(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】論理チャネル優先度を処理するための方法およびデバイス、記憶媒体、ならびに端末
(51)【国際特許分類】
H04W 72/12 20090101AFI20220920BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20220920BHJP
H04W 72/10 20090101ALI20220920BHJP
H04W 72/02 20090101ALI20220920BHJP
【FI】
H04W72/12
H04W4/40
H04W72/10
H04W72/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504258
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2020087196
(87)【国際公開番号】W WO2021012739
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】201910661929.1
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521126829
【氏名又は名称】ベイジン・ユニソック・コミュニケーションズ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】范 慧芳
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 星
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 祥新
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067GG06
(57)【要約】
論理チャネル優先度を処理するための方法およびデバイス、記憶媒体、ならびに端末が提供される。論理チャネル優先度を処理するための方法は、論理チャネル優先度およびトークン値に従って送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することと、選択された送信ターゲットに対応して論理チャネル優先度を処理することとを含む。本発明によって提供される技術的解決策は、論理チャネルが飢餓状態になることを効果的に防止することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理チャネル優先順位付け(LCP)手順のための方法であって、
論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択するステップであって、前記送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、ステップと、
前記選択された送信ターゲットに基づいて前記LCP手順を実施するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記送信ターゲットが前記送信リソースを含み、前記送信リソースが媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)を送信するために使用され、前記論理チャネル優先度および前記トークン値に基づいて前記送信ターゲットを前記選択するステップが、
最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、前記送信ターゲットとして選択するステップであって、X≧0である、ステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信ターゲットが前記宛先を含み、前記論理チャネル優先度および前記トークン値に基づいて前記送信ターゲットを前記選択するステップが、
送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつそのトークン値がXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、前記送信ターゲットとして選択するステップであって、X≧0である、ステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Xの値が、
プロトコルによって事前定義され、または
構成され、または
ユーザ機器(UE)によって、各論理チャネルのPrioritized Bit Rate(PBR)および各論理チャネル上の送信に利用可能なデータの量に基づいて決定される、
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、前記論理チャネルのトークン値を低減するステップと、
前記送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、前記MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルの前記トークン値を追加的に低減するステップと
をさらに含み、
送信に利用可能なデータの前記量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルの前記トークン値を前記追加的に低減するステップが、
前記MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの前記追加的に減算されるトークン値の合計量を、前記送信リソースの前記サイズと送信に利用可能なデータの前記量との差として決定するステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、前記論理チャネルの前記追加的に減算されるトークン値を、トークン値の前記合計量と前記全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定するステップ
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、前記MAC PDU多重化に関与する前記論理チャネルの前記トークン値が増加するにつれて、各論理チャネルの前記追加的に減算されるトークン値が減少する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記選択された送信ターゲットに基づいて前記LCP手順を前記実施するステップが、
前記選択された送信ターゲットに関連する論理チャネルについて前記LCP手順を実施するステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
論理チャネル優先順位付け(LCP)手順のためのデバイスであって、
論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、前記送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することを行うように適合された選択回路と、
前記選択された送信ターゲットに基づいて前記LCP手順を実施することを行うように適合された実施回路と
を備える、デバイス。
【請求項11】
その中に記憶されたコンピュータ命令を有する記憶媒体であって、前記コンピュータ命令が実行されると請求項1から9のいずれか一項に基づく方法が実施される、記憶媒体。
【請求項12】
メモリおよびプロセッサを備える端末であって、前記メモリが、その中に記憶されたコンピュータ命令を有し、前記プロセッサが前記コンピュータ命令を実行すると請求項1から9のいずれか一項に基づく方法が実施される、端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年7月22日に出願した「METHOD AND DEVICE FOR PROCESSING LOGICAL CHANNEL PRIORITY, STORAGE MEDIUM, AND TERMINAL」という名称の中国特許出願第201910661929.1号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は一般に、ワイヤレス通信技術分野に関し、より詳細には、論理チャネル優先順位付け(LCP)手順のための方法およびデバイス、記憶媒体、ならびに端末に関する。
