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特表2022-541935均一なプリントヘッド表面コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(54)【発明の名称】均一なプリントヘッド表面コーティング
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/12 20060101AFI20220920BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B41M3/12
B41J2/16 517
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504634
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2019044178
(87)【国際公開番号】W WO2021021136
(87)【国際公開日】2021-02-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チエン-ヒュア
(72)【発明者】
【氏名】グロー,マイケル,ジー
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ボ
【テーマコード(参考)】
2C057
2H113
【Fターム(参考)】
2C057AG07
2C057AP12
2C057AP13
2C057AP51
2C057AP61
2H113AA01
2H113BA22
2H113BA24
2H113DA47
2H113DA57
(57)【要約】
【課題】プリントヘッドの表面特性の改善。
【解決手段】本開示の種々の態様は、プリントヘッドの表面への材料の層の形成に向けられている。本明細書に記載された例に一致する方法で実施できるように、転写フィルムからの材料の層をプリントヘッドの表面に押し付ける。表面は、表面からプリントヘッド内に延びる流体ノズル開口部を画定している。表面に押し付けられた材料の一部を表面に付着させるとともに、開口部の周囲に延びる表面の縁部に巻き付ける。転写フィルムは、表面に接触するように押し付けられた材料のうちの転写フィルムに付着したままの厚み部分と一緒に除去される。同時に、開口部の上方にある材料の他の領域の一部又は全部も除去される。これにより、表面上の残りの材料の層は、均一な厚みを有するように形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドの表面に材料の層を押し付け、前記表面が、流体ノズル開口部を画定しており、
前記材料の層の一部を前記表面に付着させるとともに、前記開口部において前記表面の縁部からはみ出させ、前記表面上に均一な厚みを有するようにすること
を含む、方法。
【請求項2】
前記表面に前記材料の層を押し付けることは、前記材料の層がコーティングされた転写フィルムを前記表面に押し付けることを含み、
前記層の一部を前記表面に付着させることは、前記表面に付着した前記均一な厚みを有する前記層の一部を残して、前記転写フィルムと、前記材料の層のうちの前記転写フィルムに付着したままの別の部分とを除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記均一な厚みの2倍の厚みで前記材料の層を前記転写フィルム上にコーティングすることによって、前記均一な厚みを設定し、
前記材料の層の厚みの半分を前記プリントヘッドの前記表面に付着させることによって、前記付着を生じさせること
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記均一な厚みは、前記表面に押し付けられた前記層の全厚より小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層の一部を前記表面に付着させるとともに、前記開口部において前記表面の縁部からはみ出させることは、前記開口部の上方から前記層を除去し、前記層の厚みの約半分を前記開口部の周囲の表面に付着させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記表面の前記縁部からはみ出た前記材料の層の前記一部を付着させることは、前記均一な厚みを有する前記層のうちのある量を前記縁部に巻き付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
