(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】神経変性障害の処置のための銅複合体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/28 20060101AFI20220921BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220921BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20220921BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220921BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A61K31/28
A61P25/00
A61K31/555
A61P21/02
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/14
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K47/38
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505231
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020043479
(87)【国際公開番号】W WO2021016554
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522032383
【氏名又は名称】エイエルエス・セラピー・デヴェロップメント・インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ペリン
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド・ジー・ヴィエイラ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ギル
(72)【発明者】
【氏名】テオ・ハツィペトロス
(72)【発明者】
【氏名】カイル・デントン
(72)【発明者】
【氏名】マトヴェイ・ルカシェフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076CC01
4C076DD01F
4C076DD09F
4C076EE23F
4C076EE31
4C076FF16
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZA16
4C084ZA23
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA23
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB01
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA02
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA23
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、神経変性疾患の対象を処置するための方法及び組成物におけるCuPTSMの使用に関する。神経変性疾患の対象は、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における神経変性疾患の処置に使用するためのCuPTSM。
【請求項2】
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭部痴呆(FTD)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及びアルツハイマー病である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記神経変性疾患がALSである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ALSが、家族性又は散発性である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
それを必要とする前記対象が、処置未経験である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
それを必要とする前記対象が、ALSに対する前処置を受けている、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
CuPTSMの治療上有効な用量が、0.01mg/kg/日~12mg/kg/日である、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
それを必要とする前記対象がヒトであり、前記ヒトがALSと関連する遺伝的突然変異を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
ALSと関連する前記遺伝的突然変異が、SOD1遺伝子に突然変異を含む、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記CuPTSMが、追加のALS処置療法と組み合わせて前記対象に投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記CuPTSMが、前記対象において血漿Cmax約50~640ng/mLを達成する用量で投与される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
CuPTSM及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容される賦形剤が、セルロース及び界面活性剤を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記セルロースがメチルセルロースである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ポリソルベートがTWEENである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記TWEENがTWEEN-80である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
それを必要とする対象においてALSの処置に使用するためのCuPTSM及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
前記薬学的に許容される賦形剤が、セルロース及び界面活性剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記セルロースがメチルセルロースである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項19に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年7月25日に出願の米国特許仮出願第62/878,581号の優先権を主張する。この出願の全体の内容を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、高齢者人口の増加に一部起因して、益々蔓延している年齢依存的障害である[Heemels、Nature (2016年) 539:179頁]。
