計測される静電容量の変化をもたらしている。本発明の装置と共に使用される適切な外部表面は、限定を伴うことなしに、人間又はその他の動物の皮膚、人間又はその他の動物の器官、又は任意の鉄の又は伝導性の又はセミ伝導性の材料を含む。調査されている組織の表面からの正常な圧力が外部表面308と静電容量性要素303及び304の間において印加された際に、メンブレイン306は、図示のように変形する。例えば、外部表面308が、メンブレイン306に適用された表面に跨って可変の硬さを有する組織である場合などのように、圧力が均一ではない際には、メンブレイン306は、不均一に変形することになる。例えば、メンブレインは、例えば、硬又は軟病変などの基礎をなす組織構造を反映する方式で変形し得る。複数の静電容量性要素を有する表面に跨る不均一なメンブレインの歪は、電極アレイに跨る外部表面と電極表面の間の距離の計測可能な変動を生成することになる。変化する距離は、例えば、隣接するペア303及び304などの任意の隣接するペアコンデンサによって知覚される全体的な誘電体に影響を及ぼすことになる。これは、それぞれのコンデンサの誘電定数に影響を及ぼすことになり、これは、アレイに跨る外部表面と電極表面の間の距離を算出するために使用することが可能であり、そして、これは、電極表面に跨る公式な力/平方ミリメートルを算出するために使用することができる。静電容量の変化は、計測される静電容量に線形比例する知覚される誘電率の変化に関係付けられている。
【0048】
また、
図3Dには、電気的に伝導性の要素309も示されている。要素309は、外部表面308に対して安定した基準電位を提供するように構成されている。要素309は、例えば、評価されている身体領域内の被検者の皮膚に接地基準を提供するように設計された装置内の接地電位を基準とすることができる。或いは、この代わりに、接地基準は、操作者の皮膚との間の伝導性接触から取得することもできる。外部表面上の固定された基準電位は、いくつかの実施形態において、電極ペアに跨る計測の品質を大幅に改善することができる。本明細書においては、要素309は、限定を伴うことなしに、銅、金、銀、又はプラチナを含む任意の伝導性材料から形成され得るものと想定されている。いくつかの実施形態においては、要素309は、例えば、金属などの第1材料から実質的に製造されており、且つ、ユーザー用の相対的に良好な快適さを提供するために、第2の伝導性又は半伝導性の材料によって外部表面308の近傍の端部上において被覆されている。一実施形態において、メンブレイン306は、例えば、円形、卵形、正方形、矩形、又は楕円形の治療エリアなどの治療エリアを定義している。伝導性要素309は、伝導性要素309と外部表面308(例えば、被検者の皮膚)の間の良好な電気的接触の可能性を極大化させるべく、治療エリアの周囲又はエッジの周りにおいて実質的に延在し得る。
【0049】
本発明の装置は、様々な電極のペアから静電容量値を読み取るための専門的な回路を有するコントローラを更に含むことができる。コントローラは、例えば、統合されたマイクロコントローラ又はプロセッサなどの任意の演算装置を有することができると共に、更に、本発明の方法のステップを実行するためにその上部において命令が保存され得る所定量の揮発性及び/又は不揮発性メモリを有することができる。いくつかの実施形態において、コントローラは、静電容量と、従って、メンブレイン306との接触状態にある外部表面308の特性と、の連続的な計測を提供するために、連続的にアレイグリッドとして提供されたいくつかの又はすべての可能な電極ペアを通じて反復するように構成された命令を有する。いくつかの実施形態において、コントローラは、静電容量性検知及び関係する計算に適したいくつかの市販のチップ又はモジュールの任意のものを利用することができる。
【0050】
