(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】密閉流体貯蔵タンクのための密閉メンブレン
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20220921BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20220921BHJP
B63B 25/08 20060101ALI20220921BHJP
B63B 27/24 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B63B25/16 103
B63B25/16 A
B63B25/08 B
B63B27/24 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022504162
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020070598
(87)【国際公開番号】W WO2021013856
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】デ コンバリユ ギヨーム
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC05
3E172BD02
3E172CA10
3E172CA32
(57)【要約】
本発明は、密閉流体貯蔵タンクのための密閉メンブレンであって、密閉メンブレンは少なくとも1つの金属プレート(2)を備え、金属プレート(2)は、金属プレートの平面を画定する平坦部(3)と、金属プレートの平面に垂直な厚さ方向に平坦部(3)から突出する複数のレリーフ(4)と、を備え、レリーフ(4)は互いに離隔しており、金属プレートは、平面の全ての方向にレリーフを少なくとも1つ備え、各レリーフ(4)は、レリーフ(4)と平坦部(3)との接続部を構成する基部(5)と、少なくとも1つの頂点部(6)と、を備え、基部(5)は、平坦部(3)によって形成される平面内において第1の寸法及び第2の寸法を有し、厚さ方向における頂点部(6)と基部(5)との間の距離がレリーフ(4)の高さを成し、レリーフ(4)の高さは20mm未満であり、平面の全ての方向において、各レリーフ(4)は隣接するレリーフ(4)と基部(5)の第1の寸法の2倍以下の距離だけ離隔しており、レリーフ(4)の高さに対する基部(5)の第1の寸法の比が2以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉流体貯蔵タンクのための密閉メンブレン(1)であって、
前記密閉メンブレン(1)は、少なくとも1つの金属プレート(2)を備え、
前記金属プレート(2)は、前記金属プレート(2)の平面を画定する平坦部(3)と、前記金属プレート(2)の前記平面に垂直な厚さ方向に前記平坦部(3)から突出する複数のレリーフ(4)と、を備え、
前記レリーフ(4)は、互いに離隔しており、
前記金属プレート(2)は、前記平面の全ての方向に、前記レリーフ(4)を少なくとも1つ備え、
各前記レリーフ(4)は、前記レリーフ(4)と前記平坦部(3)との接続部を構成する基部(5)と、少なくとも1つの頂点部(6)と、を備え、
前記基部(5)は、前記平坦部(3)によって形成される前記平面内において、前記基部(5)に外接する最小円の直径に等しい第1の寸法(7)と、前記基部(5)に内接する最大円の直径に等しい第2の寸法(8)と、を有し、
前記厚さ方向における前記頂点部(6)と前記基部(5)との間の距離が、前記レリーフ(4)の高さ(9)を成し、
前記レリーフ(4)の前記高さ(9)は20mm未満であり、
前記平面の全ての方向において、各前記レリーフ(4)は、隣接する前記レリーフ(4)と、前記基部(5)の前記第1の寸法(7)の2倍以下の距離だけ離隔しており、
各前記レリーフ(4)の前記高さ(9)に対する前記基部(5)の前記第1の寸法(7)の比が2以下である、密閉メンブレン(1)。
【請求項2】
前記レリーフ(4)の前記高さ(9)に対する前記基部(5)の前記第2の寸法(8)の比が0.6以下である、請求項1に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項3】
前記レリーフ(4)が、成形、好ましくは延伸によって、又はスタンピング若しくはダイスタンピングによって、又は磁気成形によって、製造された、請求項1又は2に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項4】
mmで表される前記平坦部(3)における前記金属プレート(2)の厚さ(11)e
plaqueが、115/Eであり、ここで、Eは、GPaで表される前記金属プレート(2)を作製する材料のヤング率である、請求項1~3のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項5】
前記金属プレート(2)の厚さ(11)が、0.5mmから2mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項6】
前記金属プレート(2)は、ヤング率が130GPaから230GPaの金属から作製されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項7】
前記金属プレート(2)は、降伏強さが周囲温度で170MPaを超える金属から作製されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項8】
前記金属プレートのリニアメータ当たりの前記レリーフ(4)の数N
reliefが、
【数1】
であり、
式中、αは、K
-1で表される前記金属プレート(2)の熱膨張係数であり、
