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特表2022-542136複数の組み合わされたランキンサイクルを使用して電気エネルギーを生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】複数の組み合わされたランキンサイクルを使用して電気エネルギーを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/00 20060101AFI20220921BHJP
   F01K 23/04 20060101ALI20220921BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20220921BHJP
   F01K 25/06 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
F01K9/00 A
F01K9/00 D
F01K23/04 Z
F01K25/10 D
F01K25/06
F01K25/10 A
F01K25/10 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505199
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 FR2020051303
(87)【国際公開番号】W WO2021019146
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】1908490
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】レ ボット、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ルドン、エミリアン
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA09
3G081BB05
3G081BB07
3G081BC02
3G081BC16
3G081BD01
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、少なくとも第1のランキンサイクル及び第2のランキンサイクルを使用して電気エネルギーを生成するための方法に関し、第1のランキンサイクルは、少なくとも1つの第1の高温流(C1)に第1の作動流体(W1)の少なくとも一部を接触させて気化させることと、電気エネルギーを生成するための発電機と協働する第1の膨張部において、第1の作動流体(W1)を膨張させることと、次いで、少なくとも1つの第1の低温流(F1)に第1の作動流体(W1)の少なくとも一部を接触させて凝縮させることと、次いで、第1の作動流体(W1)の圧力を高めることと、第1のサイクルを閉じることとを含む。第2のランキンサイクルは、少なくとも1つの第2の高温流に第2の作動流体(W2)の少なくとも一部を接触させて気化させることと、電気エネルギーを生成するための発電機と協働する第2の膨張部において、第2の作動流体(W2)を第2の低圧Pb2に膨張させることと、次いで、少なくとも1つの第2の低温流(F2)に第2の作動流体(W1)の少なくとも一部を接触させて凝縮させることと、次いで、圧力を高めることと、第2のサイクルを閉じることとを含む。本発明によれば、第2のランキンサイクルの第2の高温流は、第1のランキンサイクルにおいて凝縮された第1の作動流体(W1)によって少なくとも部分的に形成され、第1の低温流(F1)は、第2のランキンサイクルからの第2の低温流(F2)によって形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のランキンサイクル及び1つの第2のランキンサイクルを実行することによって電気エネルギーを生成するための方法であって、前記サイクルが、熱交換関係となるように流体を流すように構成されたいくつかのチャネルを備える少なくとも1つの熱交換装置において実行され、前記第1のランキンサイクルが、
a)第1の高圧(Hp1)で第1の作動流体(W1)を少なくとも1つの第1のチャネル(1)に導入し、前記少なくとも1つの第1のチャネル(1)と熱交換関係にある少なくとも1つの第2のチャネル(2)に流れる少なくとも1つの第1の高温流(C1)に前記第1の作動流体(W1)の少なくとも一部を接触させて気化させるステップと、
b)電気エネルギーを生成するために第1の発電機と協働する第1の膨張部において、ステップa)において少なくとも一部が気化された前記第1の作動流体(W1)を前記第1のチャネル(1)から送達し、第1の低圧(Lp1)に膨張させるステップと、
c)ステップb)において膨張させた前記第1の作動流体(W1)を少なくとも1つの第3のチャネル(3)に導入し、前記少なくとも1つの第3のチャネル(3)と熱交換関係にある少なくとも1つの第4のチャネル(4)に流れる少なくとも1つの第1の低温流(F1)に前記第1の作動流体(W1)の少なくとも一部を接触させて凝縮させるステップと、
d)ステップc)において少なくとも部分的に凝縮された前記第1の作動流体(W1)を前記第3のチャネル(3)から送達し、圧力を前記第1の高圧(Hp1)に上昇させた後、前記第1のチャネル(1)に再導入するステップと
を含み、前記第2のランキンサイクルが、
e)第2の高圧(Hp2)の第2の作動流体(W2)を少なくとも1つの第5のチャネル(5)に導入し、少なくとも1つの第2の高温流に前記第2の作動流体(W2)の少なくとも一部を接触させて気化させるステップと、
f)電気エネルギーを生成するために第2の発電機と協働する第2の膨張部において、ステップe)において少なくとも部分的に気化された前記第2の作動流体(W2)を前記第5のチャネル(5)から送達し、第2の低圧(Lp2)に膨張させるステップと、
g)ステップf)において膨張させた前記第2の作動流体(W2)を少なくとも1つの第6のチャネル(6)に導入し、少なくとも前記第6のチャネル(6)と熱交換関係にある少なくとも1つの第7のチャネル(7)に流れる少なくとも1つの第2の低温流(F2)に前記第2の作動流体(W2)の少なくとも一部を接触させて凝縮させるステップと、
h)ステップg)において少なくとも部分的に凝縮された前記第2の作動流体(W2)を前記第6のチャネル(6)から送達し、圧力を前記第2の高圧(Hp2)に上昇させた後に、前記第5のチャネル(5)に再導入するステップと
を含み、
ステップe)において、前記第2のランキンサイクルの前記第2の高温流が、ステップc)において前記第3のチャネル(3)を流れる前記第1の作動流体(W1)によって少なくとも部分的に形成され、ステップc)において、前記第1の低温流(F1)が、前記第7のチャネル(7)を出る前記第2の低温流(F2)によって形成されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第2の低温流(F2)が、-100℃未満の温度で前記第7のチャネル(7)に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)において、前記第1の作動流体(W1)が前記第1の低温流(F1)に対して向流的に流れる、及び/又はステップg)において、前記第2の作動流体(W2)が前記第2の低温流(F2)に対して向流的に流れることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のランキンサイクル及び前記第2のランキンサイクルが有機サイクルであり、前記第1の作動流体(W1)及び前記第2の作動流体(W2)が第1の炭化水素混合物及び第2の炭化水素混合物をそれぞれ含み、前記第1の炭化水素混合物及び前記第2の炭化水素混合物がそれぞれ、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン、及びイソブタンから選択される少なくとも2種の炭化水素を、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びネオンから選択される少なくとも1種の追加の成分の添加を任意選択で伴って含むことが好ましいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の高温流(C1)が、好ましくは厳密に0℃より高い温度、より好ましくは10℃~30℃の温度の海水から形成され、前記海水が、前記第2のチャネル(2)に導入される前に加熱ステップを場合により経ていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の高圧(Hp1)が、前記第1の作動流体(W1)の前記第1の低圧(Lp1)の2.5~15倍高い、及び/又は前記第2の高圧(Hp2)が、前記第2の作動流体(W2)の前記第2の低圧(Lp2)の2.5~15倍高く、好ましくは2.5~10倍高く、前記第1の高圧(Hp1)及び/若しくは前記第2の高圧(Hp2)が10~40バールであり、並びに/又は前記第1の低圧(Lp1)及び/若しくは前記第2の低圧(Lp2)が1.5~5バールであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)において、前記第3のチャネル(3)を出る前記第1の作動流体(W1)が、前記第1のチャネル(1)に再導入される前に、前記第3のチャネル(3)、前記第4のチャネル(4)、及び/若しくは前記第5のチャネル(5)と熱交換関係にある