(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】固体形態レルゴリクス(Relugolix)
(51)【国際特許分類】
C07D 495/04 20060101AFI20220921BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220921BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C07D495/04 105Z
C07D495/04 CSP
A61P15/00
A61P35/00
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505338
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020044553
(87)【国際公開番号】W WO2021026011
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】パスカリデス、ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC02
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF05
4C071GG02
4C071GG05
4C071HH08
4C071JJ01
4C071JJ05
4C071KK22
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB26
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA20
4C086ZA81
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、レルゴリクスの固体状態DMF溶媒和物、並びに無水レルゴリクスの形態A及び形態Cとして指定されるレルゴリクスの固体無水形態に関する。本発明は更に、レルゴリクスの固体状態DMF溶媒和物、並びに無水レルゴリクスの形態A、形態B、及び形態Cのそれぞれの調製プロセスに関する。本発明はまた、レルゴリクスのDMF溶媒和物、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cを含む医薬組成物、及びレルゴリクスのDMF溶媒和物、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cを使用して疾患を治療するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レルゴリクスのDMF溶媒和物。
【請求項2】
レルゴリクスの前記DMF溶媒和物の形態Aである、請求項1に記載のDMF溶媒和物。
【請求項3】
約20.1、24.3、及び9.0°2θ±0.2°2θから選択される少なくとも2つ以上のX線粉末回折ピークを有することを特徴とする、請求項2に記載のDMF溶媒和物。
【請求項4】
示差走査熱量計法によって測定した際に、約99℃±3℃での吸熱事象の開始を特徴とする、請求項2に記載のDMF溶媒和物。
【請求項5】
示差走査熱量計法によって測定した際に、約149℃±3℃での吸熱事象を特徴とする、請求項2に記載のDMF溶媒和物。
【請求項6】
請求項2に記載の前記DMF溶媒和物の調製のためのプロセスであって、
a) DMF中のレルゴリクスの溶液を抗溶媒と混合することと、
b) 工程a)の前記混合物を撹拌して、沈殿物としてレルゴリクスの前記DMF溶媒和物の形態Aを得ることと、を含む、プロセス。
【請求項7】
DMF中のレルゴリクスの前記溶液におけるレルゴリクスとDMFとの比が、約1:5の重量(g
レルゴリクス)対体積(mL
DMF)である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記抗溶媒が、tert-ブチルメチルエーテル又はトルエンである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
DMF中のレルゴリクスの前記溶液におけるレルゴリクスと抗溶媒との比が、重量(g
レルゴリクス)対体積(mL
抗溶媒)で約1:10~約1:13である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記撹拌が、約15~18時間行われる、請求項6に記載のプロセス。
【請求項11】
沈殿物を生成するための工程a)の前記混合物の前記撹拌が周囲温度で起こる、請求項6に記載のプロセス。
【請求項12】
単結晶パラメータ
a=11.1ű1.5%
b=12.0ű1.5%
c=14.0ű1.5%
α=112°±3°
β=110°±3°
γ=91°±3°を有する、請求項2に記載のDMF溶媒和物。
【請求項13】
約1609Å
3±3%の細胞体積を有する、請求項2に記載のDMF溶媒和物。
【請求項14】
無水レルゴリクスの形態A。
【請求項15】
約10.7、20.9、及び19.2°2θ±0.2°2θから選択されるX線粉末回折ピークを有することを特徴とする、請求項14に記載の無水レルゴリクスの形態A。
【請求項16】
示差走査熱量計法によって測定した際に、約158℃±3℃での吸熱事象の開始を特徴とする、請求項14に記載の無水レルゴリクスの形態A。
【請求項17】
示差走査熱量計法によって測定した際に、約183℃±3℃での吸熱事象を特徴とする、請求項14に記載の無水レルゴリクスの形態A。
【請求項18】
請求項14に記載の無水レルゴリクスの形態Aの調製のためのプロセスであって、
a) 前記レルゴリクスが約10体積のアセトン中にある(重量(g
レルゴリクス):体積(mL
アセトン))、アセトン中のレルゴリクスの溶液を形成することと、
b) アセトン中のレルゴリクスの前記溶液を撹拌して、沈殿物として無水レルゴリクスの形態Aを得ることと、を含む、プロセス。
【請求項19】
