(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】固体バイオマス燃料を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504098
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 GB2020051748
(87)【国際公開番号】W WO2021014151
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519385397
【氏名又は名称】バイ ホン メイ
【氏名又は名称原語表記】BAI, HONG MEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】バイ ホン メイ
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015BA01
4H015BA06
4H015BA07
4H015BA10
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
本発明は、籾殻から、単独で又はカリアンドラ・カロティルスス若しくは木材などの他の材料と組み合わせて、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。したがって、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、
(i)1000μm~10000μmの粒子サイズを有する1又は2以上のバイオマス粉末を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマス粉末を、0.25~5時間の期間、160℃~420℃の温度に加熱して、加熱バイオマス生成物を提供するステップ、及び
(iii)前記加熱バイオマス生成物を成型して、固体バイオマス燃料を提供するステップ
を含み、
前記1又は2以上のバイオマス粉末が、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来し、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻からなるか、若しくは籾殻から本質的になる;(ii)籾殻と、混合木材などの木材との混合物を含むか、若しくは混合物から本質的になる;(iii)籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物からなるか、若しくは混合物から本質的になる;又は(iv)少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含み;前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマスに由来する材料が、前記固体バイオマス燃料中に、前記固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、前記方法。
【請求項2】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、混合木材などの木材、カリアンドラ・カロティルスス、又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻及びカリアンドラ・カロティルスス、又は(ii)籾殻及び混合木材などの木材を含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、20重量%~80重量%の量の籾殻を含む、請求項1、3及び4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量の混合木材などの木材とを含む、請求項1及び3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量のカリアンドラ・カロティルススとを含む、請求項1及び3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、ココナッツ外殻又は藁を含まない、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)が、0.5~3時間の期間行われる、及び/又は前記1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップが、前記1又は2以上のバイオマス粉末を、180℃~350℃、任意に210℃~280℃の温度に加熱することを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)が、成型バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、前記1又は2以上のバイオマス粉末を加熱することを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)の前に、前記加熱バイオマス生成物を冷却するステップをさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
1又は2以上のバイオマス粉末を準備するステップ(i)が、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を微粉化すること、及び/又は前記1若しくは2以上のバイオマス粉末を混合することを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)が、固体バイオマス燃料の密度が制御されるように前記成型するステップを適応させることを含み、任意に前記固体バイオマス燃料の密度が制御されるように前記成型するステップを適応させることが、前記成型するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)の前に、前記加熱バイオマス生成物に添加剤を加える、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
添加剤が、固体バイオマス燃料の収率を上昇させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)を、加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させ、任意にステップ(ii)を加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させることが、前記1又は2以上のバイオマス粉末を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(ii)を実施することを含み;任意にステップ(ii)を加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させることが、前記1又は2以上のバイオマス粉末の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に前記1又は2以上のバイオマス粉末を、前記装置において反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度が、0.40kg/l~0.65kg/l、好ましくは0.45kg/l~0.60kg/l、最も好ましくは0.50~0.60kg/lであり、及び/又はDIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性が、95%以上、96%以上、97%以上、若しくは98%以上である、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻を含むか、又は籾殻から本質的になり、固体バイオマス燃料が、0.40kg/L~0.48kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であり、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻と混合木材などの木材との混合物を含み、前記固体バイオマス燃料が、0.50kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であり、又は
(iii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物を含み、前記固体バイオマス燃料が、0.45kg/L~0.60kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上である、
前記バルク密度がDIN EN 15103によって決定され、前記機械的耐久性がDIN EN 15210-1によって決定される、
請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
(i)バイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量が、0.05重量%以下、好ましくは0.04重量%以下、最も好ましくは0.03重量%以下であり、前記総乾燥硫黄含有量がDIN EN 15289によって決定される;(ii)前記バイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量が、5重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、前記総乾燥水素含有量がDIN EN 15104によって決定される;(iii)前記バイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量が、34重量%以上、好ましくは34重量%~40重量%、より好ましくは34重量%~38重量%であり、前記総乾燥酸素含有量がDIN EN 15296によって決定される;(iv)前記バイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量が、40重量%以上、好ましくは45重量%~55重量%、より好ましくは50重量%~52重量%であり、総乾燥炭素含有量がDIN EN 15104によって決定される;及び/又は(v)前記バイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量が、0.5重量%未満、好ましくは0.4重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満であり、前記総乾燥窒素含有量がDIN EN 15104によって決定される、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
固体バイオマス燃料が、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間防水性である、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
