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特表2022-542036制動トルクを決定するための測定システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】制動トルクを決定するための測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 66/00 20060101AFI20220921BHJP
   F16C 41/00 20060101ALI20220921BHJP
   G01L 5/22 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
F16D66/00 Z
F16C41/00
G01L5/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503860
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 AT2020060277
(87)【国際公開番号】W WO2021011981
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】A50671/2019
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519223125
【氏名又は名称】ピエゾクリスト・アドバンスト・センソリクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ゲルストル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・シュリッカー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヒルシュラー
【テーマコード(参考)】
2F051
3J058
3J217
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB08
2F051BA07
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA62
3J058AA73
3J058AA87
3J058BA03
3J058BA60
3J058CC22
3J058DB27
3J058FA01
3J217JA01
3J217JA14
3J217JA24
3J217JA38
3J217JB63
3J217JB84
(57)【要約】
本発明は、固定されたブレーキ装置(11)と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素(12)、特にブレーキディスクと、の間における制動トルク(M)を決定するための測定システム(1)に関するものであり、測定システム(1)は、少なくとも1つの圧電素子(2a、2b)と信号処理装置(3)とを有しており、圧電素子(2a、2b)は、力が前記ブレーキ要素(12)の移動方向(B)において圧電素子(2a、2b)に作用する際、圧電素子(2a、2b)の圧電効果、特にせん断効果を利用して測定信号が生成されるように、ブレーキ要素(12)と、ブレーキ装置(11)を支持するスラスト軸受(13)と、の間における力の流れの内に配置可能であり、信号処理装置(3)は、測定信号(S1、S2)に基づいて、ブレーキ要素(12)の移動方向(B)に関して、制動トルク(M)を決定する(101)ように構成されている。本発明はさらに、制動トルクを決定するための方法(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたブレーキ装置(11)と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素(12)、特にブレーキディスクと、の間における制動トルク(M)を決定するための測定システム(1)であって、前記測定システム(1)は、少なくとも1つの圧電素子(2a、2b)と信号処理装置(3)とを有しており、前記圧電素子(2a、2b)は、力が前記ブレーキ要素(12)の移動方向(B)において前記圧電素子(2a、2b)に作用する際、前記圧電素子(2a、2b)の圧電効果、特にせん断効果を利用して測定信号が生成されるように、前記ブレーキ要素(12)と、前記ブレーキ装置(11)を支持するスラスト軸受(13)と、の間における力の流れの内に配置可能であり、前記信号処理装置(3)は、前記測定信号(S1、S2)に基づいて、前記ブレーキ要素(12)の前記移動方向(B)に関して、前記制動トルク(M)を決定する(101)ように構成されている測定システム(1)。
【請求項2】
力の流れが、摩擦接続によって、特に静摩擦を用いた力接続によって、前記圧電素子(2a、2b)に導入可能である、請求項1に記載の測定システム(1)。
【請求項3】
前記圧電素子(2a、2b)の優先方向(V1、V2)が、前記ブレーキ装置(11)と前記ブレーキ要素(12)との中央の接触点における、前記ブレーキ要素(12)の前記移動方向(B)に対して接線方向に方向付けられている、請求項1又は2に記載の測定システム(1)。
【請求項4】