転写フィルムからの材料の層を使用し、前記材料をプリントヘッドの表面に押し付け、前記表面が、前記表面から前記プリントヘッドの中まで延びる流体ノズル開口部を前記表面に画定しており、前記表面に押し付けられた前記材料の一部を前記表面に付着させ、かつ前記開口部の周囲に延びる表面の縁部に巻き付け、
前記転写フィルム、及び前記表面と接触するように押し付けられた前記材料のうちの前記転写フィルムに付着したままの厚みを除去し、均一な厚みを有する前記材料の層を前記表面に形成すること
を含む、方法。
【請求項8】
前記材料を前記表面に押し付けることは、前記表面と接触するように押し付けられた前記材料の層の厚みの半分を前記表面に付着させ、前記開口部の上方にある前記転写フィルムに付着した前記材料の領域を維持することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記表面に前記材料の層を形成することは、前記材料を前記均一な厚みの2倍の厚みで前記転写フィルム上にコーティングし、前記転写フィルムを介して前記材料を前記表面に押し付けることにより、前記材料のうちの前記均一な厚みを前記表面に転写することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記材料を前記プリントヘッドの前記表面に押し付けることは、パターンを有する前記転写フィルムを位置決めし、前記材料を前記パターンの形で前記表面に押し付けることを含み、
前記材料の層を形成することは、前記材料の層を前記パターンの形に形成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記転写フィルムは、ウェブの伸長部分に材料の層を有する連続ウェブであり、前記方法は、前記均一な厚みを有する前記材料の層を形成した後、さらに、
前記プリントヘッドの代わりに第2のプリントヘッドを位置決めし、
前記連続ウェブを前進させて、前記材料の層の別の部分を前記第2のプリントヘッドの上に整列させ、
転写フィルムの前記連続ウェブを前進させた後、前記第2のプリントヘッドと整列された前記転写フィルムからの前記材料の層の他の部分を使用し、前記材料を前記第2のプリントヘッドの表面に押し付け、前記表面が、前記表面から前記第2のプリントヘッドの中まで延びる流体ノズル開口部を画定しており、前記表面に押し付けられた前記材料の部分を、前記表面に付着させ、かつ前記開口部の周囲に延びる表面の縁部に巻き付け、
前記転写フィルムと、前記表面と接触するように押し付けられた前記材料のうちの前記転写フィルムに付着したままの厚みとを除去し、均一な厚みを有する前記材料の層を前記表面に形成すること
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
流体ノズル開口部を画定している表面を有するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドの表面上の材料の層であって、前記材料の層が前記表面上に均一な厚みを有し、その一部が、前記開口部において前記表面の縁部からはみ出ている、材料の層と
を含む、装置。
【請求項13】
前記開口部において前記表面の縁部からはみ出た前記材料の層の前記一部が、前記均一な厚みの距離だけ前記縁部を越えて延びている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プリントヘッドがインクスロットを含み、前記インクスロットの上方の材料の層の一部は、不完全にコーティングされている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記表面上の前記均一な厚みを有する材料の層に一致するパターンで均一な厚みを有する第1の部分と、前記流体ノズル開口部に一致するパターンで前記均一な厚みよりも大きい厚みを有する第2の部分とを含む、前記材料の層の一部を有する転写フィルムをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プリントヘッドは、インク又は他の材料の表面への印刷のような様々な応用例で使用される。プリントヘッドは、複数のノズルを含む場合があり、印刷の際に、ノズルを通してインク又は他の材料を分配する。ノズル周辺のプリントヘッド表面の特性は、プリントヘッドの性能に影響を与えることがある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
下記の添付の図面とあわせて詳細な説明を考察すると、様々な例をより完全に理解することができる。
図1】本開示による、均一なコーティングを有するプリントヘッドを示す図である。
