(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】密閉断熱タンクの壁の製造方法
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
F17C3/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504163
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020070675
(87)【国際公開番号】W WO2021013886
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】デ コンバリユ ギヨーム
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BD02
3E172BD05
3E172CA32
3E172DA13
3E172DA23
3E172EB10
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの断熱バリアと前記断熱バリアに載置された密閉メンブレンとを備える密閉断熱タンクのための壁の製造方法に関し、この製造方法は、複数の壁要素を製造する工程を有し、この工程において、各前記壁要素を製造する工程が、密閉プレートを供給し、発泡性断熱フォーム溶液を前記密閉プレート上に配置し、前記発泡性断熱フォーム溶液(40)を前記密閉プレート(33)に接して発泡させることを含み、前記製造方法は、製造された前記壁要素を、前記壁要素(32)の前記発泡断熱フォーム(34)の層が前記断熱バリアの少なくとも一部を形成するよう、支持構造に固定する工程と、前記壁要素(32)の前記密閉プレート(33)を、当該密閉プレート(33)が前記密閉メンブレンの少なくとも一部を形成するように、密に組み立てる工程と、をさらに有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの断熱バリア(12,14)と前記断熱バリアに載置された密閉メンブレン(1,13)とを備える密閉断熱タンクのための壁(31)の製造方法であって、
前記製造方法は、
複数の壁要素(32)を製造する工程を有し、
前記複数の壁要素(32)を製造する工程において、各前記壁要素(32)を製造する工程が、
密閉プレート(33)を供給し、
発泡性断熱フォーム溶液(40)を前記密閉プレート(33)上に配置し、
前記発泡性断熱フォーム溶液(40)を前記密閉プレート(33)に接して発泡させて、前記密閉プレート(33)に付着された発泡断熱フォーム(34)の層を生成することを含み、
前記製造方法は、
製造された前記壁要素(32)を、前記壁要素(32)の前記発泡断熱フォーム(34)の層が前記断熱バリア(12,14)の少なくとも一部を形成するよう、支持構造(15)に固定する工程と、
前記壁要素(32)の前記密閉プレート(33)が前記密閉メンブレン(1,13)の少なくとも一部を形成するように、前記密閉プレート(33)を密に組み立てる工程と、をさらに有する、製造方法。
【請求項2】
前記密閉プレート(33)は密閉フィルムを備える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記密閉プレートを組み立てる工程は、前記壁要素(32)の前記密閉フィルムにまたがる追加のフィルムを接合させることを含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記密閉フィルムが、2つの繊維層の間に挿入されたアルミニウムシートを含む硬質複合フィルムである、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記密閉プレートが金属プレート(2,44)を備える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記金属プレート(44)がコルゲーション(45,46)を備える、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記金属プレート(2)は、前記金属プレート(2)の平面に対して厚さ方向に突出する複数のレリーフ(4)を備える、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記密閉プレートを組み立てる工程は、前記金属プレート(2,44)を互いに密に溶接することを含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記発泡性断熱フォーム溶液(40)の発泡は、前記発泡性断熱フォーム溶液(40)の発泡を制限するラミネータ(38)内で生じる、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ラミネータ(38)は、長方形断面を有するトンネルを共に形成する下側バンド(41)、上側バンド(42)及び側壁を備えるデュアルバンドラミネータである、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ラミネータ(38)は、前記発泡性断熱フォーム溶液(40)の発泡を制限することで、前記発泡断熱フォーム(34)の層の体積が、前記ラミネータ(38)のアウトプットにおいて、自由発泡の場合における当該発泡性断熱フォーム溶液(40)の発泡体積の92%から99%となるように、配置される、請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記密閉プレート(33)は、移送バンド(36)上に配置され、
前記発泡性断熱フォーム溶液(40)は、前記移送バンド(36)に載置された前記密閉プレート(33)に置かれ、
前記密閉プレート(33)及び前記発泡性断熱フォーム溶液(40)は、前記移送バンド(36)によって前記ラミネータ(38)に案内される、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
各前記壁要素(32)を製造する工程が、前記密閉プレート(33)上に1つ又は複数の繊維強化材(39)を置き、前記発泡性断熱フォーム溶液(40)が前記密閉プレート(33)に対して配置されたときに前記発泡性断熱フォーム溶液(40)を前記繊維強化材(39)に浸透させることを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
