(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】アパーチャメタ表面およびハイブリッド屈折メタ表面イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 3/02 20060101AFI20220921BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220921BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20220921BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220921BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G02B3/02
G02B3/00 Z
G02B13/00
G02B5/18
G02B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505416
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020043600
(87)【国際公開番号】W WO2021021671
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520069800
【氏名又は名称】メタレンズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デブリン, ロバート シー.
(72)【発明者】
【氏名】グラフ, ジョン
【テーマコード(参考)】
2H087
2H148
2H249
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA02
2H087KA12
2H087KA29
2H087LA01
2H087PA02
2H087PA03
2H087PA17
2H087PB02
2H087PB03
2H087QA02
2H087QA05
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA42
2H087RA44
2H087RA46
2H087UA01
2H148AA12
2H148AA18
2H148AA25
2H249AA04
2H249AA18
2H249AA55
2H249AA64
2H249AA66
(57)【要約】
従来の光学素子およびメタ表面素子を光源および/または検出器とともに組み込むハイブリッドイメージングシステム、ならびにそのような光学配置の製造および動作の方法を提供する。システムおよび方法は、照明源およびセンサにおける、メタ表面素子を有するアパーチャとメタ表面素子を有する屈折光学系との統合について記載する。イメージングシステムは、少なくとも1つのイメージセンサと、少なくとも1つのイメージセンサの第1の距離だけ上方に配設された、基板厚さを有する基板層と、アパーチャであって、基板の第1の表面上に配設され、かつその中に配設されたアパーチャ開口部を有する、アパーチャと、第2の表面上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステムであって、
少なくとも1つのイメージセンサと、
前記少なくとも1つのイメージセンサの第1の距離だけ上方に配設された、基板厚さを有する基板層であって、前記基板層が、光の対象波長に対して透明であるように構成されており、前記基板層が、前記少なくとも1つのイメージセンサと遠位の第1の表面と前記少なくとも1つのイメージセンサと近位の第2の表面とを有する、基板層と、
アパーチャであって、前記基板の前記第1の表面上に配設され、かつその中に配設されたアパーチャ開口部を有する、アパーチャと、
前記第2の表面上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層であって、前記アパーチャ開口部に衝突する光が前記メタ表面の少なくとも一部分を通過することによって、指定された角度偏向を課されるようになっている、単層と、を含み、
前記アパーチャと前記メタ表面との間の距離が、前記基板厚さによって決定された第2の距離だけ隔てられており、
前記アパーチャおよび前記メタ表面が、指定された視野にわたって指定された動作帯域幅の光を集め、かつ前記入射光をシフトさせて、前記少なくとも1つのイメージセンサにゼロ度またはほぼゼロ度の主光線角度で集束に至らせるように構成されている、イメージングシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのイメージセンサの上に配設されたガラスカバーをさらに含む、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項3】
前記第1の距離が、固体スペーサ材料またはエアギャップのいずれかの1つから構成された間隔層によって決定される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項4】
前記視野が、少なくとも±30度である、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項5】
前記メタ表面素子と前記少なくとも1つのイメージセンサとの間に配設された狭帯域幅光学フィルタをさらに含む、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項6】
少なくとも前記イメージングセンサおよびメタ表面が、矩形の幾何学形状を有する、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項7】
イメージングシステムであって、
少なくとも1つのイメージセンサと、
基板厚さを有する基板層であって、前記基板層が、光の対象波長に対して透明であるように構成されており、前記基板層が、前記少なくとも1つのイメージセンサと遠位の第1の表面と前記少なくとも1つのイメージセンサと近位の第2の表面とを有する、基板層と、
アパーチャであって、前記基板の上方に配設され、かつその中に配設されたアパーチャ開口部を有する、アパーチャと、
前記第1または第2の表面のいずれかの1つ上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層であって、前記アパーチャ開口部に衝突する光が前記メタ表面の少なくとも一部分を通過することによって、指定された角度偏向を課されるようになっている、単層と、を含み、
前記アパーチャと前記メタ表面との間の距離が、第1の距離だけ隔てられており、
前記アパーチャおよび前記メタ表面が、指定された視野にわたって指定された動作帯域幅の光を集め、かつ前記入射光をシフトさせて、前記少なくとも1つのイメージセンサにゼロ度またはほぼゼロ度の主光線角度で集束させるように構成されている、イメージングシステム。
【請求項8】
前記基板の前記第2の表面と前記イメージセンサとの間にエアギャップをさらに含む、請求項7に記載のイメージングシステム。
【請求項9】
前記エアギャップ内にスペーサ層が配設されている、請求項8に記載のイメージングシステム。
【請求項10】
前記メタ表面が、前記第1の表面上に配設されている、請求項8に記載のイメージングシステム。
【請求項11】
前記メタ表面と前記少なくとも1つのイメージセンサとの間の前記第2の表面上に配設された狭帯域幅光学フィルタをさらに含む、請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
前記アパーチャの少なくとも一部分が、前記第1の表面と相互接続されている、請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項13】
前記メタ表面が、前記第2の表面上に配設されている、請求項8に記載のイメージングシステム。
【請求項14】
前記イメージセンサが、前記第2の表面と接触している、請求項7に記載のイメージングシステム。
【請求項15】
前記視野が、少なくとも±30度である、請求項7に記載のイメージングシステム。
【請求項16】
少なくとも前記イメージングセンサおよびメタ表面が、矩形の幾何学形状を有する、請求項7に記載のイメージングシステム。
【請求項17】
イメージングシステムであって、
少なくとも1つのイメージセンサと、
基板厚さを有する基板層であって、前記基板層が、光の対象波長に対して透明であるように構成されており、前記基板層が、前記少なくとも1つのイメージセンサと遠位の第1の表面と前記少なくとも1つのイメージセンサと近位の第2の表面とを有する、基板層と、
前記基板の上方に配設され、かつ前記基板層の前記第1の表面上に、衝突光を集束させるように構成された、少なくとも1つの屈折レンズと、
前記第1または第2の表面のいずれかの1つ上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層であって、前記少なくとも1つの屈折レンズに衝突する光が前記メタ表面素子の少なくとも一部分を通過することによって、ある角度偏向を課されるようになっている、単層と、を含み、