(i)固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)が、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下であり、前記化学的酸素要求量がGB/11914-89によって決定される;(ii)前記固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、28重量%以上、好ましくは28重量%~35重量%、より好ましくは30重量%~33重量%であり、前記固定炭素含有量がDIN EN 51734によって決定される;(iii)前記固体バイオマス燃料の灰分が、25重量%未満、好ましくは20重量%未満、最も好ましくは18重量%未満であり、前記灰分が550℃において、EN 14775によって決定される;及び/又は(iv)前記固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、40重量%~65重量%、より好ましくは45重量%~60重量%であり、前記揮発性物質含有量がDIN EN 15148によって決定される、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
成型するステップの前に、石炭、酸化剤、点火剤、又はこれらの組合せを加熱バイオマス生成物に加えることを含まず、固体バイオマス燃料が、石炭、酸化剤、点火剤、又はこれらの組合せを含まない、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)が、前記1又は2以上のバイオマス粉末を、30分~5時間、任意に1時間~5時間の期間、加熱することを含む、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の方法によって得ることできる又は得られた固体バイオマス燃料。
【請求項25】
1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻からなるか、若しくは籾殻から本質的になる;(ii)籾殻と、混合木材などの木材との混合物を含み、若しくは混合物から本質的になる;(iii)籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物からなるか、若しくは混合物から本質的になる;又は(iv)少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含み、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマスに由来する材料が、前記固体バイオマス燃料中に、前記固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、前記固体バイオマス燃料。
【請求項26】
1若しくは2以上のバイオマスの供給源又は固体バイオマス燃料が、請求項1~8及び22のいずれかに記載の通りである、請求項24又は25に記載の固体バイオマス燃料。
【請求項27】
請求項24~26のいずれかに記載の固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法。
【請求項28】
石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
方法におけるPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
燃焼方法における燃料としての、請求項24~26のいずれかに記載の固体バイオマス燃料の使用であって、1又は2以上のバイオマスの供給源を、請求項1~23のいずれかに記載の方法に使用することを含み、任意に前記燃焼方法が石炭などの化石燃料と一緒に前記固体バイオマス燃料を同時焼成することを含む、前記使用。
【請求項31】
燃焼方法におけるPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻からなるか、若しくは籾殻から本質的になる:(ii)籾殻と、混合木材などの木材との混合物を含むか、若しくは混合物から本質的になる;(iii)籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物からなるか、若しくは混合物から本質的になる;又は(iv)少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含み、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマスに由来する材料が、前記固体バイオマス燃料中に、前記固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在し、任意に前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、請求項2~8及び22のいずれかに記載の通りである、前記使用。
【請求項33】
1又は2以上のバイオマスの供給源を、請求項1~23のいずれかに記載の方法において使用することを含む、及び/又は固体バイオマス燃料が、請求項24~26のいずれかに記載のものである、請求項32に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。さらに、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電は、世界中で発電所及び工業プロセスにおいて使用されている。石炭及び他の化石燃料は、非再生可能エネルギー資源である。ここ数十年にわたって、石炭火力発電所における石炭の消費を低減し、代わりにエネルギーのために再生可能資源を使用することが要求されている。
【0003】
バイオマスに由来する燃料は、石炭に取って代わる、又は少なくとも部分的に取って代わるように使用することができる、再生可能エネルギー源の一例である。バイオマス由来燃料は、発電所におけるエネルギーを生じるための燃焼方法において、酸素の存在下で燃やすことができる。バイオマス由来燃料は、当初は石炭燃焼用に設計された伝統的な発電所において燃焼させることができ、又はバイオマス由来燃料は、特にバイオマス燃焼用に建設された発電所において燃焼させることができる。ある特定の形態のバイオマスは、石炭と混合して、発電所内の同じ燃焼方法において燃焼させることができる。このような方法は、バイオマスの石炭同時焼成として公知である。石炭との同時焼成に好適であるためには、バイオマス由来燃焼は、典型的には、特性に関するある特定のレベルの質及び均質性など、ある特定の特性を有しなければならない。例えば、均質なサイズ、密度、水分率等の粒子を含むバイオマス燃料は、同時焼成方法に特に望ましい。バイオマス燃料が低レベルの灰を含有することも望ましい。バイオマス由来燃料中の灰のレベルは、典型的には、石炭に見られるレベルよりも高い。
【0004】
バイオマス供給源から固体バイオマス燃料を生成するための様々な方法が公知である。国際公開第2014/087949号パンフレットは、バイオマスの供給源を水蒸気爆砕した後でバイオマスブロックに成型し、次いで、バイオマス燃料が形成されるように加熱する、固体バイオマス燃料を生成するための方法を開示している。この方法の狙いは、貯蔵時の十分な取り扱い性を有し、貯蔵時の排水中の化学的酸素要求量(COD,chemical oxygen demand)が低減した、バイオマス燃料を生成することである。この方法において使用されるバイオマス供給源は、パーム核外殻(palm kernel shell)である。
【0005】
国際公開第2016/056608号パンフレットは、国際公開第2014/087949号パンフレットの教示のもとに構築され、燃料を生成するために水蒸気爆砕ステップを必要としない、固体バイオマス燃料を製造するための方法を開示している。この方法は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成型する、成型するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する。前記方法における使用について教示されるバイオマス供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムなどの樹木である。
【0006】
国際公開第2017/175733号パンフレットは、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成型する、成型するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する、同様の方法を開示している。国際公開第2017/175733号パンフレットの方法は、低崩壊性を呈し、雨水に曝露した場合の排水中のCODの低減を達成するバイオマス燃料を提供することを対象とする。この方法に使用されるバイオマスの供給源は、ゴムノキ、アカシア、メランティ、ユーカリ、チーク、及びカラマツとトウヒとカバノキとの混合物から選択される。
【0007】
国際公開第2019/069849号パンフレットは、輸送及び貯蔵が容易であり、貯蔵時の自然燃焼への抵抗性があるバイオマス燃料を提供することを狙いとする。バイオマス燃料は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成型する、成型するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する方法によって作製される。燃料を生成するためのバイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア樹木、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、並びにトウヒ、マツ、及びモミから選択される。
【0008】
国際公開第2019/069860号パンフレットは、バイオマス固体燃料を生成するための装置を開示している。この装置は、成型バイオマス生成物を炭化させて、バイオマス固体燃料を得るための炭化炉を含む。この装置は、収率算出ユニット、温度測定ユニット、及び制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、バイオマス燃料の自然燃焼特性に基づいて、炭化炉に適用される熱を制御する。成型バイオマス生成物は、バイオマス供給源を微粉化してペレットにした後、前記ペレットを成型バイオマス燃料に成型することによって形成される。バイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア、フタバガキ(dipterocarp)、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、又はトウヒとマツとモミとの混合物から選択される。
【0009】
国際公開第2018/181919号パンフレットは、固体バイオマス燃料を生成するための、上に論じたものとは異なる方法を開示している。この方法には、バイオマスの供給源を、バイオマスが炭化されるように熱水中で加圧する、バイオマスの水熱炭化のステップが伴う。この方法は、高収率かつ低減した製造コストで、高い微粉砕性を有するバイオマス燃料を提供することが報告されている。バイオマスの供給源は、殻、パーム核外殻、ココヤシ、竹、空果房、アンズ、及びナスから選択される。
【0010】
国際公開第2017/175737号パンフレットは、炭化バイオマスを冷却するための冷却装置を開示している。この装置は、半炭化成型バイオマスの冷却効率を改善する。この装置はバイオマスを、水を噴霧することによって冷却する。冷却器は、振動平板、及び平板に水を噴霧するための噴霧セクションを含む。バイオマス燃料は、上に論じたものと同じ方法によって生成する。バイオマス燃料を生成するためのバイオマスの供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムノキである。
【0011】