【0003】
例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、別名、運動ニューロン疾患、ルー・ゲーリック病又はシャルコー病は、常に30,000人のアメリカ人及び400,000人を超える世界の人々が罹患していると推定される。およそ5,000人のアメリカ人が、毎年ALSと診断される。本疾患は、運動ニューロンの間断ない死を引き起こし、平均で1~5年以内に犠牲者を死亡させる進行性麻痺をもたらす。ALSと診断された人々のほとんどは、疾患の初発徴候後3~5年間生きる。ALSの人々の約10%は、少なくとも10年間生存する。疾患の進行速度が様々であることは、予後の予測を困難にし、療法の開発を難しくしている。
【0004】
2つの薬剤(リルゾール及びエダラボン)だけが、ALS処置用としてFDAに承認されており、両方とも患者のサブセットにおいて疾患の進行を遅らせ、最長数ヵ月間延命することができるが、いずれも疾患を処置又は治癒することはできない。
【0005】
ALSの一部の遺伝形態は、遺伝的突然変異に起因する。遺伝的変化は、銅亜鉛スーパーオキシドジスムターゼと呼ばれる(Cu-Znスーパーオキシドジスムターゼ、現在は、一般的にSOD1と呼ばれる)細胞内で豊富な酵素を改変する。この酵素は、無害化されなければ損傷を引き起こす可能性がある代謝廃棄物から細胞を安全に保つのに役立つ。
【0006】
CuATSMは、当技術分野において確立された厳密な基準によってスーパーオキシドジスムターゼSOD1G93A高発現マウスにおいて保護的であることが示された。しかしながら、CuATSMの高い銅親和性は、中枢神経系(「CNS」)への銅輸送を天然に制限する流通系を迂回するために、この薬剤を非効率な送達媒体にしている。
【0007】
従って、神経疾患及び/又は銅欠乏関連障害を処置できる改善された治療的薬剤に対する必要性が当技術分野に存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Heemels、Nature (2016年) 539:179頁
【非特許文献2】Int. J. Rad. Appl. Instr.、part B、1987年、14、59頁
【非特許文献3】Goodman and Gillman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics (Alfred Goodman Gilman、Louis S. Goodman、及びAlfred Gilman編、第6版、1980年)
【非特許文献4】「Remington's: The Science and Practice of Pharmacy」、第21版、Lippincott Williams and Wilkins、2005年
【非特許文献5】Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、(Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1990年)
【非特許文献6】Hatzipetrosら、2015年、J. Visualized Experiments. doi:10.3791/53257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、それを必要とする対象において神経変性障害を処置するための方法及び組成物を提供する。特に、本明細書に提供される一態様は、対象に銅PTSM(CuPTSM)の治療上有効な量を投与する工程を含む、それを必要とする対象において神経変性疾患を処置又は予防する方法である。CuPTSMが、CuATSMより有意に低い用量及び著しく少ないin vivo薬物曝露でALSの症状を処置するのに有効であることが、驚くことに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
様々な実施形態において、対象を処置する工程は、治療上有効な量の銅PTSM(CuPTSM)を投与する工程を含む。
【0011】
様々な実施形態において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及びアルツハイマー病である。
【0012】
様々な実施形態において、神経変性疾患はALSである。様々な実施形態において、ALSは家族性又は散発性である。
【0013】
様々な実施形態において、対象は処置未経験である。様々な実施形態において、対象はALSに対する前処置を受けたことがある。
【0014】
様々な実施形態において、CuPTSMの治療上有効な用量は、0.01mg/kg/日~12mg/kg/日である。
【0015】
様々な実施形態において、対象はヒトであり、ヒトはALSと関連する遺伝的突然変異を有する。様々な実施形態において、ALSと関連する遺伝的突然変異は、SOD1遺伝子に突然変異を含む。
【0016】
様々な実施形態において、CuPTSMは、追加のALS処置療法と組み合わせて対象に投与される。
【0017】
様々な実施形態において、CuPTSMは、対象において血漿Cmax約50~640ng/mLを達成する用量で投与される。
【0018】
別の態様において、CuPTSM及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0019】
様々な実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、セルロース及び界面活性剤を含む。様々な実施形態において、セルロースはメチルセルロースである。様々な実施形態において、界面活性剤はポリソルベートである。様々な実施形態において、ポリソルベートはTWEEN-80(登録商標)である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1Aは、30mg/kgの単回用量の投与後6時間にわたるCuPTSMの血漿中濃度を図示するグラフである。
図1Bは、30mg/kgの単回ボーラス用量の投与後6時間にわたるCuATSMの血漿中濃度を図示するグラフである。
【
図2】
図2Aは、30mg/kgの単回用量の投与後6時間にわたるCuPTSMの脊髄濃度を図示するグラフである。
図2Bは、30mg/kgの単回ボーラス用量の投与後6時間にわたるCuATSMの脊髄濃度を図示するグラフである。
【
図3】
図3Aは、線形薬物動態を仮定して、
図1A及び
図1Bの実験から得られたPKパラメータを使用した模擬実験を示す図である。6mg/kg CuPTSM、30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSMの投与を受けたマウスにおける血漿中濃度(ng/mL, Plasma Conc.)が、経時的(時間)に図示される。
図3Bは、線形薬物動態を仮定して、
図1A及び
図1Bの実験から得られたPKパラメータを使用した模擬実験を示す図である。6mg/kg CuPTSM、30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSMの投与を受けたマウスにおける脊髄濃度(ng/mL, Spinal Cord Cons.)が、経時的(時間)に図示される。
【
図4A】本研究の全体を通じて不全麻痺の発病(Onset)を呈した集団のパーセンテージを図示する図のセットである。