前記圧電素子(2a、2b)の前記優先方向(V1、V2)が、唯一の平面に位置しており、好ましくは平行に方向付けられている、少なくとも2つの圧電素子(2a、2b)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定システム(1)。
【請求項5】
前記信号処理装置(3)がさらに、前記圧電素子(2a、2b)それぞれの測定信号又は力測定の、それぞれ導出されるべき分力及び/又はモーメント成分に寄与する成分への分解、特に直交分解を用いて、前記制動トルクを決定するように設定されており、それぞれ導出されるべき分力及び/又はモーメント成分への前記圧電素子(2a、2b)それぞれの寄与、特に全ての寄与が考慮される、少なくとも3つの圧電素子(2a、2b)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定システム(1)。
【請求項6】
前記信号処理装置(3)がさらに、前記制動トルクを、専ら前記測定信号、及び、前記ブレーキ要素(12)の回転軸(D)に関する少なくとも1つの前記圧電素子(2a、2b)の位置に基づいて決定するように設定されており、特にブレーキパッドと前記ブレーキ要素(12)との間の摩擦係数は考慮されない、請求項1から5のいずれか一項に記載の測定システム(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の測定システム(1)、ブレーキ装置(11)、ブレーキをかけられるべき、可動のブレーキ要素(12)、及び、スラスト軸受(13)を有する、制動トルクを決定するための測定アセンブリ(10)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記圧電素子(2a、2b)が、前記ブレーキ装置(11)と前記スラスト軸受(13)との間に、好ましくはプリテンションを加えられて配置されている、請求項7に記載の測定アセンブリ(10)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記圧電素子(2a、2b)の端面(4)が、前記ブレーキ要素(12)の平面に対して少なくとも略垂直に配置されている、請求項7又は8に記載の測定アセンブリ(10)。
【請求項10】
ブレーキをかけた際に、固定されたブレーキ装置(11)と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素(12)、特にブレーキディスクと、の間において伝達される制動トルクを決定するための方法(100)であって、少なくとも1つの圧電素子(2a、2b)は、力が前記ブレーキ要素(12)の移動方向(B)において前記圧電素子(2a、2b)に作用する際、前記圧電素子(2a、2b)の圧電効果、特にせん断効果を利用して測定信号が生成されるように、前記ブレーキ要素(12)と、前記ブレーキ装置(11)を支持するスラスト軸受(13)との間における力の流れの内に配置されており、前記測定信号に基づいて、前記ブレーキ要素(12)の前記移動方向(B)に関して制動トルク(M)が決定される(101)方法(100)。
【請求項11】
以下の作業ステップ:
-所定の強度で前記ブレーキ装置(11)を作動させる作業ステップ(102)、及び、
-前記測定信号(S、S)又は前記制動トルク(M)に関する閾値が到達される作動の強度を決定する作業ステップ(103)、
を有している、請求項10に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記閾値が、前記測定信号(S、S)の強度が、前記ブレーキ要素(12)の回転速度
【数1】
に依存している場合、特に比例して依存している場合に、到達される、請求項11に記載の方法(100)。
【請求項13】
少なくとも2つの前記圧電素子(2a、2b)が、力の流れの内に配置されており、以下の作業ステップ:
-所定の強度で前記ブレーキ装置(11)を作動させる作業ステップ(104)、
-前記圧電素子(2a、2b)の前記測定信号(S、S)を、特に前記ブレーキ装置(11)が作動した状態において、互いに比較する作業ステップ(105)、及び、
-比較に基づいて、前記測定信号(S、S)の内の少なくとも1つの測定信号に関して、オフセット値を決定する作業ステップ(106)、
を有している、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記ブレーキ要素の移動方向において作用する前記制動トルク(M)が、前記ブレーキ装置の前記スラスト軸受によって供給される反力の測定を用いて、少なくとも1つの前記圧電素子を通じて決定される、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも3つの前記圧電素子(2a、2b)が、力の流れの内に配置されており、分力及びモーメント成分は、前記圧電素子(2a、2b)それぞれの前記測定信号に基づく方程式系を用いて決定され、前記制動トルク(M)は、前記モーメント成分から導出され、好ましくは、前記圧電素子(2a、2b)それぞれの前記測定信号、又は、前記測定信号から導出される力測定は、それぞれ決定されるべき分力及び/又はモーメント成分に寄与する成分に分解され、さらに好ましくは、それぞれ決定されるべき分力及び/又はモーメント成分への前記圧電素子それぞれの寄与、特に全ての寄与が考慮される、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定されたブレーキ装置と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素と、の間における制動トルクを決定するための測定システムに関するものであり、当該測定システムは、少なくとも1つの圧電素子と信号処理装置とを有している。
