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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】AV同期中隔ペーシング
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/365 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
A61N1/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503812
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2020041882
(87)【国際公開番号】W WO2021015984
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】16/521,000
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,スバム
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK08
(57)【要約】
植え込み型医療システムは、心室中隔壁を使用して房室同期ペーシングを提供し得る。このシステムは、患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、左心室の電気的活動を検知するために、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な心臓内ハウジング、または第1の医療用リードに結合された心室電極と、患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、右心房の電気的活動を検知するために、リードレットまたは第2の医療用リードに結合された右心房電極と、を含み得る。右心室電極は、心臓内ハウジングまたは第1の医療用リードに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能であり、患者の心臓の右心室に心臓治療を送達するか、または右心室の電気的活動を検知し得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓のためのリードレス植え込み型医療機器であって、
前記患者の心臓の右心室に植え込み可能な心臓内ハウジングと、
前記患者の心臓の三尖弁を通って前記患者の心臓の右心房に延在することができる、前記心臓内ハウジングに結合されたリードレット(leadlet)と、
前記心臓内ハウジングおよび前記リードレットの一方または両方に結合された複数の電極であって、前記複数の電極は、
前記患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または前記左心室の電気的活動を検知するために、前記患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な心室電極と、
前記患者の心臓の前記右心房に心臓治療を送達するか、または前記右心房の電気的活動を検知するために、前記リードレットに結合され、植え込み可能な右心房電極と、を含む、複数の電極と、
心臓治療を前記患者の心臓に送達するために前記複数の電極に動作可能に結合された治療送達回路と、
前記患者の心臓の電気的活動を検知するために前記複数の電極に動作可能に結合された検知回路と、
前記治療送達回路および前記検知回路に動作可能に結合された処理回路を備えるコントローラであって、前記コントローラが、
前記右心房電極と前記心室電極の一方または両方を使用して電気的活動を監視し、
前記監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するように構成されている、コントローラと、を含む、機器。
【請求項2】
心臓治療を送達することは、心臓再同期治療を送達することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記複数の電極は、前記患者の心臓の前記右心室に植え込み可能な右心室電極をさらに含み、前記右心室に心臓治療を送達するか、または前記右心室の電気的活動を検知する、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項4】
前記右心室電極および前記右心室電極の遠位にある前記心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含む、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記右心室電極は、右束枝に近接する前記患者の心臓の基部に植え込み可能であり、前記心室電極は、左束枝に近接する前記患者の心臓の前記基部に植え込み可能である、請求項3~4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
前記心臓内ハウジングに結合され、前記心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含み、前記組織貫通電極アセンブリは、前記心室電極を前記左心室の血液量に送達しない、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記心室電極を含む螺旋電極アセンブリを含む組織貫通電極アセンブリをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
前記心室電極を含むダーツ電極アセンブリを含む組織貫通電極アセンブリをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
前記右心房電極は、前記患者の心臓の前記右心房の心内膜に植え込み可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項10】
前記心室電極は、前記患者の心臓の前記左心室の心内膜に植え込み可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
前記心室電極は、前記右心室の前記心室中隔壁を通って前記左心室の前記心内膜に植え込み可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項12】
前記心室電極は、前記患者の心臓の尖部に近接するか、前記患者の心臓の中央中隔部分に近接するか、または前記患者の心臓の前記基部に近接する前記心室中隔壁に植え込み可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項13】
前記右心室の前記心内膜に結合可能な前記心臓内ハウジングに動作可能に結合された固定アセンブリをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【請求項14】
前記コントローラは、血管外植え込み型医療機器に動作可能に結合可能な無線通信インターフェースをさらに含み、前記コントローラは、前記血管外植え込み型医療機器を使用して電気的活動を監視するようにさらに構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、植え込み型医療システムおよび方法、特に、患者の心臓の同期ペーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓伝導系は、洞房(SA)結節、房室(AV)結節、ヒス束、束枝、およびプルキンエ線維を含む。心拍は、心臓の自然な「ペースメーカー」として説明され得るSA結節において開始される。SA結節から生じる電気インパルスにより、心房心筋が収縮する。信号は、心室が収縮し始める前に心房が収縮を停止させるように伝導を先天的に遅らせるAV結節を介して心室に伝導され、それによって適切なAV同期を提供する。電気インパルスは、AV結節から、ヒス束、束枝、およびプルキンエ線維を介して心室心筋へ伝導される。
【0003】
AV結節の伝導不良またはSA結節機能の低下などの伝導系異常のある患者は、ペースメーカーなどの植え込み型医療機器(IMD)を受容し、より正常な心臓リズムとAV同期を回復することがある。心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)、または心臓再同期治療(CRT)機器など、いくつかのタイプのIMDは、心臓内または心臓に隣接して位置付けられている1つ以上の植え込み型の心内膜、心外膜、または冠状静脈リードにおける電極を介して、患者の心臓に治療用電気刺激を提供する。治療用電気刺激は、ペーシング、電気的除細動、または除細動のためのパルスまたはショックの形で心臓へ送達され得る。場合によっては、IMDは、心臓の内因性脱分極を検知し、その検知に基づいて心臓への治療用刺激の送達を制御し得る。
【0004】
心臓への治療用電気刺激の送達は、患者において発生することがある心室同期不全などの心臓状態に対処するのに有用である可能性がある。心室同期不全は、心臓の異なる心室における同期の欠如、または収縮のタイミングの違いとして説明され得る。収縮のタイミングの大きな違いは、心臓の効率を低下させる可能性がある。IMDによって心臓に送達されるCRTは、心臓の心室の電気機械的活動を再同期させることによって心拍出量を高めることがある。CRTは、CRTが3つのチャンバ、すなわち、右心房、右心室、および左心室にペーシングを送達するため、「トリプルチャンバペーシング」と称されることがある。
【0005】
心不整脈は、例えば、ICDからの心臓ペーシングに加えて心臓を電気的除細動または除細動するための電気ショック治療を送達することによって治療され得、ICDは、患者の心臓リズムを検知し、頻脈または細動の発症を検出するために不整脈検出スキームに従ってリズムを分類し得る。検出される不整脈は、心室性頻脈(VT)、速い心室性頻脈(FVT)、心室細動(VF)、心房性頻脈(AT)、および心房細動(AT)を含み得る。多くの単形性の速いリズムを実質的に終了させるために、抗頻脈ペーシング(ATP)の無痛治療が心室頻脈(VT)を治療するために使用され得る。ATPは無痛であるが、ATPはすべてのタイプのVTに効果的な治療を送達しないことがある。例えば、ATPは、形態が変化する多形性VTにはそれほど効果的ではないことがある。多形性VTおよび心室細動(VF)は、より致命的である可能性があり、ショックによる迅速な治療が必要になることがある。
【0006】
デュアルチャンバ医療機器が利用可能であり、デュアルチャンバ医療機器は、右心房に配置され得る経静脈心房リード搬送電極と、右心房を介して右心室に配置され得る経静脈心室リード搬送電極とを含む。デュアルチャンバ医療機器自体は、一般的に皮下ポケットに植え込まれ、経静脈リードは皮下ポケットにトンネルされる。デュアルチャンバ医療機器は、心房電気信号および心室電気信号を検知し、正常な心臓リズムおよびAV同期を促進するために必要に応じて心房ペーシングおよび心室ペーシングの両方を提供することができる。いくつかのデュアルチャンバ医療機器は、心房性不整脈および心室性不整脈の両方を治療することができる。
【0007】
リードレスペースメーカーなどの心臓内医療機器は、患者の心臓内に完全に植え込むために導入または提案されており、経静脈リードの必要性を排除する。リードレスペースメーカーは、治療用電気信号を送達するため、および/または心臓の内因性脱分極を検知するために、その外側ハウジングに1つ以上の電極を含み得る。心臓内医療機器は、患者の心臓のシングルチャンバ内で、検知およびペーシングなどの心臓治療機能を提供し得る。シングルチャンバ心臓内機器は、心房性または心室性の不整脈または細動のいずれかを治療することもできる。いくつかのリードレスペースメーカーは心臓内式ではなく、心臓の外側に位置付けられ得、いくつかの例では、固定機構を介して心臓の壁に固定され得る。
【0008】
一部の患者では、シングルチャンバ機器は患者のニーズに適切に対応することがある。しかしながら、シングルチャンバの検知および治療のみが可能なシングルチャンバ機器は、すべての患者、例えば、一部の形態のAV同期不全を持つ患者の心臓伝導性疾患または異常に完全に対応しないことがある。
【発明の概要】
【0009】
本開示の技法は、概して、心室中隔壁を使用する患者の心臓の同期ペーシングのための植え込み型医療システムおよび方法に関する。これらの技法は、既存のリード付きシステムよりも少ないリードを使用することによって、起こりうる感染の減少を促進し、心臓治療、特に心臓再同期治療ための植え込みの容易さを促進し得る。植え込み型医療システムは、右心房電極および心室電極を含み、患者の心臓のデュアルまたはトリプルチャンバペーシングを提供し得る。電極のうちの少なくとも1つは、例えば、三尖弁を横切ってまたは三尖弁を通って延在する、リードレットに結合され得る。心室電極は、左心室中隔壁のペースを調整し得る。右心室電極もまた、心室電極と同じ機器に含まれ得る。システムによっては、心臓内機器、場合によっては、1つの心臓内機器のみを使用してデュアルチャンバまたはトリプルチャンバペーシングを提供することがある。例示的な植え込み型医療システムのいくつかは、皮下ポケットを作成する必要なしに、またはリードを有する別個の機器を使用することなく、そのようなペーシングを提供することがある。
【0010】
一態様では、本開示は、患者の心臓の右心室に植え込み可能な心臓内ハウジングと、患者の心臓の三尖弁を通って患者の心臓の右心房に延在することができる、心臓内ハウジングに結合されたリードレットと、心臓内ハウジングおよびリードレットの一方または両方に結合された複数の電極と、を含む、患者の心臓のためのリードレス植え込み型医療機器を提供する。複数の電極は、患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または左心室の電気的活動を検知するために、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な心室電極を含む。複数の電極は、患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知するために、リードレットに結合され、植え込み可能な右心房電極も含む。機器は、心臓治療を患者の心臓に送達するために複数の電極に動作可能に結合された治療送達回路、患者の心臓の電気的活動を検知するために複数の電極に動作可能に結合された検知回路、ならびに治療送達回路および検知回路に動作可能に結合された処理回路を有するコントローラをさらに含む。コントローラは、右心房電極および心室電極の一方または両方を使用して電気的活動を監視し、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するように構成される。
【0011】
別の態様では、本開示は、患者の心臓の右心室に植え込み可能な心臓内ハウジング、患者の心臓の右心房に植え込み可能な植え込み型医療用リード、および複数の電極を含む植え込み型医療システムを提供する。複数の電極は、患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または左心室の電気的活動を検知するために、心臓内ハウジングに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な心室電極を含む。複数の電極は、患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知するために、リードに結合され、植え込み可能な右心房電極を含む。本システムは、心臓内ハウジングに含まれ、かつ心室電極に動作可能に結合された処理回路を有する第1のコントローラをさらに含む。本システムは、植え込み型医療用リードに結合され、かつ右心房電極に動作可能に結合された処理回路を有する第2のコントローラをさらに含む。第1のコントローラは、第2のコントローラと無線通信して、右心房電極および心室電極の一方または両方を使用して電気的活動を監視し、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するように構成される。