約5.7°2θ±0.2°2θでX線粉末回折ピークを有することを特徴とする、無水レルゴリクスの形態Bの調製のためのプロセスであって、
a) 前記レルゴリクスが約20体積のDCM中にある(重量(g
レルゴリクス):体積(mL
DCM))、DCM中のレルゴリクスの溶液を形成することと、
b) 前記DCMを蒸発させて、無水レルゴリクスの形態Bを得ることと、を含む、プロセス。
【請求項20】
約5.7°2θ±0.2°2θでX線粉末回折ピークを有することを特徴とする、無水レルゴリクスの形態Bの調製のためのプロセスであって、
a)前記レルゴリクスが少なくとも約20体積のDCM中にある(重量(g
レルゴリクス):体積(mL
DCM)DCM中のレルゴリクスの溶液を、抗溶媒とDCMとの比が約1:1(体積
抗溶媒:体積
DCM)である抗溶媒と混合することと、
b)工程a)の前記混合物を一定時間撹拌して、沈殿物として無水レルゴリクスの形態Bを得ることと、を含む、プロセス。
【請求項21】
前記抗溶媒が、クメン、シクロヘキサン、TBME、ヘプタン、又はトルエンである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
無水レルゴリクスの形態C。
【請求項23】
約8.3、6.8、7.7、及び19.9°2θ±0.2°2θから選択されるX線粉末回折ピークを有することを特徴とする、請求項22に記載の無水レルゴリクスの形態C。
【請求項24】
示差走査熱量計法によって測定した際に、約140℃±3℃での吸熱事象の開始を特徴とする、請求項22に記載の無水レルゴリクスの形態C。
【請求項25】
示差走査熱量計法によって測定した際に、約175℃±3℃での吸熱事象を特徴とする、請求項22に記載の無水レルゴリクスの形態C。
【請求項26】
請求項22に記載の無水レルゴリクスの形態Cの調製のためのプロセスであって、
a)約10体積の有機溶媒を無水レルゴリクスの形態Bに添加(重量(g
レルゴリクス):体積(mL
有機溶媒))することと、
b)有機溶媒と無水レルゴリクスの形態Bとの前記混合物を約16~24時間撹拌して、無水レルゴリクスの形態Cのスラリーを得ることと、を含む、プロセス。
【請求項27】
前記有機溶媒が、酢酸イソプロピル又は2-ブタノールである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
請求項1に記載のレルゴリクスの前記DMF溶媒和物から選択される薬学的に有効量の化合物、請求項14に記載の無水レルゴリクスの形態A、及び請求項22に記載の無水レルゴリクスの形態C、並びに薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項29】
請求項28に記載の前記医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、患者の疾患を治療する方法。
【請求項30】
前記疾患が、子宮筋腫症、子宮内膜症、又は前立腺癌である、請求項29に記載の疾患を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体状態DMF溶媒和物及び無水形態のレルゴリクス、並びにそれらの調製方法に関する。本開示はまた、レルゴリクスの新規形態を含む医薬組成物に関し、またその形態を使用して疾患を治療するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
1-[4-[1-[(2,6-ジフルオロフェニル)-メチル]-5-[(ジメチルアミノ)メチル]-3-(6-メトキシピリダジン-3-イル)-2,4-ジオキソチエノ-[2,3-d]ピリミジン-6-イル]フェニル]-3-メトキシ尿素といった化学名を有するレルゴリクスは、経口活性非ペプチドゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)-受容体拮抗剤である。レルゴリクスは、以下の構造を有する:
【0003】
【0004】
レルゴリクスは、子宮筋腫症に関連する症状の治療薬として、日本で承認されている。研究は、子宮内膜症関連疼痛及び前立腺癌の治療薬としてのレルゴリクスの有効性を評価するために実施されている。
【0005】
米国特許第10,464,945号は、レルゴリクスのテトラヒドロフラン溶媒和物の結晶形、並びに約8.932°、16.607°、及び17.328°で2シータ(2θ)のピークを有するX線粉末回折パターンを示す別の結晶形を開示している。その他のXRPDピークには、約7.384°、9.933°、12.076°、22.202°、22.761°、及び27.422°2θが含まれる。
【0006】
国際公開第2019/178304号は、いくつかの形態のレルゴリクスを開示している。具体的には、形態Fは、同形多型として記載される、すなわち、無水物、水和物、好ましくは半水和物、又は溶媒和物のいずれかであってもよい。これは、6.9、7.5、9.5、13.9、及び18.1°の2θ±0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。形態Gは、5.4、8.4、10.7、及び12.1°の2θ±0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。多型純性形態Gは、3.4、5.6、9.6、13.3、及び17.4°の2θ±0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。形態Hは、6.2、8.6、15.9、19.0、及び19.6°の2θ±0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。形態Jは、半アセトニトリル溶媒和物、半水和物として記載される。国際公開第2019/178304号はまた、非晶質形態のレルゴリクスを開示している。
【0007】