【
図4B】媒体だけを与えたマウスと比較して、不全麻痺の発病によって測定した6mg/kg CuPTSM、30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSMの有効性を例示する図である。
【
図5A】本研究の全体を通じて各処置集団の生存(Survival)パーセントを追跡した図のセットである。
【
図5B】媒体の投与を受けたマウスに対する6mg/kg CuPTSM、30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSMを与えたマウスの寿命(Lifespan)を例示する図である。
【
図6】
図6Aは、マウスの対照コホートと比較した6mg/kg CuATSMを与えたマウスの経時的な生存パーセントを示す図である。
図6Bは、対照と比較した6mg/kg CuATSMを与えた不全麻痺の発病を呈したマウス集団のパーセンテージを例示する図である。
【
図7】
図7Aは、媒体と比較した2、6又は12mg/kg CuPTSMを与えた雄マウス相互間の複合筋活動電位(CMAP)測定における差異を例示する図である。
図7Bは、10又は30mg/kg CuATSMで処置したマウスと媒体で処置したマウスとのCMAP測定における差異を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
対象にCuPTSMの治療上有効な量を投与する工程を含む、それを必要とする対象において神経変性疾患を処置する方法が、本明細書に提供される。一実施形態において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及びアルツハイマー病である。一実施形態において、神経変性疾患はALSである。
【0022】
前述のとおり、CuATSMは、ALSの処置に対して臨床的に使用されてきたが、治療的薬剤としてのその使用を厳しく制限する重大な欠点に悩まされている。更に、CuATSMは、小型、対称の構造を有し、このことは、この化合物と関連する別の制限の一因となる。すなわち、その小型の構造により、ATSMリガンド成分は、極めて安定な結晶を速やかに形成することが可能になり、このことが、この化合物の作製及び処方においていくつかの課題の原因になり、適切な薬理学的薬剤として働くその能力を妨げている。例えば、金属不含ATSMリガンド成分は、全ての一般的な還流溶媒中での合成の間の数秒間以内に結晶化する。従って、合成の最終工程において、特に臨床用途に必要とされる多くの量を生産するのに必要な工業規模で逐次銅を添加することは困難である。
【0023】
これらの課題を解決するために、ALSを含めた神経変性疾患の処置に有効な治療法としてCuPTSMが本明細書に提供される。CuPTSMは、非対称の銅(II)ビス(チオセミカルバゾン)複合体であり、ビス(チオセミカルバゾン)リガンドは、κ4様式で銅中心に配位される。この化合物は、1987年に最初に合成され(Int. J. Rad. Appl. Instr.、part B、1987年、14、59頁)、ポジトロン断層撮影法用のトレーサとして使用されてきた。CuPTSMは、リガンド骨格の対称性においてCuATSMと異なる(下の構造を参照のこと)。CuATSMと比較してCuPTSMのin vivoにおける薬物曝露は低いにもかかわらず、CuPTSMが、有意に低い投薬量でALSの症状の処置により有効であることが、驚くことに判明した。
【0024】
【0025】
定義
以下に挙げたものは、本明細書に使用される様々な用語の定義である。これらの定義は、特定の例において限定されない限り、本明細書及び請求項の全体を通じて使用される用語に個別に又は大きな群の一部としてのいずれかで適用される。
【0026】
別段の規定がない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を一般に有する。一般に、本明細書に使用される用語並びに細胞培養、分子遺伝学、有機化学及びペプチド化学における研究手順は、当技術分野において周知であり通常利用されるものである。
【0027】
本明細書では、冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象のうち1つ又は1つより多く(即ち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。更に、用語「含む(including)」並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」のような他の形態の使用は、制限的でない。
【0028】
本明細書では、用語「約」は、当業者によって理解されることになり、使用される文脈に応じてある程度変動することになる。本明細書では、量、時間的期間、等のような測定可能な値を指す場合、用語「約」は、そのような変動が、開示される方法を実行するのに適当であるように、指定された値から±5%、±1%及び±0.1%を含めて、±20%又は±10%の変動を包含することを意味する。
【0029】
本明細書及び本請求項に使用される、用語「含む(comprising)」は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を含んでもよい。用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「し得る(may)」、「含有する(contain(s))」及びそのバリアントは、本明細書では、指定された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を可能にするオープンエンドの移行句、用語又は単語であることが意図される。しかしながら、そのような説明は、列挙された化合物「からなる」及び「から本質的になる」組成物又はプロセスについても記載していると解釈されるべきであり、それは、任意の薬学的に許容される担体とともに指定された化合物のみが存在することを許容するものであり、他の化合物を除外する。
【0030】
用語「処置」とは、疾患の回復に使用される1つ以上の特定の手順の適用のことを指す。特定の実施形態において、特定の手順とは、1つ以上の医薬品の投与である。個体(例えばヒト等の哺乳動物)又は細胞の「処置」とは、個体又は細胞の自然経過を改変する試みに使用される任意の型の介入である。処置は、医薬組成物の投与を含むが、これに限定されず、予防的か又は病理学的事象の開始若しくは病原因子との接触後かいずれかに実行され得る。処置は、疾患若しくは状態の症状若しくは病変に対する任意の所望の効果を含み、例えば、疾患若しくは状態の1つ以上の測定可能なマーカーにおける最小限の変化又は改善を含んでもよく、例えば、処置される疾患若しくは状態の1つ以上の測定可能なマーカーにおける最小限の変化又は改善を含んでもよい。
【0031】
本明細書では用語「予防する」又は「予防」は、何も起こらない場合にいかなる障害若しくは疾患の発症もない、又は障害又は疾患の発症が既に存在する場合に更なる障害若しくは疾患の発症がないことを意味する。また、障害又は疾患と関連する症状の一部若しくは全部を予防するものの能力が考慮される。
【0032】
