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特表2022-542116検知された身体動作に基づいて植込み型医療デバイスを操作するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】検知された身体動作に基づいて植込み型医療デバイスを操作するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20220921BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A61N1/36
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504646
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 US2020043405
(87)【国際公開番号】W WO2021016522
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/878,602
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510302135
【氏名又は名称】インスパイア・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Inspire Medical Systems,Inc.
【住所又は居所原語表記】5500 Wayzata Boulevard, Suite 1600 Golden Valley MN 55416 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】バーザル,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ネスビット,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ロンドニ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ディーケン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ソープ,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C038
4C053
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA15
4C038VB31
4C053BB12
4C053BB35
4C053JJ18
4C053JJ27
(57)【要約】
患者によって意図的に実行される指定された身体動作の検知された発生に応答して、植込み型医療デバイスの動作を制御するシステムおよび/または方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内に植込まれた植込み型センサを介して、指定された身体動作の前記患者による意図的な実行を検知することと、
前記指定された身体動作の前記検知された実行に基づいて、植込み型医療デバイスシステムの動作を制御することと、を含み、前記植込み型医療デバイスシステムが、前記患者内に植込まれた植込み型医療デバイスを含む、方法。
【請求項2】
前記制御するステップが、前記指定された身体動作の検知された実行の期間に対応する期間に受信した、前記検知された情報の電子的記憶を促すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御するステップが、前記植込み型医療デバイスの動作モードを変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変更するステップが、前記植込み型医療デバイスに、アクティブ動作モードから非アクティブ動作モードに切り替えるように促すことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変更するステップが、前記植込み型医療デバイスに、睡眠動作モードから起動動作モードに切り替えるように促すことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記植込み型医療デバイスが、前記起動動作モードよりも前記睡眠動作モードにおいてより少ない電力を消費する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変更するステップが、前記植込み型医療デバイスに、睡眠動作モードからペアリング動作モードに切り替えるように促すことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ペアリング動作モードが、固有の識別子を周期的にブロードキャストする前記植込み型医療デバイスを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記変更するステップが、前記植込み型医療デバイスに、現在のモードからターゲット動作モードに切り替えるように促すことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記制御するステップが、前記植込み型センサの動作モードを変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記植込み型医療デバイスシステムが、前記患者の外側に位置し、前記植込み型医療デバイスと無線通信するように構成された外部デバイスをさらに含み、さらに、前記制御するステップが、前記外部デバイスの動作モードを変更することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記植込み型医療デバイスシステムが、前記患者の外側に位置し、前記植込み型医療デバイスと無線通信するように構成された外部デバイスをさらに含み、さらに、前記制御するステップが、前記植込み型医療デバイスと前記外部デバイスとの間の認証された通信リンクを開始することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記外部デバイスが、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、リモートコントロール、臨床プログラマ、および通信ブリッジからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記開始するステップが、前記植込み型医療デバイスと前記外部デバイスとの間のペアリングプロセスの一部として実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ペアリングプロセスが、前記植込み型医療デバイスと前記外部デバイスとの間の安全な通信リンクを確立する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記外部デバイスを操作して、前記外部デバイスと前記植込み型医療デバイスとの間のペアリングプロセスを開始することと、
前記検知するステップが、前記外部デバイスを操作して前記ペアリングプロセスを前記開始するステップに対応する場合にのみ、前記ペアリングプロセスを完了することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ペアリングプロセスを前記完了するステップは、前記検知するステップが、前記操作するステップの後の前記所定の期間内に発生したと判定される場合にのみ実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ペアリングプロセスを完了する前記ステップは、前記検知および操作するステップが同時に発生したと判定される場合にのみ実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記検知するステップが、前記外部デバイスで生成された信号に対応する信号を生成した場合にのみ前記ペアリングプロセスを完了することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記検知するステップが、所定のシグネチャおよび所定の形態のうちの少なくとも1つを有する信号を生成する場合にのみ、前記ペアリングプロセスを完了することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記センサに近接して前記外部デバイスを位置決めすることと、
前記植込み型センサを介して前記検知するステップと同時に、前記外部デバイスによって担持される外部センサを介して前記指定された身体動作の前記患者による前記意図的な実行を検知することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記制御するステップが、前記検知するステップの一部として前記植込み型センサによって生成される信号が前記外部センサによって生成された信号に対応する場合、前記植込み型医療デバイスと前記外部デバイスとの間の通信リンクを認証することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記植込み型医療デバイスシステムが、前記患者の外側に位置する外部デバイスをさらに含み、さらに、前記指定された身体動作が、前記患者の領域内で前記外部デバイスを操作して前記植込み型センサによって知覚可能な信号を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記外部デバイスを前記操作するステップが、振動モードで動作する前記外部デバイスを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記植込み型医療デバイスを操作して、睡眠呼吸障害を治療することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記植込み型センサが、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記運動ベースのトランスデューサセンサが、加速度計、ジャイロスコープ、および圧力センサからなる群から選択される構成要素を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記植込み型センサが、前記植込み型医療デバイスによって担持される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記指定された身体動作が、前記患者の身体の一部分の動きを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記指定された身体動作が、前記植込み型センサのセンサ構成要素の領域内の前記患者の身体をタップすることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記指定された身体動作が、歩行を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記指定された身体動作が、回転を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記指定された身体動作が、跳躍を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記指定された身体動作が、前記患者の腕を上げることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記指定された身体動作が、前記患者の姿勢を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記植込み型医療デバイスシステムが、複数の異なる指定された身体動作を認識するようにプログラムされ、さらに、前記植込み型センサが、前記患者の検知された身体動作特性を示す信号を生成し、前記方法が、
