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特表2022-542132杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法
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  • 特表-杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法 図1
  • 特表-杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法 図2
  • 特表-杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法 図3
  • 特表-杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法 図4
  • 特表-杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/00 20060101AFI20220921BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
E02D1/00
E02D27/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504726
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2021089804
(87)【国際公開番号】W WO2021244185
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】202010484765.2
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】周 佳▲錦▼
(72)【発明者】
【氏名】▲兪▼ 建霖
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ ▲暁▼南
【テーマコード(参考)】
2D043
2D046
【Fターム(参考)】
2D043AA00
2D043AC01
2D046CA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、杭端近傍に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置及び試験方法を開示する。
【解決手段】
当該試験装置は、半円形状のモデルボックス、有機ガラス板、注水システム、ローディングモータ及び工業カメラを含む。本発明は、注水システムを用いてモデルボックス内の土砂層に注水することで、地下管路が破損して水流が溢れ出す状況、及びそれに起因する土層に空洞が生じる状況をシミュレーションする。土砂層領域内に制御点とマーク点を設け、工業カメラで撮影された写真に基づき、粒子図像速度測定法により空洞の形成過程、及びモデル杭のローディング過程における土砂層中の土砂粒子の変位変化の状況を分析する。本発明は、構造が合理的であり、操作が簡単であり、杭端近傍に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響、及び異なる空洞の位置、異なる空洞の大きさによる杭基礎の軸受性能への影響の規律を研究することに用いられ、杭端近傍に空洞が存在することによる杭端の軸受性能への影響の研究に有効な手段を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置であって、半円形状のモデルボックス(1)、有機ガラス板(2)、注水システム(3)、ローディングモータ(4)、及び工業カメラ(5)を含み、
前記半円形状のモデルボックス(1)は、モデルボックスベース(1-1)と、モデルボックスベース(1-1)に溶接された半円形状のモデルボックスフレーム(1-2)とからなり、
前記モデルボックスベース(1-1)は、底板(1-1-1)と支持ベース(1-1-2)とからなり、
底板(1-1-1)は、支持ベース(1-1-2)に直接溶接され、
前記底板(1-1-1)には注水孔(1-1-3)が設けられ、
前記有機ガラス板(2)は、観察面として、半円形状のモデルボックスフレーム(1-2)に固定され、
前記半円形状のモデルボックス(1)の底部には土砂層(1-3)が埋め立てられ、土砂層の上面には粘土層(1-4)が埋め立てられ、
土砂層(1-3)内には、実験過程における土砂層の変位変化を観察することに用いられるマーク点(1-6)が配置され、
有機ガラス板(2)の内側における土砂層(1-3)の領域内には、図像分析に用いられる制御点(2-1)が設けられ、
土砂層内には、さらに、試験過程における杭端土圧をテストすることに用いられる土圧センサ(1-7)が埋設され、
前記半円形状のモデルボックス(1)の円心にはモデル杭(1-5)が設けられ、前記モデル杭(1-5)の断面が半円形状であり、
前記注水システム(3)は、空気圧縮機(3-1)、貯水タンク(3-2)及び注水管(3-3)からなり、前記注水管(3-3)は、一方端が貯水タンク(3-2)に接続され、他方端が底板(1-1-1)上の注水孔(1-1-3)を介して土砂層(1-3)に進入し、
