(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】振動システムを特徴づける方法及びジェネレータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/06 20060101AFI20220920BHJP
G01R 27/26 20060101ALI20220920BHJP
G01R 27/02 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B06B1/06 A
G01R27/26 C
G01R27/26 L
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022504233
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2020069972
(87)【国際公開番号】W WO2021013649
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】102019119911.5
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ガーブリエル エルツ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス トビエフェル
(72)【発明者】
【氏名】イェルク バラシェク
【テーマコード(参考)】
2G028
5D107
【Fターム(参考)】
2G028BB01
2G028BB06
2G028BB07
2G028CG02
2G028CG06
2G028CG07
5D107AA04
5D107BB01
5D107CC02
5D107CD01
5D107CD03
(57)【要約】
本発明は、電気機械的振動システムの少なくとも1つの物理的特性量を定める方法に関するものであって、その振動システムが圧電素子(10)と、この圧電素子(10)に振動結合されている少なくとも1つの他の素子とを有し、その場合に圧電素子が電極とカウンター電極とを有している。その場合に方法は、以下のステップを有する:(a)振動システム又は振動システムの部分システムの機械的振動を生じさせるために、励振インターバルの期間の間、電極とカウンター電極との間に交流電圧を印加し、それによって励振インターバルの終了後に振動システム又は部分システムが、励振されない自由な振動を実施し;(b)励振の終了後及び振動システム又は部分システムの励振されない自由な振動の間に:(i)電極とカウンター電極との間の電圧Uの時間的推移を測定し、又は(ii)電極とカウンター電極とを導線(28)によって短絡し、かつ導線(28)を通る電流Iの時間的推移を測定し、かつ(c)ステップb)i)において測定された電圧Uの時間的推移又はステップb)ii)において測定された電流Iの時間的推移から、振動システムの少なくとも1つの物理的特性量を定める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械的振動システムの少なくとも1つの物理的特性量を定める方法であって、前記振動システムが圧電素子と圧電素子に振動結合されている少なくとも1つの他の素子とを有し、その場合に圧電素子が電極とカウンター電極とを有するものであって、以下のステップを有する:
a)振動システム又は振動システムの部分システムの機械的振動を生じさせるために、励振インターバルの期間の間、電極とカウンター電極との間に交流電圧を印加し、それによって励振インターバルの終了後に振動システム又は部分システムが、励振されない自由な振動を実施し、
b)励振の終了後及び振動システム又は部分システムの励振されない自由な振動の間に:
i)電極とカウンター電極との間の電圧Uの時間的推移を測定し、又は
ii)電極とカウンター電極とを導線によって短絡し、かつ導線を通る電流Iの時間的推移を測定し、かつ
c)ステップb)i)において測定された電圧Uの時間的推移又はステップb)ii)において測定された電流Iの時間的推移から、電気機械的振動システムの少なくとも1つの物理的特性量を定める、
方法。
【請求項2】
方法が、振動システムの電気容量C
SWを定める方法であって、その場合にステップb)において代替案(i)に従って圧電素子の電極とカウンター電極との間の電圧Uの時間的推移が測定され、かつステップc)において、ステップb)において測定された電圧Uの時間的推移から、電気容量C
SWが定められる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、電圧の時間的推移を測定するために、内部容量C
probeと内部抵抗R
probeとを有する測定装置が使用され、かつステップc)が以下の部分ステップを有する:
aa)ステップb)において測定された電圧Uの時間的推移から、直流電圧成分U
DCの時間的推移を定め、
bb)特徴的な時間インターバルτを定め、前記時間インターバル内に、ステップb)において測定された、直流電圧成分U
DC,0の最初の値が、値U
DC,0/eに下降し、
cc)特徴的な時間インターバルτによって、好ましくは式:
【数1】
を用いて、電気容量C
SWを計算する、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)において、振動システムの予め知られている共振周波数に近い、又は等しい周波数fによって励振が起こる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
以下のさらなるステップが提供される:
d)電極とカウンター電極とを前記導線によって短絡し、かつ導線を通る電流Iの時間的推移を測定し、
その場合にステップb)が第1の測定インターバルの間に起こり、かつステップd)が第2の測定インターバル内に起こり、その場合に第2の測定インターバルが好ましくは第1の測定インターバルの後に起こり、
e)ステップd)において測定された電流Iの時間的推移から、少なくとも1つの他の物理的特性量、好ましくは振動システムの電気的等価パラメータを定める、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下のステップの1つ又は複数が単独で又は互いに組み合わせて提供される:
f)ステップd)において定められた電流Iの時間的推移から、振動システムの共振周波数f
resを定め、
g)ステップb)において定められた電圧Uの時間的推移から、振動システムの反共振周波数f
antiresを定め、
h)ステップf)、ステップg)及び式:
【数2】
を用いて、容量C
SWから振動システムのモーダルな等価容量C
mを計算し、
i)ステップh)及びモーダルな等価容量C
mから、好ましくは式:
【数3】
を用いて、振動システムのモーダルな等価インダクタンスL
mを計算し、
j)電流Iの時間的推移のエンベロープの、時間tに依存する下降を特徴づける、共振減衰係数D
resを定め、
k)電圧Uの時間的推移のエンベロープの、時間tに依存する下降を特徴づける、反共振減衰係数D
antiresを定め、
l)ステップf)、ステップi)、ステップj)及び式:R