【0012】
別の態様では、本開示は、患者の心臓のための植え込み型医療ハウジングと、植え込み型医療ハウジングに結合され、患者の心臓の右心室を介して心室中隔壁に植え込み可能な第1の医療用リードと、植え込み型医療ハウジングに結合され、患者の心臓の右心房に植え込み可能な第2の医療用リードと、複数の電極と、を含む植え込み型医療機器を提供する。複数の電極は、患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または左心室の電気的活動を検知するために、第1の医療用リードに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能である左心室電極と、患者の心臓の右心室に心臓治療を送達するか、または右心室の電気的活動を検知するために、第1の医療用リードに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能である右心室電極と、患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、右心房の電気的活動を検知するために、第2の医療用リードに結合され、植え込み可能な右心房電極と、を含む。この機器は、心室電極および右心房電極に動作可能に結合された処理回路を有するコントローラを含む。コントローラは、左心室電極、右心室電極、および右心房電極のうちの1つ以上を使用して電気的活動を監視するように構成されている。コントローラはまた、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するように構成されている。
【0013】
別の態様では、本開示は、患者の心臓の心室に心臓治療を送達するか、または心室の電気的活動を検知するために、心臓内ハウジングまたは第1の医療用リードに結合された心室電極を患者の心臓の心室中隔壁に植え込むことと、患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知するために、リードレットまたは第2の医療用リードに結合された右心房電極を患者の心臓の右心房に植え込むことと、心室電極、右心房電極、またはその両方を使用して電気的活動を監視することと、心室電極または右心房電極のうちの少なくとも1つを使用して監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することと、を含む方法を提供する。
【0014】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本開示に記載される技法の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】患者に心臓治療を提供するために使用され得る植え込み型医療システムを示す図である。
図2図1の植え込み型医療システムを示す概略図である。
図3】リードレットを備えた心臓内医療機器を含む、図1の植え込み型医療システムの第1の例を示す断面図である。
図4】心臓内医療機器およびリード付き医療機器を含む、図1の植え込み型医療システムの第2の例を示す断面図である。
図5】リード付き医療機器を含む、図1の植え込み型医療システムの第3の例を示す断面図である。
図6図1の植え込み型医療システムで使用するための心臓内植え込み型医療機器の第1の例を示す斜視図である。
図7図1の植え込み型医療システムで使用するための心臓内植え込み型医療機器の第2の例を示す斜視図である。
図8図1の植え込み型医療システムで使用するための植え込み型医療機器の一例を示す概略図である。
図9図1図8の植え込み型医療システムおよび機器で使用するための電極装置、表示装置、およびコンピューティング装置を含む外部装置の図である。
図10図9の外部装置で使用するための胴体表面電位を測定するための外部電極装置の2つの例の図である。
図11図9の外部装置で使用するための胴体表面電位を測定するための外部電極装置の2つの例の図である。
図12】例えば、図1図11の植え込み型医療システム、機器、および装置で使用するために、患者に心臓治療を提供するための方法の一例の流れ図である。
図13】例えば、図1図8の植え込み型医療システムで使用するために、植え込み位置を決定するための方法の一例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、心室中隔壁または心室中隔を使用して患者の心臓の同期ペーシングのための植え込み型医療システムおよび方法を提供する。本開示の技法は、既存のリード付きシステムよりも少ないリードを使用することによって、起こり得る感染の減少を促進し、心臓治療、特に心臓再同期治療(CRT)のための植え込みの容易さを促進し得る。植え込み型医療システムは、右心房電極および心室電極を含み、患者の心臓のデュアルまたはトリプルチャンバペーシングを提供し得る。電極のうちの少なくとも1つは、リードレットに結合され得る。心室電極は、左心室中隔壁のペースを調整し得る。右心室電極もまた、心室電極と同じ機器に含まれ得る。システムによっては、心臓内機器、場合によっては、1つの心臓内機器のみを使用してデュアルチャンバまたはトリプルチャンバペーシングを提供することがある。例示的な植え込み型医療システムのいくつかは、皮下ポケットを作成する必要なしに、またはリードを有する別個の機器を使用することなく、そのようなペーシングを提供することがある。
【0017】
本明細書で使用する場合、「または」という用語は、概してその包括的な意味で用いられ、例えば、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を意味する。「および/または」という用語は、1つもしくはすべての列記された要素、または列記された要素のうちの少なくとも2つの組み合わせを意味する。
【0018】
「結合された」または「接続された」という用語は、直接に(すなわち、互いに直接接触して)または間接的に(すなわち、2つの要素の間にそれらの2つの要素を取り付ける1つ以上の要素を有して)互いに取り付けられた要素を指す。いずれの用語も、結合または接続が、本開示に記載されるか、または本開示の利益を有する当業者に知られている機能性を実行するために構成要素が相互作用することを可能にするように構成されていることを記載するために、互換的に使用され得る、「動作的に」および「動作可能に」によって修飾されることがある。
【0019】
ここで、本開示に記載されている1つ以上の態様を示す図面を参照する。しかしながら、図面に示されていない他の態様は、本開示の範囲内にあることが理解されよう。図で使用されている同様の番号は、同様の構成要素、ステップなどを指す。しかしながら、所与の図における要素を参照するために参照文字を使用することは、同じ参照文字でラベル付けされた別の図における要素を制限することを意図していないことが理解されよう。加えて、異なる図における要素を参照するために異なる参照文字を使用することは、異なる参照要素が同じまたは類似することができないことを示すことを意図していない。
【0020】
図1図2は、患者に心臓治療を送達するためにシングルまたはマルチチャンバペーシングを提供するために使用され得る植え込み型医療システムの一例を示す。図1は、患者に対するシステムの機器または構成要素の様々な位置のいくつかの例を示し、図2は、システムおよび患者の概略図を示す。
【0021】
図示のように、植え込み型医療システム100は、患者102の体に結合され得る。一般に、システム100は、患者102の心臓104(または患者の心臓)の電気的活動または他の活動を監視することができ、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することができる。システム100は、システム100内の機器または構成要素のうちの1つ以上を使用して、複数チャンバペーシング、例えば、デュアルまたはトリプルチャンバ同期ペーシングを使用するCRTなどの様々なタイプの心臓治療を提供することができる。特に、システム100は、房室(AV)同期ペーシングを心臓104の2つ以上のチャンバに送達することができる。一例では、システム100は、例えば、3つのチャンバ同期ペーシングを容易にするために、左心室(LV)、右心室(RV)、および右心房(RA)の各々にペーシングを送達することができる。
【0022】
システム100は、心臓内植え込み型医療機器106(または心臓内IMD)、リード付き植え込み型医療機器108(またはリード付きIMD)、血管外植え込み型医療機器110(または血管外IMD)、および外部装置112のうちの1つ以上など、AV同期ペーシングを送達するための任意の数の構成要素を含み得る。一般に、これらの機器の1つ以上は、1つ以上の電極を含む。システム100のこれらの機器のうちの1つ以上は、個別にまたは協調して、心臓104の電気的活動を監視し、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することが可能であり得る。
【0023】
心臓内IMD106は、心臓104の1つ以上のチャンバに植え込まれ得る。本明細書で使用される場合、「心臓内」機器は、心臓104内に完全に植え込まれるように構成された機器を指す。一例では、心臓内IMD106は、心臓104のRVに植え込まれる。
【0024】
心臓内IMD106は、リードレスIMDとして記載され得る。本明細書で使用される場合、「リードレス」は、心臓104から延在するリードがない機器を指す。言い換えれば、リードレス機器は、患者の心臓の外側から患者の心臓の内側に延在していないリードを有し得る。いくつかのリードレス機器は、静脈を通って導入され得るが、一旦植え込まれると、機器は、いずれの経静脈リードも含んでいないまたは含まない場合があり、いずれの経静脈リードも使用することなく心臓療法を提供するように構成され得る。一例では、RV内に植え込まれたリードレス機器は、特に、機器のハウジングがRV内に位置付けられたときに、心室内の電極に動作可能に接続するためのリードを使用しない。
【0025】
1つ以上の電極は、心臓内IMD106の心臓内ハウジングに直接または間接的に結合され得る。1つ以上の電極はリードレスであり得る。本明細書で使用される場合、「リードレス」電極は、電極と機器のハウジングとの間に延在する、リードなしで、またはリードを使用することなく機器に動作可能に結合された電極を指す。
【0026】
心臓内IMD106は、1つ以上のリードレットを含み得る。本明細書で使用される場合、「リードレット」という用語は、患者の心臓104に植え込まれた機器のハウジングから延在し、患者の心臓内に留まる細長い構造を指す。言い換えれば、リードレットは患者の心臓104の外側に延在していない。場合によっては、リードレットは、心臓104の1つのチャンバから心臓の別のチャンバまで延在し得る。例えば、リードレットの近位端は、RVに植え込まれた心臓内機器のハウジングに結合され得、リードレットの本体は、リードレットの遠位端がRA内に位置付けまたは植え込まれるように、三尖弁を通って延在し得る。
【0027】
リード付きIMD108は、リード付きIMDの植え込み型医療ハウジングに結合された1つ以上の植え込み型医療用リードを含み、心臓104内に植え込み可能な1つ以上の電極を含み得る。1つ以上の電極は、リード付きIMD108のハウジングに直接または間接的に結合され得る。例えば、電極のうちの1つ以上は、リード付きIMD108のハウジングにリードでつながれるか、またはリードによってハウジングに間接的に結合され得る。リード付きペースメーカーなど、任意の好適なタイプのリード付きIMD108が使用され得る。
【0028】
1つ以上の電極は、心臓104の1つ以上のチャンバに植え込まれ得る。一例では、リード付きIMD108は、RAリードを介して心臓104のRA内に植え込まれたRA電極を含むか、または有し得る。別の例では、リード付きIMD108は、RA内に植え込み可能なRA電極に結合されたRAリードを含むか、または有し得る。さらに、リード付きIMD108は、RV内に植え込まれたRV電極およびLV内に植え込まれたLV電極に結合されたRVリードを含むか、または有し得る。
【0029】
リード付きIMD108のハウジングまたはカンは、心臓104の外側の血管外の位置に植え込まれ得る。例えば、リード付きIMD108のハウジングは、患者102の皮下ポケットに植え込まれ得る。このようにして、植え込まれるときに、リード付きIMD108の一部は、心臓104内に位置付けられ得、リード付きIMDの他の部分を心臓の外側に位置付けられ得る。
【0030】
血管外IMD110は、心臓104の外側の血管外位置に植え込まれる。例えば、血管外IMD110は、患者102の皮下ポケットに植え込まれ得る。血管外IMD110は、ハウジングまたはカンを含み得、1つ以上のリードを含み得る。典型的には、血管外IMD110は、心臓104内に延在する部分を含まない。任意の好適なタイプの血管外IMD110が使用され得、これらは、血管外植え込み型除細動器(EVICD)または皮下機器(SD)を含むか、またはそれらとして記載されることがある。
【0031】
血管外IMD110は、心臓104に特定のタイプの心臓治療を提供することができる。例えば、心臓内IMD106またはリード付きIMD108は、血管外IMD110と無線で通信して、血管外IMDを使用して実行されるショック治療(例えば、除細動)をトリガすることができる。IMD106、108とIMD110との間の無線通信は、心臓内IMD106のRA電極または患者の組織を通って伝導し、血管外IMD110によって検出可能であるリード付きIMD108によって提供される独特の、シグナリング、またはトリガする電気パルスを使用することができる。さらに、そのような無線通信は、心臓内IMD106またはリード付きIMD108のアンテナを含み得る通信インターフェースを使用して、患者の組織を通って伝播し、血管外IMD110のアンテナも含み得る、例えば、通信インターフェースを使用して検出可能な電磁放射を提供し得る。
【0032】
外部装置112は、様々な植え込み位置(例えば、空間位置、植え込み深度など)および/またはペーシング設定(例えば、パルス幅、パルスタイミング、パルス振幅など)の評価を容易にするための1つ以上の構成要素を含み得る。例えば、心臓内IMD106、リード付きIMD108、または血管外IMD110の1つ以上の電極によって送達される植え込み位置および/またはペーシングは、外部装置112を使用して評価され得る。外部装置112は、図9図11に関して本明細書でさらに記載されるように、電極装置、表示装置、およびコンピューティング装置のうちの1つ以上を含み得る。一例では、外部装置112の電極装置は、様々な植え込み位置および/またはペーシング設定を評価するために使用され得る電気的不均一性情報(EHI)を提供するように構成された複数の電極を含み得る。
【0033】
一般に、システム100の構成要素のうちの任意の1つ以上は、例えば、有線または無線で互いに通信することができる。機器106、108、110のうちの1つ以上は、通信インターフェースおよび処理回路を有するコントローラを含み得る。例えば、心臓内IMD106は、無線で通信するために、リード付きIMD108または血管外IMD110に動作可能に結合され得る。リード付きIMD108は、無線で通信するために、血管外IMD110に動作可能に結合され得る。各機器のコントローラは、それぞれの機器または装置の電極など、様々な他の機器および/または構成要素に動作可能に結合され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、同期AV中隔ペーシングを提供するために、RA電極は、固有の心房電気的活動を検知するか、または心房のペーシングを行い、RVおよびLV電極は、心房検知または各心周期のペーシングイベント後のプログラムされた間隔(AV間隔)でRVおよびLVのそれぞれのペーシングを行う。RV電極とLV電極との間にプログラムされた電気的遅延(VV遅延)もあってもよく、その結果、2つの心室のペーシングは、同時にではなく連続的となる。血管外IMDは、固有の心房電気的興奮のための追加の検知機能を有し得、心房イベント後にプログラムされた時間間隔で心室のペーシングをトリガするために体内信号(信号パルスなど)を送信し得る。血管外IMDは、心室の電気的イベントの検知機能も有し得、心室頻脈の検出時に除細動できる血管外除細動リードと結合され得る。
