IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャンボ ドラッグ バンク カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2022-542196選択的BTKキナーゼ阻害剤としてのピラゾロピリジン系化合物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】選択的BTKキナーゼ阻害剤としてのピラゾロピリジン系化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220921BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C07D471/04 106Z
A61K31/437
A61K31/5377
A61P35/00
A61P37/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519825
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2020117690
(87)【国際公開番号】W WO2021057893
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910919180.6
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010330226.3
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】522124231
【氏名又は名称】ジャンボ ドラッグ バンク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン、チュンリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、シアウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チョントー
(72)【発明者】
【氏名】フー、クオピン
(72)【発明者】
【氏名】チアン、ニン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA05
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ02
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP13
4C065PP16
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB08
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は高活性、高選択性を有するBTKキナーゼ阻害剤化合物、及びBTK標的関連疾患を治療する医薬の調製におけるその使用を開示する。具体的に、式(I)で表される化合物、その異性体及びその薬学的に許容される塩を開示する。
【化1】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化1】

(ただし、
は独立してN、及びCHから選択され;
は独立してH、C1ー6アルキル、C2ー6アルケニル、及びC2ー6アルキニルから選択され、前記C1ー6アルキル、C2ー6アルケニル、及びC2ー6アルキニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
環Aはフェニル、及び5~6員ヘテロアリールから選択され;
Mは独立してC3ー6シクロアルキル、及び3~6員ヘテロシクロアルキルから選択され、前記C3ー6シクロアルキル、及び3~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH、CNから選択され;
n、及びmはそれぞれ独立して0、1、2又は3から選択され、且つ、n、mは同時に0ではなく;
、Lはそれぞれ独立してーCHー、ーCHCHー、ーOー、ーC(=O)ー、及びーC(=O)ーNHーから選択され;
は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、C1ー3アルキル、C1ー3アルコキシ、及びC1ー3アルキルアミノから選択され、前記C1ー3アルキル、C1ー3アルコキシ、及びC1ー3アルキルアミノはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
はF、Cl、Br、I、CHから選択され;
RはH、F、Cl、Br、Iから選択され;
前記5~6員ヘテロアリール、及び3~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ独立して1、2、3又は4個の独立してーNHー、ーOー、ーSー、ーC(=O)ー、ーS(=O)ー、及びNから選択されるヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。)
【請求項2】
は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、OCH、NH(CH)、及びN(CHから選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
は独立してH、C1ー3アルキル、C2ー4アルケニル、及びC2ー4アルキニルから選択され、前記C1ー3アルキル、C2ー4アルケニル、及びC2ー4アルキニルはそれそれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換される、請求項2に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は独立してH、CH、ビニル、及びプロピニルから選択される、請求項3に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Mは独立してシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジニル、オキサタニル、ピペリジニル、及びモルホリニルから選択され、前記シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジニル、オキサタニル、ピペリジニル、及びモルホリニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Mは独立してピペリジニル、及びモルホリニルから選択される、請求項5に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
がーOー、及びーC(=O)ーNHーから選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
がーC(=O)ー、及びーC(=O)ーNHーから選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
環Aがフェニル、及びピリジニルから選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
構造単位
【化2】

から選択される、請求項9に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
構造単位
【化3】

から選択される、請求項10に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下記から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化4】

(ただし、
、Rは請求項1に定義された通りであり;
n、及びmはそれぞれ独立して0、1、2又は3から選択され、且つ、n、mは同時に0ではなく;
は請求項1、3、又は4のいずれか1項に定義された通りであり;
は請求項1又は7に定義された通りであり;
は請求項1又は8に定義された通りである。)
【請求項13】
下記から選択される、請求項12に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化5】

(ただし、
n、m、R、R、R、L、Lは請求項12に定義された通りである。)
【請求項14】
下記の式で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化6】
【請求項15】
下記から選択される、請求項14に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【化7】
【請求項16】
有効成分として治療有効量の請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
BTK阻害剤に関連する医薬の調製における、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、又は請求項16に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
前記BTK阻害剤に関連する医薬は血液腫瘍、及び自己免疫疾患の治療薬であることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は下記の優先権を主張する:
CN201910919180.6、出願日は2019年9月26日であり;
CN202010330226.3、出願日は2020年4月24日である。
[発明の詳細な説明]
[技術分野]
本発明は高活性、高選択性を有するBTKキナーゼ阻害剤化合物、及びBTK標的関連疾患を治療する医薬の調製におけるその使用に関する。具体的に、式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
BTKはB細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達経路の重要なキナーゼであり、BTK不可逆的阻害剤はキナーゼの活性ポイントCysー481に共有結合してBTK活性を阻害し、それによってB細胞の過剰増殖を効果的に阻害して抗腫瘍又は抗炎症効果を達成する。
【0003】
現在市販されている薬剤の中で、PharmacyclisとJohnson&Johnsonが共同開発した不可逆的BTK阻害剤であるイブルチニブ(ibrutinib)は、FDAによって、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性移植片対宿主病などの治療に使用できる承認を受けた。ただし、イブルチニブはBTKを除く他のキナーゼに対しても強力な阻害効果があり、特にEGFR、ITK、TEC等のキナーゼに対する阻害は、発疹、下痢、出血等のより深刻な副作用を引き起こす可能性がある。従って、当技術分野では、関連する疾患の治療に使用できる高活性及び良好な選択性を有する新規のBTK阻害剤を開発する必要がある。
[発明の開示]
【0004】
本発明は式(I)で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩を提供し、
【化1】

ここで、
は独立してN、及びCHから選択され;
は独立してH、C1ー6アルキル、C2ー6アルケニル、及びC2ー6アルキニルから選択され、前記C1ー6アルキル、C2ー6アルケニル、及びC2ー6アルキニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで置換され;
環Aはフェニル、及び5~6員ヘテロアリールから選択され;
Mは独立してC3ー6シクロアルキル、及び3~6員ヘテロシクロアルキルから選択され、前記C3ー6シクロアルキル、及び3~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH、CNから選択され;
n、及びmはそれぞれ独立して0、1、2又は3から選択され、且つ、n、mは同時に0ではなく;
、Lはそれぞれ独立してーCHー、ーCHCHー、ーOー、ーC(=O)ー、及びーC(=O)ーNHーから選択され;
は独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、C1ー3アルキル、C1ー3アルコキシ、及びC1ー3アルキルアミノから選択され、前記C1ー3アルキル、C1ー3アルコキシ、及びC1ー3アルキルアミノはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
はF、Cl、Br、I、CHから選択され;
RはH、F、Cl、Br、Iから選択され;
前記5~6員ヘテロアリール、及び3~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ独立して1、2、3又は4個の独立してーNHー、ーOー、ーSー、ーC(=O)ー、ーS(=O)ー、及びNから選択されるヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。
【0005】
本発明は式(I)で表される化合物、その異性体、又は、その薬学的に許容される塩を提供し、
【化2】

ここで、
は独立してN、及びCHから選択され;
は独立してH、C1ー6アルキル、C2ー6アルケニル、及びC2ー6アルキニルから選択され、前記C1ー6アルキル、C2ー6アルケニル、及びC2ー6アルキニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
環Aはフェニル、及び5~6員ヘテロアリールから選択され;
Mは独立してC3ー6シクロアルキル、及び3~6員ヘテロシクロアルキルから選択され、前記C3ー6シクロアルキル、及び3~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
、及びRはそれぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH、NH、CNから選択され;
n、mは0、1、2又は3であり、且つ、n、mは同時に0ではなく;
、Lはそれぞれ独立してーCHー、ーCHCHー、ーOー、ーC(O)ー、及びーC(O)NHーから選択され;
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、C1ー3アルキル、C1ー3アルコキシ、及びC1ー3アルキルアミノから選択され、前記C1ー3アルキル、C1ー3アルコキシ、及びC1ー3アルキルアミノはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され;
はF、Cl、Br、I、CHから選択され;
RはH、F、Cl、Br、Iから選択される。
【0006】
前記5~6員ヘテロアリール、及び3~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ独立して1、2、3又は4個の独立してーNHー、ーOー、ーSー、ーC(=O)ー、ーS(=O)ー、及びNから選択されるヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。
【0007】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Rは独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、OCH、NH(CH)、及びN(CHから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0008】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Rは独立してH、C1ー3アルキル、C2ー4アルケニル、及びC2ー4アルキニルから選択され、前記C1ー3アルキル、C2ー4アルケニル、及びC2ー4アルキニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0009】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Rは独立してH、CH、ビニル、及びプロピニルから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0010】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Mは独立してシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジニル、オキサタニル、ピペリジニル、及びモルホリニルから選択され、前記シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジニル、オキサタニル、ピペリジニル、モルホリニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0011】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Mはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジニル、オキサタニル、ピペリジニル、及びモルホリニルから選択され、前記シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジニル、オキサタニル、ピペリジニル、モルホリニルはそれぞれ独立して1、2又は3個のRで任意に置換され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0012】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Mは独立してピペリジニル、及びモルホリニルから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0013】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記Mはピペリジニル、及びモルホリニルから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0014】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記LはーOー、及びーC(O)NHーから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0015】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記LはーOー、及びーC(=O)ーNHーから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記LはーC(=O)ー、及びーC(=O)ーNHーから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0017】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記LはC(O)ー、及びーC(O)NHーから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0018】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記環Aはフェニル、及びピリジニルから選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0019】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記構造単位
【化3】

から選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0020】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記構造単位
【化4】

から選択され、他の変数は本発明に定義された通りである。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態は、前記変数の任意の組み合わせからなるものである。
【0022】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩は下記から選択され:
【化5】