m=4πD
resL
mf
resを用いて、モーダルな等価抵抗R
mを計算する、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップf)からj)及びそのために必要な先行するすべてのステップを、好ましくは300msより少ない時間インターバル内に、好ましくは250msよる少ない時間インターバル内に、かつ特に好ましくは200msよる少ない時間インターバル内に、実施することによって振動システムの完全な特徴づけが行われる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
超音波振動システムを駆動する方法であって、
その場合に超音波振動システムが少なくともジェネレータと、コンバータと、ソノトロードとを有し、その場合にソノトロードが超音波加工を実施するために、加工すべき材料と接触され、
その場合にコンバータが少なくとも1つの圧電素子を有し、かつ
その場合にジェネレータが交流電圧を供給し、交流電圧がコンバータの圧電素子によって機械的振動に変換される、ものであって、
加工休止の間に、ソノトロードが加工すべき材料と接触されていない場合に、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法が実施される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実施するために、ジェネレータのみが使用されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
加工休止の間に、以下のステップが行われる:
A)請求項2に帰属する限りにおいて、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法によって、超音波振動システムの電気容量C
SWを定め、
B)ステップD)において定められた超音波振動システムの電気容量C
SWに応じて交流電圧を調節する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ステップB)が以下の部分ステップを有する:
AA)ステップA)において定められた、超音波振動システムの電気容量C
SWを有する超音波振動システムの機械的振動の振幅Xを定め、
BB)振幅Xを目標振幅X
0と比較し、
CC)ジェネレータによって供給される交流電圧の周波数及び/又は振幅を調節し、それによって振幅Xが目標振幅X
0と等しくなる、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
交流電圧を供給し、かつ請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実施するためのジェネレータであって、
交流電圧源、交流電圧源と電位接続端との間の電位導線、交流電圧源とアース接続端との間のアース導線、及びアース接続端を有し、その場合にアース導線がアースと接続されている、ものであって、
短絡導線が電位導線をアース導線と接続し、
その場合にジェネレータが、
電位導線を遮断することができる、第1の切り替え装置と、
短絡導線を遮断することができる、第2の切り替え装置と、を有している、
ことを特徴とするジェネレータ。
【請求項13】
第1の切り替え装置と第2の切り替え装置とは、リードリレー又は半導体リレーである、ことを特徴とする請求項12に記載のジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁的振動システムの少なくとも1つの物理的な特性量を定める方法に関するものであって、その振動システムが圧電素子と圧電素子に振動結合されている少なくとも1つの他の素子とを有し、その場合に圧電素子が電極とカウンター電極とを有している。本発明は、さらに、超音波振動システムを駆動する方法に関するものであって、それにおいて、上で挙げた方法が、超音波振動システムの少なくとも1つの物理的な特性量を定めるために使用される。さらに、本発明は、交流電圧を供給し、かつ上述した方法を実施するためのジェネレータにも関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を有する振動システムは、工業及び研究の多数の領域において使用される。例として、ラウドスピーカー、ピエゾアクチュエータ及び超音波振動装置のような超音波振動システムにおける圧電素子の使用が挙げられる。本発明の利点は、圧電素子が振動システムの構成部分として使用され、かつ振動の管理又は閉ループ制御が望まれる、すべての領域において得られる。以下において、本発明の特徴と利点を、超音波振動システムの例において、特に工業的な超音波溶接装置を用いて、重点的に説明する。
【0003】
超音波溶接装置における溶接継目、超音波切断装置における切断、ラウドスピーカーにおけるトーン又は医療の超音波器具における身体内部の模写であろうと、振動システムによる所定の品質を有する再現可能な結果をもたらすことができることが、望まれる。
【0004】
例えば、超音波溶接器具のソノトロードによって材料を溶接する場合のように、超音波振動システムによって連続的なプロセスが実施される場合に、プロセス結果(溶接継目)のプロセス品質及び再現可能性は、主として、その場合に、使用される振動振幅の時間的挙動に依存している。超音波溶接プロセスにおいては、振動振幅が、プロセスの期間の間、又はまた超音波溶接装置の寿命の期間の間、ほとんど変化せず、それによって超音波溶接装置によって形成された溶接継目が均質に形成され、かつ再現可能な品質を有することが、特に望ましい。
【0005】
振動振幅の絶対的な大きさも、溶接継目の品質にとって決定的である。超音波溶接プロセスに適した振動振幅が一度見いだされた場合に、これが、比較可能なプロセスのために、好ましくは常に繰り返し使用される。
【0006】
したがって振動振幅又は振動振幅の時間的挙動の管理は、超音波溶接装置によって形成された溶接継目又はそれに応じた製品の品質及び再現可能性の管理に著しく寄与する。
【0007】
機械的振動システムについて一般的に言えることであるが:振動システムの振幅をより精確に調節し、閉ループ制御し、かつ管理できるほど、それに応じたプロセス品質又は製品品質もそれだけ良好に管理され、したがって最適化もされる。
【0008】
超音波溶接装置においてアクチュエータとして使用されるような、圧電素子において、該当する振動システムの振動振幅は、アクチュエータ(ピエゾアクチュエータ)に印加される交流電圧を介して閉ループ制御される。その場合に、使用される交流電圧U(t)(これはもちろん時間tによって変化する)と、振動システムの振幅Xとの間の関係は、以下のように生じる:振動振幅Xがピエゾアクチュエータの電荷Qに対して比例的に振る舞う:X~Q。電荷Qは、測定可能な電流Iにわたる積分を介して得られ、その電流から電流の電気的成分I
SWが引き算され、その場合に電流の電気的成分は、印加される電圧Uの時間的伝導
と振動システムの電気容量C
SWとの積から得られる。したがって:
が得られる。印加される交流電圧Uは、この関係状況において、外部から調節することができる唯一の閉ループ制御量である。したがって振動振幅Xは、原理的に、交流電圧Uのしかるべき適合を介して調節/閉ループ制御することができる。
【0009】
既知の超音波振動システム又はその使用において、振動システムの電気容量CSWは、変化しない定数とみなされる。その場合に電気容量CSWは、少なくとも超音波振動システムの運転開始の前に、外部の測定により、又は超音波振動システムの電気素子と圧電素子との既知の容量値に基づいて、定められ、かつそのように一度定められた値がそれ以降のプロセスの基礎とされる。
【0010】
振動システムの電気容量CSWは、通常、振動システムの電気素子と圧電素子との容量の合計から得られる。すなわち超音波振動システムにおける電気容量CSWは、少なくとも、圧電素子の容量Cpと、圧電素子を交流電圧源と接続する、使用されるケーブルの電気容量Ccableとからしばしば構成される。
【0011】
しかしながら、超音波振動システムの容量は、時間の経過において変化することがあり得る。例えば、圧電素子を交流電圧源と接続する、古いケーブルが新しいケーブルと代えられる場合に、これが、超音波振動システムの容量へ影響を与える。というのは、新しいケーブルの容量が古いケーブルの容量とは異なることがあり得るからである。これは特に、古いケーブルと新しいケーブルのケーブル長さが異なる場合に、きわめてあり得ることである。
【0012】
システム構造のこの種の変化(ケーブル交換)に基づいて生じることがあり得る、システムの電気容量CSWの変化の他に、振動システムの電気素子と圧電素子との容量、例えば圧電素子の容量は、内在的にも変化する。これらの変化は、経年劣化、摩耗に基づいて永続的であり、又は温度変動のような、外的周囲影響に基づいて一時的な場合もある。
【0013】
しかしながら、既知の超音波振動装置によって所定の振動振幅を有する振動を発生させようとする場合に、そのために必要な交流電圧を定めるために、振動システムの電気容量CSWのために格納されている値が、その格納されている値がまだ実際の値に相当するか、を調べることなしに、利用される。したがって、所定の振動振幅を得るために、所定の交流電圧を有する超音波システムがしばしば駆動されるが、この振動振幅が生じないことになる。
【0014】
これは、上で説明した数学的関係を用いても、明らかになる:電気容量CSWは変化するが、印加された交流電圧は変化を受けない場合に、上で説明した振動振幅X、交流電圧U(t)と容量CSWとの間の関係に基づいて、電荷Qの変化とそれに伴って振動振幅Xの変化がもたらされる。
【0015】
超音波溶接装置の例において、この問題点を簡単に説明する:運転開始の前に、電気容量CSWが、一度、外部の測定によって定められる。運転開始後に、未来のすべてのプロセスのために、該当する超音波振動システムの最初に定められた容量CSWが存在することが、前提とされる。したがって圧電素子に印加される交流電圧は、指向される振動振幅が生じるように調節され、その振動振幅は容量CSWのために最初に定められた値を想定して予測されるものである。しかしながら、超音波溶接装置の使用の経過において超音波溶接装置の電気素子及び/又は圧電素子の電気容量が変化した場合に、振動振幅も変化する。変化した振動振幅は、通常、最初に調節された振動振幅ほど、該当するプロセスに適していない。したがって、通常、プロセス品質の低下、すなわち形成される溶接継目の品質の低下ももたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これを背景として、本発明の課題は、上で挙げた欠点の除去又は少なくとも軽減を実現し、又は少なくとも可能にする、方法及び方法を実施するためのジェネレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、まず、請求項1に記載の方法によって解決される。その場合に方法は、電磁的振動システムの少なくとも1つの物理的特性量を定める方法であって、その振動システムが圧電素子と、その圧電素子に振動結合された少なくとも1つの他の素子とを有しており、その場合に圧電素子が電極とカウンター電極とを有するものは、以下のステップを有する:(a)振動システム又は部分システムの機械的振動をもたらすために、励振インターバルの期間の間、電極とカウンター電極の間とに交流電圧を印加し、それによって励振インターバルの終了後に振動システム又は部分システムは、励振されない自由な振動を実施する;(b)励振の終了後及び振動システム又は部分システムの励振されない自由な振動の間:(i)電極とカウンター電極との間の電圧Uの時間的推移を測定し、又は(ii)電極とカウンター電極とを導線によって短絡させ、かつ導線を通る電流Iの時間的推移を測定し、かつc)ステップ(b)(i)において測定された電圧Uの時間的推移又はステップb)(ii)において測定された電流Iの時間的推移から、少なくとも1つの物理的特性量を定める。
【0018】
振動システムの物理的特性量というのは、特に振動システムの容量、圧電素子の容量、振動システムの共振周波数、振動システムの反共振周波数、振動システムのモーダルな等価容量、振動システムのモーダルなインダクタンス、振動システムの共振減衰係数、振動システムの反共振減衰係数、振動システムのモーダルな等価抵抗、並びに共振振動品質及び反共振振動品質のような振動を特徴づける他のパラメータである。
【0019】
本発明の主旨において、振動システムは全体として、又は部分的に、機械的に振動するように励振することができる。後者の場合において、機械的に振動するように励振される部材が、振動システムの部分システムを形成する。例えば超音波振動システムにおいてコンバータ及びソノトロードが振動を減衰するケーブルを介してジェネレータと接続されているので、ジェネレータは機械的に振動されない。コンバータ、ソノトロード及び場合によってはケーブルの一部が、振動システムの部分システムを形成し、その振動システムが全体としてケーブル全体及びジェネレータも有している。
【0020】
励振インターバルは、好ましくは100ミリ秒よりも短く、特に好ましくは50ミリ秒よりも短い長さである。
【0021】
本発明に係る方法によって、振動を特徴づける、振動システムの電気容量CSWのような、物理的特性量を定めることができ、振動システムをばらばらにして、振動システムの個々の部材を測定することは、不要である。この方法は、さらに、定められた特性量にしたがって振動システムを最適化することを、可能にする。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明に係る方法は、振動システムの電気容量CSWを定める方法であって、その場合にステップ(b)の代替案(i)に従って圧電素子の電極とカウンター電極との間の電圧Uの時間的推移が測定され、かつステップ(c)において、ステップ(b)において測定された電圧Uの時間的推移から電気容量CSWが定められる。
【0023】