【0035】
本明細書に記載の、心臓内IMD106、リード付きIMD108、血管外IMD110、または外部装置112などの、システム100の構成要素またはシステム100の機器のうちの1つ以上は、中央処理ユニット(CPU)などの処理回路もしくはプロセッサ、コンピュータ、論理アレイ、またはシステム、機器、もしくは装置に出入りするデータを方向づけることができる他の機器を有するコントローラを含み得る。コントローラは、メモリ、処理、および通信ハードウェアを有する1つ以上のコンピューティング機器を含み得る。コントローラは、コントローラの様々な構成要素を一緒に、またはコントローラに動作可能に結合された他の構成要素と結合するために使用される回路を含み得る。コントローラの機能は、ハードウェアによって、および/または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータ命令として行われ得る。
【0036】
コントローラの処理回路は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または同等の離散もしくは集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの例では、プロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のDSP、1つ以上のASIC、および/または1つ以上のFPGA、ならびに他の離散または集積論理回路の任意の組み合わせなどの複数の構成要素を含み得る。本明細書におけるコントローラまたはプロセッサに帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具体化され得る。本明細書ではプロセッサベースのシステムとして記載されているが、代替的なコントローラは、リレーおよびタイマーなどの他の構成要素を利用して、単独で、またはマイクロプロセッサベースのシステムと組み合わせて、所望の結果を達成することができる。
【0037】
例示的なシステム、機器、装置、方法、および他の機能は、1つ以上のプロセッサおよび/またはメモリを含み得るコンピューティング装置を使用する1つ以上のコンピュータプログラムを使用して実装され得る。本明細書に記載のプログラムコードおよび/または論理を入力データ/情報に適用して、本明細書に記載の機能を実施し、所望の出力データ/情報を生成し得る。出力データ/情報は、1つ以上の他のシステム、機器、装置、および/または方法への入力として適用され得る。上記を考慮して、本明細書に記載されるコントローラ機能は、本開示の利益を有する当業者に知られている任意の方法で実装され得ることが容易に明らかであろう。
【0038】
システム100は、心臓治療を提供するために様々な構成で用いられ得る。例えば、システム100は、心室中隔壁のLV側、または心室中隔を利用して、CRTを提供し得る。一例では、システム100は、経静脈リードを使用せずに、または皮下ポケットを作成せずに、心室中隔壁のRV側およびLV側の両方、またはRV中隔およびLV中隔のペーシングをそれぞれ行うように構成された心臓内IMD106を含み得る。
【0039】
さらに、例えば、心臓内IMD106を含むシステム100は、完全心臓内植え込み型医療システムとして構成され得る。一例では、システム100は、RV中隔のペーシングの有無にかかわらず、LV中隔のペーシングを行うように構成され得る。別の例では、心臓内IMD106のハウジングは、RV中隔を貫通してLV中隔またはRVとLV中隔の両方のペーシングを行うためにねじ込み螺旋でRV心内膜に植え込まれ得、これは、機器をLV血液量、またはLV心内膜血液プールにさらさずに心臓内ペースメーカーを用いてLV心内膜中隔のペーシングを可能にし得る。心臓内IMD106は、右心房の検知/ペーシングのために右心房に固定することができるリードレットをさらに含み得る。
【0040】
1つの特定の例では、CRTのためにLV中隔のペーシングを行うように構成されたシステム100の心臓内IMD106は、心内膜RV中隔に植え込まれた心臓内ハウジングと、LV中隔のペーシングを行うペーシング電極で心室中隔を貫通するための螺旋またはねじ込み機構と、を含み得る。心臓内IMD106は、電極または他の構成要素をLV血液量に直接さらすことなく、RV中隔とLV中隔の両方もしくは尖部、またはLV中隔のみもしくは尖部のペーシングを行うように構成され得る。心臓内IMD106は、患者の心臓の電気的活動(例えば、P波など)を検知する、リード付きIMD108または血管外IMD110などの別の機器によってトリガされ得る。心臓内IMD106は、三尖弁を通ってRVからRAに延在するリードレットを含むことができ、これは、RAの検知またはペーシングのためにRAに固定され得、これは、完全な心臓内DDD両心室ペースメーカーを提供すると説明され得る。
【0041】
別の例では、システム100は、リード付きIMD108のみを含み得る。さらに別の例では、システム100は、心臓内IMD106とリード付きIMD108の両方を含み得る。
【0042】
図3図5は、心臓治療のためのシングルまたはマルチチャンバペーシングを提供するための心臓内IMD106およびリード付きIMD108の一方または両方の特定の例を含む、植え込み型医療システム100の構成の様々な例を示す。図3は、心臓104内の心臓内IMD202の一例を含む、システム100の構成200を示す。図4は、心臓内IMD252の一例およびリード付きIMD254の一例を含む、システム100の構成250を示す。図5は、リード付きIMD272の一例を含む、システム100の構成270を示す。
【0043】
図3に示されるように、構成200は、心臓104のRV206内に植え込み可能であるか、位置付けられるか、または配設されたハウジング204を有する心臓内IMD202と、RV206から三尖弁212を介してRA210に延在するハウジング204に結合されたリードレット208とを含み得る。心臓内IMD202は、心臓内ハウジング204またはリードレット208に結合された複数の電極を含み得る。例えば、複数の電極は、心室電極214(またはLV電極)、RA電極216(または心房電極)、任意選択的なRV電極218、および任意選択的なハウジングベースの電極232(または共通電極)のうちの1つ以上を含み得る。
【0044】
心室電極214は、心臓治療を提供するために、心臓104のLV 222などの心室の1つを検知するか、またはこれのペーシングを行うために使用され得る。心室電極214は、ハウジング204に結合され得、ハウジング204から延在する別のリードレット(図示せず)にさえ結合され得る。心室電極214は、心臓104の心室中隔220に植え込まれ得る。特に、心室電極214は、LV中隔としても説明され得る心室中隔220におけるLV222の心内膜に植え込み可能であり得る。心室電極214は、RV206における心室中隔220、またはRV中隔を介してLV222の心内膜に植え込まれ得る。
【0045】
RA電極216は、RA210に心臓治療を送達するか、またはRA210の電気的活動を検知するために、心臓104のRA210の検知またはペーシングのために使用され得る。RA電極216は、リードレット208に結合され得る。RA電極216は、RA210の心内膜に植え込まれ得、これは、低い検知またはペーシング閾値を促進することができる。代替的に、RA電極216は、RA210の血液量に自由に浮遊するように植え込まれ得る。
【0046】
RV電極218は、心臓治療を提供するために心臓104のRV206の検知またはペーシングのために使用され得る。心室電極218は、ハウジング204に結合され得、ハウジング204から延在する別のリードレット(図示せず)にさえ結合され得る。RV電極218は、心臓104の心室中隔220に植え込まれ得る。特に、RV電極218は、RV中隔としても説明され得る心室中隔220におけるRV206の心内膜に植え込み可能であり得る。
【0047】
心臓内IMD202は、心臓104の同じまたは隣接するチャンバに対応する心臓組織に1つ以上の電極を位置付けるための組織貫通電極アセンブリ224を含み得る。任意の好適な形状を使用して、組織貫通電極アセンブリ224を形成し、心室電極214および任意選択的なRV電極218を位置付けることができる。例えば、組織貫通電極アセンブリ224は、螺旋形状またはダーツ形状を含み得る。
【0048】
組織貫通アセンブリ224は、ハウジング204の遠位端部分に結合され得る。リードレット208は、組織貫通電極アセンブリ224とは反対側(近位端部分)でハウジング204に結合され得る。
【0049】
組織貫通電極アセンブリ224は、心室電極214およびRV電極218を含み得る。例えば、心室電極214またはRV電極218は、組織貫通アセンブリ224を介してハウジング204に結合され得る。組織貫通電極アセンブリ224は、一般に細長く、LV中隔のペーシングを行うために心室電極214を位置付けるためにRV中隔を介して挿入されるように使用され得る。RV電極218は、組織貫通電極アセンブリ224に沿って心室電極214の近位に配設され得る。
【0050】
一般に、組織貫通電極アセンブリ224は、心室電極214をLV222の血液量に位置付けること、または送達することを行わない。例えば、組織貫通電極アセンブリ224の長さは、LV血液量への貫通を防止するようにサイズ決定され得る。一例では、組織貫通電極アセンブリ224の長さは、平均的な心室中隔の幅よりも短くてもよい。
【0051】
心臓内IMD202はまた、ハウジング204またはリードレット208を心臓104の組織に固定または取り付けるための固定アセンブリを含み得る。例えば、螺旋形状を有する組織貫通電極アセンブリ224は、固定アセンブリを含むか、または固定アセンブリとして機能するものとして説明され得る。代替的に、固定アセンブリは、別個のフック形状のタインなど、組織貫通アセンブリ224とは別個に形成され得る。
【0052】
組織貫通電極アセンブリ224は、心室中隔220に沿った様々な位置に植え込まれ得る。一例では、図示のように、組織貫通電極アセンブリ224は、心臓104の基部226または基底部分に近接する心室中隔220に植え込まれ得る。基部226に近接する植え込みは、例えば、右束枝に近接するRV電極218および左束枝に近接する心室電極214を位置付けることによって、デュアルバンドル検知およびペーシングを可能にし得る。別の例では、組織貫通電極アセンブリ224は、心臓104の中央中隔部分に近接する心室中隔220に植え込まれ得る。さらなる例では、組織貫通電極アセンブリ224は、心臓104の尖部230に近接する心室中隔220に植え込まれ得る。尖部230に近接する植え込みは、より少ない曲線または方向の変化を有する単純な送達システムの使用を促進し得る。一般に、これらの位置のいずれかでの心室中隔220における植え込みは、心臓104の他の中隔における植え込みよりも複雑ではないことがあり、他の植え込み位置と比較して比較的低い閾値を使用して検知およびペーシングをさらに促進し得る。
【0053】
心臓内IMD202はまた、ハウジングベースの電極232を含み得る。ハウジングベースの電極232は、他の電極のうちの1つ以上のための共通の参照として機能し得る。
【0054】
一般に、システム100のこの構成200は、RA電極216および心室電極214の一方または両方を使用して電気的活動を監視するために使用され得る、また、例えば、ハウジング204に含まれるコントローラを使用して、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するために使用され得る。例えば、この構成200は、各々がコントローラに動作可能に結合されたRA電極216、RV電極218、および心室電極214を使用して、RA210、RV206、およびLV222のための3チャンバAV同期心臓治療またはCRTを送達するために使用され得る。
【0055】
図4に示されるように、構成250は、心臓内IMD252およびリード付きIMD254を含み得る。構成250は、構成250が心臓内IMD252から延在するリードレットの代わりにリード付きIMD254を含むことを除いて、図3の構成200と同じまたは類似の構造または機能を有し得る。
【0056】
心臓内IMD252は、心臓内IMD252がリードレットを含まないことを除いて、図3に関して説明された心臓内IMD202に類似し得る。例えば、心臓内IMD252は、図3のIMD202に関して説明されたように、ハウジング204、心室電極214、RV電極218、組織貫通電極アセンブリ224、およびハウジングベースの電極232のうちの1つ以上を含み得る。心臓内IMD252は、心臓104の基部226、中央中隔228、または尖部230のいずれかで心室中隔220に植え込まれ得る。
【0057】
リード付きIMD254は、血管外位置に植え込み可能であるか、位置付けられるか、または配設されたハウジング256と、血管外位置から上大静脈260を介してRA210まで延在する、ハウジング256に結合された植え込み型医療用リード258と、を含み得る。リード付きIMD254は、ハウジング256またはリード258に結合された1つ以上の電極を含み得る。例えば、リード258に結合されたRA電極216およびハウジングベースの電極264。
【0058】
RA電極216は、心臓104のRA210に植え込まれ得る。ハウジングベースの電極264は、心臓内IMD252上のハウジングベースの電極232に追加して、またはその代替として、共通の参照電極として使用され得る。
【0059】
一般に、システム100のこの構成250は、電気的活動を監視するために使用され得、また、例えば、心臓内IMD252のハウジング204に含まれる第1のコントローラおよびリード付きIMD254のハウジング256に含まれる第2のコントローラを使用して、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するために使用され得る。例えば、心臓内IMD252の第1のコントローラは、RA電極216および心室電極214の一方または両方を使用して電気的活動を監視するために、リード付きIMD254の第2のコントローラと無線で通信するように構成され得る。
【0060】
コントローラは、例えば、無線通信インターフェースを使用して、または信号パルスを使用して電気的活動の監視および心臓治療の送達を実施するために、互いに動作可能に通信し得る。例えば、この構成250は、各々が、互いに無線通信している第1または第2のコントローラにそれぞれ動作可能に結合されたRA電極216、RV電極218、およびLV電極214を使用することによって、RA210、RV206、およびLV222のための3チャンバAV同期心臓治療またはCRTを送達するために使用され得る。
【0061】
図5に示されるように、構成270は、リード付きIMD272を含み得る。構成270は、構成270がRV206における心臓内IMDの代わりに心室リードを含むことを除いて、図4の構成250と同じまたは類似の構造または機能を有し得る。特に、リード付きIMD272は、リード付きIMD272がさらに心室リード274を含むことを除いて、図4に関して説明されたリード付きIMD254に類似している。例えば、リード付きIMD272は、ハウジング256、植え込み型医療用リード258(またはRAリード)、RA電極216、およびハウジングベースの電極264を含む。
【0062】
リード付きIMD272は、心室リード274を含み、これは、ハウジング256に結合され、心室中隔220に植え込み可能であり得る。特に、心室リード274は、上大静脈260を通って、RA210を通って、三尖弁212を通って、かつRV206に延在し得る。リード付きIMD254は、ハウジング256または心室リード274に結合された1つ以上の電極を含み得る。例えば、心室電極214は、心室リード274に結合され得る。