前記少なくとも1つの屈折レンズと前記メタ表面との間の距離が、第1の距離だけ隔てられており、
前記屈折レンズおよび前記メタ表面が、指定された視野にわたって指定された動作帯域幅の光を集め、かつ前記入射光をシフトさせて、前記少なくとも1つのイメージセンサにゼロ度またはほぼゼロ度の主光線角度で集束させるように構成されている、イメージングシステム。
【請求項18】
前記基板の前記第2の表面と前記イメージセンサとの間にエアギャップをさらに含む、請求項17に記載の前記イメージングシステム。
【請求項19】
前記エアギャップ内にスペーサ層が配設されている、請求項18に記載のイメージングシステム。
【請求項20】
前記メタ表面が、前記第1の表面上に配設されている、請求項18に記載のイメージングシステム。
【請求項21】
前記メタ表面素子と前記少なくとも1つのイメージセンサとの間の前記第2の表面上に配設された狭帯域幅光学フィルタをさらに含む、請求項20に記載のイメージングシステム。
【請求項22】
前記屈折レンズのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、前記第1の表面と相互接続されている、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項23】
前記メタ表面が、前記第2の表面上に配設されている、請求項18に記載のイメージングシステム。
【請求項24】
前記イメージセンサが、前記第2の表面と接触している、請求項20に記載のイメージングシステム。
【請求項25】
前記視野が、少なくとも±30度である、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの屈折レンズが、平凸、凸平、両凸、両凹、平凹、または凹平からなる群から選択される、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項27】
凸凹レンズおよび凹凸レンズを含む少なくとも2つの屈折レンズを含む、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項28】
凸凹レンズ、両凸レンズ、および凹平レンズを含む少なくとも2つの屈折レンズを含む、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項29】
少なくとも前記イメージングセンサおよびメタ表面が、矩形の幾何学形状を有する、請求項17に記載のイメージングシステム。
【請求項30】
前記メタ表面と近位の前記少なくとも1つの屈折レンズが、円形の幾何学形状を有する、請求項29に記載のイメージングシステム。
【請求項31】
前記イメージセンサが、垂直vおよび水平hの寸法によって特徴付けられ、前記少なくとも1つの屈折レンズが、前記レンズのF値、N=f/Dとして定義されるNによって特徴付けられ、式中、fが、光学システムの焦点距離であり、Dが、前記レンズの直径であり、メタレンズのレンズ幅が、
w=v+f/Nによって与えられ、
メタレンズ長lが、
l=h+f/Nによって与えられる、請求項29に記載のイメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メタ表面素子の光学配置、屈折光学系を組み込む統合システム、そのようなメタ表面素子を有する光源および/または検出器、ならびにそのような光学配置および統合システムの製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
メタ表面素子は、個々の導波路素子がサブ波長間隔を有し、かつ平面プロファイルを有する回折光学系である。メタ表面素子は、UV-IRバンド(300~10,000nm)での適用のために最近開発された。伝統的な屈折光学系と比較して、メタ表面素子は、光照射場に位相シフトを急峻に導入する。これにより、伝統的な屈折面が、それらが動作するように設計された光の波長の10~100倍の(またはそれよりも大きい)厚さを有するのに対し、メタ表面素子は、それらが動作するように設計されるほぼ光の波長の厚さを有することが可能になる。加えて、メタ表面素子は、構成素子の厚さにばらつきがなく、したがって、屈折光学系に必要とされるような曲率を一切伴わずに光を成形することができる。伝統的な回折光学素子(DOE)、例えばバイナリ回折光学系と比較して、メタ表面素子は、入射光場にある範囲の位相シフトを付与する能力を有し、最低でも、メタ表面素子は、その範囲からの少なくとも5つの相違する値を有する0~2πの位相シフトを有し得るが、バイナリDOEは、2つの相違する値の位相シフトのみを付与することができ、多くの場合、0または1πのいずれかの位相シフトに限定される。多レベルDOEと比較して、メタ表面素子は、光軸に沿って構成素子の高さ変動を必要とせず、メタ表面素子フィーチャの面内の幾何学形状のみが変動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は、メタ表面素子の光学配置、そのようなメタ表面素子を有する光源および/または検出器を組み込む統合システム、ならびにそのような光学配置および統合システムの製造方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
多くの実施形態が、イメージングシステムであって、
少なくとも1つのイメージセンサと、
少なくとも1つのイメージセンサの第1の距離だけ上に配設された、基板厚さを有する基板層であって、基板層が、光の対象波長に対して透明であるように構成されており、基板層が、少なくとも1つのイメージセンサと遠位の第1の表面と少なくとも1つのイメージセンサと近位の第2の表面とを有する、基板層と、
アパーチャであって、基板の第1の表面上に配設され、かつその中に配設されたアパーチャ開口部を有する、アパーチャと、
第2の表面上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層であって、アパーチャ開口部に衝突する光がメタ表面の少なくとも一部分を通過することによって、指定された角度偏向を課されるようになっている、単層と、を含み、
アパーチャとメタ表面素子の層との間の距離が、基板厚さによって決定された第2の距離だけ隔てられており、
アパーチャおよびメタ表面素子の層が、指定された視野にわたって指定された動作帯域幅の光を集め、かつ入射光をシフトさせて、少なくとも1つのイメージセンサにゼロ度またはほぼゼロ度の主光線角度で集束に至らせるように構成されている、イメージングシステムを対象とする。
【0005】
さらに多くの実施形態では、システムは、少なくとも1つのイメージセンサの上に配設されたガラスカバーをさらに含む。
【0006】
なおも多くのものでは、第1の距離が、固体スペーサ材料またはエアギャップのいずれかの1つから構成された間隔層によって決定される。
【0007】
さらに多くの実施形態では、視野が、少なくとも±30度である。
【0008】
なおも多くの実施形態では、システムは、メタ表面素子と少なくとも1つのイメージセンサとの間に配設された狭帯域幅光学フィルタをさらに含む。
【0009】
様々な実施形態が、イメージングシステムであって、
少なくとも1つのイメージセンサと、
基板厚さを有する基板層であって、基板層が、光の対象波長に対して透明であるように構成されており、基板層が、少なくとも1つのイメージセンサと遠位の第1の表面と少なくとも1つのイメージセンサと近位の第2の表面とを有する、基板層と、
アパーチャであって、基板の上方に配設され、かつその中に配設されたアパーチャ開口部を有する、アパーチャと、
第1または第2の表面のいずれかの1つ上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層であって、アパーチャ開口部に衝突する光がメタ表面の少なくとも一部分を通過することによって、指定された角度偏向を課されるようになっている、単層と、を含み、
アパーチャとメタ表面層との間の距離が、第1の距離だけ隔てられており、
アパーチャおよびメタ表面層が、指定された視野にわたって指定された動作帯域幅の光を集め、かつ入射光をシフトさせて、少なくとも1つのイメージセンサにゼロ度またはほぼゼロ度の主光線角度で集束させるように構成されている、イメージングシステムを対象とする。
【0010】
さらに様々な実施形態では、システムは、基板の第2の表面とイメージセンサとの間にエアギャップをさらに含む。
【0011】
なおも様々な実施形態では、エアギャップ内にスペーサ層が配設されている。
【0012】
さらに様々な実施形態では、メタ表面層は、第1の表面上に配設されている。
【0013】
さらになおも様々な実施形態では、システムは、メタ表面素子と少なくとも1つのイメージセンサとの間の第2の表面上に配設された狭帯域幅光学フィルタをさらに含む。
【0014】
なおもさらに様々な実施形態では、アパーチャの少なくとも一部分は、第1の表面と相互接続されている。