前記植込み型センサから信号を受信することと、
前記信号に基づいて、前記複数の異なる指定された身体動作から現在の指定された身体動作の実行を認識することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記植込み型医療デバイスシステムが、前記複数の異なる指定された身体動作の各々に応答して異なる制御動作を実行するようにプログラムされている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記制御するステップが、前記現在の指定された身体動作に対応する前記制御動作を実行することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
患者を治療するためのシステムであって、
植込み型医療デバイスを含む植込み型医療デバイスシステムと、
指定された身体動作の前記患者による意図的な実行を示す特性を少なくとも検知するように構成された植込み型センサと、を含み、
前記植込み型医療デバイスシステムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に基づいて、前記植込み型医療デバイスシステムの動作を制御するようにプログラムされている、システム。
【請求項40】
前記指定された身体動作が、前記患者の身体の一部分の動きを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記指定された身体動作が、前記植込み型センサのセンサ構成要素の領域内の前記患者の身体をタップすることを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記指定された身体動作が、所定の時間間隔未満で複数のタップを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記指定された身体動作が、回転を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
前記指定された身体動作が、歩行を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項45】
前記指定された身体動作が、跳躍を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項46】
前記指定された身体動作が、前記患者の腕を上げることを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項47】
前記指定された身体動作が、前記患者の姿勢を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
前記患者の外部から前記システムの一部として動作可能であるように構成された外部デバイスをさらに含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項49】
前記指定された身体動作が、前記外部デバイスによって生成された信号を含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記信号が、前記外部デバイスの振動を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記植込み型医療デバイスおよび前記外部デバイスが、無線通信するように構成され、前記システムが、
前記植込み型医療デバイスと前記外部デバイスとの間の認証された通信リンクを確立するためのテレメトリプロトコル命令を実行するようにプログラムされたテレメトリ通信モジュールをさらに含み、
前記テレメトリプロトコル命令が、前記指定された身体動作の発生の識別を含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
前記システムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に応答して、前記植込み型医療デバイスの動作モードを変更するようにプログラムされている、請求項39に記載のシステム。
【請求項53】
前記システムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に応答して、前記植込み型医療デバイスに、アクティブ動作モードから非アクティブ動作モードに切り替わるように促すようにプログラムされている、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記システムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に応答して、前記植込み型医療デバイスに、睡眠動作モードから起動動作モードに切り替えるように促すようにプログラムされている、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記植込み型医療デバイスが、前記起動動作モードよりも前記睡眠動作モードにおいてより少ない電力を消費するように構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記システムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に応答して、前記植込み型医療デバイスに、睡眠動作モードからペアリング動作モードに切り替えるように促すようにプログラムされている、請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記システムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に応答して、前記植込み型医療デバイスに、アクティブ動作モードから安全動作モードに切り替わるように促すようにプログラムされている、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記システムが、前記指定された身体動作の前記検知された実行に応答して、前記植込み型センサの動作モードを変更するようにプログラムされている、請求項39に記載のシステム。
【請求項59】
前記植込み型センサが、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項60】
前記運動ベースのトランスデューサセンサが、加速度計、ジャイロスコープ、および圧力センサからなる群から選択される構成要素を含む、請求項59に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
多くの植込み型医療デバイスは、外部デバイス(例えば、リモートコントロール)を使用している。外部デバイスを使用して、治療を有効にし、治療を調整し、データを転送し、かつ/または診断を報告することができる。外部デバイスはシステムの追加コンポーネントであり、典型的な問題(例えば、患者が外部デバイスを忘れたり紛失したりする、外部デバイスが損傷する、バッテリーの消耗など)が発生しやすい。現状では、外部デバイスおよび無線データ転送もサイバーセキュリティのリスクをもたらしている。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】は、本開示の原理による患者治療システムを概略的に示すブロック図である。
図2図1の患者治療システムに有用であり、部分的に組み付けられた状態にある植込み型医療デバイスを概略的に表すブロック図である。
図3】組み付けられた状態の図2の植込み型医療デバイスと、植込み型医療デバイスに組み付けられた本開示の原理による植込み型センサとを概略的に表すブロック図である。
図4】本開示の原理による、植込み型パルス発生器アセンブリのハウジング内に担持された植込み型センサを含む別の患者治療システムの部分のブロック図である。
図5図1の患者治療システムに有用な例示的なセンサリードを概略的に表すブロック図であり、刺激電極および植込み型センサを含む。
図6】本開示の原理による、植込み型パルス発生器アセンブリおよび別個の植込み型センサを含む例示的なシステムを概略的に表すブロック図である。
図7】は、本開示の原理による別の患者治療システムを概略的に示すブロック図である。
図8A】例示的な制御部分を概略的に表すブロック図である。
図8B図8Aの制御部分の異なるモダリティの少なくとも一部の例を概略的に表す図である。
図8C】例示的なユーザインターフェースを概略的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、本開示が実施され得る特定の例を例示として示す添付の図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく、他の例を利用することができ、構造的または論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。本明細書に記載される種々の例の特徴が、特に明記されない限り、部分的または全体的に、互いに組み合わされ得ることを理解されたい。
