(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】携帯型救助装置および救助装置を備える配置
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20220920BHJP
B26B 15/00 20060101ALI20220920BHJP
A62B 3/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 G
B26B15/00
A62B3/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022502991
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019069316
(87)【国際公開番号】W WO2021008707
(87)【国際公開日】2021-01-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599130287
【氏名又は名称】ルーカス ヒュードラウリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キルヒナー、ウーヴァ
【テーマコード(参考)】
2E184
3C064
3C065
【Fターム(参考)】
2E184EE20
3C064AA07
3C064AA20
3C064AB03
3C064AC02
3C064AC03
3C064AC08
3C064BA12
3C064BB58
3C064BB71
3C064CB25
3C064CB28
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB71
3C064CB79
3C064CB91
3C064EA05
3C065EA02
3C065FA01
3C065GA12
(57)【要約】
本発明は、たとえば、拡張装置、切断装置、または切断および拡張機能を有する複合装置などの、携帯型救助作業用携帯型救助装置1であって、ハウジング2と、ユーザが救助装置を両手で操作するための第1のハンドグリップ3および第2のハンドグリップ4と、ハウジング12内に設けられた電気モータと、救助装置1上に格納されたバッテリー15または外部の電源に接続するための接続部の形態である電源装置と、作業、特に拡張作業および/または切断作業を行うための、機械式または油圧式に駆動される可動式のピストンロッド12と、救助装置1に、好ましくはハウジング12に設けられたディスプレイと、電気モータ3および/またはディスプレイの開および/または閉ループ制御のための電気的開閉ループ制御装置とを備え、救助装置1が、ビデオデータ(VD)用通信インタフェース20を有し、ビデオデータ(VD)が、ユーザガイダンスデータであり、ディスプレイが、ビデオ対応ディスプレイ8である救助装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張装置、切断装置、切断および拡張機能を有する複合装置、または救助シリンダなどの、携帯型救助作業用携帯型救助装置であって、
ハウジングと、
ユーザが前記救助装置を片手で操作するための第1のハンドグリップ、またはユーザが前記救助装置を両手で操作するための第1のハンドグリップおよび第2のハンドグリップと、
前記ハウジング内に設けられた電気モータと、
前記救助装置上に格納されたバッテリーまたは外部の電源に接続するための接続部の形態である電源装置と、
作業、特に拡張作業、および/または、切断作業を行うための、機械式または油圧式に駆動される可動式のピストンロッドと、
前記救助装置に、好ましくは前記ハウジングに設けられたディスプレイと、
前記電気モータ、および/または、前記ディスプレイの開、および/または、閉ループ制御のための電気的開閉ループ制御装置とを備え、
前記救助装置が、ビデオデータ(VD)用通信インタフェースを有し、
前記ビデオデータ(VD)が、ユーザガイダンスデータであり、
前記ディスプレイが、ビデオ対応ディスプレイであることを特徴とする、救助装置。
【請求項2】
前記救助装置が、音声データ(AD)用通信インタフェースを有し、
前記音声データが、ユーザガイダンスデータである、請求項1に記載の救助装置。
【請求項3】
前記ディスプレイに恒久的に固定された保護層が、前記ディスプレイの上部に設けられる、請求項1または2に記載の救助装置。
【請求項4】
保護カバーが、前記ディスプレイに設けられ、前記ディスプレイを露出させるために、必要に応じて、動作中に外すことができる、請求項1から3のいずれかに記載の救助装置。
【請求項5】
前記保護カバーが、前記ディスプレイまたは前記ハウジングから取り外すことができ、前記ディスプレイまたは前記ハウジングに再接続することができる、請求項4に記載の救助装置。