ΔTは、Kで表される周囲温度と前記密閉断熱タンク内に貯蔵された流体の温度との間の温度差であり、
hは、mmで表される前記レリーフ(4)の前記高さ(9)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項9】
前記基部(5)は、楕円形又は多角形である、請求項1~8のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項10】
前記基部(5)が楕円形であり、前記基部(5)の前記第1の寸法(7)と前記レリーフ(4)の前記高さ(9)との比が1.4以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項11】
前記第1の寸法と前記第2の寸法との比が1.4以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)。
【請求項12】
支持構造(15)に一体化される、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンク(71)であって、
前記密閉断熱タンク(71)が、前記液化ガスを収容するための内部空間を形成する複数のタンク壁を備え、
前記タンク壁のうちの少なくとも1つは、前記支持構造(15)に固定される断熱バリア(12)と、前記断熱バリア(12)に載置され、前記密閉断熱タンク(71)内の前記液化ガスと接触するよう構成された請求項1~11のいずれか一項に記載の密閉メンブレン(1)と、を備える、密閉断熱タンク(71)。
【請求項13】
前記レリーフ(4)は、前記平坦部(3)から、前記密閉断熱タンク(71)の前記内部空間の方向に突出している、請求項12に記載の密閉断熱タンク(71)。
【請求項14】
前記レリーフ(4)は、前記平坦部(3)から、前記支持構造(15)の方向に突出している、請求項12に記載の密閉断熱タンク(71)。
【請求項15】
前記密閉メンブレンは、一次密閉メンブレン(1)であり、
前記断熱バリアは、一次断熱バリア(12)であり、
前記タンク壁(1)は、前記密閉断熱タンク(71)の外部から内部に、厚さ方向に、
前記支持構造(15)に固定される二次断熱バリア(14)と、
前記二次断熱バリア(14)に載置された二次密閉メンブレン(13)と、
前記二次密閉メンブレン(13)に載置された前記一次断熱バリア(12)と、
前記一次断熱バリア(12)に載置された前記一次密閉メンブレン(1)と、を備える、請求項12~14のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク(71)。
【請求項16】
低温液体製品を輸送するためのキャリア(70)であって、
前記キャリアは、二重船体(72)と、前記二重船体内に配置された請求項12~15のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク(71)と、を備え、
前記二重船体は、前記密閉断熱タンク(71)の前記支持構造を形成している、キャリア(70)。
【請求項17】
低温液体製品を移送するための移送システムであって、
請求項16に記載のキャリア(70)と、
前記キャリアの前記船体に設置された前記密閉断熱タンク(71)を浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(77)に接続するよう配置された断熱パイプライン(73,79,76,81)と、
前記断熱パイプラインを介して、前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備から前記キャリアの前記密閉断熱タンクへ、あるいは前記キャリアの前記密閉断熱タンクから前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備へ、前記低温液体製品の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、移送システム。
【請求項18】
請求項16に記載のキャリア(70)に対する積み降ろしを行うための方法であって、
低温液体製品が、浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(77)から前記キャリアの前記密閉断熱タンク(71)へ、あるいは前記キャリアの前記密閉断熱タンク(71)から前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備(77)へ、断熱パイプライン(73,79,76,81)を介して移送される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンを有する密閉タンクのための密閉メンブレンの分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃から0℃の温度の液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送する又は大気圧で約-162℃で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなどの、低温での液化ガスの貯蔵及び/又は輸送のための密閉断熱タンクのための密閉メンブレンの分野に関する。これらのタンクは陸上又は浮体構造上に設置することができる。浮体構造の場合、タンクは、液化ガスの輸送又は浮体構造を推進させるための燃料として使用される液化ガスの収容を意図して構成することができる。
【背景技術】
【0002】
文献FR2691520には、LNGを貯蔵するための密閉断熱タンクが記載されており、この密閉断熱タンクは、二次断熱バリアと、二次断熱バリアに載置された二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレンに載置された一次断熱バリアと、一次断熱バリアに載置され、液化ガスと接触するよう構成された一次密閉メンブレンと、を備える。