【0004】
本開示の少なくとも一部の例は、患者による指定された身体動作の検知された意図的な実行に基づいて、患者内に植込まれた植込み型医療デバイスの少なくとも一部の動作を制御するシステムおよび方法を対象とする。一部の実施形態では、患者に植込まれた1つ以上のセンサは、患者による指定された身体動作の意図的な実行を検知または検出するために利用される。一部の実施形態では、指定された身体動作の検知された意図的な実行に応答して制御される植込み型医療デバイスの動作は、植込み型医療デバイスと外部デバイスとの間のインターフェース(例えば、無線通信)に関する。一部の例では、指定された身体動作の検知された意図的な実行に応答して制御される植込み型医療デバイスの動作は、植込み型医療デバイスの動作モードに関する。一部の実施例では、本開示のシステムは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)療法などの睡眠呼吸障害(SDB)療法のために構成および使用される。しかしながら、他の例において、本システムは、他の種類の療法に使用されており、これには、他の種類の神経刺激療法を含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、かかる他の実装形態は、限定されないが、中枢性睡眠時無呼吸、複雑睡眠時無呼吸、心臓障害、および呼吸障害などの療法を含む。
【0005】
本開示の原理による患者治療システム20の一例が、図1に概略的に表される。患者治療システム20は、植込み型医療デバイス(IMD)30、1つ以上の植込み型センサ32、身体動作モジュールまたはハンドラ34、および任意の外部デバイス36を含む。種々の構成要素に関する詳細を以下に提供する。概して言えば、IMD30は、患者への植込みのために構成され、患者への治療の実行を提供および/または支援するように構成される。植込み型センサ32は、種々の形態をとることができ、概して、患者への植込み、および少なくとも患者によって実行される1つ以上の身体動作を示すパラメータを検知するように構成される。植込み型センサ32は、IMD30によって担持され得るか、IMD30に接続され得るか、またはIMD30に物理的に接続されないスタンドアロン構成要素であり得る。身体動作モジュール34は、植込み型センサ32から情報を受信し、少なくとも部分的に、植込み型センサ32からの情報に基づいて、患者が指定された身体動作を実行したことを認識、識別、または判定するようにプログラムされる(またはプログラムされた別個のモジュールに接続される)。一部の実施形態では、身体動作モジュール34は、患者が指定された身体動作を実行したという判定に応答して、システム20の動作に関連する1つ以上の制御ルーチンなどに影響を与える(または影響を与えない)ようにプログラムされる(またはプログラムされた別個のモジュールに接続される)。以下に説明されるように、身体動作モジュール34は、IMD30によって組み込まれてもよく(例えば、IMD30によって動作されるソフトウェアアプリケーションにインストールされてもよい)、またはシステム20の他の構成要素とともに部分的または全体的に存在してもよい。提供される場合、外部デバイス36は、IMD30と無線通信することができ、以下に記載されるように、IMD30の動作を制御するように動作可能である。他の実施形態では、外部デバイス36を省略することができる(例えば、IMD30、植込み型センサ32、および身体動作モジュール34は、外部デバイスを必要とせずに、以下に記載される動作のうちの1つ以上を実行する)。
【0006】
図2は、例えば図1のシステム20のIMD30として、本開示のシステムおよび方法に有用なIMD50の一例を概略的に表すブロック図である。IMD50は、植込み型パルス発生器(IPG)アセンブリ52および刺激リード54を含み得る。IPGアセンブリ52は、回路62および電源64(例えば、電池)を含むハウジング60と、ハウジング60によって担持または形成されるインターフェースブロックまたはヘッダコネクタ66とを含み得る。ハウジング60は、IPGアセンブリ52を人体への植込みに適したものにするように構成され、生体適合性材料および密封シール(複数可)を組み込むことができる。回路62は、例えば、刺激エンジンの形態で、所望の刺激信号を生成する(例えば、電源64によって提供されるエネルギーを所望の刺激信号に変換する)ために適切な当業者に明らかな回路構成要素および配線を含み得る。一部の実施形態では、回路62は、当技術分野で知られているように、外部デバイスと通信するためのテレメトリ構成要素を含み得る。例えば、回路62は、送信されたデータパケットに関連付けられた信号に電力を変換する送信機、信号を電力に変換する受信機、組み合わせた送信機/受信機(またはトランシーバ)、アンテナなどを含み得る。
【0007】
一部の実施形態では、刺激リード54は、遠位に位置する刺激電極82を有するリード本体80を含む。リード本体80の反対側の端部において、刺激リード54は、近位に位置するプラグインコネクタ84を含み、プラグインコネクタ84は、インターフェースブロック66に着脱可能に接続可能であるように構成される(例えば、インターフェースブロック66は、当技術分野で知られているように、プラグインコネクタ84を受容するようなサイズおよび形状の刺激ポートを任意選択的に含むか、または提供することができる)。
【0008】
概して言えば、刺激電極82は、任意選択的にカフ電極とすることができ、刺激電極82を標的神経の周りに解放可能に固定するように付勢された(または別様でそのように構成可能な)一部の非導電性構造を含み得る。他の形態も許容可能である。さらに、刺激電極82は、刺激信号を標的神経に送達するための電極体のアレイを含み得る。一部の非限定的な実施形態では、刺激電極82は、少なくとも2012年12月25日に発行された米国特許第8,340,785号および/もしくは2011年6月23日に発行された米国特許出願公開第2011/0147046号に記載されているものと実質的に同じ特徴および属性のうちの少なくとも一部を含み得、それらの各々の教示全体は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
一部の例では、リード本体80は、概して可撓性の細長い部材であり、気道特性関連神経(例えば、下舌神経)などの神経に隣接する所望の位置に刺激電極82を配置するために、リード本体80を皮下に前進させ操作することを可能にするのに十分な弾力性を有する。一部の例では、閉塞性睡眠時無呼吸の場合などでは、神経は、気道開存を回復させるために舌および関連する筋肉の動きを引き起こす神経および関連する筋肉を含み得るが、これらに限定されない。一部の例では、神経は、舌下神経を含んでもよく(ただし、これらに限定されない)、筋肉は、舌下筋を含んでもよい(ただし、これらに限定されない)。一部の例では、リード本体80は、1つの本体位置(例えば、眼窩)に植込まれたIPGアセンブリ52から、標的刺激位置(例えば、頭部、頸部)まで延在するのに十分な長さを有し得る。回路62を介して生成されると、刺激信号は、刺激リード54を介してかかる神経に送達するためにインターフェースブロック68に選択的に送信される。
【0010】
図1に戻ると、植込み型センサ32は、ヒト患者への植込みに適切な種々の形態をとることができ、概して、運動ベースのトランスデューサの形態またはそれに類似した形態のセンサ構成要素を含む。一部の実施形態では、植込み型センサ32の運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素は、当技術分野で知られているように、加速度計(例えば、3軸加速度計などの多軸加速度計)、ジャイロスコープ、圧力センサなどであり得るか、またはそれを含み得る。正確な形態にかかわらず、植込み型センサ32のセンサ構成要素は、とりわけ、患者が以下に記載される1つ以上の身体動作を実行していることを示す情報を検知することができる。参考として、植込み型センサ32によって生成された情報は、以下に記載されるように、身体動作モジュール34に信号伝達され、身体動作モジュール34によって動作するが、植込み型センサ32からの情報は、他のモジュールもしくはエンジン(例えば、以下に記載されるように、IMD30によって患者に送達される治療を管理する療法マネージャモジュール)によって利用することができる。
【0011】
植込み型センサ32は、種々の方法でIMD30に接続され得る。例えば、図2のIMD50を追加的に参照すると、植込み型センサ32は、遠位端に運動ベースのトランスデューサセンサ要素を担持するリード本体と、近位端にプラグインコネクタとを含み得る。プラグインコネクタは、インターフェースブロック66に接続されてもよく(例えば、インターフェースブロック66は、植込み型センサ32のプラグインコネクタを受容するようなサイズおよび形状の検知ポートを含み、または提供してもよい)、リード本体は、IPGアセンブリ52から延在して、センサ要素を所望の解剖学的位置に位置決めする。したがって、運動ベースのトランスデューサ要素を介して検知された身体動作関連情報は、インターフェースブロック66を介して、回路62に送信される。
【0012】
あるいは、図3のブロック図によって反映されるように、植込み型センサ32は、インターフェースブロック66に物理的に結合され得、それにより、IPGアセンブリ52によって担持され得る(例えば、植込み型センサ32は、IMD50の構成要素とみなされ得る)。他の特徴の中でも、この任意選択の構成は、患者内に検知リードを配置することに通常関連するトンネリングおよび/または他の外科的ステップを排除することができ、また、IPGアセンブリ52を固定することと併せて発生するため、植込み型センサ32の長期安定性および容易な固定を促すことができる。一部の実施形態では、IPGアセンブリ52に対する植込み型センサ32の物理的結合は、それらの構成要素の植込みの前に実行される。
【0013】
一部の実施形態では、運動ベースのトランスデューサ型の植込み型センサ32がIPGアセンブリ52のハウジング60の上に(例えば、隣に)嵌合するように、植込み型センサ32のハウジングは、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素をIPGアセンブリ52に対して固定された配向に維持し得るようなサイズおよび形状を有する。この構成により、前後軸などの患者の身体の種々の軸に対する、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素の複数の直交軸の適切な配向を達成し、維持することが容易となる。