少なくとも1つの第9のチャネルに導入される、並びに/又はステップh)において、前記第6のチャネル(6)を出る前記第2の作動流体(W2)が、前記第5のチャネル(5)に再導入される前に、前記第6のチャネル(6)及び/若しくは前記第7のチャネル(7)と熱交換関係にある少なくとも1つの第10のチャネル(10)に導入されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の低温流(F2)が、液化天然ガスなどの液化炭化水素流、又は液化窒素流、液化酸素流、及び液化水素流から選択されることが好ましい極低温液体流であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の低温流(F2)が、-140℃~-170℃の温度で前記第7のチャネル(7)に完全に液化して導入される炭化水素、特に天然ガスの流れであり、前記第1の低温流(F1)が、5℃~50℃の温度で完全に気化されて前記少なくとも1つの第4のチャネル(4)を出ることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップc)の終了時に、前記第1の作動流体(W1)が第1の温度(T1)を有し、ステップg)の終了時に、前記第2の作動流体(W2)が前記第1の温度(T1)よりも低い第2の温度(T2)を有し、T1が-110℃~-80℃であり、T2が-120℃~-160℃であることが好ましいことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第4のチャネル(4)を出る前記第1の低温流(F1)が、少なくとも1つの第8のチャネル(8)に導入されて、そこで前記第1の高温流(C1)及び/又は前記第1の作動流体(W1)に接触して加熱され、前記第8のチャネル(8)を出る前記第1の低温流(F1)が、5℃~50℃の温度で完全に気化されることが好ましいことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のチャネル、前記第2のチャネル、前記第3のチャネル、前記第4のチャネル、前記第5のチャネル、前記第6のチャネル、前記第7のチャネル、前記第8のチャネル、前記第9のチャネル、及び/又は前記第10のチャネルが、ろう付けされた平板タイプの少なくとも1つの熱交換器の一部を形成し、前記熱交換器が、前記熱交換器内のチャネルのいくつかの連なりの範囲を定めるように互いに間隔を空けたいくつかの平行平板のスタックを備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のチャネル(1)及び前記第2のチャネル(2)が第1の熱交換器(E1)の一部を形成し、前記第3のチャネル(3)、前記第4のチャネル(4)、前記第5のチャネル(5)、及び/又は前記第9のチャネル(9)が第2熱交換器(E2)の一部を形成し、前記第6のチャネル(6)、前記第7のチャネル(7)、及び/又は前記第10のチャネル(10)が第3の熱交換器(E3)の一部を形成し、前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器、及び前記第3の熱交換器が物理的に異なるエンティティを形成することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第3のチャネル(3)、前記第4のチャネル(4)、前記第5のチャネル(5)、及び/又は前記第9のチャネル(9)と、前記第6のチャネル(6)、前記第7のチャネル(7)、及び/又は前記第10のチャネル(10)とが、同じ熱交換器(E)の一部を形成し、前記第2の低温流(F2)が、前記熱交換器(E)の低温端に位置し、前記熱交換器(E)の最低温度を有する第1の入口から導入され、ステップb)において膨張された前記第1の作動流体(W1)が、前記熱交換器(E)の高温端に位置し、前記熱交換器(E)の最高温度を有する第2の入口から前記低温端と前記高温端との間に位置する前記熱交換器(E)の第1の中間レベルに配置された第2の出口まで導入され、ステップf)において膨張された前記第2の作動流体(W2)が、前記熱交換器(E)の前記第1の中間レベルと前記低温端との間に位置する第2の中間レベルに配置された第3の入口を介して前記熱交換器(E)に導入されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のチャネル(1)及び前記第2のチャネル(2)と、前記第3のチャネル(3)、前記第4のチャネル(4)、前記第5のチャネル(5)、及び/又は前記第9のチャネル(9)と、前記第6のチャネル(6)、前記第7のチャネル(7)、及び/又は前記第10のチャネル(10)とが、同じ熱交換器(E)の一部を形成し、前記第2の低温流(F2)が、前記熱交換器(E)の低温端に位置し、前記熱交換器(E)の最低温度を有する第1の入口から導入され、前記第1の高温流(C1)が、前記熱交換器(E)の高温端に位置し、前記熱交換器(E)の最高温度を有する第5の入口から導入され、ステップb)において膨張された前記第1の作動流体(W1)が、前記低温端と前記高温端との間に位置する第3の中間レベルに配置された第2の入口から導入され、前記熱交換器(E)の前記第3の中間レベルと前記低温端との間に位置する前記熱交換器(E)の第1の中間レベルに配置された第2の出口を介して前記熱交換器(E)を出、ステップf)において膨張された前記第2の作動流体(W2)が、前記熱交換器(E)の前記第1の中間レベルと前記低温端との間に位置する第2の中間レベルに配置された第3の入口を介して前記熱交換器(E)に導入されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の低温流(F2)が、-180℃未満、好ましくは-180℃~ー253℃の温度で前記第7のチャネル(7)に導入される極低温液体流であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が前記第2のランキンサイクルの上流で動作する第3のランキンサイクルを実行し、前記第3のランキンサイクルが、
i)前記第2の低温流(F2)を前記少なくとも1つの第7のチャネルに導入する前に少なくとも1つの第12のチャネルに導入するステップと、
j)前記第6のチャネル(6)と熱交換関係にある少なくとも1つの第13のチャネルに第3の高圧(Hp3)の第3の作動流体(W3)を導入し、前記第6のチャネル(6)に流れる前記第2の作動流体(W2)に前記第3の作動流体(W3)の少なくとも一部を接触させて気化させるステップと、
k)電気エネルギーを生成するために第3の発電機と協働する第3の膨張部において、ステップj)から得られた前記第3の作動流体(W3)を第3の低圧(Lp3)に膨張させるステップと、
l)前記第12のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第14のチャネルに前記第3の作動流体(W3)を導入し、前記第2の低温流(F2)に前記第3の作動流体(W3)の少なくとも一部を接触させて凝縮させるステップと、
m)圧力を第3の高圧(Hp3)に上げた後、ステップl)から得られた前記第3の作動流体(W3)を前記第13のチャネルに再導入するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の発電機、前記第2の発電機、及び/又は前記第3の発電機が、全く同一の発電機に統合され、前記第1の膨張部、前記第2の膨張部、及び/又は前記第3の膨張部が、前記発電機が前記第1のランキンサイクル、前記第2のランキンサイクル、及び/又は前記第3のランキンサイクルから同時に電気エネルギーを生成するように前記同一の発電機に結合されることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
流体を熱交換関係となるように流すように構成されたいくつかのチャネルを備える少なくとも1つの熱交換装置を備える、第1のランキンサイクル及び第2のランキンサイクルを実行するための手段を備える電気エネルギー生成設備であって、前記第1のランキンサイクルを実行するための手段が、
第1の作動流体(W1)を流すように構成された少なくとも1つの第1のチャネル(1)と、
第1の高温流(C1)を流すように構成された少なくとも1つの第2のチャネル(2)であって、前記第2のチャネル(2)が、動作中、前記第1のチャネル(1)に導入された前記第1の作動流体(W1)が前記第1の高温流(C1)に接触して少なくとも部分的に気化されるように、前記第1のチャネル(1)と熱交換関係にある、少なくとも1つの第2のチャネル(2)と、
前記第1のチャネル(1)の下流に配置され、前記第1のチャネル(1)を出る前記第1の作動流体(W1)の圧力を第1の高圧(Hp1)から第1の低圧(Lp1)に低下させるように構成された第1の膨張部と、
前記第1の膨張部に結合された第1の発電機と、
前記第1の膨張部の下流に配置され、前記第1の膨張部によって膨張された前記第1の作動流体(W1)を流すように構成された少なくとも1つの第3のチャネル(3)と、
第1の低温流(F1)を流すように構成された少なくとも1つの第4のチャネル(4)であって、前記第4のチャネル(4)が、動作中、前記第3のチャネル(3)に導入された少なくとも部分的に気化した前記第1の作動流体(W1)が前記第1の低温流(F1)に接触して少なくとも部分的に凝縮されるように、前記第3のチャネル(3)と熱交換関係にある、少なくとも1つの第4のチャネル(4)と、