【背景技術】
【0003】
直接通信をベースに、第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、Rel-14において車車間・路車間(V2X)通信を、すなわちLTE V2Xをサポートし始め、LTE V2XはRel-15において拡張されており、すなわち拡張V2X(enhanced V2X)(eV2X)である。
【0004】
現在、3GPPは、5G NRへのV2Xの導入に取り組んでいる。NR V2XとLTE V2Xの差異のため、NR V2XがLTE V2Xをコピーする場合、論理チャネルが飢餓状態になるという状況が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、論理チャネルが飢餓状態になることを防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、低優先の論理チャネルが飢餓状態になることを効果的に防止すべく論理チャネル優先順位付け(LCP)を強化するための方法を提供する。
【0007】
本開示の一実施形態では、LCP手順のための方法が提供され、方法は、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することと、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することとを含む。
【0008】
ある実施形態では、送信ターゲットが送信リソースを含み、送信リソースは媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)を送信するために使用され、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを前記選択することが、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを含む。
【0009】
ある実施形態では、送信ターゲットが宛先を含み、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを前記選択することが、送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつそのトークン値がXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを含む。
【0010】
ある実施形態では、Xの値が、プロトコルによって事前定義され、または構成され、またはユーザ機器(UE)によって、各論理チャネルのPrioritized Bit Rate(PBR)および各論理チャネル上の送信に利用可能なデータの量に基づいて決定される。
【0011】
ある実施形態では、方法は、全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、論理チャネルのトークン値を低減することと、送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することとをさらに含み、送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0012】
ある実施形態では、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を前記追加的に低減することが、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算されるトークン値の合計量を、送信リソースのサイズと送信に利用可能なデータの量との差として決定することを含む。
【0013】
ある実施形態では、方法は、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、論理チャネルの追加的に減算されるトークン値を、トークン値の合計量と全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定することをさらに含む。
【0014】
ある実施形態では、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、MAC PDU多重化に関与する論理チャネルのトークン値が増加するにつれて、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値が減少する。
【0015】
ある実施形態では、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を前記実施することが、選択された送信ターゲットに関連する論理チャネルについてLCP手順を実施することを含む。
【0016】
本開示の一実施形態では、LCP手順のためのデバイスが提供され、デバイスは、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することを行うように適合された選択回路と、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することを行うように適合された実施回路とを含む。
【0017】
本開示の一実施形態では、LCP手順のための方法が提供され、方法は、LCP手順を実施する際に、送信に利用可能なデータをもつ全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、論理チャネルのトークン値を低減することと、論理チャネルを送信するための送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することとを含み、送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0018】
ある実施形態では、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を前記追加的に低減することが、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算されるトークン値の合計量を、送信リソースのサイズと送信に利用可能なデータの量との差として決定することを含む。
【0019】
ある実施形態では、方法は、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、論理チャネルの追加的に減算されるトークン値を、トークン値の合計量と全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定することをさらに含む。
【0020】
ある実施形態では、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、MAC PDU多重化に関与する論理チャネルのトークン値が増加するにつれて、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値が減少する。
【0021】
ある実施形態では、論理チャネルのトークン値を低減する前に、方法は、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することと、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することとをさらに含む。
【0022】
ある実施形態では、送信ターゲットが送信リソースを含み、送信リソースは媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)を送信するために使用され、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを前記選択することが、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを含む。
【0023】