【背景技術】
【0002】
自動車工学の発展過程において、車両速度の低減が主な課題である車両ブレーキの機能は、アンチロックブレーキシステム、電子安定プログラム、又は、雨天時にブレーキパッドをディスクに当接させ、それによって乾燥させる、いわゆるブレーキディスクワイピング等の、多数の付加機能によって拡張された。同時に、車両ブレーキに対する要求も増大している。すなわち、試験走行では、10の直接連続するフルブレーキが、100km/hの速度から出発して実現されねばならず、快適なブレーキという要求が満たされるべきである。例えば、短時間の軋みは、一度も生じてはならない。これは、今日の車両所有者には、受容できないものととらえられる。同時に、ブレーキの摩耗を少なく抑え、機能のエラーを早期に認識すべきである。
【0003】
先行技術からは、例えば非特許文献1に開示されているように、ブレーキパッドによってブレーキディスクに加えられる力を測定することによって、ディスクブレーキにおいて力測定を行うことが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「ディスクブレーキにおけるブレーキプロセスの分析を行うための測定方法」、ATZ11/2008、第110巻、1030ページ以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、固定されたブレーキ装置と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素と、の制動トルクを決定することができるような、測定システム、対応する測定アセンブリ、及び、対応する方法について記載することにある。特に、本発明の課題は、制動トルクを決定するための、改善された測定システム、改善された測定アセンブリ、及び、改善された方法について記載することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、請求項1に記載の測定システムと、請求項7に記載の測定アセンブリと、請求項10に記載の方法と、によって解決される。有利な構成については、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明の第1の態様は、固定されたブレーキ装置と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素、特にブレーキディスクと、の間における制動トルクを決定するための測定システムに関する。好ましくは、測定システムは、圧電素子及び信号処理装置を有しており、圧電素子は、好ましくは、力がブレーキ要素の移動方向において圧電素子に作用する際、圧電素子の圧電効果、特にせん断効果を利用して測定信号が生成されるように、ブレーキ要素と、ブレーキ装置を支持するスラスト軸受と、の間における力の流れの内に配置可能である。さらに好ましくは、信号処理装置は、測定信号に基づいて、ブレーキ要素の移動方向に関して、制動トルクを決定するように構成されている。
【0008】
本発明の第2の態様は、制動トルクを決定するための測定アセンブリに関するものであり、当該測定アセンブリは、測定システム、ブレーキ装置、ブレーキをかけられるべき可動ブレーキ要素、及び、スラスト軸受を有している。
【0009】
本発明の第3の態様は、ブレーキをかけた際に、固定されたブレーキ装置と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素、特にブレーキディスクと、の間において伝達される制動トルクを決定するための方法に関するものであり、少なくとも1つの圧電素子は、力がブレーキ要素の移動方向において圧電素子に作用する際、圧電素子の圧電効果、特にせん断効果を利用して測定信号が生成されるように、ブレーキ要素と、ブレーキ装置を支持するスラスト軸受と、の間における力の流れの内に配置されている。好ましくは、測定信号に基づいて、ブレーキ要素の移動方向に関して制動トルクが決定される。
【0010】
本発明に係る圧電素子は、圧電効果に基づいて測定信号を生成する測定用素子である。
【0011】
本発明に係る信号処理装置は、好ましくは、測定信号から情報を抽出するための機器である。さらに好ましくは、信号処理装置は、データ処理装置を有している。
【0012】
本発明に係る制動トルクは、ブレーキ時の車両の車輪の回転運動に抵抗するモーメントである。
【0013】
本発明に係るブレーキ装置は、ブレーキ要素と、好ましくは機械的に協働可能である。さらに好ましくは、ブレーキ装置は、ブレーキ要素と、電磁力で協働可能である。
【0014】
本発明は、特に、固定されたブレーキ装置と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素と、の間に存在するモーメントを、ブレーキ装置、特にブレーキキャリパーが、スラスト軸受、特にブレーキキャリアで支持される際に用いられる力を通じて決定するというアプローチに基づいている。
【0015】