【0063】
リード付きIMD272は、リード付きIMD272の遠位端部分で心室リード274に結合された組織貫通電極アセンブリ224を含み得る。RV電極218はまた、組織貫通電極アセンブリ224に結合され得る。組織貫通電極アセンブリ224は、心臓104の基部226、中央中隔228、または尖部230のいずれかで心室中隔220に植え込まれ得る。
【0064】
一般に、システム100のこの構成270は、RA電極216および心室電極214の一方または両方を使用して電気的活動を監視するために使用され得、また、例えば、ハウジング256に含まれるコントローラを使用して、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達するために使用され得る。例えば、この構成270は、各々が心室リード274に結合された植え込み型医療用リード258に結合されたRV電極216ならびにRV電極218およびLV電極214を使用して、RA210、RV206、およびLV222のための3チャンバAV同期心臓治療またはCRTを送達するために使用され得、電極の各々は、コントローラに動作可能に結合されている。
【0065】
図6図7は、心臓治療のためのシングルまたはマルチチャンバペーシングを提供するために、RVからLVに向かって心室中隔に植え込むためにシステム100で使用され得る心臓内IMDの2つの例を示す。図6図7には示されていないが、心臓内IMDの各々は、RAに植え込まれるように近位に延在する心臓内ハウジング302の近位端領域308に結合されたリードレット208(図3)などのリードレットを含み得る。
【0066】
図6は、システム100で使用され得る心臓内IMDの第1の例を示す。心臓内IMD300は、シングルまたはマルチチャンバ心臓治療(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバ心臓治療)のためのペーシング治療を較正し、および/またはペーシング治療を送達するように構成され得る。心臓内IMD300は、ハウジング遠位端領域306からハウジング近位端領域308まで延在している、円筒状の外側側壁として示される、外側側壁304を有するか、または画定するハウジング302を含み得る。ハウジング302は、心室チャンバの電気信号の検知およびペーシングを含む、シングルまたはマルチチャンバ心臓治療を行うように構成された電子回路を封入し得る。送達ツールインターフェース部材310は、ハウジング近位端領域308上またはこれの近位に配設され得る。
【0067】
心臓内IMD300は、ハウジング遠位端領域306に結合された電気絶縁性遠位部材314を含み得る。複数の非組織穿孔電極、または非組織貫通電極は、絶縁性遠位部材314に直接結合され得る。
【0068】
組織貫通電極アセンブリ312は、ハウジング遠位端領域306に結合され得る。組織貫通電極アセンブリ312は、ハウジング遠位端領域306から離れる方向に延在することができる。組織貫通電極アセンブリ312は、ハウジング302の細長い形状に沿って延在する長手方向の中心軸318と同軸であり得る。
【0069】
組織貫通電極アセンブリ312は、螺旋の形態の固定アセンブリを含むか、またはそれと統合され得る。組織貫通電極アセンブリ312は、螺旋電極アセンブリとして記載され得る。
【0070】
組織貫通電極アセンブリ312は、電気的絶縁性シャフト320と、心室電極322(LV電極)および心室電極336(RV電極)などの1つ以上の電極を含み得、これらは、組織穿孔または組織貫通電極として記載され得る。心室電極322は、遠位カソード心室電極322として記載され得、心室電極336は、近位カソード心室電極336として記載され得る。
【0071】
組織貫通電極アセンブリ312は、「アクティブな」固定アセンブリとして記載され得る。組織貫通電極アセンブリ312は、螺旋状または螺旋のシャフト320を含み得る。螺旋シャフト320は、シャフト遠位端領域324からシャフト近位端領域326まで延在し得、シャフト近位端領域326は、絶縁性遠位部材314に直接連結され得る。螺旋シャフト320は、シャフト長さに沿った心臓組織の検知または刺激を回避するために、電気的絶縁性材料でコーティングされ得る。
【0072】
心室電極322は、シャフト遠位端領域324に、またはそれに近接して配設され得る。心室電極336は、ハウジング302に近いシャフト320に沿って心室電極322の近位に配設され得る。場合によっては、心室電極336は、シャフト近位端領域324に、またはそれに近接して配設される。
【0073】
マルチチャンバペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバペーシング)および検知のためのペースメーカーとしてIMD300を使用するときに、心室電極322は、カソード電極として使用され得、心室電極336または心室電極316は、各々、共通の戻りアノード電極として機能する近位ハウジングベースの電極328と対にされるカソード電極(RV電極)として使用され得る。代替的に、心室電極336、心室電極316、またはハウジングベースの電極328は、LV信号を検知し、LVペーシングパルスを送達するためのカソードとしての心室電極322(LV電極)と対にされる戻りアノード電極として機能し得る。
【0074】
近位ハウジングベース電極328は、ハウジング302を取り囲むリング電極であり得、長手方向側壁304の非絶縁部分によって画定され得る。電極として機能しないハウジング302の他の部分は、電気的絶縁性材料でコーティングされ得る。
【0075】
心室電極316は、非組織穿孔電極として記載され得る。複数の非組織穿孔電極は、組織貫通電極アセンブリ312の周囲にある絶縁性遠位部材314の周囲に沿って提供され得る。絶縁性遠位部材314は、心臓内IMD300の遠位方向に向く表面330を画定し得、ハウジングの長手方向側壁304に隣接する心臓内IMD300を取り囲む円周方向面332を画定し得る。図示のように、6つの非組織穿孔電極は、絶縁性遠位部材314の外周に沿って等距離で半径方向に離間され得る。一般に、1つ、2つ、またはそれ以上の非組織穿孔電極が提供され得る。
【0076】
心室電極322が心室中隔(またはLV中隔)のLV心筋内に植え込まれて位置付けられるときに、心室電極336は、心室中隔(またはRV中隔)のRV心筋内に植え込まれて位置付けられ得る。
【0077】
代替的または追加的に、心室電極322がLV心筋内に植え込まれて位置付けられるときに、少なくとも1つの心室電極316は、パルスを送達する、および/または患者の心臓によって生成された心臓電気信号を検知するために、RV組織表面に対して、それと密接に接触して、またはそれに動作可能に近接して位置付けられ得る。例えば、非組織穿孔電極は、遠位先端心室電極322がLV心筋などのLV中隔組織および/または心室伝導系の一部分と直接接触して位置付けられるまで、組織貫通電極アセンブリ312がRV中隔組織内に前進したときに、RV内でのペーシングおよび検知のためにRV心内膜組織と接触して位置付けられ得る。
【0078】
絶縁性遠位部材314の周囲に沿って複数の非組織穿孔電極を提供することにより、心臓表面、例えば、RV心内膜表面に対する組織貫通電極アセンブリ312およびハウジング遠位端領域306の角度が実質的に平行である必要はない場合がある。
【0079】
心室電極316は、ハウジング302に対して部分的面一であるか、面一であるか、または隆起するように、1つ以上の凹部334に配設され得る。非組織穿孔極は各々、遠位方向に向く表面330に沿って延在する第1の部分316aと、円周方向面332に沿って延在する第2の部分316bと、を含むように示されている。
【0080】
図7は、システム100で使用され得る心臓内IMDの第2の例を示す。心臓内IMD350は、ペーシング治療を較正する、および/またはペーシング治療を送達するように構成され、組織貫通電極アセンブリ352を含み得る。心臓内IMD350は、心臓内IMD350が異なる形態の組織貫通電極アセンブリおよび遠位ハウジングベースの電極を使用することを除いて、図6の心臓内IMD300と同じまたは類似の機能を有し得る。
【0081】
組織貫通電極アセンブリ352は、ダーツの形態の固定アセンブリを含むか、またはそれと統合され得る。組織貫通電極アセンブリ352は、ダーツ電極アセンブリとして記載され得る。
【0082】
心臓内IMD350は、ハウジング360を含み得る。ハウジング360は、検知回路、治療送達回路、制御回路(または処理回路を備えたコントローラ)、メモリ、通信インターフェース(または遠隔測定回路)、他の任意選択的なセンサ、および電源など、心臓内IMD350の内部構成要素が存在する密閉された内部空洞を画定し得る。ハウジング360は、カテーテル送達を容易にするために、遠位端領域362と近位端領域364との間にほぼ円筒形に延在していると記載され得る。代替的に、ハウジング360は、本明細書に記載された機能性および有用性を行うための任意の他の形状であってもよい。ハウジング360は、心臓内IMD350の植え込み中に送達ツールと係合するために、例えば、近位端領域364に送達ツールインターフェース部材を含み得る。
【0083】
ハウジング360の全部または一部は、心臓治療中、例えば、検知および/またはペーシングにおいて電極として機能し得る。示される例では、ハウジングベース電極358は、ハウジング360の近位部分を取り囲むように示されている。ハウジング360が導電性材料から形成される場合、ハウジング360の部分は、非導電性材料によって電気的に絶縁され、近位ハウジングベース電極358を画定するために露出された導電性材料の1つ以上の別個の領域を残すことができる。ハウジング360が、非導電性材料から形成される場合、導電性コーティングまたは層が、近位ハウジングベース電極24を形成するために、ハウジング30の1つ以上の別個の領域に適用され得る。他の例では、近位ハウジングベース電極358は、ハウジング360に取り付けられるか、または組み立てられるリング電極などの構成要素であってもよい。近位ハウジングベース電極358は、ハウジング360が非導電性材料である場合、例えば、導電性ハウジング360または導電体を介して心臓内IMD350の内部回路に電気的に結合され得る。示される例では、近位ハウジングベース電極358は、ハウジング遠位端領域362よりもハウジング近位端領域364の近くに位置している。
【0084】
組織貫通電極アセンブリ352は、心臓内IMD350の遠位端領域362に配設され得る。組織貫通電極アセンブリ352は、等しいまたは等しくない長さの1つ以上のシャフト368またはダーツに結合された心室電極366(またはLV電極)および心室電極370(またはRV電極)などの1つ以上の電極を含み得る。
【0085】
シャフト368は、ハウジング遠位端領域362から離れる方向に遠位に延在することができる。心室電極366は、シャフト368の自由な遠位端領域またはその近くに配設され得る。心室電極366は、鋭いまたは斜めのエッジを有する鋭い先端または針状の先端を使用することなく組織層内にかつ組織層を通って貫通するように比較的細い先端直径(例えば、1mm未満)を有する円錐形または半球形の遠位先端を有し得る。心室電極370は、ハウジング360のより近くにシャフト368に沿って心室電極366の近位に配設され得る。特に、心室電極366が心室中隔(またはLV中隔)のLV心筋内に植え込まれて位置付けられるときに、心室電極370は、心室中隔(またはRV中隔)のRV心筋内に植え込まれて位置付けられ得る。
【0086】
シャフト368は、通常は真っ直ぐな部材であってもよく、剛性であってもよい。代替的に、シャフト368は、比較的剛性であるが、依然として横方向に制限された可撓性を有すると記載され得る。さらに、シャフト368は、心臓運動に伴ういくらかの横方向屈曲を可能にするように非剛性であってもよい。しかしながら、弛緩状態では、いかなる外力も受けていないときに、シャフト368は、少なくともシャフト368の長手方向の高さだけハウジング遠位端領域362から離間して心室電極366を保持するように、示されたように真っ直ぐな位置を維持し得る。
【0087】
組織貫通電極アセンブリ352は、心室電極366を所望の組織層、例えば、心室心筋内に位置付けるために1つ以上の組織層を貫通するように構成され得る。したがって、シャフト368の長手方向の高さは、予想されるペーシング部位の深さに対応し得、シャフト368は、植え込み領域に押し付けられたときに横方向または半径方向への曲げに抵抗するために、その長手方向軸線に沿って比較的高い圧縮強度を有し得る。
【0088】
心臓内IMD350は、組織貫通電極アセンブリ352とは別個の固定アセンブリを含み得る。図示のように、固定アセンブリ356は、RV心内膜などの心臓組織に結合可能なハウジング360に動作可能に結合され得る。固定アセンブリ356は、示されているように3つの固定要素356a、356b、356cを含み得る。固定要素は、通常は湾曲した状態を有する「タイン」として記載され得る。タインは、送達ツール内で遠位方向に延ばされた状態で保持され得る。タインの遠位先端は、限られた深さまで心臓組織を貫通し得、その後、送達ツールから解放されると、(図示した)通常の湾曲状態へ近位方向に戻り、弾性的に湾曲する。さらに、固定アセンブリ356は、例えば、2017年6月13日に発行された米国特許第9,675,579号(Grubacら)、および2015年9月1日に発行された米国特許第9,119,959号(Rysら)に記載された1つ以上の態様を含み得る。
【0089】
いくつかの例では、心臓内IMD350は、心室電極370に加えて、またはその代替として、遠位ハウジングベースの心室電極354を含む。図示のように、心室電極354は、ハウジング360の遠位面上の部分、またはハウジング360の円周方向の外面上の部分を含み得る。
【0090】
マルチチャンバペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバペーシング)および検知のためのペースメーカーとしてIMD350を使用するときに、心室電極366をカソード電極として使用することができ、心室電極354または心室電極370は、各々、共通の戻りアノード電極として機能する近位ハウジングベースの電極358と対にされるカソード電極(RV電極)として使用され得る。代替的に、心室電極354、心室電極370、またはハウジングベースの電極358は、LV信号を検知し、LVペーシングパルスを送達するためのカソードとしての心室電極366(LV電極)と対にされる戻りアノード電極として機能し得る。
【0091】
組織貫通電極アセンブリ352は、心室心内膜表面を通ってLV血液量に穿孔することなく、標的植え込み領域のRV心内膜を通ってLV心筋に貫通するためのシャフト368の長手方向の高さを画定し得る。シャフト368の長手方向の高さが標的植え込み領域内に完全に前進するときに、心室電極366は、LV心筋内に留まり得、心室電極370または心室電極354は、RV心筋内に、またはRV心内膜に密接に接触して、もしくはそれにごく近接して位置付けられ得る。
【0092】
図8は、システム100のIMDの概略レイアウトの一例を示しており、これは、例えば、心臓治療のためにシングルまたはマルチチャンバペーシングを提供するために、心臓内IMD106、リード付きIMD108、または血管外IMD110のうちの1つ以上に使用され得る。図示のように、IMD400は、検知回路402、治療送達回路404、検知および治療送達回路に動作可能に結合された処理回路406(制御回路またはプロセッサ)、処理回路に動作可能に結合された通信インターフェース408(遠隔測定回路)、処理回路に動作可能に結合されたメモリ410、処理回路に動作可能に結合された1つ以上の他のセンサ412、および処理回路に動作可能に結合された電源414などの様々な構成要素を含み得る。これらの構成要素のうちの1つ以上は、ハウジング420内に含まれ得る。