レルゴリクスのDMF溶媒和物、より具体的には、約20.1、24.3及び9.0°2θから選択される少なくとも2つ以上のX線粉末回折ピークを有するレルゴリクスのDMF溶媒和物、又は約10.7、20.9及び19.2°2θ、若しくは約8.3、6.8、7.7、及び19.9°2θのいずれかから選択されるX線粉末回折ピークを有するレルゴリクスの無水結晶形の開示は、存在しない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aとして指定されるレルゴリクスの固体状態DMF溶媒和物、並びに無水レルゴリクスの形態A及び形態Cとして指定されるレルゴリクスの固体無水形態に関する。本発明は更に、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、並びに無水レルゴリクスの形態A、形態B、及び形態Cのそれぞれの調製プロセスに関する。本発明はまた、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cのいずれかを含む医薬組成物、及びレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cのいずれかを使用して疾患を治療するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの単結晶(底部)及びレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの実際のXRPDパターン(上部)からの計算されたXRPDパターンのオーバーレイを提供する。
【
図2】SCXRDから識別されるレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの三次元構造を提供する。
【
図3】レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの代表的なDSCプロットを提供する。
【
図4】レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの代表的なTGAプロットを提供する。
【
図5】レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの代表的なDVSプロットを提供する。
【
図6】レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの代表的な
1H-NMRプロットを提供する。
【
図7】無水レルゴリクスの形態Aの代表的なXRPDパターンを提供する。
【
図8】無水レルゴリクスの形態Aの代表的なDSCプロットを提供する。
【
図9】無水レルゴリクスの形態Aの代表的なTGAプロットを提供する。
【
図10】無水レルゴリクスの形態Aの代表的なDVSプロットを提供する。
【
図11】無水レルゴリクスの形態Aの代表的な
1H-NMRプロットを提供する。
【
図12】無水レルゴリクスの形態Bの代表的なXRPDパターンを提供する。
【
図13】無水レルゴリクスの形態Bの代表的なDSCプロットを提供する。
【
図14】無水レルゴリクスの形態Bの代表的なTGAプロットを提供する。
【
図15】無水レルゴリクスの形態Bの代表的なDVSプロットを提供する。
【
図16】無水レルゴリクスの形態Bの代表的な
1H-NMRプロットを提供する。
【
図17】無水レルゴリクスの形態Cの代表的なXRPDパターンを提供する。
【
図18】無水レルゴリクスの形態Cの代表的なDSCプロットを提供する。
【
図19】無水レルゴリクスの形態Cの代表的なTGAプロットを提供する。
【
図20】無水レルゴリクスの形態Cの代表的なDVSプロットを提供する。
【
図21】無水レルゴリクスの形態Cの代表的な
1H-NMRプロットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aとして指定されるレルゴリクスの固体状態DMF溶媒和物、並びに無水レルゴリクスの形態A及び形態Cとして指定されるレルゴリクスの無水形態;レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cのいずれかを含む医薬組成物;レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A並びに無水レルゴリクスの形態A、形態B、及び形態Cのそれぞれの調製プロセス;並びに子宮筋腫症、子宮内膜症、又は前立腺癌を有する患者を治療するための、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cのいずれかの使用に関する。
【0011】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、用語「固体形態」は、結晶性又は多型形態、非晶質相、及び溶媒和物を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、用語「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、例えば、特定の温度又は温度範囲、例えば、溶融、脱水、脱溶媒和又はガラス転移事象を含むDSC又はTGA熱事象を説明する特定の温度又は温度範囲;例えば、温度又は湿度の関数としての質量変化などの質量変化;例えば、質量又は百分率の観点からの溶媒又は水分の含有量;又は、例えば、IR分光法若しくはラマン分光法若しくはXRPDによる分析などにおけるピーク位置;などの、特定の固体形態を特徴付けるために提供される数値又は値の範囲に関連して使用される場合に、その値又は値の範囲が、特定の固体形態を依然として説明しながら当業者に合理的であると見なされる程度まで逸脱し得ることを示している。
