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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20220921BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220921BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220921BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 31/4412 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20220921BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20220921BHJP
   C07D 213/64 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/23
A61K8/81
A61Q5/00
A61K8/46
A61K8/891
A61K8/892
A61K8/73
A61Q5/02
A61K31/4412
A61K33/24
A61K47/32
A61P17/00
A61P31/10
C07D213/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022503976
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020068254
(87)【国際公開番号】W WO2021013476
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/097153
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】19194658.1
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジンジン
(72)【発明者】
【氏名】ピー,インイン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シア
【テーマコード(参考)】
4C055
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA17
4C055BA03
4C055BA06
4C055BA42
4C055CA01
4C055DA06
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD55
4C076EE13M
4C076EE27
4C076EE30
4C076EE31
4C076FF11
4C076FF31
4C083AB111
4C083AB112
4C083AB332
4C083AB501
4C083AB502
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC392
4C083AC532
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD352
4C083BB01
4C083BB05
4C083BB34
4C083CC31
4C083CC38
4C083EE23
4C086AA02
4C086BC17
4C086HA08
4C086HA25
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA63
4C086NA12
4C086ZA92
4C086ZB35
(57)【要約】
ピロクトンオラミン、硫化セレンおよびそれらの混合物から選択されるフケ防止剤と、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含むコポリマーとを含むヘアケア組成物であって、コポリマーの量とフケ防止剤の量との重量比が、1:5~1:1の範囲内であるヘアケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ピロクトンオラミン、硫化セレンおよびそれらの混合物から選択されるフケ防止剤と、
b)アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含むコポリマーと
を含むヘアケア組成物であって、
前記コポリマーの量と前記フケ防止剤の量との重量比が、1:5~1:1の範囲内である、ヘアケア組成物。
【請求項2】
前記フケ防止剤がピロクトンオラミンである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記コポリマーが、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーである、請求項1または請求項2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
前記組成物の0.001~2重量%、好ましくは0.01~1重量%の量で前記コポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
前記組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%の量で前記フケ防止剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記コポリマーの量と前記フケ防止剤の量との重量比が、1:4~1:1、好ましくは1:4~1:1.5の範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
クレンジング界面活性剤、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
コンディショニング剤、好ましくはシリコーン油、さらに好ましくはジメチコーン、ジメチコノールまたはそれらの混合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のヘア組成物。
【請求項9】
カチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記カチオン性ポリマーが、カチオン性セルロース、カチオン性グアーまたはそれらの混合物である、請求項9に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
前記カチオン性グアーが、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである、請求項10に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
シャンプーである、請求項1から11のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のヘアケア組成物を個体の頭皮表面に塗布し、続いて前記表面を水ですすぐ工程を含む、頭皮上にフケ防止剤を堆積させる方法。
【請求項14】
頭皮上へのフケ防止剤の堆積を増強するためのアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーの使用であって、前記フケ防止剤が、ピロクトンオラミン、硫化セレンおよびそれらの混合物から選択される使用。