この方法は、既存の振動システムの電気容量CSWを、本発明なしで可能であるよりもずっと迅速に定めることを、可能にする。ここで詳述する実施形態に基づく方法は、完全に実施するために約150msから200msしか必要とせず、その場合に振動システムは、互いに分解し、又は構造的に変化させる必要はない。したがって圧電素子の容量をきわめて迅速かつ効率的に定めることと、監視することもできる。経年劣化、摩耗又は温度変動に基づく電気容量CSWの変化は、即座に検出することができ、かつきわめて短い時間内にそれに適切に行うことができる。
【0024】
特に好ましい実施形態によれば、振動システムの電気容量CSWを定めることは、以下のように行われる:ステップ(b)において、内部容量Cprobeと内部抵抗Rprobeとを有する測定装置が電圧の時間的推移を測定するために使用され、かつステップ(c)が以下の部分ステップを有する:(aa)ステップ(b)において測定された電圧Uの時間的推移から直流電圧成分UDCの時間的推移を定め、(bb)ステップb)で測定された、直流電圧成分UDC、0の初期の値がUDC、0/eに下降する、特徴的な時間インターバルτを定め;(cc)特徴的な時間インターバルτによって、好ましくは式CSW=(τ/Rprobe)-Cprobeを用いて、容量Cpを計算する。
【0025】
文字「e」は、オイラー数=2.178...を表す。さらにステップ(cc)の好ましい実施形態において、測定装置の容量Cprobeは振動システムの電気容量の構成要素ではないと、みなされる。これは特に、測定装置が振動システム内に永続的に統合されていない場合に、正当化される。測定装置が、代替的に、特に振動システムの駆動の間も、振動システム内に統合されている場合には、振動システムの容量は、通常、測定装置の容量Cprobeも含むので、以下の代替的な式が生じる:CSW=τ/Rprobe
【0026】
ステップ(b)において測定された電圧の時間的推移は、直流電圧成分UDCと交流電圧成分UACに分割される。両成分は、重畳されて生じる。
【0027】
特に好ましくは、直流電圧成分UDCを分離するために、ハイパスフィルタが使用されるので、時定数τは正確に定めることができる。
【0028】
部分ステップ(aa)、(bb)及び(cc)は、好ましいやり方で、しかるべく形成されたアルゴリズムを用いて、すべて自動化して実施することができるので、振動システムの励起されない自由な振動の間に、電圧Uを測定することによって、容量CSWを計算することができる。特徴的な時間インターバルτは、電圧信号の半値時間としても記述される。本発明に係る方法は、この実施形態において、振動システムの圧電素子と他の電気的素子とが物理的に見て、初期充電されて、次に再び放電する、プレートコンデンサと同様に振る舞う、という認識を利用している。したがってプレートコンデンサの容量がその放電カーブから定められるのと同様に、振動システムの、すなわち振動システムの圧電素子と電気素子との容量は、ステップ(b)(i)で測定された電圧Uの時間的推移又は下降から定められる。その場合に電圧Uの直流成分UDCのみが重要である。
【0029】
振動システムの純粋に電気的素子の容量がわかっている限りにおいて、使用される圧電素子の容量Cpは、電気容量CSWから定められる。振動システムの容量が直列に接続されていない限りにおいて、Cpは、CSWから残りの電気的又は圧電素子の容量を引き算することによって得られる。
【0030】
さらなる実施形態において、ステップ(a)において、振動システムの既知の共振周波数に近い、又は等しい周波数Iの励振が起こる。これは、ステップ(b)において測定された電圧又は電流において、信号-ノイズ比が特に大きいので、定めるべき物理的特性量をより高い精度で定めることができる、という利点を有している。
【0031】
好ましい実施形態によれば、上で説明した方法の中の、振動システムの電気容量CSWが定められるものにおいて、以下の他のステップが提供される:(d)電極とカウンター電極とを導線によって短絡させて、導線を通る電流Iの時間的推移を測定し、その場合にステップ(b)は第1の測定インターバルの間に起こり、ステップ(d)は第2の測定インターバルの間に起こり、その場合に第2の測定インターバルは好ましくは第1の測定インターバルの後に起こる;(e)ステップ(d)において測定された電流Iの時間的推移から、少なくとも1つの他の物理的特性量、好ましくは振動システムの電気的等価パラメータを定める。
【0032】
この実施形態において、電圧Uの時間的推移も、電流Iの時間的推移も測定され、ステップ(b)において代替案(i)が、そしてステップ(d)において代替案(ii)が実施される。好ましくは、第1の測定インターバルの間に電圧Uが測定され、その後電極がカウンター電極に短絡されて、第2の測定インターバルの間に電流Iが測定される。
【0033】
電圧U及び電流Iの推移を測定する利点は、振動システムの振動を包括的に特徴づける、パラメータの完全なセットを定めることができることにある。したがって圧電素子を有する振動システムの実際状態のできる限り完全なイメージが形成される。これが、該当する振動システムの詳細化されたプロセスモニタリングと効率的なプロセス閉ループ制御を可能にする。
【0034】
他の実施形態によれば、以下のステップの1つ又は複数が単独で又は互いに組み合わせて提供される:
(f)ステップ(d)において定められた電流Iの時間的推移から、振動システムの共振周波数f
resを定める;
(g)ステップ(b)において定められた電圧Uの時間的推移から、振動システムの反共振周波数f
antiresを定める;
(h)ステップ(f)、ステップ(g)及び式:
【数1】
を用いて、容量C
pから振動システムのモーダルな等価容量C
mを計算する;
(i)ステップ(h)及び、モーダルな等価容量C
mから、好ましくは式:
【数2】
を用いて、振動システムのモーダルな等価インダクタンスL
mを計算する;
(j)電流の時間的推移のエンベロープの、時間tに依存する下降を特徴づける、共振減衰係数D
resを定める;
(k)電圧の時間的推移のエンベロープの、時間tに依存する下降を特徴づける、反共振減衰係数D
antiresを定める;
(l)ステップ(f)、ステップ(i)、ステップ(j)、及び式R
m=4πD
resL
mf
resを用いて、モーダルな等価抵抗R
mを計算する。
【0035】
測定された電流の時間的推移は、振動システムの機械的振動と同様に振る舞う。したがって共振周波数又は反共振周波数は、ステップ(f)又はステップ(g)において電流I若しくは電圧Uの振動の周期長さを正確に測定することによって、又は電流若しくは電圧の時間的推移をフーリエ分析することによって、行うことができる。
【0036】
本発明は、超音波振動システムを駆動する方法にも関する。その場合に方法の核心も、振動システムの物理的特性量を定めるための、上述した本発明に係る方法のままである。物理的特性量を定めるためのこの方法が、超音波振動システムを駆動する方法において使用され、その場合に超音波振動システムは少なくともジェネレータと、コンバータと、ソノトロードとを有し、その場合にソノトロードは超音波加工を実施するために、加工すべき材料と接触され、その場合にコンバータが少なくとも1つの圧電素子を有し、かつその場合に、ジェネレータが交流電圧を供給し、その交流電圧がコンバータの圧電素子によって機械的振動に変換される。本発明によれば、加工休止の間、ソノトロードが加工すべき材料と接触されていない場合に、この方法に関して上で記述された実施形態のいずれかに基づく、少なくとも1つの物理的特性量を定める方法が実施される。
