(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】同軸のロボットアーム及び知覚筐体の独立したパン
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20220921BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20220921BHJP
G05D 1/08 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B25J5/00 A
B25J9/06 B
G05D1/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576467
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020037013
(87)【国際公開番号】W WO2021021320
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】モーレイ,クリストファー
【テーマコード(参考)】
3C707
5H301
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CS08
3C707DS01
3C707HT25
3C707KS10
3C707KS33
3C707KS35
3C707KS36
3C707KT01
3C707KX02
3C707WA16
5H301AA02
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301GG11
5H301HH03
(57)【要約】
ロボットデバイスは、ヨー軸を規定する脊椎(500)を含み得る。ロボットデバイスは、ヨー軸に沿った第1の位置で脊椎(500)に回転可能に接続され、ヨー軸を中心として回転するように構成された腕関節(714)も含み得る。ロボットデバイスは更に、穴(606)を画定するリング(602、604)を含むアクチュエータ(600)も含み得る。脊椎(500)は、ヨー軸に沿った第2の位置でリング(604)に固定して接続されると共に穴(606)を貫通し得る。アクチュエータ(600)は、腕関節(714)に接続され、脊椎(500)を回転させることなくヨー軸を中心として腕関節(714)を回転させるように構成され得る。
【選択図】
図8C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットデバイスであって、
ヨー軸を規定する脊椎と、
前記ヨー軸に沿った第1の位置で前記脊椎に回転可能に接続され、前記ヨー軸を中心として回転するように構成された腕関節と、
穴を画定するリングを含むアクチュエータと、を備え、前記脊椎は前記ヨー軸に沿った第2の位置で前記リングに固定して接続されると共に前記穴を貫通し、前記アクチュエータは前記腕関節に接続されると共に、前記脊椎を回転させることなく前記ヨー軸を中心として前記腕関節を回転させるように構成されている、ロボットデバイス。
【請求項2】
付属物と、
前記腕関節が前記ヨー軸を中心として回転した場合に静止状態を維持するように(i)前記付属物及び(ii)前記脊椎の第1の端部に接続されたアダプタと、を更に備え、前記付属物は、前記ヨー軸を中心とした前記腕関節の回転とは独立して前記アダプタに対して回転するように構成されている、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項3】
前記付属物は、前記アダプタに固定して接続されたマストを介して前記アダプタに接続された知覚筐体を含み、前記知覚筐体は前記アダプタに対してパン及びチルトを実行するように構成されている、請求項2に記載のロボットデバイス。
【請求項4】
前記付属物は、(i)前記アダプタに直接接続された知覚筐体、(ii)マストを介して前記アダプタに接続された知覚筐体、又は(iii)前記脊椎に第2のアームを接続する第2の腕関節、のうち1つ以上を含む、請求項2に記載のロボットデバイス。
【請求項5】
前記リングは、(i)前記穴を画定するハブと、(ii)前記ハブと同心であり前記ハブを取り囲む筐体と、を含み、前記ハブは1つ以上の歯車を介して前記筐体に回転可能に結合され、前記ハブは前記腕関節に固定して接続され、前記筐体は前記脊椎に固定して接続され、前記アクチュエータは更に、
モータと、
前記モータを前記1つ以上の歯車に接続する歯車列と、
を備える、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項6】
前記歯車列は第1の回転軸を有する遊星歯車列であり、前記遊星歯車列及び前記モータは、前記第1の回転軸及び前記モータの第2の回転軸の各々が前記脊椎の前記ヨー軸に対して平行であるように、前記脊椎に沿って位置決めされる、請求項5に記載のロボットデバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の歯車は前記ハブの一部の周りに配置されたリングギアであり、前記ロボットデバイスは更に、
前記歯車列の出力歯車が前記リングギアと噛み合って前記ハブを前記筐体に対して回転させるように、前記歯車列を前記筐体に固定して接続する環状プレートを備える、請求項5に記載のロボットデバイス。
【請求項8】
前記ハブに固定して接続され、前記ハブの一部の周りに配置されたエンコーダリングと、
前記筐体に接続され、前記エンコーダリングの外周に隣接して位置決めされた検出回路と、を更に備え、前記検出回路は、前記エンコーダリングによって規定されたパターンに基づいて前記筐体に対する前記ハブの回転位置を決定するように構成されている、請求項5に記載のロボットデバイス。
【請求項9】
前記エンコーダリングは前記エンコーダリングの外周上に規定された3つ以上の磁気トラックを含み、前記3つ以上の磁気トラックの各トラックはそれぞれ対応する異なる数の磁気分極を含み、各トラックの前記磁気分極を、前記3つ以上の磁気トラックのうち他のトラックの磁気分極に対して回転方向にずらして前記パターンを規定することで、前記3つ以上の磁気トラックが前記筐体に対する前記ハブの絶対回転位置を示すようになっている、請求項8に記載のロボットデバイス。
【請求項10】
前記脊椎は、中空コアと、前記脊椎の第1の端部にある第1の孔と、前記脊椎の第2の端部にある第2の孔と、前記第2の位置に近接した第3の孔と、を含み、前記第2の孔は、前記中空コアを介して前記第3の孔に接続されて、前記ロボットデバイスのベースから前記アクチュエータまでの第1のワイヤセットのルーティングを可能とし、前記第2の孔は、前記中空コアを介して前記第1の孔に接続されて、前記ロボットデバイスの前記ベースから前記腕関節までの第2のワイヤセットのルーティングを可能とする、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項11】
前記脊椎の第2の端部に接続されたベースと、
前記腕関節と前記ベースとの間に配置され、前記腕関節と同軸である中央部と、を更に備え、前記脊椎は前記中央部及び前記腕関節を貫通してそれらに構造的支持を与える、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項12】
前記脊椎の第1の端部に接続され、1つ以上のワイヤを介して前記腕関節に電気的に結合されたクロックスプリングを更に備え、前記クロックスプリングは、前記腕関節が前記ヨー軸を中心として回転した場合に前記1つ以上のワイヤを巻いたりほどいたりするように構成され、前記アクチュエータの前記リングは、前記クロックスプリングに基づいて前記腕関節の回転の限度を規定する阻止部を含む、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項13】
前記脊椎は、前記ヨー軸に対して対称である2つの部分を含む、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項14】
7自由度を有し、前記腕関節を介して前記脊椎に接続されたアームを更に備え、前記腕関節は前記7自由度のうち第1の自由度を提供する、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項15】
アクチュエータであって、
モータと、
前記モータを出力歯車に接続する歯車列と、
穴を画定するハブであって、前記ハブの一部の周りに配置されたリングギアを含むハブと、を備え、前記ハブは関節に固定して接続可能であり、前記穴は、ヨー軸を有する脊椎が貫通する隙間を提供し、前記関節は前記ヨー軸を中心として回転するように構成され、
前記アクチュエータは更に、前記ハブと同心であり、前記ハブに回転可能に結合され、前記ハブを取り囲む筐体であって、前記脊椎に固定して接続可能である筐体と、
前記出力歯車が前記リングギアと噛み合って前記ハブを前記筐体に対して回転させるように、前記歯車列を前記筐体に固定して接続する環状プレートと、
を備えるアクチュエータ。
【請求項16】
前記歯車列は第1の回転軸を有する遊星歯車列であり、前記遊星歯車列及び前記モータは、前記第1の回転軸及び前記モータの第2の回転軸の各々が前記脊椎の前記ヨー軸に対して平行であるように、前記脊椎に沿って位置決め可能である、請求項15に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記ハブに固定して接続され、前記ハブの第2の部分の周りに配置されたエンコーダリングと、
前記筐体に接続され、前記エンコーダリングの外周に隣接して位置決めされた検出回路と、を更に備え、前記検出回路は、前記エンコーダリングによって規定されたパターンに基づいて前記筐体に対する前記ハブの回転位置を決定するように構成されている、請求項15に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
前記エンコーダリングは前記エンコーダリングの外周上に規定された3つ以上の磁気トラックを含み、前記3つ以上の磁気トラックの各トラックはそれぞれ対応する異なる数の磁気分極を含み、各トラックの前記磁気分極を、前記3つ以上の磁気トラックのうち他のトラックの磁気分極に対して回転方向にずらして前記パターンを規定することで、前記3つ以上の磁気トラックが前記筐体に対する前記ハブの絶対回転位置を示すようになっている、請求項17に記載のアクチュエータ。
【請求項19】
ロボットデバイスの腕関節に接続されたアクチュエータに、前記ロボットデバイスの脊椎のヨー軸を中心として前記腕関節を回転させることを含む方法であって、前記腕関節は前記ヨー軸に沿った第1の位置で前記脊椎に回転可能に接続され、前記アクチュエータは穴を画定するリングを含み、前記脊椎は前記ヨー軸に沿った第2の位置で前記リングに固定して接続されると共に前記穴を貫通し、前記アクチュエータが前記ヨー軸を中心として前記腕関節を回転させている間、前記脊椎及び前記脊椎の第1の端部に接続されたアダプタは、前記脊椎の第2の端部が接続されているベースに対して一定の回転位置に維持され、