【0003】
上記文献の一次密閉メンブレンは、「高」コルゲート部と呼ばれる第1の一連の平行なコルゲート部と、「低」コルゲート部と呼ばれる第2の一連の平行なコルゲート部と、を有するコルゲート金属プレートで構成され、第2の一連のコルゲート部は第1の一連のコルゲート部に対して垂直である。これらのコルゲート金属プレートは、厚さ約1.2mmのステンレス鋼から作製される。さらに、低コルゲート部は約35mmの高さを有し、一方で、高コルゲート部は約55mmの高さを有する。特に、一次密閉メンブレンのコルゲート部により一次密閉メンブレンにある程度の柔軟性が与えられ、これにより、一次密閉メンブレンが、その構造に損傷を与えるリスクなしに、温度変化の影響下で収縮又は膨張することが可能にする。
【0004】
このようなタンクがキャリアに一体化されると、タンク内に収容される液化ガスは様々な動きをする。特に、例えば、海洋条件又は風などの気候条件の影響下での海上でのキャリアの動きは、タンク内の液体の揺動を生じさせる。一般に「スロッシング」と呼ばれる液体の揺動はタンクの壁上に応力を生じさせ、これは、特に一次密閉メンブレンのコルゲート部を曲げることによってタンクの完全性に悪影響を及ぼし得る。このような損傷を受けると、一次密閉メンブレンは柔軟性を失いもはやその役割を果たすことができなくなる。
【0005】
FR1323237にもまた液化ガスを貯蔵するタンクのための密閉メンブレンが記載されている。この文献では、密閉メンブレンは2つの一連のエンボス部を含む。前の文献のように、これらのエンボス部により密閉メンブレンにある程度の柔軟性が与えられ、これにより温度変化の影響下で収縮又は膨張することができる。
【0006】
しかしながら、それらの形状と寸法の比のために、この文献におけるエンボス部もまた流体のスロッシングにさらされ、その結果、密閉メンブレンは柔軟性を失うか又は損傷を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の基礎を形成する一つの発想は、密閉タンクの密閉メンブレンの柔軟性を維持して密閉メンブレンの熱膨張及び熱収縮を可能にしつつ、スロッシングによる密閉メンブレンへの損傷のリスクを低減するということである。
【0008】
一実施形態では、本発明は、密閉流体貯蔵タンクのための密閉メンブレンを提供し、密閉メンブレンは、少なくとも1つの金属プレートを備え、金属プレートは、金属プレートの平面を画定する平坦部と、金属プレートの平面に垂直な厚さ方向に平坦部から突出する複数のレリーフと、を備え、レリーフは互いに離隔しており、金属プレートは、平面の全ての方向にレリーフを少なくとも1つ備え、各レリーフは、レリーフと平坦部との接続部を構成する基部と、少なくとも1つの頂点部と、を備え、基部は、平坦部によって形成される平面内において、基部に外接する最小円の直径に等しい第1の寸法と、基部に内接する最大円の直径に等しい第2の寸法と、を有し、厚さ方向における頂点部と基部との間の距離がレリーフの高さを成し、レリーフの高さは20mm未満であり、平面の全ての方向において、各レリーフは隣接するレリーフと基部の第1の寸法の2倍以下の距離だけ離隔しており、各レリーフの高さに対する基部の第1の寸法の比が2以下である。
【0009】
これらの特徴によって、レリーフは、その高さと寸法の比のために、流体のスロッシングをあまり受けず、密閉メンブレンが損傷を受けて密閉性が失われることを回避することができる。さらに、レリーフの寸法に関連する隣接パターン間の上述の最大距離によって、密閉メンブレン全体にわたってレリーフを十分に分布させることができ、これにより、全ての方向における規則的な収縮又は膨張が可能となり、したがってタンクの使用中に柔軟性を維持することが可能となる。
【0010】
「隣接パターン」との用語は、プレートの平面内において平坦部のみによって形成される少なくとも1本の直線によって互いに離隔したパターンをいう。
【0011】
基部に外接する最小円の直径は、基部の周囲かつ外側に位置する最小円の直径であって、当該最小円は基部を切断せずに基部を取り囲むよう基部との交点を少なくとも2点有する最小円を意味する。例えば、三角形の基部の場合、この円の中心は基部の辺の垂直二等分線の交点にある。
【0012】
基部に内接する最大円の直径とは、基部の内側に位置する最大円の直径であって、当該最大円は基部を切断せずにその全体が基部の内側にあるよう基部との交点を少なくとも2点有する最大円を意味する。例えば三角形の基部の場合、この円の中心は基部の二等分線の交点にある。
【0013】
実施形態では、このような密閉メンブレンは、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有してもよい。
【0014】
一実施形態では、レリーフの高さに対する基部の第2の寸法の比は0.6以下である。
【0015】
一実施形態では、密閉メンブレンは、互いに縁同士が密に溶接された複数の金属プレートを備える。
【0016】
「密に溶接」との表現は、互いに溶接された2つの要素間に連続的な表面を形成するために連続的な溶接ビードを用いて行われる溶接を意味する。
【0017】
一実施形態では、プレートの全てのレリーフは同一である。
【0018】
一実施形態では、レリーフは、金属プレート上に規則的又は不規則に分布する。
【0019】
一実施形態では、金属プレートは、少なくとも第1の一連のレリーフと第2の一連のレリーフとを備え、第1の一連のレリーフは、第2の一連のレリーフとは異なる寸法及び/又は形状を有する。
【0020】
一実施形態では、各レリーフは、平面内の全ての方向において隣接するレリーフから基部の第1の寸法の1.5倍以下、好ましくは1倍以下の距離だけ離隔する。