【0013】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、用語「医薬組成物」は、薬学的に有効量のレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cのいずれか、及び薬学的に許容される賦形剤を包含することを意図している。本明細書で使用される場合、用語「医薬組成物」は、錠剤、丸剤、粉剤、液剤、懸濁液、エマルション、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、又は注射製剤などの医薬組成物を含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、本明細書で使用される用語「結晶性」及び関連用語は、化合物、物質、改質物、材料、構成成分又は生成物を記載するために使用される場合、特に指定されない限り、化合物、物質、改質物、材料、構成成分又は生成物がX線回折によって決定されるように実質的に結晶性であることを意味する。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Lippincott,Williams and Wilkins,Baltimore,Md.(2005);米国薬局方(The United States Pharmacopeia),23rd ed,1843-1844(1995)を参照されたい。
【0015】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、用語「賦形剤」とは、薬学的に許容される有機又は無機担体物質を意味する。賦形剤は、有効な活性成分を含有する製剤を増量する目的で含まれる(したがって、しばしば「増量剤」、「充填剤」又は「希釈剤」と呼ばれる)、又は薬物吸収若しくは溶解性を促進するなど、最終剤形中の活性成分に対して治療的強化を付与するために含まれる、薬剤の活性成分と共に配合された天然又は合成物質であってもよい。賦形剤はまた、予想される貯蔵寿命にわたる変性の防止などのインビトロ安定性の補助に加えて、粉末流動性又は非付着特性を促進することなどによって、活性物質の取り扱いを補助するために、製造方法において有用であり得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、用語「患者」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。好ましくは、患者は、治療及び/又は予防される疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験及び/又は呈している。更に、患者は、治療及び/又は予防される障害、疾患又は病状のいずれの症状も呈していない場合があるが、医師、臨床医、又はその他の医療専門家により、当該障害、疾患、又は病状を発症するリスクがあると見なされている。
【0017】
本明細書で使用される場合、本明細書における用語「多型」、「多型形態」又は関連する用語は、分子、塩のイオン、又は結晶格子内の溶媒の添加及び処理の異なる配置又は立体配座の結果として、2つ以上の形態で存在し得るAPI(活性医薬成分)遊離塩基又はその塩の結晶形態を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、多型又は多型形態に関する用語「実質的に」又は「実質的に含まない/純性」とは、その形態が、約30重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約1重量%未満の不純物を含有することを意味する。不純物には、例えば、溶媒和された結晶性多型形態におけるもの以外のその他の多型形態、水及び溶媒が含まれる場合がある。
【0019】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」とは、疾患若しくは障害の根絶若しくは寛解、又は疾患若しくは障害に関連する1つ以上の症状の根絶又は寛解を意味する。ある特定の実施形態では、これらの用語は、このような疾患若しくは障害を有する患者に1つ以上の治療剤を投与することに起因して、疾患若しくは障害の蔓延又は悪化を最小限に抑えることを意味する。いくつかの実施形態では、これらの用語は、特定の疾患の症状の発症後に、その他の追加の活性剤の有無にかかわらず、本明細書で提供される化合物を投与することを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、特に指定されない限り、略語「DMF」とは、ジメチルホルムアミドを意味し、略語「TBME」とは、tert-ブチルメチルエーテルを意味し、略語「DCM」とは、ジクロロメタンを意味し、略語「IPAc」とは、酢酸イソプロピルを意味する。
【0021】
本開示の目的は、実質的に純性、安定、及びスケーラブルである、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、及び無水レルゴリクスの形態A及び形態Cとして指定される、レルゴリクスの固体無水形態に関する。本開示の目的はまた、単離されて取り扱われることが可能な、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、及び無水レルゴリクスの形態A及び形態Cとして指定される、レルゴリクスの固体無水形態を提供することである。本開示の更なる目的は、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、並びに無水レルゴリクスの形態A、形態B、及び形態Cのそれぞれの調製プロセスを提供することである。本開示の更なる別の目的は、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、並びに無水レルゴリクスの形態A及び形態Cの使用方法を提供して、レルゴリクスの薬学的投薬形態を調製することである。
【0022】