【請求項6】
前記保護カバーが、動作中、前記救助装置に留められたままであるが、前記ディスプレイまたは前記ハウジングに対するその位置は、変えることができる、請求項4に記載の救助装置。
【請求項7】
前記保護カバーが、前記ディスプレイに対して移動させることができる、請求項4から6のいずれかに記載の救助装置。
【請求項8】
前記保護カバーが、前記ディスプレイに対して回動することができる、請求項4から6のいずれかに記載の救助装置。
【請求項9】
折り畳み式ディスプレイが、前記ディスプレイとして設けられる、請求項1から8のいずれかに記載の救助装置。
【請求項10】
前記ディスプレイが湾曲している、請求項1から9のいずれかに記載の救助装置。
【請求項11】
前記ビデオデータ(VD)、および/または、前記音声データ(AD)が圧縮される、請求項1から10のいずれかに記載の救助装置。
【請求項12】
前記ユーザガイダンスデータが、自動車メーカ固有の、および/または、救助カード固有のユーザガイダンスデータである、請求項1から11のいずれかに記載の救助装置。
【請求項13】
前記通信インタフェースが、
近距離通信インタフェースもしくはRFID系インタフェース、
好ましくはBluetoothインタフェースもしくはWLANインタフェースである、最大範囲が100mである無線通信インタフェース、
有線インタフェース、または
これらの組み合わせである、請求項1から12のいずれかに記載の救助装置。
【請求項14】
前記救助装置が、前記ディスプレイを介して、オン、および/または、オフに切り換えられる、請求項1から13のいずれかに記載の救助装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の救助装置と、
ユーザが携帯可能なコンピュータとを備え、
前記ビデオデータ(VD)または前記ビデオデータ(VD)および前記音声データ(AD)を、前記ユーザが携帯可能なコンピュータにより前記救助装置に送信することができる、配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張装置、切断装置、または切断および拡張機能を有する複合装置などの、請求項1の前提部に係る携帯型救助作業用携帯型救助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
救助装置は、主に、消防隊および災害救助隊により使用される。救助装置は、携帯型であり、操作者により両手で使用される。救助作業において、時間要因は、事故に遭ったか埋まった人の生存がかかっていることが多いので、極めて重要である。その結果、救助装置を取り扱った経験が特定のユーザに多いことが、救助作業において特に重要である。しかし、未だこのような豊富な経験を持たないユーザに、問題が時々起こり得る。使用を誤った場合、かなりの時間がかかる恐れがあり、ひいては、これが、事故に遭ったか埋まった人にとって致命的な結果になり得る。
【0003】
したがって、さらに時間がかかる作業の際、可能な限り、救助装置の誤使用を避けることが根本的に必要である。
【0004】
現在、車両は、エアバッグ、緊急ブレーキ・アシスト、代替駆動(alternative drives)、および新素材などの様々な安全システムを備える。したがって、現在の車両は、ますます安全になっている。しかし、隠蔽されたエアバッグまたは高電圧電力線は、事故の被害者が救助されているときに、救助隊員または事故の被害者を危険にさらし得る。車両本体内の高強度素材および構造は、救助工具を損傷したり、使い物にならなくしたりする恐れがある。現在、車両本体のどこに救助工具を効果的にかつ安全に置くことができるかを、かつ、たとえば、誤ってエアバッグを始動させないようにするために、または、電気自動車の高電圧システムを確実に停止させるために、どの予防措置が必要であるかを救急隊員が知ることがより一層重要である。
【0005】
救急隊員は、いわゆる救助カードにある関連情報を得ることができる。これは、メーカ固有のデータを有する印刷物であって、車両の所有者が、運転手のサンバイザーの裏側に貼り付けるべきものである。しかし、救助カードは、すべての車両の所有者により、それ相応に置かれているわけではない。さらに、救助カードは、事故で紛失したり破壊されたりする恐れがある。しかし、たとえ救急隊員が救助カードを見つけても、救助カードの情報は、未だに頭を使って処理しなければならない文字および視覚データのみを含むので、救助装置の特定のユーザによる評価には、実際にはかなりの時間を未だに要する。
【0006】
したがって、特に救助技術の分野では、一方ではできる限り最速に救助措置を実行することと、他方では任務固有の情報を処理することとの間に、特定の矛盾が存在する。