前記第3のチャネル(3)の下流に配置され、前記第3のチャネル(3)を出る前記第1の作動流体(W1)の圧力を前記第1の低圧(Lp1)から前記第1の高圧(Hp1)に上昇させるように構成された第1の圧力上昇部と
を備え、
前記第2のランキンサイクルを実行するための手段が、
第2の作動流体(W2)を流すように構成された少なくとも1つの第5のチャネル(5)と、
前記第5のチャネル(1)の下流に配置され、前記第5のチャネル(5)を出る前記第2の作動流体(W2)の圧力を第2の高圧(Hp2)から第2の低圧(Lp2)に低下させるように構成された第2の膨張部と、
前記第2の膨張部に結合された第2の発電機と、
前記第1の膨張部の下流に配置され、前記第2の膨張部によって膨張された前記第1の作動流体(W1)を流すように構成された少なくとも1つの第6のチャネル(6)と、
前記第2の低温流(F2)を流すように構成された少なくとも1つの第7のチャネル(7)であって、前記第7のチャネル(7)が、動作中、前記第6のチャネル(6)を流れる前記第2の作動流体(W2)が前記第2の低温流(F2)に接触して少なくとも部分的に凝縮されるように、前記第6のチャネル(6)と熱交換関係にある、少なくとも1つの第7のチャネル(7)と、
前記第6のチャネル(6)の下流に配置され、前記第6のチャネル(6)を出る前記第2の作動流体(W2)の圧力を前記第2の低圧(Lp2)から前記第2の高圧(Hp2)に上昇させるように構成された第2の圧力上昇部と、
を備え、
前記第5のチャネル(5)が前記第3のチャネル(3)と熱交換関係で配置されて、前記第2の作動流体(W2)が前記第3のチャネル(3)に導入された前記第1の作動流体(W1)に接触して少なくとも部分的に気化されることと、前記第7のチャネル(7)が前記第4のチャネル(4)の上流に配置され、前記第4のチャネル(4)と流体連通して配置されて、前記第4のチャネル(4)に導入された前記第1の低温流(F1)が、前記第7のチャネル(7)を出る前記第2の低温流(F2)によって形成されることとを特徴とする、電気エネルギー生成設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収率の向上を伴う、いくつかのランキンサイクルの組み合わせを使用して電気エネルギーを生成するための方法に関する。液化天然ガスなどの極低温液体の流れが気化されて分配網に分配される場合、この流れをランキンサイクルの低温熱源として使用することができ、本発明による方法は、冷凍容量のアップグレードを伴って上記極低温液体流を確実に再ガス化することができる。
【背景技術】
【0002】
消費地から遠く離れたガス田から到来する天然ガスは、長距離輸送のために特別に適合された船、即ちメタンタンカー上に貯蔵される前に、液化されるのが一般的である。この理由は、液体の形態では天然ガスは所与の質量に対して占める体積が小さく、高圧で貯蔵する必要がないためである。
【0003】
液化天然ガス(LNG)は、分配網に供給される前に、分配網に応じて10~90バールのオーダーの圧力で再ガス化、換言すれば、再気化されなければならない。この再気化は、LNG基地において、通常は周囲温度で、海水、場合により天然ガスで加熱された海水と熱交換することによって行われる。その場合、液化天然ガスの冷凍容量はまったくアップグレードされない。
【0004】
液化天然ガスのフリゴリーから発電し、ひいてはそのエネルギー容量をアップグレードするための様々な方法が存在する。
【0005】
既知の方法の1つには、天然ガスを直接膨張させることに基づくものがある。液化天然ガスが、分配網の圧力を超える圧力まで圧縮され、海水などの高温熱源との熱交換によって気化されて、発電機と連携する膨張タービンで分配網の圧力まで膨張される。
【0006】
他の方法としては、中間流体即ち作動流体を使用する熱力学サイクルに基づくものがある。これらの方法の中にランキンサイクルがあり、ランキンサイクルでは、作動流体が、第1の熱交換器において海水などの高温熱源に接触して圧力下で気化されて、発電機に結合されたタービンで膨張される。次いで、膨張した作動流体は、第2の熱交換器において、サイクルの低温熱源として使用されるLNGに接触して凝縮される。この結果、低圧の液体作動流体がもたらされ、低圧の液体作動流体が圧縮されて高圧で第1の熱交換器に再送達され、これによりサイクルが閉じる。
【0007】
ランキンサイクルは、地熱回収などの用途で作動流体として水を使用して機能し得るが、低温で蒸発する有機流体を使用することにより低温で低温熱源を利用できる。そして、これは、有機ランキンサイクルと呼ばれている。
【0008】
ORCサイクルは、従来、LNGを低温熱源として、海水を高温熱源として使用して工業化されているが、エネルギー収率は、気化したLNG1トン当たり20kWhのオーダーのエネルギー収率、即ち0.015kWh/Nm3と比較的低い。特に、作動流体としてプロパンを使用する従来のORCサイクルは、作動可能な温度が低いことによって制限され、プロパンの特性に起因して、高温熱源の温度は常に海水の温度になる。
【0009】
エネルギー収率を高めるために、いくつかの作動流体で動作するいくつかのサイクルを組み合わせることが提案されている。例えば、米国特許出願公開第2015/0075164号明細書は、高温熱源が各サイクルの気化熱交換器に直列に供給され、低温熱源が各サイクルの凝縮熱交換器に並列に供給されるいくつかのサイクルの組み合わせを開示している。更に、米国特許出願公開第2009/0100845号明細書は、LNGがサイクルの凝縮熱交換器の低温熱源として使用され、同じ作動流体が低温熱源に接触して温度レベルに応じていくつかの圧力レベルで凝縮するいくつかのサイクルの組み合わせを開示している。しかしながら、従来技術による構成は、様々な理由で完全に満足のいくものではない。
【0010】
例えば、米国特許出願公開第2015/0075164号明細書は、高温熱源に含まれるカロリーを回収するのに適しているが、高温熱源は、作動流体に熱を与え、これにより、熱回収熱交換器を相次いで通過するにつれて温度が低下する。この解決策は、低温熱源から低温を回収する課題を解決しない。
【0011】
更に、米国特許出願公開第2009/0100845号明細書は単一の作動流体を使用する。この場合、低温熱源が熱くなるほど、凝縮圧力が高くなる。よって、関連するタービンにおける膨張によって生成される電力は少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特に、従来技術と比較して低温の回収が改善され、エネルギー収率が更に向上する電気を生成するための方法を提案することによって、上記の問題の全部又は一部を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
よって、本発明による解決策は、少なくとも1つの第1のランキンサイクル及び1つの第2のランキンサイクルを実行することによって電気エネルギーを生成するための方法であって、前記サイクルが、熱交換関係となるように流体を流すように構成されたいくつかのチャネルを備える少なくとも1つの熱交換装置において実行され、前記第1のランキンサイクルが、
a)第1の高圧で第1の作動流体を少なくとも1つの第1のチャネルに導入し、前記少なくとも1つの第1のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第2のチャネルに流れる少なくとも1つの第1の高温流に前記第1の作動流体の少なくとも一部を接触させて気化させるステップと、
b)電気エネルギーを生成するために第1の発電機と協働する第1の膨張部において、ステップa)において少なくとも一部が気化された第1の作動流体を第1のチャネルから送達し、第1の低圧に膨張させるステップと、
c)ステップb)において膨張させた第1の作動流体を少なくとも1つの第3のチャネルに導入し、前記少なくとも1つの第3のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第4のチャネルに流れる少なくとも1つの第1の低温流に前記第1の作動流体の少なくとも一部を接触させて凝縮させるステップと、
d)ステップc)において少なくとも部分的に凝縮された前記第1の作動流体を第3のチャネルから送達し、圧力を第1の高圧に上昇させた後、第1のチャネルに再導入するステップと
を含み、第2のランキンサイクルが、
e)第2の高圧の第2の作動流体を少なくとも1つの第5のチャネルに導入し、少なくとも1つの第2の高温流に前記第2の作動流体の少なくとも一部を接触させて気化させるステップと、
f)電気エネルギーを生成するために第2の発電機と協働する第2の膨張部において、ステップe)において少なくとも部分的に気化された第2の作動流体を第5のチャネルから送達し、第2の低圧に膨張させるステップと、
g)ステップf)において膨張させた第2の作動流体を少なくとも1つの第6のチャネルに導入し、少なくとも第6のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第7のチャネルに流れる少なくとも1つの第2の低温流に上記第2の作動流体の少なくとも一部を接触させて凝縮させるステップと、
h)ステップg)において少なくとも部分的に凝縮された上記第2の作動流体を第6のチャネルから送達し、圧力を第2の高圧に上昇させた後に、第5のチャネルに再導入するステップと
を含み、