【0037】
特に好ましいやり方で、プロセス駆動内で様々な理由から起こる加工休止を、例えば超音波振動システムのプロセス品質についての説明を行う、物理的特性量を定めるために、使用することができる。これが、振動システムの少なくとも1つの物理的特性量を定めるための本発明に係る方法を、超音波振動システムのプロセスにおいてきわめて効率的に統合することを、可能にする。
【0038】
好ましい実施形態において、加工休止の間、以下のステップが行われる:(A)上述した実施形態のいずれかに基づいて超音波振動システムの電気容量CSWを定める方法によって超音波振動システムの電気容量CSWを定める;(B)ステップ(A)において定められた超音波振動システムの電気容量CSWに応じて交流電圧を調節する。
【0039】
それによって、定められた電気容量CSWに応じて、振動プロセスの最適化が行われることが、可能になる。ステップ(B)による方法は、振動システムの純粋なモニタリングを上回る。ステップ(B)において実施されるべき、電気容量CSWの決定への反応は、特に自動的に呼び出すことができる。その場合に方法は、例えば、ステップ(B)において定められた電気容量CSWに応じて行われる、予め調節された調節プロセスを使用することができる。電気容量CSWが、例えば予め定められた下限又は上限を下回る、又は上回る場合に、超音波振動システムの損傷の危険を減少させるために、例えば、印加される交流電圧をオフにすることができる。
【0040】
超音波振動システムの電気素子と圧電素子との容量が時間と温度(周囲温度)とにしたがって変化することを背景にして、ここで詳論される実施形態は、振動振幅の温度及び経年劣化適合的閉ループ制御を提供する。
【0041】
特に唯一の加工休止の間、振動システムの完全な特徴づけ、すなわち振動システムの電気容量CSW、共振周波数fres、反共振周波数fantires、モーダルな等価容量Cm、モーダルな等価インダクタンスLm、共振減衰係数Dres、反共振減衰係数Dantires及びモーダルな等価抵抗Rmの決定を、行うことができる。その場合に、この完全な特徴づけは、300msより短い、好ましくは250msより短い、かつ特に好ましくは200msより短い時間インターバル内で行われる。
【0042】
特に好ましい実施形態において、ステップ(B)は以下の部分ステップを有する:(AA)ステップ(A)において定められた超音波振動システムの電気容量CSWを有する超音波振動システムの機械的振動の振幅Xを定める;(BB)振幅Xを目標振幅X0と比較する;(CC)ジェネレータによって供給される交流電圧の周波数及び/又は振幅を調節し、それによって目標振幅X0に等しい振幅Xが生じる。
【0043】
本発明に係る方法のこの形態は、超音波振動システムの機械的な振動振幅が時間的にできる限り一定に維持されることを実現し、それにより振動システムによって再現可能な結果をもたらすことができる。これは、ここで詳述する実施形態によって好ましいやり方で達成される。機械的振動が所望の振幅を有するかが、検査され、偏差が確認されるとすぐに、この偏差が印加される交流電圧の適切な適合によって補償されるので、機械的振動振幅の目標値が再び生じるからである。
【0044】
好ましくは規則的な間隔で加工休止が繰り返し起こり、その間に部分ステップ(AA)、(BB)及び(CC)を含むステップ(A)と(B)とが行われる。
【0045】
本発明の基礎となる課題は、さらに、装置、すなわち交流電圧を提供し、かつ上述した実施形態のいずれかに基づく方法を実施するための、ジェネレータによって解決され、その場合にジェネレータは交流電圧源、交流電圧源と電位接続端との間の電位導線、及び交流電圧源とアース接続端との間のアース導線を有しており、その場合に、アース導線はアースと接続されている。本発明によれば、短絡導線が電位導線をアース導線と接続し、その場合に、ジェネレータは、電位導線を遮断することができる第1の切り替え装置と、短絡導線を遮断することができる第2の切り替え装置とを有している。
【0046】
本発明に係るジェネレータは、特に上述した方法を実施するために形成されている。ステップ(a)に基づく振動の刺激を実施するために、第1の切り替え装置が閉成され、第2の切り替え装置が開放されているので、電位導線は遮断されておらず、短絡導線が遮断されているので、交流電圧が電位接続端において出力される。ステップ(b)(i)を実施するために、第1及び第2の切り替え装置が開放されているので、交流電圧はもはや電位接続端において出力されず、短絡電流が流れることはできない。ステップ(d)又は代替案(b)(ii)を実施するために、第1の切り替え装置は開放され、第2の切り替え装置は閉成されているので、短絡電流が短絡導線を通って流れることができる。
【0047】
本発明に係るジェネレータは、普遍的に使用することができる。振動振幅を閉ループ制御するために、様々な振動システムのために問題なく使用することができるからである。本発明に係る方法のいずれかと組み合わせて、ジェネレータ自体が較正されるので、ジェネレータは各振動システム内で正確に、そこで所望の振動振幅のために必要とされる交流電圧を提供し、適用者が手動でプロセス固有のパラメータを格納する必要はない。
【0048】
本発明に係るジェネレータに加えて、本発明に基づく方法を実施するために、電圧と電流Iとを測定する手段のみが必要とされる。この手段は、例えばオシロスコープによって提供することができる。特に好ましくはジェネレータと電圧及び電流を測定する手段は、統合されたオシロスコープを有するジェネレータとして一体的に形成されている。
【0049】
請求項1から7に記載の本発明に係る方法は、ジェネレータの使用のみによって、すなわち外部の測定器具の使用なしで、行うことができる。
【0050】
好ましくは、第1及び第2の切り替え装置は、リードリレー又は半導体リレーとして形成されている。この種のリレーは、好ましいやり方で、きれいで迅速な切り替え、特にステップ(a)及び(b)ステップ(a)を実施するために電位導線を迅速に分離すること及び、振動システムが自由な振動を実施する間に、ステップ(d)又は代替案(b)(ii)内できれいに短絡することをもたらす。
【0051】
本発明に係る方法及び本発明に係るジェネレータは、好ましくは超音波溶接システムのため、特に好ましくはプラスチック又は不織布を溶接するための超音波溶接システムのために使用される。
【0052】
本発明の他の利点、特徴及び適用可能性が、方法の好ましい実施形態とジェネレータの好ましい実施形態及び付属の図についての以下の説明を用いて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】第1の超音波振動システムの簡略化された等価回路を示している。
【
図2】第1の状態における本発明に係るジェネレータを有する第2の超音波振動システムを示す回路図を示している。
【
図3】第2の状態における
図2の超音波振動システムを示す回路図を示している。
【
図4】第3の状態における
図2の超音波振動システムを示す回路図を示している。