【0093】
一般に、メモリ410は、IMD400の他の構成要素による後での取得および使用のために、処理回路406によって事前に決定、受信、または決定されるパラメータまたは他の情報もしくはデータを記憶するために使用され得る。電源414は、必要に応じて構成要素のうちの1つ以上を含むIMD400の回路に電力を供給し得る。電源414は、1つ以上の充電式または非充電式電池などの1つ以上のエネルギー貯蔵機器を含み得る。
【0094】
IMD400の構成要素は、心房または心室の電気心臓信号を共同で監視し、心臓治療が必要なときを決定し、ならびに/またはプログラムされた治療モードおよびパルス制御パラメータに従って患者の心臓に電気パルスを送達する。特に、検知回路402は、1つ以上の電極に動作可能に結合されて、LV、RV、およびRAののうちの1つ以上における心臓の電気的活動を監視し得る。例えば、検知回路402は、第1の心室電極422(LV電極)、第2の心室電極424(RV電極)、および心房電極426(RA電極)のうちの1つ以上に動作可能に結合され得る。検知回路402はまた、ハウジングベースの電極などの共通の参照電極(図示せず)に動作可能に結合され得る。
【0095】
検知回路402は、心房検知チャネル430および心室検知チャネル432のうちの一方または両方を含み得る。心房電極426は、心房検知チャネル430に動作可能に結合され得る。第1の心室電極422または第2の心室電極424は、心室検知チャネル432に動作可能に結合され得る。ハウジングベースの電極は、心室検知チャネル432に動作可能に結合され得る。
【0096】
治療送達回路404は、1つ以上の電極に動作可能に結合されて、CRTなどの心臓治療を、LV、RV、およびRAなどの心臓の1つ以上のチャンバに送達し得る。例えば、治療送達回路404は、第1の心室電極422(LV電極)、第2の心室電極424(RV電極)、および心房電極426(RA電極)のうちの1つ以上に動作可能に結合され得る。治療送達回路404はまた、ハウジングベースの電極などの共通の参照電極(図示せず)に動作可能に結合され得る。
【0097】
治療送達回路404は、心房ペーシングチャネル440および心室ペーシングチャネル442のうちの一方または両方を含み得る。心房電極426は、心房ペーシングチャネル440に動作可能に結合され得る。第1の心室電極422または第2の心室電極424は、心室ペーシングチャネル442に動作可能に結合され得る。ハウジングベースの電極は、心室ペーシングチャネル442に動作可能に結合され得る。治療送達回路404はまた、例えば、血管外IMDから心臓内IMDまでペーシング信号の形態で通信信号を送達するために使用され得る。
【0098】
一般に、IMD400は、とりわけ、徐脈ペーシング、CRT、ショック後ペーシング、および/またはATPなどの頻脈関連治療などの1つ以上のタイプの心臓治療を送達するように構成され得る。心房検知チャネル430および心室検知チャネル432は各々、それぞれの検知チャネルによって受信された心臓電気信号から、それぞれ、P波およびR波を検出するための心臓イベント検出回路を含み得る。心臓イベント検出回路は、1つ以上の選択可能な電極から受信された心臓電気信号を増幅、フィルタリング、デジタル化、および整流して、心臓電気イベントを検出するための信号品質を改善するように構成され得る。心臓イベント検出回路は、1つ以上の検知増幅器、フィルタ、整流器、閾値検出器、コンパレータ、アナログ-デジタル変換器(ADC)、タイマー、または他のアナログもしくはデジタル構成要素を含み得る。P波検知閾値およびR波検知閾値などの心臓イベント検知閾値は、例えば、処理回路406によって決定されるか、またはメモリ410に記憶されるタイミング間隔および検知閾値に基づいて、処理回路406の制御下で、各々それぞれの検知チャネルによって自動的に調整され得る。
【0099】
検知閾値交差に基づいて心臓電気イベントを検出すると、検知回路402は、処理回路406に渡される検知イベント信号を生成し得る。例えば、心房検知チャネル430は、P波検知閾値交差に応答して、P波検知イベント信号を生成し得る。心室検知チャネル432は、R波検知閾値交差に応答して、R波検知イベント信号を生成し得る。検知イベント信号は、心臓ペーシングパルスをスケジュールするために使用される基本時間間隔を制御するペーシングエスケープ間隔タイマーを設定するために、処理回路406によって使用され得る。検知イベント信号は、特定のプログラムされたペーシングモードに応じて、ペーシングパルスをトリガまたは阻止し得る。例えば、心房検知チャネル430から受信されたP波検知イベント信号により、処理回路406は、スケジュールされた心房ペーシングパルスを阻止し、プログラムされた房室(AV)ペーシング間隔で心室ペーシングパルスをスケジュールし得る。AVペーシング間隔が終了する前にR波が検知された場合、心室ペーシングパルスが阻止され得る。処理回路406が心室検知チャネル432からR波検知イベント信号を受信する前にAVペーシング間隔が終了すると、処理回路406は、検知されたP波に同期したスケジュールされた心室ペーシングパルスを送達するために治療送達回路404を使用し得る。
【0100】
治療送達回路404の心房ペーシングチャネル440および心室ペーシングチャネル442は、各々、充電回路、1つ以上の低電圧保持コンデンサなどの1つ以上の電荷蓄積機器、出力コンデンサ、および/またはそれぞれのペーシング回路に結合されたペーシング電極ベクトルにペーシングパルスを送達するために保持コンデンサがいつ出力コンデンサを横断して充電および放電されるかを制御するスイッチング回路を含み得る。心室ペーシングチャネル442は、例えば、心房同期心室ペーシングを提供するための処理回路406によって設定されたAVまたはVVペーシング間隔が終了すると、心室ペーシングパルスを送達し得る。
【0101】
心房ペーシングチャネル440は、心房ペーシングパルスを送達するように構成され得る。処理回路406は、1つ以上の心房ペーシング間隔レートを設定し得る。心房ペーシングチャネル440は、例えば、P波検知イベント信号が心房検知チャネルから受信される前に心房ペーシング間隔が終了した場合、心房ペーシングパルスを送達するように制御され得る。処理回路406は、同期されたマルチチャンバペーシング(例えば、デュアルまたはトリプルチャンバペーシング)を提供するために、送達された心房ペーシングパルスに応答してAVペーシング間隔を開始し得る。
【0102】
IMD400は、治療送達回路404によって送達される電気刺激治療を制御する際に使用するために、患者に関する情報を検知するための他のセンサ412を含み得る。例えば、心拍出量の増加の必要性を示すセンサは、運動を測定するための慣性測定ユニット(IMU)または加速度計などの患者活動センサを含み得る。一般に、1つ以上の他のセンサ412からの情報は、心臓治療を制御する際に使用するために、患者活動センサなどの患者の生理学的機能、状態(state)、または状態(condition)に相関され得る。
【0103】
通信インターフェース408は、システム100内の他の機器と通信するために使用され得る。通信インターフェース408はまた、メモリ410にデータとして記憶され得る、処理回路406をプログラムするためのパラメータを受信するために使用され得る。通信インターフェース408は、無線周波数(RF)通信または他の通信プロトコルを使用して外部機器と無線通信するためのトランシーバおよびアンテナを含み得る。通信インターフェース408は、単方向または双方向になるように構成され得る。
【0104】
図9図11は、システム100の植え込みまたは構成を容易にするために使用され得る外部装置の例を示している。図9は、電極装置510、表示装置530、およびコンピューティング装置540を含む外部装置のシステム500の一例を示している。
【0105】
示されるように、電極装置510は、患者520の胸部または胴体の周りに巻かれたバンド内に組み込まれるか、または含まれる複数の電極を含む。電極装置510は、コンピューティング装置540に動作可能に結合されて(例えば、1つまたは有線電気接続を介して、無線で、など)、分析、評価などのために、電極の各々からの電気信号をコンピューティング装置540に提供する。電極装置は、「Bioelectric Sensor Device and Methods」と題する、2016年4月26日に発行された米国特許第9,320,446号に記載され得る。
【0106】
本明細書には記載されないが、システム500は、画像化装置をさらに含み得る。画像化装置は、非侵襲的な方法で患者の少なくとも一部を画像化する、または画像を提供するように構成された任意のタイプの画像化装置であってもよい。例えば、画像化装置は、造影剤などの非侵襲的ツールを除いて、患者の画像を提供するために患者内に位置付けられ得るいかなる構成要素または部品も使用しなくてもよい。本明細書で記載されるシステム、方法、およびインターフェースは、さらに画像化装置を使用して、心臓ペーシング治療を較正および/もしくは送達するため、機器を位置付けおよび位置決めして、心臓ペーシング治療を送達するため、ならびに/または心臓ペーシング治療の評価と併せて、心臓ペーシング治療のために患者の心臓に近接してペーシング電極またはペーシングベクトルを位置付けるか、もしくは選択するためにユーザ(例えば、医師)に非侵襲的な支援を提供し得ることを理解されたい。
【0107】
例えば、システム、方法、およびインターフェースは、患者の体内で、リードレス装置、電極、リードレス電極、無線電極、カテーテルなどを含むリードをナビゲートするために使用され得る画像ガイドナビゲーションを提供する一方で、ペーシング設定が最適であるかどうかを決定すること、または選択された位置情報(例えば、左心室の特定の位置を標的とする電極の位置情報)などの1つ以上の選択されたパラメータが最適であるかどうかを決定することを含む非侵襲的な心臓療法評価も提供し得る。画像化装置および/または電極装置を使用するシステムおよび方法は、「Implantable Electrode Location Selection」と題する、2018年1月30日に発行された米国特許第9,877,789号、「Implantable Electrode Location Selection」と題する、2019年4月9日に発行された米国特許第10,251,555号、「Systems,Methods,and Interfaces for Identifying Effective Electrodes」と題する、2018年3月27日発行された米国特許第9,924,884号、「Systems,Methods,and Interfaces for Identifying Optical Electrical Vectors」と題する、2018年9月4日に発行された米国特許第10,064,567号に記載され得る。
【0108】
画像化装置は、X線画像および/または任意の他の代替的な画像化診断法を捕捉するように構成され得る。例えば、画像化装置は、アイソセントリック蛍光透視法、バイプレーン蛍光透視法、超音波、コンピュータ断層撮影(CT)、マルチスライスコンピュータ断層撮影(MSCT)、磁気共鳴画像法(MRI)、高周波超音波(HIFU)、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)、血管内超音波(IVUS)、二次元(2D)超音波、三次元(3D)超音波、四次元(4D)超音波、術中CT、術中MRIなどを使用して、画像または画像データを捕捉するように構成され得る。さらに、画像化装置は、ビデオフレームデータを提供するために複数の連続した画像を(例えば、連続的に)捕捉するように構成され得ることを理解されたい。言い換えれば、画像化装置を使用して経時的に撮影された複数の画像は、ビデオフレームまたは動画のデータを提供し得る。追加的に、画像は、二次元、三次元、または四次元で取得および表示することもできる。より高度な形態では、心臓または身体の他の領域の四次元表面レンダリングは、マップから、またはMRI、CT、もしくは心エコー検査診断法によって捕捉された術前画像データからの心臓データまたは他の軟組織データを組み込むことによっても達成され得る。CTと組み合わせた陽電子放出断層撮影(PET)、またはCTと組み合わせた単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)などのハイブリッド診断法からの画像データセットはまた、例えば、心臓または他の関心領域内の標的位置(例えば、RVまたはLV内の位置など)に近位の治療装置をナビゲートするために使用される、解剖学的データに重畳された機能的な画像データを提供することができる。
【0109】
本明細書で説明される例示的なシステムおよび方法と併せて使用され得るシステムおよび/または画像化装置は、2005年1月13日に公開されたEvronらに対する米国特許出願公開第2005/0008210号、2006年4月6日に公開されたZarkhらに対する米国特許出願公開第2006/0074285号、2014年5月20日に発行されたZarkhらに対する米国特許第8,731,642号、2014年10月14日に発行されたBradaらに対する米国特許第8,861,830号、2005年12月27日に発行されたEvronらに対する米国特許第6,980,675号、2007年10月23日に発行されたOkerlundらに対する米国特許第7,286,866号、2011年12月11日に発行されたReddyらに対する米国特許第7,308,297号、2011年12月11日に発行されたBurrellらに対する米国特許第7,308,299号、2008年1月22日に発行されたEvronらに対する米国特許第7,321,677号、2008年3月18日に発行されたOkerlundらに対する米国特許第7,346,381号、2008年11月18日に発行されたBurrellらに対する米国特許第7,454,248号、2009年3月3日に発行されたVassらに対する米国特許第7,499,743号、2009年7月21日に発行されたOkerlundらに対する米国特許第7,565,190号、2009年9月8日に発行されたZarkhらに対する米国特許第7,587,074号、2009年10月6日に発行されたHunterらに対する米国特許第7,599,730号、2009年11月3日に発行されたVassらに対する米国特許第7,613,500号、2010年6月22日に発行されたZarkhらに対する米国特許第7,742,629号、2010年6月29日に発行されたOkerlundらに対する米国特許第7,747,047号、2010年8月17日に発行されたEvronらに対する米国特許第7,778,685号、2010年8月17日に発行されたVassらに対する米国特許第7,778,686号、2010年10月12日に発行されたOkerlundらに対する米国特許第7,813,785号、2011年8月9日に発行されたVassらに対する米国特許第7,996,063号、2011年11月15日に発行されたHunterらに対する米国特許第8,060,185号、および2013年3月19日に発行されたVerardらに対する米国特許第8,401,616号に記載されている。
【0110】
表示装置530およびコンピューティング装置540は、例えば、電気信号(例えば、心電図データ)、機械的心臓機能および電気的心臓機能の1つ以上を表す心臓情報(例えば、機械的心臓機能のみ、電気的心臓機能のみ、または機械的心臓機能と電気的心臓機能の両方)などのデータを表示および分析するように構成され得る。心臓情報は、例えば、電極装置510を使用して蓄積、監視、または収集された電気信号を使用して生成される、電気的不均一性情報または電気的同期不全情報、代理電気興奮情報またはデータなどを含み得る。コンピューティング装置540は、サーバ、パーソナルコンピュータ、またはタブレットコンピュータであってもよい。コンピューティング装置540は、入力装置542からの入力を受信し、出力を表示装置530に送信するように構成され得る。さらに、コンピューティング装置540は、例えば、ペーシング治療を較正および/もしくは送達するため、ペーシング機器の配置を目標とする際にユーザを非侵襲的に支援するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを駆動するため、ならびに/またはその位置(例えば、ペーシングに使用される植え込み可能な電極の位置、特定のペーシングベクトルによって送達されるペーシング治療の位置など)におけるペーシング治療を評価するために、処理プログラムもしくはルーチン、および/または1つ以上の他のタイプのデータにアクセスすることを可能にし得るデータ記憶装置を含み得る。