各前記壁要素(32)を製造する工程中、支持体(43)が、前記発泡断熱フォーム(34)の層における前記密閉プレート(33)とは反対側の面に付着される、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記支持体(43)は、前記発泡ポリマーフォーム(34)の層に接着される、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記発泡断熱フォーム(34)の層における前記密閉プレート(33)とは反対側の少なくとも1つの面が機械加工される、請求項1~15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる密閉断熱タンクのための壁であって、
前記壁(31)は、複数の壁要素(32)を備え、
各前記壁要素(32)は、密閉プレート(33)と、当該密閉プレート(33)に直接付着される発泡断熱フォーム(34)の層と、を備え、
前記発泡断熱フォーム(34)の層が断熱バリア(12,14)を形成するよう、前記壁要素(32)が、支持構造(15)に固定されているとともに、互いに並んで配置されており、
前記壁要素(32)の前記密閉プレート(33)が、密閉メンブレン(1,13)の少なくとも一部を形成するよう、互いに密に組み立てられている、壁。
【請求項18】
請求項17に記載の少なくとも1つの壁(31)を備える、流体を貯蔵するための密閉断熱タンク。
【請求項19】
二重船体(172)と、当該二重船体内に配置された請求項18に記載のタンク(171)と、を備える、流体を輸送するための船(170)。
【請求項20】
請求項19に記載の船(170)と、
前記船の船体に設置された前記タンク(171)を浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(177)に連結するように配置された断熱パイプライン(173,179,176,181)と、
前記断熱パイプラインを介して、前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、あるいは前記船の前記タンクから前記浮体貯蔵設備又は前記陸上貯蔵設備へ、流体の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、流体のための移送システム。
【請求項21】
請求項19に記載の船(170)に対する積み降ろしを行うための方法であって、
流体が、浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(177)から前記船のタンク(171)へ、あるいは前記船の前記タンク(171)から前記浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備(177)へ、断熱パイプライン(173,179,176,181)を介して移送される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の貯蔵及び/又は輸送のための、メンブレンを有する密閉断熱タンクの分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃から0℃の間の温度の液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送する又は大気圧で約-162℃で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなどの、低温での液化ガスの貯蔵及び/又は輸送のための密閉断熱タンクの分野に関する。これらのタンクは陸上又は浮体構造上に設置することができる。浮体構造の場合、タンクは、液化ガスの輸送又は浮体構造を推進させるための燃料として使用される液化ガスの収容を意図して構成することができる。
【0002】
本発明は、より詳細には、このような密閉断熱タンクの壁の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術においてメンブレンを有する密閉断熱タンクが知られている。これらのタンクの壁は、タンクの内部から外部に向かって、タンク内に貯蔵される流体と接触するよう構成された少なくとも1つの一次密閉メンブレンと、一次断熱バリアと、オプションで二次メンブレンと、二次断熱バリアと、を有する多層構造を備える。
【0004】
断熱バリアは、平行な列に並置された複数の断熱パネルを備える。一次及び二次メンブレンは、それぞれ一次断熱バリアの断熱パネル及び二次断熱バリアの断熱パネルに支持される。
【0005】
断熱パネルは各々、発泡断熱フォームの層を含む。発泡断熱フォームの層は連続的な自由発泡法によって製造される。フォーム製造方法のアウトプットにおいて、断熱フォームが、製造されるパネルの所望の寸法に切断される。さらに、断熱フォームの層の内面及び外面が、これらの平坦性を確保するために削られる。続いて、合板のシートが、通常、発泡断熱フォームの層の内面と外面の一方及び/又は他方に対して接着される。
【0006】
密閉メンブレンは、金属メンブレン又は複合メンブレンのいずれかである。金属メンブレンは、金属シートをタンク内でその場で互いに溶接し、断熱パネルの内面に固定された溶接支持体に溶接することで断熱パネルに金属シートを固定することによって製造される。複合メンブレンは断熱パネルの内面に接着された硬質のメンブレン要素を含む。複合メンブレンの密閉性を確保するために、柔軟なメンブレン要素が、隣接する断熱パネルの硬質のメンブレン要素にまたがって接着される。
【0007】
したがって、メンブレンを有する密閉断熱タンクの壁の製造は、特に複雑であり、多くの工程を伴う。
【発明の概要】
【0008】
本発明の背景にある一つの発想は、よりシンプルでコストのかからないメンブレンを備える密閉断熱タンクの壁の製造方法を提案することである。