【0007】
(先行技術文献)
ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2017 206 064 A1により、建設現場での作業の進捗を監視する方法であって、検出ユニットが、建設現場の領域に配置され、手持ち式電動工具の少なくとも1つの動作パラメータを検出し、評価ユニットに送信し、検出された動作パラメータに基づいて作業の進捗に関連する特性値を決定する方法が知られている。特性値は、ディスプレイユニットに表示される。ディスプレイユニットは、スマートフォンである。
【0008】
ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2015 226 084 A1には、手持ち式電動工具であって、モバイルコンピュータ、スマートフォンまたはタブレットコンピュータと通信するユーザガイダンスユニットを備え、モバイルコンピュータを介して、手持ち式電動工具のユーザガイダンスに関する設定を行うことができる手持ち式電動工具が開示されている。
【0009】
ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2015 115 469 A1により、電動ドライバーおよび外部操作ユニットを有する工具システムが知られている。外部操作ユニットは、ディスプレイを備え、電動ドライバーおよびPCに無線で接続されている。
【0010】
ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2011 121 469 A1は、外部のUSB/Bluetooth(登録商標:以下注記は省略)キーボードにより操作することができるバッテリー駆動のねじ締め用工具に関する。工具のメモリに記憶された工具操作データは、外部のキーボードを用いてクエリを実行することができる。外部のキーボードによる入力が、工具制御部からの操作者向けのメッセージと同様に、工具が備えるディスプレイに表示される。しかし、これは、ビデオデータを含まない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2017 206 064 A1
【特許文献2】ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2015 226 084 A1
【特許文献3】ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2015 115 469 A1
【特許文献4】ドイツ特許出願公開明細書DE 10 2011 121 469 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、携帯型救助装置の誤操作の頻度を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、請求項1の主題に係る救助装置により解決される。本発明に係る救助装置の好適な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0014】
前記救助装置が、ビデオデータ用通信インタフェースを有し、前記ビデオデータが、ユーザガイダンスデータ、特にユーザガイダンス用ビデオフィルムシーケンスを含み、ディスプレイが、ビデオ対応(video-enabled)ディスプレイであるので、使用時に、ユーザが片手または両手で誘導する前記救助装置上で、ビデオを介して、取り扱い情報をユーザに直接伝えることができる。
【0015】
これにより、使用時に、同時にユーザが適切な措置を取ることが可能になり、誤操作およびその結果生じる一時的な中断または遅延の可能性を著しく減少させることができる。本発明により、たとえば、側部の衝撃エアバッグなどを不注意に始動させないために、BピラーまたはCピラーなどの自動車部品を切断する際にある種の自動車において避けるべきことなどの詳細なビデオの指示を、前記救助装置上で、前記装置のユーザに直接伝えることが可能になる。特に救助作業において、本発明により、特に、前記救助装置の使用についてのさらなる情報をユーザが必要とする状況において、迅速な行動が可能になる。
【0016】
好適な実施形態によれば、前記ビデオデータに加えて、音声データがまた、前記通信インタフェースを介して、前記救助装置に提供することができ、ユーザガイダンスデータとして利用可能になり得る。したがって、ユーザは、使用時に、直ちに、ユーザガイダンスとして、言語的にサポートされたフィルムシーケンスを受け取り、利用することができる。これにより、前記救助装置の使用の効果が非常に高まる。
【0017】
前記ディスプレイに恒久的に固定された保護層が、前記ディスプレイの上部に位置することが好適である。これは、たとえば、硬質ガラス層または透明な硬質プラスチック層であってもよい。