【0111】
コンピューティング装置540は、入力装置542および表示装置530に動作可能に結合されて、例えば、入力装置542および表示装置530の各々との間でデータを送信し得る。例えば、コンピューティング装置540は、例えば、アナログ電気接続、デジタル電気接続、無線接続、バスベースの接続、ネットワークベースの接続、インターネットベースの接続などを使用して、入力装置542、および表示装置530の各々に電気的に結合され得る。本明細書でさらに説明するように、ユーザは、入力装置542に入力を提供して、表示装置530に表示される、心臓治療に関連している1つ以上のグラフィック描写を操作または修正し、1つ以上の情報を表示および/または選択し得る。
【0112】
図示のように、入力装置542はキーボードであるが、入力装置542は、本明細書で説明される機能、方法、および/または論理を行うためにコンピューティング装置540に入力を提供することができる任意の装置を含み得ることを理解されたい。例えば、入力装置542は、マウス、トラックボール、タッチスクリーン(例えば、容量性タッチスクリーン、抵抗性タッチスクリーン、マルチタッチタッチスクリーンなど)などを含み得る。同様に、表示装置530は、心臓情報、テキストの指示、電気的興奮情報のグラフィック描写、ヒトの心臓の解剖学のグラフィック描写、患者の心臓の画像またはグラフィック描写、ペーシング治療を較正および/または送達するために使用されるリードレスペーシング機器のグラフィック描写、心臓ペーシング治療を提供するために位置決めまたは配置されたリードレスペーシング機器のグラフィック描写、1つ以上の電極の位置のグラフィック描写、ヒトの胴体のグラフィック描写、患者の胴体の画像またはグラフィック描写、植え込まれた電極および/またはリードのグラフィック描写または実際の画像などを含む、グラフィカルユーザインターフェース532のような、情報をユーザに表示することができる任意の装置を含み得る。さらに、表示装置530は、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードスクリーン、タッチスクリーン、陰極線管ディスプレイなどを含み得る。
【0113】
コンピューティング装置540によって記憶および/または実行される処理プログラムまたはルーチンは、計算数学、行列数学、分散決定(例えば、標準偏差、分散、範囲、四分位間範囲、平均絶対差、平均絶対偏差など)、フィルタリングアルゴリズム、最大値決定、最小値決定、閾値決定、移動窓アルゴリズム、分解アルゴリズム、圧縮アルゴリズム(例えば、データ圧縮アルゴリズム)、較正アルゴリズム、画像構築アルゴリズム、信号処理アルゴリズム(例えば、様々なフィルタリングアルゴリズム、フーリエ変換、高速フーリエ変換など)、標準化アルゴリズム、比較アルゴリズム、ベクトル数学、または本明細書で説明された1つ以上の例示的な方法および/もしくはプロセスを実装するために必要な他の処理のためのプログラムまたはルーチンを含み得る。コンピューティング装置540によって記憶および/または使用されるデータは、例えば、電極装置510からの電気信号/波形データ、分散信号、窓分散信号、様々な信号の一部もしくは部分、電極装置510からの電気的興奮時間、グラフィック(例えば、グラフィカル要素、アイコン、ボタン、ウィンドウ、ダイアログ、プルダウンメニュー、グラフィックエリア、グラフィック領域、3Dグラフィックなど)、グラフィカルユーザインターフェース、本明細書の開示に従って用いられる1つ以上の処理プログラムもしくはルーチンからの結果(例えば、電気信号、心臓情報など)、または本明細書で説明される1つ以上のプロセスもしくは方法を実施するために必要とされ得る他のデータを含み得る。
【0114】
患者の心臓の電気的興奮時間は、患者の心臓の状態を評価するため、および/または患者に送達されるか、もしくは送達されている心臓治療を較正、送達、もしくは評価するために有用であり得る。図9図11に示されるように、電極装置510を使用して、患者の心臓の1つ以上の領域の代理電気的興奮情報またはデータを監視または決定し得る。電極装置510は、患者520の体表面電位、より具体的には、患者520の胴体表面電位を測定するように構成され得る。
【0115】
図10に示されるように、電極装置510は、電極512、ストラップ513、およびインターフェース/増幅器回路516のセットまたはアレイを含み得る。電極のセットの一部分が使用され得、その部分は、患者の心臓上の特定の位置に対応する。電極512は、ストラップ513に取り付けられ、または結合され得、ストラップ513は、電極512が患者の心臓を取り囲むように、患者520の胴体の周りに巻き付けられるように構成され得る。さらに図示されるように、電極512は、患者520の胴体の後部、側部、後側部、前側部、および前部位置を含む、患者520の外周の周りに位置付けられ得る。
【0116】
さらに、電極512は、有線接続518を介してインターフェース/増幅器回路516に電気的に接続され得る。インターフェース/増幅器回路516は、電極512からの信号を増幅し、信号をコンピューティング装置540に提供するように構成され得る。他のシステムは、無線接続を使用して、電極512によって検知された信号をインターフェース/増幅器回路516に送信し、次に、例えば、データのチャネルとしてコンピューティング装置540に送信し得る。例えば、インターフェース/増幅器回路516は、例えば、アナログ電気接続、デジタル電気接続、無線接続、バスベース接続、ネットワークベース接続、インターネットベースの接続などを使用して、コンピューティング装置540および表示装置530の各々に電気的に結合され得る。
【0117】
図10の例では、電極装置510は、ストラップ513を含むが、他の例では、電極512の間隔および配置を助けるために、様々な機構、例えば、テープまたは接着剤のいずれかが用いられ得る。いくつかの例では、ストラップ513は、弾性バンド、一片のテープ、または布を含み得る。他の例では、電極512は、患者520の胴体に個々に配置され得る。さらに、他の例では、電極512(例えば、アレイに配列される)は、パッチ、ベスト、および/または電極512を患者520の胴体に固定する他の様式の一部であっても、またはその中に位置し得る。
【0118】
電極512は、患者520の心臓を取り囲み、かつ信号が患者520の胴体を通って伝播した後に心臓の脱分極および再分極と関連付けられた電気信号を記録または監視するように構成され得る。電極512は各々、心臓信号を反映する胴体表面電位を検知するために単極構成で使用され得る。インターフェース/増幅器回路516はまた、単極検知のために各電極512と組み合わせて使用され得る戻り電極または不関電極(図示せず)に結合され得る。いくつかの例では、患者の胴体の周りに約12~約50個の電極512は、空間的に分散され得る。他の構成は、より多くのまたはより少ない電極512を有し得る。
【0119】
コンピューティング装置540は、電極512によって検知され、インターフェース/増幅器回路516によって増幅/調整された電気的活動(例えば、胴体表面電位信号)を記録および分析し得る。コンピューティング装置540は、電極512からの信号を分析して、本明細書にさらに説明されるように、前部電極信号および後部電極信号、ならびに、例えば、患者の心臓の1つ以上の領域の実際の、または局所的な電気的興奮時間を表す代理心臓電気的興奮時間として提供するように構成され得る。コンピューティング装置540は、電極512からの信号を分析して、例えば、ペーシング治療を較正、送達、および/または評価する際に使用するために、本明細書でさらに説明されるように、前中隔電極信号および、例えば、患者の心臓の1つ以上の前中隔領域の実際の、または局所的な、電気的興奮時間を表す代理心臓電気的興奮時間として提供するように構成され得る。さらに、患者の胴体の左前部表面位置で測定される電気信号は、患者の心臓の左前部左心室領域の電気信号の代表的なものまたは代理的なものであってもよく、患者の胴体の左側部表面位置で測定される電気信号は、患者の心臓の左側部左心室領域の電気信号の代表的なものまたは代理的なものであってもよく、患者の胴体の左後側部表面位置で測定される電気信号は、患者の心臓の後側部左心室領域の電気信号の代表的なものまたは代理的なものであってもよく、患者の胴体の後部表面位置で測定される電気信号は、患者の心臓の後部左心室領域の電気信号の代表的なものまたは代理的なものであってもよい。興奮時間の測定は、心臓脱分極の発症(例えば、QRS複合体の発症)と、例えば、ピーク値、最小値、最小勾配、最大勾配、ゼロ交差、閾値交差などの適切な基準点との間の時間の期間を測定することによって実施することができる。
【0120】
追加的に、コンピューティング装置540は、電極装置510を使用して得られた代理電気的興奮時間を示すグラフィカルユーザインターフェースを提供するように構成され得る。システム、方法、および/またはインターフェースは、電極装置510を使用して収集された電気情報を非侵襲的に使用して、患者の心臓状態を評価し、および/または患者に送達されるか、もしくは送達されている心臓ペーシング治療を較正、送達、もしくは評価し得る。
【0121】
図11は、患者520の心臓を取り囲むように構成された複数の電極512を含み、信号が患者520の胴体を伝播した後、心臓の脱分極および再分極に関連する電気信号を記録するか、または監視するように構成された別の電極装置510を図示している。電極装置510は、複数の電極512が取り付けられ得るか、または電極512が結合され得るベスト514を含み得る。複数の電極512またはアレイを使用して、例えば、代理電気的興奮時間などの電気情報を収集し得る。
【0122】
図10の電極装置510と同様に、図11の電極装置510は、有線接続518を介して電極512の各々に電気的に結合され、電極512からコンピューティング装置540へ信号を送信するように構成されたインターフェース/増幅器回路516を含み得る。図示のように、電極512は、例えば、患者520の胴体の前面、側面、後側面、前側面、および後面を含む、患者520の胴体全体に分散され得る。
【0123】
ベスト514は、電極512が布に取り付けられた状態の布で形成され得る。ベスト514は、患者520の胴体上の電極512の位置および間隔を維持するように構成され得る。さらに、ベスト514は、患者520の胴体の表面上の電極512の位置を決定するのを助けるためにマークされ得る。ベスト514は、患者の前部胴体に近接して位置決め可能な約17個以上の前部電極、および患者の後部胴体に近接して位置決め可能な約39個以上の後部電極を含み得る。いくつかの例では、患者520の胴体の周りに約25個の電極512~約256個の電極512が分散され得るが、他の構成は、それよりも多いかまたは少ない電極512を有し得る。
【0124】
本明細書で説明されるように、電極装置510は、患者の心臓の異なる領域を表す電気情報(例えば、電気信号)を測定するように構成され得る。例えば、患者の心臓の異なる領域の興奮時間は、患者の心臓の異なる領域に対応する表面領域に近接した表面電極を使用して測定された表面心電図(ECG)興奮時間から概算することができる。少なくとも1つの例では、患者の心臓の前中隔領域の興奮時間は、患者の心臓の前中隔領域に対応する表面領域に近接する表面電極を使用して測定された表面ECG興奮時間から概算することができる。すなわち、電極のセット全体ではなく、電極のセット512の一部は、電極のセットの一部が対応する患者の心臓の特定の位置に対応する興奮時間を生成するために使用することができる。
【0125】
システム、方法、およびインターフェースは、患者の心臓の健康もしくは状態の評価、および/または電極装置510の使用によるCRTなどの心臓療法の評価(例えば、植え込み中または植え込み後に患者に現在送達されている心臓療法)において、ユーザに非侵襲的な支援を提供するために使用され得る。さらに、システム、方法、およびインターフェースは、患者に送達されるか、送達されているCRTなどの心臓治療の構成または較正において、ユーザを支援するために使用され得る。
【0126】
電気的活動は、図9図11の電極512などの複数の外部電極を使用して監視され得る。電気的活動は、ペーシング治療中またはペーシング治療がない場合に複数の電極によって監視され得る。監視された電気的活動は、患者へのペーシング治療を評価するために使用することができる。説明されているECGベルトを使用して監視される電気的活動は、心臓に対するペーシング治療の少なくとも1つのペーシング設定を評価するために使用することができる。一例として、ペーシング設定は、電極位置、ペーシング極性、ペーシング出力、ペーシングパルス幅、心房タイミングに対して心室ペーシングが送達されるタイミング、ペーシングレートなどを含むがこれらに限定されない、任意の1つのパラメータまたはパラメータの組み合わせとすることができる。さらに、一例として、リードレス機器またはペーシングリードの位置は、右心室、左心室、または右心房における位置を含むことができる。
【0127】
さらに、心室興奮の体表面等時性マップは、ペーシング治療中またはペーシング治療がない場合に監視された電気的活動を使用して構築することができる。監視された電気的活動および/または心室興奮のマップは、電気的不均一性情報(EHI)を生成させるために使用することができる。電気的不均一性情報は、電気的不均一性のメトリックの決定を含むことができる。電気的不均一性のメトリックは、患者の胴体の左側にある電極の興奮時間の標準偏差(SDAT)のメトリック、および/または患者の胴体の左側の電極の平均左心室興奮時間(LVAT)のメトリックを含むことができる。LVATのメトリックは、左心室により近い前面および後面の両方の電極から決定され得る。電気的不均一性情報のメトリックは、患者の胴体の右側にある電極の平均右心室興奮時間(RVAT)のメトリックを含むことができる。RVATのメトリックは、右心室により近い前面と後面の両方の電極から決定され得る。電気的不均一性のメトリックは、患者の胴体の両側からの複数の電極信号から取られた平均総興奮時間(mTAT)のメトリックを含むことができ、または患者の胴体の右側または患者の胴体の左側に位置する複数の電極上の興奮時間の範囲もしくは分散を反映した他のメトリック(例えば、標準偏差、四分位間偏差、最新の興奮時間と最も早い興奮時間との間の差)、または患者の胴体の右側および左側の両方を組み合わせたものを含み得る。電気的不均一性情報のメトリックは、心臓の前中隔部分にごく近接した胴体上の電極の前中隔興奮時間(ASAT)のメトリックを含むことができる。
【0128】
電気的不均一性情報(EHI)は、1つ以上のペーシング設定でのペーシング治療の送達中に生成され得る。電気的不均一性情報は、電気的不均一性のメトリックを使用して生成することができる。一例として、電気的不均一性のメトリックは、SDAT、LVAT、RVAT、mTAT、およびASATのうちの1つ以上を含むことができる。別の例では、ASATのみは、決定され、さらに使用され、および/またはASATは、他の値よりも重く重み付けされ得る。
【0129】