ステップe)において、第2のランキンサイクルの第2の高温流が、ステップc)において第3のチャネルを流れる第1の作動流体によって少なくとも部分的に形成され、ステップc)において、第1の低温流が、第7のチャネルを出る第2の低温流によって形成されることを特徴とする。
【0014】
場合により、本発明は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。
- 第2の低温流は、-100℃未満の温度で第7のチャネルに導入される。
- ステップc)において、第1の作動流体が第1の低温流に対して向流的に流れる、及び/又はステップg)において、第2の作動流体が第2の低温流に対して向流的に流れる。
- 第1のランキンサイクル及び第2のランキンサイクルは有機サイクルであり、第1の作動流体及び第2の作動流体は第1の炭化水素混合物及び第2の炭化水素混合物をそれぞれ含み、第1の炭化水素混合物及び第2の炭化水素混合物はそれぞれ、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン、及びイソブタンから選択される少なくとも2種の炭化水素を、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びネオンから選択される少なくとも1種の追加の成分の添加を任意選択で伴って含むことが好ましい。
- 第1の高温流は、好ましくは厳密に0℃より高い温度、より好ましくは10℃~30℃の温度の海水から形成され、海水は、第2のチャネルに導入される前に加熱ステップを場合により経ている。
- 第1の高圧は、第1の作動流体の第1の低圧の2.5~15倍高い、及び/又は第2の高圧は、第2の作動流体の第2の低圧の2.5~15倍高く、第1の高圧及び/若しくは第2の高圧は10~40バールである、並びに/又は第1の低圧及び/若しくは第2の低圧は1.5~5バールであることが好ましい。
- ステップd)において、第3のチャネルを出る第1の作動流体は、第1のチャネルに再導入される前に、上記第3のチャネル、上記第4のチャネル、及び/若しくは上記第5のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第9のチャネルに導入される、並びに/又はステップh)において、第6のチャネルを出る第2の作動流体は、第5のチャネルに再導入される前に、第6のチャネル及び/若しくは第7のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第10のチャネルに導入される。
- 第2の低温流は、液化天然ガスなどの液化炭化水素流、又は液化窒素流、液化酸素流、及び液化水素流から選択されることが好ましい極低温液体流である。
- 第2の低温流は、-140℃~-170℃の温度で第7のチャネルに完全に液化して導入される炭化水素、特に天然ガスの流れであり、第1の低温流は、5℃~50℃の温度で完全に気化されて少なくとも1つの第4のチャネルを出る。
- ステップc)の終了時に、第1の作動流体は第1の温度を有し、ステップg)の終了時に、第2の作動流体は第1の温度よりも低い第2の温度を有し、T1は-110℃~-80℃であり、T2は-120℃~-160℃であることが好ましい。
- 第4のチャネルを出る第1の低温流は、少なくとも1つの第8のチャネルに導入されて、そこで第1の高温流及び/又は第1の作動流体に接触して加熱され、第8のチャネルを出る第1の低温流は、5℃~50℃の温度で完全に気化されることが好ましい。
- 第1のチャネル、第2のチャネル、第3のチャネル、第4のチャネル、第5のチャネル、第6のチャネル、第7のチャネル、第8のチャネル、第9のチャネル、及び/又は第10のチャネルは、ろう付けされた平板タイプの少なくとも1つの熱交換器の一部を形成し、前記熱交換器は、前記熱交換器内のチャネルのいくつかの連なりの範囲を定めるように互いに間隔を空けたいくつかの平行平板のスタックを備える。
- 第1のチャネル及び第2のチャネルは第1の熱交換器の一部を形成し、第3のチャネル、第4のチャネル、第5のチャネル、及び/又は第9のチャネルは第2の熱交換器の一部を形成し、第6のチャネル、第7のチャネル、及び/又は第10のチャネルは第3の熱交換器の一部を形成し、上記第1の熱交換器、上記第2の熱交換器、及び上記第3の熱交換器は物理的に異なるエンティティを形成する。
- 第3のチャネル、第4のチャネル、第5のチャネル、及び/又は第9のチャネルと、第6のチャネル、第7のチャネル、及び/又は第10のチャネルとは、同じ熱交換器の一部を形成し、第2の低温流は、上記熱交換器の低温端に位置し、熱交換器の最低温度を有する第1の入口から導入され、ステップb)において膨張された第1の作動流体は、上記熱交換器の高温端に位置し、熱交換器の最高温度を有する第2の入口から低温端と高温端との間に位置する熱交換器の第1の中間レベルに配置された第2の出口まで導入され、ステップf)において膨張された第2の作動流体は、熱交換器の第1の中間レベルと低温端との間に位置する第2の中間レベルに配置された第3の入口を介して熱交換器に導入される。
- 第1のチャネル及び第2のチャネルと、第3のチャネル、第4のチャネル、第5のチャネル、及び/又は第9のチャネルと、第6のチャネル、第7のチャネル、及び/又は第10のチャネルとは、同じ熱交換器の一部を形成し、第2の低温流は、上記熱交換器の低温端に位置し、熱交換器の最低温度を有する第1の入口から導入され、第1の高温流は、上記熱交換器の高温端に位置し、熱交換器の最高温度を有する第5の入口から導入され、ステップb)において膨張された第1の作動流体は、低温端と高温端との間に位置する第3の中間レベルに配置された第2の入口から導入され、熱交換器の第3の中間レベルと低温端との間に位置する熱交換器の第1の中間レベルに配置された第2の出口を介して上記熱交換器を出、ステップf)において膨張された第2の作動流体は、熱交換器の第1の中間レベルと低温端との間に位置する第2の中間レベルに配置された第3の入口を介して熱交換器に導入される。
- 第2の低温流は、-180℃未満、好ましくは-180℃~ー253℃の温度で第7のチャネルに導入される極低温液体流である。
- 本方法は、第2のランキンサイクルの上流で動作する第3のランキンサイクルを実行し、第3のランキンサイクルは、
i)第2の低温流を少なくとも1つの第7のチャネルに導入する前に少なくとも1つの第12のチャネルに導入するステップと、
j)上記第6のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第13のチャネルに第3の高圧の第3の作動流体を導入し、第6のチャネルに流れる第2の作動流体に上記第3の作動流体の少なくとも一部を接触させて気化させるステップと、
k)電気エネルギーを生成するために第3の発電機と協働する第3の膨張部において、ステップj)から得られた第3の作動流体を第3の低圧に膨張させるステップと、
l)第12のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第14のチャネルに第3の作動流体を導入し、第2の低温流に第3の作動流体の少なくとも一部を接触させて凝縮させるステップと、
m)圧力を第3の高圧に上げた後、ステップl)から得られた第3の作動流体を第13のチャネルに再導入するステップと
を含む。
第1の発電機、第2の発電機、及び/又は第3の発電機は、全く同一の発電機に統合され、第1の膨張部、第2の膨張部、及び/又は第3の膨張部が、上記発電機が第1のランキンサイクル、第2のランキンサイクル、及び/又は第3のランキンサイクルから同時に電気エネルギーを生成するようにこの同一の発電機に結合される。
【0015】
別の態様によれば、本発明は、流体を熱交換関係となるように流すように構成されたいくつかのチャネルを備える少なくとも1つの熱交換装置を備える、第1のランキンサイクル及び第2のランキンサイクルを実行するための手段を備える電気エネルギー生成設備に関し、第1のランキンサイクルを実行するための手段が、
- 第1の作動流体を流すように構成された少なくとも1つの第1のチャネルと、
- 第1の高温流を流すように構成された少なくとも1つの第2のチャネルであって、前記第2のチャネルが、動作中、第1のチャネルに導入された第1の作動流体が第1の高温流に接触して少なくとも部分的に気化されるように、前記第1のチャネルと熱交換関係にある、少なくとも1つの第2のチャネルと、
- 前記第1のチャネルの下流に配置され、第1のチャネルを出る第1の作動流体の圧力を第1の高圧から第1の低圧に低下させるように構成された第1の膨張部と、
- 第1の膨張部に結合された第1の発電機と、
- 第1の膨張部の下流に配置され、第1の膨張部によって膨張された第1の作動流体を流すように構成された少なくとも1つの第3のチャネルと、
- 第1の低温流を流すように構成された少なくとも1つの第4のチャネルであって、前記第4のチャネルが、動作中、第3のチャネルに導入された第1の作動流体が第1の低温流に接触して少なくとも部分的に凝縮されるように、前記第3のチャネルと熱交換関係にある、少なくとも1つの第4のチャネルと、
- 前記第3のチャネルの下流に配置され、第3のチャネルを出る第1の作動流体の圧力を第1の低圧から第1の高圧に上昇させるように構成された第1の圧力上昇部と
を備え、
第2のランキンサイクルを実行するための手段が、
第2の作動流体を流すように構成された少なくとも1つの第5のチャネルと、
- 前記第5のチャネルの下流に配置され、第5のチャネルを出る第2の作動流体の圧力を第2の高圧から第2の低圧に低下させるように構成された第2の膨張部と、
- 第2の膨張部に結合された第2の発電機と、