【0014】
関連する実施形態では、図4のブロック図によって反映されるように、植込み型センサ32(特に、上述したような運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素)は、インターフェースブロック66の構造内またはハウジング60の構造内に組み込まれ得る。これらおよび同様の構成により、植込み型センサ32のセンサ構成要素は、ハウジング60またはIPGアセンブリ52の他の筐体内の回路62に電子的に接続される。
【0015】
さらに他の実施形態では、植込み型センサ32は、刺激リード54の構造に組み込むことができる。例えば、図5は、本開示の1つの例による、刺激電極102および(上述した植込み型センサ32に類似した)運動ベースのトランスデューサセンサ104を含む刺激リード100を概略的に表すブロック図である。一部の例では、刺激リード100は、運動ベースのトランスデューサセンサ104を追加的に含むことを除いて、図2のリード54と実質的に同じ特徴および属性のうちの少なくとも一部を含む。図5に示されるように、リード100は、IPGアセンブリのポート(例えば、図2のIPGアセンブリ52のインターフェースブロック68)に着脱可能に接続可能に構成された近位端108と、運動ベースのトランスデューサセンサ104および電極102が搭載された反対側の遠位端110とを有するリード本体106を含む。一部の例では、センサ104は、必ずしもリード本体106の遠位端110にある必要はなく、リード100の近位端104よりも遠位端106に近い位置に配置される。一部の任意の実施形態では、運動ベースのトランスデューサセンサ104が位置するリード100の一部は、運動ベースのトランスデューサセンサ104の選択的な回転を可能にする機構(例えば、回転可能なスリーブ)を含んでおり、これにより、次に、(例えば、運動ベースのトランスデューサセンサ104が多軸加速度計である場合に)運動ベースのトランスデューサセンサ104の異なる軸112の所望の配向を採用することを可能にする。
【0016】
さらに他の実施形態では、植込み型センサ32は、IMD30に無線で接続され得る。例えば、図6は、本開示の1つの例による、上述したIPGアセンブリ52および別個の植込み型センサ150を含むシステムを概略的に表すブロック図である。植込み型センサ150は、IPGアセンブリ52に対する植込み型センサ150の物理的結合が欠如していることを除いて、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素を含む前述の植込み型センサと実質的に同一の特徴および属性のうちの少なくとも一部を含んでおり、その代わりに、植込み型センサ150は、IPGアセンブリ52に対して無線で電気的かつ通信可能に結合されている。このことを考慮すると、インターフェースブロック66は、植込み型センサ150のための検知ポートを提供する必要はなく、または検知ポートを第2のセンサ(図示せず)に使用することができる。一部の実施形態では、IPGアセンブリ52の回路62と、植込み型センサ150の回路(図示せず)は、Bluetooth、NFC、802.11などの既知の無線プロトコルに従って、無線通信経路152を介して、無線通信経路152を実装するための対応する構成要素を含む回路62および植込み型センサ150の各々と通信する。一部の例では、同様の無線経路は、植込み型センサ150および/またはIPGアセンブリ52を少なくとも部分的に制御するために、患者の身体外のデバイスと通信するため、患者の身体内の他のデバイス(例えば、他のセンサ)と通信するため、または以下でより詳細に説明されるように、患者の身体外の他のセンサと通信するために実装される。
【0017】
図1に戻ると、植込み型センサ32の形式に関係なく、身体動作モジュール34は、植込み型センサ32からの情報に基づいて、以下に説明するような1つ以上の動作を実行するようにプログラムされる(例えば、植込み型センサ32の出力は、身体動作モジュール34への入力である)。概して言えば、身体動作モジュール34は、植込み型センサ32によって信号伝達された情報に少なくとも部分的に基づいて、患者によって実行されたものとして1つ以上の指定された身体動作の発生を認識し、判定し、または識別するようにプログラムされる。身体動作モジュール34は、システム20の制御に関連する1つ以上の動作またはルーチン(例えば、IMD30、植込み型センサ32、外部デバイス36、IMD30と外部デバイス36との間の試みられた通信リンクなどの動作を制御すること)を実行するようにさらにプログラムされる(またはプログラムされた別のモジュールもしくはエンジンに指定された身体動作の検知された発生を示唆する情報を信号伝達する)。他の実施形態では、身体動作モジュール34(または以下に記載されるような身体動作モジュール34に類似した論理)は、特定のタスクを実行するようにプログラムされた別個のモジュールもしくはエンジンに組み込むことができる(例えば、以下に記載されるような身体動作モジュール34の論理は、テレメトリ制御エンジンの一部であり、安全なテレメトリ接続プロトコルの一部として利用され得る)。身体動作モジュール34(または以下に記載されるようなアルゴリズム)は、IMD30(例えば、回路62(図2))と部分的にまたは全体的に、外部デバイス36と部分的にまたは全体的に、または別個のデバイスまたは構成要素(例えば、クラウドなど)とともに存在することができる。
【0018】
指定された身体動作
上記によって示唆されるように、身体動作モジュール34は、植込み型センサ32からの情報に基づいて、少なくとも1つの指定された身体動作の発生を認識または識別または検出するようにプログラムまたは設計(例えば、適切なアルゴリズム)される。本開示の指定された身体動作は、多種多様な形態を想定することができ、患者の解剖学的構造(例えば、胸部、頸部、腹部など)の対応する植込み位置に植込まれている植込み型センサ32によって検出することができる。一部の実施形態では、指定された身体動作は、患者の身体(または患者の身体の一部分)の定義された運動に関する。例えば、指定された身体動作には、上下に跳躍すること、趾部で立つこと、回転すること、特定の肢を上げ、かつ/もしくは下げること(例えば、腕を上げること)、歩行することなど、および/または(同時にまたは所定の順序の)2つ以上の身体運動の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、指定された身体動作は、手動の活動に関する。例えば、指定された身体動作は、所定の方法(例えば、所定の時間間隔にわたるタップの所定のパターン、例えば、複数回タップすること、または特定のパターンでタップすること(例えば、時間間隔未満で2回、時間間隔未満で3回)など)で、植込み型センサ32のセンサ構成要素の領域内またはその近くの患者の身体上の1つ以上のタップを含み得るが、これらに限定されない。本開示の指定された身体動作として(またはその一部として)機能し得る非顕著な運動(例えば、他の動作に気づかずに患者が公共の場で行うことができる動作)の一部の非限定的な例としては、腕の揺動、胸筋の屈曲、肩の回転、肩または腰の揺動、顎の回転、舌の揺動、頭部の動き(例えば、左右、上下)、骨盤底の収縮などが挙げられる。本開示の指定された身体動作として(またはその一部として)機能し得る顕著な運動の一部の非限定的な例としては、タップすること、着座すること、臥床すること、起立すること、屈曲すること、腕の回転などが挙げられる。一部の実施形態では、指定された身体動作は、患者の姿勢に関する。少なくともこの文脈では、「姿勢」という用語は、患者が、仰臥位、伏臥位、左側体位(例えば、左側臥位)、右側体位(例えば、右側臥位)などのような、略垂直体位にあるか、または臥床体位にあるかを識別することを少なくとも指す。一部の事例では、「姿勢」という用語は、「体位」と称されることがある。例えば、指定された身体動作は、患者が直立体位または垂直体位をとることを含み得るが、これらに限定されない(単独で、または身体運動または手動の活動などの一部の他の身体動作と組み合わせて)。
【0019】
上記に加えて、またはそれに代わるものとして、一部の実施形態では、指定された身体動作は、外部デバイス36などの外部デバイスの動作に関連するか、またはそれを組み込む。例えば、植込み型センサ32のセンサ構成要素によって知覚または検知され得るレベルでユーザによって促された場合に、力または運動または他の「信号」を生成するように構成およびプログラムされた外部デバイスを提供することができる。一部の非限定的な実施形態では、外部デバイスは、所定の周波数で、または所定の周波数範囲内で振動(例えば、多くのハンドヘルド電子デバイスで概して利用可能な「振動モード」)するように構成され得る。植込み型センサ32のセンサ構成要素に近接して患者の身体に沿って位置し、動作を促される場合、外部デバイスは振動し、この振動は、以下に説明するように、身体動作モジュール34によって「認識」され得るレベルまたは周波数で植込み型センサ32によって検知される。換言すれば、振動の周波数またはパターンは、植込み型センサ32、したがって、身体動作モジュール34に異なる通信を送信するために使用され得る。振動のパターンは、外部デバイスから植込み型センサ32に情報を送信するために、振幅シフトキーイング、オン/オフキーイング、周波数シフトキーイングなどのアナログ変調またはデジタル変調の形態をとることができる。次に、身体動作モジュール34は、変調信号(複数可)を決定するようにプログラムまたは設計することができる。
【0020】
本開示の指定された身体動作は、上記に具体的に描写されていない他の形態をとることができる。より一般的な用語では、本開示の指定された身体動作は、少なくとも部分的に、植込みされた運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素によって提供される情報に基づいて、検知され得るか、または発生したと判定され得る、患者によって実行される任意の意図的な身体動作であり得る。身体動作モジュール34によって行われる指定された身体動作(複数可)のうちの1つ以上は、所定の順序で、かつ/または指定された期間内に、上述の身体動作のうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0021】