ここで、
n、m、R、R、R、L、Lは本発明に定義された通りである。
【0023】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩は下記から選択され:
【化6】

ここで、
n、m、R、R、R、L、Lは本発明に定義された通りである。
【0024】
本発明は更に下記の式で表される化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩を提供する:
【化7】
【0025】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物、その異性体、又はその薬学的に許容される塩は下記から選択される:
【化8】
【0026】
本発明は又、有効成分として治療有効量の前記化合物、その異性体又はのその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明の幾つかの実施の態様において、BTK阻害剤関連医薬の調製における、前記化合物、その異性体又はのその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0028】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記使用で、前記BTK阻害剤関連薬物は血液腫瘍及び自己免疫疾患を治療する医薬であることを特徴とする。
【0029】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記使用で、前記BTK阻害剤関連薬物はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する医薬であることを特徴とする。
【0030】
[技術効果]
本発明の化合物は、高活性、高選択性を有するBTKキナーゼ阻害剤として、腫瘍の治療で大きな応用の見通しがあり、癌の治療で良好な腫瘍阻害効果を示す。本発明の化合物は、良好なキナーゼ阻害活性を示し、その中で、好ましい化合物のキナーゼ阻害活性は強力(IC50<100nM)であった。本発明の化合物は、EGFR、ITK及びTECキナーゼに対して良好な選択性を示す。本発明の化合物は、半減期が短く、血漿外分布が広く、適切な生物学的利用能を有する。
【0031】
[定義と説明]
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は下記の意味を有する。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されたいない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0032】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学的判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0033】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物と接触させることで塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウムの塩或いは類似の塩を含む。本発明の化合物に比較的に塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物と接触させることで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実施例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えば、アルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、前記無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、前記有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、ベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、pートルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0034】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒或いは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0035】
別途に定義しない限り、用語「有効量」又は「治療有効量」とは毒性がなく期待の効果が得られる使用量を指す。本発明の経口剤形の場合、組成物中の1つの活性物質の「有効量」は、組成物中の別の活性物質と組み合わせて使用されるときに所望の効果を達成するために必要な量を指す。有効量の確定は人によるが、被投与者の年齢及び基本状況、そして具体的な活性物質で決まり、特定のケースにおける適切な有効量は当業者が通常の試験によって決めてもよい。
【0036】
用語「有効成分」、「治療剤」、「活性物質」又は「活性剤」は、標的の障害、疾患又は状態を治療するのに有効な化学実体を指す。
【0037】
本発明の化合物は当業者に熟知の通常の方法によって構造を確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関わる場合、当該絶対配置は本分野の通常の技術手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)では、育った単結晶をBruker D8 venture回折装置によって回折強度のデータを収集し、光源をCuKα輻射とし、走査モード:φ/ω走査で、関連データを収集した後、さらに直接法(Shelxs97)によって結晶構造を解析することで、絶対配置を確認することができる。
【0038】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、すべてのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(ー)ー及び(+)ー鏡像異性体、(R)ー及び(S)ー鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)ー異性体、(L)ー異性体、及びそのラセミ混合物ならびにほかの混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーを多く含有する混合物を含み、すべてのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキルなどの置換基にほかの不斉炭素原子が存在してもよい。すべてのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
別途に説明しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは互いに鏡像の関係にある立体異性体である。
【0040】
別途に説明しない限り、用語「シスートランス異性体」又は「幾何異性体」とは二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0041】
別途に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」とは分子が二つ又は複数のキラル中心を有し、かつ分子同士は非鏡像の関係にある立体異性体である。
【0042】
別途に説明しない限り、「(+)」は右旋を、「「(ー)」は左旋を、「(±)」はラセミを表す。
【0043】
別途に説明しない限り、楔形実線結合
【化9】
を表す。
【0044】
別途に説明しない限り、用語「一つの異性体を豊富に含む」、「異性体が豊富に含まれる」、「一つのエナンチオマーを豊富に含む」又は「エナンチオマーが豊富に含まれる」とは、それにおける一つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、かつ当該異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上である。
【0045】
別途に説明しない限り、用語「異性体の過剰量」又は「エナンチオマーの過剰量」とは、二つの異性体又は二つのエナンチオマーの間の相対百分率の差の値である。例えば、その一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%で、もう一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマーの過剰量(ee値)は80%である。
【0046】
光学活性な(R)ー及び(S)ー異性体ならびにD及びL異性体は、キラル合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の一つのエナンチオマーを得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要のエナンチオマーを提供する。或いは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、さらに本分野で公知の通常の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離されたエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、前記クロマトグラフィー法はキラル固定相を使用し、かつ任意に化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)と併用する。
【0047】
本発明の化合物は、当該化合物を構成する一つ又は複数の原子には、非天然の比率の原子同位元素が含まれてもよい。例えば、三重水素(H)、ヨウ素ー125(125I)又はCー14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。また、例えば、水素を重水素で置換して重水素化薬物を形成し、重水素と炭素からなる結合は水素と炭素からなる結合よりも強固で、未重水素化薬物と比べ、重水素化薬物は毒性・副作用の低下、薬物の安定性の増加、治療効果の増強、薬物の生物半減期の延長などの優勢がある。本発明の化合物のすべての同位体の構成の変換は、放射性の有無を問わず、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
「任意の」又は「任意に」とは後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合及びその事項又は状況が生じない場合を含むことを意味する。
【0049】
用語「置換される」とは、特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されることで、特定の原子の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基が酸素(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。酸素置換は、芳香族基に生じない。用語「任意に置換される」とは、置換されていてもよく、置換されていなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0050】
変量(例えば、R)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れる場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、前記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRが独立の選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0051】
連結基の数が0の場合、例えば、ー(CRR)ーは当該連結基が単結合であることを表す。
【0052】
置換基の数が0の場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、ーAー(R)は当該構造が実際にーAであることを表す。
【0053】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、AーXにおけるXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。
【0054】
そのうちの一つの変量が単結合の場合、それで連結している2つの基が直接連結しており、例えば、AーLーZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にAーZになる。
【0055】
置換基の結合は交差して一つの環における2個以上の原子に連結する場合、このような置換基はこの環における任意の原子と結合してもよく、例えば、構造単位
【化10】

はその置換基Rがシクロヘキシル基又はシクロヘキサジエンにおける任意の位置に置換されてもよいことを表す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された基に連結するか明示しない場合、こうのような置換基はその任意の原子を通して結合してもよく、例えば、ピリジニルは置換基としてピリジン環における炭素原子のいずれかを通して置換された基に連結してもよい。
【0056】
挙げられた連結基に対してその連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意で、例えば、
【化11】

における連結基LはーMーWーで、この時ーMーWーは左から右への読む順と同様の方向で環Aと環Bを連結して
【化12】

を構成してもよく、左から右への読む順と反対の方向で環Aと環Bを連結して
【化13】

を構成してもよい。前記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせで安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0057】
別途に定義しない限り、ある基が一つ又は複数の連結可能な部位を有する場合、当該基の任意の一つ又は複数の部位は化学結合を介してほかの基と連結してもよい。前記部位のほかの基と連結する化学結合は、直線形実線
【化14】