- 第1の膨張部の下流に配置され、第2の膨張部によって膨張された第1の作動流体を流すように構成された少なくとも1つの第6のチャネルと、
- 第2の低温流を流すように構成された少なくとも1つの第7のチャネルであって、前記第7のチャネルが、動作中、第6のチャネルを流れる第2の作動流体が第2の低温流に接触して少なくとも部分的に凝縮されるように、前記第6のチャネルと熱交換関係にある、少なくとも1つの第7のチャネルと、
- 前記第6のチャネルの下流に配置され、第6のチャネルを出る第2の作動流体の圧力を第2の低圧から第2の高圧に上昇させるように構成された第2の圧力上昇部と、
を備え、
第5のチャネルは第3のチャネルと熱交換関係で配置されて、第2の作動流体が第3のチャネルに導入された第1の作動流体に接触して少なくとも部分的に気化されることと、第7のチャネルが第4のチャネルの上流に配置され、上記第4のチャネルと流体連通して配置されて、第4のチャネルに導入された第1の低温流が、第7のチャネルを出る第2の低温流によって形成されることとを特徴とする。
【0016】
特に、上記設備はまた、上記第3のチャネル、上記第4のチャネル、及び/又は上記第5のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第9のチャネルを備えることができ、上記第9のチャネルは、第3のチャネルを出る第1の作動流体が第1のチャネルに再導入される前に上記少なくとも1つの第9のチャネルに導入されるように構成される。代替的又は追加的に、上記設備は、ステップh)において第6のチャネル及び/又は第7のチャネルと熱交換関係にある少なくとも1つの第10のチャネルを備えることができ、第10のチャネルは、第6のチャネルを出る第2の作動流体が第5のチャネルに再導入される前に少なくとも1つの第10のチャネルに導入されるように構成される。
【0017】
「天然ガス」という用語は、少なくともメタンを含む炭化水素を含む任意の組成物を指す。これは、「生の」組成物(任意の処理又はスクラビングの前のもの)、及び硫黄、二酸化炭素、水、水銀、並びに特定の重質炭化水素及び芳香族炭化水素を含むがこれらに限定されない1種又は複数種の化合物の還元及び/又は除去のために部分的、実質的又は完全に処理された任意の組成物を含む。
【0018】
ここで、非限定的な例として与えられるものであり、添付の図を参照して行われる以下の説明によって、本発明はよりよく理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図2図2は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図3図3は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図4図4は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図5図5は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図6図6は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図7図7は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図8図8は、本発明の別の実施形態による、電気エネルギーを生成するための方法を概略的に示す。
図9図9は、本発明の各実施形態による方法の熱交換図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、第1のランキンサイクル及び第2のランキンサイクルの組み合わせにおいて、低温流、すなわち低温熱源として使用される炭化水素流F2、F1から冷凍エネルギーを回収することによって電気を生成するための方法を概略的に示している。ランキンサイクルは、少なくとも1つの熱交換装置によって実行され、少なくとも1つの熱交換装置は、いくつかの流体を流すのに適したチャネルを備え、上記流体間での直接の又は間接的な熱交換を可能にする任意の装置であり得る。
【0021】
本発明による方法は、2つのランキンサイクルの場合における以下に記載されるものと同じ原理にしたがって組み合わされた2つ以上のランキンサイクルを含み得ることを理解されたい。
【0022】
特に、低温流F2、F1は、天然ガスとすることができる。
【0023】
以下に詳述する各実施形態では、本方法の様々な流体が、アルミニウムで作られると都合がよい、プレートフィン型の1つ又は複数のろう付けされた熱交換器を流れる。これらの熱交換器は、低温度差の下で、圧力損失を減らして作動することを可能にするため、上記の液化方法のエネルギー性能を改善する。平板熱交換器はまた、限られた体積で大きな熱交換面を提供する非常にコンパクトな装置を得るという利点を提供する。
【0024】
これらの熱交換器は、長さ及び幅の2次元に延びるプレートのスタックを備え、これにより、チャネルのいくつかの連なりのスタックを構成し、チャネルの一部は発熱流体、この場合はサイクルの作動流体の循環を目的としており、他のチャネルは冷媒流体、この場合は気化される液化天然ガスなどの極低温液体の循環を目的としている。
【0025】
熱交換波板又はフィンなどの熱交換構造体は、一般に、熱交換器のチャネルに配置される。これらの構造体は、熱交換器プレート間に延び、熱交換器の熱交換面を増やすフィンを備える。
【0026】
しかしながら、平板熱交換器、円筒多管式熱交換器、又はケトルアセンブリのコア、すなわち、冷媒流体が気化するシェルに埋め込まれた平板熱交換器又はプレートフィン型熱交換器など、他のタイプの熱交換器を使用することもできることに留意されたい。
【0027】
図1は、第1のランキンサイクルが、第1の熱交換器E1及び第2の熱交換器E2によって実行される実施形態を概略的に示している。
【0028】
熱交換器E1、E2はそれぞれ、プレートに直交するいわゆるスタッキング方向に間隔を置いて重なり合って平行に配置されたいくつかのプレート(図示せず)のスタックを備えると都合がよい。このようにして、プレートを介して間接熱交換関係に至るプロセス流体のための複数のチャネルが得られる。チャネルは、2つの隣接するプレートの間に形成される。2つの連続するプレートの間の間隔は、各連続するプレートの長さ及び幅に比べて小さくし、それにより熱交換器の各チャネルが、平坦な平行六面体の形状を有することが好ましい。同じ流体の循環を目的としたチャネルは、チャネルの連なりを形成する。各熱交換器は、全体の流れ方向zに平行な様々なプロセス流体を導くように構成されたチャネルのいくつかの連なりを備え、1つ連なりのチャネルが、全体又は部分的に、別の連なりのチャネルの全部又は一部と交互に及び/又は隣接して、すなわち別の流体の流れを目指して配置される。
【0029】
プレートの縁部に沿ったチャネルは、一般に、プレート上に固定された横方向及び縦方向の密閉バーによって確実に密閉される。横方向の密閉バーはチャネルを完全には閉鎖せず、流体の導入及び除去のために入口開口部及び出口開口部を残す。これらの入口開口部及び出口開口部は、略半管状の形状のマニホールドによって接合され、同じ連なりのすべてのチャネルで流体が確実に均一に分配及び回収されるようにしている。
【0030】
第1の熱交換器E1は、第1のランキンサイクルにおける気化器として機能する。図1に示されるように、第1の作動流体W1が、少なくとも1つの第1のチャネル1において入口11から出口12まで流れる。第1の高温流C1が、入口21から出口22まで第1の熱交換器に導入される。第1の作動流体W1は、第1の高温流C1との熱交換によって気化される。
【0031】
第1の熱交換器E1を出た後、気化した第1の作動流体W1は、膨張した流体によって生成された運動エネルギーを電気エネルギーに変換する第1の発電機Gに結合された第1の膨張部、好ましくはタービンにおいて膨張される。
【0032】
膨張した後、第1の作動流体W1は、少なくとも1つの第3のチャネル3の入口31から出口32まで、第2の熱交換器E2に導入される。第1の作動流体W1は、第2の熱交換器E2の少なくとも1つの第4のチャネル4を入口41から出口42に流れる第1の低温流F1との熱交換関係に至る。第1の作動流体W1は、第1の低温流F1を加熱することにより凝縮され、出口32から出て、ポンプなどの圧力上昇部によって加圧された後、第1の熱交換器E1に再送達され、これにより第1のサイクルが閉じる。
【0033】
第1の膨張部における膨張の結果として得られる第1の作動流体W1は、場合により2相状態であり得、第2の熱交換器E2の上流で液相と気相とに分離しているか否かにかかわらず導入され得ることに留意されたい。
【0034】
「高温流」又は「低温流」という用語は、別の流体との熱交換によって熱源又は冷熱源を提供する1つ又は複数の流体によって形成された流れを指す。
【0035】
加えて、第2の作動流体W2、好ましくは第1の作動流体W1の組成とは異なる組成の第2の作動流体W2が、入口51を介して出口52まで第2の熱交換器E2に導入され、少なくとも1つの第5のチャネル5に流れ、第5のチャネル5において、第2の作動流体W2は、第2の熱交換器E2に導入された第1の作動流体W1との熱交換によって気化されるとともに、上記第1の作動流体W1は第3のチャネル3において冷却され凝縮される。第2の熱交換器E2は、第1のサイクルの凝縮器と、第2のサイクルの気化器との両方として機能する。
【0036】
