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特表2022-542039性能が改善された活性有機層を有する光電子デバイス及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】性能が改善された活性有機層を有する光電子デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503880
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2020070118
(87)【国際公開番号】W WO2021013683
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】1908250
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】フラメイン,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】サラッコ,エメリン
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ギルマード,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5F849
【Fターム(参考)】
5F849AA03
5F849AB11
5F849BA28
5F849BB03
5F849CB14
5F849FA04
5F849FA05
5F849GA03
5F849XA02
5F849XA13
(57)【要約】
本開示は、光電子デバイス(35)の製造方法に関する。製造方法は、下記の連続したステップ:支持体上に第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)を形成するステップと、第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層を堆積するステップと、活性有機層と接するように活性有機層上に第1の界面層を堆積するステップと、第1の界面層に第1の開口部を形成し、第1の開口部に一致するように活性有機層に第2の開口部を形成して、第2の導電性パッドを露出させるステップと、第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、第1の界面層及び第2の導電性パッドと接する第2の界面層(62)を形成するステップとを含む。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子デバイス(35)を製造する方法であって、以下の連続したステップ:
a)支持体(40)上に、第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)を形成するステップと、
b)前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層(47)を堆積するステップと、
c)前記活性有機層と接する第1の界面層(48)を前記活性有機層上に堆積するステップと、
d)前記第1の界面層(48)に第1の開口部(56)を形成し、前記第1の開口部に一致するように前記活性有機層(47)に第2の開口部(58)を形成して、前記第2の導電性パッドを露出させるステップと、
e)前記第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、前記第1の界面層及び前記第2の導電性パッドと接する第2の界面層(62)を形成するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の開口部(56)及び/又は第2の開口部(58)の形成は、反応性イオンエッチングによって達成される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップd)は、前記第1の界面層(48)に対してマスク(50)を適用することを備え、前記マスクは、第3の開口部(54)を備え、前記第1の開口部(56)は、前記第3の開口部に一致するようにエッチングされる
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップd)は、前記第1の界面層(48)上にレジスト層(52)を堆積することと、前記レジスト層に第3の開口部(54)を形成することとを備え、前記第1の開口部(56)は、前記第3の開口部に一致するようにエッチングされる
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、ステップa)及びステップb)の間に、第2の導電性パッド(45)に面するレジストブロック(64)を形成することを備え、前記ブロックは頂部及び側面を備え、ステップc)の後に、前記活性有機層(47)及び前記第1の界面層(48)を備える積層体が、特に前記ブロックの頂部を覆い、前記ブロックの側面を完全には覆わず、前記方法は、ステップd)で前記ブロックを除去することを備える
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
支持体(40)と、
前記支持体上に設けられた第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)と、
前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層(47)と、
前記活性有機層を覆い、前記活性有機層と接する第1の界面層(48)と、
前記第1の界面層(48)に設けられた第1の開口部(56)、及び前記第1の開口部に一致するように前記活性有機層(47)に設けられた第2の開口部(58)と、
前記第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、前記第1の界面層及び前記第2の導電性パッドと接する第2の界面層(62)と
を備える光電子デバイス(35)。
【請求項7】
前記第1の界面層(48)及び/又は前記第2の界面層(62)は、
金属の酸化物と、
ホスト/分子ドーパント系と、
導電性ポリマ又はドープされた半導体ポリマと、
炭酸塩と、
高分子電解質と、
これらの材料の2つ以上の混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える
請求項6に記載の光電子デバイス。
【請求項8】
前記第1の界面層(48)と前記第2の界面層(62)とは、異なる材料で製造されている
請求項6又は7に記載の光電子デバイス。
【請求項9】