【0015】
さらになおも様々な実施形態では、メタ表面層は、第2の表面上に配設されている。
【0016】
なおもさらに様々な実施形態では、イメージセンサは、第2の表面と接触している。
【0017】
さらになおも様々な実施形態では、視野は、少なくとも±30度である。
【0018】
いくつかの実施形態が、イメージングシステムであって、
少なくとも1つのイメージセンサと、
基板厚さを有する基板層であって、基板層が、光の対象波長に対して透明であるように構成されており、基板層が、少なくとも1つのイメージセンサと遠位の第1の表面と少なくとも1つのイメージセンサと近位の第2の表面とを有する、基板層と、
基板の上方に配設され、かつ基板層の第1の表面上に、衝突光を集束させるように構成された、少なくとも1つの屈折レンズと、
第1または第2の表面のいずれかの1つ上に配設されたメタ表面を含む複数の同一または固有のナノ構造素子の単層であって、少なくとも1つの屈折レンズに衝突する光がメタ表面素子の少なくとも一部分を通過することによって、ある角度偏向を課されるようになっている、単層と、を含み、
少なくとも1つの屈折レンズとメタ表面素子の層との間の距離が、第1の距離だけ隔てられており、
屈折レンズおよびメタ表面素子の層が、指定された視野にわたって指定された動作帯域幅の光を集め、かつ入射光をシフトさせて、少なくとも1つのイメージセンサにゼロ度またはほぼゼロ度の主光線角度で集束させるように構成されている、イメージングシステムを対象とする。
【0019】
さらにいくつかの実施形態では、システムは、基板の第2の表面とイメージセンサとの間にエアギャップをさらに含む。
【0020】
なおもいくつかの実施形態では、エアギャップ内にスペーサ層が配設されている。
【0021】
さらになおもいくつかの実施形態では、メタ表面層は、第1の表面上に配設されている。
【0022】
なおもさらにいくつかの実施形態では、システムは、メタ表面素子と少なくとも1つのイメージセンサとの間の第2の表面上に配設された狭帯域幅光学フィルタをさらに含む。
【0023】
さらになおもいくつかの実施形態では、屈折レンズのうちの少なくとも1つの少なくとも一部分は、第1の表面と相互接続されている。
【0024】
なおもさらにいくつかの実施形態では、メタ表面層は、第2の表面上に配設されている。
【0025】
さらになおもいくつかの実施形態では、イメージセンサは、第2の表面と接触している。
【0026】
なおもさらにいくつかの実施形態では、視野は、少なくとも±30度である。
【0027】
さらになおもいくつかの実施形態では、少なくとも1つの屈折レンズは、平凸、凸平、両凸、両凹、平凹、または凹平からなる群から選択される。
【0028】
なおもさらにいくつかの実施形態では、システムは、凸凹レンズおよび凹凸レンズを含む少なくとも2つの屈折レンズを含む。
【0029】
さらになおもいくつかの実施形態では、システムは、凸凹レンズ、両凸レンズ、および凹平レンズを含む少なくとも3つの屈折レンズを含む。
【0030】
上記の実施形態の様々なものでは、少なくともイメージングセンサおよびメタ表面は、矩形の幾何学形状を有する。
【0031】
上記の実施形態のさらに様々な実施形態では、メタ表面と近位の少なくとも1つの屈折レンズは、円形の幾何学形状を有する。
【0032】
上記の実施形態のなおも様々なものでは、イメージセンサは、垂直vおよび水平hの寸法によって特徴付けられ、少なくとも1つの屈折レンズが、レンズのF値、N=f/Dとして定義されるNによって特徴付けられ、式中、fが、光学システムの焦点距離であり、Dが、レンズの直径であり、メタレンズのレンズ幅が、=v+f/Nによって与えられ、メタレンズ長lが、l=h+f/Nによって与えられる。
【0033】
追加の実施形態および特徴は、部分的に、続く本明細書に述べられ、部分的に、本明細書の検討により当業者に明らかとなるか、または本開示の実施により習得され得る。本開示の性質および利点のさらなる理解は、本開示の一部を形成する本明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本明細書は、本発明の例示的な実施形態として提示され、かつ本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではない、以下の図を参照して、より完全に理解されよう。
【0035】
【
図1】本発明の実施形態による、イメージセンサの上方にカバーガラスを組み込むアパーチャメタ表面イメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図2】本発明の実施形態による、
図1のアパーチャメタ表面イメージングシステムのためのイメージセンサプレーンにおける主光線角度を含む光線追跡図を例示する概略図を提供する。
【
図3】本発明の実施形態による、アパーチャとメタ表面との間にエアギャップを有するアパーチャメタ表面イメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図4】本発明の実施形態による、
図3のアパーチャメタ表面イメージングシステムのためのイメージセンサプレーンにおける主光線角度を含む光線追跡図を例示する概略図を提供する。
【
図5】本発明の実施形態による、イメージセンサの上方にエアギャップを組み込むアパーチャメタ表面イメージングシステムを例示する概略図を提供し、メタ表面層は、オブジェクトプレーンに近い方にある。
【
図6】本発明の実施形態による、イメージセンサの上方にエアギャップを組み込むアパーチャメタ表面イメージングシステムを例示する概略図を提供し、メタ表面層は、イメージプレーンに近い方にある。
【
図7】本発明の実施形態による、イメージセンサの上方にエアギャップを、またアパーチャとメタ表面との間にスペーサを組み込むアパーチャメタ表面イメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図8A】本発明の実施形態による、アパーチャメタ表面イメージングシステムの相対照度対視野を示すデータグラフを提供する。
【
図8B】本発明の実施形態による、アパーチャメタ表面イメージングシステムの視野対歪みの程度を示すデータグラフを提供する。
【
図8C】本発明の実施形態による、アパーチャメタ表面イメージングシステムの40度の視野にわたる係数伝達関数を示すデータグラフを提供する。
【
図8D】本発明の実施形態による、アパーチャメタ表面イメージングシステムを使用して撮影された標準試験対象のイメージを提供する。
【
図9】本発明の実施形態による、単一屈折素子およびメタ表面ハイブリッドイメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図10A】(
図10Aおよび
図10B)本発明の実施形態による、多屈折素子およびメタ表面ハイブリッドイメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図10B】(
図10Aおよび
図10B)本発明の実施形態による、多屈折素子およびメタ表面ハイブリッドイメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図11A】本発明の実施形態による、イメージセンサウエハの概略図を提供する。
【
図11B】本発明の実施形態による、イメージセンサダイの概略図を提供する。
【
図12A】本発明の実施形態による、スペーサウエハの概略図を提供する。
【
図12B】本発明の実施形態による、スペーサの概略図を提供する。
【
図13】本発明の実施形態による、屈折素子をメタ表面素子およびスペーサとともに組み込む統合ハイブリッドイメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図14】本発明の実施形態による、屈折素子をメタ表面素子とともに組み込む統合ハイブリッドイメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図15】本発明の実施形態による、ハイブリッド屈折素子およびメタ表面イメージングシステムのための加工プロセスを例示する概略図を提供する。
【
図16】本発明の実施形態による、矩形のメタ表面レンズ素子を組み込むイメージングシステムを例示する概略図を提供する。
【
図18】(
図18A~
図18D)本発明の実施形態による、N個のアパーチャ/N個の矩形レンズ/単一のイメージセンサの光学システムを例示する概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで図面に戻り、従来の光学素子およびメタ表面素子を光源および/または検出器とともに組み込むハイブリッドイメージングシステム、ならびにそのような光学配置の製造および動作の方法を提供する。多くの実施形態は、アパーチャを照明源およびセンサ内のメタ表面素子と統合するためのシステムおよび方法を対象とする。様々な実施形態は、屈折光学系を照明源およびセンサのメタ表面素子と統合するためのシステムおよび方法を対象とする。