前記方法は更に、前記アダプタに接続された付属物を回転させることを含み、前記回転は前記アダプタに対するものであり、前記ヨー軸を中心とした前記腕関節の回転とは独立している、方法。
【請求項20】
前記リングは、(i)前記穴を画定するハブと、(ii)前記ハブと同心であり、前記ハブを取り囲み、1つ以上の歯車を介して前記ハブに回転可能に結合された筐体と、を含み、前記ハブは前記腕関節に固定して接続され、前記筐体は前記脊椎に固定して接続され、前記エンコーダリングは前記ハブに固定して接続され、前記方法は更に、
前記筐体に接続され、前記エンコーダリングの外周に隣接して位置決めされた検出回路によって、前記エンコーダリングにより規定されたパターンに基づいて前記筐体に対する前記ハブの回転位置を決定することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[001] 技術の進歩と共に、ユーザを支援することができる多種多様な機能を実行するため様々なタイプのロボットデバイスが生成されている。ロボットデバイスは特に、マテリアルハンドリング、輸送、溶接、組み立て、及び分配に関連する用途向けに使用できる。時間と共に、こういったロボットシステムの動作の仕方はいっそうインテリジェントに、高効率に、かつ直感的になっている。ロボットシステムは現代生活の多くの面でますます普及してきており、ロボットシステムが効率的であることが望まれている。従って、効率的なロボットシステムに対する需要は、アクチュエータ、移動、検知技法、並びにコンポーネントの設計及び組み立てにおいて、革新的な分野を切り開くことに役立っている。
【発明の概要】
【0002】
[002] ロボットデバイスは、ロボットデバイスの複数のコンポーネントの搭載を可能とする脊椎を含み得る。いくつかの実施例では、これらのコンポーネントはそれぞれ同軸であるか又はほぼ同軸とすることができ、いくつかは脊椎に対して回転するよう(rotationally)接続できる。例えば、脊椎に沿った第1のポイントでロボットアームの腕関節を接続し、脊椎に沿った別のポイントで、マストや知覚筐体のような別の付属物又は別のロボットアームをアダプタに接続することができる。腕関節は、脊椎を中心として回転するように構成され、アクチュエータによって作動させることができる。アクチュエータは穴(bore)を画定し、この穴に脊椎が延出することによって脊椎構造を収容している。アクチュエータは、脊椎に固定して接続された筐体と、この筐体に対して回転するよう接続されると共に腕関節に固定して接続されたハブと、を含み得る。脊椎に沿った異なるポイントにロボットコンポーネントを接続することにより、各コンポーネントは他のコンポーネントとは独立して移動することができ、同時に、これらのコンポーネントを連続的に積層して所望のロボット構造を生成することが可能となる。
【0003】
[003] 第1の例示的な実施形態では、ヨー軸を規定する脊椎を含むロボットデバイスが提供される。ロボットデバイスは、ヨー軸に沿った第1の位置で脊椎に対して回転可能に接続され、ヨー軸を中心として回転するように構成された腕関節も含む。ロボットデバイスは更に、穴を画定するリングを含むアクチュエータを含む。脊椎は、ヨー軸に沿った第2の位置でリングに固定して接続され、穴を貫通している。アクチュエータは腕関節に接続され、脊椎を回転させることなくヨー軸を中心として腕関節を回転させるように構成されている。
【0004】
[004] 第2の例示的な実施形態では、モータと、モータを出力歯車に接続する歯車列と、を含むアクチュエータが提供される。アクチュエータは穴を画定するハブも含み、ハブは一部の周りに配置されたリングギアを有する。ハブは関節に固定して接続可能である。穴は、ヨー軸を有する脊椎が貫通する隙間を提供し、関節はヨー軸を中心として回転するように構成されている。アクチュエータは更に、ハブと同心であり、ハブに対して回転可能に結合され、ハブを取り囲む筐体を含む。筐体は脊椎に固定して接続可能である。アクチュエータは更に、出力歯車がリングギアと噛み合ってハブを筐体に対して回転させるように、歯車列を筐体に固定して接続する環状プレートを含む。
【0005】
[005] 第3の例示的な実施形態では、ロボットデバイスの腕関節に接続されたアクチュエータに、ロボットデバイスの脊椎のヨー軸を中心として腕関節を回転させることを含む方法が提供される。腕関節は、ヨー軸に沿った第1の位置で脊椎に回転可能に接続され得る。アクチュエータは、穴を画定するリングを含み得る。脊椎は、ヨー軸に沿った第2の位置でリングに固定して接続され、穴を貫通し得る。アクチュエータがヨー軸を中心として腕関節を回転させている間、脊椎及び脊椎の第1の端部に接続されたアダプタは、脊椎の第2の端部が接続されているベースに対して一定の回転位置に維持され得る。方法は更に、アダプタに接続された付属物を回転させることを含み得る。この回転はアダプタに対するものであり、ヨー軸を中心とした腕関節の回転とは独立したものであり得る。
【0006】
[006] 第4の例示的な実施形態では、コンピュータデバイスによって実行された場合、コンピュータデバイスに動作を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。動作は、ロボットデバイスの腕関節に接続されたアクチュエータに、ロボットデバイスの脊椎のヨー軸を中心として腕関節を回転させることを含む。腕関節は、ヨー軸に沿った第1の位置で脊椎に回転可能に接続され得る。アクチュエータは、穴を画定するリングを含み得る。脊椎は、ヨー軸に沿った第2の位置でリングに固定して接続され、穴を貫通し得る。アクチュエータがヨー軸を中心として腕関節を回転させている間、脊椎及び脊椎の第1の端部に接続されたアダプタは、脊椎の第2の端部が接続されているベースに対して一定の回転位置に維持され得る。動作は、アダプタに接続された付属物を回転させることも含み得る。この回転はアダプタに対するものであり、ヨー軸を中心とした腕関節の回転とは独立したものであり得る。
【0007】
[007] これら及びその他の実施形態、態様、利点、及び代替案は、適宜、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に明らかとなろう。更に、この概要、並びに本明細書に与えられる他の記載及び図面は、単に例示としてのみ実施形態を説明することが意図されており、従って、多数の変形が可能である。例えば、特許請求される実施形態の範囲内にとどまりながら、構造的要素及びプロセスステップを配置変更すること、組み合わせること、分散させること、除去すること、又は他の方法で変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[008] 一例の実施形態に従ったロボットシステムの構成を示す。
【
図2】[009] 一例の実施形態に従った移動ロボットを示す。
【
図3】[010] 一例の実施形態に従った移動ロボットの分解図を示す。
【
図4】[011] 一例の実施形態に従ったロボットアームを示す。
【
図5】[012] 一例の実施形態に従った脊椎を示す。
【
図6A】[013] 一例の実施形態に従ったアクチュエータを示す。
【
図6B】[013] 一例の実施形態に従ったアクチュエータを示す。
【
図7】[014] 一例の実施形態に従った脊椎及びアクチュエータのアセンブリを示す。
【
図8A】[015] 一例の実施形態に従ったアクチュエータの部分の分解図を示す。
【
図8B】[015] 一例の実施形態に従ったアクチュエータの部分の分解図を示す。
【
図8C】[015] 一例の実施形態に従ったアクチュエータの部分の分解図を示す。
【
図9】[016] 一例の実施形態に従ったフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[017] 本明細書において、一例の方法、デバイス、及びシステムが記載される。「一例の」及び「例示的な」という用語は、本明細書で用いる場合、「例、事例、又は例示として機能する」を意味することは理解されよう。「一例」、「例示的」、及び/又は「説明的」であると本明細書に記載されている実施形態又は特徴は、そのように指示されていない限り、他の実施形態又は特徴より好適であるとも優れているとも必ずしも解釈されない。従って、本明細書に提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を加えることができる。
【0010】
[018] 従って、本明細書に記載される一例の実施形態は限定的であることは意図されない。一般的に本明細書に記載されると共に図面に示される本開示の態様を、多種多様な異なる構成に配列、置換、結合、分離、及び設計できることは、容易に理解されよう。
【0011】
[019] 更に、文脈上他の意味が示唆される場合を除いて、図面の各々に示される特徴部(feature)は相互に組み合わせて使用することができる。このため、図示されている全ての特徴部が各実施形態に必要であるわけではないことを理解した上で、図面は一般的に、1つ以上の全体的な実施形態の要素態様(component aspect)として見るべきである。
【0012】
[020] 更に、本明細書又は特許請求の範囲における要素、ブロック、又はステップの列挙は、明確さの目的のためのものである。従って、そのような列挙は、これらの要素、ブロック、又はステップが特定の配列に従うこと又は特定の順序で実行されることを要求する又は示唆すると解釈されるべきではない。更に、特に断りのない限り、図面は一定の縮尺通りには描かれていない。
【0013】
I.概要
[021] ロボットデバイスの中には、同軸又はほぼ同軸に積層された又は接続されたコンポーネントを含むものがある。このような積層によって、各コンポーネントを、ロボットデバイスの他のコンポーネントに対して又は環境内の物体の予想高さに対して所望の距離に配置することができる。一例において、ロボットデバイスは、移動ベースと、移動ベースに接続された搭載柱と、(例えばロボットデバイスのアームのための)回転関節と、回転関節に接続されたマストと、マストに接続された知覚筐体と、を含むことができる。搭載柱、回転腕関節、マスト、及び知覚筐体の各々は、相互に積層することができ、場合によってはそれぞれ同軸であり得る。このような積層によって、腕関節は、低い位置の物体及び高い位置の物体の双方を把持できる高さにアームを維持することができると共に、マスト及び/又は知覚筐体上のセンサが環境の広い範囲を見ることを可能にする。
【0014】