【
図5】共振周波数近傍の励振後の、第2の超音波振動システムの電圧の測定された推移のカーブを示している。
【
図6】共振周波数近傍の励振後の、第2の超音波振動システムの電流の測定された推移のカーブを示している。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1に示す等価回路図は、その共振周波数に近い、又は等しい容量C
pを有する圧電素子、すなわちピエゾアクチュエータ10が、すなわち固有モードにおいて、交流電圧Uによって振動するよう刺激される場合を示している。したがって等価回路は、ピエゾアクチュエータの他に他の電気素子又は圧電素子を有しない、振動システムを示している。
「等価回路」という概念は、等価回路内に示される純粋に電気的な回路(電気的な振動回路を表す)の挙動によって、基礎となる圧電超音波振動システム(実際には電気素子の他に機械的部材も有する)の挙動が記述されることである。
【0055】
図1の等価回路内で、信号入力11を介して電圧Uがピエゾアクチュエータ10へ印加される。ピエゾアクチュエータ10の回路は、一方で、並列に接続された、容量Cpを有するコンデンサを備えており、そのコンデンサが等価回路の電気的ドメインを表す。電気的ドメインというのは、等価回路の、圧電素子の電気的特性を示す領域である。この主旨において、圧電素子は、実際にはコンデンサの電気的特性を有している。したがって電気的ドメイン内を流れる電流i
cmは、実際には、圧電素子内を流れる電流である。
【0056】
それに対して等価回路図は、機械的ドメインも有しており、そのドメインは等価抵抗RM、等価容量CMを有するコンデンサ及び等価インダクタンスLMを有するコイルを備えており、その場合にこれら3つの素子は、直列に接続されている。等価回路の機械的ドメインによって、圧電素子の機械的特性が記述される。機械的ドメインの部材は、実際の電気的構成部品ではなく、等価部材を表す。その場合にこれらの等価部材は、それが電気的振動回路を形成するように、形成されており、それにおいて電荷振幅は、圧電素子の実際の機械的振幅と同じように振る舞う。この主旨において、電流の、機械的ドメイン内を流れ、したがって「機械的」電流と称される成分も、実際に圧電素子内を流れる電流ではない。したがってそれは、圧電素子の内部で電気エネルギを機械エネルギに変換することを表している。
【0057】
電流Iの電気的成分は、図においてi
cpと称され、電流Iの機械的成分は
図1においてi
cmと称される。同様に、図示されるすべての電流Iが測定される。機械的振動の振幅は、機械的成分i
mから得られるので、全電流Iの測定から電荷Qとそれに伴って振幅Xを定めることができるようにするためには、電気的成分i
cpがわかっていなければならない。電気的成分i
cpは、振動システムの容量(これは
図1において圧電素子の容量と等しい(
図1内で:C
p=C
SW))に依存するので、この場合において本発明に係る方法は、この容量C
pを定め、かつそれに伴って振動振幅の決定可能性と閉ループ制御を改良するために、使用することができる。
【0058】
本発明に係る方法の実施形態が、どのような測定、データ及びステップによってこの目標に達するかが、
図2から6に示されている。
【0059】
図2、3及び4内では、それぞれジェネレータを有する超音波振動システム100の回路図が示されており、その場合に
図2、3及び4は、ジェネレータ20の内部の回路のそれぞれ異なる状態を示している。ここに示される超音波振動システム100は、さらにピエゾアクチュエータ10を有しており、それが
図1に等価回路として示されている。ピエゾアクチュエータは、振動システム100の他の部材(ここには示されない)、例えばここには図示されないソノトロードと、振動結合されている。ピエゾアクチュエータ10は、ケーブル15を介して本発明に係るジェネレータ20と接続されており、その場合にケーブルが容量C
cableを有している。ジェネレータ20は、交流電圧Uを提供する交流電圧源23からなる。電圧源23はアース導線26を介してアース接続端24’と、そして電位導線27がジェネレータの電位接続端24と接続されている。その場合に電位導線は、第1の切り替え装置21を有しており、それを用いて電位導線を遮断することができ、すなわち電位導線の電気的に導通する機能をオフにすることができる。さらに、短絡導線28が設けられており、それが電位導線27とアース導線26を接続しており、その場合にこの導線も切り替え装置22を有しており、それを用いて短絡導線28を遮断することができ、すなわち短絡導線の電気的に導通する機能をオフにすることができる。
【0060】
信号入力11は、次のように、すなわち信号入力11に印加される交流電圧がピエゾアクチュエータ10の電極とカウンター電極との間に印加されるように、ピエゾアクチュエータ10の電極とカウンター電極とに接続されている。信号入力がケーブルを介してジェネレータと接続されているので、ピエゾアクチュエータの電極とカウンター電極とは切り替え装置22を介して、電位導線及びアース導線が接続されることによって、短絡することができる。
【0061】
ジェネレータ20は、さらに、オシロスコープの形式の測定装置30を有しており、それが並列接続によって電位接続端24及びアース接続端24’と接続されている。その場合に、測定装置30は、回路図に示されるように、内部容量Cprobeと内部抵抗Rprobeとを有している。
【0062】
本発明に係る方法を実施するために、
図2、3及び4に示すジェネレータ20は、切り替え装置21及び22が利用されることにより、様々な状態へ移行される。
【0063】
図2において、最初は電位導線のみは遮断されていないので、交流電圧源は電気的に導通するように信号出力と接続されており、すなわち切り替え装置21は閉成された位置にある。それに対して切り替え装置22は開放しているので、電位導線とアース導線の間に短絡電流は流れない。したがって電位接続端24には、電圧源23から提供された交流電圧が印加される。これが、ケーブルを介して超音波振動ユニットへ転送されるので、それが信号入力11を介してピエゾアクチュエータへ、すなわちピエゾアクチュエータの電極とカウンター電極との間に、印加される。その場合に印加される交流電圧の周波数は、好ましくは、図示される振動システムの共振周波数に相当するように、選択されている。
【0064】
印加された交流電圧が、ピエゾアクチュエータを振動させる。したがって
図2は、本発明に係る方法のステップ(a)に基づく励振インターバル[t0、t1]内の回路の状態を示している。
【0065】
本発明に係る方法のステップ(a)からステップ(b)へ達するために、切り替え装置21が次のように、すなわち電圧源と電位接続端24との間の接続-電位導線27-が遮断されるように、操作されるので、超音波振動システム10は励振されない自由な振動を実施する。ピエゾアクチュエータの電極とカウンター電極との間にもはや交流電圧は印加されないからである。開放された切り替え装置21を有する回路のそれに応じた状態が、
図3に代替案(b)(i)について、
図4には代替案(b)(ii)について示されている。
【0066】