【0009】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの断熱バリアと前記断熱バリアに載置された密閉メンブレンとを備える密閉断熱タンクのための壁の製造方法を提供し、この製造方法は、複数の壁要素を製造する工程を有し、当該工程において、各前記壁要素を製造する工程が、密閉プレートを供給し、発泡性断熱フォーム溶液を前記密閉プレート上に配置し、前記発泡性断熱フォーム溶液を前記密閉プレートに接して発泡させて、前記密閉プレートに付着された発泡断熱フォームの層を生成することを含み、前記製造方法は、製造された前記壁要素を、前記壁要素の前記発泡断熱フォームの層が前記断熱バリアの少なくとも一部を形成するよう、支持構造に固定する工程と、前記壁要素の前記密閉プレートが前記密閉メンブレンの少なくとも一部を形成するように、前記密閉プレートを密に組み立てる工程と、をさらに有する。
【0010】
したがって、上記の方法によれば、断熱バリアの一部を形成するよう構成された発泡断熱フォームの層と、密閉メンブレンの一部を形成するよう構成された密閉プレートとが、発泡断熱フォームの層の製造において互いに直接固定される。これにより、壁の製造を大幅に簡素化することが可能となる。
【0011】
さらに、密閉プレートは発泡時に基準面を形成するので、密閉プレートで形成された壁要素の面をその平坦性を確保するために削る必要がなく、これによって、壁要素の製造をさらに簡素化することが可能となる。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記の方法は以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0013】
一実施形態では、発泡断熱フォームの層はポリウレタンフォーム(PUR)又はポリイソシアヌレートフォーム(PIR)である。
【0014】
一実施形態では、発泡性断熱フォーム溶液は、少なくともポリオール、ポリイソシアネート及び発泡剤を含む。
【0015】
一実施形態では、密閉プレートは密閉フィルムを含む。
【0016】
一実施形態では、密閉プレートを組み立てる工程は、硬質の複合フィルムにまたがる追加の密閉フィルムを接着することを含む。
【0017】
一実施形態では、密閉フィルムは硬質の複合フィルムである。
【0018】
一実施形態では、硬質の複合フィルムは、2つの繊維層の間に挿入されたアルミニウムシートを備える。
【0019】
他のタイプの密閉フィルムを製造することができることは明らかである。
【0020】
一実施形態では、密閉プレートは金属プレートを備える。
【0021】
一実施形態では、金属プレートはコルゲーションを備える。一実施形態では、金属プレートは2つの一連の平行なコルゲーションを備え、一方の一連のコルゲーションは、他方の一連のコルゲーションに対して直角である。
【0022】
一実施形態では、金属プレートは、金属プレートの平面に対して厚さ方向に突出する複数のレリーフを有する。
【0023】
一実施形態では、各レリーフは、レリーフと平坦部との間の結合部を形成する基部と、少なくとも1つの頂点部と、を備え、基部は、平坦部によって形成される平面内において、基部に外接する最小円の直径に等しい第1の寸法と、基部に内接する最大円の直径に等しい第2の寸法と、を有し、厚さ方向における頂点部と基部との間の距離がレリーフの高さを成す。基部に外接する最小円の直径は、基部の周囲かつ外側に位置する最小円の直径であって、当該最小円は基部を切断せずに基部を取り囲むよう基部との交点を少なくとも2点有する最小円と理解される。例えば、三角形の基部の場合、この最小円の中心は基部の辺の垂直二等分線の交点にある。基部に内接する最大円の直径は、基部の内側に位置する最大円の直径であって、当該最大円は基部を切断せずにその全体が基部の内側にあるよう基部との交点を少なくとも2点有する最大円と理解される。例えば三角形の基部の場合、この円の中心は基部の二等分線の交点にある。
【0024】
一実施形態では、金属プレートは、平面内の全ての方向に少なくとも1つのレリーフを備える。
【0025】
一実施形態では、レリーフの高さは、20mm未満、有利には8mmから20mmの間、好ましくは10mmから14mmの間である。
【0026】
一実施形態では、各レリーフは、平面内の全ての方向において隣接するレリーフから、基部の第1の寸法の2倍以下の距離だけ離隔している。
【0027】
一実施形態では、レリーフの高さに対する基部の第1の寸法の比は、2以下である。
【0028】
一実施形態では、レリーフの高さに対する基部の第2の寸法の比は、0.6以下である。
【0029】
一実施形態では、レリーフは、鍛造、好ましくは延伸によって、又はスタンピングやダイスタンピングなどによって製造される。
【0030】
一実施形態では、金属プレートは、0.5mmから2mmの間の厚さを有する。
【0031】
一実施形態では、金属プレートは、130GPaから230GPaのヤング率を有する金属材料で製造される。
【0032】
一実施形態では、金属プレートは、降伏強さが170MPaを超える金属材料で製造される。
【0033】
一実施形態では、金属プレートは、ステンレス鋼又は高マンガン鋼から作製される。
【0034】
したがって、ヤング率が200GPaのステンレス鋼の場合、金属プレートの最小厚さは約0.58mmに等しい。したがって、ヤング率が170GPaの高マンガン鋼の場合、金属プレートの最小厚さは約0.68mmに等しい。
【0035】
一実施形態では、金属プレートのリニアメータ当たりのレリーフの数N
reliefは、以下の範囲内にある。
【数1】
式中、αはK
-1で表される金属プレートの熱膨張率であり、ΔTはKで表される周囲温度とタンク内に収容された流体の温度との温度差であり、hはmmで表されるレリーフの高さである。
【0036】
一実施形態では、各レリーフは、ピラミッド形又は半楕円形であり、例えば半球体又は基部が正方形のピラミッドである。
【0037】
一実施形態では、基部は、楕円形、例えば円形か、又は多角形である。
【0038】
一実施形態では、各レリーフは、基部に向かって外側に広がる形状を有する。
【0039】
一実施形態では、密閉プレートを組み立てる工程は、金属プレートを互いに密に溶接する工程を含む。
【0040】
一実施形態では、金属プレートは縁同士が溶接される。
【0041】
別の実施形態では、金属プレートは、隣接する壁要素の金属プレートにまたがって溶接される追加の金属部品によって互いに溶接される。
【0042】
一実施形態では、密閉プレートは、金属プレートと、一次断熱パネルを前記壁要素に固定するよう構成された1つ又は複数の固定部材と、を備える。
【0043】