ある実施形態では、送信ターゲットが宛先を含み、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを前記選択することが、送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつそのトークン値がXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを含む。
【0024】
ある実施形態では、Xの値が、プロトコルによって事前定義され、または構成され、またはユーザ機器(UE)によって、各論理チャネルのPrioritized Bit Rate(PBR)および各論理チャネル上の送信に利用可能なデータの量に基づいて決定される。
【0025】
本開示の一実施形態では、LCP手順のためのデバイスが提供され、デバイスは、LCP手順を実施する際に、送信に利用可能なデータをもつ全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、各論理チャネルのトークン値を低減することを行うように適合された、第1の低減回路と、論理チャネルを送信するための送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することを行うように適合された、第2の回路とを含み、送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0026】
本開示の一実施形態では、その中に記憶されたコンピュータ命令を有する記憶媒体であって、コンピュータ命令が実行されると上記の実施形態に基づく方法が実施される、記憶媒体が提供される。
【0027】
本開示の一実施形態では、端末が提供され、端末は、メモリおよびプロセッサを含み、メモリは、その中に記憶されたコンピュータ命令を有し、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると上記の実施形態に基づく方法が実施される。
【0028】
本開示の実施形態は、以下の利点を有する。
【0029】
本開示の実施形態では、LCP手順のための方法が提供される。方法は、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することと、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することとを含む。本開示のこの実施形態によれば、論理チャネル優先度とトークン値(または変数Bj)は、LCP手順を実施するための送信ターゲットを選択する際に一緒に考慮することができる。論理チャネル優先度を考慮するのは、主として、サービスのサービス品質(QoS)要件を満たすためであり、トークン値を考慮するのは、主として、同じ送信ターゲットが毎回選択されることを防止し、それにより、LCP手順を実施する際に、低優先度をもつ論理チャネルが飢餓状態になって送信されなくなる(starved to death)という状況を回避するためである。
【0030】
さらに、送信ターゲットが送信リソースを含み、送信リソースはMAC PDUを送信するために使用され、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを前記選択することが、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを含む。本開示のこの実施形態では、最高優先度をもち、かつXよりも大きいトークン値を有する次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースが、送信ターゲットとして選択されることが可能であり、それにより、送信ターゲットに対応する論理チャネルが飢餓状態になることを防止するための実行可能な解決策がさらにもたらされる。
【0031】
さらに、送信ターゲットが宛先を含み、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを前記選択することが、送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつそのトークン値がXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を選択することであって、X≧0である、選択することを含む。本開示のこの実施形態では、宛先が送信ターゲットとして選択されることが可能であり、宛先は、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつXよりも大きいトークン値を有する論理チャネルに関連し、それにより、送信ターゲットに対応する論理チャネルが飢餓状態になることを防止するための実行可能な解決策がさらにもたらされる。
【0032】
さらに、方法は、全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、各論理チャネルのトークン値を低減することと、送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することとをさらに含み、送信に使用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。本開示のこの実施形態では、トークン値を追加的に低減することによって、各論理チャネルの変数Bj値がさらに低減されることが可能であり、それにより、データパケットは小さいが発生頻度の高いサービスが送信リソースを常に占有するという状況がさらに効果的に回避され得る。
【0033】
さらに、本開示の一実施形態では、LCP手順のための方法が提供される。方法は、LCP手順を実施する際に、送信に利用可能なデータをもつ全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、論理チャネルのトークン値を低減することと、論理チャネルを送信するための送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することとを含み、送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。本開示のこの実施形態では、各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することによって、各論理チャネルの変数Bj値がさらに低減されることが可能であり、それにより、データパケットは小さいが発生頻度の高いサービスが送信リソースを常に占有するという状況が効果的に回避されるとともに他の論理チャネルが飢餓状態になることが効果的に防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示の一実施形態によるLCP手順のための方法のフローチャートを概略的に示す図である。
【
図2】本開示の別の実施形態によるLCP手順のための方法のフローチャートを概略的に示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるLCP手順のためのデバイスの構造図を概略的に示す図である。
【
図4】本開示の別の実施形態によるLCP手順のためのデバイスの構造図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
背景技術において述べたように、既存の技術では、LCP手順の実施中に論理チャネルが飢餓状態になって送信されなくなることを防止する必要がある。
【0036】
リリース12(Rel-12)において、ロングタームエボリューション(LTE)は、近接ベースサービス(Proximity-based Services)(ProSe)直接通信(デバイス間(Device-to-Device)、略してD2D)を導入している。複数のユーザ機器(UE)が、PC5インターフェースを通じて直接通信することができる。PC5インターフェースは、UE間の直接インターフェースである。
【0037】