【0037】
多くの光学イメージングシステムの実施形態は、単一のアパーチャと、広視野にわたって収差を補正するように動作可能な単一のメタ表面層と、を組み込み得る。そのような単一のアパーチャおよびメタ表面イメージングシステムの多くの実施形態は、視野にわたって相対照度の低下がないように(例えば、軸上光線からの強度が視野の端部での強度とほぼ同一であるように)、広視野にわたってテレセントリックである(例えば、イメージセンサプレーンでの入射角がほぼ0度である)ように構成されている。
【0038】
多くの実施形態では、ハイブリッド屈折光学系およびメタ表面イメージングシステムは、独立している(すなわち、特定の照明器またはセンサとシステムに直接統合されていない)メタ表面素子を含み得る。いくつかの実施形態では、光学システムは、その両側上に配設されたメタ表面素子を有する単一の物理コンポーネントまたは基板から構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の屈折光学系を少なくとも1つのメタ表面素子と組み合わせて、より複雑なシステムを作り得る。
【0039】
ハイブリッドアパーチャまたは屈折光学系およびメタ表面イメージングシステムの実施形態では、メタ表面は、アパーチャに面するか、またはイメージングシステムに面するかのいずれかの支持基板の表面上に配設され得る。様々な実施形態では、アパーチャとメタ表面構造との間、および/またはメタ表面基板とイメージングシステムとの間に、エアギャップが配設され得る。素子間のエアギャップは、これらの素子のための支持を提供するためのスペーサ構造をさらに含んでもよい。
【0040】
多くの実施形態では、メタ表面素子は、独立していてもよく、または別の材料内に埋め込まれてもよい。様々なそのような実施形態では、埋め込み材料の選択は、屈折率および吸収特性の適切な選択を含む。多くのそのような実施形態では、埋め込み材料は、機械的安定性および保護、ならびにメタ表面が所望の光学機能を実行することを可能にする追加の設計自由度を提供し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、所望のカメラ設計、照明器設計、または最適なシステム性能に適切な光学距離を実装するために、定義された厚さの間隔層(例えば、作動距離)がCMOSイメージセンサ、LED、VCSELなど上に堆積されてもよい。様々なそのような実施形態では、間隔層材料は、有機であっても無機であってもよく、メタ表面を含む誘電体素子よりも低い屈折率を有し得る。いくつかのそのような実施形態では、間隔層の厚さは、特定の光学システムに対して適切な光学間隔を提供するように変更され得る。
【0042】
様々な実施形態はまた、ハイブリッドメタ表面イメージングシステムを加工する方法を対象とする。いくつかのそのような実施形態では、方法は、センサまたは照明器などの他のデバイスを組み込むウエハ上のメタ表面素子の製造を対象とし、それによって、いくつかの実施形態では、例えば小寸法素子の機械的組み立てまたはセンサとの光学系のアクティブアライメントなどの、高価な製造プロセスを回避する。いくつかのそのような実施形態では、メタ表面素子は、半導体製造工場での一連の動作においてセンサ(または照明器)と統合され得る。多くのそのような実施形態では、シーケンスは、(i)センサまたは照明器、(ii)任意選択のマイクロレンズアレイ/コリメータ、任意選択のフィルタ、任意選択の間隔層、任意選択のメタ表面素子、任意選択の追加の間隔層、任意選択の屈折光学系またはアパーチャ素子、任意選択の反射防止(AR)層、任意選択の保護層を含み得る。多くのそのような実施形態では、素子の配列は、(i)センサまたは照明器、(ii)任意選択のマイクロレンズアレイ/コリメータ、任意選択のフィルタ、任意選択の間隔層、任意選択のメタ表面素子、任意選択の追加の間隔層、および任意選択の屈折素子またはアパーチャを含み得る。
【0043】
アパーチャ/メタ表面イメージングシステムを実装するための実施形態
典型的には、選択された視野にわたって収差が補正される光学システムを形成するには、システムは、複数の光学表面または複数の光学素子(例えば、2つ以上)を含まなければならない。このことは、従来の屈折光学システムおよびメタ表面光学システムの両方に当てはまる。具体的には、2つ以上のメタ表面を有し、かつある視野にわたって収差が十分に低い光学システムのみが、実証されている。様々な実施形態は、システムの組み合わせにより、広視野にわたる高品質イメージング、広視野にわたるテレセントリック性(例えば、イメージセンサプレーンでの入射が0度に近い)、および相対照明の低下なし、を達成することができる、アパーチャおよび単一のメタ表面素子を統合するイメージングシステムを対象とする。
【0044】
具体的には、そのようなシステムは、CMOSカメラなどのイメージングシステム(可視光のシーンのイメージを収集するための携帯電話、コンピュータ、タブレットなどで、または生体認証のための赤外線で使用されるものなど)で使用され得る。これらのCMOSイメージングシステムは、視野(FOV)の増大、CMOSイメージセンサにおけるフィールド高さの関数としての主光線角度(CRA)の独立した制御、およびシーンをイメージングする光学歪みの最小化を必要とする。これらの用語は、当業者にとって従来の意味を有すると理解されよう。屈折レンズから構成された伝統的なイメージングシステムでは、この機能を実行するために、5つまたは6つもの多くの固有のレンズを組み合わせなければならない。同様に、従来のメタ表面では、イメージングシステムは、複数のメタ表面素子を実装し、これらのパラメータ(CRA、FOV、および歪み最小化)を適切に制御するための十分な自由度を提供する。しかしながら、様々な実施形態は、アパーチャを単一のメタ表面と組み合わせることによって、実施形態に従って、広いFOV、制御可能な歪み、および制御可能なCRAを有するイメージングシステムを実現することができることを示す。
【0045】
そのようなシステムの例示的な実施形態を、
図1~
図7に例示する。示されるように、多くのそのような実施形態では、システム(10a~10d)は、一般に、メタ表面層(14a~14d)から設定された距離(13a~13d)離れて配設されたアパーチャ構造(12a~12d)を含み、このメタ表面層自体は、イメージセンサ(16a~16d)から一定距離(15a~15d)離れて設定されている。以下により詳細に記載されるように、そのようなシステムでは、アパーチャとメタ表面層との間の距離、およびメタ表面層とイメージングシステムとの間の距離(例えば、イメージングシステムの背面焦点距離)は、エアギャップまたは光透過性材料(例えば、基板など)の形態をとり得ることが理解されよう。
【0046】
多くの実施形態の目的で、アパーチャ構造(12a~12d)は、関心の波長の光に対して不透明である第1のアパーチャ構造部分(18a~18d)と、距離(dap)にわたって関心の波長の光に対して完全に透明である第2のアパーチャ構造部分(20a~20d)と、を含む。様々な実施形態では、そのようなアパーチャ構造は、光学機能を付与せず(例えば、光線を偏向させない)に、イメージングシステムに入る光線束の横方向の拡がりを制限するか、またはイメージングシステムの入口アパーチャを多様に同等に設定する。
【0047】
多くの実施形態の目的で、メタ表面層(14a~14e)は、一般に、関心の波長で透明な任意の材料から形成され得る基板厚さ(tsub)によって画定される基板(24a~24e)上に配設された複数のナノ構造(22a~22e)を含む。ハイブリッドアパーチャ/メタ表面イメージングシステムの多くの実施形態では、メタ表面層は、入射光線を有意に偏向して集束イメージを形成する唯一の機能層である(例えば、メタ表面層は、任意の位相マスクとして動作する)。
【0048】
ナノ構造の実施形態は、一般に、メタ表面層が組み合わせで単一の光学機能を実行するように、指定された動作帯域幅内の光の波長よりも小さいフィーチャサイズを有し、かつ巨視的距離(10以上の波長の距離)だけ隔てられた複数の平面内の衝突光に位相シフトを課すように構成された、同一または固有の三次元素子(例えば、正方形、円形、三角形、楕円形など)を含む。光学システムの各個々のメタ表面は、このメタ表面が実行するいくつかの特定の2D位相および透過率関数、φ(x、y)およびt(x、y)を有するように構成され得る。一般に、各メタ表面は、位相および透過率の固有の分布を有し得るが、同じ基本構成を有して、かつ特定の波長で、同じ材料に埋め込まれた任意のメタ表面を含むナノ構造素子は、同一である。ほとんどの実用的な単波長用途では、透過率は、メタ表面全体で最大化され(1に近い)、かつ均一になるように構成され得る一方、位相は、0~2πの値をとるように構成され得る。手短には、実施形態によれば、関心のいくつかの波長、材料システム(メタ表面材料および埋め込み材料)、固定された厚さおよび素子間隔に対して、ナノ構造を含むものの面内寸法のセットは、0~2πの位相遅延が入射光場に刻み込まれ得るように構成されてもよい。したがって、固定された材料および波長条件でのメタ表面設計の異なる実装態様に対して、設計ごとの唯一の変数は、メタ表面全体にわたる好適なナノ構造素子の分布である。