結晶形態及び非晶質形態を特徴付けるための技術としては、示差走査熱量計法(DSC)、熱重量分析法(TGA)、動的蒸気収着法(DVS)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶X線回折法(SCXRD)、プロトン核磁気共鳴法(1H-NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR分光法)、及び光学顕微鏡法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
TA Instruments TGA Q500を使用してTGAデータを収集する。ピンで穴あけされ封止された密封アロジン処理済みアルミニウムDSCパン内に、試料(約2~5mg)を置き、アルミニウムパンで予め風袋処理し、約60mL/分で窒素パージを使用して約10℃/分の速度で約30~約300℃で走査した。
【0024】
X線粉末回折パターンは、Cu Kα放射線源(λ=1.54°A)、9位置試料ホルダー及びLYNXEYE超高速検出器を備えたBruker D8 Advanceを使用して取得される。試料は、分析のために、ドーム付きのバックグラウンドがゼロである、空気に敏感なケイ素プレートホルダーに配置する。当業者は、°2θ値及び相対強度値が、測定データに対してピーク検索を実行することによって生成され、d間隔値が、ブラッグの方程式を使用して、°2θ値から計器によって計算され得ることを認識するであろう。当業者は、測定されたピークに関する相対強度が、例えば、使用される試料調製、配向、及び計器の結果として変化する場合があることを、更に認識するであろう。
【0025】
SCXRDのX線強度データは、100 Kの温度でグラファイトモノクロメータMo-Kα放射線(λ=0.71073Å)を用いる、Bruker D8QUEST [1] CMOSエリア検出器で収集される。
【0026】
DVS試料を、TA Instruments Q5000SA重量測定水吸収分析器を使用して分析する。相対湿度は約0~95%で調整され、試料の重量は、相対湿度及び時間に関して連続的に監視及び記録される。
【0027】
TA Instruments Q10 DSCを使用してDSCデータを収集する。約2~8mgの試料を、封止されているが覆われた密封アロジン処理済みアルミニウム試料パン内に置き、約50mL/分の窒素パージ下で約10℃/分の速度で約30~約300℃で走査した。更に、DSCは、オートサンプラとRSC40とを備えたTA Instruments Q2000上で行われる。計器は、T4P(又はT4)モード中のTゼロ密封封止アルミニウムパンを使用して、約25℃~約300℃の約10℃/分のランプ速度でプログラムされる。
【0028】
約0.05%(v/v)のテトラメチルシラン(TMS)を含む重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化クロロホルム中に化合物を溶解することによって、1H NMR試料を調製する。スペクトルは、TopSpinソフトウェアを備えたBruker Avance 600 MHz NMRで周囲温度にて収集される。走査数は、1H-NMRでは298Kで16である。
【0029】
一実施形態では、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aは、
a) DMF中のレルゴリクスの溶液を抗溶媒と混合することと、
b) 工程a)の混合物を撹拌して、沈殿物としてレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aを得ることと、によって、調製される。
【0030】
一実施形態では、DMF中のレルゴリクスの溶液におけるレルゴリクスとDMFとの比は、約1:5の重量(gレルゴリクス)対体積(mLDMF)である。特定の実施形態では、抗溶媒はTBMEである。別の実施形態では、抗溶媒はトルエンである。例えば、限定されるものではないが、ヘプタン、キシレン、又はクメンなどのその他の抗溶媒が、それらの抗溶媒特性に応じて使用され得ることが、当業者には明らかであろう。一実施形態では、約10~13体積の抗溶媒を、DMF中のレルゴリクスの溶液と混合する(重量(gレルゴリクス)対体積((mL抗溶媒)。一実施形態では、抗溶媒は、DMF中のレルゴリクスの溶液に添加される。特定の実施形態では、沈殿は周囲温度で生じる。別の実施形態は、DMF中のレルゴリクスの溶液の混合物の温度を、核生成温度へと約30分間~1時間で下げて、沈殿物を生成することを更に含む。核生成温度は、当業者によって容易に決定される。温度を、核生成温度から約2~5℃/分で、約5℃までゆっくりと下げる。別の実施形態は、レルゴリクスのより大きな粒子が生成される。一実施形態では、撹拌は約15~18時間行われる。その他の実施形態では、撹拌はより短い期間行われる。別の実施形態は、沈殿物を単離することを更に含む。別の実施形態は、追加の抗溶媒を使用して、沈殿物の単離を促進することを更に含む。別の実施形態は、追加の抗溶媒を使用して沈殿物を洗浄することを更に含む。一実施形態では、単離は、真空濾過によって生じる。一実施形態は、沈殿物を乾燥させることを更に含む。一実施形態では、乾燥は、約45℃で真空下にある。一実施形態では、乾燥は、少なくとも約8時間~一晩(約16~24時間)行われる。別の実施形態は、DMF中にレルゴリクスを溶解することによってDMF中のレルゴリクスの溶液を調製することを更に含む。一実施形態では、レルゴリクスは、周囲温度でDMFに溶解される。別の実施形態では、溶解を促進するために熱が適用される。別の実施形態は、レルゴリクスとDMFとを組み合わせることによってDMF中のレルゴリクスの溶液を調製することを更に含むが、レルゴリクスは、例えば、脱保護によって、溶液中の化学反応によって形成される。DMF中のレルゴリクスの溶液中のその固体形態に関係なく、任意のレルゴリクスが使用されてもよいことが、当業者には明らかであろう。レルゴリクスの純度に応じて、DMF中のレルゴリクスの溶液を調製する前に、水抽出によってレルゴリクスから不必要ないくらか若しくは全ての塩を除去する、あるいはいくらか若しくは全てのその他の不純物を除去することが必要である、又は望ましい場合がある。