ProSe直接通信には2つのリソース割当てモードがあり、一方は、基地局によって専用のシグナリングを通じて構成されるScheduled Resource Allocationであり、他方は、Autonomous Resource Selectionであり、基地局が直接通信のためのリソースプールを、システムメッセージまたは無線リソース制御(RRC)シグナリングを通じてUEに提供することができ、UEは、このリソースプールから直接通信のためのリソースを選択する。送信側UEがネットワークのカバレッジ内にない場合、UEは、Autonomous Resource Selectionによって、事前構成されたリソースプールから直接通信のための送信リソースを選択する。
【0038】
LTE Rel-14 V2Xは、Rel-12およびRel-13のD2Dに基づいて設計されており、PC5インターフェースをサイドリンクインターフェースとして残している。
【0039】
LTE V2XにおけるPC5インターフェースのユーザプレーンプロトコルは、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)、無線リンク制御(RLC)層、媒体アクセス制御(MAC)層、および物理層(PHY)からなる。MAC層は主として、無線リソース選択、パケットフィルタリング、ならびにUEの上りリンク送信およびサイドリンク送信の優先度手順、すなわち論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を担う。LTE V2X通信では、ブロードキャストによるデータ送信のみがサポートされ、V2Xサービスのデータレートについての要件がなく、したがって、LCP手順において飢餓状態回避メカニズム(starvation avoidance mechanism)はサポートされない。さらに、サイドリンク通信が複数のユーザ間で直接生じるので、サービスデータは基地局およびコアネットワークを通過する必要がない。実装の複雑さを低減するために、LCP手順では、異なる宛先に属するサイドリンクサービスを1つのMACプロトコルデータユニット(PDU)内に多重化することができず、したがって、LTE V2XのLCP手順は、次のS0、S1、S2、およびS3のように実施される。
【0040】
S0において、UEが基地局からリソースを取得するか、またはそれ自体によってリソースを選択し、複数のリソースを同時に取得した場合、UEは、複数のリソースのうちの1つを選択して、次のデータ多重化処理を実施する。
【0041】
S1において、UEは、送信に利用可能なデータをもつ全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもつ論理チャネルに対応する宛先を、LCP手順の宛先として選択する。
【0042】
S2において、UEは、選択された宛先に属する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつ送信に利用可能なデータを有する論理チャネルに、リソースを割り当てる。
【0043】
S3において、S2の後で送信リソースが残っている場合、UEは残りの送信リソースを、選択された宛先に属する論理チャネルに、論理チャネル優先度の高い順に、送信リソースが枯渇するまで、または送信に利用可能なデータの送信がその論理チャネルによって完了するまで、割り当てる。
【0044】
現在、3GPPは、5G NRへのV2Xの導入に取り組んでいる。5Gシステムのほうが、広い帯域幅および低いレーテンシを提供することができるので、V2Xのサービス要件を良好に満たすことができる。3GPPは、V2Xサービスをユニキャスト、グループキャスト、またはブロードキャストによって送信するNR V2Xをサポートする。また、NR V2Xは、4つのタイプの応用シナリオ、すなわち車隊(fleet)シナリオ、先進ドライビングシナリオ、拡張センサシナリオ、およびリモートドライビングシナリオを含む、先進のV2X応用に主として向けられている。上記の応用シナリオをサポートすべく、NR V2Xはそれに応じて拡張されている。
【0045】
NR V2Xのサービス品質(QoS)にはデータレートについての要件があり、したがって、Guaranteed Bit Rate(GBR)サービスの最小データレートを満たすために、飢餓状態回避メカニズムを導入する必要がある。飢餓状態回避メカニズムは、Prioritised Bit Rate(PBR)の概念を導入し、すなわち、論理チャネルにリソースを割り当てる前に、各論理チャネルのデータレートを構成し、それにより、各論理チャネルにGBRの最小データレートを与え、低優先度をもつ論理チャネルが「飢餓状態になること」を回避する。MAC層が、トークンバケットに類似のアルゴリズムを使用してMAC層の多重化を実現し、その際、Bucket Size Duration(BSD)がトークンバケットの「深さ」を決める。UEは、各論理チャネルjについて変数Bjを維持し、Bjは、トークンバケット内に現在利用可能なトークン数を示す。Bjは論理チャネルが確立されるときに0に初期化され、各送信時間間隔(TTI)においてBjはPBR×TTIだけ増加する。
【0046】
NR V2Xに飢餓状態回避メカニズムが導入された後で、既存のLTE V2Xにおける方法に従って送信ターゲットを決定すると、選択された送信ターゲットに対応する論理チャネルのPBRが満足されており、すなわちその論理チャネル内にトークンが残っていない場合があり、それにより優先度が相対的に低くなり得、したがってそのGBRサービスが送信リソースを取得できない、という状況になり得る。
【0047】
加えて、NR V2Xでは、少なくともサイドリンクブロードキャストのサービスおよびサイドリンクグループキャストのサービスについて、異なる宛先をもつ論理チャネルが同じMAC PDU内に多重化されることは許されていない。したがって、飢餓状態回避メカニズムが導入された後でさえ、データパケットが小さく発生頻度の高いサービスが送信リソースを常に占有するというシナリオは不可避であり、それにより、他の宛先の論理チャネルが飢餓状態になり得る。
【0048】
本開示の実施形態では、LCP手順のための方法であって、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することと、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することとを含む、方法が提供される。本開示のこの実施形態によれば、論理チャネル優先度とトークン値(または変数Bj)は、LCP手順を実施するための送信ターゲットを選択する際に一緒に考慮することができる。論理チャネル優先度を考慮するのは、主として、サービスのサービス品質(QoS)要件を満たすためであり、トークン値を考慮するのは、主として、同じ送信ターゲットが毎回選択されることを防止し、それにより、LCP手順を実施する際に、低優先度をもつ論理チャネルが飢餓状態になって送信されなくなるという状況を回避するためである。
【0049】
本開示の実施形態の目的、特徴、および利点を明確にするために、本開示の実施形態について、添付の図面と併せて詳細に、明確に説明する。
【0050】
図1は、本開示の一実施形態によるLCP手順のための方法のフローチャートを概略的に示しており、本方法は端末によって実行されてよく、例えば5G V2X UEによって実行されてよい。
【0051】
具体的には、LCP手順のための方法は、次のS101およびS102を含むことができる。
【0052】
S101において、UEが、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択し、ここで、送信ターゲットは送信リソースおよび/または宛先を含む。
【0053】
S102において、UEが、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施する。
【0054】
より具体的には、UEは、各論理チャネル、論理チャネルの論理チャネル優先度、および論理チャネルのトークン値(または変数Bj)を決定することができる。
【0055】