[022] しかしながら、これらのコンポーネントは積層されているので、1つのコンポーネントの動きに応じて他のコンポーネントのいくつかの動きが誘発されることがある。例えば、腕関節が回転すると、それに比例した回転がマスト及び/又は知覚筐体に生じる可能性がある。これらはロボットデバイスのベースに別々に接続されているのではなく、回転関節の上に連続的にかつ構造的に接続されているからである。このように、第1のコンポーネントを回転させると、必然的にそれに比例した逆向きの回転が1つ以上の他のコンポーネントに生じ得る。このため、複数のコンポーネントをそれぞれ所望の方向に同時に回転させるには、回転と逆向きの回転との複雑な組み合わせによって所望の動きを達成することが必要となり得る。これは必然的に追加のハードウェア及び/又は計算の複雑さを伴うので、結果としてロボットデバイスは高価になり、反応性が低下し、使用するパワーが増大し、更に、発生し得る障害点が増える可能性がある。
【0015】
[023] 更に、本明細書で提供される例は、複数の積層ロボットコンポーネントの独立した回転を可能とする構造的アーキテクチャを含む。具体的に述べると、このアーキテクチャは、ロボットデバイスのベースに固定して接続され得ると共にロボットデバイスの積層コンポーネントのち1つ以上を貫通する脊椎を提供する。積層コンポーネントは、相互に連続的に接続されるのではなく脊椎に直接接続することができ、従ってこれらのコンポーネントは、相互に独立して、脊椎を中心として回転するか又は脊椎に対して静止した状態を維持し得る。更に、脊椎は、ロボットデバイスの他のコンポーネント(例えば成型プラスチック)よりも強力な材料(例えば金属)で製造することにより、個々のコンポーネントの連続的な接続よりも高い安定性を提供できる。
【0016】
[024] 一例において、脊椎は搭載柱及び回転関節を貫通し、その第1の端部で、マスト、知覚筐体、及び/又は別の付属物に接続するためのアダプタを提供することができる。腕関節は、脊椎に対して回転するよう接続され、脊椎、マスト、知覚筐体、及び/又は脊椎に接続された他のコンポーネントの対応した回転を生じることなく回転するように構成できる。すなわち、脊椎はベースに対して回転方向に(rotationally)一定の位置を維持することで固定構造を提供し、この固定構造に対して様々なコンポーネントを接続する及び/又は独立して移動させることができる。マスト及び/又は知覚筐体は、脊椎の上端でアダプタプレートに接続することができる。いくつかの実施例において、脊椎は複数の回転関節を貫通し得る。例えばロボットデバイスは、積層順に、搭載柱と、第1の回転関節と、スペーサと、第2の回転関節と、マスト、知覚筐体、又は他の何らかの付属物(例えば別のアーム)のためのアダプタと、を含み得る。
【0017】
[025] 脊椎を収容するため、回転関節は、このロボットアーキテクチャと連携するように設計されたアクチュエータによって作動させすることができる。すなわちアクチュエータは、ハブと、ハブと同心でありハブに対して回転するよう接続された筐体と、を含み得る。ハブは、脊椎が貫通するのに充分な大きさの穴を画定し得る。同様に、筐体は、ハブを収容するのに充分な大きさの第2の穴を画定し得る。筐体は脊椎に固定して接続可能であり、ハブは回転関節に固定して接続可能であり得る。従って、ハブと筐体が回転するよう接続されているので、アクチュエータを介して回転関節を脊椎に接続すると、脊椎と回転関節との間に作動回転接続(actuated rotational connection)が生成される。
【0018】
[026] アクチュエータは、歯車列及び1つ以上のアダプタを介して筐体に接続されたモータによって駆動することができる。歯車列の出力歯車は、ハブの一部の周りに配置されたリングギアと噛み合うように位置決めされることで、モータは筐体に対するハブの回転を発生することができる。モータ及び歯車列は共に積層することができ、筐体に接続された場合、このモータアセンブリは筐体の中心付近でなくその外周に沿って位置決めされて、脊椎からの隙間を提供することができる。従って、モータ及び歯車列の回転軸は、脊椎によって規定されるヨー軸に対して平行であり得る。
【0019】
[027] 脊椎は、中空コアと、この中空コアへのアクセスを与える脊椎に沿った1つ以上の孔(hole)と、を含み得る。中空コアを用いて、脊椎に沿った様々なコンポーネントにワイヤをルーティングすることができる。例えば、脊椎の下端付近の孔から中空コアを介してアクチュエータに近接した位置まで電力線及び信号線のワイヤをルーティングして、これらのワイヤをアクチュエータに接続することができる。同様に、脊椎の下部付近の孔から中空コアを介して上端付近の位置まで電力線及び信号線のワイヤをルーティングして、これらのワイヤを回転関節(例えばこの回転関節に接続されたロボットアーム内のセンサ及びモータ)に、及び/又はアダプタに接続されたコンポーネント(例えばマスト、知覚筐体、その上のセンサ等)に接続することができる。
【0020】
[028] 特に、回転関節との電気的接続はクロックスプリング(clock spring)によって提供することができる。クロックスプリングは、回転関節の回転時に巻かれたりほどかれたりするワイヤを含み得る。いくつかの実施例では、クロックスプリングの代わりに1つ以上のスリップリングを用いることで、クロックスプリングで利用できるワイヤの長さによって制限されることなく腕関節の回転が可能となる。しかしながら、とりわけ、クロックスプリングはスリップリングのようにブラシに頼らない一定の電気的接続を提供するので、信号強度の増大とノイズの低減を得ることができる。
【0021】
II.一例のロボットシステム
[029]
図1は、本明細書に記載されている実施例と関連付けて使用され得るロボットシステムの一例の構成を示す。ロボットシステム100は、自律的に、半自律的に、又は1人もしくは複数人のユーザによって与えられる指示を用いて動作するよう構成できる。ロボットシステム100は、ロボットアーム、産業用ロボット、又は他の何らかの機構のような様々な形態で実施され得る。いくつかの例示の実施例は、大規模で低コストに設計されると共に種々のタスクをサポートするように設計されたロボットシステム100を含む。ロボットシステム100は、人間の周囲で動作できるように設計され得る。また、ロボットシステム100は機械学習向けに最適化され得る。本記載全体を通して、ロボットシステム100は、いくつかある名称の中でも特に、ロボット、ロボットデバイス、又は移動ロボットと呼ばれることもある。
【0022】
[030]
図1に示されているように、ロボットシステム100は、1又は複数のプロセッサ102、データストレージ104、及び1又は複数のコントローラ108を含むことができ、これらは共に制御システム118の一部であり得る。また、ロボットシステム100は、1又は複数のセンサ112、1又は複数の動力源114、機械コンポーネント110、及び電気コンポーネント116も含むことができる。しかしながら、ロボットシステム100は例示の目的で図示されているので、これより多数の又は少数のコンポーネントを含み得る。ロボットシステム100の様々なコンポーネントは、有線又は無線の接続を含む任意の方法で接続することができる。更に、いくつかの例では、ロボットシステム100のコンポーネントは、単一の物理的要素(entity)でなく複数の物理的要素にわたって分散させることができる。ロボットシステム100の他の例示も存在し得る。
【0023】
[031] 1又は複数のプロセッサ102は、1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサ又は専用ハードウェアプロセッサ(例えばデジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路等)として動作できる。1又は複数のプロセッサ102は、コンピュータ可読プログラム命令106を実行すると共にデータ107を操作するように構成できる。コンピュータ可読プログラム命令106及びデータ107の双方はデータストレージ104に記憶されている。また、1又は複数のプロセッサ102は、例えば1又は複数のセンサ112、1又は複数の動力源114、機械コンポーネント110、又は電気コンポーネント116のようなロボットシステム100の他のコンポーネントと、直接又は間接的に相互作用することができる。
【0024】
[032] データストレージ104は、1つ以上の種類のハードウェアメモリとすることができる。例えばデータストレージ104は、1又は複数のプロセッサ102によって読み出し又はアクセスが可能な1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含むか又はこの形態をとることができる。1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体は、光学、磁気、有機、又は他のタイプのメモリ又はストレージのような揮発性又は不揮発性ストレージコンポーネントを含むことができ、全体的に又は部分的に1又は複数のプロセッサ102に一体化され得る。いくつかの実施例では、データストレージ104は単一の物理的デバイスとすることができる。他の実施例では、データストレージ104は、有線又は無線の通信を介して相互に通信できる2つ以上の物理的デバイスを用いて実施され得る。前述のように、データストレージ104はコンピュータ可読プログラム命令106及びデータ107を含むことができる。データ107は、いくつかある可能性の中でも特に、構成データ、センサデータ、又は診断データのような任意のタイプのデータであり得る。
【0025】
[033] コントローラ108は、(おそらく、いくつかあるタスクの中でも特に)機械コンポーネント110、1又は複数のセンサ112、1又は複数の動力源114、電気コンポーネント116、制御システム118、又はロボットシステム100のユーザのうち任意の組み合わせ間のインタフェースとなるように構成された、1つ以上の電気回路、デジタル論理ユニット、コンピュータチップ、又はマイクロプロセッサを含み得る。いくつかの実施例において、コントローラ108は、ロボットシステム100の1つ以上のサブシステムによって特定の動作を実行するための専用の埋め込みバイスとすることができる。
【0026】
[034] 制御システム118は、ロボットシステム100の動作状態を監視し、物理的に変化させることができる。その際に制御システム118は、機械コンポーネント110間又は電気コンポーネント116間のようなロボットシステム100の部分間のリンクとして機能できる。いくつかの例において、制御システム118は、ロボットシステム100と別のコンピューティングデバイスとの間のインタフェースとして機能できる。更に、制御システム118は、ロボットシステム100とユーザとの間のインタフェースとして機能できる。いくつかの例において制御システム118は、ジョイスティック、ボタン、又はポート等、ロボットシステム100と通信を行うための様々なコンポーネントを含み得る。上述した一例のインタフェース及び通信は、有線もしくは無線の接続、又はこれら双方によって実施され得る。制御システム118は、ロボットシステム100のため他の動作も実行することができる。