【請求項15】
前記フケ防止剤がピロクトンオラミンである、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア組成物に関し、さらに詳細には、フケ防止剤と、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含むコポリマーとを含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアケア組成物は、一般に、クレンジング効果もしくはコンディショニング効果またはこれら2つの組合せを提供する。そのような組成物は、典型的には、望ましくない汚れ、粒子および脂肪物質を含まない、毛髪および頭皮の洗浄を一般に助ける1つ以上のクレンジング界面活性剤を含む。
【0003】
フケ制御は、毛髪のクレンジングおよびケアの重要な側面である。フケ防止効果は、シャンプーおよびヘアコンディショナーを含むヘアケア組成物によって提供されてきた。フケは、世界中の多くの人々に影響を及ぼす問題である。この状態は、頭皮から死んだ皮膚細胞の塊が脱落することによって現れる。これらは白色であり、審美的に不快な外観をもたらす。フケに寄与する1つの要因が、マラセチア(Malassezia)酵母の特定の成員である。これらに対抗するために、フケ防止製品には、抗真菌活性を有する特定のフケ防止剤、例えば、ピロクトンオラミン(オクトピロックス(登録商標))、硫化セレンまたはそれらの組合せが含まれている。これらのフケ防止剤は、マラセチアを頭皮から除去し(またはマラセチアのレベルを少なくとも低下させ)、フケ状態の中程度に効果的な治療を提供する。そのような製品は、フケの原因を軽減しながら、毛髪クレンジングシャンプーまたはヘアコンディショナーとして機能する。
【0004】
しかし、多くのフケ防止製品は、頭皮上に十分なフケ防止剤を堆積させない。これらのフケ防止剤は、頭皮表面に強く付着せず、洗髪またはシャワー中に容易に洗い流されるため、フケ防止効果をほとんどまたは全くもたらさない。その結果、フケ防止剤の改善された堆積を提供して、そのようなフケ防止剤の効果を最大にするヘアケア組成物に対する必要性が存在する。
【0005】
カチオン性ポリマーは、毛髪および/または頭皮へのコンディショニング剤および/またはフケ防止剤の堆積を増強するために使用されることが多い。これらのポリマーは、カチオン性置換基によって修飾された合成ポリマーまたは天然ポリマーであり得る。本発明者らは、予想外にも、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含むコポリマーが、カチオン性グアーポリマーなどの従来のカチオン性堆積ポリマーと比較して、フケ防止剤の堆積を増強し得ることを見出した。
【0006】
試験および定義
ヘアケア組成物
本明細書で使用される場合、「ヘアケア組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの毛髪および/または頭皮への局所塗布のための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、一般に、リーブオンまたはリンスオフとして分類され得、外観、クレンジング、臭気制御または全体的な美観も改善するために人体に塗布される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲルまたはバーの形態であり得る。そのような組成物の非限定的な例には、リーブオンヘアローション、クリーム、およびリンスオフシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、またはトイレットバーが挙げられる。本発明の組成物は、好ましくはリンスオフ組成物であり、特に好ましくはシャンプーまたはコンディショナーであり、最も好ましくはシャンプーである。
【0007】
カチオン電荷密度
本明細書で使用される場合、「カチオン電荷密度」は、所与のポリマーの1重量単位当たりのカチオン電荷の数を指す。カチオン電荷密度は、国際公開第2013/011122号に記載されている置換度から計算することができ、その開示のその全体、特に8ページの8~17行目が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドと反応させることによって得られたカチオン性グアーポリマーの場合、カチオン電荷密度は、以下の式を使用して置換度から計算され得る:
ミリ当量/グラム(meq/g)単位のカチオン電荷密度=
【数1】
【0008】
水不溶性
本明細書で使用される場合、「水不溶性」は、25℃および大気圧での水への材料の溶解度が0.1重量%以下であることを指す。
【0009】
分子量
本明細書で使用される場合、「分子量」は、所与のポリマーの重量平均分子量を指す。所与のポリマーの重量平均分子量(WAVG MW)は、絶対較正(ユニバーサル較正)を使用してSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)分析によって決定される。較正には多糖標準プルランおよびデキストランを使用した。
【0010】
その他
実施例または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されるとして理解されてもよい。
【0011】
すべての量は、別途の記載がない限り、最終ヘアケア組成物の重量による。
【0012】
いかなる数値範囲の指定においても、あらゆる特定の上限値はあらゆる特定の下限値を伴い得ることに留意されたい。
【0013】
疑義を避けるために、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。
【0014】
請求項が多項従属または重複なしに見出され得るという事実に関わりなく、本明細書に見出される本発明の開示は互いに多項従属しているため、特許請求の範囲に見出されるような実施形態をすべて包含するものと考えられるべきである。
【0015】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【発明の概要】
【0016】
第1の態様では、本発明は、
(a)ピロクトンオラミン、硫化セレンおよびそれらの混合物から選択されるフケ防止剤と、
(b)アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含むコポリマーとを含むヘアケア組成物であって、
コポリマーの量とフケ防止剤の量との重量比が、1:5~1:1の範囲内であるヘアケア組成物に関する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、頭皮上にフケ防止剤を堆積させる方法であって、本発明の第1の態様の任意の実施形態のヘアケア組成物を個体の頭皮表面に塗布する工程を含む方法に関する。該方法は、好ましくは非治療的利益のためのものである。
【0018】
第3の態様では、本発明は、頭皮上へのフケ防止剤の堆積を増強するためのアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーの使用に関する。