図2】本開示による、プリントヘッドをコーティングする装置及びアプローチを示す図である。図3A図3Cは、本開示による、プリントヘッドをコーティングする別の装置及びアプローチを示している。
図3A】転写フィルムの前進を示す図である。
図3B】転写フィルムの真空吸着を示す図である。
図3C】表面を選択的にコーティングするための転写フィルムの付与を示す図である。
図4】本開示による、プリントヘッドをコーティングする方法を示すデータフロー図である。
【0003】
本明細書に記載される様々な例は、種々の修正形態及び代替形態に改変を受ける余地があるが、それらの態様は、例として図面に示され、詳細に説明される。ただし、その意図は、本開示を記載された特定の例に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、特許請求の範囲に規定された種々の態様を含む本開示の範囲内にあるあらゆる修正形態、均等、及び代替形態を包含することである。なお、本出願を通して使用される「例」という語は、例示のためのものであり、限定ではない。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[詳細な説明]
本開示の種々の態様は、プリントヘッド表面に対するコーティングを含む様々な異なるシステム及び方法に適用可能である。特定の非限定的例では、本開示の態様は、均一な厚みの材料でコーティングされたプリントヘッドを含む場合がある。この厚みは、転写フィルムから材料を転写することによって設定できる。材料の一部は、プリントヘッドのノズル開口部内にはみ出ている。特定の例では、材料はウェブから転写され、別のプリントヘッドのコーティングに備えて、ウェブは前進される。応用例によっては、そのような例は、転写フィルムにより、ノズル開口部内への比較的少ないはみ出しで転写する効果が得られる点、及び、制御された厚みを有する均一なコーティングの形成が可能になる点で、有利である。
【0005】
特定の具体例は、プリントヘッド表面特性をウェーハレベル又はドライペンレベルで制御できる選択的な薄い材料層の転写アプローチを含む。コーティング材料の薄い層を有するポリマーフィルムのような転写フィルムをプリントヘッド表面に接触させ、材料の厚みの半分をポリマーフィルムからプリントヘッドに転写する。これは、リバーススタンピングプロセスと同様の方法で実施することができる。ウェーハレベルの転写プロセスを含む特定の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなフィルム上でローラーを使用して実行される。他の例では、ポリエチレン(PE)のようなフィルム上でポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプを使用する場合がある。
【0006】
様々な応用例に適合させるため、あるいは望ましい方法でプリントヘッドの表面特性を制御するために、様々な異なるタイプの材料をプリントヘッドにコーティングすることができる。例えば、低表面エネルギーコーティングを使用して、インク溜りを減らし、インク空間を広げることができる。非粘着性コーティングを使用して、固着を軽減したり、プリンタの稼働時間を向上させたりするための、プリントヘッドのサービス頻度を減らすことができる。親水性コーティングを使用して、インク溜りを減らすこともできる。潤滑剤コーティングを使用して、プリントヘッドとワイパー若しくは印刷媒体との間の相互作用による摩擦を減らすことができる。このように、種々の特性又は種々の特性の組み合わせを有するコーティングは、様々な問題に対処することができる。例えば、低表面エネルギーコーティング(インク空間の拡大)の使用は、インク溜りに対処することができ、非粘着性コーティング/犠牲コーティングの使用は、頻繁なプリントヘッドサービスに対処することができ、そして、潤滑剤コーティングの使用は、プリントヘッドの損傷に対処することができる。
【0007】
上記と一致する場合があるように、様々な例は、少量の材料をプリントヘッドのノズル出口に巻き付けることを含む。はみ出し部分の量は、コーティングの厚みにほぼ等しい場合がある。このはみ出し部分は、フィルム転写プロセスの際に、ノズル開口部に押し込まれる。
【0008】
ドライペンのコーティングに関する特定の例では、シリコンダイ上のように、噴射室の周りに均一なコーティングが存在し/形成され、対応するインクスロットの上方にあるシルクハット領域を覆う不完全なコーティングは、テンティングの撓みによって影響を受ける可能性がある。
【0009】