一実施形態では、密閉プレートは、金属プレートと、1つ又は複数の固定プレートと、を備える。
【0044】
一実施形態では、密閉プレートは1つ又は複数のより厚いゾーンを備え、当該より厚いゾーンには、固定スタッドを受け入れるように構成された1つ又は複数のねじ穴が形成されている。
【0045】
一実施形態では、密閉プレートは、金属プレートと、前記金属プレートの縁に沿った1つ又は複数の熱保護バンドと、を備える。
【0046】
特許請求の範囲によってカバーされていない不図示の変形実施形態では、発泡性断熱フォーム溶液は金属プレートに接して発泡されない。したがって、金属プレートは、発泡断熱フォームの層の形成後に発泡断熱フォームの層に接着される。このような変形実施形態は、本明細書に記載の実施形態の様々な特徴、特に以下の特徴と自由に組み合わせることができる。
・1つ又は複数の熱保護バンドが、発泡断熱フォームの層の上に接着された金属プレートの縁に沿って配置される。
・金属プレートが、前記壁要素上に一次断熱パネルを固定するよう構成された1つ又は複数の固定部材を備える。及び/又は、
・金属プレートが、固定スタッドを受け入れるように構成された1つ又は複数のねじ穴が形成された1つ又は複数のより厚いゾーンを備える。
【0047】
一実施形態では、発泡性断熱フォーム溶液の発泡は、断熱フォーム溶液の発泡を制限するラミネータ内で生じる。
【0048】
一実施形態では、ラミネータは、長方形断面を有するトンネルを共に形成する下側バンド、上側バンド及び側壁を備えるデュアルバンドラミネータである。
【0049】
一実施形態では、ラミネータは、発泡性断熱フォーム溶液の発泡を制限することで、発泡断熱フォームの層の体積が、ラミネータのアウトプットにおいて、自由発泡の場合における当該発泡性断熱フォーム溶液の発泡体積の92%から99%となるように、配置される。これにより、発泡断熱フォームの層に優れた機械的性能レベルを与えることができる。
【0050】
一実施形態では、各壁要素を製造する工程が、密閉プレート上に1つ又は複数の繊維強化材を置き、発泡性断熱フォーム溶液が密閉プレートに対して配置されたときに発泡性断熱フォーム溶液を繊維強化材に浸透させることを含む。
【0051】
一実施形態では、繊維強化材は繊維マットである。
【0052】
一実施形態では、繊維強化材は、互いに平行に且つ密閉プレートに平行に置かれる。
【0053】
一実施形態では、繊維強化材は、ポリウレタン樹脂などの樹脂によって互いに結合されたガラス繊維を含む。
【0054】
一実施形態では、各壁要素を製造する工程中、支持体が、発泡断熱フォームの層における密閉プレートとは反対側の面に付着される。
【0055】
一実施形態では、支持体は合板のシートである。
【0056】
一実施形態では、支持体は、発泡ポリマーフォームの層に接着される。
【0057】
一実施形態では、密閉プレートは、移送バンド上に配置され、発泡性断熱フォーム溶液は、移送バンドに載置された密閉プレートに置かれ、密閉プレート及び発泡性断熱フォーム溶液は移送バンドによってラミネータに案内される。
【0058】
一実施形態では、発泡断熱フォームの層における密閉プレートとは反対側の少なくとも1つの面が機械加工される。有利には、断熱フォーム溶液の発泡を制限するためにラミネータが使用される場合、発泡断熱フォームの層における密閉プレートとは反対側の面は、ラミネータのアウトプットにて機械加工される。
【0059】
一実施形態では、本発明はまた、上述の方法によって得られる密閉断熱タンクのための壁を提供し、この壁は、複数の壁要素を備え、各壁要素は、密閉プレートと、密閉プレートに直接付着される発泡断熱フォームの層と、を備え、壁要素は、支持構造に固定されかつ互いに並んで配置され、これにより、発泡断熱フォームの層が断熱バリアを形成するように構成されており、壁要素の密閉プレートが、密閉メンブレンの少なくとも一部を形成するように互いに密に組み立てられている。
【0060】
発泡断熱フォームの層は密閉プレートに直接付着するので、接着剤の中間層はない。
【0061】
一実施形態では、本発明はまた、上述の壁を備える、流体を貯蔵するための密閉断熱タンクを提供する。
【0062】
このようなタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成することができ、又は浮体構造体、沿岸若しくは深海構造体に設置することができ、特にメタンタンカー、浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)、浮体式生産貯蔵沖合ユニット(FPSO)等に設置することができる。
【0063】
一実施形態では、本発明は、流体の輸送のための船を提供し、この船は、二重船体と、二重船体内に配置された上述のタンクと、を備える。
【0064】
一実施形態では、本発明はまた、上述の船に対する積み降ろしを行うための方法を提供し、この方法では、流体が、浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備から船のタンクに、あるいは船のタンクから浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備に、断熱パイプラインを介して移送される。
【0065】
一実施形態では、本発明はまた、流体のための移送システムを提供し、このシステムは、上述の船と、船の船体内に設備されたタンクを浮体貯蔵設備又は陸上貯蔵設備に連結するように配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを介して浮体貯蔵設備若しくは陸上貯蔵設備から船のタンクへ又は船のタンクから浮体貯蔵設備若しくは陸上貯蔵設備へ流体を流すためのポンプとを備える。
【0066】
本発明は、添付の図面を参照して純粋に例示的かつ非限定的なものとして示される本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明から、より良く理解され、他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】メンブレンを備えるタンクの壁の多層構造の概略図である。
【
図2】密閉メンブレンの一部を形成するよう構成された密閉プレートと、断熱バリアの一部を形成するよう構成された発泡断熱フォームの層と、を関連付ける壁要素の概略図である。
【
図3】壁要素を製造するための設備の概略図である。