本明細書において記述されているように、システムの実施形態は、デカルト格子として構成された、且つ、任意の2つの隣接電極が電気的に独立し且つ独立的に励起可能であり、これにより、電極ペアの間においてコンデンサを生成するように構成された、ハウジング内において配設された基材上において同一場所に配置された別個の同一平面上に位置する電極の複数のペア(少なくとも1つのペアを含む)を使用する静電容量性検知及び計測を利用して組織の表面における触覚圧力の変動を計測及び定量化することにより、皮下軟部組織病変を検出及び評価するように構成されている。従って、システムは、静電容量性センサとして使用することができる。特定の実施形態において、緩くフィットする非伝導性のカバー材料から生成されたセンサ表面は、任意の2つの隣接電極によって生成されるコンデンサ用の誘電体として機能する(1つは送信電極として機能し、且つ、1つは、受信電極として機能する)電極グリッドの外側に対向する表面上において位置決めされた圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインの外側に対向する表面上において配置されている。センサ表面は、圧縮可能な誘電体をわずかに圧縮するのに十分な圧力によって組織との接触状態において配置されるように構成されている。「わずかに圧縮する」という用語は、特定のインスタンスにおいては、センサ表面が組織との間の完全且つ堅固な接触状態となることを保証するのに十分な最小量の圧力の印加であってよい。このポイントにおいて、組織の電磁プロパティは、誘電体内の電界を混乱させることになり、且つ、同一平面上に位置する電極の関連するペアの間の静電容量性結合を妨げることになる。静電容量における妨害は、組織の病変のないエリアから操作者によって取得された計測の較正済みのベースラインセットを利用することにより、且つ、次いで、このようなベースライン計測と調査されている組織の表面エリアに対向する、全体としての、それぞれの電極のペアから得られた静電容量性計測の間の差を判定することにより、計測されている。一実施形態によれば、(ベースラインを含む)計測の完全な組におけるセンサとの間の、即ち、患者との間の、接触状態の組織の電位は、一定に留まっており、且つ、必ずしも0ボルトではないものと仮定されている。また、装置エンクロージャとの間の、即ち、装置を保持する操作者との間の、接触状態にある組織の電位も、計測の完全な組(ベースラインを含む)において一定であり、且つ、この場合にも、必ずしも0ボルトではないものと仮定することができる。センサ表面上の組織の表面の触覚圧力の差を計測することにより、組織の剛性の分類が実現される。次いで、これらの圧力が、同一平面上に位置する電極の間の計測された静電容量によって定量化される。計測された静電容量が以上において定義されている計測のベースラインセットと比較され、且つ、次いで、相対的な計測が電極のそれぞれの組ごとに定量化される。相対的計測が一貫性を有するものになるためには、ベースライン及び計測された静電容量の両方において使用されている基準電圧電位が正確に同一であることを判定しなければならない。この一定の電位は、上述のように、(1)患者組織から又は(2)操作者組織から取得することができる。選択肢(1)は、既に記述されている接地選択肢によって使用することができる。選択肢(2)は、常に操作者と接触することになるように構成された装置のハウジング上において伝導性表面が配置されることを必要としており、これには、相対的な組織剛性のためのベースライン静電容量性計測及び計測された静電容量性計測を実施する際が含まれている。次に
図4A及び
図4Bを参照すれば、導電性表面は、ハウジングの一部分(例えば、ハンドヘルド部分)の表面上において構築されており、且つ、操作者からの電圧基準を提供するように構成されている。
図4Aを参照すれば、例示用のハウジングは、2つのハウジング部分402及び403に接続する把持表面401を含む。描かれている実施形態において、ハウジング部分402は、上部把持表面413を含む。いくつかの実施形態において、把持表面413は、例えば、計測を開始又は停止するために、或いは、較正を目的としてセンサをゼロにするために、操作者がセンサ組立体を制御することを許容する1つ又は複数のボタン又はその他の制御要素を含む。描かれている実施形態において、把持表面401は、ハウジング部分402及び403上の2つの対応する孔412と結合する2つのペグ411(第2ペグは、401の反対側の内部表面上に存在している)により、定位置において保持されている。いくつかの実施形態において、把持表面401及び413の1つ又は両方は、センサ組立体が使用の際に操作者の皮膚から基準電圧を計測することを許容する伝導性要素又はフィニッシュを含む。