【0018】
前記ディスプレイに恒久的に固定された保護層に代えて、または、前記保護層に加えて、前記救助装置またはそのハウジング上の前記ディスプレイの機械的な保護を向上させるために、前記救助装置の使用時に、必要に応じて、前記ディスプレイを露出させるために、ユーザが、単に短時間で外すことができる保護カバーを好適に設けることができる。使用時に、情報がすぐに必要である状況が発生すれば、前記ディスプレイ上の前記保護カバーを容易に外すことができる。それ以外の場合、前記保護カバーは、前記ビデオ対応ディスプレイを効果的に保護する。
【0019】
特に、前記保護カバーは、前記救助装置の前記ディスプレイまたは前記ハウジングから取り外すことができ、必要に応じて、前記救助装置の前記ディスプレイまたは前記ハウジングに再結合または接続することができるように設計することができる。
【0020】
前記保護カバーが、前記ディスプレイに対して可動であるが、動作中、前記救助装置または前記ハウジングまたは前記ディスプレイにつなぎ留められたままであれば、特に有利であることが分かった。
【0021】
前記保護カバーが、前記ディスプレイに対して移動させることができれば、つまり、前記保護カバーの移動により前記ディスプレイを露出させることができれば、特に有利である。このように、前記ディスプレイは、前記救助装置が動作中である間、一度の操作で露出させることができる。
【0022】
同様に、前記保護カバーはまた、前記ディスプレイに回動可能に固定することができる。ここでも、前記ディスプレイは、一度の操作で露出させることができる。
【0023】
本発明のさらなる好適な実施形態が、前記ディスプレイとして、いわゆる折り畳み式ディスプレイを設けることにある。折り畳み式ディスプレイの場合、2つのディスプレイ領域が、互いに対して折り畳み可能になるように設計されるので、前記ディスプレイは、折り畳み状態で、前記救助装置の使用時に機械的損傷から適切に保護される。
【0024】
前記救助装置の一部としての前記ディスプレイは、激しい機械的損傷に曝され得ることが非常に多いので、ガラス層または透明なプラスチック層など、前記ディスプレイに恒久的に取り付けられた保護層が、前記ディスプレイの上部に設けられれば、有利である。
【0025】
救助装置は、通常、悪条件下で使用されるので、情報を必要としない場合、前記ディスプレイに保護カバーを設ければ、さらに有利である。前記保護カバーは、動作中にいつでも、前記ディスプレイを露出させたり、ビデオまたはビデオ/音声情報が受信された後に再度覆ったりすることができるように設計される。これにより、前記ディスプレイは、保管中または使用時には保護されたままであるが、ビデオまたはビデオ/音声情報の実際の再生時に公然と利用可能になるだけであることが確実になる。
【0026】
前記保護カバーは、たとえばラッチ接続を介して、前記ディスプレイまたは前記ハウジングから好適に取り外し可能であってもよく、すなわち、外すことができ、そして、前記ディスプレイまたは前記ハウジングに再接続することができる。
【0027】
特に、前記保護カバーはまた、紛失し得ないように前記救助装置に固定することができ、前記保護カバーは、前記ディスプレイまたは前記ハウジングに対してその位置が変わるだけで、前記ディスプレイを露出させることができる。これにより、ビデオまたはビデオ/音声情報が利用可能になった後に、前記保護カバーを不注意に紛失し、もはや捜し出せないことが防止される。
【0028】
前記保護カバーは、前記ディスプレイに対して移動可能であるように配置されることが好適である。特に、前記保護カバーは、前記救助装置の長手方向の長さに対し、長手方向に移動可能であるように固定することができる。その結果、前記保護カバーは、前記ディスプレイが露出するときに、邪魔にならない。
【0029】
あるいは、前記保護カバーはまた、前記ディスプレイに対して回動することができる。これにより、簡単な取り扱いがまた可能になる。
【0030】
好適な実施形態によれば、前記ディスプレイは、いわゆる折り畳み式ディスプレイとして設けられる。これは、書籍のように折り畳むことができるので、同時に適切な機械的な保護が確保される。情報が必要になり次第、前記折り畳み式ディスプレイは、開かれる。
【0031】
さらに、前記ディスプレイはまた、湾曲した外面を設けることができる。これには、使用時に、ユーザがビデオ情報をより良好に認識することができるという利点がある。
【0032】
前記ビデオデータおよび/または前記音声データは、圧縮されたデータであることが好ましい。
【0033】