前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)は、
導電性酸化物と、
金属又は金属合金と、
導電性ポリマと、
炭素、銀、及び/又は銅のナノワイヤと、
グラフェンと、
これらの材料の少なくとも2つの混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える
請求項6から8のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項10】
前記活性有機層(47)は、P型半導体ポリマとN型半導体材料とを備え、前記P型半導体ポリマは、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2’,1’,3’-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、又はポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)であり、前記N型半導体材料は、フラーレン、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛又は量子ドットを形成可能なナノ結晶である
請求項6から9のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項11】
電磁放射線を放出又は捕捉することが可能であり、前記活性有機層(47)は、前記光電子デバイスの層であり、前記電磁放射線の大部分が該層で前記光電子デバイスによって捕捉され、又は、前記電磁放射線の大部分が該層から前記光電子デバイスによって放出される
請求項6から9のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、有機フォトダイオードを有する光センサ又は有機発光ダイオードを有する表示画素を備える光電子デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電子デバイスの製造は、一般的に、少なくとも部分的に重なり合った素子を連続的に形成することを備え、これらの素子の少なくとも1つは有機材料で製造される。有機素子の製造方法は、有機層を堆積することと、有機層の一部をエッチングして有機素子を区切ることとを備える。
【0003】
有機光電子デバイスは、一般的に、活性有機層を備え、活性有機層は、光電子デバイスの領域であり、対象の放射線の大部分が活性有機層で光電子デバイスによって捕捉され、又は対象の放射線の大部分が活性有機層から光電子デバイスによって放出される。
【0004】
欠点は、光電子デバイスの製造方法のステップ、特に活性層をエッチングするステップにより、活性層の劣化、ひいては光電子デバイスの性能の低下を引き起こす可能性があることである。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、前述した光電子デバイスの欠点のすべて又は一部を克服する。
【0006】
一実施形態の目的は、光電子デバイスの製造中における活性層の劣化を防ぐことである。
【0007】
一実施形態の目的は、性能が改善された光電子デバイスを製造することである。
【0008】
一実施形態では、光電子デバイスの製造方法を提供する。製造方法は、下記の連続したステップ:
a)支持体上に、第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを形成するステップと、
b)前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層を堆積するステップと、
c)前記活性有機層と接する第1の界面層を前記活性有機層上に堆積するステップと、
d)前記第1の界面層に第1の開口部を形成し、前記第1の開口部に一致するように前記活性有機層に第2の開口部を形成して、前記第2の導電性パッドを露出させるステップと、
e)前記第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、前記第1の界面層及び前記第2の導電性パッドと接する第2の界面層を形成するステップと
を備える。
【0009】
一実施形態によれば、前記第1の開口部及び/又は第2の開口部の形成は、反応性イオンエッチングによって達成される。
【0010】
一実施形態によれば、ステップd)は、前記第1の界面層に対してマスクを適用することを備え、前記マスクは、第3の開口部を備え、前記第1の開口部は、前記第3の開口部に一致するようにエッチングされる。
【0011】
一実施形態によれば、ステップd)は、前記第1の界面層上にレジスト層を堆積することと、前記レジスト層に第3の開口部を形成することとを備え、前記第1の開口部は、前記第3の開口部に一致するようにエッチングされる。
【0012】
一実施形態によれば、前記方法は、ステップa)及びステップb)の間に、第2の導電性パッドに面するレジストブロックを形成することを備え、前記ブロックは頂部及び側面を備え、ステップc)の後に、前記活性有機層及び前記第1の界面層を備える積層体が、特に前記ブロックの頂部を覆い、前記ブロックの側面を完全には覆わず、前記方法は、ステップd)で前記ブロックを除去することを備える。
【0013】
一実施形態では、また、光電子デバイスを提供する。光電子デバイスは、
支持体と、
前記支持体上に設けられた第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドと、
前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層と、
前記活性有機層を覆い、前記活性有機層と接する第1の界面層と、
前記第1の界面層に設けられた第1の開口部、及び前記第1の開口部に一致するように前記活性有機層に設けられた第2の開口部と、
前記第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、前記第1の界面層及び前記第2の導電性パッドと接する第2の界面層と
を備える。
【0014】
一実施形態によれば、前記第1の界面層及び/又は前記第2の界面層は、
金属の酸化物と、
ホスト/分子ドーパント系と、
導電性ポリマ又はドープされた半導体ポリマと、
炭酸塩と、
高分子電解質と、
これらの材料の2つ以上の混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える。
【0015】
一実施形態によれば、前記第1の界面層と前記第2の界面層とは、異なる材料で製造されている。
【0016】