身体動作モジュール34によって具現化された論理(例えば、アルゴリズム)は、種々の方法で特定の指定された身体動作の発生を認識または識別または検出することができる。一部の実施形態では、特定の指定された身体動作は、植込み型センサ32からの情報のみを参照する比較的簡単なアルゴリズムによって認識または識別され得る(例えば、植込み型センサ32からの信号が特性Xを含む場合、対応する指定された身体動作は、識別されるか、または発生したとみなされる)。他の実施形態では、特定の指定された身体動作は、他のデータソースからの情報とともに、植込み型センサ32からの情報を参照して認識または識別することができる(例えば、植込み型センサ32からの情報が第1の所定の基準を満たし、第2のセンサ(例えば、心拍数モニタ、呼吸センサなどのIMD30によって担持される別の植込み型センサ)からの情報が第2の所定の基準を満たし、植込み型センサ32からの情報が、特定の時間(または時間の範囲)でルールまたは基準を満たすなどに、特定の指定された身体動作が識別されるか、または発生したとみなされる)。さらに他の実施形態では、特定の指定された身体動作は、植込み型センサ32からの情報、他のデータソースの情報、および確率的決定木/アルゴリズム(例えば、モデリングまたは人工知能または人工学習)を参照して認識または識別することができる。例えば、1つ以上のデータソース(植込み型センサ32からの情報を含む)を確率的決定モデルで使用して、植込み型センサ32のセンサ構成要素の領域の中またはその近くの皮膚をタップしながら臥床している患者の身体動作と、その皮膚をタップしながら立っている患者の身体動作との間の区別を認識または識別することができる。次いで、これらおよび関連する実施形態では、身体動作モジュール34は、特定の指定された身体動作が発生したか、または発生している可能性を評価するようにプログラムされ、評価された確率が許容可能に十分に高い(例えば、発生の可能性が80%以上であるとみなされる)場合に、特定の指定された身体動作が(後述のような動作制御ルーチンを開始する目的で)発生したとみなすか、または判定する。
【0022】
一部の実施形態では、身体動作モジュール34は、1つの指定された身体動作を認識、識別、または検出するようにプログラムされる。植込み型センサ32から信号伝達された情報が、識別ルールまたは身体動作モジュール34にプログラムされた「レシピ」に対応する場合、身体動作モジュール34は、指定された身体動作が発生したことを認識または識別または検出することができる(例えば、身体動作モジュール34は、短時間にわたる一連の上下運動について植込み型センサ32から信号伝達された情報をレビューし、かかる発生を認識した際に、患者が上下運動で跳躍する指定された身体動作が発生したことを判定または識別または検出するようにプログラムすることができる)。他の実施形態では、身体動作モジュール34は、2つ以上の異なる指定された身体動作を認識または識別または検出するようにプログラムされる。例えば、身体動作モジュール34は、植込み型センサ32からの情報によって示唆され得る定義されたパラメータをそれぞれ有する異なる指定された身体動作のライブラリを含むか、または参照することができる。身体動作モジュール34は、植込み型センサ(複数可)32からの情報を継続的または周期的にポーリングし、受信された情報をライブラリに記憶された定義されたパラメータと比較し、信号伝達された情報が対応する指定された身体動作の定義されたパラメータと一致する(または十分に近いとみなされる)場合に、特定の指定された身体動作の発生を識別することができる。一部の実施例では、「指定された身体動作」(その発生が動作を促す)は、同時にまたは迅速に連続して発生しなければならない2つ以上の別個に識別可能な動作を含む。例えば、植込み型センサ32の領域内の患者の身体を(例えば、指定された回数)タップすることは、特定の身体の姿勢をとること、腕を上げること、歩行すること、回転すること、または跳躍することのうちの少なくとも1つと同時に、かつ/または直前もしくは直後に行われる。代替的に、または加えて、身体動作モジュール34は、別のモジュールもしくはエンジンによって、特定の指定された身体動作について監視するように促されてもよく、これらおよび同様の状況下で、身体動作モジュール34は、要求に応答して、植込み型センサ32(およびおそらく他のデータソース)から信号伝達された現在の情報を、ライブラリに記憶された特定の指定された身体動作に対応する定義されたパラメータと比較し、結果を要求モジュールもしくはエンジンに信号伝達するようにプログラムされる。
【0023】
動作の制御
種々の制御動作は、本開示の原理により、指定された身体動作が患者によって実行されたという判定に応答して、実施または実行することができる。一部の実施形態では、身体動作モジュール34は、特定の制御動作またはルーチンを実行するように、または実行を促すようにプログラムされ得る。他の実施形態では、別のモジュールもしくはエンジンは、特定の指定された身体動作が患者によって実行されたことを示す身体動作モジュール34からの情報に応答して、特定の制御動作またはルーチンを実行するか、または実行を促すようにプログラムすることができる。一部の実施形態では、制御動作またはルーチンは、IMD30の動作モード(例えば、現在のモードからターゲットモードへの切り替え)、例えばIPGアセンブリ52の動作モード(図2)に関連するか、またはそれを変更することを含み得る。
【0024】
例えば、図2を追加して参照すると、IPGアセンブリ52は、異なるモード(例えば、最小限の電力が消費され、刺激療法が送達されていないスリープモードまたは非アクティブモード、IPGアセンブリ52がスリープモードから移行し、外部デバイスとのペアリング(ペアリングモード)および/または刺激療法の提供(アクティブモード)のための必要な接続およびプログラミングを準備する起動モード、IPGアセンブリ52がプログラム可能なレベルで刺激療法を送達するアクティブモード、IPGアセンブリ52が最小限のレベルで刺激療法を送達する安全モードなど)で動作するように構成および/またはプログラムすることができる。一部の実施形態では、動作モードのうちの1つ以上を実現するために必要な動作制御モジュール(複数可)もしくはエンジン(複数可)は、IPGアセンブリ52(例えば、回路の一部62)とともに提供され、他の実施形態では、動作制御モジュール(複数可)もしくはエンジン(複数可)は、特定のモードで動作するようにIPGアセンブリ52を促すように動作する補助デバイス(例えば、外部デバイス36)とともに提供される。
【0025】
IPGアセンブリ52が少なくとも1つの動作制御モジュールもしくはエンジンを含む一部の非限定的な実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、対応する指定された身体動作の判定された発生時に、特定の動作モードで自動的に開始するか、または動作するようにプログラムされたIPGアセンブリ52を含み得る。非限定的な例として、IPGアセンブリ52は、この制御動作に割り当てられた指定された身体動作の発生の識別に応答して、(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれ、身体動作モジュール34と通信する動作制御モジュールもしくはエンジンのいずれかを介して)起動動作モードを開始するようにプログラムされ得る(例えば、患者が(植込み型センサ32のセンサ構成要素の領域内で)身体を3回連続してタップしたことに応答して、IPGアセンブリ52は、スリープモードから自動的に「起動」する)。これらおよび他の実施形態では、例えば、患者の意図的な動作によってもたらされる動作制御は、以下に記載されるように、外部デバイス36とのペアリングなどのさらなる活動に備えて、IPGアセンブリ52を自動的に起動させることができる。これに関して、対応する指定された身体動作の検出された発生によってもたらされる動作制御は、IPGアセンブリ52を、スリープモードからペアリングモードまたは他のより高いエネルギーのアクティブモードに自動的に移行(または「起動」)させることを含み得る。参考までに、テレメトリ、特にBluetooth(登録商標)などのモードは、高出力のブロードキャスト/アドバタイズ/スニッフィングモードのままである場合、多くのエネルギーを消費し、さらに、起動動作モードでは非常に長いレイテンシを被る可能性がある。このことを考慮すると、本開示の一部の実施形態は、治療が提供されていない期間中に低電力スリープモードでIPGアセンブリ52を動作させることによって電力を有益に節約し、対応する指定された身体動作の検出時に自動的にペアリングモードに移行し、これは、次いで、IPGアセンブリ52が外部デバイスと無線接続を試みるアドバタイズモードまたはスニッフィングモードに入ることを意味し得る。同様に、スリープモードから任意の他のより高いエネルギーのアクションモード(例えば、スリープモードよりも多くの電力を必要とするが、ペアリングおよび/またはより高速な接続速度よりも少ない電力を必要とするアクションモード)に自動的に移行することは、全体的な電力消費を有益に節約することができる。
【0026】
別の非限定的な例では、IPGアセンブリ52は、この制御動作に割り当てられた指定された身体動作の発生の識別に応答して、(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれ、身体動作モジュール34と通信する動作制御モジュールもしくはエンジンのいずれかを介して)非アクティブまたは睡眠動作モードを開始するようにプログラムすることができる(例えば、患者が上下に跳躍することに応答して、IPGアセンブリ52は自動的に非アクティブモードに移行し、それにより、任意の刺激療法を停止する)。これらおよび関連する実施形態では、患者は、別個のリモートコントロールにアクセスする必要なしに、IPGアセンブリ52をすばやく「オフ」にすることができる。
【0027】