【0027】
[035] 動作中、制御システム118は、有線又は無線の接続を介してロボットシステム100の他のシステムと通信を行うことができ、更に、ロボットの1人以上のユーザと通信を行うように構成できる。1つの可能な例として、制御システム118は、例えば物体を拾ってある位置から別の位置へ移動させるといった要求されるタスクを実行する命令を示す入力を、(例えばユーザから又は別のロボットから)受信できる。この入力に基づいて、制御システム118は、要求されたタスクを実行するための移動シーケンスをロボットシステム100に行わせる動作を実行できる。別の例として、制御システムは、要求された位置へ移動する命令を示す入力を受信できる。これに応答して、制御システム118は(おそらく他のコンポーネント又はシステムを用いて)、要求された位置へ向かう途中の環境でロボットシステム100を移動させる方向及び速度を決定できる。
【0028】
[036] 制御システム118の動作は、1又は複数のプロセッサ102によって実行することができる。あるいは、これらの動作は、1もしくは複数のコントローラ108によって、又は1もしくは複数のプロセッサ102と1もしくは複数のコントローラ108との組み合わせによって実行できる。いくつかの実施例において、制御システム118は、部分的に又は全体的にロボットシステム100以外のデバイス上に存在し、従って少なくとも部分的にロボットシステム100を遠隔で制御することができる。
【0029】
[037] 機械コンポーネント110は、ロボットシステム100が物理的動作を実行することを可能とするロボットシステム100のハードウェアを表す。いくつかの例として、ロボットシステム100は、アーム、エンドエフェクタ、頭部、首、胴体、ベース、及び車輪といった1つ以上の物理部材を含み得る。ロボットシステム100の物理部材又は他の部分は更に、これらの物理的部材を相互に対して移動させるよう配置されたアクチュエータを含み得る。また、ロボットシステム100は、制御システム118又は他のコンポーネントを収容するための1つ以上の構造体も含むことができ、更に、他のタイプの機械コンポーネントも含み得る。所与のロボットで用いられる特定の機械コンポーネント110は、ロボットの設計に基づいて変動する可能性があり、また、ロボットが実行するように構成された動作又はタスクに基づき得る。
【0030】
[038] いくつかの例では、機械コンポーネント110は1つ以上の着脱可能コンポーネントを含み得る。ロボットシステム100は、そのような着脱可能コンポーネントを追加又は除去するように構成できるが、それにはユーザ又は別のロボットによる支援が必要となることがある。例えばロボットシステム100は、必要に応じて又は所望の場合に交換又は変更できる着脱可能エンドエフェクタ又は指を備えて構成することができる。いくつかの実施例において、ロボットシステム100は、1つ以上の着脱可能又は交換可能なバッテリユニット、制御システム、動力システム、バンパ、又はセンサを含み得る。他のタイプの着脱可能コンポーネントもいくつかの実施例に含まれ得る。
【0031】
[039] ロボットシステム100は、ロボットシステム100の様相(aspect)を検知するように配置された1又は複数のセンサ112を含み得る。1又は複数のセンサ112は、いくつかの可能性の中でも特に、1又は複数の力センサ、トルクセンサ、速度センサ、加速度センサ、位置センサ、近接センサ、運動センサ、位置センサ、荷重センサ、温度センサ、タッチセンサ、深度センサ、超音波距離センサ、赤外線センサ、物体センサ、又はカメラを含み得る。いくつかの例において、ロボットシステム100は、ロボットから物理的に分離されているセンサ(例えば、他のロボット上に位置決めされたセンサ、又はロボットが動作している環境内に配置されたセンサ)からセンサデータを受信するように構成できる。
【0032】
[040] 1又は複数のセンサ112は、(おそらくデータ107を介して)センサデータを1又は複数のプロセッサ102に提供することで、ロボットシステム100がその環境と相互作用すること、及びロボットシステム100の動作を監視することを可能とする。センサデータは、制御システム118によって機械コンポーネント110及び電気コンポーネント116の活性化、移動、及び非活性化を行うため様々なファクタを評価する際に使用できる。例えば、1又は複数のセンサ112は、環境の地形又は付近の物体の位置に対応するデータを捕捉することができ、これによって環境認識及びナビゲーションを支援できる。
【0033】
[041] いくつかの例において、1又は複数のセンサ112は、(例えば長距離の物体検出、距離決定、もしくは速度決定のための)レーダ、(例えば短距離の物体検出、距離決定、もしくは速度決定のための)ライダー、(例えば水中の物体検出、距離決定、もしくは速度決定のための)ソーナ、(例えばモーションキャプチャのための)VICON(登録商標)、1つ以上のカメラ(例えば3Dビジョンのための立体カメラ)、全地球測位システム(GPS)送受信器、又は、ロボットシステム100が動作している環境の情報を捕捉するための他のセンサを含み得る。1又は複数のセンサ112は、環境をリアルタイムで監視し、障害物、地形の要素、気象条件、温度、又は環境の他の様相を検出することができる。別の例において、1又は複数のセンサ112は、ターゲット又は識別された物体のサイズ、形状、外形、構造、又は向き等、その物体の1つ以上の特徴に対応するデータを捕捉できる。
【0034】
[042] また、ロボットシステム100は、ロボットシステム100の様々なコンポーネントの状態を監視できる1又は複数のセンサ112を含む、ロボットシステム100の状態を示す情報を受信するように構成された1又は複数のセンサ112を含み得る。1又は複数のセンサ112は、ロボットシステム100のシステムの活動を測定し、例えば伸縮式アーム、エンドエフェクタ、又はロボットシステム100の他の機械的もしくは電気的特徴部の動作等、ロボットシステム100の様々な特徴部の動作に基づく情報を受信することができる。1又は複数のセンサ112が提供したデータによって、制御システム118がロボットシステム100のコンポーネントの動作のエラーを決定すること、及びそれらのコンポーネントの全体的な動作を監視することが可能となる。
【0035】
[043] 一例としてロボットシステム100は、力/トルクセンサを用いて、ロボットシステム100の様々なコンポーネントにかかる負荷を測定することができる。いくつかの実施例において、ロボットシステム100は、アーム又はエンドエフェクタ上に1つ以上の力/トルクセンサを含んで、アーム又はエンドエフェクタの1つ以上の部材を移動させるアクチュエータにかかる負荷を測定できる。いくつかの例において、ロボットシステム100は、手首又はエンドエフェクタ又はその近傍であるがロボットアームの他の関節又はその近傍でない位置に、力/トルクセンサを含むことができる。別の例において、ロボットシステム100は、ロボットシステムのアクチュエータの位置を検知する1つ以上の位置センサを使用することができる。例えばそのような位置センサは、アーム又はエンドエフェクタ上のアクチュエータの伸長、格納、配置、又は回転の状態を検知できる。
【0036】
[044] 別の例として、1又は複数のセンサ112は1つ以上の速度又は加速度センサを含むことができる。例えば、1又は複数のセンサ112は慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)を含み得る。IMUは、重力ベクトルに対するワールドフレーム(world frame)の速度及び加速度を検知できる。次いで、ロボットシステム100内のIMUの位置とロボットシステム100の運動学に基づいて、IMUにより検知した速度及び加速度をロボットシステム100の速度及び加速度に変換すればよい。
【0037】
[045] ロボットシステム100は、本明細書で明示的に検討されない他のタイプのセンサを含み得る。これに加えて又はこの代わりに、ロボットシステムは、本明細書に列挙されていない目的のために特定のセンサを用い得る。
【0038】
[046] また、ロボットシステム100は、ロボットシステム100の様々なコンポーネントに動力を供給するように構成された1つ以上の動力源114も含むことができる。ロボットシステム100は、いくつかの可能な動力システムの中でも特に、油圧システム、電気システム、バッテリ、又は他のタイプの動力システムを含み得る。1つの例示として、ロボットシステム100は、ロボットシステム100のコンポーネントに電荷を与えるように構成された1つ以上のバッテリを含み得る。機械コンポーネント110又は電気コンポーネント116のいくつかは、それぞれ異なる動力源に接続するか、同一の動力源によって動力を供給するか、又は複数の動力源によって動力を供給することができる。
【0039】
[047] 電力又はガソリンエンジン等、任意のタイプの動力源を用いてロボットシステム100に動力を供給することができる。これに加えて又はこの代わりに、ロボットシステム100は、流体動力を用いて機械コンポーネント110に動力を供給するよう構成された油圧システムを含み得る。ロボットシステム100のコンポーネントは、例えば作動油(hydraulic fluid)が油圧システム全体を通って様々な油圧モータ及び油圧シリンダへ伝送されることに基づいて動作し得る。油圧システムは、ロボットシステム100のコンポーネント間のチューブ、可撓性ホース、又は他のリンクを通る加圧作動油によって、油圧動力を伝達できる。1又は複数の動力源114は、外部動力源に対する有線接続、無線充電、燃焼、又は他の例のように、様々なタイプの充電を用いて充電することができる。
【0040】
[048] 電気コンポーネント116は、電荷又は電気信号を処理、伝達、又は提供することができる様々な機構を含み得る。電気コンポーネント116は、いくつかの可能な例の中でも特に、ロボットシステム100の動作を可能とするための電線、回路、又は無線通信送信器及び受信器を含み得る。電気コンポーネント116は、ロボットシステム100が様々な動作を実行できるように機械コンポーネント110と相互作用し得る。電気コンポーネント116は、例えば様々な機械コンポーネント110に1又は複数の動力源114からの動力を供給するように構成できる。更に、ロボットシステム100は電気モータを含み得る。電気コンポーネント116の他の例も存在し得る。
【0041】