本明細書では、用語「使用」は、特に記載されない場合、必要に応じて都合よく、本発明の以下の実施形態、すなわち、ALSの処置における使用、これら疾患の処置に使用するための医薬組成物の製造、例えば、医薬の製造における使用;これら疾患の処置における本発明の化合物の使用の方法;これら疾患の処置のための本発明の化合物を有する医薬製剤;並びにこれら疾患の処置に使用するための本発明の化合物;のうちのいずれか1つ以上をそれぞれ含む。一実施形態において、医薬として使用するためのCuPTSMの使用が本明細書に提供される。
【0033】
本明細書では、用語「患者」、「個体」又は「対象」は、プロテインキナーゼの活性と関連する疾患、障害若しくは状態に悩まされる又は罹患している可能性がある生物、例えば、原核生物及び真核生物を含むことを意図する。対象の例には、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット及びヒト以外のトランスジェニック動物がある。特定の実施形態において、対象は、ヒト、例えば、統合失調症に悩まされる、悩まされる危険性がある、又は悩まされる可能性が潜在的にあるヒトである。別の実施形態において、対象は、細胞である。
【0034】
本明細書に記載される処置/予防の方法並びに化合物及びその医薬組成物の使用に関して使用される場合、「それを必要とする」個体は、処置すべき状態と診断された又は以前に処置された個体であってもよい。予防に関連して、それを必要とする個体は、状態の危険性(例えば、状態の家族歴、状態の危険性の指標となる生活様式因子、等)がある個体の場合もある。典型的には、本発明の化合物を投与する工程が本明細書に開示される場合、本発明は、投与すべき特定の処置を必要とする、又は処置すべき特定の状態を有する個体若しくは対象を同定する工程を更に企図する。
【0035】
一部の実施形態において、個体は、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、齧歯類又は霊長類を含むがこれに限定されない哺乳動物である。一部の実施形態において、哺乳動物は霊長類である。一部の実施形態において、霊長類はヒトである。一部の実施形態において、個体は、成人、子供及び早産児を含めたヒトである。一部の実施形態において、個体は、哺乳動物以外である。一部の変形において、霊長類は、チンパンジー及び他の類人猿及びサル種等ヒト以外の霊長類である。用語「個体」は、特定の年齢又は性別を意味しない。
【0036】
本明細書では、用語「有効量」、「薬学的有効量」及び「治療上有効な量」とは、無毒であるが、所望の生物学的結果を得るのに十分な薬剤の量のことを指す。その結果は、疾患の徴候、症状、若しくは原因の減少、若しくは緩和又は生体系の他の任意の所望の改変であり得る。任意の個別の症例において適当な治療量は、日常の実験を使用して当業者によって決定され得る。
【0037】
本明細書では、用語「組成物」又は「医薬組成物」とは、本発明内で有用な少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体との混合物のことを指す。医薬組成物は、患者又は対象への化合物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の技術が当技術分野に存在し、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼、肺及び局所投与があるがこれに限定されない。
【0038】
本明細書では用語「組合せ」、「治療的組合せ」又は「薬学的組合せ」とは、1投薬量単位形態に固定した組合せ、若しくは固定しない組合せ、又は組合せ投与のためのキットオブパーツのいずれかのことを指し、2つ以上の治療的薬剤がそれぞれ独立に、同時に又は時間間隔内で別々に投与されてもよく、特にこれらの時間間隔により、組合せ相手は、協同、例えば、相乗効果を示すことが可能になる。
【0039】
用語「散発性」とは、遺伝しない神経変性疾患、例えば、ALSのことを指す。散発性ALSは、症例の約90%を占め、罹患した個体は、家族で唯一疾患がある構成員である。散発性ALSの原因は、よく理解されていないが、環境及び遺伝的危険因子の組合せによる可能性がある。
【0040】
用語「家族性」とは、遺伝する神経変性疾患、例えば、ALSのことを指す。家族性ALSは、症例の約10%を占め、家族内で1人より多くの人がALSを有し、時には親族は、前頭側頭型認知症も有する。家族性ALSの人は、しばしば散発性ALSより低年齢で症状を示し始める。家族性ALSは、ほとんどの場合、常染色体優性である。
【0041】
「排出半減期」は、Goodman and Gillman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics (Alfred Goodman Gilman、Louis S. Goodman、及びAlfred Gilman編、第6版、1980年)のとおり、通常の意味に使用される。簡潔には、本用語は、薬物排出の時間的経過の定量的尺度を包含することを意味する。薬物濃度は、排出プロセスの飽和に必要とされる濃度に通常近づかないため、大部分の薬物の排出は、指数関数的である(即ち、一次動態に従う)。指数関数的プロセスの速度は、単位時間当たりの微小な変化を表す速度定数、kによって、又はプロセスの50%の完了に必要とされる時間である半減期、t1/2によって表されてもよい。これら2つの定数の単位は、それぞれ時間-1及び時間である。一次速度定数及び反応の半減期は単純に相関しており(k×t1/2=0.693)、従って交換されてもよい。一次排出動態は、一定割合の薬物が、単位時間当たりに失われることを決定付けるので、薬物濃度対時間の対数プロットは、初期分布相後(即ち薬物の吸収及び分布が完了した後)の全ての時間で線形である。薬物排出の半減期は、そのようなグラフから正確に決定することができる。「吸収半減期」は、CuPTSMの用量の1/2が吸収されるのに必要な時間の量と定義される。
【0042】
処置の方法
本明細書に記載される方法は、それを必要とする対象にCuPTSMの治療的な量を投与する工程を含む。「治療上有効な量」は、それ自体で患者に投与された場合に、神経変性疾患を効果的に処置するCuPTSMの量である。所与の例において、特定の対象に対して「治療上有効な量」であると証明される量は、その投薬量が、熟練した開業医によって「治療上有効な量」とみなされたとしても、検討中の疾患又は状態に対して同様に処置される対象の100%に対して有効なわけではない可能性がある。治療上有効な量に対応するCuPTSMの量は、疾患の型、疾患の段階、処置される患者の年齢及び他の事実に強く依存する。
【0043】
一態様において、対象にCuPTSMの治療上有効な量を投与する工程を含む、それを必要とする対象においてALSを処置又は予防する方法が、本明細書に提供される。
【0044】
別の態様において、対象においてALSを処置する医薬を製造するためのCuPTSMの使用が本明細書に提供される。
【0045】
異なる実施形態において、使用されるCuPTSMの有効な量に応じて、CuPTSMはALSを効果的に処置することができる。
【0046】
特定の実施形態において、CuPTSMの治療上有効な用量は、0.01mg/kg/日~12mg/kg/日である。
【0047】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg又は72mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg~72mgである。
【0048】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、又は72mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg~72mgである。