まず、ステップ(b)の代替案(i)が、そしてその後ステップ(d)、したがってステップ(b)からの代替案(ii)が実施される、本発明に係る方法の実施形態から始まって、ジェネレータは、代替案(b)(i)に基づいて測定装置30によって電圧が測定される第1の測定インターバル[t1、t2]の間、
図3に示す、開放された切り替え装置21及び22を有する状態に留まる。
【0067】
第2の測定インターバル[t2、t3]内にステップ(d)に基づいて電流又は短絡電流を測定するために、
図4に示すように切り替え装置22が、電位導線27とアース導線26との間の接続28を形成するように、操作されることにより、電極とカウンター電極が短絡される。本発明に係るジェネレータ20が
図4に示す状態にある間、ステップ(d)に基づいて短絡電流が測定され、その後切り替え装置21が開放されて、切り替え装置22が閉成され、したがって電極とカウンター電極の間の電気的に導通する直接的な接続が生じる。
【0068】
図5は、二次元のダイアグラムにおいて、励振インターバル[t0、t1]、第1の測定インターバル[t1、t2]及び第2の測定インターバル[t2、t3]内の電圧Uの時間的推移1及び電圧Uの直流電流成分の時間的推移2を示している。ここに示す測定のために、超音波振動システムが時間インターバル[t0、t1]内で、超音波振動システムの共振周波数に近い周波数で励振される-交流電流の印加により(
図2に示す回路状態を参照)。時点t1において、印加された交流電流がオフにされ、それに続いて超音波振動システムの振動が止み始める(
図3に示す回路の状態を参照)。この振動が止む経過において、時点t1において電圧の最初に存在した直流電圧成分U
DC、1が、時点t2の直流電圧成分U
DC、2まで、指数的に減少する。電圧Uの推移1は全体として、直流電圧成分U
DCのこの指数的な下降と重畳された代替的な交流電圧成分U
ACとから生じ、その振幅は同様に測定インターバル[t1、t2]の推移内で減少する。時点t2において、電極とカウンター電極は短絡導線によって接続され、すなわち短絡されるので、電圧は時点t2において急激にゼロに降下し、かつ第2の測定インターバル[t3、t4]が続く間そこに留まり、その場合にここではt2=t3の場合が示されている(
図4の回路の状態を参照)。
【0069】
直流電圧成分U
DCの時間的下降から、ステップ(c)(bb)に基づいて特徴的な時間インターバルtが、例えば式:
【数3】
を用いて、定められる。
【0070】
図6は、
図2に電圧Uの推移について示されているのと同じ測定のために電流Iの時間的推移を示している。すなわち
図5の時点t3に、
図2の、電極とカウンター電極が短絡される時点t2が相当する。
図6に示す測定インターバル[t3、t4]内で、短絡によってトリガーされた電極とカウンター電極との間の短絡電流が測定される。この電流は、ゼロ位置を中心に交代する推移、したがって純粋な交流電流推移を有している。その場合に、交流電流の振幅は、指数的に下降する。これが、交流電流の推移の仮想のエンベロープを用いて認識される。この指数的な下降から、e
-Drestに基づくFitによって、共振減衰係数D
resが定められる。同様に、
図5に示す電圧の推移を用いて、交流電圧成分U
ACのエンベロープの下降から、反共振の緩衝係数D
antiresが定められる。
【符号の説明】
【0071】
1 電圧Uの時間的推移
2 直流電圧成分UDCの時間的推移
3 電流Iの時間的推移
10 圧電素子/ピエゾアクチュエータ
11 信号入力
15 ケーブル
20 ジェネレータ
21 第1の切り替え装置
22 第2の切り替え装置
23 交流電圧源
24 電位接続端
24’ アース接続端
25 アース
26 アース導線
27 電位導線
28 短絡導線
30 測定装置/オシロスコープ
40 補助線
100 超音波振動システム
Cp 圧電素子の電気容量
Rm 超音波振動システムの等価抵抗
Cm 超音波振動システムの等価容量
Lm 超音波振動システムの等価インダクタンス
Ccable ケーブルの電気容量
Cprobe 測定装置(オシロスコープ)の内部容量
Rprobe 測定装置(オシロスコープ)の内部抵抗
U 電圧
UDC,1 時点t1における直流電圧成分
UDC,2 時点t2における直流電圧成分
I 電流
i (ベクトル量としての)電流
im 機械的電流成分
icp電気的電流成分
t 時間
s 秒
V ボルト
【手続補正書】
【提出日】2021-02-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
超音波溶接装置の例において、この問題点を簡単に説明する:運転開始の前に、電気容量CSWが、一度、外部の測定によって定められる。運転開始後に、未来のすべてのプロセスのために、該当する超音波振動システムの最初に定められた容量CSWが存在することが、前提とされる。したがって圧電素子に印加される交流電圧は、指向される振動振幅が生じるように調節され、その振動振幅は容量CSWのために最初に定められた値を想定して予測されるものである。しかしながら、超音波溶接装置の使用の経過において超音波溶接装置の電気素子及び/又は圧電素子の電気容量が変化した場合に、振動振幅も変化する。変化した振動振幅は、通常、最初に調節された振動振幅ほど、該当するプロセスに適していない。したがって、通常、プロセス品質の低下、すなわち形成される溶接継目の品質の低下ももたらされる。
ピエゾアクチュエータの故障を検出する方法は、特許文献1から公知である。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] DE103 25 446B3
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械的振動システム
(100)の
電気容量C
SW
を定める方法であって、
前記振動システム
は、圧電素子
(10)と
前記圧電素子
(10)に振動結合されている少なくとも1つの他の素子とを有し、
前記圧電素子
(10)は、電極とカウンター電極とを有
し、
以下のステッ
プ:
a)
前記振動システム又は
前記振動システムの部分システムの機械的振動を生じさせるために、励振インターバルの期間の間、
前記電極と
前記カウンター電極との間に交流電圧を印加し、それによって
前記励振インターバルの終了後に
前記振動システム又は
前記部分システムが、励振されない自由な振動を実施
するステップと、
b)
前記励振の終了後及び
前記振動システム又は
前記部分システムの励振されない
前記自由な振動の間に:
前記電極と
前記カウンター電極との間の電圧U
(1)の時間的推移を測定
するステップと
c)ステップb
)において測定された
前記電圧U
(1)の
前記時間的推
移から、
前記電気容量C
SW
を定める
ステップと、
を有し、
ステップb)において、前記電圧(1)の前記時間的推移を測定するために、内部容量C
probe
と内部抵抗R
probe
とを有する測定装置(30)が使用され、
ステップc)は、以下の部分ステップ:
aa)ステップb)において測定された前記電圧U(1)の前記時間的推移から、直流電圧成分U
DC
(2)の時間的推移を定めるステップと、