【
図6】
図5のII-II線に沿った概略断面図である。
【
図7】
図5の密閉プレートの変形実施形態によるレリーフの詳細図である。
【
図8】
図7のIV-IV平面に沿った断面図である。
【
図9】
図4の変形実施形態による壁要素を概略的に示す。
【
図10】一実施形態による一次断熱パネルを固定するための二次壁要素のゾーンを概略的に示す。
【
図11】別の実施形態による壁要素を概略的に示す。
【
図12】別の実施形態による壁要素を概略的に示す。
【
図13】
図10の壁要素のコルゲート金属プレートの斜視図である。
【
図14】メタンタンカータンク及びこのタンクに対する積み降ろしのためのターミナルの切り取り概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、メンブレンを有するタンクの壁31の構造を示す。壁は、多層構造を有し、そして、タンクの外部から内部に、支持構造15に固定される二次断熱パネル17を備える二次断熱バリア14と、二次断熱バリア14に載置された二次メンブレン13と、二次メンブレン13に載置され、支持構造15又は二次断熱パネル14に固定された一次断熱パネル14を備える一次断熱バリア12と、一次断熱バリア12に載置され、タンク内に収容される液化ガスと接触するよう構成された一次メンブレン1と、を備える。
【0069】
このような壁を製造するために、いくつかの壁要素32が予め製造されるが、そのうちの1つが
図2に示されている。各壁要素32は、一次メンブレン1及び二次メンブレン13の一方の一部を形成するよう構成された密閉プレート33と、対応する断熱バリアの一部を形成するよう構成された発泡断熱フォーム34の層と、を備える。
【0070】
このような壁要素32の製造方法とこの方法を実行可能な設備35とを
図3を参照して以下に説明する。
【0071】
設備35は、移送バンド36と、発泡性断熱フォーム溶液を供給するための供給部37と、ラミネータ38とを備えている。移送バンド36は、タンクの壁の一次メンブレン1及び二次メンブレン13の一方の一部を形成するように構成された密閉プレート33を受けるように構成されている。一実施形態では、密閉プレート33は、移送バンド36上に配置される前に、製造される壁要素32の寸法に予め切断されている。別の実施形態では、密閉プレート33は、移送バンド36上に連続的に配置され、発泡断熱フォーム34の層が形成され発泡された後に、製造される壁要素32の寸法に切断される。
【0072】
さらに、
図3に示すように、移送バンド36は、繊維マットのような繊維強化材39を受けるようにもなっている。この実施形態では、繊維強化材39はリール形態で供給される。繊維強化材39は、巻き出され、密閉プレート33の上に互いに平行に配置される。一実施形態では、繊維強化材39は、製造される壁要素32の寸法に予め切断される。別の実施形態では、繊維強化材39は、連続的に配置され、発泡断熱フォーム34の層が形成され発泡された後に切断される。繊維強化材39は、例えば、ポリウレタン樹脂などの樹脂によって互いに結合されたガラス繊維を含む。
【0073】
供給部37は、移送バンド36の上方に配置されている。供給部37は、繊維強化材39及び密閉プレート33上に発泡性断熱フォーム溶液40を供給するよう構成されている。発泡性断熱フォーム溶液40は、発泡剤及び発泡断熱フォームの形成を可能にする他の考え得る機能剤の化学成分の混合物を含む。発泡性フォーム溶液の成分は、供給部37に案内される前に、不図示のミキサー内で混合される。
【0074】
一実施形態では、製造される発泡断熱フォームは、ポリウレタンフォーム(PUR)又はポリイソシアヌレートフォーム(PIR)である。また、発泡断熱フォーム溶液は、少なくともポリオール、ポリイソシアネート、及び膨張剤とも呼ばれる発泡剤を含む。
【0075】
ポリオールは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びこれらの混合物から選択される。ポリイソシアネートは、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環式及びアリール脂肪族系ポリイソシアネート並びにこれらの混合物から選択される。
【0076】
膨張剤は、物理的発泡剤及び/又は化学的発泡剤、好ましくは両方のタイプの組み合わせからなる。一実施形態では、物理的発泡剤は、少なくとも4つの炭素原子を有するアルカン及びシクロアルカンと、1つから8つの炭素原子を有するジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、フルオロアルカン及びフルオロオレフィンと、アルキル鎖中に1つから3つの炭素原子を有するテトラアルキルシラン、特にテトラメチルシランと、これらの混合物と、のうちから選択される。別の実施形態では、選択される物理的発泡剤は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン若しくはHFC-245fa(Honeywell社によって販売されている)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン若しくは365mfc(例えば、Solvay社によって販売されているソルカン(登録商標)365mfc)、2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227eaとしても国際的に指定されており、例えば、Dupont社によって販売されている)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(例えば、Dupont社によって販売されているHFO FEA1100)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(ソルスティスLBA、Honeywell社)、又はこれらの混合物である。一実施形態では、化学発泡剤は水からなる。
【0077】
一実施形態では、発泡性断熱フォーム溶液40は、例えば、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン若しくはN,N-ジメチルベンジルアミンなどの第3級アミンの中から、又はビスマス、カリウム若しくはスズをベースとする有機金属化合物の中から選択することができる反応触媒を含む。