【0049】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり、約0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、又は64mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg~64mgである。
【0050】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、又は64mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg~64mgである。
【0051】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、又51mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg~51mgである。
【0052】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、又は51mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg~51mgである。
【0053】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、又は39mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約0.1mg~39mgである。
【0054】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、又は39mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり0.1mg~39mgである。
【0055】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、又は26mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約1mg~26mgである。
【0056】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、又は26mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり1mg~26mgである。
【0057】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、又は26mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約5mg~26mgである。
【0058】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、又は26mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり5mg~26mgである。
【0059】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約1mg~20mgである。
【0060】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり1mg~20mgである。
【0061】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約5mg~20mgである。
【0062】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり5mg~20mgである。
【0063】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり、約10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約10mg~20mgである。
【0064】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり10mg~20mgである。
【0065】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、又は18mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約10mg~18mgである。
【0066】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、又は18mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり10mg~18mgである。
【0067】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約12mg、13mg、14mg、15mg、又は16mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約12mg~16mgである。
【0068】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり12mg、13mg、14mg、15mg、又は16mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり12mg~16mgである。
【0069】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約13mg、14mg、又は15mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約13mg~15mgである。
【0070】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり13mg、14mg、又は15mgである。一実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり13mg~15mgである。
【0071】
特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり約14mgである。特定の実施形態において、処置のためのCuPTSMの用量は、1日当たり14mgである。
【0072】
他の実施形態において、それを必要とする対象においてALSを処置する方法が本明細書に提供され、対象は低用量のCuPTSMを投与される。本明細書では用語「低用量」とは、ALSを処置するために投与される場合に参照化合物であるCuATSMの治療上有効な量未満である用量のことを指す。一部の実施形態において、用語「低用量」とは、ALSを処置するために投与される場合に参照化合物であるCuATSMの治療上有効な量より1桁以上低い用量のことを指す。一部の実施形態において、用語「低用量」とは、ALSを処置するために投与される場合に参照化合物であるCuATSMの治療上有効な量の1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8以下の用量のことを指す。一部の実施形態において、「低用量」のCuPTSMは、本明細書に記載される用量又は用量範囲内にある。CuPTSMの量は、ALSの有効な処置をもたらすべきであるが、好ましくは、量は、患者に対して過剰に毒性ではない(即ち、量は、医学的ガイドラインによって確立されているように好ましくは毒性限度内である)。一部の実施形態において、過剰な毒性を予防するか若しくはALSのより有効な処置を提供するかのいずれか又は両方のために、投与される全投薬量に対して制限が規定される。典型的には、本明細書で考慮される量は、1日当たりである。しかしながら、半日及び2日間又は3日間周期も本明細書において考慮される。