前記ローディングモータ(4)が半円形状のモデルボックス(1)の上方に固定され、
前記工業カメラ(5)は、試験過程において半円形状のモデルボックス(1)中の土砂層(1-3)の写真を撮影することで、試験過程における土砂層(1-3)の変位変化の状況を記録することに用いられる
ことを特徴とする杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項2】
前記半円形状のモデルボックスフレーム(1-2)の直径とモデル杭(1-5)の直径との比が10以上であり、
モデル杭(1-5)の杭端と底板(1-1-1)との間の距離がモデル杭の直径の20倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項3】
前記モデル杭(1-5)の杭端は、土砂層(1-3)に進入し、かつ杭端の土砂層への進入深さは、モデル杭の直径の2倍より大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項4】
前記土圧センサ(1-7)は、モデル杭(1-5)の杭端の下方の異なる深さ及び異なる水平距離の位置に設けられ、縦方向の土圧を測定することに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項5】
前記モデルボックスの底板(1-1-1)上の注水孔(1-1-3)は、毎回の試験においてそのうちの一つのみが開かれ、他の注水孔がいずれも閉じられる
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項6】
前記注水システム(3)には、空気圧縮機(3-1)により水流を注水孔(1-1-3)に注入し、地下管路が破裂して水流が溢れ出す過程をシミュレーションする
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項7】
前記土砂層(1-3)は、注水孔(1-1-3)での水流の作用を受けた後に内部侵食の状況が発生し、注水孔(1-1-3)の近傍に1つの空洞(1-8)が生じる
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項8】
前記半円形状のモデルボックスフレーム(1-2)には2本の支柱(4-1)が設けられ、前記ローディングモータ(4)は支柱(4-1)によって半円形状のモデルボックス(1)の上方に固定され、かつローディングモータ(4)は支柱に沿って垂直方向に自由に移動できる
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。。
【請求項9】
制御点(2-1)とマーク点(1-6)に基づいて、コンピュータプログラムにより前記工業カメラ(5)で撮影された土砂層(1-3)の写真を処理した後に、試験過程における土砂層(1-3)の変位変化の状況を得ることができる
ことを特徴とする請求項1に記載の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置。
【請求項10】
杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験方法であって、当該試験方法は、請求項1~9のいずれか1項の装置に基づいて実現され、
有機ガラス板(2)の内側の土砂層(1-3)の領域内に、図像分析に用いられる制御点(2-1)を貼り付け、その後、制御点(2-1)が試験過程において移動しないように、有機ガラス板(2)の内側に第2の有機ガラス板(2-2)をさらに一層被覆するステップと、
半円形状のモデルボックス(1)内に、まず土砂層(1-3)を埋め立て、土砂層の埋め立て過程において、実験過程における土砂層の変位変化を観察することに用いられるマーク点(1-6)を配置するステップと、
同時に、土砂層(1-3)の埋め立て過程において、モデル杭(1-5)の杭端の下方の異なる深さ及び異なる距離の位置に複数の土圧センサ(1-7)を埋設するステップと、
土砂層(1-3)の埋め立て完成後、その上面に粘土層(1-4)を埋め立てるステップと、
粘土層(1-4)の埋め立て完成後に、予備杭又は現場灌注杭であるモデル杭(1-5)を半円形状のモデルボックス(1)に置くステップと、
底板(1-1-1)上のある注水孔(1-1-3)を開き、注水システム(3)により水流を注水孔(1-1-3)から土砂層(1-3)に注入し、注水孔(1-1-3)の近傍に1つの空洞(1-8)を生じさせ、注水過程において工業カメラ(5)により土砂層(1-3)の領域を撮影するステップと、
空洞(1-8)の大きさが設計要求に達した後、注水孔(1-1-3)を閉じ、ローディングモータ(4)によりモデル杭(1-5)をローディングし、ローディング過程において工業カメラ(5)が土砂層(1-3)の領域を撮影するステップと、を含む
ことを特徴とする杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩土工事分野において地下空洞の存在による杭基礎の軸受性能への影響を研究する試験装置に関し、空洞の位置が異なり、空洞の大きさが異なることによる杭基礎の軸受性能への影響の規律を研究することに使用できる。
【背景技術】