【0078】
供給部37は、発泡性断熱フォーム溶液40を密閉プレート33の幅にわたって均等に供給するように配されている。これを行うために、一実施形態では、供給部37は、横方向に移動することができる、即ち移送バンド36の進行方向に対し水平かつ直角に移動することができる1つ又は複数のノズルを備える。別の実施形態では、供給部37は、移送バンド36の進行方向に対して直角に、横方向の水平方向に均等に分配された複数のノズルを備える。
【0079】
発泡性断熱フォーム溶液40の特に粘度は、前記溶液が繊維強化材39に浸透し、発泡性断熱フォーム溶液40の供給とフォームの発泡の開始との間の期間に対応するクリームタイム中に前記容器が密閉プレート33に接触するように、決定される。これにより、発泡断熱フォーム34の層が密閉プレート33に接触して発泡して、これらが互いに付着する。
【0080】
移送バンド36の進行速度及び発泡性断熱フォーム溶液40の特性は、クリームタイムが経過したが、密閉プレート33、繊維強化材39及び断熱フォームを含むアセンブリがラミネータ38内に導入されたときに発泡性断熱フォームの発泡が完了していないように、決定される。ミキサーが供給部37の近くに配置されている場合には、成分の混合と供給部37による当該成分の供給との間の移動時間は無視することができることに留意されたい。
【0081】
不図示の実施形態では、設備35は、ラミネータ38の上流に、移送バンド36の上方に配置され繊維強化材39に当接する1つ又は複数のローラを備える圧力システムを備える。圧力システムは、特に、ラミネータ38に入る際のフォームの厚さを制御し、上面に良好な平坦性を与えることができる。
【0082】
ラミネータ38により、フォームの発泡を制限し、したがって発泡断熱フォーム34の層を所望のフォーマットで徐々に硬化させることが可能となる。一実施形態では、ラミネータ38は、頭字語DBLで知られているデュアルバンドラミネータ38であり、このようなデュアルバンドラミネータ38は、下側バンド41、上側バンド42及び側壁(
図3には示されていない)を含み、これらは長方形又は正方形断面のトンネルを共に形成する。
【0083】
有利には、ラミネータ38のトンネルの壁の位置決めは、フォームの発泡を制限することで、フォームの体積が、ラミネータ38のアウトプットにおいて、自由発泡の場合即ちラミネータ38の壁による制限なしの場合におけるこの同じフォームの発泡体積の92%から99%となるように、定められる。したがって、得られる発泡断熱フォーム34の層において、熱伝導率の低い気体を貯蔵するセルの少なくとも60%、通常は80%超、さらには90%超が、発泡断熱フォーム34の層の厚さ方向軸に平行な軸上に縦方向に延在する。さらに、このことは、フォームブロック内の繊維強化材39をより良好な均一性で分布させることにも寄与する。これにより、優れた機械的特性を示す発泡断熱フォーム34の層を得ることができる。
【0084】
ラミネータ38のアウトプットにおいて断熱ポリマーフォームの層が機械加工され、これにより、一方では壁要素32が所望の寸法に切断されるように、他方では、少なくとも発泡断熱ポリマーフォームの層における密閉プレート33と反対側にある面について、その平坦性が確保されるように、構成される。基準面を形成する密閉プレート33を用いることにより、密閉プレート33によって形成される壁要素32の平坦な面をその平坦性を確保するために削る必要がなく、これにより、壁要素32の製造をさらに簡素化することができる。
【0085】
不図示の別の実施形態では、発泡性断熱フォームの発泡は、ラミネータ内では生じない。換言すれば、下側バンド及び側壁を含むが、発泡性断熱フォームの発泡を制限するための上側バンドは含まない装置で、発泡が生じる。この場合は自由発泡と呼ばれる。
【0086】
不図示の一実施形態では、設備は、供給部37の上流において、密閉プレート33上に接着剤を供給することができる接着剤供給部を備え、これにより、密閉プレート33と発泡断熱フォーム34の層との間の付着を促進することができる。接着剤は、例えば、液滴又は連続若しくは不連続フィルムの形で供給することができる。
【0087】
有利な実施形態では、
図2に示すように、壁要素32は、密閉プレート33とは反対側の面において発泡断熱フォーム34の層に付着する支持体43をさらに備える。一実施形態では、支持体43は合板のシート43である。支持体43は、ラミネータ38のアウトプットにおいて発泡ポリマーフォームの層に接着される。このことは、支持体43を受けるよう構成された発泡断熱フォーム34の層の面を支持体43の接着前に機械加工することができ、したがって、このようにして製造された壁要素32の厚さに関する公差を低くすることが可能となる点で有利である。
【0088】
続いて、上で説明した方法によって製造された1つ又は複数の壁要素32が、壁要素32が二次壁要素である場合には直接支持構造15に固定されるか、又は壁要素32が一次壁要素である場合には二次メンブレン13若しくは二次断熱バリア14に固定されることで支持構造15に固定される。壁要素32は有利には平行六面体の形であり、平行な列に並置される。壁要素32の発泡断熱フォーム34の層間の間隙は、断熱バリア12,14の一方を形成するために断熱パッキンで充填される。さらに、密閉プレート33は、メンブレン1,13の一方を形成するために互いに密に連結される。
【0089】
一実施形態では、密閉プレート33はフィルムを含む。一実施形態では、フィルムは、ガラス繊維と樹脂の2つの層の間に挿入されたアルミニウムのシートを含む複合フィルムである。このような複合フィルムは、特にTriplex(登録商標)の商標で市販されている。この場合、密閉プレート33は二次メンブレン13の一部を形成するように構成される。また、壁要素32は二次壁要素であり、したがって支持構造15に直接固定される。壁要素32は、例えば文献FR2691520に記載されているように、例えば樹脂のビード及び/又は支持構造15に溶接されたスタッドによって支持構造15に固定される。
【0090】
一実施形態では、壁要素32の製造中、発泡性断熱フォーム溶液40が複合フィルムに直接接触する。別の実施形態では、発泡性断熱フォーム溶液40と接触して配置されるよう構成された複合フィルムの面は、複合フィルム上の発泡断熱フォーム34の層の付着力をさらに増大させることができる接着剤で予めコーティングされる。さらに別の実施形態では、密閉プレート33には、複合フィルムに接着され、発泡断熱フォーム34の層が付着される合板の層がさらに含まれる。