[049] ロボットシステム100は、ロボットシステムの付属物及びコンポーネントに接続するか又はそれらを収容することができる本体を含み得る。このため、本体の構造は複数の例において変動することがあり、更に、所与のロボットが実行するよう設計され得る特定の動作に依存する可能性がある。例えば、重い荷物を運ぶように開発されたロボットは、荷物を置くことができる幅広い本体を有し得る。同様に、狭い空間内で動作するように設計されたロボットは、比較的背が高く細い本体を有し得る。また、本体又は他のコンポーネントは、金属又はプラスチックといった様々なタイプの材料を用いて開発され得る。他の例において、ロボットは、異なる構造を有するか又は様々なタイプの材料で作製された本体を有し得る。
【0042】
[050] 本体又は他のコンポーネントは、1又は複数のセンサ112を含むか又は担持し得る。これらのセンサは、いくつかの例の中でも特に、本体、頭部、首、ベース、胴体、アーム、又はエンドエフェクタ等、ロボットシステム100上の様々な位置に配置することができる。
【0043】
[051] ロボットシステム100は、輸送される予定の何らかの貨物のような荷物を運ぶように構成できる。いくつかの例では、ロボットシステム100によって、ロボットシステム100に取り付けられた箱又は他の容器内に荷物を置くことができる。また、荷物は、ロボットシステム100が利用できる外部バッテリ又は他のタイプの動力源(例えばソーラーパネル)も表し得る。荷物を運ぶことは、ロボットシステム100を構成することができる1つの使用例を表すが、ロボットシステム100は他の動作を実行するようにも構成され得る。
【0044】
[052] 上述のようにロボットシステム100は、様々なタイプの付属物、車輪、エンドエフェクタ、把持デバイス等を含み得る。いくつかの例では、ロボットシステム100は、車輪、トレッド(tread)、又は他の何らかの移動形態を用いる移動ベースを含み得る。加えて、ロボットシステム100は、ロボットアーム又は他の何らかの形態のロボットマニピュレータを含み得る。移動ベースの場合、このベースは機械コンポーネント110の1つと見なされ、車輪を含むことができ、本体の残り部分に加えてロボットアームの可動性を与えるアクチュエータのうち1つ以上によって動力が供給される。
【0045】
[053]
図2は、一例の実施形態に従った移動ロボットを示す。
図3は、一例の実施形態に従った移動ロボットの分解図を示す。より具体的には、ロボット200は、移動ベース202、中央部204、アーム206、アームエンドシステム(EOAS:end-of-arm system)208、マスト210、知覚筐体212、及び知覚部214を含み得る。ロボット200は、移動ベース202内に収容された計算ボックス216も含み得る。
【0046】
[054] 移動ベース202は、ロボット200の移動を行うためロボット200の前端に位置決めされた2つの駆動輪を含む。また、移動ベース202は、地面上での移動ベース202の運動を容易にするため追加のキャスタ(図示せず)も含む。移動ベース202は、計算ボックス216の容易な取り外しを可能とするモジュール式アーキテクチャを有し得る。計算ボックス216は、ロボット200のための(機械的に一体化された制御システムでなく)着脱可能制御システムとして機能することができる。外殻を取り外した後、計算ボックス216を容易に取り外す及び/又は交換することができる。また、移動ベース202は、追加のモジュール方式を与えるように設計できる。例えば移動ベース202は、動力システム、バッテリ、及び/又は外部バンパを全て容易に取り外す及び/又は交換することができるように設計され得る。
【0047】
[055] 中央部204は、移動ベース202の前端で移動ベース202に取り付けることができる。中央部204は、移動ベース202に固定された搭載柱を含む。中央部204は更に、アーム206のための回転関節を含む。より具体的には、中央部204は、アーム206のための第1の2自由度を含む(肩ヨーJ0関節と肩ピッチJ1関節)。搭載柱及び肩ヨーJ0関節は、移動ベース202の前面で積層塔の一部を形成し得る。搭載柱及び肩ヨーJ0関節は同軸であり得る。中央部204の搭載柱の長さは、一般的に遭遇する高さレベル(例えばコーヒーテーブル面及びカウンタ天板のレベル)で操作タスクを実行するのに充分な高さをアーム206に与えるように選択できる。また、中央部204の搭載柱の長さによって、肩ピッチJ1関節は、アーム206を移動ベース202の上方で移動ベース202に接触させずに回転させることができる。
【0048】
[056] アーム206は、中央部204に接続された場合に7DOFロボットアームであり得る。上記のように、アーム206の第1の2DOFは中央部204に含めることができる。残りの5DOFは、
図2及び
図3に示されているように、アーム206の独立した部分に含めることができる。アーム206は、プラスチックの一体リンク構造で構成され得る。アーム206内部に、独立したアクチュエータモジュール、ローカルモータドライバ、及び貫通孔配線を収容することができる。
【0049】
[057] EOAS208は、アーム206の端部のエンドエフェクタとすることができる。EOAS208は、ロボット200が環境内で物体を操作することを可能とする。
図2及び
図3に示されているように、EOAS208は、劣駆動ピンチグリッパ等のグリッパとすることができる。グリッパは、物体検出及びグリッパ制御を容易にするため、力/トルクセンサのような1つ以上の接触センサ及び/又は1つ以上のカメラのような非接触センサを含み得る。また、EOAS208は、吸引グリッパのような異なるタイプのグリッパ、又はドリルもしくはブッシュのような異なるタイプのツールとしてもよい。また、EOAS208は、交換可能とすること、又はグリッパ指のような交換可能コンポーネントを含むことも可能である。
【0050】
[058] マスト210は、アーム206の肩ヨーJ0関節と知覚筐体212との間の比較的長くて細いコンポーネントとすることができる。マスト210は、移動ベース202の前面における積層塔の一部であり得る。マスト210は、移動ベース202に対して固定することができる。マスト210は中央部204と同軸であり得る。マスト210の長さによって、EOAS208が操作している物体を知覚部214で知覚することが容易になり得る。マスト210は、肩ピッチJ1関節が垂直方向上方へ回転した場合にアーム206の二頭筋の最上部がマスト210の上部とほぼ並ぶような長さを有し得る。そのため、マスト210の長さは、肩ピッチJ1関節が垂直方向上方へ回転した場合に知覚筐体212とアーム206との衝突を防ぐのに充分なものであり得る。
【0051】
[059]
図2及び
図3に示されているように、マスト210は、光検出及び測距(ライダー(lidar:light detection and ranging))センサを含み得る。ライダーセンサは、環境に関する深度情報を収集するように構成できる。ライダーセンサは、マスト210の切り取り部分(carved-out portion)に結合して、下向きの角度に固定することができる。ライダーの位置は、位置特定、ナビゲーション、及び前方の崖の検出のために最適化できる。
【0052】
[060] 知覚筐体212は、知覚部214を構成する少なくとも1つのセンサを含み得る。知覚筐体212は、(例えば、EOAS208で操作されている物体を見るため)知覚筐体212の向きを変えることを可能とするパン/チルト制御に接続され得る。知覚筐体212は、移動ベース202に固定された積層塔の一部であり得る。知覚筐体212の後部はマスト210と同軸であり得る。
【0053】
[061] 知覚部214は、ロボット200の環境を表すセンサデータを収集するように構成されたセンサ一式を含み得る。知覚部214は、赤外線(IR)支援立体深度センサを含み得る。知覚部214は更に、人間とロボットの相互作用及び文脈情報のための広角RGB(red-green-blue)カメラを含み得る。知覚部214は更に、物体分類のための高解像度RGBカメラを含み得る。また、人間とロボットの相互作用及びシーン照明を改善するため、知覚筐体212を取り囲むフェースリング光(face light ring)も含めることができる。
【0054】
[062]
図4は、一例の実施形態に従ったロボットアームを示す。ロボットアームは7DOFを含む。すなわち、肩ヨーJ0関節、肩ピッチJ1関節、二頭筋ロールJ2関節、肘ピッチJ3関節、前腕ロールJ4関節、手首ピッチJ5関節、及び手首ロールJ6関節である。これらの関節の各々を1つ以上のアクチュエータに結合することができる。関節に結合されたアクチュエータは、運動連鎖(kinematic chain)(及び、ロボットアームに取り付けられたエンドエフェクタ)に沿ってリンクの移動を発生させるように動作可能であり得る。
【0055】
[063] 肩ヨーJ0関節は、ロボットアームがロボットの前後へ回転することを可能とする。この運動の1つの有益な利用は、ロボットが前方にある物体を拾い、その物体をロボットの後部へ素早く置くこと(及びその逆の運動)である。この運動の別の有益な利用は、ロボットアームをロボット後方の格納構成(stowed configuration)からロボット前方のアクティブ位置へ素早く移動させること(及びその逆の運動)である。
【0056】
[064] 肩ピッチJ1関節は、ロボットがロボットアームを上げること(例えば二頭筋がロボットの知覚部レベルにくるように)、及びロボットアームを下げること(例えば二頭筋が移動ベースのすぐ上にくるように)を可能とする。この運動は、ロボットが環境内の様々な目標高さレベルで操作動作(例えば上方把持及び側方把持)を効率的に実行することを可能とするために有益である。例えば、肩ピッチJ1関節を垂直方向上方位置へ回転させて、ロボットが環境内のテーブル上の物体を容易に操作することを可能とする。肩ピッチJ1関節を垂直下方位置へ回転させて、ロボットが環境内の地面上の物体を容易に操作することを可能とする。
【0057】
[065] 二頭筋ロールJ2関節は、ロボットが二頭筋を回転させて二頭筋に対して肘及び前腕を移動させることを可能とする。この運動は、知覚筐体内のロボットの知覚部がEOASをはっきり見ることを容易にするために特に有益であり得る。二頭筋ロールJ2関節を回転させることによって、ロボットは、ロボットのグリッパで保持された物体までの見通しを改善するため、肘及び前腕がそれを遮ることを防止できる。
【0058】
[066] 運動連鎖に沿って交互に配置されたピッチ関節及びロール関節(肩ピッチJ1関節、二頭筋ロールJ2関節、肘ピッチJ3関節、前腕ロールJ4関節、手首ピッチJ5関節、及び手首ロールJ6関節)は、ロボットアームの操作性を向上させるように提供される。物体の向きを変える際のアーム運動を低減するため、手首ピッチJ5関節、手首ロールJ6関節、及び前腕ロールJ4関節の軸は交差している。物体の回転を改善するため、手首に2つのピッチ関節でなく手首ロールJ6関節が提供されている。