【0051】
図4Bを参照すれば、例示用のハウジングは、上部ハンドル表面404と、下部リング405と、を含む。様々な実施形態において、ハンドル404及びリング405のいずれか又は両方は、(ハンドル404のケースにおいては)操作者の皮膚から、或いは、(リング405の場合には)被検者の皮膚から、基準電圧を計測するように構成された導電性要素又はフィッシュを含んでよい。いくつかの実施形態において、ユーザーと被検者は、例えば、自己検査の際には、同一である。
【0052】
装置の実施形態は、自己試験用に設計されたハウジング内に内蔵されていてよい。統合された装置は、例えば、電池などの電源、パワー管理ハードウェア、並びに、例えば、データ、構成情報、又は動作命令をリモート演算装置との間において送信又は受信する有線又は無線通信装置などの1つ又は複数の通信装置を含むことができる。一実施形態において、統合された装置は、Bluetooth(登録商標)トランシーバを有しており、且つ、リモート演算装置は、データを送信及び受信するために統合された装置とペア化されていてもよい。
【0053】
本発明のシステムは、結果を視覚化するためのソフトウェアを含む視覚化演算装置に対する有線又は無線接続と組み合わせられた状態における、且つ、いくつかの実施形態においては、暫定分析を提供するべく結果を解釈するための、被検者の身体領域内の組織表面の触覚圧力の変動を計測することにより、被検者の皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす病変のサイズ、形状、及び場所を検出、文書化、計測、及びマッピングするための上述のセンサ装置を有する。視覚化演算装置は、診断装置からデータを受け取るために、処理するために、表示するために、且つ、保存するために有線又は無線トランシーバを含んでいてもよく、このトランシーバは、当技術分野において既知の任意の有線又は無線通信プロトコルを使用するように構成することができよう。いくつかの実施形態において、視覚化装置とセンサ装置の間のデータ接続は、暗号化されている。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明のシステムは、被検者による自己誘導型の検査又は評価を実行するように構成されている。このようなシステムは、上述のセンサ装置及び視覚化装置のいずれか又は両方内に統合されたものなどのガイダンス要素を含む。ガイダンス要素は、センサ装置及び視覚化装置の1つ又は両方から情報を受け取るように、且つ、その情報に基づいて命令又はプロンプトを被検者に供給するように、構成することができる。命令又はプロンプトは、視覚、聴覚、又は触覚フィードバックを含んでよい。一例において、センサ装置は、対象の構造が装置の上部エッジに沿って検出されるように、被検者の組織上において位置決めすることができる。次いで、ガイダンス要素は、例えば、装置の検出エリア内において対象の構造を相対的に良好にセンタリングするために装置を更に上方に移動させるなどのように、装置を再位置決めするために被検者に命令を発行することができる。また、ガイダンス要素は、例えば、乳房の全体に跨るように装置を再配置するためにユーザーに指示することもできる。いくつかのケースにおいて、ガイダンスは、1つの乳房からその他のものに切り替えるように指示することができる。
【0055】
本発明の別の態様は、被検者の組織内部の対象の構造を視覚化する方法を含む。上述のシステムを使用することにより、被検者は、検出表面が実質的に身体領域の皮膚との直接的な接触状態になった状態において、検出表面を有するセンサ装置を身体領域上において位置決めすることができる。必須ではないが、被検者は、次いで、検出プロセスを開始するために、ボタンを押下してもよく、或いは、なんらかのその他の制御を作動させてもよい。この結果、装置は、検出表面との接触状態にある組織領域からデータを収集し、且つ、そのデータに基づいて計算を実行している。処理は、ノイズ除去アルゴリズム及び基本的なスムージングアルゴリズムを含み得る。次いで、処理済みのデータ及び/又は未加工データは、有線又は無線接続を介して視覚化装置に送信され、視覚化装置は、受け取られたデータに基づいて更なる計算を実行することできる。次いで、最終的に処理されたデータは、被検者による、或いは、例えば、臨床医などの別の者による、観察のために身体領域の視覚化を生成するために使用されている。