一実施形態によれば、前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドは、
導電性酸化物と、
金属又は金属合金と、
導電性ポリマと、
炭素、銀、及び/又は銅のナノワイヤと、
グラフェンと、
これらの材料の少なくとも2つの混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える。
【0017】
一実施形態によれば、前記活性有機層は、P型半導体ポリマとN型半導体材料とを備え、前記P型半導体ポリマは、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2’,1’,3’-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、又はポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)であり、前記N型半導体材料は、フラーレン、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛又は量子ドットを形成可能なナノ結晶である。
【0018】
一実施形態によれば、前記デバイスは、電磁放射線を放出又は捕捉することが可能であり、前記活性有機層は、前記光電子デバイスの層であり、前記電磁放射線の大部分が該層で前記光電子デバイスによって捕捉され、又は、前記電磁放射線の大部分が該層から前記光電子デバイスによって放出される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
図1】活性有機層を備える光電子デバイスの製造方法の一例のステップで得られた構造を示す部分概略断面図である。
図2】方法の他のステップを示す図である。
図3】方法の他のステップを示す図である。
図4】方法の他のステップを示す図である。
図5】光電子デバイスによって取得された、光電子デバイスの活性層の第1の欠陥を示す画像である。
図6】光電子デバイスによって取得された、光電子デバイスの活性層の第2の欠陥を示す画像である。
図7】活性有機層を備える光電子デバイスの製造方法の一実施形態のステップで得られた構造を示す部分概略断面図である。
図8】方法の他のステップを示す図である。
図9】方法の他のステップを示す図である。
図10】方法の他のステップを示す図である。
図11】方法の他のステップを示す図である。
図12】活性有機層を備える光電子デバイスの製造方法の他の実施形態のステップで得られた構造を示す部分概略断面図である。
図13】方法の他のステップを示す図である。
図14】方法の他のステップを示す図である。
図15】方法の他のステップを示す図である。
図16】方法の他のステップを示す図である。
図17】有機フォトダイオードの実施形態の部分概略上面図である。
図18】活性有機層を備える光電子デバイスの製造方法の他の実施形態のステップで得られた構造を示す部分概略断面図である。
図19】方法の他のステップを示す図である。
図20】方法の他のステップを示す図である。
図21】方法の他のステップを示す図である。
図22】方法の他のステップを示す図である。
図23】方法の他のステップを示す図である。
図24】方法の他のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態で共通の構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有する場合があり、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有する場合がある。明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用なステップ及び要素のみが図示され、詳細に記載されている。特に、フォトダイオード及び発光ダイオードを制御するための回路は、当業者によく知られているので、詳細な説明は省略する。
【0021】
さらに、ここでは、「絶縁性」及び「導電性」という用語は、それぞれ「電気絶縁性」及び「電気伝導性」を意味するものと考えられる。さらに、別段の定めがない限り、「と接する」は「と機械的に接する」を意味する。さらに、「対象の放射線」は、光電子デバイスによって捕捉又は放出されるべき放射線を指す。一例として、対象の放射線は、可視スペクトル及び近赤外、即ち、400nmから1,700nm、特に、可視スペクトルについて400nmから700nm、近赤外については700nmから1,700nmの範囲の波長を備えてもよい。層の放射線に対する透過率は、その層から出た放射線の強度の、その層に入った放射線の強度に対する比に対応し、入った放射線はその層に対して垂直である。以下の説明では、層又は膜を通る放射線の透過率が10%未満であるとき、その層又は膜は放射線を通さないとする。以下の説明では、層又は膜を通る放射線の透過率が10%を超えるとき、その層又は膜は放射線を通すとする。
【0022】
以下の説明では、「前」、「後ろ」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、もしくは「上方」、「下方」、「上」、「下」などの相対位置を修飾する用語、又は「水平」、「垂直」などの方向を修飾する用語を参照する場合、図面の向き、又は通常の使用位置にある光電子デバイスを参照する。「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、特に指定されていない場合、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0023】
図1から図4は、光電センサを備える光電子デバイス5の製造方法の連続したステップで得られた構造の部分概略断面図である。
【0024】
図1には、上面12を備える支持体10を提供するステップと、支持体10の面12上に、第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド14、15を形成するステップと、各導電性パッド14、15上に界面層16を形成するステップと、面12全体にわたって、特に界面層16を覆うように、活性有機層18を堆積するステップとを経て得られた構造が示されている。
【0025】
図2には、活性層18上にエッチングマスク20を形成した後に得られた構造が示されている。一例によれば、エッチングマスク20は、活性層18に対して適用される剛性の機械部品である。他の例によれば、エッチングマスク20は、活性層18上に感光性レジスト層22を堆積し、フォトリソグラフィ技術によって感光性層22に開口部24を形成して第2のパッド15のレベルでの有機層18を露出させることにより得られる。他の例によれば、エッチングマスク20は、例えば、インクジェット、ヘリオグラフィ、シルクスクリーン、フレキソグラフィ、又はナノインプリントによって、活性層18上の所望の位置に直接に樹脂ブロックを堆積することにより得られる。この場合には、フォトリソグラフィのステップはない。