【0059】
[067] いくつかの例において、
図4に示されているようなロボットアームは教示モードで動作することができる。具体的に述べると、教示モードは、ユーザがロボットアームと物理的に相互作用し、様々な移動を実行及び記録させるよう指導することを可能とするロボットアームの動作モードであり得る。教示モードでは、特定のタスクをどのように実行するかに関してロボットに教示することを目的とした教示入力に基づいて、ロボットアームに(例えばユーザによって)外力を加える。ロボットアームはこれにより、ユーザからの命令及び指導に基づいて、どのように特定のタスクを実行するかに関するデータを取得できる。このようなデータは、いくつかの可能性の中でも特に、機械コンポーネントの複数の構成、関節位置データ、速度データ、加速度データ、トルクデータ、力データ、及び動力データに関し得る。
【0060】
[068] 教示モードの間、ユーザは、いくつかの例ではEOAS又は手首をつかみ、他の例ではロボットアームの任意の部分をつかみ、ロボットアームを物理的に動かすことによって外力を与えることができる。具体的に述べると、ユーザは、ロボットアームが物体をつかみ、その物体を第1の位置から第2の位置へ動かすようにロボットアームを指導できる。教示モード中にユーザがロボットアームを指導する際、ロボットは移動に関するデータを取得し記録することができるので、ロボットアームは、後の独立動作中に(例えばロボットアームが教示モード外で独立して動作するときに)独立してタスクを実行するように構成できる。場合によっては、いくつかの可能性の中でも特に、他の物体、機械、又はロボットシステムのような、物理的作業空間内の他の要素によって外力を加えることができる。
【0061】
III.一例の脊椎及びアクチュエータ
[069]
図5は、ロボット又は他のデバイスの構造の一部として使用され得る一例の脊椎500を示す。脊椎500は、第1の端部(すなわち図示のような上端)504と、第2の端部(すなわち図示のような下端)506と、フランジ508と、を含む。あるいは、脊椎500は、搭載柱、構造柱、脊柱、支持具(brace)、支柱(post)、塔、又はマスト等と称することも可能である。
【0062】
[070] 脊椎500は、直径よりも高さの方が大きく、コンポーネントを取り付けるための複数の機械的特徴部を含む、ほぼ円筒形の構造とすることができる。いくつかの実施例では、脊椎500の下端506は朝顔形に開いて、すなわち外側に広がって、下方にあるベース、基盤、又は接続点に脊椎500を取り付けるための(脊椎500の他の部分に比べて)広い足場及び大きい面積を与えることができる。また、このような下端は、様々なコンポーネントを脊椎500に沿った位置及び脊椎500よりも上方に取り付ける際の脊椎500のねじれ及び曲げに対して、追加の抵抗を与えることができる。
【0063】
[071] いくつかの実施例において、脊椎500は2つの別個の部分として製造され得る。これらの部分は、図示のように、座標系502のヨー軸に対して及び/又はヨー軸とピッチ軸を含む面に対して対称である。その後、これら2つの部分を(例えばねじ、ボルトとナット、リベット、又は他の留め具により)固定して接続することで、脊椎500を形成することができる。あるいは脊椎500は、単一の要素として製造してもよく、又は3つ以上の別個の要素として製造して、後に組み立ててもよい。
【0064】
[072] 一例において、脊椎500はロボット200の一部として使用され得る。すなわち、ベース端506を移動ベース202に接続し、上端504をマスト210に接続することができ、更に、脊椎500は中央部204を(例えば搭載柱及びアーム206のための回転関節を)貫通することができる。従って、脊椎500はロボット200の外部からは見えない場合がある。それでもなお脊椎500は、いくつかのコンポーネントの中でも特に、中央部204、アーム206、マスト210、及び知覚筐体212に対して構造的支持を与えることができる。また、以下で詳しく検討するように、脊椎500はアーム206及び知覚筐体212の独立したヨー回転を可能とすることができる。他の適用例では、脊椎500を用いて、この脊椎に対して回転するよう結合されると共に相互に独立して回転するよう構成された複数のアーム及び付属物を支持することができる。
【0065】
[073] 脊椎500は中空コアを有し、この中空コアへのアクセスを与える孔510、512、及び514を含み得る。中空コアと孔510、512、及び514の組み合わせによって、脊椎500に沿った様々な部分に取り付けられた構造間でケーブルのルーティングを行うことができる。例えば、ベース端506は、計算ボックス216を収容している移動ベース202に接続することができる。孔512及び中空コアを介して、計算ボックス216から孔514の周りに位置決めされたロボットコンポーネントまで、信号ケーブル及び/又は電力ケーブルをルーティングできる。同様に、孔512及び中空コアを介して、計算ボックス216から孔510の周り及び上方に位置決めされたロボットコンポーネントまで、信号ケーブル及び/又は電力ケーブルをルーティングできる。
【0066】
[074] 脊椎500は、その中心線に沿って垂直方向に延出し、従って座標系502で示されているヨー軸に対して平行であるヨー軸を規定することができる。すなわち、脊椎500によって規定されるヨー軸は、上端504と下端506との間の線(例えば脊椎500の幾何学的中心線)に沿って延出し得る。ヨー軸上及びヨー軸に沿った異なるポイント及び/又は部分で、様々なロボットコンポーネントを回転可能に及び/又は固定して脊椎500に接続することで、脊椎500で規定されたヨー軸を中心としてこれらのコンポーネントが回転することを可能とする。一例として、
図6A及び
図6Bに示されているように、アクチュエータを搭載するためのフランジ508が使用され得る。
【0067】
[075]
図6A(側面図)及び
図6B(上面図)は、脊椎に搭載可能であり、脊椎を中心としてロボットコンポーネントを回転させるために使用されるアクチュエータ600を示す。アクチュエータ600は、モータ618と、歯車列614と、モータ618を歯車列614に接続するためのアダプタ616と、を含む。アクチュエータ600は、筐体604内に配置されて筐体604に回転可能に接続されたハブ602も含む。筐体604はハブ602の外周に沿ってこれを取り囲み、これら2つのコンポーネントは同心であり、それらの間に回転可能接続を与えることができる。
【0068】
[076] 筐体604及びハブ602の各々は全体的な形状が円筒環に似ており、様々な機械的構造がそれらの上に規定されるか又はそれらに接続され得る。このため、ハブ602は、脊椎500の少なくとも一部が嵌合するようなサイズの穴606を画定することができる。筐体604は同様に、ハブ602が嵌合するようなサイズの第2のもっと大きい穴を画定できる。筐体604及びハブ602を、まとめてアクチュエータ600のリング又はリング部と呼ぶことができる。従って、場合によってはアクチュエータ600は、いくつか可能なものの中でも特に、リングアクチュエータ、環状アクチュエータ、又は中空コアアクチュエータと呼ぶことができる。
【0069】
[077] ハブ602の一部の周りにエンコーダリング608を配置することができる。エンコーダリング608の回転位置を検知するよう構成された回路610を、エンコーダリング608に隣接して位置決めされるように筐体604に接続することができる。エンコーダリング608は例えば、回路610内の磁場センサによって検知される磁気パターンを規定する磁石リングとすればよい。あるいは、エンコーダリング608及び回路610は、いくつか可能なものの中でも特に、光学的符号化、誘導的符号化(inductive encoding)、容量的符号化(capacitive encoding)、又はレーザ符号化を利用することができる。
【0070】
[078] いくつかの実施例において、エンコーダリング608は、それぞれが対応する磁気シーケンスを規定する3つ以上の別個の円形トラックを含み得る。これらの磁気シーケンスはそれぞれ異なる数の磁気分極を有し、このため相互にずらすことができる。すなわち、2つのトラック上の磁気分極の各対は、異なる数の磁気分極の結果として、異なる物理的距離だけ相互にずらすことができる。従って回路610は、(例えばノギスの原理(Nonius principle)を用いて)3つ以上のトラックの異なる対によって発生した信号間の位相シフトに基づいて、エンコーダリング608の絶対位置を決定するように構成できる。
【0071】
[079] 特に、いくつかの実施例では、穴606のサイズを考慮すると、エンコーダリング608の所望の角度分解能を得るために2つのトラックでは不充分である場合がある。2つのトラックを備えたエンコーダリングでは、エンコーダの分解能は、トラックのうち1つにおける磁極の数によって決定され得る。いくつかの例では、製造上の限界、又は回路610が位相シフトを決定する能力の限界により、(最小極ピッチに起因する)各トラック上の最大磁極数が決定され得る。このため、2つのトラックで与えられる最大分解能は制限され得る。第3のトラックを与えることによって、2トラックのエンコーダリングに対してこの最大分解能を二倍にすることができ、従ってエンコーダリング608は、穴606及び脊椎500のサイズを収容しながら所望の分解能を与えることができる。
【0072】
[080] 歯車列614は、環状プレート612を介して筐体604に接続することができる。環状プレート612は、筐体604とは別個のコンポーネントであるか、又は、他の実施例では筐体604の一体的なサブセットであり得る。環状プレート612は、歯車列614の出力歯車がハブ602に接続された1つ以上の歯車と噛み合うように出力歯車を位置決めすることができる。このため、モータ618を駆動させることにより、モータ618の回転は歯車列614を介して筐体604に対するハブ602の回転に変換され得る。従って、筐体604を脊椎500に(例えばフランジ508を介して)固定して接続し、ハブ602を脊椎500に回転可能に結合された関節に接続することにより、アクチュエータ600を用いて、脊椎500が規定するヨー軸を中心としてこの関節を回転させることができる。
【0073】
IV.一例の脊椎及びアクチュエータアセンブリ
[081]
図7は脊椎500及びアクチュエータ600のアセンブリを示す。アクチュエータ600の筐体604の下部を、(例えば脊椎500のヨー軸に沿った第1のポイントで)フランジ508に固定して接続することにより、アクチュエータ600を脊椎500にしっかり固定することができる。脊椎500はハブ602の穴606を貫通し得る。アクチュエータ600の上方で、(例えば脊椎500のヨー軸に沿った第2のポイントで)関節714を脊椎500に回転可能に接続すると共に、ハブ602に固定して接続することができる。従って、モータ618を駆動させた場合、モータ618の回転によって筐体604に対するハブ602の回転が生じ、結果として、脊椎500が規定するヨー軸を中心とした関節714の回転が生じ得る。