【0091】
壁要素32が支持構造15に固定されると、柔軟な複合フィルムが、隣接する壁要素32の複合フィルムにまたがって接着され、これにより、密閉接続が確保されて、二次メンブレン13が製造される。
【0092】
図4から
図6に関連して、別の実施形態による壁要素について説明する。この実施形態は、密閉プレート33が複合フィルムを備えず、レリーフ4を有する金属プレート2を備える点で、上で説明した実施形態と異なる。
【0093】
図5に詳細に示す金属プレート2は、当該プレートの平面を画定する平坦部3と、当該プレートの平面に対して直角の厚さ方向に平坦部3から突出する複数のレリーフ4と、を備える。
【0094】
レリーフ4は、互いに離間して配置され、金属プレート2の全体に分布しているので、レリーフ4と交差せずに当該プレートの平面に直線を引くことができないようになっている。実際には、タンクが充填されたときに金属プレート2が収縮する又はタンクが空になったときに金属プレート2が膨張することを確実にするために、金属プレート2は当該プレートの平面内の全ての方向にレリーフを有する。したがって、平坦部3はレリーフ4を互いに離隔する。各レリーフ4は、基部5と、少なくとも1つの頂点部6と、を有する。レリーフは、鍛造、好ましくは延伸によって、又はスタンピングやダイスタンピングなどによって製造される。一実施形態では、レリーフの高さは20mm未満、例えば10mm程度である。
【0095】
壁要素32を製造するために、
図4に示すように、金属プレート2は、レリーフ4が下方に突出するように移送バンド36上に配置される。発泡性断熱フォーム溶液40はレリーフ4内に入り、これにより特に金属プレート2の発泡断熱フォーム34の層への良好な付着を確実にすることが可能になる。一実施形態では、金属プレート2がラミネータ38内を通過するときにレリーフ4が押し潰されるのを防止するために、金属プレート2は、各レリーフ4にそれぞれ対応する形状のキャビティを有する支持体によって移送バンド36上に位置決めされる。
【0096】
図5及び
図6に示すように、レリーフ4は、半球体又は半楕円体を形成するように、円形の基部5と単一の頂点部6とを有する。ここではレリーフ4は金属プレート2上に均等に分布しているが、不図示の別の実施形態では、不均等に分布していてもよい。
【0097】
図6は、レリーフ4の様々な寸法を示すように、
図5のレリーフの1つの断面を示す。基部5は、プレートの平面内において第1の寸法7と第2の寸法8とを含み、これらは第1の実施形態の場合には等しい。第1の寸法7は、基部5に外接する最小円の直径に等しく、一方で、第2の寸法8は、基部5に内接する最大円の直径に等しい。また、金属プレート2の厚さ方向における頂点部6と基部5との間の距離が、レリーフ4の高さ9を画定する。
【0098】
図6の実施形態では、各レリーフ4は、隣接するレリーフ4から、基部5の第1の寸法7の1倍以下の距離だけ離隔している。レリーフ4の高さ9に対する基部5の第2の寸法8の比は、約3.33に等しい。したがって、レリーフ4の高さ9に対する基部5の第1の寸法7の比は、約0.3に等しい。
【0099】
上述の壁要素32は、二次壁要素又は一次壁要素を形成することができる。壁要素32が支持構造15に固定されると、金属プレート2は互いに縁から縁まで密に溶接される。
【0100】
図7及び
図8は、
図4から
図6の金属プレート2のレリーフ4の変形実施形態を示す。本変形実施形態では、レリーフ4の基部5の形状が第1の実施形態と異なる。実際には、本実施形態の基部5は、四辺形の対角線によって形成されるより大きな寸法7と、四辺形の最小辺によって形成されるより小さな寸法8と、を有する四辺形である。ここでは、基部5の第1の寸法7と基部5の第2の寸法8との比は約1.4に等しく、一方で、基部5の第2の寸法8とレリーフ4の高さ9との比は約2.5に等しい。したがって、レリーフ4の高さ9に対する基部5の第1の寸法7の比は約0.56に等しい。
【0101】
最初の2つの実施形態では、金属プレート2は、1つの金属プレートから別の金属プレートまで同一の形状及びサイズのレリーフを備える。不図示の他の実施形態では、レリーフ4は、上記の比を守りながら異なる形及びサイズを有することができ、また金属プレート2は、3つ以上の異なる一連のレリーフを含むこともできる。
【0102】
図9は、
図4の変形実施形態による壁要素32を示す。壁要素32は、隣接する壁要素32同士の金属プレート2に溶接されるよう構成された金属プレート2のゾーンの下方において、熱保護バンド52を備える。熱保護バンド52により、金属プレート2を互いに溶接する作業中に、発泡断熱フォーム34の層を劣化させる可能性がある温度から保護することができる。このような壁要素32を製造するために、発泡性断熱フォーム溶液40が供給される密閉プレート33は、金属プレート2と、発泡性断熱フォーム溶液40を受けるよう構成された金属プレート2の面上で金属プレート2に接着された熱保護バンド52と、を備える。熱保護バンド52は、例えば、ガラス繊維と樹脂の2つの層の間に挿入されたアルミニウムのシートを含む複合バンドである。
【0103】
また、壁要素32は二次壁要素である。
図9に示す金属プレート2には、一次断熱パネルを前記壁要素32上に固定するための1つ又は複数の固定要素49が組み込まれている。固定要素49は、例えば、金属プレートに固定されるねじ付きスタッド、又はねじ付きスタッドを受けるよう構成されたねじ付きナットである。
【0104】
図10に関し、一実施形態による壁要素32のゾーンを詳細に示す。この実施形態では、壁要素32は、一次パネル固定装置を受けるためのゾーンに固定プレート50を備える。この固定プレート50は、金属プレート2と発泡断熱ポリマーフォーム34の層との間に配置され、金属プレート2を局所的に補強することができる。一実施形態では、1つ又は複数のブラインドナット51が補強プレート50に固定される。このために、図示の変形実施形態では、ナット51は、固定プレート50に形成されたボアと協働するねじ山を有する。
【0105】
ナット51はカラーを備え、このカラーと固定プレート50との間に金属プレート2を挟み込むことができるようになっている。カラーは、密閉性を確保するために周縁において金属プレート2に溶接される。さらに、ナット51は、一次断熱バリアの断熱パネルの固定スタッドを受けるよう構成されたねじ付きブラインドボアを有する。