【0026】
図3には、活性層18に開口部26をエッチングした後、エッチングマスク20を除去した後に得られた構造が示されている。開口部26は、開口部24に一致するように配置され、第2のパッド15を露出させる。図3に示すように、開口部26は、それぞれが光電子部品に関連する2つの活性領域28を区切り、各活性領域28は1つの第1のパッド14を覆っている。
【0027】
図4には、各光電子部品について、活性領域28及び第2のパッド15を覆う界面層30を形成した後に得られた構造が示されている。このようにして、2つの光電子部品PHが得られる。一例によれば、界面層30を形成する材料の膜は、図3に示された構造全体にわたって堆積されてもよく、界面層30の区切りはエッチングマスクを実施してエッチングすることにより得られてもよく、エッチングマスクは、膜全体にわたって堆積されたレジスト層上にフォトリソグラフィのステップによって形成されてもよく、又は、例えば、インクジェット印刷、ヘリオグラフィ、シルクスクリーン、フレキソグラフィ、もしくはナノインプリントによって、膜上の所望の位置に直接に樹脂ブロックを堆積することにより得られてもよい。他の例によれば、界面層30は、例えば、インクジェット印刷、ヘリオグラフィ、シルクスクリーン、フレキソグラフィ、又はナノインプリントによって、所望の位置に直接に堆積されてもよい。
【0028】
各光電子部品PHの活性層28の性能は、界面層30と接する活性層28の表面状態に特に依存する。一般的に、界面層30と接する活性層28の表面は、できるだけ少ない欠陥を有することが望ましく、欠陥は、表面の凹凸、特に引っかき傷、又は活性領域28と界面層30との間に介在する不要な堆積物(粒子、汚染など)に対応してもよい。欠点は、前述した製造方法のステップにより、欠陥が現れる活性領域28を得る可能性があることである。
【0029】
エッチングマスク20が、開口部26を形成するステップ中に活性層18に対して適用される剛性の機械部品である場合、エッチングマスク20と活性層18とが(特にエッチングマスク20の配置中に)接することは、活性層18の表面欠陥の形成を引き起こす可能性がある。そのような欠陥は、特に、活性層18の厚さ全体に延在可能な引っかき傷に対応してもよい。このような欠陥により、活性層18の性能が局所的に低下する(例えば、リーク電流が高くなり、又は感度が低くなる)。
【0030】
図5には、光電子デバイス5が指紋の取得に使用される画像センサに対応し、エッチングマスク20が活性層18に対して適用される剛性の機械部品である場合に得られた画像が示されている。得られた画像上には、飽和した画像画素32が観察でき、画像画素32は、図5の白色画像画素に対応し、エッチングマスク20の適用による活性層18の表面欠陥、特に界面層20と画像画素を形成するフォトダイオードの導電性パッド14との間の局所的な短絡により生じる。
【0031】
エッチングマスク20が樹脂層22で形成されている場合、エッチングマスク20を除去するステップは、活性層18に開口部26を形成した後に、例えば、エッチングマスク20を備える構造体を化学浴に浸漬することによって実施されるべきである。しかし、エッチングマスク20の除去は、活性層18におけるエッチングを引き起こすべきではなく、それは化学浴の組成に関連する制約を導入する可能性がある。そのため、樹脂製のエッチングマスクの完全除去を確保することが難しくなる可能性があり、活性層18上の不要な残留物の存在を引き起こす可能性がある。
【0032】
図6には、光電子デバイス5が画像センサに対応し、エッチングマスク20が樹脂製である場合に得られた画像が示されている。得られた画像は、活性層18上の残留物の存在を反映した痕跡34を備える。
【0033】
図7から図11は、光電子デバイス35の製造方法の一実施形態の連続したステップで得られた構造の部分概略断面図である。
【0034】
図7には、下記のステップを経て得られた構造が示されている。
-上面42を備える支持体40を提供するステップ;
-各光電子部品について、支持体40の面42上に第1の導電性パッド又は第1の導電性トラック44及び第2の導電性パッド又は第2の導電性トラック45を形成するステップ(図7において第1のパッド44及び2つの第2のパッド45が2つずつ示されており、各光電子部品が1つの第1のパッド44及び1つの第2のパッド45に関連付けられている);
-各導電性パッド44,45上に界面層46を形成するステップ;
-表面42全体にわたって、特に導電性パッド44、45を覆う活性有機層47を堆積するステップ;及び
-活性層47と接するように、活性層47全体にわたって界面層48を堆積するステップ。
【0035】
層46、47、48はそれぞれ液相成長で堆積してもよい。特に、スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソグラフィ、シルクスクリーン、又はディップコーティングなどの方法であってもよい(特に層46の場合)。変形例として、層47及び48は、カソードスパッタリング又は蒸着によって堆積されてもよい。実施された堆積方法によれば、堆積された材料を乾燥させるステップを設けてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、支持体40は、例えば単結晶シリコンで製造された半導体基板と、半導体基板の内部及び頂部に形成されたMOSトランジスタとも呼ばれる絶縁ゲート電界効果トランジスタ(例えばNチャネル及びPチャネルMOSトランジスタ)と、基板及びトランジスタを覆う絶縁層の積層体とを備える集積回路に対応してもよく、積層体にはトランジスタ及びパッドを電気的に接続するための導電性トラック及び導電性ビアが形成されている。集積回路40は、100μmから775μm、好ましくは200μmから400μmの範囲の厚さを有してもよい。他の実施形態によれば、支持体40は、誘電体材料で製造されてもよい。支持体40は、例えば、特にガラス製の剛性支持体、又は、例えば、ポリマ製もしくは金属材料製の可撓性支持体である。ポリマの例としては、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。そして、支持体40の厚さは、例えば、20μm~1cmの範囲であり、例えば、略125μmである。光電子部品によって放出又は捕捉される対象の放射線が支持体40を横断する必要がある場合、後者は透明であってもよい。