【0031】
別の実施形態では、無水レルゴリクスの形態Aは、
a) レルゴリクスが約10体積のアセトン中にある(重量(gレルゴリクス):体積(mLアセトン))、アセトン中のレルゴリクスの溶液を形成することと、
b) アセトン中のレルゴリクスの溶液を撹拌して、沈殿物として無水レルゴリクスの形態Aを得ることと、によって、調製される。
【0032】
一実施形態では、撹拌は約5~10分間行われる。実施形態は、アセトン中のレルゴリクスの溶液を形成することが、アセトン中にレルゴリクスを溶解することによるものである。別の実施形態では、アセトン中のレルゴリクスの溶液を形成することは、レルゴリクスとアセトンとを組み合わせることによるものであり、レルゴリクスは、例えば、脱保護によって、溶液中の化学反応によって形成される。その固体形態に関係なく、アセトン中のレルゴリクスの溶液を形成するために任意のレルゴリクスを使用してもよく、またアセトン中のレルゴリクスの溶液を形成する前に、水抽出によっていくらかの若しくは全ての塩を除去することが望ましい場合がある、又はいくらかの若しくは全てのその他の不純物を除去することが望ましい場合があることが、当業者には重ねて明らかであろう。別の実施形態は、沈殿物を単離することを更に含む。
【0033】
別の実施形態では、無水レルゴリクスの形態Bは、
a) レルゴリクスが約20体積のDCM中にある(重量(gレルゴリクス):体積(mLDCM))、DCM中のレルゴリクスの溶液を形成することと、
b) DCMを蒸発させて、無水レルゴリクスの形態Bを得ることと、によって、調製される。
【0034】
一実施形態は、DCM中にレルゴリクスを溶解することによってDCM中のレルゴリクスの溶液を調製することを更に含む。別の実施形態は、レルゴリクスとDCMとを組み合わせることによってDCM中のレルゴリクスの溶液を調製することを更に含むが、レルゴリクスは、例えば、脱保護など、溶液中の化学反応によって形成される。別の実施形態では、DCMを蒸発させることは、約35℃及び高真空ポンプ下で、少なくとも約3時間、ロータリーエバポレータで実行される。DCM中のレルゴリクスの溶液中のその固体形態に関係なく、任意のレルゴリクスが使用されてもよいことが、当業者には明らかであろう。レルゴリクスの純度に応じて、DCM中のレルゴリクスの溶液を調製する前に、水抽出によってレルゴリクスから不必要ないくらか若しくは全ての塩を除去する、あるいはいくらか若しくは全てのその他の不純物を除去することが必要である、又は望ましい場合がある。
【0035】
別の実施形態では、無水レルゴリクスの形態Bは、
a) レルゴリクスが少なくとも約20体積のDCM中にある(重量(gレルゴリクス):体積(mLDCM)DCM中のレルゴリクスの溶液を、抗溶媒の抗溶媒とDCMとの比が約1:1(体積抗溶媒:体積DCM)である抗溶媒と混合することと、
b) 工程a)の混合物を一定時間撹拌して、無水レルゴリクスの形態Bを沈殿物として得ることと、によって、調製される。
【0036】
一実施形態は、DCM中にレルゴリクスを溶解することによってDCM中のレルゴリクスの溶液を調製することを更に含む。別の実施形態は、レルゴリクスとDCMとを組み合わせることによってDCM中のレルゴリクスの溶液を調製することを更に含むが、レルゴリクスは、例えば、脱保護によって、溶液中の化学反応によって形成される。一実施形態では、撹拌は一晩(約16~24時間)行われる。一実施形態は、抗溶媒と混合する前に、DCM中のレルゴリクスの溶液を特定の体積に濃縮することを更に含む。種々の実施形態では、抗溶媒は、クメン、シクロヘキサン、TBME、ヘプタン、又はトルエンである。DCM中のレルゴリクスの溶液中のその固体形態に関係なく、任意のレルゴリクスが使用されてもよいことが、当業者には明らかであろう。レルゴリクスの純度に応じて、DCM中のレルゴリクスの溶液を調製する前に、水抽出によってレルゴリクスから不必要ないくらか若しくは全ての塩を除去する、あるいはいくらか若しくは全てのその他の不純物を除去することが必要である、又は望ましい場合がある。別の実施形態は、沈殿物を単離することを更に含む。
【0037】
別の実施形態では、無水レルゴリクスの形態Cは、
a) 約10体積の有機溶媒を無水レルゴリクスの形態Bに添加(重量(gレルゴリクス):体積(mL有機溶媒))することと、
b) 有機溶媒と無水レルゴリクスの形態Bとの混合物を一晩(約16~24時間)撹拌して、無水レルゴリクスの形態Cのスラリーを得ることと、によって、調製される。
【0038】
一実施形態では、有機溶媒は、酢酸イソプロピル又は2-ブタノールである。一実施形態は、約35~40℃の真空オーブン内で、無水レルゴリクスの形態Cを一晩(約16~24時間)乾燥させることを更に含む。別の実施形態は、例えば、デカント又は濾過によって、無水レルゴリクスの形態Cをスラリーから単離することを更に含む。
【0039】
本開示はまた、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態C、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を包含する。レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cを含有する医薬組成物は、米国特許第10,350,170号、米国特許出願公開第2011/0172249号、又は当該技術分野において周知のその他の方法に従って、調製されてもよい。
【0040】
本開示は、それを必要とする患者に、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、又は無水レルゴリクスの形態A若しくは形態Cを含む医薬組成物を投与することによって、疾患を治療する方法を提供する。レルゴリクスは、日本における子宮筋腫症の治療のために承認されており、子宮内膜症及び前立腺癌の治療にも使用され得る。それは、1つ以上の薬学的に許容される薬剤、例えば、低用量エストラジオール及び酢酸ノルエチンドロンと組み合わせて使用されてもよい。