【0056】
較正
一実施形態において、本明細書において開示されているシステム及び方法は、例えば、本明細書において開示されている静電容量性及び/又は圧力センサのデカルトアレイなどのセンサのアレイによって得られたアレイデータの動的なリアルタイムベースライン処理又は較正を実行するコンポーネント及び方法を含むことができる。一実施形態において、システムは、表面上において位置決めされた、且つ、例えば、デカルト構成として構成された、静電容量性及び/又は圧力センサの組を含む。方法は、例えば、1Hz~1kHz、又は1Hz~500Hz、又は1Hz~100Hz、又は1Hz~30Hz、又は任意の適切な範囲のレートにおいて定期的にセンサの組から静電容量性及び/又は圧力データを取得するステップを含み得る。一実施形態においては、センサから取得されたデータは、DCシフトされた疎行列として保存されており、この場合に、データの一部分は、平均から1.5標準偏差以内である。一実施形態において、計測されたデータの過半又は大多数は、平均の1.5標準偏差以内である。
【0057】
較正方法は、まず、所定量のデータを収集するステップと、次いで、データからベースライン較正ポイント又は「ゼロ」ポイントを算出するステップと、を含んでいてもよく、この場合に、データの平均から1標準偏差の外側に含まれているすべてのデータは、検討から除去されており、且つ、第1平均の1標準偏差(SD)以内に含まれているデータのサブセットから第2平均が算出されている。以前の例は、例示用の閾値として平均から1標準偏差を使用しているが、その他の実施形態において、限定を伴うことなしに、0.3SD、0.5SD、0.75SD、0.8SD、0.9SD、1.1SD、1.25SD、1.5SD、2SD、又はこれらに類似したものを含む任意の適切な閾値が使用され得ることを理解されたい。この結果、第2平均は、残りのデータ用のベースライン又はゼロポイントとして使用することができる。この結果、第2平均は、すべての残りのデータ用のオフセットとして見なされ、且つ、計測されたそれぞれのデータポイントごとに第2平均が減算され、これにより、データの大多数が新しいゼロポイント(即ち、第2平均)にある又はその近傍にあるという結果をもたらし、これにより、計測されたデータのフルセットからの異常値データが適切に強調表示されることを許容している。
【0058】
いくつかの実施形態においては、いくつかの計測が初期較正ステップを実行する前にすべてのセンサから取得されている一方で、その他の実施形態においては、連続的に、即ち、計測されたデータの最初の組に対して較正を実行し且つ計測されたデータのそれぞれの新しい組の後に較正を反復することにより、較正が実行されている。この新規の方式は、較正に使用される組織領域と計測領域内の組織の間の変化する組織剛性に起因して不正確であり得る従来の単一の静的較正の使用に対するニーズを除去している。また、方法は、単一較正を不正確に実行した際の操作者間及び操作者内エラーの両方を防止している。例えば、いくつかの実施形態において、操作者は、計測の間において又は単一の計測の過程にわたって変化する圧力を組織に印加する場合があり、これは、静的較正が使用された場合には、歪んだデータを結果的にもたらすことになろう。計測されるのに伴ってデータを動的に較正することにより、操作者圧力を変更することによって生成される歪から真の異常値を適切に弁別するように、データに適用される全体的なバイアスを適合させることができる。
【0059】