【0002】
近年、地下空洞による路面崩壊、建物傾斜又は倒壊等の事故が頻発し、巨大な社会経済損失を引き起こす。国内外の岩土工事分野の研究者及び工事技術者は、空洞の形成メカニズム及び発展過程について研究を始めている。地下空洞は主に地下送水管路等が破裂して近傍の土体に内部侵食が発生することにより引き起こされ、かつ空洞の体積は時間とともに徐々に発展する。空洞の埋設深さが浅い場合、空洞の体積がある程度まで発展すると、その上部の土層の崩壊を引き起こし、国内外の多くの都市に現れた路面崩壊事故はこのような空洞の発展によることが多い。国内外の学者は都市における路面崩壊の原因を分析して研究し、かつ地下空洞の形成メカニズム及び空洞の発展過程に対していくつかの研究を行い、同時にいくつかの浅層空洞探知の地球物理探査技術方法も提案している。
【0003】
現在では、地下空洞に対する研究は主に埋設深さが浅い地下空洞、地下孔洞の存在による道路基盤の安定性への影響に集中するが、埋設深さが深い場合に地下空洞による建物基盤の軸受性能への研究がない。建物の杭基礎の杭端部位の近傍に空洞が存在する場合、杭基礎の軸受性能に影響を与え、空洞と杭端との距離が近い場合、又は空洞の体積が大きい場合、杭基礎の限界荷重力を大幅に減少させ、かつ建物の倒壊を引き起こし、深刻な生命財産損失を招く可能性がある。
【0004】
建物の杭基礎の近傍に空洞が存在する場合に建物に大きな安全上の潜在的な危険をもたらすが、現在、これに関する研究がない。地下空洞が杭基礎から遠い場合、又は空洞の体積が小さい場合、空洞の存在による杭基礎への影響は小さい。空洞が杭基礎に近い場合、又は空洞の体積が大きい場合、杭基礎の軸受性能に影響を与えてしまい、このとき、地下空洞を処理する必要がある。杭端近傍に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響を研究し、空洞の位置が異なり、空洞の大きさが異なることによる杭基礎の軸受性能への影響の規律を研究することにより、空洞を処理する必要がある空洞の大きさ及び空洞と杭基礎との距離の臨界値をまとめ、実際の工事における関連工事問題に科学的根拠を提供し、常に非常に重要な意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は主に、杭端近傍に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響を研究することにあり、空洞の位置が異なり、空洞の大きさが異なることによる杭基礎の軸受性能への影響の研究をシミュレーションすることに使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明がその技術課題を解決するために採用する技術手段は、下記の通りである。
【0007】
杭端近傍に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験装置であって、半円形状のモデルボックス、有機ガラス板、注水システム、ローディングモータ、及び工業カメラを含み、
前記半円形状のモデルボックスは、モデルボックスベースと、ベースに溶接された半円形状のモデルボックスフレームとからなり、前記モデルボックスベースは、底板と支持ベースとからなり、底板は、支持ベースに直接溶接され、前記底板には、所定の間隔毎に注水孔が設けられ、前記有機ガラス板は、観察面として、半円形状のモデルボックスフレームに固定され、前記半円形状のモデルボックス底部には、所定の厚さの土砂層が埋め立てられ、前記土砂層の上面には、粘土層が埋め立てられ、前記土砂層の埋め立て過程において、実験過程における土砂層の変位変化を観察することに用いられるマーク点が配置され、有機ガラス板の内側の土砂層の領域内には、図像分析に用いられる制御点が設けられ、有機ガラス板の内側には、さらに、制御点が試験過程において移動しないように、薄い有機ガラス板をさらに一層被覆し、土砂層内には、さらに、試験過程における杭端土圧をテストすることに用いられる土圧センサが埋設され、前記粘土層の埋め立て完成後、モデル杭をモデルボックスに置き、前記モデル杭が予備杭又は現場灌注杭であってもよく、前記モデル杭の断面が半円形状であり、前記注水システムが空気圧縮機、貯水タンク及び注水管からなり、前記注水管は、一方端が貯水タンクに接続され、他方端が底板上の注水孔を介して土砂層に進入し、前記ローディングモータが半円形状のモデルボックスの上方に固定され、前記工業カメラは、試験過程において所定の時間毎に半円形状のモデルボックス中の土砂層の写真を撮影することで、試験過程における土砂層の変位変化の状況を記録することに用いられる。
【0008】
上記技術手段では、さらに、前記半円形状のモデルボックスフレームの直径とモデル杭の直径との比が10以上であり、
前記モデル杭の杭端と底板との間の距離が、モデル杭の直径の20倍以上である。
【0009】
さらに、前記モデル杭の杭端は、土砂層1-3に進入し、かつ杭端の土砂層への進入深さは、モデル杭の直径の2倍より大きい。
【0010】
さらに、前記土圧センサは、モデル杭の杭端の下方の異なる深さ及び異なる距離の位置に設けられ、前記土圧センサは縦方向の土圧を測定することに用いられる。
【0011】