圧電素子を通じて、このような動的な反力が、高い感度で決定され得る。特に、余剰制動トルクとも呼ばれる残留制動トルクは、圧電素子を通じた動的な力測定に基づいて決定され得る。これによって、例えばブレーキ装置がブレーキ要素とすでに接触しているか、しているのならば、どの程度接触しているのか、についての情報が与えられる。さらに、ブレーキ要素上のブレーキ装置の摩擦点が決定され得る。このような方法で、本発明の教示によって、ブレーキシステムの機能エラーが確実に検出され、特に運転操作中の部分的にロックされたブレーキと、それに伴う運転操作中のより高いエネルギー消費と、に基づく車両の損傷が、回避される。
【0016】
この際、本発明によると、圧電素子を用いて、ブレーキ要素の移動方向における力が直接決定される。圧電素子のブレーキ要素の回転軸からの距離が知られている場合、単純な数学の計算によって、制動トルクを直接決定することも可能である。制動トルクを算出するためのさらなる仮定は必要ない。特に、結果を歪曲させる可能性のある摩擦係数及び摩擦半径は、制動トルク又はブレーキ要素の移動方向における力の決定に際して用いられない。
【0017】
測定システムの有利な構成において、力の流れは、摩擦接続によって、特に静摩擦を用いた力接続によって、圧電素子に導入可能である。このような方法で、圧電素子は、容易に、既存のブレーキシステムの構造に統合可能であり、例えば、ブレーキ装置がネジ等の固定手段を用いてスラスト軸受に固定されている場所で統合可能である。
【0018】
測定システムのさらなる有利な構成では、圧電素子の優先方向の調整が知られている。これは、測定信号の強度に基づいて、基礎を成す力を直接推測することができるという利点を有する。特に、優先方向の調整によって、力測定の際に、測定信号の最高強度が、いずれの方向において生じるかが知られている。
【0019】
さらなる有利な構成では、圧電素子の優先方向は、ブレーキ装置とブレーキ要素との中央の接触点における、ブレーキ要素の移動方向に対して接線方向にある。当該構成によって、ブレーキ要素の移動方向において力を測定する際、少なくとも1つの圧電素子の最高測定強度が利用される。
【0020】
さらなる有利な構成において、測定システムは、少なくとも2つの圧電素子を有しており、圧電素子の優先方向は、唯一の面に位置し、好ましくは平行に方向付けられている。これによって、特に高い測定精度が得られる。
【0021】
さらなる有利な構成において、測定システムは、少なくとも3つの圧電素子を有しており、信号処理装置はさらに、各圧電素子の測定信号又は力測定の、それぞれ導出されるべき分力及び/又はモーメント成分に寄与する成分への分解、特に直交分解を用いて、制動トルクを決定するように設定されており、それぞれ導出されるべき分力及び/又はモーメント成分への各圧電素子の寄与、特に全ての寄与が考慮される。当該手段によっても、制動トルクの特に正確な決定が実現する。特に、圧電素子の外側における力の分岐が削減され得るか、又は、防止され得る。
【0022】
測定システムのさらなる有利な構成では、信号処理装置はさらに、制動トルクを、専ら測定信号、及び、ブレーキ要素の回転軸に関する少なくとも1つの圧電素子の位置に基づいて決定するように設定されている。これによって、制動トルクが容易に、単純化された仮定を用いずに決定される。
【0023】
測定システムの態様に関して上述した利点及び特徴は、対応して、制動トルクを決定するための測定アセンブリ及び方法の態様にも適用され、逆もまた然りである。
【0024】
測定アセンブリの有利な構成では、スラスト軸受は、ブレーキ装置、特にいわゆるステータの支持装置である。
【0025】
測定アセンブリのさらなる有利な構成では、少なくとも1つの圧電素子は、ブレーキ装置と、スラスト軸受、好ましくはプリテンションが加えられたスラスト軸受と、の間に配置されている。ブレーキ装置とスラスト軸受との間の位置は、特に圧電素子の配置に極めて適している。特に、ブレーキ装置自体は、動かされる部材ではないので、当該位置には、圧電素子による確実な接続が形成され得る。
【0026】
測定アセンブリのさらなる有利な構成では、圧電素子は、ブレーキ要素の回転軸に関して、それぞれ同じ径方向間隔において配置されている。測定アセンブリのさらなる有利な構成では、少なくとも1つの圧電素子の端面は、ブレーキ要素の面に対して概ね垂直に配置されている。これによって、圧電素子の特に省スペースな配置、好ましくはブレーキ装置の2つの部材の間、例えばブレーキ装置のパッド支持板とバックプレートとの間での配置が実現する。
【0027】
方法の有利な構成では、当該方法は、以下の作業ステップを有している:
所定の強度でブレーキ装置を作動させる作業ステップ、及び、
測定信号又は制動トルクに関する閾値が到達される作動の強度を決定するステップ。
【0028】
この有利な構成によって、残留制動トルクの閾値が超過される作動強度に関する値が決定され得る。特に、このような測定に基づいて、ブレーキ装置又はブレーキシステムに関する作動オフセット値が決定され得る。特に、作動に関する最適値が決定可能であり、当該最適値においては、ブレーキ装置は、ブレーキ要素に未だブレーキ作用を及ぼしていないが、ブレーキ要素と協働する、例えばブレーキシュー等のブレーキ要素は、可能な限りブレーキ要素の近くに位置している。
【0029】
特に、動作時間、いわゆるフェーディングに依存するブレーキ作用の変化が、このような方法で認識され得る。このための根拠は、例えばディスクブレーキにおけるブレーキパッドの摩耗である。