【0106】
このような壁要素32を製造するために、発泡性断熱フォーム溶液40が供給される密閉プレート33は、上で説明したように、金属プレート2と、補強プレート50と、ブラインドナット51と、を備える。
【0107】
不図示の変形実施形態では、固定プレート50は、合板の層に形成された凹部内に取り付けられる。この場合、密閉プレート33は、金属プレート2と、補強プレート50と、ブラインドナット51と、発泡性断熱フォーム溶液40が供給される合板の層と、を備える。
【0108】
図11に関し、変形実施形態による壁要素32のゾーンを詳細に示す。この実施形態では、密閉プレート33は、一次断熱パネルの固定スタッドを受けるよう構成された1つ又は複数のねじ穴54が形成された1つ又は複数のより厚いゾーン53を備える。
【0109】
図12及び
図13に示す別の実施形態では、密閉プレート33はコルゲート金属プレート44である。このようなコルゲート金属プレート44は
図11に斜視図で示されている。
【0110】
コルゲート金属プレート44は、方向yに延在する第1の一連の平行コルゲーション45(低コルゲーションと呼ばれる)と、方向xに延在する第2の一連の平行コルゲーション46(高コルゲーションと呼ばれる)と、を備える。一連のコルゲーションの方向xと方向yは直角である。コルゲート金属プレート44は、コルゲーション45,46の間に、複数の平坦面47を備える。低コルゲーション45と高コルゲーション46との間の各交点において、金属プレートはノードゾーン48を備える。
【0111】
コルゲート金属プレート44は、特に、ステンレス鋼、アルミニウム、インバー(登録商標)、即ち膨張係数が通常1.2×10-6K-1から2×10-6K-1である鉄とニッケルの合金、又は膨張係数が通常7×10-6K-1のオーダーである高マンガン含有量を有する鉄合金で作ることができる。しかしながら、他の金属又は合金の使用も想定することができる。
【0112】
有利には、密閉プレート33がこのようなコルゲート金属プレート44である場合、密閉プレート33は、コルゲーション45,46の形に対応するキャビティを有する支持体によって移送バンド36上に配置され、コルゲーション45,46はキャビティ内に挿入される。これにより、コルゲート金属プレート44がラミネータ38内を通過する際にコルゲーション45,46が押しつぶされるのを防止することができる。
【0113】
図12に示すように、発泡断熱フォーム34の層はコルゲーション45,46内に入り、これにより特にコルゲート金属プレート44の発泡断熱フォーム34の層への良好な付着を確実にすることができる。
【0114】
一実施形態では、コルゲート金属プレート44は一次メンブレン1の一部を形成するよう構成され、発泡断熱フォーム34の層は一次断熱バリア12の一部を形成するよう構成される。別の実施形態では、コルゲート金属プレート44は二次メンブレン13の一部を形成するよう構成され、発泡断熱フォーム34の層は二次断熱バリア14の一部を形成するよう構成される。
【0115】
壁要素32が支持構造15に固定されると、壁要素32のコルゲート金属シート44は、互いに縁部同士が溶接されることによって、あるいは隣接する壁要素32のコルゲート金属プレート44にまたがって溶接される追加の金属部品によって、互いに密に連結される。
【0116】
図14を参照すると、メタンタンカー船170の切り取り図において、船の二重船体172内に搭載された略プリズム形状の密閉断熱タンク171が示されている。タンク171の壁は、タンク内に収容されるLNGと接触するように構成された一次メンブレンと、一次メンブレンと船の二重船体172との間に配置された二次メンブレンと、一次メンブレンと二次メンブレンとの間及び二次メンブレンと二重船体172との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアと、を備える。
【0117】
それ自体知られている方法で、船のアッパーデッキ上に配置されたパイプライン173を適切なコネクタによって海上ターミナル又はポートターミナルに接続して、LNGの貨物をタンク171から又はタンク171に移送することができる。
【0118】
図14はまた、積み降ろしステーション175、水中ライン176及び陸上設備177を含む海上ターミナルの例を示す。積み降ろしステーション175は、可動アーム174と可動アーム174を支持するライザ178とを備える定置沖合設備である。可動アーム174は、積み降ろしパイプライン173に接続可能な断熱可撓性パイプ179の束を保持する。操縦可能な可動アーム174は全メタンタンカーテンプレートに適合する。不図示の結合ラインがライザ178の内側に延在する。積み降ろしステーション175は陸上設備177から又は陸上設備170へのメタンタンカーに対する積み降ろしを可能にする。陸上設備177は、液化ガス貯蔵タンク180と、水中ライン176によって積み降ろしステーション175に結合された結合ライン181と、を備える。水中ライン176によって、積み降ろしステーション175と陸上設備177との間で液化ガスを例えば5kmなどの長い距離にわたって移送することが可能となり、これにより、積み降ろし作業中にメタンタンカー船170を海岸から遠く離れた場所に維持することができる。
【0119】
液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために、船170に搭載されたポンプ、及び/又は陸上設備177が備えるポンプ、及び/又は積み降ろしステーション175が備えるポンプが使用される。
【0120】
本発明について、いくつかの特定の実施形態に関連して説明したが、本発明は、これに限定されず、説明した手段のすべての技術的均等物及びこれらの組み合わせを、これらが特許請求の範囲に記載された発明の枠組み内であることを条件として、備えることは明らかである。
【0121】
「備える」又は「含む」との動詞及びそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の要素又は工程の存在を排除するものではない。
【0122】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】