S101において、UEは、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて、MAC PDUを送信するための送信リソースを選択することができ、またはUEは、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて宛先を選択することができ、またはUEは、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信リソースおよび宛先を選択することができる。
【0056】
S102において、(送信リソースおよび/または宛先などの)送信ターゲットを選択した後で、UEは、引き続きLCP手順を実施することができる。送信ターゲットに対応する論理チャネルがLCP手順における論理チャネルであることを、当業者は理解されたい。
【0057】
一実施形態では、送信ターゲットが送信リソースを含み、MAC PDUを送信することのできる各送信リソースを決定した後で、UEは、各送信リソースによって送信されることの可能な論理チャネルの優先度およびトークン値をそれぞれ決定し、次いで、送信リソースを、その送信リソースによって送信されることの可能な論理チャネルの優先度およびトークン値に基づいて選択する。具体的には、送信リソースを選択する際に、UEは、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信リソースとして選択し、ここで、X≧0である。
【0058】
別の実施形態では、送信ターゲットが宛先を含み、UEは最初に、送信に利用可能なデータを有する各論理チャネルを決定し、その後UEは、全ての論理チャネルのうちで最高優先度をもち、かつそのBjがXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、宛先として選択し、ここで、X≧0である。
【0059】
特定の一実装形態では、Xの値が事前定義されてよく、またはXの値が基地局によって構成されてよく、例えば、基地局はXの値を各論理チャネルのPBRに基づいて事前構成してよい。または、UEがXの値を各論理チャネルのPBRおよび各論理チャネル上の送信に利用可能なデータに基づいて決定してよい。
【0060】
さらに、同じ宛先内の、Bj≧0をもつ全ての論理チャネルについて、UEは、(MAC PDUパケットなどの)パケットを論理チャネル優先度の高い順にグループ化することができる。その後、論理チャネルjからMAC PDUパケット内に多重化された全てのMACサービスデータユニット(SDU)のサイズが、各論理チャネルjの変数Bjから減算され、ここで、jは非負整数とすることのできる論理チャネル識別子を表す。
【0061】
さらに、送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きい場合、UEは、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することができる。送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0062】
特定の一実装形態では、UEは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算されるトークン値の合計量を、送信リソースのサイズと送信に利用可能なデータの量との差として決定することができる。MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、UEは、論理チャネルの追加的に減算されるBjを、トークン値の合計量と全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定することができ、すなわち、各論理チャネルの追加的に減算されるBjは同じものである。
【0063】
または、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、UEは、各論理チャネルのBjを、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのSDUの割合に従って低減することができ、MAC PDU多重化に関与する論理チャネルのBjが増加するにつれて、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値が減少する。
【0064】
図2は、本開示の別の実施形態によるLCP手順のための方法のフローチャートを概略的に示しており、本方法は端末によって実行されてよく、例えば5G UEによって実行されてよい。
【0065】
具体的には、LCP手順のための方法は、次のS201およびS202を含むことができる。
【0066】
S201において、LCP手順を実施する際に、送信に利用可能なデータをもつ全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、UEが、論理チャネルのトークン値を低減する。
【0067】
S202において、論理チャネルを送信するための送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、UEが、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルのトークン値を追加的に低減する。
【0068】
送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0069】
より具体的には、UEは、LCP手順を実施する際に、最初に、送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルを決定する。
【0070】
一実施形態では、UEは、論理チャネル優先度に基づいて送信ターゲットを決定することができ、送信ターゲットはMAC PDUを送信するための送信リソースとすることができる。また、UEは、この送信ターゲットに基づいて論理チャネルのためのLCP手順を実施することができる。
【0071】
別の実施形態では、UEは、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを決定することができ、送信ターゲットは送信リソースおよび/または宛先を含む。また、UEは、この送信ターゲットに基づいて論理チャネルのためのLCP手順を実施することができる。
【0072】
具体的には、送信ターゲットが送信リソースを含み、MAC PDUを送信することのできる各送信リソースを決定した後で、UEは、各送信リソースによって送信されることの可能な論理チャネルの優先度およびトークン値をそれぞれ決定し、次いで、送信リソースを、その送信リソースによって送信されることの可能な論理チャネルの優先度およびトークン値に基づいて選択する。さらに、送信リソースを選択する際に、UEは、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信リソースとして選択し、ここで、X≧0である。
【0073】
または、送信ターゲットが宛先を含む場合、UEは、送信に利用可能なデータを有する各論理チャネルを決定した後で、全ての論理チャネルのうちで最高優先度をもち、かつそのBjがXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、宛先として選択することができ、X≧0である。さらに、各論理チャネルに対してLCP手順が実施されることが可能である。
【0074】
特定の一実装形態では、Xの値が次のように決定されてよい:3GPP TS38.321プロトコルなどのプロトコルによって事前定義され、またはXの値は基地局によって各論理チャネルのPBRに基づいて事前構成されてよく、またはXの値はUEによって各論理チャネルのPBRおよび各論理チャネル上の送信に利用可能なデータに基づいて決定されてよい。
【0075】
さらに、各論理チャネルについてLCP手順を実施する際に、UEは、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を低減することができる。
【0076】