ペーシング治療に関連する1つ以上のペーシング設定が評価され得る。ペーシング設定は、複数のペーシングパラメータを含むことができる。複数のペーシングパラメータは、患者の心臓の状態が改善した場合、ペーシング治療がRA、RV、もしくはLVの望ましい部分を効果的に捕捉している場合、および/または電気的不均一性のメトリックが、ベースラインのリズムまたは治療と比較して、特定の閾値だけ改善される場合に最適とすることができる。ペーシング設定が最適であるかどうかの決定は、ペーシング中(また、場合によっては、生来の伝導中、またはペーシングがない場合)の電気的活動から生成される電気的不均一性の少なくとも1つのメトリックに基づくことができる。少なくとも1つのメトリックは、SDAT、LVAT、RVAT、mTAT、およびASATのうちの1つ以上を含むことができる。
【0130】
さらに、複数のペーシングパラメータは、電気的不均一性のメトリックが特定の閾値よりも大きいか、もしくは小さい場合、および/または左心室を励起するためのペーシング治療の位置が、心臓の筋繊維の励起の特定のパターンを引き起こす場合、最適なものとなり得る。さらに、電気的不均一性のメトリックが左束枝ブロック(LBBB)の補正を示す場合、および/または電気的不均一性のメトリックがプルキンエシステムの完全な関与を示す場合など、複数のペーシングパラメータは最適なものとなり得る。一例として、閾値(例えば、30ミリ秒の閾値)以下のASATおよび閾値(例えば、30ミリ秒の閾値)以下のLVATの電気的不均一性のメトリックは、LBBBの補正を示している可能性があり、したがって、ペーシング設定が最適である。一例として、閾値(例えば、30ミリ秒の閾値)以下のRVAT、閾値(例えば、30ミリ秒の閾値)以下のASAT、および閾値(例えば、30ミリ秒の閾値)以下のLVATの電気的不均一性のメトリックは、プルキンエシステムの完全な関与を示している可能性があり、したがって、ペーシング設定が最適であり得る。
【0131】
ペーシング設定は、ペーシング設定が許容可能であること、有益であること、患者の本来の心臓伝導系の完全な関与を示すこと、心室伝導障害(例えば、左束枝ブロック)の補正を示すことなどを使用して、ペーシング治療に応答して最適になるように決定することができる。ペーシング設定は、ペーシング電極の位置(深さ、角度、スクリューベースの固定機構のための回転量などのうちの1つ以上を含む)、電圧、パルス幅、強度、ペーシング極性、ペーシングベクトル、ペーシング波形、心房内事象もしくはペーシングされた心房内事象に対して、もしくは内因性His束電位に対して送達されるペーシングのタイミング、および/またはペーシング位置などのうちの1つ以上を含むことができる。ペーシングベクトルは、例えば、先端電極から缶電極、先端電極からリング電極などのように、ペーシング治療などを送達するために使用される任意の2個以上のペーシング電極を含むことができる。ペーシング位置は、リード、リードレス機器、および/またはペーシング治療を送達するように構成された任意の機器もしくは装置を使用して位置決めされた1つ以上のペーシング電極のいずれかの位置を指すことができる。
【0132】
治療のためのペーシング設定が調整され得る。ペーシング設定は、ペーシング設定が最適でないことに応答して調整することができる。ペーシング設定は、ペーシング設定が、ペーシング治療にとってより有益であり、より有用であり、より機能的であるなど、最適範囲内の場所にあり得るかどうかを決定するために、ペーシング設定が最適範囲内にあることに応答して調整することができる。ペーシング設定は、電気的不均一性の最適なメトリックを見つけるために調整されることができる。
【0133】
ペーシング設定が最適であるかどうかの決定は、ECGベルトを使用する電気的不均一性の特定のメトリックに基づくことができる。少なくとも1つの例では、ペーシング設定は、電気的不均一性のメトリックが特定のメトリック値またはそれに近接するまで、電気的不均一性のメトリックの変化と相関する間隔で調整することができる。例えば、ペーシング設定を調整すると、電気的不均一性のメトリックが電気的不均一性の特定の閾値メトリックに近づく可能性があり、メトリックが特定の閾値に近づくと、ペーシング設定が調整される速度を遅くすることができる。別の言い方をすれば、電気的異質性のメトリックが特定の閾値メトリックからさらに離れると、ペーシング設定をより迅速に調整することができ、電気的異質性のメトリックが特定の閾値メトリックに近づくと、電気的異質性のメトリックが特定の閾値メトリックになるまで、ペーシング設定をよりゆっくりと調整することができる。
【0134】
図12は、CRTなどの心臓治療を提供するためにシステム100とともに使用するための方法の一例を示す。方法600は、1つ以上の電極を植え込み位置602に向かって前進させることを含み得る。一例では、1つ以上の電極は、患者の上大静脈(SVC)を通る経路に沿って前進され得る。1つ以上の電極は、図1図8に関して本明細書で説明されているように、心臓内IMDまたはリード付きIMDに結合され得る。
【0135】
方法600はまた、1つ以上の電極の第1の心室電極604を植え込むことを含み得る。第1の心室電極は、LV電極であり得、これは、RV中隔を介してLV中隔の心筋に植え込まれ得る。
【0136】
1つ以上の電極の第2の心室電極もまた、植え込まれ得る606。第2の心室電極は、RV電極であり得、これは、RV中隔の心筋に植え込まれるか、またはRV中隔の心内膜と接触して位置付けられ得る。第1および第2の心室電極は、一方もしくは両方の心室の電気的活動を監視するために、またはそれらに心臓治療を送達するために使用され得る。
【0137】
方法600はまた、1つ以上の電極の心房電極を植え込む608ことを含み得る。心房電極は、RAの心筋に植え込まれるか、またはRAの心内膜と接触して位置付けられ得るRA電極であり得る。RA電極は、心室電極の一方または両方として、同じ機器または異なる機器に動作可能に結合され得る。
【0138】
1つ以上の電極が最初に位置付けられた後、電気的活動が監視され得る610。例えば、心房電極は、RAの電気的活動を監視するために使用され得、心室電極は、心臓治療の送達および/または調整に使用するために、LVおよびRVの一方または両方の電気的活動を監視するために使用され得る。
【0139】
方法600は、心臓治療を送達する612ことを含み得る。心臓治療は、1つ以上の電極を使用して監視された電気的活動610に基づいて、またはそれに応答して送達され得る。例えば、AV同期ペーシングは、RA電極、RV電極、およびLV電極を使用して、それぞれRA、RV、およびLVに送達され得る。
【0140】
図13は、1つ以上の電極の1つ以上の植え込み位置を決定するためにシステム100とともに使用するための方法の一例を示す。方法620は、潜在的な植え込み位置に試験カテーテルを導入する622ことを含み得る。試験カテーテルは、電気的活動を監視し、試験パルスを送達することができる試験機器に動作可能に結合され得る。本開示の利点を有する当業者に知られているものなど、任意の好適な試験カテーテルおよび試験機器が使用され得る。
【0141】
試験カテーテルは、試験電極を含み得る。試験電極は、患者の大動脈を通ってLVまでの逆行経路に沿って導入され得る。特に、試験電極は、1つ以上の位置を試験するために、LV中隔の心筋に挿入され得る。試験カテーテルは、心室中隔壁に沿った異なる場所に移動して、2つ以上の位置を試験し得る。例えば、基部、中央中隔、およびに尖部に近接するLV中隔に沿った位置が試験され得る。大動脈を使用してLV中隔のLVペーシング位置を試験する方が、RV中隔を貫通してLV中隔に入る電極を使用して試験するよりも速いことがある。
【0142】
方法620はまた、ペーシングパラメータまたは潜在的な植え込み位置を試験する624ことを含み得る。2つ以上の位置が評価され得る。ペーシングパラメータまたは位置は、図9図11に関して本明細書で説明されるような複数の外部電極を有する外部電極装置を使用することによって提供される、EHIなどの電気的活動に基づいて試験され得る。
【0143】
方法620は、例えば、ペーシングパラメータまたは位置を使用してペーシングの送達中に監視される電気的活動から生成されたEHIを評価することに基づいて、ペーシングパラメータまたは位置が許容可能であるかどうかを決定する626ことを含み得る。1つ以上のペーシングパラメータまたは位置が互いに比較され得、最適なペーシングパラメータまたは位置が選択され得る。
【0144】
ペーシングパラメータまたは位置が許容可能でない場合、方法620は、異なるペーシングパラメータまたは位置を選択する630ことを含み得る。別の位置が選択された場合、方法620は、戻って、新しい潜在的な植え込み位置で試験カテーテルを導入し622、新しい潜在的な植え込み位置で同じまたは異なるペーシングパラメータを試験することができる。異なるペーシングパラメータが選択された場合、方法620は、戻って、同じ位置での異なるペーシングパラメータを試験する624ことができる。
【0145】
ペーシングパラメータまたは位置が許容可能である場合、方法620は、ペーシングパラメータまたは位置をそれぞれ更新し得る628。特に、特定のペーシングパラメータもしくは位置は記録されるか、またはデータに記憶され得、試験カテーテルは取り外され得る。図12の方法600は、方法620に続くことができる。特に、1つ以上の電極は、方法620で決定された更新されたペーシングパラメータまたは位置に基づいて、SVCを介して植え込まれ得る。
【0146】
例示的な実施形態
本開示は、限定はされないが、開示の様々な態様の理解は、以下に提供される特定の例示的な実施形態の考察を通じて得られるであろう。例示的な実施形態の様々な修正、ならびに本開示の追加の実施形態が、本明細書で明らかになるであろう。
【0147】
実施形態A1では、患者の心臓のためのリードレス植え込み型医療機器は、
患者の心臓の右心室に植え込み可能な心臓内ハウジングと、
患者の心臓の三尖弁を通って患者の心臓の右心房に延在することができる、心臓内ハウジングに結合されたリードレットと、
心臓内ハウジングおよびリードレットの一方または両方に結合された複数の電極であって、複数の電極は、
患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または左心室の電気的活動を検知するために、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な心室電極と、
患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知するために、リードレットに結合され、植え込み可能な右心房電極と、を含む、複数の電極と、
心臓治療を患者の心臓に送達するために複数の電極に動作可能に結合された治療送達回路と、
患者の心臓の電気的活動を検知するために複数の電極に動作可能に結合された検知回路と、
治療送達回路および検知回路に動作可能に結合された処理回路を含むコントローラであって、コントローラが、
右心房電極および心室電極の一方または両方を使用して電気的活動を監視することと、
監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することと、を行うように構成されているコントローラと、を含む。
【0148】
実施形態A2では、機器は、実施形態A1に記載の機器を含み、心臓治療を送達することは、心臓再同期治療を送達することを含む。
【0149】
実施形態A3では、機器は、実施形態A1またはA2に記載の機器を含み、複数の電極は、患者の心臓の右心室に植え込み可能な右心室電極をさらに含み、右心室に心臓治療を送達するか、または右心室の電気的活動を検知する。
【0150】
実施形態A4では、機器は、実施形態A3に記載の機器を含み、右心室電極および右心室電極の遠位にある心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0151】
実施形態A5では、機器は、実施形態A3またはA4に記載の機器を含み、右心室電極は、右束枝に近接する患者の心臓の基部に植え込み可能であり、心室電極は、左束枝に近接する患者の心臓の基部に植え込み可能である。
【0152】
実施形態A6では、機器は、実施形態A1~A3のいずれか1つに記載の機器を含み、心臓内ハウジングに結合され、心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含み、組織貫通電極アセンブリは、心室電極を左心室の血液量に送達しない。
【0153】
実施形態A7では、機器は、実施形態A1~A3のいずれか1つに記載の機器を含み、心室電極を含む螺旋電極アセンブリを有する組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0154】
実施形態A8では、機器は、実施形態A1~A3のいずれか1つに記載の機器を含み、心室電極を含むダーツ電極アセンブリを有する組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0155】
実施形態A9では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、右心房電極は、患者の心臓の右心房の心内膜に植え込み可能である。
【0156】
実施形態A10では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、心室電極は、患者の心臓の左心室の心内膜に植え込み可能である。
【0157】
実施形態A11では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、心室電極は、右心室の心室中隔壁を通って左心室の心内膜に植え込み可能である。
【0158】
実施形態A12では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、心室電極は、患者の心臓の尖部に近接するか、患者の心臓の中央中隔部分に近接するか、または患者の心臓の基部に近接する心室中隔壁に植え込み可能である。
【0159】
実施形態A13では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、右心室の心内膜に結合可能な心臓内ハウジングに動作可能に結合された固定アセンブリをさらに含む。
【0160】
実施形態A14では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、コントローラは、血管外植え込み型医療機器に動作可能に結合可能な無線通信インターフェースをさらに含み、コントローラは、血管外植え込み型医療機器を使用して電気的活動を監視するようにさらに構成される。
【0161】
実施形態A15では、機器は、先行する実施形態Aのいずれかに記載の機器を含み、心臓治療を送達するために、コントローラは、複数の電極を使用して、左心室、右心室、および右心房に対する3チャンバ同時ペーシングを送達するようにさらに構成されている。
【0162】
実施形態B1では、植え込み型医療システムは、
患者の心臓の右心室に植え込み可能な心臓内ハウジングと、
患者の心臓の右心房に植え込み可能な植え込み型医療用リードと、
複数の電極であって、
患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または左心室の電気的活動を検知するために、心臓内ハウジングに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な心室電極と、
患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知するために、リードに結合され、植え込み可能な右心房電極と、を含む、複数の電極と、
心臓内ハウジングに含まれ、心室電極に動作可能に結合された処理回路を含む第1のコントローラと、
植え込み型医療用リードに結合され、右心房電極に動作可能に結合された処理回路を含む第2のコントローラと、を含み、
第1のコントローラは、第2のコントローラと無線で通信して、
右心房電極および心室電極の一方または両方を使用して電気的活動を監視することと、
監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することと、を行うように構成されている。
【0163】