で表示される。例えば、ーOCHにおける直線形実線の結合は当該基における酸素原子を介してほかの基と連結していることを表す。
【0058】
【化15】

における直線形破線の結合は当該基における窒素原子の両端を介してほかの基と連結していることを表す。
【0059】
【化16】

における波線は当該フェニルにおける1及び2位の炭素原子を介してほかの基と連結していることを表す;
【0060】
【化17】

は当該ピペリジニルの任意の連結可能部位が一つの化学結合を介して他のラジカルに連結され得ることを表し、少なくとも
【化18】

の4つの連結形態が含まれ、ーNーにH原子を描く場合でも
【化19】

は依然として
【化20】

結合型のラジカルを含み、1つの化学結合のみが連結されている場合、その部位のHはそれに応じて1つが減少して対応する一価ピペリジニルになる。
【0061】
別途に定義しない限り、環における原子の数は、通常、環の員数と定義され、例えば、「5~7員環」とは5~7個の原子が環状に並んでいる「環」を表す。
【0062】
別途に定義しない限り、用語「C1ー6アルキル」は直鎖又は分岐鎖の1~6個の炭素原子からなる飽和炭化水素基を表す。前記C1ー6アルキルはC1ー5、C1ー4、C1ー3、C1ー2、C2ー6、C2ー4、C及びCアルキルなどを含み、1価のもの(例えば、メチル)、2価のもの(例えば、メチレン)又は多価のもの(例えば、メチン)でもよい。C1ー6アルキルの実施例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(nープロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(nーブチル、イソブチル、sーブチル及びtーブチルを含む)、ペンチル(nーペンチル、イソペンチル及びネオペンチルを含む)、ヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0063】
別途に定義しない限り、用語「C1ー3アルキル」は直鎖又は分岐鎖の1~3個の炭素原子からなる飽和炭化水素基を表す。前記C1ー3アルキルはC1ー2及びC2ー3アルキルなどを含み、1価のもの(例えば、メチル)、2価のもの(例えば、メチレン)又は多価のもの(例えば、メチン)でもよい。C1ー3アルキルの実施例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(nープロピル及びイソプロピルを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0064】
別途に定義しない限り、用語「ハロ」又は「ハロゲン」そのもの又はもう一つの置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の原子を表す。
【0065】
別途に定義しない限り、用語「C3ー6シクロアルキル」は3~6個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を指し、単環式および二環式系を含み、その中で炭素原子は任意に酸化(即ち、C=O)されることができる。前記C3ー6シクロアルキルはC3ー5、C4ー5及びC5ー6シクロアルキルなどを含み;1価のもの、2価のもの又は多価のものでもよい。C3ー6シクロアルキルの実施例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0066】
別途に定義しない限り、「C2ー6アルケニル」は直鎖又は分岐鎖の少なくとも1個の炭素ー炭素二重結合を含む、2~6個の炭素原子からなる炭化水素基を表し、炭素ー炭素二重結合は当該基の任意の位置にあってもよい。前記C2ー6アルケニルはC2ー4、C2ー3、C、C及びCアルケニルなどを含み、1価のもの、2価のもの又は多価のものでもよい。C2ー6アルケニルの実施例は、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0067】
別途に定義しない限り、「C2ー4アルケニル」は直鎖又は分岐鎖の少なくとも1個の炭素ー炭素二重結合を含む、2~4個の炭素原子からなる炭化水素基を表し、炭素ー炭素二重結合は当該基の任意の位置にあってもよい。前記C2ー4アルケニルはC2ー3、C、C及びCアルケニルなどを含み;前記C2ー4アルケニルは1価のもの、2価のもの又は多価のものでもよい。C2ー4アルケニル実施例は、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ブタジエニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0068】
別途に定義しない限り、「C2ー6アルキニル」は直鎖又は分岐鎖の少なくとも1個の炭素ー炭素三重結合を含む、2~6個の炭素原子からなる炭化水素基を表し、炭素ー炭素三重結合は当該基の任意の位置にあってもよい。前記C2ー6アルキニルはC2ー4、C2ー3、C、C及びCアルキニルなどを含む。それは1価のもの、2価のもの又は多価のものでもよい。C2ー6アルキニルの実施例は、エチニル、プロパギル、ブチニル、ペンチニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0069】
別途に定義しない限り、「C2ー4アルキニル」は直鎖又は分岐鎖の少なくとも1個の炭素ー炭素三重結合を含む、2~4個の炭素原子からなる炭化水素基を表し、炭素ー炭素三重結合は当該基の任意の位置にあってもよい。前記C2ー4アルキニルはC2ー3、C、C及びCアルキニルなどを含む。それは1価のもの、2価のもの又は多価のものでもよい。C2ー4アルキニルの実施例は、エチニル、プロパギル、ブチニル、ペンチニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0070】
別途に定義しない限り、用語「C1ー3アルコキシ」は1つの酸素原子を介して分子の残りの部分に結合した1~3個の炭素原子を含むアルキルを指す。前記C1ー3アルコキシはC1ー2、C2ー3、C及びCアルコキシなどを含む。C1ー3アルコキシの実施例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(nープロポキシおよびイソプロポキシを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0071】
別途に定義しない限り、用語「C1ー3アルキルアミノ」はアミノ基を介して分子の残りの部分に結合した1~3個の炭素原子を含むアルキルを指す。前記C1ー3アルキルアミノはC1ー2、C及びCアルキルアミノなどを含む。C1ー3アルキルアミノの実施例は、ーNHCH、ーN(CH、ーNHCHCH、ーN(CH)CHCH、ーNHCHCHCH、ーNHCH(CHなどを含むが、これらに限定されない。
【0072】
別途に定義しない限り、用語「3~6員ヘテロシクロアルキル」自身又はほかの用語との併用はそれぞれ3~6個の環原子からなる飽和の環状基を表し、その1、2、3又は4個の環原子は独立にO、S及びNから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子で、ここで、窒素原子は任意に第四級アンモニウム化されてもよく、炭素、窒素及び硫黄のヘテロ原子は任意に酸化されてもよい(即ち、C(=O)、NO及びS(O)で、pは1又は2である)。それは単環系及び二環系を含み、ここで、二環系はスピロ環、縮合環及び架橋環を含む。また、当該「3~6員ヘテロシクロアルキル」について、ヘテロ原子はヘテロシクロアルキルの分子のほかの部分との連結部位を占めてもよい。前記3~6員ヘテロシクロアルキルは4~6員、5~6員、4員、5員及び6員ヘテロシクロアルキルなどを含む。3~6員ヘテロシクロアルキルの実施例は、アゼチジル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジル、ピラゾリニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロチエニル(テトラヒドロチエンー2ーイル及びテトラヒドロチエンー3ーイルなどを含む)、テトラヒドロフラニル(テトラヒドロフランー2ーイルなどを含む)、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル(1ーピペリジニル、2ーピペリジニル及び3ーピペリジニルなどを含む)、ピペラジニル(1ーピペラジニル及び2ーピペラジニルなどを含む)、モルホリニル(3ーモルホリニル及び4ーモルホリニルなどを含む)、ジオキサニル、ジチアジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,2ーオキサジニル、1,2ーチアジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ホモピペラジニルやホモピペリジニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0073】
別途に定義しない限り、本発明の用語「5~6員ヘテロ芳香環」及び「5~6員ヘテロアリール」は入れ替えて使用することができ、用語「5~6員ヘテロアリール」は5~6個の環原子からなる、共役π電子系を有する環状基を表し、その1、2、3又は4個の環原子は独立にO、S及びNから選ばれるヘテロ原子で、残りは炭素原子である。ここで、窒素原子は任意に第四級アンモニウム化されてもよく、炭素、窒素及び硫黄のヘテロ原子は任意に酸化されてもよい(即ち、C(=O)、NO及びS(O)で、pは1又は2である)。前記5~6員ヘテロアリールはヘテロ原子又は炭素原子を通じて分子のほかの部分に連結される。前記5~6員ヘテロアリールは5員および6員のヘテロアリールを含む。前記5~6員ヘテロアリールの実施例は、ピロリル(Nーピロリル、2ーピロリル及び3ーピロリルなどを含む)、ピラゾリル(2ーピラゾリル及び3ーピラゾリルなどを含む)、イミダゾリル(Nーイミダゾリル、2ーイミダゾリル、4ーイミダゾリル及び5ーイミダゾリルなどを含む)、オキサゾリル(2ーオキサゾリル、4ーオキサゾリル及び5ーオキサゾリルなどを含む)、トリアゾリル(1Hー1,2,3ートリアゾリル、2Hー1,2,3ートリアゾリル、1Hー1,2,4ートリアゾリル及び4Hー1,2,4ートリアゾリルなどを含む)、テトラゾリル、イソオキサゾリル(3ーイソオキサゾリル、4ーイソオキサゾリル及び5ーイソオキサゾリルなどを含む)、チアゾリル(2ーチアゾリル、4ーチアゾリル及び5ーチアゾリルなどを含む)、フラニル(2ーフラニル及び3ーフラニルなどを含む)、チエニル(2ーチエニル及び3ーチエニルなどを含む)、ピリジニル(2ーピリジニル、3ーピリジニル及び4ーピリジニルなどを含む)、ピラジニル、ピリミジニル(2ーピリミジニル及び4ーピリミジニルなどを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0075】
本発明に使用される溶媒は市販品として入手可能である。
【0076】
本発明は下記の略語を使用する:aqは水を表し;eqは当量、等量を表し;DCMはジクロロメタンを表し;PEは石油エーテルを表し;DMFはN,Nージメチルホルムアミドを表し;DMSOはジメチルスルホキシドを表し;EtOAcは酢酸エチルを表し;EtOHはエタノールを表し;MeOHはメタノールを表し;Cbzはベンジルオキシカルボニルを表し、アミノ保護基であり;Bocはtertーブトキシカルボニルを表し、アミノ保護基であり;HOAcは酢酸を表し;THFはテトラヒドロフランを表し;LDAはリチウムジイソプロピルアミドを表す。
【0077】
化合物は本分野の通常の命名原則又はChemDraw(登録商標)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の何らの不利な制限にもならない。本明細書は本発明を詳しく説明し、その具体的な実施例も開示したが、当業者には、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変更や改良を加えることは、容易に想到できることである。
【0079】
実施例1
【化21】
【0080】
合成スキーム:
【化22】
【0081】
化合物1ー10の調製:
フェノール(8.18g、86.92mmol、7.64mL、1eq)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、カリウムtertーブトキシド(11.70g、104.27mmol、1.2eq)及び化合物1ー9(10g、86.90mmol、7.94mL、1eq)を加え、得られた反応溶液を室温(30℃)で6時間反応させた。反応溶液をゆっくりと水(150mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を順次に1Nの水酸化ナトリウム(150mL)水溶液と飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して、化合物1ー10を得た。HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 8.02(q,J=8.0Hz,1H),7.50-7.41(m,2H),7.31-7.24(m,1H),7.21-7.14(m,2H),6.90(ddd,J=1.8,7.8,14.2Hz,2H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):190.3。
【0082】
化合物1ー6の調製:
ー78℃、窒素ガス保護下の化合物1ー10(0.67g、3.54mmol、1eq)の無水テトラヒドロフラン(15mL)溶液に、nーブチルリチウム(2.5M、1.6mL、1.13eq)を滴下し、得られた反応溶液をー78℃で1時間反応させた後、トリイソプロピルボロン酸エステル(866mg、4.60mmol、1.06mL、1.3eq)を加え、ー78℃で1時間反応させた。反応溶液に飽和塩化アンモニウム(30mL)水溶液を加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して、化合物1ー6を得た。HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 8.15(t,J=8.5Hz,1H),7.52ー7.39(m,2H),7.32ー7.22(m,1H),7.17(brd,J=7.8Hz,2H),6.87(dd,J=1.6,7.9Hz,1H),1.36ー1.14(m,1H),0.87ー0.55(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):234.1。
【0083】
化合物1ー3の調製:
LDA溶液の調製:窒素ガス保護下で、ー78℃のジイソプロピルアミン(1.70g、16.80mmol、2.37mL、1.05eq)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液にnーブチルリチウム(2.5M、7.04mL、1.1eq)を滴下し、得られた混合物を0℃に昇温させて0.5時間反応させ、使用のためにー78℃に冷却させた。
【0084】
ー78℃、窒素ガス保護下で、前記LDA溶液を化合物1ー1(1.84g、15.99mmol、1eq)を溶解させた無水テトラヒドロフラン(5mL)溶液に滴下し、得られた混合物をー78℃で1時間で反応させ、反応溶液に、化合物1ー2(3.41g、15.99mmol、1eq)が溶解された無水テトラヒドロフラン(5mL)溶液を滴下し、得られた混合物を徐々に室温(24℃)に昇温させ、続いて16時間反応させた。反応系に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチル(20mL)を加え、分層・抽出し、有機相を飽和食塩水(10mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して、化合物1ー3を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):272.9。
【0085】
化合物1ー4の調製:
0℃で、デス・マーチンペルヨージナン(7.84g、18.47mmol、5.72mL、1.2eq)を化合物1ー3(5.07g、15.44mmol、1eq)が溶解された無水ジクロロメタン(300mL)溶液に加え、徐々に室温(26℃)に昇温させて3時間反応させた。反応系に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)、及びジクロロメタン(400mL)を加え、濾過し、濾液を分層し、有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して、化合物1ー4を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):270.9。
【0086】
化合物1ー5の調製:
化合物1ー4(5.94g、18.20mmol、1eq)の1,4ージオキサン(500mL)とエタノール(100mL)溶液に炭酸水素ナトリウム(1.72g、20.51mmol、797.50μL、1.13eq)とヒドラジン水和物(2.32g、45.35mmol、2.25mL、2.49eq)を加え、得られた混合物を75℃に加熱して16時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、ジクロロメタン/メタノール(110mL、v/v=10/1)でスラリー化させ、濾過し、濾液減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して、化合物1ー5を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):321.4。
【0087】
化合物1ー7の調製:
化合物1ー5(500mg、1.56mmol、1eq)と化合物1ー6(600mg、2.58mmol、1.65eq)のジクロロエタン(20mL)懸濁液に、酢酸銅(600mg、3.30mmol、2.12eq)、ピリジン(600mg、7.59mmol、612.24μL、4.86eq)及び4Aモレキュラーシーブ(500mg)を加えた。得られた混合物を酸素ガスで3回置換し、酸素ガスバルーン雰囲気下で70℃に加熱して40時間反応させた。反応溶液を濾過し、濾液を減圧濃縮し、ジクロロメタン(100mL)、水(20mL)、アンモニア水(純度:30%)(15mL)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して、化合物1ー7を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):508.1。
【0088】
化合物1ー8の調製:
化合物1ー7(250mg、492.58μmol、1eq)のジクロロメタン(4mL)にトリフルオロ酢酸(1.54g、13.51mmol、1mL、27.42eq)を加えた。得られた混合物を室温(31℃)で0.5時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物1ー8(組成生物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):408.0。
【0089】
化合物1Aと1Bの調製
化合物1ー8(200mg、383.55μmol、1eq、トリフルオロ酢酸塩)と炭酸ナトリウム(200mg、1.89mmol、4.92eq)のテトラヒドロフラン(3mL)と水(3mL)に塩化アクリロイル(40mg、441.95μmol、36.04μL、1.15eq)が溶解されたテトラヒドロフラン(0.1mL)を加え、得られた混合物を室温(31℃)で10分間反応させた。反応溶液にジクロロメタン(50mL)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、順次にカラムクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィー(アルカリ性)で分離・精製し、超臨界流体クロマトグラフィーで検出(カラム:Chiralcel OJー3 150×4.6mmI.D,3μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミンのエタノール溶液;勾配:Bは5分間で5%から40%になり、40%で2.5分間保持し、5%に戻って2.5分間平衡し;流速:2.5mL/min;カラム温度:35℃;波長:220nm)し、分析してラセミ化合物であった。分離してキラル異性体化合物1Aと化合物1Bを得、保持時間はそれぞれ5.091分間、5.687分間であった。
【0090】
化合物1A:H NMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.43-9.42(m,1H)8.51-8.49(m,1H),7.51-7.47(m,4H),7.31ー7.25(m,3H),6.85-6.83(m,1H),6.13ー6.08(m,1H),5.68ー5.63(m,1H),4.62-4.58(m,1H),4.32-3.95(m,2H),3.65ー3.55(m,1H),2.30-2.20(m,1H),2.05-1.80(m,3H),1.60-1.50(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):462.2。
【0091】
化合物1B:H NMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.43-9.41(m,1H),8.49(s,1H),7.51-7.47(m,4H),7.32ー7.25(m,3H),6.85-6.83(m,1H),6.12ー6.08(m,1H),5.70ー5.64(m,1H),4.61-4.58(m,1H),4.29-3.95(m,2H),3.65ー3.55(m,1H),2.28-2.20(m,1H),2.05-1.80(m,3H),1.60-1.50(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):462.0。
【0092】
実施例2
【化23】
【0093】
合成スキーム:
【化24】
【0094】
化合物2ー3の調製:
化合物2ー2(30g、149.38mmol、2.16eq)を化合物2ー1(9g、69.18mmol、1eq)のジクロロエタン(500mL)溶液に加えた後、順次にピリジン(17.64g、223.01mmol、18.00mL、3.22eq)、4Aモレキュラーシーブ(9g)及び酢酸銅(25.20g、138.74mmol、2.01eq)を加え、酸素ガスで3回置換し、酸素ガス雰囲気下で60℃に加熱して16時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物2ー3を得た。
【0095】
化合物2ー4の調製:
順次にビス(ピナコラート)ジボロン(9.79g、38.55mmol、2eq)、酢酸カリウム(3.78g、38.56mmol、2eq)及び[1,1’ービス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(1.43g、1.95mmol、1.01eー1eq)を化合物2ー3(5.5g、19.29mmol、1当量)の無水1,4ージオキサン(150mL)に加え、窒素ガスの保護下で110℃に加熱して16時間反応させた。反応溶液を室温に冷却させた後、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物2ー4を得た。H NMR(400MHz,CDCl3) δ 7.78-7.76(m,2H),7.16-7.14(m,1H),7.04-7.01(m,2H),6.99ー6.91(m,2H),1.33(s,12H)。