【0037】
一実施形態によれば、導電性パッド44、45を形成する材料は、以下を含む群から選択される。
-例えば、酸化タングステン(WO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化バナジウム(V)、又は酸化モリブデン(MoO)などの導電性酸化物、特に透明な導電性酸化物(TCO)、特に酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、多層ITO/Ag/ITO構造、多層ITO/Mo/ITO構造、多層AZO/Ag/AZO構造、又は多層ZnO/Ag/ZnO構造;
-窒化チタン(TiN);
-例えば、銀(Ag)、金(Au)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、又はマグネシウムと銀との合金(MgAg)などの金属又は金属合金;
-導電性ポリマ、特にポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸ナトリウムとの混合物であるPEDOT:PSSポリマ、又はポリアニリン;
-炭素、銀、及び/又は銅のナノワイヤ;
-グラフェン;及び
-これらの材料の少なくとも2つの混合物。
【0038】
光電子部品によって放出又は捕捉される対象の放射線が支持体40を横断する必要がある場合、パッド44、45は対象の放射線を通すものであってもよい。
【0039】
活性層47は、少なくとも1つの有機材料を備え、複数の有機材料の積層体又は混合物を備えてもよい。活性層47は、電子供与体ポリマと、電子受容体分子との混合物を備えてもよい。活性層47の厚さは、50nm~2μmの範囲であってもよく、例えば、300nm程度であってもよい。
【0040】
活性層47は、小分子、オリゴマ、又はポリマを備えてもよい。これらは、有機材料又は無機材料であってもよい。活性層47は、両極性半導体材料を備えてもよく、又はN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を、例えば、バルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで積層の形態もしくは均質な混合物の形態で備えてもよい。
【0041】
活性層47を形成可能なP型半導体ポリマの例として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2’,1’,3’-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、又はポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)が挙げられる。
【0042】
活性層47を形成可能なN型半導体材料の例として、フラーレン、特にC60、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO)、又は量子ドットを形成可能なナノ結晶が挙げられる。
【0043】
界面層48は、電子注入層に対応してもよく、又は正孔注入層に対応してもよい。界面層48の機能は、界面層が陰極の機能を果たすか、陽極の機能を果たすかに応じて、正孔及び/又は電子を遮断、収集、又は注入することができることである。より詳細には、界面層48が陽極の機能を果たす場合、正孔注入層及び電子阻止層に相当する。そして、界面層48の仕事関数は、4.5eV以上、好ましくは4.8eV以上である。界面層48が陰極の機能を果たす場合、電子注入層及び正孔阻止層に相当する。そして、界面層48の仕事関数は、4.5eV以下、好ましくは4.2eV以下である。活性層47によって放出又は捕捉される対象の放射線が界面層48を横断する必要がある場合、界面層48は対象の放射線を通す。酸化物層48の厚さは、10nmから2μmの範囲、例えば、300nm程度であってもよい。
【0044】
界面層48が電子注入層の機能を果たす場合には、界面層48を形成する材料は、以下を含む群から選択される。
-金属酸化物、特に酸化チタン又は酸化亜鉛;
-ホスト/分子ドーパント系、特にNET-5/NDN-1又はNET-8/MDN-26の商標名でNovaledによって商品化された製品;
-導電性ポリマ又はドープされた半導体ポリマ、例えば、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェンとトシラートの混合物であるPEDOT:トシラートポリマ;
-ポリエチレンイミン(PEI)、又はエトキシル化、プロポキシル化、及び/若しくはブトキシル化されたポリエチレンイミン(PEIE);
-炭酸塩、例えばCsCO
-高分子電解質、例えば、ポリ[9,9-bis(3'-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)](PFN)、ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)]チオフェン(P3TMAHT)、又はポリ[9,9-bis(2-エチルヘキシル)フルオレン]-b-ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)]チオフェン(PF2/6-b-P3TMAHT);及び
-これらの材料の2つ以上の混合物。
【0045】
界面層48が正孔注入層の機能を果たす場合には、界面層48を形成する材料は、以下を含む群から選択されてもよい。
-導電性ポリマ又はドープされた半導体ポリマ、特にSigma-AldrichによってPlexcore(登録商標) OC RG-1100、Plexcore OC RG-1200の商標名で商品化された材料、PEDOT:PSSポリマ、又はポリアニリン;
-分子ホスト/ドーパント系、特にNHT-5/NDP-2又はNHT-18/NDP-9の商標名でNovaledによって商品化された製品;
-酸化タングステン(WO);
-例えば、ナフィオンなどの高分子電解質;
-例えば、酸化モリブデン、酸化バナジウム、ITO、又は酸化ニッケルなどの金属酸化物;及び
-これらの材料の2つ以上の混合物。
【0046】
図8には、界面層48上にエッチングマスク50を形成した後に得られた構造が示されている。一例によれば、エッチングマスク50は、界面層48上にレジスト層52を堆積し、フォトリソグラフィ技術により感光性層52に開口部54を形成して、特に第2のパッド45のレベルで界面層48を露出させることにより得られる。他の例によれば、エッチングマスク520は、例えば、インクジェット、ヘリオグラフィ、シルクスクリーン、フレキソグラフィ、又はナノインプリントによって、界面層48上の所望の位置に直接に樹脂ブロックを堆積することによって得られる。この場合、フォトリソグラフィのステップはない。他の例によれば、エッチングマスク50は、開口部54を備え、界面層48に対して適用される剛性の機械部品である。