【0073】
特定の実施形態において、それを必要とする対象は、処置未経験である。特定の実施形態において、それを必要とする対象は、CuPTSM以外のALSに対する前処置を受けており、その前処置は、不十分であった(例えば、対象及び/又は医師によって評価される)、有効でなかった及び/若しくはALSと関連する1つ以上のパラメータ若しくは症状において検出可能な改善をもたらさなかった、並びに/又はALSの症状を起こす根底にある病変と相関する生物学的効果を引き起こさなかった。
【0074】
特定の実施形態において、それを必要とする対象はヒトであり、ヒトはALSと関連する遺伝的突然変異を有し、ALSと関連する遺伝的突然変異は、SOD1遺伝子に突然変異を含む。
【0075】
一態様において、それを必要とする対象においてスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)に関連する神経変性障害を処置又は予防する方法であって、対象にCuPTSMを投与する工程を含む方法が本明細書に提供される。一実施形態において、SOD1関連神経変性障害は、SOD1関連筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。
【0076】
特定の実施形態において、CuPTSMは、追加のALS処置療法と組み合わせて対象に投与される。ALSに対する現在の処置にはリルゾール及びエダラボンの投与があり、それは穏やかに有効であることが示されている。ALSに対する他の療法には、疾患と関連する特定の症状を処置するための投薬があり、例えばバクロフェン又はジアゼパム等の筋弛緩薬が筋けいれん、痙縮及び痙直を処置するために処方される場合がある。ガバペンチンは、疼痛管理を助けるために処方される場合がある。アミトリプチリン、トリヘキシフェニジル、スコポダーム(scopaderm)及びグリコピロレートのようなこれら医薬は、嚥下障害による口腔内の過剰な唾液を処置するために投与され得る。投薬は、ALSと関連する便秘、疲労、うつ病、睡眠困難及び情動調節障害の処置にも必要とされる場合がある。
【0077】
特定の実施形態において、CuPTSMは、対象において血漿Cmax約50~650ng/mLを達成する用量で投与される。用語「Cmax」は、薬物投与後に血漿若しくは脊髄中で達成される活性CuPTSM又はCuATSMの最大濃度と定義される。
【0078】
医薬組成物
治療用組成物の処方及びそれらのその後の投与(与薬)は、当業者の技術範囲内である。与薬は、処置される病態の重症度及び応答性に応じて決まり、処置の過程は、数日間~数ヶ月間、又は病態の十分な縮小が達成されるまで続く。最適な与薬計画は、患者体内における薬物蓄積の測定から算出され得る。
【0079】
当業者は、至適投薬量、与薬方法及び反復率を容易に決定することができる。至適投薬量は、CuPTSMの相対的効力に応じて変動する可能性があり、in vitro及びin vivo動物モデルにおいて有効であると判明したEC50に基づいて一般に推定され得る。一般に、投薬量は、体重の0.01μg~100g/kgであり、毎日1回以上、毎週、毎月若しくは毎年、更に又は2~20年毎に1回与えられてもよい。当業者は、体液又は組織中の薬物の測定される滞留時間及び濃度に基づいて与薬の反復率を容易に推定することができる。処置の成功後に、患者は、病態の再発を予防するための維持療法を受けることが望ましい場合があり、CuPTSMは、体重の0.01μg~100g/kgの範囲の維持用量で毎日1回以上~20年毎に1回投与される。
【0080】
異なる投薬量レジメンを使用してALSを処置してもよい。一部の実施形態において、1日の投薬量は、上に記載の例示的な投薬量のいずれかのように、1日に1回、2回、3回若しくは4回を3、4、5、6、7、8、9又は10日間投与される。処置される疾患の段階及び重症度に応じて、高い投薬量でより短い処置期間(例えば、最高5日間)が利用されてもよく、又は低い投薬量でより長い処置期間(例えば、10日間以上、又は数週間若しくは1ヶ月間以上)が利用されてもよい。一部の実施形態において、1日1回又は2回の投薬量が、1日おきに投与される。
【0081】
一態様において、CuPTSMは、単独で又は少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて投与されてもよい。表現「薬学的に許容される」とは、薬学及び獣医学の技術分野における使用に許容される、即ち、許容できないほどの毒性がない、さもなければ不適でないことを意味する。薬学的に許容されるアジュバントの例には、希釈剤、賦形剤、等がある。一般的な薬物処方に対する指針については、「Remington's: The Science and Practice of Pharmacy」、第21版、Lippincott Williams and Wilkins、2005年を参照できる。
【0082】
CuPTSMは、純粋形態又は適当な医薬組成物中で、当技術分野において公知の認められている投与様式又は薬剤のいずれかによって投与され得る。CuPTSMは、例えば、経口的、経鼻的、非経口的(静脈内、筋肉内又は皮下)、局所的、経皮的、腟内、膀胱内、嚢内又は直腸に投与され得る。剤形は、例えば、厳密な投薬量を簡単に投与するのに適切な単位剤形、例えば、錠剤、丸剤、軟エラスティック若しくは硬ゼラチンカプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、坐剤、エアロゾル剤、等のような、例えば、固体、半固体、凍結乾燥粉末又は液体剤形であり得る。薬学的希釈剤を含めた適切な医薬用担体の一部の例は、ゼラチンカプセル;ラクトース及びショ糖等の糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース及び酢酸フタル酸セルロース等のセルロース誘導体;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;ピーナッツ油、綿実油等の植物油;胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油及びカカオ脂;プロピレングリコール、グリセリン;ソルビトール;ポリエチレングリコール;水;寒天;アルギン酸;等張食塩水及びリン酸緩衝溶液;並びに医薬製剤に通常使用される他の互換性を持つ物質である。特定の投与経路は、経口、特に、簡便な日常の投薬レジメンが、処置すべき疾患の重症度の程度に従って調整され得る経路である。
【0083】