【0096】
化合物2ー5の調製:
化合物2ー4(2g、6.02mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(40mL)と水(10mL)に溶解させた後、過ヨウ素酸ナトリウム(3.86g、18.06mmol、1.00mL、3eq)を加え、室温(26℃)で0.5時間反応させた後、塩酸(2M、2.00mL、6.64eー1eq)を加え、続いて室温(26℃)で16時間反応させた。反応溶液に酢酸エチル(20mL×3)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物2ー5を得た。H NMR(400MHz,DMSOーd) δ 8.16-8.14(m,2H),7.71-7.69(m,1H),7.21-7.18(m,1H),7.07-6.96(m,3H)。
【0097】
化合物2ー6の調製:
化合物1ー5(400mg、1.25mmol、198eq)を化合物2ー5(624.31mg、2.50mmol、2eq)のジクロロエタン(15mL)溶液に加え、順次にピリジン(321.44mg、4.06mmol、328μL、3.25eq)、4Aモレキュラーシーブ(500mg)と酢酸銅(468mg、2.58mmol、2.06eq)を加え、酸素ガスで3回置換し、酸素ガスバルーン雰囲気下で60℃に加熱して16時間反応させた。反応溶液を室温に冷却させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、ジクロロメタン(5mL)に溶解させ、水(3mL)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物2ー6を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):525.3。
【0098】
化合物2ー7の調製:
トリフルオロ酢酸(4.62g、40.52mmol、3.00mL、70.84eq)を化合物2ー6(300mg、571.94μmol、1eq)の無水ジクロロメタン(2mL)溶液に加え、室温(25℃)で0.5時間反応させた。反応溶液を直接に減圧濃縮し、残留物にジクロロメタン(20mL)を加えて溶解させた後、更に減圧濃縮して化合物2ー7(組成生物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H) :425.0。
【0099】
化合物2A和2Bの調製:
化合物2ー7(200mg、371.44μmol、1eq、トリフルオロ酢酸塩)をテトラヒドロフラン(2mL)と水(2mL)に溶解させ、炭酸ナトリウム(50.00mg、471.74μmol、1.27eq)を加え、塩化アクリロイル(26mg、287.27μmol、23.42μL、7.73eー1eq)が溶解された無水テトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を滴下し、室温(26℃)で10分間反応させた。反応溶液を塩酸(1M)でpH=7に調節し、更に水(5mL)、ジクロロメタン(10mL)とメタノール(1mL)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(アルカリ性)で分離・精製し、超臨界流体クロマトグラフィーで検出(カラム:Chiralpak ADー350×3mmI.D、3μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:5%のジエチルアミンのエタノール溶液;勾配:Bは2.5分間で5%から40%になり、40%で0.35分間保持し、5%に戻って0.15分間平衡し;流速:2.8mL/min;カラム温度:40℃;波長:220nm)し、分析してラセミ化合物であった。分離して、キラル異性体化合物2Aと化合物2Bを得、それぞれ保持時間が2.205分間と2.504分間であった。
【0100】
化合物2A:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 8.94(s,1H),8.21ー8.19(m,1H),7.64ー7.62 (m,2H),7.22ー7.05(m,5H),6.69ー6.62(m,1H),6.30ー6.26(m,1H),5.70ー5.65(m,1H),5.01ー4.98(m,0.5H),4.65ー4.62(m,0.5H),4.33ー4.30(m,0.5H),4.09ー4.06(m,0.5H),3.52ー3.41(m,1.5H) ,3.20ー3.17(m,1H),2.89ー2.86 (m,0.5H),2.35ー2.32(m,1H),2.07ー2.04 (m,2H),1.96ー1.70(m,1H)。LCMS:MSm/z(M+H):479.5。
【0101】
化合物2B:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 8.94(s,1H),8.21ー8.19(m,1H),7.64ー7.62 (m,2H),7.22ー7.05(m,5H),6.68ー6.62(m,1H),6.30ー6.26(m,1H),5.73ー5.65(m,1H),5.01ー4.98(m,0.5H),4.65ー4.62(m,0.5H),4.33ー4.30(m,0.5H),4.09ー4.06(m,0.5H),3.54ー3.41(m,1.5H) ,3.21ー3.17(m,1H),2.92ー2.89 (m,0.5H),2.35ー2.32(m,1H),2.07ー2.03 (m,2H),1.96ー1.70(m,1H)。LCMS:MSm/z(M+H):479.1。
【0102】
実施例3
【化25】
【0103】
合成スキーム:
【化26】
【0104】
化合物3ー9の調製:
炭酸セシウム(46.25g、141.95mmol、2eq)を化合物3ー8(10g、70.87mmol、7.52mL、1eq)と化合物2ー2(11.25g、86.48mmol、1.22eq)の無水N,Nージメチルホルムアミド(500mL)溶液に加え、140℃下で16時間反応させた。反応溶液を室温に冷却させた後、減圧濃縮して溶媒を除去し、酢酸エチル(500mL)を加えて溶解させ、更に水(200mL)を加え、分層し、有機相を飽和食塩水(200mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物3ー9を得た。
【0105】
化合物3ー10の調製:
湿ったパラジウム炭素(4.5g、純度:10%)を化合物3ー9(9g、35.83mmol、1eq)の無水メタノール(250mL)に加え、水素ガスで3回置換し、水素ガスバルーン雰囲気下で室温(15℃)で3時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、濾液を減圧濃縮して、化合物3ー10を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):221.7。
【0106】
化合物3ー4の調製:
塩酸(600mL)(濃塩酸)を化合物3ー10(19g、85.89mmol、1eq)に加え、0℃に冷却させ、亜硝酸ナトリウム(11.85g、171.79mmol、2eq)が溶解された水(200ml)溶液を一滴づつ前記反応溶液に滴下し、0℃で1時間反応させ、塩化第一スズ二水和物(79.47g、352.17mmol、4.1eq)と塩酸(200mL)(濃塩酸)の混合物を滴下し、滴下完了後、0℃で3時間反応させた。水酸化ナトリウム(6M)でpH=12に調節し、ジクロロメタン(2000mL)を加え、分層し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物3ー4を得た。HNMR(400MHz,CDCl) δ 7.27(s,1H),7.11ー7.00(m,2H),6.98ー6.90(m,2H),6.88ー6.76(m,2H),5.08(s,1H),3.56(s,2H)。
【0107】
化合物3ー2の調製:
化合物3ー1(10g、43.24mmol、1eq)のジクロロメタン(120mL)溶液に、N,N’ーカルボニルジイミダゾール(7.71g、47.57mmol、1eq)を加え、得られた反応溶液を10℃で1時間反応させた後、N,Oージメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.72g、48.37mmol、1.12eq)を加え、得られた反応溶液を10℃で16時間反応させた。反応液にジクロロメタン(100mL)と水(60mL)を加え、分層・抽出した。有機相を順次に1Nの塩酸水溶液(50mL)、1Nの水酸化ナトリウム水溶液(50mL)と飽和食塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物3ー2を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):218.9。
【0108】
化合物3ー3の調製:
LDA溶液の調製:ー78℃の窒素ガス保護下で、ジイソプロピルアミン(1.49g、14.74mmol、2.08mL、1.62eq)の無水テトラヒドロフラン(30mL)溶液にn―ブチルリチウム(2.5M、6.0mL、1.65eq)を滴下し、得られた混合物を0℃に昇温させ、0.5時間反応させ、更にー78℃に冷却させ、準備した。
【0109】
ー78℃の窒素ガスの保護下で、前記LDA溶液に化合物1ー1(2.5g、9.11mmol、1eq)と3ー2(1.26g、10.94mmol、2.98mL、1.2eq)が溶解された無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液を滴下し、得られた混合物を徐々に室温(15℃)に昇温させ、続いて16時間反応させた。飽和塩化アンモニウム(100mL)を加えてクエンチングさせた後、混合溶液の溶媒の大部分を減圧下で回転蒸発させ、酢酸エチル(150mL)で抽出し、分層し、有機相を飽和食塩水(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物3ー3を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):328.9。
【0110】
化合物3ー5の調製:
10℃で、化合物3ー3(270mg、822.39μmol、1eq)、化合物3ー4(540.00mg、2.29mmol、2.78eq)、酢酸(2.10g、34.97mmol、2mL、42.52eq)とエタノール(10mL)の混合溶液を1時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮した。化合物3ー5を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):491.0。
【0111】
化合物3ー6の調製:
マイクロ波チューブに化合物3ー5(720mg、1.32mmol、1eq)、炭酸セシウム(1.29g、3.96mmol、3eq)とN,Nージメチルホルムアミド(1.5mL)を加え、得られた反応溶液を150℃に加熱し、マイクロ波で30分間反応させた。反応溶液を濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物3ー6を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):527.1。
【0112】
化合物3ー7の調製:
化合物3ー6(0.4g、759.73μmol、1eq)のジクロロメタン(8mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(3.08g、27.01mmol、2mL、35.56eq)を加え、得られた反応溶液を10℃で0.5時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物3ー7(組成生物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):427.0。
【0113】
化合物3Aと3Bの調製:
化合物3ー7(420mg、985.01μmol、1eq、トリフルオロ酢酸塩)のテトラヒドロフラン(8mL)の溶液に炭酸ナトリウム(521mg、4.92mmol、4.99eq)と水(4mL)の溶液を加えた後、塩化アクリロイル(180mg、1.99mmol、162.16μL、2.02eq)が溶解されたテトラヒドロフラン(0.2mL)溶液を滴下し、得られた反応溶液を10℃で0.5時間反応させた。反応液にジクロロメタン/メタノール(50mL、10/1)と水(50mL)を加え、分層し、有機相を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製し、超臨界流体クロマトグラフィーで検出(カラム:Chiralpak ADー3 50×4.6mmI.D、3μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:5%のジエチルアミンのエタノール溶液;勾配:Bは2分間で5%から40%になり、40%で1.2分間保持し、5%に戻って0.8分間平衡し;流速:4mL/min;カラム温度:35℃;波長:220nm)し、分析してラセミ化合物であった。分離して、キラル異性体化合物3Aと化合物3Bを得、それぞれ保持時間が1.979分と2.083分であった。
【0114】
化合物3A:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.11(brs,1H),8.37(brs,1H),7.85(brd,J=8.5Hz,2H),7.51ー7.33(m,3H),7.22(brd,J=8.5Hz,2H),6.88(brdd,J=10.3,16.6Hz,1H),6.18(brt,J=13.3Hz,1H),5.83ー5.66(m,1H),5.10ー4.91(m,1H),4.67(brd,J=13.1Hz,0.5H),4.42ー4.21(m,1H),4.18ー3.92(m,2H),3.86ー3.63(m,2H),3.09(brs,0.5H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):481.1。
【0115】
化合物3B:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.15(brs,1H),8.41(brs,1H),7.89(brd,J=8.8Hz,2H),7.54ー7.37(m,3H),7.25(brd,J=8.8Hz,2H),6.91(brdd,J=10.7,16.4Hz,1H),6.29ー6.14(m,1H),5.85ー5.68(m,1H),5.12ー4.95(m,1H),4.71(brd,J=12.8Hz,0.5H),4.46ー4.23(m,1H),4.22ー3.91(m,2H),3.90ー3.67(m,2H),3.14(brd,J=10.8Hz,0.5H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):481.1。
【0116】
実施例4
【化27】
【0117】
合成スキーム:
【化28】
【0118】
化合物4ー2の調製:
炭酸セシウム(14.78g、45.36mmol、2eq)を化合物3ー8(3.2g、22.68mmol、2.41mL、1eq)と化合物4ー1(4g、27.01mmol、1.19eq)の無水N,Nージメチルホルムアミド(100mL)溶液に加え、100℃で2.5時間反応させた。反応溶液を室温に冷却させた後、減圧濃縮し、残留物に酢酸エチル(200mL)を加えて溶解させ、更に水(200mL)を加え、分層し、有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。化合物4ー2を得た。
【0119】
化合物4ー3の調製:
湿ったパラジウム炭素(4g、純度:10%)を化合物4ー2(4g、14.86mmol、1eq)の無水メタノール(150mL)に加え、水素ガスで3回置換した後、水素ガスバルーン(15psi)雰囲気下で室温(10℃)で16時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、濾液を減圧濃縮して化合物4ー3を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):239.8。
【0120】
化合物4ー4の調製:
塩酸(200mL)(濃塩酸)を化合物4ー3(6.5g、27.17mmol、1eq)に加え、0℃に冷却させ、亜硝酸ナトリウム(3.75g、54.35mmol、2eq)の水(70mL)溶液を一滴づつ前記反応溶液に加え、0℃で1時間反応させた後、塩化スズ二水和物(24.53g、108.70mmol、4eq)と塩酸(70mL)(濃塩酸)の混合物を滴下し、滴下完了後、0℃で3時間反応させ、ゆっくりと室温(10℃)に昇温させて続いて16時間反応させた。水酸化ナトリウム(6M)でpHを約12に調節し、ジクロロメタン(500mL×3)を加え、分層・抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。化合物4ー4を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):255.0。
【0121】
化合物4ー5の調製:
化合物1ー5(0.5g、1.53mmol、1eq)と化合物4ー4(1.00g、3.93mmol、2.57eq)のエタノール(15mL)溶液に酢酸(3.15g、52.38mmol、3mL、34.24eq)を加え、室温(20℃)で16時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物4ー5を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):507.3。
【0122】
化合物4ー6の調製:
化合物4ー5(1.59g、2.83mmol、1eq)のN,Nージメチルホルムアミド(20mL)溶液に炭酸セシウム(2.76g、8.48mmol、3eq)を加え、135℃昇温させて1.5時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通じて)し、ケーキをN,Nージメチルホルムアミド(20mL)で洗浄し、合わせた濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物4ー6を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):543.3。
【0123】
化合物4ー7の調製:
化合物4ー6(110mg、196.92μmol、1eq)のジクロロメタン(4mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(1.54g、13.51mmol、1mL、68.59eq)を加え、室温(20℃)で0.5時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物4ー7(粗生成物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):443.1。
【0124】
化合物4A和4Bの調製:
化合物4ー7(677mg、1.22mmol、1eq、トリフルオロ酢酸塩)のテトラヒドロフラン(10mL)と水(10mL)溶液に炭酸ナトリウム(1g、9.43mmol、7.75eq)を加え、反応溶液に塩化アクリロイル(63mg、696.07μmol、56.76μL、5.72eー1eq)が溶解されたテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下し、室温(25℃)で1時間反応させた。塩化アシル(35mg、386.71μmol、31.53μL、3.18eー1eq)が溶解されたテトラヒドロフラン(1mL)溶液を補充し、続いて室温(25℃)で0.5時間反応させた。反応溶液を1Nの塩酸で約pH=5に調節し、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製し、超臨界流体クロマトグラフィーで検出(カラム:Chiralpak ADー3 50x4.6mmI.D、3μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミンのメタノール溶液;勾配:Bは2分間で5%から40%になり、40%で1.2分間保持し、5%に戻って0.8分間平衡化し;流速:4mL/min;カラム温度:35℃;波長:220nm)し、分析してラセミ化合物であった。分離して、キラル異性体化合物4Aと化合物4Bを得、保持時間はそれぞれ2.134分と2.518分であった。
【0125】
化合物4A:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.11(s,1H),8.34(s,1H),7.87(d,J=8.8Hz,2H),7.48-7.39(m,1H),7.35(d,J=8.8Hz,2H),7.14ー7.03(m,1H),6.94ー6.75(m,1H),6.09(t,J=16.3Hz,1H),5.73ー5.55(m,1H),4.72(d,J=12.0Hz,0.5H),4.31(t,J=14.8Hz,1H),4.08(d,J=13.3Hz,0.5H),3.55ー3.43(m,0.5H),3.32ー3.13(m,1.5H),3.13ー2.90(m,1H),2.27-2.17(m,1H),2.06ー1.81(m,2H),1.65ー1.49(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):497.2。
【0126】
化合物4B:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.12(s,1H),8.36(s,1H),7.89(d,J=8.8Hz,2H),7.52ー7.40(m,1H),7.37(d,J=9.0Hz,2H),7.16ー7.06(m,1H),6.94ー6.74(m,1H),6.10(t,J=16.6Hz,1H),5.75ー5.56(m,1H),4.73(d,J=11.5Hz,0.5H),4.32(t,J=15.1Hz,1H),4.10(d,J=13.1Hz,0.5H),3.58ー3.44(m,0.5H),3.32ー3.13(m,1.5H),3.15ー2.92(m,1H),2.27-2.17(m,1H),2.09ー1.82(m,2H),1.65ー1.49(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):497.2。
【0127】
実施例5
【化29】
【0128】
合成スキーム:
【化30】
【0129】
化合物5ー2の調製:
化合物3ー8(5.16g、36.57mmol、3.88mL、1eq)、化合物5ー1(5.32g、40.89mmol、7.54mL、1.12eq)、炭酸セシウム(23.83g、73.14mmol、2eq)とN,Nージメチルホルムアミド(60mL)の混合溶液を80℃に加熱して2時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物5ー2を得た。HNMR(400MHz,CDCl) δ 8.24ー8.26(m,2H),6.99ー7.17(m,5H)。
【0130】
化合物5ー3の調製:
化合物5ー2(4.5g、17.92mmol、1eq)のメタノール(60mL)溶液に湿ったパラジウム炭素(2.3g、純度:10%)を加え、水素ガスで3回置換した後、15℃の水素ガスバルーン雰囲気下で、16時間攪拌した。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物5ー3を得た。HNMR(400MHz,CDCl) δ 6.79ー6.83(m,4H),6.64ー6.53(m,3H),3.54(brs,2H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):222.1。