【0074】
[082] モータ618及び歯車列614の回転軸は、脊椎500が規定するヨー軸に対して平行であり、脊椎500とモータ618/歯車列614との間に隙間を与えるようにヨー軸からずらすことができる。このため、モータ618及び歯車列614は、筐体604の中心でなく外周の近くで筐体604に接続され得る。特に、アクチュエータ600をこのように構築することで、ロボットの様々なコンポーネントのサイズを制限し、よりコンパクトなロボット設計を可能とする。例えば、
図7に示されているアセンブリは、脊椎500及びアクチュエータ600を収容するためにロボット200の中央部204の円筒形の形状に隆起やその他の変更を必要とすることなく、この中央部の内部に収めることができる。
【0075】
[083] 関節714は、
図4に示されている7DOFロボットアームの肩ヨーJ0関節に相当し得る。関節714は、肩708の少なくとも一部を含み得る。肩708はアーム206の構造の一部とすることができ、脊椎500と肩ピッチJ1関節との間に配置され得る。また、関節714は、肩708を脊椎500に回転可能に接続する軸受716を含み得る。関節714は更に、ロボットアームの肩708を脊椎500の周りに保持するブラケット712を含み得る。ブラケット712は、ハブ602及び肩708に固定して接続することができ、従って、ハブ602の回転を脊椎500を中心とした関節714の回転に変換するため使用され得る。いくつかの実施例では、ブラケット712は更に、ロボットデバイスの様々なコンポーネントを搭載できる構造を提供することができる。例えば
図7に示されているように、ブラケット712は、ロボットを冷却するよう構成されたファンを搭載することを可能とする。
【0076】
[084] いくつかの実施例において、ハブ602及び肩708は、ハブ602から関節714への回転運動の伝達を容易にする追加のブラケット(図示せず)によって、共に固定して接続することができる。同様に、脊椎500及び肩708は、脊椎500上の他のポイントに配置された1つ以上の追加の軸受(図示せず)を用いて、共に回転可能に接続することができる。更に、肩708の一部が肩ピッチJ1関節によってピッチ軸を中心として回転できるように、モータ710を提供してもよい。
【0077】
[085] また、
図7のアセンブリは、脊椎500の上端504に搭載されたクロックスプリング702も含み得る。クロックスプリング702は、関節714の回転時に電力及び/又は信号を関節714に伝達するよう構成された回転接続を提供できる。このため、クロックスプリング702は、クロックスプリング702に巻かれたワイヤによって相互に電気的に接続された入力接続706及び出力接続704を含み得る。関節714が第1の方向に回転すると、クロックスプリング702は、この回転に伴う力によってワイヤをほどくように構成できる。同様に、関節714が反対の第2の方向に回転すると、クロックスプリング702は、ばねの戻る力によってワイヤを再び巻くように構成できる。
【0078】
[086] 脊椎500の孔512から中空コアを介して、脊椎500の上端504の孔510を通って延出しているケーブルセットを、入力接続706に接続することができる。入力接続706に電気的に結合されている出力接続704に、関節714及びロボットアーム206のコンポーネントを接続することができる。このため、クロックスプリング702及び脊椎500によって、脊椎500のベース端506から関節714に接続されたロボットアーム(例えばロボットアーム206)への電力及び/又は信号の伝達が可能となる。このケーブルセット又は別の追加セットの一部は、孔510から出て、マスト210、知覚筐体212、別の付属物、及び/又はそのコンポーネントまで延出し得る。
【0079】
[087] 更に、
図7のアセンブリは、脊椎500の上端504に搭載されたアダプタ700も含み得る。アダプタ700はロボットの別の付属物に接続可能であり得る。例えばアダプタ700は、知覚筐体212に直接接続すること、マスト210を介して知覚筐体212に接続すること、及び/又は知覚筐体212でなく別のロボットアームに接続することができる。この付属物の具体的な構造にかかわらず、
図7のアセンブリは、関節714の回転とは独立してこの付属物が脊椎500のヨー軸を中心として回転することを可能とする。すなわち、アダプタ700は脊椎500に固定して接続することができ、関節714の回転時に脊椎500は回転方向に固定された状態を維持するので、アダプタ700は付属物を搭載するための固定プラットフォームとして機能できる。
【0080】
[088] 特に、
図7に示されている脊椎及びアクチュエータのアーキテクチャは、ロボットの様々な同軸部分がそれぞれの回転軸を中心として相互に独立して回転することを可能とする。このアーキテクチャは、積層コンポーネントが連続的に接続されているので中央部204又はその一部(例えば中央部204の一部を形成するアーム206のための回転関節)が回転すると中央部204の上方に配置された構造も回転する代替的な構造とは対照的であり得る。すなわち、そのような代替的な構造は、ロボットの複数の同軸部分を貫通する脊椎500のような構造的コンポーネントを含まない。
【0081】
[089] 従って、そのような代替的な構造の状況では、アーム206の肩ヨーJ0関節の回転中に知覚筐体212が一定の方向を向いた状態を保つため、知覚筐体に関連付けられた回転関節を肩ヨーJ0関節714とは反対の方向に駆動する必要がある。このような知覚筐体212の逆制御(counter-control)は必然的に追加のハードウェア及び計算の複雑さを伴い、また、知覚筐体212が中央部204に対して常に調整されるのでロボットシステムにノイズを発生させることがある。例えば、肩ヨーJ0関節の回転中に知覚筐体212が逆制御されると、知覚筐体212は静止状態にとどまらず少量だけ移動し得るので、これが内部のセンサの位置を変え、振動させる可能性がある。
【0082】
[090] それに対して、
図7に示されている脊椎及びアクチュエータのアーキテクチャは、ロボットの複数の同軸部分の独立した制御を可能とする。更に、脊椎500は、そのような同軸部分及びそのコンポーネントをしっかり固定して搭載することができる堅固な構造を提供する。すなわち、脊椎500が金属で作製されている場合、概してプラスチックで作製される可能性の高い他のロボットコンポーネントよりも高い安定性と剛性を提供できる。
【0083】
V.一例のアクチュエータ設計
[091]
図8A、
図8B、及び
図8Cはアクチュエータ600の分解図を示す。すなわち、
図8Aはアクチュエータ600のモータアセンブリ800の分解図を示す。モータアセンブリ800はモータ618から環状プレート612まで延出し得る。モータ618は、モータ筐体618Bと、モータ618Aと、モータ位置エンコーダ803と、を含み得る。モータ位置エンコーダ803は、ねじ又は他の留め具によってモータ筐体618Bに接続され得る。モータ筐体618Bは、同様にアダプタ616に接続されることにより、モータ618Aの駆動シャフトを位置決めして歯車列614に接続することができる。歯車列614は遊星歯車列とすればよいが、他のタイプの歯車列又はトランスミッションも可能である。歯車列614は、シャフト部を含む出力歯車802を含み得る。シャフト部は、歯付き部分を超えて延出し、筐体604の内部の軸受(例えばニードル軸受)と結合して、それに対して出力歯車802を位置決めするよう構成されている。歯車列614は、ねじ又は他の留め具によって環状プレート612に接続され得る。歯車列614及びモータ618を積層して、概ね円筒形の構造を形成することができる。
【0084】
[092]
図8Bはアクチュエータ600のハブアセンブリ806の分解図を示す。ハブアセンブリ806は、ハブ602と、ハブ602の一部の周りに固定して配置されたリングギア804と、を含み得る。リングギア804は、ねじ、ボルト、リベット、又は他の留め具によって、ハブ602に接続され得る。いくつかの実施例では、リングギア804は別個の要素でなくハブ602と一体的であり、ハブと共に成型することができる。ハブ602は突起807を含むことができ、これは筐体604と組み合わされて筐体604に対するハブ602の回転の阻止部(hard-stop)を規定する。また、
図8Bは、ハブアセンブリ806の上面
図808及び断面
図810も示している。
【0085】
[093]
図8Cはアクチュエータ600の分解図を示す。すなわち
図8Cは、モータアセンブリ800及びハブアセンブリ806を、これらのアセンブリを組み合わせてアクチュエータ600にするため使用される他のコンポーネントと共に示している。すなわち、ハブアセンブリ806は、軸受814、軸受812、及びナット816によって、筐体604に回転可能に接続され得る。軸受814とハブアセンブリ806との間にワッシャ818を配置することができる。
【0086】
[094] ハブ602は、ハブ602に対して軸受814を圧入又は他の方法で取り付けることを可能とする第1の外径を有する第1の円筒部と、ハブ602に対して軸受812を圧入又は他の方法で取り付けることを可能とする第2の外径を有する第2の円筒部と、ハブ602を筐体604に接続するためナット816のねじ留めを可能とするねじ切り円筒部と、を含み得る。同様に、筐体604は、筐体604内で筐体604に対して軸受814を取り付けることを可能とする第1の内径を有する第1の穴部と、筐体604内で筐体604に対して軸受812を取り付けることを可能とする第2の内径を有する第2の穴部と、筐体604に対してナット816がハブアセンブリ806を保持するようにナット816の外径よりも小さい第3の内径を有する第3の穴部と、を含み得る。
【0087】
[095] エンコーダリング608は、ハブアセンブリ806の上部の周りに配置され得る。エンコーダ回路610は、ブラケット822によって筐体604に接続され得る。また、阻止部820は筐体604に接続され、突起807と組み合わされて、筐体604に対するハブアセンブリ806の回転の限度を規定することができる。
【0088】
[096] モータアセンブリは、ねじ又は他の留め具によって筐体604に接続され得る。モータアセンブリ800と筐体604との接続により、出力歯車802をリングギア804と噛み合うように位置決めすることができる。出力歯車802は、固定の線形位置に保持され得るが、出力歯車802を超えて延出しているシャフト部と筐体604の対応するくぼみとの間に配置されたニードル軸受824によって、筐体604及びハブ602に対して回転可能とすることができる。
【0089】
VI.追加の例示的な動作