【0030】
当該方法のさらなる有利な構成では、当該情報は、操作員が使用している間にわたって、ブレーキ作用を一定に保つために、ブレーキ装置の調整の基盤を成し得る。
【0031】
当該方法のさらなる有利な構成では、当該閾値は、測定信号の強度が、ブレーキ要素の回転速度に、特に比例して依存している場合に、到達される。要素の回転速度に依存することによって、測定信号の変化が、ブレーキ要素のブレーキ装置との協働に起因することが、明確に認識され得る。
【0032】
本発明に係る方法のさらなる有利な構成では、少なくとも2つの圧電素子が、力の流れの内に配置されており、当該方法は、以下の作業ステップを有している:
所定の強度でブレーキ装置を作動させる作業ステップ、
圧電素子の測定信号を、特にブレーキ装置が作動した状態において、互いに比較する作業ステップ、及び、
当該比較に基づいて、測定信号の内の少なくとも1つに関して、オフセット値を決定する作業ステップ。
【0033】
好ましくは、当該比較は、測定信号の、又は、測定信号から導出される力の値の加算又は減算によって行われる。
【0034】
オフセット値によって、特に、少なくとも2つの圧電素子が、例えばブレーキ装置の領域における熱膨張によって、互いに対して固定されているか否かを確認することができる。オフセット値の数値は、圧電素子が隣接する両方の部材の間における温度勾配に関する基準である。オフセット値の符号は、部材間における熱流の方向を示している。温度勾配は、好ましくは、いずれの膨張係数を、センサに隣接する両方の材料が有しているかにも依存している。
【0035】
当該方法のさらなる有利な構成では、ブレーキ要素の移動方向に対して接線方向に作用する制動トルクは、ブレーキ装置のスラスト軸受によって供給される反力の測定を用いて、少なくとも1つの圧電素子を通じて決定される。
【0036】
当該方法のさらなる有利な構成では、分力及びモーメント成分は、各圧電素子の測定信号に基づく方程式系を用いて決定される。この際、測定信号又は当該測定信号から導出される力は、ベクトル分解、特に直交分解に基づいて、異なる成分に分割される。
【0037】
この際、好ましくは、各圧電素子の測定信号は、それぞれ導出されるべき分力及び/又はモーメント成分に寄与する成分に分解される。
【0038】
本発明に係る方法のさらなる有利な構成では、ブレーキ装置に存在するモーメントが、導出された分力及び/又はモーメント成分から決定される。
【0039】
本発明に係る方法のさらなる有利な構成では、ブレーキ装置に存在する制動トルクが、統合された成分から導出される。
【0040】
当該方法のさらなる有利な構成では、各圧電素子に関するブレーキ要素の回転軸に対する距離が知られており、ブレーキ装置に存在する制動トルクの算出のために、当該距離が用いられる。
【0041】
当該方法のさらなる有利な構成では、圧電素子における測定を用いて、制動トルクに対して代替的又は付加的に、好ましくは圧電素子によって形成されるブレーキ装置の各支点の間における力の配分が決定され得る。圧電素子が同じ大きさの力を受容するか否かは、ブレーキ装置の設計に依存する。例えば、1つの圧電素子は、略全体の制動力を受容することができるかもしれないが、他方では、第2の圧電素子は、ブレーキ要素の回転方向に対して垂直な位置のみを固定している。動作中のキャリブレーションによって、好ましくは、ブレーキ作用、特に制動トルクにおけるセンサの割合が決定され得る。
【0042】
好ましくは、各圧電素子の測定信号は、さらに、圧電素子間の感度差に基づいて修正され、特に一定の係数と乗じられる。好ましくは修正の際に考慮されるさらなる一定の係数は、測定システム又は測定アセンブリの形状である。
【0043】
当該方法のさらなる有利な構成では、ブレーキ時の車輪と地面との接触は、ブレーキ作動の強度、特にブレーキキャリパーにおけるクランプ力が、特定の制動トルクで相殺されることによって決定される。ブレーキプロセスにおける車輪の上昇、及び、再度の着地によって、制動トルクにおいて大きな変動がもたらされる。ブレーキ作動が一定である場合、車輪の接触が変化していると推測することができる。この際、車輪の接触は、道路との摩擦接触に依存する。すなわち、例えばタイヤが静摩擦から滑り摩擦に移行する場合である。車両の組み立てにおける、すなわち全てのホイールブレーキにおける制動トルクの比較は、車両力学制御に用いられ得る。
【0044】
当該方法のさらなる有利な構成では、制動トルクに対して代替的又は付加的に、車輪軸受の垂直加速度が決定され得る。好ましくは、このために、ブレーキ装置の質量が用いられる。さらに好ましくは、ブレーキ装置が作動していない状態において、力測定が行われる。
【0045】
さらなる特徴及び利点は、以下の図面に関する説明から明らかになる。図面は、少なくとも部分的に概略的に、以下を示している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】測定システムが組み込まれた測定アセンブリの実施例を示す図である。
図2】測定システムの実施例を示す図である。
図3】制動トルクを決定するための方法の実施例を示す図である。
図4】角速度及び制動トルクの時間的推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、測定アセンブリ10の実施例を示しており、測定アセンブリ10では、固定されたブレーキ装置11と、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素12と、の間における制動トルクが決定され得る。