特定の例では、材料コーティングの厚みを、スピンコートプロセスを使用して制御することができる。これは、最終的に得られるフィルムの厚みを除去することにより拡張される場合があり、例えば、第2のフィルム上にコーティングされた材料を別のフィルムに接触させて、第2のフィルムが除去されたときに第2のフィルムに付着したある厚みの材料が除去されるようにすることにより拡張される場合がある。
【0010】
一部の例では、プリントヘッド表面の一部がコーティングされる。このアプローチを使用することにより、粘着性を選択的に調節することができ、輸送用テープの損傷を最小限に抑えることができる。ステークヘッドは、プリントヘッド表面の選択された部分のコーティングを可能にする表面トポグラフィーを有することがある。例えば、コーティングされた転写フィルムを真空吸引することにより、転写フィルムをステークヘッドのトポグラフィーに適合させることができる。
【0011】
例示的応用例(複数可)によれば、方法は、次のように実行される場合がある。プリントヘッドの表面に材料の層を押し付ける。プリントヘッドの表面は、流体ノズル開口部を画定している。材料の層の一部を表面に付着させるとともに、開口部において表面の縁部からはみ出させ、表面上に均一な厚みを有するようにする。例えば、プリントヘッド上に得られるこの均一な厚みは、表面に押し付けられた層の全厚より小さくてもよい。材料の残りの厚みは、転写フィルムを除去するときなどに、除去することができる。事例によっては、層の一部を表面に付着させるとともに、開口部において表面の縁部からはみ出させることは、開口部の上方から層を除去し、層の厚みの約半分を開口部の周囲の表面に付着させることによって行われる場合がある。
【0012】
様々な状況において、表面に材料の層を押し付けることは、材料の層がコーティングされた転写フィルムを表面に押し付けることによって行うことができる。層の一部を表面に付着させることは、転写フィルムと、材料の層のうちの転写フィルムに付着したままの別の部分とを除去することによって行われる場合がある。例えば、流体ノズル開口部の上方にある転写フィルム上の材料は、転写フィルムに付着したままであってよいが、流体開口部の周囲の表面領域に接触している転写フィルム上の材料は半分に分割され、材料の半分は表面に付着したまま残され、材料の残りの半分は転写フィルムと一緒に除去される。
【0013】
プリントヘッドに転写される材料の厚みは、様々な方法で設定できる。例えば、均一な厚みは、均一な厚みの2倍の厚みで材料の層を転写フィルム上にコーティングすることによって設定される場合がある。材料の層の厚みの半分が、転写フィルムの付与とその後の除去によって、プリントヘッドの表面に付着されることになる。
【0014】
様々な方法で、材料をプリントヘッドの開口部の上にはみ出させることができる。一部の例では、表面に押し付けられた材料の層の一部が、開口部の縁部を越えて横方向にはみ出るような形で、材料の層が表面に押し付けられる。特定の例では、材料の層のうちの開口部の縁部からはみ出た量が、均一な厚みに対応する量だけ縁部に巻き付けられる。
【0015】
さらに別の例として、均一な材料の層は、次のようにプリントヘッド上にコーティングされる。転写フィルムからの材料の層を使用し、その材料をプリントヘッドの表面に押し付ける。プリントヘッドの表面は、プリントヘッドの表面からプリントヘッドの中まで延びる流体ノズル開口部を画定している。表面に押し付けられた材料の一部を表面に付着させるとともに、開口部の周囲に延びる表面の縁部に巻き付ける。次に、転写フィルムを除去すると、表面と接触するように押し付けられた材料のうちのある厚みが転写フィルムに付着したままとなり、均一な厚みを有する材料の層が表面に形成される。このアプローチは、例えば、表面と接触するように押し付けられた材料の層の厚みの半分を表面に付着させることを含む場合がある。開口部の上方にある材料の部分は、転写フィルムに付着したままにされてよい(転写フィルムの除去時に除去される)。これらの状況において、表面に材料の層を形成することは、材料をプリントヘッド上の所望の均一な厚みの2倍の厚みで転写フィルム上にコーティングし、転写フィルムを介して材料を表面に押し付けることにより、材料のうちの所望の均一な厚みを表面に転写することを含む場合がある。
【0016】
ノズル開口部の縁部からはみ出る材料の量は、様々な方法で設定できる。一部の例において、上記のように材料を表面に押し付けることは、表面に押し付けられた材料の一部を開口部の縁部を越えて横方向にはみ出させることを含む。これは、例えば、転写フィルムに十分な圧力を印加して、材料の一部を表面に対して横方向に動かすことを含む場合がある。材料の一部を開口部の周囲に延びる表面の縁部に巻き付けることは、均一な厚みの材料の層のうちのある量を縁部に巻き付けることを含む場合がある。
【0017】