【0021】
一実施形態では、各金属プレートは、長手方向に少なくとも1m、横方向に少なくとも0.5mであり、例えば、長手方向に3m、横方向に1mである。
【0022】
一実施形態では、レリーフの高さは8mmから20mmであり、好ましくは10mmから14mmである。
【0023】
一実施形態では、レリーフの高さに対する基部の第1の寸法の比は、楕円形のレリーフの場合、1.5以下、例えば1.4である。
【0024】
一実施形態では、レリーフの高さに対する基部の第2の寸法の比は、0.7以上である。
【0025】
一実施形態では、レリーフの高さに対する基部の第2の寸法の比は、1から2.5である。
【0026】
一実施形態では、レリーフは、成形、好ましくは延伸によって、又はスタンピング若しくはダイスタンピングによって、又は磁気成形によって製造される。
【0027】
一実施形態では、平坦部においてmmで表される金属プレートeプレートの厚さは、115/E以上であり、ここでEは、金属プレートを作製するための材料のヤング率であり、GPaで表される。
【0028】
一実施形態では、金属プレートは、ステンレス鋼又は高マンガン鋼から作製される。
【0029】
したがって、ヤング率が200GPaのステンレス鋼の場合、金属プレートの最小厚さは約0.58mmに等しい。したがって、ヤング率が170GPaの高マンガン鋼の場合は、金属プレートの最小厚さは約0.68mmに等しい。
【0030】
一実施形態では、金属プレートは厚さが0.5mmから2mmである。
【0031】
一実施形態では、金属プレートはヤング率が130GPaから230GPaの金属から作製される。
【0032】
一実施形態では、金属プレートは、降伏強さが室温で170MPaを超える金属から作製される。
【0033】
一実施形態では、金属プレートは、降伏強さが170MPaから500MPaである金属から作製される。
【0034】
一実施形態では、金属プレートのリニアメータ当たりのレリーフの数N
reliefは、以下の範囲内にある。
【数1】
式中、αはK
-1で表される金属プレートの熱膨張係数であり、ΔTはKで表される周囲温度とタンク内に収容された流体の温度との温度差であり、hはmmで表されるレリーフの高さである。
【0035】
一実施形態では、基部は、楕円形、例えば円形か、又は多角形である。
【0036】
一実施形態では、基部は楕円形であり、レリーフの高さに対する基部の第1の寸法の比は1.4以下である。
【0037】
一実施形態では、第2の寸法に対する第1の寸法の比は、1.4以下、好ましくは1から1.4である。
【0038】
一実施形態では、基部の第1の寸法は基部の第2の寸法に等しい。
【0039】
一実施形態では、各レリーフは、ピラミッド形又は半楕円形であり、例えば半球体又は基部が正方形のピラミッドである。
【0040】
一実施形態では、各レリーフは、基部に向かって外側に広がる形状を有する。
【0041】
一実施形態では、上記プレートの平面へのレリーフの少なくとも1つの頂点部の直交投影は、基部の外周内に位置する。
【0042】
一実施形態では、平坦部から突出する金属プレートの領域の少なくとも90%、好ましくは全てがレリーフである。
【0043】
一実施形態では、本発明は、支持構造に一体化される、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクを提供し、このタンクは、液化ガスを収容するための内部空間を形成する複数のタンク壁を備え、タンク壁のうちの少なくとも1つは、支持構造に固定される断熱バリアと、断熱バリアに載置され、タンク内の液化ガスと接触するよう構成された上記の密閉メンブレンと、を備える。
【0044】
一実施形態では、レリーフは、平坦部から、タンクの内部空間の方向に突出する。
【0045】
一実施形態では、レリーフは、平坦部から支持構造の方向に突出する。
【0046】
一実施形態では、断熱バリアは、互いに並置された複数の断熱パネルを含む。
【0047】
一実施形態では、密閉メンブレンは一次密閉メンブレンであり、断熱バリアは一次断熱バリアであり、タンク壁は、厚さ方向において、タンクの外部から内部に、支持構造に固定される二次断熱バリアと、二次断熱バリアに載置された二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレンに載置された一次断熱バリアと、一次断熱バリアに載置された一次密閉メンブレンと、を備える。
【0048】
このようなタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成することができ、又は浮体構造体、沿岸若しくは深海構造体に設置することができ、特に液化ガスキャリア、浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)、遠隔浮体式生産貯蔵ユニット(FPSO)等に設置することができる。このようなタンクは、どのようなタイプのキャリアにおいても燃料タンクとして使用することができる。
【0049】
一実施形態では、低温液体製品を輸送するためのキャリアは、二重船体と、二重船体内に配置された上記のタンクと、を備え、二重船体はタンクの支持構造を形成する。
【0050】
一実施形態では、本発明はまた、低温液体製品を移送するための移送システムを提供し、このシステムは、上記のキャリアと、キャリアの船体内に設置されたタンクを浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを介して浮体貯蔵設備若しくは陸上貯蔵設備からキャリアのタンクへ、あるいはキャリアのタンクから浮体貯蔵設備若しくは陸上貯蔵設備へ、低温液体製品を流すためのポンプと、を備える。
【0051】