S202において、論理チャネルを送信するための送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きい場合、UEは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することができる。実際の応用では、UEは、送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりもはるかに大きいときに、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することができる。
【0077】
特定の一実装形態では、UEは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算されるトークン値の合計量を、送信リソースのサイズと送信に利用可能なデータの量との差として決定することができる。
【0078】
一実施形態では、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、UEは、論理チャネルの追加的に減算されるトークン値を、トークン値の合計量と全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定することができる。
【0079】
別の実施形態では、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、MAC PDU多重化に関与する論理チャネルのトークン値が増加するにつれて、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値が減少する。
【0080】
以下では、特定の実施形態について詳細に説明する。
【0081】
実施形態1:LCP手順では、UEは最初に送信リソースを選択することができ、送信リソースとは、MAC層のPDUを送信するための無線リソースを指す。送信リソースを選択する際に、UEは、基地局から複数の候補送信リソースを受信することができ、またはUEは、リソースプールから複数の候補送信リソースを取得することができる。一方で、UEは、複数の候補送信リソースの1つを、データを送信するための送信リソースとして選択することができる。送信リソースを選択する際に、UEは、送信されることの可能な論理チャネルの優先順位と、その論理チャネルのBjがXよりも大きいかどうかの両方を考慮することができる。すなわち、UEは、次の条件を満足させる論理チャネルを送信することのできる送信リソースを選択し、論理チャネルが満たす必要のある条件は、Bj≧Xであること、および論理チャネルの優先度が最高であることを含む。
【0082】
Xの値は、0に設定されてもよく、0よりも大きい任意の値に設定されてもよく、例えば、Xの値はPBR値の30%に設定されてよい。また、Xの値は、UEによって、各論理チャネルについて構成されたPBR値、および実際のデータパケットの到着に基づいて決定されてよく、またはXの値は、ネットワークによって、各論理チャネルのPBRに基づいて構成されてよく、または全ての論理チャネルのXの値が、同じしきい値に事前設定される。
【0083】
その後、UEは、選択された送信リソースに対して後続のLCP手順を実施することができる。例えば、UEは、Bj>0をもち、かつ送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルを、MAC PDUパケット内に優先度の高い順にグループ化することができ、各論理チャネルに割り当てられた送信リソースは、その論理チャネルのPBR要件のみを満たす。その後、UEは、各論理チャネルjについてBj値を低減することができ、ここで、jは非負整数であり、減算される値は、MAC PDUパケット内に多重化された全てのMAC SDUの上述した値に等しい。さらに、送信リソースがまだ残っている場合、UEはもはやBjについて考慮するのではなく、残りの送信リソースを、他の論理チャネルに、論理チャネル優先度に基づいて割り当てることができ、それによって、他の論理チャネルが、他の論理チャネル上の送信に利用可能なデータを送信することができるようになる。
【0084】
実施形態2:LCP手順のための送信リソースを決定した後で、UEは、LCP手順における送信に利用可能なデータの宛先を決定することができ、すなわち、宛先を決定することができる。具体的には、UEは、データをもつ全ての論理チャネルからXよりも大きいBjをもつ全ての論理チャネルを選択し、Xよりも大きいBjをもつ論理チャネルを論理チャネルセットAとして記録することができる。その後、UEは、論理チャネルセットA内の最高優先度をもつ論理チャネルに対応する宛先を、LCP手順の宛先として選択することができ、jは非負整数である。
【0085】
Xの値は、0に設定されてもよく、0よりも大きい任意の値に設定されてもよく、例えば、Xの値はPBR値の30%に設定されてよい。また、Xの値は、UEによって、各論理チャネルについて構成されたPBR値、および実際のデータパケットの到着に基づいて決定されてよく、またはXの値は、ネットワークによって、各論理チャネルのPBRに基づいて構成されてよく、または全ての論理チャネルのXの値が、同じしきい値に事前設定される。
【0086】
その後、UEは、選択された送信リソースに対して後続のLCP手順を実施することができる。例えば、UEは、同じ宛先内の、Bj>0をもつ全ての論理チャネルを、MAC PDUパケット内に優先度の高い順にグループ化することができ、各論理チャネルに割り当てられた送信リソースは、その論理チャネルのPBR要件のみを満たす。その後、UEは、各論理チャネルjについてBj値を低減することができ、減算される値は、MAC PDUパケット内に多重化された全てのMAC SDUの上述した値に等しい。さらに、送信リソースがまだ残っている場合、UEはもはやBjについて考慮するのではなく、残りの送信リソースを、宛先に対応する他の論理チャネルに、論理チャネル優先度に基づいて割り当てることができ、それによって、他の論理チャネルが、他の論理チャネル上の送信に利用可能なデータを送信することができるようになる。
【0087】
実施形態3:送信ターゲットを選択した後で(例えば、UEは既存のプロトコルに従って論理チャネル優先度に基づいて送信ターゲットを選択することができる)、割り当てられた送信リソースが十分には利用されていないことをUEが見いだした場合、UEは、Bj(jは非負整数である)にペナルティを科すことができ、具体的な処理は、次のS0、S1、S2、およびS3のようであってよい。
【0088】
S0において、UEが送信リソースを取得し、データ多重化の宛先を選択する。
【0089】
S1において、UEが、同じ宛先をもつ全ての論理チャネルを、MAC PDUパケット内に優先度の高い順にグループ化する。一実施形態では、各論理チャネルに割り当てられた送信リソースは、その論理チャネルのPBR要件のみを満たすことができる。
【0090】
S2において、UEがBjを低減し、各論理チャネルjについて減算されるトークン値は、S1においてMAC PDUパケット内に多重化された各論理チャネルjの全てのMAC SDUの値に等しい。
【0091】
S3において、送信リソースがまだ残っている場合、UEはもはやBjについて考慮するのではなく、残りの送信リソースを、宛先に対応する他の論理チャネルに、論理チャネル優先度に基づいて割り当てることができる。
【0092】
S3において、選択された送信ターゲットに対応する論理チャネル内の送信すべき全てのデータを送信リソース内に多重化した後で、UEは、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUの相対的なサイズと現在のLCP手順によって使用される送信リソースとを比較することができる、ということに留意されたい。使用される送信リソースが、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズよりもはるかに大きい場合、UEは、各論理チャネルのトークン値を追加的に減算することができる。具体的には、異なる論理チャネルについて追加的に減算されるトークン値は、2通りに決定することができる。
【0093】