【0049】
いくつかの実施形態によるメタ表面層は、独立しているように設計され、すなわち、メタ表面素子が、エアギャップのみがメタ表面素子を分離するように基板の端部から突出してもよく、プロセスは、このステップで完了する。他の実施形態では、メタ表面は、ARコーティングまたは機械的保護を有するようにさらに構成され得る。いくつかのそのような実施形態では、メタ表面を保護し、かつ改善された機能性を提供するために、メタ表面構成素子および基板面は、いくつかの材料または材料の層でコーティングされ得る。埋め込まれたメタ表面素子を有する実施形態では、所望の光学特性を有する任意の材料であり得る素子は、より低屈折率の媒体に埋め込まれる。低屈折率媒体は、メタ表面を完全に封止し、メタ表面素子の上方にいくらかの厚さを延在させる。低屈折率媒体は、メタ表面素子に対する保護バリアとして機能し(すなわち、機械的安定性を提供する)、特定の特性、例えばメタ表面の全体的な透過率または効率、を最適化することを可能にするシステムの追加の設計自由度を提供する。
【0050】
実施形態によるメタ表面層またはメタ表面システムを、例えば、その開示は参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月31日に出願された米国特許出願第16/120,174号に記載済みであるように、リソグラフィ、機械加工、エッチング、および標準的なCMOS加工技術を含む、任意の好適な加工技術を使用して大量生産で加工することができる。メタ表面基材は、任意の低屈折率材料、例えば、ポリマー、SiO2、ガラスであってもよい。メタ表面素子はまた、特定の帯域幅に対して最適化された任意の材料、例えば、シリコン、TiO2、アルミナ、金属などであってもよい。
【0051】
イメージングシステムは、単一のモノリシックイメージングセンサまたはピクセルアレイの形態をとり得る。そのようなイメージセンサおよびピクセルアレイは、例えばCMOSセンサを含む、任意の好適な形態をとり得る。
【0052】
図1は、そのようなハイブリッドアパーチャ/メタ表面イメージングシステムの様々な実施形態の実装態様の概略説明図を提供する。示されるように、多くの実施形態では、関心の波長で透明であり、かつ厚さ(t
sub)を有する基板層(24a)が提供され、基板層(24a)は、イメージャ(16a)と遠位の第1の側上に配設された、関心の波長で光に対して不透明であり、かつある距離にわたって関心の波長で光に対して完全に透明であるアパーチャ構造(12a)と、(d
ap)ナノ構造(22a)で構成され、イメージャ(16a)と近位の第2の側上に配設された、等しい高さを有するナノ構造(22a)からなるメタ表面層(14a)と、を有する。そのような実施形態では、アパーチャ構造(12a)とメタ表面層(14a)とは、基板厚さ(t
sub)によって画定される第1の距離(13a)だけ隔てられている。さらに、そのような実施形態では、アパーチャ構造(12a)およびメタ表面層(14a)は、基板(24a)上に直接堆積されてもよく、または接着剤を介して接合されてもよい。メタ表面層(14a)とイメージャ(16a)との間には、エアギャップ(t
air)によって形成された背面焦点距離を画定する距離(15a)が配設されている。必要とはされないが、そのようなイメージングシステムの多くの実施形態は、デバイスのイメージング性能に影響を与えないが、他の機能性(例えば、光学的または構造的のいずれか)を提供する任意選択のカバーガラスまたはフィルタ(26)をさらに含んでもよい。
【0053】
そのような実施形態では、アパーチャは、光学機能を付与せず(光線を偏向させない)に、イメージングシステムに入り得る光線束の横方向の拡がりを制限するのみであるか、または入口アパーチャまたはシステムのf/#を同等に設定することが理解されよう。一方、メタ表面層は、そのような実施形態では、集束イメージを形成するために光線を有意に偏向させる唯一の機能的光学層を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、メタ表面層は、任意の位相マスクとして機能し、レンズの任意の半径方向位置で入射光に0から2πの位相シフトの任意の値を付与してもよい。
【0054】
図2を参照し、
図1に例示される実施形態による、単一の基板(24a)上に組み合わされた単一のアパーチャ(12a)および単一のメタ表面(14a)を含むシステムの例示的な実施形態を通る光線追跡図を提供する。(ここには詳細には記載されていないが、これらのメタ表面素子は、例えば、低圧化学気相堆積または原子層堆積などの好適なコンフォーマル堆積プロセスを使用して、本明細書、または先に引用した米国特許出願第16/120,174号に記載されるような方法を使用して加工され得る。)この例示的な実施形態では、アパーチャおよびメタ表面素子は、それらが組み合わせで、広いFOVにわたって良好なイメージを形成することができるように構成されている(この例では±40度であるが、これは限定する事例ではないことを理解されたい)。示されるようなそのような単一のアパーチャおよび単一のメタ表面システムの実施形態は、驚くべきことに、テレセントリックである(すなわち、0度のCRAを有する)イメージプレーンにおいて焦点光線を自然に生成することが見出されている。要するに、伝統的な屈折およびメタ表面設計は、そのようなテレセントリック設計を実現するための複雑な多素子システムを必要とするが、実施形態によれば、同様のテレセントリック性を達成するためには、単一のアパーチャおよび単一のメタ表面素子のみが必要である。このテレセントリック性は、ひいては、光学特性の向上につながる。特に、低い(例えば、ゼロ度またはゼロ度に近いCRA)は、狭帯域用途のための光学フィルタ(26)の帯域幅の狭小化を可能にする。伝統的な屈折設計では、特にコンパクトなモバイルアプリケーションに対して、CRAは、典型的には、15度~30度程度である。これらのより大きなCRAは、ひいては、フィルタ帯域幅を有意に増大させて、より多くの周囲光が検出器に入ることを可能にすることを必要とする。狭帯域用途(例えば、近IR VCSELアレイ)では、そのような周囲光は、永続的なノイズ源となり得る。したがって、
図2に示されるものなどの組み合わされたメタ表面/フィルタシステムの実施形態は、より良い環境光の性能を可能にする。
【0055】
図1および
図2は、ハイブリッドアパーチャ/メタ表面イメージングシステムのための光学素子の1つの配置を提供するが、素子の多くの他の配置が実現され得ることが理解されよう。例えば、
図3は、エアギャップおよび基板の位置を入れ替えたイメージングシステムの実施形態の概略説明図を提供する。そのような構造は、より薄いイメージングシステムの形成を可能にするが、より複雑な組み立てプロセスを伴う。特に、
図3に示されるように、そのようなイメージングシステムの実施形態は、関心の波長で透明であり、かつ厚さ(t
sub)を有する基板(24b)を含み、この基板は、イメージャ(16b)と遠位の第1の側上に、およびイメージャ(16b)の第2の側上に配設された、等しい高さを有するナノ構造(22b)からなるメタ表面層(14b)を有して提供されている。そのような実施形態では、メタ表面層(14b)およびイメージャ(16b)は、接着剤または他の好適な手段を介して直接接合され得る。メタ表面層(14b)とイメージャ(16b)との間には、基板厚さ(t
sub)によって形成された背面焦点距離を画定する距離(15b)が配設されている。この距離は、最適な性能を有するイメージングシステムを設計するための自由パラメータとして使用され、例えば、イメージングシステムの所望のf/#または視野に基づいて変化する。そのような実施形態では、そのようなイメージングシステムは、基板(24b)がそのような二重機能性を提供するため、
図1に示される実施形態で使用される任意選択のカバーガラスまたはフィルタを必要としない。そのような実施形態では、関心の波長の光に対して不透明であり、かつある距離(d
ap)にわたって関心のその波長の光に対して完全に透明であるアパーチャ構造(12b)とメタ表面層(14b)とは、エアギャップ(t
air)によって画定される第1の距離(13b)だけ隔てられている。
【0056】
図4を参照し、
図3に例示される実施形態による、単一の基板(24b)上に組み合わされた単一のメタ表面(14b)およびイメージャ(16b)とともに、単一のアパーチャ(12b)を含むシステムの例示的な実施形態を通る光線追跡図を提供する。(ここには詳細には記載されていないが、これらのメタ表面素子は、例えば、低圧化学気相堆積または原子層堆積などの好適なコンフォーマル堆積プロセスを使用して、本明細書、または先に引用した米国特許出願第16/120,174号に記載されるような方法を使用して加工され得る。)この例示的な実施形態では、アパーチャおよびメタ表面素子は、それらが組み合わせで、広いFOVにわたって良好なイメージを形成することができるように構成されている(この例では±40度であるが、これは限定する事例ではないことを理解されたい)。示されるようなそのような単一のアパーチャおよび単一のメタ表面システムの実施形態は、驚くべきことに、テレセントリックである(すなわち、0度のCRAを有する)イメージプレーンにおいて焦点光線を自然に生成することが見出されている。