一実施形態では、本発明はまた、上記のキャリアに対する積み降ろしを行うための方法を提供し、この方法では、低温液体製品が、浮体貯蔵設備若しくは陸上貯蔵設備からキャリアのタンクへ、又はキャリアのタンクから浮体貯蔵設備若しくは陸上貯蔵設備へ、断熱パイプラインを介して移送される。
【0052】
本発明は、添付の図面を参照して純粋に例示的かつ非限定的なものとして示される本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明から、より良く理解され、他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】第1の実施形態によるレリーフを備えるメンブレンの一部の概略上面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った断面の概略図であり、密閉メンブレンのレリーフの1つを示す。
【
図3】第2の実施形態によるレリーフを備える密閉メンブレンの一部の斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿った断面の概略図であり、密閉メンブレンのレリーフの1つを示す。
【
図5】第3の実施形態によるレリーフを備える密閉メンブレンの一部の概略上面図である。
【
図6】第1の実施形態による密閉メンブレンと断熱バリアとを備える第1の変形例によるタンク壁を真横から見た概略図である。
【
図7】第1の実施形態による密閉メンブレンと断熱バリアとを備える第2の変形例によるタンク壁を真横から見た概略図である。
【
図8】第1の実施形態による一次密閉メンブレンと、一次断熱バリアと、二次密閉メンブレンと、二次断熱バリアとを備える第3の変形例によるタンク壁を真横から見た概略図である。
【
図9】密閉メンブレンを有する液化ガスキャリアのタンクと、このタンクに対する積み降ろしを行うためのターミナルと、の切り取り概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
慣例により、地球の重力場に対するタンク壁の向きにかかわらず、「上」又は「上方」又は「上側」は、タンクの内部により近い位置を指し、「下」又は「下方」又は「下側」は、支持構造により近い位置を指す。
【0055】
以下、密閉流体貯蔵タンクのための密閉メンブレン1について説明する。
【0056】
図1は、第1の実施形態による密閉メンブレン1を示す。密閉メンブレン1は、互いに縁同士が密に溶接された複数の金属プレート2を含む。金属プレート2は、このプレートの平面を画定する平坦部3と、このプレートの平面に垂直な厚さ方向に平坦部3から突出する複数のレリーフ4と、を備える。
【0057】
レリーフ4は、互いに離隔して配置され、金属プレート2の全体に分布しているので、レリーフ4と交差せずに当該プレートの平面に直線を引くことができないようになっている。具体的には、金属プレート2の熱収縮/熱膨張に対する柔軟性を確保するために、密閉メンブレン2は当該プレートの平面の全ての方向にレリーフを有する。したがって、平坦部3は、レリーフ4を互いに離隔する。各レリーフ4は、基部5と、少なくとも1つの頂点部6とを有する。密閉メンブレン1の金属プレート2の厚さ11は、熱収縮/熱膨張に対する密閉メンブレンの柔軟性を確保するために、金属プレート2の他の寸法と比べて比較的小さい。
【0058】
図1及び
図2に示す第1の実施形態では、レリーフ4は、半球体又は半楕円体を形成するように、円形の基部5を有しかつ単一の頂点部6を有する。レリーフ4は、ここでは、金属プレート2上に規則的に分布しているが、不図示の別の実施形態では、金属プレート2上に不規則に分布していてもよい。
【0059】
図2は、レリーフ4の様々な寸法を示すように
図1のレリーフの1つの断面を示す。具体的には、基部5は、プレートの平面内において第1の寸法7と第2の寸法8とを含み、これらは第1の実施形態の場合には等しい。第1の寸法7は、基部5に外接する最小円の直径に等しく、第2の寸法8は、基部5に内接する最大円の直径に等しい。また、金属プレート2の厚さ方向における頂点部6と基部5との間の距離が、レリーフ4の高さ9を画定する。
【0060】
図2の実施形態では、各レリーフ4は、隣接するレリーフ4から、基部5の第1の寸法7の1倍以下の距離だけ離隔している。レリーフ4の高さ9に対する基部5の第2の寸法8の比は、約3.33に等しい。したがって、レリーフ4の高さ9に対する基部5の第1の寸法7の比は、約0.3に等しい。
【0061】
図3及び
図4は、密閉メンブレン1のレリーフ4の第2の実施形態を示す。本実施形態では、レリーフ4の基部5の形状が第1の実施形態と異なる。具体的には、基部5は、この場合、四辺形の対角線によって形成されるより大きな寸法7と、四辺形のより小さな辺によって形成されるより小さな寸法8と、を有する四辺形である。ここでは、基部5の第1の寸法7と基部5の第2の寸法8との比は約1.4に等しく、一方、基部4の第2の寸法8とレリーフ4の高さ9との比は約2.5に等しい。したがって、レリーフ4の高さ9に対する基部5の第1の寸法7の比は約0.56に等しい。
【0062】
最初の2つの実施形態では、金属プレート2は、1つの金属プレートから別の金属プレートまで同一の形状及びサイズのレリーフを備える。
【0063】
図5は、密閉メンブレン1のレリーフ4の第3の実施形態を示し、この実施形態ではこれまでの実施形態とは異なり、金属プレート2は、異なる寸法及び形状を有する第1の一連のレリーフ22及び第2の一連のレリーフ23を備える。具体的には、第1の一連のレリーフ22のレリーフ4は、
図1及び
図2の第1の実施形態のレリーフの形態であり、第2の一連のレリーフ23のレリーフ4は、第2の実施形態のレリーフ4の形態である。図示のように、これら一連のレリーフは、金属プレート2の次元において互いに交互である。
【0064】
不図示の他の実施形態では、レリーフ4は、上述したものに関して異なる形状及びサイズを有することができ、金属プレート2は、3つ以上の異なる一連のレリーフを含むこともできる。