(1)多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算される合計トークン値は、送信リソースから、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズを引いた差に等しく、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値は、同じ値である。すなわち、LCP手順に関与する各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値は、追加的に減算される合計トークン値をLCP手順に関与する全ての論理チャネルの数で割った商に等しい。
【0094】
例えば、送信リソースが1000バイトを含み、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズが500バイトを含むと、多重化に関与する各論理チャネルの追加的に減算される合計トークン値は500バイト(1000バイト-500バイト=500バイト)に等しい。LCP手順に関与する全ての論理チャネルの数が2であり、この2つの数の論理チャネルがLCH1およびLCH2と表されると仮定すると、この場合、LCH1およびLCH2の追加的に減算されるトークン値はそれぞれ、250バイトである。
【0095】
(2)多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算される合計トークン値は、送信リソースから、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズを引いた差に等しく、各論理チャネルのトークン値から追加的に減算される値は、MAC PDU内に多重化された論理チャネルの合計MAC SDUのサイズに対する割合に応じて割り当てられる。すなわち、MAC PDU内に多重化された論理チャネルのMAC SDUの割合が大きいほど、その論理チャネルから追加的に減算されるトークン値が小さくなる。
【0096】
例えば、送信リソースが1000バイトを含み、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズが500バイトを含むと、多重化に関与する各論理チャネルの追加的に減算される合計トークン値は500バイト(1000バイト-500バイト=500バイト)に等しい。LCP手順に関与する全ての論理チャネルの数が2であり、この2つの数の論理チャネルがLCH1およびLCH2と表され、ここで、LCP手順において多重化されたLCH1のMAC SDUは300バイトであり、LCP手順において多重化されたLCH2のMAC SDUは200バイトであると仮定されたい。この場合、LCH1の追加的に減算されるトークン値は200バイトであり、LCH2の追加的に減算されるトークン値は300バイトである。
【0097】
実施形態4:送信ターゲットを選択した後で、割り当てられた送信リソースが十分には利用されていないことをUEが見いだした場合、UEは、Bj(jは非負整数である)にペナルティを科すことができ、具体的な処理は、次のS0、S1、S2、およびS3のようであってよい。
【0098】
S0において、UEが送信ターゲットを選択し、その送信リソースを取得し、また論理チャネル優先度およびBjについて考慮した上でデータ多重化の宛先を取得する。
【0099】
S1において、UEが、Bj>0をもち、かつ同じ宛先をもつ全ての論理チャネルを、MAC PDUパケット内に優先度の高い順にグループ化する。一実施形態では、各論理チャネルに割り当てられた送信リソースは、その論理チャネルのPBR要件のみを満たすことができる。
【0100】
S2において、UEがBjを低減し、各論理チャネルjについて減算されるトークン値は、S1においてMAC PDUパケット内に多重化された各論理チャネルjの全てのMAC SDUの値に等しい。
【0101】
S3において、送信リソースがまだ残っている場合、UEはもはやBjについて考慮するのではなく、残りの送信リソースを、宛先に対応する他の論理チャネルに、論理チャネル優先度に基づいて割り当てることができる。
【0102】
S3において、選択された送信ターゲットに対応する論理チャネル内の送信に利用可能な全てのデータを送信リソース内に多重化した後で、UEは、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUの相対的なサイズと現在のLCP手順によって使用される送信リソースとを比較することができる、ということに留意されたい。使用される送信リソースが、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズよりもはるかに大きい場合、UEは、各論理チャネルのトークン値を追加的に減算することができる。具体的には、異なる論理チャネルについて追加的に減算されるトークン値は、2通りに決定することができる。
【0103】
(1)多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算される合計トークン値は、送信リソースから、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズを引いた差に等しく、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値は、同じ値である。すなわち、LCP手順に関与する各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値は、追加的に減算される合計トークン値をLCP手順に関与する全ての論理チャネルの数で割った商に等しい。
【0104】
(2)多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算される合計トークン値は、送信リソースから、MAC PDU内に多重化された合計MAC SDUのデータサイズを引いた差に等しく、各論理チャネルのトークン値から追加的に減算される値は、MAC PDU内に多重化された論理チャネルの合計MAC SDUのサイズに対する割合に応じて割り当てられる。すなわち、MAC PDU内に多重化された論理チャネルのMAC SDUの割合が大きいほど、その論理チャネルから追加的に減算されるトークン値が小さくなる。
【0105】
上記から、本開示の実施形態は、LCP手順を強化するための方法を提供し、この方法は、V2X通信のGBRサービス要件およびPBRサービス要件を満たしながら、異なる送信ターゲットに対応する論理チャネルが飢餓状態になって送信されなくなることをさらに効果的に防止することが可能である。
【0106】
図3は、本開示の一実施形態によるLCP手順のためのデバイスの構造図を概略的に示す。LCP手順のためのデバイス3は、端末によって実行される
図1に示す方法の技術的解決策を実装するために利用されてよい。具体的には、デバイス3は、論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することを行うように適合された選択回路31と、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することを行うように適合された実施回路32とを含むことができる。
【0107】
ある実施形態では、送信ターゲットが送信リソースを含み、送信リソースはMAC PDUを送信するために使用され、選択回路31は、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを行うように適合された、第1の選択サブ回路311を含むことができる。
【0108】
ある実施形態では、送信ターゲットが宛先を含み、選択回路31は、送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつそのトークン値がXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを行うように適合された、第2の選択サブ回路312を含むことができる。
【0109】
ある実施形態では、Xの値が次の方途によって決定され、すなわちプロトコルによって事前定義され、または構成され、またはユーザ機器(UE)によって、各論理チャネルのPrioritized Bit Rate(PBR)および各論理チャネル上の送信に利用可能なデータの量に基づいて決定される。