【0019】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明および実施例を考慮することによって、さらに容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の組成物に使用するのに適したコポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドを含む。好ましくは、コポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドに加えてアクリルアミドも含む。特に好ましいコポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーである。
【0021】
本発明によるコポリマーは、好ましくは1.0~3.0meq/グラム(meq/g)、さらに好ましくは1.1~2.5meq/g、さらになお好ましくは1.2~2.5meq/g、最も好ましくは1.3~2.5meq/gの電荷密度を有する。コポリマーは、好ましくは100,000~3,000,000グラム/モル(g/mol)、さらに好ましくは500,000~2,800,000g/mol、さらになお好ましくは800,000~2,500,000g/mol、最も好ましくは1,000,000~2,500,000g/molの分子量を有する。好適なコポリマーの例は、商品名N-Hance SP-100(登録商標)の下、Ashlandから市販されている。N-Hance SP-100(登録商標)は、1.8~2.2meq/gの電荷密度と、1,800,000~2,200,000g/molの分子量とを有する。
【0022】
本発明のヘアケア組成物は、典型的には、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.001~2%、さらに好ましくは0.01~1%、さらになお好ましくは0.01~0.8%、最も好ましくは0.05~0.5%の量でコポリマーを含む。
【0023】
ヘアケア組成物はフケ防止剤を含み、フケ防止剤は、フケに対して活性であり、典型的には抗微生物剤であり、好ましくは抗真菌剤である化合物である。本発明で使用され得る好適なフケ防止剤は、ピロクトンオラミン(オクトピロックス(登録商標))、硫化セレンおよびそれらの混合物から選択される。特に好ましい実施形態では、フケ防止剤はピロクトンオラミンである。
【0024】
典型的には、本発明のヘアケア組成物は、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.01~10%、さらに好ましくは0.01~5%、さらになお好ましくは0.05~2%、最も好ましくは0.05~1.5%の量でフケ防止剤を含む。
【0025】
本発明のコポリマーが、フケ防止剤の堆積を予想外に増強することが見出された。組成物は、1:5~1:1、好ましくは1:4~1:1、最も好ましくは1:4~1:1.5の重量比でコポリマーとフケ防止剤とを含む。
【0026】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは4.0~7.0の範囲である。
【0027】
ヘアケア組成物は、コポリマーに加えて、他のカチオン性ポリマーも含むことが好ましい。好適なカチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってよいか、2種類以上のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は、一般に、5,000~10,000,000g/mol、典型的には少なくとも10,000g/mol、好ましくは100,000~2,000,000g/molである。ポリマーは、第四級アンモニウム基もしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物などのカチオン性窒素含有基を有する。カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーのモノマー単位全体の一部に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、それはスペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーが得られるように選択される。
【0028】
好適なカチオン性ポリマーには、例えば、カチオン性アミン官能基または第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンならびにビニルピロリジンとのコポリマーが含まれる。アルキル置換モノマーおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC~Cアルキル基、さらに好ましくはC~Cアルキル基を有する。他の好適なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。
【0029】
好ましくは、カチオン性ポリマーは、カチオン性多糖ポリマー、例えば、カチオン性グアー、カチオン性デンプンおよびカチオン性セルロースである。好適には、そのようなカチオン性多糖ポリマーは、100,000g/mol~2,300,000g/mol、さらに好ましくは150,000g/mol~2,000,000g/molの分子量を有する。そのようなカチオン性多糖ポリマーは、好ましくは0.1~4meq/gのカチオン電荷密度を有する。
【0030】
本発明の組成物に使用するのに適したカチオン性多糖ポリマーには、以下の一般式によって表されるものが含まれ:
A-O-[R-N(R)(R)(R)X
式中、Aは、デンプンまたはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基またはそれらの組合せである。R、RおよびRは、独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシアリール基を表し、各基は最大約18個の炭素原子を含む。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R、RおよびRの炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0031】
カチオン性セルロースは、Amerchol Corp.(Edison,NJ,USA)から、Polymer JR(商標)およびLR(商標)のポリマーシリーズで、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩として入手可能であり、これは該業界(CTFA)ではPolyquaternium 10と呼ばれている。別の種類のカチオン性セルロースには、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの高分子第四級アンモニウム塩が含まれ、これは該業界(CTFA)ではPolyquaternium 24と呼ばれている。これらの材料は、商品名Polymer LM-200の下、Amerchol Corp.(Edison,NJ,USA)から入手可能である。
【0032】
他の好適なカチオン性多糖ポリマーには、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号に記載されている)、およびエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号に記載されている)が含まれる。
【0033】