【0047】
図9には、開口部54に一致するように界面層48に開口部56をエッチングし、開口部56に一致するように活性層47に開口部58をエッチングして、特に第2のパッド45を露出させた後に得られた構造が示されている。本実施例では、開口部56、58は、それぞれが光電子部品に関連付けられた2つの活性層60を区切り、各活性領域60は、関連付けられた第1のパッド44を覆っている。各エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)又は化学エッチングであってもよい。
【0048】
図10には、エッチングマスク50を除去した後に得られた構造体が示されている。エッチングマスク50が樹脂製である場合、エッチングマスク50の除去は、例えば、エッチングマスク50を備える構造体を化学浴に浸漬する方法、又はRIEエッチングなど、任意の剥離方法によって得られてもよい。
【0049】
図11には、各活性領域60について、少なくとも部分的に界面層48を覆い、関連する第2のパッド45を覆う(好ましくは界面層48と接し、第2のパッド45を覆う界面層46と接する)導電性接続素子62を形成した後に得られた構造が示されている。接続素子62は、界面層48に使用される前述した材料のリストの導電性材料のうちの1つで製造されてもよい。接続素子62は、界面層48と同じ材料で製造されてもよく、又は、界面層48の材料とは異なる材料で製造されてもよい。界面層48が非導電性材料で製造されている場合、接続素子62は界面層48を完全に覆うことが好ましい。一実施形態によれば、界面層48が対象の放射線を通すが、接続素子62が対象の放射線を通さないことがあり、特に、界面層48が導電性であり、接続素子62が界面層48を部分的にのみ覆っている場合はそうである。接続素子62の最大厚さは、10nmから2μmの範囲であってもよい。
【0050】
パッド44、45及び接続素子62を形成する材料によって、接続素子62を形成する方法は、例えば、接続トラックを形成する材料を備える流体又は粘性組成物を、例えば、インクジェット印刷、ヘリオグラフィ、シルクスクリーン、フレキソグラフィ、スプレーコーティング、ドロップキャスティング、又はナノインプリントによって、所望の位置に直接印刷する、いわゆるアディティブ法に対応してもよい。パッド44、45及び接続素子62を形成する材料によって、接続素子62を形成する方法は、接続トラックを形成する材料を構造体全体にわたって堆積し、その後、例えば、フォトリソグラフィ、レーザアブレーション、又はリフトオフ法によって未使用部分を除去する、いわゆるサブトラクティブ法に対応してもよい。考慮される材料によって、構造体全体にわたる堆積は、例えば、液相成長、カソードスパッタリング、又は蒸着によって行われてもよい。特に、スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソグラフィ、又はシルクスクリーンなどの方法を使用してもよい。実施された堆積方法によれば、堆積された材料を乾燥させるステップを設けてもよい。
【0051】
有利には、活性領域60を区切るステップにおいて、活性層47ではなく、界面層48に対して適用されるエッチングマスク50を実施する。それにより、界面層48と接する活性層47の表面は、エッチングマスク50によって劣化しない。さらに、エッチングマスク50を除去しても、活性層47と界面層48との間の界面に接する残留物が存在することはない。さらに、エッチングマスク50がレジストで製造されている場合、界面層48の感度が低下しているため、エッチングマスク50の除去のために実施される処理の選択に対する制約が少なくなる。
【0052】
図12から図16は、光電子デバイス35の製造方法の他の実施形態の連続したステップで得られた構造の部分概略断面図である。
【0053】
図12には、支持体40の表面42に導電性パッド44,45を形成し、導電性パッド44、45上に界面層46を形成するステップの後に得られた構造が示されており、図12から図16において、導電性パッド44及び導電性パッド45が1つずつのみ示されている。
【0054】
図13には、各第2のパッド45上に犠牲ブロック64を形成するステップの後に得られた構造が示されており、図13において単一のブロック64が示されている。各犠牲ブロック64は、好ましくは、レジストで製造される。犠牲ブロック64は、フォトリソグラフィのステップによって形成されてもよい。一実施形態によれば、図13に示すように、各犠牲ブロック64は、それが置かれたパッド45から広がる形状を有してもよく、又は、パッド45に接した基部よりも大きい寸法の頂部を有する、いわゆるキャップ状の輪郭を有してもよい。一例によれば、このような形状は、特に、フォトリソグラフィのステップ中に、ブロック64を形成するための感光性層の表面を硬化させるステップ(例えば、樹脂層をクロロベンゼンなどの芳香族溶媒に浸漬するステップ)を設けることにより、得られてもよい。他の例によれば、このような形状は、樹脂層成長のステップ中に得られてもよく、樹脂は、樹脂層に垂直な方向に沿って変化する成長速度を有するように選択され、樹脂層は、その自由な上面の側で成長に対してより耐性がある。一実施形態によれば、ブロック64の基部の寸法がパッド45の寸法よりも大きく、このため、ブロック64がパッド45全体を覆うことが確保される。
【0055】
図14には、図13に示す構造全体にわたって活性層47及び界面層48を堆積するステップの後に得られた構造が示されている。各犠牲ブロック64の界面層46上に置かれた部分の厚さは、活性層47の厚さと界面層48の厚さとの合計よりも大きいことが好ましい。活性層47及び界面層48の積層体は、パッド44、45上、パッド44、45間の支持体40の表面42上、及び各犠牲ブロック64の上面上に延在している。積層体の形成方法は、方向性堆積法が好ましく、ブロック64の基部よりも頂部が広い先広がり状のため、ブロック64の側壁の少なくとも一部上に積層体が堆積されない。
【0056】
図15には、犠牲ブロック64を除去するステップの後に得られた構造が示されている。一実施形態によれば、これは、図14に示す構造を、界面層48を溶解することなく犠牲ブロック64を選択的に溶解する溶媒を含む浴に浸漬することによって達成される。このようにして、活性領域60を区切るための界面層48における開口部56及び活性層47における開口部58を形成するステップが得られる。
【0057】