前記ユーザガイダンスデータについていえば、前記ユーザガイダンスデータは、特に、自動車メーカ固有のおよび/または救助データ固有のユーザガイダンスデータである。これにより、たとえば、消防士といったユーザが事故の現場に到着次第、救助中に不注意に高電圧ケーブルを切断することを防止するために、たとえばバッテリー駆動の車両の場合、どのようにして、高電圧源を安全に停止させることができるかを示すためのビデオデータまたはビデオ/音声データの形態で、前記ディスプレイを介して、事故に巻き込まれた車両に関する情報を再生できることが可能になる。
【0034】
前記救助装置の前記通信インタフェースは、近距離通信インタフェースもしくはRFID系インタフェース(NFC(near field communication)インタフェース)、好ましくはいわゆるBluetoothインタフェースもしくはWLAN(wireless local area network)インタフェースである、最大範囲が100mである無線通信インタフェース、有線インタフェース、または上述の異なるインタフェースのうちの少なくとも2つの組み合わせであってもよい。たとえば、スマートフォンからのデータを、上述のインタフェースのうちの1つを介して、前記救助装置またはそのメモリに容易に送信することができる。
【0035】
前記救助装置はまた、前記ディスプレイを介して、すなわち、前記ディスプレイを操作することにより、有利に、オンおよび/またはオフに切り換えることができる。以前は救助装置では一般的であった別個の機械的なオン/オフスイッチは、もはや必要ない。これは、製造コストを減少させるのに有効である。
【0036】
さらに、本発明は、請求項1から14のいずれかに記載の救助装置と、ユーザが携帯可能なコンピュータとを備え、前記ビデオデータまたは前記ビデオデータおよび前記音声データを、前記ユーザが携帯可能なコンピュータにより前記救助装置に送信することができる配置に関する。
(実施の形態)
以下、本願の好適な実施形態について、より詳細に説明する。分かりやすくするために、同様の特徴には、一度だけ符号を付与する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明に係る携帯型救助装置の第1実施形態を示す。
【
図2】
図2は、開閉ループ制御ユニットを備える本発明に係る救助装置の重要な機能的部品の、大幅に簡略化した概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る救助装置の第2実施形態を示す。
【
図4】
図4は、保護カバーが外された
図3に係る救助装置を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る救助装置の第3実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明に係る救助装置の第4実施形態を示す。
【
図7】
図7は、折り畳み式ディスプレイが、開いた状態(
図7(a))あるいは折り畳み状態(
図7(b))で用いられている本発明に係る救助装置の、大幅に簡略化した部分断面図である。
【
図8】
図8は、湾曲したディスプレイを用いた本発明に係る救助装置の、大幅に簡略化した実施形態を示す。
【
図9】
図9は、ユーザガイダンスデータを本発明に係る救助装置に送信することが可能な状態の図である。
【
図10】
図10は、平坦なディスプレイを用いた本発明に係る救助装置の、大幅に簡略化した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明に係る救助装置の第1実施形態を示す。符号1は、救助装置の全体を示す。
図1に示す救助装置1は、たとえば、交通事故に遭った人を救出するために、救急隊員により用いられる切断装置(カッター)である。救助装置1は、携帯型であり、すなわち、操作者により手で持ち運ぶことができる。
【0039】
救助装置1は、ハウジング2を備え、ハウジングの前側に油圧シリンダ5が接続されている。救助装置1の前方の領域には、2つの工具の半体6a、6bが存在する。
図1に示す例では、2つの刃先が存在する。さらに、救助装置1は、油圧シリンダ5の領域に、カバー7と、持ち運び用ハンドルの役割を果たす第1のハンドグリップ3とを備え、ハウジング2の領域に、使用時に周囲を把持される第2のハンドグリップ4を備える。第2のハンドグリップ4の領域には、工具の半体6a、6bの関連する作業方向を操作者が選択することができる、たとえばいわゆるスターグリップであるハンドル9が存在する。
【0040】
救助装置1は、使用時に、2つのハンドグリップ3、4を操作者が両手で持つことにより保持する。
【0041】