【0048】
この際、当該実施例は、ディスクブレーキ10であり、ブレーキをかけられるべき、回転運動可能なブレーキ要素12は、ブレーキディスクであり、ブレーキ装置11は、キャリパーユニットを備えたブレーキキャリパーを有しており、ブレーキキャリパーは、ブレーキ時に、ブレーキディスク12と、ブレーキパッド(図示略)を介して、摩擦接続される。
【0049】
ブレーキキャリパー11は、例えば車両の車輪軸受に固く接続されたスラスト軸受13に支持される。好ましくは車輪軸受と接続された、ホイールブレーキの固定された部分は、一般的にステータと呼ばれる。
【0050】
当該測定アセンブリにおいて、測定システム1の圧電素子2a、2bは、好ましくはブレーキキャリパー11とスラスト軸受13との間に配置されている。好ましくは、圧電素子2a、2bは、スラスト軸受13及びブレーキキャリパー11と、力接続的、特に摩擦接続的に接続されている。ブレーキキャリパー11とスラスト軸受13との間に、クランプ力を生じさせるために、好ましくは、1つ又は複数のネジを用いたネジ接続が設けられている(図示略)。
【0051】
ブレーキプロセスの際、力の流れが、ブレーキディスク12を始点として、ブレーキキャリパー11のブレーキパッド、ブレーキキャリパー11自体、圧電素子2a、2bを通じて、スラスト軸受13に伝達される。スラスト軸受13は、この力の流れによって伝達される制動力Fに関する反力を供給する。
【0052】
制動力Fは、ブレーキ要素の移動方向Bにおいて作用する。従って、制動力Fは、ブレーキディスク12の回転軸Dに関して、制動トルクMを生じさせる。
【0053】
付属する制動トルクMは、以下の方程式から、外積を用いて求められる:
【0054】
【数1】
【0055】
[数2]は、回転軸から、ブレーキパッドのブレーキディスク12との主要接触点に向かう位置ベクトルである。当該制動トルク[数3]の作用方向は、ブレーキディスク12が回転する、又は、ブレーキディスク12の移動方向Bが位置する回転面に対して垂直である。ブレーキディスク12からブレーキキャリパー11に及ぼされる制動力[数4]は、ブレーキディスク12とブレーキキャリパー11との間の接触面全体を通じて統合された力の作用に相当する。
【0056】
【数2】
【0057】
【数3】
【0058】
【数4】
【0059】
制動力F又は制動トルクMに対応して、ブレーキプロセスの際、圧電素子2a、2bには、それぞれ力F又はFが作用する。それぞれの力F又はFは、制動力Fの方向に向けられている。
【0060】
図示された実施例では、制動力Fは、圧電素子2a、2bの端面に対して平行に方向付けられている。これに対応して、それぞれ配分された力F及びFは、各圧電素子2a、2bの端面に対して平行に方向付けられている。
【0061】
従って、図示された実施例において有利には、力の測定に圧電性のせん断効果を用いる圧電素子2a、2bが用いられる。優先方向V、Vは、好ましくは、図1に示された実施例の場合のように、予期される配分された力F、Fに対して平行に方向付けられている。当該方向付けによって、測定信号の最大収率が得られる。
【0062】
代替的に、優先方向V、Vは、圧電素子2a、2bにそれぞれ作用する力F、Fとは異なるように方向付けられていてもよい。この場合、存在する力F、Fは、配分された測定信号のみを生成する。この場合、必要に応じて、測定アセンブリ10を、圧電素子2a、2bの優先方向V、Vの方向付けと合わせる必要がある。
【0063】
さらに代替的に、ブレーキキャリパー11とスラスト軸受13とが、力の流れが、形状接続的に、圧電素子2a、2bに伝達されるように構成されていることが可能である。この場合、圧電素子2a、2bは、好ましくは圧電性の横効果又は圧電性の縦効果を利用する。
【0064】
図1の実施例のさらなる代替的な構成では、圧電素子2a、2bの端面は、図1に示されているようにブレーキディスク12の回転面に対して垂直にではなく、ブレーキディスク12の回転面に対して異なる角度において、例えば平行に配置されていてよい。これは例えば、測定アセンブリ内の、スラスト軸受13がブレーキキャリパー11に関して、ブレーキディスク12のブレーキ要素の回転軸Dに対して径方向にではなく、回転軸Dに対して軸方向に配置されている形状において、有意義であり得る。代替的な構成において、圧電素子2a、2bは、ブレーキキャリパー11とスラスト軸受13との間ではなく、ブレーキキャリパー11の要素の間、例えばブレーキパッドとブレーキキャリパー11のアクチュエータとの間に配置されていてもよい。
【0065】
圧電素子2a、2bでの力測定、及び、各圧電素子2a、2bの、図1のブレーキディスク12の回転軸Dに関してr及びrによって決定される位置における力測定に基づいて、モーメントMは、以下のように算出され得る:
【0066】
【数5】
【0067】
制動トルクMを決定するための別の方法も、用いることが可能である。例えば、各圧電素子2a、2bの測定信号、又は、測定信号から導出される力、つまり測定される力F、…、Fの分解、特に直交分解である。
【0068】