実施形態B2では、システムは、実施形態B1に記載のシステムを含み、電気的不均一性情報を提供するために複数の外部電極をさらに含む。
【0164】
実施形態B3では、システムは、実施形態B1またはB2に記載のシステムを含み、心臓治療を送達することは、心臓再同期治療を送達することを含む。
【0165】
実施形態B4では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、患者の心臓の右心室に心臓治療を送達するか、または右心室の電気的活動を検知するために、心臓内ハウジングに結合され、植え込み可能な右心室電極をさらに含む。
【0166】
実施形態B5では、システムは、実施形態B4に記載のシステムを含み、右心室電極および右心室電極の遠位にある心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0167】
実施形態B6では、システムは、実施形態B4またはB5に記載のシステムを含み、右心室電極は、右束枝に近接する患者の心臓の基部に植え込み可能であり、心室電極は、左束枝に近接する患者の心臓の基部に植え込み可能である。
【0168】
実施形態B7では、システムは、実施形態B1~B4のいずれか1つに記載のシステムを含み、心臓内ハウジングに結合され、心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含み、組織貫通電極アセンブリは、心室電極を左心室の血液量に送達しない。
【0169】
実施形態B8では、システムは、実施形態B1~B4のいずれか1つに記載のシステムを含み、心室電極を含む螺旋電極アセンブリを有する組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0170】
実施形態B9では、システムは、実施形態B1~B4のいずれか1つに記載のシステムを含み、心室電極を含むダーツ電極アセンブリを有する組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0171】
実施形態B10では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、右心房電極は、患者の心臓の右心房の心内膜に植え込み可能である。
【0172】
実施形態B11では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、心室電極は、患者の心臓の左心室の心内膜に植え込み可能である。
【0173】
実施形態B12では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、心室電極は、右心室の心室中隔壁を通って左心室の心内膜に植え込み可能である。
【0174】
実施形態B13では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、心室電極は、患者の心臓の尖部に近接するか、患者の心臓の中央中隔部分に近接するか、または患者の心臓の基部に近接する心室中隔壁に植え込み可能である。
【0175】
実施形態B14では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、右心室の心内膜に結合可能な心臓内ハウジングに動作可能に結合された固定アセンブリをさらに含む。
【0176】
実施形態B15では、システムは、先行する実施形態Bのいずれかに記載のシステムを含み、心臓治療を送達するために、第1のコントローラは、複数の電極を使用して、左心室、右心室、および右心房に対する3チャンバ同時ペーシングを送達するように、第2のコントローラと無線通信するようにさらに構成されている。
【0177】
実施形態C1では、植え込み型医療機器は、
患者の心臓のための植え込み型医療ハウジングと、
植え込み型医療ハウジングに結合され、患者の心臓の右心室を介して心室中隔壁に植え込み可能な第1の医療用リードと、
植え込み型医療ハウジングに結合され、患者の心臓の右心房に植え込み可能な第2の医療用リードと、
複数の電極であって、
患者の心臓の左心室に心臓治療を送達するか、または左心室の電気的活動を検知するために、第1の医療用リードに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な左心室電極と、
患者の心臓の右心室に心臓治療を送達するか、または右心室の電気的活動を検知するために、第1の医療用リードに結合され、患者の心臓の心室中隔壁に植え込み可能な右心室電極と、
患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知するために、第2の医療用リードに結合され、植え込み可能な右心房電極と、を含む、複数の電極と、
心室電極および右心房電極に動作可能に結合された処理回路を含むコントローラであって、コントローラが、
左心室電極、右心室電極、および右心房電極のうちの1つ以上を使用して電気的活動を監視することと、
監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することと、を行うように構成されている、コントローラと、を含む。
【0178】
実施形態C2では、機器は、実施形態C1に記載の機器を含み、心臓治療を送達するために、コントローラは、第1の医療用リードおよび第2の医療用リードを使用して、左心室、右心室、および右心房に対する3チャンバ同時ペーシングを送達するようにさらに構成されている。
【0179】
実施形態C3では、機器は、実施形態C1またはC2に記載の機器を含み、心臓治療を送達することは、心臓再同期治療を送達することを含む。
【0180】
実施形態C4では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、右心室電極および右心室電極の遠位にある左心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0181】
実施形態C5では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、右心室電極は、右束枝に近接する患者の心臓の基部に植え込み可能であり、左心室電極は、左束枝に近接する患者の心臓の基部に植え込み可能である。
【0182】
実施形態C6では、機器は、実施形態C1~C3のいずれか1つに記載の機器を含み、第1の医療用リードに結合され、左心室電極を含む組織貫通電極アセンブリをさらに含み、組織貫通電極アセンブリは、左心室電極を左心室の血液量に送達しない。
【0183】
実施形態C7では、機器は、実施形態C1~C3のいずれか1つに記載の機器を含み、左心室電極を含む螺旋電極アセンブリを有する組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0184】
実施形態C8では、機器は、実施形態C1~C3のいずれか1つに記載の機器を含み、左心室電極を含むダーツ電極アセンブリを有する組織貫通電極アセンブリをさらに含む。
【0185】
実施形態C9では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、右心房電極は、患者の心臓の右心房の心内膜に植え込み可能である。
【0186】
実施形態C10では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、左心室電極は、患者の心臓の左心室の心内膜に植え込み可能である。
【0187】
実施形態C11では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、左心室電極は、右心室の心室中隔壁を通って左心室の心内膜に植え込み可能である。
【0188】
実施形態C12では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、左心室電極は、患者の心臓の尖部に近接するか、患者の心臓の中央中隔部分に近接するか、または患者の心臓の基部に近接する心室中隔壁に植え込み可能である。
【0189】
実施形態C13では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、右心室の心内膜に結合可能な第1の医療用リードに動作可能に結合された固定アセンブリをさらに含む。
【0190】
実施形態C14では、機器は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の機器を含み、コントローラは、血管外植え込み型医療機器に動作可能に結合可能な無線通信インターフェースをさらに含み、コントローラは、血管外植え込み型医療機器を使用して電気的活動を監視するようにさらに構成される。
【0191】
実施形態D1では、方法は、
心臓内ハウジングまたは第1の医療用リードに結合された心室電極を患者の心臓の心室中隔壁に植え込んで、患者の心臓の心室に心臓治療を送達するか、または心室の電気的活動を検知することと、
リードレットまたは第2の医療用リードに結合された右心房電極を患者の心臓の右心房に植え込んで、患者の心臓の右心房に心臓治療を送達するか、または右心房の電気的活動を検知することと、
心室電極、右心房電極、またはその両方を使用して電気的活動を監視することと、
心室電極または右心房電極のうちの少なくとも1つを使用して、監視された電気的活動に基づいて心臓治療を送達することと、を含む。
【0192】
実施形態D2では、方法は、実施形態D1に記載の方法を含み、
複数の外部電極によって監視される電気的活動を使用して、潜在的な植え込み位置での心室電極のペーシングパラメータまたは位置を試験することと、
試験に基づいて、心室電極のペーシングパラメータまたは位置を更新することと、をさらに含む。
【0193】
実施形態D3では、方法は、実施形態D2に記載の方法を含み、患者の大動脈を通って左心室まで逆行経路に沿って試験カテーテルを導入することをさらに含み、心室電極のペーシングパラメータまたは位置を試験することは、心室中隔壁に沿った試験カテーテルの異なる位置を評価することを含む。
【0194】
実施形態D4では、方法は、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法を含み、心臓内ハウジングまたは第1の医療用リードに結合された右心室電極を患者の心臓の心室中隔壁に植え込んで、患者の心臓の心室に心臓治療を送達するか、または心室の電気的活動を検知することをさらに含む。
【0195】
実施形態D5では、方法は、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法を含み、患者の上大静脈を通る経路に沿って1つ以上の電極を送達することをさらに含む。
【0196】
このように、AV同期中隔ペーシングのための植え込み型医療システムおよび方法が開示されている。本明細書では、本開示の一部を形成する添付の図面のセットを参照するが、少なくとも当業者の1人は、様々な適合および修正が本開示の範囲内にあるか、またはその範囲から逸脱しないことを理解するであろう。例えば、本明細書で説明されたシステム、装置、機器、方法などのうちの一部は、様々な方法で互いに組み合わされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲内で、特許請求された発明は、本明細書に明示的に説明されている以外の方法で実施され得ると理解されたい。
【0197】
本明細書で開示される様々な態様は、説明および添付の図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせることができることを理解されたい。本明細書で説明されるプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為または事象は、実施例に応じて異なる順序で行われ得、追加、併合、または完全に省略され得る(例えば、すべての説明された行為または事象は、本技法を実施するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。加えて、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたはユニットによって行われるものとして説明されているが、本開示の技法は、例えば、医療機器に関連するユニットまたはモジュールの組み合わせによって行われ得ることを理解されたい。
【0198】
説明された技法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、かつコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0199】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」という用語は、上記の構造のいずれか、または説明された技法の実装に好適な任意の他の物理的構造を指すことができる。また、本技法は、1つ以上の回路または論理要素で完全に実装され得る。
【0200】
本明細書で引用されたすべての参考文献および公開物は、任意の態様が本開示と直接矛盾する場合を除いて、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0201】
本明細書において使用されるすべての科学的および技術的用語は、別段の定めがない限り、当技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書において提供される定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0202】
別段の定めがない限り、明細書および特許請求の範囲において使用された特徴のサイズ、量、および物理的特性を表すすべての数値は、「正確に」または「約」という用語のいずれかによって修飾されると理解され得る。したがって、逆の定めがない限り、前述の明細書および添付の特許請求の範囲で記載された数値パラメータは、本明細書に開示された教示を利用して当業者によって得られることが求められる所望の特性に応じて、または、例えば、実験誤差の典型的な範囲内で変化することができる近似である。
【0203】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に含まれるすべての数値(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)およびその範囲内の任意の範囲を含む。本明細書において、「最大で」ある数またはある数「以下」という用語(例えば、最大で50)は、その数(例えば、50)を含み、ある数「以上」という用語(例えば、5以上)は、その数(例えば、5)を含む。
【0204】
「近位」または「遠位」などの配向に関する用語は、構成要素の相対位置を説明するために使用され、説明された構成要素の配向を制限することを意味するものではない。
【0205】
本明細書で使用される場合、「構成されている」という用語は、本開示の内容が明確に別段の指示をしない限り、「適合されている」または「構造化されている」という用語と互換的に使用され得る。
【0206】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確に別段の指示をしない限り、単数および複数の指示対象を包含する。
【0207】
後続のリスト「の少なくとも1つ」、「の少なくとも1つを含む」、および「の1つ以上」という表現は、リスト内の項目のいずれか1つ、およびリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0208】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、それらの制限のない意味で使用されており、一般的に、「含むが、これらに限定されない」を意味する。「から基本的になる」、「からなる」などは、「含む(comprising)」などに含まれることが理解されよう。
図1
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【国際調査報告】