別の非限定的な例では、IPGアセンブリ52は、(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれ、身体動作モジュール34と通信する動作制御モジュールもしくはエンジンのいずれかを介して)IPGアセンブリ52の現在の動作モードを所定の期間休止または延長するようにプログラムすることができる。例えば、本開示の患者治療システムが植込まれ、SDB刺激療法を提供するようにプログラムされる一部の非限定的な実施形態では、IMD30は、夜間に刺激療法を提供し、所定の時刻に刺激療法を自動的に終了するようにプログラムされ得る。一部の場合では、患者は、治療を所定の時間を超えて延長することを望む場合がある(目覚まし時計の「スヌーズ」ボタンに類似する)。本開示のシステムおよび方法の一部では、患者は、対応する指定された身体動作を実行することによって、所定の時間を超えて治療の提供を自己延長することができる。身体動作モジュール34は、指定された身体動作が植込み型センサ32からの情報を介して実行されたことを認識し、対応する動作制御ルーチンが、所定の長さの時間にわたって刺激療法の提供を自動的に延長するように実行される。
【0028】
別の非限定的な例では、IPGアセンブリ52は、(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれ、身体動作モジュール34と通信する動作制御モジュールもしくはエンジンのいずれかを介して)療法の送達を開始するようにプログラムされ得る。例えば、本開示の患者治療システムが植込まれ、SDB刺激療法を提供するようにプログラムされる一部の非限定的な実施形態では、IMD30は、患者の活動が最小限に抑えられているか、または患者の活動がなくなってから、所定の時間、および/または所定の時間の後に刺激療法を提供するようにプログラムされ得る。一部の事例では、患者は、他の方法で開始されるよりも早く治療送達を開始することを望む(例えば、患者が強い眠気を感じており、他の方法で開始されるよりも早く治療を「オン」にするように治療遅延オーバーライドを有効にすることを望む)場合がある。本開示のシステムおよび方法の一部では、患者は、対応する指定された身体動作を実行することによって、治療送達遅延をオーバーライドすることができ、身体動作モジュール34は、指定された身体動作が、植込み型センサ32からの情報を介して実行され、対応する動作制御ルーチンが、プログラムされた治療遅延を自動的にオーバーライドし、かつ/または刺激療法の提供を開始するために実行されることを認識する。これらの任意の特徴は、何人かの患者がどれほど迅速に無呼吸になるかを考慮して、SDB治療の開存性を増大させることができる。関連する実施形態では、治療遅延オーバーライド動作に対応する指定された身体動作が、患者の身体に対してまたは患者によって実行される動作(例えば、胸部をタップする)を伴う場合、患者以外の者(例えば、患者の配偶者)は、例えば、患者がすでに眠っており、すでに無呼吸状態に入っている間、指定された身体動作を患者に行うことによって、遅延なく、治療をオンにするか、もしくは有効にするか、または他の動作制御(例えば、刺激振幅を調整する)を実装することができる。
【0029】
さらに他の実施形態では、特定の指定された身体動作の識別された発生によって示唆される制御動作またはルーチンは、外部デバイス36などの外部デバイスに関連するか、または外部デバイスとのインターフェースを含み得る。参考として、IMD30は、種々の外部デバイスと(例えば、テレメトリを介して)インターフェースを有するように構成され得る。例えば、外部デバイス36には、患者リモート部、医師リモート部、臨床医ポータル部、携帯デバイス、携帯電話、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットパーソナルコンピュータなどを含み得るが、これらに限定されない。外部デバイス36は、IMD30が植込みされる患者によって保持および操作されるスマートフォンまたは他のタイプのハンドヘルド(またはウェアラブル)デバイスが含まれ得る。別の例では、外部デバイス36には、患者のための医療専門家によって操作されるパーソナルコンピュータなどが含まれ得る。外部デバイス36には、患者の自宅または介護者のオフィスに留まるように設計されたコンピューティングデバイスが含まれ得る。
【0030】
上記を考慮すると、本開示の制御動作またはルーチンは、IMD30と外部デバイス36との間のテレメトリ通信の確認、開始、認証などのうちの1つ以上を含み得る。「開始する」という用語は、外部デバイス36で開始するユーザ動作と、指定された身体動作(例えば、植込まれたセンサ32に近い身体の胸部または他の領域をタップする)の実行から開始するユーザ動作の両方を包含することが意図される。参考として、テレメトリプロトコルは、IMD30と外部デバイス36との間の無線通信を容易にする。このプロトコルは、成功した接続が確立される前に、IMD30および外部デバイス36が交換されるデータの多くの物理層およびリンク層の態様に合意しなければならないことを指示する。接続を確立し、テレメトリ通信を実行する方法を定義するルールは、「プロトコル」と称される。通信プロトコルは、認証、エラー検出および修正、並びに信号伝達を含むか、または包含することができる。通信プロトコルは、例えば、IMD30および外部デバイス36によって担持されるハードウェアおよびソフトウェアで実装される。オープンソースまたはライセンス契約により、1つ以上のエンティティによって使用され得る標準化されたテレメトリ通信技術またはプロトコルである。例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)ローエナジー(BLE)、近接磁界誘導(NFMI)通信、Wi-Fi、Zigbee(登録商標)などである。
【0031】
通信するためにIMD30および外部デバイス36によって採用される特定のテレメトリ通信プロトコルにかかわらず、デバイス30、36は、まず、通信するためにテレメトリ「接続」を確立する。電気通信において、「接続」とは、2つ以上のエンティティ(例えば、デバイス、アプリケーション、デバイスまたはアプリケーションのユーザなど)が通信することができるように、必要な構成を正常に完了することである。2つのデバイスは、テレメトリリンクを使用してテレメトリ接続を確立することができる。リンクとは、2つ以上の通信機器を接続する通信チャネルを指す。このリンクは、実際の物理リンクであってもよく、または1つ以上の実際の物理リンクを使用する論理リンクであってもよい。2つのデバイスが無線通信(例えば、テレメトリ)を使用して接続される一部の実装形態では、それぞれのデバイス間のリンクは、論理リンクである。したがって、種々の実施形態では、「接続」および「リンク」という用語は、同義的に使用される。
【0032】
IMD30は、外部デバイス36からの接続要求を受信すると、外部デバイス36とのテレメトリ接続を確立するように構成することができる。接続要求は、概して、外部デバイス36とのテレメトリ接続を確立するようにIMD30に促して、外部デバイス36がIMD30の動作をプログラムまたは制御すること、および/またはIMD30から収集されたデータを読み取ることを可能にする。テレメトリ接続を設定および確立するための特定の信号フローは、採用されるテレメトリプロトコルに応じて変化し得る。一部の実施形態では、IMD30および外部デバイス36が互いの間で機密情報(例えば、IMD30の動作を制御するプログラミング情報)を通信するために、IMD30および外部デバイス36は、「安全な」テレメトリ接続またはリンクを確立し、採用する必要がある。「安全な」テレメトリ接続またはリンクは、2つ以上のノード間で流れるデータの安全性を確保するために、1つ以上のセキュリティプロトコルによって暗号化された接続またはリンクである。例えば、IMD30とのテレメトリセッションを開始するために、外部デバイス36は、IMD30とのテレメトリ接続を確立することを要求する接続要求をIMD30に送信することができる。外部デバイス36からの接続要求を受信すると、IMD30と外部デバイス36との間に初期テレメトリ接続を確立することができる。次いで、IMD30は、外部デバイス36と安全な接続を確立する前に、外部デバイス36がIMD30と通信することが許可されているかどうかを判定することができる。
【0033】
デバイス間(例えば、IMD30と外部デバイス36との間)で安全なテレメトリ接続を確立するために、デバイスは、デバイス間の安全で信頼できる関係を確立または認証するペアリングプロセスを実行する。ペアリングプロセスは、通信に関与するデバイスがID情報を交換して信頼を確立し、将来のデータ交換に必要な暗号化情報を取得する仕組みである。セキュアで信頼できる関係は、両方のデバイスがそれぞれのデバイス間の認可されたテレメトリを有し、多くの場合、ユーザ/デバイスの認可および/または識別手順を伴うことを保証する。2つのデバイスが安全で信頼できる関係(「ペアリングされる」とも称される)を確立し、認証した後、それぞれのデバイスは、ペアリングプロセス内のデバイス間で過去に確立された暗号鍵を使用して、互いに通信することができる。
【0034】
上記の背景に基づいて、本開示の制御動作またはルーチンは、IMD30と外部デバイス36との間の認証された通信リンクの確認、開始、または確立を含み得る。例えば、IPGアセンブリ52にプログラムされたテレメトリプロトコルは、ペアリングプロセスの一部として、IMD30と外部デバイス36との間の安全な通信リンクが認証されるために、指定された身体動作が患者によって実行されなければならない(したがって、植込み型センサ32からの情報に基づいて身体動作モジュール34によって認識または識別されなければならない)ことを要求することができる。IPGアセンブリ52は、(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれ、身体動作モジュール34と通信するテレメトリモジュールもしくはエンジンのいずれかを介して)指定された身体動作が特定の期間内に識別された場合にのみ、IMD30と外部デバイス36との間の安全な通信リンクの試みを認証するようにプログラムされ得る。非限定的な例として、IMD30と外部デバイス36との間の安全な通信リンクは、植込み型センサ32が、ペアリングプロセスの一部として患者が(植込み型センサ32のセンサ構成要素の領域内で)自身の身体をタップすることを検出する場合にのみ認証される。関連する実施形態では、外部デバイス36で実行されるアクションは、テレメトリプロトコルに組み込まれ得る。例えば、外部デバイス36は、ユーザがペアリングプロセスを開始するために押すペアリング「ボタン」を提供することができ、これらおよび関連する実施形態では、テレメトリプロトコルは、IMD30がIMD30と外部デバイス36との間の安全な通信リンクを認証するために、所定の期間内に、(したがって、植込み型センサ32によって検知される)指定された身体動作を患者が実行することに続いて、外部デバイス36上のペアリングボタンをユーザ(例えば、患者、臨床医など)が押すことを任意選択的に含み得る。