【0065】
密閉メンブレンを製造するための上述の技術は、異なるタイプの貯蔵タンクにおいて、例えば、陸上設備又は液化ガスキャリア等の浮体構造のLNG貯蔵タンクの一次密閉メンブレンを構成するために使用されてもよい。
【0066】
図6は、例えば液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンク71についての第1の変形例によるタンク壁の多層構造を示す。図示するように、この変形例では、タンク壁は、厚さ方向において、タンク71の外部から内部に、支持構造15に固定される断熱バリア12と、
図1及び
図2に示す第1の実施形態において記載したような密閉メンブレンであって、断熱バリア12に載置され、タンク内に収容される流体と接触するように構成された密閉メンブレンと、を連続して備える。
【0067】
支持構造3は、特に、キャリアの船体又は二重船体によって形成されてもよい。支持構造3は、タンクの全体的形状、通常は多面形状である、を画定する複数の壁を備える。
【0068】
断熱バリア12は、固定装置(不図示)によって支持構造15に固定される複数の断熱パネル16を備える。断熱パネル16は、略平行六面体形状を有し、平行な列に配置されている。
【0069】
図7は、第2の変形例によるタンク壁の多層構造を示す。この変形例は、断熱バリア12の形状のみが第1の変形例と異なる。具体的には、この変形例では、断熱パネル16は、その上面の相補的形状18が、レリーフ4に相補的な形状であり、密閉メンブレン1の形状に最適に一致するように構成されている。具体的には、図示の例の場合、レリーフ4はタンクの内部に向かって突出し、相補的形状18はしたがってレリーフ4の下の空間を満たす。不図示の実施形態では、レリーフ4はタンクの外部に向かって突出し、相補的形状18は、この場合、レリーフ4を受け入れるための断熱バリア12のくぼみである。
【0070】
図8は、第3の変形例によるタンク壁の多層構造を示す。各タンク壁は、厚さ方向において、タンク71の外部から内部に、支持構造15に固定される二次断熱バリア14と、二次断熱バリア12に載置された二次密閉メンブレン13と、二次密閉メンブレン13に載置された一次断熱バリア12と、
図1及び
図2に示す第1の実施形態において記載したような一次密閉メンブレン6であって、一次断熱バリア12に載置され、タンク内に収容される流体と接触するように構成された一次密閉メンブレン6と、を連続的に含む。
【0071】
一次断熱バリア12は、固定装置(不図示)によって支持構造15に固定される複数の一次断熱パネル16を含む。二次断熱バリア14は、固定装置(不図示)によって支持構造15に固定される複数の二次断熱パネル17を含む。一次断熱パネル16及び二次断熱パネル17は、略平行六面体形状を有し、平行な列に配置される。
【0072】
二次断熱パネル17及び一次断熱パネル16は、底板と、カバー板と、オプションとして例えば合板からなる中間板と、から構成される。断熱パネル16,17にはまた、底板と、カバー板と、オプションの中間板と、に挟まれ、これらの板に接着結合された断熱ポリマーフォームの層が1つ以上設けられている。断熱ポリマーフォームは、特に、オプションで繊維強化されたポリウレタンベースのフォームであってもよい。別の実施形態では、断熱パネル16,17は、完全に断熱ポリマーフォームから作ることができる。また、断熱パネル16,17は、断熱ライニングで満たされた箱の形で製造することができる。
【0073】
二次密閉メンブレン13は、一次密閉メンブレン1と同じ方法で製造することができる。二次密閉メンブレン13はまた、隆起した縁を有する金属ストレーキの連続シートによって、又は互いに接着結合された積層複合材料のストリップによって、製造されてもよい。
【0074】
図9を参照すると、液化ガスキャリア70の切り取り図において、キャリアの二重船体72内に搭載された略プリズム形状の密閉断熱タンク71が示されている。タンク71の壁は、タンク内に収容されるLNGと接触するように構成された一次密閉バリアと、一次密閉バリアとキャリアの二重船体72との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアと、を備える。
【0075】
それ自体知られている方法で、キャリアのアッパーデッキ上に配置された積み降ろしパイプライン73を適切なコネクタによって海上ターミナル又はポートターミナルに接続して、LNGの貨物をタンク71から又はタンク71に移送することができる。
【0076】
図9は、積み降ろしステーション75、水中パイプ76及び陸上設備77を備える海上ターミナルの例を示す。積み降ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78と、を備える定置沖合設備である。可動アーム74は、積み降ろしパイプライン73に接続可能な断熱可撓性パイプ79の束を保持する。操縦可能な可動アーム74は、全サイズの液化ガスキャリアに適合するように調節可能である。接続パイプ(不図示)がタワー78の内側に延在する。積み降ろしステーション75は、陸上設備77から又は陸上設備77への液化ガスキャリア70に対する積み降ろしを可能にする。この設備は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中パイプ76によって積み降ろしステーション75に結合された結合パイプ81と、を備える。水中パイプ76によって、積み降ろしステーション75と陸上設備77との間で液化ガスを例えば5kmなどの長い距離にわたって移送することを可能となり、これにより、積み降ろし作業中に液化ガスキャリア70を海岸から遠く離れた場所に維持することができる。
【0077】