【0131】
化合物5ー4の調製:
0℃で、化合物5ー3(5.5g、24.86mmol、1eq)の塩酸(150mL)(濃塩酸)溶液に亜硝酸ナトリウム(3.43g、49.73mmol、2eq)を溶解させた水(50mL)溶液を滴下し、0℃を維持させながら1時間反応させた後、反応溶液に塩化スズ二水和物(23.00g、101.94mmol、4.1eq)の塩酸(50mL)(濃塩酸)溶液を滴下し、0℃を維持させながら3時間反応させた。反応溶液を水酸化ナトリウム溶液(6N)で約pH=13に調節し、ジクロロメタン(200mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物5ー4を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):237.1。
【0132】
化合物5ー5の調製:
化合物1ー5(500mg、1.53mmol、1eq)と化合物5ー4(1.00g、4.23mmol、2.76eq)のエタノール(25mL)溶液に酢酸(5.25g、87.43mmol、5mL、57.06eq)を加え、室温(25℃)で16時間反応させ、反応溶液を減圧濃縮して化合物5ー5を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):489.1。
【0133】
化合物5ー6の調製:
化合物5ー5(1.9g、3.49mmol、1eq)のN,Nージメチルホルムアミド(30mL)溶液に炭酸セシウム(3.45g、10.57mmol、3.03eq)を加え、135℃に昇温させて1時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、ケーキをN,Nージメチルホルムアミド(30mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物5ー6を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):525.3。
【0134】
化合物5ー7の調製:
化合物5ー6(585mg、1.12mmol、1eq)のジクロロメタン(16mL)にトリフルオロ酢酸(6.16g、54.02mmol、4mL、48.44eq)を滴下し、室温(30℃)で0.5時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物5ー7(粗成生物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):425.2。
【0135】
化合物5A和5Bの調製:
化合物5ー7(1.36g、2.53mmol、1eq、トリフルオロ酢酸塩)のテトラヒドロフラン(10mL)と水(10mL)溶液に炭酸ナトリウム(1.15g、10.85mmol、4.30eq)を加え、反応溶液に塩化アクリロイル(130mg、1.44mmol、117.12μ、5.69eー1eq)が溶解されたテトラヒドロフラン(1mL)溶液を加え、室温(25℃)で1時間反応させた。1Nの塩酸で反応溶液を約pH=5に調節し、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製し、超臨界流体クロマトグラフィーで検出(カラム:Cellulose 2 150×4.6mmI.D、5μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミンのエタノール溶液;勾配:Bは5分間で5%から40%になり、40%で2.5分間保持し、5%に戻って2.5分間平衡化し;流速:2.5mL/min;カラム温度:35℃;波長:220nm)し、分析してラセミ化合物であった。分離して、キラル異性体化合物5Aと化合物5Bを得、保持時間はそれぞれ6.616分と6.971分であった。
【0136】
化合物5A:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.09(s,1H),8.33(s,1H),7.85(d,J=9.0Hz,2H),7.39ー7.22(m,4H),7.16ー7.05(m,1H),6.92ー6.76(m,1H),6.09(t,J=16.1Hz,1H),5.72ー5.57(m,1H),4.72(d,J=12.3Hz,0.5H),4.31(t,J=13.7Hz,1H),4.17ー4.00(m,0.5H),3.53ー3.44(m,0.5H),3.33ー3.14(m,1.5H),3.12ー3.02(m,0.5H),3.01ー2.89(m,0.5H),2.27ー2.16(m,1H),2.05ー1.80(m,2H),1.66ー1.46(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):479.2。
【0137】
化合物5B:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.09(s,1H),8.33(s,1H),7.85(d,J=8.8Hz,2H),7.40ー7.23(m,4H),7.14ー7.04(m,1H),6.94ー6.75(m,1H),6.10(t,J=16.1Hz,1H),5.72ー5.52(m,1H),4.73(d,J=12.5Hz,0.5H),4.32(t,J=12.7Hz,1H),4.09(d,J=13.1Hz,0.5H),3.57ー3.44(m,0.5H),3.33ー3.15(m,1.5H),3.12ー3.03(m,0.5H),3.03ー2.88(m,0.5H),2.27ー2.16(m,1H),2.05ー1.79(m,2H),1.68ー1.49(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):479.2。
【0138】
実施例6
【化31】
【0139】
合成スキーム:
【化32】
【0140】
化合物6ー2の調製:
化合物6ー1(19g、134.66mmol、14.29mL、1eq)と化合物3ー8(20.22g、155.43mmol、1.15eq)のN,Nージメチルホルムアミド(400mL)溶液に炭酸セシウム(84g、257.81mmol、1.91eq)を加え、80℃に昇温させて16時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、ケーキをN,Nージメチルホルムアミド(30mL)で洗浄し、合わせた濾液を反応させながら2Lの水に注ぎ、続いて室温(20℃)で10分間反応させた後濾過し、ケーキを水(20mL×5)で洗浄し、得られたケーキを150mLのジクロロメタンに溶解させ、溶液を20mLの飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物6ー2を得た。HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 8.28-8.25(m,2H),7.56-7.52(m,1H),7.45-7.30(m,1H),7.25-7.19(m,3H)。
【0141】
化合物6ー3の調製:
化合物6ー2(8g、31.85mmol、1eq)のメタノール(90mL)溶液に湿ったパラジウム炭素(4g、純度:10%)を加え、水素ガスで3回置換し、水素ガスバルーン(15psi)雰囲気下で、室温(25℃)で16時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、濾液を減圧濃縮して化合物6ー3を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):222.1。
【0142】
化合物6ー4の調製:
0℃で、化合物6ー3(6.0g、27.12mmol、1eq)の塩酸(180mL)(濃塩酸)溶液に、亜硝酸ナトリウム(3.74g、54.25mmol、2eq)が溶解された水(60mL)溶液を滴下し、0℃を維持させながら1時間反応させた後、反応溶液に塩化スズ二水和物(25.09g、111.21mmol、4.1eq)の塩酸(60mL)(濃塩酸)溶液を滴下し、0℃を維持させながら5時間反応させた。反応溶液を6Nの水酸化ナトリウム溶液で約pH=12に調節し、ジクロロメタン(150mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物6-4を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):237.1。
【0143】
化合物6ー5の調製:
化合物1ー5(500mg、1.53mmol、1eq)と化合物6ー4(1g、4.23mmol、2.76eq)のエタノール(20mL)溶液に酢酸(4.20g、69.94mmol、4mL、45.65eq)を加え、室温(25℃)で16時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物6ー5を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):489.3。
【0144】
化合物6ー6の調製:
化合物6ー5(800mg、1.47mmol、1eq)のN,Nージメチルホルムアミド(15mL)溶液に炭酸セシウム(1.5g、4.60mmol、3.13eq)を加え、マイクロ波で150℃に昇温させて0.5時間反応させた。反応溶液を濾過(珪藻土を通して)し、ケーキをN,Nージメチルホルムアミド(20mL)で洗浄し、合わせた濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製して化合物6ー6を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):525.3。
【0145】
化合物6ー7の調製:
化合物6ー6(330mg、629.13μmol、1eq)のジクロロメタン(8mL)溶液にトリフルオロ酢酸(3.08g、27.01mmol、2mL、42.94eq)を加え、室温(25℃)で0.5時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して化合物6ー7(粗生成物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):425.2。
【0146】
化合物6A和6Bの調製:
化合物6ー7(780mg、1.45mmol、1eq、トリフルオロ酢酸塩)のテトラヒドロフラン(10mL)と水(10mL)溶液に炭酸ナトリウム(1.19g、11.23mmol、7.75eq)を加え、塩化アクリロイル(70mg、773.41μmol、63.06μL、5.34eー1eq)が溶解されたテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下し、室温(25℃)で1時間反応させた。反応溶液を1Nの塩酸で約pH=5に調節し、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離・精製し、超臨界流体クロマトグラフィーで検出(カラム:Chiralpak IGー3 50x4.6mmI.D.、3μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミンのエタノール溶液;勾配:Bは2分間で5%から40%になり、40%で1.2分間保持し、5%に戻って0.8分間平衡化し;流速:4mL/min;カラム温度:35℃;波長:220nm)し、分析してラセミ化合物であった。分離して、キラル異性体化合物6Aと化合物6Bを得、保持時間はそれぞれ2.820分と3.128分であった。
【0147】
化合物6A:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.10(s,1H),8.34(s,1H),7.85(d,J=8.8Hz,2H),7.56-7.47(m,1H),7.31ー7.20(m,3H),7.19ー7.11(m,1H),6.92ー6.74(m,1H),6.09(t,J=16.2Hz,1H),5.75ー5.58(m,1H),4.73(d,J=12.0Hz,0.5H),4.41ー4.23(m,1H),4.09(d,J=13.1Hz,0.5H),3.54ー3.44(m,0.5H),3.34ー2.90(m,2.5H),2.30ー2.16(m,1H),2.07ー1.81(m,2H),1.67ー1.48(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):479.3。
【0148】
化合物6B:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 9.10(s,1H),8.35(s,1H),7.86(d,J=8.8Hz,2H),7.56-7.47(m,1H),7.35ー7.23(m,3H),7.19ー7.11(m,1H),6.93ー6.74(m,1H),6.10(t,J=16.3Hz,1H),5.76ー5.57(m,1H),4.73(d,J=12.5Hz,0.5H),4.32(t,J=14.1Hz,1H),4.10(d,J=13.1Hz,0.5H),3.55ー3.45(m,0.5H),3.34ー2.88(m,2.5H),2.30ー2.16(m,1H),2.07ー1.82(m,2H),1.68ー1.46(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):479.3。
【0149】
参照例7
【化33】
【0150】
合成スキーム:
【化34】
【0151】
化合物7ー2の調製:
化合物7ー1(6.47g、28.22mmol、1eq)のジクロロメタン(90mL)にN,N’ーカルボニルジイミダゾール(5.64g、34.78mmol、1.23eq)を加えた。得られた混合物を室温(25℃)で1時間撹拌し、N,Oージメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.12g、31.99mmol、1.13eq)を加え、室温(25℃)で16時間撹拌した。反応溶液を順次に1Mの塩酸(80ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(80ml)で洗浄し、分層・抽出し、有機相を飽和食塩水(50ml)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して乾燥させて化合物7ー2を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):217.1。
【0152】
化合物7ー4の調製:
ー65℃の窒素保護下で、化合物7ー3(3.81g、28.96mmol、1.54eq)のTHF(40mL)溶液に、nーブチルリチウム(2.5M、11mL、1.46eq)を一滴づつ滴下し、ー65℃で1時間反応させた後、化合物7ー2(5.12g、18.80mmol、1eq)のTHF(40mL)溶液を加え、ー65℃で2時間反応させ、ゆっくりと室温(25℃)に昇温させ、続いて16時間反応させた。反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液(15ml)を滴下して反応をクエンチングさせ、減圧濃縮して乾燥させた。得られた濃縮残留溶液を酢酸エチル(150ml)と水(40ml)で希釈し、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、シリカゲルカラムで精製して化合物7-4を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(Mー56+H):287.1。
【0153】
化合物7ー5の調製:
順次に化合物7ー4(7.43g、21.67mmol、1eq)の1,4ージオキサン(56mL)とエタノール(28mL)の混合溶液に炭酸ナトリウム(1.83g、21.78mmol、847.22uL、1eq)とヒドラジン水和物(1.51g、25.57mmol、1.46mL、1.18eq、純度:85%)を加え、70℃に加熱して16時間反応させた。反応溶液を濃縮して乾燥させ、シリカゲルカラムで精製して化合物7ー5を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):337.2。
【0154】
化合物7ー7の調製:
ジクロロメタン(100mL)と4Aモレキュラーシーブ(4.86g)の懸濁液に化合物7ー5(4.78g、14.19mmol、1eq)、化合物7ー6(4.88g、22.80mmol、1.61eq)、酢酸銅(3.78gとピリジン(2.25g、28.50mmol、2.3mL、2.01eq)を加え、得られた混合物を酸素ガスで3回置換した後、酸素ガスバルーン雰囲気下で60℃に加熱しで16時間反応させた。化合物7ー6(4.88g、22.80mmol、1.61eq)を補充し、続いて酸素ガス雰囲気下で60℃で16時間反応させた。反応溶液を濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、酢酸エチル(200ml)と水(60ml)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させた。シリカゲルカラムで精製して化合物7ー7得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):505.3。
【0155】
化合物7ー9の調製:
化合物7ー8(7.77g、46.47mmol、7mL、14.21eq)に化合物7ー7(1.65g、3.27mmol、1eq)と炭酸ナトリウム(540mg、6.43mmol、250.00uL、1.97eq)を加え、130℃で16時間反応させた。反応溶液に水(40ml)を加え、酢酸エチル(50mlc×2)で分層・抽出し、合わせた有機相を無水ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させた。シリカゲルカラムで精製して化合物7ー9を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):636.5。
【0156】
化合物7ー10の調製:
化合物7ー9(805mg、1.27mmol、1eq)にジクロロメタン(35mL)とトリフルオロ酢酸(5.39g、47.27mmol、3.50mL、37.33eq)を加え、0℃で0.5時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮して乾燥させて化合物7ー10(粗生成物、トリフルオロ酢酸塩)を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):536.4。
【0157】
化合物7ー11の調製:
0℃で、化合物7ー10(1.15g、1.77mmol、1eq、TFA)と炭酸ナトリウム(625mg、5.90mmol、3.33eq)のテトラヒドロフラン(30mL)と水(30mL)溶液に塩化アクリロイル(307mg、3.39mmol、276.58uL、1.92eq)を滴下し、0℃で続いて0.5時間反応させた。反応溶液にジクロロメタン(50ml)と水(20ml)を加え、分層・抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させた。化合物7ー11を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):590.4。
【0158】
化合物7ー12の調製:
TFA(15mL)に化合物7ー11(511.16mg、866.84μmol、1eq)を加え、60℃で2時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮して乾燥させ、順次にカラムクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーで分離・精製して化合物7ー12を得た。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):440.3。
【0159】
化合物7A和7Bの調製:
化合物7ー12(44mg、100.11μmol、1eq)は、SFC(カラム:ChiralpakADー350x4.6mmI.D.,3μm;移動相:A:超臨界二酸化炭素、B:0.05%のジエチルアミンのイソプロパノール溶液;勾配:40%のB;流速:4mL/min;カラム温度:35℃;波長:220nm)で検出し、非単一配置であることを示した。キラル分離して、化合物7Aと化合物7Bを得、保持時間はそれぞれ1.199分と2.095分であった。
【0160】
化合物7A:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 7.70ー7,68(m,1H),7.52ー7.43(m,2H),7.45ー7.43(m,2H),7.21ー7.16(m,5H),6.86ー6.84(m,2H),6.15ー6.08(m,1H),5.71ー5,68(m,2H),5.02ー5.64(m,1H),4.22ー4.11(m,1H),3.52ー3.44(m,1H),3.24ー3.21(m,2H),3.18ー2,90(m,1H),2.15ー2.11(m,1H),1.93ー1.86(m,2H),1,56ー1,52(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):440.3。
【0161】
化合物7B:HNMR(400MHz,DMSOーd) δ 7.70ー7,68(m,1H),7.52ー7.43(m,2H),7.47ー7.45(m,2H),7.22ー7.15(m,5H),6.87ー6.83(m,2H),6.14ー6.08(m,1H),5.73ー5,69(m,2H),5.02ー5.65(m,1H),4.23ー4.12(m,1H),3.51ー3.44(m,1H),3.24ー3.20(m,2H),3.19ー2,90(m,1H),2.16ー2.13(m,1H),1.94ー1.87(m,2H),1,57ー1,54(m,1H)。LCMS:MS(ESI)m/z(M+H):440.2。
【0162】
実験例1:BTKキナーゼ試験
1.反応条件:
緩衝条件:20mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、1mMのEGTA、0.02%のBrij35、0.02mg/mLのBSA、0.1mmのNaVO、2mmのDTT、1%のDMSO。
【0163】
2.反応工程:
2.1.新たに調製した反応緩衝液で標識基質を調製した。
2.2.前記基質溶液に所望の補因子を送達した。
2.3.標識キナーゼを基質溶液に送達し、軽く混合した。
2.4.音響技術を使用して、DMSO中の化合物をキナーゼ反応混合物の中に送達した(Echo550)。
2.5.33PーATP(最終比活性:0.01μci/μL)を反応混合物に送達して反応(ATPの最終濃度:5μM)を開始させた。
2.6.キナーゼ反応を室温で120分間培養した。
2.7.P81イオン交換紙に反応を記録した(Whatman#3698ー915)。
2.8.0.75%のリン酸でフィルターを広く洗浄した。
2.9.濾紙に残っている放射性リン酸化基質を測定した。
【0164】
3.データ分析:
キナーゼ活性データは、担体(ジメチルスルホキシド)との反応と比較した試験試料の残りのキナーゼ活性のパーセンテージで表され、IC50値とカーブフィッティングはPrism4ソフトウェア(GraphPad)を使用して得られた。
【0165】
4.実験結論:結果は表1に示された通りである。
【表1】