本発明の組成物に使用することができる特に好ましい種類のカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(例えば、SolvayからJaguar商標シリーズで、またはAshlandからN-Hance商標シリーズで市販されている)などのカチオン性グアーガム誘導体である。そのような材料の例には、Jaguar(登録商標)C-13S、Jaguar(登録商標)C-14S、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)Excel、Jaguar(登録商標)C-162、Jaguar(登録商標)C-500、Jaguar(登録商標)Optima、Jaguar(登録商標)LS、N-Hance(商標)BF17、N-Hance(商標)BF13およびN-Hance(商標)CCG45がある。
【0034】
上記カチオン性ポリマーのいずれかの混合物を使用してもよい。カチオン性ポリマーは、好ましくは、カチオン性セルロース、カチオン性グアーまたはそれらの混合物を含む。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが特に好ましい。
【0035】
カチオン性ポリマーは、使用される場合、一般に、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、ヘアケア組成物の0.001~1重量%、さらに好ましくは0.01~0.5重量%、最も好ましくは0.03~0.3重量%の量で本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0036】
ヘアケア組成物は、コンディショニング効果を提供するためのコンディショニング剤をさらに含み得る。好ましくは、ヘアケア組成物は、15ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、さらに好ましくは5ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満の平均液滴径(D3,2)を有する水不溶性コンディショニング剤の分離した分散液滴を含む。水不溶性コンディショニング剤の平均液滴径(D3,2)は、例えばMalvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定され得る。
【0037】
水不溶性コンディショニング剤は、炭化水素油、脂肪エステルおよびそれらの混合物などの非シリコーン油性材料または脂肪性材料を含む非シリコーンコンディショニング剤を含み得る。好ましくは、水不溶性コンディショニング剤は乳化シリコーン油である。
【0038】
好適なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特に、CTFA名称ジメチコーンを有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)に使用するのに適しているのは、CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンである。例えば国際公開第96/31188号に記載されているように、架橋度の低いシリコーンガムも本発明の組成物に使用するのに適している。好ましくは、シリコーン油は、ジメチコーン、ジメチコノールまたはそれらの混合物を含む。
【0039】
本発明のヘアケア組成物に使用するのに適した乳化シリコーンは、シリコーンの供給業者、例えば、Dow CorningおよびGE siliconesから、予め形成されたシリコーンエマルジョンとして入手可能である。そのような予め形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、シリコーン粒径の加工および制御を容易にするために好ましい。そのような予め形成されたシリコーンエマルジョンは、典型的には、好適な乳化剤をさらに含み、乳化重合などの化学的乳化プロセスによって、または高剪断ミキサーを使用した機械的乳化によって調製され得る。好適な予め形成されたシリコーンエマルジョンの例には、いずれもDow Corningから入手可能なDC1785、DC1788、DC7128が挙げられる。これらはジメチコノール/ジメチコーンのエマルジョンである。
【0040】
使用され得るシリコーンの別のクラスは、官能化シリコーン、例えば、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味するアミノ官能性シリコーンである。好適なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコーン」を有するポリシロキサンが挙げられる。
【0041】
水不溶性コンディショニング剤は、一般に、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.05~15%、好ましくは0.1~10%、さらに好ましくは0.5~8%、最も好ましくは1~5%の量で本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0042】
好ましい実施形態では、ヘアケア組成物はシャンプーである。したがって、好ましい実施形態では、組成物はクレンジング界面活性剤を含む。好適なアニオン性クレンジング界面活性剤の非限定的な例には、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩、特に、それらのナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩ならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩がある。アルキル基およびアシル基は、一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であり得る。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位を含み得る。本発明の組成物に使用するための典型的なアニオン性クレンジング界面活性剤には、限定するものではないが、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウムまたはそれらの混合物が含まれる。好ましいアニオン性クレンジング界面活性剤は、アルキルサルフェートおよびアルキルエーテルサルフェートである。好ましいアルキルサルフェートは、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態のC8~18アルキルサルフェート、さらに好ましくはC12~18アルキルサルフェートである。例には、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)がある。アニオン性クレンジング界面活性剤がアルキルエーテルサルフェートであることが特に好ましい。好ましいアルキルエーテルサルフェートは、式:RO(CHCHO)SO-3M(式中、Rは、8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり、nは、少なくとも0.5超、好ましくは1~3、さらに好ましくは2~3の平均値を有する数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである)を有するものである。例には、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)がある。好ましいアルキルエーテルサルフェートは、0.5~3、好ましくは1~3、さらに好ましくは2~3の平均エトキシル化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