【0041】
医薬組成物の用量は、広範囲にわたって変更されてもよい。投与される最適用量及び投与レジメンは、当業者によって容易に決定されてもよく、投与様式、調剤の強度、及び疾患病状の進行と共に変化する。加えて、患者の性別、年齢、体重、食事、身体活動、投与回数、及び付随疾患を含む、治療される特定の患者に関連する因子により、用量及び/又はレジメンを調節する必要が生じる。
【実施例】
【0042】
本明細書による実施例1~4は、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A、並びに無水レルゴリクスの形態A、形態B、及び形態Cのそれぞれの調製の実施形態を提供する。
【0043】
実施例は、当業者が種々の実施形態を作製及び使用することを可能にするために提示される。具体的なデバイス、技術、及び用途の説明は、例としてのみ提示される。本明細書に記載された実施例に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書に記載の全般的原理は、種々の実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の実施例及び用途に適用されてもよい。したがって、種々の実施形態は、本開示の例示であり、本開示は、本明細書に記載の、示された実施例に限定されることを意図するものではない。
【0044】
実施例1
レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの調製
1.63gの無水レルゴリクスの形態Bを、DMF(7.6g、8.2mL)で溶解する。総溶液重量(溶媒+API)は9.2gである。その溶液から、同じサイズ/形態の磁気撹拌棒を備えた2つの100mLのRB(丸底)フラスコへと、同じ撹拌速度(約700RPM)で等量を移し、約4.37gのDMF/API溶液(約775mgのAPI)を、各フラスコ内に含有させる。
【0045】
10.2mLのTBME(約13体積のTBME(mL)対API(g)の重量)を1つのフラスコに添加して、10.2mLのトルエン(約13体積のトルエン(mL)対API(g)の重量)を、第2のフラスコに添加する。各フラスコの内容物を撹拌する。沈殿の様子は、TBMEフラスコ中の撹拌の最初の10分以内に示される。沈殿の様子は、トルエンフラスコ中で翌日に示される。
【0046】
各フラスコの内容物を、紙フィルタを備えたブフナー漏斗を使用して、別々に真空濾過する。追加のTBME(2×4mL)を使用して、TBMEフラスコ中の全ての材料をフィルタ上に移す。分離された材料を、約45℃で約8時間、真空下で乾燥させる。770mgのレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A(89.5%単離収率)が黄色の固体として得られるが、これは1:1のAPI対DMF溶媒比を有する。
【0047】
トルエンフラスコからフィルタ上に材料を移すためには、追加のトルエンは必要ない。分離された材料を、約45℃で約8時間、真空下で乾燥させる。694mgのレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A(80.3%単離収率)が黄色の固体として得られるが、これは1:1のAPI対DMF溶媒比を有する。
【0048】
レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aは安定である、すなわち、約70℃にて真空下での長期乾燥(例えば、約2日間)後にも変化しない。これはまた、約97%の湿度下で、周囲温度で1ヶ月間にわたって変化しないままである。
【0049】
レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aのピークについての、XRPD 2θパターンピーク及び相対的な%強度値を、表Iに示す。
【0050】
【0051】
角度測定値は、±0.2°2θである。レルゴリクスのDMF溶媒和物の固体形態Aの決定的な主要ピークとしては、20.1、24.3、及び9.0°2θのうちの2つ以上が挙げられる。
【0052】
SCXRDによって決定されるように、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの単結晶パラメータは、次のとおりである。
結晶系:三斜晶空間群 P1
a=11.1ű1.5%
b=12.0ű1.5%
c=14.0ű1.5%
α=112°±3°
β=110°±3°
γ=91°±3°
細胞体積:1609Å3±3%
【0053】
レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの代表的な試料のXPRDパターン(上部)、及びレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの単結晶からの計算されたXRPDパターン(下部)を、
図1に示す。
【0054】
SCXRDから識別されたレルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの三次元構造を、
図2に示す。
【0055】
レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態AのDSC分析は、
図3に示されるように、約99℃での吸熱事象の開始及び約149℃での急激な吸熱事象を示し、TGA分析は、
図4に示されるように、約155℃まで、約6.7重量%の損失を示す。
【0056】
レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態Aの代表的なDVSプロットは、
図5に示されるように、約90%のRHで約1%の質量の損失を示す。
【0057】
1H NMR分析は、
図6に示されるように、レルゴリクスのDMF溶媒和物の形態A中のDMFの存在を示す。