第2の作動流体W2は、第1のサイクルと同じ原理にしたがって膨張され、場合により2相形態で、前記2相の液体を導入前に相分離したか又は相分離していない状態で、第3の熱交換器E3に少なくとも1つの第6のチャネル6の入口61から出口62まで導入され、少なくとも1つの第6のチャネル6において、少なくとも1つの第7のチャネルを流れる第2の低温流F2を加熱することによって凝縮される。第3の熱交換器は、第2のサイクルの凝縮器を形成する。出口62から得られた第2の作動流体W2は、圧力上昇部によって汲み上げられてチャネル5の入口51を介して再導入され、これにより第2のサイクルが閉じる。第1の熱交換器E1及び第2の熱交換器E2について上で説明した構造的特徴は、全体的又は部分的に第3の熱交換器E3に適用可能である。
【0037】
本発明によれば、第1のランキンサイクルの第1の低温流F1は、第2のランキンサイクルから得られた第2の低温流F2によって形成され、すなわち、同じ低温流が、直列に各サイクルに供給され、各サイクルにおいて、この低温流は、第2の作動流体W2及び第1の作動流体W1に接触して、つまりこれらの作動流体との熱交換によって、少なくとも部分的に気化され、徐々に加熱される。そのため、第1の低温流F1は場合により2相流であり得る。
【0038】
加えて、第2の熱交換器の第3のチャネル3に導入された第1の作動流体W1は、第2のランキンサイクルの高温流の少なくとも一部、好ましくは全部を形成するために使用される。よって、第2のサイクルの高温熱源は、第1のサイクルの作動流体の冷却及び凝縮によって少なくとも部分的に提供される。
【0039】
このような配置は、少なくとも1つの第7のチャネル7における低温流F2の入口温度と少なくとも1つの第4のチャネルの出口における低温流F1の温度との間の温度勾配全体にわたって、低温のより効率的な回収を確実にすることにより、低温流を再ガス化することを可能にする。具体的には、低温流からのフリゴリーの回収は、第4のチャネル4及び第7のチャネル7の温度レベルが異なる部分で個別に実行される。次いで、第1の作動流体及び第2の作動流体のそれぞれの特性を、これらの温度レベルに適した沸騰温度を有するように最適に適合させることができる。このことは、特に、加熱される低温流F2の特性、特にその圧力、温度、組成などに応じて作動流体の温度、圧力、及び/又は組成を調整することによって、本方法のエネルギー収率を高めるための非常に広い自由度を与える。
【0040】
第2の低温流F2は、第2の作動流体W2との熱交換によって、第2のランキンサイクル(チャネル7)において全体的若しくは部分的に気化され得る、及び/又は加熱され得ることに留意されたい。第1の低温流F1は、第1の作動流体W1との熱交換によって、第1のランキンサイクルにおいて全体的若しくは部分的に気化及び/又は加熱されてもよい(チャネル4)。
【0041】
42において第4のチャネル4から出る第1の低温流F1は、第1の熱交換器E1の少なくとも1つの第8のチャネル8に導入されて、そこで引き続き、第1の高温流C1に接触して加熱されると都合がよい。このことは、第2の熱交換器E2の出口42において得られた温度が低すぎ、特に天然ガス分配網の場合に、分配網を構成する材料と適合しない場合に有利である。
【0042】
採用された構成に応じて、出口42又は82から回収された低温流F1は、流体分配網、特に天然ガスなどの炭化水素の分配のための分配網の少なくとも1つのパイプに供給される。
【0043】
図2は、第1の熱交換器E1とは物理的に異なる第4の熱交換器E1’において第1の低温流F1が加熱され続ける実施形態の変形形態を表している。第4の熱交換器E1’は、第1の低温流F1を循環させるためのチャネル8と、高温流C1とは異なる追加的な第1の高温流C1’を導入するための追加的なチャネル2’とを備える。この構成により、熱交換器E1及びE1’に、2つの流体のみが循環する「円筒多管式」熱交換器などのより単純な技術を使用することができるという利点がもたらされる。このような変形形態は、他の実施形態、特に図4に示す実施形態に適用可能であることに留意されたい。
【0044】
凝縮チャネル3、6の入口及び出口は、第1の作動流体W1及び第2の作動流体W2が、ステップc)及びg)の間、第1の低温流F1及び第2の低温流F2に対してそれぞれ向流的に流れるように配置されることが好ましい。加熱チャネル4、7、1、及び5の入口及び出口は、第1の作動流体W1及び第2の作動流体W2が、ステップa)及びe)の間に、それぞれ第1の低温流F1及び第2の低温流F2に対して並流的に流れるように配置されることが好ましい。サイクルの高温流は、各サイクルにおいて気化された作動流体に対して向流的に流れることが好ましい。
【0045】
これらの流体の流れの方向付けにより、第1の作動流体W1及び第2の作動流体W2の出口温度を最大化することができ、よって、膨張中にタービンによって供給される電力を最大化することができる。
【0046】
図3は、特に、チャネル3から凝縮されて出る第1の作動流体W1が第2の熱交換器E2に再導入されて、そこで、チャネル1に再導入される前に、入口91と出口92との間の少なくとも1つの第9のチャネル9を循環する有利な実施形態を表している。この構成は、第1の作動流体W1が作動流体の出口温度を更に上げるという利点を提供するため、第1の作動流体W1が純物質ではなく、いくつかの成分の混合物である場合に優先される。
【0047】
同じ原理に従い、同じ利点のために、チャネル6から凝縮されて出る第2の作動流体W2もまた、第5のチャネル5に再導入される前に、第3の熱交換器の少なくとも1つの第10のチャネル10に再導入され得る。
【0048】
凝縮した第1の作動流体及び第2の作動流体の一方又は両方が、このような再導入の対象となり得る。上述のように、凝縮した流体を関連する熱交換器に再導入することにより、それらを加熱することができ、高温端における出口温度を最大化して、膨張する際に発電することができる。作動流体ごとに再導入が行われると都合がよく、そうすることにより本方法は更にエネルギー的に有利になる。
【0049】
図1図4は、互いに物理的に異なるエンティティを形成する熱交換器における、つまり、それぞれがプレート及びチャネルの少なくとも1つの異なるスタックを形成するプレートフィン型熱交換器の場合のランキンサイクルが実行される構成を示している。別個の熱交換器を備えた本実施形態は、特に、円筒多管式熱交換器、フィンチューブ式熱交換器、又はコアインケトル式熱交換器など、平板又はプレートフィン型交換器以外のタイプの熱交換器内にチャネルが形成される場合に実施され得る。
【0050】
熱交換器が管式熱交換器である場合、チャネルは、管内、管の周囲、及び管の間の空間によって形成され得ることに留意されたい。
【0051】
本発明に関連して、同じ交換器内に流体チャネルのいくつかを配置することも可能である。このことは、特にろう付けプレートタイプの熱交換器で想定されてよく、いくつかの組み合わされたランキンサイクルを実行する設備の複雑さ及び製造コストを削減することができる。
【0052】
よって、図5は、第2の熱交換器E2と第3の交換機E3とが同じ共同熱交換器Eを形成する実施形態を表している。この場合、第2の低温流F2は、熱交換器Eの低温端に位置する第1の入口71から流れる、つまり、流体、この場合は第2の低温流F2が熱交換器Eのすべての温度の中で最低温度で導入される熱交換器への入口から流れる。第2の低温流F2は、熱交換器Eの第1の出口42を介して出、チャネル4は、チャネル7と熱交換器Eの同じプレートの間に形成され、チャネル7に連続して配置される。
【0053】
チャネル3、5、6はまた、又は熱交換器Eにおける凝縮後に作動流体が再循環する場合にはチャネル9、10も、同じ熱交換器E内に形成される。
【0054】
具体的には、同じ流体が直列に流れるある連なりのチャネルと別の連なりのチャネルとを考えると、前記連なりの各チャネルは、他の連なりの対応するチャネルの延長部を形成し、したがって2つの同じプレートの間に形成された熱交換器Eの全く同一のチャネルを形成する。よって、例えば図5において、チャネル4及びチャネル7は、熱交換器Eの2つの同じプレートの間に範囲を定められ、入口71から出口42に延びる、熱交換器Eの全く同一のチャネルを形成する。異なる流体が流れるある連なりのチャネル及び別の連なりのチャネルを考えると、これらのチャネルは、隣接又は非隣接して同じスタック内に重ねられる。
【0055】
第1の作動流体W1は、熱交換器Eの高温端に位置し、熱交換器Eのすべての温度の中で最高温度を有する第2の入口31を介して膨張後に導入されることが好ましい。第1の作動流体W1は、流れ方向zにおいて熱交換器Eの低温端と高温端との間に位置する第1の中間レベルに配置された第2の出口32まで第3のチャネル3を流れる。図5に示すように、出口32において回収された第1の作動流体W1は、ポンプされた後、第1の熱交換器E1の入口11に供給される前に、熱交換器Eのチャネル9に再導入され得る、又は直接入口11(図示せず)に供給され得る。
【0056】
第2の作動流体W2は、膨張後、場合により2相流体として、また場合により気相と液相とが分離された状態で、流れ方向zにおいて第1の中間レベルと熱交換器Eの低温端との間位置する第2の中間レベルに配置された第3の入口61を介して、熱交換器Eに導入されることが好ましい。第2の作動流体W2は、チャネル6において凝縮された後に出口62において回収され、ポンプされた後、図5に示すように、第5のチャネル5に供給される前に、熱交換器Eの低温端に位置する入口101を介してチャネル10に再導入され得る。チャネル5は、チャネル10に連続して配置される。第2の流体W2はまた、熱交換器E(図示せず)の中間レベルに位置するチャネル5の入口に直接供給され得る。