最後に、国際公開第2014/050964号パンフレットは、石炭とともに微粉砕できるように、バイオマスの微粉砕性を改善するための方法を開示している。この方法には、微粉砕木質バイオマスの水分率を10~50%に上昇させること、0.55g/cm3以上の密度を有するようにバイオマスを高密度化した後、バイオマスを焙焼に供することが伴う。バイオマスの供給源としては、ウッドチップ、樹皮、経木、及びおがくずが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2014/087949号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/056608号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2017/175733号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2019/069849号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2019/069860号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2018/181919号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2017/175737号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2014/050964号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の発明者らは、上の文献において論じられた固体バイオマス燃料及びその製造のための方法が、これらに関連する様々な問題を有することを認識している。例えば、上の文献に記載されるバイオマス供給源はすべて、典型的には天然にのみ存在し、商業規模において栽培及び収穫することが容易ではない植物及び樹木である。本発明者らは、商業規模において容易に成長させ、収穫できるバイオマスの供給源を有することが有利であると認識している。バイオマス供給源の質及び特定の特徴を制御できるように、成長させ、収穫できるバイオマスの供給源を有することも有利である。
【0014】
加えて、本発明者らは、すべて木質材料又は同様の材料を含む、上の文献に記載されるバイオマスの供給源は、当技術分野において公知である従来の微粉化技法に供する場合、均質度の低い粒子を形成することを見出した。さらに、バイオマス供給源を微粉化することは、木材及び木材様材料は微粉化が困難であるという性質に起因して、費用がかかる。本発明の発明者らは、当技術分野において公知である従来の微粉化技法によってより容易に微粉化され、微粉化した場合により均質なサイズの粒子を形成するバイオマスの供給源を有すること、又は固体バイオマス燃料への変換の前に、微粉化を必要としないバイオマスの供給源を有することは、有利であると認識している。
【0015】
加えて、本発明者らは、上の文献において論じられたバイオマス供給源から調製される、及び上の文献における方法によって調製される、固体バイオマス燃料は、十分な防水特徴を有しないことを見出した。固体バイオマス燃料は、燃焼方法(単独で、又は石炭との同時焼成の場合のいずれか)に使用する時点で乾燥(又は少なくとも十分に乾燥)している必要があるため、防水特徴は固体バイオマス燃料には重要である。バイオマス燃料は、貯蔵又は輸送中に(例えば雨水から)、頻繁に水分に曝露される。したがって、防水能力が上昇したバイオマス燃料が望ましい。
【0016】
本発明者らはまた、上の文献に記載されるバイオマス燃料生成方法は、十分な質及び均一性を有する燃料を提供しないことを認識している。特に、上に論じた方法は、成型するステップ中のバイオマスの密度の十分な制御を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以前の方法に関連して上に論じた問題に対処するものである。驚くべきことに、固体バイオマス燃料を提供するのに有用な、ある特定のバイオマスの供給源を、商業規模において成長させ、収穫できることを見出した。そうすることで、決まった一定のバイオマスの供給源を、燃料の生成のために、成長サイクルにおいて提供することができる。加えて、前記バイオマスの供給源を商業規模において成長させ、収穫すると、例えば、栽培及び交配の技法によって、バイオマス供給源の質及び均一性を制御することができる。
【0018】
加えて、有利なことに、ある特定のバイオマスの供給源は、固体バイオマス燃料への加工の前に微粉化が必要ではなく、したがって、加工に関連するコストが低減することを見出した。
【0019】
上記に加えて、本発明の発明者らはまた、方法における成型するステップ及び/又は加熱するステップを変更することによって、改善された防水特徴を有するバイオマス燃料を提供できることを見出した。本発明の方法における成型するステップ及び加熱するステップの適応及び制御によって、固体バイオマス燃料生成物の質及び均一性が改善し、燃焼方法における使用に非常に好ましいある特定の物理的特性が、固体バイオマス燃料生成物に付与されることも見出した。さらに、成型するステップ及び加熱するステップを適応させることで、固体バイオマス燃料の収率が上昇し、輸送及び貯蔵を容易にする特性が、燃料に付与されることが見出されている。本発明者らは、バイオマス供給源の性質と、成型及び加熱するステップの特定の特性とがともに作用して、当技術分野において公知のものを超える、燃焼方法における使用のための優れたバイオマス燃料生成物を提供することを見出した。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、
(i)1000μm~10000μmの粒子サイズを有する1又は2以上のバイオマス粉末を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマス粉末を、0.25~5時間の期間、160℃~420℃の温度に加熱して、加熱バイオマス生成物を提供するステップ、及び
(iii)加熱バイオマス生成物を成型して、固体バイオマス燃料を提供するステップ
を含み、
1又は2以上のバイオマス粉末が、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来し、1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻からなるか、若しくは籾殻から本質的になる;(ii)籾殻と、混合木材などの木材との混合物を含むか、若しくは混合物から本質的になる;(iii)籾殻とカリアンドラ・カロティルスス(calliandra callothyrsus)との混合物からなるか、若しくは混合物から本質的になる;又は(iv)少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含み;1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマスに由来する材料が、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、方法が提供される。
【0021】
実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる。
【0022】
別の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、混合木材などの木材、カリアンドラ・カロティルスス、又はこれらの組合せをさらに含む。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、(i)籾殻及びカリアンドラ・カロティルスス、又は(ii)籾殻及び混合木材などの木材を含む。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻と混合木材などの木材との混合物からなるか、又は混合物から本質的になる。別の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物からなるか、又は混合物から本質的になる。別の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含む。
【0023】
実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻を含む。一実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量の混合木材などの木材とを含む。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、ココナッツ外殻又は藁を含まない。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻と混合木材などの木材とから本質的になり、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量の混合木材などの木材とを含む。別の一実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量のカリアンドラ・カロティルススとを含む。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとから本質的になり、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量のカリアンドラ・カロティルススとを含む。
【0024】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップは、好ましくは0.4~3時間、例えば0.4~2時間、又は0.5~3時間、例えば0.4~2時間の期間行われる。
【0025】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップは、1又は2以上のバイオマス粉末を、180℃~350℃の温度に、好ましくは210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0026】
好ましくは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)は、成型バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱することを含む。
【0027】
好ましくは、この方法は、加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)の前に、加熱バイオマス生成物を冷却するステップをさらに含む。
【0028】
1又は2以上のバイオマス粉末を準備するステップ(i)は、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を微粉化すること、及び/又は1若しくは2以上のバイオマス粉末を混合することを含んでもよい。
【0029】
典型的には、この方法は、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)の前に、1又は2以上のバイオマス粉末を乾燥させるステップを含みうる。
【0030】
加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)は、固体バイオマス燃料のその密度が制御されるように、成型するステップを適応させることを含んでもよい。好ましくは、固体バイオマス燃料の密度が制御されるように、成型するステップを適応させることは、前記成型するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む。