一実施形態において、算出されたベースラインレベルは、計測されたデータの量を検証するために且つ保存するために使用されている。一例においては、所定量のデータポイントは、例えば、デカルトアレイなどのアレイとして構成された少なくとも1つの圧力又は静電容量性センサから計測されている。一実施形態において、時間に伴ってデータをスムージングするために、計測されたデータポイントの移動平均が算出されている。移動平均は、少なくとも3つのサンプル、少なくとも5つのサンプル、少なくとも10個のサンプル、少なくとも20個のサンプル、或いは、任意の適切な数のウィンドウ内において算出することができる。次いで、スムージングされた移動平均データを監視することができると共に、移動平均が特定の範囲内に移動した際に、キャプチャされたデータがいまや計測のために有効であることを通知するために、キャプチャトリガを起動することができる。いくつかの実施形態において、特定の範囲は、センサのダイナミック計測レンジの40%~60であってもよく、或いは、センサのダイナミック計測レンジの45%~55%、47%~53%、49%~51%、又は約50%であってもよい。次いで、いくつかの実施形態においては、キャプチャトリガが起動されたら、例えば、2秒、3秒、又は5秒などの期間にわたって有効な状態に留まるかどうかを確認するために、データが監視されている。次いで、データが規定された期間にわたって有効な状態に留まっている際に、そのインターバルにおいて計測されたスムージング済みの且つ/又は未加工のデータが有効なデータ計測として保存されている。
【0060】
サンプルデータの視覚化
いくつかの実施形態においては、且つ、次に
図5を参照すれば、身体領域の視覚化に加えて、視覚化装置は、予備的な又は実際のスクリーニング判定のなんらかの通知を表示することができる。いくつかの実施形態において、診断装置は、すべてのデータ収集及び処理を実行しており、且つ、結果が、処理及び後からの視覚化のために有線又は無線接続を介してリモート演算システム又はクラウドシステムに送信されている。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、自己スクリーニングを通じて被検者をガイドするステップを含む、例えば、視覚化装置又はセンサ装置によって被検者又は臨床医に供給される通知又はプロンプトなどの1つ又は複数の誘導型のステップを含むことができる。このような方法は、装置内に統合されたプロセッサにより、視覚化装置内に統合されたプロセッサにより、或いは、診断装置及び視覚化装置を有する診断システムの近傍において又はこれから離れた場所において配置された別の装置により、センサ装置によって計測されたデータの一部又はすべてを処理するステップを含み得る。誘導型のステップは、例えば、上方への移動、下方への移動、左への移動、右への移動、相対的に強い押圧、相対的に軽い押圧などの被検者又は臨床医が処理済みのデータに基づいて装置に対して又はこれによって実行するべき1つ又は複数の操作ステップを被検者又は臨床医に通知するステップを更に含むことができる。このような自己スクリーニングシステムによれば、医療における又は装置に伴うトレーニングを有していない又はその最小限のものしか有していない被検者が、臨床医によって検討されるべきデータを収集するために誘導型の自己スクリーニングを実行することが可能である。
【0062】
いくつかの実施形態において、グラフィック視覚化は、以上において開示されている動的較正方法を含んでいてもよく、或いは、これに基づいて更新されてもよい。いくつかの実施形態においては、3D表面プロットが本発明のインターフェイスによって示されてもよく、この場合には、計測されている組織の表面がX-Yプレーン内において表示され、且つ、データがZ軸上において表されている。ベースラインが更新されるのに伴って、算出されたベースラインの量を減算することにより、データプロットのX-Y表面がZ軸に沿って垂直方向においてオフセットされている。最適なベースラインからの逸脱を通知するために、表面のカラーコーディングが使用されている。ベースラインが最適な範囲内にある際には、表面は、黄色又は赤色において漸進的に出現する逸脱を除いて、緑色において出現している。ベースラインが最適な値から逸脱するのに伴って、表面は、黄色に且つ最終的には赤色に遷移し、これにより、最適なベースラインからの大きな逸脱を通知している。これに加えて、いくつかの実施形態においては、較正ディスプレイが、算出されたベースライン自体をグラフィカルに画面上において示しており、これにより、操作者がベースラインを最適な範囲内に移動させるために(例えば)自身の印加圧力の調節を許容する更なるフィードバックを操作者に提供することができる。この新規な視覚化方式は、一貫性のあるベースラインのキャプチャを促進すると共に計測の完全性を極大化させることにより、ユーザートレーニングを最適化している。