液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために、キャリア70に搭載されたポンプ、及び/又は陸上設備77が備えるポンプ、及び/又は積み降ろしステーション75が備えるポンプが使用される。
【0078】
本発明について、いくつかの特定の実施形態に関連して説明したが、本発明は、これに限定されず、説明した手段のすべての技術的均等物及びこれらの組み合わせを、これらが特許請求の範囲に記載された発明の枠組み内であることを条件として、備えることは明らかである。
【0079】
「備える」又は「含む」との動詞及びそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の要素又は工程の存在を排除するものではない。
【0080】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲の限定と解釈してはならない。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
一実施形態では、本発明は、密閉流体貯蔵タンクのための密閉メンブレンを提供し、密閉メンブレンは、少なくとも1つの金属プレートを備え、金属プレートは、金属プレートの平面を画定する平坦部と、金属プレートの平面に垂直な厚さ方向に平坦部から突出する複数のレリーフと、を備え、レリーフは互いに離隔しており、金属プレートは、平面の全ての方向にレリーフを少なくとも1つ備え、各レリーフは、レリーフと平坦部との接続部を構成する基部と、少なくとも1つの頂点部と、を備え、基部は、平坦部によって形成される平面内において、基部に外接する最小円の直径に等しい第1の寸法と、基部に内接する最大円の直径に等しい第2の寸法と、を有し、厚さ方向における頂点部と基部との間の距離がレリーフの高さを成し、レリーフの高さは20mm未満であり、平面の全ての方向において、各レリーフは隣接するレリーフと基部の第1の寸法の2倍以下の距離だけ離隔しており、各レリーフの基部の第1の寸法に対する高さの比が2以下である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
一実施形態では、基部の第1の寸法に対するレリーフの高さの比は、楕円形状のレリーフの場合、1.5以下、例えば1.4である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
一実施形態では、基部は楕円形であり、基部の第1の寸法に対するレリーフの高さの比は1.4以下である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図2の実施形態では、各レリーフ4は、隣接するレリーフ4から、基部5の第1の寸法7の1倍以下の距離だけ離隔している。レリーフ4の高さ9に対する基部5の第2の寸法8の比は、約3.33に等しい。したがって、レリーフ4の高さ9に対する基部5の第1の寸法7の比は、約
3.33に等しい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
図3及び
図4は、密閉メンブレン1のレリーフ4の第2の実施形態を示す。本実施形態では、レリーフ4の基部5の形状が第1の実施形態と異なる。具体的には、基部5は、この場合、四辺形の対角線によって形成されるより大きな寸法7と、四辺形のより小さな辺によって形成されるより小さな寸法8と、を有する四辺形である。ここでは、基部5の第1の寸法7と基部5の第2の寸法8との比は約1.4に等しく、一方、基部4の第2の寸法8とレリーフ4の高さ9との比は約2.5に等しい。したがって、レリーフ4の高さ9に対する基部5の第1の寸法7の比は約
3.5に等しい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(15)に一体化される、液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンク(71)であって、
前記密閉断熱タンク(71)が、前記液化ガスを収容するための内部空間を形成する複数のタンク壁を備え、
前記タンク壁のうちの少なくとも1つは、前記支持構造(15)に固定される断熱バリア(12)と、前記断熱バリア(12)に載置され、前記密閉断熱タンク(71)内の前記液化ガスと接触するよう構成された密閉メンブレン(1)と、を備え、
前記密閉メンブレン(1)は、少なくとも1つの金属プレート(2)を備え、
前記金属プレート(2)は、前記金属プレート(2)の平面を画定する平坦部(3)と、前記金属プレート(2)の前記平面に垂直な厚さ方向に前記平坦部(3)から突出する複数のレリーフ(4)と、を備え、
前記レリーフ(4)は、互いに離隔しており、
前記金属プレート(2)は、前記平面の全ての方向に、前記レリーフ(4)を少なくとも1つ備え、
各前記レリーフ(4)は、前記レリーフ(4)と前記平坦部(3)との接続部を構成する基部(5)と、少なくとも1つの頂点部(6)と、を備え、
前記基部(5)は、前記平坦部(3)によって形成される前記平面内において、前記基部(5)に外接する最小円の直径に等しい第1の寸法(7)と、前記基部(5)に内接する最大円の直径に等しい第2の寸法(8)と、を有し、
前記厚さ方向における前記頂点部(6)と前記基部(5)との間の距離が、前記レリーフ(4)の高さを成し、
前記レリーフ(4)の前記高さ(9)は20mm未満であり、
前記平面の全ての方向において、各前記レリーフ(4)は、隣接するレリーフ(4)と、前記基部(5)の前記第1の寸法(7)の2倍以下の距離だけ離隔しており、
各前記レリーフ(4)の
前記基部(5)の前記第1の寸法(7)に対する前記高さ(9)の比が2以下である、
密閉断熱タンク(71)。
【請求項2】
前記レリーフ(4)の前記高さ(9)に対する前記基部(5)の前記第2の寸法(8)の比が0.6以下である、請求項1に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項3】