【0031】
好ましくは、この方法は、加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)の前に、加熱バイオマス生成物に添加剤を加えるステップを含む。好ましくは、添加剤は、固体バイオマス燃料の収率を上昇させるように加える。
【0032】
1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)を、典型的には、加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させる。好ましくは、ステップ(ii)を加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させることは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(ii)を実施することを含む。より好ましくは、ステップ(ii)を、加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させることは、1又は2以上のバイオマス粉末の回転の速さ又は方向を制御することを含む。最も好ましくは、1又は2以上のバイオマス粉末を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。
【0033】
DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度は、典型的には0.40kg/l~0.65kg/l、好ましくは0.45kg/l~0.60kg/l、最も好ましくは0.50~0.60kg/lである。
【0034】
DIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性は、典型的には、95%以上、96%以上、97%以上、又は98%以上である。
【0035】
この方法のいくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源及び固体バイオマス燃料は、次の通りである:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻を含むか、又は籾殻から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.40kg/L~0.48kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻と混合木材などの木材との混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.50kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、又は
(iii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.45kg/L~0.60kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
バルク密度はDIN EN 15103によって決定され、機械的耐久性はDIN EN 15210-1によって決定される。
【0036】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量は、0.05重量%以下、好ましくは0.04重量%以下、最も好ましくは0.03重量%以下であり、総乾燥硫黄含有量はDIN EN 15289によって決定される。
【0037】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量は、5重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、総乾燥水素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0038】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量は、34重量%以上、好ましくは34重量%~40重量%、より好ましくは34重量%~38重量%であり、総乾燥酸素含有量はDIN EN 15296によって決定される。
【0039】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量は、40重量%以上、好ましくは45重量%~55重量%、より好ましくは50重量%~52重量%であり、総乾燥炭素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0040】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量は、0.5重量%未満、好ましくは0.4重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満であり、総乾燥窒素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0041】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料は、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間防水性である。
【0042】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)は、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下であり、化学的酸素要求量はGB/11914-89によって決定される。
【0043】
典型的には、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、28重量%以上、好ましくは28重量%~35重量%、より好ましくは30重量%~33重量%であり、固定炭素含有量はDIN EN 51734によって決定される。
【0044】
典型的には、固体バイオマス燃料の灰分は、25重量%未満、好ましくは20重量%未満、最も好ましくは18重量%未満であり、灰分は550℃において、EN 14775によって決定される。
【0045】
典型的には、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、40重量%~65重量%、より好ましくは45重量%~60重量%であり、揮発性物質含有量はDIN EN 15148によって決定される。
【0046】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料の水分率は、8重量%未満、好ましくは6重量%未満、最も好ましくは5重量%未満であり、水分率はDIN EN 14774によって決定される。
【0047】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料の発熱量は、4300kcal/kg乾燥質量~6500kcal/kg乾燥質量であり、発熱量はDIN EN 14918によって決定される。
【0048】
典型的には、成型バイオマス生成物のバルク密度がAであり、固体バイオマス燃料のバルク密度がBであって、B/Aは0.55~1であり、バルク密度はDIN EN 15103によって決定される。
【0049】
好ましくは、この方法は、成型するステップの前に、石炭、酸化剤、点火剤、又はこれらの組合せを加熱バイオマス生成物に加えることを含まず、固体バイオマス燃料は、石炭、酸化剤、点火剤、又はこれらの組合せを含まない。
【0050】
実施形態では、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)は、1又は2以上のバイオマス粉末を、30分~5時間、任意に1時間~5時間の期間、加熱することを含む。
【0051】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による方法によって得ることができる又は得られた固体バイオマス燃料が提供される。
【0052】
本発明の第3の態様によれば、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻からなるか、若しくは籾殻から本質的になる;(ii)籾殻と、混合木材などの木材との混合物を含み、若しくは混合物から本質的になる;(iii)籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物からなるか、若しくは混合物から本質的になる;又は(iv)少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含み、1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマスに由来する材料が、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、固体バイオマス燃料が提供される。
【0053】
実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻と混合木材などの木材とを含む。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量の混合木材などの木材とを含む。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、ココナッツ外殻又は藁を含まない。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻と混合木材などの木材とから本質的になり、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量の混合木材などの木材とを含む。
【0054】
別の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物を含み、籾殻は、1又は2以上のバイオマスの供給源の総重量の少なくとも15重量%の量で存在する。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量のカリアンドラ・カロティルススとを含む。実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとから本質的になり、1又は2以上のバイオマスの供給源は、20重量%~80重量%の量の籾殻と、20重量%~80重量%の量のカリアンドラ・カロティルススとを含む。
【0055】
DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度は、典型的には0.40kg/l~0.65kg/l、好ましくは0.45kg/l~0.60kg/l、最も好ましくは0.50~0.60kg/lである。
【0056】
DIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性は、典型的には、95%以上、96%以上、97%以上、又は98%以上である。
【0057】