【0063】
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照すれば、一例が示されている。
図6Aにおいて示されているように、較正されていない表面マップは、大部分のポイントを赤色において、即ち、固定された「ゼロ」値からの逸脱において、示すことができる。描かれている例においては、表面マップ内の大部分のポイントは、22%の周りにおいて計測されており、これは、50%という固定されたゼロ値よりも格段に小さい。従って、これらのポイントは、いずれも、ゼロ値からの逸脱として赤色において強調表示されている。
【0064】
図6Bは、動的に較正されたデータの視覚化を示している。
図6Bに示されているデータマップは、緑色において、即ち、正常において、全体表面を示している。データは、オフセットを除去するために較正済みであり、且つ、従って、大部分が緑色ウィンドウ内において含まれており、これは、描かれている実施形態においては、55%~65%である。
【0065】
図6Cは、最適なリアルタイム較正に接近したデータの視覚化を示している。グラフの大部分が緑色において示されているが、表面の一部が黄色-緑色であり、これにより、データの一部が依然としてゼロウィンドウの外側に含まれていることを通知している。描かれているデータの平均は、約44%であり、これは、45%~55%という最適なウィンドウのちょうど外側に含まれている。
【0066】
図7には、被検者内部の組織パラメータを計測する例示用の方法が示されている。方法は、ステップ701において複数の電極及び所定量の非伝導性圧縮可能材料並びにカバリングを有するハンドヘルド装置を実質的に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、ステップ702において複数の電極の2つの電極の間の静電容量を計測するステップと、ステップ703において静電容量に基づいて柔軟な材料の厚さを判定するステップと、ステップ704において柔軟な材料の厚さに基づいて組織パラメータを算出するステップと、を含む。
【0067】
一実施形態によれば、皮膚又はその他の組織表面の触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす病変のサイズ、形状、及び場所を検出、文書化、計測、及びマッピングする静電容量性触覚センサ装置は、操作者又は装置が装置を動作させている間に常に伝導性表面との接触状態となるように配置された少なくとも1つの露出ウィンドウ及び露出した導電性表面を有するハウジングを含む。電気的に非伝導性の材料上においてデカルト格子として構成された、且つ、任意の2つの隣接電極が電気的に独立的なものとなり且つ外部において生成された刺激電圧又は電流信号によって独立的に刺激されることが可能であり、これにより、電極グリッドの外側に対向する表面上の空間が誘電体として機能する状態において、それぞれのこのような電極ペア間にコンデンサを生成するように構成された、複数の別個の同一平面上に位置する同一場所に配置された電極のペアを有する基材がハウジング内において配置されている。絶縁材料の層が電極グリッドの外側に対向する表面上において位置決めされている。絶縁層をカバーする均質な圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインが、電極グリッドの外側に対向する表面上において位置決めされており、このメンブレインは、(a)コンデンサを形成する隣接電極のそれぞれのペアの全体表面エリアに跨って且つ電極のデカルト格子の全体表面エリアに跨って均一な厚さを有し、(b)電極のデカルト格子の全体表面エリアに跨って固定された均一な且つ既知の圧縮比率及び硬度を有し、且つ、(c)外部力が印加されていない際にその容積が一定に留まるような安定状態均衡形状を有する。