【0058】
実施例2
無水レルゴリクスの形態Aの調製
無水レルゴリクスの形態Bを、約10体積のアセトン中に溶解させる(重量(g
レルゴリクス):体積(mL
アセトン)。
図7に含まれるそのXRPDパターンによって証明されるように、溶液を、無水レルゴリクスの形態Aとして、約5~10分間撹拌して、再結晶化させる。
【0059】
無水レルゴリクスの形態Aのピークについての、XRPD 2θパターンピーク及び相対的な%強度値を、表2に示す。
【0060】
【0061】
角度測定値は、±0.2°2θである。無水レルゴリクスの固体形態Aの決定的な主要ピークとしては、10.7、20.9、及び19.2°2θのうちの1つ以上が挙げられる。一実施形態では、無水レルゴリクスの固体形態Aの決定的な主要ピークとしては、10.7、20.9、及び19.2°2θの全てが挙げられる。
【0062】
無水レルゴリクスの形態AのDSC分析は、
図8に示されるように、約183℃で吸熱事象を伴う、約158℃での吸熱事象の開始を示す。TGA分析は、
図9に示されるように、約140℃までで約2.3重量%の損失を示す。
【0063】
無水レルゴリクスの形態AのDVS分析は、
図10に示されるように、試料が約0~95%の相対湿度レベルに曝露される場合に、約2重量%の損失を示す。
【0064】
1H NMR分析は、
図11に示されるように、無水レルゴリクスの形態Aにおいて2.13ppmにて残留アセトンの存在を示す。
【0065】
DVS後のXRPD分析によって証明されるように、無水レルゴリクスの形態Aは、種々の湿度レベルで安定したままである。また、XRPDは、約30℃にて真空下で約18時間、試料を乾燥させた後、変化を示さない。
【0066】
実施例3
無水レルゴリクスの形態Bの調製
120mLのDCMを、8.2gのレルゴリクスに添加する。混合物を約5分間撹拌し、スラリーを得る。約100mLの水をスラリーに添加して、約15分間撹拌する。撹拌を停止した後、若干の固体がフラスコの底に残るが、二重層は、黄色の有機底層と、上部ではほとんどが透明~濁りを帯びた透明の水層と、を伴って見ることができる。次に、液体を分液漏斗内へとデカントする。100mLのDCMを未溶解固体に添加して撹拌し、スラリーを形成する。100mLの水をスラリーに添加して約15分間撹拌し、液体を分液漏斗内へとデカントする。25mLのDCMを、任意の未溶解固体に添加する。有機層を真空濾過して、残りの固体を除去する。可視できる水滴を除去するために、乾燥剤は使用されない。有機層中の溶媒を、35℃及び高真空ポンプ下で少なくとも3時間、ロータリーエバポレータを使用して蒸発させる。単離された黄色固体(8.0g、収率97.6%)は、無水レルゴリクスの形態Bとして特定される。無水レルゴリクスの形態Bの代表的なXRPDパターンを、
図12に示す。
【0067】
無水レルゴリクスの形態BのピークについてのXRPD 2θパターンピーク及び相対的な%強度値を、表3に示す。
【0068】
【0069】
角度測定値は、±0.2°2θである。無水レルゴリクスの固体形態Bの決定的な主要ピークとしては、5.7°2θが挙げられる。
【0070】
無水レルゴリクスの形態BのDSC分析は、
図13に示されるように、約79℃の開始温度での溶媒の損失、及び約145℃で吸熱事象を伴う、約126℃での吸熱事象の開始を示す。TGA分析は、
図14に示されるように、約105℃までで約6重量%超の損失を示す。
【0071】
無水レルゴリクスの形態BのDVS分析は、
図15に示されるように、約0~約95%の相対湿度レベルで約7%の重量損失を示す。
【0072】
無水レルゴリクスの形態Bの
1H NMR分析は、その構造を確認し、
図16に示される。
【0073】
DVS後のXRPDによって証明されるように、無水レルゴリクスの形態Bは、種々の湿度レベルで安定したままである。
【0074】
実施例4
無水レルゴリクスの形態Cの調製
約10体積のIPAcが、無水レルゴリクスの形態Bに添加される(重量(gレルゴリクス)対体積(mLIPAc))。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、スラリーを得る。スラリーをデカントして、単離された材料を約35~40℃の真空オーブン内で一晩乾燥させて、無水レルゴリクスの形態Cとして特定する。
【0075】
無水レルゴリクスの形態Cのピークについての、XRPD 2θパターンピーク及び相対的な%強度値を、表4に示す。
【0076】
【0077】
角度測定値は、±0.2°2θである。無水レルゴリクスの固体形態Cの決定的な主要ピークとしては、8.3、6.8、7.7、及び19.9°2θのうちの1つ以上が挙げられる。一実施形態では、無水レルゴリクスの固体形態Cの決定的な主要ピークとしては、8.3、6.8、7.7、及び19.9°2θの全てが挙げられる。
【0078】
無水レルゴリクスの形態Cの代表的なXRPDパターンを、
図17に示す。
【0079】
無水レルゴリクスの形態CのDSC分析は、
図18に示されるように、約175℃で吸熱事象を伴う、約140℃での吸熱事象の開始を示す。TGA分析は、
図19に示すように、約143℃までで約1%未満の重量損失を示す。
【0080】
無水レルゴリクスの形態CのDVS分析は、
図20に示されるように、材料が約0~約95%の相対湿度に曝露される場合に、約2%の吸水率及びその全ての分泌を示す。
【0081】
1H NMR分析は、
図21に示されるように、約1.6重量%に対応する2ppm(3H)での酢酸イソプロピルの存在を示す。
【0082】
DVS後のXRPD分析によって証明されるように、無水レルゴリクスの形態Cは、種々の湿度レベルで安定したままである。
【0083】
上記の実施例は、本開示の理解を助けるために記載されており、以下に続く特許請求の範囲に記載される本開示のいずれかを限定するものと意図されない、及びそのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】