結論:本発明の化合物は、比較的に良好なキナーゼ阻害活性を示し、好ましい化合物のキナーゼ阻害活性は強力(IC50<100nM)であった。
【0166】
実験例2:EGFR、ITKとTECキナーゼ試験
1.反応条件:
緩衝条件:20mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、1mMのEGTA、0.02%のBrij35、0.02mg/mLのBSA、0.1mmのNaVO、2mmのDTT、1%のDMSO。
【0167】
2.反応工程:
2.1.新たに調製した反応緩衝液で標識基質を調製した。
2.2.前記基質溶液に所望の補因子を送達した。
2.3.標識キナーゼを基質溶液に送達し、軽く混合した。
2.4.音響技術を使用して、DMSO中の化合物をキナーゼ反応混合物の中に送達した(Echo550)。
2.5.33PーATP(最終比活性:0.01μci/μL)を反応混合物に送達して反応(ATPの最終濃度はそれぞれ:2μM、5μM、5μM)を開始させた。
2.6.キナーゼ反応を室温で120分間培養した。
2.7.P81イオン交換紙に反応を記録した(Whatman#3698ー915)。
2.8.0.75%のリン酸でフィルターを広く洗浄した。
2.9.濾紙に残っている放射性リン酸化基質を測定した。
【0168】
3.データ分析:
キナーゼ活性データは、担体(ジメチルスルホキシド)との反応と比較した試験試料の残りのキナーゼ活性のパーセンテージで表され、IC50値とカーブフィッティングはPrism4ソフトウェア(GraphPad)を使用して得られた。
【0169】
4.実験結論:結果は表2に示された通りである。
【表2】