補助剤及びアジュバント剤には、例えば、保存剤、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、香味材、芳香剤、乳化剤、及び分注剤(dispensing agent)があってもよい。乳化剤には、TWEEN(登録商標)、例えばTWEEN-20(登録商標)及びTWEEN-80(登録商標)等のポリソルベートが含まれ得る。TWEEN-80は、C64H124O26であり、ポリエトキシル化されたソルビタン及びオレイン酸から得られ、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート及び(x)-ソルビタンモノ-9-オクタデセノエートポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)とも呼ばれる。微生物作用の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、等のような様々な抗菌剤及び抗真菌剤によって一般に得られる。糖、塩化ナトリウム、等のような等張化剤も含まれてよい。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらされ得る。補助剤は、例えば、クエン酸、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ブチル化ヒドロキシトルエン、等のような湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤及び酸化防止剤も含み得る。
【0084】
固体剤形は、腸溶コーティング及び当技術分野において周知の他のもののような被覆物及びシェルを用いて調製され得る。それら剤形は、緩徐剤(pacifying agents)を含有することができ、遅延手法で腸管の特定の部分においてCuPTSMを放出するような組成物であり得る。使用され得る包埋される組成物の例は、ポリマー物質及びワックスである。CuPTSMは、適当であれば、上述の賦形剤のうちの1つ又は複数を含むマイクロカプセル化形態でもあり得る。
【0085】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤がある。そのような剤形は、CuPTSM、並びに例えば、水、生理食塩水、含水デキストロース、グリセロール、エタノール、等のような担体中の任意の薬学的アジュバント;例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような可溶化剤及び乳化剤;油、特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及び胡麻油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル;若しくはこれらの物質の混合物、等を例えば溶解、分散等して、それにより液剤又は懸濁剤を形成することによって調製される。
【0086】
一般に、意図する投与の様式に応じて、薬学的に許容される組成物は、約1質量%~99質量%の本明細書に記載されるCuPTSM及び99質量%~1質量%の薬学的に許容される賦形剤を含有することになる。一例において、組成物は、約5質量%~約75質量%の本明細書に記載されるCuPTSMであり、残りは適切な医薬賦形剤になる。
【0087】
様々な実施形態において、薬学的組成物は、それを必要とする対象においてALSを処置するためのものである。
【0088】
様々な実施形態において、医薬組成物は、本明細書に提供される任意の用量でCuPTSMを含む。
【0089】
そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知である、又は明らかとなる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、(Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1990年)が参照される。
【0090】
本発明は、以下の実験例を参照することにより詳細に更に記載される。これらの例は、単に本発明の特定の態様及び実施形態を例示する目的で含まれるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。従って、本発明は、いかなる場合も以下の例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明白になるあらゆる変形を包含すると解釈されるべきである。
【実施例】
【0091】
(実施例1)CuATSMと比較したCuPTSMの薬物動態
ALSのSOD1G93Aトランスジェニックマウスモデルは、1990年代から最も広く使用されている動物モデルある。本マウスは、アミノ酸93位にALSと関連するグリシンからアラニンへの突然変異(G93A)を保有するヒトCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子の突然変異形態を過剰発現するように遺伝子操作された。現在のところ、CuATSMを用いるALSの処置に対する臨床的戦略は、ALS患者が、30mg/kg/日を与えたマウスにおいて見られるのと同等の血漿レベルを示すまでヒトの与薬を増加させることである。
【0092】
in vivoでのCuPTSMの効果をCuATSMと比較するために、0.5%メチルセルロース/0.4% TWEEN-80/0.9%生理食塩水の経口懸濁剤中の30mg/kg CuPTSM又は30mg/kg CuATSMの単回ボーラスをSOD1
G93Aマウスに投与した。吸収半減期、排出半減期及びCmax測定を、血漿及び脊髄試料の両方で行い、薬物投与後に最高6時間CuPTSM又はCuATSMの薬物曝露を測定した。CuPTSMの血漿中濃度の低下が、吸収半減期0.54時間、排出半減期2.44時間及び血漿Cmax 1565ng/mLで経時的に観察された(
図1A)。CuATSMの血漿中濃度はプラトーに達し、吸収半減期0.24時間、排出半減期13.7時間及び血漿Cmax 198ng/mLで投与6時間後に一定のままであった(
図1B)。
【0093】
類似の測定値を、脊髄におけるCuPTSM及びCuATSMの濃度に対して記録した。30mg/kg CuPTSMを投与したマウスの血漿中濃度と同様に、濃度は経時的に減少し(
図2A)、CuPTSMは、吸収半減期1.0時間、排出半減期1.9時間及びCmax 7.27ng/mLを有することが判明した。血漿中濃度と同様に、CuATSMの脊髄濃度は、投与6時間後でも一定のままであった(
図2B)。脊髄において、CuATSMは、吸収半減期0.65時間、排出半減期13.8及びCmax 2ng/mLを有した。
【0094】
6mg/kg CuPTSM、30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSMの単回ボーラスを使用する上の実験から得たデータ及びパラメータを使用して、血漿及び脊髄濃度を図上に経時的(時間)に記録して、経時的な薬物動態学的模擬実験を例示した。線形動態を仮定した。CuPTSMを使用した以前の研究では、30mg/kg CuATSMはマウスによる忍容性が高いが、同じ与薬のCuPTSMはマウスに毒性であることが実証された。30mg/kg CuATSM及び100mg/kg CuATSMの血漿中濃度は、次の用量の前までに0ng/mLに戻らなかった。対照的に、CuPTSMの血漿中濃度レベルは、マウスに6mg/kgを投与した後に増大し、血漿レベルは次の用量の前までに0ng/mLに戻った(
図3A)。濃度を脊髄試料において測定した場合、類似の結果が得られた(
図3B)。
【0095】
(実施例2) SOD1
G93AマウスにおけるCuPTSMの有効性
CuATSMと比較してCuPTSMの有効性を試験するために、マウスを不全麻痺における遅延及び全寿命(overall lifespan)について試験した。マウスに、6mg/kg CuPTSM(n=32)、30mg/kg CuATSM(n=32)、及び100mg/kg CuATSM(n=32)を1日に1回与えて疾患の進行を評価し、それぞれ媒体のみの対照マウスと比較してSOD1