図16には、各活性領域60について、界面層48を部分的に覆い、第2の関連パッド45を覆う(好ましくは界面層48と接し、第2のパッド45を覆う界面層46と接する)接続素子62を形成した後に得られた構造が示されている。
【0058】
図17は、有機フォトダイオードに対応する部品35の実施形態の透明性を有する部分概略上面図である。この実施形態では、活性領域60及び界面層48を備える積層体は、上面図において円形の形状を有する。
【0059】
図18から図24は、有機フォトダイオード及びMOSトランジスタを有するセンサを備える光電子デバイスの製造方法の実施形態の連続したステップで得られた構造を示す部分概略断面図である。
【0060】
図18は、MOSトランジスタのアレイを備える集積回路68の例を示す部分概略断面図であり、図18から図24において、MOSトランジスタを有する6つの読み出し回路70が矩形で模式的に示されている。一実施形態によれば、集積回路68は、マイクロエレクトロニクスにおける従来の技術によって形成される。集積回路68の表面には、導電性パッドが形成されている。導電性パッドのうち、集積回路68の領域74に形成され、有機フォトダイオードの下部電極として使用されるパッド72と、領域74の外側(例えば、回路68の周縁部)に形成され、フォトダイオードの上部電極のバイアスに使用されるパッド76(図18から図24において単一のパッド76が示されている)と、集積回路68のバイアスに使用されるパッド78(図18から図24において単一のパッド78が示されている)とが区別できる。
【0061】
従来、集積回路68は、例えば単結晶シリコンで製造され、その内部及び頂部に絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSトランジスタとも呼ばれ、例えば、Nチャネル及びPチャネルのMOSトランジスタ)が形成された半導体基板と、基板及び読み出し回路70を覆い、読み出し回路70及びパッド72、76、78を電気的に結合するための導電性トラック及び導電性ビアが形成されている絶縁性層の積層体とを備えてもよい。
【0062】
図19には、各パッド72上に有機界面層80を形成した後に得られた構造が示されている。使用される形成方法により、さらにパッド76及び78上に有機界面層(図19に図示しない)を形成することができる。界面層80は、炭酸セシウム(CsCO)、金属酸化物(特に酸化亜鉛(ZnO))、又はこれらの化合物のうち少なくとも2つの混合物で製造されてもよい。界面層80は、自己組織化された単分子層、又は、例えば(ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、又はポリ[(9,9-bis(3’-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)]などのポリマを備えてもよい。界面層80の厚さは、0.1nmから1μmの範囲が好ましい。界面層80をパッド72(及び場合によっては76及び78)上に物理的にグラフトしてもよく、この場合、図19に示す構造が直接に得られる。変形例として、図18に示された構造全体にわたって界面層80を堆積してから、パッド72の外側をエッチングすることで、図19に示された結果を提供してもよい。図示しない他の変形例によれば、図18に示された構造全体にわたって、非常に低い横方向導電率を有する界面層80を堆積してもよく、この場合、パッド72、76、78の外側を除去する必要はない。
【0063】
図20には、図19に示した構造全体にわたって活性有機層82を形成した後に得られた構造が示されており、動作中にフォトダイオードの活性領域が形成される。活性層82は、活性層47と同じ組成を有してもよい。
【0064】
図21には、活性層82上に界面層84を堆積した後に得られた構造が示されている。界面層84は、界面層48と同じ組成を有していてもよい。
【0065】
図22には、界面層84上にレジスト層86を堆積し、フォトリソグラフィ技術により、レジスト層86に開口部88を形成してパッド76のレベルでの界面層84を露出させた後に得られた構造が示されており、図22において、単一の開口部88が示されている。
【0066】
図23には、感光性層86の開口部88に一致するように界面層84に開口部90をエッチングし、界面層84の開口部90に一致するように活性層82の開口部92をエッチングして、パッド76を露出させた後に得られた構造が示されている。
【0067】
図24には、感光性層86を除去した後、且つ構造全体にわたって接続層94を堆積した後に得られた構造が示されている。接続層94は、特にパッド76と接しており、接続素子62と同じ組成を有していてもよい。
【0068】
この方法は、接続層94をエッチングし、構造全体を覆う封止層を形成する後続のステップを備えてもよい。
【0069】
この構造は、層74において、光センサを形成する有機フォトダイオード96のアレイを備え、各フォトダイオード96は、有機層82、84のうち、一方のパッド72に面する部分によって画定されている。図24の例には、6つの有機フォトダイオード96が示されている。実際には、このアレイは、動作中にフォトダイオード96の制御及び読み出しに使用され得る読み出し回路70と垂直に整列するように配置されている。本実施形態では、層80はフォトダイオード96のレベルで不連続であるように示されているが、有機層82及び84はフォトダイオード96のレベルで連続であるように示されている。変形例として、界面層80はフォトダイオード96のレベルで連続であってもよい。積層体の厚さは、300nmから1μm、好ましくは300nmから500nmの範囲であってよい。
【0070】
様々な実施形態及び変形例を説明してきた。当業者であれば、これらの様々な実施形態及び変形例の特定の特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に想起される。最後に、説明した実施形態及び変形例の実際の実施は、ここで与えられた機能的な表示に基づく当業者の能力の範囲内である。
【0071】
本特許出願は、仏国特許出願第19/08250号明細書の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2022-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子デバイス(35)を製造する方法であって、以下の連続したステップ:
a)支持体(40)上に、第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)を形成するステップと、