結論:本発明の化合物は、比較的に良好なEGFR、ITK及びTECキナーゼ選択性を示した。
【0170】
実験例3:本発明の化合物の薬物動態学的研究
1.本発明の化合物の薬物動態研究の要約
1.1 オスCDー1マウスを試験動物として使用し、LC/MS/MS法を使用して、試験化合物をそれぞれマウスの静脈内及び胃内投与後のさまざまな時点でのマウスの血漿中の薬物濃度を測定した。マウスにおける化合物の薬物動態挙動を研究し、その薬物動態特性を評価した。
【0171】
2.実験方法
4.
【0172】
2.1 実験薬物:試験化合物。
2.2 試験動物:4匹の健康な成体オスCDー1マウスを、同じ体重に応じて2つの群に分け、群あたり2匹であった。動物はShanghai XipuerーBikai Experimental Animal Co.,Ltdから購入した。
【0173】
2.3 薬物の調製:
適量の試料を秤量し、溶媒を加え、超音波処理下で透明な状態になるまで攪拌し、静脈内投与に使用した。
適量の試料を秤量し、溶媒を加え、超音波処理下でほぼ透明な溶液になるまで撹拌し、胃内投与に使用した。
2.4 投与:
4匹のオスCDー1マウスを2つの群に分け、一晩絶食させ、1つの群は静脈内投与し、もう1つの群は胃内投与した。
【0174】
3.操作
試験化合物をオスCDー1マウスに静脈内投与した後、30μLの血液をそれぞれ0.0830、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間点で収集し、EDTAーKを含む市販のチューブに入れた。胃内投与群に試験化合物を投与した後、30μLの血液をそれぞれ0.25、0.5、1、2、4、6、8、及び24時間点で収集し、EDTAーKを含む市販のチューブに入れた。チューブを3000gで15分間遠心分離して血漿を分離し、ー60℃で保存した。投与2時間後、動物を食べさせた。
【0175】
LC/MS/MS法でマウスに静脈内および胃内投与した後、血漿中の試験化合物の含有量を測定した。方法の線形範囲は2.00~6000nmol/Lであった;血漿サンプルは、アセトニトリルでタンパク質を沈殿させた後分析した。
【0176】
4.薬物動態パラメータの結果
【表3】