さらに、前記モデル杭が予備杭又は現場灌注杭であってもよく、予備杭である場合、土体の埋め立て完成後、ローディングモータによって、モデル杭である予備杭を土体に押し込み、現場灌注杭である場合、土体の埋め立て完成後に穿孔を行い、穿孔された空間内にモデル杭を打設する。
【0012】
さらに、前記モデルボックスの底板には所定の間隔毎に注水孔が存在し、かつ毎回の試験においてそのうちの一つの注水孔が開かれ、他の注水孔がいずれも閉じられる。
【0013】
さらに、前記注水システムには、空気圧縮機により水流を注水孔に注入し、地下管路が破裂して水流が溢れ出す過程をシミュレーションする。
【0014】
さらに、前記モデルボックスにおける土砂層は、注水孔での水流の作用を受けた後に内部侵食の状況が発生し、注水孔の近傍に1つの空洞が生じ、空洞の大きさが注水圧力と注水時間に基づいて調整され、空洞の大きさが試験要求に達すると、注水が停止される。
【0015】
さらに、前記半円形状のモデルボックスフレームには2本の支柱が設けられ、前記ローディングモータは2本の支柱によって半円形状のモデルボックスの上方に固定され、ローディングモータのビームはプーリにより支柱に沿って垂直方向に移動でき、これにより、ローディングモータを上下に移動させる。
【0016】
さらに、制御点とマーク点に基づいて、コンピュータプログラムにより工業カメラで撮影された写真を分析して試験過程における土砂層中の土砂の変位変化の状況を得ることができる。
【0017】
本発明は、杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験方法を提供し、当該方法は、上記装置に基づいて実現され、
有機ガラス板の内側の土砂層の領域内に図像分析に用いられる制御点を貼り付け、その後、制御点が試験過程において移動しないように、有機ガラス板の内側に薄い有機ガラス板をさらに一層被覆するステップと、半円形状のモデルボックス内にまず土砂層を埋め立て、土砂層の埋め立て過程において実験過程における土砂層の変位変化を観察することに用いられるマーク点を配置するステップと、同時に土砂層の埋め立て過程において、モデル杭の杭端の下方の異なる深さ及び異なる距離の位置に複数の土圧センサを埋設するステップと、土砂層の埋め立て完成後、その上面に粘土層を埋め立てるステップと、粘土層の埋め立て完成後、予備杭又は現場灌注杭であるモデル杭を半円形状のモデルボックスに置くステップと、モデル杭の設置完成後、底板上のある注水孔を開き、注水システムにより水流を注水孔から土砂層に注入し、注水孔の近傍に1つの空洞を生じさせ、空洞の大きさが注水圧力と注水時間に基づいて制御でき(空洞の発展過程は有機ガラス板により直接観測できる)、注水過程において工業カメラにより土砂層領域を撮影するステップと、空洞の大きさが設計要求に達した後、注水孔を閉じ、ローディングモータによりモデル杭をローディングし、ローディング過程において工業カメラで土砂層領域を撮影するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
従来技術と比べて、本発明の有益な効果は、下記の通りである。
1、本発明では、注水システムを用いて、モデルボックスの底部に設けた注水孔により注水し、地下管路が破損して水流が溢れ出す状況及びそれに起因する土層に空洞が生じる状況をシミュレーションすることができる。
2、本発明では、土砂層の領域内に制御点とマーク点を設け、工業カメラで撮影された写真に基づき、粒子図像速度測定法によって底部注水土砂層中の空洞の形成過程、及びモデル杭のローディング過程における土砂層中の土砂粒子の変位変化の状況を分析することができる。
3、本発明では、地下空洞と杭基礎との位置関係及び地下空洞のサイズの大きさを調整することができ、空洞と杭基礎との相対位置が異なり、及び空洞の大きさが異なることによる杭基礎の軸受性能への影響の規律を研究することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】試験装置正面概略図である。
図2】試験装置平面図である。
図3】底部注水過程の概略図である。
図4】空洞が小さい場合の試験装置の概略図である。
図5】空洞が大きい場合の試験装置の概略図である。 図面には、半円形状のモデルボックス1、モデルボックスベース1-1、底板1-1-1、支持ベース1-1-2、注水孔1-1-3、半円形状のモデルボックスフレーム1-2、土砂層1-3、粘土層1-4、モデル杭1-5、マーク点1-6、土圧センサ1-7、空洞1-8、有機ガラス板2、制御点2-1、第2の有機ガラス板2-2、注水システム3、空気圧縮機3-1、圧力表3-1-1、圧力調整スイッチ3-1-2、貯水タンク3-2、注水管3-3、注水バルブ3-3-1、ローディングモータ4、支柱4-1、ビーム4-2、プーリ4-3、工業カメラ5。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0021】