この方法のいくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源及び固体バイオマス燃料は、次の通りである:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻を含み、又は籾殻から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.40kg/L~0.48kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻と混合木材などの木材との混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.50kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、又は
(iii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物を含み、固体バイオマス燃料は、0.45kg/L~0.60kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
バルク密度はDIN EN 15103によって決定され、機械的耐久性はDIN EN 15210-1によって決定される。
【0058】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量は、0.05重量%以下、好ましくは0.04重量%以下、最も好ましくは0.03重量%以下であり、総乾燥硫黄含有量はDIN EN 15289によって決定される。
【0059】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量は、5重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、総乾燥水素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0060】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量は、34重量%以上、好ましくは34重量%~40重量%、より好ましくは34重量%~38重量%であり、総乾燥酸素含有量はDIN EN 15296によって決定される。
【0061】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量は、40重量%以上、好ましくは45重量%~55重量%、より好ましくは50重量%~52重量%であり、総乾燥炭素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0062】
典型的には、生成するバイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量は、0.5重量%未満、好ましくは0.4重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満であり、総乾燥窒素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0063】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料は、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間防水性である。
【0064】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)は、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下であり、化学的酸素要求量はGB/11914-89によって決定される。
【0065】
典型的には、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、28重量%以上、好ましくは28重量%~35重量%、より好ましくは30重量%~33重量%であり、固定炭素含有量はDIN EN 51734によって決定される。
【0066】
典型的には、固体バイオマス燃料の灰分は、25重量%未満、好ましくは20重量%未満、最も好ましくは18重量%未満であり、灰分は550℃において、EN 14775によって決定される。
【0067】
典型的には、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、40重量%~65重量%、より好ましくは45重量%~60重量%であり、揮発性物質含有量はDIN EN 15148によって決定される。
【0068】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料の水分率は、8重量%未満、好ましくは6重量%未満、最も好ましくは5重量%未満であり、水分率はDIN EN 14774によって決定される。
【0069】
典型的には、生成する固体バイオマス燃料の発熱量は、4300kcal/kg乾燥質量~6500kcal/kg乾燥質量であり、発熱量はDIN EN 14918によって決定される。
【0070】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第2及び第3の態様に従った固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法が提供される。
【0071】
一実施形態では、化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる。好ましくは、化石燃料は石炭を含む。
【0072】
一実施形態では、方法におけるPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0073】
本発明の第5の態様によれば、燃焼方法における燃料としての、本発明の第2及び第3の態様による固体バイオマス燃料の使用が提供される。
【0074】
好ましくは、燃焼方法は、化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成するステップを含む。好ましくは、化石燃料は石炭である。
【0075】
一実施形態では、方法におけるPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0076】
本発明の第6の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)籾殻からなるか、若しくは籾殻から本質的になる;(ii)籾殻と、混合木材などの木材との混合物を含むか、若しくは混合物から本質的になる;(iii)籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物からなるか、若しくは混合物から本質的になる;又は(iv)少なくとも15重量%の量の籾殻と、カリアンドラ・カロティルススとを含み、1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなるか、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマスに由来する材料が、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、使用が提供される。
【0077】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、本発明の第1及び第3の態様に従って上に記載した通りである。
【0078】
好ましくは、使用は、1又は2以上のバイオマスの供給源を、本発明の第1の態様による方法に使用することを含む。
【0079】
好ましくは、固体バイオマス燃料は、本発明の第1及び第3の態様に従って上に記載した通りである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
例として、添付の図を参照しながら、本発明をここに記載する。
【
図2】成型するステップ中の生成収率における差異を図示したグラフである。バイオマス供給源は籾殻からなる。
【
図3】本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、X軸の圧縮比に対する、Y軸の生産性を図示したグラフである。ここでのバイオマス供給源は、籾殻からなる。
【
図4】本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、x軸の圧縮比に対する、y軸(kg/L)の密度を図示したグラフである。バイオマス供給源は籾殻からなる。
【
図5】本発明のバイオマス燃料生成物の写真である。
【
図6】本発明の複数の生成物のバルク密度を図示したグラフである。
【
図7】本発明の複数の生成物の耐久性を図示したグラフである。
【
図8】本発明の複数の生成物の硫黄含有量を図示したグラフである。
【
図9】本発明の複数の生成物の酸素含有量を図示したグラフである。
【
図10】本発明の複数の生成物の炭素含有量を図示したグラフである。
【
図11】本発明の複数の生成物の窒素含有量を図示したグラフである。
【
図12】本発明の複数の生成物の固定炭素含有量を図示したグラフである。
【
図13】本発明の複数の生成物の灰分含有量を図示したグラフである。
【
図14】本発明の複数の生成物の水分率を図示したグラフである。
【
図15】本発明の複数の生成物の揮発性物質含有量を図示したグラフである。
【
図16】本発明の複数の生成物のPM1.0排出を図示したグラフである。
【
図17】人工気候室における、本発明の生成物の試験の結果を示すグラフである。
【
図18】人工気候室における、本発明の生成物の別の試験の結果を示すグラフである。
【
図19】人工気候室における、本発明の生成物の別の試験の結果を示すグラフである。
【
図20】気候室における試験後の、本発明の複数の生成物の表面水分率の結果を示すグラフである。
【
図21】本発明の方法の成型するステップにおいて使用されうる圧縮型の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
バイオマスの供給源
本発明に従って使用される1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に記載したもののいずれであってもよい。好ましい実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、籾殻を含む、籾殻から本質的になる、又は籾殻からなる。1又は2以上のバイオマスの供給源が籾殻と、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源とを含む場合、1又は2以上のバイオマスの供給源は、5重量%~95重量%など、任意の特定の量の籾殻を含有しうる。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源が籾殻と、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源を含む場合、籾殻は、1又は2以上のバイオマスの供給源の総量の10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、又は40重量%~60重量%の量で存在する。
【0082】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの混合物を含む、又は混合物からなる場合、籾殻は、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の総重量の少なくとも15重量%の量で存在する。好ましくは、籾殻は、存在する1又は2以上のバイオマスの供給源の総量の20重量%~80重量%の量で存在する。1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻と混合木材などの木材との混合物を含む、又は混合物からなる場合、籾殻は、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の総重量の少なくとも15重量%の量で存在する。好ましくは、籾殻は、存在する1又は2以上のバイオマスの供給源の総量の20重量%~80重量%の量で存在する。