このような分解は、例えば、それぞれ2つのせん断圧電素子が、各固定点において、ブレーキ方向に対して垂直な力も測定され得るように配置されている場合、重要であり得る。このような垂直方向の力は、例えばブレーキ装置が取り付けられた車輪軸受の捩れによって生じ得る。
【0069】
この際、決定されるべきパラメータM、F、Fは、方程式系の解であり、各測定信号に関して、以下の方程式が適用される:
【0070】
【数6】
【0071】
この際、S1、S2、…、Si、…SNは、各圧電素子2a、2b、…、2Nの測定信号である。各係数は、複数の因子に依存しており、例えば、圧電素子2a、2b、…、2Nのそれぞれの位置、基準系における各優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNの方向付け、各圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの感度、及び、固定手段による力の分岐を通じた、あり得る信号損失に依存している。
【0072】
このような制動トルクM、第1のせん断力成分Fx及び第2のせん断力成分Fyに関する方程式系を解くためには、少なくとも3つの圧電素子2a、2b、2cの測定信号が必要であり、その優先方向V、V、Vは、唯一の平面に位置するように方向付けられている。さらに、優先方向V、V、Vの内、少なくとも2つは、平行にも逆平行にも方向付けられていてはならない。
【0073】
N=3である、記載された一般的な場合、すなわち3つの圧電素子2a、2b、2cを有する場合に関しては、上述の方程式系の解は明確である。測定システム1にさらなる圧電素子が付加される場合、方程式系は、3つの決定されるべきパラメータM、Fx、Fyで過剰決定されているが、測定精度はさらに改善し得る。
【0074】
N=4の場合、4つの異なる方程式系F(S1、S2、S3)、F(S1、S2、S4)、F(S1、S3、S4)、F(S2、S3、S4)が作成され得る。決定されるべき各パラメータM、Fx、Fyに関して決定される値は、加算され、平均化され得る。すなわち、4つの圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの場合、4で割られる。同じように、最小化の課題を用いて解かれる、過剰決定された方程式系F(S1、S2、…、SN)が作成され得る。
【0075】
方程式系に関する一般的な解が発見されている場合、決定されるべきパラメータFx、Fy、Mの算出は、行列の乗算に縮小され得る。当該行列は、3つの行と、利用できる測定信号S1、S2、S3、…、SNと同じ数の列とを有している。行列要素又は係数は、決定されるべきパラメータFx、Fy、Mに対する各センサのそれぞれの寄与を表している。
【0076】
【数7】
【0077】
測定信号S1、S2、Si、…、SNを、それぞれ決定されるべきパラメータM、Fx、Fyに寄与する成分に分解するためには、圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの位置と、優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNの方向付けと、が知られていることが必要である。
【0078】
形状パラメータは、測定システム1の設計図から、又は、圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの優先方向の知識から決定され得る。
【0079】
しかしながら、圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNの方向付けは、キャリブレーション測定を用いた優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNの測量によっても決定され得る。好ましくは、このために、測定システム1は、2つの平らなプレートの間で固定される。次のステップにおいて、既知の方向を有する外部のせん断力がもたらされる。導入されるせん断力の値及び方向に関係する各測定信号S1、S2、…、Si、…、SNの大きさから、圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNによって形成される平面における、圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNが決定され得る。
【0080】
同じように、各圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの優先方向V1、V2、…、Vi、…、VNが知られている場合、所定の制動トルクMを加えること、及び、各測定信号S1、S2、…、Si、…、SNを測定することによって、圧電素子2a、2b、…、2i、…、2Nの回転軸Dからの距離r、r、…、r、…、rが決定され得る。
【0081】
図2は、図1に係る測定アセンブリにおいて用いられ得る測定システム1の実施例を示している。基本的に、このような測定システムは、少なくとも1つの圧電素子、図示された実施例では2つの圧電素子2a、2bを有しており、当該圧電素子は、信号S、Sが伝達され得るように、信号処理装置3と信号を伝達すべく接続されている。この際、信号処理装置3は、測定アセンブリ10の領域に配置されていてよいが、車両の中央ブレーキ制御装置内に配置されていてもよい。
【0082】
信号処理装置3は、特に、少なくとも1つの測定信号S、S、…、S、…、Sに基づいて、ブレーキ要素12の移動方向Bに関して、制動トルクMを決定するように設定されている。