図1~5に示すように、本発明は、杭端近傍に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響の研究をシミュレーションすることができる試験装置であり、それとともに、空洞と杭基礎との相対位置が異なり、空洞の大きさが異なることによる杭基礎の軸受性能への影響の規律を研究することができる。試験装置は、半円形状のモデルボックス1、有機ガラス板2、注水システム3、ローディングモータ4及び工業カメラ5の5つの部分を含む。前記半円形状のモデルボックス1は、モデルボックスベース1-1とモデルボックスベース1-1に溶接された半円形状のモデルボックスフレーム1-2とからなり、前記モデルボックスベース1-1は、底板1-1-1と支持ベース1-1-2とからなり、底板1-1-1は、支持ベース1-1-2に直接溶接され、前記底板1-1-1の厚さが50mmであり、かつ底板1-1-1には所定の間隔毎に注水孔1-1-3が設けられ、隣り合う注水孔の間隔は一般的に20~50cmであり、前記半円形状のモデルボックスフレーム1-2が1つの半円弧であり、厚さが10mmである鋼板製であり、直径が2mであり、前記有機ガラス板2は、観察面として半円形状のモデルボックスフレーム1-2に固定され、有機ガラス板2の厚さが10mmであり、前記半円形状のモデルボックス1の内部では、まず底部に所定の厚さの土砂層1-3が埋め立てられ、前記土砂層1-3の埋め立て過程において、実験過程における土砂層の変位変化を観察することに用いられるマーク点1-6を配置する必要があり、マーク点の横方向の間隔と縦方向の間隔は一般的に20~50mmの間にあり、それとともに、モデル杭1-5の杭端の下方の異なる深さ及び異なる距離の位置に複数の土圧センサ1-7を埋設する必要があり、土砂層1-3の埋め立ての完成後、その上に粘土層1-4が埋め立てられ、前記粘土層1-4の埋め立ての完成後、モデル杭1-5をモデルボックスに置き、前記モデル杭は、予備杭又は現場灌注杭であってもよく、モデル杭の直径が200mmよりも小さい必要があり、前記有機ガラス板2は、観察面として、半円形状のモデルボックスフレーム1-2に固定され、有機ガラス板2の内側には、土砂層1-3が埋め立てられる領域内には、図像分析に用いられる制御点2-1が貼り付けられ、制御点の横方向の間隔と縦方向の間隔は一般的に100~200mmであり、その後、制御点2-1が試験過程において移動しないように、有機ガラス板2内側には、薄い第2の有機ガラス板2-2をさらに一層被覆し、前記注水システム3は、空気圧縮機3-1、貯水タンク3-2及び注水管3-3からなり、前記注水管3-3は一方端が貯水タンク3-2に接続され、他方端が底板上の注水孔1-1-3を介して土砂層1-3に進入し、前記半円形状のモデルボックスフレーム1-2には2本の支柱4-1が溶接され、前記ローディングモータ4がこれらの2本の支柱4-1によってモデルボックスの上方に固定され、ローディングモータのビーム4-2は、プーリ4-3により支柱4-1に沿って垂直方向に移動でき、これにより、ローディングモータ4を上下に移動させ、前記工業カメラ5は、試験過程において所定の時間毎にモデルボックス中の土砂層1-3の写真を撮影して試験過程における土砂層の変位変化の状況を記録する。
【0022】
本発明の杭端に空洞が存在することによる杭基礎の軸受性能への影響をシミュレーションする試験方法は、下記の通りである。
【0023】
まず、有機ガラス板2の内側には、土砂層1-3の領域内に図像分析に用いられる制御点2-1を貼り付け、その後、制御点2-1が試験過程に移動しないように、有機ガラス板2の内側に薄い有機ガラス板2-2をさらに一層被覆し、半円形状のモデルボックス1には、まず土砂層1-3を埋め立て、土砂層の埋め立て過程において、実験過程における土砂層の変位変化を観察することに用いられるマーク点1-6を配置し、それとともに、土砂層の埋め立て過程においてモデル杭1-5の杭端の下方の異なる深さ及び異なる距離の位置に複数の土圧センサ1-7を埋設し、土砂層の埋め立て完成後、その上に粘土層1-4を埋め立て、粘土層の埋め立て完成後、モデル杭1-5を土層に置き、モデル杭は、予備杭又は現場灌注杭であってもよく、モデル杭が予備杭である場合、土体の埋め立て完成後、ローディングモータによりモデル杭4である予備杭を土体に押し込み、モデル杭が現場灌注杭である場合、土体の埋め立て完成後に、穿孔を行い、穿孔された空間内にモデル杭を打設し、モデル杭の設置完成後、モデルボックスの底板1-1-1上のある注水孔1-1-3を開き、注水システム3によって水流を注水孔1-1-3から土砂層1-3に注入し、注水孔の近傍に一つの空洞1-8を生じさせ、空洞の大きさが注水圧力と注水時間により制御でき(ある種類の土体に対し、試験過程において注水時間又は注水圧力を調節することにより、当該土体の空洞の発展規律をまとめることができ、具体的な空洞の発展過程は、有機ガラス板により直接観測できる)、注水過程において工業カメラ5により土砂層1-3の領域を撮影し、空洞の大きさが設計要求に達した後、注水孔1-1-3を閉じ、ローディングモータ4によってモデル杭1-5をローディングし、ローディング過程において工業カメラ5が土砂層1-3の領域を撮影する。ローディングモータ4によって加えられた荷重及び変位に対しては、自動的に読み取り、記憶することができ、試験過程において杭端土体の土圧変化の規律は、静的ひずみ試験機により自動的に測定し、試験過程における土砂層中の土砂粒子の変位変化の規律は、工業カメラで撮影された写真からコンピュータソフトウェアによって分析され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】