均一なコーティングが付与された後、プリントヘッドを様々な方法で処理することができる。一部の例において、プリントヘッド上に均一な厚みを有するように形成された材料の層は、転写フィルムの付与及び除去の後に硬化される。この硬化は、例えば、紫外線、熱又は硬化を生じさせる他の処理の適用を含む場合がある。
【0018】
さらに具体的な例では、ウェブの伸長部分に材料の層を有する連続ウェブが、本明細書の例で特徴付けられるように転写フィルムとして使用される。本明細書で特徴付けられる方法で、連続ウェブからプリントヘッドへ材料を転写し、プリントヘッド上に均一な厚みを有する材料の層を形成する。この層が形成された後、すでにコーティングが付与されたプリントヘッドの代わりに、第2のプリントヘッドを位置決めすることができる。転写フィルムの連続ウェブを前進させ、材料の層の別の部分を第2のプリントヘッドの上に整列させる。転写フィルムの連続ウェブを前進させた後、第2のプリントヘッドと整列された転写フィルムから材料の層の部分を、第2のプリントヘッドの表面に押し付ける。第2のプリントヘッドの表面も、表面から第2のプリントヘッドの中まで延びる流体ノズル開口部を画定している。第2のプリントヘッドの表面に押し付けられた材料の部分を表面に付着させるとともに、本明細書で特徴付けられる例と一致する開口部の周囲に延びる表面の縁部に巻き付ける。転写フィルムを除去すると、表面と接触するように表面に押し付けられた材料のうちのある厚みが、転写フィルムに付着したままになり、表面上に均一な厚みを有する材料の層が形成される。
【0019】
様々な例で実施される場合があるように、装置は、流体ノズル開口部を画定している表面を有するプリントヘッドを含む。プリントヘッドの表面には、均一な厚みの材料の層が形成され、その一部が、開口部において表面の縁部からはみ出ている。開口部において表面の縁部からはみ出ている材料の層の部分は、均一な厚みの距離だけ縁部を越えて延びている場合がある。プリントヘッドはインクスロットを含む場合があり、インクスロットの上方の材料の層の一部は、不完全にコーティングされる場合がある。例えば、テンティング又は他の特性に起因して、インクスロットの上方の領域は、そのような不完全なコーティングを示す可能性がある。
【0020】
さらに具体的な例では、装置は、表面上の均一な厚みを有する材料の層に一致するパターンで均一な厚みを有する第1の部分と、流体ノズル開口部に一致するパターンで均一な厚みよりも大きい厚みを有する第2の部分とを含む、材料の層の一部を有する転写フィルムを含む場合がある。この転写フィルムは、例えば、中間製造工程を形成する場合があり、中間製造工程において転写フィルムの除去時に、プリントヘッドに、均一なコーティングが提供される場合がある。
【0021】
一部の例示的応用例では、プリントヘッドと転写フィルムの一方又は両方が、プリントヘッドへの材料の転写が可能となるように加工される。例えば、コーティングの前に、プラズマを使用して、表面を灰化又は改質する場合がある。
【0022】
ここで図に目を向けると、図1は、本開示による、表面上に均一なコーティングを有するプリントヘッド100を示している。プリントヘッド100は、表面112を有するバルク材料111によって画定されたノズル110を含む。特定の応用例に適合するように、図示の構造は、バルク材料111によって分離された複数のそのようなノズルを提供するように、繰り返し存在していてもよい。例えば、ノズル110は、101で示されているもっと大きなプリントヘッドの一部であってもよく、図示のように、その上面に繰り返し存在していてもよい。
【0023】
均一なコーティング120は、プリントヘッドの表面112に付着されており、ノズル110の開口部内にはみ出た部分122を含む。この部分は、例えば、均一なコーティング120の厚みに対応する場合がある。例えば、ノズルの内側壁123上にはみ出た部分の長さは、均一なコーティング120の厚みにほぼ等しい。
【0024】
均一なコーティング120の厚み及び配置は、特定の応用例に適合するように、様々な方法で設定されてよい。例えば、厚みは、転写プロセスによって設定される場合がある。転写プロセスではまず、均一なコーティングを形成するために使用される材料が、より厚い転写フィルムに付与される。次に、転写フィルムを使用して、材料を表面112に押し付けて、材料の厚みを減少させ、その後、転写フィルムが除去されたときに、材料が表面に付着し、表面に留まるようにする。転写フィルムに付与される材料の厚みは、例えば、均一なコーティング120の所望の最終的厚みの約2倍である場合がある。コーティング、転写フィルム、及び表面112は、転写フィルム上の材料の約半分の転写を可能にする効果を有する。転写フィルム、材料及び/又は表面112の特性が、転写される材料の量に影響を与え、転写される材料の量が半分とは異なる量になるときは、転写フィルム上の材料の厚みをそれに応じて調節することにより、プリントヘッド上に所望の最終的な厚みを達成することができる。