前記レリーフ(4)は、成形、好ましくは延伸によって、又はスタンピング若しくはダイスタンピングによって、又は磁気成形によって、製造された、請求項1又は2に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項4】
mmで表される前記平坦部(3)における前記金属プレート(2)の厚さ(11)e
plaqueが、115/Eであり、ここで、Eは、GPaで表される前記金属プレート(2)を作製する材料のヤング率である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項5】
前記金属プレート(2)の厚さ(11)が、0.5mmから2mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項6】
前記金属プレート(2)は、ヤング率が130GPaから230GPaの金属から作製されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項7】
前記金属プレート(2)は、降伏強さが周囲温度で170MPaを超える金属から作製されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項8】
前記金属プレートのリニアメータ当たりの前記レリーフ(4)の数N
reliefが、
【数1】
であり、
式中、αは、K
-1で表される前記金属プレート(2)の熱膨張係数であり、
ΔTは、Kで表される周囲温度と前記密閉断熱タンク内に貯蔵された流体の温度との間の温度差であり、
hは、mmで表される前記レリーフ(4)の前記高さ(9)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項9】
前記基部(5)は、楕円形又は多角形である、請求項1~8のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項10】
前記基部(5)が楕円形であり、前記基部(5)の前記第1の寸法(7)
に対する前記レリーフ(4)の前記高さ(9)の比が1.4以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項11】
前記第1の寸法と前記第2の寸法との比が1.4以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の
密閉断熱タンク(71)。
【請求項12】
前記レリーフ(4)は、前記平坦部(3)から、前記密閉断熱タンク(71)の前記内部空間の方向に突出している、請求項
1~11のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク(71)。
【請求項13】
前記レリーフ(4)は、前記平坦部(3)から、前記支持構造(15)の方向に突出している、請求項
1~11のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク(71)。
【請求項14】
前記密閉メンブレンは、一次密閉メンブレン(1)であり、
前記断熱バリアは、一次断熱バリア(12)であり、
前記タンク壁(1)は、前記密閉断熱タンク(71)の外部から内部に、厚さ方向に、
前記支持構造(15)に固定される二次断熱バリア(14)と、
前記二次断熱バリア(14)に載置された二次密閉メンブレン(13)と、
前記二次密閉メンブレン(13)に載置された前記一次断熱バリア(12)と、
前記一次断熱バリア(12)に載置された前記一次密閉メンブレン(1)と、を備える、請求項
1~10のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク(71)。
【請求項15】
低温液体製品を輸送するためのキャリア(70)であって、
前記キャリアは、二重船体(72)と、前記二重船体内に配置された請求項
1~14のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク(71)と、を備え、
前記二重船体は、前記密閉断熱タンク(71)の前記支持構造を形成している、キャリア(70)。
【請求項16】
低温液体製品を移送するための移送システムであって、
請求項1
5に記載のキャリア(70)と、
前記キャリアの前記船体に設置された前記密閉断熱タンク(71)を浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(77)に接続するよう配置された断熱パイプライン(73,79,76,81)と、
前記断熱パイプラインを介して、前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備から前記キャリアの前記密閉断熱タンクへ、あるいは前記キャリアの前記密閉断熱タンクから前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備へ、前記低温液体製品の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、移送システム。
【請求項17】
請求項1
5に記載のキャリア(70)に対する積み降ろしを行うための方法であって、
低温液体製品が、浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(77)から前記キャリアの前記密閉断熱タンク(71)へ、あるいは前記キャリアの前記密閉断熱タンク(71)から前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備(77)へ、断熱パイプライン(73,79,76,81)を介して移送される、方法。
【国際調査報告】