【0035】
上記の説明から、本開示の一部のシステムおよび方法は、IMD30と外部デバイス36との間の安全なテレメトリ通信リンクの認証に利用される従来のまたは標準的なサイバーセキュリティ手法の追加として、またはその代替として、強化されたサイバーセキュリティを提供することが理解される。ペアリング中に患者に指定された身体動作を実行させることで、通信リンクを確立するときに(例えば、IMD30と悪意のあるデバイスとのペアリングを防止するためなどに)追加の認証層を提供することができる。例えば、ペアリングモードは、IPGアセンブリ52が、IPGアセンブリ52と関連付けられた一意の識別子を周期的にブロードキャストすることを含み得る。これは所望によりプライバシー緩和として機能することができ、情報は、患者がペアリングモードに入ることを介して要求した場合にのみブロードキャストされる。一意の識別子は、典型的には、ペアリングが機能するために必要とされる。
【0036】
一部の関連する任意の実施形態では、外部デバイス36に組み込まれたテレメトリ通信モジュールもしくはエンジンを備えたプログラミングは、患者(または他のユーザ)による1つ以上の指定された身体動作を参照または「要求」して、IMD30との安全な通信リンクを認証することができる。例えば、外部デバイス36は、植込み型センサ32に類似した外部センサをさらに含み得る。ペアリングプロセスまたは動作の一部として、外部デバイス36は、外部センサが植込み型センサ32と同じ指定された身体動作を検知できるように患者に対して位置決めされ、IMD30と外部デバイス36との間の安全な通信リンクは、植込み型センサ32によって示唆される身体動作が外部デバイス36の外部センサによって示唆される身体動作に許容可能に対応する場合(またはより単純には、植込み型センサ32からの信号が外部デバイス36の外部センサの信号形態に許容可能に対応する場合)にのみ認証され、それによって、外部デバイス36とのペアリングが開始される場合に、正しいデバイスが外部デバイス36にペアリングされることを確実にする(曖昧性排除とも称される。複数の可能なペアリングデバイスが近傍で利用可能であり、所望の接続が確立されることの確認を望む。また、ペアリングの誤検知ではなく、デバイスへのペアリングを確認する手段を提供する)。これらおよび関連する実施形態では、身体動作(例えば、運動信号)は、植込み型センサ32(したがって、IMD30に関連付けられた身体動作モジュール34)および外部デバイス36の両方によって検知される。これは、植込み型センサ32/IMD30および外部センサ/外部デバイス36の両方によって検知される信号(例えば、外部デバイス36によって生成された信号、環境信号、または患者が実行する身体動作)であり得る。例えば、外部デバイス36は、患者の身体(例えば、胸部)上に配置され、その後に、患者が外部デバイス36をタップすること、植込み型センサ32/IMD30と外部センサ/外部デバイス36の両方によってカスタム振動パターンが検知されることなどが可能である。2つの信号が互いに許容可能に対応するかどうかを判定するために、種々のアルゴリズムを用いることができる。例えば、2つの信号のピークツーピークタイミングの分析または比較を行うことができ、IMD30によってもたらされる制御動作は、一部の実施形態では、外部センサ/外部デバイス36が他の認証情報とともに正しいタイミング値(または信号上の一部の他の統計)を報告する場合にのみ、外部デバイス36とのペアリングを可能にする。
【0037】
代替的に、または加えて、本開示のシステムおよび方法は、外部デバイス36に提供されるプログラミング(例えば、アプリ)を利用して、身体動作モジュール34のパラメータを確立または較正することができる。例えば、外部デバイス36がIMD30と無線で通信する訓練または較正モードの一部として、外部デバイス36は、患者に指定された身体動作(例えば、身体のタップ、跳躍、左折、右折、右腕の上昇、左腕の上昇など)を実行するように促すことができる。代替的に、または加えて、一連の動作を較正のために利用することができる(例えば、患者は、指定された身体動作を実行し、次に10秒間臥床し、次に10秒間起立し、次に10ステップ歩行するように促される)。これにより、植込まれたセンサ32が訓練され、次にさらなる活動/姿勢をより正確に検知することができる。この較正プロセスの間、植込み型センサ32によって生成された信号が特徴付けられる。将来、植込み型センサ32が同様の動作を検出した場合、システム20は、上述のように割り当てられた動作制御として実行する。関連する実施形態では、外部デバイス36は、患者によって指定されたカスタムの身体動作をプログラムするために使用され得る。
【0038】
さらに他の実施形態では、特定の指定された身体動作の識別された発生によって示唆される制御動作またはルーチンは、植込み型センサ32の動作に関連するか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、植込み型センサ32は、加速度計センサ構成要素を含み得る。加速度計ベースのセンサは、典型的には、それぞれが異なる電力要件を有する広範囲の動作モードを提供する(例えば、低サンプリングレート型の動作モードは、高サンプリングレート型の動作モードよりも少ない電力を必要とする)。植込み型センサ32は、植込み型センサ32によって、IPGアセンブリ52によって(例えば、植込み型センサ32がIPGアセンブリ52に接続されている実施形態で)、または別のデバイス(例えば、外部デバイス36)によって担持される論理を介して、特定のモードで動作するように促すことができる。いずれにせよ、植込み型センサ32は、対応する指定された身体動作の判定された発生時に、特定の動作モードで自動的に開始または動作するように促され得る。非限定的な例として、IPGアセンブリ52は、この制御動作に割り当てられた指定された身体動作の発生の識別に応答して、植込み型センサ32に、(例えば、患者が行っていると考えられるものに対して適切な)高サンプリングレート型の動作モードで動作させる(例えば、患者が伏臥姿勢をとったことに応答して、IPGアセンブリ52は、植込み型センサ32を自動的に高サンプリングレート型の動作モードで動作させる)ようにプログラムすることができる(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれた動作制御モジュールもしくはエンジンのいずれかを介して、身体動作モジュール34と通信する)。これらおよび他の実施形態では、例えば、植込み型センサ32による消費電力は、より高いサンプリングレートが所望されない期間中に最小限に抑えることができる(例えば、植込み型センサ32は、非常に低いサンプリングレート(例えば、1Hz)で実行することができ、それでも、より高い電力、より高いサンプリングレートモード(例えば、呼吸検出のための10~100Hz、心臓検出のための50~500Hzなど)に入る必要性または要望を示唆する特定の指定された身体動作(姿勢検出、階段を上ること、走ることなど)が発生したとみなすのに必要な情報を「検出」することができる)。
【0039】
関連する実施形態では、本開示の動作制御は、2つ以上の冗長な植込み型センサを含む任意選択のシステム構成に関し得る。参考として、本開示の原理による別の患者治療システム160の一部は、図7に概略的に反映される。システム160は、第1の植込み型の運動ベースのトランスデューサセンサ162および第2の植込み型の運動ベースのトランスデューサセンサ164とともに、上述したように、IMD30および身体動作モジュール34を含む。センサ162、164の一方または両方は、身体動作モジュール34への入力として(すなわち、上述のように植込み型センサ32(図1)として)機能することができ、代替的または追加的に、身体動作モジュール34が上述のように患者による指定された身体動作の実行を決定または識別する入力源として機能する別の植込み型センサ(図示せず)を提供することができる。IMD30とは別に示されるが、センサ162、164の一方または両方は、IMD30の構造内(例えば、図6の実施形態と同様に、ハウジング60内など)に担持され得る。いずれにしても、植込み型の運動ベースのトランスデューサセンサ162、164は、それぞれ、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素(例えば、加速度計、ジャイロスコープなど)を含むか、または担持し、冗長センサとして動作可能である。冗長センサ162、164のうちの2つが示されているが、他の実施形態では、3つ以上の冗長センサが提供されてもよい。
【0040】
システム160は、冗長な運動ベースのトランスデューサセンサ162、164(例えば、冗長加速度計、冗長ジャイロスコープ)を種々の方法で動作させるようにプログラムすることができる。一部の実施形態では、第1の運動ベースのトランスデューサセンサ162は、特定の指定された身体動作を示すパラメータを検知することに専用であり、一方、第2の運動ベースのトランスデューサセンサ164は、他の目的を果たす。これらおよび類似の実施形態では、第1の運動ベースのトランスデューサセンサ162は、低解像度、低サンプリングレート、1つの特定の指定された身体動作および対応する動作制御(例えば、上記の「起動」制御動作)を「処理する」低消費電力センサ(例えば、加速度計)として動作することができ、第2のセンサ164は、他の目的を果たすために他のモードで動作することができる。一部の実施形態では、冗長な運動ベースのトランスデューサセンサ162、164は、特定の指定された身体動作の発生を検出するために身体動作モジュール34に必要な情報を提供するために(例えば、使用されるフィルタパラメータ、IMD30/患者に対するセンサチップの配向、使用される運動ベースのトランスデューサセンサのタイプなどによって)特定的に調整され得る。いずれにしても、本開示の制御動作は、冗長センサ162、164の間の切り替えを含み得る。例えば、第1の運動ベースのトランスデューサセンサ162は、植込み後に患者の主軸に配置された3軸加速度計であり得、第2の運動ベースのトランスデューサセンサ164は、植込み後に第1のセンサ162に対して45度に配置された3軸加速度計であり得る。このことを考慮すると、指定された身体動作は、臥床からより直立した姿勢への姿勢変化であり得、対応する制御動作は、患者モニタリングモジュールへの入力を第1の加速度計センサ162から第2の加速度計センサ164に切り替えることであり得る(例えば、これらの状況下では、(第1の加速度計センサ162に対して45度に配置された)第2の加速度計センサ164は、第1の加速度計センサ162よりも生理学的信号(例えば、心拍、呼吸など)を検出することができる)。