さらに、救助装置1は、ビデオ対応ディスプレイ8を備える。「ビデオ対応ディスプレイ」とは、ビデオデータVD、つまり、フィルムまたはフィルムシーケンスを再生または表示することができるディスプレイとして理解する。ビデオデータVDは、白黒フィルムまたはカラーフィルムとして再生することができる。ビデオデータVDは、いわゆるユーザガイダンスデータ、つまり、救助装置1の使用に関するビデオデータである。これにより、たとえば事故に巻き込まれた自動車に到着した後に、実際に事故に巻き込まれた車両で、使用時に、救助装置1のユーザが、救助装置1の使用に関するビデオデータVDを再生することが可能になる。たとえば、ユーザは、これを用いて、車内で、どこでまたはどのようにして、高電圧供給源を停止させることができるかを表示することができる。したがって、救助装置1のユーザは、まず自動車の高電圧回路を停止させ、そして救助装置1で電気接続を切断することにより、救助措置に「誘導される」。
【0042】
ビデオ対応ディスプレイ8は、いわゆるタッチスクリーン、すなわち、ユーザが触れることにより制御コマンドを入力することができるディスプレイであることが好ましい。
【0043】
図2に、個々の実施形態の救助装置1の重要な機能的要素を、大幅に簡略化した概略図で示す。救助装置1の機械的部分は、
図2の上側の領域に位置する。これは、作動油を貯蔵するための油圧タンク16と、油圧シリンダ11とを備え、油圧シリンダは、その内部に配置され、機械的リンク機構10を介して工具の半体6a、6bに接続されたピストンロッド12を有する。機械的リンク機構10により、ピストンロッド12の位置に応じて、工具の半体6a、6bは、互いに接近したり離間したりする。符号13は、いわゆる多方弁であって、ピストンロッド12が油圧シリンダ内で伸長するか後退するか、または、制御部が、作動油がバイパスモードでおよび油圧タンク16から多方弁13に戻るだけである受動状態にあるのかを決定する多方弁を示す。
図1に示す例では、多方弁13を操作するために、スターグリップとして設計されたハンドル9が設けられている。
【0044】
さらに、救助装置は、油圧ポンプ14と、油圧シリンダ11内部のピストンロッド12の位置に応じて量の補償を行えることを確実にする補償装置17とをタンクに備える。
【0045】
油圧ポンプ14は、また
図2に非常に簡略化して概略的に示す開閉ループ制御ユニット21により制御される。これは、メモリ19を有するプロセッサ18と、救助装置1に担持されたバッテリー15とを備える。さらに、開閉ループ制御ユニット21はまた、ビデオ対応ディスプレイ8と、音声データを再生するためのスピーカー23とを備える。
【0046】
ビデオ対応ディスプレイ8に、対応するビデオデータVDを供給するために、ビデオデータVD用通信インタフェース20が設けられている。ビデオデータVDは、通信インタフェース20を介して、救助装置1またはその開閉ループ制御ユニット21に送信し、メモリ19に記憶し、必要に応じて、プロセッサ18を介して引き出すことができる。制御および/またはコマンド入力は、タッチスクリーンとして設計されたビデオ対応ディスプレイ8を介して実行することが好ましい。
【0047】
さらに、必要に応じて、ビデオデータVDだけでなく、音声データADも、通信インタフェース20を介して、救助装置1に送信することができる。
【0048】
ビデオ対応ディスプレイ8は、ディスプレイ8に恒久的に固定された保護層8aを有することが好適である(
図10参照)。これは、ガラス層または透明なプラスチック層であってもよい。いわゆるタッチフォイル8bがその下に位置する。その下は、たとえばいわゆるLCDディスプレイ(液晶ディスプレイ)であってもよいディスプレイ層列8cである。
【0049】
図3に、ビデオ対応ディスプレイ8が保護カバー22により覆われた、本発明に係る救助装置1のさらなる実施形態を示す。保護カバー22は、ディスプレイ8が、救助装置1の保管中および使用時でも、破損し得ないことを確実にする。保護カバー22は、衝撃、圧力および/または引っかき傷に対して効果的であり、ディスプレイ8を囲むカバーである。ユーザがディスプレイから情報を必要とするとき、保護カバー22を外すだけであり、すなわち、ディスプレイ8が露出する。この目的のために、保護カバー22は、適切な、機械的に解放可能な接続、たとえばラッチもしくはスナップ接続(いずれの場合も図示せず)または少なくとも1つのホルダを介して、救助装置1のハウジング2に固定することができる。必要に応じて、
図4に示すように、ディスプレイ8を露出させるために、接続を解放することができるので、保護カバー22を外すことができる。
【0050】
図5に係る救助装置1の実施形態では、保護カバー22は、保管中および動作中、救助装置1に留められたままである。しかし、ディスプレイ8またはハウジング2に対するその位置は、変えることができる。