【0057】
図1および
図4は、素子がイメージセンサと直接接触しているハイブリッドアパーチャ/メタ表面イメージングシステムのための光学素子の配置を提供するが、イメージセンサとメタ表面層を支持する基板との間に配設されたスペーサを組み込む素子の多くの他の配置が実現され得ることが理解されよう。例えば、
図5は、イメージングシステム内に第2のエアギャップ(28)が配設されるイメージングシステムの実施形態の概略説明図を提供する。
【0058】
特に、
図5に示されるように、そのようなイメージングシステムの実施形態は、関心の波長で透明であり、かつ厚さ(t
sub)を有する基板(24c)を含み、この基板は、イメージャ(16c)と遠位の第1の側上に配設された、等しい高さを有するナノ構造(22c)からなるメタ表面層(14c)と、イメージャ(16C)の近位のメタ表面層の第2の側との間に配設された第2のエアギャップ(28)と、を有して提供されている。エアギャップを組み込むそのような実施形態の1つの利点は、例えば、
図1に示される実施形態と比較して、光線がより高い角度でシステムを通って進み、したがって、メタ表面光学システムの全体的なフォームファクタの減少を可能にすることである。加えて、メタ表面基板とイメージセンサとの間のギャップは、例えばイメージングシステムの光学機能を改善するためのマイクロレンズアレイまたは光学カラーフィルタを含む、他の光学素子の導入を合金にする。
【0059】
そのような実施形態では、メタ表面層(14c)およびイメージャ(16c)は、基板(24c)上に直接堆積してもよいし、接着剤を介して接合されてもよい。そのような実施形態はまた、基板(24c)を支持し、基板とイメージセンサ(16c)との間の距離を維持するための好適なスペーサ(30)を含んでもよい。メタ表面層(14c)とイメージャ(16c)との間には、基板厚さ(tsub)とスペーサ高さ(tspacer)との組み合わせによって形成される背面焦点距離を画定する距離(15c)が配設されている。スペーサ(30)をイメージセンサ(16c)と(tspacer)の固定距離だけ先にある基板層(24c)とに固定することができるか、または基板を標準光学バレルに入れることができ、かつ(tspacer)を組み立て後に調整可能とすることができるかのいずれかである。そのような実施形態は、イメージセンサ(16c)と近位の基板(24c)の表面(34)がパターン化されないままであることを可能にし、この表面上に任意選択の光学フィルタを直接統合することを可能にする。
【0060】
図6に示されるように、イメージセンサの上方にエアギャップを組み込むハイブリッドアパーチャ/メタ表面の構成の一実施形態が記載されているが、様々な実施形態では、メタ表面層(14d)はまた、スペーサ(30’)によって支持されるエアギャップ(32)に面するイメージセンサ(16d)と近位の基板(24d)の表面上に配設されてもよい。そのような実装態様は、環境汚染からメタ表面素子を保護することを可能にする。加えて、そのような実施形態は、イメージセンサ(16d)と遠位のメタ表面基板(24d)の表面(34’)がパターン化されないままであることを可能にし、基板上に任意選択の光学フィルタを直接統合することを可能にする。ここでも、そのような実施形態では、スペーサ(30’)をイメージセンサ(16d)と(t
spacer)の固定距離だけ先にある基板(24d)とに固定することができるか、または基板(24d)を標準光学バレルに入れることができ、かつ(t
spacer)を組み立て後に調整可能とすることができるかのいずれかである。
【0061】
よって、
図5および
図6に例示される実施形態は、メタ表面素子が基板とイメージセンサとの間のエアギャップに対して内向きまたは外向きに配置され得ることを例示している。
図5および
図6に例示されるメタ表面システムの製作は、例えば、米国特許出願第16/120,174号に記載されたプロセスに従うことができる。スペーサ層は、任意の低屈折率材料、例えば、ポリマー、SiO
2、ガラスであってもよい。
【0062】
アパーチャとメタ表面基板との間にエアギャップを組み込むハイブリッドアパーチャ/メタ表面イメージングシステムの実施形態は、
図3、
図5、および
図6に示されているが、これらの実施形態は、アパーチャを固定し、かつアパーチャ距離(t
air)が一定のままであることを保証するための、別個の支持構造を必要とするであろう。しかしながら、アパーチャ構造(12e)はまた、基板層(24e)に直接取り付けられてもよい。そのようなイメージングシステムの例示的な実施形態を、
図7に例示する。示されるように、この例示的な実施形態では、上部アパーチャ(12e)は、幅d
ap,topを有するアパーチャ本体(36)を有し、この幅は、システムの入口アパーチャを設定し、基板から距離(t
ap)だけのアパーチャオフセットを有し、(t
ap)によって設定された光軸に沿った距離がメタ表面層の幅によって設定され、かつ(d
ap,bottom)によって与えられた後に、イメージングシステムの半視野によって設定された最小角度でアパーチャの幅に角度付けられている。
図7に示される実施形態は、メタ表面層(14e)が、イメージセンサ(16e)から遠位の基板(24e)の表面上に配設されているシステムを描示しているが、メタ表面層はまた、イメージセンサと近位の基板の表面(34’’)上に配設されてもよいことが理解されよう。加えて、例示的な実施形態は、基板(24e)とイメージセンサ(16e)との間にスペーサ構造(30’’)およびエアギャップを組み込んでいるが、実施形態は、この素子を省略し、基板をイメージセンサの上に直接取り付けてもよいことが理解されよう。
【0063】
そのようなテレセントリック設計の実施形態の属性は、メタ表面イメージングシステムがイメージセンサでのより均一な照度(当業者によって「相対照明」と呼ばれる)を提供することである。実施形態による例示的なシステムの相対照度のデータプロットが、
図8Aに提供され、アパーチャ/メタ表面イメージングシステムの相対照度が視野全体にわたって100%に維持されることを実証しており、このことは、中心とエッジとの間で50%以上の差を有し得る従来のシステムに対する実質的な改善である。よって、イメージングシステムの実施形態は、全視野にわたってより大きな総照度を収集することができる。メタ表面システムの実施形態はまた、伝統的な屈折レンズシステムに関して追加の設計変形例を提供する。典型的なCMOSイメージセンサ(CIS)は、マイクロレンズを各ピクセルと関連付けられる必要がある。屈折光学システムに固有である所与のセンサプレーン全体にわたってCRAに大きなばらつきがあるため、CIS上のマイクロレンズアレイはまた、複雑なCRA仕様を必要とする。しかしながら、本明細書に記載されるようなメタ表面システムの実施形態では、マイクロレンズアレイのCRAは、CIS全体にわたって絶えず0度であるように構成されてもよく、マイクロレンズアレイの設計および加工におけるより大きな単純化を可能にする。代わりに、特定の実装態様では、マイクロレンズアレイをCISから完全に除去し、CIS製作のプロセスステップを省略してもよい。さらに、0のCRAを有するそのようなアパーチャメタ表面システムは、「ピクセルクロストーク」として当業者に知られている伝統的なイメージングシステムの根強い問題を制限することを可能にする。イメージセンサに光を送る伝統的な屈折システムは、隣接するピクセルに光結合しやすく、このことが、システムにノイズを加える。
【0064】
従来のメタ表面システムは、FOVおよび歪みを制御するために複数のメタ表面層で構成され得る。追加の1つ以上のメタ表面素子の導入は、別個の任意の位相プロファイルの実現を可能にし、同等の数の屈折素子から構成された典型的なシステムと比較して、光線の経路を制御するためのより多くの自由度を提供する。単一のメタ表面層が使用される現在のイメージングシステムの実施形態では、同時に、CRAを制御し、グリッド歪みを補正することができない。その結果、特定の量のグリッド歪みが不可避である。例えば、
図8Bは、
図1に示される実施形態に基づいて、歪みをイメージングシステムのCMOSイメージセンサにおける視野の関数として例示するデータプロットを提供する。
図8Cは、
図1に示されるようなイメージングシステムの実施形態の視野に対する係数伝達関数のプロットを示す。
図8Dは、
図8A~
図8Cに示される実施形態に基づくイメージングシステムのグリッド歪みを例示する標準的な試験イメージを提供する。示されるように、視野のエッジでは品質が低下する。しかしながら、本発明の実施形態は、光の波長のすべてが密に束ねられることを示し、歪みが、知られているイメージ処理ソフトウェアを使用するだけで補正され得ることを示している。