【0041】
図1~6に戻ると、一部の非限定的な実施形態では、IPGアセンブリ52は、(例えば、回路62によって組み込まれた身体動作モジュール34、または回路62によって組み込まれ、身体動作モジュール34と通信する動作制御モジュールもしくはエンジンのいずれかを介して)指定された身体動作の検知された実行の時間の前および/または後に、所定の期間(例えば、1分)内に記録された検知された生理学的情報の電子的記憶を促すようにプログラムされ得る。エピソード(例えば、覚醒、心臓不整脈、発作など)中に記憶されたこの情報(例えば、姿勢、心電図、脳波、心臓)は、臨床医による後のレビューのために利用することができる。
【0042】
上記の説明に示唆されるように、IMD30および外部デバイス36の一方または両方は、指定されたアクションの実行を促すコントローラ、制御ユニット、または制御部分を含む。図8Aは、本開示の1つの例による制御部分200を概略的に表すブロック図である。一部の例では、制御部分200は、コントローラ202およびメモリ204を含む。一部の例では、制御部分200は、図1~7に関連して本開示全体を通して表されるように、デバイス、システム、アセンブリ、回路、マネージャ、エンジン、機能、パラメータ、センサ、電極、モジュール、および/または方法のうちのいずれか1つの一部を形成、実装、および/または管理する制御部分の一例の実装形態を提供する。
【0043】
概して、制御部分200のコントローラ202は、電子機器アセンブリ206(例えば、少なくとも1つのプロセッサ、マイクロプロセッサ、集積回路および論理など)並びに関連付けられたメモリまたは記憶デバイスを含む。コントローラ202は、本開示を通して表されるように、メモリ204に電気的に結合可能であり、メモリ204と通信して、制御信号を生成して、少なくとも一部のデバイス、システム、アセンブリ、回路、マネージャ、モジュール、エンジン、機能、パラメータ、センサ、電極、および/または方法の動作を指示する(例えば、身体動作モジュール34(図1)は、記憶デバイスに記憶され、メモリ204にロードされ、電子機器アセンブリ206によって実行されるソフトウェアプログラムであり得る)。加えて、一部の例では、これらの生成された制御信号は、限定されないが、メモリ204に記憶された療法マネージャ208を用いて、患者に送達された療法、例えば、睡眠呼吸障害のための療法を少なくとも管理し、かつ/または本開示の少なくとも一部の例で説明された方法で指定された身体動作の検知を管理および操作することを含む。制御部分200(または別の制御部分)が、本開示全体を通して説明される種々の治療装置/システムの一般的な機能を動作させるために用いられ得ることもさらに理解されよう。
【0044】
ユーザインターフェース(例えば、図8Cのユーザインターフェース210)を介して、かつ/または機械可読命令を介して受信されたコマンドに応答して、またはそれに基づいて、コントローラ202は、本開示の前述の例の少なくとも一部に従って、治療の実装、治療モニタリング、治療管理、並びに/または指定された身体動作の検知および制御の管理および操作を実装するための制御信号を生成する。一部の例では、コントローラ202は、汎用コンピューティングデバイスで具現化される一方で、一部の例では、コントローラ202は、本開示を通して説明される関連するデバイス、システム、アセンブリ、回路、センサ、電極、デバイスの構成要素および/またはマネージャ、エンジン、パラメータ、機能などのうちの少なくとも一部に組み込まれるか、または関連付けられる。
【0045】
本出願の目的のために、コントローラ202を参照すると、電子機器アセンブリ206が少なくとも1つのプロセッサを含む(comprise)か、または含む(include)実施形態では、「プロセッサ」という用語は、メモリに含まれる機械可読命令のシーケンスを実行する、現在開発されるか、または将来開発されるプロセッサ(または処理リソース)またはマイクロプロセッサを意味するものとする。一部の例では、制御部分200のメモリ204を介して提供される命令などの機械可読命令のシーケンスの実行は、本開示の少なくとも一部の例で概して説明されるように(またはそれと一致するように)、睡眠呼吸障害(SDS)療法および関連する管理および/または指定された身体動作の検知の管理および動作を実装するようにコントローラ202を操作するなどのアクションをプロセッサに実行させる。機械可読命令は、メモリ204によって表されるように、読み取り専用メモリ(ROM)、マスストレージデバイス、または一部の他の永続的ストレージ(例えば、非一時的有形媒体または不揮発性有形媒体)内のそれらの記憶位置からのプロセッサによる実行のために、ランダムアクセスメモリ(RAM)にロードされ得る。一部の例では、メモリ204は、コントローラ202のプロセスによって実行可能な機械可読命令の不揮発性ストレージを提供するコンピュータ可読有形媒体を含む。他の例において、説明される機能を実装するために、機械可読命令の代わりに、または機械可読命令と組み合わせて、ハード有線回路を使用することができる。例えば、電子機器アセンブリ206は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)、少なくとも1つの集積回路、マイクロプロセッサ、およびASICなどの一部として具現化され得る。一部の例では、コントローラ202は、ハードウェア回路と機械可読命令の任意の特定の組み合わせに限定されず、コントローラ202によって実行される機械可読命令の任意の特定のソースにも限定されない。
【0046】
図8Bは、本開示の1つの例による、制御部分200が実装され得る少なくとも一部の方法を概略的に示す図220である。一部の例では、制御部分200は、少なくとも図2と関連付けて前述したように、IPGアセンブリ222内またはそれによって完全に実装され、IPGアセンブリ322は、IPGアセンブリ52と実質的に同じ特徴および属性のうちの少なくとも一部を有する。一部の例では、制御部分200は、患者制御部232および/または医師制御部234などの、患者の身体の外部のリモートコントロール230(例えば、プログラマ)の中に、またはそれによって完全に実装される。一部の実施形態では、リモートコントロール230は、上述した外部デバイス36(図1)に類似している。一部の例では、制御部分200は、IPGアセンブリ222に部分的に実装され、リモートコントロール230(患者制御部232および医師制御部234のうちの少なくとも1つ)に部分的に実装される。一部の例では、制御部分200は、クラウドおよび/または他のネットワーク経路を介してアクセス可能なサーバを介して実装されてもよい。一部の例では、制御部分200は、サーバ、IMD、および/またはユーザインターフェースなどの複数のデバイスまたはリソース間で分散または割り当てられ得る。
【0047】
一部の例では、制御部分200に関連して、ユーザインターフェース(図8Cの210)は、リモートコントロール230に実装される。図8Cは、本開示の1つの例による、ユーザインターフェース210を概略的に表すブロック図である。一部の例では、ユーザインターフェース210は、患者の外部のデバイスの部分を形成し、かつ/またはそれ介してアクセス可能であり、それによって、治療システムを少なくとも部分的に制御および/または監視することができる。ユーザインターフェース210をホストする外部デバイスは、患者リモート部(例えば、図8Bの232、例えば、カスタムソフトウェアアプリケーションを動作させるスマートフォン)、医師リモート部(例えば、図8Bの234)および/または臨床医ポータル部であり得る。一部の例では、ユーザインターフェース210は、図1~7に関連して説明されるように、種々のシステム、アセンブリ、回路、エンジン、センサ、構成要素、モジュール、機能、パラメータの少なくとも一部の同時表示、有効化、および/または操作を提供するユーザインターフェースまたは他のディスプレイを含む。一部の例では、ユーザインターフェース210の少なくとも一部の部分または態様は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して提供され、ディスプレイおよび入力を含み得る。
【0048】
図1に戻ると、運動ベースのトランスデューサセンサ構成要素を含む、植込み型センサ32からの情報は、任意選択的に、患者に関連付けられた他のパラメータを検知または検出するために利用することができ、これには、非自発的な行動が含まれてもよく、または含まれなくてもよい。さらに、一部の実施形態では、IMD30は、植込み型センサ32によって検知されるように、患者による非自発的な行動に応答して動作するように制御され得る。本開示のシステムおよび方法によって実装される一部の可能な制御特徴の非限定的な例は、少なくとも、2018年10月9日に出願され、「ACCELEROMETER-BASED SENSING FOR SLEEP DISORDERED BREATHING(SDB) CARE」と題された、米国特許出願第16/092,384号に記載されているものと実質的に同じ特徴および属性のうちの少なくとも一部を含むことができ、その教示全体が参照により本明細書に組み込まれる。関連する実施形態では、本開示のシステムは、(植込み型センサ32に加えて)1つ以上の追加の植込み型センサを含み得る。1つ以上の追加の植込み型センサによって信号伝達された情報は、上述したように、任意選択で、指定された身体動作の発生の認識または識別の一部として(植込み型センサ32からの情報とともに)用いることができる。代替的に、または加えて、1つ以上の追加の植込み型センサによって信号伝達される情報は、例えば、米国特許出願第16/092,384号に記載されるように、患者を監視し、治療レジメンを製剤化することなどに用いることができる。
【0049】
特定の例が本明細書に例示および説明されてきたが、種々の代替的および/または同等の実装形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、例示され、説明される特定の例に置換され得る。本出願は、本明細書で論じられる特定の例の任意の適合物または変形物を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】