b)前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層(47)を堆積するステップと、
c)前記活性有機層と接する第1の界面層(48)を前記活性有機層上に堆積するステップと、
d)前記第1の界面層(48)に第1の開口部(56)を形成し、前記第1の開口部に一致するように前記活性有機層(47)に第2の開口部(58)を形成して、前記第2の導電性パッドを露出させるステップと、
e)前記第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、前記第1の界面層及び前記第2の導電性パッドと接する第2の界面層(62)を形成するステップと
を備え
前記第1の界面層(48)及び/又は前記第2の界面層(62)は、
ホスト/分子ドーパント系と、
導電性ポリマ又はドープされた半導体ポリマと、
炭酸塩と、
高分子電解質と、
これらの材料の2つ以上の混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える方法。
【請求項2】
前記第1の界面層(48)及び/又は前記第2の界面層(62)は、ポリエチレンイミン(PEI)、又はエトキシル化、プロポキシル化、及び/若しくはブトキシル化されたポリエチレンイミン(PEIE)を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の開口部(56)及び/又は第2の開口部(58)の形成は、反応性イオンエッチングによって達成される
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップd)は、前記第1の界面層(48)に対してマスク(50)を適用することを備え、前記マスクは、第3の開口部(54)を備え、前記第1の開口部(56)は、前記第3の開口部に一致するようにエッチングされる
請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ステップd)は、前記第1の界面層(48)上にレジスト層(52)を堆積することと、前記レジスト層に第3の開口部(54)を形成することとを備え、前記第1の開口部(56)は、前記第3の開口部に一致するようにエッチングされる
請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、ステップa)及びステップb)の間に、第2の導電性パッド(45)に面するレジストブロック(64)を形成することを備え、前記ブロックは頂部及び側面を備え、ステップc)の後に、前記活性有機層(47)及び前記第1の界面層(48)を備える積層体が、特に前記ブロックの頂部を覆い、前記ブロックの側面を完全には覆わず、前記方法は、ステップd)で前記ブロックを除去することを備える
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
支持体(40)と、
前記支持体上に設けられた第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)と、
前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッドを覆う活性有機層(47)と、
前記活性有機層を覆い、前記活性有機層と接する第1の界面層(48)と、
前記第1の界面層(48)に設けられた第1の開口部(56)、及び前記第1の開口部に一致するように前記活性有機層(47)に設けられた第2の開口部(58)と、
前記第1の開口部及び第2の開口部に少なくとも部分的に延在し、前記第1の界面層及び前記第2の導電性パッドと接する第2の界面層(62)と
を備え
前記第1の界面層(48)及び/又は前記第2の界面層(62)は、
ホスト/分子ドーパント系と、
導電性ポリマ又はドープされた半導体ポリマと、
炭酸塩と、
高分子電解質と、
これらの材料の2つ以上の混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える光電子デバイス(35)。
【請求項8】
前記第1の界面層(48)及び/又は前記第2の界面層(62)は、ポリエチレンイミン(PEI)、又はエトキシル化、プロポキシル化、及び/若しくはブトキシル化されたポリエチレンイミン(PEIE)を備える

請求項に記載の光電子デバイス。
【請求項9】
前記第1の界面層(48)と前記第2の界面層(62)とは、異なる材料で製造されている
請求項又はに記載の光電子デバイス。
【請求項10】
前記第1の導電性パッド及び第2の導電性パッド(44、45)は、
導電性酸化物と、
金属又は金属合金と、
導電性ポリマと、
炭素、銀、及び/又は銅のナノワイヤと、
グラフェンと、
これらの材料の少なくとも2つの混合物と
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を備える
請求項からのいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項11】
前記活性有機層(47)は、P型半導体ポリマとN型半導体材料とを備え、前記P型半導体ポリマは、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9’-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2’,1’,3’-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b’]ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、又はポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b’]ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)であり、前記N型半導体材料は、フラーレン、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛又は量子ドットを形成可能なナノ結晶である
請求項から10のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項12】
電磁放射線を放出又は捕捉することが可能であり、前記活性有機層(47)は、前記光電子デバイスの層であり、前記電磁放射線の大部分が該層で前記光電子デバイスによって捕捉され、又は、前記電磁放射線の大部分が該層から前記光電子デバイスによって放出される
請求項から11のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【国際調査報告】