図5に示す例では、保護カバー22は、工具の半体6a、6bの方向に、つまり、救助装置1の主なる長さに沿って移動させることができるように、ハウジング2またはディスプレイ8に固定されており、その結果、ディスプレイ8が露出する。操作者が情報を受け取れば、保護カバー22は、ディスプレイ8上の最初の位置に戻される。
【0051】
あるいは、
図6に示すように、保護カバー22の固定はまた、保護カバー22をディスプレイ8の脇へ開くことができるように設計することができる。これにより、ディスプレイ8を敏速に露出させ、その後再度閉じることがまた可能になる。
【0052】
本発明の好適な実施形態によれば、ディスプレイ8はまた、いわゆる折り畳み式ディスプレイとして設計することができる。ここでも、ディスプレイ8は、保護層8aと、タッチフォイル8bと、実際のディスプレイ層列8cとを備える。しかし、この場合、保護層8aは、タッチフォイル8bと同様に、可撓性がなければならない。
図7bに係る折り畳み状態において、ディスプレイ8は、機械的損傷から保護される。ユーザは、情報を必要とする場合、
図7aに示すように折り畳み式ディスプレイを開くだけでよい。ディスプレイ8の下側に、ハウジング2の輪郭を大幅に簡略化して示す。
【0053】
特に好適な実施形態によれば、ディスプレイ8はまた、
図8に示すように、湾曲させることができる。
図8に係る例では、分かりやすくするために、それぞれの層8a、8b、および8cは、省略している。しかし、
図8に係る湾曲したディスプレイ8はまた、層列8a~8cを含み得る。湾曲したディスプレイ8は、使用時にユーザがビデオデータVDをさらに良好に見ることができることを確実にする。さらに、ディスプレイ8の湾曲は、ハウジング2の湾曲したコースに概ね適合する。
【0054】
図9から、どのようにして、データを救助装置1に転送することができるかが分かる。したがって、近距離通信、無線通信、または有線通信は、通信インタフェース20(
図2参照)を介して、ポータブルコンピュータ26、好適にはスマートフォンまたは手持ち式装置を用いて確立することができる。
図9に示す実施形態において、無線通信24が、ポータブルコンピュータ26と救助装置1との間で提供される。そして、ポータブルコンピュータ26のデータは、たとえばGSM(Global System for Mobile Communications)通信ネットワーク25またはWANネットワークを介して送信することができる。符号27は、GSM通信ネットワーク25の送信マストの例を示す。
【0055】
通信インタフェース20は、たとえば、近距離通信インタフェースまたはRIFD系インタフェース(NFCインタフェースとも称す)である。このような通信により、ポータブルコンピュータ26またはスマートフォンを救助装置1の開閉ループ制御ユニット21内の対応する受信部に近づけることにより、データを送信することができる。
【0056】
あるいは、好ましくはBluetoothインタフェースまたはWLANインタフェースである、最大範囲が100mである無線通信インタフェースがまた、設けることができる。あるいは、または、さらに、ポータブルコンピュータ26から救助装置1に、ケーブルによりデータを転送することがまたできる。
【0057】
救助装置はまた、ディスプレイ8を介して、すなわち、ディスプレイ8を操作することにより、有利にオンおよび/またはオフに切り換えることができる。したがって、別個の機械的なオン/オフスイッチは、もはや必要ない。
【0058】
本実施例の救助装置1はまた、スプレッダー、または、切断および拡張の両方に使用することができるいわゆる複合装置であってもよいことを強調しておく。同様に、本発明に係る救助装置はまた、1つのハンドグリップのみを有し、かつ、使用時に操作者が片手のみで誘導する、いわゆる救助シリンダであってもよい。救助シリンダを使用するとき、必要に応じて、動作中に、ユーザガイダンスデータを敏速に引き出すことができることがまた、非常に重要である。
【0059】
なお、本明細書に記載の発明の個々の実施形態の特徴の部分的な組み合わせも、本発明の主題に含まれるとみなされることに留意されたい。
【符号の説明】
【0060】
1 救助装置
2 ハウジング
3 第1のハンドグリップ
4 第2のハンドグリップ
5 シリンダ
6a 工具の半体
6b 工具の半体
7 カバー
8 ディスプレイ
8a 保護層
8b タッチフォイル
8c ディスプレイ層列
9 ハンドル
10 機械的リンク機構
11 油圧シリンダ
12 ピストンロッド
13 多方弁
14 油圧ポンプ
15 バッテリー
16 油圧タンク
17 補償装置
18 プロセッサ
19 メモリ
20 通信インタフェース
21 開閉ループ制御ユニット
22 保護カバー
23 スピーカー
24 無線通信
25 GSM通信ネットワーク
26 ポータブルコンピュータ
27 送信マスト
VD ビデオデータ
AD 音声データ
【国際調査報告】