【0110】
ある実施形態では、デバイス3は、全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルについて、論理チャネルのトークン値を低減することを行うように適合された、第1の低減回路33と、送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きいことに応答して、MAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することを行うように適合された、第2の低減回路34とをさらに含むことができ、送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0111】
ある実施形態では、第2の低減回路34は、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算されるトークン値の合計量を、送信リソースのサイズと送信に利用可能なデータの量との差として決定することを行うように適合された、低減サブ回路341を含むことができる。
【0112】
ある実施形態では、デバイス3は、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、論理チャネルの追加的に減算されるトークン値を、トークン値の合計量と全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定することを行うように適合された、決定回路35をさらに含むことができる。
【0113】
一変形実施形態では、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、MAC PDU多重化に関与する論理チャネルのトークン値が増加するにつれて、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値が減少することができる。
【0114】
ある実施形態では、実施回路32は、選択された送信ターゲットに関連する論理チャネルについてLCP手順を実施することを行うように適合された、実施サブ回路321を含むことができる。
【0115】
LCP手順のためのデバイス3の原理、特定の実施形態、および有益な効果については、
図1に示す方法についての前述の内容および関連の説明を参照されたく、それらについては、ここでは繰り返し述べない。
【0116】
図4は、本開示の別の実施形態によるLCP手順のためのデバイスの構造図を概略的に示す。LCP手順のためのデバイス4は、端末によって実行される
図2に示す方法の技術的解決策を実装するために利用されてよい。
【0117】
具体的には、デバイス4は、LCP手順を実施する際に、送信に利用可能なデータをもつ全ての論理チャネルのうちのMAC PDU多重化に関与する各論理チャネルのトークン値を低減することを行うように適合された、第1の低減回路41と、論理チャネルを送信するための送信リソースのサイズが、送信に利用可能なデータの量よりも大きい場合に、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルのトークン値を追加的に低減することを行うように適合された、第2の低減回路42とを含むことができ、送信に利用可能なデータの量とは、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネル内の送信に利用可能なデータの合計量を指す。
【0118】
ある実施形態では、第2の低減回路42は、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルの追加的に減算されるトークン値の合計量を、送信リソースのサイズと送信に利用可能なデータの量との差として決定することを行うように適合された、低減サブ回路421を含むことができる。
【0119】
ある実施形態では、デバイス4は、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、論理チャネルの追加的に減算されるトークン値を、トークン値の合計量と全ての論理チャネルのチャネル数との商として決定することを行うように適合された、決定回路43をさらに含むことができる。
【0120】
一変形実施形態では、MAC PDU多重化に関与する全ての論理チャネルのうちの各論理チャネルについて、MAC PDU多重化に関与する論理チャネルのトークン値が増加するにつれて、各論理チャネルの追加的に減算されるトークン値が減少することができる。
【0121】
ある実施形態では、デバイス4は、論理チャネルのトークン値を低減する前に論理チャネル優先度およびトークン値に基づいて送信ターゲットを選択することであって、送信ターゲットが送信リソースおよび/または宛先を含む、選択することを行うように適合された選択回路44と、選択された送信ターゲットに基づいてLCP手順を実施することを行うように適合された実施回路45とをさらに含むことができる。
【0122】
ある実施形態では、送信ターゲットが送信リソースを含み、送信リソースはMAC PDUを送信するために使用され、選択回路44は、最高優先度をもち、送信に利用可能なデータを有し、かつそのトークン値がXよりも大きい次の論理チャネルを送信することのできる送信リソースを、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを行うように適合された、第1の選択サブ回路441を含むことができる。
【0123】
ある実施形態では、送信ターゲットが宛先を含み、選択回路44は、送信に利用可能なデータを有する全ての論理チャネルのうちで、最高優先度をもち、かつそのトークン値がXよりも大きい論理チャネルに関連する宛先を、送信ターゲットとして選択することであって、X≧0である、選択することを行うように適合された、第2の選択サブ回路442を含むことができる。
【0124】
ある実施形態では、Xの値が次の方途によって決定され、すなわちプロトコルによって事前定義され、または構成され、またはユーザ機器(UE)によって、各論理チャネルのPrioritized Bit Rate(PBR)および各論理チャネル上の送信に利用可能なデータの量に基づいて決定される。
【0125】
LCP手順のためのデバイス4の原理、特定の実施形態、および有益な効果については、
図2に示す方法についての前述の内容および関連の説明を参照されたく、それらについては、ここでは繰り返し述べない。
【0126】
本開示の一実施形態では、その中に記憶されたコンピュータ命令を有する記憶媒体であって、コンピュータ命令が実行されると
図1および
図2に示す方法が実施され得る、記憶媒体が提供される。ある実施形態では、記憶媒体は、不揮発性メモリまたは非一時的メモリなどを含むことができ、記憶媒体は、ROM、RAM、ディスク、または光ディスクなども含むことができる。
【0127】
本開示の一実施形態では、メモリおよびプロセッサを含む端末であって、メモリが、その中に記憶されたコンピュータ命令を有し、プロセッサがコンピュータ命令を実行すると
図1および
図2に示す方法が実施され得る、端末が提供される。ある実施形態では、端末は、NR UEなどの5G端末を含むことができる。
【0128】
本開示は、上記のように開示されているが、本開示はこれに限定されない。当業者なら、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および修正を加えることができよう。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲が定める範囲によって決まるべきである。
【符号の説明】
【0129】
3 デバイス
4 デバイス
31 選択回路
32 実施回路
33 第1の低減回路
34 第2の低減回路
35 決定回路
41 第1の低減回路
42 第2の低減回路
43 決定回路
44 選択回路
45 実施回路
311 第1の選択サブ回路
312 第2の選択サブ回路
321 実施サブ回路
341 低減サブ回路
421 低減サブ回路
441 第1の選択サブ回路
442 第2の選択サブ回路
【国際調査報告】