【0065】
ハイブリッド屈折およびメタ表面素子を実装した実施形態
アパーチャおよび単一のメタ表面層を組み込む実施形態を記載してきたが、実施形態はまた、屈折レンズ素子を組み込むメタ表面素子のハイブリッドシステムを対象とすることが理解されよう。
図9は、そのようなハイブリッド屈折レンズ/メタ表面イメージングシステムの様々な実施形態の実装態様の概略説明図を提供する。多くの実施形態では、ハイブリッドイメージング表面は、以下のもの、すなわち、1つ以上の曲率面を有する屈折レンズと、メタ表面を含む素子のすべてが同じ高さである、基板上のメタ表面層と、の各々の少なくとも1つからなる。より一般には、ハイブリッド光学システムは、任意の数の屈折素子および複数のメタ表面層から構成され得る。特定の実施形態では、イメージセンサの前の最終コンポーネントである基板層上にメタ表面素子を有することは、いわゆるイメージ空間テレセントリックイメージングシステムを作成する特定の利点を提供する。加えて、メタ表面層が形成される基板は、堆積されたフィルタ層のセットを有し得る。フィルタを組み込む実施形態に記載されるように、メタ表面層は、イメージングシステムのオブジェクトプレーンに近い方にある一方、近赤外線フィルタは、イメージセンサに近い方にある。
【0066】
ハイブリッド屈折素子/メタ表面イメージングシステムの例示的な実施形態を
図9に例示する。多くの実施形態では、システムは、関心の波長で透明な基板層(40)から設定された距離離れて配設され、かつイメージセンサ(46)と遠位にある、この基板層の第1の表面(45)上に配設された等しい高さを有するナノ構造(44)からなるメタ表面層(42)を有する厚さ(t
sub)を有する、少なくとも1つの屈折光学系(38)と、イメージャと近位の基板の第2の側(47)上に配設された任意選択の光学フィルタ(48)と、を含む。
【0067】
図9に示される実施形態は、単一の屈折光学系および単一のメタ表面層を有するハイブリッドシステムを例示しているが、実施形態がまた、屈折光学系の他の配置を組み込んでもよいことが理解されよう。そのようなメタ表面/屈折ハイブリッドシステムを例示する図を、
図10Aおよび
図10Bに提供する。具体的には、
図10Aは、2つの屈折素子(50および51)と、2つの屈折素子が凸凹および凹凸である1つのメタ表面層(52)システムと、を含むハイブリッドシステムを例示している。
図10Bは、3つの屈折素子(54、55、56)および1つのメタ表面素子(58)を含み、3つの屈折素子が、それぞれ凸凹、両凸、および凹平であるハイブリッドシステムを例示している。
【0068】
上述したハイブリッドシステムの屈折光学素子、すなわち、メタ表面層に先行するそれらの素子に関して、これらの素子の表面曲率は、任意の正、負、または無限の値をとり得ることが理解されよう。よって、屈折素子の特定の配置が図に示されているが、屈折素子は、例えば、平凸、凸平、両凸、両凹、平凹、または凹平を含む、特定の用途の任意の好適な形態および組み合わせをとってもよい。
【0069】
イメージセンサウエハを実装した実施形態
当該技術分野において知られたイメージングシステムは、典型的には、もっぱら、伝統的な屈折レンズ(少なくとも1つの湾曲した表面を有するガラスまたはプラスチック材料)からなる。実施形態によれば、単一のメタ表面層は、1つ以上の湾曲した屈折レンズと組み合わせて配設されている。驚くべきことに、単一のメタ表面層を含むことで、光学システムがテレセントリックになることが見出されている。具体的には、多くのそのような実施形態では、イメージプレーンの前の最終素子としてメタ表面素子を含むことは、システムをテレセントリックにする。
【0070】
メタ表面層の実施形態を、カバーガラスおよびフィルタとしてCMOSイメージセンサ(CIS)と統合し得る一方、屈折光学系を、光学イメージングモジュールで従来行われているように、バレル内に組み立てることができる。特定の実施形態では、メタ表面層が上で加工されるガラスを、CISのカバーガラスとすることに加えて、事前に誘電体層とともに堆積し、近赤外線バンドパスまたはロングパスフィルタとして機能させることができる。そのような実施形態は、光学イメージングプロセスにおける機能を有する単一のコンポーネントを提供するとともに、不要な波長がイメージセンサに入射することを排除する。
【0071】
上記の実施形態は、例えば、
図1~
図10Bに示されるように、単一のセンサ素子を有するハイブリッドメタ表面イメージングシステムに焦点を当てているが、メタ表面素子を、複数のイメージセンサダイを包摂するイメージセンサウエハと統合することもできる。イメージセンサウエハの概略図を
図11Aに例示する。示されるように、実施形態は、イメージセンサダイ(62)のセットを含むイメージセンサウエハ(60)を含み得、これは周期的に離間した2Dアレイに示されているが、アレイを周期的に離間させる必要はないことが理解されよう。
図11Bに示されるように、各センサダイ(62)は、イメージセンサアクティブエリア(64)を含む。各イメージセンサは同一であってもよいが、多くの実施形態では、各センサの特色は、一般に固有であってもよい。アレイを含む各イメージャが固有の特性を有し得るため、各々が固有に設計された特性を有するメタ表面素子のアレイを有することも有利であり得る。
【0072】
アクティブ領域(64)のみがイメージングに利用可能である必要があることが理解されよう。イメージセンサアクティブエリア(66)の外側の領域は、レンズまたはスペーサを取り付けるために使用され得る。さらに、様々な実施形態では、メタ表面基板は、スペーサによってイメージアレイからオフセットされてもよい。センサウエハへの取り付けに好適な複数のスペーサ開口部を含むスペーサウエハ(70)と、イメージセンサまたはレンズダイへの取り付けに好適なスペーサダイ(72)と、の例示的な実施形態を、それぞれ
図12Aおよび
図12Bに例示する。スペーサ層の設計および厚さは、特定の構成に依存するものであるが、多くの実施形態では、厚さは、イメージセンサと相互作用する前に照明源からの光が十分に発散するように構成されている。ここでも、アレイ内の各メタ表面素子の機能は、一般に固有であってもよく、例えば米国特許出願第16/120,174号に概説される任意の好適な技術を利用して、アレイ内の各個々のイメージセンサの上にパターン化されてもよい。例えば、メタ表面が、アレイ内の各個々のイメージセンサ上に直接加工されてもよく、または好適な誘電体スペーサが、イメージセンサ上に堆積されて、続いて、組み合わされた誘電体層およびイメージセンサの上にメタ表面の統合が続いてもよい。そのような実施形態では、メタ表面は、各イメージセンサに対して特定の放射パターンを提供してもよく、システム全体(イメージセンサ特性、幾何学的パラメータ、およびメタ表面に対応した放射パターン)を、特定のセットの性能パラメータセットに対して反復的に最適化することができる。
【0073】
様々な他の実施形態では、構成イメージセンサ材料のものよりも低い屈折率を有する誘電体材料が、単一のメタ表面を誘電体材料の上にパターン化することができるように堆積され、平面化され得る。これは、アレイ内の各イメージセンサがこのイメージセンサのファセット上にパターン化された固有のメタ表面を有する実施形態とは対照的である。ここでも、そのような実施形態では、組み合わされたシステムを最適化して、所望の性能を達成し得る。最後に、上記の実施形態のすべてにおいて、イメージセンサアレイとのメタ表面の統合が、ウエハレベル光学プロセスを使用して遂行されてもよい。そのような実施形態では、スペーサ層は、固体誘電体ではなく空気であってもよく、そのようなデバイスの例示的な実施形態の説明図を、
図13および
図14に示す。
【0074】
具体的には、
図13は、イメージセンサダイ(74)と、スペーサ(78)によって隔てられたレンズダイ(76)と、を含む実施形態の概略図を示す。そのような実施形態では、スペーサ(78)は、メタ表面エリア(80)とイメージセンサアクティブエリア(82)との距離を制御する。そのような実施形態でのスペーサを、イメージセンサダイまたはイメージセンサウエハに取り付けることができ、次いで、レンズをスペーサに取り付けることができる。代わりに、スペーサを最初にレンズに取り付け、次いで、センサをスペーサに取り付けることができる。そのような実施形態では、スペーサを、接着剤(例えば、UV硬化エポキシまたは熱硬化エポキシ)、はんだ、または溶融接合を使用して取り付けることができる。
【0075】
図14は、スペーサを除外する例示的な実施形態を例示している。そのような実施形態では、レンズダイ(84)の厚さは、イメージセンサアクティブエリア(86)とメタ表面エリア(88)との間の距離を決定する。イメージセンサダイ(90)およびレンズダイ(84)は、接着剤、はんだ、溶融接合、バンプ接合などを使用して直接取り付けることができる。代わりに、イメージセンサウエハおよびレンズウエハを、前述したように、ウエハレベルで直接取り付けることができる。
【0076】