【0083】
上に記載した1又は2以上のバイオマスの供給源のそれぞれは、当技術分野において公知の慣例的な方法によって、入手する、又は収穫することができる。
【0084】
本明細書で使用される場合、「木材」という用語は典型的には、基本的に、樹木又は低木の幹、枝、及び根の大部分を占める、樹皮の下の木部からなる、硬い繊維質物体を指すために使用される。木材は、葉状植物においては、限定的な範囲でのみ見出される。「木材」という用語のこの定義は、当技術分野において一般に理解される定義に一致する。本明細書で使用される場合、「混合木材」という用語は、2種類又は3種類以上の木材の混合物を指すために使用される。2種類又は3種類以上の木材は、混合木材が少なくとも2種類の木材を含む限り、任意の量で混合木材中に存在してよい。
【0085】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、任意のさらなる不定の成分が存在してもよいことを意味するために使用される。本明細書で使用される「からなる(consisting)」という用語は、特に列挙されたもの以外のさらなる成分が、存在してはならないことを意味するために使用される。本明細書で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、さらなる不定の成分が存在してもよいが、これらの成分は、組成物の本質的な特徴には実質的に影響しないことを意味するために使用される。
【0086】
上に記載したように、本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源は、商業規模において成長させ、収穫することができ、先行技術において使用される材料と比較して、バイオマス供給源の質及び特定の特性の制御の上昇を提供することが見出されている。前記材料の使用によって、必要な伐採など、樹木を使用することに関連する環境への損害も回避される。上記利点は特に、籾殻とカリアンドラ・カロティルススとの使用に関連する。
【0087】
本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源の使用では、驚くべきことに、前記以前から使用されていた材料よりも、微粉砕するのが容易であることも見出されている。いくつかの材料については、微粉砕がまったく必要ないことさえ見出されている。これによって、微粉砕プロセスのコストが低減する。特に、籾殻は一般に、微粉砕が必要ではない。カリアンドラ・カロティルススは微粉砕を必要とするが、前記以前から使用されていた材料よりも、微粉砕するのが容易であることが見出されている。
【0088】
本発明の材料の使用はまた、微粉砕する場合、前記以前から使用されていた材料よりも、均質な粒子サイズのミックスを提供する。理論によって限定されるものではないが、これによって、バイオマス燃料生成物のより高い一様性及び連続性など、最終的な固体燃料生成物に有利な特性が付与されると考えられる。これは、複数の理由により、燃焼方法において望ましい。
【0089】
籾殻も、世界のある特定の地域においてはコメが豊富であることに起因して、バイオマスの供給源として特に有用であると考えられる。現在、世界でコメを作付けするために使用される面積は約1億5500万ヘクタールであり、中国だけで3100万ヘクタールが使用され、コメ栽培のために使用される世界の表面積の約20%を占める。中国の全コメ生産は世界で1位であり、全世界の生産の31%を占める。籾殻(
図1に示す)は、コメの処理中に生成する主な副生成物である。籾殻はクリーンであり、豊富な埋蔵量を有する再生可能資源である。籾殻はまた、コメ生産プロセスの豊富な副生成物であるため、安価でもある。
【0090】
しかしながら、籾殻は、低い充填密度を有し、少なくともこの理由のために、輸送するのに不便である。さらに、農業及び林業において籾殻を直接焼却する場合、塵が大気汚染を生じさせうる。他の以前から使用されていたバイオマス原材料と比較した、籾殻の使用の利点は、高価な微粉化加工を受けることが、籾殻には必要ないことである。しかしながら、籾殻の欠点は、従来のバイオマス燃料生成方法を使用して籾殻から燃料を作製する場合、得られる燃料が、単位体積当たりで十分なエネルギーを生じないことである。したがって、当技術分野において、上に記載した欠点を緩和する、籾殻から固体バイオマス燃料を生成するための方法が必要である。本発明の方法は、前記欠点を緩和することが見出されている。
【0091】
籾殻の使用に関連する他の利点としては、出発材料としての籾殻のサイズ及び密度における一様性が挙げられ、これは、下でさらに詳細に記載するように、前記籾殻を事前に成型することなく、直接焙焼できることを意味する。籾殻から生成される固体バイオマス燃料は、異なる出発材料に由来するバイオマス固体燃料と比較する場合、上昇した防水特徴を有することも見出されている。
【0092】
本明細書で使用される籾殻(rice husk)という用語は、コメ外皮(rice hull)という用語と互換的に使用される。
【0093】
バイオマスの混合&微粉化
1000μm~10000μmの粒子サイズを有する1又は2以上のバイオマス粉末を準備するステップ(i)は、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化することを含んでもよい。
【0094】
バイオマス供給源は、当技術分野において公知の標準技法によって、バイオマス粉末に微粉化されうる。バイオマス供給源は、バイオマス粉末が1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、微粉化されうる。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は微粉化されて、1000μm~8000μm、2000μm~8000μm、又は2000μm~6000μmの平均粒子直径を有する。上に記載したたように、本発明における使用のために特定のバイオマス供給源を微粉化することで、以前から公知のバイオマス供給源を微粉砕することによって提供されるよりも小さい、有利な粒子サイズ分布を有するバイオマス粉末が提供されることが見出されている。これは、カリアンドラ・カロティルススについては特にそうである。
【0095】
実施形態では、この方法は、籾殻を微粉化するステップを含む。代替実施形態では、この方法は、籾殻を微粉化するステップを含まない。上に記載したように、籾殻を使用する利点は、自然に存在する粒子サイズに起因して、微粉化を必ずしも必要としないことである。
【0096】
1又は2以上のバイオマス粉末を準備するステップ(i)はまた、籾殻を1又は2以上の他のバイオマスの供給源と混合することを含んでもよい。混合することは、当技術分野において公知の標準的な技術を使用して行われうる。実施形態では、籾殻に加えて1又は2以上のバイオマスの供給源を、1000μm~10000μmの粒子サイズを有するように微粉化する。別の実施形態では、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源は、1000μm~10,000μmの自然に存在する粒子サイズを有しうるため、微粉化する必要がない。
【0097】
バイオマス粉末の加熱
1又は2以上のバイオマス粉末を、加熱バイオマス生成物が生成されるように加熱する。加熱は、0.25~5時間の期間、160℃~420℃の温度において行われる。好ましくは、成型バイオマス生成物を加熱するステップは、0.4~2時間の期間行われる。好ましくは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップは、1又は2以上のバイオマス粉末を、180℃~350℃の温度に、より好ましくは210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0098】
好ましくは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)は、1又は2以上のバイオマス粉末の焙焼を誘導するための条件下で、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱することを含む。焙焼は、10%未満の酸素含有量の雰囲気など、低酸素雰囲気において加熱を行う、穏やかな熱分解のプロセスである。焙焼の好適な条件及びプロセスは、当技術分野において公知である。したがって、好ましくは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)は、焙焼を含む。
【0099】
加熱するステップは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するために好適な、当技術分野において公知である任意の装置において実施できる。例えば、加熱するステップは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されている装置において、開示されているプロセス条件を使用して実施できる。
【0100】
好ましくは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱するステップ(ii)を、加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(ii)を、加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させることは、1又は2以上のバイオマス粉末を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(ii)を実施することを含み、任意に、ステップ(ii)を、加熱バイオマス生成物の均一性が制御されるように適応させることは、1又は2以上のバイオマス粉末の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、1又は2以上のバイオマス粉末を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。加熱バイオマス生成物の均一性も、上に記載した加熱温度及び期間によって最適化される。理論によって限定されるものではないが、加熱バイオマス生成物におけるより高い均一性は、ひとたび成型されると固体バイオマス燃料生成物に伝わり、その結果、より均一な固体バイオマス燃料が生成されると考えられる。
【0101】
本発明の方法が、バイオマスを加熱するステップの後に冷却するステップを含む場合、冷却するステップは、バイオマスを回転させることを含んでもよい。バイオマスは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されているものなど、好適な装置において回転させてもよい。好ましくは、加熱するステップ(ii)と、バイオマスを冷却するステップとの両方が、バイオマスを回転させることを含む。冷却するステップ又は加熱するステップのいずれかにおいてバイオマスを回転させる場合、バイオマスを、連続サイクルにおいて時計回りと反時計回りとの両方など、異なる方向に回転させてもよい。
【0102】