【0043】
アニオン性クレンジング界面活性剤は、典型的には、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.5~45%、さらに好ましくは1.5~35%、最も好ましくは5~20%のレベルで本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0044】
本発明による組成物は、組成物にマイルド性を提供するために、共界面活性剤、例えば、両性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤を好ましくはさらに含んでいてもよい。好適な例には、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられ、アルキル基は8~19個の炭素原子を有する。好ましくは、共界面活性剤はベタイン界面活性剤である。コカミドプロピルベタイン(CAPB)が特に好ましい。
【0045】
共界面活性剤は、使用される場合、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、ヘアケア組成物の0.1~15重量%、さらに好ましくは0.5~8重量%、最も好ましくは0.5~4重量%を典型的に構成する。
【0046】
好ましくは、本発明の組成物は、懸濁剤をさらに含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するため、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤によって架橋されたアクリル酸のポリマーも使用され得る。これらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの好適なコポリマーの例には、Carbopol 1342がある。Carbopol(商標)材料はいずれも、Goodrichから入手可能である。
【0047】
アクリル酸とアクリレートエステルとの好適な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。好適なヘテロ多糖ガムは、キサンタンガム、例えばKelzan muとして入手可能なものである。
【0048】
上記懸濁剤のいずれかの混合物を使用してもよい。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0049】
懸濁剤は、一般に、その中に包含されるあらゆる範囲を含め、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、0.1~10%、さらに好ましくは0.2~6%、最も好ましくは0.3~4%の量で本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0050】
潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、本発明のヘアケア組成物に防腐剤を組み込んでもよい。好適な従来の防腐剤には、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩および様々な第四級アンモニウム化合物が含まれる。本発明で使用され得る防腐剤の種類の例示的で非限定的な例には、例えば、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウム、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、カプリリルグリコール、EDTA二ナトリウムまたはそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、防腐剤は、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウムまたはそれらの混合物である。防腐剤は、ヘアケア組成物の0.01~2重量%の範囲の量で使用されることが好ましい。
【0051】
本発明のヘアケア組成物は、物理的特性および物理的性能を高めるために、当技術分野で一般的な他の成分を含有してもよい。好適な成分には、限定するものではないが、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、増粘剤、ならびに植物成分、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然毛髪栄養素が挙げられる。
【0052】
本発明の組成物は、主に、リンスオフまたはリーブオン組成物、好ましくはシャンプーのようなリンスオフ組成物のいずれかで、個体の頭皮および/または毛髪の少なくとも一部に局所塗布することを意図している。
【0053】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定するために提供されない。
【0054】
[実施例]
[実施例1]
この実施例では、コポリマーとフケ防止剤との重量比が、頭皮上へのフケ防止剤の堆積に影響を及ぼし得ることが実証された。成分はいずれも、配合全体の重量パーセントによって、活性成分のレベルとして表される。
【表1】
【0055】
方法
人工皮膚(IMS testing group製のVITRO-SKIN)上に、約0.2グラムの試験試料を移した。これを水1.8mLで希釈し、プラスチック棒を用いて30秒間こすった。次いで、人工皮膚表面を水で2回すすいだ(最初に水4mLで30秒間、次いで再び水4mLで30秒間)。HPLC法を使用して、皮膚(10.75cm/プレート)上のピロクトンオラミンの堆積を測定した。
【0056】
結果
表2に(5つのそのような実験の)平均堆積をまとめる(誤差は2連測定値の標準偏差を表す)。
【表2】
【0057】
コポリマーとピロクトンオラミンとの重量比が比較的高い試料3および4は、試料1および2と比較して、有意に良好な(p<0.05)ピロクトンオラミンの堆積を示した。
【0058】
[実施例2]
この実施例は、様々なフケ防止剤の使用に関する。表3に詳述した配合に従って組成物を調製した。成分はいずれも、配合全体の重量パーセントによって、活性成分のレベルとして表される。
【表3】
【0059】
方法
人工皮膚(IMS testing group製のVITRO-SKIN)上に、約0.2グラムの試験試料を移した。これを水1.8mLで希釈し、プラスチック棒を用いて30秒間こすった。次いで、人工皮膚表面を水で2回すすいだ(最初に水4mLで30秒間、次いで再び水4mLで30秒間)。HPLC法を使用して、皮膚(10.75cm/プレート)上のピロクトンオラミンまたはクリンバゾールの堆積を測定した。
【0060】
結果
表4に(5つのそのような実験の)平均堆積をまとめる(誤差は2連測定値の標準偏差を表す)。
【表4】
【0061】
結果から、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーを含む試料6は、カチオン性グアーを含む試料5と比較してピロクトンオラミンの堆積を増強し、一方、試料8は、試料7と同等のクリンバゾール堆積を示したことが分かる。
【国際調査報告】