【0057】
図6は、第1の熱交換器E1、第2の熱交換器E2、及び第3の交換機E3が同じ共同熱交換器Eを形成する実施形態を表している。この場合、第1の高温流C1は、熱交換器Eの高温端に位置する第4の入口21から導入される。第1の作動流体W1は、膨張された後、場合により2相形態で、低温端と高温端との間に位置する第3の中間レベルに配置された第2の入口31を介して導入され、第3の中間レベルと熱交換器Eの低温端との間に位置する第1の中間レベルに配置された第2の出口32を介して上記熱交換器Eを出ることが好ましい。第2の作動流体W2は、膨張された後、場合により2相形態で、流れ方向zにおいて第1の中間レベルと熱交換器Eの低温端との間に位置する第2の中間レベルに配置された第3の入口61を介して導入される。
【0058】
図6に示すように、出口32において液体形態で回収された第1の作動流体W1は、ポンプされた後、チャネル1に供給される前に、入口91を介してチャネル9に再導入され得る。チャネル1は、チャネル9に連続して配置される。第1の流体W1はまた、熱交換器E(図示せず)の中間レベルに位置するチャネル1の入口に直接供給され得る。
【0059】
液体形態で出口62において回収された第2の作動流体W2は、ポンプされた後、図6に示すように、第5のチャネル5に供給される前に、熱交換器Eの低温端に位置する入口101を介してチャネル10に再導入され得る。チャネル5は、チャネル10に連続して配置される。第2の流体W2はまた、熱交換器E(図示せず)の中間レベルに位置するチャネル5の入口に直接供給され得る。
【0060】
熱交換器の低温端と高温端との間にある中間レベルにおける入口及び出口のこれらの構成により、様々な流体の入口温度及び出口温度の上昇する順序を、熱交換器Eの低温端から高温端まで考慮することが可能になる。
【0061】
図7及び図8は、第1の膨張部と第2の膨張部との両方に結合された同じ発電機が使用される実施形態を示している。よって、第1の発電機と第2の発電機とが統合される。これにより、発電機が1つ省略され、設備が簡素化される。この構成が可能であるのは、2つの発電サイクルが略同時の動作モードであるためである。
【0062】
本発明に関連して、第2の低温流F2は、液化天然ガスなどの液化炭化水素の流れ、又は液化窒素流、液化酸素流、若しくは液化水素流などの極低温液体の流れであり得る。
【0063】
少なくとも1つの第7のチャネル7への第2の低温流F2の導入の温度は、-100℃未満であることが好ましい。
【0064】
低温流F2、F1は、炭化水素、特に天然ガスの流れから形成され、好ましくは、モル分率で少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%のメタン(CH)を含むと都合がよい。天然ガスは、任意選択で、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(nC10)、若しくはイソブタン(iC10)、又は窒素を、好ましくは0~10%(モル%)の含有量で含み得る。本発明の方法により、天然ガスを分配網に注入する前に必要な再ガス化が行われると同時に、液化天然ガスのフリゴリーがアップグレードされる。
【0065】
別の性質の低温流が本発明による方法に供給されて使用前に再気化されると都合がよい場合がある。特に、液体酸素、液体窒素、又は液体水素が使用され得る。このような液体の気化は、生産プラントが停止した際にガス供給の継続性を確保することができ、液体ストックの蓄積に費やされるエネルギーの一部を節約することができる。
【0066】
これらの成分の気化温度は天然ガスの気化温度よりもはるかに低いため、上述の説明のうちの1つに沿って、3つ以上のランキンサイクルを使用すると都合がよい場合がある。
【0067】
特定の実施形態によれば、本発明による方法は、3つのランキンサイクルを実行し、第3のランキンサイクルは、第2のランキンサイクルの上流で実行される。より正確には、図1に示されていない図1の構成に関連して、第2の低温流F2は、第3の熱交換器E3の上流に配置された第5の熱交換器E5に導入される。第3の作動流体W3は、第3の高圧Hp3で第3の熱交換器E3の少なくとも1つの追加的なチャネルに導入され、第3の熱交換器E3の少なくとも1つの第6のチャネル6を流れる第2の作動流体W2に接触して少なくとも部分的に気化される。よって、第2の作動流体W2は、第3のランキンサイクルにおける第3の高温流として機能する。
【0068】
追加的なチャネルを出る第3の作動流体W3は、少なくとも1つの他の発電機に任意選択で組み合わされた、電気エネルギーを生成するための第3の発電機と協働する第3の膨張部において第3の低圧Lp3に膨張される。膨張された第3の作動流体W3は、第4の熱交換器に導入され、第3の作動流体W3との熱交換によって少なくとも部分的に加熱及び/又は気化される第3の低温流F3に接触して少なくとも部分的に凝縮される。このように凝縮された第3の作動流体W3は、第4の熱交換器を出て、圧力を第3の高圧Hp3に上げた後、第3の熱交換器E3に再導入される。
【0069】
この実施形態は、再気化される低温流が非常に低い温度、すなわち-170℃未満又は更には-200℃未満であり得る温度の極低温液体である場合に特に有利である。
【0070】
具体的には、本方法によって再気化される低温流と周囲温度との間の温度差が大きいほど、分配網内での分配に必要な温度に到達するために、組み合わされたランキンサイクルの数を増やすことがより有利になる。
【0071】
よって、所与の初期温度を有する極低温液体の低温流の場合、上記低温流は、第3のランキンサイクルにおいて凝縮する第3の作動流体に接触し、次に第2のランキンサイクルにおいて凝縮する第2の作動流体に接触し、次に第1のランキンサイクルおいて凝縮する第1の作動流体W1に接触して加熱される。
【0072】
例えば、例えば液体水素流の場合のように、初期温度が約-250℃の極低温液体を再気化させる場合、流れは、第3の熱力学的サイクルで約-250℃から-170℃に加熱されると都合がよく、サイクルの低温熱源として機能する極低温液体流を温めることにより、気化した流れの単位あたりの発電量を更に増やすことができる。その後、第2のランキンサイクルにおいて約-170℃から約-90℃に加熱した後、第1のランキンサイクルにおいて約-90℃から-50℃に加熱するという、前述の状況に戻る。
【0073】
第3のランキンサイクルは有機サイクルではないことが好ましく、第3の作動流体W3は有機成分を含まないことが好ましい。
【0074】
当然のことながら、3サイクル以上を有する本実施形態は、本特許出願に記載された図1による実施形態以外の構成に適用可能である。特に、また気化される低温流がLNGである場合、第1の作動流体W1及び第2の作動流体W2は、有機流体、すなわち、炭化水素などの1種又は複数種の有機成分を含む流体であることが好ましい。
【0075】
本発明による方法のランキンサイクルは有機サイクルではないことも考えられる。
【0076】
LNGの沸点よりも低い沸点を有する成分を有する気化される極低温液体では、最低温度で作動するサイクルの作動流体は、有機成分の全部又は一部の代わりに水素、窒素、アルゴン、ヘリウム、又はネオンなどの1種又は複数種の成分を含み得る。よって、有機成分を含まない作動流体での作動を想定することが可能である。
【0077】
第1の可能な形態によれば、異なる性質の純物質を使用して、第1の作動流体W1及び/又は第2の作動流体W2を形成し得る。特に、第2の作動流体W2としてエチレンを使用し、第1の作動流体W1としてエタンを使用し得る。この選択は、ろう付けされたアルミニウム製熱交換器及び膨張タービンコンポーネントの良好な機械的強度と両立するLNGの気化によってカバーされる温度範囲に飽和蒸気圧を有するこれらの成分の物理的特性によって説明される。よって、ORCサイクルにおいてこのようなコンポーネントを使用することにより、コンパクトで効率的なシステムを設計することができる。
【0078】
本発明に関連して、異なる組成の作動流体が様々なランキンサイクルで優先的に使用されるが、同じ組成の作動流体を使用することは依然として考えられると理解されたく、この場合、これらの作動流体の動作圧力の適切な調整が行われる。このことは、サイクルの低温流と高温流との間の温度差が比較的小さい場合、例えば、第2の低温流が非常に高圧の液化ガスであり、第1の高温流が十分に低い温度の海水である場合に可能である。
【0079】
別の可能な形態によれば、第1の炭化水素混合物及び第2の炭化水素混合物をそれぞれ含み、第1の炭化水素混合物及び第2の炭化水素混合物がそれぞれ、好ましくは、メタン、エチレン(C)、プロパン、エタン、プロピレン、ブテン、ブタン及びイソブタンから選択される少なくとも2種の炭化水素を含む混合作動流体が使用され得る。
【0080】
第1の作動流体W1及び第2の作動流体W2は、有機成分に加えて、又は有機成分の代わりに、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム、及びネオンから選択される少なくとも1種の追加の成分を任意選択で含んでもよく、このことは、気化される極低温液体が、メタンの沸点よりも低い沸点を有する場合に特に当てはまる。
【0081】