【0083】
特に、信号処理装置3は、図1に関して記載された、制動トルクMを決定するための算術演算を実施ように設定されている。好ましくは、信号処理装置3は、制動トルクMを決定するための各作業ステップを実施するための手段を有している。
【0084】
図3は、制動トルクを決定するための方法100を示すブロック図である。
【0085】
この際、当該方法の各作業ステップは、好ましくはコンピュータを実装して、信号処理装置3によって実施される。
【0086】
この際、制動トルクMを決定するために、好ましくは図2に示したような測定システム1、及び/又は、図1に示したような測定アセンブリ10が用いられる。
【0087】
本発明に係る方法100では、圧電素子2a、2bの測定信号S、…、S、…、Sに基づいて、ブレーキ要素12の移動方向Bに関して、制動トルクMが決定される。
【0088】
好ましくは、この際、ブレーキ装置は、所定の強度で作動し102、測定信号S、…、S、…、S又は制動トルクMに関する閾値が到達される作動の強度が決定され得る103。この特定の強度又はこの強度の値は、ブレーキキャリパー11又はそのブレーキパッドが、ブレーキディスク12と摩擦接続的に接触する摩擦点を表している。従って、強度を決定することによって、ブレーキパッドが可能な限りブレーキディスク12に近いが、未だ摩擦損失は生じていない、ブレーキキャリパー11の作動の位置が、決定され得る。
【0089】
特に、摩擦点は、摩擦点において、測定信号S、…、S、…、Sの強度が、ブレーキ要素の回転速度及び摩擦力に依存し、特に比例するように決定される。残留制動トルクは、方法100で、特に、ブレーキプロセスにおいて、又は、ブレーキプロセスの後に、ブレーキディスクの回転数又は走行速度と制動トルクとの調整を通じて決定され得る。ブレーキディスクの回転数との相関関係が存在する場合、ブレーキシューは、(依然として)ブレーキディスクに当接している。当該相関関係は、摩擦係数及びブレーキシューがブレーキディスクに押し付けられる際のクランプ力の積と関連付けられる。
【0090】
このような従属関係は、図4に示されている。図4では、ブレーキディスク12の回転速度[数8]は、時間に依存して実線で示されており、対応して決定される制動トルクMの値は、時間に依存して破線で示されている。グラフにおいて明確なのは、制動トルクMが回転速度[数9]に依存しており、これによって、ブレーキシステムの摩擦点がすでに越えられており、キャリパーユニットとブレーキディスク12との間に摩擦接続が生じている。
【0091】
【数8】
【0092】
【数9】
【0093】
さらに好ましくは、方法100は、所定の強度で、ブレーキキャリパー11を作動させる作業ステップ104を有している。圧電素子2a、2bの測定信号S、…、S、…、Sが、ブレーキ装置が作動した状態において互いに比較され105、さらなる作業ステップにおいて、測定信号S、…、S、…、Sの内の少なくとも1つに関するオフセット値が、比較に基づいて決定される106。
【0094】
各測定信号S、…、S、…、Sの間の差異は、圧電素子2a、2bが、圧電素子が支持されている要素によってプリテンションを加えられていることの指標であり得る。例えば、図1の実施例では、ブレーキキャリパー11は、負荷を加えられていない状態において、両方の圧電素子2a、2bをスラスト軸受13に対して、互いに離れるように押圧することが可能であるかも知れないし、逆もまたしかりである。これは、例えばブレーキ装置11又はスラスト軸受13への熱的影響に起因している可能性がある。
【0095】
記載された実施例は、単に、保護範囲、応用及び構造を何ら制限すべきではない例である。むしろ、当業者には、上述の記載によって、少なくとも1つの実施例の実施に関する手引きが与えられ、特に記載された構成要素の機能及び配置に関する様々な変更は、請求項及び請求項と等価な特徴の組み合わせから明らかになる保護範囲を離れることなく行われ得る。特に、各実施例を互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 測定システム
2a、2b、…、2i、…、2N 圧電素子
3 信号処理装置
4 端面
10 測定アセンブリ、ディスクブレーキ
11 ブレーキ装置、ブレーキキャリパー
12 ブレーキ要素、ブレーキディスク
13 スラスト軸受
100 制動トルクを決定するための方法
101 ブレーキ要素の移動方向に関して制動トルクを決定する作業ステップ
102 ブレーキ装置を所定の強度で作動させる作業ステップ
103 測定信号又は制動トルクに関する閾値が到達される作動の強度を決定する作業ステップ
104 ブレーキキャリパー11を作動させる作業ステップ
105 圧電素子の測定信号を、ブレーキ装置が作動した状態において比較する作業ステップ
106 測定信号の内の少なくとも1つに関するオフセット値を、比較に基づいて決定する作業ステップ
B ブレーキ要素の移動方向、ブレーキディスク12の移動方向
D 回転軸
制動力
Fx 第1のせん断力成分
Fy 第2のせん断力成分
、…、F
制動トルク
、r、…、r、…、r 回転軸Dからの距離
S1、S2、…Si、…SN 測定信号
V1、V2、…、V、…、VN 優先方向
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】