bb)特徴的な時間インターバルτを定めるステップであって、その中で、ステップb)において測定された前記直流電圧成分U
DC,0
の最初の値が、前記値U
DC,0
/eに下降する、ステップと、
cc)前記特徴的な時間インターバルτによって、前記電気容量C
SW
を計算するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
ステップcc)
において、式:
【数1】
を用いて、
前記電気容量C
SWを計算す
ることを特徴とする
、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)において、
前記振動システム
(100)の予め知られている共振周波数に近い、又は等しい周波数fによって励振が起こる、ことを特徴とする
、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
以下のさらなるステップ:
d)
前記電極と
前記カウンター電極と
を導線
(28)によって短絡し、かつ
前記導線を通
る電流I
(3)の時間的推移を測定
するステップと、
ステップb)が第1の測定インターバルの間に起こり、かつステップd)が第2の測定インターバル内に起こり、
前記第2の測定インターバルが好ましくは
前記第1の測定インターバルの後に起こり、
e)ステップd)において測定された
前記電流I
(3)の
前記時間的推移から、少なくとも1つの他の物理的特性量、好ましくは
前記振動システム
(100)の電気的等価パラメータを定める
ステップと、
が提供されることを特徴とする
、請求項
1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
以下のステップの1つ又は複数が単独で又は互いに組み合わせ
て:
f)ステップd)において定められた
前記電流I
(3)の
前記時間的推移から、
前記振動システム
(100)の共振周波数f
resを定め
るステップと、
g)ステップb)において定められた
前記電圧U
(1)の
前記時間的推移から、
前記振動システム
(100)の反共振周波数f
antiresを定め
るステップと、
h)ステップf)、ステップg)及び式:
【数2】
を用いて、
前記容量C
SWから
前記振動システム
(100)の
前記モーダルな等価容量C
mを計算
するステップと、
i)ステップh)及び
前記モーダルな等価容量C
mから、好ましくは式:
【数3】
を用いて、
前記振動システム
(100)の
前記モーダルな等価インダクタンスL
mを計算
するステップと、
j)
前記電流I
(3)の
前記時間的推移のエンベロープの、
前記時間tに依存する下降を特徴づける、共振減衰係数D
resを定め
るステップと、
k)
前記電圧U
(1)の
前記時間的推移のエンベロープの、
前記時間tに依存する下降を特徴づける、反共振減衰係数D
antiresを定め
るステップと、
l)ステップf)、ステップi)、ステップj)及び式:R
m=4πD
resL
mf
resを用いて、
前記モーダルな等価抵抗R
mを計算する
ステップと、
が提供されることを特徴とする
、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
ステップf)からj)及びそのために必要な先行するすべてのステップを、好ましくは300msより少ない時間インターバル内に、好ましくは250msよる少ない時間インターバル内に、かつ特に好ましくは200msよる少ない時間インターバル内
に実施することによって、
前記振動システム
(100)の完全な特徴づけが行われる、ことを特徴とする
、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
超音波振動システム
(100)を駆動する方法であって、
前記超音波振動システム
(100)は、少なくともジェネレータ
(20)と、コンバータと、ソノトロードとを有し、
前記ソノトロードは、超音波加工を実施するために、加工すべき材料と接触され、
前記コンバータ
は、少なくとも1つの圧電素子
(10)を有し、
前記ジェネレータ
(20)は、前記コンバータの前記圧電素子(10)によって機械的振動に変換される交流電圧を供給し
、
加工休止の間
、すなわち、
前記ソノトロードが
前記加工すべき材料と接触
していない場合に、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法が実施され
ることを特徴とする
、方法。
【請求項8】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法を実施するために、
前記ジェネレータ
(20)のみが使用されることを特徴とする
、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記加工休止の間に、以下のステッ
プ:
A
)請求項
1から6のいずれか一項に記載の方法によって、
前記超音波振動システム
(100)の
前記電気容量C
SWを定め
るステップと、
B)ステップ
A)において定められた
前記超音波振動システム
(100)の
前記電気容量C
SWに応じて
前記交流電圧を調節する
ステップと、
が行われることを特徴とする
、請求項
7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップB)が以下の部分ステッ
プ:
AA)ステップA)において定められた、
前記超音波振動システム
(100)の
前記電気容量C
SW
を用いて、前記超音波振動システム
(100)の
前記機械的振動の
前記振幅Xを定め
るステップと、
BB)
前記振幅Xを目標振幅X
0と比較
するステップと、
CC)
前記ジェネレータ
(20)によって供給される
前記交流電圧の
前記周波数及び/又は
前記振幅を調節し、それによって振幅Xが
前記目標振幅X
0と等しくなる
ステップと、
を有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
交流電圧を供給し、かつ請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法を実施するための
手段を有するジェネレータ
(20)であって、
交流電圧源
(23)、
前記交流電圧源と電位接続端
(24)との間の電位導線
(27)、
前記交流電圧源
(23)とアース接続端
(24')との間のアース導線
(26)、及びアース接続端
(24')を有し、
前記アース導線
(26)がアースと接続さ
れ、
短絡導線
(28)が
前記電位導線
(24)を
前記アース導線
(26)と接続することであって、
前記ジェネレータ
(20)が、
前記電位導線
(27)を遮断することができる、第1の切り替え装置
(21)と、
前記短絡導線
(28)を遮断することができる、第2の切り替え装置
(22)と、を有してい
ることを特徴とする
、ジェネレータ。
【請求項12】
前記第1の切り替え装置
(21)と
前記第2の切り替え装置
(22)とは、リードリレー又は半導体リレーである、ことを特徴とする
、請求項
11に記載のジェネレータ。
【国際調査報告】