固体バイオマス生成物の「均一性」という用語は、固体バイオマス燃料又は加熱バイオマス生成物の各粒子まで、及び固体バイオマス燃料生成物又は加熱バイオマス生成物のバルク試料内の複数の粒子まで、一定の又は同様の特性を有する固体バイオマス燃料又は加熱バイオマス生成物を指すために使用される。例えば、限定するものではないが、粒子の密度、粒子の燃焼の容易さ、粒子の化学組成、及び粒子の水抵抗特性。均一性は、燃焼方法において使用するためのバイオマス燃料について、非常に望ましい特性である。
【0103】
本発明者らはまた、上に記載したように加熱するステップを制御すると、先行技術のバイオマス燃料と比較して、増強された防水特性を有する固体バイオマス燃料生成物の提供がさらに支援されることを見出した。加熱するステップの間に、バイオマス粉末中に存在する、水を吸収する親水性化合物が分解する。さらに、加熱するステップによって、バイオマス粉末中に存在する油が、バイオマス粉末粒子の外部に移動して、前記粒子の疎水性が上昇する。
【0104】
加熱バイオマス生成物の成型
バイオマス粉末を、固体バイオマス燃料が提供されるように成型する。成型するステップは、当技術分野において公知である任意の成型装置において、当技術分野において公知のバイオマス成型技法に従って行ってよく、押出成形システムを含んでもよい。好ましくは、成型するステップは、圧縮型において行われる。好ましくは、圧縮型は、成型物脱出孔を含む。成型するステップは、中国特許第105435708号明細書に記載される装置を使用して行ってもよい。
【0105】
好ましくは、成型するステップは、バイオマス粉末をペレットに成型することを含む。したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料生成物はバイオマスペレットを含む。
【0106】
バイオマス粉末を成型して成型バイオマス生成物を生成することは公知であるが、本発明の本発明者らは、驚くべきことに、成型するステップを、前記ステップから生成される成型バイオマス生成物の密度が、ある特定の範囲内に制御されるように適応させることで、最終的な固体バイオマス燃料生成物に、ある特定の有利な特性が付与されることを発見した。特に、成型するステップを、成型バイオマス生成物の密度が0.60~1.30kg/Lの範囲内となるように制御することで、最終的なバイオマス燃料生成物に有利な特性が付与されることが見出された。好ましくは、成型するステップを、成形バイオマス生成物の密度が0.70kg/L~1.25kg/Lの範囲内となるように制御する。
【0107】
成型するステップは、多様な方法で制御されうる。成型するプロセスが圧縮型の使用を含む場合、3.8~6.5の圧縮比を使用することによって、密度が制御される。典型的には、圧縮比が小さいほど、成型バイオマス生成物の密度が低くなる。しかしながら、圧縮比が大きいほど、成型バイオマス生成物の収率が低くなる。
【0108】
成型物脱出孔を有する圧縮型についての圧縮比は、成型物脱出孔の長さと直径との比として定義されうる。
【0109】
図21は、本発明に従って使用されうる圧縮型の例を示す。加熱バイオマス生成物を型の内部に挿入した後、図における成型物脱出孔を出ていくように、圧力によって型の内側から押し出す。圧力比を、成型物脱出孔の長さと直径との比として図に示す。
【0110】
本発明の方法において、好ましくは、バイオマス粉末を成型するステップ(iii)は、成型バイオマス生成物のその密度が0.70kg/L~1.25kg/Lの範囲内に制御されるように、成型するステップを適応させることを含む。好ましくは、圧縮型を使用し、圧縮型の圧縮比を制御することによって、密度が制御される。より好ましくは、圧縮比は3.8~6.5である。
【0111】
成型するステップ中の成型バイオマス生成物の密度を制御することで、驚くべきことに、最終的なバイオマス燃料生成物に防水能の上昇が提供されることが見出されている。好ましくは、0.70kg/L~1.25kg/Lの範囲内の密度を有する成型バイオマス生成物から生成される固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは最大30日間、十分に防水性である。
【0112】
好ましくは、加熱バイオマス生成物を成型するステップ(iii)の前に、加熱バイオマス生成物に添加剤を加える。前記添加剤は、成型プロセスを改善し、成型するステップから生成される成型バイオマス生成物の収率を上昇させると考えられる。好適な添加剤は、当技術分野において公知であり、限定するものではないが、デンプン又はデンプン誘導体が挙げられる。
【0113】
図2は、成型するステップ中に添加剤を含む場合の、添加剤を含まない場合に対する、成型するステップの後の収率の差を示し、1又は2以上のバイオマスの供給源は籾殻からなる。成型する前に添加剤を加熱バイオマス生成物に加える場合、より高収率が得られることを見て取ることができる。
【0114】
図3は、本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、X軸の圧縮比に対する、Y軸の生産性を図示したグラフである。ここでのバイオマス供給源は、籾殻からなる。
【0115】
図4は、本発明の方法に従って生成した成型バイオマス生成物について、x軸の圧縮比に対する、y軸(kg/L)の密度を図示したグラフであり、バイオマス供給源は籾殻からなる。
【0116】
本発明の方法において、ひとたび成型するステップ(iii)が行われると、いくつかの実施形態では、成型するステップの直接生成物(本明細書では成型バイオマス生成物と呼ばれる)を、燃焼方法における固体バイオマス燃料として直接使用してもよい。代替実施形態では、成型バイオマス生成物を、固体バイオマス燃料生成物が提供されるように、さらに処理してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、固体バイオマス燃料を形成するように、成型するステップの直接生成物(成型バイオマス生成物)を処理するステップをさらに含む。
【0117】
本発明には、加熱バイオマス粒子を成型する前に、バイオマス粉末を加熱することを伴う。これは、バイオマスの焙焼の前に成型が行われる、公知の方法とは対照的である。成型する前の焙焼の利点は、大きいサイズの成型ペレットと比較して、バイオマス粉末の粒子サイズが小さく、表面積が大きいことに起因して、焙焼プロセスがより容易であり、必要となるエネルギーがより少ないことである。成型の後に焙焼を行う方法では、いくつかの方法において、成型ペレットの外部のみが効果的に焙焼され、内部は効果的に焙焼されない。さらに、成型ペレットの焙焼は、加熱するステップ中にペレットのクラック形成を招くことがある。したがって、焙焼後に成型することが有利であると見出されている。
【0118】
しかしながら、公知の方法には、均一で均質な形状化ペレット生成物を提供するためには成型が必要であるため、焙焼の前に成型することが伴う。焙焼に供するバイオマス粒子は、均一なサイズのものであることが非常に望ましい。様々なタイプの木材などの以前から公知のバイオマス出発材料については、木材を小さな粒子に破壊するために使用される微粉砕プロセスは、十分に均一な微粉砕生成物を提供しないため、焙焼前に成型することが必要である。したがって、焙焼のための均一な生成物を提供するために、前記微粉砕粒子を成型することが必要である。対照的に、バイオマス出発材料として籾殻を使用する場合、有利なことに、籾殻粒子が小さく均一なサイズで自然に存在し、大きな表面積の一様な生成物を生成するための微粉砕が必要でないか、又は最小限の微粉砕のみが必要とされるかのいずれかであることに起因して、成型する前に焙焼を行ってもよい。前記生成物は成型せずに焙焼することができ、したがって、上に記載した利点が提供される。
【0119】
典型的には、上に記載したものなどの添加剤の他には、成型するステップ中の加熱バイオマス生成物に、他の燃料供給源を加えない。したがって、成型するステップの成型バイオマス生成物(すなわち固体バイオマス燃料)は、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、加熱バイオマス生成物をペレットに成型する場合、典型的には、成型するステップによって生成される固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成型する前に、他の燃料供給源を加熱バイオマス生成物に加えない。したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなる、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマス固体燃料は、バイオマスに由来する材料の燃料の全燃料含有量の少なくとも95重量%を構成する。
【0120】
これは、当技術分野において公知のある特定の方法とは対照的であり、この場合、固体燃料ペレットが成型するステップにおいて生成され、成型するステップ中に、バイオマスに由来する材料が、石炭などの代替燃料供給源と混合される。したがって、前記ペレットは、バイオマスに由来する材料と、石炭などの追加の燃料供給源も含むことになる。
【0121】
固体燃料の全燃料含有量という用語が本明細書において使用される場合、これは、バイオマス由来材料及び石炭など、可燃性材料である固体燃料の成分を指すことが意図される。固体燃料に対する燃料含有量という用語は、固体燃料ペレット中に存在しうる、それ自体の燃焼によってエネルギーを生じない添加剤を包含することを意図しない。
【0122】
成型するステップはまた、最終的なバイオマス固体燃料生成物の防水特性を高めることも見出されている。成型するステップ中に起こる密度の上昇は、より高密度の成型バイオマス生成物粒子には、水がより染み込みにくいことを意味する。さらに、生成物が高密度化するにつれて、より多くのバイオマスが成型物の内部に濃縮され、水とは直接接触しなくなる。
【0123】
固体バイオマス燃料生成物
固体バイオマス燃料生成物は、上に記載した物理的特性のいずれかを有しうる。
【0124】
上に記載したように、本発明のバイオマス固体燃料は、好ましくはペレットを含む。ペレットは、任意の好適なサイズであってよい。好ましくは、ペレットは、3mm~100mm、より好ましくは、5mm~8mmの直径を有する。好ましくは、ペレットは、20mm~60mm、より好ましくは30mm~50mmの長さを有する。上に論じたように、驚くべきことに、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、先行技術の方法によって作製される固体バイオマス燃料生成物と比較して、増強された防水特徴を有することが見出されている。これは、成型及び/又は加熱するステップが、上に記載したように制御されることに起因すると考えられる。本発明者らは、先行技術のバイオマス燃料が最大10日間しか十分に防水性でないことを見出した。対照的に、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは30日間、より好ましくは40日間、十分に防水性であることを見出した。
【0125】
固体バイオマス燃料の防水特性は、下でさらに詳細に記載する、Energy Research Centre of the Netherlands(ECN)の標準試験によって決定される。
【0126】
本発明のバイオマス固体燃料の水分率も、標準ECN試験方法によって決定されうる。本発明の固体バイオマス燃料の水分率は、典型的には5~9重量%、好ましくは6~8重量%、より好ましくは6~7重量%である。
【0127】