結論:本発明の化合物は、半減期が短く、血漿外に広く分布し、適切なバイオアベイラビリティを有する。
【0177】
実験例4:CBー17 SCIDマウスモデルにおけるヒトリンパ腫TMDー8細胞皮下異種移植腫瘍に対する本発明の化合物の体内の有効性研究
実験目的:本試験はCBー17SCIDマウスのTMDー8細胞皮下異種移植モデルを使用して化合物の抗腫瘍効果を評価することである。
【0178】
実験操作:
(1)細胞培養:
ヒトリンパ腫TMDー8細胞を体外で単層培養し、培養条件は:RMPIー1640培地に10%のウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを加え、37℃、5%COのインキュベーターで培養した。週2回トリプシンーEDTAで通常の消化処理して継代培養した。細胞飽和度が80%~90%になり、数が要件に達したとき、細胞を収集し、カウントし、接種した。
【0179】
(2)腫瘍細胞の接種
各マウスの右背部に0.2mL(1×10細胞)のTMDー8細胞(マトリゲルを1:1の体積比で補充)を皮下接種し、平均腫瘍体積が約113mmに達した時、群を分け、投与を開始した。
【0180】
(3)試験医薬の調製
試験化合物群:定量の試験化合物を茶色の分注ボトルに秤量し、対応する体積の溶媒を加えた後、ボルテックスして均一な懸濁液又は透明な溶液を得た。
腫瘍直径をノギスで週2回測定した。腫瘍体積の計算式は:V=0.5a×bであり、aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径を表す。
化合物の抗腫瘍治療効果は、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)で評価した。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群のRTV;CRTV:陰性対照群のRTV)。相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)は、腫瘍測定の結果に基づいて計算され、計算式はRTV=V/Vであり、ここで、Vは、群分け投与を開始する時に測定された平均腫瘍体積(即ち、D0)であり、Vは、特定の測定における平均腫瘍体積であり、TRTVとCRTVは、同じ日のデータを取得した。
【0181】
TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映する。TGI(%)=[(1ー(特定の治療群における投与終了時の平均腫瘍体積ー当該治療群における投与開始時の平均腫瘍体積))/(溶媒対照群における投与終了時の平均腫瘍体積ー溶媒対照群における投与開始時の平均腫瘍体積)]×100%。
実験終了後、腫瘍の重量を測定し、T/Cweightパーセンテージを計算し、TweightとCweightは、それぞれ投与群と溶媒対照群の腫瘍重量を表す。
【0182】
統計分析
統計分析は、実験終了時のRTVデータに基づいてSPSSソフトウェアを使用して実行された。3つ以上の群間の比較は、一元配置分散分析によって分析され、分散が均一である場合(F値に有意差がない場合)、Tukey’sの検定を使用して分析し、分散が均一ではない場合(F値に有意差がある場合)、GamesーHowell検定を使用して検定した。p<0.05は有意差があると見なされた。
【0183】
実験結論:表4に示された通りである。
【表4】

結論:溶媒対照群と比較して、本発明の化合物は、有意な腫瘍抑制効果を有した。
【国際調査報告】