非伝導性カバー材料が、均質な圧縮可能な非フェライトの且つ圧縮可能なメンブレインの外側に対向する表面上において位置決めされており、その少なくとも一部分は、ハウジングの露出ウィンドウを通じてアクセス可能であり、これは、センサの外側に対向する表面として機能し、且つ、メンブレインと共に、事実上、1つが送信電極として機能し且つ1つが受信電極として機能する隣接する電極のそれぞれのペアによって生成されるコンデンサ用の誘電体として空気を置換している。センサ表面は、伝導性組織の正常な表面圧力を含む電気機械プロパティが圧縮可能なメンブレインから構成された誘電体内の電界を混乱させることになるように且つ同一平面上に位置する電極の関連するペアの間の静電容量性結合を妨げることになるように、被検者の組織の表面との接触状態において完全に且つ堅固に配置されるように構成されており、この場合に、センサ入力装置は、調査されている皮膚又はその他の組織表面のエリアの基礎をなす相対的に剛性の組織の局所化されたエリアの場所、力学、及び特別な特徴のインジケータとして、基礎をなす組織構造の変化する組成及びプロパティに従って、皮膚又はその他の軟部組織表面との接触並びに圧縮可能なメンブレインの結果的に得られる圧縮及び同一平面上に位置する電極の関連するペアの間の静電容量性結合の妨害によってセンサ表面上において印加される圧力に応答して少なくとも1つの信号を誘発及び生成している。(a)(i)基材内に配置された電極ペアを刺激するために使用される信号を生成するように、(ii)皮膚又はその他の軟部組織表面との接触によってセンサ表面上において印加される圧力に応答して静電容量性触覚センサ入力装置によって後から誘発、生成、及び送信される信号を受け取り且つ処理するように、且つ、(iii)静電容量性触覚センサ入力装置によって1つ又は複数のIC静電容量性センサチップに誘発、生成、及び送信される信号の処理から導出された信号を装置に誘発、生成、及び送信するように、構成された1つ又は複数の市販のIC静電容量性センサチップ、並びに、(b)(i)皮膚又はその他の軟部組織表面との接触によってセンサ表面上において印加される圧力によって生成される隣接関連電極ペアの間の知覚される静電容量の変化に基づいて基礎をなす組織構造の1つ又は複数のパラメータを算出するために1つ又は複数のIC静電容量性センサチップによって誘発、生成、及び送信される信号を受け取り且つ処理するように、且つ、(ii)ディスプレイ及び統合されたストレージ装置を有する視覚化装置と通信自在に接続するように、構成された1つ又は複数の統合された回路及びプロセッサから構成されたコントローラがハウジング内において配設されている。
【0068】
一実施形態において、均質な圧縮可能な非フェライトの且つ非伝導性のメンブレインは、ポリウレタン、シリコン、又は熱可塑性エラストマ発泡体を有する。一実施形態において、発泡体は、00-0~00-20の範囲の硬度を有する。一実施形態において、複数の電極は、少なくとも2つの電極を有する。一実施形態において、複数の電極のそれぞれは、1mm2~16mm2の表面積を有する。一実施形態において、装置は、コントローラに通信自在に接続された視覚化装置を含み、この場合に、視覚化装置は、ディスプレイを有する。一実施形態において、コントローラは、Bluetooth(登録商標)接続を介して視覚化装置に接続されている。一実施形態において、装置は、すべての後続の静電容量性計算のために使用される電圧基準を供給するように構成された伝導要素をハウジングの外部において含む。一実施形態において、装置は、すべての後続の静電容量性計算のために使用される電圧基準を供給するように構成された電極プレーンの絶縁されていない部分と静電容量性センサの外部表面の間において伝導性接触を提供する接地パッド又はストラップを含む。一実施形態において、少なくとも1つのパラメータは、組織の硬さを有する。一実施形態において、被検者の組織は、乳房組織を有する。
【0069】