混合作動流体を使用することにより、熱交換器の長さに応じて各ポイントにおける低温流と作動流体との間の温度差を減らすことにより、低温流体と高温流体との間の熱交換の不可逆性に関連するエネルギー損失を減らすことができる。各流体の組成、膨張前後の圧力、及び/又は温度は、可能な限り最良のエネルギー回収を確実にするように適合させることができる。
【0082】
作動流体が混合される場合、すなわち混合物である場合、作動流体は極めて低い温度で液体熱交換器を出て、次いで、凝縮された流体を関係する熱交換器に再導入して加熱し、高温端部における出口温度を最大化し、タービンでの膨張中に電気を生成すると都合がよいことに留意されたい。
【0083】
特に、第1の炭化水素混合物の成分のモル分率(%)での割合は、次のとおり(モル%)であり得る。
メタン:0%~20%、好ましくは0%~10%
プロパン:20%~60%、好ましくは30%~50%
エチレン:20%~60%、好ましくは30%~50%
イソブタン:0%~20%、好ましくは0%~10%
【0084】
第2の炭化水素混合物の成分のモル分率(%)での割合は、次のとおりであり得る。
メタン:20%~60%、好ましくは30%~50%
プロパン:0%~20%、好ましくは0%~10%
エチレン:20%~70%、好ましくは30%~60%
【0085】
好ましくは、第1の高温流C1、及び適切な場合は更なる高温流C1’は、熱交換器への入口温度が好ましくは10℃~30℃の海水から形成される。
【0086】
第2の低温流F2は、-140℃~-170℃の温度で入口71において完全に液化されて導入される炭化水素流であることが好ましい。
【0087】
第2の低温流F2が酸素、窒素、又は水素などの別の性質の液体流によって形成される場合、入口71における流体の温度は、貯蔵圧力における平衡温度のオーダーであることが好ましい。
【0088】
第1の低温流F1は、第3の熱交換器E3の出口72において-85℃~-105℃の温度、第2の熱交換器E2又は熱交換器Eの出口42において-10℃~-20℃の温度、及び/又は第1の熱交換器E3又は熱交換器Eの出口82において5℃~25℃の温度を有して、この温度で分配網に導入されることが好ましい。第1の低温流F1は、出口82、又は出口42を介して完全に気化されて出ることが好ましい。
【0089】
第2の低温流及び第1の低温流は、それらの低温流が流れるチャネル7、4、8で10~100バールの圧力を有することが好ましい。
【0090】
第1の作動流体W1は、第3のチャネル3において凝縮された後、第1の温度T1を有することが好ましい。第2の作動流体W2は、第6のチャネル6において凝縮された後、T1よりも低い第2の温度T2を有する。T1は-110℃~-80℃であり、T2は-120℃~-160℃であることが好ましい。
【0091】
第1の作動流体W1は、5℃~25℃の温度で第1のチャネル1から気化されて出る、及び/又は第2の作動流体W2は、0℃~-30℃の温度で第5のチャネル5から気化されて出ることが好ましい。
【0092】
第1の作動流体W1及び第2の作動流体W2は、第1及び第2の「低」圧Lp1、Lp2で第3のチャネル3及び第6のチャネル6をそれぞれ出て、第1及び第2の「高」圧Hp1、Hp2で第1のチャネル1及び第5のチャネル5にそれぞれ入ることが好ましく、ここでHp1>Lp1及びHp2>Lp2である。
【0093】
第1及び/若しくは第2の高圧Hp1、Hp2は10~40バールであり、好ましくは30バール未満、更に好ましくは20バール未満であり、並びに/又は第1及び/若しくは第2の低圧Lp1、Lp2は1~5バールである。
【0094】
また好ましくは、第1の高圧Hp1は、第1の低圧Lp1の2.5~15倍高い、及び/又は第2の高圧Hp2は、第2の低圧Lp2の2.5~15倍、好ましくは2.5~10倍高い。これらの圧力値及び比により、本方法を流体のエンタルピー曲線に適合させ、平衡温度を最適に調整することができる。作動圧力が高いほど、回収されるエネルギー量は多くなる。少なくとも2.5倍であることにより、十分に有益な量のエネルギーの回収が可能になる。実際には、圧力は膨張部の容量によって制限される。
【0095】
本発明による方法の有効性を実証するために、従来技術による単一のランキンサイクル(シミュレーションNo.1)及び本発明の実施形態による各ランキンサイクルの組み合わせ(シミュレーションNo.2及びNo.3)で得られるエネルギー収率を計算するシミュレーションを実施した。特に、サイクルの組み合わせで使用される作動流体の性質の影響を評価した。低温流は、90.5%のメタン、7.3%のエタン、1.5%のプロパン、0.2%のブタン、0.3%のイソブタン、及び0.2%の窒素(mol%)を含むLNGとした。シミュレーションNo.2では、使用した熱交換器構成は図1によるものとし、シミュレーションNo.3では、使用した熱交換器構成は図3によるものとした。
【0096】
シミュレーションNo.1(従来技術):
唯一の作動流体をプロパンとした。作動流体W1の圧力は、気化熱交換器の入口においては7.5バールであり、凝縮熱交換器の出口32においては1.5バールであった。高温流は、気化熱交換器の入口において圧力5バール、温度23℃の海水とした。
【0097】
シミュレーションNo.2(本発明):
第1の作動流体W1をエタンとした。第2の作動流体W2をエチレンとした。第1の作動流体W1の圧力は、入口11においては27バールであり、出口32においては5.8バールであった。第2の作動流体W2の圧力は、入口51においては8.1バールであり、出口62においては2.1バールであった。天然ガスの圧力は、入口71においては90バールであり、出口82においては89バールであった。高温流C1は、チャネル2の入口及び出口において圧力5バールの海水であった。様々なチャネルの入口又は出口における計算された流体温度を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
シミュレーションNo.3(本発明):
第1の作動流体W1は、46%のエチレン、38%のプロパン、8%のメタン、及び8%のイソブタン(mol%)を含む炭化水素混合物とした。第2の作動流体は、55.4%のエチレン、41%のメタン、及び3.6%のプロパン(mol%)を含む炭化水素混合物とした。第1の作動流体W1の圧力は、入口91においては12バールであり、出口32においては4.2バールであった。第2の作動流体W2の圧力は、入口101においては16.7バールであり、出口62においては1.7バールであった。天然ガスの圧力は、入口71においては90バールであり、出口82においては89.5バールであった。高温流C1は、チャネル2の入口及び出口において圧力5バールの海水とした。様々なチャネルの入口又は出口における計算された流体温度を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
シミュレーションNo.1では、得られたエネルギー収率は0.016kWh/Nmであった。
【0102】
シミュレーションNo.2では、第2のランキンサイクルのエネルギー収率は0.0045kWh/Nm3であり、第1のランキンサイクルのエネルギー収率は0.0134kWh/Nm3であり、つまり全体の収率は0.0179kWh/Nm3であり、シミュレーションNo.1に対して12%のオーダーのゲインを表すものであった。
【0103】
シミュレーションNo.3では、第2のランキンサイクルのエネルギー収率は0.012kWh/Nm3であり、第1のランキンサイクルのエネルギー収率は0.021kWh/Nm3であり、つまり全体の収率は0.033kWh/Nm3であり、シミュレーションNo.1に対して約106%のゲインを表すものであった。
【0104】
第1の作動流体及び第2の作動流体W2を混合して使用することにより、液化天然ガスと作動流体との間の熱交換図が改善されるおかげで、本方法の性能が大幅に向上する。上述のような熱交換チャネルへの作動流体の再導入の概要は、本方法のエネルギー効率の向上にも貢献する。
【0105】
図9は、一方は((a)における)シミュレーションNo.2による純粋な作動流体とのサイクルの組み合わせから得られ、他方は((b)における)シミュレーションNo.3による混合作動流体のサイクルの組み合わせから得られた、交換された熱(「熱流量」)-温度(ΔH-T)熱交換図即ちエンタルピー曲線の比較を示している。例示された図は、処理されるLNGの流量が3000Nm/h(つまり、工業用ユニットの約1/100スケール)の場合について得られたものである。曲線A、B、C、及びDは、LNGを含むプロセスにおいて加熱及び/又は気化されるすべての冷媒流体(曲線A及びC)並びに第1及び第2の作動流体を含むプロセスで冷却及び/又は凝縮されるすべての熱発生流体(曲線B及びD)について交換される熱量の変化を温度の関数として、2つのシミュレートされた構成のそれぞれについて示している。成分の混合物で構成される作動流体を使用することにより平均温度差が大幅に減少することが図9(b)から分かり、これは、このサイクルの効率が高いことを説明している。
【0106】
当然のことながら、本発明は、本特許出願に記載及び図示された特定の例に限定されるものではない。当業者の想到し得る範囲内の他の変形形態又は実施形態もまた、本発明の範囲から逸脱することなく想定され得る。例えば、熱交換器からの流体の注入及び抽出の他の構成、流体の他の流れの方向付け、又は他のタイプの流体などが想定され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】