本発明の固体バイオマス燃料はまた、予想外に高い機械的耐久性を有することも見出されている。機械的耐久性は、典型的には95%超である。これは、95%以上の機械的耐久性のバイオマスペレットは、2カ月もの期間、損傷せずに外に貯蔵できることが見出されているため、有利である。対照的に、95%未満の機械的耐久性を有するバイオマスペレットは、典型的には、降雨によって損傷し、外に貯蔵できない。したがって、高い機械的耐久性は、本発明のバイオマスペレットのさらなる利点である。
【0128】
固体バイオマス燃料粒子の高い耐久性に関連するさらなる利点は、ペレットが力によって何らかの形で破壊された場合、低い機械的耐久性を有するペレットよりも大きなピースに分解することである。これによって、粉塵爆発のリスクがあるとしても、最小化される。
【0129】
上に記載したように、好ましい実施形態では、典型的には、上に記載したものなどの添加剤の他には、成型するステップ中の加熱バイオマス生成物に、他の燃料供給源を加えない。したがって、固体バイオマス燃料は典型的には、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、加熱バイオマス生成物をペレットに成型する場合、典型的には、成型するステップによって生成される固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成型する前に、他の燃料供給源を加熱バイオマス生成物に加えない。
【0130】
したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。1又は2以上のバイオマスの供給源が、籾殻からなる、又は籾殻から本質的になる場合、バイオマス固体燃料は、バイオマスに由来する材料の燃料の全燃料含有量の少なくとも95重量%を構成する。
【0131】
典型的には、固体バイオマス燃料は、酸化剤、点火剤、又はこれらの任意の組合せを含まない。例えば、ペレットに成型する場合、好ましくは、固体バイオマス燃料のペレットは点火剤又は酸化剤を含まず、点火剤及び酸化剤の例は、過マンガン酸カリウムなど、当技術分野において公知である。本発明に関連する利点は、固体バイオマス燃料が効果的に燃焼するために、前記点火剤及び酸化剤を必要としないことである。以前は、燃料生成物におけるバイオマスの供給源として籾殻が使用されていた場合、燃料が十分に燃焼するためには、中に点火剤又は酸化剤を含むことが必要であった。
【0132】
加えて、上に記載したように、好ましくは、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、化石燃料などの追加の燃料の供給源、例えば石炭を含まない。以前は、燃料のためのバイオマスの供給源として籾殻が使用されていた場合、籾殻は、効果的に燃焼して、燃焼方法中に十分なエネルギーを提供するように、石炭と組み合わせられていた。本発明の予想外の利点は、固体バイオマス燃料生成物が、効果的に燃焼するために、又は燃焼する方法中に十分なエネルギーを提供するために、石炭又は任意の他の添加剤を含む必要がないことである。
【0133】
理論によって限定されるものではないが、上に論じた成型するステップ中の密度の制御、及び加熱するステップ中の均一性の制御によって、本発明のバイオマス固体燃料生成物に優れた性能特徴が与えられ、その結果、前記生成物は、最終的なバイオマス固体燃料ペレットが、石炭と酸化剤又は点火剤化合物とを、バイオマスとともに含むように、成型するステップ中に酸化剤又は点火剤化合物と、石炭とを加えることを必要とせずに、効果的に燃焼することができると考えられる。
【0134】
燃焼方法
本発明の生成物は、多様な異なる燃焼方法に使用されうる。特定の方法における使用についての前記生成物の適合性は、当技術分野における当業者には明らかであろう。例えば、本発明のバイオマス燃料は単独で、発電所における燃焼方法、又は工業プロセスに使用してもよい。あるいは、本発明のバイオマス生成物は同時焼成において、石炭などの追加の燃料とともに、燃焼方法に使用してもよい。
【0135】
有利なことに、本発明の生成物は、当技術分野において公知である他のバイオマス燃料と比較した場合、非常に少ないPM1.0排出を提供することが見出されている。加えて、この方法のPM1.0排出は、石炭の燃焼を伴う方法よりも少ない。
【0136】
有利なことに、本発明のバイオマス燃料の改善された物理的特性によって、バイオマスが、石炭との同時焼成に特に好適となることが見出されている。例えば、生成物の改善された質及び均一性によって、本発明のバイオマス燃料を、石炭と特に良好に同時焼成させることができる。本発明のバイオマス燃料の改善された防水特性はまた、バイオマスを石炭と同時焼成させ、その防水的性質に起因して、貯蔵及び輸送をより容易とするのに特に好適であることを意味する。
【実施例1】
【0137】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、籾殻のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱籾殻を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【0138】
【実施例2】
【0139】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、75重量%の籾殻と、25重量%の混合木材であった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱バイオマス生成物を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【実施例3】
【0140】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、50重量%の籾殻と、50重量%の混合木材であった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱バイオマス生成物を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【実施例4】
【0141】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、25重量%の籾殻と、75重量%の混合木材であった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱バイオマス生成物を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【実施例5】
【0142】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、75重量%の籾殻と、25重量%のカリアンドラ・カロティルススであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱バイオマス生成物を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【実施例6】
【0143】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、50重量%の籾殻と、50重量%のカリアンドラ・カロティルススであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱バイオマス生成物を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【実施例7】
【0144】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、25重量%の籾殻と、75重量%のカリアンドラ・カロティルススであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間の期間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、加熱バイオマス生成物を冷却し、次いで、成型して固体バイオマス燃料を得た。
【0145】
実施例1~7において生成した固体バイオマス燃料の特性評価
実施例1~7において調製した固体バイオマス燃料のバルク密度(kg/L)を、DIN EN 15103を使用して測定し、
図6に示す。
【0146】
実施例1~7において調製した固体バイオマス燃料の耐久性を、DIN EN 15210-1によって決定し、
図7に示す。
【0147】
実施例1~7において調製した固体バイオマス燃料の硫黄含有量を、
図8に示す。硫黄含有量は、DIN EN 15289に従って決定する。
【0148】
実施例1~7において調製した固体バイオマス燃料の酸素含有量を、
図9に示す。酸素含有量は、DIN EN 15296によって決定した。
【0149】
実施例1~7において調製したバイオマス固体燃料の炭素含有量を、
図10に示す。炭素含有量は、DIN EN 15104に従って決定する。
【0150】
実施例1~7において調製したバイオマス固体燃料の窒素含有量を、
図11に示す。窒素含有量は、DIN EN 15104に従って決定する。
【0151】
実施例1~7において調製したバイオマス固体燃料の固定炭素含有量を、
図12に示す。固定炭素含有量は、DIN EN 51734に従って決定する。
【0152】
実施例1~7において調製したバイオマス固体燃料の灰分含有量を、
図13に示す。灰分は、DIN EN 14775によって、550℃において決定した。
【0153】
実施例1~7において調製したバイオマス固体燃料の水分率を、
図14に示す。水含有量は、DIN EN 14774-2に従って決定した。
【0154】
実施例1~7において調製した固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量を、
図15に示す。実施例1~7において生成したバイオマス固体燃料のPM1.0排出を、
図16に示す。PM1.0排出は、ドイツECN試験研究所の標準方法によって決定した。
【0155】
上記図において、実施例1の生成物をAとして表し、実施例2の生成物をBとして表し、実施例3の生成物をCとして表し、実施例4の生成物をDとして表し、実施例5の生成物をEとして表し、実施例6の生成物をFとして表し、実施例7の生成物をGとして表す。
【実施例8】
【0156】
実施例1の固体バイオマス燃料を人工気候実験において試験し、人工気候室に10日間曝露した。この試験は、バイオマス燃料粒子の水分率を評定するためのECN標準試験である。
【0157】
この試験の結果を、
図17に示す。
図17の結果は、バイオマス粒子の平衡水分取込みが、27℃及び90%相対湿度における約14日間の曝露後、6~7重量%において安定したことを示す。これは、バイオマス燃料粒子の低い水分率であり、バイオマス粒子が、当技術分野において公知のバイオマス固体燃料と比較して、非常に疎水性であり、高い耐水性であることを指し示す。
【0158】
気候室における第2の実験では、バイオマス固体燃料を、27℃の温度において、水中に15分間浸漬させ、気候室に曝露した。水中への浸漬後、試料の水分率は90重量%であった。気候室における10日間の曝露後、燃料の水分率は7.6%前後で安定した。結果を
図18及び19に示す。粒子の浸漬は、10日後に達成された平衡水分率において、影響がなかった。
【実施例9】
【0159】
実施例1~7の生成物について、気候室実験を繰り返した。
【0160】
図20は、実施例1~7の生成物の表面水分率を示す。バイオマス粒子の表面水分及び実際の水分率が、非常に近いことを見て取ることができる。
【0161】
図17~20において、y軸における値は、バイオマス粒子中の水分の重量パーセントである。
【国際調査報告】