[097]
図9は、ロボットデバイスの動作に関連した動作のフローチャートを示す。この動作は、いくつか可能なものの中でも特にロボットシステム100又はロボット200によって実行され得る。
図9の実施形態は、図示されている特徴のうち1つ以上を除去することにより簡略化してもよい。更に、これらの実施形態は、前述の図のいずれか又は本明細書に記載されている特徴、態様、及び/又は実施例と組み合わせてもよい。
【0090】
[098] ブロック900は、ロボットデバイスの腕関節に接続されたアクチュエータに、ロボットデバイスの脊椎のヨー軸を中心として腕関節を回転させることを含み得る。腕関節は、ヨー軸に沿った第1の位置で脊椎に回転可能に接続され得る。アクチュエータは、穴を画定するリングを含み得る。脊椎は、ヨー軸に沿った第2の位置でリングに固定して接続され、穴を貫通し得る。アクチュエータがヨー軸を中心として腕関節を回転させている間、脊椎及び脊椎の第1の端部に接続されたアダプタは、脊椎の第2の端部が接続されているベースに対して一定の回転位置に維持され得る。
【0091】
[099] ブロック902は、アダプタに接続された付属物を回転させることを含み得る。この回転はアダプタに対するものであり、ヨー軸を中心とした腕関節の回転とは独立したものであり得る。
【0092】
[100] いくつかの実施形態において、付属物は、(i)アダプタに直接接続された知覚筐体、(ii)マストを介してアダプタに接続された知覚筐体、又は(iii)脊椎に第2のアームを接続する第2の腕関節、のうち1つ以上を含み得る。
【0093】
[101] いくつかの実施形態において、付属物は、アダプタに固定して接続されたマストを介してアダプタに接続された知覚筐体を含み得る。知覚筐体は、アダプタに対してパン及びチルトを実行するように構成され得る。
【0094】
[102] いくつかの実施形態において、リングは、(i)穴を画定するハブ、及び(ii)ハブと同心でありハブを取り囲む筐体、を含み得る。ハブは、1つ以上の歯車を介して筐体に回転可能に結合され得る。ハブは腕関節に固定して接続され得る。筐体は脊椎に固定して接続され得る。また、アクチュエータは、モータと、モータを1つ以上の歯車に接続する歯車列と、を含み得る。
【0095】
[103] いくつかの実施形態において、歯車列は、第1の回転軸を有する遊星歯車列とすることができる。遊星歯車列及びモータは、第1の回転軸及びモータの第2の回転軸の各々が脊椎のヨー軸に対して平行であるように、脊椎に沿って位置決めされ得る。
【0096】
[104] いくつかの実施形態において、1つ以上の歯車は、ハブの一部の周りに配置されたリングギアを含み得る。ロボットデバイスは、歯車列の出力歯車がリングギアと噛み合ってハブを筐体に対して回転させるように、歯車列を筐体に固定して接続する環状プレートも含み得る。
【0097】
[105] いくつかの実施形態では、エンコーダリングがハブに固定して接続され、ハブの一部の周りに配置され得る。検出回路が筐体に接続され、エンコーダリングの外周に隣接して位置決めされ得る。検出回路は、エンコーダリングによって規定されたパターンに基づいて、筐体に対するハブの回転位置を決定するように構成され得る。
【0098】
[106] いくつかの実施形態において、エンコーダリングは、エンコーダリングの外周上に規定された3つ以上の磁気トラックを含み得る。3つ以上の磁気トラックの各トラックは、それぞれ対応する異なる数の磁気分極を含み得る。各トラックの磁気分極を、3つ以上の磁気トラックのうち他のトラックの磁気分極に対して回転方向にずらしてパターンを規定することで、3つ以上の磁気トラックが筐体に対するハブの絶対回転位置を示すことを可能とする。
【0099】
[107] いくつかの実施形態において、脊椎は、中空コアと、脊椎の第1の端部にある第1の孔と、脊椎の第2の端部にある第2の孔と、第2の位置に近接した第3の孔と、を含み得る。第2の孔は、中空コアを介して第3の孔に接続されて、ロボットデバイスのベースからアクチュエータまでの第1のワイヤセットのルーティングを可能とする。第2の孔は、中空コアを介して第1の孔に接続されて、ロボットデバイスのベースから腕関節までの第2のワイヤセットのルーティングを可能とする。
【0100】
[108] いくつかの実施形態において、ロボットデバイスは更に、脊椎の第2の端部に接続されたベースと、腕関節とベースとの間に配置されると共に腕関節と同軸である中央部と、を含み得る。脊椎は、中央部及び腕関節を貫通してそれらに構造的支持を与えることができる。
【0101】
[109] いくつかの実施形態において、ロボットデバイスは、脊椎の第1の端部に接続され、1つ以上のワイヤを介して腕関節に電気的に結合されたクロックスプリングを含み得る。クロックスプリングは、腕関節がヨー軸を中心として回転した場合に1つ以上のワイヤを巻いたりほどいたりするように構成され得る。アクチュエータのリングは、クロックスプリングに基づいて腕関節の回転の限度を規定する阻止部を含み得る。
【0102】
[110] いくつかの実施形態において、脊椎は、ヨー軸に対して対称である2つの部分を含み得る。
【0103】
[111] いくつかの実施形態において、ロボットデバイスは、7自由度を有すると共に腕関節を介して脊椎に接続されたアームを含み得る。腕関節は、7自由度のうち第1の自由度を提供することができる。
【0104】
VII.結論
[112] 本開示は、本出願に記載されている特定の実施形態に関して限定されない。それらの特定の実施形態は、様々な態様の例示であることが意図されている。当業者に認められるように、その範囲から逸脱することなく多くの変更及び変形が実施可能である。本明細書に記載されたものに加えて、本開示の範囲内にある機能的に同等の方法及び装置も、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。
【0105】
[113] 上記の詳細な説明は、添付図面を参照して、開示されているシステム、デバイス、及び方法の様々な特徴及び動作を記載している。図面では、文脈上他の意味が示される場合を除いて、通常は同様の符号は同様のコンポーネントを識別する。本明細書及び図面に示されている例示の実施形態は、限定を意図していない。本明細書に提示されている主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用すること、及び他の変更を実施することができる。本明細書で全体的に記載され図面に示されている本開示の態様は、多種多様な異なる構成において、配列、置換、結合、分離、及び設計が可能であることは容易に理解されよう。
【0106】
[114] 図面に示され本明細書で検討されているメッセージフロー図、シナリオ、及びフローチャートの全てに関して、各ステップ、ブロック、及び/又は通信は、一例の実施形態に従った情報の処理及び/又は情報の伝送を表すことができる。これらの一例の実施形態の範囲内には代替的な実施形態が含まれる。これらの代替的な実施形態において、例えば、ステップ、ブロック、伝送、通信、要求、応答、及び/又はメッセージとして記載された動作は、関連する機能性に応じて、図示又は検討されたものとは異なる順序で実行される可能性があり、実質的に同時に実行されること又は逆の順序で実行されることを含む。更に、本明細書で検討されたメッセージフロー図、シナリオ、及びフローチャートのいずれかと共に、より多数の又はより少数のブロック及び/又は動作を使用することも可能であり、また、これらのメッセージフロー図、シナリオ、及びフローチャートを部分的に又は全体的に相互に組み合わせることも可能である。
【0107】
[115] 情報の処理を表すステップ又はブロックは、本明細書に記載されている方法又は技法の特定の論理機能を実行するように構成できる回路に対応し得る。この代わりに又はこれに加えて、情報の処理を表すブロックは、プログラムコード(関連データを含む)のモジュール、セグメント、又は部分に対応し得る。プログラムコードは、本明細書の方法又は技法における特定の論理動作又は行為を実施するためプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含み得る。プログラムコード及び/又は関連データは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、又は別の記憶媒体を含む記憶デバイス等、任意のタイプのコンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0108】
[116] また、コンピュータ可読媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及びRAMのような短時間データを記憶するコンピュータ可読媒体等、非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。また、コンピュータ可読媒体は、長時間プログラムコード及び/又はデータを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体も含み得る。従って、コンピュータ可読媒体は、例えばリードオンリメモリ(ROM)、光ディスク又は磁気ディスク、ソリッドステートドライブ、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)のような、二次又は永続的な長期記憶装置を含み得る。また、コンピュータ可読媒体は、他の任意の揮発性又は不揮発性記憶システムとしてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えばコンピュータ可読記憶媒体、又は有形の記憶デバイスと考えることができる。
【0109】
[117] 更に、1以上の情報伝送を表すステップ又はブロックは、同一の物理デバイス内のソフトウェアモジュール及び/又はハードウェアモジュール間の情報伝送に対応し得る。しかしながら、他の情報伝送は、異なる物理デバイスにおけるソフトウェアモジュール間及び/又はハードウェアモジュール間である可能性もある。
【0110】
[118] 図面に示されている具体的な配置は、限定と見なすべきではない。他の実施形態では、所与の図に示されている各要素が更に数を増加又は減少して含まれ得ることは理解されよう。また、例示されている要素のいくつかを組み合わせること又は省略することも可能である。更に、一例の実施形態は図面に示されていない要素を含むことも可能である。
【0111】
[119] 様々な態様及び実施形態を本明細書で開示したが、他の態様及び実施形態も当業者には明らかであろう。本明細書に開示されている様々な態様及び実施形態は例示の目的のためのものであり、限定は意図されておらず、その真の範囲は後続の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】