G93Aマウスにおける薬物誘発性変化を同定した。各マウスについて不全麻痺の発病を試験するための神経学的得点を、Hatzipetrosら(2015年、J. Visualized Experiments. doi:10.3791/53257)に開示されている手順に従って研究の全体を通じて実行し、その全体を参照により本明細書に組み込む。簡潔には、マウスを、尾懸垂試験、歩行試験及び「正向反射」試験の組合せに基づいてNS0(前駆症状)からNS4(人道的終点)の基準で得点した。不全麻痺の発病を研究の全体を通じて測定し(
図4A)、CuPTSM又はCuATSMのいずれも対照に比べて発病を遅延させた。しかしながら、各実験群をそれぞれの対照群と比較した場合、6mg/kg CuPTSMを投与したマウスは、それぞれの対照群に対する30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSM用量群のいずれと比べても不全麻痺の発病を有意に遅延させた(
図4B)。
【0096】
各コホートの生存も、研究の全体を通じて追跡した。不全麻痺研究と同様に、6mg/kg CuPTSM、30mg/kg CuATSM又は100mg/kg CuATSMを投与したマウスは、対照の対応群に対して生存の増大を実証した(
図5A)。実験群を互いに比較した場合、CuPTSMで処置したコホートは、いずれの用量のCuATSMで処置した群に対しても生存を著しく改善した(
図5B)。
【0097】
CuATSMよりはるかに低用量で投与したCuPTSMの効果を比較するために、マウスに6mg/kg CuATSMを投与し、生存及び不全麻痺の発病を従来通り測定した。対照マウスと比較した場合、6mg/kg CuATSMを受けたマウス集団は、生存においていかなる有意差も呈さなかった(
図6A)。同様に、対照と比較して不全麻痺の発病においていかなる有意な改善も、6mg/kg CuATSMの投与で見られなかった(
図6B)。
【0098】
複合筋活動電位(CMAP)を、CuPTSM、CuATSM又は媒体を与えたマウスにおいて測定した。CMAPは、運動性軸索の機能的完全性を評価する電気生理学的技術である。座骨神経を、小電流を検証する移植した微小電極を使用して刺激し、応答を、移植した記録用電極を使用して神経支配されている前脛骨(TA)筋において測定する。CMAPシグナルは、ALS患者におけるような神経筋疾患の症例において低下し、運動単位喪失のため、SOD1G93Aマウスモデルにおいて再現されることは公知である。雄SOD1G93Aマウスにおいて、CMAPの変化は、生後50日目に早くも起こる場合があり、その後常に更に悪化することが示されてきた。本研究において、マウスを、2、6若しくは12mg/kg CuPTSM;10若しくは30mg/kg CuATSM;又は媒体(対照)で1日1回14日間処置した。合計9匹の雄マウスを、各状態について試験した。
【0099】
薬物投与し、マウスをコホートに割当てる前に、CMAPを各マウスについて記録してベースライン測定を確定した。次いでマウスを各処置コホートに無作為化し、経口胃管栄養法によってコホートのそれぞれの化合物及び投薬量を毎日、2週間投与した。CMAPデータを、2週間の最後に記録し、ベースライン測定と比較してベースラインのパーセントを算出し、それにより媒体のみと比較してCuPTSM及びCuATSMの有効性を例示した。CuPTSMを投与した雄マウスは、媒体だけで処置したマウスに比べて全ての用量でベースラインからの有意に大きな変化を実証した(
図7A)。10mg/kg又は30mg/kg CuATSMで処置したマウスのコホートは、媒体で処置したマウスに比べてCMAP測定においていかなる有意差も呈さなかった(
図7B)。
【0100】
データを考慮すると、CuPTSMは、薬物動態によって測定されるように著しく少ない薬物曝露にもかかわらず、不全麻痺の遅延、生存の改善、及び運動性軸索の機能的完全性の保護においてCuATSMより驚くほど有効であった。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuPTSMを含む、それを必要とする対象における神経変性疾患の処置に使用するための
医薬組成物。
【請求項2】
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭部痴呆(FTD)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及びアルツハイマー病である、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
前記神経変性疾患がALSである、請求項1又は2に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
前記ALSが、家族性又は散発性である、請求項3に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
それを必要とする前記対象が、処置未経験である、請求項1から4のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
それを必要とする前記対象が、ALSに対する前処置を受けている、請求項1から4のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
CuPTSM
が治療上有効な用量
である0.01mg/kg/日~12mg/kg/日で
投与される、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
それを必要とする前記対象がヒトであり、前記ヒトがALSと関連する遺伝的突然変異を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
ALSと関連する前記遺伝的突然変異が、SOD1遺伝子に突然変異を含む、請求項8に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
前記CuPTSMが、追加のALS処置療法と組み合わせて前記対象に投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
前記CuPTSMが、前記対象において血漿Cmax約50~640ng/mLを達成する用量で投与される、請求項10に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される賦形剤を
さらに含む
、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容される賦形剤が、セルロース及び界面活性剤を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記セルロースがメチルセルロースである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ポリソルベートがTWEENである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記TWEENがTWEEN-80である、請求項16に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】