【0025】
様々な例示的応用例において、コーティング120は、転写フィルムを使用してパターニングされる。転写フィルムは、コーティング120が表面112にパターンを形成するような形に形成され、又はそのような形に一致させられている。例えば、そのようなパターンは、矢印で識別される領域130に細長く延びるコーティング120を形成するように設定され、残りの領域は除去される場合がある。さらに、図示のように、複数のそのようなコーティングが二次コーティングとともにコーティング120上に付与されてもよく、二次コーティングは、領域130で示される位置にパターニングされてもよい。これらのアプローチの例及び結果として得られる構造は、例えば、図3と一致する方法で実施することができる。
【0026】
図2は、本開示による、プリントヘッドをコーティングするための装置200及びアプローチを示している。装置200は、転写フィルム220を前進させる働きをする巻出しローラー210及び巻取りローラー212を含む。転写フィルムは、加圧ローラー230と転写ローラー232との間を通過する。転写ローラー232は、材料室234からの材料を転写フィルム220に転写する働きをする。転写ローラー232は、例えば、材料室234からの特定の厚みの材料で転写フィルム220をコーティングできる表面特性を有するアニロックスローラーで実施される場合がある。また、ドクターブレード236により、転写フィルム220への適当な材料厚の付与が可能となり、トレイ238は、ローラー232から材料を捕捉することができる。
【0027】
次に、転写フィルムは、別のローラー240を通過して、もう一つの加圧ローラー242に到達する。加圧ローラー242は、プリントヘッド上を前進し、242‘で示される位置まで移動することができる。次に、転写フィルムは、さらに別のローラー244を通過し、巻取りローラー212に到達する。
【0028】
転写フィルム220から材料を転写するためのプリントヘッドの位置決めには、様々な異なるタイプの構成要素を使用することができる。例として真空テーブルのようなテーブル250が図示され、これを使用してプリントヘッド又は複数のプリントヘッドを固定することができる。例示のためにプリントヘッド251、252、253、254及び255が図示され、これらはテーブル250によって固定されている。
【0029】
プリントヘッド251~255を用いた操作アプローチの例は次のとおりである。テーブル250を、両矢印で示される方向に、図2に示した位置に対して降下させる。巻出しローラー210と巻取りローラー212を操作して、転写ローラー232と加圧ローラー230との間で、転写フィルム220を前進させる。転写ローラー232と加圧ローラー230が、材料室234から、材料コーティングを転写フィルム220に付与する。コーティングされた転写フィルムの一部がプリントヘッド255の位置を越えて横方向に延びるまで、転写フィルムをローラー244に向かって前進させる。
【0030】
所定の位置に配置されると、テーブル250は、プリントヘッド251~255を持ち上げ、それらを転写フィルム220と接触させるように動作することができる。次に、加圧ローラー242を、242‘で示される位置まで前進させる。その際、加圧ローラー242は、転写フィルムの裏側を横切って転がり、転写フィルムをプリントヘッド251~255の表面に押し付ける。
【0031】
他のアプローチでは、プリントヘッド251~255の上面が転写フィルム220のわずかに下になるような固定位置に、テーブル250を維持する。次に、加圧ローラー242を降下させ、転写フィルムを押し下げて、加圧ローラーがプリントヘッドの上を通過するときに、コーティングされた材料がプリントヘッドの上面に接触するようにする。
【0032】
図3A図3Cは、本開示による、プリントヘッドの一部を選択的にコーティングするための別の装置300及びアプローチを示している。この装置は、突起部311及び312と、例としてラベル付けされた開口部314のような開口部を有する真空チャネル313とを備えた真空ヘッド310を含む。図3Aを参照すると、材料322がコーティングされた転写フィルム320は、図示の位置まで前進され、真空ヘッド310を横切って、プリントヘッドのような下層部分330の上方に、横方向に延びている。この前進は、例えば、図2に示した装置を使用して実施される場合がある。