図15に示されるように、特定の実施形態では、ハイブリッドシステムの屈折レンズ(91)を、当技術分野で既に知られているように、最初にレンズバレル(92)内に組み立ててもよい。次いで、メタ表面素子(94)を、上記の
図13および
図14に関して上述したように、CMOSイメージセンサ(96)と組み合わせることができる。次いで、これらの2つのサブコンポーネントを一体に組み立てて、最終的なシステムを形成する。そのような実施形態では、屈折レンズは、屈折素子とメタ表面(t
gap)との間の距離が調整され得るように、ハウジング(98)に螺嵌するように構成されてもよい。
【0077】
実施形態の実装
当業者に周知であるように、円形の半径方向に対称なレンズ、または円形の半径方向に対称なレンズのシステムによって形成されるシーンのイメージもまた円である。その結果、形成されたイメージの幾何学形状は、レンズのイメージサークルと呼ばれることが多い。しかしながら、現代の写真において、イメージを記録する媒体(例えば、CMOSイメージセンサ)は、矩形の形状を有することが多い。カメラ設計では、レンズのイメージサークルは、イメージサークルの直径Dimageが少なくともイメージセンサの対角線dほどの大きさとなるように設計されている。しかしながら、イメージセンサが矩形であることから、実際には、イメージサークルの一部のみがイメージセンサに当射する。したがって、シーンからの光が入射するレンズエリアの多くは、カメラシステムからのイメージの最終的な形成に使用されない。
【0078】
伝統的な射出成形プラスチック屈折レンズでは、レンズの形状は、理想的に円形に保たれる。製造の観点からは、円形の形状および半径方向に対称なレンズが、達成するのがこの上なく容易であり、かつ製作の再現性が最良であるため、円形の形状が使用される。さらに、小面積の矩形レンズではなく、大面積の円形レンズを作ることで、コスト増が最小限に抑えられる。したがって、従来のカメラは、円形レンズを使用しており、円形レンズ全体に衝突した光の一部分のみが矩形のイメージセンサによって収集される。光が入射してもイメージセンサへの光の当射に寄与しない円形レンズのこれらの部分は、最終的なイメージ形成に使用されない。
【0079】
様々な実施形態によるメタ表面レンズに対して、レンズの形状を、このレンズが形成するイメージが特定のイメージセンサ寸法と固有に適合するように設計することができる。従来の屈折レンズとは対照的に、多くのそのような実施形態では、レンズ形状は、もはや円形ではないように構成され、レンズは、もはやイメージサークルを形成しないように構成される。様々な実施形態では、メタ表面レンズは、特定の寸法を有する矩形構成で形成され、したがって、形成されたシーンイメージも矩形である。そのような設計実施形態の理想的な場合には、矩形メタ表面レンズに衝突する光のすべてが、イメージセンサに当射する。矩形レンズを有するメタ表面の実施形態は、半径方向の対称性を破り、したがって、レンズが形成するイメージは、もはや円形または半径方向に対称ではない。
【0080】
よって、レンズシステムの多くの実施形態では、メタ表面レンズ素子は、矩形構成で形成され得る。そのような矩形レンズまたは非円形レンズの利点は、レンズの総面積を制限すること、続いてイメージセンサ上にイメージを形成しないように光を別様に衝突させるレンズの部分を排除すること、およびレンズウエハの後処理を簡易化することを含む。ここでは、矩形メタ表面レンズおよびイメージングシステムの特定の実施形態について記載する。
【0081】
非円形構成を有するメタ表面レンズシステムの多くの実施形態は、以下の共通点、すなわち、レンズシステムの絞りである入口アパーチャと、イメージセンサプレーンの前の最終的なアクティブな光学表面であるメタ表面レンズと、を有する。そのような実施形態では、入口アパーチャ(および光学絞り)を、伝統的な光学システムにおける場合のように、断面での円形とすることができる一方、メタ表面レンズを、矩形または他の任意の形状としてパターン化することができる。
【0082】
図16は、明確なアパーチャメタ表面の例示的な実施形態の説明図を提供し、イメージングシステム(100)は、単一の矩形メタ表面(104)からオフセットされた矩形イメージセンサ(102)と、矩形メタ表面レンズ(104)からオフセットされた円形入口アパーチャ(106)と、から構成されている。ハイブリッドメタ表面屈折システムを実装した実施形態では、光学システムは、入口アパーチャと、少なくとも1つの屈折レンズと、イメージセンサの前のシステムにおける最後の光学レンズ素子であるメタ表面レンズと、から構成されている。そのようなハイブリッドシステムのこれらの実施形態では、入口アパーチャおよび少なくとも1つの屈折レンズは、円形または半径方向に対称な断面を依然として有することができる。したがって、そのようなハイブリッドシステムの実施形態であれば、
図16に示されるように、少なくとも1つの円形屈折レンズ(図示せず)からオフセットされた円形アパーチャ(106)から構成されるであろうし、次いで、この円形屈折レンズは、矩形メタ表面レンズ(104)からオフセットされている。ここでも、そのような実施形態では、メタ表面レンズは、特定のイメージセンサに適合するように構成された矩形の寸法を有する。ここでは、例は、メタ表面レンズ素子が単独で矩形断面を有する実装態様を記載しているが、これは、限定する事例ではない。例えば、入口アパーチャ(および光学システムの絞り)もまた矩形であり得るか、または少なくとも1つの屈折レンズもまた、少なくとも、イメージセンサの前の最後のレンズ素子であるメタ表面レンズ素子が矩形断面を有する限り、矩形であり得る。
【0083】
特定の場合には、システムの矩形レンズの寸法を、システムのイメージセンサの寸法とレンズの仕様とによって、完全に特徴付けることができる。具体的には、
図17Aに示されるように、イメージセンサの縦横寸法vおよびhそれぞれによって、特徴付けられる。レンズシステムは、レンズのF値、N=f/Dとして定義されるNによって、最も一般に特徴付けられ、式中、fは、光学システムの焦点距離であり、Dは、レンズの直径である。よって、
図17Bに示されるように、所望の矩形メタレンズのレンズ幅を、w=v+f/Nであるように示すことができ、長さを、l=h+f/Nであるように示すことができる。レンズ寸法のそのような定義は、センサ幾何学形状をほぼ完全に満たすイメージをもたらすものである。実際には、イメージングシステムによって形成されるイメージを、イメージセンサの寸法よりもわずかに大きくすることが望ましい。このイメージのオーバーサイズ化により、レンズシステムの最終的な組み立てにおいてより大きな許容差が可能になる。典型的なオーバーサイズ化範囲は、上記に与えられるような公称の矩形レンズ寸法をとり、かつ各寸法を40ミクロンだけ増加させるものであり得る。
【0084】
上記の例は、矩形レンズと結合された単一の円アパーチャを指定しているが、他の実施形態では、N個のアパーチャ/N個の矩形レンズ/単一のイメージセンサの光学システムがまた、提供されてもよい。例えば、円形アパーチャおよび矩形メタ表面レンズは、単一のイメージセンサの上に2×2グリッドで配列されてもよい。そのようなシステムの例を、
図18A~18Bに示す。
図18Aは、
図18Bに示されるように単一のスペーサ(112)が周囲に配され得る単一のイメージセンサダイ(110)を示す。スペーサは、
図18Cに示される矩形メタ表面(114)とイメージセンサ(110)との間の距離を設定する。組み立てにおける最後の素子は、矩形メタ表面と円形アパーチャとの間の距離を設定するために、追加の間隔層(118)と関連付けて配設された円形アパーチャ(116)のセットを包摂する。完全な組み立て体の破断構成を、
図18Dに示す。
【0085】
図18A~
図18Dは、矩形メタ表面の上の円形アパーチャの2×2アレイを例示しているが、一般に、円形アパーチャのグリッドおよび矩形メタ表面レンズは、対称または非対称、例えば3×3または5×2、のいずれかの任意の様式で配列されてもよい。加えて、システムを含む各個々の矩形メタ表面および円形アパーチャは、システムの残りのアパーチャメタ表面ペアに対して固有の寸法を有してもよい。例えば、アレイ内の各アパーチャ径は、一般に固有であってもよく、または各矩形レンズは、固有であってもよい。しかしながら、メタ表面レンズとイメージセンサとメタ表面レンズと円形アパーチャとの間の距離は、一般に、システム全体に対して固定されている。アレイの個々のコンポーネントごとに機械的パラメータ(例えば、アパーチャサイズ)を変更することにより、アレイ内の各カメラの光学的特性を固有にすることが可能になる。例えば、実施形態によれば、各サブカメラは、固有のf/#、視野、解像度などを有することができる。
【0086】
均等論
よって、本発明をある特定の態様で記載してきたが、多くの追加の変更および変形が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、具体的に記載される以外の別様に実施され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【国際調査報告】