一実施形態において、静電容量性触覚検知を使用して組織表面の皮膚の表面又はその他の軟部組織表面上の正常な触覚圧力の変動を計測することにより、被検者内部の皮膚又はその他の軟部組織の表面の基礎をなす触診可能病変のサイズ、形状、及び場所を文書化、計測、及びマッピングする方法は、実質的に被検者の皮膚又は組織の表面エリアとの接触状態において複数の電極及び所定量の非伝導性圧縮可能材料並びにカバリングを有するハンドヘルド装置を位置決めするステップと、組織の病変のないエリアから操作者によって取得された計測によって被検者のベースライン基準静電容量を判定するステップと、操作者とハンドヘルド装置の間の導電性接触を通じて操作者からのベースライン電位基準を判定するステップと、ハンドヘルド装置を実質的に調査されている皮膚又は組織の表面エリアとの接触状態において位置決めするステップと、調査されている皮膚又は組織の表面エリアとの接触の結果としてもたらされる複数の電極の2つの電極の間の静電容量を計測するステップと、調査されている組織の皮膚又は表面との接触によって生成される隣接関連電極ペアの間の静電容量性結合に対する混乱の結果としてもたらされるセンサ表面(圧縮可能メンブレイン及びカバリング)に対して印加される圧力によって生成されるベースライン電位基準を参照して隣接する関連する電極ペアの間の知覚される静電容量の変動を計測するステップと、ベースライン電位基準からの知覚される静電容量の変動に基づいて1つ又は複数の組織パラメータを算出するステップと、を含む。一実施形態において、方法は、知覚される静電容量、厚さ、及び組織パラメータから構成された群から選択されたデータを視覚化システムに送信するステップを含む。一実施形態において、方法は、電極ペアの組の間の複数の静電容量値を計測し且つ組織表面に跨るパラメータ値の図を視覚化システム上において表示するステップを含む。一実施形態において、組織パラメータは、硬さである。
【0070】
一実施形態において、被検者の組織に対して誘導型の自己検査を実行する方法は、複数の電極及び所定量の柔軟な材料を有するハンドヘルド装置を実質的に被検者の身体領域との接触状態において位置決めするステップと、複数の電極の2つの電極の間の静電容量を計測するステップと、静電容量に基づいて組織パラメータを算出するステップと、コントローラ内において組織パラメータに基づいて被検者用の命令を判定するステップと、被検者がハンドヘルド装置を操作するよう誘導するために命令を被検者に発行するステップと、を含む。一実施形態において、命令は、スピーカを介して発行される聴覚命令である。一実施形態において、命令は、被検者が組織上の新しい場所に装置を移動するよう誘導するために構成されている。一実施形態において、命令は、ディスプレイ上において提示される視覚的キューを有する。
【0071】
実験例
以下の実験例を参照し、本発明について更に詳細に説明する。これらの例は、例示を目的として提供されるものに過ぎず、且つ、そうではない旨が規定されていない限り、限定を意図したものではない。従って、本発明は、決して、以下の例に限定されるものとして解釈されてはならず、且つ、むしろ、本明細書において提供されている教示の結果として明らかとなる任意の且つすべての変動を包含するものとして解釈することを要する。
【0072】
更なる説明を伴うことなしに、当業者は、以上の説明及び以下の例示用の例を使用することにより、本発明のシステム及び方法を実施及び利用し得るものと考えられる。従って、以下の実例は、本発明の例示用の実施形態を具体的に指摘するものであり、且つ、本開示の残りの部分を限定するものと決して解釈してはならない。
【0073】
図8を参照すれば、圧電対静電容量性センサにおけるサンプル圧縮データが一実施形態に従って提供されている。
【0074】
本明細書において引用されているそれぞれの且つすべての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。本発明は、特定の実施形態を参照して開示されているが、本発明のその他の実施形態及び変形が、本発明の真の精神及び範囲を逸脱することなしに、当業者によって考案され得ることが明らかである。添付の請求項は、すべてのこのような実施形態及び等価な変形を包含するものとして解釈されることを意図している。
【国際調査報告】