【0033】
図3Bを参照すると、転写フィルム320は、真空によって吸引され、その結果、真空ヘッド310の下側表面に適合し、突起部311及び312上を覆っている。その結果、領域323及び324にある転写フィルム及び材料の部分は、転写フィルムの残りの部分よりも下に突出している。材料を有する転写フィルムが真空ヘッド310の外形に接着された後、図3Cに示されるように、真空を維持しながら真空ヘッドを降下させると、突起部311及び312にある転写フィルムの部分323及び324は、領域332及び334において下層部分330と接触する。これによって、323及び324にある材料322の部分が、均一な厚みで下層部分330に転写される。これには、例えば、図1に示したようなノズル開口部の周囲の領域をコーティングすることが含まれる場合がある。転写の後、真空ヘッド310を上昇させ、真空を解除し、次の付与に備えて転写フィルム320を、真空ヘッドを通過して前進させることができる。
【0034】
図4は、本開示による、プリントヘッドをコーティングする方法を示すデータフロー図である。ブロック400は、プリントヘッドに材料を付与するために使用されるプリントヘッドと転写フィルムの一方又は両方の表面を加工するための操作を示している。ブロック410では、材料がコーティングされた転写フィルムを生成し、ブロック420では、材料の厚みを設定する。一部の例において、ブロック420における厚みの設定は、例えば図2に示したようなコーティングの付与によって、ブロック410で実行されてもよい。他の例において、ブロック420では、所望の材料厚が設定されるまで材料の種々の部分を各自の転写処理を使用して除去することにより、厚みを設定してもよい。
【0035】
ブロック430では、転写フィルムをプリントヘッド表面と整列させる。これには、例えば、プリントヘッドをスタンプタイプのヘッドと整列させることや、材料の連続ウェブをプリントヘッドと整列させることが含まれる場合がある。ブロック440では、転写材料をプリントヘッドに向かって押し付けることにより、転写フィルム上にコーティングされた材料をプリントヘッドに結合させる。これは、例えば、加圧ローラーを、プリントヘッドを横切って転がすことによって実行されてもよいし、プリントヘッドと転写フィルムの一方又は両方を互いに対して移動させることによって実行されてもよい。ブロック450で、転写フィルムをプリントヘッドから除去すると、プリントヘッド上にコーティングされた均一な厚みの材料、及び、本明細書で特徴付けられた形でプリントヘッドの開口部にはみ出た材料が残る。ブロック460では、オプションの硬化処理を実行して、プリントヘッド上の材料を硬化させてもよい。さらに、プリントヘッド上に後続の材料の層をコーティングするために、ブロック410~460のうちの一部又は全部が繰り返されてもよい。
【0036】
プリントヘッドの上面を指す場合などに使用される向きを例示するための用語は、本明細書では、図に示された要素の相対位置を指すために使用される場合がある。この用語は表記上の便宜のために使用されており、実際の使用では、開示された構造は、図に示された向きとは異なる向きに配置される場合があることを理解されたい。例えば、プリントヘッドの下に転写フィルムがあり、プリントヘッドのノズルが下向きになっている状態では、プリントヘッドの下面が、本明細書で特徴付けられるような転写プロセスによってコーティングされる場合がある。したがって、これらの用語を限定的に解釈してはならない。
【0037】
本明細書で図示説明されたものに厳密に従うことなく、上記の説明及び例示に基づいて、様々な例に対して様々な修正及び変更を加えることができる。例えば、図に例示されている方法は、本明細書の態様を保持したまま、様々な順序で実行される動作を含んでいてもよく、あるいは、もっと少ない若しくはもっと多くの動作を含んでいてもよい。記載した様々な例を組み合わせてもよく、例えば、図2及び/又は図3A図3Cに示したプロセスの態様を、結果として得られる図1のプリントヘッドと組み合わせてもよい。上記のような材料を組み合わせて、様々な表面特性を実現することもできる。コーティングの前に、材料の厚みを設定するために、追加の転写処理を実施してもよい。さらに、追加のコーティング処理を実行することにより、例えば多層コーティングを提供してもよく、多層コーティングでは、次のコーティングを付与する前に各コーティングを硬化させることができる。そのような修正が、特許請求の範囲に記載された態様を含む、本開示の様々な態様の真の思想及び範囲から逸脱することはない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】